説明

皮膚外用剤

【目的】アトピー性皮膚炎や乾癬、湿疹などの皮膚疾患によって引き起こされる経皮の水分蒸散を抑制する効果に優れ、皮膚の乾燥を抑制し、荒れ肌改善効果にも優れた皮膚外用剤を提供する
【構成】下記一般式(1)で表されるセリンジアミドを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化1】


(但し、式中Rは炭素数7〜23の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよく、Rは炭素数2〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよい。またこれらのアルキル基はヒドロキシル化されていてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸、脂肪酸などからなるセリンジアミドを含有する皮膚外用剤に関し、アトピー性皮膚炎や乾癬、湿疹などの皮膚疾患によって引き起こされる経皮の水分蒸散を抑制する効果に優れ、また皮膚の乾燥を抑制し、荒れ肌改善効果にも優れた皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の最外層にある角質層は、全身を被覆して外界からの様々な刺激や乾燥などから生体を保護するバリアの役目を果たしている。肌が健全な状態であれば、この角質層がバリア防御層となって、紫外線や乾燥などのあらゆる外的刺激から肌を保護している。
【0003】
一方、アトピー性皮膚炎や乾癬、湿疹などの皮膚疾患は、バリア機能の低下、経皮水分蒸散量の増加、さらにサイトカイン産生の促進や炎症の増大などを引き起こし、アレルゲンや刺激物が容易に皮膚へと進入できる肌状態にあると考えられている(非特許文献1参照)。
【0004】
また生体のバリア機能が何らかの原因で崩れると、紫外線やアレルゲンなどの外的刺激に対してバリア機能が低下し、きめの細やかさやハリ、みずみずしさなどが失われ、乾燥やカサツキなど、いわゆる荒れ肌となる。
【0005】
バリア機能には、角質層の細胞間脂質が重要な役割を果たしており、その細胞間脂質はセラミド、コレステロール、脂肪酸などの脂質で構成されているが、荒れ肌では、細胞間脂質の分子配列が乱れて分子間に緩みや隙間が生じており、この緩みや隙間から水分が蒸散してしまうことが荒れ肌の原因の1つと考えられている(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】濱中 すみ子、「保湿剤−セラミド−」、「皮膚科の臨床」、金原出版社、2002年10月30日発行、第44巻、第11号、1231−1238頁
【非特許文献2】坂 貞徳、八田 一郎、「高輝度X線回折を用いた角質層の構造解析」、「フレグランスジャーナル」、フレグランス ジャーナル社、2002年1月15日発行、第30巻、1号、34−39頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アトピー性皮膚炎や乾癬、湿疹などの皮膚疾患によって引き起こされる経皮の水分蒸散を抑制する効果に優れ、また皮膚の乾燥を抑制し、荒れ肌改善効果にも優れる皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究を行った結果、種々の脂肪酸やアルキルアミンを用いて容易に製造されるジアミド構造を有するアミノ酸が、優れた水分蒸散抑制効果、かつ荒れ肌改善効果を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるセリンジアミドを含有することを特徴とする皮膚外用剤にある。
【0009】
【化1】

【0010】
(但し、式中Rは炭素数7〜23の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよく、Rは炭素数2〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよい。またこれらのアルキル基はヒドロキシル化されていてもよい。)
【発明の効果】
【0011】
本発明は、アトピー性皮膚炎や乾癬、湿疹などの皮膚疾患によって引き起こされる経皮の水分蒸散を抑制すると共に、紫外線やアレルゲンなどの外的刺激に対してバリア機能が低下することにより起こる荒れ肌を改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
【0013】
本発明に用いられるセリンジアミドは、生体内の必須アミノ酸の1つであるL−セリンと、脂肪酸およびアルキルアミンから、例えば、以下のような定法によって合成することができる。
【0014】
Z−L−セリンとアルキルアミンをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒中、ペプチド縮合剤を用いてアミド化した後、パラジウムを触媒として水素気流下で反応させベンジルオキシカルボニル基(Z基)を除去した。続いてパラジウムの除去、濃縮操作後、適当な溶媒に再溶解し、トリエチルアミン存在下で脂肪酸クロリドと反応させるか、またはペプチド縮合剤を用いて脂肪酸と反応させるとセリンジアミドが得られる。
【0015】
本発明に用いられるセリンジアミドは、下記一般式(1)で表される。
【0016】
【化2】

