説明

皮膚外用剤

【課題】 竹酢液の有用な効果を見出し、その効果を利用した皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】竹酢液にコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用があることを見出した。また、これらのコラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤を配合することで、抗シワ、抗たるみ、抗老化に優れた皮膚外用剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤及びこれらを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
竹酢液は竹炭製造時の副産物として得られるものであり、竹の熱分解物由来の有機物が50種類程度含まれていると言われている。例えば、酢酸、ギ酸、酪酸、プロピオン酸などの酸類、フルフラール類、酢酸メチル、吉草酸メチルなどのエステル類、フェノール類、ピリジン類などが挙げられる。特にフェノール類については、ポリフェノール形態のものもあるため、美白や抗酸化などに効果があるといわれており、外用剤として用いられている。また、0.01%以下の竹酢液については、発がん性、発がん補助活性のいずれもないことが報告されている(非特許文献1:Biol. Pharm. Bull. 25(8) 1026-1029 (2002))。
一方、皮膚の老化はコラーゲンの変性や減少、ヒアルロン酸の減少などが大きな要因になっている。そこで、皮膚の老化防止用にコラーゲン産生促進作用やヒアルロン酸産生促進作用を有する成分の検討が種々行われているが、竹酢液についてはこれらの効果は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、竹酢液の有用な効果を見出すこと、また、その効果を利用する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、竹酢液がコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)に示すコラーゲン産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進剤または皮膚外用剤である。
(1)竹酢液を含有するコラーゲン産生促進剤。
(2)竹酢液を含有するヒアルロン酸産生促進剤。
(3)(1)に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する皮膚外用剤。
(4)(2)に記載のヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤。
(5)竹酢液を含有する抗シワ用皮膚外用剤。
(6)竹酢液を含有する抗たるみ用皮膚外用剤。
(7)竹酢液を含有する抗老化用皮膚外用剤。
(8)コラーゲン産生促進に基づく(5)〜(7)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(9)ヒアルロン酸産生促進に基づく(5)〜(7)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
(10)さらに老化防止成分及び保湿成分、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分からなる群から選択される1種または2種以上を含有する(3)〜(9)のいずれかに記載の皮膚外用剤。
なお、本明細書中、特に言及しない限り、%は重量%を意味するものとする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、竹酢液がコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用を有することを見出した。さらに、これらを配合することによって、抗老化に有用な皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明で用いる竹酢液は、常法により得ることができ、また市販品を用いることもできる。
竹酢液は、例えば、イネ科マダケ属(Phyllostachys)の竹(例えば、孟宗竹(Phyllostachys edulis)、真竹(Phyllostachys bambusoides)、淡竹(Phyllostachys nigra)など)またはイネ科ササ属(Sasa)の竹(例えば根曲竹(Sasa kurilensis)など)などを密閉空間内で熱分解する際に放出される煙を冷却して得た液体から油性の液状を除去することで製造できる。また竹酢液は、精製して有害なタール分を除いたり、希釈して用いることもできる。
【0008】
本発明で用いる竹酢液の皮膚外用剤への配合量(原液)は、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%、特に好ましくは0.001〜0.01重量%であれば良い。
【0009】
本発明の皮膚外用剤には、本発明の効果を増強または補足する目的で、老化防止成分、および保湿成分、さらに皮膚外用剤に他の有用な作用を付加するため美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。これらの各成分としては、医薬品、医薬部外品、または化粧品分野において皮膚外用剤の成分として従来から使用され、また将来使用されるものであれば特に制限されず、任意のものを適宜選択し使用することができる。これらの成分の組み合わせとして特に好ましいものとしては、コラーゲン産生促進剤と保湿成分との組み合わせ、コラーゲン産生促進剤と保湿成分と抗酸化成分との組み合わせ、ヒアルロン酸産生促進剤と老化防止成分との組み合わせ、ヒアルロン酸産生促進剤と老化防止成分と抗酸化成分との組み合わせ、ヒアルロン酸産生促進剤と細胞賦活化成分と老化防止成分との各組み合わせを挙げることができる。
【0010】
老化防止成分としては、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール等)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトン等が挙げられる。好ましくは、レチノイド(レチノール、レチノイン酸、レチナール等)、カイネチンである。
【0011】
上記老化防止成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0012】
保湿成分としては、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンなどのアミノ酸及びその誘導体;ゼラチン等のペプチド;グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル;ソルビトールなどの糖アルコール;レシチン、水素添加レシチン等のリン脂質;ヘパリン、コンドロイチン等のムコ多糖;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分のほか、ポリグルタミン酸などがあげられる。好ましいものは、アラニン、セリン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、水素添加レシチン、ヘパリン、コンドロイチン、乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリグルタミン酸である。
【0013】
