説明

監視システム及び監視方法

【課題】生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できるようにする。
【解決手段】被監視者が歩くとスリッパ10が有する圧電素子により発電が行われ、スリッパ10が備える送信機は電波信号を出力する。この電波信号は通信装置20で受信され、通信装置20は、電波信号を受信すると、送信機からの信号を受け取ったことを示す信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。この信号が監視装置30で受信されると、監視装置30は、信号を受信した回数を更新する。監視装置30が受信回数を表示すると、表示される数値によって被監視者が部屋内を歩いて生活していることが分かり、被監視者の生存を監視できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の移動を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人の移動を監視する発明として、例えば特許文献1に開示された発明がある。この特許文献1に開示された発明は、シート状のセンサーを有しており、このセンサーを人が踏むとセンサーから信号が出力される。そして、この信号が受信器で受信されると、受信器から報知音が出力される。このシートを病院で入院患者が使用するベッドの周囲に敷けば、安静にしていなければならない患者がベッドから移動しようとすると、センサーを踏んで報知音が出力されることとなり、患者の移動を監視できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−213266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された発明においては、センサーは、上下に間隔を開けて配置された一対の電極を複数有しており、一方の電極に電流が流される。そして、一対の電極に荷重がかかると、荷重がかかった電極が対向する電極に接触して人を検知する。この構成においては、電極に常に電流を流しておかないと人を検知することができず、電力を消費することになる。
【0005】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、その目的は、生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視システムは、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、前記圧電素子から前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部とを有する送信機と、前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が信号を受信すると、信号を送信する第2送信部とを有する通信装置と、前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、前記第2送信部から送信される信号が前記第2受信部において予め定められた期間以上受信されない場合、前記生体に関する情報を表示する表示手段とを有する監視装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信されるので、生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できる。
【0007】
本発明に係る監視システムは、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、前記圧電素子から前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部とを有する送信機と、前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が信号を受信すると、信号を送信する第2送信部とを有する通信装置と、前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、前記第2送信部から送信された信号を前記第2受信部が受信した時刻または日付に関する情報を記憶する記憶部とを有する監視装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信されるので、生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できる。
【0008】
本発明において、前記監視システムは、前記送信機を複数有し、該複数の送信機は各々異なる位置に配置される構成であってもよい。この構成によれば、様々な位置で生体の移動を監視できる。
また、前記監視システムは、前記通信装置を複数有し、該複数の通信装置は各々異なる位置に配置される構成であってもよい。この構成によれば、様々な位置で生体の移動を監視できる。
また、前記監視システムにおいては、前記圧電素子は、前記生体と共に移動可能である構成であってもよい。
この構成によれば、生体が移動していないことも監視できる。
【0009】
