説明

発振回路およびそれを用いた振動式センサ

【課題】 振動子の寄生抵抗や寄生容量による共振特性(Q値やゲイン等)への影響を低減して、発振回路の安定した発振を実現し得ると共に、振動式センサの測定精度を向上させ得る発振回路およびそれを用いた振動式センサを提供する。
【解決手段】 静電駆動型振動子(固定電極1および振動子3)の出力電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路を、演算増幅器14並びに抵抗11,12および13を備えた負性インピーダンス変換回路10で構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子の寄生抵抗や寄生容量による影響を低減して、振動式センサの測定精度を向上させ得る発振回路およびそれを用いた振動式センサに関する。
【背景技術】
【0002】
振動式センサを用いて圧力等の物理量を測定する物理量測定装置が種々提案されている。例えば、静電駆動型振動子を用いた振動式センサの場合、振動子と電極との間に働く静電吸引力の変化に応じて振動する振動子の周波数に基づいて物理量を測定する。このような静電駆動型振動子を用いた振動式センサによる物理測定装置として、例えば特開2009−257807号公報に開示されたものがある。
【0003】
図4に、従来の静電駆動型振動子を用いた振動式センサの基本的な構成図を示す。同図において、振動式センサ102は、固定電極1と、振動子3と、電流電圧変換回路20と、絶対値回路30と、誤差増幅器40およびオートゲインコントロール回路50を備えた駆動部と、シュミットトリガ60と、を備えた構成である。ここで、振動子3は、固定電極1に対し所定間隔で対向設置され、その形状(例えば、梁の形状)によって決定される固有振動数を持つ。
【0004】
また、バイアス電圧Vbが印加される固定電極1、固定電極1と振動子3との間に働く静電吸引力、振動子3、電流電圧変換回路20、駆動部および自励振信号Viの固定電極1への帰還という一連のループによって、振動子3を固有振動数で振動させる自励振回路(正帰還ループ)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−257807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、圧電振動子等の振動子を用いる振動式センサの場合、振動子のQ値(共振の尖鋭度)を高めることにより非常に高い分解能、再現性、安定性が得られることが知られている。また、振動子を電気回路素子として見たとき、その共振特性は、2端子振動子、即ち、等価直列抵抗Rme、直列インダクタンスLme、直列容量Cmeの直列回路と並列容量C0との並列回路で評価できる。
【0007】
しかしながら、実際には、振動子の製造プロセスにおいて、構造上、寄生抵抗や寄生容量が形成されることは避けられず、これらが振動子の共振特性(Q値やゲイン等)を悪化させてしまい、振動式センサの測定精度が低下するという事情があった。
【0008】
例えば、寄生抵抗について見てみると、図2(a)に示す如く、寄生抵抗Rp1およびRp2を持つ等価回路として表される。このとき、図5の電流電圧変換回路20の出力である電圧信号Voについて、Q値Q10およびゲインG10を求めると、次式で表される。
(数1)
10=(Lme/Cme)1/2/(Rme+Rp1+Rp2) (1)
10=−Rf/(Rme+Rp1+Rp2) (2)
ここで、電流電圧変換回路20の帰還抵抗27の抵抗値をRfとし、また、並列容量C0≫直列容量Cmeとして並列容量C0を無視できるものとした。
【0009】
式(1)、(2)において、寄生抵抗が無い(Rp1=Rp2=0)理想的な場合と比較すると、寄生抵抗が形成されてRp1、Rp2が有限値を持つ場合には、Q値Q10およびゲインG10共に低下することが分かる。このようなQ値の低下は、発振の安定性を低下させ、場合によっては発振が不可能になる恐れもある。また、ゲインの低下はSN比(信号対雑音比)の悪化を招く。
【0010】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、振動子の寄生抵抗や寄生容量による共振特性(Q値やゲイン等)への影響を低減して、安定した発振を実現し得る発振回路を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、測定精度を向上させ得る発振回路を用いた振動式センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る発振回路は、振動子と、前記振動子の出力電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、を備えた発振回路であって、前記電流電圧変換回路を負性インピーダンス変換回路としたことを特徴とする。
