説明

発光ダイオードを利用したLCDバックライトユニット

【課題】発光ダイオードを利用したLCDバックライトユニットを提供する。
【解決手段】LCDバックライトユニットは、青色光源40、赤色光源20及び緑色光源30を備え、緑色光源は、UV発光ダイオードと、UV発光ダイオードからの光により励起される緑色蛍光体とを備え、緑色光源LEDの発光効率を向上させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を利用したLCDバックライトユニットに係り、特に発光効率が向上した緑色光源を利用したLCDバックライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)は、平板パネルの中でも軽くて消費電力の少ないという長所を有するが、それ自体が発光して画像を形成するものではなく、外部から入射された光で画像を形成する受光形の表示装置であるので、暗い所では画像を見ることができないという問題点がある。かかる問題点を解決するために、LCDの背面には、バックライト装置が設置される。
【0003】
従来のバックライト装置である冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)は、ガス放電による特性ピーク波長が固定されており、ノイズ波長が存在して色純度が低い。
【0004】
CCFLを代替するLEDを利用したバックライトは、発光波長及び半値幅の調節が可能であり、色純度が非常に高く、色表現力が優秀であることが要求されるので、LCD用のバックライトとして研究されている。
【0005】
図1は、LEDのピーク波長による内部量子効率及び抽出効率を示すグラフである。全波長帯域で抽出効率に大きな差はないが、500〜600nm緑色波長の内部量子効率が10%レベルと非常に低いので、LEDの三色光源を利用するLCDバックライトにおいて、赤色波長及び青色波長の光源より多い、例えば2倍の緑色波長光源を使用しなければならず、消費電力及び製造コストが増加する。
【0006】
一方、LEDは、バンドギャップから光が放出され、バンドギャップは温度及び電流の関数で表されるので、LEDの温度及び電流の変化によって発光波長のピークが異なり、したがって発光色が不安定になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであって、緑色光源LEDの発光効率を向上させたLCDバックライトユニットを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、色座標が安定した可視光を発光するLED光源を備えたLCDバックライトユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明のLEDを利用したLCDバックライトユニットは、青色光源、赤色光源及び緑色光源を備え、前記緑色光源は、第1UV(ultraviolet)LED(発光ダイオード)と、前記第1UV LEDからの光により励起される緑色蛍光体と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記青色光源、赤色光源、緑色光源は、実質的に同じ割合で設置され、前記青色光源、赤色光源、緑色光源にそれぞれ入力される電流は、実質的に同一である。
【0011】
本発明によれば、前記緑色蛍光体は、ZnS、(BaSr)SiO、LaPO、BaMgAl1017からなるグループのうち選択されたいずれか一つの母体にアクティベータを添加する。
【0012】
前記緑色光源は、パッケージングフレーム上に位置し、前記緑色光源と前記パッケージングフレームとの間には、シリコンサブマウントがさらに配置されうる。
【0013】
本発明の一局面によれば、前記第1UV LEDと前記緑色蛍光体との間には、前記第1UV LEDを取り囲む凸状のシリコン樹脂が形成され、前記緑色蛍光体は、前記シリコン樹脂上に形成される。
【0014】
本発明の他の局面によれば、前記緑色蛍光体は、シリコン樹脂に混入されて前記第1UV LEDを取り囲む凸状である。
【0015】
前記青色光源は、第2UV LEDと、前記第2UV LEDからの光により励起される青色蛍光体と、を備える。
【0016】
前記赤色光源は、第3UV LEDと、前記第3UV LEDからの光により励起される赤色蛍光体と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるLEDを利用したLCDバックライトユニットによれば、UV LEDにより緑色光を放出するので、発光効率を向上させ、したがってLCDバックライトユニットに使われる緑色光源の数を減らし、消費電力も低下させうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、下記に例示される実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を当業者に十分に説明するために提供されるものである。以下の図面で、同じ参照符号は同じ構成要素を指称し、図面上で各構成要素の大きさは、説明の明瞭性及び便宜上誇張されうる。
【0019】
図2は、本発明によるLCDバックライトユニットの一実施形態を示す図面である。
【0020】
図2に示すように、基板10上に(PCB(Printed Circuit Board):プリント回路基板)12が配置されており、PCB12上にそれぞれ複数の赤色光源20、緑色光源30、青色光源40が配置されている。それらの赤色光源20、緑色光源30、青色光源40は、実質的に同じ割合で設置される。また、赤色光源20、緑色光源30、青色光源40にそれぞれ入力される電流は、実質的に同一である。
【0021】
