説明

異方導電性接着シート及びその製造方法

【課題】本発明は、微細回路の隣接する回路間の絶縁性を損なうことなく、良好な電気的接続性を実現する異方導電性接着シートの提供。
【解決手段】少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁樹脂及び導電性粒子からなる異方導電性接着シートであって、該導電性粒子の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の0〜0.5倍である導電性粒子群Aに該導電性粒子全個数の5〜60%が、同じく1.0〜5倍である導電性粒子群Bに40〜95%が存在し、異方導電性接着シートの片側表面から厚み方向に沿って該導電性粒子の平均粒径の1.5倍以内の領域中に導電性粒子全個数の95%以上が存在し、異方導電性接着シートの厚みが導電性粒子の平均粒径の2倍以上40μm以下であることを特徴とする異方導電性接着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細回路接続性、接続信頼性に優れた異方導電性接着シート、それらを用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、微細回路を接続するための異方導電性接着シートに関して、接続性改良、短絡防止のために、種々の導電性粒子の検討および、異方導電性接着剤構成の検討がなされている。例えば、感光性樹脂を用いて、要部に導電性粒子の密集領域を形成する方法(特許文献1参照)、規則配列した凹部を有する剥離ライナーを用いて、導電性粒子を規則配列させる方法(特許文献2参照)、あるいは、定速で走行するセパレータ上に形成された絶縁性接着剤の表面に導電性粒子を定流量、単分散散布して、二次凝集を抑制した異方導電性フィルムを製造する方法(特許文献3参照)、導電性粒子を含む層と含まない層とを積層し、隣接する回路間の短絡を防止する方法(特許文献4、5参照)等が公知である。
【0003】
しかしながら、接続部分の導電性粒子を確保するため、複数個の導電性粒子の密集領域を形成する等の従来技術においては、多数かつ微細な密集領域を形成する量産性の困難さ及び、接続部分と密集領域を位置合わせすることの困難さのため、実用に至っていない。また、導電性粒子を単分散させる方法、導電性粒子を含む層と含まない層とを積層する方法等により、接続性と絶縁性をバランスさせようという試みは、接続部分の導電性粒子を増すためには、それ以外の本来絶縁部分においても導電性粒子数の増加を生じるため、充分な絶縁性確保と接続性との両立を満足できるものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−121072号公報
【特許文献2】特表2002−519473号公報
【特許文献3】特開2000−149677号公報
【特許文献4】特開平06−45024号公報
【特許文献5】特開2003−49152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、微細回路の隣接する回路間の絶縁性を損なうことなく、良好な電気的接続性を実現する異方導電性接着シート、その製造方法、およびそれを用いた微細接続構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ある特定の粒子間距離を持つ導電性粒子が、ある特定の比率で存在しており、その導電性粒子が異方導電性接着シートのある特定の領域に存在していることを特徴とする異方導電性接着シートを用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
(1)少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁樹脂及び導電性粒子からなる異方導電性接着シートであって、該導電性粒子間の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の0〜0.5倍である導電性粒子Aが導電性粒子全個数の5〜60%を占め、且つ、該導電性粒子間の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の1.0〜5倍である導電性粒子Bが導電性粒子全個数の40〜95%を占め、異方導電性接着シートの片側表面から厚み方向に沿って該導電性粒子の平均粒径の1.5倍以内の領域中に導電性粒子全個数の95%以上が存在し、異方導電性接着シートの厚みが導電性粒子の平均粒径の2倍以上40μm以下であることを特徴とする異方導電性接着シート。
(2)前記導電性粒子群A中に存在する導電性粒子の90%以上が2〜4個の粒子群からなることを特徴とする(1)に記載の異方導電性接着シート。
(3)前記導電性粒子群A中に存在する導電性粒子の50%以上が3個の粒子群からなり、それぞれの粒子の中心が略正三角形を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の異方導電性接着シート。
(4)前記導電性粒子が金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子及び合金粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、その平均粒径が2〜8μmであることを特徴とする請求項(1)〜(3)のいずれか一つに記載の異方導電性接着シート。
