説明

皮膚の美白用組成物

皮膚を美白及び/又は脱色するための組成物及び方法が提供され、該組成物は、式(I)の構造を有するか又は式(II)の構造を有する化合物若しくは該化合物の誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体を含み、また組成物中の該化合物は、薬学的に、化粧品として又は皮膚科学的に許容される担体と共に、安全かつ有効な量の皮膚美白又は脱色化合物を含む。


[式中、R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)並びにハロゲンからなる群から選択され;R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され;R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシメトキシなど(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
[式中、R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり;R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は


(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただし、この場合R2は水素でないものとする);R4は、Z-T-W(式中、Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びAr(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する)の場合、Wは水素を表す)であり;R5は、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚を美白し、皮膚の色合いを均一にし、及び/又は色素沈着領域を処置する目的で、顔及び/又は体の皮膚を処置するための、脱色剤を含む、新規の局所適用可能な化粧品及び/又は皮膚科用組成物に関する。より具体的には、この脱色剤は、I型H+、K+-ATPaseの阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
皮膚の美白製品の消費者は、顔、手及び体の皮膚の色合いが均一となることを探求して、年間$10億超を費やしている。皮膚の色素沈着領域の発生は、このような個人にとって明らかに重大な懸案事項である。この色素沈着領域は、皮膚表面又は皮膚表面付近に位置するケラチノサイト内のメラニンの濃縮物によって引き起こされる。メラニン色素は、メラノソームとして知られている極めて特定化されたオルガネラ内のメラニン形成細胞の中で産生される。メラニン形成細胞は、全身を通して、皮膚表皮の底面層、眼の虹彩、及び毛髪などの中を含めたいくつかの場所において見出される。メラニンの産生は、メラニン産生酵素が、活性化され、アミノ酸チロシンが最終生産物であるメラニンの中間体へと変換された時点で始まる。メラニンの実際の産生は、メラノソームにおいて始まる。ヒトメラノソームの内側で、酵素により触媒される一連の化学反応は、チロシンを2つのメラニンの型である、ユーメラニン(褐色又は黒い色)とフェオメラニン(赤色又は黄色)に変換する。メラニン形成の機序として、以下の主要な機序が挙げられる:
【化1】

【0003】
チロシナーゼは、この反応順序に関与している主要な酵素である。チロシナーゼは、チロシンのドーパ(ジヒドロキシフェニルアラニン)への変換及びドーパのドーパキノンへの変換を触媒する。
【0004】
メラノソームがメラニンで満ちると、このメラノソームは、分泌経路に沿って、皮膚の最上層のバリア細胞であるケラチノサイトの中のこれらの最終目的地、及び毛髪、及び体の他の位置へと輸送される。輸送されるメラニンの量及び色素の混合が、ヒトの皮膚、眼及び毛髪の色を決定する。メラニンが機能することによって、DNAにダメージを与え、皮膚が日焼け、早期老化及び皮膚癌を含めた細胞ダメージの影響を受けやすい状態となり得る紫外線を吸収して、皮膚細胞のDNAを保護する。
【0005】
異なる機序の作用及び異なるレベルの効力を有する様々な脱色剤が知られている。脱色剤は例えばこれらの細胞を破壊することによって、上皮性メラニン形成細胞に直接作用することができる。このような1つの薬剤がヒドロキノン及びその誘導体である。ヒドロキノンはまた、活性のあるメラニン形成細胞においてチロシン酸化と競合する。脱色剤として極めて効果的であるにもかかわらず、これらの化合物の使用は、これらの細胞傷害性を考慮して、米国では、処方せんなしでは、2%の濃度までと法律で制限されており、どこの店頭でも入手できない。他の脱色剤の例として挙げられるのは、コウジ酸であり、これは、チロシナーゼの活性部位内で銅イオンをキレートするが、化粧品の加工において不安定である傾向にある;過酸化水素は、メラニンを漂白するので、メラニン形成を阻害するが、不安定である;アスコルビン酸は、ドーパキノンを変換してドーパに戻すが、活性が低く、安定性が低い;サリチル酸及び乳酸は、細胞交替を増加させる;そして不飽和脂肪酸、例えばリノール酸は、ユビキチン-プロテアソーム経路に関連するチロシナーゼのプロセシング及び機能に影響を及ぼす。
【0006】
他の脱色剤として、メラニン産生の1つ又は複数のステップを妨げるものが挙げられる。これら薬剤は、メラニン形成に関与している1以上の酵素(例えばチロシナーゼ)を阻害することによって、又はこれら自体を、化学物質の1つの構造的類似体として合成鎖に挿入することによって作用することができる。さらなる他の脱色剤は、チロシナーゼプロセシング及び分泌経路を介したソーティングを破壊することによって(膜結合オルガネラを介する転位、例えば小胞体→ゴルジ→エンドソーム→メラニン形成細胞内のメラノソーム)作用することができる。さらなる脱色の機序として、チロシナーゼメッセンジャーRNA(mRNA)転写のモジュレーション及びその転写後の安定性が関与しうる。脱色剤はまた、すでに形成されたメラニンを分解することによって作用することもできる。
【0007】
培養B16F10マウスメラノーマ細胞におけるメラニン形成の阻害のための化合物の慣用的なスクリーニング中に、発明者らによって予期せずに、置換ベンゾイミダゾールと呼ばれるある種類の化合物がすべて、メラニン形成を強力に阻害することが発見された。これら化合物に対して知られている唯一の活性は、胃の頭頂細胞の頂端細胞膜のみにしか発見されなかったと報告されているプロトンポンプタンパク質の特異的な阻害であることから、これは、かなり驚くべきことであった(Olbe, L.、Carlsson E.、Lindberg P.A Proton-Pump Inhibitor Expedition: The Case Histories of Omeprazole and Esomeprazole、Nature Reviews Drug Discovery、2:132〜9頁、2003)。胃のプロトンポンプは、メラニン形成細胞では決して発見されず、発明者らは、メラニン形成細胞におけるその遺伝子発現を検出することができなかった。別の胃のプロトンポンプ阻害剤である、異なる反応部位を有する置換イミダゾピリジン化合物を試験すると、驚くことにこれもまたメラニン形成を阻害した。これによって、発明者らは初めて、胃のプロトンポンプ阻害剤を使用して、皮膚を脱色することを考えるようになった。
【0008】
最近の実験は、上皮性色素沈着の差は、メラノソームのpHの差が原因である可能性があることを示唆した。しかし、文献は、メラニン形成が、酸性又は塩基性pHに支持されるのかどうかについて矛盾している。一方では、メラノソームは、通常酸性であること(Brilliant、M. and Gardner、J.: Melanosomal pH、Pink Locus Protein and their Roles in Melanogenesis、J. of Invest. Dermatol. 117(2)2001; Moellmann, G.、Slominski, A.、Kuklinska, E.、Lerner A. B.: Regulation of Melanogensis in Melanocytes. Pigment Cell Res.、1:79〜87頁、1988; Bhatnagar, V.、Anjaiah, S. Puri, N、Arudhra Darshanam, B. N.、及びRamaia, A.: pH of Melanosomes of B16 Murine Melanoma is Acidic: Its Physiological Importance in the Regulation of Melanin Biosynthesis、Arch. Biochem. Biophys. 307:183〜192頁、1993; Ramaiah, A.: Lag Kinetics of Tyrosinase: Its Physiologic Implications、Indian J. Biochem. and Biophys. 33:349〜356頁、1996)、及び様々な細胞内コンパートメントの酸性化が、いくつかのプロセスのために重要であることが観察された(Van Dyke, R. W.: Acidification of Lysosomes and Endosomes、Sub-Cellular Biochem.、27:331〜360頁、1996; Grabe, M. and Oster, G.: Regulation of Organelle Acidity、J. General Physiol. 117:329〜344頁、2001)。Deviらは、メラノソームが酸性であり得るので、メラノソームの低いpHは、メラニン形成を促進させ、したがってチロシナーゼ活性は酸性pHで最適であり、中性pHでは不活性であることを提唱した(Devi, C. C.、Tripathi R. K.、Ramaia, A、pH-dependent Interconvertible Allosteric Forms of Murine Melanoma Tyrosinase: Physiological Implications. Eur.J. Biochem. 166:705〜711頁、1987)。非常に最近になって、Gunathilakeらは、暗く色素沈着した対象からのメラニン形成細胞、特に樹状突起は、明るく色素沈着した対象のものよりも有意により酸性であり、この酸性度はメラノソームに限局されるようであることを報告した(Gunathiliake R.、Schurer N.、Shoo B.、Celli, A.、Hachem J. P.、Curmrine D.、Sirimanna, G.、Feingold K.、Mauro t.、Elias P.: pH-regulated Mechanism Accounts for Pigment-Type Differences in Epidermal Barrier Function. J. Invest. Dermatol、129:1719〜1729頁、2009)。他方では、他のグループが、哺乳動物のチロシナーゼは、ほぼ中性のpHで最適な酵素の活性を有し、その活性はpHの低減と共に喪失することを観察した(Hearing, V. J.及びEkel, T. M.: Mammalian Tyrosinase. A Comparison of Tyrosine Hydroxylation and Melanin Formation、J. Biochem.、157:549〜557頁、1976; Saeki, H.及びOikawa, A.: Stimulation of Ionophores of Tyrosinase Activity of Mouse Melanoma Cells in Culture、J. Investig. Dermatol. 85:423〜425頁、1985; Townsend, D.、Guillery, P.、及びKing. R. A.: Optimized Assay for Mammalian Tyrosinase (Polyphenol Phenyloxidase)、Anal. Biochem. 139:345〜352頁、1984)。Ancansらは、中性付近のメラノソームpHは、ヒトのチロシナーゼ活性、メラニン形成及びメラノソームの成熟速度に最適であり、低いpHは、白人のメラニン形成細胞におけるメラニン産生を阻害することを報告した。ユーメラニン/フェアオメラニンの産生比率及びメラノソームの成熟速度は、メラノソームのpHにより調節され、したがって、メラノソームのpHは、メラニン産生の複数の段階を調節する必須因子であるようであることがさらに観察された(Ancans, J、D.、Tobin, J.、Hoogdujin, J. J. Smit, N. P.、Wakamatsu, K.、及びThody, A. J.: Melanosomal pH Controls Rate of Melanogenesis、Eumelanin/Phaeomelan in Ratio and Melanosome Maturation in Melanocytes and Melanoma Cells、Experimental Cell Research 268:26〜35頁、2001)。Smithらによる研究もまた、白人におけるメラノソームの内部pHは酸性であり、このpHでチロシナーゼは不活性であるのに対して、黒人のメラノソームのpHは、より中性で、チロシナーゼ活性に最適であるようであることを示唆した(Smithら: The Relationship Between Na+/H+ Exchanger Expression and Tyrosinase Activity in Human Melanocytes. Exptl. Cell Res. 298:521〜534頁、2004)。このように、文献では、メラニン産生におけるメラノソームpHの役割について、意見の相違が存在する。
【0009】
Puriらは、マウス「p」遺伝子(ピンクアイドダイリューション(p)変異体)メラニン形成細胞の異常なpHについて報告し、より少ない酸性メラノソームの発見に基づき、pタンパク質が、メラノソームの酸性化、例えばメラノソーム膜内のイオン交換又はチャネルタンパク質において機能し、これがチロシナーゼの活性及び/又はルーティングに影響を与える可能性があると仮定した(Puri, N.、Gardner, J. M.、Brilliant, M. H.: Aberrant pH of Melanosomes in Pink-eyed Dilution (p) Mutant Melanocytes. Soc. Invest. Dermatol. 115:607〜613頁、2000)。Ancansらは、p-タンパク質は、p-タンパク質がプロトン勾配に対するイオントランスポーターとして機能するようにするATPからのエネルギーを利用しないことから、Puriに対する代わりの仮定を提案した。Ancansらは、v型プロトンポンプ阻害剤(オルガネラ酸性化の原因である)を用いて、変異型及び野生型メラノソームを処置し、変異型細胞では、中和によりメラニン含有量が増加したが、野生型細胞では顕著な変化はなかったことを観察した。この研究は、p遺伝子座タンパク質は、ほぼ中性の局所的微環境を作り出す役割を有し、この変化がチロシナーゼ活性を促進することを示唆した。よって、p遺伝子座タンパク質は、Na+/H+対向輸送体(NHE)に類似するような、メラノソームの内側のプロトン濃度を減少させるチャネルとして機能することができる(Ancans, J.、Hooduijn, J.、Thody, A.J.: Melanosomal pH、Pink Locus Protein and their Roles in Melanogenesis. J. Invest. Dermatol. 117(1):158〜159頁、2001)。Halabanらは、バフィロマイシンA1及びモネンシンが、チロシナーゼのプロセシングにおいて二重の役割を果たすこと示唆した:すなわち、小胞体に保持されたチロシナーゼレベルの減少と、小胞体又は小胞体-ゴルジ中間体コンパートメントのいずれかのpHを増加することによる小胞体からゴルジへのチロシナーゼ放出の促進(Ha
laban, R.、Patton, R. S.、Cheng, E.、Svedine, S.、Trombetta, E. S.、Wahl, M. L.、Arujan, S. and Hebert, D. N.: Abnormal Acidification of Melanoma Cells Induces Tyrosinase Retention in the Early Secretory Pathways、J. Biol. Chem. 277(17):14821〜14828頁、2002)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、メラノソームを含めた酸性オルガネラのpHの増減が、脱色に良い結果をもたらすかどうか、文献からは明白なガイダンスがない。さらに本発明の前に、メラニン形成細胞のpHの中和を阻害する薬剤が望ましい可能性があると仮定したとしても、酸性オルガネラのpHを減少させる認められた手段は存在しなかったので、確かに安全なものは何もなかった。利用可能なpH調整化合物、例えばバフィロマイシンA1及びモネンシンなどは、酸性オルガネラのpHを増加させ、胃のプロトンポンプ阻害剤の既知の標的は、メラニン形成細胞内に存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、皮膚の美白又は皮膚の脱色を達成する安全及び有効な化合物及び組成物、並びにこれらの使用の方法に関する。
【0012】
具体的に、本発明は、構造式:
【化2】

【0013】
[式中、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)、並びにハロゲンからなる群から選択され、
R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシエトキシなど(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体、或いは構造式:
【化3】

【0014】
[式中、
R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり、
R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は
【化4】

【0015】
(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただしこの場合R2は水素でないものとする)、
R4は、Z-T-W(式中、Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びArの場合、Wは水素を表す(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する))であり、
R5は、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体を、皮膚の美白又は脱色の有効量で含み、そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている組成物に関する。
【0016】
本発明に含まれるのは、薬学的に、化粧品として、及び皮膚科学的に許容される、上記の化合物の塩、他の光学異性体又は立体異性体を含まない又はこれらと混合したその立体異性体及び光学異性体と、化粧品として、皮膚科学的又は薬学的に許容されるその担体と一緒の組成物中のこのような化合物である。
【0017】
本発明は、本明細書中に記載されている、皮膚を美白又は脱色する活性化合物の安全及び有効な量を含む組成物を、それを必要とする皮膚に投与することによって、皮膚を美白又は脱色する方法にさらに関する。
【0018】
本発明の組成物は、本質的に皮膚を美白又は脱色する活性化合物からなることができる。「本質的にからなる」とは、本発明の組成物が、皮膚の美白又は脱色活性のある化合物によって組成物に与えられる所望の特性に有害な影響を与えるいかなる成分も含まないことを意図する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「局所適用」という用語は、直接外皮上で層状にする又は伸ばすことを意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、「化粧品として又は皮膚科学的に許容される」という用語は、適切な利益/リスク比で釣り合いが取れ、過度の毒性、非適合性、不安定性、刺激性、アレルギー反応などがなく、皮膚と接触させて使用するのに適していることを意味する。
【0021】
本明細書で使用する場合、「色素沈着領域」という用語は、高いメラニン含有量を有する皮膚の局所的な領域を意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、「皮膚の美白」又は「皮膚の脱色」という用語は、例えば加齢斑、黒皮症(褐色斑)、雀斑、炎症後色素沈着又は太陽に誘発され色素沈着した斑点などを含めた、皮膚の色合いの全体の美白及び色素沈着の領域の美白を含む、皮膚中のメラニンの低減を意味する。
【0023】
本明細書で使用する場合、用語及び「皮膚を美白/脱色する安全及び有効な量」とは、処置を受ける症状の前向きの改質(すなわち、皮膚を美白すること又は皮膚の色合いを均一にすること)を有意に引き起こすのに十分であり、しかも重大な副作用を回避する位十分に低い、化合物又は組成物の量を意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「誘導体」という用語は、生理学的に許容されるその塩、溶媒和物又はバイオプレカーサーなどを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図は、陽性対照と比較した場合の、本発明の組成物の皮膚の美白効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
胃酸分泌阻害剤は、これらの作用点に基づき全般的に2つのカテゴリー:すなわちヒスタミンH2-レセプターアンタゴニスト又は抗コリン剤などの、胃の壁細胞の側底膜で作用する阻害剤と、I型K+/H+-ATPaseの阻害剤などの分泌膜で作用し、壁細胞のプロトンポンプ又はp-ポンプとしても知られているものに分類することができる。このp-ポンプ阻害剤は、可逆性及び不可逆性の型を含む。最近、後者のクラスに属する薬剤である、置換ベンゾイミダゾールが大きな注目を浴びている。
【0027】
特定の置換ベンゾイミダゾール化合物は、胃酸阻害剤又は胃食道逆流症(GERD)及び潰瘍薬物療法として一般的に知られている。これらはまた、プロトンポンプ阻害剤又はPPIと呼ばれている。現在市販のPPI製品として、オメプラゾール、5-又は6-メトキシ-2-{[(4-メトキシ-3,5-ジメチルピリジン-2-イル)メチル]スルフィニル}-1H-ベンゾイミダゾール;エソメプラゾール、S-5-メトキシ-2-{(4-メトキシ-3,5ジメチルピリジン-2-イル)メチルスフィニル(sufinyl)]-3H-ベンゾイミダゾール;ランソプラゾール、2-{[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メチルスルフィニル-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;パントプラゾール、RS-6-(ジフルオロメトキシ))-2-[(3,4-ジメトキシピリジン-2-イル)メチルスルフィニル]-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;及びラベプラゾール(パリプラゾール)、2-([4-(3-メトキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-2-イル]メチルスルフィニル)-1H-ベンゾ(d)イミダゾールが挙げられる。PPIは、安全であり、H2-レセプターブロッカーに比べて胃酸を減少させるのにより有効であることが観察されている。特に一般的なPPIは、オメプラゾールであり、Prilosec(登録商標)としても知られている。他のPPIとして、レミノプラゾール、2-((o-(イソブチルメチルアミノ)ベンジル)スルフィニル)ベンゾイミダゾール;及びチモプラゾール、2-(ピリジン-2-イルメチルスルフィニル)-1H-ベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0028】
これらPPI化合物はすべて、基本的な構造的フレームワークを含有し、以下の式で示されたピリジン及びベンゾイミダゾール環上に配置された置換基の性質のみが異なる:
【化5】

