説明

発泡成形型および表皮付き発泡成形部材の製造方法

【課題】発泡成形型にセットした表皮材が型閉め時にずれることを防止すると共に、製造された表皮付き発泡成形部材を円滑に脱型し得るようにする。
【解決手段】第1成形型30の表皮保持面36に、表皮材16における非製品部20の該表皮保持面36と対面する側に膨出形成された表皮凸部24を係止する係止凹部50を凹設する。表皮保持面36に、非製品部20における端縁20Aの該表皮保持面36から離間する側への移動を規制する端縁保持部60を設ける。第2成形型32の表皮保持面36に対向する型面42に、第1成形型30と第2成形型32との型閉め時に係止凹部50と対向して、該係止凹部50に受容された表皮凸部24を押える表皮当接部材70を設ける。表皮当接部材70は、型閉め時に基材12と表皮材16とが接触する前から表皮凸部24を押える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮材をセットした第1成形型と基材をセットした第2成形型とを型閉めし、これら表皮材と基材との間で発泡体を発泡成形する発泡成形型と、この発泡成形型により表皮付き発泡成形部材を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表皮付き発泡成形部材は、所要形状に形成された基材と、この基材の外面に配設される表皮材と、これら基材および表皮材の間に介在される発泡体とからなる3層構造に構成されたもので、自動車の乗員室内に設置される車両内装部材(インストルメントパネルやフロアコンソール等)や、椅子またはソファ等の各種家具として実用化されている。このような表皮付き発泡成形部材は、別工程において所要形状に予備成形した基材と、同じく別工程において所要形状に予備成形した表皮材とを、発泡成形型に夫々セットしたもとで該発泡成形型を型閉めし、これら基材と表皮材との間で発泡体を発泡成形することで製造される。ここで基材は、インジェクション成形技術等により成形されたものが多く採用される。また表皮材は、真空成形技術により樹脂シート材から成形されたもの、パウダースラッシュ成形技術により粉末樹脂から成形されたもの、スプレー成形技術によりポリウレタンから成形されたもの等が多く採用される。
【0003】
図10は、発泡成形型M1により表皮付き発泡成形部材10を成形している状態を示した説明断面図である。この発泡成形型M1は、所要形状に予備成形された表皮材16をセットし得る第1成形型30と、所要形状に予備成形された基材12をセットし得る第2成形型32とを備えている。第1成形型30にセットした表皮材16の上面に所定量の発泡材を注入したもとで、基材12をセットした第2成形型32と該第1成形型30とを型閉めすることで、表皮材16と基材12との間に画成された発泡空間内で発泡材を発泡させて発泡体14を成形し、表皮付き発泡成形部材10を製造することができる。
【0004】
図11は、発泡成形型M1の第1成形型30に、別の表皮成形型で予備成形した表皮材16をセットする状態を示した説明断面図である。前述した表皮材16は、厚さが1〜2mm程度であって柔軟性を有しているので形状保持性が低く、第1成形型30の表皮セット面34に被着セットする際に弛みや皺が形成され易いと共に、第1成形型30と第2成形型32とを型閉めする際もずれてしまうおそれがある。そこで、このような不具合の発生を防止するため、第1成形型30には、表皮セット面34の外側に隣接する表皮保持面36に、表皮材16の位置決めおよび固定保持のための係止凸部38を複数個突設してある。また表皮材16には、第1成形型30にセットした際に表皮保持面36に被着する非製品部20を、該表皮材16の予備成形時に製品部18の外周に一体的に形成すると共に、前述した各係止凸部38に係止し得る表皮凹部22を該非製品部20に形成しておく。従って、表皮材16を第1成形型30にセットする際には、製品部18を表皮セット面34に被着し、非製品部20を表皮保持面36に被着すると共に、各係止凸部38を対応の表皮凹部22へ係止させることで、第1成形型30に対して表皮材16を適切に装着保持するようになっている。なお非製品部20は、表皮付き発泡成形部材10において不要とされる部分であって、発泡成形型M1による発泡体14の発泡成形完了後に製品部18から切除される。このような発泡成形型に対する表皮材の位置決め固定に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2000−33626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した第1成形型30の表皮保持面36に突設された各係止凸部38は、例えば直径が5〜15mm、突出高さが5〜8mm程度とされる円柱形状や、一辺が5〜15mm、突出高さが5〜8mm程度とされる角柱形状(四角形、六角形)等とされている。このため、表皮材16の表皮凹部22と係止凸部38とが密着状態に係止されていた場合には、図13に示すように、製造された表皮付き発泡成形部材10を第1成形型30から脱型する際に、表皮凹部22が係止凸部38に引掛かって両部22,38の円滑な離脱がなされない。従って、作業員が手作業にて各表皮凹部22から各係止凸部38を外さなければならず、表皮付き発泡成形部材10の脱型作業が面倒で煩わしいものとなっていた。しかも、表皮付き発泡成形部材10を無理矢理に引張った際には、非製品部20のみならず製品部18まで破れが進行して製品不良が発生する不都合もあった。