本発明に係る監視方法は、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子が発電すると、該発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、前記第2送信ステップで送信される信号を予め定められた期間以上受信しない場合、前記生体に関する情報を表示する表示ステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信されるので、生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できる。
【0010】
本発明に係る監視方法は、外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子が発電すると、該発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、前記第2送信ステップで送信された信号を受信した時刻または日付に関する情報を記憶部に記憶する記憶ステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、生体によって圧電素子に力が加わると、圧電素子が発電して信号が送信されるので、生体の検知に消費されるエネルギーを抑えつつ、生体の移動を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
【図2】送信機100のハードウェア構成を示したブロック図。
【図3】通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図。
【図4】監視装置30のハードウェア構成を示したブロック図。
【図5】監視テーブルのフォーマットを例示した図。
【図6】実施形態の動作を説明するための図。
【図7】変形例に係る監視テーブルを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システムの模式図である。図1に示したように、この監視システムは、スリッパ10、通信装置20、監視装置30を有している。
スリッパ10は、人間が室内で履くスリッパである。スリッパ10は、力がかかると発電を行う圧電素子と、圧電素子で得られた電気エネルギーによって電波を用いた信号を出力する送信機とを有している。
通信装置20は、スリッパ10から出力される信号を受信する装置であり、受信した信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。
監視装置30は、スリッパ10を履いている人間を監視する装置である。監視装置30は、通信回線40に接続されており、通信装置20から出力された信号を受信し、スリッパ10を履いている人間を監視する。
【0013】
(スリッパ10の構成)
図2は、スリッパ10が備える送信機100のブロック図である。
送信機100は、予め定められた周波数の電波の信号を出力する装置である。送信機100は、圧電素子101を備えており、圧電素子101から電力が供給されると、予め定められた期間の間、図示せぬアンテナを備えた送信部102から信号を出力する。
圧電素子101は、力が加えられると発電する素子であり、スリッパ10において人が踵を載せる部分に位置している。圧電素子101は、人がスリッパ10を履いて歩くと、踵からの力がかかって発電し、発電により得た電気エネルギーで送信部102を駆動する。
送信部102は、電波を用いて信号を出力するものであり、予め定められた期間の間、電波を用いた信号(以下、電波信号と称する)を出力する。
なお、本実施形態においては、送信機100は、一足のスリッパの片方にのみ配置されているが、片方だけでなく両方に配置されていてもよい。
【0014】
(通信装置20の構成)
図3は、通信装置20のハードウェア構成を示したブロック図である。通信装置20は、制御部201、無線通信部202および有線通信部203を有しており、制御部201に無線通信部202と有線通信部203が接続されている。
無線通信部202は、図示せぬアンテナを備えており、送信機100から出力された電波信号を受信する。つまり、送信機100からの信号を受信する受信部として機能する。無線通信部202は、送信機100からの電波信号を受信すると、受信した信号を電気信号に変換して制御部201へ出力する。
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)201A、ROM(Read Only Memory)201B,RAM(Random Access Memory)201Cなどを備えた所謂マイクロコンピューターである。制御部201は、ROM201Bに記憶されているプログラムにしたがって動作し、無線通信部202から出力された信号を受け取ると、受け取った信号を有線通信部203へ出力する。
有線通信部203は、通信回線40に接続されており、通信回線40を介して監視装置30と通信を行う通信インターフェースとして機能する。有線通信部203は、制御部201から出力された信号を受け取ると、受け取った信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する。
【0015】
(監視装置30の構成)