(5)2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の高さの凸部を有する粘着層を設けて積層体を形成し、該積層体の上に平均粒径2〜8μmの導電性粒子を付着させて導電性粒子付着フィルムを作製し、該導電性粒子付着フィルムを延伸倍率が1倍以上5倍以下になるように2軸延伸して保持し、2軸延伸して保持した後、少なくとも硬化剤、及び硬化性の絶縁性樹脂を含んでなる接着シートに該導電性粒子を転写する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の異方導電性接着シートの製造方法。
(6)前記積層体が、導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の粒径を有し、粘着剤成分を含有してなるマイクロゲルを粘着剤成分に分散したものを2軸延伸可能なフィルム上に積層することによって得られることを特徴とする(5)に記載の異方導電性接着シートの製造方法。
(7)前記2軸延伸可能なフィルムが長尺のフィルムであり、前記接着シートが長尺の接着シートである(5)又は(6)に記載の異方導電性接着シートの製造方法。
(8)微細接続端子を有する電子回路部品と、それに対応する回路を有する回路基板とを異方導電性接着シートで電気的に接続する方法において、該電子回路基板の接続部分の面積が導電性粒子の平均粒径を直径とする円の面積の100倍から1000倍の範囲にあり、接続端子間の最短距離が平均粒径の4倍以上である電子回路部品であり、該電子回路基板とそれに対応する回路を有する回路基板とを、(1)〜(4)いずれか一つに記載の異方導電性接着シートを用いて電気的に接続することを特徴とする接続方法。
(9)(8)記載の接続方法により接続された微細接続構造体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の異方導電性接着シート及び微細接続構造体は、隣接する接続端子間の良好な絶縁特性を有し、かつ接続した接続端子間の良好な電気的接続性及び接続信頼性を有する。すなわち、狭い粒子間距離の導電性粒子群とその他の単独粒子をある特定の割合で配置させることにより、また異方導電性接着シートの片側表面からある特定の厚み範囲内に導電性粒子を配置することにより、接続部分の導電性粒子個数を確保して接続性を維持しつつ、圧着時の短絡を防止する。接続部分に複数個の導電性粒子からなる導電性粒子密集部分を形成することより、良好な接続信頼性を確保することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明の接続構造体における導電性粒子について説明する。
導電性粒子としては、貴金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子、及び合金粒子の中から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。貴金属被覆された樹脂粒子としては、ポリスチレン、ベンゾグアナミン、ポリメチルメタアクリレート等の球状粒子にニッケル、および金をこの順に被覆したものを用いることが好ましい。
【0010】
接続する微細接続端子(バンプ)硬度に応じて、より柔軟な樹脂粒子を用いて貴金属被覆された樹脂粒子を形成することができる。
接続するバンプ硬度がビッカース硬度で50Hv未満である場合は、ポリメタアクリレート樹脂等の柔軟な樹脂粒子を用いることが好ましい。また、バンプ硬度が50Hv以上である場合は、ベンゾグアナミン樹脂等の硬質樹脂粒子を用いることが好ましい。
【0011】
貴金属被覆された金属粒子としては、ニッケル、銅等の金属粒子に金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を最外層に被覆したものを用いることが好ましい。被覆する方法としては、蒸着法、スパッタリング法等の薄膜形成法、乾式ブレンド法によるコーティング法、無電解めっき法、電解めっき法等の湿式法を用いることができる。量産性の点から、無電解めっき法が好ましい。
【0012】
金属粒子としては、銀、銅、ニッケル等の金属から選ばれるものを用いることが好ましい。合金粒子としては、融点が150℃以上500℃以下のものが好ましく、さらには150℃以上350℃以下の低融点合金粒子を用いることがより好ましい。融点が500℃以下であると、接続端子間に金属結合を形成することも可能であり、接続信頼性の点から好ましい。また、耐熱接続信頼性の観点から、融点が150℃以上であることが好ましい。
【0013】
貴金属被覆された合金粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、亜鉛、ビスマス、インジウム等から選ばれた2種以上からなる合金粒子に上記方法等を用いて貴金属被覆したものを用いることができる。
【0014】
合金粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、亜鉛、ビスマス、インジウム等から選ばれた2種以上からなる合金粒子が好ましい。融点が150℃以上500℃以下の合金粒子を用いる場合は、予め粒子表面にフラックス等を被覆しておくことが好ましい。いわゆるフラックスを用いることにより、表面の酸化物等を取り除くことができ好ましい。フラックスとしては、アビエチン酸等の脂肪酸等を用いることができる。
【0015】
