説明

発電装置を備えた緩衝器

【課題】発電装置を備えた緩衝器において、緩衝器の伸縮作動を利用して効率良く発電させること。
【解決手段】発電装置20A,20Bは、緩衝器100に固定された固定部材40と、固定部材に対向して配置され緩衝器100の伸縮作動に伴って振動する可動部材41と、可動部材41を支持し可動部材41の振動に伴って伸縮するバネ体42とを備え、固定部材40及び可動部材41の一方は、電荷が蓄電されたエレクトレット材21を有し、固定部材40及び可動部材41の他方は、エレクトレット材21と対向して配置された対向電極22を有し、エレクトレット材21及び対向電極22は、緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配置され、可動部材41の振動に伴ってエレクトレット材21と対向電極22との間に発生する電位差によって発電が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置を備えた緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緩衝器に設けられる発電装置として、特許文献1には、車両走行時の車輪の上下運動によって生ずる流体の圧力変動を衝撃として圧電素子に与えて発電し、発生する微弱な電力をバッテリへ充電するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4359901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、緩衝器の内部の圧力変動では圧電素子を大きく変形させることができないため、発電量は極めて小さいものになる。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発電装置を備えた緩衝器において、緩衝器の伸縮作動を利用して効率良く発電させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発電装置を備えた緩衝器であって、作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダに進退自在に挿入されるピストンロッドと、を備え、前記発電装置は、緩衝器に固定された固定部材と、前記固定部材に対向して配置され、緩衝器の伸縮作動に伴って振動する可動部材と、前記可動部材を支持し、当該可動部材の振動に伴って伸縮するバネ体と、を備え、前記固定部材及び前記可動部材の一方は、電荷が蓄電されたエレクトレット材を有し、前記固定部材及び前記可動部材の他方は、前記エレクトレット材と対向して配置された対向電極を有し、前記エレクトレット材及び前記対向電極は、緩衝器の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配置され、前記可動部材の振動に伴って前記エレクトレット材と前記対向電極との間に発生する電位差によって発電が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緩衝器の伸縮作動に伴って可動部材が振動し、その振動に伴ってエレクトレット材と対向電極との間に電位が発生し発電が行われるため、緩衝器の伸縮作動を利用して効率良く発電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝器の概略縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る緩衝器の発電装置の断面図である。
【図3】発電装置の発電動作を説明する模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る緩衝器の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照して、第1の実施の形態に係る緩衝器100について説明する。
【0011】
まず、図1を参照して緩衝器100の全体構成について説明する。緩衝器100は、自動車等の車両における車体と車軸との間に介装され、車体姿勢の変化を抑制する機能を有するものである。
【0012】
緩衝器100は、作動油(作動流体)が封入されたシリンダ内筒1と、シリンダ内筒1内に摺動自在に挿入されたピストン2と、一端にピストン2が固定され他端はシリンダ内筒1の外部に延在するピストンロッド5と、シリンダ内筒1を囲むシリンダ外筒6とを備える。シリンダ内筒1の内部は、ピストン2によってロッド側流体室3とピストン側流体室4とに画成される。ピストン2はピストンロッド5の段部にナット16によって固定される。
【0013】
