説明

発光素子アレイ駆動装置、プリントヘッド、画像形成装置および信号供給方法

【課題】転送異常が生じにくい発光素子アレイ駆動装置、プリントヘッドおよび画像形成装置を提供する。
【解決手段】点灯終了時点(期間T(L3)では時刻p)を固定とし、点灯開始時点(期間T(L3)では時刻n)を可変として、発光サイリスタの点灯期間tcを変えることで光量補正を行う。次段の転送サイリスタT4をオンにするタイミングにおいて、発光サイリスタL3を消灯しているので、例え、発光サイリスタL3の消灯によって、転送サイリスタT3がオフとなっても、転送サイリスタT4のゲート端子G4の電位が直ちに変化せず、転送サイリスタT4をオンにするタイミングにおいて転送サイリスタT4がオンになるため、転送動作が正常に行われ、転送異常を生じにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子アレイ駆動装置、プリントヘッド、画像形成装置および信号供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した、プリンタや複写機、ファクシミリ等の画像形成装置では、一様に帯電された感光体上に、画像情報を光記録手段により照射することにより静電潜像を得た後、この静電潜像にトナーを付加して可視化し、記録紙上に転写して定着することによって画像形成が行われる。かかる光記録手段として、レーザを用い、主走査方向にレーザ光を走査させて露光する光走査方式の他、近年では、装置の小型化の要請を受けて発光素子としての発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を主走査方向に多数、配列してなる、LEDプリントヘッド(LPH:LED Print Head)を用いた記録装置が採用されている。
【0003】
特許文献1には、自己走査型発光素子アレイ(SLED:Self-scanning Light Emitting Device)において、発光素子の点灯期間の終了タイミングを変更して、濃度むら補正を行う技術が提案されている。
また、特許文献2には、SLEDを従来に比べて低い電源電圧で駆動する技術が提案されている。ここでは、転送素子を駆動する転送信号をレベルシフト手段により、電源電圧から駆動に必要な電圧に変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182143号公報
【特許文献2】特開2004−195796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SLEDの駆動において、オン状態の転送サイリスタがオフすべきタイミング以外のタイミングでオフするという現象が発生し、正常な転送動作が失われるという“転送異常”を生じることがある。
【0006】
本発明の目的は、転送異常が生じにくい発光素子アレイ駆動装置、プリントヘッド、画像形成装置および信号供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、複数の発光素子と、前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子と、連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段とを備えることを特徴とする発光素子アレイ駆動装置である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記点灯期間の開始時点は、前記発光素子に対応して設けられた前記スイッチ素子と、当該スイッチ素子に電気的に接続された前段のスイッチ素子とが共にオン状態である期間が終了した後であって、当該前段のスイッチ素子に対応する発光素子が点灯しやすい状態にある期間が経過した後であることを特徴とする請求項1記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項3記載の発明は、前記点灯期間の終了時点は、前記連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点から、前記連続して接続された2つのスイッチ素子において前段のスイッチ素子をオフ状態に移行させる転送信号を供給後、オフ状態の後段のスイッチ素子がオン状態に移行しうる期間を遡って設定されることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項4記載の発明は、前記点灯期間の終了時点は、前記発光素子に対応して設けられた前記スイッチ素子と、当該スイッチ素子に電気的に接続された後段のスイッチ素子とを共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点より遡って20ns以内であることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項5記載の発明は、前記点灯期間の終了時点は、前記連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点から、当該連続して接続された2つのスイッチ素子における後段のスイッチ素子に接続された発光素子が点灯しにくい状態で維持されている期間を経過して設定されることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項6記載の発明は、前記点灯期間の開始時点は、前記発光素子毎に設定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項7記載の発明は、前記転送信号供給手段は、レベルシフト手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項8記載の発明は、前記レベルシフト手段は、一端が前記スイッチ素子に接続され、他端はコンデンサが接続された信号線と抵抗が接続された信号線とに並列に分岐していることを特徴とする請求項7記載の発光素子アレイ駆動装置である。
請求項9記載の発明は、前記発光素子および前記スイッチ素子がサイリスタで構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載の発光素子アレイ駆動装置である。
【0009】
請求項10記載の発明は、複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた発光装置と、連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段とを備える像保持体を露光する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段とを備えたことを特徴とするプリントヘッドである。
請求項11記載の発明は、前記発光装置を複数備えたことを特徴とする請求項10記載のプリントヘッド。
【0010】
請求項12記載の発明は、像保持体を帯電する帯電手段と、複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた複数の発光装置と、連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段とを備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項13記載の発明は、複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれと電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた発光素子アレイ駆動装置における信号供給方法であって、連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給し、連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給することを特徴とする信号供給方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、転送異常が生じにくい発光素子アレイ駆動装置を提供できる。
請求項2の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、点灯を予定していない発光素子が点灯することを防止できる。
請求項3の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、転送異常を生じにくい発光素子アレイ駆動装置をより容易に構成できる。
請求項4の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、転送異常を生じにくい発光素子アレイ駆動装置をより容易に構成できる。
請求項5の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、転送異常を生じにくい発光素子アレイ駆動装置をより容易に構成できる。
請求項6の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、発光素子アレイ駆動装置の駆動回路の電流供給能力を小さくできる。
請求項7の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、低い電源電圧の発光素子アレイ駆動装置を提供できる。