導電性粒子の平均粒径と最大粒径の比は2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。該導電性粒子の粒度分布はより狭いほうが好ましく、該導電性粒子の粒径分布の幾何標準偏差は、1.2〜2.5であることが好ましく、1.2〜1.4であることが特に好ましい。幾何標準偏差が上記値であると粒径のバラツキが小さくなる。通常、接続する2端子間に一定のギャップが存在する場合には、粒径が揃っているほど、導電性粒子が有効に機能すると考えられる。
【0016】
粒度分布の幾何標準偏差とは、粒度分布のσ値(累積84.13%の粒径値)を累積50%の粒径値で除した値である。粒度分布のグラフの横軸に粒径(対数)を設定し、縦軸に累積値(%、累積個数比、対数)を設定すると粒径分布はほぼ直線になり、粒径分布は対数正規分布に従う。累積値とは全粒子数に対して、ある粒径以下の粒子の個数比を示したもので、%で表す。粒径分布のシャープさはσ(累積84.13%の粒径値)と平均粒径(累積50%の粒径値)の比で表現される。σ値は実測値あるいは、前述グラフのプロット値からの読み取り値である。
【0017】
平均粒径及び粒度分布は、公知の方法、装置を用いて測定することができ、湿式粒度分布計、レーザー式粒度分布計等を用いることができる。あるいは、電子顕微鏡等で粒子を観察し、平均粒径、粒度分布を算出しても構わない。本発明の平均粒径及び粒度分布はレーザー式粒度分布計により求めることが出来る。
【0018】
導電性粒子の平均粒径は2〜8μmであることが好ましく、2〜5μmであることがさらに好ましい。絶縁性の観点から8μm以下が好ましく、接続端子等の高さバラツキ等の影響を受けにくく、また、電気的接続性の観点から2μm以上が好ましい。
【0019】
本願明細書においては、導電性粒子を次の3つに分けている。
(1)粒子A:導電性粒子間の最も狭い粒子間距離が平均粒径の0〜0.5倍である導電性粒子
(2)粒子B:導電性粒子同士の最も狭い粒子間距離が平均粒径の1〜5倍である導電性粒子
(3)その他の粒子:上記粒子A及び粒子Bのいずれでもない導電性粒子
本発明においては、導電性粒子の最も狭い粒子間距離が平均粒径の0〜0.5倍である粒子Aが導電性粒子全個数の5〜60%であり、最も狭い粒子間距離が平均粒径の1〜5倍である粒子Bが導電性粒子全個数の40〜95%である。絶縁性の観点から、粒子Aの最も狭い粒子間距離は、0.01倍以上であることが好ましく、接続性の観点から0.5倍以下であることが好ましく、0.3倍以下であることがより好ましい。また、絶縁性の観点から、粒子Aの90%以上好ましくは100%が、2〜4個の粒子群からなることが好ましい。また、絶縁性、接続性のバランスから、粒子Aの50%以上が3個からなる粒子群であり、かつ、それぞれの中心が略正三角形を形成していることが好ましい。粒子Aの割合を導電性粒子全個数の5〜60%としたのは、接続性の観点から5%以上が好ましく、絶縁性の観点から60%以下が好ましいからである。また、接続性及び絶縁性のバランスから、10〜40%であることがより好ましい。
上記の(3)その他の粒子の割合は、導電性粒子全個数の0〜20%であることが好ましく、より好ましくは、0〜5%である。その他の粒子の導電性粒子間の最も狭い粒子間隔は平均粒径の0.5〜1.0倍であることが好ましく、0.8〜1.0倍であることがより好ましい。
【0020】
単独に存在する粒子である粒子Bの最も狭い粒子間距離は、導電性粒子の平均粒径の1〜5倍であるが、絶縁性の観点から1倍以上であることが好ましく、接続性の観点から5倍以下であることが好ましい。粒子Bの割合は40〜95%であるが、絶縁性の観点から40%以上であることが好ましく、接続性の観点から95%以下であることが好ましい。粒子B同士の粒子間距離の平均値である平均粒子間距離のバラツキは小さい方が好ましく、それらの標準偏差が平均粒子間距離の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
本発明において導電性粒子の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の1.0〜5倍である導電性粒子」を「単独粒子」又は「単独に存在する粒子」ということがある。
【0021】
本発明における粒子A、粒子Bの割合は以下のようにして求められる。
まず、本発明の異方導電性接着シートを、導電性粒子が存在する面側から光学顕微鏡で拡大した写真を撮影する。次に、写真の視野内において300個の導電性粒子を含む任意のエリアを選定し、そのなかのそれぞれの導電性粒子について粒子A(最も狭い粒子間距離が平均粒径の0〜0.5倍)、粒子B(最も狭い粒子間距離が平均粒径の1〜5倍)について、それぞれの個数を測定する。
【0022】
次いで本発明の異方導電性接着シートについて説明する。
本発明の異方導電性接着シートは、導電性粒子全個数の95%以上、より好ましくは100%が、導電性接着シートの片側表面から厚み方向に沿って該導電性粒子の平均粒径1.5倍以内の領域中に存在していることが好ましい。本発明の異方導電性接着シートにおいて、該異方導電性接着シートの厚み方向に対して、導電性粒子の存在している位置は、焦点方向の変位を測定できるレーザー顕微鏡により測定することができる。またこのとき同時に、導電性粒子が他の導電性粒子と接触せずに存在している個数を測定することもできる。前記レーザー顕微鏡を用いて焦点方向の変位を測定する場合、その変位測定分解能は0.05μm以下であることが好ましく、0.01μm以下であることが特に好ましい。