【0006】
また、第1成形型30と第2成形型32とを型閉めする際に基材12と表皮材16とが接触すると、第1成形型30にセットした表皮材16が表皮セット面34側へ引張られ易い。このように、表皮材16が表皮セット面34側へ引張られると、図12に示すように、非製品部20が上方へ浮き上がったり捲り上がるようになるので、場合によっては係止凸部38から各表皮凹部22が外れてしまい、前述した表皮材16のずれが一層助長されてしまう。このように表皮材16がずれた状態で発泡体14の発泡成形を行なった際には、製品不良が発生して製造効率の低下を招来することになる。
【0007】
一方、図14に示すように、前述した表皮凹部22を有する表皮材16を成形する表皮成形型S1では、成形された表皮材16を該表皮成形型Sから脱型するに際して非製品部20を捲り上げようとすると、表皮凹部22が成形凸部88に引掛かって両部22,88の離脱が円滑になされない。従って、非製品部20を無理矢理に引張りながら成形凸部88から表皮凹部22を外さなければならず、表皮材16に変形や破れ等が発生し易くなっていた。
【0008】
更に、前述したスプレー成形技術により成形される表皮材16の場合には、図15に示すように、成形凸部88の周辺にポリウレタンを吹付けて非製品部20および表皮凹部22を成形するに際し、該成形凸部88の上面に吹き付けられた該ポリウレタンが周囲へ流下してしまい、特に表皮凹部22の底部分が薄くなり易い。このため、表皮材16の脱型に際して、表皮凹部22の底部分に破れが発生する不都合があった。
【0009】
従って本発明では、発泡成形型にセットした表皮材が型閉め時にずれることを防止すると共に、製造された表皮付き発泡成形部材の脱型を円滑に図り得るようにした発泡成形型と、この発泡成形型を使用することで製品不良の発生を防止すると共に製造効率を向上させるようにした表皮付き発泡成形部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に記載の発明は、製品部および該製品部の外周に連続する非製品部を一体的に形成した表皮材を被着セット可能であり、前記製品部が被着される表皮セット面および前記非製品部が被着される表皮保持面を設けた第1成形型と、基材を被着セット可能な第2成形型とを備え、前記表皮材をセットした前記第1成形型と前記基材をセットした第2成形型とを型閉めし、これら表皮材と基材との間で発泡体を成形して表皮付き発泡成形部材を製造する発泡成形型において、
前記第1成形型の前記表皮保持面に凹設され、前記非製品部の該表皮保持面と対面する側に膨出形成された表皮凸部を係止する係止凹部と、
前記表皮保持面に設けられ、前記非製品部における端縁の該表皮保持面から離間する側への移動を規制する端縁保持部と、
前記第2成形型の前記表皮保持面に対向する型面から突出して設けられて前記係止凹部と対向し、前記第1成形型と第2成形型との型閉め時に、前記係止凹部に受容された前記表皮凸部を押える表皮当接部材とを有することを要旨とする。
【0011】
従って、請求項1に係る発明によれば、表皮材の非製品部に突設した表皮凸部が係止する係止凹部を第1成形型の表皮保持面に凹設したので、該係止凹部に表皮凸部を係止させることで表皮材を第1成形型に対して保持させ得ると共に、非製品部を表皮保持面から離間する方向へ引張ることで係止凹部から表皮凸部が抜け出て外れるので、製造された表皮付き発泡成形部材の脱型が容易となる。そして、表皮保持面にセットした非製品部の端縁を保持する端縁保持部を有するので、第1成形型と第2成形型とを型閉めする際に非製品部が表皮保持面から浮き上がることを防止できる。更に、係止凹部に受容して係止された表皮凸部を押える表皮当接部材を有するので、第1成形型と第2成形型とを型閉めする際に、表皮凸部を係止凹部に係止した状態に保持できる。すなわち、端縁保持部および表皮当接部材を設けたことにより、型閉めに際して第1成形型に表皮材を密着保持させることができ、該表皮材に弛みや皺等が形成されることを防止し得る。
【0012】
請求項2に記載の発明では、前記係止凹部は、前記表皮セット面側の第1壁面が、前記表皮保持面に対して垂直に形成されると共に、前記第1壁面と対向する第2壁面が、該係止凹部の底部から前記表皮保持面に向かうに従って第1壁面から離間するよう傾斜形成されることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、非製品部が表皮セット面の側へ引張られた際には表皮凸部が係止凹部の第1壁面に係止されるので、第1成形型にセットした表皮材のずれが防止される。