説明

監視システム

【課題】 監視対象にセンサなどを組み込むことなく、異常発生などを検出することを実現するとともに、その監視対象の設置場所や遠隔地への異常発生などの報知や、その異常状態の把握を可能にすることにより、定常状態から外れたときに迅速に対処できるようにして、監視対象を容易に定常動作させることのできる監視システムを提供すること。
【解決手段】 機器100の動画像を撮影する監視カメラ11と、その撮影画像から注目領域を切り取って2値化処理することにより異常発生などの非定常状態を抽出したときに、その動画像を記録装置内に記録保持するのと同時に、報知信号や報知メッセージを生成してモニタ13に表示出力などするとともに管理センタに送信するPC12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システムに関し、詳しくは、定常状態から外れたことを外部から検出可能にするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、故障等の異常が発生するなど、定常状態から外れたか否かをチェック(検出)するためには、その監視対象に応じたセンサなどを組み込むことが行われており、例えば、異常を検出した場合に、自機の表示部にエラー発生を表示したり、警報(アラーム音)を出力する機能や、異常発生信号(故障信号)を外部装置に出力して報知する機能を設けることが行われている。
【0003】
このような機能を備える装置では、この装置の設置場所でオペレータが作業している場合には、エラー表示や警報により異常発生を認識して対処することができ、また、異常発生信号を受け取る外部装置として、監視システムが設置されている場合には、その異常発生後の映像をメモリ内に記憶保持させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−294791号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の監視システムにあっては、図19に示すように、異常発生を検出するセンサと共に、異常発生によるエラー表示や警報出力を実行する機能を監視対象の機器100に備えさせなければならない。このため、汎用品の装置を用いる場合には、表示器やスピーカなどの出力部と共にその制御回路などのユニット101を追加しなければならず、その組み込みも困難である。
【0005】
また、その異常発生によるエラー表示や警報出力は、機器100の設置場所にいなければ認識できないことから、迅速に、その異常に対する対処作業を指示する管理センタにその異常発生を知らせる場合には、センサによる異常検出を報知する信号を外部出力する機能を備えさせなければならない。このため、同様に、汎用品の装置を用いる場合には、伝送装置110を介する通信制御を行いつつ各種信号を出力する制御回路などのユニット102を追加しなければならず、その組み込みも困難である。
【0006】
さらに、異常発生を検出するセンサが組み込まれていても、その機器100が異常状態から定常状態に復帰してしまっていると、その異常状態を確認することができずに、原因の調査などを行うことができない場合もある。
【0007】
そこで、本発明は、監視対象にセンサなどを組み込むことなく、異常発生などを検出することを実現するとともに、その監視対象の設置場所や遠隔地への異常発生などの報知や、その異常状態の把握を可能にすることにより、定常状態から外れたときに迅速に対処できるようにして、監視対象を容易に定常動作させることのできる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する監視システムの第1の発明は、監視対象の動画像または連続静止画像を撮影する撮像手段と、該撮像手段による撮影画像から監視対象の非定常状態を抽出する抽出手段と、該抽出手段による抽出情報に応じた報知信号または報知メッセージ情報の一方あるいは双方を生成して出力する報知手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
この発明では、監視対象が撮影されて、外部から観察可能な監視対象の変化から(撮影画像から)その監視対象が非定常状態であることを抽出することができ、その非定常状態(抽出情報)に応じた報知信号や報知メッセージが生成・出力される。したがって、監視対象内にセンサなどを組み込むことなく、その監視対象が異常などの非定常状態になったことを検出することができ、その報知信号や報知メッセージから監視対象の非定常状態を認識させることができる。
【0010】
上記課題を解決する監視システムの第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記抽出手段は、監視対象の形状の変化から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とするものである。
【0011】
この発明では、監視対象が外部から観察可能な外観形状の変化箇所を有する装置であって、非定常動作と判断可能な外観形状に変化する場合に、その監視対象の撮影画像から非定常状態を抽出することができる。したがって、例えば、動く箇所に注目して、異常な位置まで動いたときを非定常状態と検出することができる。
【0012】
