説明

発光構造物

【課題】体積が小さい薄型の発光源であって、光源を実際の大きさよりも大きく見せる薄型の発光源を提供することを課題とする。
【解決手段】表面に導電部が形成された複数片の耐熱性フィルムと、前記導電部に接合される複数の発光素子と、前記複数片の耐熱性フィルムが貼り付けられる下地フィルムと、を備える発光素子組込み発光フィルムと、前記発光素子組込み発光フィルムの前記発光素子の発光面側に、前記発光素子から所定の間隔をあけて組み付けられる回折格子フィルムと、からなり、前記下地フィルムは前記耐熱性フィルムよりも耐熱性の劣るフィルムである発光構造物とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を組み込んだ発光フィルムに回折格子フィルムを組み付けた発光物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電球、蛍光灯、陰極線管等の光源の代替として、発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))が利用されている。発光ダイオードは、寿命が5万時間以上(半減期)であるため、長時間使用する光源に適している。また、電球等と比較して、低電力、低発熱等の長所を有する。
【0003】
発光ダイオードを使用して面状に発光させる光源基板には、硬質な基板の上に、リードフレームを立てて複数の発光ダイオードを配置してハンダで接着して構成したものがある。硬質な基板には、樹脂やアルミニウム等が用いられる。発光ダイオードは、いわゆる砲弾型のものが用いられている。
【0004】
また、フレキシブル基板の上に、複数の発光ダイオードを配置した光源基板もある。フレキシブル基板の表面は、銅箔などで配線されている。光源基板にフレキシブル基板を用いることにより、設置場所の自由度が増す。フレキシブル基板として、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)フィルムが使用される。
【0005】
一定数の光源を発光させる場合、その一定数の光源が必要である。また、自動車などのリアコンビネーションランプは、アクリル成形品にダイアモンドカットを入れたカバーを1つの電球などの光源の前に配置し、数倍から数十倍の数の光源に見えるように回折効果を狙ったものである。リアコンビネーションランプは、自動車などのリアにある、光源であるランプ類(ストップランプ、テールランプ、ウィンカーランプ、車幅灯等)とカバー(レンズ)とが一体となっているものである。しかし、光源からカバーまで距離及び電球などの光源自体の形状により、リアコンビネーションランプの体積が大きくなってしまう欠点がある。そのため、自動車の後部に取り付ける場合、トランクが狭くなるなどの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−274455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、体積が小さい薄型の発光源であって、光源を実際の大きさよりも大きく見せる薄型の発光源を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、本発明の態様は、
表面に導電部が形成された複数片の耐熱性フィルムと、
前記導電部に接合される複数の発光素子と、
前記複数片の耐熱性フィルムが貼り付けられる下地フィルムと、
を備える発光素子組込み発光フィルムと、
前記発光素子組込み発光フィルムの前記発光素子の発光面側に、前記発光素子から所定
の間隔をあけて組み付けられる回折格子フィルムと、
からなる発光構造物である。
【0009】
本発明によると、発光素子から出射した光を回折格子を通して見ると、その光が複数の光に見える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、体積が小さい薄型の発光源であって、光源を実際の大きさよりも大きく見せる薄型の発光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における発光ダイオード組込み発光フィルムの断面図である。
【図2】本発明の実施形態における発光ダイオード組込み発光フィルムの配線パターンを示す図である。
【図3】図2の配線パターンに発光ダイオードを配置した図である。
【図4】本発明の実施形態の回路図を示す。
【図5】本発明の実施形態における発光ダイオード組込み発光フィルムの上面図を示す。
【図6】図3に示す発光ダイオードを配置した配線パターンの変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態における発光ダイオード組込み発光フィルムの製造方法を示す図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる回折格子フィルムの断面を示す図である。
【図9】回折格子フィルムにおける、回折格子のパターン(配置)を示す図である。
【図10】図9に示す回折格子のパターンの変形例を示す図である。