【0029】
一般的に使用されるPPIは、以下の式で示される:
【化6】

【0030】
PPIは、胃の内容物の酸性化に主に関与している酵素である、胃の水素カリウムATPaseすなわちH+/K+-ATPaseを遮断する化合物である。このATPaseは、胃の内側の細胞の極めて特定化された上皮細胞である壁細胞に見出される。このATPaseは、胃の粘膜及び胃の壁細胞を横切って酸を移動させ(Chang, H.、Saccomani, G.、Rabon, E.、Schackmann R.、Sachs, G.: Proton Transport by Gastric Membrane Vesicles、Biochimet Biophysica Acta、464(2):313〜327頁、1977; Sachs G. and Wallmark, B.、The Gastric H+ K+ ATPase: The Site of Action of Omeprazole. Scand. J. of Gastroenterol.、24:No.s 166、3〜11頁、1989)。壁細胞は、分泌膜システムを有し、H+/K+-ATPaseはこれらの膜の主要なタンパク質成分である。ATPaseは、正味電気的中性を保つような形で、H+の外向き移動(壁細胞の細胞質から)及びK+の内向き移動(胃の内腔から)と関連したリン酸化及び脱リン酸化のサイクルを繰り返す。ATPaseは、ATPの加水分解から誘導されるエネルギーを使用して、濃度勾配に対してイオンを輸送するためのイオンポンプとして機能する。すべてのp-型ATPaseと同様に、リン酸基は、輸送サイクルの間、アデノシン三リン酸(ATP)からH+/K+-ATPaseへと移送される。このリン酸の移送は、イオン輸送の駆動を補助する酵素のコンホメーション変化に力を与える。PPIは、H+、K+-ATPaseを不可逆的に遮断することによって作用し(Robinson, M. and Horne, J.: Clinical Pharmacology of Proton Pump Inhibitors: What the Practicing Physician Needs to Know、Drugs: 63: 2739〜2754頁、2003)、これによって、胃への酸の分泌を阻害する。これらの抗分泌型化合物は、胃の壁細胞の分泌表面にあるATPaseを特異的に阻害し、酸産生の最終ステップを遮断する。
【0031】
競合的に及び可逆的にH2レセプターと相互作用するH2-アンタゴニスト化合物とは異なり、PPIは、胃の酸性環境中で、ATPase酵素とジスルフィドの共有結合を形成し、ポンプの不可逆性の阻害をもたらす。ジスルフィド結合の一方の硫黄原子は、ATPase上のシステイン残基(CYS)に由来し、他方の硫黄原子は、PPIに由来することになる。CYS813は、PPIの阻害作用にもっとも重大な残基として同定された。このシステインは、ATPaseの管腔の入り口に位置し、ATPaseタンパク質の細胞質外領域からアクセスできる。いくつかのPPIはまたCYS822に反応する。酵素上の別の残基はまた、PPIを適当な場所に保ち、その位置に置くためにも重要である(Roche, V. F.: The Chemically Elegant Proton Pump Inhibitors、Amer. J. Phar. Educ、70(5) Article 101、2006; Qaisi, A. M.、Tutunji, J. F.、Tutunji, L. F.: Acid Decomposition of Omeprazole in the Absence of Thiol: a Differential Pulse Polarographic Study at the Static Mercury Drop Electrode (SMDE)、J. Pharm. Sci. 95(2):384〜391頁、2006)。PPIは、ATPaseと結合するために活性化しなければならない。すなわち、PPIは、活性化形態への再配列が行われるための酸性の環境を必要とする。以下のスキームに示されているように、活性化経路は、極めて酸性の壁細胞のすぐに外側で容易に生じる2つのプロトン付加反応から始まる。PPIのスルホンアミド(プロトン化された)形態は、ATPaseのアルファサブユニット内のチオール基に結合することによって、比較的に安定したジスルフィドを形成する(Besancon, M.、Shin, J. M.、Mercier, F.、Munson, K.、Miller, M.、Hersey, S.、Sachs, G.: Membrane Topology and Omeprazole Labelling of the Gastric H+, K(+) Adenosinetriphosphatase. Biochem. 32(9):2345〜2355頁、1993; Besancon, M.、Simon, A.、Sachs, G.、Shin, J. M.: Sites of Reaction of the Gastric H、K-ATPase with Extracytoplasmic Thiol Reagents. J. of Biol. Chem. 272:22438〜446頁. 1997)。
【化7】

【0032】
可逆型プロトンポンプ阻害剤は、APA(酸ポンプアンタゴニスト)であり、また厳密にはすべてのAPAがカリウム競合的というわけではないので、広い意味では、P-CAB(カリウム競合的酸ブロッカー)と呼んでいる。これら可逆的阻害剤の主要なクラスとして、イミダゾピリジン誘導体、アシルキノリン誘導体及びピロロピリダジン誘導体が挙げられる。
【0033】
pHは、メラニン形成の重要な要素であり、均一の皮膚の色合いを望む消費者は、常により効果的で安全な製品を探しているので、本発明者らは、I型H+、K+-ATPaseの阻害剤、例えば、置換-ベンゾイミダゾール、例えば2-ピリジルメチルスルフィニル-ベンゾイミダゾールなど、例えばオメプラゾールなど、及び構造的関連のある化合物、例えばエソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、及びラベプラゾールなど、並びにその類似体又は誘導体、例えば、オメプラゾール硫化物、パントプラゾール硫化物、ランソプラゾール硫化物、パントプラゾールナトリウム塩など、及びイミダゾピリジン、例えばSCH-28080など、及び構造的関連のある化合物などが、皮膚の色合いを均一にするために意味があるかどうか調べた。この目的のために理想的な化合物であれば、皮膚に容易に送達可能であり、安定性があり、1,000倍の治療指数IC50<LD50を有し、持続性の効果を実証するはずである。
【0034】
PPIは、インドール及びイミダゾールの高スループットのスクリーニング中にメラニン合成のモジュレーターとして発明者らによって、最初に発見された。B16F10メラノーマ細胞を、様々な濃度で試験化合物と共に3日間インキュベートした。細胞を固定し、乾燥させ、溶解し、メラニン含有量を測定した。細胞のメラニン含有量に基づき、細胞中のメラニンを減少させるのにもっとも強力な化合物の1つは、オメプラゾールであることが観察された。次いでオメプラゾールは、B16F10メラノーマ細胞、健常なヒトメラニン形成細胞及び3-D皮膚(NHEK及びメラニン形成細胞)に細胞傷害性を生じることなく、メラニン合成を阻害すると判定された。黒人、アジア人及び白人のメラニン形成細胞を使用したさらなる実験は、12.5、25及び50μg/mlのオメプラゾールが、それぞれおよそ50%、30%、及び20%でメラニン産生を減少させたことを示した。
【0035】
さらに、本発明者らは、オメプラゾールが、メラニン形成細胞内でより酸性の環境を作り出すことを観察した。pHの変化を検出するプロトコルは、Cheli, Y.らに従った。B16F10メラノーマ細胞をガラス底面のシャーレに播種し、10%FBSを含むDMEM培地で維持した。試験化合物、オメプラゾール又はホルスコリン(よりアルカリ性環境を作り出し、メラニン産生を引き起こす)を、播種から18時間後に添加し、4時間後又は24時間後のいずれかにpHの変化を評価した。細胞を新鮮な培地で洗浄し、30μMのDAMP([3-(2,4-ジニトロアニリノ)3'アミノ-N-メチルジプロピルアミン]、酸性コンパートメントに蓄積する弱塩基)の存在下、20分間インキュベートした。細胞を3%PFA中で室温で20分かけて固定した。ガラス底面のシャーレをPBSで洗浄し、NH4Cl//PBS中、室温で10分間インキュベートし、氷上で2分間、0.1%Triton-100を含むPBS中で透過処理した。次いでこのシャーレを、緑色を反射するフルオレセインイソチオシアナート(FITC)で標識したウサギ抗ジニトロフェニル(DNP)抗体(1/50 PBS+1%BSA)と共に、37℃で1時間インキュベートした。蛍光の強度が、DAMPの蓄積を示した。増加した蛍光強度は、pHの低下と関連づけることができる(Cheli, Y.、Luciani、F., Khaled、M., Beuret, L.、Billie, K.、Gounon, Pl、Ortonne, J. P.、Bertolotto, C.、及びBallotti, R.、Alpha-MSH and cyclic-AMP elevating agents control melanosome pH through a PKA-independent mechanism. J. Biol. Chem.、284: 18699〜18706頁、2009)。このデータを、以下の表Iに示す。
【表1】

【0036】
細胞をオメプラゾールに24時間曝露した後、蛍光強度は増加したが、これは、より酸性のpHが誘発されたことを示している。一方で、ホルスコリンでの処置は、DAMP標識を低減させた。ホルスコリンは、メラノソーム環境のアルカリ化を誘発することが事前に示されていた。さらに、データは、酸性化が、比較的に急速に生じ、蛍光強度はたった4時間で有意に増加することを示している。濃度25μM及び50μMのオメプラゾールは、両方とも4時間の処置後、メラノーマ細胞のpHを低下させるのに有効であった。このようなより短い時間周期が予想されるのは、オメプラゾールが、例えば、ポンプ酵素のタンパク質合成などを必要とするいくつかの間接的作用を介して作用するのではなく、むしろプロトンポンプの直接の阻害を介して作用した場合であろう。
【0037】
発明者らによるさらなる予期しない発見は、化合物SCH-28080が、オメプラゾールと同様に効率的にメラニン形成を阻害したことである。SCH-28080、[2-メチル-8-(フェニルメトキシ)イミダゾ(1,2a)ピリジン-3-アセトニトリル]は、以下に示す式を有し、イミダゾピリジン誘導体のクラスの疎水性アミンであり、より具体的には、置換ピリジル1[1,2-a]イミダゾール、すなわち、SCH-32651、[3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジンHCl]も含むクラスである。SCH-28080は、プロトンポンプ阻害剤である点においてオメプラゾールと似ているが、その化学構造において、特に硫黄部分が全く無いという点で、オメプラゾール及びその誘導体とははっきりと異なる。胃のH-、K+-ATPaseに対するその作用もまた全く異なる。SCH28080は、K+結合部位の競合的阻害剤であり、したがってその阻害は、可逆的であるが(Wallmark B.、C. Briving、J. Fryklund、K. Munson、R. Jackson、J. Mendlein、E. Rabon、G. Sachs、Inhibition of Gastric H+, K+-ATPase and Acid Secretion by SCH28080、a Substituted Pyridyl 1(1,2α)imidazole. J. Biol. Chem. 262: 2077〜2084頁、1987; Beil、W.ら、Hatchbarth, I、Sewing, K. F.: Mechanism of Gastric Antisecretory Effect of SCH28080、Br. J. Pharmac. 88:19〜23頁、1986)、オメプラゾールは、共有結合であり、不可逆性の結合を作る。ターゲット部位もまた異なる。SCH-28080は、胃ポンプの822位におけるグルタミンをターゲットとするが(Asano S.、S. Matsuda、Y. Tega、K. Shimizu、S. Sakamoto、N. Takeguchi、Mutational Analysis of Putative SCH28080 Binding Sites of the Gastric H+, K+-ATPase、J. Biol. Chem.272、17668〜17674頁、1997)、オメプラゾールは、タンパク質の他の位置のシステインと反応する。
【化8】

【0038】
イミダゾピリジン誘導体のクラスの他の化合物として、これらに限らないが、ソラプラザン[(7R,8R,9R)-2,3-ジメチル-8-ヒドロキシ-7(2-メトキシエトキシ)-9-フェニル-7,8,9,10-テトラヒドロ-イミダゾ-[1,2-h][1,7]-ナフチリジン]、プマプラゾール8-(2-メトキシカルボニルアミノ-6-ベンジルアミノ(benzulamino))-2,3-ジメチルイミダゾ-[1,2-a)ピリジン-D,L-ヘミマレート、AR-H047108、(8-[(2-エチル-6-メチルベンジル)アミノ]2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド;ダピプラゾール、3-{2-[4-(2-メチルフェニル)ピペラジン-1-イル]エチル}-5,6,7,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,5-a]ピリジン;AZD0865、((8-[2,6-ジメチルベンジル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-カルボキサミド;及びテナトプラゾール、3-メトキシ-8-[(4-メトキシ-3,5-ジメチル-ピリジン-2-イル)メチルスルフィニル]-2,7,9-トリアザビシクロ[4.3.0]ノナ-2,4,8,10-テトラエンが挙げられる。以下に示すテナトプラゾールは、スルフィニル部分を含有するので、置換ベンゾイミダゾールとも構造的関連のあることに注意することが重要である。その阻害は、逆転に対して抵抗性である。
【化9】

【0039】
アシルキノリン誘導体として、これに限らないが、以下に示す、化合物アリピプラゾール、7-[4-[4-(2,3-ジクロロフェニル)ピペラジン-1-イル]ブトキシ]-3,4-ジヒドロ-1H-キノリン-2-オン、及びレバプラザン、[5,6-ジメチル-2-(4-フルオロフェニルアミノ)-4-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イル-ピリミジン]が挙げられる。
【化10】

【0040】
ピロロピリダジン誘導体として、これに限らないが、以下に示すCS-526、7-(4-フルオロベンジルオキシ)-2,3-ジメチル-1-{[(1S,2S)-2-メチルシクロプロピル]メチル}-1H-ピロロ[2,3-d]ピリダジンが挙げられる。
【化11】

【0041】
これら相違点にもかかわらず、本発明を強調する可逆的及び不可逆的プロトンポンプ阻害剤の間には明白な類似点がある。最初に、これらは弱塩基であり、これによって、相対的に酸性の部位でのこれらの蓄積につながる。第2に、これらはH+、K+-ATPaseの酸性側と反応し、胃ポンプの場合、これは胃の内腔の中にある。第3に、これらは、I型H+、K+-ATPaseのみに有効な阻害剤であり、これらはすべてウアバインに対して抵抗性であり、例えば、膀胱及び大腸に見出され、ウアバインに感受性があり、SCH-28080に抵抗性を示し、I型H+、K+-ATPaseのグルタミン残基に対応する位置にアスパラギン酸残基を有するATP12AなどのIII型H+、K+-ATPaseとはっきりと異なる。
【0042】
オメプラゾール(並びにその類似体及び構造的関連のある化合物)とSCH-28080の両方が、構造及び作用機序におけるこれらの相違点にもかかわらず、メラニン形成を阻害するので、I型H+、K+-ATPaseの阻害剤はメラニン形成の阻害剤でもあるという新規の一般論が導かれる。
【0043】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して本明細書中で以下により詳細に説明されている。しかしこれらの実施形態は、本発明を例示するために記載されており、特許請求の範囲で定義された本発明の限定として解釈するものではない。
【0044】
一態様において、本発明は、皮膚への局所適用のための組成物であって、I型H+、K+-ATPaseの阻害剤である、少なくとも1つの化合物又はその誘導体の皮膚美白/脱色有効量を含む組成物に関する。
【0045】
第1の態様の好ましい一実施形態において、本発明は、皮膚への局所適用のための組成物であって、構造式:
【化12】

【0046】
[式中、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)、並びにハロゲンからなる群から選択され、
R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシメトキシなど(これらのいずれもハロゲン置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体の、皮膚美白/脱色有効量を含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている組成物に関する。
【0047】
式IのアルキルR1及びR2は、7個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有するアルキルが適切である。よって、アルキルRは、ハロゲン置換されていてもいなくてもよい、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル又はイソブチルであってよい。
【0048】
ハロゲンR1及びR2は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨードである。
【0049】
アルコキシR1及びR2は、ハロゲン置換されていてもいなくてもよい、5個までの炭素原子、好ましくは3個までの炭素原子を有するアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、又はイソプロポキシなどが適切である。
【0050】
アルカノイルR1及びR2は、ハロゲン置換されていてもいなくてもよい、好ましくは4個までの炭素原子を有し、例えばホルミル、アセチル、又はプロピオニルであり、好ましくは、アセチルである。
【0051】
一般式Iの1つの好ましい化合物のグループは、R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択され、R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、R3、R4、及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択されるものである。
【0052】
一般式Iの化合物の第2の好ましいグループとして、R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、ハロゲン置換されたメチル、メトキシ、及びハロゲン置換されたメトキシからなる群から選択され、R6が水素であり、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、メトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、エトキシプロポキシ、プロポキシエトキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択されるものである。
【0053】
好ましい化合物の非限定的な例として、R1及びR2が、それぞれ水素又はメトキシであり、R3及びR5がメチルであり、R4がメトキシである化合物、R1、R2、R5及びR6が水素であり、R3がメチルであり、R4がプロポキシメトキシである化合物、R1、R2、R3、R4、R5及びR6がすべて水素である化合物、R1、R2、R5及びR6がすべて水素であり、R3がメチルであり、R4がハロゲン置換されたエトキシである化合物、並びにR1及びR2が水素又はハロゲン置換されたメトキシであり、R6が水素であり、R3が水素であり、R4及びR5がメトキシである化合物がある。
【0054】
本発明の組成物中で使用するためのもっとも好ましいものは、オメプラゾール、その誘導体及び類似体である。
【0055】
本発明の第1の態様のさらなる好ましい実施形態は、構造式:
【化13】