シリンダ内筒1とシリンダ外筒6との間には、作動油をガスとともに貯留するリザーバ室7が画成される。シリンダ内筒1の底部には、ピストン側流体室4とリザーバ室7とを区画するベースバルブ8が固定される。ベースバルブ8には、リザーバ室7からピストン側流体室4への作動油の流れを許容する一方、逆向きの作動油の流れを阻止するチェック弁9と、ピストン側流体室4からリザーバ室7への作動油の流れに抵抗を付与する縮側減衰弁11とが設けられる。
【0014】
ピストン2には、ピストン側流体室4からロッド側流体室3への作動油の流れを許容する一方、逆向きの作動油の流れを阻止するチェック弁10と、ロッド側流体室3からピストン側流体室4への作動油の流れに抵抗を付与する伸側減衰弁12とが設けられる。
【0015】
ロッド側流体室3とリザーバ室7は、シリンダ内筒1の開口端部を閉塞するロッドガイド13によって作動油の行き来が不能に区画される。ピストンロッド5はロッドガイド13を挿通して設けられる。
【0016】
緩衝器100が収縮作動する場合には、ピストン側流体室4が縮小し、ロッド側流体室3が拡大する。これに伴い、ピストン側流体室4の作動油はチェック弁10を通じてロッド側流体室3に流入する。一方、ロッド側流体室3とピストン側流体室4の合計容積は、ピストン2の縮側ストロークに伴ってシリンダ内筒1に侵入するピストンロッド5の侵入体積相当分減少する。シリンダ内筒1のこの容積変動は、ピストン側流体室4の作動油の一部が縮側減衰弁11を通じてリザーバ室7に流出することによって補償される。この時、縮側減衰弁11を通る作動油が縮側減衰力を発生させる。
【0017】
緩衝器100が伸長作動する場合には、ロッド側流体室3が縮小し、ピストン側流体室4が拡大する。これに伴い、ロッド側流体室3の作動油は伸側減衰弁12を通じてピストン側流体室4に流入する。この時、伸側減衰弁12を通る作動油が伸側減衰力を発生させる。一方、ロッド側流体室3とピストン側流体室4の合計容積は、ピストン2の伸側ストロークに伴ってシリンダ内筒1から退出するピストンロッド5の退出体積相当分増加する。シリンダ内筒1のこの容積変動は、リザーバ室7の作動油の一部がチェック弁9を通じてピストン側流体室4に流入することによって補償される。
【0018】
シリンダ外筒6内の端部には、ピストンロッド5の外周面が摺動し、外部への作動油の漏れを防止するシール部材17が設けられる。
【0019】
以上のように、緩衝器100は、シリンダ内筒1及びシリンダ外筒6からなるシリンダ15に対してピストンロッド5が進退することによって減衰力を発揮するものである。
【0020】
ピストンロッド5の先端部には、緩衝器100の伸縮作動に伴って発電する発電装置20Aが設けられる。以下では、図2を参照して、発電装置20Aについて説明する。
【0021】
発電装置20Aは、緩衝器100に固定された固定部材40と、固定部材40に対向して配置され緩衝器100の伸縮作動に伴って振動する可動部材41と、可動部材41を支持し可動部材41の振動に伴って伸縮するバネ体42とを備える。
【0022】
固定部材40、可動部材41、及びバネ体42は、ピストンロッド5の先端部に締結された筐体30の内部に収容される。筐体30は、ピストンロッド5の先端部外周のおねじに締結され筒状の胴部31aを有する筐体本体31と、胴部31aの開口端部を閉塞する蓋部材32とからなる。筐体本体31と蓋部材32は、筐体30の内部にピストン側流体室4内の作動油が侵入しないように密封される。
【0023】
固定部材40は、筐体本体31の胴部31aの内周面に固定された筒状の絶縁基板23と、絶縁基板23の内周面23aに配設されたリング状のベース電極25と、ベース電極25の内周面に配設されたリング状のエレクトレット材21とを備える。
【0024】
絶縁基板23は、シリコンやガラス等の絶縁材にて形成される。
【0025】
ベース電極25は、緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配設される。各ベース電極25は、隣り合うベース電極25の間のスペースに配置された連結部材35を介して電気的に連結される。ベース電極25は、アルミニウムなど導電性を有する金属にて形成される。また、ベース電極25は接地されている(図3参照)。なお、各ベース電極25の連結は、連結部材35を用いずに、絶縁基板23上に形成されたパターンを介して行うようにしてもよい。
【0026】
エレクトレット材21は、各ベース電極25の内周面に配設されるため、緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配設されることになる。エレクトレット材21には、図3に示すように負電荷が蓄積されている。
【0027】
蓋部材32の内側には、ピストンロッド5の軸方向に延在する軸部33が形成される。
【0028】
