画像読取装置
【課題】 複数列のフィルムを高画質かつ短時間で読み取ることが出来る画像読取装置を得ること。
【解決手段】 電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取る手段を設ける。
【解決手段】 電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取る手段を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紙原稿や写真原稿を読み取る画像読取り方法、及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの発達、コンピュータの高速化及び記憶媒体の大容量化に伴い、カラー画像情報を扱う上で、より高画質化が望まれるようになってきており、中でもスキャナなどで取り込んだカラー画像情報をより正確に高速、高画質で読み取ることに対する要求が高まってきている。
【0003】
また、写真フィルム読み取りに対する需要も依然高く、特にデジタルカメラの普及により、多くのフィルムをデジカメ同様に電子データで扱うことに対する要求が高まっており、そこでも高速でありながら高画質で読むことへの要求は高い。
【0004】
フィルム原稿を高画質に読み込む方法としては、特許文献1が挙げられる。同提案によるフィルム高画質読み取り方法を図1, 図2, 図3を用いて説明する。
【0005】
画像読み取り装置としてCCDリニアイメージセンサ(以下CCD)を用いたイメージスキャナの構成と読み取り方法を図1を用いて表す。この構成は反射・透過の両原稿を読み取れる構成であるが、本提案は透過原稿に対するものであるので、透過原稿のフィルムを読み取るときを例にとって説明する。
【0006】
概観図において、116は原稿台ガラス115上に置かれた読み取り原稿で、これを透過原稿用光源113によって照射した光をミラー103、104、105によって折り返し、レンズ106によってCCD107に結像する。
【0007】
反射原稿用光源102及びミラー103、104、105、レンズ106、CCD107を固定載置した読み取りユニット110を原稿台ガラス115に平行に、概観図中の左方向から右方向に走査することにより原稿全体を読み取り、CCD107から透過された画像信号を得る。上記CCD107を載置したCCDボード111と画像読み取り装置に固定されたメインボード108は、ケーブル109によって接続されている。読み取りユニット110が走査する方向を副走査方向とする。
【0008】
図3は画像読み取り時のCCDセンサの構成を表すための図である。
【0009】
センサはRch,Gch,Bchの三色の信号を持っており、三色とも周波数特性の違い以外は同じ動きをし、ここでは便宜上Rchを例にとって説明する。
【0010】
光から電子へ変換する光電変換部303Rにおいて露光時に電子が蓄えられ、蓄えられた電子はシフトゲート302Rによって搬送部301Rに一列分の画素が同時に転送される。転送された電子は搬送部を通って搬送されて、アンプ部304Rで電気信号に変えられて、増幅され信号となる。
【0011】
蓄積、転送、搬送のタイミングと読み取りの関係を次に示す。
【0012】
図2は1ラインあたりのR,G,Bchの蓄積時間と転送時間の関係を表している。R,G,Bの蓄積時間202R/G/Bは読み取る画像(フィルム)の濃度によって決まり、濃度が高い(濃い)チャンネルは長い露光時間が必要なため、蓄積時間が長くなり、低い(薄い)チャンネルは短い露光で済む分露光時間は短くなる。この計算は通常フィルムのプレビュー画像から算出される。
【0013】
Rchについて、202Rの期間では露光が行われ、t3のタイミングで搬送部への転送が行われる。転送された電子は203Rの期間に搬送され、t4のタイミングで転送が終了し、それと同時に次のラインの蓄積が始まる。転送期間中に蓄積部303R/G/Bに蓄積された電子は不要なため次のラインの蓄積期間202R中に搬送路301R/G/Bに転送され、搬送されて使われない情報として処理される。
【0014】
Gchについて、t2の段階で蓄積が開始されるが、蓄積開始までに蓄積された電子はt2の直前に搬送路301Rに転送されて搬送され、使われない情報として処理される。そして、t3のタイミングで搬送路に転送されて、搬送が行われ、t4のタイミングで転送が終了する。蓄積されて必要の無い電子の処理についてはRchと同様な処理となる。また、BchについてはGchと同様な制御となる。
【0015】