【0056】
[式中、
R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり、
R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は
【化14】

【0057】
(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただしこの場合R2は水素でないものとする)、
R4は、Z-T-W(Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びAr(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する)の場合、Wは水素を表す)であり、
R5が、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体の、皮膚美白/脱色有効量を含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として若しくは皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている、皮膚への局所適用のための組成物に関する。
【0058】
本明細書全体を通して採用されている「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味し、クロロ及びフルオロが好ましい。「低級」という用語は、これがアルキルなどの基を修飾する場合、6個までの炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t-ブチル、イソプロピル、ネオペンチル、ジメチルブチルなどを意味する。メチルは、好ましい低級アルキルである。
【0059】
「ピリジニル」は、2-、3-及び4-アイソマー並びにこれらのハロゲン置換及び低級アルキル置換類似体を意味し、「チエニル」は、2-及び3-アイソマー並びにこれらのハロゲン置換及び低級アルキル置換類似体を意味し、「フラニル」は、2-及び3-アイソマー、並びにこれらのハロゲン置換及び低級アルキル置換類似体を意味する。
【0060】
「Ar」がフェニルの場合、置換基は、フェニルのメタ、オルト及び/又はパラ位にあってよい。好ましい置換基はハロゲンである。
【0061】
R5置換基は、R4置換基によってすでに置換されていない、イミダゾ[1,2-a]ピリジン核の5、6、7又は8位のうちの1つ又は複数の位置にあってよい。
【0062】
「薬学的に許容される塩」は、酸性の水素がアミンと酸付加塩を形成する塩、例えば、3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ-[1,2-a]ピリジンのリン酸塩を意味する。薬学的に許容される酸付加塩に適した酸として、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸などが挙げられる。塩は、当技術分野で周知の手順により調製される。
【0063】
式IIの化合物の好ましいサブグループは、R2がメチル又はエチルを表し、R3が-NH2、-NHC2H5、-CH2CN、-CH3、-CH2OH又は-CH2N=Cを表し、R4が、-OCH2Ar、-NHCH2Ar、-CH=CH-(CH2)nAr又は-CH2CH2(CH2)nArを表し(式中、nは、ゼロ又は1であり、Arは、本明細書中で上に定義された通りである)、R5が水素、フルオロ、クロロ又はメチルである化合物である。
【0064】
さらなる好ましいサブグループは、R4が8位にあり、R5が水素以外の場合7位にある化合物である。
【0065】
さらなる好ましいサブグループは、R4が8位にあり、フェニルメトキシ、フェニルエチル、3-フェニル-1-プロペニル、フェニルエテニル、ベンジルアミノ、3-チエニルメトキシ及び3-チエニルメタンスミノから選択され、R2が、メチルであり、R3が、アミノ、シアノメチル又はメチルであり、R5が、7位にある水素又はメチルである化合物である。
【0066】
本発明の範囲内の、イミダゾ[1,2-a]ピリジン化合物の非限定的な例は、以下である:
1. 3-アミノ-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ-[1,2-a]ピリジン;
2. 2,3-ジメチル-8-[(2-フェニル)エテニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
3. 3-シアノメチル-2-メチル-8-(3-フェニル-1-プロペニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
4. 2,7-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
5. 3-エチルアミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
6. 3-エチルアミノ-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
7. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
8. 3-アミノ-2-エチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
9. 3-アミノ-2,6-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
10. 3-アミノ-2,7-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
11. 3-アミノ-8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
12. 3-アミノ-8-(4-クロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
13. 3-アミノ-2-メチル-8-[(3-チエニルエチル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
14. 3-アミノ-2-メチル-8-(3-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
15. 3-アミノ-2-メチル-8-(2-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
16. 2-メチル-3-イソシアノメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
17. 2-メチル-8-[3-チエニルメチルアミノ]-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
18. 2-メチル-6-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
19. 3-アミノ-2-メチル-6-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
20. 3-アミノ-8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
21. 2-メチル-8-(2,4,6-トリメチルフェニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
22. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
23. 8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
24. 8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
25. 2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
26. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
27. 2-メチル-8-(2-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
28. 2-メチル-8-(2-ピリジルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
29. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
30. 8-(4-メトキシフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
31. 8-(4-t-ブチルフェニルメトキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
32. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
33. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
34. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
35. 8-フェニルメトキシ-2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
36. 8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
37. 8-フェニルメトキシ-2-ヒドロキシメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
38. 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-8-(2-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
39. 8-フェニルメトキシ-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
40. 2-メチル-8-(2-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
41. 2-メチル-8-(1-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
42. 2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
43. 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
44. 2-メチル-8-(3-フェニルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
45. 8-フェニルメトキシ-2-イソプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
46. 8-フェニルメトキシ-2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
47. 8-ベンジルアミノ-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
48. 8-フェニルメトキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
49. 8-フェニルメトキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
50. 3-ヒドロキシメチル-8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
51. 8-(4-t-ブチルベンジルオキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
52. 8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
53. 8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
54. 2-メチル-8-(2,4,6-トリメチルフェニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-アセトニトリル;
55. 8-ベンジルアミノ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
56. 2-メチル-8-(3-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
57.2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
58. 8-アリルオキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
59. 2-エチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
60. 2-エチル-3-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
61. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン及びそのリン酸付加塩;
62. 2-メチル-8-(3-フェニルプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
63. 2-メチル-6-ベンジルアミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
64. 2-メチル-6-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
65. 2-メチル-5-ベンジルアミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
66. 2-メチル-5-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
67. 2,3-ジメチル-5-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
68. 2-メチル-7-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
69. 3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
70. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジン。
【0067】
好ましい例として、3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン(SCH 28080)及び3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジン(SCH 32651)が挙げられる。
【0068】
本発明の化合物は、異なる方式で命名することができることは明らかなである。よって、「ベンジルオキシ」と「フェニルメトキシ」は、「シアノメチル」と「アセトニトリル」と同じように同義語である。したがって、本明細書で使用する場合、名称は互換性がある。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、皮膚を美白/脱色するための方法であって、それを必要とする皮膚に、I型H+、K+-ATPaseの阻害剤である少なくとも1つの化合物又はその誘導体の皮膚美白/脱色有効量を含む組成物を適用することを含む方法に関する。
【0070】
本発明のこの態様の好ましい実施形態では、皮膚を美白/脱色するための方法は、構造式:
【化15】

【0071】
[式中、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲンで置換されていてもよい)、並びにハロゲンからなる群から選択され、
R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシメトキシなど(これらのいずれも、ハロゲンで置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
で表される少なくとも1つの化合物又はその誘導体
又はその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体の、皮膚美白/脱色有効量を含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている組成物を、それを必要とする皮膚に適用することを含む。
【0072】
式IのアルキルR1及びR2は、7個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有するアルキルが適切である。よって、アルキルRは、ハロゲン置換されていてもいなくてもよい、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル又はイソブチルであってよい。
【0073】
ハロゲンR1及びR2は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨードである。
【0074】
アルコキシR1及びR2は、5個までの炭素原子、好ましくは3個までの炭素原子を有するアルコキシ基、例えば、ハロゲン置換されている基も含めて、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、又はイソプロポキシが適切である。
【0075】
アルカノイルR1及びR2は、好ましくは4個までの炭素原子を有し、例えば、ハロゲン置換されている基も含めて、ホルミル、アセチル、又はプロピオニルであり、好ましくはアセチルである。
【0076】
本発明の方法に使用するための一般式Iの化合物の好ましい1つのグループは、R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択され、R6が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、R3、R4、及びR5が同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択される化合物である。
【0077】
一般式Iの化合物の第2の好ましいグループは、R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、ハロゲン置換されたメチル、メトキシ、及びハロゲン置換されたメトキシからなる群から選択され、R6が水素であり、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、メトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、エトキシプロポキシ、プロポキシエトキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択されるものである。
【0078】
好ましい化合物の非限定的な例は、R1及びR2がそれぞれ水素又はメトキシであり、R3及びR5がメチルであり、R4がメトキシである化合物、R1、R2、R5及びR6が水素であり、R3がメチルであり、及びR4がプロポキシメトキシである化合物、R1、R2、R3、R4、R5及びR6がすべて水素である化合物、R1、R2、R5及びR6がすべて水素であり、R3がメチルであり、R4がハロゲン置換されたエトキシである化合物、並びにR1及びR2が水素又はハロゲン置換されたメトキシであり、R6が水素であり、R3が水素であり、R4及びR5がメトキシである化合物である。
【0079】
本発明の方法で使用するのにもっとも好ましいのは、オメプラゾール、その誘導体及び類似体である。
【0080】
本発明のこの態様のさらなる好ましい実施形態では、皮膚を美白/脱色するための方法は、それを必要とする皮膚に、構造式:
【化16】

【0081】
[式中、
R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり、
R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は
【化17】

【0082】
(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただしこの場合R2は水素でないものとする)、
R4は、Z-T-W(式中、Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びAr(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する)の場合、Wは水素を表す)であり、
R5は、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]
で表される少なくとも1つの化合物又はその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体の、皮膚美白/脱色有効量を含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている組成物を適用することを含む。
【0083】
本方法に使用するための、式IIの化合物の好ましいサブグループは、R2がメチル又はエチルを表し、R3が-NH2、-NHC2H5、-CH2CN、-CH3、-CH2OH又は-CH2N=Cを表し、R4が-OCH2Ar、-NHCH2Ar、-CH=CH-(CH2)nAr又は-CH2CH2(CH2)nArを表し、nがゼロ若しくは1であり、Arが本明細書中に上で定義された通りであり、R5が水素、フルオロ、クロロ又はメチルである化合物である。
【0084】
化合物のさらなる好ましいサブグループは、R4が8位にあり、R5が、水素以外の場合、7位にあるものである。
【0085】
さらなる好ましいサブグループは、R4が8位にあり、フェニルメトキシ、フェニルエチル、3-フェニル-1-プロペニル、フェニルエテニル、ベンジルアミノ、3-チエニルメトキシ及び3-チエニルメタンアミノから選択され、R2がメチルであり、R3がアミノ、シアノメチル又はメチルであり、R5が7位にある水素又はメチルである化合物である。
【0086】
本発明の範囲内のイミダゾ[1,2-a]ピリジン化合物の非限定的な例は、以下である:
1. 3-アミノ-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ-[1,2-a]ピリジン;
2. 2,3-ジメチル-8-[(2-フェニル)エテニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
3. 3-シアノメチル-2-メチル-8-(3-フェニル-1-プロペニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
4. 2,7-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
5. 3-エチルアミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
6. 3-エチルアミノ-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
7. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
8. 3-アミノ-2-エチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
9. 3-アミノ-2,6-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
10. 3-アミノ-2,7-ジメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
11. 3-アミノ-8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
12. 3-アミノ-8-(4-クロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
13. 3-アミノ-2-メチル-8-[(3-チエニルエチル)アミノ]イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
14. 3-アミノ-2-メチル-8-(3-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
15. 3-アミノ-2-メチル-8-(2-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
16. 2-メチル-3-イソシアノメチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
17. 2-メチル-8-[3-チエニルメチルアミノ]-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
18. 2-メチル-6-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
19. 3-アミノ-2-メチル-6-(2-フェニルエチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
20. 3-アミノ-8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
21. 2-メチル-8-(2,4,6-トリメチルフェニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
22. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
23. 8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
24. 8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
25. 2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
26. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
27. 2-メチル-8-(2-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
28. 2-メチル-8-(2-ピリジルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
29. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
30. 8-(4-メトキシフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
31. 8-(4-t-ブチルフェニルメトキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
32. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
33. 8-(3,4-ジクロロフェニルメトキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
34. 8-(4-クロロフェニルメトキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
35. 8-フェニルメトキシ-2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
36. 8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
37. 8-フェニルメトキシ-2-ヒドロキシメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
38. 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-8-(2-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
39. 8-フェニルメトキシ-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
40. 2-メチル-8-(2-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
41. 2-メチル-8-(1-フェニルエトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
42. 2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
43. 3-ヒドロキシメチル-2-メチル-8-(2-フェニルエチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
44. 2-メチル-8-(3-フェニルプロポキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
45. 8-フェニルメトキシ-2-イソプロピルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
46. 8-フェニルメトキシ-2-エチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
47. 8-ベンジルアミノ-2,3-ジメチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
48. 8-フェニルメトキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
49. 8-フェニルメトキシ-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
50. 3-ヒドロキシメチル-8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
51. 8-(4-t-ブチルベンジルオキシ)-3-ヒドロキシメチル-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
52. 8-(2-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
53. 8-(4-フルオロフェニルメトキシ)-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
54. 2-メチル-8-(2,4,6-トリメチルフェニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-アセトニトリル;
55. 8-ベンジルアミノ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
56. 2-メチル-8-(3-チエニルメトキシ)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
57. 2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
58. 8-アリルオキシ-2-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
59. 2-エチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
60. 2-エチル-3-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
61. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン及びそのリン酸付加塩;
62.2-メチル-8-(3-フェニルプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
63. 2-メチル-6-ベンジルアミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
64. 2-メチル-6-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
65. 2-メチル-5-ベンジルアミノイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
66. 2-メチル-5-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
67. 2,3-ジメチル-5-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン;
68. 2-メチル-7-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセトニトリル;
69. 3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;
70. 3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジン。
【0087】
本発明のこの方法において有効な化合物の好ましい例として、3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン(SCH28080)及び3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジン(SCH32651)が挙げられる。
【0088】
本発明のさらなる態様は、メラニン合成をモジュレーションする効力について化合物をスクリーニングする方法に関する。本発明のこの態様の一実施形態において、化合物は、細胞内のメラニンの量を低減させる効力についてスクリーニングされ、この方法は、(a)試験対象の化合物を選択するステップと、(b)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を様々な濃度の試験化合物と共に及び陽性対照化合物と共にインキュベートするステップと、(c)メラニン含有量を測定するステップとを含む。本発明のこの態様のさらなる実施形態において、化合物は、細胞のpHを低下させる効力についてスクリーニングされ、この方法は、(a)試験対象の化合物を選択するステップと、(b)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を様々な濃度の試験化合物と共に及び陽性対照化合物と共にインキュベートするステップと、(c)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を、弱塩基、例えば30μM DAMPなどと共にインキュベートするステップと、(d)前記細胞を、弱塩基に対する標識した抗体、例えば蛍光FITC標識したウサギ抗DNP抗体などと共にインキュベートするステップと、(e)pHの変化を、例えば産生された蛍光量を観察することなどによって評価するステップとを含む。
【0089】
I型H+、K+-ATPaseの阻害剤は、医薬品又は化粧品若しくは皮膚科製品に使用することができる。本発明の皮膚組成物は、総組成物の約0.00005重量%〜約0.5重量%、より好ましくは約0.0005重量%〜約0.05重量%、さらにより好ましくは約0.005重量%〜約0.01重量%、例えば約0.0035重量%の活性化合物を含むことができる。
【0090】
本発明の化粧品又は皮膚科用組成物は、種々の形態で、例えば無水組成物、水系溶液、美容液(セラム)、ゲル、クリーム、ローション、ムース、スティック、スプレー、軟膏、エッセンス、ペースト、マイクロカプセルなど、又はカラー化粧品組成物、例えばファンデーション、頬紅、アイシャドウなどで見出すことができる。これらは、他の多くの追加的な化粧品及び/又は皮膚科学的に許容される成分、例えば追加的な皮膚美白剤又はチロシナーゼ阻害剤、抗酸化剤、抗炎症剤、植物成分、保湿剤(humectant)、湿潤剤(moisturizer)、日焼け止め剤、防腐剤、着色剤、香料などを含んでもよい。本組成物が無水形態である場合には、I型H+、K+ -ATPase阻害剤化合物又はその誘導体をエマルションの油相に溶解する又は分散させてもよいし、あるいはI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体が水溶性である場合には、それを極性溶媒中に溶媒和させてもよく、これは典型的に、無水エマルションの形成前に保湿剤(グリセリン又はアルキレングリコールなど)として呼ばれる成分である。本組成物がエマルション形態の場合には、I型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体は、その誘導体の種類に応じてエマルションの水相又は油相に存在することができる。例えば、水溶性の特定の親水性誘導体は、一般的にエマルションの水相中に溶解させる。本来的に親油性の他の特定の誘導体は、エマルションの油相中に存在する可能性が高い。
【0091】
好適なセラム又はゲルは、一般的に、約1〜99%の水、及び場合により約0.001〜30%の水相増粘剤を含む。本明細書中で言及する他の成分は、記載した割合(%)の範囲で存在しうる。
【0092】
典型的な皮膚用クリーム又はローションは、約5〜98%の水、1〜85%の油、及び約0.1〜20%の1種以上の界面活性剤を含む。好ましくは、界面活性剤は非イオン性であり、シリコーン又は有機非イオン性界面活性剤の形態で存在しうる。
【0093】
典型的なカラー化粧品組成物、例えばファンデーション、頬紅、アイシャドウなどは、好ましくは、約0.1〜65%の粒子(顔料又は顔料と粉末の組み合わせである)に加えて、約5〜98%の水、1〜85%の油、及び約0.1〜20%の1種以上の界面活性剤を含む。
【0094】
本組成物が、水溶液、分散液又はエマルションの形態である場合、水に加えて、水相は、1種以上の水相構成剤(すなわち、本組成物の水相の粘性を高める又は濃厚化する剤)を含み得る。これは特に、本組成物がセラム又はゲルの形態である場合に望ましい。水相構成剤は、I型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体と相溶性である必要があり、特に特定のI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体が水溶性である場合には、製剤中の他の成分とも相溶性である必要がある。存在する場合、水相構成剤の好適な範囲は、総組成物の約0.01〜30重量%、好ましくは約0.1〜20重量%、より好ましくは約0.5〜15重量%である。このような剤の例としては、様々なアクリレート系増粘剤、天然ガム又は合成ガム、多糖などが挙げられ、例えば、限定するものではないが、以下に記載のものなどがある。I型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体が水溶性形態である場合には、水相増粘剤はまた、組成物中のこの成分の安定化、及び角質層への浸透の改善に寄与する。そのような構成剤としては以下が挙げられる。
【0095】
A. 多糖
多糖は好適な水相増粘剤であり得る。このような多糖の例としては、自然由来の物質、例えば寒天、アガロース、アルカリゲネス多糖体、アルギン、アルギン酸、アカシアガム、アミロペクチン、キチン、デキストラン、カッシアガム、セルロースガム、ゼラチン、ジェランガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ペクチン、菌核ガム、キサンタンガム、ペクチン、トレハロース、ゼラチンなどが挙げられる。
【0096】
B. アクリレートポリマー
様々な種類の合成ポリマー増粘剤も好適である。その一種として、モノマーA及びBからなるアクリルポリマー増粘剤が挙げられ、この場合、Aがアクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物からなる群から選択され、Bがアクリル酸C1-22アルキル、メタクリル酸C1-22アルキル、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものが好適である。1つの実施形態において、Aのモノマーは1つ以上のアクリル酸又はメタクリル酸を含み、Bのモノマーは、アクリル酸C1-10アルキル、最も好ましくはアクリル酸C1-4アルキル、メタクリル酸C1-10アルキル、最も好ましくはメタクリル酸C1-4アルキル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、Bのモノマーは、1つ以上のアクリル酸又はメタクリル酸メチル又はエチルである。アクリルコポリマーは、ポリマーの約10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%の固形分と、残りの水とを有する水溶液として供給することができる。アクリルコポリマーの組成物は、約0.1〜99部のAのモノマーと、約0.1〜99部のBのモノマーを含み得る。アクリルポリマー溶液としては、Seppic, Inc.により商品名Capigelとして販売されているものが挙げられる。
【0097】
A、B及びCモノマーのコポリマーであるアクリルポリマー増粘剤であって、A及びBが上記に定義されるとおりであり、Cが一般式:
【化18】

