説明

画像配信システム

【課題】映り込む人物のプライバシーを確保し、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる特定の人物を観察できる画像配信システムを提供する。
【解決手段】撮像装置と、データを配信する配信装置と、受信装置と、画像表示装置とを備え、配信装置は、個人認証データベースと、個人特定部と、背景生成部と、前景画像と画像ラベルを人物ごとに生成する前景生成部と、個人IDと前景画像とを対応づける対応付け部と、データ配信部とを有し、受信装置は、データ受信部と、権限情報入力部と、権限認証部と、表示画像生成部とを有し、表示画像生成部は、権限を有する前景画像を背景画像に合成し、権限を有しない前景画像については背景画像に合成せず、またはマスク処理もしくはフィルタ処理してから合成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視カメラ等によって撮影した画像を配信する画像配信システムに関し、特に各人のプライバシーに配慮した画像配信を行うことのできるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、安全性を確保するために監視カメラを設置し、その監視カメラの映像を録画したり、特定の監視員が常時監視したりすることは広く行われていた。しかし、比較的簡略なシステムでは録画だけを行い、監視員による常時監視は行われず、監視カメラの画像は有事にしか見られないことになる。この場合の監視カメラは犯行の記録の意味合いが強く、カメラの存在が犯罪抑止力を有するものの、原則としては犯罪に対して事後的に機能を発揮するものである。
【0003】
また監視カメラは、監視員や警察など特定の者しか見ないという特性を有している。仮にこれを一般の者にも配信すれば、例えば犯罪の発生時に近隣の者が迅速に様子を見に行ったり、家族を重点的に観察したりすることが可能となる。また監視カメラの映像を利用した新しい用途として、必ずしも防犯目的ばかりではなく、様々な楽しみのために利用できる可能性を秘めている。
【0004】
しかし、これもまた監視カメラの特性であるが、不特定多数の者が通行する公共の場所を撮影する位置に設置される。したがってその画像を一般に配信するとした場合、個人のプライバシーが保てないという問題がある。例えば誰がいつどこを誰と一緒に通った、などという情報が配信されることになると、見られる側としては行動しにくい状態になってしまう。防犯目的であれば監視カメラの近隣住民に対して配信する場合にこそ効果を発揮するが、プライバシーのことを考えれば近隣住民に配信すれば支障を生じるという問題がある。
【0005】
従来からも、監視カメラとプライバシーの問題についての技術が提案されている。例えば特許文献1には、主にエレベータに監視カメラが設置され、各フロアおよび警備員室にモニタがある状況において、モニタ画面に映る自分の姿にマスクをかけるシステムが提案されている。モニタの中のどの位置にマスクをかけるかについては、携帯端末を用いて手動で領域を指定するか、ICタグで位置を検知して自動認識する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2004−48519号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らが防犯目的で監視する場合を再考したところ、警戒すべきか否かが判断できればよいのであって、必ずしもその人物の姿態を知ることは必要ではないことに着眼した。たとえばマンションのロビーを撮影している監視カメラにおいて、マンションの住人であるか、紛れ込んだ部外者であるかを知ることができれば、ある程度の安心や用心はすることができる。そこで、監視カメラの画像を利用して、警戒すべき人物がいるか否かを知ることができれば防犯の用に資することができると考えた。
【0007】
一方、自分の子供のように実際に特定の人物を認識して観察したい場合もある。このような場合は、画像中の人物を個別的に認識する必要がある。ここでさらに問題となるのは、監視カメラの画像を配信する場合、見る人ごとに観察したい人物が変わる(わかりやすくいえば、家庭ごとに観察したい子供が違う)という点である。すなわち、システムの利用者の数だけ異なる画像を配信しなくてはならないということになる。
【0008】
上記特許文献1には、ICタグにより人物を認識し、その位置を取得する構成が記載されている。しかしエレベータ内という極めて狭く限定的な領域であって、エレベータのかごの床に出射型タグを敷き詰めるというものである。かかる構成は、マンションのロビーやエントランス、近隣の公園などのようにある程度の広さを持った領域には全く適用できない。
【0009】
また特許文献1ではモニタは複数あっても同じ画像を表示させており、利用者ごとに異なる画像を表示させるための概念および構成はふれられていない。仮に利用者の数だけ異なるように加工した画像を配信しようとすると、膨大な量の画像編集と配信データとなってしまい、現実的ではない。
【0010】