請求項8の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、簡易な構成で低い電源電圧の発光素子アレイ駆動装置を提供できる。
請求項9の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、より小型の発光素子アレイ駆動装置を提供できる。
請求項10の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、小型のプリントヘッドを提供できる。
請求項11の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、より小型のプリントヘッドを提供できる。
請求項12の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、より小型の画像形成装置を提供できる。
請求項13の発明によれば、本発明を適用しない場合に比べて、転送異常が生じにくい発光素子アレイ駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】本実施の形態が適用されるプリントヘッドの構成を示した図である。
【図3】発光素子アレイ駆動装置の平面図である。
【図4】発光素子アレイ駆動装置の回路構成を説明する図である。
【図5】発光素子アレイ駆動装置の詳細な回路構成を説明する図である。
【図6】転送サイリスタと、駆動回路およびレベルシフト回路における転送信号を供給する部分とを示す図である。
【図7】SLEDの平面レイアウト図および断面図である。
【図8】駆動回路およびレベルシフト回路から出力される駆動信号およびSLEDの内部の信号ライン等の電位を示すタイミングチャートである。
【図9】本実施の形態における実施例および比較例の実験条件を示すタイミングチャートである。
【図10】実施例と比較例の実験結果を示した図である。
【図11】SLEDにおける転送異常を説明するタイミングチャートである。
【図12】転送異常を説明するための発光サイリスタと転送サイリスタとの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、一般にタンデム型と呼ばれる画像形成装置である。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行なう画像形成プロセス部10、画像形成プロセス部10を制御する画像出力制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)2や画像読取装置3に接続され、これらから受信された画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0014】
画像形成プロセス部10は、一定の間隔を置いて並列的に配置される複数のエンジンからなる画像形成ユニット11を備えている。この画像形成ユニット11は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kから構成されている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を所定電位で一様に帯電する帯電手段の一例としての帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光するプリントヘッド14、プリントヘッド14によって得られた静電潜像を現像する現像手段の一例としての現像器15を備えている。ここで、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、現像器15に収納されたトナーを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像を記録用紙に多重転写させるために、この記録用紙を搬送する用紙搬送ベルト21と、用紙搬送ベルト21を駆動させるロールである駆動ロール22と、感光体ドラム12のトナー像を記録用紙に転写させる転写手段の一例としての転写ロール23と、記録用紙にトナー像を定着させる定着器24とを備えている。
【0015】
図2は、本実施の形態が適用されるプリントヘッド14の構成を示した図である。プリントヘッド14は、ハウジング61、自己走査型発光素子アレイ(SLED)63、SLED63やSLED63の駆動回路100(後述の図3参照)等を搭載する回路基板62、SLED63からの光を感光体ドラム12表面に結像させる光学手段の一例としてのロッドレンズアレイ64を備えている。ここで、回路基板62、SLED63、駆動回路100等を露光手段の一例としての発光素子アレイ駆動装置50と呼ぶ。
【0016】
図3は、発光素子アレイ駆動装置50の平面図である。
発光素子アレイ駆動装置50は、回路基板62、回路基板62上に例えば58個の発光装置の一例としてのSLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)からなるSLED63、駆動回路100、レベルシフト手段の一例としてレベルシフト回路104を備える。
ここで、SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)は、感光体ドラム12の軸線方向(主走査方向に該当する。)と平行になるように列状に配置されている。さらに、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)には、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)の矩形の長辺に沿って、例えば128個の発光素子の一例としての発光サイリスタが等間隔に配列されている(図示せず。)。そして、各SLEDチップは、SLEDチップ同士の連結部において、発光サイリスタが主走査方向に連続的に配列されるように、交互に千鳥状に配置されている。
【0017】
図4は、発光素子アレイ駆動装置50の回路構成を説明する図である。回路基板62には、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)に基準電位Vsub(例えば0V)を与える電源ライン105および電源電圧Vga(例えば−3.3V)を与える電源ライン106、転送信号供給手段および点灯信号供給手段の一例としての駆動回路100から各SLEDチップに対して点灯信号ID(ID_1〜ID_58)を送信する信号ライン107(107_1〜107_58)、1組の転送信号の一方である転送信号CK1を送信する信号ライン108、他の転送信号である転送信号CK2を送信する信号ライン109が設けられている。
【0018】
そして、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)には、信号ライン107を介して、CHIP1〜CHIP58に対する点灯信号ID(ID_1〜ID_58)がそれぞれ入力される。この点灯信号ID(ID_1〜ID_58)は、画像処理部40から与えられた画像データおよび画像出力制御部30から与えられた光量補正値により、発光サイリスタ毎に点灯期間を設定する。なお、光量補正値は、予め測定された光量値に基づいて、発光サイリスタ毎に設定されている。
また、駆動回路100からの転送信号CK1Cと転送信号CK1Rとから、レベルシフト回路104を通して得られる転送信号CK1が、信号ライン108を介して、それぞれCHIP1〜CHIP58に共通に入力される。同様に、駆動回路100からの転送信号CK2Cと転送信号CK2Rとからレベルシフト回路104を通して得られる転送信号CK2が、信号ライン109を介して、それぞれCHIP1〜CHIP58に共通に入力される。すなわち、各SLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)は、1組の転送信号CK1とCK2とで共通に駆動され、並行して制御されている。
【0019】
続いて、発光素子アレイ駆動装置50の詳細な回路構成を説明する。
図5は、発光素子アレイ駆動装置50の詳細な回路構成を説明する図である。本実施の形態の発光素子アレイ駆動装置50には、58個のSLEDチップ(CHIP1〜CHIP58)が配列されているが、図5では、1つのSLEDチップのみを示している。そして、以下の説明では、便宜上SLEDチップをSLED63と称することとする。
【0020】
始めに、駆動回路100とレベルシフト回路104とを説明する。
駆動回路100は、転送信号CK1C、CK1R、CK2C、CK2Rをそれぞれ供給するバッファB1C、B2C、スリーステートバッファB1R、B2Rを備える。また、駆動回路100は、点灯信号IDを供給するバッファBIDを備える。さらに、駆動回路100は、転送信号CK1C、CK1R、CK2C、CK2R、点灯信号ID、電源電圧Vga、基準電位Vsubを供給する電源(図示せず。)を備える。
ここで、スリーステートバッファとは、スリーステートバッファに与えられる制御信号により、出力端子をハイインピーダンス(Hiz)の状態とすることができるバッファをいう。
【0021】
レベルシフト回路104は、コンデンサC1、抵抗R1B、コンデンサC2、抵抗R2Bを備える。そして、コンデンサC1と抵抗R1Bとは並列に配置され、それぞれの一方の端子が互いに接続され、SLED63の入力端子に接続されている。同様に、コンデンサC2と抵抗R2Bとは並列に配置され、それぞれの一方の端子が互いに接続され、SLED63の入力端子に接続されている。