【0098】
[式中、Zは-(CH2)mであり、mは1〜10、nは2〜3、oは2〜200であり、RはC10-30直鎖又は分岐鎖のアルキルである。]
を有するものも好適である。上記の二級増粘剤の例は、A及びBが上記に定義されるとおりであり、CがCOであり、n、o及びRが上記に定義されるとおりであるコポリマーである。かかる二級増粘剤の例としては、Rohm & Haasにより商品名Acrysol ICS-1として販売されているアクリル酸/メタクリル酸ステアレス-20コポリマーが挙げられる。
【0099】
少なくとも1つの親水性単位と、脂肪鎖を含有する少なくとも1つのアリルエーテル単位とを含むアクリレート系アニオン性両親媒性ポリマーも好適である。親水性単位が、エチレン性不飽和アニオン性モノマー、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物などのビニルカルボン酸を含み、脂肪鎖を含有するアリルエーテル単位が、式:
【化19】

【0100】
[式中、R'はH又はCH3を表し、Bはエチレンオキシ基を表し、nは0又は1〜100の整数であり、Rは、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより具体的には12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキル基から選択される炭化水素基を表す。]
で表されるモノマーに相当するものが好ましい。この場合、より好ましいのは、R'がHを表し、nが10に等しく、Rがステアリル(C18)基を表すものである。この種類のアニオン性両親媒性ポリマーは、米国特許第4,677,152号及び同第4,702,844号において記載され、また調製されており、両文献はいずれも参照によりそのまま本明細書に組込まれる。これらのアニオン性両親媒性ポリマーの中には、20〜60重量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5〜60重量%のメタクリル酸低級アルキル、2〜50重量%の上記の脂肪鎖を含有するアリルエーテル、及び0〜1重量%の架橋剤(周知の共重合可能なポリエチレン系不飽和モノマー、例えばフタル酸ジアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン、ジメタクリル酸(ポリ)エチレングリコール及びメチレンビスアクリルアミド)で形成されるポリマーがある。かかるポリマーの市販例は、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(10EO単位を有する)エーテル(すなわちステアレス-10)の架橋ターポリマー、特にAllied Colloids社からSALCARE SC80及びSALCARE SC90という名称で販売されているものであり、これらは、メタクリル酸、アクリル酸エチル及びステアレス-10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーを30%含有する水性エマルションである。
【0101】
ポリアクリレート-3(メタクリル酸、メタクリル酸メチル、イソプロピルイソシアン酸メチルスチレン及びベヘン酸PEG-40モノマーのコポリマー);ポリアクリレート-10(アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミド及びビニルピロリドンモノマーのコポリマー);又はポリアクリレート-11(アクリロイルジメチルアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ブチル及びアクリルアミドモノマーのコポリマー)などのアクリレートコポリマーも好適である。
【0102】
1つ以上のアクリル基が置換長鎖アルキル(例えば6〜40個、10〜30個など)基を有し得る架橋アクリレート系ポリマー、例えばアクリレート/アクリル酸C10-30アルキルクロスポリマー(アクリル酸C10-30アルキルと、アクリル酸、メタクリル酸、又はスクロースのアリルエーテル若しくはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したそれらの単純エステルの1つの1つ以上のモノマーとのコポリマー)も好適である。かかるポリマーは、Carbopol又はPemulenという商品名で一般に販売されており、カルボマーというCTFA名を有する。
【0103】
水相増粘剤の1つの特に好適なタイプは、Clariantから商標Aristoflexで販売されているアクリレート系ポリマー増粘剤、例えばAristoflex AVC(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマー);Aristoflex AVL(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリラウレス-4及びセスキイソステアリン酸ポリグリセリル-2を含有する混合物中に分散させたAVC中に見出されるポリマーと同じポリマー);又はAristoflex HMB(アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/メタクリル酸べへネス-25クロスポリマー)などである。
【0104】
C. 高分子量PEG又はポリグリセリン
水相増粘剤として、重合度が1,000〜200,000である様々なポリエチレングリコール(PEG)誘導体も好適である。かかる成分は、記号「PEG」に続く1000単位の重合度によって示され、例えばPEG-45Mは45,000個のエチレンオキシドの繰り返し単位を有するPEGを意味する。好適なPEG誘導体の例としては、PEG2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160M、180Mなどが挙げられる。
【0105】
繰返し部分の数が15〜200個、好ましくは約20〜100個であるグリセリンの繰返し部分であるポリグリセリンも好適である。好適なポリグリセリンの例としては、CTFA名ポリグリセリン-20、ポリグリセリン-40を有するものなどが挙げられる。
【0106】
本発明の組成物が無水又はエマルション形態である場合、この組成物は油相を含む。油性成分は、皮膚の保湿及び保護特性のために望ましい。好適な油としては、シリコーン、エステル、植物油、合成油、限定するものではないが、本明細書中に示される油などが挙げられる。この油は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは室温で注流可能な液体の形態である。「揮発性」という用語は、この油が、測定可能な蒸気圧、又は20℃で少なくとも水銀約2mmの蒸気圧を有することを意味する。「不揮発性」という用語は、この油の蒸気圧が20℃において水銀約2mm未満であることを意味する。好適な油としては以下が挙げられる。
【0107】
A. 揮発性油
好適な揮発性油は、一般に、25℃で約0.5〜5センチストークの粘度を有するものであり、直鎖シリコーン、環状シリコーン、パラフィン系炭化水素又はそれらの混合物を含む。揮発性油は、その皮膚への塗布後にスキンケア用組成物のより急速な乾燥を促進するために用いることができる。揮発性油は、I型H-、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体を含むスキンケア用製品が混合肌又は油性肌を有する消費者のために製剤化される場合により望ましい。皮膚タイプに関する「混合」という用語は、顔面のある部分(例えばTゾーン)では油性であり、他の部分では正常である皮膚を意味する。
【0108】
1. 揮発性シリコーン
環状シリコーンは、本組成物において使用し得る揮発性シリコーンの一種である。かかるシリコーンは、一般式:
【化20】

【0109】
[式中、n=3〜6、好ましくは4、5、又は6である。]
を有する。
【0110】
直鎖揮発性シリコーン、例えば、一般式:
【化21】

【0111】
[式中、n=0、1、2、3、4、又は5、好ましくは0、1、2、3、又は4である。]
を有する直鎖揮発性シリコーンも好適である。
【0112】
環状及び直鎖揮発性シリコーンは、Dow Corning Corporation及びGeneral Electricなどの様々な商業的供給源から入手可能である。Dow Corningの直鎖揮発性シリコーンは、商品名Dow Corning 244、245、344及び200 fluidとして販売されている。これらの流体には、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストーク(略称cst))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)(粘度は全て25℃で測定)及びそれらの混合物などが含まれる。
【0113】
好適な分岐状揮発性シリコーンとしては、一般式:
【化22】

【0114】
を有する分岐状揮発性シリコーンであるメチルトリメチコンなどのアルキルトリメチコンが挙げられる。
【0115】
メチルトリメチコンは、Shin-Etsu Siliconesから商品名TMF-1.5(25℃で1.5センチストークの粘度を有する)で購入することができる。
【0116】
2. 揮発性パラフィン系炭化水素
揮発性油として、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子、より好ましくは8〜16個の炭素原子を有する様々な直鎖又は分岐鎖パラフィン系炭化水素も好適である。好適な炭化水素としては、米国特許第3,439,088号及び同第3,818,105号に開示されるペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン及びC8-20イソパラフィンが挙げられ、これらの文献はいずれも参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0117】
好ましい揮発性パラフィン系炭化水素は、70〜225、好ましくは160〜190の分子量及び30〜320℃、好ましくは60〜260℃の沸点、25℃で約10cst未満の粘度を有する。かかるパラフィン系炭化水素は、EXXONから商標ISOPARSで、及びPermethyl Corporationから入手可能である。好適なC12イソパラフィンは、Permethyl Corporationにより商品名Permethyl 99Aとして製造されている。イソヘキサデカン(商品名Permethyl Rを有する)などの市販の様々なC16イソパラフィンも好適である。
【0118】
B.不揮発性油
様々な不揮発性油も、本発明の組成物に使用するのに好適である。不揮発性油は一般に25℃で約5〜10センチストークを超える粘度を有し、粘度範囲は25℃で約1,000,000センチポアズまで様々であり得る。不揮発性油の例としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
【0119】
1. エステル
好適なエステルはモノ−、ジ−、及びトリエステルである。本組成物はこの群から選択される1以上のエステル又はそれらの混合物を含み得る。
【0120】
(a)モノエステル
モノエステルは、式R-COOH(式中、Rは2〜45個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和アルキル、又はフェニルである)を有するモノカルボン酸と、式R-OH(式中、Rは2〜30個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和アルキル、又はフェニルである)を有するアルコールとの反応により形成されるエステルと定義される。このアルコールと酸はいずれも1以上のヒドロキシル基で置換されていてよい。この酸又はアルコールのいずれか一方又は双方は「脂肪」酸又はアルコールであってよく、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和型の約6〜30個の炭素原子、より好ましくは12、14、16、18又は22個の炭素原子を有していてよい。本発明の組成物で使用し得るモノエステル油の例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。
【0121】
(b)ジエステル
好適なジエステルは、ジカルボン酸と脂肪族若しくは芳香族アルコールとの反応生成物、又は少なくとも2個の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族若しくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物である。ジカルボン酸は2〜30個の炭素原子を含んでよく、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和型であり得る。ジカルボン酸は1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。脂肪族又は芳香族アルコールもまた2〜30個の炭素原子を含んでよく、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和型であり得る。好ましくは、酸又はアルコールの1つ以上が脂肪酸又は脂肪アルコールであり、すなわち、12〜22個の炭素原子を含む。またジカルボン酸はαヒドロキシ酸であってもよい。エステルはダイマー又はトリマー型であり得る。本発明の組成物で使用可能なジエステル油の例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、ジリノール酸ジセテアリルダイマー、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、ジリノール酸ジイソステアリルダイマー、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル及びリンゴ酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0122】
(c)トリエステル
好適なトリエステルは、トリカルボン酸と脂肪族若しくは芳香族アルコールとの反応生成物、あるいはまた、3つ以上の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族若しくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物を含む。上記のモノ及びジエステルの場合と同様に、この酸及びアルコールは2〜30個の炭素原子を含み、飽和又は不飽和型、直鎖又は分枝鎖であってよく、1以上のヒドロキシル基で置換されていてよい。好ましくは、酸又はアルコールの1つ以上が12〜22個の炭素原子を含む脂肪酸又は脂肪アルコールである。トリエステルの例としては、アラキドン酸、クエン酸又はベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC12-13アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル;又はヤシ油脂肪酸(cocoate)トリデシル、イソノナン酸トリデシルなどが挙げられる。
【0123】
本組成物で使用するのに好適なエステルは、C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 第11版, 2006の「エステル」の分類にさらに記載されており、この教科書は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。
【0124】
2. 炭化水素油
本組成物に1種以上の不揮発性炭化水素油を組み込むことが望ましい場合がある。好適な不揮発性炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素及びオレフィン、好ましくは、約20個を超える炭素原子を有するものが挙げられる。このような炭化水素油の例としては、C24-28オレフィン、C30-45オレフィン、C20-40イソパラフィン、水素化ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、鉱物油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアラン及びそれらの混合物が挙げられる。1つの好ましい実施形態では、このような炭化水素は約300〜1000ダルトンの分子量を有する。
【0125】
3. 脂肪酸のグリセリルエステル
脂肪酸の合成又は天然グリセリルエステル、又はトリグリセリドも本組成物に用いるのに好適である。植物源と動物源のいずれも使用することができる。このような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C10-18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、スィートアーモンド油、杏仁油、ゴマ油、ナガミノアマナズナ(camelina sativa)油、タマヌ種子油(tamanu seed oil)、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、インクオイル、オリーブ油、ヤシ油、イリッペバター、ナタネ油、ダイズ油、ブドウ種子油、ヒマワリ種子油、クルミ油などが挙げられる。
【0126】
また、合成又は半合成グリセリルエステル、例えば、改質された天然油脂である脂肪酸モノ−、ジ−及びトリグリセリド、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノ−、ジ−又はトリエステルも好適である。一例としては、脂肪(C12-22)カルボン酸を1以上の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、リシノール酸ポリグリセリル-6、ジオレイン酸グリセリル、ジイソテアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、PEGオレイン酸グリセリル、PEGステアリン酸グリセリル及びPEG牛脂脂肪酸グリセリルなどがある。
【0127】
4. 不揮発性シリコーン
不揮発性シリコーン油もまた、水溶性及び不水溶性のいずれも、本組成物に用いるのに好適である。このようなシリコーンは好ましくは、25℃で約5〜800,000cst、好ましくは20〜200,000cstの粘度を有する。好適な不水溶性シリコーンとしては、アモジメチコンなどのアミン官能性シリコーンが挙げられる。
【0128】
例えば、かかる不揮発性シリコーンは以下の一般式:
【化23】