本発明の異方導電性接着シートは、少なくとも硬化剤及び硬化性の絶縁樹脂からなる接着シートに導電性粒子を配して埋め込む構造をとることが好ましい。
【0023】
異方導電性接着シートの膜厚は、該導電性粒子の平均粒径の2倍以上40μm以下であることが好ましく、3倍以上30μm以下の範囲であることがより好ましい。接続時の樹脂流動による凝集等の観点から2倍以上であることが好ましく、40μm以下の場合は、樹脂流動による接続部分の導電性粒子流れの影響を受け難く好ましい。
【0024】
本発明の異方導電性接着シートを例示する。
該異方導電性接着シート用いる硬化性の絶縁性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、光及び熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができる。取り扱いの容易さから、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができるが、エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0025】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、脂環式エポキシ基を有する化合物、分子内の二重結合をエポキシ化した化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂あるいは、それらの変性エポキシ樹脂を用いることができる。
【0026】
本発明に用いる硬化剤は、前記硬化性の絶縁性樹脂を硬化できるものであればよい。硬化性の絶縁性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、100℃以上で熱硬化性樹脂と反応し、硬化できるものが好ましい。エポキシ樹脂の場合は、保存性の点から、潜在性硬化剤であることが好ましく、例えば、イミダゾール系硬化剤、カプセル型イミダゾール系硬化剤、カチオン系硬化剤、ラジカル系硬化剤、ルイス酸系硬化剤、アミンイミド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等を用いることができる。保存性、低温反応性の点から、カプセル型のイミダゾール系硬化剤が好ましい。
【0027】
該異方導電性接着シートには、硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂以外に、熱可塑性樹脂等を配合しても構わない。熱可塑性樹脂を配合することにより、容易にシート状に形成することが出来る。この場合の配合量は、硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂を合わせた成分100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることが特に好ましい。
【0028】
本発明の硬化性の絶縁性樹脂に配合できる熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキル化セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等であり、それらから選ばれる1種または2種以上の樹脂を組み合わせても差し支えない。これらの樹脂の中、水酸基、カルボキシル基等の極性基を有する樹脂は、接着強度の点から好ましい。また、熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂を1種以上含むことが好ましい。
【0029】
本発明の異方導電性接着シートには、上記構成成分に添加剤を配合しても差し支えない。異方導電性接着シートと被着物との密着性を向上させるために、添加剤として、カップリング剤を配合することができる。該カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤等を用いることができるが、シランカップリング剤が好ましい。該シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等を用いることができる。
【0030】
該カップリング剤の配合量は硬化剤および硬化性の絶縁性樹脂を合わせた成分100質量部に対して、0.01質量部から1質量部が好ましい。密着性向上の観点から0.01質量部以上が好ましく、信頼性の観点から1質量部以下が好ましい。
異方導電性接着シートの厚みは10μm以上、40μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。機械的接続強度の観点から10μm以上が好ましく、接続時の粒子流動による接続粒子数減少を防止する観点から30μm以下であることが好ましい。
【0031】
次に、本発明における異方導電性接着シートの製造方法について例示する。
該異方導電性接着シートの製造方法としては、2軸延伸可能なフィルム又はシート上に、導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の高さの凸部を有する粘着層を形成し、その上に導電性粒子を単層配列し、それらを延伸することにより、該導電性粒子を分散配列させ、延伸した状態を保った状態で導電性粒子を少なくとも硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂からなる接着シートに転写させることが好ましい。凸部に接着した導電性粒子は延伸した場合でも、粒子間距離が広がりにくいため、好ましい。凸部の高さは、導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の高さが好ましいが、0.2倍から2倍の高さがより好ましく、更に好ましくは、0.4倍から1倍である。粘着層に所定の凸部を形成する方法としては公知の方法を用いることができる。