【0012】
また、上記発明において、前記負性インピーダンス変換回路は、演算増幅器と、 一端が前記演算増幅器の一方の入力端子に接続され、他端が前記演算増幅器の出力端子に接続され、前記一端に前記振動子の出力電流信号が入力される第1回路と、一端が前記第1回路の他端に接続され、他端が前記演算増幅器の他方の入力端子に接続される第2回路と、一端が前記第2回路の他端に接続され、他端が電源電位に接続される第3回路と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、上記発明において、前記第1回路、前記第2回路および前記第3回路をそれぞれ抵抗素子で構成したことを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、前記第1回路および前記第2回路をそれぞれ抵抗素子で構成し、前記第3回路を容量性素子で構成したことを特徴とする。
【0015】
また、上記発明において、前記第1回路を抵抗素子および容量性素子の並列回路で構成し、前記第2回路および前記第3回路をそれぞれ抵抗素子で構成したことを特徴とする。
【0016】
また、上記発明において、前記振動子は、静電駆動型振動子、水晶振動子、弾性表面波振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子であることを特徴とする。
【0017】
さらに、上記発振回路を用いて、前記振動子に被測定対象の物理量が作用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る発振回路によれば、振動子の寄生抵抗や寄生容量による共振特性(Q値やゲイン等)への影響を低減または相殺することができ、発振回路の安定した発振を実現し得ると共に、振動式センサの測定精度を向上させ得る発振回路を提供することができる。また、当該発振回路を用いた振動式センサの測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る発振回路を用いた振動式センサの構成図である。
【図2】実施例の振動式センサで用いる発振回路の説明図である。
【図3】変形例の振動式センサで用いる発振回路の説明図である。
【図4】従来の振動式センサの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、発振回路に用いる振動子を静電駆動型振動子として説明するが、これに限定されることなく、静電駆動型振動子を、他の圧電振動子、例えば水晶振動子、弾性表面波振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子等に置き換えた場合でも同等の作用効果を奏する。
【実施例】
【0021】
図1は本発明の一実施例に係る発振回路を用いた振動式センサの構成図である。同図において、図4(従来例)と重複する部分には同一の符号を附する。
同図において、本実施例の振動式センサ101は、固定電極1と、振動子3と、負性インピーダンス変換回路10と、絶対値回路30と、誤差増幅器40およびオートゲインコントロール回路50を備えた駆動部と、シュミットトリガ60と、を備えた構成である。なお、本実施例において、特許請求の範囲にいう振動子は静電駆動型振動子であり、図1における固定電極1および振動子3が該当する。
【0022】
ここで、振動子3は、固定電極1に対し所定間隔で対向設置されている。また、振動子3は、その形状(例えば、梁の形状)によって決定される固有振動数を持ち、振動子3を固有振動数で振動させる自励振回路が形成されている。すなわち、バイアス電圧Vbが印加される固定電極1、固定電極1と振動子3との間に働く静電吸引力、振動子3、負性インピーダンス変換回路10、駆動部および自励振信号Viの固定電極1への帰還という一連のループによって、振動子3を固有振動数で振動させる自励振回路(正帰還ループ)が形成される。
【0023】
振動子3の振動の動作について簡単に説明する。固定電極1と振動子3との間には、抵抗73を介してバイアス電圧Vbが印加される。固定電極1は自励振信号Viによって駆動される。なお、自励振信号Viの周波数は振動子3の固有振動数と一致する。自励振信号Viによって固定電極1に印加される電圧が変化するため、振動子3は、固定電極1と振動子3との間に働く静電吸引力の変化に応じて固有振動数で振動する。このとき、静電電流が、固定電極1と振動子3との間に形成された容量を介して固定電極1から振動子3へ流れる。そして、この静電電流が振動子3から出力されることとなる。
【0024】