一方、抵抗R1Bと接続されていないコンデンサC1の他方の端子は、駆動回路100の出力端子を介して、バッファB1Cの出力端子に接続されている。そして、コンデンサC1と接続されていない抵抗R1Bの他方の端子は、駆動回路100の出力端子を介して、スリーステートバッファB1Rの出力端子に接続されている。
同様に、抵抗R2Bと接続されていないコンデンサC2の他方の端子は、駆動回路100の出力端子を介して、バッファB2Cの出力端子に接続されている。そして、コンデンサC2と接続されていない抵抗R2Bの他方の端子は、駆動回路100の出力端子を介して、スリーステートバッファB2Rの出力端子に接続されている。
【0022】
駆動回路100は、バッファB1Cの出力端子から転送信号CK1Cを送出し、スリーステートバッファB1Rの出力端子から転送信号CK1Rを送出する。これらの信号に基づいて、レベルシフト回路104は転送信号CK1をSLED63に供給する。同様に、駆動回路100は、バッファB2Cの出力端子から転送信号CK2Cを送出し、スリーステートバッファB2Rの出力端子から転送信号CK2Rを送出する。これらの信号に基づいて、レベルシフト回路104は転送信号CK2をSLED63に供給する。
【0023】
さらに、駆動回路100は、バッファBIDの出力端子から点灯信号IDを送出し、抵抗RIDを介して、SLED63に供給する。
【0024】
次に、SLED63について説明する。
図5に示すように、SLED63は、例えば、スイッチ素子の一例としての128個の転送サイリスタT1〜T128、発光素子の一例としての128個の発光サイリスタL1〜L128、127個のダイオードD1〜D127、1個のスタートダイオードDs、128個の抵抗R1〜R128、さらには信号ラインΦ1、Φ2に過剰な電流が流れるのを防止する転送電流制限抵抗R1A、R2Aを備える。
そして、転送サイリスタT1〜T128および発光サイリスタL1〜L128はそれぞれ番号順に一列に配列されている。
【0025】
本実施の形態のSLED63では、各転送サイリスタT1〜T128および各発光サイリスタL1〜L128のアノード端子は、裏面共通電極端子86を介して電源ライン105に接続されている。この電源ライン105には、基準電位Vsub(0V)が供給される。
奇数番目の転送サイリスタT1、T3、…、T127のカソード端子は、信号ラインΦ1に接続されている。信号ラインΦ1には、転送電流制限抵抗R1Aを介して転送信号CK1が供給される。
また、偶数番目のサイリスタT2、T4、…、T128のカソード端子は、信号ラインΦ2に接続されている。信号ラインΦ2には、転送電流制限抵抗R2Aを介して転送信号CK2が供給される。
【0026】
一方、各転送サイリスタT1〜T128のゲート端子G1〜G128は、各転送サイリスタT1〜T128に対応して設けられた抵抗R1〜R128を介して電源ライン106にそれぞれ接続されている。この電源ライン106には、電源電圧Vga(−3.3V)が供給される。
また、各転送サイリスタT1〜T128のゲート端子G1〜G128と発光サイリスタ L1〜L128のゲート端子とはそれぞれ接続されている。そこで、各発光サイリスタ L1〜L128のゲート端子も、転送サイリスタT1〜T128のゲート端子G1〜G128と区別することなく、それぞれゲート端子G1〜G128と呼ぶ。
【0027】
さらに、各転送サイリスタT1〜T127のそれぞれのゲート端子G1〜G127には、ダイオードD1〜D127のアノード端子がそれぞれ接続されている。そして、転送サイリスタT2〜T128のそれぞれのゲート端子G2〜G128には、ダイオードD1〜D127のカソード端子がそれぞれ接続されている。すなわち、各ダイオードD1〜D127はそれぞれゲート端子G1〜G128の間に直列接続されている。
【0028】
これに加え、転送サイリスタT1のゲート端子G1には、スタートダイオードDsのカソード端子が接続されている。一方、スタートダイオードDsのアノード端子は、信号ラインΦ2に接続されている。よって、スタートダイオードDsのアノード端子には、転送電流制限抵抗R2Aを介して、転送信号CK2が供給される。
また、発光サイリスタL1〜L128のカソード端子は、点灯信号ラインΦIにそれぞれ接続されている。そして、点灯信号ラインΦIは、抵抗RIDを介して点灯信号IDが供給される。
【0029】
図6は、図5における転送サイリスタT1と、駆動回路100およびレベルシフト回路104における転送信号CK1を供給する部分とを示す図である。ここでは、転送サイリスタT1をpnpトランジスタTr1とnpnトランジスタTr2とで表される等価回路で示している。pnpトランジスタTr1のエミッタ端子は、転送サイリスタT1のアノード端子A1であり、Vsubに接続されている。また、pnpトランジスタTr1のコレクタ端子は、転送サイリスタT1のゲート端子G1である。一方、npnトランジスタTr2のエミッタ端子は、転送サイリスタT1のカソード端子K1であり、信号ラインΦ1に接続されている。また、npnトランジスタTr2のベース端子は、転送サイリスタT1のゲート端子G1であり、pnpトランジスタTr1のコレクタ端子に接続されている。さらに、pnpトランジスタTr1のベース端子とnpnトランジスタTr2のコレクタ端子とが接続されている。
駆動回路100およびレベルシフト回路104については、前述した通りであるので、説明を省略する。
【0030】
図7(a)は、SLED63の平面レイアウト図である。図7(b)は、図7(a)に示したVIIB−VIIB線での断面図である。すなわち、図7(b)は、発光サイリスタL3、転送サイリスタT3、抵抗R3の断面を表している。
図7(a)に示すように、SLED63は、基板81と、発光サイリスタL1〜L128の1つと、それに対応する転送サイリスタT1〜T128の1つと、同じくそれに対応するダイオードD1〜D127の1つとを形成した第1アイランド141(例えば、発光サイリスタL3と転送サイリスタT3とダイオードD3とを形成した第1アイランド141)と、抵抗R1〜R128の1つを形成した第2アイランド142(例えば、抵抗R3を形成した第2アイランド142)と、スタートダイオードDsを形成した第3アイランド143と、転送電流制限抵抗R1Aを形成した第4アイランド144と、転送電流制限抵抗R2Aを形成した第5アイランド145とを備える。
【0031】
図7(b)に示すように、SLED63は、基板81上に、p型の第1半導体層82、n型の第2半導体層83、p型の第3半導体層84およびn型の第4半導体層85が順に積層されたpnpn構造を備える。
基板81の裏面には裏面共通電極端子86が形成されている。
【0032】
第1アイランド141には、発光サイリスタL3が形成されている。発光サイリスタL3は、裏面共通電極端子86をアノード端子、n型の第4半導体層85の領域111に形成されたオーミック電極121をカソード端子、n型の第4半導体層85をエッチング除去してp型の第3半導体層84上に形成されたオーミック電極131をゲート端子G3とする。
さらに、第1アイランド141には、転送サイリスタT3が形成されている。転送サイリスタT3は、裏面共通電極端子86をアノード端子、n型の第4半導体層85の領域112に形成されたオーミック電極122をカソード端子、p型の第3半導体層84上に形成されたオーミック電極131をゲート端子G3とする。
発光サイリスタL3および転送サイリスタT3のゲート端子G3は共通で、オーミック電極131である。
また、図7(b)には図示していないが、第1アイランド141には、p型の第3半導体層84をアノード端子とし、n型の第4半導体層85をカソード端子とするダイオードD3が形成されている。
すなわち、第1アイランド141には、発光サイリスタL3、転送サイリスタT3、ダイオードD3が形成されている。
【0033】
第2アイランド142には、p型の第3半導体層84上に形成されたオーミック電極132とオーミック電極133との間に抵抗R3が形成されている。つまり、抵抗R1〜R128はp型の第3半導体層84を利用して形成されている。
第3アイランド143には、スタートダイオードDsが形成されている。スタートダイオードDsは、ダイオードD3と同様に、p型の第3半導体層84をアノード端子とし、n型の第4半導体層85をカソード端子として形成されている。
第4アイランド144と第5アイランド145とには、転送電流制限抵抗R1Aと転送電流制限抵抗R2Aとがそれぞれ形成されている。これらの抵抗は、抵抗R3と同様に、p型の第3半導体層84を利用して形成されている。
【0034】
図7(a)における第1アイランド141および第2アイランド142について接続関係を説明する。
転送サイリスタT3および発光サイリスタL3の共通のゲート端子G3であるオーミック電極131は、抵抗R3のオーミック電極132に接続されている。さらに、このオーミック電極131は、隣接する第1アイランド141に形成されたダイオードD2のカソード端子に接続されている。発光サイリスタL3のオーミック電極121は点灯信号ラインΦIに接続されている。また、奇数番目の転送サイリスタT3のオーミック電極122は信号ラインΦ1に接続されている。信号ラインΦ1は、転送電流制限抵抗R1Aを介してSLED63の入力端子に接続されている。
なお、偶数番目の転送サイリスタT2、T4、…、T128のカソード端子は信号ラインΦ2に接続され、転送電流制限抵抗R2Aを介してSLED63の入力端子に接続されている。
さらに、第2アイランド142のオーミック電極133は電源ライン106に接続されている。