【0017】
一般式(1)中、Rは炭素数7〜23(特に好ましくは炭素数15〜19)の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよく、当該アルキル基はヒドロキシル化されていてもよい。
【0018】
またRは炭素数2〜18(特に好ましくは炭素数4〜8)の直鎖状または分岐鎖状の
アルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよく、当該アルキル基はヒドロキシル化されていてもよいが、Rが、−C13の場合、本発明の効果が特に優れる。
【0019】
また具体的には下記構造式(2)から(5)で表されるセリンジアミドを挙げることができる。
【0020】
【化3】

【0021】
【化4】

【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
本発明におけるセリンジアミドの配合量は、皮膚外用剤の総量を基準として、0.01〜50.0質量%(以下、単に%で示す)が好ましく、特に0.1〜20%が好ましい。この下限未満の配合量では、本発明の目的とする効果が十分でなく、一方、上限を超えてもその増加分に見合った効果の向上がなく、好ましくない。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、外用剤として医薬品に適用される他に、医薬部外品や、皮膚化粧料、入浴剤などに適用でき、剤型的には例えばローション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類などとすることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を詳説する。尚、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
製造例1
セリンジアミド2[上記構造式(2)]
Z−L−セリン1.5gをDMF15mLに溶かし、n−ヘキシルアミン0.9mLおよびペプチド縮合剤として1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)1.3gと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(HOBt)1.1gを加え、室温にて一晩攪拌した。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、塩酸洗浄、硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を留去し、Z−L−セリンヘキシルアミドを得た。これをジオキサンとメタノールの混合溶媒40mLに溶解し、パラジウムカーボン(5%パラジウム)500mgを加えて、水素雰囲気下(常圧)、常温で5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。さらに濃縮物をトルエン20mLに再溶解し、トリエチルアミン1.3mLとステアロイルクロリド2mLを加えた。反応終了後、抽出洗浄および濃縮を行い、得られた結晶をヘキサンで洗浄することにより、上記構造式(2)のセリンジアミド2を1.7g得た。
セリンジアミド2のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.86(t,6H),1.25(s,34H),1.40−1.45(m,2H),1.60−1.65(m,2H),2.20−2.25(m,2H)3.15−3.25(m,2H),3.40(dd,2H),3.55(t,1H),4.14(dd,1H),4.30−4.35(m,1H),6.56(d,1H,J=7.0Hz),6.78(s,1H).
製造例2
セリンジアミド3[上記構造式(3)]
製造例1に従い調製したZ−L−セリンヘキシルアミド1gをジオキサンとメタノールの混合溶媒20mLに溶解し、パラジウムカーボン(5%パラジウム)250mgを加え
て、水素雰囲気下(常圧)、常温で5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。さらに濃縮物をDMF5mLに再溶解し、リノール酸1.1mLおよびペプチド縮合剤としてWSC654mgとHOBt475mgを加えた。反応終了後、抽出洗浄および濃縮を行い、得られた結晶をエーテルとヘキサンで洗浄することにより、上記構造式(3)のセリンジアミド3を0.54g得た。
セリンジアミド3のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.81(t,6H),1.25(s,20H),1.35−1.40(m,2H),1.55−1.60(m,2H),1.95−2.20(m,4H),2.15−2.20(m,2H),2.70(t,2H,J=5.8Hz),3.15−3.20(m,2H),3.35(dd,1H),3.50−3.55(m,1H),4.08(d,1H,J=12.0Hz),4.25−4.30(m,1H),5.25−5.30(m,4H),6.50(d,1H,J=7.1Hz),6.71(s,1H).
製造例3
セリンジアミド4[上記構造式(4)]
製造例1に従い調製したZ−L−セリンヘキシルアミド1.5gをジオキサンとメタノールの混合溶媒30mLに溶解し、パラジウムカーボン(5%パラジウム)350mgを加えて、水素雰囲気下(常圧)、常温で5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。さらに濃縮物をDMF15mLに再溶解し、ミリスチン酸1.1gおよびペプチド縮合剤としてWSC892mgとHOBt712mgを加えた。反応終了後、抽出洗浄および濃縮を行い、得られた結晶をエーテルとヘキサンで洗浄することにより、上記構造式(4)のセリンジアミド4を1.25g得た。