上記課題を解決する監視システムの第3の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記抽出手段は、監視対象の色の変化から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とするものである。
【0013】
この発明では、監視対象が外部から観察可能な色調(明度・彩度・色相などの色情報)の変化する箇所を有する装置であって、非定常動作と判断可能な色に変化する場合に、その監視対象の撮影画像から非定常状態を抽出することができる。したがって、例えば、非定常状態で監視対象自体の色が変化する箇所、あるいは、温度で変化するシールなどを貼った箇所などに注目して、その色の変化で非定常状態を検出することができる。
【0014】
上記課題を解決する監視システムの第4の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記抽出手段は、監視対象の変位から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とするものである。
【0015】
この発明では、監視対象が外部から観察可能な変位箇所を有する装置であって、非定常動作と判断可能な変位に変化する場合に、その監視対象の撮影画像から非定常状態を抽出することができる。したがって、例えば、レベル計などの変位箇所に注目して、その異常な計測値などの変位を非定常状態と検出することができる。
【0016】
上記課題を解決する監視システムの第5の発明は、上記第1から第4のいずれかの発明の特定事項に加え、前記抽出手段による抽出情報の抽出タイミングに応じた期間の撮像手段による撮影画像を記録する記録手段を備えることを特徴とするものである。
【0017】
この発明では、監視対象が非定常状態であることの抽出タイミングに応じた撮影画像を記録保持することができる。したがって、例えば、異常などの非定常状態が発生したときの監視対象の状態や、その発生前後の状態の変化などを取得することができる。
【0018】
上記課題を解決する監視システムの第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明の特定事項に加え、前記報知手段からの報知信号または報知メッセージ情報を表示出力あるいは音声出力する出力手段を備えることを特徴とするものである。
【0019】
この発明では、監視対象が非定常状態であることを抽出したときの報知信号や報知メッセージ情報を受け取って表示出力したり音声出力して異常などの非定常状態になったことを報知することができる。したがって、その表示出力や音声出力で監視対象の異常発生などを容易に認識させることができ、迅速に対処することができる。
【0020】
上記課題を解決する監視システムの第7の発明は、上記第6の発明の特定事項に加え、前記手段のうち、少なくとも出力手段が有線あるいは無線の通信手段を介して接続される遠隔位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
この発明では、監視対象から遠隔する場所で、監視対象が非定常状態であることの報知信号や報知メッセージ情報を受け取って表示出力したり音声出力して報知することができる。したがって、遠隔地でも、監視対象の異常発生などを容易に認識させて、迅速に対処の指示などを出すことができる。また、その遠隔地に撮影画像を送るようにして、抽出手段や記録手段をその遠隔地に備えるようにしてもよく、この場合には、異常などの非定常状態が発生したときの監視対象の状態や、その発生前後の状態の変化を遠隔地で把握して、迅速かつ的確な指示を出すなど対処することが可能になる。
【0022】
上記課題を解決する監視システムの第8の発明は、上記第7の発明の特定事項に加え、前記撮影手段が複数箇所の監視対象毎に設置されていることを特徴とするものである。
【0023】
この発明では、遠隔する管理センタから複数の監視対象を監視することができ、そのいずれかが非定常状態であることが検出(抽出)されたときに、その報知信号や報知メッセージ情報を受け取って表示出力したり音声出力して報知することができる。したがって、遠隔地の監視対象を集中管理することができ、監視対象の異常発生などを容易に認識して迅速に指示を出すなど対処することができる。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明によれば、監視対象を撮影する撮影画像の変化から、その監視対象が異常などの非定常状態になったことを検出することができるので、監視対象にセンサなどを組み込むことなく、その異常などの発生時に報知信号や報知メッセージを生成・出力して、監視対象の設置場所や遠隔するセンタなどの担当者等に報知することができる。したがって、監視対象が定常状態から外れたことを直ちに検出して、迅速に対処することができ、このときに、その撮影画像を記録保持することにより監視対象の状態を把握して的確な対処を行うことができる。この結果、監視対象を短時間に定常動作する状態に復帰させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図17は本発明に係る監視システムの一実施形態を示す図である。
【0026】
図1において、監視システム10は、監視対象の機器100を観察(撮影)する1台または複数台の監視カメラ(撮影手段)11と、この監視カメラ11が接続されているパーソナルコンピュータ(以下、単にPCともいう)12と、を備えて構築されており、このPC12は、通信回線を介して遠隔地の管理センタとの間でやり取りしつつ各種情報を報知する。