そこで本発明は、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保し、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる特定の人物を観察することを可能な画像配信システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像配信システムの代表的な構成は、画像を撮影する撮像装置と、撮像装置が撮影した画像に基づくデータを配信する配信装置と、データをネットワークを介して受信する受信装置と、受信装置に接続された画像表示装置とを備え、配信装置は、画像から背景画像を生成する背景生成部と、画像から人物の画像である前景画像と、少なくとも背景画像に対する前景画像の相対位置を含む画像ラベルとを人物ごとに生成する前景生成部と、画像に映っている人物を個別に識別するための識別情報を格納した個人認証データベースと、個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定する個人特定部と、個人IDと画像ラベルとを対応づける対応付け部と、背景画像、前景画像、画像ラベル、および個人IDをデータとして配信するデータ配信部とを有し、受信装置は、データ配信部が配信したデータを受信するデータ受信部と、個人IDが付された特定の人物を観察する権限を示す権限情報を入力する権限情報入力部と、前景画像の個人IDに対して権限情報を認証する権限認証部と、背景画像に前景画像を合成して画像表示装置に出力する表示画像生成部とを有し、表示画像生成部は、権限認証部が認証した個人IDに対応する画像ラベルを有する前景画像を背景画像に合成し、個人特定部が識別しており、かつ権限認証部が認証していない個人IDについては、当該人物の前景画像を背景画像に合成せず、またはマスク処理もしくはフィルタ処理してから合成することを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、配信装置が配信するデータは背景と前景とを含む1種類のデータであって、受信装置において利用者ごとに異なる画像を生成することにより、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる画像を表示し、特定の人物を観察することができる。また権限認証部が認証した人物は表示し、認証していない人物は表示しないことにより、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保することができる。さらに画像に写っている人物を個別に識別し、個人認証データベースと対比して、識別できた人物とできなかった人物とを異ならせて表示することにより、警戒すべき人物がいるか否かを判断することができる。
【0013】
個人特定部は、前景画像および個人認証データベースを参照して、画像に映っている人物の個人IDを画像認証により特定してもよい。これにより、監視カメラの画像を用いて、画像に写っている人物の個人IDを特定することができると共に、背景画像に対する前景画像の相対位置もあわせて特定することができる。個人IDを特定するための特別な装置を要しないため、システムの設備を簡略にし、メンテナンスが容易になると共に、導入コストの低廉化を図ることができる。
【0014】
個人特定部は、画像に映っている可視光タグの光信号を検知し、可視光タグの識別子および背景画像に対する相対位置を認識し、可視光タグの識別子に基づいて個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定し、対応付け部は、可視光タグの背景画像に対する相対位置に基づいて個人IDと画像ラベルとを対応づけてもよい。可視光タグを用いることにより、装置としては監視カメラを用いつつ、画像認証による場合よりも確実に個人IDを特定することができる。
【0015】
個人特定部は、画像に映っている人物が所有する無線端末を検知し、該無線端末の識別子に基づいて個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定し、かつ経緯度より定まる該無線端末の絶対位置を特定し、対応付け部は、絶対位置に対応する相対位置に基づいて個人IDと画像ラベルとを対応づけてもよい。無線端末はタグリーダによる三点測距やGPSによる位置測定を行い、経緯度より定まる無線端末の絶対位置を特定することができる。次に監視カメラの設置条件(位置、向き、高さなど)やカメラパラメータ(画角、焦点距離、撮像素子の大きさなど)と対比することにより、背景画像上の絶対位置に対応する相対位置を算出することができる。そして絶対位置に対応する相対位置を含む前景画像を判定し、個人特定部が特定した個人IDと、前景画像の画像ラベルとを対応づけることができる。前景画像が相対位置を含むか否かの判定は、相対位置が前景画像の領域内にある場合のみならず、前景画像の領域外にある程度の誤差を許容してもよい。
【0016】
背景生成部は人物の写っていない背景画像を生成し、表示画像生成部は前景画像を部分的または全体的に背景画像が透過するよう、マスク処理もしくはフィルタ処理を行ってもよい。これにより、顔や姿が特定できない画像を生成してプライバシーを保護することができ、またフィルタの種類によっては極めて豊かな趣向性を有する視覚効果を得ることができる。
【0017】
個人特定部は人物の移動をトラッキング可能であって、所定位置において人物を識別した後に、トラッキングすることによりその相対位置を更新してもよい。これにより、人物が画面内にいる間は再度の個人認証および位置検知をする必要がなく、継続して画像の配信を行う場合のシステムの処理負担を軽減することができる。
【0018】
個人特定部は人物の滞留時間を計測可能であって、表示画像生成部は、個人特定部が識別していない人物についての前景画像を背景画像に合成する際に、滞留時間を視覚的に表してもよい。これにより、不審な行動をしている人物についてその不審度を視覚的に判断することができ、そのレベルに応じて具体的な対策を取ることが可能となる。
【0019】
個人認証データベースは、コミュニティの構成員を格納した閉鎖的なプライベートデータベースと、信頼された外部の者が編集可能なパブリックデータベースとを有していてもよい。これにより、コミュニティに属する人物は秘匿性の高いプライベートデータベースに格納し、外部の人物はパブリックデータベースに対して人物の登録、削除を行うことができる。
【0020】
権限認証部は、携帯可能な記憶デバイスから権限情報を読み出して、権限情報と個人IDに対して認証してもよい。これにより、例えばマンションのロビーなどの公共空間に設置されたモニタに接続して権限情報を入力し、同じ端末であっても見る人によって異なる画像を表示させることができる。