ここでは説明を省略するが、他の発光サイリスタ、転送サイリスタ、ダイオードについても同様である。
【0035】
次に、駆動回路100およびレベルシフト回路104から出力されるSLED63を駆動する信号(駆動信号)と、SLED63の内部の信号ラインΦ1、Φ2、点灯信号ラインΦIの電位について説明する。
図8は、駆動回路100およびレベルシフト回路104から出力される駆動信号およびSLED63の内部の信号ラインΦ1、Φ2、点灯信号ラインΦIの電位を示すタイミングチャートである。ここでは、時刻aから時刻uへとアルファベット順に時刻が経過するとする。
【0036】
さて、SLED63では、番号の小さい転送サイリスタから番号の大きい転送サイリスタへとオン状態が移るとともに、オン状態の転送サイリスタに対応して設けられた発光サイリスタが点灯しやすい状態になる。そして、点灯信号IDにより、点灯しやすい状態になった発光サイリスタの点灯/非点灯および点灯期間が制御される。
ここでは、SLED63の発光サイリスタL1〜L4を点灯制御する部分を取り出して示し、発光サイリスタL1〜L4のすべてが“点灯”するとした。
そして、それぞれの発光サイリスタの点灯/非点灯が制御される期間を周期Tとし、時刻bから時刻fまでが発光サイリスタL1を制御する期間T(L1)、時刻fから時刻jまでが発光サイリスタL2を制御する期間T(L2)、時刻jから時刻pまでが発光サイリスタL3を制御する期間T(L3)、そして時刻pから時刻uまでが発光サイリスタL4を制御する期間T(L4)とした。
【0037】
以下では、図5を参照して、図8のタイミングチャートを説明する。
図8において、転送信号CK1C(図8の(A))は、バッファB1Cの出力信号であり、レベルシフト回路104のコンデンサC1に供給される。転送信号CK1R(同(B))はスリーステートバッファB1Rの出力信号であり、レベルシフト回路104の抵抗R1Bに供給される。
転送信号CK1(同(C))はレベルシフト回路104のコンデンサC1と抵抗R1Bとの接続部の電位である。Φ1(同(D))は、SLED63の転送電流制限抵抗R1AよりSLED63の内部における信号ラインΦ1の電位である。
同様に、転送信号CK2C(同(E))は、バッファB2Cの出力信号であり、レベルシフト回路104のコンデンサC2に供給される。転送信号CK2R(同(F))はスリーステートバッファB2Rの出力信号であり、レベルシフト回路104の抵抗R2Bに供給される。
転送信号CK2(同(G))はレベルシフト回路104のコンデンサC2と抵抗R2Bとの接続部の電位である。Φ2(同(H))は、SLED63の転送電流制限抵抗R2AよりSLED63の内部における信号ラインΦ2の電位である。
また、点灯信号ID(同(I))は、前述したように、発光サイリスタL1〜L128の発光/非発光を設定すると共に、発光期間を設定する。ΦI(同(J))は、SLED63の点灯信号ラインΦIの電位である。
【0038】
以上説明したように、駆動回路100から供給される信号は、転送信号CK1C、CK1R、CK2C、CK2R、および点灯信号IDである。一方、転送信号CK1およびCK2は、転送信号CK1C、CK1Rおよび転送信号CK2C、CK2Rからそれぞれ生成される信号である。Φ1、Φ2、ΦIは、SLED63の内部の電位である。
【0039】
図8の期間T(L1)は、発光サイリスタL1を点灯制御する期間であり、SLED63の駆動が開始される期間でもある。このため、期間T(L1)では、転送信号CK2C、CK2Rが印加されていないなど、これ以降の信号の波形と異なっている。そこで、それ以降の信号波形が繰り返し波形となる期間T(L3)、T(L4)の信号波形により、信号の概要を説明する。
【0040】
転送信号CK1C、CK1R、CK2C、CK2Rは、期間T(L3)と期間T(L4)とを加えた期間(2×T)を周期として繰り返す信号である。そこで、期間T(L3)と期間T(L4)とを加えた期間(時刻jから時刻uまで)を単位として説明する。
転送信号CK1Cは、時刻kでハイレベル(以下、「H」と記す。)からローレベル(以下、「L」と記す。)に、時刻rで「L」から「H」になり、その他の期間は「H」である。
転送信号CK1Rは、時刻jで「H」から「L」に、時刻rで「L」から「H」になり、その他の期間は「H」である。
転送信号CK2Cは、時刻lで「L」から「H」に、時刻qで「H」から「L」になり、その他の期間は「L」である。
転送信号CK2Rは、時刻lで「L」から「H」に、時刻pで「H」から「L」になり、その他の期間は「L」である。
ここで、転送信号CK1Cと転送信号CK2Cとを比較すると、転送信号CK2Cは、転送信号CK1Cを周期Tに相当する期間を、時間軸上を右にシフトした信号にあたる。同様に、転送信号CK2Rは、転送信号CK1Rを周期Tに相当する期間を、時間軸上で右にシフトした信号にあたる。
【0041】
一方、点灯信号IDは、期間T(L3)では、時刻nで「H」から点灯信号IDのローレベル(以下、「Le」と記す。)に、時刻pで「Le」から「H」になり、その他の期間は「H」である。なお、「Le」は発光サイリスタを点灯させうる点灯電位で、「L」と異なる電位である。「Le」の電位については、後述する。
点灯信号IDが「Le」であると、点灯信号ラインΦIの電位も「Le」になり、「Le」にある期間の間、発光サイリスタL3が点灯(L3on)する。点灯信号IDが「Le」にある期間を点灯期間tcと呼ぶ。
なお、点灯期間tcは、光量補正値によって、それぞれの発光サイリスタで異なる。そこで、それぞれの発光サイリスタL1〜L4の点灯期間tcを区別するため、それぞれの点灯期間tcを点灯期間tc1〜tc4と呼ぶ。図8においても、期間T(L1)〜T(L4)における点灯期間tc1〜tc4の期間が異なるように表している。
【0042】
この点灯期間tcは、点灯可能期間te内に設定されることが必要である。ここで、転送信号CK1RとCK2Rとが共に「L」である期間を期間ta、転送信号CK1RまたはCK2Rが「H」になってからの一定の期間を期間tbとする。すると、点灯可能期間teは、期間T(L3)の期間ta(時刻jから時刻lまでの期間)と期間tb(時刻lから時刻mまでの期間)とが経過した後から、期間T(L4)における期間taが始まる時刻pまでの期間となる。なお、期間ta、tb、teについては、後述する。
【0043】
さて、本実施の形態においては、図8の(I)IDに示すように、点灯期間の終了時点を、期間taが始まる時刻とし、点灯期間の開始時点を期間taが始まる時刻から点灯期間tc遡って設定している。例えば、期間T(L3)について見ると、発光サイリスタL3の点灯開始時点は、期間T(L4)において、期間taが始まる時刻pから、点灯期間tc3遡った時刻nに設定されている。
したがって、発光素子アレイ駆動装置50において、並行して駆動されているそれぞれのSLEDチップの発光サイリスタについても、それぞれの光量補正値に応じて点灯開始時点がそれぞれ異なることになると考えられる。
このため、駆動回路100は、発光サイリスタが点灯するための電流を一斉に供給することを要せず、発光サイリスタ毎に設定された点灯開始時点に、発光サイリスタを点灯するための電流と点灯している発光サイリスタの発光を維持するための電流とを供給すればよい。このことから、駆動回路100に設けられた電源の電流供給能力を抑え、駆動回路100のサイズが小さくなる。そして、その駆動回路を用いることにより小型の発光素子アレイ駆動装置50となる。
さらに、これにより、SLEDチップの発熱や、漏れ光が増加することを抑えることになる。
なお、上記の説明では、点灯期間tcの終了時点を、期間taが始まる時刻とした。しかし、点灯期間tcの終了時点を、期間taが始まる時刻から予め定められた期間遡った時刻としてもよい。また、点灯期間tcの終了時点を、期間taが始まる時刻から予め定められた期間経過した時刻としてもよい。これらについては、後述する。
【0044】
次に、SLED63の動作を説明する。説明に先立ち、転送サイリスタなどのサイリスタがオンになるための条件を、図6に示した転送サイリスタT1の等価回路を参照して、説明する。
転送サイリスタT1がターンオンするためには、転送サイリスタT1の等価回路を構成する2つのトランジスタ、pnpトランジスタTr1とnpnトランジスタTr2とが共にオンになることが必要である。
なお、ここでサイリスタのターンオンとは、共にオフであったpnpトランジスタTr1とnpnトランジスタTr2とが共にオンに変化し、アノード端子とカソード端子との間が導通状態(低抵抗状態)になることをいう。一方、サイリスタのターンオフとは、共にオンであったpnpトランジスタTr1とnpnトランジスタTr2とが共にオフに変化し、アノード端子とカソード端子との間が非導通状態(高抵抗状態)になることをいう。
【0045】
さて、転送サイリスタT1のゲート端子G1は、npnトランジスタTr2のベース端子にあたる。カソード端子K1は、npnトランジスタTr2のエミッタ端子にあたる。
npnトランジスタTr2がオンになるためには、npnトランジスタTr2のベース端子(G1)−エミッタ端子(K1)間が順バイアスになることが必要となる。これには、ベース端子(G1)−エミッタ端子(K1)間がpn接合の順方向立上り電圧(拡散電位)Vdより大きな電位差となることが必要となる。つまり、SLEDチップ63の特性として、Vdを1.5Vとすると、ベース端子(G1)−エミッタ端子(K1)間の電位差が1.5Vより大きくなることが必要となる。