【0129】
[式中、R及びR'は、それぞれ独立にC1-30直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和アルキル、フェニル又はアリール、トリアルキルシロキシであり、x及びyは、それぞれ独立に1〜1,000,000であり(ただし、x又はyのいずれか少なくとも1つが存在する)、Aはアルキルシロキシエンドキャップ単位である。]
を有し得る。Aがメチルシロキシエンドキャップ単位、特にトリメチルシロキシであり、R及びR'が、それぞれ独立にC1-30直鎖若しくは分枝鎖アルキル、フェニル又はトリメチルシロキシ、より好ましくはC1-22アルキル、フェニル又はトリメチルシロキシ、最も好ましくはメチル、フェニル又はトリメチルシロキシであり、結果として得られるシリコーンがジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン又はトリメチルシロキシフェニルジメチコンである場合が好ましい。他の例としては、セチルジメチコンなどのアルキルジメチコンが挙げられ、この場合、少なくとも1つのRは脂肪アルキル(C12、C14、C16、C18、C20又はC22)であり、他のRはメチルであり、Aはトリメチルシロキシエンドキャップ単位である(ただし、このようなアルキルジメチコンは室温で注流可能な液体である)。フェニルトリメチコンはDow Corning Corporationから商品名556 Fluidとして購入することができる。トリメチルシロキシフェニルジメチコンはWacker-Chemieから商品名PDM-1000として購入することができる。セチルジメチコンは液体シリコーンワックスとも呼ばれ、Dow CorningからFluid 2502として、又はDeGussa Care & Surface Specialtiesから商品名Abil Wax 9801若しくは9814として購入することができる。
【0130】
5. フッ素化油
種々のタイプのフッ素化油もまた、本組成物での使用に好適であり得、限定されないが、フッ素化シリコーン、フッ素化エステル、又はパーフルオロポリエーテルを含む。フルオロシリコーン、例えばトリメチルシリルエンドキャップフルオロシリコーン油、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、及び類似のシリコーン、例えば米国特許第5,118,496号(本明細書によって参照により組み入れられる)に開示されているものが特に好適である。パーフルオロポリエーテルとして、米国特許第5,183,589号、同第4,803,067号、同第5,183,588号(これらのすべてが、本明細書によって参照により組み入れられる)に開示されているものが挙げられ、これらは、商標FomblinでMontefluosから市販されている。
【0131】
本組成物が無水であるか又はエマルションの形態である場合、化粧品組成物中に1種以上の油相構成剤を含むことが望ましい。「油相構成剤」という用語は、粘度を増加させ得る、油相に溶解可能若しくは分散可能な成分又は成分の組合せ、又は構造、その油相を意味する。油相構成剤は、特にI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体が組成物の油相を形成する非極性油中に溶解性の場合には、I型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体と相溶性である。「相溶性」という用語は、油相構成剤及びI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体が、概して安定である化粧品に製剤化できることを意味する。構成剤は、高粘度を有する液体組成物、半固体、又は一部の場合には自立可能な固体組成物を与えるのに十分な量で存在してよい。構成剤自体は、液体、半固体、又は固体形で存在してよい。構成剤の推奨範囲は、総組成物の約0.01〜70重量%、好ましくは約0.05〜50重量%、より好ましくは約0.1〜35重量%である。好適な油相構成剤として、シリコーン系又は有機系のものが挙げられる。これらは、ポリマー又は非ポリマーであってよく、合成、天然、又はこれらの組合せであってよい。そのような油構成剤としては、以下が挙げられる。
【0132】
A. シリコーン構成剤
種々の油相構成剤は、シリコーン系、例えばシリコーンエラストマー、シリコーンゴム、シリコーンワックス、及び直鎖シリコーン(化粧用組成物に包含されるときに油相の粘度を増大させることができる程度の粘度を有するシリコーンを与える重合度を有する)であってよい。シリコーン構成剤の例として限定されないが、以下が挙げられる。
【0133】
1. シリコーンエラストマー
本発明の組成物での使用に好適なシリコーンエラストマーとして、付加反応-硬化によって、末端オレフィン性不飽和を有するSiH-含有ジオルガノシロキサンとオルガノポリシロキサン又はα-ωジエン炭化水素を、白金金属触媒の存在下で反応させることによって形成されるものが挙げられる。そのようなエラストマーは、他の反応方法:例えば、有機スズ化合物の存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH-含有ジオルガノポリシロキサン又はα-ωジエンの間の脱水素化反応を介して、オルガノポリシロキサン組成物を縮合-硬化することによって;あるいは有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解可能なオルガノシロキサンの間の縮合反応を用いて、オルガノポリシロキサン組成物を縮合-硬化することによって;オルガノパーオキサイド触媒の存在下で熱硬化するオルガノポリシロキサン組成物をパーオキサイド-硬化することによって形成することができる。
【0134】
好適であり得る1つのタイプのエラストマーは、少なくとも2個の低級アルケニル基を各分子中に有するオルガノポリシロキサン、又はα-ωジエン;及び少なくとも2個のシリコーン結合水素原子を各分子中に有するオルガノポリシロキサン;並びに白金型触媒の付加反応-硬化によって調製される。低級アルケニル基、例えばビニルは分子中の任意の位置に存在してよいが、片方又は両方の分子末端における末端オレフィン性不飽和が好ましい。この構成要素の分子構造は、直鎖、分枝直鎖、環状、又は網目状であってよい。これらのオルガノポリシロキサンはメチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル(3,3,-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエン、若しくはテトラジエン、又はトリジエンによって例示される。
【0135】
硬化は、本明細書において言及されている触媒を用いた触媒作用下、ジメチルメチル水素シロキサン中のシリコーン結合水素原子とシロキサン又はα-ωジエンとの付加反応によって進行する。高架橋構造を形成するために、メチル水素シロキサンは、架橋剤としての機能を最適化するように、少なくとも2個のシリコーン結合水素原子を各分子内に含む必要がある。
【0136】
シリコーン結合水素原子とアルケニル基との付加反応に用いられる触媒は、アルコール又はケトンに場合により溶解した塩化白金酸、任意により熟成させた当該溶液、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒、及び担体担持白金によって具体的に例示される。
【0137】
本発明の組成物での使用に好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末形態、あるいは溶媒、例えば揮発性若しくは非揮発性シリコーン、又はシリコーン相溶性ビヒクル、例えばパラフィン系炭化水素若しくはエステル中に分散又は可溶化された形態であってよい。シリコーンエラストマーパウダーの例として、Shin-Etsu製KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105のようなビニルジメチコン/メチコンシレスキオキサン(silesquioxane)クロスポリマー、フルオロ-シリコーンエラストマーであるShin-Etsu製KSP-200のようなフルオロアルキル基を含むハイブリッドシリコーンパウダー、及びフェニル置換シリコーンエラストマーであるShin-Etsu製KSP-300などのフェニル基を含むハイブリッドシリコーンパウダー;並びにDow Corning製DC 9506が挙げられる。シリコーン相溶性ビヒクルに分散したシリコーンエラストマーパウダーの例として、商品名9040又は9041でDow Corning Corporation、商品名SFE 839でGE silicones、又は商品名KSG-15、16、18でShin-Etsu Siliconesを含めた種々の供給者によって供給されているジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーが挙げられる。KSG-15は、CTFA名シクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。KSG-18は、INCI名フェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマーを有する。シリコーンエラストマーは、Gransil(商標)でGrant Industriesから購入してもよい。長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマー、例えば商品名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44でShin Etsuによって供給されているラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーも好適である。本発明で有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマー及びこれらの製造方法は、米国特許第4,970,252号、米国特許第5,760,116号、米国特許第5,654,362号、及び特願昭61-18708(これらの各々は、その全体において参照により本明
細書に組み入れられる)にさらに記載されている。本発明の組成物にシリコーンエラストマーを組み込むことが特に望ましく、その理由は、これらが組成物に優れた「感触」を与え、化粧品製剤中で非常に安定しており、比較的高額ではないためである。
【0138】
2. シリコーンゴム
1以上のシリコーンゴムも油相構成剤としての使用に好適である。「ゴム」という用語は、ゴム様テクスチャを有するシリコーンを与えるのに十分な重合度を有するシリコーンポリマーを意味する。一部の場合において、ゴムを形成するシリコーンポリマーは、架橋されていてもよい。シリコーンゴムは、25℃において約500,000〜100,000,000cst、好ましくは約600,000〜20,000,000、より好ましくは約600,000〜12,000,000cstの粘度範囲を典型的には有する。ここで言及したすべての範囲は、すべての範囲内値、例えば550,000;925,000;3,500,000を含む。
【0139】
本組成物において用いられるシリコーンゴムとして、限定されないが、一般式:
【化24】

【0140】
[式中、R1〜R9は、それぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有するアルキル、アリール、又はアラルキルであり;XはOH若しくはC1〜30アルキル、又はビニルであり;ここでx、y、又はzは0であってよく、ただし、x、y、又はzの最大2個が同時に0となることはなく、さらにx、y、及びzは、シリコーンゴムが25℃において約500,000cst以上、約100,000,000センチストーク以下の範囲の粘度を有するようにする。]
のものが挙げられる。式中Rがメチル又はOHであるのが好ましい。
【0141】
そのようなシリコーンゴムは、Wacker-Chemie又はDow Corningなどをはじめとする種々のシリコーン製造者から純粋な形態で購入することができる。そのようなシリコーンゴムとして、商品名CM3092、Wacker-Belsil 1000、又はWacker-Belsil DM 3096でWacker-Belsilによって販売されているものが挙げられる。ジメチコノールとも称される、式中XがOHであるシリコーンゴムは、商品名1401でDow Corning Corporationから入手可能である。シリコーンゴムは、シリコーン相溶性ビヒクル、例えば揮発性又は非揮発性シリコーンの溶液又は分散液の形態で購入することもできる。そのような混合物の例は、INCI名ジメチコンを有する商品名HL-88でBarnet Siliconesから購入してもよい。
【0142】
3. シリコーンワックス
別のタイプの油相構成剤として、室温で半固体又は固体でありアルキルシリコーンワックスと典型的には称されるシリコーンワックスが挙げられる。「アルキルシリコーンワックス」という用語は、半固体又は固体特性をシロキサンに付与する置換長鎖アルキル(例えばC16〜30)を有するポリジメチルシロキサンを意味する。そのようなシリコーンワックスの例として、商品名Abil Wax 9800でDeGussa Care & Surface Specialtiesから、又は商品名2503でDow Comingから購入することができるステアリルジメチコンが挙げられる。別の例は、商品名Gransil A-18でGransil Industriesから購入することができるビス-ステアリルジメチコン、又はビヘニルジメチコン、ベヘノキシジメチコンである。
【0143】
4. ポリアミド又はシリコーンポリアミド
種々のタイプのポリマー化合物、例えばポリアミド又はシリコーンポリアミドも油相構成剤として好適である。
【0144】
シリコーンポリアミドという用語は、本明細書においてさらに記載されているシリコーンモノマー及びモノマー含有アミド基から構成されるポリマーを意味する。シリコーンポリアミドは、一般式:
【化25】

【0145】
[Xは、約1〜30個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレンであり;R1、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、1以上のヒドロキシル又はハロゲン基で置換されていてよいC1〜30直鎖又は分枝鎖のアルキル;1以上のC1〜30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、又はアルコキシ基で置換されていてよいフェニル;あるいは一般式:
【化26】

【0146】
を有するシロキサン鎖であり、
Yは:
(a)以下:
(i)一般式R1CONR1を有する1以上のアミド基、又は
(ii)C5〜6環、又は
(iii)1以上のC1〜10アルキル基で置換されていてよいフェニレン、又は
(iv)ヒドロキシ、又は
(v)C3〜8シクロアルカン、又は
(vi)1以上のヒドロキシル基で置換されていてよいC1〜20アルキル、又は
(vii)C1〜10アルキルアミン
で置換されていてよい約1〜40個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン;あるいは
(b)TR5R6R7
(式中、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立して、C1〜10直鎖又は分枝鎖アルキレンであり、Tは、CR8であり、ここで、R8は、水素、三価原子N、P、若しくはAl、又は1以上のヒドロキシル若しくはハロゲン基で置換されていてよいC1〜30直鎖若しくは分枝鎖アルキル;1以上のC1〜30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル、若しくはアルコキシ基で置換されていてよいフェニル;又は一般式:
【化27】

【0147】
を有するシロキサン鎖である。)
である。]
の部分を好ましくは含む。
【0148】
式中R1、R2、R3、及びR4が、C1〜10、好ましくはメチルであり;X及びYが、直鎖又は分枝鎖アルキレンであることが好ましい。一般式:
【化28】

【0149】
[式中、a及びbは、それぞれ独立して、約60〜120℃の融点、及び約40,000〜500,000ダルトンの分子量を有するシリコーンポリアミドポリマーを与えるのに十分である。]
を有するシリコーンポリアミドが好ましい。本発明の組成物に用いられ得る1つのタイプのシリコーンポリアミドは、PPG-3ミリスチルエーテルを含有する組成物で販売されているCTFA名ナイロン-611/ジメチコンコポリマーを有する商品名Dow Corning 2-8178 gellantでDow Coming Corporationから購入することができる。
【0150】
ポリアミド、例えば商品名Uniclear及びSylvaclearでArizona Chemicalから購入されるものも好適である。そのようなポリアミドは、エステル末端又はアミド末端であってよい。エステル末端ポリアミドの例として、限定されないが、一般式:
【化29】

【0151】
[式中、nは、エステル基の数がエステル及びアミド基の総数の約10%〜50%の範囲にあるようなアミド単位数を示し;各R1は、独立して、少なくとも4個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル基であり;各R2は、独立して、C4〜42炭化水素基である(ただし、R2基の少なくとも50%がC30〜42炭化水素である);各R3は、独立して、少なくとも2個の炭素原子、水素原子及び任意により1以上の酸素又は窒素原子を含有する有機基であり;各R4は、独立して、水素原子、C1〜10アルキル基又はR3若しくは別のR4に対する直接結合であり、R3及びR4が共に結合する窒素原子が、R4-N-R3(少なくとも50%の基R4が水素原子を表す)によって定義されている複素環構造部を形成するようになっている。]
を有するものが挙げられる。
【0152】
油相ゲル化剤として使用され得るエステル及びアミド末端ポリアミドの一般的な例として、商品名Sylvaclear A200V又はA2614V(両方ともCTFA名エチレンジアミン/水素化ダイマージリノール酸コポリマー/ビス-ジ-C14〜18アルキルアミドを有する)でArizona Chemicalによって販売されているもの;Sylvaclear AF1900V;Sylvaclear C75V(CTFA名ビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ダイマージリノール酸コポリマーを有する);Sylvaclear PA1200V(CTFA名ポリアミド-3を有する);Sylvaclear PE400V;Sylvaclear WF 1500V;又はUniclear、例えばUniclear 100V G(INCI名エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマーを有する);又はエチレンジアミン/ダイマージトール油脂肪酸ステアリルコポリマーが挙げられる。好適なポリアミドの他の例として、Versamid(商標)(例えばVersamid 930、744、1655)でHenkelによって販売されているもの、又はブランド名Onamid S若しくはOnamid CでOlin Mathieson Chemical Corp.によって販売されているものが挙げられる。
【0153】
5. 天然又は合成有機ワックス
1以上の天然又は合成ワックス、例えば動物、植物、又は鉱物ワックスもまた油相構成剤として好適であり得る。好ましくはそのようなワックスは、例えば約50〜150℃、より好ましくは約65〜100℃の高い融点を有する。そのようなワックスの例として、Fischer-Tropsch合成によって生成されるワックス、例えばポリエチレン若しくは合成ワックス;又は種々の植物ワックス、例えばヤマモモ、キャンデリラ、オゾケライト、アカシア、蜜蝋、セレシン、セチルエステル、フラワーワックス、シトラスワックス、カルナウバワックス、ホホバワックス、日本ろう、ポリエチレン、微晶質、米ぬか、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ、オーリクリー、オゾケライト、パーム核ワックス、パラフィン、アボカドワックス、リンゴワックス、シェラックワックス、サルビアワックス、オオムギ麦芽外殻ワックス、グレープワックス、及びそのポリアルキレングリコール誘導体、例えばPEG6〜20蜜蝋、若しくはPEG-12カルナウバワックス;又は脂肪酸若しくは脂肪アルコール(そのエステルを含む)、例えばヒドロキシステアリン酸(例えば12-ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニンなどが挙げられる。
【0154】
6. モンモリロナイト鉱物
本組成物で用いられ得る1つのタイプの構成剤は、天然又は合成モンモリロナイト鉱物、例えばヘクトライト、ベントナイト、及びこれらの鉱物を第四級アンモニウム化合物と反応させることによって得られるその第四級化誘導体、例えばステアラルコニウムベントナイト、ヘクトライト、第四級化ヘクトライト、例えばクオタニウム-18ヘクトライト、アタパルジャイト、炭酸エステル、例えば炭酸プロピレン、ベントンなどを含む。
【0155】
7. シリカ及びシリケート
本組成物で用いられ得る別のタイプの構成剤は、シリカ、シリケート、シリカシリレート、及びそのアルカリ金属又はアルカリ土類金属誘導体である。これらのシリカ及びシリケートは、微粒子形態で一般に見出され、例として、シリカ、シリカシリレート、マグネシウムアルミニウムシリケートなどが挙げられる。
【0156】
本組成物は、特にエマルション形態の場合には、1種以上の界面活性剤を含みうる。しかしながら、かかる界面活性剤は、本組成物が無水であり、また極性を有する成分(例えば顔料)の分散を補助する場合に、用いることができる。そのような界面活性剤は、シリコーン系又は有機系でありうる。界面活性剤は、油中水型又は水中油型のいずれの安定なエマルションの形成を補助する。界面活性剤は、存在する場合には、総組成物の約0.001〜30重量%、好ましくは約0.005〜25重量%、より好ましくは約0.1〜20重量%の範囲である。
【0157】
A. シリコーン界面活性剤
好適なシリコーン界面活性剤としては、例えば親水基と親油基を含むなど、両親媒性の特性を有するポリオルガノシロキサンポリマーが挙げられる。これらのシリコーン界面活性剤は室温で液体又は固体であり得る。
【0158】
1. ジメチコンコポリオール又はアルキルジメチコンコポリオール
使用可能なシリコーン界面活性剤の一種は、一般的にジメチコンコポリオール又はアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれる。この界面活性剤は、約2〜18の親水性/親油性バランス(HLB)を有する油中水型又は水中油型いずれかの界面活性剤である。好ましくは、シリコーン界面活性剤は、約2〜12、好ましくは約2〜10、最も好ましくは約4〜6のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。「親水基」という用語は、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した場合に、そのポリマーの置換部分に親水性の特性を付与する基を意味する。親水性を付与する基の例としては、ヒドロキシ−ポリエチレンオキシ、ヒドロキシル、カルボキシレート及びそれらの混合物が挙げられる。「親油基」という用語は、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した場合に、そのポリマーの置換部分に親油性の特性を付与する有機基を意味する。親油性を付与する有機基の例としては、C1-40直鎖若しくは分枝鎖アルキル、フルオロ、アリール、アリールオキシ、C1-40ヒドロカルビルアシル、ヒドロキシ−ポリプロピレンオキシ又はそれらの混合物が挙げられる。
【0159】
好適なシリコーン界面活性剤の一種は、一般式:
【化30】