この振動子3の出力である電流信号ioは、負性インピーダンス変換回路10によって電圧信号Voに変換される。すなわち、従来の構成(図5)では電流電圧変換回路20によって電流信号ioから電圧信号Voへの変換を行っていたが、本実施例の構成では負性インピーダンス変換回路10によって変換している。従来の電流電圧変換回路20を負性インピーダンス変換回路10に置き換えたことによって得られる作用効果については後述する。
【0025】
変換された電圧信号Voは、シュミットトリガ60、絶対値回路30およびオートゲインコントロール回路50にそれぞれ入力される。シュミットトリガ60では、図中に付記した信号波形で示されるように、電圧信号Voを2値のディジタル信号に波形整形した周波数信号を生成する。なお、この周波数信号は物理量測定装置の演算処理部(図示せず)に供給され、測定対象の圧力等の物理量が求められることとなる。
【0026】
また、絶対値回路30では、電圧信号Voの振幅に一致する直流電圧を生成し、これを絶対値信号Vabsとして誤差増幅器40に出力する。誤差増幅器40では、絶対値信号Vabsの設定電圧Vrefに対する誤差(差分)を増幅して、これを誤差信号Verrとしてオートゲインコントロール回路50に出力する。オートゲインコントロール回路50では、電圧信号Voおよび誤差信号Verrに基づき、電圧信号Voの振幅を設定電圧Vrefに一致させた自励振信号Viを生成して固定電極1へ出力する。
【0027】
なお、本実施例の振動式センサ101では、測定対象の圧力等の物理量が振動子3に作用することによって、振動子13の歪が変化し、固有振動数が変化する。すなわち、振動子3に印加される圧力等の物理量に応じて、振動子3の固有振動数は変化する。電圧信号Voの周波数は振動子3の固有振動数と一致するため、電圧信号Voの周波数によって圧力等の物理量を知ることができる。
【0028】
次に、図2を参照して、本実施例の振動式センサで用いる発振回路について説明する。ここで、図2は実施例の振動式センサで用いる発振回路の説明図であり、図2(a)は静電駆動型振動子(図1中の固定電極1および振動子3)の等価回路、図2(b)は負性インピーダンス変換回路10の回路図である。
【0029】
上述したように、静電駆動型振動子を電気回路素子として見たとき、その共振特性を評価するための等価回路は、等価直列抵抗Rme、直列インダクタンスLme、直列容量Cmeの直列回路と並列容量C0との並列回路で表される。また、本実施例では、静電駆動型振動子の製造プロセスにおいて寄生抵抗が形成されたケースを想定する。この場合、等価回路は、図2(a)に示すように、該並列回路に対してそれぞれ直列に寄生抵抗Rp1およびRp2が接続されたものとなる。
【0030】
また、本実施例では、負性インピーダンス変換回路10を、演算増幅器14並びに抵抗11,12および13で構成する。すなわち、負性インピーダンス変換回路10は、演算増幅器14と、一端が演算増幅器14の一方の入力端子(−)に接続され、他端が演算増幅器14の出力端子(ノードN2)に接続され、一端(ノードN1)に静電駆動型振動子の出力である電流信号ioが入力される第1抵抗11と、一端が第1抵抗11の他端(ノードN2)に接続され、他端が演算増幅器14の他方の入力端子(+)に接続される第2抵抗12と、一端が第2抵抗12の他端(ノードN3)に接続され、他端が電源電位Vgに接続される第3抵抗13と、を備えた構成である。
【0031】
ここで、第1抵抗11,第2抵抗12および第3抵抗13の抵抗値をそれぞれR1,R2およびR3とし、演算増幅器14を理想のものとすれば、負性インピーダンス変換回路10の入力インピーダンスZiは次式となる。
(数2)
Zi=−R1・R3/R2 (3)
すなわち、入力側から負性インピーダンス変換回路10を見たとき、負性インピーダンス(負性抵抗)が観測されることになる。
【0032】
また、このとき、負性インピーダンス変換回路10の出力である電圧信号Voについて、Q値QおよびゲインGを求めると、次式で表される。
(数3)
=(Lme/Cme)1/2/(Rme+Rp1+Rp2+Zi) (4)
=Zi・(1+R3/R2)/(Rme+Rp1+Rp2+Zi) (5)
ここで、従来と同様、並列容量C0≫直列容量Cmeとして並列容量C0を無視できるものとした。
【0033】
まず、Q値について従来の式(1)と本実施例の式(4)とを比較すると、式(4)の分母で加算される入力インピーダンスZiは負値であり、寄生抵抗の形成による増分Rp1およびRp2を負性インピーダンス変換回路10の入力インピーダンスZiによって相殺できることが分かる。
【0034】
このように、本実施例の発振回路によれば、寄生抵抗の形成によるQ値の低下を抑制して(従来よりもQ値を上昇させて)安定した発振を実現することができると共に、高い分解能を実現することができる。また、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサの測定精度を向上させることができる。
【0035】