【0046】
さて、ベース端子(G1)−エミッタ端子(K1)間の電位差が1.5Vを超えると、ベース端子(G1)−エミッタ端子(K1)間に電流が流れ始め、npnトランジスタTr2がオンする。すると、npnトランジスタTr2のコレクタ端子−エミッタ端子(K1)間に電流が流れ始める。これにより、pnpトランジスタTr1のベース端子−エミッタ端子(A1)間に電流が流れ始め、pnpトランジスタTr1がオンする。このようにして、pnpトランジスタTr1とnpnトランジスタTr2とが共にオンになり、転送サイリスタT1がターンオンする。
そして、転送サイリスタT1のカソード端子K1の電位は、−Vdの−1.5Vとなり、ゲート端子G1の電位はほぼ0V(「H」)になる。
【0047】
以上説明したように、転送サイリスタがターンオンする条件は、ゲート端子−カソード端子間を順バイアスにし、その電位差を1.5Vより大きくすることである。すなわち、一般にサイリスタをオンにする条件は、ゲート端子−カソード端子間を順バイアスにし、その電位差をVdより大きくすることであるといえる。
そして、転送サイリスタのカソード端子は信号ラインΦ1またはΦ2に接続されているので、転送サイリスタがターンオンする条件は、ゲート端子−信号ラインΦ1(またはΦ2)間の電位差を、サイリスタのゲート端子−カソード端子間が順バイアスになるようにし、かつその電位差を1.5Vより大きくすることであると言い換えることができる。
【0048】
では、図5、6、8を参照しつつ、SLED63の動作を図8に示した時刻順(時刻a、b、c、…)に説明する。
(1)まず、初期状態(時刻a)においては、転送信号CK1CおよびCK1Rを共に「H」(0V)とし、転送信号CK1を「H」に設定する。同様に、転送信号CK2CおよびCK2Rを共に「H」とし、転送信号CK2を「H」に設定する。
ここで、転送信号CK1は転送電流制限抵抗R1Aを介して信号ラインΦ1に接続されているので、信号ラインΦ1の電位も「H」である。同様に、転送信号CK2は転送電流制限抵抗R2Aを介して信号ラインΦ2に接続されているので、信号ラインΦ2の電位も「H」である。
さらに、点灯信号IDも「H」に設定されているので、点灯信号ラインΦIの電位も「H」である。
【0049】
このとき、スタートダイオードDsは、アノード端子が信号ラインΦ2の「H」(0V)に、カソード端子が電源電圧Vgaの「L」(−3.3V)に設定されているので、順バイアスの状態になっている。このため、転送サイリスタT1のゲート端子G1の電位は、信号ラインΦ2の電位の「H」(0V)からスタートダイオードDsのpn接合の順方向立上り電圧(拡散電位)Vdを引いた値である−1.5Vとなっている。
しかし、すべての転送サイリスタT1〜T128および発光サイリスタL1〜L128は、カソード端子の電位とアノード端子の電位とが「H」(0V)で等しいので、オフになっている。
【0050】
(2)時刻bにおいて、転送信号CK1Rを「L」(−3.3V)にすることで、SLED63の動作が開始する。
転送信号CK1Rを「L」にすると、転送信号CK1が「H」から「L」に向かって変化する。これにより、コンデンサC1の両端に電圧が発生する。また、信号ラインΦ1の電位が、「H」から「L」に向かって変化する。そして、信号ラインΦ1の電位が、ゲート端子G1の電位(−1.5V)とpn接合の順方向立上り電圧(拡散電位)Vdとを加えた値(−3V)より低くなると、転送サイリスタT1のゲート端子G1と信号ラインΦ1との電位差が1.5Vを超えることになる。これにより、前述したように、転送サイリスタT1のゲート電流が流れ始め、転送サイリスタT1はターンオンを開始する。
しかし、転送信号CK1が到達しうる電位は−3.3Vであることから、転送信号CK1と信号ラインΦ1(−3V)との電位差はわずか0.3Vである。このため、転送サイリスタT1への電流供給能力が低く、このままでは転送サイリスタT1がターンオンするまでの時間が長くなる。
【0051】
(3)そこで、時刻cにおいて、転送信号CK1Cを「L」にする。
すると、転送信号CK1Cの電位が急激に「L」(−3.3V)となったことから、転送信号CK1の電位が、急激に−6.6Vに下がる。これにより、転送サイリスタT1のゲート電流が増加し、転送サイリスタT1のターンオンが加速される。
なお、転送信号CK1Cを「L」にしたときに、スリーステートバッファB1Rをハイインピーダンス(Hiz)にすることで、スリーステートバッファB1Rを通してレベルシフト回路104に電流が流れ込むことを阻止し、転送信号CK1の電位が「L」になることを防止する。
【0052】
その後、転送サイリスタT1のゲート電流の増加と共に、信号ラインΦ1の電位が上昇する。さらに、レベルシフト回路104のコンデンサC1に電流が流れ込むことで、転送信号CK1の電位も徐々に上昇する。
【0053】
(4)予め決められた時間(転送信号CK1の電位が「L」(−3.3V)近傍になる時間)の経過後(時刻d)に、スリーステートバッファB1Rをハイインピーダンス(Hiz)から「L」にする。すると、レベルシフト回路104の抵抗R1Bに電流が流れ始める。その一方、転送信号CK1の電位が上昇するので、レベルシフト回路104のコンデンサC1に流れ込む電流は徐々に減少する。
【0054】
転送サイリスタT1がターンオンして、定常状態になると、転送サイリスタT1のオンを保持するための電流が、転送電流制限抵抗R1Aおよびレベルシフト回路104の抵抗R1Bを介して流れる。
また、転送サイリスタT1がオンすると、信号ラインΦ1の電位はほぼ−1.5Vになり、ゲート端子G1の電位はほぼ「H」(0V)になる。
【0055】
(5)転送サイリスタT1が完全にオンし、発光サイリスタL1を消灯する時刻である時刻fから発光サイリスタL1に設定された点灯期間tc1遡った時刻eにおいて、点灯信号IDを「Le」にする。
このとき、発光サイリスタL1のゲート端子G1の電位は0Vとなっている。このため、前述したサイリスタがオンになる条件によると、発光サイリスタL1のカソード端子(点灯信号ラインΦI)に−1.5V以下の電圧を印加すると、発光サイリスタL1が点灯する。
【0056】
一方、図5から、発光サイリスタL2は、ゲート端子G2の電位が順バイアスされたダイオードD1により−1.5Vになっている。よって、発光サイリスタL2のカソード端子(点灯信号ラインΦI)に−3.0V以下の電圧を印加すると、発光サイリスタL2は点灯することになる。同様に、発光サイリスタL3は、ゲート端子G3が−3.0Vであるので、カソード端子(点灯信号ラインΦI)に−4.5V以下の電圧を印加すると、点灯することになる。そして、発光サイリスタL4以降の発光サイリスタL5、…は、ゲート端子の電位が電源電圧Vgaの−3.3Vであるので、カソード端子(点灯信号ラインΦI)に−4.8V以下の電圧を印加すると、点灯することになる。
【0057】
したがって、点灯信号ラインΦIの電位が−1.5Vより低く、−3.0Vより高い電位となるように、点灯信号IDを設定すると、発光サイリスタL1のみをオンにして点灯させうる。ここでは、点灯信号ラインΦIの−1.5Vより低く、−3.0Vより高い電位を点灯電位「Le」と呼び、図8に示すタイミングチャートにおいてそのレベルを「Le」と記す。
【0058】
(6)次に、時刻fにおいて、点灯信号IDを、「H」とすると、発光サイリスタL1のカソード端子の電位とアノード端子の電位とがほぼ等しくなるため、発光サイリスタL1はもはやオンの状態を維持できず、消灯する。しかし、転送サイリスタT1はオンを維持する。
【0059】
(7)同じ時刻fにおいて、転送信号CK2Rを「L」にすると、転送信号CK2が「H」から「L」に向かって変化するとともに、レベルシフト回路104のコンデンサC2の両端に電圧が発生する。
このとき、ゲート端子G1の電位はほぼ0Vになっているので、ゲート端子G2の電位は−1.5Vとなっている。そこで、信号ラインΦ2の電位が−3Vより低くなると、転送サイリスタT2にゲート電流が流れ始め、転送サイリスタT2がターンオンを開始する。
【0060】
(8)その後の時刻gにおいて、転送信号CK2Cを「L」にすると、転送信号CK2の電位が、急激に−6.6Vに下がる。これにより、転送サイリスタT2のターンオンが加速される。なお、時刻gでは、転送サイリスタT1および転送サイリスタT2がともにオンになっている。
【0061】
(9)そして、次の時刻hにおいて、転送信号CK1C、CK1Rを共に「H」にすると、転送サイリスタT1のアノード端子の電位とカソード端子の電位とがほぼ等しくなるため、転送サイリスタT1はターンオフする。
ほほ0VになっていたゲートG1の電位は、転送サイリスタT1がターンオフしたのち、抵抗R1を通して電流が流れることによって、除々に下降し、電源電圧Vga(−3.3V)の電位になる。
このとき、転送サイリスタT2はオンになっている。
(10)その後、発光サイリスタL2を消灯させる時刻jから発光サイリスタL2に設定された点灯期間tc2遡った時刻iにおいて、点灯信号IDを点灯信号ラインΦIの電位が「Le」になるように設定することで、発光サイリスタL2を点灯させる。
【0062】
なお、転送サイリスタT2がオン状態になると、ゲート端子G2の電位が0Vになるが、この電位上昇の影響は、ダイオードD1が逆バイアスであるため、ゲート端子G1には伝わらず、ゲート端子G1の電位はVgaの−3.3Vが維持される。これにより、発光サイリスタL1を点灯するためにカソード端子に印加する電位は−4.8V以下となる。よって、時刻iにおいて、前述したように、点灯信号ラインΦIの電位を「Le」としても、発光サイリスタL1は点灯しえない。すなわち、時刻iにおいて、発光サイリスタL2のみを点灯させうる。