【0021】
配信装置は、さらに前景画像を暗号化する暗号化部を備え、権限情報は、暗号化された前景画像を復号する復号鍵であってもよい。これにより、ネットワークを傍受した際にも前景画像が漏洩することがなく、さらに高度にプライバシーを保護することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保し、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる特定の人物を観察することを可能とし、かつ警戒すべき人物がいるか否かを判断することが可能な画像配信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[第1実施形態]
本発明にかかる画像配信システムの第1実施形態について説明する。なお、以下の実施例に示す数量、場所、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0024】
(システム構成)
図1は第1実施形態にかかる画像配信システムの構成を説明する図である。図1に示す画像配信システム100(以下「システム」という。)は、大別して画像を撮影する撮像装置120と、撮像装置120が撮影した画像に基づくデータを配信する配信装置200と、配信されたデータをネットワーク110を介して受信する受信装置300と、該受信装置に接続された画像表示装置140とを備えている。以下にそれぞれについて説明する。
【0025】
撮像装置120はいわゆる定点カメラであって、既存の防犯用の監視カメラと同様の装置を用いることができる。撮像装置120が撮影する画像は、カラー画像であってもよく、グレースケール画像であってもよい。図2は公園に複数台の撮像装置120を設置した例を示す図である。撮像装置120は、観察したいエリアをカバーするように撮影範囲の異なる複数台の撮像装置120を設置することができる(図は3台の撮像装置を設置した例である)。
【0026】
配信装置200は、撮像装置120の画像を取り込み、所定の加工をした後に、画像を含むデータを配信する。配信装置200は、個人認証データベース220と、個人特定部210と、前景生成部212と、背景生成部214と、対応付け部216と、データ配信部218とを備えている。本実施形態において撮像装置120の画像は、個人特定部210、背景生成部214、前景生成部212へと伝達される。
【0027】
個人特定部210は、本実施形態においては画像処理を行うことによって、画像に写っている人物を個別に識別すると共に、その背景画像に対する前景画像の相対位置を特定する。画像による個人認証は、例えば顔認証、虹彩認証、歩様のマッチングなどの生体認証(バイオメトリクス)を用いることができる。顔認証や虹彩認証は現在でも1m以上離れた距離から行うことができ、高解像度のカメラを用いればさらに遠距離から行うことができる。また顔や虹彩を確実に画像に撮影するために、複数台のカメラを用いて、通行する人物を挟むように前後から撮影することが好ましい。図2では、藤棚に2つの撮像装置120を設置し、通行する人物の顔や目を確実に撮影するよう構成している。
【0028】
またバイオメトリクスに変えて、可視光タグを好適に利用することができる。可視光タグとは、可視光を所定の点滅パターンで出力することにより情報を伝達するものである。可視光タグを用いた情報伝達では、カメラで信号を受け取ることができるため、撮像装置120で撮影した映像から信号を読み取って点滅パターンを解析して得られるタグIDにより、人物を識別することができる。そして当然に背景画像に対する可視光タグの相対位置(前景画像の相対位置)も取得できることから、人物の識別と相対位置の特定を同時に行うことができる。なお、可視光タグは常に出力している必要はなく、カメラから光や電波を受けることを条件として出力を行うよう構成してもよい。
【0029】
個人認証データベース220は、人物を個別に識別するための識別情報と、その人物を特定するための指標である個人IDが格納されている。識別情報とは、例えば顔認証や虹彩認証における特徴量や、可視光タグのタグIDなどである。個人IDとは、システムにおいてその人物(登録者)を特定するための符号であって、一意に人物を特定しうるものであれば特に限定しない。個人認証データベース220に格納するレコードの具体例としては、識別情報、個人ID、氏名、住所、年齢、性別などであるが、必ずしもこれらに限定するものではなく、またこれらを全て備えている必要はない。また後述するように、閲覧を許可する利用者(観察者)の権限情報を含めてもよい。
【0030】
したがって個人特定部210は、個人認証データベース220を参照して画像に映っている人物を識別することにより、個人IDを特定することができる。またその個人IDを付された登録者の相対位置は既にわかっているため、個人IDとあわせてその相対位置を特定することができる。ここで、個人認証データベース220に登録されていない人物は、識別をすることができない。またマスクやサングラスなどにより、識別ができない場合もある。このような場合、個人IDに値を設定しない(nullを設定する)こともできるが、その人物を一意に識別できるゲスト用IDを設定してもよい。
【0031】
前景生成部212は、撮影した画像から人物画像を含む矩形領域や、人物の輪郭に沿って切り抜いた領域を前景画像として抽出する。前景画像は人物ごとに分離して抽出され、管理のために画像ラベルを付する。画像ラベルには、少なくとも背景画像に対する前景画像の相対位置を含み、さらに前景画像の輪郭(前景画像の境界線)や領域(大きさや形状)、色、輝度情報などを含んでいてもよい。相対位置としては、前景画像の中心や重心(図心)、領域の左上の角、領域の外接矩形の角を用いることができる。前景画像を抽出する方法としては、既に背景画像があれば背景画像差分法、人物の外見のパターンを別途準備してパターンマッチング、外観上の特徴量との相関をとることなどが可能である。また動物や台車などを含んでしまわないように、画像ラベルに含まれる大きさや形状などを用いて、人物らしいものだけに絞り込んで出力してもよい。