これは、従来の技術で、赤色及び青色光源に対して2〜3倍の緑色光源を使用することと比較して、バックライトユニットの製造コスト及び消費電力を低下させうる。前記光源からの三色光は、導光板50で互いに均一に混合されて白色光に転換されて、拡散板60を通じてLCDパネル(図示せず)に入射される。前記光源20,30,40、導光板50、拡散板60などの配置は多様に具現され、詳細な説明は省略する。
【0022】
図3は、本発明の緑色光源の構造を概略的に示す断面図である。緑色光源30は、パッケージングフレーム31の底部に配置されたシリコンサブマウント32、UV(紫外線)LED33、サブマウント32上でUV LED33を取り囲むシリコン樹脂34、及び前記シリコン樹脂34上に塗布された緑色蛍光物質35を備える。UV LED33は、InGaAlN活性層(図示せず)を備え、200〜430nmのピーク波長の光を放出する。前記シリコンサブマウント32は、UV LED33からの熱を外部に容易に放出する。前記シリコン樹脂34は、表面張力によって前記UV LED33上に凸状に形成されて、その上に形成される緑色蛍光物質35の形状を凸状にする。かかる凸状の緑色蛍光物質35は、均一な発光を助長する。
【0023】
前記緑色蛍光物質35は、UV LED33から発光された紫外線により励起されて、500nm〜550nm範囲の波長を有する光を放出する蛍光物質が使われる。かかる蛍光物質としては、ZnS:Cu,Al,(BaSr)SiO:EuM(M:Ho,Er,CeまたはY),LaPO:Eu,BaMgAl1017:Euなどが使われうる。かかる緑色蛍光物質35を使用すれば、光転換効率が45〜50%ほどであり、したがって、図1のUV LED33の65%内部量子効率と乗ずれば、ほぼ30%の発光効率が得られる。したがって、UV LED33及び緑色蛍光物質35を使用する一つの緑色光源30は、従来の2〜3個の緑色LEDと同程度の発光効率を有する。
【0024】
図4は、本発明の緑色光源に注入される電流による光量の変化を示すグラフである。UV LEDに注入される電流を500mAまで上昇させる場合、その上昇につれて、UV LEDの光量が線形的に増加し、これにより、本発明の緑色光源(UV−GREEN LED)からの緑色光量も線形的に増加することが分かる。
【0025】
図5A及び図5Bは、それぞれ従来の緑色LED及び本発明の緑色光源に注入される電流を20mAから500mAに上昇させることによるピーク波長の変化を示すグラフである。図5Aを参照すれば、従来の緑色LEDは、注入電流の上昇によってピーク波長が変わることを示す一方、図5Bを参照すれば、本発明の緑色光源は、注入電流の変化にもピーク波長の変化がほとんどなかった。
【0026】
図6は、従来の緑色LED及び本発明の緑色光源に注入される電流を20mAから500mAまで上昇させることによる緑色色座標の変化を示すグラフである。従来の半導体緑色LED(GREEN LED)は、電流の上昇によってピーク波長が短波長に変わりつつ色座標が左側に移動する。本発明の緑色光源(UV−GREEN LED)からの緑色光の座標は、電流の変化にもかかわらず、色座標がX:0.282±0.0003,Y:0.673±0.003と安定して表れた。かかる一定な色座標の発現は、緑色光源の注入電流によるピーク波長の変化がほとんどないことに起因し、したがってディスプレイのバックライト装置として有用に使われうる。
【0027】
図7は、本発明の緑色光源の他の実施形態を概略的に示す断面図であり、図3の緑色光源と実質的に同じ構成要素には同じ参照番号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0028】
緑色光源130は、パッケージングフレーム31の底部に配置されたシリコンサブマウント32、UV LED33、及びサブマウント32上でUV LEDを取り囲み、シリコン樹脂と混合された緑色蛍光物質36を備える。UV LED33は、InGaAlN活性層(図示せず)を備え、200〜430nmのピーク波長の光を放出する。
【0029】
また、青色光源として、緑色光源のように、UV LED上に420nm〜480nm範囲の波長を有する青色光を放出する蛍光物質が使われうる。かかる蛍光物質としては、Ca10(PO12:EuまたはSr(POCl:Euなどが使われうる。
【0030】
赤色光源としては、UV LED上に600nm〜700nm範囲の波長を有する赤色光を放出する蛍光物質が使われうる。かかる蛍光物質としては、SrS:Eu,YS:Eu,YVO:EuまたはM(WO):Eu,Sm(M;Li,Na,K,Ba,CaまたはMg)などが使われうる。青色光源と赤色光源との構造は、図3及び図7と実質的に同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、これらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、LCD関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】LEDのピーク波長による内部量子効率及び抽出効率を示すグラフである。
【図2】本発明によるLCDバックライトユニットの一実施形態を示す図面である。
【図3】本発明の緑色光源の構造を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の緑色光源に注入される電流による光量の変化を示すグラフである。
【図5A】従来の緑色LEDに注入される電流を20mAから500mAに上昇させることによるピーク波長の変化を示すグラフである。
【図5B】本発明の緑色光源に注入される電流を20mAから500mAに上昇させることによるピーク波長の変化を示すグラフである。
【図6】従来の緑色LED及び本発明の緑色光源に注入される電流を20mAから500mAまで上昇させることによる緑色色座標の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の緑色光源の他の実施形態を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 基板、