保湿成分を用いる場合、本発明の効果を奏すれば特に制限されず、皮膚への使用感や効果を考慮して適宜選択して用いることができるが、皮膚外用剤全体に対して、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%を挙げることができる。
【0014】
美白成分としては、アルブチン、ハイドロキノン;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;カモミラET;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸リン酸マグネシウムなど)、パントテン酸又はその誘導体等のビタミン類等が挙げられる。このうち、好ましいものとしては、ハイドロキノン、パントテン酸又はその誘導体、エラグ酸、フィチン酸、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンC又はその誘導体が挙げられ、特に好ましいものとしてハイドロキノン、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸リン酸マグネシウム)を挙げることができる。これらの美白成分は1種または2種以上を用いてもよい。
【0015】
美白作用を有する植物成分を美白成分として用いてもよく、かかる植物成分としては、イリス(アイリス)、アーモンド、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、クロレラ、ゴバイシ、コムギ、コメ、コメハイガ、オリザノール、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、ダイズ、納豆、茶、トウキ、トウキンセンカ、ニンニク、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、トウキ、アメジスト、アセンヤク、アセビワラビ、イヌマキ、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、ゲンジン、サルサ、サヤインゲン、ショクマ、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、マルバハギ、チョウジ、カンゾウ等の植物に由来する成分が挙げられる。好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、ウーロン茶、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、オドリコソウ、海藻、カッコン、クチナシ、クジン、ゴバイシ、コムギ、コメ、コメヌカ、サイシン、サンショウ、シソ、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、ヨクイニン、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、キササゲ、クロマメ、ゲンチアナ、サルサ、サヤインゲン、ジュウロウ、セージ、ゼンコ、ダイコン、ツツジ、ツクシハギ、トシン、ニガキ、パセリ、ヒイラギ、ホップ、チョウジ、カンゾウ及びトウキの植物由来成分であり、より好ましくは、イリス(アイリス)、アロエ、イチョウ、エイジツ、オウゴン、オウレン、オトギリソウ、クチナシ、クジン、コメ、コメヌカ、サイシン、シャクヤク、センキュウ、ソウハクヒ、茶、トウキ、トウキンセンカ、ハマメリス、ベニバナ、ボタンピ、アメジスト、アセンヤク、エノキ、カキ(Diospyros kaki)、セージ、ダイコン、ツツジ、パセリ、ホップ、カンゾウ及びヨクイニンの植物由来成分である。
これらの植物成分を本発明の皮膚外用剤に用いる場合、植物成分の形態は特に制限されないが、通常は植物エキス(植物抽出物)や精油などの態様で使用することができる。なお、上記植物成分中に記載の( )内は、その植物の種類、別名または生薬名である。
【0016】
上記美白成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
美白成分として美白作用のある植物成分を用いる場合は、目的に応じて1種もしくは2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。上記植物成分を美白成分として用いる場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合は、エキスや精油などの抽出物換算で、通常0.00001〜20重量%、好ましくは0.0001〜15重量%、より好ましくは0.001〜10重量%である。
【0017】
抗炎症成分としては、アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、グアイアズレン、酢酸トコフェロール、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸又はその誘導体等が挙げられる。好ましくはアラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、グアイアズレン、メントールである。
【0018】
上記抗炎症成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0019】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン等が挙げられる。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシン等が挙げられる。さらに好ましくは、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸及びその誘導体、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノールである。
【0020】
上記抗菌成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0021】
細胞賦活化成分としては、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類:レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類:グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類:タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などが挙げられる。好ましくは、γ-アミノ酪酸、ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類:レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類である。
【0022】
上記細胞賦活化成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、好ましくは0.0003〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0023】
収斂成分としては、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸を挙げることができる。好ましくは、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸である。
【0024】