このように、特許文献1は1ラインあたりの時間(ラインタイム)のうち、蓄積にかかる時間と転送にかかる時間が直列的に並んでいるので、読み取り時間は蓄積と転送の時間の合計になるためその分余計にスキャン時間がかかる。この問題を解決した読み取り方法として特許文献2が挙げられる。同提案は電子シャッタ構造を備えたセンサによる読み取りにより、1ラインあたりの読み取り時間を短縮する方法を用いたフィルム読取装置である。この提案によるフィルム読み取り方法を図5, 図6を用いて説明する。
【0016】
図5は電子シャッタを用いたCCDの構成を表す図である。
【0017】
1ライン分表示されているが、実際はR,G,Bの3ch共に同じ構成をしている。
【0018】
この構成では図3の構成に加えて、オーバーフロードレイン506とそれを制御するためのゲート505が追加されている。オーバーフロードレインとは使わない余分な電子を捨てるためのドレインであり、電子シャッタ505で制御される。
【0019】
図5, 図6を使い、電子シャッタを使った場合の読み取り方法を説明する。
【0020】
電子シャッタを使った場合、蓄積部503から搬送部501への転送はR/G/Bで同時に行われ、電子シャッタがR/G/Bで独立した制御をする。図6の例では、Rchは蓄積時間が一番長く、電子シャッタは常に閉じた状態であり、シフトゲート502によってt4に搬送路501に転送される。Gchでは、Shutterはt2〜t4の期間閉じていて、その期間に蓄積が行われる。蓄積された電子はt4に搬送路501に転送される。Bchも同様にt3〜t4の期間閉じていて、その期間に蓄積が行われ、t4に搬送路501に転送される。
【0021】
一方、主走査方向の配光はランプの特性から、中心部が高く、両端部が低いという特徴がある。この特性を補うために、読み取り動作の前に主走査方向の入力を均一にするシェーディング補正というものを行う。
【特許文献1】特開平11-88898号公報
【特許文献2】特開平5-66499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記のように電子シャッタ制御を用いた場合でも、原稿台上に図4のように複数列のフィルムが並んでいる時には、フィルムのコマ毎に蓄積時間が異なるため複数列を同時に読むということが出来ず、スキャンの往復動作を繰り返して読まなくてはならず、複数列の画像をスキャンするためにより多くの時間が必要ということになる。
【0023】
また、ランプの配光を補正するためにゲインをかけると、その分画像のノイズに対してもゲインをかけてしまい、目立たせることになってしまう。また、両端部は中心に対してゲインが大きいので、両端部の画像が特にノイズが多いものになってしまうという問題がある。
【0024】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、複数列のフィルムを高画質かつ短時間で読み取ることが出来る画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の目的を達成するために、本発明による画像読取装置においては、原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取る手段を設けている。
【発明の効果】
【0026】
上記のように構成した画像読取装置であれば、複数列のフィルムを読取る場合であっても、列ごとに独立した電子シャッタ制御をすることによって、主走査上にある複数のコマをそれぞれのコマ、チャンネルに最適な読み取り時間で同時に読取ることが可能となるので一列ごとに読む必要が無いため、高画質でありながら短い時間での読み取りが可能となる。
【0027】
また、列ごとに独立したシャッタ制御をすることによって、主走査方向のシェーディングデータの均一性を上げて、シェーディング補正のゲインによるノイズの増加を抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0029】
図7に本発明を実施するための読取装置本体と、ホストであるPCの簡単な構成図を示す。
【0030】
光源701はCPU705に点灯を制御されて、透過原稿702を透過した光はレンズ704で集められ、CCDセンサ703で読み取られる。CCDセンサ703はその動作をCPU705を使って制御されている。CCDセンサ703で読み取られたデータは読取装置本体708内の画像処理回路706で画像処理が行われ、ホストであるPC707に送られる。
【0031】
フィルム読み取りの場合、各チャンネルでフィルムの濃度によって蓄積時間が変わる。図8を用いてフィルム蓄積時間計算の流れを示す。
【0032】