また、表皮付き発泡成形部材を第1成形型から脱型するに際し、表皮保持面に被着されている非製品部を表皮セット面の側から引張ると、表皮凸部が第2壁面側へ変位して該表皮凸部と係止凹部との係止状態が解除されるので、表皮保持面からの非製品部の剥離が円滑になされて該表皮付き発泡成形部材の脱型が一層容易となる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、前記表皮当接部材は、前記型面から出没方向に移動可能に配設されると共に、常には付勢手段により該型面から突出する方向へ付勢され、前記第1成形型と第2成形型との型閉め時に、前記基材と前記表皮材とが接触する前から前記表皮凸部を押えるよう設定されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、第1成形型と第2成形型との型閉め時に、基材と表皮材とが接触する前から、係止凹部に受容して係止された表皮凸部を表皮当接部材で押えることができるので、基材と表皮材とが接触しても該表皮材のずれを好適に防止し得る。また、表皮当接部材が付勢手段の付勢力により表皮凸部を押えるようになり、該表皮凸部の潰れや裂け等を防止し得る。
【0014】
請求項4に記載の発明では、製品部および該製品部の外周に連続する非製品部を一体的に形成した表皮材を、表皮セット面および表皮保持面を設けた第1成形型に、製品部を表皮セット面に被着すると共に非製品部を表皮保持面に被着した状態でセットし、基材をセットした第2成形型と前記第1成形型とを型閉めし、前記表皮材と基材との間で発泡体を成形して表皮付き発泡成形部材を製造する方法において、
前記非製品部の端縁を、前記表皮保持面に設けた端縁保持部で保持すると共に、前記非製品部に突設した表皮凸部を、前記表皮保持面に凹設された係止凹部に係止して、表皮材を第1成形型にセットし、
前記第1成形型と前記第2成形型とを型閉めする際に、前記係止凹部に受容された前記表皮凸部を、前記基材と前記表皮材とが接触する前から該第2成形型に設けた表皮当接部材で押えることを要旨とする。
【0015】
従って、請求項4に係る発明によれば、第1成形型に対して表皮材をセットする際には、表皮材の非製品部に突設した表皮凸部を第1成形型の表皮保持面に凹設した係止凹部に係止させるようにしたので、第1成形型にセットした表皮材を保持し得る。また、表皮保持面にセットした非製品部の端縁を、該表皮保持面に設けた端縁保持部で保持するようにしたので、該非製品部の浮き上がりを防止し得る。更に、第1成形型と第2成形型とを型閉めする際には、係止凹部に受容して係止された表皮凸部を、第2成形型に設けた表皮当接部材で基材と表皮材とが接触する前から押えるようにしたので、基材と表皮材との接触後も係止凹部と表皮凸部との係止状態が保持され、第1成形型にセットした該表皮材のずれを防止し得る。従って、第1成形型にセットした表皮材に弛みや皺が形成されない状態で発泡体の成形を行なうことができ、発泡成形型で製造された表皮付き発泡成形部材の製品不良が発生することを防止して製造効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る発泡成形型によれば、該発泡成形型にセットした表皮材が型閉め時にずれることを防止すると共に、製造された表皮付き発泡成形部材の脱型を円滑に図り得る。
また、別の発明に係る表皮付き発泡成形部材の製造方法によれば、製品不良の発生を防止して製造効率を向上させながら表皮付き発泡成形部材を製造し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る発泡成形型および表皮付き発泡成形部材の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、図10に示した表皮付き発泡成形部材10を成形するための発泡成形型を例示する。従って、図10〜図13に示した発泡成形型M1と同一部材、部位については同一の符号を付して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、実施例の発泡成形型Mを、表皮付き発泡成形部材10を製造している状態で示した断面図である。実施例の発泡成形型Mは、製品部18および該製品部18の外周に連続する非製品部20が一体的に形成された表皮材16を被着セット可能な第1成形型30と、所要形状に予備成形されて表皮材16の裏側に配設される基材12を被着セット可能な第2成形型32とを備えており、図示省略したヒンジ機構により第1成形型30に対して第2成形型32が開閉可能に構成されている。第1成形型30は、図1および図3に示すように、表皮材16における製品部18の外面形状と合致する形状に形成されて該製品部18が被着される表皮セット面34と、この表皮セット面34の外周に連続して形成されて非製品部20が被着される表皮保持面36とを設けてある。第2成形型32は、図1および図3に示すように、基材12の裏面形状に合致する形状に形成されて該基材12が被着基材セット面40と、基材セット面40の外周に連続して形成されて前記第1成形型30の表皮保持面36に対向する型面42とを設けてある。
【0019】