また、ゲインについて従来の式(2)と本実施例の式(5)とを比較すると、式(5)の分母で加算される入力インピーダンスZiは負値であり、寄生抵抗の形成による増分Rp1およびRp2を負性インピーダンス変換回路10の入力インピーダンスZiによって相殺できることが分かる。また同時に、第2抵抗12と第3抵抗13の抵抗値比(R3/R2)をより大きな値とすることにより、ゲインを上昇させることができることも分かる。
【0036】
このように、本実施例の発振回路によれば、寄生抵抗の形成によるゲインの低下を抑制して(従来よりもゲインを上昇させて)SN比を改善することができる。また、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサのSN比をも改善させることができる。
(変形例)
【0037】
次に、変形例について図3を参照して説明する。本変形例では、静電駆動型振動子の製造プロセスにおいて寄生抵抗および寄生容量が形成され、発振回路の共振特性(Q値やゲイン等)への影響があることを想定している。ここで、図3は変形例の振動式センサで用いる発振回路の説明図であり、図3(a)は静電駆動型振動子(固定電極1および振動子3)の等価回路、図3(b)は負性インピーダンス変換回路の回路図である。なお、振動式センサの構成は実施例の構成(図1)において、図2(b)で示した負性インピーダンス変換回路の回路構成を図3(b)で置き換えたものとなる。
【0038】
静電駆動型振動子の製造プロセスで寄生抵抗および寄生容量が形成される場合には、等価回路は、図3(a)に示すように、等価直列抵抗Rme、直列インダクタンスLme、直列容量Cmeの直列回路と並列容量C0との並列回路に対して、直列に寄生抵抗Rp1およびRp2が、また並列に寄生容量Cp1およびCp2がそれぞれ接続されたものとなる。
【0039】
本変形例では、負性インピーダンス変換回路を、演算増幅器25、抵抗21〜23並びにキャパシタ24で構成する。すなわち、負性インピーダンス変換回路は、演算増幅器25と、一端が演算増幅器25の一方の入力端子(−)に接続され、他端が演算増幅器25の出力端子(ノードN2)に接続され、一端(ノードN1)に静電駆動型振動子の出力である電流信号ioが入力される第1抵抗21およびキャパシタ24の並列回路と、一端が並列回路の他端(ノードN2)に接続され、他端が演算増幅器25の他方の入力端子(+)に接続される第2抵抗22と、一端が第2抵抗22の他端(ノードN3)に接続され、他端が電源電位Vgに接続される第3抵抗23と、を備えた構成である。ここで、第1抵抗21、第2抵抗22および第3抵抗23の抵抗値をそれぞれR1,R2およびR2とし、キャパシタ24の容量値をC4とする。
【0040】
ここでは、式に基づく説明を省略するが、実施例と同様に考えることができる。つまり、入力側から負性インピーダンス変換回路を見たとき、負性インピーダンスが観測されることとなる。また、Q値およびゲインについて、寄生抵抗の形成による増分Rp1およびRp2、並びに、寄生容量の形成による増分Cp1およびCp2を負性インピーダンス変換回路の入力インピーダンスZiによって相殺または低減することができる。
【0041】
したがって、本変形例の発振回路によれば、寄生抵抗および寄生容量の形成によるQ値の低下を抑制して(従来よりもQ値を上昇させて)安定した発振を実現することができると共に、高い分解能を実現することができる。また、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサの測定精度を向上させることができる。また、寄生抵抗および寄生容量の形成によるゲインの低下を抑制して(従来よりもゲインを上昇させて)SN比を改善することができ、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサのSN比をも改善させることができる。
【0042】
なお、発振回路の共振特性(Q値やゲイン等)に対して、静電駆動型振動子の製造プロセスにおける寄生容量による影響が寄生抵抗による影響に比べて相対的に大きい場合についても、本変形例の発振回路を適用することにより、同等の効果を奏することができる。すなわち、寄生容量の形成によるQ値の低下を抑制して安定した発振を実現することができると共に、高い分解能を実現し、また、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサの測定精度を向上させることができる。また、寄生容量の形成によるゲインの低下を抑制してSN比を改善することができ、その結果として、当該発振回路を用いた振動式センサのSN比をも改善させることができる。
(その他の変形)
【0043】
以上、本発明の好ましい実施例および変形例について詳述したが、本発明に係る発振回路およびそれを用いた振動式センサは、上述した実施例および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0044】