【0063】
(11)上記した動作((2)から(10))を順に繰り返すことで、さらに発光サイリスタL3〜L128を番号順に順次点灯させうる。
【0064】
なお、図8に示した例では、発光サイリスタL1〜L4をすべて点灯させることとしたが、画像データに基づいて点灯信号IDを「Le」にして“点灯”に設定したり、「H」のままとして“非点灯”としたりすることで、発光サイリスタL1〜L128の点灯/非点灯を発光サイリスタ毎に制御しうる。
また、点灯を開始する時刻、すなわち点灯信号IDを「H」から「Le」にする時刻を変えることにより、発光サイリスタ毎に点灯期間tcの長さを設定して、光量補正しうる。
【0065】
上記したように、本実施の形態においては、ダイオードを間にはさんで接続された複数の転送サイリスタが、順にオンにされた場合に、転送サイリスタに対応して設けられた発光サイリスタのゲート端子の電位を高くして、発光サイリスタを点灯しやすい状態に設定する。また、転送サイリスタが、オフにされた場合に、転送サイリスタに対応して設けられた発光サイリスタを点灯しにくい状態に設定する。
そして、転送サイリスタは、ダイオードを間にはさんで接続された3つのオフ状態の転送サイリスタにおいて、中央の転送サイリスタに着目した場合、まず前段の転送サイリスタがオンになり、次に、中央の転送サイリスタがオンになって、前段の転送サイリスタと共にオンになる。次いで、前段の転送サイリスタがオフになって、中央の転送サイリスタのみがオンになる。そして、後段の転送サイリスタがオンになって、中央の転送サイリスタと後段の転送サイリスタとが共にオンになる。そして、次に、中央の転送サイリスタがオフになることで、転送サイリスタのオン状態が伝搬する(転送している)。
【0066】
次に、点灯期間tcについてより詳細に説明する。
発光サイリスタの特性ばらつきなどに起因して、形成された画像に濃度ムラが発生する。そこで、予め測定されたデータに基づいて、発光サイリスタ毎に光量補正を行うことで、画像の濃度ムラを少なくし、形成された画像の画質向上を図っている。
本実施の形態では、光量補正の方法として、点灯期間tcを可変にする方法を用いている。例えば、図8の期間T(L3)では、時刻nから時刻pまでの点灯期間tc3で点灯信号IDを「Le」にして、発光サイリスタL3を点灯させている。そして、この点灯期間tcを発光サイリスタ毎に設定している。さらに、本実施の形態では、点灯終了時点(期間T(L3)では時刻p)を固定とし、点灯開始時点(期間T(L3)では時刻n)を可変として、発光サイリスタの点灯期間tcを変えることで光量補正を行っている。
【0067】
ここで、期間T(L3)を例として、点灯期間tc3が設定できる点灯可能期間teについて説明する。
図8において、時刻jから時刻lまでの期間taは、前述したように、転送信号CK1RとCK2Rとが共に「L」の期間である。この期間taは、転送サイリスタT3に対して前段にあたる転送サイリスタT2がオンの状態で、転送サイリスタT3がオン状態に移行する期間である。よって、この期間において、転送サイリスタT2のゲート端子G2の電位は0V、転送サイリスタT3のゲート端子G3の電位は−1.5Vから0Vに向かって変化していく。そして、発光サイリスタL2のしきい電圧は−1.5Vを維持し、発光サイリスタL3のしきい電圧は−3.0Vから−1.5Vへ変化して行く。したがって、この期間taにおいて、点灯信号ラインΦIに「Le」を与えると、発光サイリスタL3に加えて、点灯を予定していない発光サイリスタL2も点灯してしまうことがありうる。
以上説明したように、時刻jから時刻lまでの期間taは、転送信号CK1RとCK2Rとを共に「L」にすることにより、オンの状態の転送サイリスタT2に加え、転送サイリスタT2の後段にあたる転送サイリスタT3をオン状態に移行させる期間である。よって、期間taは、連続して接続された2つの転送サイリスタを共にオン状態にする転送信号を供給する期間といえる。
【0068】
次に、図8において、時刻lにおいて、転送信号CK2C、CK2Rが共に「H」になると、転送サイリスタT3に対して前段にあたる転送サイリスタT2のアノード端子の電位とカソード端子の電位とがほぼ等しくなり、転送サイリスタT2はターンオフする。すると、ほぼ0Vであったゲート端子G2の電位は、抵抗R2を通して電流が流れることにより、電源電圧Vgaの−3.3Vへと変化する。
しかし、ゲート端子G2の電位が0Vまたはそれに近い値にとどまっている間に、点灯信号ラインΦIに「Le」を与えると、やはり発光サイリスタL3に加えて点灯を予定しない発光サイリスタL2が点灯してしまう。
すなわち、期間tbは、ゲート端子G2の電位が電源電圧Vgaの−3.3Vに向かって変化し、もはや点灯信号ラインΦIに「Le」を与えても、発光サイリスタL2が点灯しない状態となるまでの期間である。
【0069】
したがって、発光サイリスタL3のみを点灯することができる点灯可能期間teは、期間T(L3)の期間tbが経過した後から、次の期間T(L4)の期間taが開始するまでの期間に設定するのが好ましい。すると、点灯可能期間teは、te=T−ta−tbで表せる。
そして、本実施の形態では、点灯開始時点、すなわち点灯信号IDを「H」から「Le」にする時刻を、期間tbが終了した後において、次の期間taが始まる時刻を点灯期間tcの終了時刻とし、この時刻から点灯期間tc遡った時刻に設定することとしている。
なお、点灯開始時点は、画像データおよび発光サイリスタの光量補正値により、駆動回路100において求め、パルス発生回路により点灯開始時点を設定すればよい。
【0070】
なお、上述では、点灯期間tcの終了時刻を、連続して接続された2つの転送サイリスタを共にオン状態にする転送信号を供給する期間taが始まる時点とした。しかし、点灯期間tcの終了時点は、期間taが始まる時刻から予め定められた期間遡った時点としてもよい。後述するように、不意に転送サイリスタがオフになって、そのゲート端子の電位が「L」に移行し始めても、後段の転送サイリスタがターンオンしうる状態にある間に、後段の転送サイリスタをターンオンするための転送信号が供給されれば転送異常を生じないからである。
【0071】
例として、前段の転送サイリスタを転送サイリスタT3とし、後段の転送サイリスタを転送サイリスタT4として説明する。すると、期間taが始まる時刻から遡ってよい期間は、後段の転送サイリスタT4をオン状態にすることなく、前段の転送サイリスタT3をオフにする転送信号(転送信号CK1RおよびCK1Cの「L」から「H」への移行)を供給した時点から、後段の転送サイリスタT4をオン状態にする転送信号(転送信号CK2Rの「H」から「L」への移行)を供給する時点までの期間であって、後段の転送サイリスタがオン状態になりうる場合の期間に相当する。すなわち、前段の転送サイリスタT3をオフにする転送信号を供給しても、前段の転送サイリスタT3は直ちにはオフにならず、ゲート端子G3の電位も0Vから電源電圧Vga(−3.3V)に直ちに移行しないためである。このため、前段の転送サイリスタT3をオフにする転送信号を供給したのち、しばらく時間が経過した時点においても、後段の転送サイリスタT4がオン状態に移行しうるためである。なお、遡ってよい期間は、前段の転送サイリスタT3をオフにする転送信号を供給したのち後段の転送サイリスタT4がオン状態に移行しうる最大の期間とする必要はなく、最大の期間より短い期間が用いうる。
【0072】
一方、点灯期間tcの終了時点を、期間taが始まる時刻から予め定められた期間経過した時点としてもよい。前述したと同様に、前段の転送サイリスタを転送サイリスタT3とし、後段の転送サイリスタを転送サイリスタT4として説明する。すると、時刻pから時刻rの期間taは後段の転送サイリスタT4がオン状態に移行する期間であるので、期間taの始まる時刻pからしばらくの期間、後段の転送サイリスタT4はターンオンしない。そして、後段の転送サイリスタT4に接続された発光サイリスタL4は、そのしきい電圧が−3.3Vから上昇せず、「Le」が与えられてもターンオンできない状態の期間が存在することになる。よって、点灯期間tc3の終了時点を、期間taが始まる時刻pから後段の転送サイリスタT4に接続された発光サイリスタL4が「Le」で点灯しない期間経過した時点としてよいことになる。この場合も、期間taが始まる時刻から上記によって定められる経過した時点までの期間(経過する期間)は、必ずも最大の期間とする必要はなく、最大の期間より短い期間が用いうる。
【0073】
(実施例)
図9は、本実施の形態における実施例および比較例の実験条件を示すタイミングチャートである。ここでは、図8に示した信号のうち、転送信号CK1R、CK2Rおよび点灯信号IDを取り出して示している。発光サイリスタL3を点灯させる期間T(L3)を例として、実験条件を説明する。
【0074】
図9(a)に示す実施例は、隣接する2つの転送サイリスタを共にオンの状態にする転送信号を供給する期間taが始まる時刻(例えば時刻p)から、設定された点灯期間tc(tca)遡った時刻(例えば時刻n)を点灯の開始時点とし、期間taが始まる時刻(例えば時刻p)を点灯の終了時点としている。そして、点灯の開始時点を変えて点灯期間tc(tca)を変化させている。