【図11】図9に示す回折格子のパターンの変形例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態にかかる回折格子フィルムの製造方法を説明する図である。
【図13】本発明の実施形態にかかる発光構造物の断面を示す図である。
【図14】回折光の干渉の条件を説明する図である。
【図15】発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。
【図16】発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。
【図17】複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。
【図18】複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。
【図19】発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。
【図20】複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0013】
〔実施形態〕
本発明の実施形態による発光構造物は、発光ダイオード組込み発光フィルムと、回折格
子フィルムと、からなる。
【0014】
(発光ダイオード組み込み発光フィルム)
〈構成〉
図1は、本発明の実施形態に係る発光ダイオード組込み発光フィルムの断面を示す図である。土台のフィルムとしての非耐熱性のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム5(本発明の下地フィルムに相当)の上に複数片の耐熱性のPI(ポリイミド)フィルム4が接合されている。PIフィルム4上には、導電性材料である銅箔が貼り合わされ、銅箔により配線パターンが形成されている。発光ダイオード1が銅箔の上に配置され、発光ダイオード1の各端子と銅箔とが、ハンダ2により電気的に接続されている。発光ダイオードは、単色のものを使用しても、白色のものを使用してもよい。
【0015】
耐熱性フィルムとしてPIフィルムの代わりに、PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム、耐熱ウレタンフィルム、液晶ポリマーフィルム等の有機フィルムが、使用され得る。また、下地フィルムとしてPETフィルムの代わりに、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PS(ポリスチレン)フィルム、PMMAフィルム等の有機フィルムが使用され得る。
【0016】
図2は、耐熱性のPIフィルム4上に銅箔で形成される配線パターンを示す図である。PIフィルム4上に2本の略平行の導電部3が形成されている。この2本の略平行の導電部3の間隔は、発光ダイオード1の1対の端子の間隔に合わせてある。この略平行の導電部3上で、向かい合う位置に、間隔をおいて、ハンダ2が載せられている。このハンダ2が載せられた位置に、発光ダイオード1が配置される。略平行の導電部3の一端には、電源に接続するための導電部3が更に形成される。図2では、略平行の導電部3のうち、左側の上方には電源の正の電極に接続される導電部3Aが形成され、右側の下方には電源の負の電極に接続される導電部3Bが形成されている。図3は、図2の配線パターンに発光ダイオード1を配置した図である。複数の発光ダイオード1が1列に配置されている。
【0017】
図4は、実施形態の電気回路を示す図である。複数の発光ダイオード1が並列に電気的に接続され、電源に接続される。発光ダイオード1を並列接続することにより、仮に1つの発光ダイオード1が故障して断線した場合でも、他の発光ダイオード1の発光に影響しない。発光ダイオード1を均一に発光させるために、発光ダイオード1と並列に電気抵抗や低電圧装置を接続することもできる。
【0018】
図5は、発光ダイオード1を接合したPIフィルム4をPETフィルム5に貼り合わせた図である。PIフィルム4に接合された発光ダイオード1の列が、それぞれ略平行になるように並べられている。図5のそれぞれのPIフィルム4は、図4の回路を構成している。例えば、PIフィルム4上の上方の導電部3Aが正の電極に、下方の導電部3Bが負の電極になるように、PIフィルム4が並べられている。それぞれ極性の同じ電極は接続されて、電源に接続される。このとき、各発光ダイオード1は並列に接続されている。
【0019】
〈変形例〉
図6は、図3に示す配線パターンの変形例を示す図である。図3に示すようにPIフィルム4上に1列に発光ダイオード1を配置する代わりに、図6の例では、PIフィルム4上に複数列に発光ダイオード1を配置している。この配置であっても、各発光ダイオード1は並列に電気的に接続されている。この場合も、発光ダイオード1を均一に発光させるために、発光ダイオード1と並列に電気抵抗や低電圧装置を接続することもできる。
【0020】
〈製造方法〉
図7を参照して、本発明の実施形態に係る発光ダイオード組込み発光フィルムの製造方