12 PCB、
20 赤色光源、
30 緑色光源、
31 パッケージングフレーム、
32 シリコンサブマウント、
33 UV LED、
34 シリコン樹脂、
35 緑色蛍光物質、
40 青色光源、
50 導光板、
60 拡散板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色光源、赤色光源及び緑色光源を備え、
前記緑色光源は、第1UV発光ダイオードと、前記第1UV発光ダイオードからの光により励起される緑色蛍光体と、を備えることを特徴とする発光ダイオードを利用したLCDバックライトユニット。
【請求項2】
前記青色光源、赤色光源、緑色光源は、実質的に同じ割合で設置され、前記青色光源、赤色光源、緑色光源にそれぞれ入力される電流は、実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項3】
前記緑色蛍光体は、ZnS、(BaSr)SiO、LaPO、BaMgAl1017からなるグループのうち選択されたいずれか一つの母体にアクティベータを添加したことを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項4】
前記第1UV発光ダイオードのピーク波長は、430nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項5】
前記第1UV発光ダイオードは、InGaAlN活性層を備えることを特徴とする請求項4に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項6】
前記緑色光源は、パッケージングフレーム上に位置し、
前記緑色光源と前記パッケージングフレームとの間には、シリコンサブマウントがさらに配置されたことを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項7】
前記第1UV発光ダイオードと前記緑色蛍光体との間には、前記第1UV発光ダイオードを取り囲む凸状のシリコン樹脂が形成され、前記緑色蛍光体は、前記シリコン樹脂上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項8】
前記緑色蛍光体は、シリコン樹脂と混合されて、前記第1UV発光ダイオードを取り囲む凸状であることを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項9】
前記青色光源は、第2UV発光ダイオードと、前記第2UV発光ダイオードからの光により励起される青色蛍光体と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項10】
前記青色蛍光体は、Ca10(PO12またはSr(POClの少なくともいずれか一方を母体にアクティベータを添加したことを特徴とする請求項9に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項11】
前記青色光源は、パッケージングフレーム上に位置し、
前記青色光源と前記パッケージングフレームとの間には、シリコンサブマウントがさらに配置されたことを特徴とする請求項9に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項12】
前記第2UV発光ダイオードと前記青色蛍光体との間には、前記第2UV発光ダイオードを取り囲む凸状のシリコン樹脂が形成され、前記青色蛍光体は、前記シリコン樹脂上に形成されたことを特徴とする請求項9に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項13】
前記青色蛍光体は、シリコン樹脂と混合されて前記第2UV発光ダイオードを取り囲む凸状であることを特徴とする請求項9に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項14】
前記赤色光源は、第3UV発光ダイオードと、前記第3UV発光ダイオードからの光により励起される赤色蛍光体と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項15】
前記赤色蛍光体は、SrS、YS、YVO、M(WO)からなる母体のうち少なくともいずれか一つの母体にアクティベータを添加したものであり、ここで、Mは、Li,Na,K,Ba,Ca,Mgのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項14に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項16】
前記赤色光源は、パッケージングフレーム上に位置し、
前記赤色光源と前記パッケージングフレームとの間には、シリコンサブマウントがさらに配置されたことを特徴とする請求項14に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項17】
前記第3UV発光ダイオードと前記赤色蛍光体との間には、前記第3UV発光ダイオードを取り囲む凸状のシリコン樹脂が形成され、前記赤色蛍光体は、前記シリコン樹脂上に形成されたことを特徴とする請求項14に記載のLCDバックライトユニット。
【請求項18】
前記赤色蛍光体は、シリコン樹脂と混合されて前記第3UV発光ダイオードを取り囲む凸状であることを特徴とする請求項14に記載のLCDバックライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−310856(P2006−310856A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121196(P2006−121196)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】