セリンジアミド4のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.87(t,6H),1.25(s,26H),1.40−1.45(m,2H),1.60−1.65(m,2H),2.25−2.30(m,2H)3.15−3.25(m,2H),3.35(dd,2H,J=3.3,9.8Hz),3.55−3.60(m,1H),4.16(dt,1H,J=3.2,11.4Hz),4.30−4.35(m,1H),6.52(d,1H,J=7.0Hz),6.73(s,1H).
製造例4
セリンジアミド5[上記構造式(5)]
製造例1に従い調製したZ−L−セリンヘキシルアミド0.5gをジオキサンとメタノールの混合溶媒5mLに溶解し、パラジウムカーボン(5%パラジウム)150mgを加えて、水素雰囲気下(常圧)、常温で5時間攪拌した。不溶物を濾過した後、ろ液を減圧下で濃縮した。さらに濃縮物をDMF5mLに再溶解し、ドデカン酸485mgおよびペプチド縮合剤としてWSC297mgとHOBt237mgを加えた。反応終了後、抽出洗浄および濃縮を行い、得られた結晶をエーテルとヘキサンで洗浄することにより、上記構造式(5)のセリンジアミド5を0.38g得た。
セリンジアミド5のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl)δ:0.86(t,6H),1.26(s,39H),1.40−1.45(m,2H),1.55−1.60(m,2H),2.20−2.30(m,2H)3.20−3.25(m,2H),3.50(dd,1H),4.15(dd,1H),4.30−4.35(m,1H),6.56(d,1H,J=6.9Hz),6.74(s,1H).
実施例1〜4および比較例1
本発明を人工膜に適用したときの水分蒸散量を次の試験方法により調べた。
1.試料と実験方法
脂質溶液(セラミド1.1mg、コレステロール0.2mg、パルミチン酸0.4mg、コレステロール硫酸0.3mgを適当量のクロロホルムとメタノールの混合溶媒に溶解させた溶液)と、この脂質溶液に製造例1の化合物0.2mg、または製造例2の化合物0.02mg、または製造例3あるいは4の化合物をそれぞれ0.4mgを添加し、各セリンジアミドを含む溶液を調製した。次に、脂質溶液および製造例1〜4の化合物を含む脂質溶液を、それぞれ65℃窒素気流下で乾燥、次いでロータリーポンプ真空下で一晩乾燥後、蒸留水を添加し、脂質懸濁液とした。この脂質懸濁液は、加温処理を施した後、ホットプレート上でメンブレンフィルターGS(ミリポア社製GSWP02500)に人工膜を形成させるために数回に分けて塗布した。この時、全てのフィルターに2mgの脂質が含まれるように調製した。最終塗布後、30分以上放置し乾燥させた。
【0027】
調製した人工膜の水分蒸散量は、水5mLを添加したフランツセルを用いて38℃、18時間放置前後の水分量より算出し、脂質溶液のみの水分蒸散量と相対評価した。
2.結果
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
群 相対水分蒸散量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1 セリンジアミド2含有脂質溶液 0.43±0.01
実施例2 セリンジアミド3含有脂質溶液 0.48±0.04
実施例3 セリンジアミド4含有脂質溶液 0.54±0.05
実施例4 セリンジアミド5含有脂質溶液 0.66±0.03
比較例1 脂質溶液のみ 1.00±0.08
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
値は、平均値±標準偏差、n=3
本試験の結果から実施例1〜4に係るセリンジアミドは、比較例1と比較して明らかに水分蒸散を抑制する効果を有することがわかる。
【0028】
尚、製造例1〜4のセリンジアミドを同量(0.2mg)ずつ脂質溶液に添加して、上記試験を行ったところ、セリンジアミド2は、他のセリンジアミドと比べ、2.3〜2.7倍もの水分蒸散抑制効果を示し、他のセリンジアミドと比べ優れた水分蒸散抑制効果を示すことがわかった。
実施例5および比較例2
本発明を肌荒れした皮膚に適用したときの荒れ肌改善効果を次の試験方法により調べた。
本実施例および比較例で使用した実験動物
試験開始時9週齢のヘアレスマウス1群5匹を用いた。
2.水分蒸散量の測定
2−1.測定装置及び条件
経皮水分蒸散量(以下、TEWLと略記する)は、連続発汗測定装置ハイドログラフAMU−100(ケイアンドエス社製)を用いて次の通りに測定した。1平方センチメートルのカプセルを皮膚に密着させ、カプセル内に窒素ガスを導入(300mL/min)し、カプセルに送り出す前とカプセルから回収した後の窒素ガス中の水蒸気量を測定した。
この値の差から、1分当たり皮膚1平方センチメートルから蒸散する水分量(mg/cm)を算出し、TEWLとした。
2−2.試料と実験方法
基剤(プロピレングリコール:エタノール=3:7)を用い、製造例1のセリンジアミド2を0.1%、0.3%、1.0%の濃度に調製した。この調製後の試料0.05mLを予めTEWLを測定したヘアレスマウスの背部皮膚(直径2.5cm)に1日1回、1週間に5回の頻度で4週間連続の塗布を行った。その後、事前塗布の最終塗布から3日目に紫外線B波長(UVB)を0.15J/cm、1回照射した。
【0029】
その紫外線照射直後から事前塗布と同様の量、頻度で照射後3日まで各試料を塗布した。そして、照射後3日目のTEWLを測定し、試験開始時のTEWLを基準にして、UVBによりTEWLがどれだけ変動したかを示す相対値であるTEWL変動率(=照射後3日目のTEWL値/試験開始時のTEWL値)を算出し、基剤群と各群の平均値を比較した。