法を説明する。導電性の銅箔と耐熱性のPIフィルム4とを接着剤で接着する。銅箔の厚さは、好ましくは4乃至20μmである。接着剤として、PMMA(Polymethyl methacrylate)、ポリエステル、ウレタン等の熱可塑性接着剤が使用される。貼り合わせた複合
フィルムの銅箔側にマスキング法により図2等のような配線パターンをエッチングにより形成する。配線パターン上の発光ダイオード1を配置する位置に、ハンダ2を付着させる。ハンダ2には、好ましくは鉛を含まないものが使用される。ハンダ2を付着させた位置に、発光ダイオード1を載せる。発光ダイオード1には、好ましくは発光ダイオードチップ(表面実装型の発光ダイオード)を使用する。発光ダイオードチップを使用することにより、砲弾型の発光ダイオードを使用するより薄型にすることができる。必要に応じて、電気抵抗等の素子も同様に配置することもできる。配置する発光ダイオード1の数や位置は、使用目的等に応じて自由に選択することができる。発光ダイオード1等の素子の端子には、フラックスを付ける。溶接剤であるフラックスを使用することにより、ハンダが付き易くなる。
【0021】
発光ダイオード1を載置した複合フィルムをリフロー炉に入れる。ハンダ2が溶融することにより、配線パターンの導電部3と発光ダイオード1とが電気的に接続される。耐熱性のPIフィルム4を使用していることにより、リフロー炉の中で、フィルムが変形することはない。リフロー炉から発光ダイオード1と接合したPIフィルム4を取り出す。PIフィルム4とPETフィルム5とを接着剤で接合する。PETフィルム5の代わりに、別の汎用のプラスチックフィルムを使用することもできる。PIフィルム4の導電部3を適切に電気的に接続して、発光ダイオード組込み発光フィルムが完成する。
【0022】
(回折格子フィルム)
〈構成〉
図8は、本発明の実施形態にかかる回折格子フィルムの断面を示す図である。回折格子フィルムは、土台のフィルムとしてのPETフィルム302と、PETフィルム302に接合される複数の円柱状のPMMAフィルムと、からなる。
【0023】
図9は、回折格子フィルム200における、回折格子のパターン(配置)を示す図である。図9に示すように回折格子となる円柱211は、正方格子の格子点上に配置される。当該円柱の直径は、約0.1μm以上約10μm以下とすることが好ましい。また、円柱の高さは、円柱の直径の約1.0倍以上約1.5倍以下とすることが好ましい。円柱の中心とその円柱に隣接する円柱の中心との距離は、円柱の直径の約2.5倍以下とすることが好ましい。この距離が回折格子の格子間隔(周期)となる。
【0024】
図10は、図9に示す回折格子のパターンの変形例を示す図である。図9に示すように正方格子の格子点上に円柱を配置する代わりに、図10の例では、三角格子の格子点上に円柱を配置している。このように配置することにより、正方格子の場合と違った方向に回折光が出現することが期待される。
【0025】
図11は、図9に示す回折格子のパターンの変形例を示す図である。図9に示すように円柱とする代わりに、正方形の柱としている。また、これ以外にも、円柱の円の代わりに、断面を、楕円などの閉曲線、三角形、正方形その他の多角形(長方形、角が丸い多角形を含む)等とすることも可能である。
【0026】
〈製造方法〉
図12を参照して、本発明の実施形態にかかる回折格子フィルムの製造方法を説明する。PETフィルム302の表面に、UV(Ultra Violet、紫外線)硬化塗料301(PMMA)を塗布する(図12(A))。UV硬化塗料301をコートしてマスク303をかけて所望の配置にパターニングする。パターニングは、電子ビームレジストを塗布して、電
子ビームでパターン形成し現像することによりできる。また、フォトレジストを用いて形成することもできる。その後、マスク303をした表面側からUV照射して、UV硬化塗料301を硬化させる(図12(B))。未硬化部分は、酸で洗浄することによって、所望のパターンの回折格子フィルムを得ることができる(図12(C))。また、エッチングや熱プレスによって、円柱を形成することにより、回折格子フィルムを作成することもできる。
【0027】
PETフィルム302の代わりに、別の汎用のプラスチックフィルムを使用することもできる。
【0028】
(発光構造物)
〈構成〉
図13は、本発明の実施形態にかかる発光構造物の断面を示す図である。上記した発光ダイオード組込み発光フィルム220の発光ダイオードの発光面側に、発光ダイオード221から所定の間隔をあけて上記した回折格子フィルム200が組み付けられる。回折格子フィルム200は、樹脂、金属その他適切な物質によって、発光ダイオード組み込みフィルム220に固定される。発光ダイオード221から発光した光は、回折格子フィルム200を通じて、外部から視認される。発光ダイオードとして、発光ダイオードチップ(表面実装型の発光ダイオード)を使用することにより、より薄くすることが可能となる。
【0029】
図14は、回折光の干渉の条件を説明する図である。発光ダイオードから角度θの方向に出た光が、回折格子フィルム200により干渉するとする。回折格子フィルム200により回折光が干渉する条件は、(式1)のように表される。
【0030】
【数1】

【0031】
d:回折格子の格子間隔