収斂成分を用いる場合、その本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、通常0.0003〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0025】
抗酸化成分としては、アスコルビン酸およびその誘導体(アスコルビン酸リン酸マグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル)、トコフェロール及びその誘導体(酢酸トコフェロールなど)、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸及びその塩、フラボノイド、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオレドキシン、タウリン、チオタウリン、ヒポタウリン、チオレドキシン、フラボノイド、アスタキサンチンなどが挙げられる。好ましくは、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、チオタウリン、ヒポタウリン、チオレドキシン、フラボノイド、アスタキサンチンである。
【0026】
抗酸化成分を用いる場合、本発明の皮膚外用剤に配合する割合は、通常0.00001〜10重量%、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.001〜5重量%である。
【0027】
本発明の皮膚外用剤は、上記各成分に加えて、さらに界面活性剤、可溶化成分、油脂類、糖類を配合することもできる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと言う)−オクチルドデシルアルコールやPOE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE−分岐アルキルエーテル;POE−オレイルアルコールエーテルやPOE−セチルアルコールエーテル等のPOE−アルキルエーテル;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート及びソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノイソステアレート、及びPOE−ソルビタンモノラウレート等のPOE−ソルビタンエステル;グリセリンモノオレエート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;POE−グリセリンモノオレエート、POE−グリセリンモノステアレート、及びPOE−グリセリンモノミリステート等のPOE−グリセリン脂肪酸エステル;POE−ジヒドロコレステロールエステル、POE−硬化ヒマシ油、及びPOE−硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE−硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POE−オクチルフェニルエーテル等のPOE−アルキルアリールエーテル;モノイソステアリルグリセリルエーテルやモノミリスチルグリセリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;POE−モノステアリルグリセリルエーテル、POE−モノミリスチルグリセリルエーテル等のPOE−グリセリンアルキルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、及びジグリセリルジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の各種非イオン界面活性剤:あるいはレシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、コレステロール、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤等を例示することができる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0029】
界面活性剤を用いる場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤中に0.01〜30重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができる。本発明の皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点からは、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲を挙げることができる。
【0030】
油脂類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油脂;大豆油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヒマワリ油、パーム油、アマ油、シソ油、シア油、サル油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油、及びアボガド油等の植物油脂;ミンク油、卵黄油、牛脂、乳脂、及び豚脂等の動物油脂;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類;ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸等の天然及び合成脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルデカノール、ラウリルアルコール等の天然及び合成高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、コレステロールオレート等のエステルやエーテル類;シリコーン油等が挙げられる。これらの油脂類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0031】
これらの油脂類を使用する場合、本発明の皮膚外用剤への配合割合としては、皮膚や粘膜に影響を与えず且つ本発明の効果を妨げないことを限度として特に制限されず、本発明の皮膚外用剤中に0.01〜70重量%の割合で含まれるような範囲で適宜選択して使用することができるが、本発明の皮膚外用剤中の有効成分の安定性や皮膚使用感等の観点から、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の範囲を挙げることができる。
【0032】
糖類としては、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。例えば、単糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボース、フルクトース、リブロース、リキソースなど)、二糖類(例えば、蔗糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、セロビオースなど)、オリゴ糖類(例えば、ラクツロース、ラフィノース、プルランなど)、高分子糖類[例えば、コンドロイチン硫酸、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケラタン又はそれらの塩(例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸などの薬学上又は生理的に許容される塩など)など]、及び糖アルコール類(例えば、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロースなど)その他、キシロース、イノシトール、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ、黒砂糖抽出物等が挙げられる。これらの糖類は、1種単独で使用しても、または2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の皮膚外用剤には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、pH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に配合することができる。