図4は、監視装置30のハードウェア構成を示したブロック図である。監視装置30は、制御部301、記憶部305、通信部306、操作部307、表示部308を有しており、制御部301に記憶部305、通信部306、操作部307および表示部308が接続されている。
【0016】
通信部306は、通信回線40を介して通信を行うインターフェースとして機能し、制御部301の制御の下、通信装置20から送信された信号を受信する。操作部307は、監視装置30を操作するためのキーボード(図示略)やマウス(図示略)を有している。表示部308は液晶ディスプレイを具備しており、制御部301の制御の下、文字やグラフィック画像、監視装置30を操作するためのメニュー画面などの各種画像を表示する。
【0017】
記憶部305は、ハードディスク装置を有しており、監視装置30にオペレーティングシステムの機能を実現するOSプログラム、スリッパ10を履く人間を監視する機能を実現するアプリケーションプログラム(以下、プログラムAPと略称する)を記憶している。また、記憶部305は、監視装置30が使用する各種データを記憶する。
図5は、記憶部305が記憶するデータの一例である監視テーブルのフォーマットを示した図である。監視テーブルは、日毎に生成されるテーブルであり、時間帯フィールドと受信回数フィールドを有している。監視テーブルは、生成された時点においては、受信回数フィールドの全てのセルには「0」が格納される。
時間帯フィールドには時間帯を示すデータが格納される。また、受信回数フィールドには、監視装置30が通信装置20から送信された信号を受信した回数が格納される。
例えば、図5において日付が「2009年1月1日」である監視テーブルは、時間帯が「12:00−13:00」の行に回数として「24回」が格納されているため、2009年1月1日の12:00−13:00時間帯において、通信装置20からの信号を24回受信したことを示している。
【0018】
制御部301は、CPU302、IPL(Initial Program Loader)を記憶したROM303、RAM304を有している。制御部301においては、図示せぬ電源から電気エネルギーが供給されるとROM303に記憶されているIPLがCPU302により実行される。CPU302がIPLを実行すると、記憶部305に記憶されているOSプログラムがCPU302により実行され、操作部307からの入力の受け付けや表示部308への画面出力といった入出力機能や記憶部305の制御など、コンピューター装置としての基本的な機能が実現し、プログラムAPを実行することが可能となる。そして、監視装置30がプログラムAPを実行すると、通信装置20から送信される信号を受け取る機能や、時刻や日付を計時する機能が実現する。また、制御部301においては、監視テーブルの内容に応じて表示部308に表示を行わせる機能などが実現し、制御部301と表示部308は、情報を表示する表示手段として機能する。
【0019】
(実施形態の動作)
次に、実施形態の動作について説明する。なお、以下の説明においては、一人暮らしの人(以下、被監視者と称する)を監視する場合を想定し、被監視者が暮らす部屋に通信装置20が配置され、被監視者が部屋内でスリッパ10を履いて暮らす場合を例に動作の説明を行う。
【0020】
まず、被監視者が送信機100を備えたスリッパ10を右足に履き、送信機100を備えていないスリッパを左足に履く。そして、被監視者が通信装置20の配置された部屋内で右足を踏み出すと、被監視者の体重によってスリッパ10内部の圧電素子101に力が掛かる。すると、圧電素子101が発電し(図6:ステップS101)、発電により得られた電力で送信部102が駆動される。圧電素子101からの電力で駆動された送信部102は、予め定められた期間の間、予め定められた周波数の電波信号を図示せぬアンテナから送信する(ステップS102)。
【0021】
この電波信号が通信装置20の無線通信部202にて受信されると、制御部201は、有線通信部203を制御し、受け取った信号を通信回線40を介して監視装置30へ送信する(ステップS103)。そして、この信号が監視装置30の通信部306で受信されると、制御部301は、計時している年月日と時刻に基づいて、監視テーブルに格納されているデータを更新する(ステップS104)。
例えば、ここで、年月日が「2009年1月1日」であり時刻が「12時5分」である場合、図5の「2009年1月1日」という年月日に対応した管理テーブルの受信回数フィールドにおいて、「12:00−13:00」という時間帯の行の値に「1」が加えられる。
【0022】
次に、被監視者が左足を踏み出して右足を浮かせると、圧電素子101においては力が掛からないので発電が行われず、送信部102からは電波信号が出力されない。
そして、被監視者が再び右足を踏み出すと、被監視者の体重によってスリッパ10内部の圧電素子101に力が掛かり、発電が行われて(ステップS105)送信部102から電波信号が出力される(ステップS106)。すると、上述した動作と同様にして、電波信号を受信した通信装置20が信号を監視装置30へ送信し(ステップS107)、監視装置30は、監視テーブルの受信回数フィールドの値を増加させる(ステップS108)。
【0023】
また、被監視者がスリッパ10を脱いで就寝すると、被監視者が就寝している時間帯においては圧電素子101に力が掛からないため、スリッパ10から電波信号が送信されない。また、監視装置30においては、通信装置20からの信号が送信されてこないため、監視テーブルの受信回数フィールドの値は更新されず「0」のままとなる。