【0160】
[式中、pは0〜40(2、3、4、13、14、15、16、17、18など、間及び部分的な範囲の全ての数字を含む範囲)であり、PEは(-C2H4O)a-(-C3H6O)b-Hであり、ここで、aは0〜25であり、bは0〜25であり(ただし、aとbは双方とも同時に0となることはできない)、x及びyはそれぞれ独立に0〜1,000,000の範囲である(ただし、それらは双方とも同時に0となることはできない)。]
を有する。1つの好ましい実施形態では、x、y、z、a及びbは、そのポリマーの分子量が約5,000〜約500,000、より好ましくは約10,000〜100,000、最も好ましくはおよそ約50,000となるようなものであり、このポリマーは一般にジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0161】
シリコーン界面活性剤の一種として、pが、長鎖アルキルがセチル又はラウリルとなるようなものがあり、この界面活性剤は、一般に、それぞれセチルジメチコンコポリオール又はラウリルジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0162】
場合によっては、ポリマー中のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド繰り返し単位の数も明示され、例えば、ジメチコンコポリオールはPEG-15/PPG-10ジメチコン(シロキサン主鎖に15個のエチレングリコール単位及び10個のプロピレングリコール単位を含む置換基を有するジメチコンを表す)とも呼ばれる。また、上記の一般構造中のメチル基の1個以上がより長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチルなど)又はメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル及びブチルエーテルなどのエーテルで置換されていることも可能である。
【0163】
シリコーン界面活性剤の例としては、Dow Corningにより販売されている商標名Dow Corning 3225C Formulation Aid(CTFA名はシクロテトラシロキサン(及び)シクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18ジメチコン);又は5225C Formulation Aid(CTFA名はシクロペンタシロキサン(及び)PEG/PPG-18/18ジメチコン);又はDow Coming 190 Surfactant(CTFA名はPEG/PPG-18/18ジメチコン);又はDow Corning 193 Fluid、Dow Corning 5200(CTFA名はラウリルPEG/PPG-18/18メチコン);又はGoldschmidtにより販売されているAbil EM 90(CTFA名はセチルPEG/PPG-14/14ジメチコン);又はGoldschmidtにより販売されているAbil EM 97(CTFA名はビス−セチルPEG/PPG-14/14ジメチコン);又はAbil WE 09(CTFA名はセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、混合物はイソステアリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ヘキシルも含む);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6011(CTFA名はPEG-11メチルエーテルジメチコン);Shin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6012(CTFA名はPEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6013(CTFA名はPEG-9ジメチコン);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6015(CTFA名はPEG-3ジメチコン);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6016(CTFA名はPEG-9メチルエーテルジメチコン);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6017(CTFA名はPEG-10ジメチコン);又はShin-Etsu Siliconesにより販売されているKF-6038(CTFA名はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)がある。
【0164】
2. 架橋シリコーン界面活性剤
乳化性エラストマーと称されることもある、種々のタイプの架橋シリコーン界面活性剤もまた好適である。これらは、シリコーンエラストマーが少なくとも1つの親水性部分、例えばポリオキシアルキレン化された(polyoxyalkylenated)基を含むことを除いて、「シリコーンエラストマー」の項に上記されているように典型的には調製される。典型的には、これらのポリオキシアルキレン化されたシリコーンエラストマーは、ケイ素に結合している少なくとも1個の水素を含むジオルガノポリシロキサン及び少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンの架橋付加反応によって得ることができる架橋オルガノポリシロキサンである。少なくとも1つの実施形態において、ポリオキシアルキレン化架橋オルガノ-ポリシロキサンは、それぞれケイ素に結合している少なくとも2個の水素を含むジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含むポリオキシアルキレンとの、任意により白金触媒の存在下での架橋付加反応によって得られ、これは、例えば米国特許第5,236,986号及び米国特許第5,412,004号、米国特許第5,837,793号及び米国特許第5,811,487号(その内容は、参照によりその全体が組み入れられる)に記載されている。
【0165】
本発明の少なくとも1つの実施形態において用いられ得るポリオキシアルキレン化されたシリコーンエラストマーとして、名称KSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33でShin-Etsu Siliconesによって販売されているもの;ジメチコンに分散されたジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーであるKSG-210;PEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーであるKSG-310;イソドデカンに分散されたPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーであるKSG-320;KSG-330(前者がトリエチルヘキサノインに分散されている)、PEG-10ラウリルジメチコンクロスポリマー及びPEG-15ラウリルジメチコンクロスポリマーの混合物であるKSG-340が挙げられる。
【0166】
PCT/WO2004/024798(参照によりその全体が本明細書により組み入れられる)に開示されているもののようなポリグリセロール化シリコーンエラストマーもまた好適である。そのようなエラストマーとして、Shin-Etsu社のKSGシリーズ、例えばジメチコンに分散されたジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーであるKSG-710;又は種々の溶媒、例えばイソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインに分散された、Shin-Etsuの商品名KSG-810、KSG-820、KSG-830、又はKSG-840で販売されているラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマーが挙げられる。商品名9010及びDC9011でDow Comingによって販売されているシリコーンもまた好適である。
【0167】
1種の好ましい架橋シリコーンエラストマー乳化剤は、ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマーであり、これはそのエラストマー骨格のために優れた美的感覚を提供するが、また界面活性特性ももたらす。
【0168】
B. 有機非イオン性界面活性剤
本組成物は1種以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド(通常はエチレンオキシド又はプロピレンオキシド)との反応により形成されるアルコキシル化アルコール又はエーテルが挙げられる。好ましくは、このアルコールは6〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコールのいずれかである。このような成分の例としては、ステアレス2-100(ステアリルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2〜100である);ベヘネス5-30(ベヘニルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が5〜30である);セテアレス2-100(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドの反応により形成され、分子中の繰り返しエチレンオキシド単位の数が2〜100である);セテス1-45(セチルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が1〜45である)などが挙げられる。
【0169】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸及びモノ−、ジ−又は多価アルコールとアルキレンオキシドとの反応により形成される。例えば、C6-30脂肪カルボン酸及び多価アルコール(グルコース、ガラクトース及びメチルグルコースなどの単糖である)と、アルコキシル化アルコールとの反応生成物。例としては、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリルなどのグリセリル脂肪酸エステル;又は繰り返しエチレングリコール単位の数が3〜1000であるジポリヒドロキシステアリン酸PEGなどのPEGポリヒドロキシアルカノート、と反応させたポリマーアルキレングリコールが挙げられる。
【0170】
また、非イオン性界面活性剤として、カルボン酸と、アルキレンオキシドとの又はポリマーエーテルとの反応により形成されるものも好適である。結果として得られる生成物は、下記の一般式:
【化31】

【0171】
[式中、RCOがカルボン酸エステル基であり、Xが水素又は低級アルキルであり、nが重合アルコキシ基の数である。]
を有する。ジエステルの場合には、2つのRCO基は同一である必要はない。好ましくは、RはC6-30直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和のアルキルであり、nは1〜100である。
【0172】
モノマー性、ホモポリマー性又はブロックコポリマー性エーテルも非イオン性界面活性剤として好適である。典型的には、このようなエーテルはモノマーアルキレンオキシド、一般にはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合によって形成される。このようなポリマーエーテルは、以下の一般式:
【化32】

【0173】
[式中、RがH又は低級アルキルであり、nが繰り返しモノマー単位の数で、1〜500である。]
を有する。
【0174】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタン及びアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が得られる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化では、ポリソルベートなどのソルビタンエステルが得られる。例えば、ポリアルコキシル化ソルビタンを、C6-30、好ましくはC12-22脂肪酸でエステル化することができる。このような成分の例としては、ポリソルベート20-85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン及びステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0175】
ある種の両性、双性イオン性又はカチオン性界面活性剤も本組成物で使用可能である。このような界面活性剤の説明は、米国特許第5,843,193号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0176】
本組成物中に1種以上の浸透促進剤を含有させることが望ましい。浸透促進剤は、組成物を塗布した角質表面へのI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体の浸透を促進する成分である。好適な浸透促進剤は、存在する場合には、約0.001〜30%、好ましくは約0.005〜25%、より好ましくは約0.01〜20%の範囲でありうる。好適な浸透促進剤としては、限定されるものではないが、飽和若しくは不飽和C6-40直鎖若しくは分枝鎖脂肪酸、又は飽和若しくは不飽和C6-40直鎖若しくは分枝鎖脂肪アルコールなどの親油性物質が挙げられる。例としては、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、オレイルアルコール、リノレイルアルコールなどがある。
【0177】
1種以上の保湿剤を本組成物中に含めることもまた望ましい場合がある。そのような保湿剤は、存在する場合には、総組成物の約0.001〜25重量%、好ましくは約0.005〜20重量%、より好ましくは約0.1〜15重量%の範囲であってよい。好適な保湿剤の例として、グリコール、糖などが挙げられる。好適なグリコールは、モノマー又はポリマー形であり、例として、ポリエチレン及びポリプロピレングリコール、例えば、4〜200個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG 4〜200;並びにC1〜6アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどが挙げられる。好適な糖は、その一部は多価アルコールでもあり、好適な保湿剤でもある。そのような糖の例として、グルコース、フルクトース、蜂蜜、水素化蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。尿素も好適である。好ましくは、本発明の組成物に用いられる保湿剤は、C1〜6、好ましくはC2〜4アルキレングリコール、最も具体的にはブチレングリコールである。
【0178】
1種以上の植物抽出物を本組成物中に含めることが望ましい場合がある。そのような場合、推奨範囲は、総組成物の約0.0001〜10重量%、好ましくは約0.0005〜8重量%、より好ましくは約0.001〜5重量%である。好適な植物抽出物として、酵母発酵抽出物、パディカ・パボニカ(Padica pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィリス(Thermus thermophilis)発酵抽出物、アマナズナ(Camelina sativa)種子油、ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、アラビドプシス・タリアナ(Aribodopsis thaliana)抽出物、フサアカシア(Acacia dealbata)抽出物、ギニョウカエデ(Acer saccharinum)(サトウカエデ)、アシドホルス(acidopholus)、ショウブ、トチノキ、ハラタケ、リュウゼツラン、キンミズヒキ、藻類、アロエ、シトラス、アブラナ、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、西洋ナシ、レモン、ライム、エンドウ、海草、カフェイン、緑茶、カミツレ、ウィローバーク、桑、ポピー、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第8版、第2巻の1646〜1660頁に記載されているものを含めた、植物(ハーブ、根、花、果実、種子)、例えば花、果実、植物などからの抽出物が挙げられる。さらに具体的な例として、限定されないが、ヨーロッパカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、ブラックヤナギ(Salix nigra)、マクロシクスティス・ピリフェラ(Macrocycstis pyrifera)、セイヨウリンゴ(Pyrus malus)、ユキノシタ(Saxifraga sarmentosa)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)、モルス・ニグラ(Morus nigra)、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis)、クラリセージ(Salvia sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus officianalis)、レモン果実エキス(Citrus medica Limonum)、オタネ(Panax)、朝鮮ニンジン(Ginseng)、メナモミ(Siegesbeckia orientalis)、ウバイ(Fructus mume)、ヒバマタ(Ascophyllum nodosum)、ビフィズス菌(Bifida)発酵エキス、ツルマメ(Glycine soja)抽出物、テンサイ(Beta vulgaris)、復活草(Haberlea rhodopensis)、イタドリ(Polygonum cuspidatum)、オレンジ(Citrus Aurantium dulcis)、ブドウ(Vitis vinifera)、イワヒバ(Selaginella tamariscina)、カラハナソウ(ホップ)(Humulus lupulus)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulata)ピール、ザクロ(Punica granatum)、カギケノリ(Asparagopsis)、ウコン(Curcuma longa)、ミツガシワ(Menyanthes trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、オオムギ(Hordeum vulgare)、キュウリ(Cucumis sativus)、オークモス(Evernia prunastri)、ツリーモス(Evernia furfuracea)、及びその混合物が挙げられる。
【0179】
本発明の組成物中に1種以上のチロシナーゼ阻害物質を含めることが望ましい場合がある。そのようなチロシナーゼ阻害剤としては、コウジ酸、アルブチン、及びヒドロキノンが挙げられる。
【0180】
本発明の組成物中に1種以上の追加的な皮膚美白化合物を含めることが望ましい場合がある。好適な皮膚美白化合物としては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばリン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン、パルミチン酸アスコルビルが挙げられる。他の皮膚美白剤としては、アダパレン、アロエエキス、乳酸アンモニウム、アネトール誘導体、リンゴエキス、アゼライン酸、タケ抽出物、ベアベリーエキス、シラン(bletilla)塊茎、サイコ(Bupleurum falcatum)エキス、ワレモコウエキス、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、デオキシアルブチン、1,3 ジフェニルプロパン誘導体、2,5 ジヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、2-(4-アセトキシフェニル)-1,3 ジチアン(dithane)、2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3 ジチアン(dithane)、エラグ酸、エスシノール、エストラゴール誘導体、FADE OUT(Pentapharmから入手可能)、防風(Fangfeng)、フェンネルエキス、レイシ(ganoderma)エキス、藁本(gaoben)、GATULINE WHITENING(Gattlefosseから入手可能)、ゲニスチン酸及びその誘導体、グラブリジン及びその誘導体、グルコピラノシル-1-アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶エキス、胎盤エキス、4-ヒドロキシ-5-メチル-3[2H]-フラノン、4 ヒドロキシアニソール及びその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、イノシトールアスコルベート、乳酸、レモンエキス、リノール酸、MELA WHITE(Pentapharmから入手可能)、マグワ(Morus alba)エキス、クワ根エキス、ナイアシンアミド、5-オクタノイルサリチル酸、パセリエキス、メシマコブ(phellinus linteus)エキス、ピロガロール誘導体、レチノイン酸、レチノール、レチニルエステル(酢酸エステル、プロピオン酸エステル、パルミチン酸エステル、リノール酸エステル)、2,4 レゾルシノール誘導体、3,5 レゾルシノール誘導体、バラ果実エキス、サリチル酸、3,4,5 トリヒドロキシベンジル誘導体、トラネキサム酸、ビタミンD3及びその類似体、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0181】
1種以上の日焼け止め剤を本発明の組成物に含めることもまた望ましい場合がある。そのような日焼け止め剤として、化学的UVA若しくはUVB日焼け止め剤又は微粒子形態の物理的日焼け止め剤が挙げられる。I型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体を含む組成物中の日焼け止め剤の含有は、日中の皮膚の追加的な保護を提供し、また皮膚に対するI型H+、K+-ATPase阻害剤化合物又はその誘導体の有効性を促進する。そのような日焼け止め化合物としては以下が挙げられる。
【0182】
A.UVA化学的日焼け止め剤
所望により、本組成物は1種以上のUVA日焼け止め剤を含み得る。「UVA日焼け止め剤」という用語は、約320〜400nmの波長範囲のUV線を遮断する化学化合物を意味する。好ましいUVA日焼け止め剤は、一般式:
【化33】

【0183】
[式中、R1はH、OR及びNRRであり、ここで、各Rは独立にH、C1-20直鎖又は分枝鎖アルキルであり;R2はH又はOHであり;R3はH、C1-20直鎖又は分枝鎖アルキルである。]
を有するジベンゾイルメタン化合物である。
【0184】
R1がORであり、ここでRがC1-20直鎖又は分枝鎖アルキル、好ましくはメチルであり;R2がHであり;またR3がC1-20直鎖又は分枝鎖アルキル、より好ましくはブチルである場合が好ましい。
【0185】
この一般式の好適なUVA日焼け止め化合物の例としては、4-メチルジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’ジイソプロピルベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピルベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。アボベンゾンとも呼ばれる4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましい。アボベンゾンはGivaudan-Roureから商標名Parsol 1789として、また、Merck & Co.から商標名Eusolex 9020として市販されている。
【0186】
他の種類のUVA日焼け止め剤としては、ジカンフルスルホン酸誘導体、例えば、式:
【化34】

【0187】
を有するテレフタリリデンジンカンフルスルホン酸である、商標名MexorylTMとして販売されている日焼け止め剤エカムスルが挙げられる。
【0188】
本組成物は、本組成物の約0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは約0.005〜3重量%のUVA日焼け止め剤を含んでよい。本発明の好ましい実施形態において、UVA日焼け止め剤はアボベンゾンであり、総組成物の約3重量%以下で存在する。
【0189】
B. UVB化学的日焼け止め剤
「UVB日焼け止め剤」という用語は、約290〜320nmの波長範囲のUV線を遮断する化合物を意味する。米国特許第3,215,724号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に示されているようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルなどの様々なUVB化学的日焼け止め剤が存在する。α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エステルの1つの具体例が、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシルであるオクトクリレンである。特定の場合、本組成物は総組成物の約110重量%以下のオクトクリレンを含み得る。好適な量は約0.001〜10重量%である。オクトクリレンはBASFから商標名Uvinul N-539として購入することができる。
【0190】
他の好適な日焼け止め剤としては、米国特許第3,781,417号(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に示されているようなベンジリデンカンファー誘導体が挙げられる。このようなベンジリデンカンファー誘導体は、一般式:
【化35】

【0191】
[式中、Rはp-トリル又はスチリル、好ましくはスチリルである。]
を有する。Merckにより商標名Eusolex 6300として販売されている脂溶性UVB日焼け止め化合物である4-メチルベンジリデンカンファーが特に好ましい。
【0192】
また、一般式:
【化36】

【0193】
[式中、R及びR1はそれぞれ独立にC1-20直鎖又は分枝鎖アルキルである。]
を有するケイ皮酸誘導体も好適である。Rがメチルであり、R1が分枝鎖C1-10、好ましくはC8アルキルである場合が好ましい。好ましい化合物は、オクトキシネート又はオクチルメトキシケイ皮酸エステルとも呼ばれるエチルヘキシルメトキシケイ皮酸エステルである。この化合物はGivaudan Corporationから商標名Parsol MCXとして、又はBASFから商標名Uvinul MC80として購入することができる。また、ジエタノールアミンメトキシケイ皮酸エステルをはじめとするこのようなメトキシケイ皮酸エステルのモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン誘導体も好適である。上記の化合物の芳香族エーテル誘導体であるシノキサートも許容される。存在する場合、シノキサートは総組成物の約3重量%以下でなければならない。
【0194】
また、UVB日焼け止め剤として、一般式:
【化37】

【0195】
[式中、R〜R9は、それぞれ独立にH、OH、NaO3S、SO3H、SO3Na、Cl、R''、OR''であり、R''はC1-20直鎖又は分枝鎖アルキルである。]
を有する様々なベンゾフェノン誘導体も好適である。このような化合物の例としては、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12が挙げられる。ベンゾフェノン誘導体がベンゾフェノン3(オキシベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン4(スリソベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン5(スリソベンゾンナトリウムとも呼ばれる)などである場合が特に好ましい。ベンゾフェノン3が最も好ましい。
【0196】
また、一般式:
【化38】

【0197】
[式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立にH、OH、NH2又はC1-20直鎖若しくは分枝鎖アルキルである。]
を有するある種のサリチル酸メンチル誘導体も好適である。R1、R2及びR3がメチルであり、R4がヒドロキシル又はNH2である場合(この化合物の名称はサリチル酸ホモメンチル(ホモサレートとしても知られる)又はアントラニル酸メンチルである)が特に好ましい。ホモサレートはMerckから商標名Eusolex HMSとして市販され、アントラニル酸メンチルはHaarmann & Reimerから商標名Heliopanとして市販されている。存在する場合、ホモサレートは総組成物の約15重量%以下でなければならない。
【0198】
様々なアミノ安息香酸誘導体が好適なUVB吸収剤であり、例えば、一般式:
【化39】