【0032】
導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の高さの凸部を有する粘着層と2軸延伸可能なフィルムの積層体を形成する方法としては、凸部として導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の粒径を有する粘着剤成分のマイクロゲルを粘着剤成分中に分散し、それを、2軸延伸可能なフィルム上に塗布することにより粘着層を形成することが好ましい。マイクロゲルの場合、マイクロゲルが柔軟であるため、それらからなる凸部に接着した導電性粒子は、2軸延伸後の粒子間距離が広がり難く、また、2軸延伸によっても高さの影響を受け難いため、好ましい。マイクロゲルの大きさは、導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍が好ましいが、0.2倍から2倍がより好ましく、更に好ましくは、0.4倍から1倍である。マイクロゲルにより形成された凸部の個数としては、粘着層に導電性粒子を最密充填した場合の個数(導電性粒子の平均粒径よりの計算値)の0.5〜30%の個数であることが好ましく、より好ましくは1〜20%の個数であり、更に好ましくは、2〜15%の個数である。それらの間隔は導電性粒子の平均粒径の2倍以上離れていることが好ましい。凸部を形成する方法としては、マイクロゲル分散液の濃度を調整して塗布することにより作製することができる。
該マイクロゲルを分散する方法としては、粘着剤溶液に粘着剤が溶けにくい溶剤を加えて懸濁溶液を作製し、それらをフィルターにかけて所定の大きさのマイクロゲル含有溶液とする方法、あるいは、該懸濁液を遠心分離により、所定の大きさのマイクロゲル含有溶液とする方法等を用いることができる。また、粘着剤溶液に不溶な微粒子を混合する方法、2軸延伸可能なフィルム中に微粒子を添加し、凸部を形成し、その上に粘着層を形成する方法等を用いることも可能である。
【0033】
2軸延伸可能なフィルムとしては、公知の樹脂フィルム等を用いることができるが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の単独あるいは共重合体等、又は、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴムシート等の柔軟で延伸可能な樹脂フィルムを用いることが好ましい。ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましい。延伸後の収縮率は10%以下であることが好ましい。粘着層として、少なくとも硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂からなる接着シートを用いる場合は、より低温で延伸することが好ましいため、ポリエチレン樹脂、シリコーンゴム等を用いることが好ましい。この場合は、前記接着シートの転写を容易にするため、予めフィルム上に剥離処理を施すことが好ましい。
【0034】
2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子を単層配列し、固定する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、少なくとも熱可塑性樹脂を含む粘着層を該2軸延伸可能なフィルム上に形成し、その上に導電性粒子を接触させて付着させ、ゴムロール等で荷重をかけて単層で配列する方法を採ることができる。この場合、隙間無く充填するためには、付着−ロール操作を数回繰り返す方法が好ましい。球状の導電性粒子の場合、最密充填が最も安定した構造なので比較的容易に充填することができる。あるいは、該2軸延伸可能なフィルム上に粘着剤を塗布して接着層を形成し、その上に導電性粒子を付着させ、必要なら数回付着を繰り返し、単層で配列させる方法等を用いることができる。
【0035】
導電性粒子を単層配列させた2軸延伸可能なフィルムを延伸させる方法としては、公知の方法を用いることができるが、均一分散配列という点から、2軸延伸装置を用いることが好ましい。粒子間隔の点から延伸度合いは、50%以上、500%以下であることが好ましく、100%以上、300%以下であることがより好ましい。なお、100%延伸するとは、延伸方向に沿って延伸した部分の長さが延伸前の長さの100%であることを言う。延伸方向は、任意であるが、延伸角度が90°の2軸延伸が好ましく、同時延伸が好ましい。2軸延伸の場合、各方向の延伸度合いは同じであっても異なっていても構わない。
2軸延伸装置としては、同時2軸連続延伸装置が好ましい。
【0036】
同時2軸連続延伸装置としては、公知のものを使用することができるが、長辺側をチャック金具で固定し、それらの間隔を縦横同時に延伸することにより連続延伸するテンター型延伸機が好ましい。延伸度を調整する方式としては、スクリュー方式、パンタグラフ方式を用いることが可能だが、調整の精度の観点から、パンタグラフ方式がより好ましい。加熱しながら延伸する場合は、延伸部分の手前に予熱ゾーンを設けて、延伸部分の後方に熱固定ゾーンを設けることが好ましい。