具体的には、例えば、2009年1月1日の「21:50」から被監視者が就寝していた場合、図5に示したように2009年1月1日の管理テーブルの、「22:00−23:00」と「23:00−24:00」の行においては、受信回数フィールドの値が「0」となる。
【0024】
このように、被監視者が部屋内を歩くと、監視テーブルの受信回数フィールドの値が増加していき、スリッパ10を履いて部屋内を歩かない場合には、監視テーブルの受信回数フィールドの値が増加せず「0」のままとなる。
本実施形態において、監視テーブルの内容を見れば、受信回数フィールド内の数値によって被監視者が部屋内を歩いて生活していることが分かり、被監視者の生存を監視できる。
また、被監視者が歩くだけで被監視者の監視ができるので、被監視者に対して監視されているという負担を与えずに被監視者を監視することができる。
また、被監視者を監視する際には、部屋には送信機100と通信装置20を配置するだけで良いので、容易にこれらの装置の設置を行って被監視者の監視を始めることができる。
【0025】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0026】
上述した実施形態においては、送信機100は、スリッパ10に設けられているが、送信機100が設けられるのはスリッパ10に限定されるものではない。スリッパ10に替えて部屋内で履くことのできる靴でもよく、また、例えば、被監視者が生活する中で被監視者によって力が加えられる物に送信機100を配置してもよい。
例えば、ドア枠に送信機100を配置し、閉められたドアで送信機100の圧電素子101に圧力が加わるようにすれば、圧電素子101が発電して送信機100から電波信号が送信され、上述した実施形態と同様に受信回数フィールドの値が更新される。この構成によれば、被監視者がドアの開閉を行って生活をしていることが分かり、被監視者の生存を監視できる。
また、被監視者が座る椅子の脚の下面に圧電素子101を配置してもよく、椅子の座面に圧電素子101を配置してもよい。この構成によれば、被監視者が椅子を使って生活をしていることが分かり、被監視者の生存を監視できる。
また、階段、ベッド、壁に配置された照明のスイッチ、家具、玄関に敷かれるマットや台所に敷かれるマットなど、被監視者が生活するうえで力が高い頻度で加えられる物に圧電素子101を配置してもよい。
なお、圧電素子101を送信部102から離れた位置に配置できるように圧電素子101と送信部102とをケーブルで接続し、圧電素子101のみを力が加わる部分に配置してもよい。この場合、圧電素子101は、薄いシート状であってもよい。
【0027】
上述した実施形態において制御部301は、受信回数フィールドの値を監視し、全ての時間帯において受信回数フィールドの値が「0」となっている日付の監視テーブルがある場合、被監視者の氏名と、被監視者に異常があったことを被監視者に関する情報として表示部308に表示して報知するようにしてもよい。
また、制御部301は、通信部306が一定期間の間、通信装置20からの信号を受信しなかった場合、被監視者に異常があったと判断し、表示部308に、被監視者に異常があったことを示すメッセージを表示して報知するようにしてもよい。
また、これらの報知を行う際には、表示に替えて音声で報知を行ってもよく、表示と音声の両方で報知を行ってもよい。
また、被監視者に関係のある者の電子メールアドレスを記憶部305に記憶し、制御部301は、被監視者に異常があったと判断した場合、この記憶した電子メールアドレスを宛先とし、被監視者に異常があったことを知らせる内容の電子メールを送信してもよい。
【0028】
上述した実施形態では、一足のスリッパの片方のみが送信機100を備えているが、一足のスリッパの両方に送信機100を備えている場合、足を踏み出す毎に電波信号が出力されるため、受信回数フィールドの値は歩数としてカウントすることができる。
このため、制御部301は、一の管理テーブル毎に受信回数フィールドの値を全て加算し、一日に部屋内を歩いた歩数として加算結果を表示部308に表示すれば、監視装置30は歩数計としても機能する。
【0029】
上記変形例では、スリッパ10以外に送信機100を配置してもよいことを述べたが、例えば、スリッパ10とドア枠というように、複数の位置に送信機100を配置してもよい。
また、複数の位置に送信機100を配置する場合、送信機100毎に送信機100を一意に識別する識別子を記憶させ、電波信号を送信する際には記憶している識別子を示す信号を送信機100が送信し、この信号を受信した通信装置20は、受信した信号を監視装置30へ転送してもよい。
この場合、監視装置30は、識別子毎に監視テーブルを生成し、識別子を示す信号を受信すると、受信した識別子に対応した監視テーブルの受信回数フィールドを更新するようにしてもよい。
【0030】
具体的には、例えば、スリッパ10の送信機100の識別子を「001」、部屋外へ出るためのドアのドア枠の送信機100の識別子を「002」とした場合、監視装置30においては、図7に示したように、識別子「001」に対応した監視テーブルTB1と、識別子「002」に対応した監視テーブルTB2が生成される。