実施例の発泡成形型Mでは、図1〜図3に示すように、第1成形型30の表皮保持面36に、該表皮保持面36から凹んだ複数の係止凹部50が、表皮セット面34と表皮保持面36との境界ラインから適宜離間した位置において、該境界ラインに沿って所要間隔毎に凹設されている。これに伴い、表皮材16の非製品部20には、後述すると共に図1〜図3に示すように、表皮保持面36に凹設した各係止凹部50に対応して係止可能な表皮凸部24が形成されている。前述した各係止凹部50は、表皮保持面36に開口した形状が略矩形状とされる陥凹部であって、表皮セット面34側の第1壁面52が、表皮保持面36に対して垂直に形成されると共に、表皮セット面34と反対側に位置して第1壁面52と対向する第2壁面54が、該係止凹部50の底部から表皮保持面36に向かうに従って第1壁面52から離間するよう傾斜形成されている。すなわち各係止凹部50は、底部から表皮保持面36に向けて拡開した形状に形成されている。
【0020】
表皮材16に形成された各表皮凸部24は、図2および図3に示すように、非製品部20の表皮保持面36と対面する側に、対応の係止凹部50の内壁形状と合致する外形形状に膨出形成されている。すなわち表皮凸部24は、製品部18に隣接した側の第1凸壁面26が、非製品部20の外面に対して垂直に形成されると共に、製品部18と反対側に位置して第1凸壁面26と対向する第2凸壁面28が、該表皮凸部24の頂部から非製品部20の外面に向かうに従って第1凸壁面26から離間するよう傾斜形成されている。なお、表皮凸部24の突出高さは非製品部20の厚さの3倍程度であり、かつ表皮凸部24の厚さは非製品部20の厚さと同一であるので、該表皮凸部24の裏側は陥凹状に形成されている。
【0021】
従って、非製品部20を表皮保持面36に被着させるに際し、各係止凹部50に対応の各表皮凸部24を上方から突入すると、第1凸壁面26が第1壁面52に密着すると共に第2凸壁面28が第2壁面54に密着するようになる。そして、表皮凸部24の第1凸壁面26と係止凹部50の第1壁面52とが表皮保持面36に対して垂直になっていることで、表皮材16が表皮セット面34の側へ引張られた際には、係止凹部50と表皮凸部24との係止度合がより強まるので、第1成形型30にセットした表皮材16が適切に保持される。また、表皮凸部24の第2凸壁面28と係止凹部50の第2壁面54とが前述のように傾斜形成されていることで、表皮保持面36に被着されている非製品部20を表皮セット面34の側から該表皮保持面36から離間するように捲り上げると、表皮凸部24が第2壁面54側へ変位して第1壁面52と第1凸壁面26との係止状態が解除されるので、係止凹部50から表皮凸部24が容易に外れるようになり、表皮保持面36からの非製品部20の剥離が円滑になされる。また、非製品部20を表皮セット面34と反対側へ引張った場合でも、係止凹部50から表皮凸部24が容易に外れるようになり、表皮保持面36からの非製品部20の剥離が円滑になされる。
【0022】
また実施例の発泡成形型Mでは、図2および図3に示すように、表皮保持面36に被着された非製品部20の端縁20Aを保持して、該端縁20Aの表皮保持面36から離間する側への移動を規制する端縁保持部60が設けられている。この端縁保持部60は、表皮保持面36に被着された非製品部20の端縁20Aが臨む位置の外側に沿って配設されるスペーサ62と、このスペーサ62の上面に固定されて該スペーサ62から表皮セット面34の方向へ延出する庇状保持片64とで構成されている。前述したスペーサ62は、表皮材16の非製品部20の厚さよりやや厚く設定されており、表皮保持面36上に延出した庇状保持片64と該表皮保持面36との間には、非製品部20の端縁20Aが挿入し得る間隙66が形成されている。従って、非製品部20を表皮保持面36に被着するに際し、該非製品部20の端縁20Aを前述した間隙66内に差し込むことにより、表皮保持面36に被着された非製品部20の端縁20A部分が庇状保持片64で保持され、非製品部20の浮き上がりや捲り上がり等が防止されるようになる。
【0023】
更に実施例の発泡成形型Mでは、図1〜図3に示すように、第2成形型32の第1成形型30における表皮保持面36に対向する型面42に、該型面42から突出した複数の表皮当接部材70を備えている。各表皮当接部材70は、第1成形型30と第2成形型32との型閉め時に、表皮保持面36に形成した各係止凹部50に夫々対向する位置に配設されており、両成形型30,32を型閉めした際に係止凹部50に受容して係止した表皮凸部24を押えるようになっている。このような表皮当接部材70を配設するため、第2成形型32の型面42には、図2に示すように、該型面42に開口した円形状の通孔部44と、第2成形型32の裏側に開口して通孔部44より大径の収容部46とが、基材セット面40と型面42との境界ラインから適宜離間した位置において、該境界ラインに沿って所要間隔毎に貫通形成されている。また、収容部46の開口部分には、キャップ48が固定されている。
【0024】
表皮当接部材70は、図2に示すように、第2成形型32の型面42に対して軸方向へのスライド移動が可能に配設された棒状部材であって、通孔部44に挿通される外径とされて先端を球面状に形成した当接軸部72と、この当接軸部72より大径に形成されて収容部46の直径より小さく形成されたフランジ部74と、このフランジ部74の当接軸部72と反対側の端面に突設された係止部76とから構成されている。この表皮当接部材70は、第2成形型32の外側から収容部46に対して挿入して、通孔部44を介して当接軸部72を型面42から外方へ突出した状態にセットされ、該型面42に対して出没方向(該当接軸部72の軸方向)への移動が可能に配設され、該型面42からの突出量が変化するようになっている。