2−3.結果
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
群 TEWL変動率
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実施例5 セリンジアミド2(0.1%) 4.25±0.98
(0.3%) 3.90±1.00
(1.0%) 1.80±0.27
比較例2 基剤のみ 9.12±2.32
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
値は、平均値±標準誤差
本試験の結果からセリンジアミド2が、比較例2と比較して明らかに、荒れ肌を改善する効果を有することが分かる。
実施例6、7および比較例3、4
製造例1で製造したセリンジアミド2を下記の調製方法に従いスキンローションおよびスキンクリームを調製し、これを試料として下記の荒れ肌改善試験に従って評価した。
スキンローションの組成
原 料 成 分 配合量(質量%)
A成分
オリーブ油 10.0
ミリスチン酸イソプロピル 1.0
モノラウリン酸
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.5
プロピレングリコール 1.0
グリセリン 2.0
B成分
メチルパラベン 0.1
エタノール 7.0
精製水 総量を100とする残量
C成分
セリンジアミド2 1.0 (実施例6)
または0 (比較例3)
調製方法
C成分のセリンジアミド2をB成分に添加して、均一に溶解した後、A成分を添加して混合撹拌分散し、次いで容器に充填する。使用時には内容物を均一に振盪分散して使用する。
スキンクリームの組成
原 料 成 分 配合量(質量%)
A成分
密ロウ 2.0
ステアリン酸 5.0
ステアリルアルコール 5.0
還元ラノリン 2.0
スクワレン 20.0
モノステアレートソルビタン 3.0
モノステアレート
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 3.0
プロピレングリコール 5.0
B成分
メチルパラベン 0.2
精製水 総量を100とする残量
C成分
セリンジアミド2 1.0 (実施例7)
または 0 (比較例4)
調製方法
C成分のセリンジアミド2をB成分に添加して、A,B成分を各々80℃に加熱溶解した後、混合して撹拌しつつ、30℃まで冷却してスキンクリームを調製した。
荒れ肌改善試験方法
下脚に荒れ肌を有する40歳から55歳の被験者20名を対象として8週間連用後の効果を調べた。被験者の左側下脚試験部位に1日2回約1gの皮膚外用剤を試料として塗布し、連用開始前及び終了後の皮膚の乾燥状態を次の基準によって評価した。
右側下脚は試料を塗布せず、対照とした。
<評価基準>
− :正常
+− :軽微乾燥、落屑なし
+ :乾燥、落屑軽度
++ :乾燥、落屑中程度
+++:乾燥、落屑顕著
連用前後の試験部位と対照部位の判定結果を比較し、皮膚の乾燥状態が2段階以上改善された場合を(例えば+から−、+++から+のように)「有効」、1段階改善された場合を「やや有効」、変化がなかった場合を「無効」とした。
【0030】
尚、連用後に皮膚の乾燥が進んだ例はなかった。
荒れ肌改善試験の結果を下記表1に示す。
(表1)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
荒れ肌改善効果 実施例6 実施例7 比較例3 比較例4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
有効 15 16 3 3
やや有効 2 2 3 4
無効 3 2 14 13
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本試験結果から実施例6および実施例7は、比較例3および比較例4と比較して明らかに肌荒れを改善していることが分かる。また、本発明のスキンローションおよびスキンクリームによる刺激やかゆみなどの皮膚の異常は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
外用剤として医薬品、医薬部外品や、皮膚化粧料、入浴剤などに適用でき、剤型的には例えばローション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類などとすることができ、皮膚の美容の面からも非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるセリンジアミドを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【化1】

(但し、式中Rは炭素数7〜23の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよく、Rは炭素数2〜18の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、飽和、不飽和のどちらでもよい。またこれらのアルキル基はヒドロキシル化されていてもよい。)

【公開番号】特開2006−8584(P2006−8584A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187373(P2004−187373)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(504180206)株式会社カネボウ化粧品 (125)
【Fターム(参考)】