そして、監視装置30が、識別子「001」を示す信号を「2009年1月1日」の「12時5分」に受信した場合、制御部301は、監視テーブルTB1の受信回数フィールドにおいて「12:00−13:00」という時間帯の行の値を更新する。また、被監視者が「2009年1月1日」の「12時57分」に部屋外へ外出し、ドアが閉められてドア枠の送信機100の圧電素子101に力がかかると、監視装置30が識別子「002」を示す信号を受信し、制御部301は、監視テーブルTB2の受信回数フィールドにおいて「12:00−13:00」という時間帯の行の値を更新する。
この構成によれば、歩くという行動だけでなく被監視者が行う様々な行動を監視することが可能であり、例えば、スリッパ10について監視テーブルTB1の受信回数フィールドの値が更新されているものの、部屋外へ出るためのドアについて監視テーブルTB2の受信回数フィールドの値が更新されていない場合、被監視者は部屋の外へ外出していないことが分かる。
【0031】
上述した変形例では、一つの部屋で識別子の異なる複数の送信機100を配置した場合を説明したが、複数のスリッパ10について、送信機100の識別子を各々異ならせ、各スリッパ10を各々異なる部屋に置き、複数の部屋毎に通信回線40に接続された通信装置20を配置してもよい。
例えば、第1の被監視者が生活する第1部屋において識別子が「001」の送信機100を有するスリッパ10を被監視者が履き、第1の被監視者とは異なる第2の被監視者が生活する第2の部屋において識別子が「002」の送信機100を有するスリッパ10を被監視者が履く場合、第1の被監視者が第1部屋で歩くと識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第1の被監視者が生存していることを確認できる。また、第2の被監視者が第2部屋で歩くと識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新され、第2の被監視者が生存していることを確認できる。つまり、この構成によれば、一台の監視装置30で複数の被監視者を監視することができる。
【0032】
なお、上記変形例では、送信機100が送信機を一意に識別する識別子を記憶しているが、識別子を送信機100が記憶するのではなく、部屋毎に配置される通信装置20毎に、通信装置20を一意に識別する識別子を記憶させてもよい。
そして、送信機100からの電波信号を通信装置20が受信すると、通信装置20は、記憶している識別子を示す信号を通信回線40を介して監視装置30に送信してもよい。
例えば、第1の被監視者が生活する第1部屋において識別子が「001」の通信装置20が配置され、第1の被監視者とは異なる第2の被監視者が生活する第2の部屋において識別子が「002」の通信装置20が配置されている場合、第1の被監視者が第1部屋で歩くと識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第1の被監視者が生存していることを確認できる。また、第2の被監視者が第2部屋で歩くと識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新され、第2の被監視者が生存していることを確認できる。つまり、この構成でも、一台の監視装置30で複数の被監視者を監視することができる。
【0033】
また、この構成の場合、一人の被監視者が第1部屋と第2部屋を使用してもよい。この場合、第1部屋で被監視者が歩くと、識別子が「001」の監視テーブルTB1の受信回数フィールドが更新され、第2部屋で被監視者が歩くと、識別子が「002」の監視テーブルTB2の受信回数フィールドが更新されるので、被監視者が、どの時間帯にいずれの部屋で生活しているのかを監視することができる。
【0034】
上述した実施形態では、通信装置20が送信機100から出力された電波信号を受信しているが、送信機100から送信された電波信号を受信するのは、通信装置20に限定されるものではない。
例えば、電池で駆動されて携帯が容易な大きさ及び重量であり、送信機100からの電波信号を受信する通信機を被監視者が携帯し、この通信機で電波信号を受信してもよい。
また、この通信機は、送信機100からの電波信号を受信すると、送信機100からの信号を受け取ったことを示す電波信号を出力し、この電波信号を通信装置20が受信し、通信装置20が、送信機100からの信号を受け取ったことを示す信号を監視装置30へ送信する構成としてもよい。
この構成においては、被監視者が携帯する通信機で送信機100からの電波信号を受信した回数をカウントして表示すれば、通信機は歩数計としても機能する。
【0035】
また、この構成において通信機は、電波信号を受信する毎に通信装置20へ信号を送るのではなく、電波信号を受信した回数をカウントし、カウントした回数を予め定められた周期で通信装置20を介して監視装置30へ送り、監視装置30は、送られた回数を記憶するようにしてもよい。
この構成によれば、圧電素子101に力が加わる毎に監視装置30が信号を受信する構成と比較して、信号を受信する回数が減るため、通信回線40におけるトラヒックを抑えることができる。
【0036】