【0034】
本発明の皮膚外用剤は、竹酢液を含有するコラーゲン産生促進剤、および/または竹酢液を含有するヒアルロン酸産生促進剤、並びに必要に応じて上記各任意成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合することによって、ペースト状、ムース状、ゲル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。
【0035】
本発明の皮膚外用剤は、通常pH1〜8の液性を備えていればよいが、製剤の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH2〜7、より好ましくはpH2〜6の酸性領域であることが望ましい。
【0036】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品または外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用されることが好ましい。
【0037】
さらに本発明は、竹酢液を含有することによりコラーゲン産生および/またはヒアルロン酸産生を促進することができるため、「竹酢液を含有するコラーゲン産生促進用皮膚外用剤」または「竹酢液を含有するヒアルロン酸産生促進用皮膚外用剤」とすることもできる。さらに、コラーゲン産生促進、ヒアルロン酸産生促進作用に基づき、抗シワ用、抗たるみ用、抗老化用の皮膚外用剤とすることもできる。
【0038】
また本発明は、竹酢液によるコラーゲン産生促進方法および/またはヒアルロン酸産生促進方法をも包含する。本発明の方法において、コラーゲン産生促進および/またはヒアルロン酸産生促進は、竹酢液を使用することによって達成できる。
本発明の方法において、竹酢液やこれらの含有量などについては、前記皮膚外用剤で用いたものと同様である。さらに本方法にて得られた物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【実施例】
【0039】
以下に本発明を実施例及び試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。なお、下記の各処方において%とは、特に言及しない限り、重量(W/W)%を意味するものとする。
【0040】
試験例1 コラーゲン産生促進評価試験
正常ヒト成人由来皮膚線維芽細胞を1.0×104cells/wellになるように24穴プレートに播種し、10%牛胎仔血清(FBS)を含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(D-MEM)培地で3日間培養した後、表1に記載の試料濃度に調製した培地に交換した。さらに24時間培養後、培養上清のタイプIコラーゲン産生量を、酵素結合免疫測定法(Anti-Human Procollagen typeI C-peptide(PIP) EIA Kit;タカラバイオ株式会社製)で定量した。定量結果をもとに、培地のみを添加した対照例1のタイプIコラーゲン量を100とした相対値を算出した。
結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例1において6%、実施例2においては10%以上のコラーゲン産生促進作用が確認された。
したがって、竹酢液には優れたコラーゲン産生促進作用があることが明らかになった。
【0043】
試験例2 ヒアルロン酸産生促進評価試験
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞を2.0×104cells/wellになるように24穴プレートに播種し、正常ヒト表皮角化細胞用基礎培地EpiLifeTMCF(倉敷紡績株式会社製)で3日間培養した後、表2に記載の試料濃度に調製した培地に交換した。さらに48時間培養後、培養上清のヒアルロン酸産生量を、酵素結合免疫測定法(ヒアルロン酸測定キット;生化学工業株式会社製)で定量した。定量結果をもとに、培地のみを添加した対照例2のヒアルロン酸産生量を100とした相対値を算出した。
結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例において30%以上のヒアルロン酸産生促進作用が確認された。さらに、実施例3および対照例3から、ヒアルロン酸産生促進作用が知られているN−アセチルグルコサミンの1/4以下の濃度で同程度のヒアルロン酸産生量を示すことから、竹酢液は低濃度でも高い効果があることが確認できた。
したがって、竹酢液には優れたヒアルロン酸産生促進作用があることが明らかになった。
【0046】
以上のことから、発がん性、発がん補助活性のない極めて低濃度の竹酢液においても、コラーゲン産生促進作用、またヒアルロン酸産生促進作用が認められたことから、抗シワ、抗たるみ、抗老化に優れた皮膚外用剤を提供することができる。
【0047】
以下に製剤実施例を挙げる。なお、以下の実施例中の配合量は、特に単位の記載のないものについてはすべて重量%を表す。
【0048】
実施例5(クリーム剤)
竹酢液 0.1
流動パラフィン 10
パルミチン酸イソプロピル 10
グリセリン 5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2
モノステアリン酸グリセリン 1
カルボキシビニルポリマー 0.5
キサンタンガム 0.3
精製水 適量
合計 100%
【0049】
実施例6(ゲル剤)
竹酢液 0.001
プロピレングリコール 5
カルボキシビニルポリマー 0.4
キサンタンガム 0.5
トリエタノールアミン 適量
精製水 適量
合計 100%
【0050】
実施例7(化粧水)
竹酢液 0.01
プロピレングリコール 5
グリセリン 5
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
精製水 適量
合計 100%


【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹酢液を含有するコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
竹酢液を含有するヒアルロン酸産生促進剤。
【請求項3】
請求項1に記載のコラーゲン産生促進剤または請求項2に記載のヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤。


【公開番号】特開2007−230921(P2007−230921A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55543(P2006−55543)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】