【0037】
粘着層に使用する粘着剤は、公知のものを使用することができるが、加熱しながら2軸延伸する場合は、非熱架橋性の粘着剤を用いることが好ましい。具体的には、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、合成樹脂エマルジョン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体粘着剤等を単独で、又は組み合わせて用いることができる。延伸前の導電性粒子保持性、延伸時の導電性粒子分散の均一性、延伸後の導電性粒子の転写性の観点から、天然ゴム系粘着剤をアクリレートでグラフト重合した粘着剤が特に好ましい。さらに、加熱延伸時の均一性の点から、延伸前に延伸温度以下で1分間から5分間加熱処理することが好ましい。
【0038】
粘着層の厚みは、使用する導電性粒子の平均粒径の1/50から3倍の範囲が好ましく、1/10から2倍の範囲がより好ましい。導電性粒子付着時及び延伸時に導電性粒子を保持する観点から、粘着層の厚みは該導電性粒子の平均粒径の1/50以上が好ましく、延伸後の接着シートへの粒子転写の観点から3倍以下が好ましい。粘着層形成方法としては、溶剤又は水に分散又は溶解したものを、グラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、スプレーコート等の公知の方法で塗布し、乾燥する方法を用いることができる。
【0039】
該導電性粒子を粘着層に塗布するにあたっては、ほぼ隙間無く単層で配列すること(密集充填)が好ましい。密集充填する方法としては、前述の、2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子を分散配列し、固定する方法を用いることができる。なお、密集充填とは、充填された粒子間の平均粒子間隔が、平均粒径の1/2以下であるように充填することをいうものとする。より好ましくは、充填された粒子間の平均粒子間隔が、平均粒径の1/5以下である。
【0040】
2軸延伸後のフィルムの膜厚は、転写する接着性シート及び接着性シートのベースフィルムの膜厚を合計した厚みの1/10から1倍であることが好ましく、1/5から1/2であることが特に好ましい。延伸後フィルムのハンドリング性の観点から、1/10以上であることが好ましく、延伸後の接着性フィルムへの粒子転写の観点から1倍以下であることが好ましい。
【0041】
本発明の接続構造体を構成する電子回路部品としては、液晶ディスプレイ機器、プラズマディスプレイ機器、エレクトロルミネッセンスディスプレイ機器等の表示機器の配線板接続用途および、それら機器のLSI等の電子部品実装用途、その他の機器の配線基板接続部分、LSI等の電子部品実装用途に使用することができる。上記表示機器の中でも、信頼性を必要とされるプラズマディスプレイ機器、エレクトロルミネッセンスディスプレイ機器に用いるのが好ましい。
次に、実施例および比較例によって本発明を説明する。
【実施例】
【0042】
(接続構造体作製方法)
縦横が1.6mm×15.1mmのシリコン片(厚み0.5mm)全面に酸化膜を形成後、外辺部から40μm内側に横77μm、縦80μmのアルミ薄膜(1000Å)をそれぞれが23μm間隔になるように長辺側に各々140個、短辺側に各々14個形成する。さらに、その30μm内側に同じパターンで隙間とアルミ薄膜の位置が前記パターンと25μmずれた位置になるように同様なアルミ薄膜を形成する。それらアルミ薄膜上に25μm間隔になるように横25μm、縦60μmの金バンプ(厚み15μm)をそれぞれ2個ずつ形成するために、それぞれの金バンプ配置個所の外周部から7.5μm内側に横10μm、縦40μmの開口部を残す以外の部分に酸化ケイ素の保護膜を常法により前記開口部以外の全面に形成する。その後、前記金バンプを形成し、試験チップとする。
厚み0.7mmの無アルカリガラス上に前記外側アルミ薄膜上の金バンプが隣接するアルミ薄膜上の金バンプと対になる位置関係で接続されるようにインジウムスズ酸化物膜(1500Å)の接続パッド(横77μm、縦60μm)を形成する。20個の金バンプが接続される毎に前記接続パッドにインジウムスズ酸化物薄膜の引き出し配線を形成する(この引き出し配線が接続抵抗測定部分となる。)。
【0043】
また、別の辺に前記外側のアルミ薄膜上の金バンプがそれぞれ接続されるような位置関係にインジウムスズ酸化物膜(1500Å)の接続パッド(横25μm、縦60μm)を形成する。前記接続パッドから各々引き出し配線(幅15μm、インジウムスズ酸化物膜)を内側の対応する位置のバンプの間を通して形成し、10バンプ分を接続できるようにインジウムスズ酸化物薄膜の接続配線を形成して接続する。さらに内側の10バンプ分をそれらと対になるように同様にして接続パッドを形成し、外側バンプ間を通して接続配線を形成して、櫛型パターンを形成する。それぞれの接続配線にインジウム錫酸化物薄膜の引出し配線を形成する(この引き出し配線が絶縁抵抗測定部分となる。)。
それぞれの引出し配線上はアルミニウム−チタン薄膜(チタン1%、3000Å)を形成し、前記接続パッド部分を除き、チップ下部になる部分全体に酸化ケイ素の絶縁薄膜(500Å)を形成する。
【0044】