透過率の高いフィルムであっても飽和しないような所定の蓄積時間で画像をプレビューし、ヒストグラムを取得する(S802)。R/G/B各色のハイライト値を算出する(S803)。ハイライト値から本スキャンで設定すべき蓄積時間を各色求める(S805)。各色の蓄積時間を従来例で説明したように、電子シャッターで制御するよう設定する(S805)。S805で求めた蓄積時間のうち最大値をラインあたりの読み取り時間として設定する(S806)。
【0033】
図4に35mmフィルムを原稿台に設置するためのフィルムガイドを示す。
【0034】
403はフィルムガイド本体で、図の場合最大で6コマ4列のフィルム401を設置することができる。402は空いていて、透過光量を測ったり、シェーディング補正データを取得するための窓である。ユーザーはこのフィルムガイドに読み取るフィルムをセットして、PC上で読み取るコマを指定する。
【0035】
フィルムガイドに4列フィルムがセットされて、ユーザーが全ての画像を読み取ろうとした時、通常は1A,1B,1C,・・・,4E,4Fと一枚ずつ読み取る。画像によって最適な蓄積時間、ラインタイムは異なる場合があるので、その場合1Aを読んでいるときは2A,3A,4Aは読めないため、全体の読み取り時間は全てのコマの読み取り時間を合計したものとなる。
【0036】
図9は本実施例の構成を表す図である。
【0037】
901は搬送部、902は転送(シフト)ゲート、903は蓄積部、904はアンプ部、905は電子シャッタ部、906はオーバーフロードレイン部となり、基本的な構成は図5の電子シャッタつきCCDと同じであるが、本発明では電子シャッタ部が905a〜dのように4つに分かれていて独立に制御が可能な構成となる。独立に制御可能な4つの電子シャッタを用いることにより1行4列を一度に読むことが可能となる。
【0038】
図4で示されるフィルムガイドの列の数に、独立して制御可能な電子シャッタの数を合わせることにより、一行のうち各コマで独立した蓄積時間で読み取ることが可能となる。
【0039】
一行のコマを読み終わったら、次の行の読み取りコマの最大蓄積時間をラインあたりの読み取り時間に設定して、次の行の読み取りを開始する。
【0040】
図10は本実施例の動作を表す図である。各コマ各チャンネルの電子シャッタの動きを表すものであり、矢印の部分で電子シャッタは閉じており、電子が蓄積される。
【0041】
図4のフィルムガイドにおいて一行目の複数コマがユーザーによって全て選択された場合、ラインタイムは全てのコマで同じにしなければならないので、各々チャンネル毎に求めた蓄積時間のうち最大のものを求め、それを1行目のラインタイムと設定する。(ここでは便宜上4コマ全てが選択された場合を例にとって説明する)
1A/2A/3A/4Aの各チャンネルのうち最大のものが3AのBchである場合、ラインタイムは3AのBchの蓄積時間と等しい時間になる。その他のコマの各チャンネルの蓄積時間はラインタイムよりも短くり、図10のようにそれぞれ設定が可能である。1ラインの読み取りが終わった時に各コマ同時に転送されて、搬送も同時に行われる。
【0042】
(第二の実施例)
図11の図を用いて、電子シャッタによる蓄積時間制御を説明する。この図は便宜上"区間ShutterA"における計算方法を表している。
【0043】
第一のシェーディングデータを取得する際、4個の電子シャッタは所定の蓄積時間CHRG1で読み取りを行う。シェーディングデータの取得は図4のフィルムガイドの窓402を読み取るので、所定の蓄積時間とは、すなわち光源を直接読み取って飽和しない蓄積時間ということになる。
【0044】
第一のシェーディングデータから各電子シャッタでの蓄積時間を決める。"区間ShutterA"において一番高い出力をOutAとする。OutAがOutTになる蓄積時間が求める蓄積時間であるので、ShutterAの蓄積時間は所定の蓄積時間CHRG1に対して
CHRG2=CHRG1*OutT/OutA
という式で求められる。同様に"区間ShutterB"、"区間ShutterC"、"区間ShutterD"に対しても最大出力がOutTになるような蓄積時間を設定することで、第二のシェーディングデータがそれぞれ得られる。
【0045】
一般に[n]区間シャッターがある場合の第一、第二のシェーディング補正の手順を図12で説明する。
【0046】
所定の全区間共通の蓄積時間CHRG1で第一のシェーディングデータを取得する(S1202)。個別の電子シャッターを持つ各区間の最大出力Max[n]を求める(S1203)。各区間の最大出力Max[n]がターゲットOutTとなるような蓄積時間CHRG2を算出する(S1204)。蓄積時間CHRG2を用いて第二のシェーディングデータを取得する(S1205)。
【0047】
この第二のシェーディングデータは第一のシェーディングデータよりも、特に両端部での均一性が高いので、シェーディング補正時の演算誤差を小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の画像読取装置の構成図である。