図9(b)に示す比較例は、隣接する2つの転送サイリスタを共にオンの状態にする転送信号を供給する期間ta(例えば時刻jから時刻l)と、前段の転送サイリスタに接続された発光サイリスタが点灯しえない状態となるまでの期間tb(例えば時刻lから時刻m)とが経過した時刻(例えば時刻m)を点灯の開始時点とし、設定された点灯期間tc(tcb)が経過した時刻(例えば時刻o)を点灯の終了時点としている。そして、点灯の終了時点(例えば時刻o)を変えることにより点灯期間tc(tcb)を変化させている。
なお、点灯期間tcは、実施例と比較例とで区別するため、それぞれ点灯期間tcaと点灯期間tcbとした。
【0075】
そして、発光サイリスタを点灯制御する周期Tを460ns、期間taを20ns、期間tbを40nsとした。さらに、電源電圧Vga端子を0Vに設定し、基準電位Vsub端子に正の電圧を印加した。この電圧の設定は、これまでの説明と異なるが、単にシフトさせたにすぎず、電源電圧Vgaと基準電位Vsubとの電位の高低の関係は同じである。
この条件において、Vsub端子とVga端子との間の電圧(電源電圧)と、点灯期間tc(tca、tcb)とを変えて、転送サイリスタの転送動作を観察した。そして、転送サイリスタの転送動作が正常に行われる最低の電源電圧を動作電圧とした。
ここでは、3つのSLEDチップについて実験を行った。
【0076】
図10は、実施例および比較例の実験結果を示した図である。横軸を点灯期間tca、tcbとし、縦軸を動作電圧とした。図10において、○、△、□で示す値は、3つの異なるSLEDチップでの実施例での実験結果である。一方、●、▲、■で示す値は、3つの異なるSLEDチップでの比較例での実験結果である。なお、○と●、△と▲、そして□と■とは同じSLEDチップでの実験結果である。
図10に示すように、実施例では、点灯期間tcaの長さに関わらず、動作電圧はほぼ2.6Vである。これに対し、比較例では、点灯期間tcbが20nsと短い場合および380nsと長い場合は、動作電圧が2.8V近傍であるが、それ以外の場合は、動作電圧が3V以上と高い。すなわち、比較例での動作電圧は、実施例に比べ動作電圧が最大で0.7V高い。すなわち、本実施の形態では、点灯期間の長さに関わらず、駆動電圧を低く設定しうる。
【0077】
実施例に比べて比較例の動作電圧が高い理由は、転送異常によると考えられる。
SLEDチップを駆動する際、オン状態の転送サイリスタがオフすべきタイミング以外のタイミングでオフするという現象を生じることがある。このとき、転送サイリスタが一旦オフすると、例えば1番目の発光サイリスタに戻って転送動作が行われるなど、正常転送動作が失われ、もはや正しい画像を得ることができなくなる。この正常な転送が失われることを“転送異常”という。
以下では、転送異常について説明する。
図11はSLED63における転送異常を説明するタイミングチャートである。
図11では、図8における期間T(L3)を中心として、時刻jから時刻sの期間の転送信号CK1R、CK2R、点灯信号IDを取り出して示している。さらに、発光サイリスタL3、転送サイリスタT2、T3、T4のオン/オフの状態を示している。なお、ここでは、電源電圧Vgaを−3.3V、基準電位Vsubを0Vとして説明する。
【0078】
時刻jで、転送信号CK1Rが「H」(0V)から「L」(−3.3V)に移行すると、転送サイリスタT3のゲート端子に電流が流れ始め、転送サイリスタT3がターンオンを開始する。
そして、転送サイリスタT3がターンオンすると、信号ラインΦ1の電位はほぼ−1.5Vへ変化する(時刻l)。
その後、時刻mにおいて、点灯信号IDが「H」から「Le」へと移行すると、発光サイリスタL3がオンになり、点灯する。
【0079】
さて、図11に示すように、転送サイリスタT3がオンである時刻oにおいて、点灯信号IDを「H」にして、発光サイリスタL3をオフにすると、信号ラインΦ1の電位が、「H」に向かって上昇し、破線で示すcase−Aのように、そのまま「H」になることがある。信号ラインΦ1が「H」になると、転送サイリスタT3はもはやオン状態を維持できず、オフになる。そして、ゲート端子G3の電位はほぼ0Vから電源電圧Vgaの−3.3Vに変化する。それに伴い、ゲート端子G4の電位も電源電圧Vgaの−3.3Vになる。
【0080】
この結果、時刻pにおいて、転送信号CK2Rを「L」(−3.3V)にしても、転送サイリスタT4はオンにならず、オフのままとなる。すなわち、転送サイリスタT3から転送サイリスタT4へとオンの状態が転送されず、転送動作が中断することになる。
一方、時刻oにおいて、信号ラインΦ1の電位が一旦「H」(0V)に向かって上昇しても、実線で示すcase−Bのように、再び低下して元の電位を回復することがある。このとき、時刻pにおいて、転送サイリスタT3がオンであれば、転送サイリスタT4をオンにすることができるので、転送動作は正常に行われることになる。
【0081】
次に、点灯信号IDの変化により、信号ラインΦ1の電位が変動する理由を説明する。
図12は、転送異常を説明するための発光サイリスタL3と転送サイリスタT3との断面図である(図7のVIIB−VIIB線での断面図にあたる。)。図7で示したように、発光サイリスタL3と転送サイリスタT3とは、1つのアイランド内に形成されている。
なお、図12では、転送サイリスタT3のnpnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2による等価回路も示している。
【0082】
ここで、図11における時刻mから時刻pまでの期間を考える。
時刻mにおいて、点灯信号ラインΦIには、−1.7Vが供給されるとする。なお、−1.7Vは、前述した点灯信号「Le」の範囲にあるので、発光サイリスタL3のみを点灯させうる。
これにより、点灯信号ラインΦIにオーミック電極121(発光サイリスタL3のカソード端子)で接続された領域111のn型の第4半導体層85の電位は、−1.7Vになっている。
【0083】
オン状態のサイリスタでは、前述したようにカソード端子−ゲート端子間の電位差は、ほぼVd(1.5V)である。このため、発光サイリスタL3のゲート端子G3に接続されたp型の第3半導体層84の電位は−0.2Vになっている。
このことは、オーミック電極121とゲート端子G3との間に電位差1.5Vの蓄積容量が形成されていることに等しい。
【0084】
時刻oにおいて、点灯信号ラインΦIの電位を−1.7Vから0Vに引き上げ、発光サイリスタL3をオフにする。すると、p型の第3半導体層84の電位は、電位差1.5Vを引き継いで、−0.2Vから1.3Vへと急激にシフトする。
ここで、発光サイリスタL3のp型の第3半導体層84は転送サイリスタT3とつながった同一の層で構成されているので、信号ラインΦ1の電位が「H」(0V)に向かって上昇する(図11の時刻oでの信号ラインΦ1の変化に対応する。)。
このとき、駆動回路100が、信号ラインΦ1に対して十分な電流を供給する能力を有すれば、信号ラインΦ1の電位の上昇の影響を吸収して、元の電位に戻る(case−B)。
【0085】
しかし、本実施の形態においては、信号ラインΦ1は転送電流制限抵抗R1Aおよび抵抗R1Bを介して駆動回路100に接続されている。このため、駆動回路100は、急激な信号ラインΦ1の電位の変化に追随できる電流を供給することができず、信号ラインΦ1の電位を−1.5Vに維持することが困難となることが考えられる。
この結果、転送サイリスタT3を構成するpnpトランジスタTr1のコレクタ(p型の第3半導体層84)の電位が上昇し、pnpトランジスタTr1のコレクタ端子−エミッタ端子間の電位関係が逆転して、pnpトランジスタTr1がオフになる。これにより、転送サイリスタT3がオフになり(case−A)、転送動作が中断(転送異常)すると考えられる。
【0086】
以上のことから、図10に示した比較例では、上記のcase−Bを実現するために、駆動回路100の電流供給能力を高めるために動作電圧を大きくすることが必要であったことを意味していると考えられる。
すなわち、転送異常は、特に低い電源電圧で駆動する場合において顕著になる。そして、転送異常は、転送サイリスタのオン状態を維持する電流(保持電流)または電圧(保持電圧)を増すことで抑制しうると考えられる。しかし、プリント基板上に多数のSLEDチップが配列されて構成された発光素子アレイ駆動装置においては、転送サイリスタの駆動のための電流を供給する駆動回路の能力を上げることとなり、駆動回路のサイズの増大を招くとともに、発光素子アレイ駆動装置が大型化してしまう。さらに、SLEDチップの発熱や、漏れ光が増加してしまうことになる。
【0087】
以上説明したように、転送異常は、転送サイリスタT3がオン状態である期間の途中に、点灯信号IDを「Le」から「H」へと移行させ、発光サイリスタL3を消灯するときに生じると考えられる。別の観点から言うと、転送サイリスタT3がオフになることにより次段の転送サイリスタT4がオンになることができないときに生じると考えられる。
【0088】
したがって、実施例に示したように、次段の転送サイリスタT4をオンにするタイミングにおいて、発光サイリスタL3を消灯すれば転送異常が生じにくいと考えられる。すなわち、例え、点灯信号IDを「Le」から「H」にするタイミングにおいて、転送サイリスタT3がオフとなっても、ゲート端子G3の電位は0Vから−3.3Vへと直ちに引き下げられない。そして、ゲート端子G3とダイオードD3で接続されたゲート端子G4の電位も−1.5Vから−3.3Vへと直ちに変化しない。このため、転送信号CK2Rが「H」から「L」へ移行すると、転送サイリスタT4がオンになりえて、転送動作が正常に行われることになると考えられる。