前記接続基板上に、前記接続パッドがすべて覆われるように、幅2mm、長さ17mmの異方導電性接着シートの該導電性粒子の存在する側を仮張りし、2.5mm幅の圧着ヘッドを用いて、80℃、0.3MPa、3秒間加圧した後、ポリエチレンテレフタレートのベースフィルムを剥離する。そこへ、前記接続パッドと金バンプの位置が合うように試験チップを載せ、200℃で10秒間、2.0MPa加圧圧着する。圧着後、前記引出し配線間(金バンプ20個のデイジーチェイン)の抵抗値を四端子法の抵抗計で抵抗測定し、接続抵抗値とする。
【0045】
この接続構造体を−40℃(30分)、80℃(30分)を1サイクルとする冷熱サイクル試験にかけ、250サイクル後に取り出し、25℃で1時間後に接続抵抗値を測定し、初期の接続抵抗値の2倍未満の場合を○、2倍以上の場合を×とする。
また、同様にして接続構造体をもう一つ作製し、対になった引き出し配線間の抵抗測定し、絶縁抵抗値とする。
この絶縁抵抗試験基板を80℃、85%相対湿度中に保持しながら、定電圧定電流電源を用いて、対になる引き出し配線間に25Vの直流電圧を印加する。この配線間の絶縁抵抗を5分間毎に測定し、絶縁抵抗値が10MΩ以下になるまでの時間を測定し、その値を絶縁低下時間とする。この絶縁低下時間が240時間未満の場合を×、240時間以上の場合を○とする。
【0046】
[実施例1]
フェノキシ樹脂(ガラス転移温度98℃、数平均分子量14000)37g、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量136、半固形)34g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.06gを酢酸エチル−トルエンの混合溶剤(混合比1:1)に溶解し、固形分50%溶液とする。マイクロカプセル型潜在性イミダゾール硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(マイクロカプセルの平均粒径5μm、活性温度125℃)29g、前記固形分50%溶液に配合分散させる。その後、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、60℃で15分間送風乾燥し、膜厚20μmのフィルム状の接着シートを得た。
【0047】
天然ゴム−メチルメタアクリレートのグラフト共重合体粘着剤10g、トルエン180gの粘着剤溶液にメタノール10gを加えて粘着剤懸濁液を作製し、その後5μmのフィルターを通して、粘着剤塗布液を作製した。
厚さ100μmの無延伸ポリプロピレンフィルム上に、前記粘着剤塗布液をコートし、60℃、20分間加熱乾燥して厚み3μmの粘着剤積層体フィルムを作成した。粘着剤積層体表面の一部を電子顕微鏡観察したところ、最大2μmの凸部が形成されていた。この粘着剤積層体フィルムに平均粒径3.0μmの金めっきプラスチック粒子(導電性粒子)をほぼ隙間無く単層塗布した。すなわち、該導電性粒子を該フィルム幅より大きい容器内に数層以上の厚みになるよう敷き詰めたものを用意し、該導電性粒子に対して粘着剤の塗布面を下向きにして押し付けて付着させ、その後過剰な粒子を軟質ゴムからなるスクレバーで掻き落とした。
この操作を2回繰り返すことにより、隙間無く単層塗布した導電性粒子付着フィルムを得た。この導電性粒子付着フィルムを乾燥機中で、100℃、3分間加熱処理した。
【0048】
このフィルムを2軸延伸装置(東洋精機製X6H−S、パンタグラフ方式のコーナーストレッチ型の2軸延伸装置)を用いて縦横にそれぞれ10個のチャックを用いて固定し130℃、120秒間予熱し、その後10%/秒の速度で100%延伸して固定した。その後、この延伸フィルムに前記接着シートをラミネートした後、剥離し、膜厚20μmの異方導電性接着シートを得た。
【0049】
レーザー顕微鏡観察の結果、導電性粒子300個のうち最も狭い粒子間距離が0〜1.5μの範囲にある粒子数は97個(32.3%)であり、そのうち、2個の粒子群が15組、30個、粒子中心が略正三角形を形成している3個粒子群が21組、63個、4個の粒子群が1組、4個であった。それ以外の粒子は最も狭い粒子間距離が3〜15μmの範囲にある単独粒子であった。(67.6%)
また、導電性粒子100個のうち100%が異方導電性接着シート表面から4.5μmの範囲内に存在していた。
【0050】
[実施例2]
天然ゴム−メチルメタアクリレートのグラフト共重合体粘着剤10g、トルエン185gの粘着剤溶液にメタノール4g、アセトン1gを加えて粘着剤懸濁液を作製し、その後5μmのフィルターを通して、粘着剤塗布液を作製した。
厚さ100μmの無延伸ポリプロピレンフィルム上に、前記粘着剤塗布液をコートし、60℃、20分間加熱乾燥して厚み3μmの粘着剤積層体フィルムを作成した。粘着剤積層体表面の一部を電子顕微鏡観察したところ、最大0.5μmの凸部が形成されていた。
上記粘着剤積層体フィルムを用いる以外は実施例1と同様にして、膜厚20μmの異方導電性接着シートを作製した。
【0051】
レーザー顕微鏡観察の結果、導電性粒子300個のうち最も狭い粒子間距離が0〜1.5μの範囲にある粒子数は111個(37%)であり、そのうち、2個の粒子群が6組、12個、粒子中心が略正三角形を形成している3個粒子群が33組、99個であった。それ以外の粒子は最も狭い粒子間距離が3〜15μmの範囲にある単独粒子であった。(63%)
また、導電性粒子100個のうち100%が異方導電性接着シート表面から4.5μmの範囲内に存在していた。
【0052】
[比較例1]