可動部材41は、軸部33の外周面に沿って移動自在に配置された筒状のスライダ37と、スライダ37の外周面に固定された筒状の絶縁基板27と、絶縁基板27の外周面27aに配設されたリング状の対向電極22とを備える。
【0029】
絶縁基板27は、シリコンやガラス等の絶縁材にて形成される。
【0030】
対向電極22は、緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配設される。各対向電極22は、隣り合う対向電極22の間のスペースに配置された連結部材38を介して電気的に連結される。対向電極22は、アルミニウムなど導電性を有する金属にて形成される。
【0031】
軸部33の外周面には、軸方向に延びる溝部33aが180度ずれた位置に一対形成される。スライダ37の内周面にも、軸方向に延びる溝部37aが180度ずれた位置に一対形成される。溝部33aと溝部37aの間には、複数のボール39が介在される。このように、スライダ37は、ボール39を介して軸部33の外周面に沿って移動自在に配置される。
【0032】
バネ体42は、筐体30とスライダ37との間に介装されスライダ37を緩衝器100の伸縮方向の一方側に付勢する環状の第1スプリング42aと、筐体30とスライダ37との間に介装されスライダ37を緩衝器100の伸縮方向の他方側に付勢する環状の第2スプリング42bとを備える。スライダ37の両端部には、第1スプリング42a及び第2スプリング42bが係止される段部37bが形成される。
【0033】
緩衝器100が伸縮作動した場合には、スライダ37は、第1スプリング42aと第2スプリング42bの間で、ボール39を介して軸部33の外周面に沿って共振周波数付近で振動する。
【0034】
エレクトレット材21と対向電極22は所定の隙間を空けて対向して配置され、スライダ37が振動するのに伴って、エレクトレット材21の内周面21aに対して対向電極22の外周面22aがスライドする。エレクトレット材21の内周面21aと対向電極22の外周面22aとの間隔は、発電効率の観点からは極力小さい方が望ましい。しかし、間隔が小さ過ぎると両者が短絡するおそれがあるため、適切な間隔に設定する必要がある。
【0035】
ベース電極25には配線44が接続され、対向電極22にも図示しない配線が接続される。それぞれの配線は、ピストンロッド5の内部を挿通して緩衝器100の外部へと導かれ、発電装置20Aにて発電された電力を充電するバッテリ、又は発電装置20Aにて発電された電力にて駆動する負荷28(図3参照)に接続される。
【0036】
なお、以上では、エレクトレット材21が固定部材40に設けられ、対向電極22が可動部材41に設けられる構成について説明したが、エレクトレット材21を可動部材41に設け、対向電極22を固定部材40に設けるように構成してもよい。
【0037】
次に、図3の模式図を参照して、発電装置20Aの発電動作について説明する。
【0038】
以下では、ベース電極25と対向電極22のそれぞれに接続された配線が負荷28に接続されている場合について説明する。
【0039】
図3(a)に示すように、エレクトレット材21と対向電極22とが互いに対向した状態では、対向電極22に正電荷が誘導された状態となる。
【0040】
緩衝器100が伸縮作動すると、それに伴いスライダ37が緩衝器100の伸縮方向に振動する。
【0041】
図3(a)に示す状態から、スライダ37が一方向(図中右方向)に移動した場合には、図3(b)に示すように、エレクトレット材21と対向電極22との対向面積が減少する。これに伴い、対向電極22の静電容量が減少するため、対向電極22にて余った正電荷が接地側へ移動する。つまり、対向電極22から接地側に電流が流れる。
【0042】
次に、図3(b)に示す状態から、スライダ37が他方向(図中左方向)に移動した場合には、図3(c)に示すように、エレクトレット材21と対向電極22との対向面積が増加する。これに伴い、対向電極22の静電容量が増加するため、不足する正電荷が接地側から対向電極22に流入する。つまり、接地側から対向電極22に電流が流れる。このように、スライダ37の振動に伴って、エレクトレット材21と対向電極22との間に電位差が発生し、負荷28に電流が供給される。
【0043】
一方、図3(b)に示す状態から、スライダ37がさらに一方向に移動し、図3(d)に示すように、対向電極22が隣り合うエレクトレット材21の間のスペースに対向した場合には、エレクトレット材21と対向電極22との対向面積が最小になる。ここで、対向電極22の正電荷の全てが接地側へ移動するようにするためには、つまり効率良く発電を行うためには、隣り合うエレクトレット材21の間隔を対向電極22の幅以上に設定するのが望ましい。そして、図3(d)に示す状態からスライダ37がさらに一方向に移動すると、エレクトレット材21と対向電極22との対向面積が増加に転じる。これにより、対向電極22の静電容量が増加するため、不足する正電荷が接地側から対向電極22に流入する。つまり、接地側から対向電極22に電流が流れる。