【0025】
また、表皮当接部材70をセットした収容部46の内部には、図2に示すように、表皮当接部材70のフランジ部74と前述したキャップ48との間に圧縮コイルバネ(付勢手段)80が配設されており、該表皮当接部材70は、常には圧縮コイルバネ80の弾性力により型面42から突出する方向に付勢されている。従って、表皮当接部材70の先端部に対して外力が付与されていない場合には、図5に示すように、該表皮当接部材70は型面42から最大に突出した状態に保持され、表皮当接部材70の先端部に軸方向に沿った外力が加わると、図6(b)に示すように、該表皮当接部材70は圧縮コイルバネ80の弾性力に抗して型面42から収容部46内へ後退するようになる。
【0026】
しかも各表皮当接部材70は、図6(a)に示すように、第1成形型30と第2成形型32との型閉め途中、換言すると両成形型30,32の型閉めが完了する前に、係止凹部50に係止した表皮凸部24の裏側に当接するように設定されている。すなわち、表皮当接部材70が係止凹部50に受容して係止した表皮凸部24の裏側に当接するタイミングは、第2成形型32にセットした基材12と第1成形型30にセットした表皮材16とが接触する前である。従って、第1成形型30と第2成形型32との型閉め時に、基材12と表皮材16とが接触する前から、各表皮当接部材70が対応の表皮凸部24に当接して該表皮凸部24を押えるようになるので、型閉め時に基材12と表皮材16とが接触しても該表皮材16のずれを好適に防止し得る。また、表皮当接部材70が圧縮コイルバネ80による付勢力により表皮凸部24を弾力的に押えるようになるので、該表皮凸部24の潰れや裂け等も防止し得るようになっている。
【0027】
また各表皮当接部材70は、図6(a)に示すように、係止凹部50の第1壁面52に沿うように突出するように設定されており、該表皮当接部材70と第1壁面52との間で表皮凸部24の第1凸壁面26を挟むよう構成されている。すなわち、表皮当接部材70が係止凹部50に受容して係止した表皮凸部24の裏側を押すようになった際には、係止凹部50の第1壁面52に表皮凸部24の第1凸壁面26が押し付けられるようになり、これら係止凹部50と表皮凸部24との係止状態が好適に維持され、型閉めに際して表皮材16のずれが発生することをより一層確実に防止し得る。
【0028】
次に、前述のように構成された実施例の発泡成形型Mにより、表皮付き発泡成形部材10を成形する工程を説明する。
【0029】
予め所定形状に予備成形された表皮材16は、図4に示すように、発泡成形型Mの第1成形型30にセットする。先ず、図4(a)に示すように、表皮材16の非製品部20を、第1成形型30の表皮保持面36に被着するに際し、端縁保持部60の庇状保持片64と表皮保持面36との間に形成された間隙66に、非製品部20の端縁20Aを差し込む。これにより、非製品部20の端縁20Aを、表皮保持面36に設けた端縁保持部60で保持させる。
【0030】
次いで、図4(b)に示すように、非製品部20の表皮保持面36と対面する側に膨出形成された各表皮凸部24を、表皮保持面36に凹設された各係止凹部50に係止させる。各係止凹部50に各表皮凸部24を受容して係止すると、非製品部20が表皮保持面36へ密着的に被着される。そして、非製品部20に対する表皮保持面36の被着が完了した後に、製品部18を表皮セット面34に沿って密着させる。これにより表皮材16は、各表皮凸部24が対応の各係止凹部50に係止されるので、第1成形型30に適切にセットされる。
【0031】
第1成形型30に対する表皮材16のセットが完了すると共に、第2成形型32の基材セット面40に対する基材12のセットが完了したら、表皮材16の上面に所定量の発泡材を注入した後、表皮材16をセットした第1成形型30に対して第2成形型32を型閉めする。なお、型閉め前の第2成形型32の型面42には、図5に示すように、圧縮コイルバネ80により付勢された各表皮当接部材70が、該型面42から最大に突出した状態に保持されている。
【0032】
そして、第1成形型30に対して第2成形型32を閉成する際に、型閉めが完了する直前(型閉めの途中)に、図6(a)に示すように、各表皮当接部材70の先端部を、係止凹部50に受容して係止した表皮凸部24に接触させる。すなわち、第2成形型32にセットした基材12と第1成形型30にセットした表皮材16とが接触する前から、各係止凹部50に受容して係止した各表皮凸部24を、各表皮当接部材70で押える。
【0033】