ポリエチレン製の袋内に3μmの金めっきプラスチック粒子3gを入れ、5分間振とうした後、接地したステンレス板上に、10cm上方より、ばら撒いた。その後、実施例1と同様にして、接着シートにラミネートして、膜厚20μmの異方導電性接着シートを作製した。
レーザー顕微鏡観察の結果、導電性粒子300個のうち最も狭い粒子間距離が0〜1.5μの範囲にある粒子数は14個(4.6%)であり、そのうち、3個粒子群が1組、3個、5個粒子群が1組、5個、6個粒子群が1組、6個であった。最も狭い粒子間距離が3〜15μmの範囲にある粒子は236個(78.7%)であり、その他の粒子は最も狭い粒子間距離が15μmを越えていた。50個(16.7%)
また、導電性粒子100個のうち100%が異方導電性接着シート表面から4.5μmの範囲内に存在していた。
このようにして得た異方導電性接着シートを用いて、200℃の接続温度で前記接続抵抗値測定法と同様にして、圧着して接続構造体を得た。
実施例及び比較例の接続構造体の接続抵抗値及び絶縁試験結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明の異方導電性接着シートは、非常に優れた絶縁信頼性、接続信頼性を示す。
【0053】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の接続構造体は、低接続抵抗、高絶縁信頼性を示し、微細回路接続が求められる高精細なディスプレイ装置等の接続構造体として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁樹脂及び導電性粒子からなる異方導電性接着シートであって、該導電性粒子間の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の0〜0.5倍である導電性粒子Aが導電性粒子全個数の5〜60%を占め、且つ、該導電性粒子間の最も狭い粒子間距離が導電性粒子の平均粒径の1.0〜5倍である導電性粒子Bが導電性粒子全個数の40〜95%を占め、異方導電性接着シートの片側表面から厚み方向に沿って該導電性粒子の平均粒径の1.5倍以内の領域中に導電性粒子全個数の95%以上が存在し、異方導電性接着シートの厚みが導電性粒子の平均粒径の2倍以上40μm以下であることを特徴とする異方導電性接着シート。
【請求項2】
前記導電性粒子群A中に存在する導電性粒子の90%以上が2〜4個の粒子群からなることを特徴とする請求項1に記載の異方導電性接着シート。
【請求項3】
前記導電性粒子群A中に存在する導電性粒子の50%以上が3個の粒子群からなり、それぞれの粒子の中心が略正三角形を形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の異方導電性接着シート。
【請求項4】
前記導電性粒子が金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子及び合金粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、その平均粒径が2〜8μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の異方導電性接着シート。
【請求項5】
2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の高さの凸部を有する粘着層を設けて積層体を形成し、該積層体の上に平均粒径2〜8μmの導電性粒子を付着させて導電性粒子付着フィルムを作製し、該導電性粒子付着フィルムを延伸倍率が1倍以上5倍以下になるように2軸延伸して保持し、2軸延伸して保持した後、少なくとも硬化剤、及び硬化性の絶縁性樹脂を含んでなる接着シートに該導電性粒子を転写する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の異方導電性接着シートの製造方法。
【請求項6】
前記積層体が、導電性粒子の平均粒径の0.1倍から3倍の粒径を有し、粘着剤成分を含有してなるマイクロゲルを粘着剤成分に分散したものを2軸延伸可能なフィルム上に積層することによって得られることを特徴とする請求項5に記載の異方導電性接着シートの製造方法。
【請求項7】
前記2軸延伸可能なフィルムが長尺のフィルムであり、前記接着シートが長尺の接着シートである請求項5又は6に記載の異方導電性接着シートの製造方法。
【請求項8】
微細接続端子を有する電子回路部品と、それに対応する回路を有する回路基板とを異方導電性接着シートで電気的に接続する方法において、該電子回路基板の接続部分の面積が導電性粒子の平均粒径を直径とする円の面積の100倍から1000倍の範囲にあり、接続端子間の最短距離が平均粒径の4倍以上である電子回路部品であり、該電子回路基板とそれに対応する回路を有する回路基板とを、請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方導電性接着シートを用いて電気的に接続することを特徴とする接続方法。
【請求項9】
請求項8記載の接続方法により接続された微細接続構造体。

【公開番号】特開2007−224112(P2007−224112A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44970(P2006−44970)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】