【0044】
以上のように、発電装置20Aでは、エレクトレット材21及び対向電極22が緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配置されるため、スライダ37の移動方向によらず連続的に発電が行われる。
【0045】
負荷28に流れる電流の方向は、エレクトレット材21と対向電極22との対向面積の増減によって変化する。負荷28に流れる電流の方向をエレクトレット材21と対向電極22との対向面積の増減によらず一方向とするためには、ベース電極25と対向電極22とに整流回路を接続し、その整流回路に負荷28を接続するようにすればよい。
【0046】
以上の第1の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0047】
緩衝器100の伸縮作動に伴ってスライダ37が振動し、その振動に伴ってエレクトレット材21と対向電極22との間に電位が発生し発電が行われる。緩衝器100に入力される振動が小さい場合であっても、スライダ37は共振周波数付近で振動するため、大きな振幅で振動する。また、エレクトレット材21及び対向電極22は緩衝器100の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配置されるため、発電装置20Aでは連続的に発電が行われる。したがって、緩衝器100の伸縮作動を利用して効率良く発電させることができる。
【0048】
なお、エレクトレット材21及び対向電極22はリング状に形成する必要はなく、部分的に形成するようにしてもよい。ただ、リング状に形成した方が、体積が大きくなり発電量を大きくすることができるため望ましい。
【0049】
(第2の実施の形態)
次に、図4を参照して、第2の実施の形態に係る発電装置20Bについて説明する。以下では、上記第1の実施の形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
発電装置20Bは、第1の実施の形態に係る発電装置20Aと同様に、緩衝器100に固定された固定部材40と、固定部材40に対向して配置され緩衝器100の伸縮作動に伴って振動する可動部材41と、可動部材41を支持し可動部材41の振動に伴って伸縮するバネ体42とを備える。
【0051】
発電装置20Bは、リザーバ室7内、具体的にはリザーバ室7内のガス室7a内に設けられる。
【0052】
固定部材40は、シリンダ内筒1の外周面に固定された筒状の絶縁基板23と、絶縁基板23の外周面23aに配設されたリング状のベース電極25と、ベース電極25の外周面に配設されたリング状のエレクトレット材21とを備える。
【0053】
可動部材41は、シリンダ内筒1の外周面に沿って移動自在に配置された略筒状のスライダ50と、スライダ50の内周面に固定された筒状の絶縁基板27と、絶縁基板27の内周面27aに配設されたリング状の対向電極22とを備える。
【0054】
スライダ50は、両端部に形成されシリンダ内筒1の外周面に対向するスライド部51と、シリンダ内筒1の外周面との間に発電装置20Bの収容空間を画成し、内周面に絶縁基板27が固定された本体部52と、スライド部51と本体部52とを連結する連結部53とからなる。
【0055】
なお、スライダ50の本体部52を絶縁材にて形成し、本体部52の内周面に対向電極22を直接配設するようにしてもよい。このように、構成すれば、絶縁基板27を廃止することができ、部品点数を少なくすることができる。
【0056】
シリンダ内筒1の外周面には、軸方向に延びる溝部1aが180度ずれた位置に一対形成される。スライダ50のスライド部51の内周面にも、軸方向に延びる溝部51aが180度ずれた位置に一対形成される。溝部1aと溝部51aの間には、複数のボール39が介在される。このように、スライダ50は、ボール39を介してシリンダ内筒1の外周面に沿って移動自在に配置される。
【0057】
バネ体42は、ロッドガイド13とスライダ50との間に介装されスライダ50を緩衝器100の伸縮方向の一方側に付勢する環状の第1スプリング42aと、シリンダ内筒1の外周面に固定された支持部材55とスライダ50との間に介装されスライダ50を緩衝器100の伸縮方向の他方側に付勢する環状の第2スプリング42bとを備える。
【0058】
緩衝器100が伸縮作動した場合には、スライダ50は、第1スプリング42aと第2スプリング42bの間で、ボール39を介してシリンダ内筒1の外周面に沿って共振周波数付近で振動する。
【0059】