各表皮凸部24に各表皮当接部材70が接触した後は、図6(b)に示すように、第1成形型30に対して第2成形型32が閉成されるに伴い、表皮凸部24を押えている各表皮当接部材70は、圧縮コイルバネ80の付勢力に抗して収容部46内へ押されて後退する。そして、基材12と表皮材16とが接触した時点では、既に各表皮当接部材70が対応の各表皮凸部24を押えていると共に、端縁保持部60が非製品部20の端縁20Aを保持しているので、非製品部20が表皮保持面36から浮き上がったり捲れ上がることが防止される。更に、係止凹部50の第1壁面52と表皮凸部24の第1凸壁面26とは、図2に示すように、表皮凸部24を押える表皮当接部材70により相互密着した状態となるので、基材12と接触した表皮材16が表皮セット面34側へ引張られても、各係止凹部50と各表皮凸部24との係止状態が適切に維持される。従って、型閉めに際して、非製品部20が表皮保持面36に密着的に保持されると共に製品部18も表皮セット面34に密着的に保持され、発泡体14の発泡成形に際して表皮材16に弛みや皺ができることを防止し得る。
【0034】
発泡成形型Mの型閉め後、表皮材16と基材12との間に画成された発泡空間内で発泡体14が成形されて表皮付き発泡成形部材10の製造が完了したら、第2成形型32を第1成形型30から開放し、第1成形型30から表皮付き発泡成形部材10を脱型する。この脱型作業では、図7に示すように、第1成形型30の表皮セット面34から表皮付き発泡成形部材10を取外した後、表皮保持面36に密着している非製品部20を該表皮製品部18から剥離させる。このとき、前述したように、表皮凸部24の第2凸壁面28と係止凹部50の第2壁面54とが、頂部および底部から非製品部20の外面に向かうに従って第1壁面52から離間するよう傾斜形成されているので、表皮支持面36に被着された非製品部20を表皮セット面34に隣接した側から引き上げると、表皮凸部24が第2壁面54側へ変位するため、第1壁面52と第1凸壁面26との係止状態が解除され、該表皮凸部24は係止凹部50から容易に外れる。換言すると、表皮付き発泡成形部材10の脱型時には、基材12を把持しながら該表皮付き発泡成形部材10を第1成形型30から離間させることにより、各表皮凸部24が各係止凹部50から簡単に外れて非製品部20が表皮保持面36から剥離されるので、作業者が各表皮凸部24を各係止凹部50から個別に外す作業が必要とされず、表皮付き発泡成形部材10の脱型作業が円滑になされる。
【0035】
従って、前述した実施例の発泡成形型によれば、次のような作用効果を奏する。先ず、表皮材16の非製品部20に突設した表皮凸部24が係止する係止凹部50を第1成形型30の表皮保持面36に凹設したので、該係止凹部50に表皮凸部24を係止させることで、該第1成形型30にセットした表皮材16を適切に保持し得る。また、非製品部20を表皮保持面36から離間する方向へ引張ることで係止凹部50から表皮凸部24が抜け出て外れるので、製造された表皮付き発泡成形部材10の脱型が容易となる。そして、表皮保持面36にセットした非製品部20の端縁20Aを保持する端縁保持部60を有するので、第1成形型30と第2成形型32とを型閉めする際に非製品部20が表皮保持面36から浮き上がることを防止できる。更に、係止凹部50に受容して係止された表皮凸部24を押える表皮当接部材70を有するので、第1成形型30と第2成形型32とを型閉めする際に、表皮凸部24を係止凹部50に係止した状態に保持できる。すなわち実施例の発泡成形型Mは、端縁保持部60および表皮当接部材70を設けたことにより、型閉めに際して非製品部20を表皮保持面36に密着保持させることができ、第1成形型30にセットした表皮材16に弛みや皺等が形成されることを防止し得る。
【0036】
また、表皮保持面36に凹設した係止凹部50は、表皮セット面34側の第1壁面52が表皮保持面36に対して垂直に形成されるので、非製品部20が表皮セット面34の側へ引張られた際には表皮凸部24が係止凹部50の第1壁面52に係止されるので、第1成形型30にセットした表皮材16のずれが防止される。一方、表皮セット面34と反対側に位置して第1壁面52と対向する第2壁面54が、係止凹部50の底部から表皮保持面36に向かうに従って該第1壁面52から離間するよう傾斜形成されている。従って、表皮付き発泡成形部材10を第1成形型30から脱型するに際し、表皮保持面36に被着されている非製品部20を表皮セット面34の側から引張ると、表皮凸部24が第2壁面54側へ変位して該表皮凸部24と係止凹部50との係止状態が解除されるので、表皮保持面36からの非製品部20の剥離が円滑になされて該表皮付き発泡成形部材10の脱型がより一層容易となる。
【0037】
また各表皮当接部材70は、型面42から出没方向に移動可能に配設されると共に、常には付勢手段により該型面42から突出する方向に付勢されているので、該表皮当接部材70が圧縮コイルバネ80の付勢力により表皮凸部24を押えるようになり、該表皮凸部24の潰れや裂け等を防止し得る。また、第1成形型30と第2成形型32との型閉め時には、基材12と表皮材16とが接触する前から、係止凹部50に受容して係止された表皮凸部24を表皮当接部材70で押えることができるので、基材12と表皮材16とが接触しても該表皮材16のずれを好適に防止し得る。
【0038】