θ:光の方向と回折格子フィルムの面の法線とのなす角
m:任意の整数
λ:発光ダイオードの光の波長
ほぼ同じ方向に出た光の光路差が、発光源の波長(λ)の整数倍になったときに干渉する。この式から、回折光が干渉する光の方向(角度)が決まる。ここで、(式1)におけるsinθは、(式2)のように表される。
【0032】
【数2】

【0033】
L:発光面と回折格子フィルムとの間の距離
x:発光面の中心から回折格子フィルムに下ろした垂線の足からの距離
発光面と回折格子フィルムとの間の距離(L)及び回折格子の格子間隔(d)を調整することにより、回折格子フィルムにおいて回折光が干渉する位置を任意に決定することができる。
【0034】
回折格子フィルムの面から観測者までの距離は、発光面と回折格子フィルムとの距離(
L)に比べて非常に大きい。そのため、回折格子フィルムから出た光の光路差による干渉は、無視できる。
【0035】
図15は、回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。回折格子フィルムは、正方格子のものを使用している。発光ダイオードの発光を回折格子フィルムを通じて観測すると、回折格子フィルム上で、中央に直接光101が見られ、その周りに、複数の回折光の干渉102が見られる。発光ダイオード221の発光面は、一定の面積を有している。よって、回折光が干渉する位置も一定の面積を有する。直接光の中心と回折光が干渉する位置の中心との距離(図14のx)を発光ダイオードの発光面の直径と等しくなるようにしている。こうすることにより、光源の面積を擬似的に大きく見せることができる。直接光の中心と回折光が干渉する位置の中心との距離(図14のx)は、発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)を調整することにより決定できる。
【0036】
図16は、回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。発光ダイオードの発光を回折格子フィルムを通じて観測すると、回折格子フィルム上で、中央に直接光101が見られ、その周りに少し離れて回折光による干渉102が見られる。図15の場合より、発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)を長くしている。こうすることにより、1つの光源が、回折格子フィルム上で、複数の光源が存在するように見せることができる。
【0037】
図17は、複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。発光ダイオードは、正方格子の格子点上に並べられている。その正方格子の格子間隔は、発光ダイオードの発光面の直径の約3倍である。回折格子フィルムは、正方格子のものを使用している。発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)及び回折格子の格子間隔(図14のd)は、図15の場合と同様に調整されている。こうすることにより、より少ない発光ダイオードによって、回折格子フィルムのほぼ全面を発光させることができる。
【0038】
図18は、複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。発光ダイオードは、三角格子の格子点上に並べられている。その三角格子の格子間隔は、発光ダイオードの発光面の直径の約3倍である。回折格子フィルムは、正方格子のものを使用している。発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)及び回折格子の格子間隔(図14のd)は、図15の場合と同様に調整されている。こうすることにより、より隙間を小さくして回折格子フィルムのほぼ全面を発光させることができる。
【0039】
図19は、回折格子フィルム上で回折光が干渉する位置を例示する図である。発光ダイオードの発光を回折格子フィルムを通じて観測すると、回折格子フィルム上で、中央に直接光101が見られ、その周りに少し離れて回折光による干渉102が見られる。回折格子フィルムは、三角格子のものを使用している。こうすることにより、光源の面積を擬似的に大きく見せることができる。三角格子の回折格子フィルムを使用することにより、直接工の周りの回折光の干渉の強さをより均質にすることができる。直接光の中心と回折光が干渉する位置の中心との距離(図14のx)は、発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)を調整することにより決定できる。
【0040】
図20は、複数の発光ダイオードの光が回折格子フィルム上で干渉する位置を例示する図である。発光ダイオードは、三角格子の格子点上に並べられている。その三角格子の格子間隔は、発光ダイオードの発光面の直径の約3倍である。回折格子フィルムは、三角格子のものを使用している。発光面と回折格子フィルムとの距離(図14のL)及び回折格子の格子間隔(図14のd)は、図19の場合と同様に調整されている。こうすることにより、より少ない発光ダイオードによって、回折格子フィルムのほぼ全面をより均質に発