【0027】
監視カメラ11は、動画像を撮影可能な機能を備えており、監視対象の機器100の状態の動画像(撮影画像)を撮影してPC12に送出する。ここで、この監視カメラ11が撮影する撮影画像は、動画像に限らずに、例えば、予め設定されている間隔で静止画像を連続して撮影するものであってもよいことはいうまでもない。ただし、この監視カメラ11としては、動画像を撮影することができれば、未撮影の時間なく、監視対象の機器100の状態を記録できるので、本実施形態のように動画像を撮影可能な機能を備える方が好ましい。
【0028】
PC12は、監視カメラ11から送られてくる動画像を受け取って一次記憶しつつ、予め設定されている間隔で、その動画像から静止画像データを取得して画像処理するソフトウェアがインストールされており、モニタ13に監視カメラ11による撮影画像や各種情報を表示出力するとともに、図2に示すように、そのソフトウェアに設定されている設定条件やキーボード14から入力された入力条件などに従って注目領域内の状態変化(非定常動作状態)を抽出することにより、監視対象の機器100に異常が発生して故障状態になったこと(一時的な場合も含む)を検出する。また、このPC12は、その異常発生時(検出時)に、予め設定されている期間の動画像を不図示の記録装置(例えば、内蔵あるいは外付けのハードディスク)内に記録保持するのと同時に、各所の担当者に異常発生を知らせるための報知信号や報知メッセージ情報を生成・出力して通知するなどの各種処理を実行する。すなわち、PC12が抽出手段および報知手段を構成して、その記録装置が記録手段を構成している。
【0029】
この監視システム10は、図3に示すように、工場Fに設置する場合には、ライン中の駆動装置や制御装置などの各種機器100毎に、複数台の監視カメラ11がその装置状態を撮影するように設置されてPC12に接続されており、このPC12は不図示の専用回線(電話回線やインターネットワークでもよい)を介して遠隔地の集中管理センタのワークステーションに接続されている。
【0030】
具体的には、例えば、図4に示すように、稼動状態などが表示パネル21のLED(発光ダイオード)21aの点灯/消灯により表示される各種機器100の異常停止の有無を監視する場合には、その表示パネル21の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0031】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像から監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の各種機器100の稼動状態を表示するLED21aの領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その表示パネル21のLED21aの表示(点灯/消灯)に応じたトーン(色調)の変化の有無に応じて監視対象の機器100に異常が発生して非定常動作状態に変化している(定常動作状態から外れている)か否かを確認する。
【0032】
詳細には、PC12は、例えば、この表示パネル21が機器100の定常動作時にはLED21aを消灯して、異常が発生した非定常動作時にはLED21aを点灯するように設計されている場合には、点灯したときのLED21aの画像のトーン(点灯/消灯に応じた色や輝度など)の変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、表示パネル21の注目領域A2を2値化処理した2値画像内に点灯したLED21aが現れたときに、監視対象の機器100が異常発生による停止状態(非定常動作状態)にあると判断(抽出)する。
【0033】
このPC12は、表示パネル21のLED21aの点灯/消灯で稼動状態を表示する監視対象の機器100のいずれかが異常停止したと判断した場合には、その異常停止の判断時よりも予め設定されている時間前から撮影する監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その判断後から予め設定されている時間まで監視カメラ11から送られてくる監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持する。
【0034】
同時に、このPC12は、異常停止と判断した際の表示パネル21の監視領域A1の静止画像と共に、監視対象の機器100の異常停止を報知するメッセージを作成してモニタ13に表示出力するとともに、そのモニタ13が具備する不図示のスピーカから警報を音声出力するようになっており、並行して、監視対象の機器100の異常停止を報知する信号を生成して、その同一の静止画像と共に、通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。すなわち、モニタ13が出力手段を構成する。
【0035】
一方、PC12から表示パネル21の監視領域A1の静止画像と報知信号を受け取った管理センタのワークステーションは、そのPC12と同様に、受け取った静止画像と共に、報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。このワークステーションは、通信回線を介して監視箇所に設置したPC12に接続して、そのPC12の記録装置内に記録保持する動画像や、監視カメラ11から送られてくる動画像の転送を要求して、管理センタで監視対象の機器100の状態変化を確認可能にしてもよい。