また、実施例の表皮付き発泡成形部材の製造方法によれば、次のような作用効果を奏する。まず、第1成形型30に対して表皮材16をセットする際には、表皮材16の非製品部20に突設した表皮凸部24を第1成形型30の表皮保持面36に凹設した係止凹部50に係止させるようにしたので、第1成形型30にセットした表皮材16を適切に保持し得る。また、表皮保持面36にセットした非製品部20の端縁20Aを、該表皮保持面36に設けた端縁保持部60で保持するようにしたので、該非製品部20の浮き上がりを防止し得る。更に、第1成形型30と第2成形型32とを型閉めする際には、係止凹部50に受容して係止された表皮凸部24を、第2成形型32に設けた表皮当接部材70で基材12と表皮材16とが接触する前から押えるようにしたので、基材12と表皮材16との接触後も係止凹部50と表皮凸部24との係止状態が保持され、第1成形型30にセットした該表皮材16のずれを防止し得る。従って、第1成形型30にセットした表皮材16に弛みや皺が形成されない状態で発泡体14の成形を行なうことができ、発泡成形型Mで製造された表皮付き発泡成形部材10の製品不良が発生することを防止して製造効率を向上させることができる。
【0039】
図8は、例えばスプレー成形技術により、表皮成形型Sの表皮成形面82に、スプレーガン84によりポリウレタンを吹き付けることで、表皮材16を成形する状態を示した説明断面図である。この表皮成形型Sでは、表皮凸部24を成形するための成形凹部86が表皮成形面82に陥凹的に形成されているため、吹き付けたポリウレタンは該成形凹部86内へ適宜流動するようになり、形成された表皮凸部24はむしろ非製品部20より厚く形成されることが多い。従って、非製品部20に突出した表皮凸部24を備えた実施例の表皮材16では、スプレー成形技術により成形される場合であっても各表皮凸部24が適切に形成され、図15に示した従来のような不都合が発生しない。また、成形された表皮材16を表皮成形型Sから脱型するに際しては、図8(b)に示すように、表皮凸部24の形状に合わせて成形凹部86が上方へ拡開した形状となっているため、非製品部20を表皮成形面82から捲り上げても表皮凸部24が成形凹部86に引掛かり難く、よって表皮成形型Sに対する表皮材16の脱型が円滑になされる。
【0040】
実施例では、端縁保持部60の庇状保持片64を、図3に示すように、表皮保持面36に被着される非製品部20の端縁20Aに亘って連続的に配設した形態としたが、所要長に形成された複数の庇状保持片64を、所要間隔毎に断続的に配設した形態としてもよい。また端縁保持部60の形態は、前述した細長プレート状のものに限定されず、非製品部20の端縁20Aの適切な保持を図り得るものであれば、例えば針金状の棒状部材を所要間隔毎に配設した形態等としてもよい。また端縁保持部60は、エアーシリンダやモータ等の作動機構により、表皮保持面36に昇降移動可能に配設して、表皮成形面82に表皮材16の非製品部20をセットした際に下降移動して、該非製品部20の端縁20Aをクランプするようにしてもよい。
【0041】
実施例では、表皮当接部材70を丸棒状の部材として例示したが、この表皮当接部材70の形態はこれに限定されるものではない。すなわち表皮当接部材70は、角棒状部材(四角形、六角形)としてもよい。
【0042】
実施例では、表皮当接部材70を付勢する付勢手段80として圧縮コイルバネを例示したが、この付勢手段80は、表皮当接部材70を適切に付勢し得るものであれば、例えばエアーダンパや油圧ダンパ等であってもよい。また表皮当接部材70は、エアーシリンダやモータ等の作動機構により型面42に対してスライド移動可能に配設して、表皮保持面36との間で非製品部20の端縁20Aを挟持するようにしてもよい。
【0043】
実施例では、表皮材16の非製品部20に突設した表皮凸部24の外形形状を、表皮保持面36に凹設した係止凹部50の形状と同一に形成した場合を例示したが、図9に示すように、該表皮凸部24の第2凸壁面28は、係止凹部50の第2壁面54に密着しない形状であってもよい。すなわち、少なくとも係止凹部50の表皮セット面34と反対側に位置する第2壁面54を、該係止凹部50の底部から前記表皮保持面36に向かうに従って該表皮セット面34から離間するよう傾斜形成してあれば、表皮凸部24の第2凸壁面28が図9に示すように非製品部20に対して垂直に形成してあっても、非製品部20を表皮セット面34の側から捲った場合には表皮凸部24が係止凹部50の第2壁面54側へ変位するので、表皮付き発泡成形部材10の脱型時には係止凹部50から表皮凸部24を容易に離脱させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例の発泡成形型を、表皮材と基材との間で発泡体を成形している状態で示した説明断面図である。
【図2】第1成形型の表皮保持面に凹設した係止凹部に非製品部に突設した表皮凸部を係止させ、非製品部の端縁を端縁保持部で保持すると共に、第2成形型に配設した表皮当接部材で係止凹部に係止した表皮凸部を押えた状態を示した部分断面図である。
【図3】表皮材の非製品部に設けた表皮凸部、第1成形型の表皮保持面に設けた係止凹部および端縁保持部と、第2成形型の型面に設けた表皮当接部材を示した斜視図である。
【図4】第1成形型に表皮材を被着する状態を示した説明断面図であって、(a)は、非製品部の端縁を端縁保持部の間隙に差し込む状態を示し、(b)は、非製品部に突設した表皮凸部を表皮保持面に凹設した係止凹部に受容して係止した状態を示している。