【0199】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立にH、C1-20直鎖又は分枝鎖アルキル(1以上のヒドロキシ基で置換されていてもよい)である。]
を有するアミノ安息香酸誘導体が挙げられる。R1がH又はC1-8直鎖若しくは分枝鎖アルキルであり、R2及びR3がH又はC1-8直鎖若しくは分枝鎖アルキルである場合が特に好ましい。PABA、エチルヘキシルジメチルPABA(パディメートO)及びエチルジヒドロキシプロピルPABAなどが特に好ましい。存在する場合、パディメートOは総組成物の約8重量%以下でなければならない。
【0200】
サリチル酸エステル誘導体もまた、許容可能なUVB吸収剤である。そのような化合物は、一般式:
【化40】

【0201】
[式中Rは、直鎖又は分枝鎖アルキルであり、モノ、ジ、又はトリエタノールアミンから形成される上記化合物の誘導体が挙げられる。]
を有する。サリチル酸オクチル、サリチル酸TEA、サリチル酸DEA、及びその混合物が特に好ましい。
【0202】
一般に、存在するUVB化学的日焼け止め剤の量は、総組成物の約0.001〜45重量%、好ましくは0.005〜40重量%、より好ましくは約0.01〜35重量%の範囲であってよい。
【0203】
所望により、本発明の組成物は、製剤化されて、約1〜50、好ましくは約2〜45、最も好ましくは約5〜30の範囲のある一定のSPF(日焼け防止指数)値を有することができる。SPF値の計算は、当該技術分野で周知である。
【0204】
本発明の組成物は、顔料の形態の微粒子物質、不活性微粒子、又はその混合物を含んでよい。存在する場合には、推奨範囲は、総組成物の約0.01〜75重量%、好ましくは約0.5〜70重量%、より好ましくは約0.1〜65重量%である。組成物が顔料及びパウダーの混合物を含んでよい場合、好適な範囲は、総組成物の約0.01〜75重量%の顔料及び0.1〜75重量%のパウダーを含む。好適な微粒子物質としては以下が挙げられる。
【0205】
A. パウダー
微粒子物質は、着色又は非着色(例えば、白色)非色素性パウダーであってよい。好適な非色素性パウダーとして、オキシ塩化ビスマス、マイカチタン(titanated mica)、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉化テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンコハク酸オクテニル、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、白亜、トウモロコシデンプン、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水酸化ケイ素、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、コメデンプン、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、セリサイト、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻パウダー、又はこれらの混合物が挙げられる。先に言及したパウダーは、パウダー表面を被覆し、粒子を性質上より親油性にするレシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、又は種々の他の薬剤の単独又は組合せによって表面処理されていてよい。
【0206】
B. 顔料
微粒子物質は、種々の有機及び/又は無機顔料を含んでよい。有機顔料は、一般に、D&C及びFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどと呼ばれるアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン色素をはじめとする種々の芳香族タイプである。有機顔料は、一般に、レーキとも称される認定された着色添加物の不溶性金属性塩からなる。無機顔料として、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム顔料及びその混合物が挙げられる。レッド、ブルー、イエロー、ブラウン、ブラック及びその混合物の酸化鉄が好適である。
【0207】
本組成物は、総組成物の好ましくは0.001〜8重量%、好ましくは0.01〜6重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%の防腐剤を含有することができる。種々の防腐剤が好適であり、例えば、安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベンジルパラベン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カプリリルグリコール、ビグアニド誘導体、フェノキシエタノール、キャプタン、二酢酸クロロヘキシジン、ジグルコン酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p-クロロ-m-クレゾール、クロロフェン、クロロチモール、クロロキシレノール、m-クレゾール、o-クレゾール、DEDMヒダントイン、ジラウリン酸DEDMヒダントイン、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジイセチオン酸ジブロモプロパミジン、DMDMヒダントインなどが挙げられる。1つの好ましい実施形態において、本組成物はパラベンを含まない。
【0208】
本発明の組成物は、ビタミン及び/又はコエンザイム、並びに酸化防止剤を含んでよい。そうであるとき、総組成物の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜5重量%が推奨される。好適なビタミンとして、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸テトラヘキシデシルなど;チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチン酸、ニコチン酸ジヌクレオチドなどのビタミンB、ピロリン酸チアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサール、テトラヒドロ葉酸などのコエンザイムが挙げられる。また、ビタミンA及びその誘導体が好適である。例えば、レチニルパルミテート、レチノール、レチノイン酸、並びにβカロチンの形態のビタミンAである。さらに、ビタミンE及びその誘導体、例えば、酢酸ビタミンE、ニコチン酸ビタミンE、又はビタミンEの他のエステルもまた好適である。加えて、ビタミンD、及びビタミンKが好適である。
【0209】
好適な酸化防止剤は、腐敗を防止又は遅らせるのを助ける成分である。本発明の組成物での使用に好適である酸化防止剤として、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリスロビン酸ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、塩酸システイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
【0210】
1種以上のフィルム形成成分を本発明の化粧用組成物中に含めることが望ましい場合がある。好適なフィルム形成剤は、フィルムの角質表面への形成に寄与する成分である。一部の場合において、これらのフィルム形成剤は、角質表面に適用される化粧品が3〜16時間の時間範囲にわたって残るように、長い付着性及び耐移り性を提供するフィルムを提供することができる。そのようなフィルム形成剤は、存在する場合には、総組成物の約0.01〜50重量%、好ましくは約0.1〜40重量%、より好ましくは約0.5〜35重量%の範囲であってよい。フィルム形成剤は、ポリマー形で最もよく見出され、天然又は合成ポリマーであってよい。合成の場合、シリコーンポリマー、有機ポリマー又はシリコーン及び有機基のコポリマーが許容可能であり得る。好適なフィルム形成剤としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【0211】
A. シリコーン樹脂
1つの特に好適なタイプのシリコーンフィルム形成剤は、シリコーン樹脂である。シリコーン樹脂は、一般に、M、D、T、及びQ単位の組合せを含む高架橋構造である。「M」という用語は、一般式:
[Si-(CH3)3-O]0.5
を有する単官能性シロキシ単位を意味する。M単位がメチルでない場合(例えばエチル、プロピル、エトキシなど)、M単位は、その後にダッシュ記号を有してよい(例えばM')。
【0212】
「D」という用語は、一般式:
[Si-(CH3)2-O]1.0
を有する二官能性シロキシ単位を意味する。二官能性単位は、メチル以外のアルキル基、例えばエチル、プロピル、アルキレングリコールなどで置換されていてよく、この場合D単位はD'と称されてもよく、ダッシュ記号は置換を示す。
【0213】
「T」という用語は、一般式:
[Si-(CH3)-O]1.5
を有する三官能性シロキシ単位を意味する。三官能性単位は、メチル以外の置換基で置換されていてよく、この場合T'と称されてもよい。
【0214】
「Q」という用語は、一般式:
[Si-O-]2.0
を有する四官能性シロキシ単位を称する。
【0215】
本発明の組成物においてフィルム形成剤として使用され得るシリコーン樹脂は、M、T、及びQ単位の高度に架橋された組合せを好ましくは含む。そのような樹脂の例として、749 FluidとしてDow Coming Corporationから、又はSR-1000(商品名)でGE Siliconesから購入することができるトリメチルシロキシシリケートが挙げられる。また、高い割合(%)のT基を含むシリコーン樹脂、例えば、CTFA名ポリメチルシルセスキオキサンを有しWacker-Chemieによって販売されているMK樹脂が好適である。
【0216】
B. シリコーン及び有機モノマーのコポリマー
シリコーン及び有機モノマーのコポリマー、例えばアクリレート、メタクリレートなどもまたフィルム形成剤としての使用に好適である。そのような好適なフィルム形成ポリマーの例として、シリコーンアクリレート又はビニルシリコーンコポリマーと一般に称されるもの、例えばブランド名「Silicone Plus」ポリマーで3Mによって販売されているもの、例えば、CTFA名ポリシリコーン-7を有するSA-70、イソブチルメタクリレートとn-ブチル末端停止(endblocked)ポリジメチルシロキサンプロピルメタクリレートとのコポリマー;又はCTFA名ポリシリコーン-6を有し、イソブチルメタクリレートと反応したメチル-3メルカプトプロピルシロキサンとジメチルシロキサンとのコポリマーであるVS-70;又は、CTFA名ポリシリコーン-8を有し、一般構造:
【化41】

【0217】
[式中Rはアクリレートコポリマー基を示す。]
を有するVS-80が挙げられる。
【0218】
C. 有機ポリマー
また、好適なフィルム形成剤として、種々のタイプの有機ポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの単純なC1〜10カルボン酸エステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレートなどから形成されるポリマーが挙げられる。
【0219】
種々のタイプの天然ポリマー、例えばセラック、天然樹脂、キチンなどもまた好適である。
【0220】
1種以上のDNA修復酵素を本発明の組成物に組み込むことが望ましい場合もある。推奨範囲は、1種以上のDNA修復酵素が約0.00001〜約35%、好ましくは約0.00005〜約30%、より好ましくは約0.0001〜約25%である。
【0221】
米国特許第5,077,211号;第5,190,762号;第5,272,079号;及び第5,296,231号(これらは全てそのまま参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるDNA修復酵素は、本発明の組成物及び方法において使用するのに適している。このようなDNA修復酵素の1つの例は、AGI/Dermaticsから商品名Roxisomes(登録商標)で購入することが可能であり、INCI名「アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis Thaliana)抽出物」を有する。この酵素は、単独で、又はレシチン及び水との混合物として存在し得る。このDNA修復酵素は、8-オキソ-ジグアニン塩基変異損傷を修復するのに有効であることが知られている。
【0222】
使用し得る別のタイプのDNA修復酵素は、06-メチルグアニン塩基変異損傷を修復するのに有効であることが知られているDNA修復酵素である。これは、AGI/Dermaticsから商品名Adasomes(登録商標)で販売されており、INCI名「ラクトバチルス(Lactobacillus)発酵物」を有し、単独で、又はレシチン及び水と混合して本発明の組成物に添加することができる。
【0223】
使用し得る別のタイプのDNA修復酵素は、TTダイマーを修復するのに有効であることが知られているDNA修復酵素である。この酵素は、生物由来物質又は植物由来物質の混合物中に存在する。このような成分の例は、AGI/Dermaticsから商品名Ultrasomes(登録商標)又はPhotosomes(登録商標)で販売されている。Ultrasomes(登録商標)は、ミクロコッカス(Micrococcus)溶解物(ミクロコッカス(Micrococcus)のある種の制御溶解の最終生成物)、レシチン及び水の混合物を含む。Photosomes(登録商標)は、プランクトン抽出物(1種以上の以下の生物:海洋プランクトン、緑色微細藻類、珪藻類、青緑色窒素固定海藻に由来する酵素を含むバイオマスの抽出物)、水、及びレシチンの混合物を含む。
【0224】
別のタイプのDNA修復酵素は、ビフィダ(Bifida)溶解物又はビフィダ(Bifida)発酵溶解物(後者は、ビフィド(Bifido)細菌が培養され、不活性化され、次いで分解された場合に上記の代謝産物及び細胞質画分を含有するビフィド(Bifido)細菌に由来する溶解物である)などの多様な不活性化細菌溶解物の1つの成分であり得る。この物質は、INCI名「ビフィダ(Bifida)発酵溶解物」を有する。
【0225】
他の好適なDNA修復酵素としては、バクテリオファージT4のdenV遺伝子によって生成され得るエンドヌクレアーゼVが挙げられる。また、T4エンドヌクレアーゼ;O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ;フォトリアーゼ、ウラシル-及びヒポキサンチン-DNAグリコシラーゼなどの塩基グリコシラーゼ;脱ピリミジン/脱プリンエンドヌクレアーゼ;DNAエキソヌクレアーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ(例えば、3-メチルアデニン-DNAグリコシラーゼ);単独の又は複合体(例えば、大腸菌(E. coli)uvrA/uvrB/uvrCエンドヌクレアーゼ複合体)のコルエンドヌクレアーゼ;多機能DNA修復酵素であるAPEXヌクレアーゼ、「APE」と呼ばれることも多い;ジヒドロ葉酸レダクターゼ;ターミナルトランスフェラーゼ;ポリメラーゼ;リガーゼ;及びトポイソメラーゼも好適である。
【0226】
他のタイプの好適なDNA修復酵素は、促進される修復の種類によって分類することが可能であり、BER(塩基除去修復)酵素すなわちBER因子酵素(例えばウラシル-DNAグリコシラーゼ(UNG));一本鎖選択的単機能ウラシルDNAグリコシラーゼ(SMUG1);3,N(4)-エテノシトシングリコシラーゼ(MBD4);チミンDNAグリコシラーゼ(TDG);A/G-特異的アデニンDNAグリコシラーゼ(MUTYH);8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1);エンドヌクレアーゼIII様(NTHL1);3-メチルアデニンDNAグリコシダーゼ(MPG);DNAグリコシラーゼ/APリアーゼ(NEIL1又は2);APエンドヌクレアーゼ(APEX1及び2)、DNAリガーゼ(LIG3)、リガーゼ副因子(XRCC1);DNA 5'-キナーゼ/3'-ホスファターゼ(PNKP);ADP-リボシルトランスフェラーゼ(PARP1又は2)が挙げられる。
【0227】
別のカテゴリーのDNA修復酵素としては、O-6-MeGアルキルトランスフェラーゼ(MGMT);1-meAジオキシゲナーゼ(ALKBH2又はALKBH3)などの、損傷を直接逆転させると考えられているDNA修復酵素が挙げられる。
【0228】
DNA/タンパク質架橋を修復することができるさらに別のカテゴリーの酵素としては、Tyr-DNAホスホジエステラーゼ(TDP1)が挙げられる。
【0229】
また、MMR(ミスマッチ除去修復)DNA修復酵素、例えばMutSタンパク質ホモログ(MSH2);ミスマッチ修復タンパク質(MSH3);mutSホモログ4(MSH4);MutSホモログ5(MSH5);又はG/Tミスマッチ-結合タンパク質(MSH6);DNAミスマッチ修復タンパク質(PMS1、PMS2、MLH1、MLH3);減数分裂後分離増加型(Postmeiotic segregation increased)2様タンパク質(PMS2L3);又は減数分裂後分離増加型(Postmeiotic segregation increased)2様4偽遺伝子(PMS2L4)も好適である。
【0230】
また、ヌクレオチド除去修復(NER)酵素として知られているDNA修復酵素も適しており、例えば色素性乾皮症群C-相補タンパク質(XPC);RAD23(酵母(サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae))ホモログ(RAD23B);カルトラクチンアイソフォーム(CETN2);RFAタンパク質1、2、又は3(RPA1、2、又は3);3'→5'DNAヘリカーゼ(ERCC3);5'→3'DNAヘリカーゼ(ERCC2);塩基性転写因子(GTF2H1、GTF2H2、GTF2H3、GTF2H4、GTF2H5);CDK活性化キナーゼ(CDK7、CCNH);サイクリンG1-相互作用タンパク質(MNAT1);DNA除去修復タンパク質ERCC-1又はRAD-5l;除去修復交差相補1(ERCC1);DNAリガーゼ1(LIG1);ATP依存性ヘリカーゼ(ERCC6)などが挙げられる。
【0231】
相同組換えを促進するカテゴリーのDNA修復酵素も適している場合があり、例えば、限定するものではないが、DNA修復タンパク質RAD51ホモログ(RAD51、RAD51L1、RAD51B等);DNA修復タンパク質XRCC2;DNA修復タンパク質XRCC3;DNA修復タンパク質RAD52;ATPase(RAD50);3'エキソヌクレアーゼ(MRE11A);などが挙げられる。
【0232】
またDNAポリメラーゼであるDNA修復酵素も適しており、例えば、DNAポリメラーゼベータサブユニット(POLB);DNAポリメラーゼガンマ(POLG);DNAポリメラーゼサブユニットデルタ(POLD1);DNAポリメラーゼIIサブユニットA(POLE);DNAポリメラーゼデルタ補助タンパク質(PCNA);DNAポリメラーゼゼータ(POLZ);MAD2ホモログ((REV7);DNAポリメラーゼイータ(POLH):DNAポリメラーゼカッパ(POLK)などが挙げられる。
【0233】
「エディティング及びプロセシングヌクレアーゼ」と呼ばれることも多い様々なタイプのDNA修復酵素としては、3'-ヌクレアーゼ;3'-エキソヌクレアーゼ;5'-エキソヌクレアーゼ;エンドヌクレアーゼなどが挙げられる。
【0234】
DNA修復酵素の他の例としては、例えば、ATP DNAヘリカーゼなどのDNAヘリカーゼが挙げられる。
【0235】
DNA修復酵素は、植物抽出物、細菌溶解物、生物由来物質などの成分として存在し得る。例えば、植物抽出物はDNA修復酵素を含み得る。
【0236】
以下の非限定的な実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0237】
実施例I:皮膚美白組成物の調製例
【表2】