【0032】
背景生成部214は、撮影した動画像から人物の映っていない背景画像を生成する。背景画像の生成方法には、動画像中の複数フレームを平均化して生成する方法がある。この他、前景生成部212において前景画像が抽出されなかったフレームのみを用いて平均化する、あるいは、前景生成部212で抽出した前景画像の領域以外の画素のみを用いて平均化するように構成し、人物が映っていない画像情報のみから背景画像を生成するようにしてもよい。なお、必ずしも人物部分(前景画像の部分)に背景画像を補填する必要はなく、前景画像の領域が欠落した画像(灰色や黒色などの特定の色でベタ塗りされた状態の画像)を、そのまま背景画像としてもよい。
【0033】
対応付け部216は、前景画像に基づき、当該前景画像から個人特定部210が特定した登録者の個人IDと、当該前景画像の画像ラベルとを対応づける。
【0034】
データ配信部218は、上記で生成した背景画像、前景画像、画像ラベル、および個人IDをデータとしてネットワーク110を通じて配信する。撮像装置120が複数設置されている場合には、台数分のデータを配信する。
【0035】
ネットワーク110は既設の通信インフラを利用することができる。例えばADSLやFTTH回線を利用したインターネット、ケーブルテレビ、および有線LANまたは無線LANを好適に利用できる。また、1つのマンション内で完結する場合のように、局所的であれば、専用配線を利用することができる。
【0036】
受信装置300は、配信装置200が配信したデータをネットワーク110を介して受信すると、所定の加工を行った後に画像表示装置140に画像を出力する。受信装置300は、データ受信部310と、権限情報入力部312と、権限認証部314と、表示画像生成部316とを備えている。
【0037】
データ受信部310は、データ配信部218が配信したデータをネットワーク110を介して受信し、表示画像生成部316へと伝達する。このデータには、上述のように背景画像、前景画像、画像ラベル、および個人IDが含まれている。なお受信装置300が受信した時点においてはデータは1種類であり、各利用者(観察者)の受信装置300に一律に同じデータが配信される。なお利用者とは、このシステム100の利用者であって、被観察者を観察する権限を有するものである。
【0038】
権限情報入力部312は、特定の個人を観察する権限を有しているか否かを示す権限情報を権限認証部314に入力する。権限情報入力部312としては、機器に内蔵のメモリでもよいし、ケーブルテレビ用チューナーのCASカードのように認証カードを装着可能にしてもよい。またRFタグなどを用いて一定時間ごとに認証させてもよいし、フラッシュメモリのような携帯可能な記憶デバイスに権限情報を保存して読み出し可能に構成してもよいし、ネットワークから逐次ダウンロードするように構成してもよい。権限情報を携帯可能な(可搬性のある)記憶デバイス(携帯端末、フラッシュメモリ、ICカード等)に記録しておく場合には、例えばマンションのロビーなどの公共空間に設置されたモニタに接続することにより、権限情報を入力することができる。これにより、同じ端末であっても見る人によって異なる画像を表示させることができる。
【0039】
権限認証部314は、表示画像生成部316からの問い合わせに応じ、前景画像の個人IDに対して、権限情報入力部312から入力された権限情報を認証する。そして表示画像生成部316に対し、その前景画像に対して観察する権限があるか否かを返す。
【0040】
ここで権限情報は複数の個人IDについての権限を示すものであることが望ましく、さらには任意の個人IDについて複数の利用者が権限を持ちうるよう構成することが好ましい。権限情報としては、最も単純には個人IDそのものとすることができ、権限情報として複数の個人IDを保持しうる。また利用者は一人に一つの権限情報(権限ID)を有するものとして、権限IDと個人IDとを多対多の関連づけをしてもよい。図1に示す権限認証部314は、多対多の関連づけをした小規模なデータベースを想定して描いている。また権限認証部314に時間帯や場所の制限を持たせることにより、例えば夜の時間は表示されないようにしたり、特定の場所では表示されないようにしたりするなど、柔軟に権限の範囲を設定することができる。
【0041】
表示画像生成部316は、データ受信部310からデータを伝達されると、個人IDについて観察する権限を有するか否かについて権限認証部314に問い合わせを行う。そして権限認証部314が認証した個人IDに対応する画像ラベルを有する前景画像は、背景画像に合成する。この前景画像の人物を、被観察者と称する。被観察者、例えば自分(利用者)の子供については、画像中に表示されることとなる。いうまでもなく観察する権限を許容すれば被観察者となりうるのであって、子供や家族には限られない。例えば高齢の方が近隣の住人に観察権限を与えておくことも考えられる。
【0042】
個人特定部210が識別しており、かつ権限認証部314が認証していない個人の前景画像については、当該個人の前景画像を背景画像に合成せず、またはマスク処理もしくはフィルタ処理してから合成する。このような前景画像の人物を、登録者と称する。個人IDが付された登録者、例えば同じマンションの住人は、存在がわからないか、または「誰かがいるけれども警戒する必要がない人物」として認識することができる。なおマスク処理としては、背景画像に対して前景画像の領域にXORマスクを施したり、特定の色で当該領域を塗りつぶしたりすることができる。フィルタ処理としては、前景画像を離散化してドットやラインに置き換えたり、全く別の画像に置き換えたりすることができる。