【図5】表皮材をセットした第1成形型に対し、基材をセットした第2成形型を近接させた状態を示した説明断面図である。
【図6】型閉め途中の状態を示した説明断面図であって、(a)は、型閉めの途中において基材と表皮材とが接触する前から、第2成形型に設けた表皮当接部材が係止凹部に係止した表皮凸部を押える状態を示し、(b)は、型閉めが進行することで、基材が表皮材に接触すると共に、表皮当接部材が表皮凸部を押えながら後退する状態を示している。
【図7】製造された表皮付き発泡成形部材を第1成形型の表皮セット面から脱型する状態を示した説明断面図である。
【図8】(a)は、スプレー成形技術により、表皮成形型において実施例の表皮材を成形する状態を示した説明断面図であり、(b)は、成形された表皮材の非製品部を端縁側から捲り上げて表皮材を脱型するに際し、表皮凸部が容易に外れることを示した説明断面図である。
【図9】非製品部に突設した表皮凸部の別形態例を示した説明断面図である。
【図10】従来の発泡成形型を、表皮材と基材との間で発泡体を成形している状態で示した説明断面図である。
【図11】第1成形型の表皮セット面および表皮保持面に、製品部および非製品部からなる表皮材をセットする状態を示した説明断面図である。
【図12】型閉めに際して基材と表皮材とが接触することで非製品部が表皮保持面から浮き上がり、係止凸部と表皮凹部との係合が解除される状態を示した説明断面図である。
【図13】製造された表皮付き発泡成形部材を第1成形型から脱型する状態を示した説明断面図である。
【図14】表皮成形型から表皮材を脱型する状態を示した説明断面図である。
【図15】スプレー成形技術により、表皮成形型において従来の表皮材を成形する状態を示した説明断面図である。
【符号の説明】
【0045】
10 表皮付き発泡成形部材,12 基材,14 発泡体,16 表皮材,18 製品部
20 非製品部,20A 端縁,24 表皮凸部,30 第1成形型,32 第2成形型
34 表皮セット面,36 表皮保持面,42 型面,50 係止凹部,52 第1壁面
54 第2壁面,60 端縁保持部,70 表皮当接部材,80 圧縮コイルバネ(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品部および該製品部の外周に連続する非製品部を一体的に形成した表皮材を被着セット可能であり、前記製品部が被着される表皮セット面および前記非製品部が被着される表皮保持面を設けた第1成形型と、基材を被着セット可能な第2成形型とを備え、前記表皮材をセットした前記第1成形型と前記基材をセットした第2成形型とを型閉めし、これら表皮材と基材との間で発泡体を成形して表皮付き発泡成形部材を製造する発泡成形型において、
前記第1成形型の前記表皮保持面に凹設され、前記非製品部の該表皮保持面と対面する側に膨出形成された表皮凸部を係止する係止凹部と、
前記表皮保持面に設けられ、前記非製品部における端縁の該表皮保持面から離間する側への移動を規制する端縁保持部と、
前記第2成形型の前記表皮保持面に対向する型面から突出して設けられて前記係止凹部と対向し、前記第1成形型と第2成形型との型閉め時に、前記係止凹部に受容された前記表皮凸部を押える表皮当接部材とを有する
ことを特徴とする発泡成形型。
【請求項2】
前記係止凹部は、前記表皮セット面側の第1壁面が、前記表皮保持面に対して垂直に形成されると共に、前記第1壁面と対向する第2壁面が、該係止凹部の底部から前記表皮保持面に向かうに従って第1壁面から離間するよう傾斜形成される請求項1記載の発泡成形型。
【請求項3】
前記表皮当接部材は、前記型面から出没方向に移動可能に配設されると共に、常には付勢手段により該型面から突出する方向へ付勢され、前記第1成形型と第2成形型との型閉め時に、前記基材と前記表皮材とが接触する前から前記表皮凸部を押えるよう設定される請求項1または2記載の発泡成形型。
【請求項4】
製品部および該製品部の外周に連続する非製品部を一体的に形成した表皮材を、表皮セット面および表皮保持面を設けた第1成形型に、製品部を表皮セット面に被着すると共に非製品部を表皮保持面に被着した状態でセットし、基材をセットした第2成形型と前記第1成形型とを型閉めし、前記表皮材と基材との間で発泡体を成形して表皮付き発泡成形部材を製造する方法において、
前記非製品部の端縁を、前記表皮保持面に設けた端縁保持部で保持すると共に、前記非製品部に突設した表皮凸部を、前記表皮保持面に凹設された係止凹部に係止して、表皮材を第1成形型にセットし、
前記第1成形型と前記第2成形型とを型閉めする際に、前記係止凹部に受容された前記表皮凸部を、前記基材と前記表皮材とが接触する前から該第2成形型に設けた表皮当接部材で押える
ことを特徴とする表皮付き発泡成形部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−39884(P2009−39884A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204680(P2007−204680)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】