【0089】
なお、比較例において、点灯期間tcbが短い場合に、動作電圧が低いのは、例え期間tbの後であっても、オン状態にあった転送サイリスタT2のゲート端子G2の電位が−3.3Vまで引き下げられていないため、転送サイリスタT3がオフになりかけても、再度オンになりやすいためと考えられる。
一方、比較例において、点灯期間tcbが長い場合に、動作電圧が低いのは、実施例と同様に、転送サイリスタT3が例えオフになっても、ゲート端子G3の電位が0Vから−3.3Vにまで引き下げられていないため、ゲート端子G4の電位も−1.5Vに近い値に止まって、転送サイリスタT4がオンになりうるためと考えられる。
【0090】
なお、実施例においては、点灯終了時点を2つの転送サイリスタを共にオン状態にする転送信号を供給する期間taの開始時刻(転送信号CK1RとCK2Rとが共に「L」になる時刻)と一致させた。しかし、点灯終了時点を必ずしも期間taの開始時刻に一致させなくともよい。
例えば、図10に示したように、点灯期間tcが380nsの比較例の動作電圧は2.8Vと低い。このことから、点灯終了時点を期間taの開始時刻前の長くとも20ns以内に設定すればよい。
なお、この期間は、前述したように、前段の転送サイリスタにオフにする転送信号を供給した後、オフ状態にあった後段の転送サイリスタがオン状態になりうる期間に相当する。よって、点灯期間tcの終了時点は、2つの転送サイリスタを共にオン状態にする転送信号を供給する期間taの開始時刻から、上記によって決められる期間において設定しうる。
【0091】
なお、本実施の形態では、レベルシフト回路104を用いて転送サイリスタのターンオンを加速したが、レベルシフト回路104を用いなくてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、アノード端子を基準電位Vsubにした3端子のサイリスタを発光サイリスタおよび転送サイリスタとした場合について説明した。一方、カソード端子を基準電位Vsubとした3端子のサイリスタを発光サイリスタおよび転送サイリスタとした場合でも、回路の極性を変更することによって用いうる。
本実施の形態では、SLED63をGaAs系の半導体で構成していたが、これに限られるものではない。例えばGaP等、イオン注入によるp型半導体,n型半導体の製作が困難な化合物半導体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…画像形成装置、11,11Y,11M,11C,11K…画像形成ユニット、14…プリントヘッド、50…発光素子アレイ駆動装置、62…回路基板、63…自己走査型発光素子アレイ(SLED)、64…ロッドレンズアレイ、100…駆動回路、104…レベルシフト回路、105、106…電源ライン、107、108、109…信号ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子と、
連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、
連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段と
を備えることを特徴とする発光素子アレイ駆動装置。
【請求項2】
前記点灯期間の開始時点は、前記発光素子に対応して設けられた前記スイッチ素子と、当該スイッチ素子に電気的に接続された前段のスイッチ素子とが共にオン状態である期間が終了した後であって、当該前段のスイッチ素子に対応する発光素子が点灯しやすい状態にある期間が経過した後であることを特徴とする請求項1記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項3】
前記点灯期間の終了時点は、前記連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点から、前記連続して接続された2つのスイッチ素子において前段のスイッチ素子をオフ状態に移行させる転送信号を供給後、オフ状態の後段のスイッチ素子がオン状態に移行しうる期間を遡って設定されることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項4】
前記点灯期間の終了時点は、前記発光素子に対応して設けられた前記スイッチ素子と、当該スイッチ素子に電気的に接続された後段のスイッチ素子とを共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点より遡って20ns以内であることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項5】
前記点灯期間の終了時点は、前記連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点から、当該連続して接続された2つのスイッチ素子における後段のスイッチ素子に接続された発光素子が点灯しにくい状態で維持されている期間を経過して設定されることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項6】
前記点灯期間の開始時点は、前記発光素子毎に設定されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項7】
前記転送信号供給手段は、レベルシフト手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項8】
前記レベルシフト手段は、一端が前記スイッチ素子に接続され、他端はコンデンサが接続された信号線と抵抗が接続された信号線とに並列に分岐していることを特徴とする請求項7記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項9】
前記発光素子および前記スイッチ素子がサイリスタで構成されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載の発光素子アレイ駆動装置。
【請求項10】
複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた発光装置と、
連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、
連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段と
を備える像保持体を露光する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項11】
前記発光装置を複数備えたことを特徴とする請求項10記載のプリントヘッド。
【請求項12】
像保持体を帯電する帯電手段と、
複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれの発光素子と電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた複数の発光装置と、
連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給する転送信号供給手段と、
連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する点灯信号供給手段と
を備え、前記像保持体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段から照射される光を前記像保持体上に結像させる光学手段と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像手段と、
前記像保持体に現像された画像を被転写体に転写する転写手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
複数の発光素子と、当該複数の発光素子のそれぞれと電気的に接続され、接続された当該発光素子を、オン状態とされた場合に点灯しやすい状態に設定し、オフ状態とされた場合に点灯しにくい状態に設定するとともに、相互に列状に電気的に接続された複数のスイッチ素子とを備えた発光素子アレイ駆動装置における信号供給方法であって、
連続して接続された2つのスイッチ素子が共にオン状態になる期間が重なるように期間をずらして、前記複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子を順にオフ状態からオン状態そしてオフ状態に移行させることで、当該複数のスイッチ素子のそれぞれのスイッチ素子においてオン状態を伝搬させる転送信号を供給し、
連続して接続された2つのスイッチ素子を共にオン状態にする転送信号を供給する期間の開始時点を基準として前記発光素子の点灯期間の終了時点を設定し、当該終了時点より遡って当該発光素子の当該点灯期間の開始時点を設定した点灯信号を供給する
ことを特徴とする信号供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−162889(P2010−162889A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283545(P2009−283545)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】