【0043】
図3は図2に示した公園において前景画像にフィルタ処理を施した例である。図3に示すように、背景画像は前景画像がない状態のものを生成し、前景画像に対しては一部または全体的に透過性を有するマスク処理もしくはフィルタ処理を行っている。これにより、顔や姿が特定できない画像を生成することができ、プライバシーを保護することができる。またフィルタの種類によっては、極めて豊かな趣向性を有する視覚効果を得ることができる。
【0044】
個人特定部210が識別できなかった人物の前景画像(個人IDがないか、またはゲストIDである場合)は、マスク処理もしくはフィルタ処理してから合成する。このような前景画像の人物を、部外者と称する。このとき、部外者と登録者とは、いずれもマスク処理またはフィルタ処理を行うのであるが、表示方法を異ならせることが好ましい。例えば塗りつぶしや縁取りの色を変えたり、模様を変えたりして視覚的に異ならせることができる。
【0045】
部外者は、原則として未知の人物であって、「少し警戒すべき人物」という位置づけになる。そこで、個人特定部210を人物の滞留時間を計測可能とする。より詳しくは、部外者をトラッキングし、その移動のログを記録する。そしてデータに滞留時間を含めるように構成する。表示画像生成部316は、その前景画像を背景画像に合成する際に、滞留時間を視覚的に表してもよい。例えば、段々色を目立つ色に変化させたり、前景画像に透明度を設定して背景画像と合成し、透明度を徐々に下げていくことができる。これにより、待ち伏せや徘徊などの不審な行動をしている人物について、具体的に警戒することが可能となる。
【0046】
部外者であっても、宅配業者や、頻繁に出前に来る料理屋の配達員など、制服のような外観上の特徴によってある程度の判別がつく場合がある。そこで外観上の特徴量をサンプルと比較し、相関をとって判断することができる。これは、上記説明において個人特定部210が個人を識別していたのに対し、外観上の共通点を有するグループとして識別することを意味する。この場合においても、例えばゲストIDの代わりにグループID(例えば業者特有のID)を設けることにより、全く同じシステムで処理を行うことができる。これにより、例えば前景画像にマスク処理として業者のロゴマークを被せることにより、単に部外者として表示するよりも状況を把握しやすくなる。
【0047】
画像表示装置140は画像を表示する装置であればよく、受信装置300と一体または別体のモニタや、受信装置300とは別体のテレビジョン、ホームセキュリティ装置に組み込まれているモニタ、マンションのロビーなどの公共空間に設置されたモニタ、携帯電話などのモバイル端末のモニタ、インターネット越しの遠隔地のコンピュータなどであってもよい。画像表示装置140に表示されるときには画像は既に表示画像生成部316において合成されており、一枚絵(静止画像または動画像)となっている。また、表示画像生成部316において権限情報に応じて前景画像を合成することから、利用者ごとに異なった画像となっている。
【0048】
すなわち、上記構成によれば、配信装置200が配信するデータは背景と前景とを含む1種類のデータであって、受信装置300において利用者ごとに異なる画像を生成することにより、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる画像を表示し、特定の人物を観察することができる。また権限認証部314が認証した個人は表示し、認証していない個人は表示しないことにより、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保することができる。また画像に写っている人物を個別に識別し、個人認証データベース220と対比することにより、警戒すべき人物がいるか否かを判断することができる。
【0049】
なお、図示していないが、撮像装置120が複数ある場合には受信装置300にカメラを切り換えるための操作部を備えていることが好ましい。また上述のようにデータ配信部218は撮像装置120の台数分のデータを配信しているが、観察者の権限に応じて、被観察者が映っているカメラ(データ)に自動的に切り換えてもよい。さらに表示画像生成部316が被観察者を認証できなかった場合には、定期的にカメラを(データを)切り換えるように動作させてもよい。
【0050】
(システムの動作)
次に、上記構成の画像配信システムの動作について説明する。図4は画像配信システムの動作を説明するフローチャートであって、図4(a)は主動作フロー、図4(b)は配信側処理フロー、図4(c)は受信側処理フローである。
【0051】
図4(a)に示すように、まず撮像装置120によって画像を撮影する(S100)。配信装置200は、撮像装置120から入力された画像を取得する(S120)。次に配信装置200は所定の処理を行って、ネットワーク110を介してデータを配信する(S140)。受信装置300はデータを受信すると、所定の処理を行ってから画像表示装置140に画像を出力する(S160)。画像表示装置140は出力された画像を、利用者に対して観察可能に表示する(S180)。
【0052】
図4(b)に示すように、配信装置200においては個人特定部210、個人認証データベース220において画像から個人を識別し、個人IDとその相対位置を特定する(S142)。次に前景画像を作成し、前景画像そのものと、画像ラベル(相対位置、領域などを含む)を作成する(S144)。次に、前景画像を抜いた背景画像を作成する(S146)。そして前景画像に基づいて画像ラベルと個人IDとを対応づけ(S148)、データ配信部218より背景画像、前景画像、画像ラベル、および個人IDからなるデータを配信する(S150)。
【0053】