【図2】従来の電子シャッタを使わない場合の読み取り方法を表す図である。
【図3】電子シャッタを使わないCCDセンサの構成図を表す図である。
【図4】フィルム保持装置を表す図である。
【図5】電子シャッタを用いたCCDセンサの構成図である。
【図6】従来の電子シャッタを用いたCCDセンサの構成図である。
【図7】従来の画像読取装置内部処理系とPCとの構成図を表す図である。
【図8】従来の透過原稿読み取りのシーケンスを表す図である。
【図9】本発明の実施形を表すCCDセンサの構成図
【図10】本発明の実施形を表すCCD制御タイミングを表す図である。
【図11】本発明の実施形を表すシェーディングデータの例を表す図である。
【図12】本発明の実施形を表すシェーディング取得のシーケンスである。
【技術分野】
【0001】
この発明は紙原稿や写真原稿を読み取る画像読取り方法、及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信ネットワークの発達、コンピュータの高速化及び記憶媒体の大容量化に伴い、カラー画像情報を扱う上で、より高画質化が望まれるようになってきており、中でもスキャナなどで取り込んだカラー画像情報をより正確に高速、高画質で読み取ることに対する要求が高まってきている。
【0003】
また、写真フィルム読み取りに対する需要も依然高く、特にデジタルカメラの普及により、多くのフィルムをデジカメ同様に電子データで扱うことに対する要求が高まっており、そこでも高速でありながら高画質で読むことへの要求は高い。
【0004】
フィルム原稿を高画質に読み込む方法としては、特許文献1が挙げられる。同提案によるフィルム高画質読み取り方法を図1, 図2, 図3を用いて説明する。
【0005】
画像読み取り装置としてCCDリニアイメージセンサ(以下CCD)を用いたイメージスキャナの構成と読み取り方法を図1を用いて表す。この構成は反射・透過の両原稿を読み取れる構成であるが、本提案は透過原稿に対するものであるので、透過原稿のフィルムを読み取るときを例にとって説明する。
【0006】
概観図において、116は原稿台ガラス115上に置かれた読み取り原稿で、これを透過原稿用光源113によって照射した光をミラー103、104、105によって折り返し、レンズ106によってCCD107に結像する。
【0007】
反射原稿用光源102及びミラー103、104、105、レンズ106、CCD107を固定載置した読み取りユニット110を原稿台ガラス115に平行に、概観図中の左方向から右方向に走査することにより原稿全体を読み取り、CCD107から透過された画像信号を得る。上記CCD107を載置したCCDボード111と画像読み取り装置に固定されたメインボード108は、ケーブル109によって接続されている。読み取りユニット110が走査する方向を副走査方向とする。
【0008】
図3は画像読み取り時のCCDセンサの構成を表すための図である。
【0009】
センサはRch,Gch,Bchの三色の信号を持っており、三色とも周波数特性の違い以外は同じ動きをし、ここでは便宜上Rchを例にとって説明する。
【0010】
光から電子へ変換する光電変換部303Rにおいて露光時に電子が蓄えられ、蓄えられた電子はシフトゲート302Rによって搬送部301Rに一列分の画素が同時に転送される。転送された電子は搬送部を通って搬送されて、アンプ部304Rで電気信号に変えられて、増幅され信号となる。
【0011】
蓄積、転送、搬送のタイミングと読み取りの関係を次に示す。
【0012】
図2は1ラインあたりのR,G,Bchの蓄積時間と転送時間の関係を表している。R,G,Bの蓄積時間202R/G/Bは読み取る画像(フィルム)の濃度によって決まり、濃度が高い(濃い)チャンネルは長い露光時間が必要なため、蓄積時間が長くなり、低い(薄い)チャンネルは短い露光で済む分露光時間は短くなる。この計算は通常フィルムのプレビュー画像から算出される。
【0013】
Rchについて、202Rの期間では露光が行われ、t3のタイミングで搬送部への転送が行われる。転送された電子は203Rの期間に搬送され、t4のタイミングで転送が終了し、それと同時に次のラインの蓄積が始まる。転送期間中に蓄積部303R/G/Bに蓄積された電子は不要なため次のラインの蓄積期間202R中に搬送路301R/G/Bに転送され、搬送されて使われない情報として処理される。
【0014】