光させることができる。
【0041】
(本実施形態の効果)
本発明の実施形態によると、回折格子フィルムを発光ダイオードから適切な距離の位置に配置することにより、発光源を大きく見せることが可能となる。また、発光源を複数に見せることが可能となる。さらに、表面実装型の発光ダイオードを使用することにより、発光構造物をより薄型にすることができる。
【0042】
本発明の実施形態の発光構造物によれば、発光ダイオードチップ及びフレキシブルなフィルムを使用するので、より薄型の発光光源を提供できる。そのため、本発明の発光ダイオード組込み発光フィルムは、面発光体や広告用の蛍光灯に変わる光源として幅広い用途が期待できる。また、発光ダイオードは、低消費電力、長寿命であるため、本発明の実施形態の発光構造物を使用した光源装置は、維持管理の手間を少なくすることができる。

【0043】
また、本実施形態の発光構造物は、高価なPIフィルムをハンダ付けに必要な部分に使用し、他の部分にPIフィルムより耐熱性が劣るが安価な汎用のプラスチックフィルムを使用することにより、大きな面積の発光ダイオード組込み発光フィルムを安価に製造することができる。すなわち、リフロー炉にてPIフィルム上の導電性パターンに発光ダイオードをハンダ付けすることにより、発光ダイオードのハンダ付けの自動化を実現する。さらに、ハンダ付け終了後、PIフィルムをPET等の汎用プラスチックフィルムに貼り付けることにより耐熱性の劣る安価な材料の利用が可能となる。
【0044】
本実施形態の発光構造物は、自動車のリアコンビネーションランプ、ルームランプ、フットランプ、メータパネル等への利用が期待できる。一般光源としては、室内装飾用ランプやディスプレイ用ランプとして活用できる。
【0045】
また、フィルムをベースに製品を作成するために非常に、軽く、且つ、安価に作成でき、寿命も長く、熱も出にくく、環境にもやさしい光源の実現が可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 発光ダイオード(LED)
2 ハンダ
3 導電部
3A 導電部(+)
3B 導電部(−)
4 耐熱性フィルム(PIフィルム)
5 下地フィルム(PETフィルム)
101 直接光
102 回折光
200 回折格子フィルム
201 回折格子フィルム
202 回折格子フィルム
203 回折格子フィルム
211 円柱
212 四角柱
220 発光ダイオード組み込み発光フィルム
221 発光ダイオード
301 UV硬化塗料
302 PET
303 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に導電部が形成された複数片の耐熱性フィルムと、
前記導電部に接合される複数の発光素子と、
前記複数片の耐熱性フィルムが貼り付けられる下地フィルムと、
を備える発光素子組込み発光フィルムと、
前記発光素子組込み発光フィルムの前記発光素子の発光面側に、前記発光素子から所定の間隔をあけて組み付けられる回折格子フィルムと、からなり、
前記下地フィルムは前記耐熱性フィルムよりも耐熱性の劣るフィルムである
発光構造物。
【請求項2】
前記耐熱性フィルムはポリイミドフィルム、PPS、耐熱ウレタンフィルム又は液晶ポリマーフィルムである
請求項1に記載の発光構造物。
【請求項3】
前記発光素子は発光ダイオードである
請求項1または2に記載の発光構造物。
【請求項4】
前記下地フィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム、PPフィルム、PEフィルム、PSフィルム又はPPMAフィルムである
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発光構造物。
【請求項5】
前記回折格子フィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、PMMAとからなる、
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発光構造物。
【請求項6】
前記回折格子フィルムは、正方格子又は三角格子の回折格子を有する、
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の発光構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−216555(P2012−216555A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129294(P2012−129294)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2006−129288(P2006−129288)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(506012800)ニューパラダイムテクノロジー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】