図4(c)に示すように、受信装置300においてはデータ受信部310がデータを受信し(S162)、権限情報入力部312より権限情報を取得する(S164)。そして表示画像生成部316の問い合わせに応じて権限認証部314が前景画像の画像ラベルに対する権限情報の認証を行う(S166)。表示画像生成部316は前景画像を適宜背景画像と合成して表示画像を生成し、画像表示装置140に出力する(S168)。
【0054】
上記動作により、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保し、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる特定の人物を観察することを可能とし、かつ警戒すべき人物がいるか否かを判断することができる。
【0055】
[第2実施形態]
本発明にかかる画像配信システムの第2実施形態について説明する。図5は第2実施形態にかかる画像配信システムをの構成を説明する図、図6は公園に複数台の撮像装置120を設置した例を示す図であって、上記第1実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
上記第1実施形態において個人特定部210は、撮像装置120が撮影した画像を処理することにより個人を識別し、かつ背景画像に対する前景画像の相対位置を特定するよう説明した。これに対し本実施形態に示す個人特定部222は、外部機器である識別情報取得装置130を用いて個人を識別し、絶対位置を特定するものである。
【0057】
識別情報取得装置130は、通過する人物を検知するものであるため、電波無線を好適に用いることができる。無線端末としてはICタグ(RF−IDタグ)、PHSや携帯電話などの通信端末などを好適に利用することができる。この場合、識別情報取得装置130は無線受信基地局を用いる。RF−IDタグはパッシブ型であると電波到達距離が1m程度であるが、電池を搭載したアクティブ型であれば電波到達距離が10m程度であるため、公園程度の大きさであれば数カ所に設置することによって観察したいエリアをカバーすることができる。
【0058】
また識別情報取得装置130は、経緯度より定まる無線端末の絶対位置を特定する。識別情報取得装置130による絶対位置の特定については、三点測距を行うことができる。公園などの見通しのよい箇所であれば電波のマルチパスも発生しにくいため、受信電界強度(RSSI)による三点測距も高精度に行うことができる。また識別情報取得装置130とデータを送受信できる携帯端末にGPSを搭載することにより、GPS測位した緯度、経度を識別情報取得装置130へと伝達し、絶対位置を特定することができる。
【0059】
ICタグなどによって取得する絶対位置はエリアに対する位置であり、一方、前景生成部212は背景画像に対する前景画像の相対位置を特定する。ICタグによる絶対位置が対応する相対位置は、カメラの設置条件やカメラパラメータから算出してもよいし、画像中のランドマーク(池やモニュメントなど)を利用して適応的にキャリブレーションを行ってもよい。
【0060】
対応付け部216は、個人特定部222が特定した絶対位置と、監視カメラの設置条件やカメラパラメータとを対比することにより、画像中の相対位置を特定することができる。そして絶対位置に対応する相対位置を含む前景画像を判定し、個人特定部222が特定した個人IDと、前景画像の画像ラベルとを対応づける。前景画像が相対位置を含むか否かの判定は、相対位置が前景画像の領域内にある場合のみならず、前景画像の領域外にある程度の誤差を許容してもよい。領域外の誤差は、無線端末の測位誤差に基づいて設定することができ、さらに、監視カメラの近い位置にある前景画像には誤差を大きく設定し、遠い位置にある前景画像には誤差を小さく設定することができる。
【0061】
また、ICタグによって個人を識別した後に、引き続き撮像装置120の画像によってトラッキングしてもよい。例えば図6に示すように、エリア400(公園)の入口に幅の狭いゲート402を設け、ゲート402に識別情報取得装置130としてのICタグリーダと撮像装置120を設置してもよい。ゲート402の幅を狭くすることにより、これを通過する人と識別情報取得装置130との距離が限られることから、ICタグを確実に検知することができる。また個人を識別した後は画像処理によるトラッキングを行うことにより、常に相対位置を取得することができる。これにより個人の識別が確実になり、かつ識別情報取得装置130の設置数も入口の数だけと極めて少なくすることができる。また人物が画面内にいる間は再度の個人認証および相対位置の特定をする必要がなく、継続して画像の配信を行うに際してシステムの処理負担を軽減することができる。
【0062】
次に、個人認証データベース220は、上記第1実施形態では単一のデータベースであるように説明した。これに対し本実施形態では、個人認証データベース220をコミュニティ内の人物を登録するプライベートデータベース220aと、コミュニティ外の人物を登録するパブリックデータベース220bとから構成している。この2つのデータベースは、データ構造的には同様であるが、アクセス権を異ならせている。これにより、コミュニティに属する人物は秘匿性の高いプライベートデータベースに格納し、外部の人物はパブリックデータベースに対して人物の登録、削除を行うことができる。
【0063】
具体例として、プライベートデータベース220aは、例えばマンションの住人などのようにコミュニティ内の人物だけを登録することとし、その内容の修正変更も住民票などを基準として限定的に行う。一方、パブリックデータベース220bは、ある程度の信頼をおける外部の人間(または法人)に対して開放し、外部から個人の登録、修正、削除を行えることにする。プライベートデータベース220aに登録された個人を登録者、パブリックデータベース220bに登録された個人を準登録者と称する。