Gchについて、t2の段階で蓄積が開始されるが、蓄積開始までに蓄積された電子はt2の直前に搬送路301Rに転送されて搬送され、使われない情報として処理される。そして、t3のタイミングで搬送路に転送されて、搬送が行われ、t4のタイミングで転送が終了する。蓄積されて必要の無い電子の処理についてはRchと同様な処理となる。また、BchについてはGchと同様な制御となる。
【0015】
このように、特許文献1は1ラインあたりの時間(ラインタイム)のうち、蓄積にかかる時間と転送にかかる時間が直列的に並んでいるので、読み取り時間は蓄積と転送の時間の合計になるためその分余計にスキャン時間がかかる。この問題を解決した読み取り方法として特許文献2が挙げられる。同提案は電子シャッタ構造を備えたセンサによる読み取りにより、1ラインあたりの読み取り時間を短縮する方法を用いたフィルム読取装置である。この提案によるフィルム読み取り方法を図5, 図6を用いて説明する。
【0016】
図5は電子シャッタを用いたCCDの構成を表す図である。
【0017】
1ライン分表示されているが、実際はR,G,Bの3ch共に同じ構成をしている。
【0018】
この構成では図3の構成に加えて、オーバーフロードレイン506とそれを制御するためのゲート505が追加されている。オーバーフロードレインとは使わない余分な電子を捨てるためのドレインであり、電子シャッタ505で制御される。
【0019】
図5, 図6を使い、電子シャッタを使った場合の読み取り方法を説明する。
【0020】
電子シャッタを使った場合、蓄積部503から搬送部501への転送はR/G/Bで同時に行われ、電子シャッタがR/G/Bで独立した制御をする。図6の例では、Rchは蓄積時間が一番長く、電子シャッタは常に閉じた状態であり、シフトゲート502によってt4に搬送路501に転送される。Gchでは、Shutterはt2〜t4の期間閉じていて、その期間に蓄積が行われる。蓄積された電子はt4に搬送路501に転送される。Bchも同様にt3〜t4の期間閉じていて、その期間に蓄積が行われ、t4に搬送路501に転送される。
【0021】
一方、主走査方向の配光はランプの特性から、中心部が高く、両端部が低いという特徴がある。この特性を補うために、読み取り動作の前に主走査方向の入力を均一にするシェーディング補正というものを行う。
【特許文献1】特開平11-88898号公報
【特許文献2】特開平5-66499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上記のように電子シャッタ制御を用いた場合でも、原稿台上に図4のように複数列のフィルムが並んでいる時には、フィルムのコマ毎に蓄積時間が異なるため複数列を同時に読むということが出来ず、スキャンの往復動作を繰り返して読まなくてはならず、複数列の画像をスキャンするためにより多くの時間が必要ということになる。
【0023】
また、ランプの配光を補正するためにゲインをかけると、その分画像のノイズに対してもゲインをかけてしまい、目立たせることになってしまう。また、両端部は中心に対してゲインが大きいので、両端部の画像が特にノイズが多いものになってしまうという問題がある。
【0024】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、複数列のフィルムを高画質かつ短時間で読み取ることが出来る画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の目的を達成するために、本発明による画像読取装置においては、原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取る手段を設けている。
【発明の効果】
【0026】
上記のように構成した画像読取装置であれば、複数列のフィルムを読取る場合であっても、列ごとに独立した電子シャッタ制御をすることによって、主走査上にある複数のコマをそれぞれのコマ、チャンネルに最適な読み取り時間で同時に読取ることが可能となるので一列ごとに読む必要が無いため、高画質でありながら短い時間での読み取りが可能となる。
【0027】
また、列ごとに独立したシャッタ制御をすることによって、主走査方向のシェーディングデータの均一性を上げて、シェーディング補正のゲインによるノイズの増加を抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0029】
図7に本発明を実施するための読取装置本体と、ホストであるPCの簡単な構成図を示す。
【0030】
光源701はCPU705に点灯を制御されて、透過原稿702を透過した光はレンズ704で集められ、CCDセンサ703で読み取られる。CCDセンサ703はその動作をCPU705を使って制御されている。CCDセンサ703で読み取られたデータは読取装置本体708内の画像処理回路706で画像処理が行われ、ホストであるPC707に送られる。