上述した例では、人を監視対象としているが、監視対象は人に限定されるものではない。人以外の動物や昆虫など生体が飼育される部屋に圧電素子101を配置し、生体を監視対象としてもよい。例えば、動物の餌場の周囲に圧電素子101を配置すれば、動物が餌を食べに来たときに送信機100から信号が出力され、監視装置30で監視テーブルの受信回数フィールドが更新される。監視テーブルの受信回数フィールドが「0」でなければ、動物や昆虫が生存していることを確認できる。
【0037】
上述した実施形態では、通信装置20は、通信回線40を介して監視装置30へ信号を送っているが、通信装置20は、電波を用いた通信により信号を監視装置30へ送ってもよい。
また、送信機100は、通信ケーブルで通信装置20と接続され、通信ケーブルで通信装置20と接続された送信機100は、電波ではなく通信ケーブルを介して電気信号を通信装置20へ送信するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、監視テーブルの時間帯は一時間毎となっているが、時間帯は一時間毎に限定されるものではなく、2時間や3時間など他の時間帯であってもよい。また、時間帯を設けず、一日の中で通信装置20からの信号を受信した回数を記憶してもよい。
また、監視装置30は、通信装置20からの信号を受信した日時および時刻を記憶部305に記憶するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10・・・スリッパ、20・・・通信装置、30・・・監視装置、40・・・通信回線、100・・・送信機、101・・・圧電素子、201・・・制御部、202・・・無線通信部、203・・・有線通信部、301・・・制御部、302・・・CPU、303・・・ROM、304・・・RAM、305・・・記憶部、306・・・通信部、307・・・操作部、308・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、
前記圧電素子から前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部と
を有する送信機と、
前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部が信号を受信すると、信号を送信する第2送信部と
を有する通信装置と、
前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、
前記第2送信部から送信される信号が前記第2受信部において予め定められた期間以上受信されない場合、前記生体に関する情報を表示する表示手段と
を有する
監視装置と
を備える監視システム。
【請求項2】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子と、
前記圧電素子から前記圧電素子の発電により得られた電気エネルギーが供給されると信号を送信する第1送信部と
を有する送信機と、
前記第1送信部から出力された信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部が信号を受信すると、信号を送信する第2送信部と
を有する通信装置と、
前記第2送信部から送信された信号を受信する第2受信部と、
前記第2送信部から送信された信号を前記第2受信部が受信した時刻または日付に関する情報を記憶する記憶部と
を有する監視装置と、
を備える監視システム。
【請求項3】
前記送信機を複数有し、該複数の送信機は各々異なる位置に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記通信装置を複数有し、該複数の通信装置は各々異なる位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視システム。
【請求項5】
前記圧電素子は、前記生体と共に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の監視システム。
【請求項6】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子が発電すると、該発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、前記第2送信ステップで送信される信号を予め定められた期間以上受信しない場合、前記生体に関する情報を表示する表示ステップと
を有する監視方法。
【請求項7】
外部から力が加えられると発電し、生体からの力が加えられる位置に配置される圧電素子が発電すると、該発電により得られた電気エネルギーを用いる送信機が信号を送信する第1送信ステップと、
前記第1送信ステップで送信された信号を受信する通信装置が、受信した信号を送信する第2送信ステップと、
前記第2送信ステップで送信される信号を受信する監視装置が、前記第2送信ステップで送信された信号を受信した時刻または日付に関する情報を記憶部に記憶する記憶ステップと
を有する監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−224595(P2010−224595A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67892(P2009−67892)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】