ここで、シリンダ内筒1の外周面の溝部1aは、リザーバ室7内のガス室7a内に形成される。したがって、スライダ50の振動はガス室7a内にて行われる。これにより、スライダ50の振動が作動油によって妨げられることがない。
【0060】
エレクトレット材21と対向電極22は所定の隙間を空けて対向して配置され、スライダ50が振動するのに伴って、エレクトレット材21の外周面21aに対して対向電極22の内周面22aがスライドする。エレクトレット材21の外周面21aと対向電極22の内周面22aとの間隔は、発電効率の観点からは極力小さい方が望ましい。しかし、間隔が小さ過ぎると緩衝器100の伸縮作動時に両者が短絡するおそれがあるため、適切な間隔に設定する必要がある。
【0061】
ベース電極25と対向電極22のそれぞれには配線が接続され、その配線は発電装置20Bにて発電された電力を充電するバッテリ、又は発電装置20Bにて発電された電力にて駆動する負荷28(図3参照)に接続される。
【0062】
なお、以上では、エレクトレット材21が固定部材40に設けられ、対向電極22が可動部材41に設けられる構成について説明したが、エレクトレット材21を可動部材41に設け、対向電極22を固定部材40に設けるように構成してもよい。
【0063】
発電装置20Bの発電動作については、上記第1の実施の形態にて説明した発電装置20Aの発電動作と同様である。
【0064】
以上の第2の実施の形態においても、上記第1の形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、緩衝器の伸縮作動を利用して発電を行う発電装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 緩衝器
1 シリンダ内筒
2 ピストン
5 ピストンロッド
6 シリンダ外筒
7 リザーバ室
7a ガス室
20A,20B 発電装置
21 エレクトレット材
22 対向電極
23 絶縁基板
25 ベース電極
27 絶縁基板
30 筐体
37 スライダ
40 固定部材
41 可動部材
42 バネ体
50 スライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置を備えた緩衝器であって、
作動流体が封入されたシリンダと、
前記シリンダに進退自在に挿入されるピストンロッドと、を備え、
前記発電装置は、
緩衝器に固定された固定部材と、
前記固定部材に対向して配置され、緩衝器の伸縮作動に伴って振動する可動部材と、
前記可動部材を支持し、当該可動部材の振動に伴って伸縮するバネ体と、を備え、
前記固定部材及び前記可動部材の一方は、電荷が蓄電されたエレクトレット材を有し、
前記固定部材及び前記可動部材の他方は、前記エレクトレット材と対向して配置された対向電極を有し、
前記エレクトレット材及び前記対向電極は、緩衝器の伸縮方向に所定間隔を空けて複数配置され、
前記可動部材の振動に伴って前記エレクトレット材と前記対向電極との間に発生する電位差によって発電が行われることを特徴とする発電装置を備えた緩衝器。
【請求項2】
隣り合う前記エレクトレット材の所定間隔は前記対向電極の幅以上に設定されることを特徴とする請求項1に記載の発電装置を備えた緩衝器。
【請求項3】
前記発電装置は、前記ピストンロッドの先端に締結される筐体の内部に収容され、
前記筐体の内側には、前記ピストンロッドの軸方向に延在する軸部が形成され、
前記エレクトレット材及び前記対向電極の一方は、前記筐体の内周面に設けられ、
前記エレクトレット材及び前記対向電極の他方は、前記軸部に沿って移動自在に配置されたスライダの外周面に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電装置を備えた緩衝器。
【請求項4】
前記シリンダは、
前記ピストンロッドの端部に固定されたピストンが摺動自在に挿入されたシリンダ内筒と、
作動流体をガスとともに貯留するリザーバ室を前記シリンダ内筒との間に画成するシリンダ外筒と、を備え、
前記発電装置は、前記リザーバ室のガス室内に設けられ、
前記エレクトレット材及び前記対向電極の一方は、前記シリンダ内筒の外周面に設けられ、
前記エレクトレット材及び前記対向電極の他方は、前記シリンダ内筒の外周面に沿って移動自在に配置されたスライダの内周面に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電装置を備えた緩衝器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−207690(P2012−207690A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72106(P2011−72106)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】