【0031】
フィルム読み取りの場合、各チャンネルでフィルムの濃度によって蓄積時間が変わる。図8を用いてフィルム蓄積時間計算の流れを示す。
【0032】
透過率の高いフィルムであっても飽和しないような所定の蓄積時間で画像をプレビューし、ヒストグラムを取得する(S802)。R/G/B各色のハイライト値を算出する(S803)。ハイライト値から本スキャンで設定すべき蓄積時間を各色求める(S805)。各色の蓄積時間を従来例で説明したように、電子シャッターで制御するよう設定する(S805)。S805で求めた蓄積時間のうち最大値をラインあたりの読み取り時間として設定する(S806)。
【0033】
図4に35mmフィルムを原稿台に設置するためのフィルムガイドを示す。
【0034】
403はフィルムガイド本体で、図の場合最大で6コマ4列のフィルム401を設置することができる。402は空いていて、透過光量を測ったり、シェーディング補正データを取得するための窓である。ユーザーはこのフィルムガイドに読み取るフィルムをセットして、PC上で読み取るコマを指定する。
【0035】
フィルムガイドに4列フィルムがセットされて、ユーザーが全ての画像を読み取ろうとした時、通常は1A,1B,1C,・・・,4E,4Fと一枚ずつ読み取る。画像によって最適な蓄積時間、ラインタイムは異なる場合があるので、その場合1Aを読んでいるときは2A,3A,4Aは読めないため、全体の読み取り時間は全てのコマの読み取り時間を合計したものとなる。
【0036】
図9は本実施例の構成を表す図である。
【0037】
901は搬送部、902は転送(シフト)ゲート、903は蓄積部、904はアンプ部、905は電子シャッタ部、906はオーバーフロードレイン部となり、基本的な構成は図5の電子シャッタつきCCDと同じであるが、本発明では電子シャッタ部が905a〜dのように4つに分かれていて独立に制御が可能な構成となる。独立に制御可能な4つの電子シャッタを用いることにより1行4列を一度に読むことが可能となる。
【0038】
図4で示されるフィルムガイドの列の数に、独立して制御可能な電子シャッタの数を合わせることにより、一行のうち各コマで独立した蓄積時間で読み取ることが可能となる。
【0039】
一行のコマを読み終わったら、次の行の読み取りコマの最大蓄積時間をラインあたりの読み取り時間に設定して、次の行の読み取りを開始する。
【0040】
図10は本実施例の動作を表す図である。各コマ各チャンネルの電子シャッタの動きを表すものであり、矢印の部分で電子シャッタは閉じており、電子が蓄積される。
【0041】
図4のフィルムガイドにおいて一行目の複数コマがユーザーによって全て選択された場合、ラインタイムは全てのコマで同じにしなければならないので、各々チャンネル毎に求めた蓄積時間のうち最大のものを求め、それを1行目のラインタイムと設定する。(ここでは便宜上4コマ全てが選択された場合を例にとって説明する)
1A/2A/3A/4Aの各チャンネルのうち最大のものが3AのBchである場合、ラインタイムは3AのBchの蓄積時間と等しい時間になる。その他のコマの各チャンネルの蓄積時間はラインタイムよりも短くり、図10のようにそれぞれ設定が可能である。1ラインの読み取りが終わった時に各コマ同時に転送されて、搬送も同時に行われる。
【0042】
(第二の実施例)
図11の図を用いて、電子シャッタによる蓄積時間制御を説明する。この図は便宜上"区間ShutterA"における計算方法を表している。
【0043】
第一のシェーディングデータを取得する際、4個の電子シャッタは所定の蓄積時間CHRG1で読み取りを行う。シェーディングデータの取得は図4のフィルムガイドの窓402を読み取るので、所定の蓄積時間とは、すなわち光源を直接読み取って飽和しない蓄積時間ということになる。
【0044】
第一のシェーディングデータから各電子シャッタでの蓄積時間を決める。"区間ShutterA"において一番高い出力をOutAとする。OutAがOutTになる蓄積時間が求める蓄積時間であるので、ShutterAの蓄積時間は所定の蓄積時間CHRG1に対して
CHRG2=CHRG1*OutT/OutA
という式で求められる。同様に"区間ShutterB"、"区間ShutterC"、"区間ShutterD"に対しても最大出力がOutTになるような蓄積時間を設定することで、第二のシェーディングデータがそれぞれ得られる。
【0045】
一般に[n]区間シャッターがある場合の第一、第二のシェーディング補正の手順を図12で説明する。
【0046】