【0064】
表示画像生成部316は、表示画像を生成する際に、登録者と準登録者との表示方法を異ならせることができる。例としては、例えばマスク処理またはフィルタ処理の結果としての塗りつぶしや縁取りの色を変えたり、模様を変えたりして視覚的に異ならせることができる。また、外部の人間が特定の企業である場合には、その企業のロゴマークを被せることもできる。
【0065】
さらにパブリックデータベース220bには、頻繁に訪れる部外者を自動登録することができる。部外者は原則として識別できないため、個人特定部210が不図示のデータベースに外観上の特徴を蓄積しておき、一定以上の頻度または回数を訪れた場合に、常連としてパブリックデータベース220bに登録する。部外者であっても頻繁に訪れていながら問題が発生しないのであれば、ある程度は信頼が置ける人物であると推定できるためである。
【0066】
次に、本実施形態にかかる配信装置200には、対応付け部216が出力した前景画像等の情報を暗号化する暗号化部224を備えている。暗号化部224には暗号鍵記憶部226が接続されており、暗号鍵記憶部226には登録された個人ごとにあらかじめ決められた暗号鍵が格納されている。暗号化部224は、個人IDを元に暗号鍵記憶部226から暗号鍵を取得して暗号化を行う。データ配信部218は、暗号化された前景画像等と背景画像とをあわせてデータとして配信する。
【0067】
一方、受信装置300には、権限情報入力部312および権限認証部314に代えて、復号鍵記憶部318が備えられている。復号鍵記憶部318には、その利用者が権限を有する被観察者について割り当てられた復号鍵が格納されている。この場合、復号鍵が権限情報に相当し、復号鍵記憶部318が権限情報入力部に相当する。そして表示画像生成部316は復号鍵記憶部318を参照することにより復号鍵を取得し、復号できた前景画像を背景に合成する。復号できなかった前景画像は権限がないものとして、第1実施形態と同様にマスク処理またはフィルタ処理を行ってから背景に合成する。
【0068】
なお権限情報としての復号鍵は、受信装置300内に備えられた復号鍵記憶部318に格納するばかりではなく、上記第1実施形態と同様に、携帯可能な記憶デバイスに格納して随時読み出し可能としてもよい。これにより、受信装置300に帰属している権限を、より人間(利用者)に帰属させることができる。
【0069】
上記のように構成することにより、ネットワークを傍受した際にも前景画像が漏洩することがなく、さらにプライバシーを保護することができる。
【0070】
(システムの動作)
次に、上記構成の画像配信システムの動作について説明する。図7は画像配信システムの動作を説明するフローチャートである。図4(a)に示した主動作フローは本実施形態でも同様であるため、図示および説明を省略する。
【0071】
図7(a)は配信側処理フローである。個人特定部210は識別情報取得装置130から情報を取得し、個人の識別と絶対位置の特定を行う(S240)。次に、前景画像と画像ラベルを作成し(S144)、背景画像を作成し(S146)、絶対位置に対応する相対位置に基づいて前景画像の画像ラベルと個人IDとを対応づける(S148)。それから、個人IDに基づいて暗号鍵記憶部226を参照し、暗号鍵を取得する(S242)。取得した暗号鍵を用いて、前景画像および画像ラベルを暗号化する(S244)。データ配信部218は、暗号化された前景画像等と背景画像とをあわせてデータとして配信する(S246)。
【0072】
図7(b)は受信側処理フローである。図7(b)に示すように、受信装置300においてはデータ受信部310がデータを受信し(S162)、表示画像生成部316は復号鍵記憶部318より復号鍵を取得する(S264)。そして表示画像生成部316は復号鍵を用いて前景画像を復号し(S266)、復号できた前景画像を背景画像と合成して表示画像を生成し、画像表示装置140に出力する(S268)。
【0073】
上記動作により、監視カメラの画像を配信しながらも映り込む人物のプライバシーを確保し、配信データ量を抑えつつ利用者ごとに異なる特定の人物を観察することを可能とし、かつ警戒すべき人物がいるか否かを判断することができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、上記実施形態においては、画像ラベルに背景画像に対する前景画像の相対位置を含めるよう説明した。しかし画像ラベルに代えて背景画像に前景画像の位置を含めることもできる。同様に、前景画像自体に、背景画像上の位置を含めることもできる。画像に画像以外の情報を埋め込む技術としては既知の技術を用いることができ、例えばメタデータ(画像に付随する付加情報)、電子透かし、特定パターンによるポイント指定などを好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は監視カメラ等によって撮影した画像を配信する画像配信システムに関し、特に各人のプライバシーに配慮した画像配信を行うことのできるシステムとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施形態にかかる画像配信システムの構成を説明する図である。
【図2】公園に複数台の撮像装置を設置した例を示す図である。
【図3】図2に示した公園において前景画像にフィルタ処理を施した例である。
【図4】画像配信システムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】第2実施形態にかかる画像配信システムをの構成を説明する図である。
【図6】公園に複数台の撮像装置120を設置した例を示す図である。
【図7】画像配信システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