例えば、上述したように、静電駆動型振動子を他の圧電振動子に置き換えても良い。他の圧電振動子としては、例えば、水晶振動子、弾性表面波振動子(若しくはSAW(Surface Acoustic Wave)振動子)、シリコン振動子、セラミック振動子、端面反射振動子、またはバルク振動子等がある。これらに置き換えた場合でも実施例および変形例と同等の効果を奏することができる。
【0045】
また、振動子は圧電振動子に限定されることなく、他の振動子であっても良い。振動子の製造プロセスで、構造上、寄生抵抗や寄生容量が形成されるものについて、実施例および変形例と同様に負性インピーダンス変換回路を付加することにより、寄生抵抗や寄生容量の形成によるQ値およびゲインの低下を抑制することが可能である。
【0046】
また、負性インピーダンス変換回路の構成は、例示した回路構成に限定されることなく他の回路構成であっても良い。演算増幅器を用いた構成のものではなく、例えば特許第3907633号に開示されているような差動型負性インピーダンス変換回路を用いることも可能である。
【0047】
さらに、振動子による発振回路に限定されることなく、LC発振回路などの他の発振回路に負性インピーダンス変換回路を付加する構成も考えられる。発振回路を構成する各素子の製造プロセスで、構造上、寄生抵抗や寄生容量が形成されるものについて、実施例および変形例と同様に負性インピーダンス変換回路を付加することにより、寄生抵抗や寄生容量の形成によるQ値およびゲインの低下を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 固定電極
3 振動子
10 負性インピーダンス変換回路
14,18,25 演算増幅器
11〜13,15,16,21〜23,73 抵抗
17,24,74 キャパシタ
30 絶対値回路
40 誤差増幅器
50 オートゲインコントロール回路
60 シュミットトリガ
71,72 電源
101 振動式センサ
io 電流信号
Vo 電圧信号
Vb バイアス電圧
Vref 設定電圧
Verr 誤差信号
Vi 自励振信号
Vg 電源電位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、前記振動子の出力電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換回路と、を備えた発振回路であって、
前記電流電圧変換回路を負性インピーダンス変換回路としたことを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記負性インピーダンス変換回路は、
演算増幅器と、
一端が前記演算増幅器の一方の入力端子に接続され、他端が前記演算増幅器の出力端子に接続され、前記一端に前記振動子の出力電流信号が入力される第1回路と、
一端が前記第1回路の他端に接続され、他端が前記演算増幅器の他方の入力端子に接続される第2回路と、
一端が前記第2回路の他端に接続され、他端が電源電位に接続される第3回路と、
を備えたことを特徴とする発振回路。
【請求項3】
前記第1回路、前記第2回路および前記第3回路をそれぞれ抵抗素子で構成したことを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
【請求項4】
前記第1回路および前記第2回路をそれぞれ抵抗素子で構成し、前記第3回路を容量性素子で構成したことを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
【請求項5】
前記第1回路を抵抗素子および容量性素子の並列回路で構成し、前記第2回路および前記第3回路をそれぞれ抵抗素子で構成したことを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
【請求項6】
前記振動子は、静電駆動型振動子、水晶振動子、弾性表面波振動子、シリコン振動子またはセラミック振動子であることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発振回路。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の発振回路を用い、前記振動子に被測定対象の物理量が作用することを特徴とする振動式センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−156946(P2012−156946A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16587(P2011−16587)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】