所定の全区間共通の蓄積時間CHRG1で第一のシェーディングデータを取得する(S1202)。個別の電子シャッターを持つ各区間の最大出力Max[n]を求める(S1203)。各区間の最大出力Max[n]がターゲットOutTとなるような蓄積時間CHRG2を算出する(S1204)。蓄積時間CHRG2を用いて第二のシェーディングデータを取得する(S1205)。
【0047】
この第二のシェーディングデータは第一のシェーディングデータよりも、特に両端部での均一性が高いので、シェーディング補正時の演算誤差を小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】従来の画像読取装置の構成図である。
【図2】従来の電子シャッタを使わない場合の読み取り方法を表す図である。
【図3】電子シャッタを使わないCCDセンサの構成図を表す図である。
【図4】フィルム保持装置を表す図である。
【図5】電子シャッタを用いたCCDセンサの構成図である。
【図6】従来の電子シャッタを用いたCCDセンサの構成図である。
【図7】従来の画像読取装置内部処理系とPCとの構成図を表す図である。
【図8】従来の透過原稿読み取りのシーケンスを表す図である。
【図9】本発明の実施形を表すCCDセンサの構成図
【図10】本発明の実施形を表すCCD制御タイミングを表す図である。
【図11】本発明の実施形を表すシェーディングデータの例を表す図である。
【図12】本発明の実施形を表すシェーディング取得のシーケンスである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記の独立して制御が可能な電子シャッタ部の長さが、読み取り可能な透過原稿列の最大値に等しいことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記の独立して制御が可能な電子シャッタ部を持つイメージセンサは、ラインあたりの読み取り時間を、一行の各コマで算出された蓄積時間の最大値に等しくすることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
ラインあたりの画像の均一性を補正するシェーディング補正データ取得時に、該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号で、複数の画素群ごとに独立して制御をすることによって、画素群ごとに蓄積時間が独立な、補正演算誤差の少ないシェーディングデータを取得することを特徴とする画像読取装置。
【請求項1】
原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号によって、複数の画素群ごとに独立に制御することにより、画像ごと、チャンネルごとに異なる蓄積時間で読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記の独立して制御が可能な電子シャッタ部の長さが、読み取り可能な透過原稿列の最大値に等しいことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記の独立して制御が可能な電子シャッタ部を持つイメージセンサは、ラインあたりの読み取り時間を、一行の各コマで算出された蓄積時間の最大値に等しくすることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿の光学像が結像される複数の光電変換画素が主走査方向にライン状に配列されると共に上記原稿に対して相対的に副走査方向に移動するようになされ、所定の周期で画素信号を出力するイメージセンサ手段と、該イメージセンサの光電変換部で変換された電子のうち、画像情報として必要の無い電子を捨てることにより蓄積時間を調整する電子シャッタ部を備え、
該イメージセンサ手段を駆動する駆動制御部と、該イメージセンサの出力信号を増幅する増幅部と、増幅された画像情報をデジタル化するA/D変換部とを備えている画像読取装置において、
ラインあたりの画像の均一性を補正するシェーディング補正データ取得時に、該電子シャッタ部の制御が複数の独立した信号で、複数の画素群ごとに独立して制御をすることによって、画素群ごとに蓄積時間が独立な、補正演算誤差の少ないシェーディングデータを取得することを特徴とする画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−302760(P2009−302760A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153166(P2008−153166)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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