100…システム、110…ネットワーク、120…撮像装置、130…識別情報取得装置、140…画像表示装置、200…配信装置、210…個人特定部、212…前景生成部、214…背景生成部、216…対応付け部、218…データ配信部、220…個人認証データベース、220a…プライベートデータベース、220b…パブリックデータベース、222…個人特定部、224…暗号化部、226…暗号鍵記憶部、300…受信装置、310…データ受信部、312…権限情報入力部、314…権限認証部、316…表示画像生成部、318…復号鍵記憶部、400…エリア、402…ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮影する撮像装置と、該撮像装置が撮影した画像に基づくデータを配信する配信装置と、前記データをネットワークを介して受信する受信装置と、該受信装置に接続された画像表示装置とを備え、
前記配信装置は、
前記画像から背景画像を生成する背景生成部と、
前記画像から人物の画像である前景画像と、少なくとも背景画像に対する前景画像の相対位置を含む画像ラベルとを人物ごとに生成する前景生成部と、
画像に映っている人物を個別に識別するための識別情報を格納した個人認証データベースと、
前記個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定する個人特定部と、
前記個人IDと前記画像ラベルとを対応づける対応付け部と、
前記背景画像、前景画像、画像ラベル、および個人IDをデータとして配信するデータ配信部とを有し、
前記受信装置は、
前記データ配信部が配信したデータを受信するデータ受信部と、
前記個人IDが付された特定の人物を観察する権限を示す権限情報を入力する権限情報入力部と、
前記前景画像の個人IDに対して前記権限情報を認証する権限認証部と、
前記背景画像に前記前景画像を合成して前記画像表示装置に出力する表示画像生成部とを有し、
前記表示画像生成部は、
前記権限認証部が認証した個人IDに対応する画像ラベルを有する前景画像を前記背景画像に合成し、
前記個人特定部が識別しており、かつ前記権限認証部が認証していない個人IDについては、当該人物の前景画像を前記背景画像に合成せず、またはマスク処理もしくはフィルタ処理してから合成することを特徴とする画像配信システム。
【請求項2】
前記個人特定部は、
前記前景画像および個人認証データベースを参照して、画像に映っている人物の個人IDを画像認証により特定することを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項3】
前記個人特定部は、
前記画像に映っている可視光タグの光信号を検知し、前記可視光タグの識別子および背景画像に対する相対位置を認識し、前記可視光タグの識別子に基づいて前記個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定し、
前記対応付け部は、
前記可視光タグの背景画像に対する相対位置に基づいて前記個人IDと前記画像ラベルとを対応づけることを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項4】
前記個人特定部は、
前記画像に映っている人物が所有する無線端末を検知し、該無線端末の識別子に基づいて前記個人認証データベースを参照して画像に映っている人物の個人IDを特定し、かつ経緯度より定まる該無線端末の絶対位置を特定し、
前記対応付け部は、
前記絶対位置に対応する相対位置に基づいて前記個人IDと前記画像ラベルとを対応づけることを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項5】
前記背景生成部は人物の写っていない背景画像を生成し、
前記表示画像生成部は前景画像を部分的または全体的に背景画像が透過するよう、マスク処理もしくはフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項6】
前記個人特定部は人物の移動をトラッキング可能であって、所定位置において人物を識別した後に、トラッキングすることによりその相対位置を更新することを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項7】
前記個人特定部は人物の滞留時間を計測可能であって、
前記表示画像生成部は、前記個人特定部が識別していない人物についての前景画像を前記背景画像に合成する際に、滞留時間を視覚的に表すことを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項8】
前記個人認証データベースは、コミュニティの構成員を格納した閉鎖的なプライベートデータベースと、外部の者が編集可能なパブリックデータベースとを有することを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項9】
前記権限認証部は、携帯可能な記憶デバイスから権限情報を読み出して、該権限情報と前記個人IDに対して認証することを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。
【請求項10】
前記配信装置は、さらに前記前景画像を暗号化する暗号化部を備え、
前記権限情報は、前記暗号化された前景画像を復号する復号鍵であることを特徴とする請求項1に記載の画像配信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−225398(P2009−225398A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70649(P2008−70649)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】