【0238】
手順:メインの反応釜内で、段階Iの成分を60℃に加温し、均一になるまで混合する。別の反応釜内で、段階IIの成分を、均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。段階IIIの成分を均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。段階IVの成分を均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。温度60℃で維持しながら、ホモジナイズする撹拌機を用いて、メインの反応釜の中のバッチを15分間混合する。段階Vの成分を透明になるまで前もって混合する。メインの反応釜の中のバッチを30℃に冷やす。段階Vの成分をバッチに添加し、均一になるまで混合する。バッチの最終pHは、5.35である。
【0239】
実施例II:臨床実験
本実験は、2-ピリジルメチルスルフィニル-ベンゾイミダゾールの皮膚美白効力を判定することを目的とした。
【0240】
18〜45歳の、皮膚型I-II(Fitzpatrick、T.B.、Ultraviolet-induced Pigmentary Changes: benefits and hazards、Curr. Probl. Dermatol. 15:25〜38頁、1986)を有する女性ボランティア10名を、ニューヨーク州の地元住民から採用した。条件を満たしたパネリストは、皮膚の問題を含め、急性又は慢性疾患の徴候がない、正常な健康状態にある。試験結果の評価を妨げる可能性のある、現在生じている日焼け、発疹、引っかき傷、焼け跡などを示す対象は、実験から除外した。妊娠している又は授乳している女性も除外した。審査では、各対象の試験部位は、過剰ないぼ、ほくろ、あざ、日光皮膚炎、日焼け、傷跡及び活性のある皮膚の病変を含まなかった。パネリストは、全身性又は局所的レチノイド、抗ヒスタミン剤又は同様の薬剤を現在使用しておらず、実験開始の少なくとも2週間前からこのような製品を使用しておらず、実験の経過中このような製品を使用しないことに同意した。対象は、研究者と協力する意欲を表し、本実験の目的及び本実験に参加することに伴う危険性を理解する能力を明示した。パネリストは、実験開始の前にインフォームドコンセントの用紙に署名した。
【0241】
試験材料に対応した、はっきりと識別できる領域(約4cm2)として、パネリストの背中に印を付けた。追加の部位は、未処置の、照射されていない部位として、及び未処置の、照射された部位として印を付けた。これらの部位を、3.5MEDのUVBに、一回照射により曝露した。照射源は、皮膚をUV-B及びUV-A照射に曝露するための、フィルター(mmUG-5)を備えたXenon Arc Solar Simulator(150 Watt)であった。照射後すぐに、この部位を、4週間の間、毎日試験材料で処置した(土曜日及び日曜日は除く)。試験材料1は、実施例Iの表IIの配合物である。比較試験材料1は、以下の表IIIに提供されている。Minolta Chromameterを週に2回、4週間の間使用して、色彩色差計の記録(反射率値)を得た。色彩色差計は、皮膚の反射率の差異、L*を測定する。測定値を取った各日の反射率の差の値の変化、ΔL*を、各時点で測定された未処置の未照射の皮膚のベースラインとなる皮膚の色の値に対して測定する。すべての時点に対して観察された反射率値をグラフに記録し、各試験部位に対する曲線下面積を計算する。皮膚の美白要素は、未処置の部位の曲線下面積から引き算した、処置した部位の曲線下面積として計算される。
【0242】
図に示されているように、オメプラゾールを含有する組成物は、3週間と4週間の処置の両方において優れた皮膚美白作用を示し、それぞれ3.08及び4.63の美白指数を有した。対照的に、コウジ酸を含有する(オメプラゾール濃度の500倍を超える)比較試験配合物は、美白指数2.01及び3.14を3週及び4週の時点でそれぞれ示した。
【0243】
オメプラゾールを含有する処方を使用して得た結果は4%ヒドロキノンを使用した別の実験において得た結果と比較して、特に印象深い。ヒドロキノンに対して観察された美白指数は、3週間及び4週間の処置で、それぞれ3.2及び5.0であった。
【表3】

【0244】
手順:メインの反応釜内で、段階Iの成分を60℃に加温し、均一になるまで混合する。別の反応釜内で、段階IIの成分を、均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。段階IIIの成分を均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。段階IVの成分を均一になるまで前もって混合し、メインの反応釜に添加する。温度60℃で維持しながら、ホモジナイズする撹拌機を用いて、メインの反応釜の中のバッチを15分間混合する。段階Vの成分を透明になるまで前もって混合する。メインの反応釜の中のバッチを30℃に冷やす。段階Vの成分をバッチに添加し、均一になるまで混合する。バッチの最終pHは、5.12である。
【0245】
皮膚を美白するための配合物中にオメプラゾールを使用することができるのは、驚くべきであり、予期しない発見である。これは、胃酸阻害剤が、標準的美白剤であるコウジ酸(オメプラゾール濃度のほぼ600倍で使用)と少なくとも同じ程度有効であり、4%ヒドロキノンを含有する配合物(オメプラゾール濃度の1,000倍を超える濃度で使用され、消費者製品におけるその使用の合法的な限界2%を上回る)の使用に匹敵するなどとは、当業者には予想もできないためである。
【0246】
皮膚の美白/脱色におけるI型H+、K+-ATPaseの阻害剤の作用機序は、調査中である。ヒトメラニン形成細胞からの抽出物を使用した試験管アッセイにおいて、ヒトチロシナーゼ活性を中程度に阻害するために250μg/mlのオメプラゾールが必要である一方で、培養中のメラニン形成細胞のメラニン形成を阻害するためのオメプラゾールの有効濃度は約5〜50μg/mlであることが、発明者らにより事前に決定されている。したがって、オメプラゾールによるメラニン形成阻害の機序は、チロシナーゼ活性の直接の阻害ではないように思われる。さらに、細胞をオメプラゾールで処置し、全RNAを抽出し、遺伝子特異的な相補的プライマー及びRT-PCRを使用して、チロシナーゼ又はMITF特異的なmRNAのレベルを測定することによって、発明者らは、オメプラゾールがB16F10マウスメラノーマ細胞のチロシナーゼ又はMITF mRNAレベルを変化させないと判定した。オメプラゾールは、マウスチロシナーゼに特異的な抗体を使用したウエスタンブロット法を用いた分析で測定されたように、チロシナーゼタンパク質レベルを低減させる。基質としてL-DOPAを用いたチロシナーゼのためのアッセイを使用して、オメプラゾールが、B16F10細胞抽出物のチロシナーゼ活性を低減させることもまた観察された。チロシナーゼ活性を調節していることとは別に、メラノソームのpHはまた、チロシナーゼの輸送及び成熟を調節することが可能である。よって、pHの変化は、チロシナーゼタンパク質の量を減少させ、並びにその活性を低減することもできる。
【0247】
Ancansら(2001)(上記)は、メラノソームのp遺伝子座タンパク質(Na+/H+対向輸送体となり得る)が、メラノソームのpHの中和を仲介するので、このタンパク質は、皮膚の色素沈着に対する主要な制御点となり得ることを示唆した。しかし、このタンパク質もまた、オメプラゾールのターゲットではないように見える。発明者らは、ヒト壁細胞のオメプラゾールの既知のターゲットタンパク質とのタンパク質配列比較によって、p遺伝子座タンパク質及び胃ポンプは、配列相同性を有さない、すなわち、p遺伝子座タンパク質において、オメプラゾールと結合する、胃ポンプのものと匹敵するシステインが存在しないことを実証した。発明者らは、遺伝子特異的なプライマー及びRT-PCRを使用して判定されたように、胃ポンプのmRNAは、メラニン形成細胞中に発見されていないので、オメプラゾール結合に対する唯一の既知のターゲットである、タンパク質ATP4A(胃ポンプ)は、ヒトメラニン形成細胞において発現していないようであることをさらに判定した。よって、驚くことに、PPI阻害剤化合物は、これらが胃の壁細胞で機能するように、メラノソーム内で同じように機能することができない(ターゲットがメラノソーム内にある場合)。同様に胃の壁細胞中に存在し、ATP4Aと構造的関連のあるタンパク質ATPA7及びATP12Aの実験は、これらポンプのそれぞれが、オメプラゾール結合に適した遺伝子座にシステインを含有しないことを示している。よって、メラニン形成の阻害における、オメプラゾール及びI型H+、K+-ATPaseの他の阻害剤の作用機序は、新規であり、従来の技術の教示のいずれからも予期されていない。
【0248】
対象の発明は、様々な好ましい実施形態で記載されてきたが、当業者であれば、その趣旨から逸脱することなく、様々な修正、置換、削除及び変更を行うことができことは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を美白又は脱色するための、局所適用可能な組成物であって、構造式:
【化1】

[式中、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)、並びにハロゲンからなる群から選択され、
R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシメトキシなど(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体、或いは構造式:
【化2】

[式中、
R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり、
R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は
【化3】

(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただし、この場合R2は水素でないものとする)、
R4は、Z-T-W(式中、Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びAr(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する)の場合、Wは水素を表す)であり、
R5は、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は任意の立体異性体若しくは光学異性体を、皮膚美白又は脱色有効量で含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている、組成物。
【請求項2】
R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択され、R6が、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択される式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、ハロゲン置換されたメチル、メトキシ、及びハロゲン置換されたメトキシからなる群から選択され、R6が、水素であり、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、メトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、エトキシプロポキシ、プロポキシエトキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択される式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
R1及びR2が、それぞれ水素又はメトキシであり、R3及びR5がメチルであり、R4がメトキシである化合物、R1、R2、R5及びR6が水素であり、R3がメチルであり、R4がプロポキシメトキシである化合物、R1、R2、R3、R4、R5及びR6がすべて水素である化合物、R1、R2、R5及びR6がすべて水素であり、R3がメチルであり、R4がハロゲン置換されたエトキシである化合物、並びにR1及びR2が水素又はハロゲン置換されたメトキシであり、R6が水素であり、R3が水素であり、R4及びR5がメトキシである化合物からなる群から選択される、式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物が、オメプラゾール、5-又は6-メトキシ-2-{[(4-メトキシ-3,5-ジメチルピリジン-2-イル)メチル]スルフィニル}-1H-ベンゾイミダゾール;エソメプラゾール、S-5-メトキシ-2-{(4-メトキシ-3,5ジメチルピリジン-2-イル)メチルスフィニル(sufinyl)]-3H-ベンゾイミダゾール;ランソプラゾール、2-{[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メチルスルフィニル-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;パントプラゾール、RS-6-(ジフルオロメトキシ))-2-[(3,4-ジメトキシピリジン-2-イル)メチルスルフィニル]-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;及びラベプラゾール(パリプラゾール)、2-([4-(3-メトキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-2-イル]メチルスルフィニル)-1H-ベンゾ(d)イミダゾール、レミノプラゾール、2-((o-(イソブチルメチルアミノ)ベンジル)スルフィニル)ベンゾイミダゾール;チモプラゾール、2-(ピリジン-2-イルメチルスルフィニル)-1H-ベンゾイミダゾール;並びにその硫化物及びナトリウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、5-又は6-メトキシ-2-{[(4-メトキシ-3,5-ジメチルピリジン-2-イル)メチル]スルフィニル}-1H-ベンゾイミダゾール、又はその誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
R2が、メチル又はエチルであり、R3が、-NH2、-NHC2H5、-CH2CN、-CH3、-CH2OH又は-CH2N=Cであり、R4が、-OCH2Ar、-NHCH2Ar、-CH=CH-(CH2)nAr又は-CH2CH2(CH2)nArであり(式中、nはゼロ又は1であり、Arは、本明細書中で上に定義された通りである)、R5が、水素、フルオロ、クロロ又はメチルである、式(II)の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
R4が、8位にあり、フェニルメトキシ、フェニルエチル、3-フェニル-1-プロペニル、フェニルエテニル、ベンジルアミノ、3-チエニルメトキシ及び3-チエニルメタンアミノから選択され、R2が、メチルであり、R3が、アミノ、シアノメチル又はメチルであり、R5が、7位にあるメチル又は水素である式(II)の化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
式(II)の化合物が、SCH28080、3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;及びSCH32651、3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
無水組成物、水系溶液、懸濁液、分散液、ローション、美容液、エッセンス、エマルション、ミルク、クリーム、ゲル、ペースト、軟膏、スプレー、スティック、ムース、エアゾール又はマイクロカプセルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの化粧品又は皮膚科用添加剤又はアジュバントをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
構造式:
【化4】

[式中、
R1及びR2は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、カルボメトキシ、カルボエトキシ、アルコキシ、及びアルカノイル(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)、並びにハロゲンからなる群から選択され、
R6は、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシ、プロポキシメトキシなど(これらのいずれも、ハロゲン置換されていてもよい)からなる群から選択される。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体、或いは構造式:
【化5】

[式中、
R2は、水素、低級アルキル又はヒドロキシ低級アルキルであり、
R3は、低級アルキル、--CH2CN、ヒドロキシ低級アルキル、-NO、-CH2N=C、又は
【化6】

(式中、R6及びR7は、独立して、水素及び低級アルキルからなる群から選択される)、又は水素であり(ただしこの場合R2は水素でないものとする)、
R4は、Z-T-W(式中、Zは、-O-、-NH-又は一重結合を表し、Tは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキレン基を表し、Zが一重結合の場合、Tはまたエテニレン又はプロペニレン基を表し(不飽和炭素は、一重結合の位置にある)、Zが-O-の場合、Tはまたアリレン基を表し(飽和炭素は、酸素の位置にある)、Tがアリレンであり、Zが-O-及びAr(Arは、チエニル、ピリジニル、フラニル、フェニル及び置換フェニルから選択され、フェニル上にハロゲン又は低級アルキルから独立して選択される1つ又は複数の置換基が存在する)の場合、Wは水素を表す)であり、
R5は、水素、ハロゲン又は低級アルキルである。]
で表される少なくとも1つの化合物若しくはその誘導体、又は生理学的に許容される塩、溶媒和物若しくはバイオプレカーサー、又は立体異性体若しくは光学異性体を、皮膚を美白又は脱色する安全及び有効な量で含み、
そのための局所適用可能な、化粧品として又は皮膚科学的に許容されるビヒクル、担体又は希釈剤中に配合されている組成物であって、皮膚を美白又は脱色するための局所適用可能な組成物をこのような処置が必要な皮膚に局所的に適用することを含む、皮膚を美白又は脱色する方法。
【請求項13】
R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル、及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択され、R6が水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、アルキル及びアルコキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択される式(I)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R1及びR2が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、ハロゲン置換されたメチル、メトキシ、及びハロゲン置換されたメトキシからなる群から選択され、R6が、水素であり、R3、R4、及びR5が、同一であり又は異なり、それぞれ、水素、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、メトキシメトキシ、エトキシエトキシ、プロポキシプロポキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、メトキシプロポキシ、プロポキシメトキシ、エトキシプロポキシ、プロポキシエトキシ(ハロゲン置換されていてもいなくてもよい)からなる群から選択される式(I)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
R1及びR2がそれぞれ水素又はメトキシであり、R3及びR5がメチルであり、R4がメトキシである化合物、R1、R2、R5及びR6が水素であり、R3がメチルであり、R4がプロポキシメトキシである化合物、R1、R2、R3、R4、R5及びR6がすべて水素である化合物、R1、R2、R5及びR6がすべて水素であり、R3がメチルであり、R4がハロゲン置換されたエトキシである化合物、並びにR1及びR2が水素又はハロゲン置換されたメトキシであり、R6が水素であり、R3が水素であり、R4及びR5がメトキシである化合物からなる群から選択される式(I)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
オメプラゾール、5-又は6-メトキシ-2-{[(4-メトキシ-3,5-ジメチルピリジン-2-イル)メチル]スルフィニル}-1H-ベンゾイミダゾール;エソメプラゾール、S-5-メトキシ-2-{(4-メトキシ-3,5ジメチルピリジン-2-イル)メチルスフィニル(sufinyl)]-3H-ベンゾイミダゾール;ランソプラゾール、2-{[3-メチル-4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ピリジン-2-イル]メチルスルフィニル-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;パントプラゾール、RS-6-(ジフルオロメトキシ))-2-[(3,4-ジメトキシピリジン-2-イル)メチルスルフィニル]-1H-ベンゾ(d)イミダゾール;及びラベプラゾール(パリプラゾール)、2-([4-(3-メトキシプロポキシ)-3-メチルピリジン-2-イル]メチルスルフィニル)-1H-ベンゾ(d)イミダゾール、レミノプラゾール、2-((o-(イソブチルメチルアミノ)ベンジル)スルフィニル)ベンゾイミダゾール;チモプラゾール、2-(ピリジン-2-イルメチルスルフィニル)-1H-ベンゾイミダゾール;並びにその硫化物及びナトリウム塩からなる群から選択される式(I)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
5-又は6-メトキシ-2-{[(4-メトキシ-3,5-ジメチルピリジン-2-イル)メチル]スルフィニル}-1H-ベンゾイミダゾール、又はその誘導体である式(I)の化合物を組成物が含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
R2が、メチル又はエチルであり、R3が、-NH2、-NHC2H5、-CH2CN、-CH3、-CH2OH又は-CH2N=Cであり、R4が、-OCH2Ar、-NHCH2Ar、-CH=CH-(CH2)nAr又は-CH2CH2(CH2)nAr(式中、nはゼロ又は1であり、Arは、本明細書中で上で定義された通りである)であり、R5が、水素、フルオロ、クロロ又はメチルである式(II)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
R4が、8位にあり、フェニルメトキシ、フェニルエチル、3-フェニル-1-プロペニル、フェニルエテニル、ベンジルアミノ、3-チエニルメトキシ及び3-チエニルメタンアミノから選択され、R2が、メチルであり、R3が、アミノ、シアノメチル又はメチルであり、R5が7位にあるメチル又は水素である式(II)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
SCH28080、3-(シアノメチル)-2-メチル-8-フェニルメトキシ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン;及びSCH32651、3-アミノ-2-メチル-8-フェニルメトキシイミダゾ[1,2-a]ピラジンからなる群から選択される式(II)の化合物を組成物が含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
メラニン合成をモジュレーションする効力について化合物をスクリーニングする方法であって、(a)細胞又は細胞オルガネラのpHを変化させる試験対象の化合物を選択するステップと、(b)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を様々な濃度の試験化合物と共に及び陽性対照化合物と共にインキュベートするステップと、(c)細胞のメラニン含有量を測定するステップとを含む方法。
【請求項22】
メラニン合成をモジュレーションする効力について化合物をスクリーニングする方法であって、(a)細胞又は細胞オルガネラのpHを変化させる試験対象の化合物を選択するステップと、(b)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を様々な濃度の試験化合物と共に及び陽性対照化合物と共にインキュベートするステップと、(c)メラニン形成細胞又はメラノーマ細胞を弱塩基と共にインキュベートするステップと、(d)弱塩基に対する標識した抗体と共に細胞をインキュベートするステップと、(e)pHの変化を評価するステップとを含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−516474(P2013−516474A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548096(P2012−548096)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2011/020240
【国際公開番号】WO2011/085015
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】