【0036】
これにより、監視対象の各種機器100にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影画像(表示パネル21のLED21aの点灯/消灯)からその機器100のいずれかに異常が発生して非定常動作状態になったことを検出(抽出)することができ、備えるモニタ13に表示出力するメッセージや警報の音声出力により、その異常停止を報知することができる。したがって、PC12の設置場所の担当者は、容易かつ迅速に機器100の異常を認識して直ちに対処することができる。また、PC12の傍に担当者が不在の場合でも、遠隔地の管理センタのワークステーションでも、同様に、メッセージの表示出力や警報の音声出力などにより、その異常停止を認識することができ、その管理センタで直ちに指示を出すなど的確に対処することもできる。
【0037】
このとき、監視カメラ11の撮影する異常発生時を含む動画像はPC12の記録装置内に記録保持されていて、適宜、読み出してモニタ13に出力することができ、その異常発生前後の表示パネル21のLED21aの表示を確認することができる。このため、仮に、異常停止した機器100が復帰していても表示パネル21のLED21aや他の表示情報を確認することができ、原因の調査などに役立てることができる。
【0038】
また、例えば、図5に示すように、潤滑油と共に駆動装置が容器110内に収容された機器100のその容器110の接合部111における油漏れの有無を監視する場合には、油に浸かることで変色(色の濃淡でもよい)する変色シール31をその容器110の接合部111の下部に貼付するとともに、その容器110の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0039】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の容器110の接合部111の漏れの有無を見易くする変色シール31の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その変色シール31の油による変色に応じたトーン(色調)の変化の有無に応じて監視対象の容器110の接合部111に油漏れの発生した非定常状態に変化しているか否かを確認する。
【0040】
以降同様に、PC12は、油に浸かった変色シール31の画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、容器110の接合部111下部の変色シール31の注目領域A2を2値化処理した2値画像内に油に浸かった変色シール31が現れたときに、監視対象の容器110の接合部111に油漏れが発生した非定常状態にあると判断することができる。また、PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と容器110の油漏れを報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0041】
これにより、監視対象の容器110にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影画像(容器110の接合部111下部の変色シール31の変色)からその容器110に油漏れ(非定常状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その油漏れを迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、油漏れのスピードなどを確認して対策を検討することができる。
【0042】
また、例えば、図6に示すように、冷却水の流通する冷却配管120が接続された機器100のその配管120内の冷却水温度を監視する場合には、温度に応じて検出箇所41aが変色する、所謂、サーモシール41をその配管120の外面に貼付するとともに、その配管120の一部の外観全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0043】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の配管120のサーモシール41の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、そのサーモシール41の温度変化による変色に応じたトーン(色調)の変化の有無に応じて配管120内の冷却水の温度異常、言い換えると、機器100が異常に温度上昇した非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0044】
以降同様に、PC12は、配管120内の冷却水の温度変化、例えば、温度上昇により変色するサーモシール41の検出箇所41aの画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、配管120のサーモシール41の注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常な温度上昇により変色したサーモシール41の検出箇所41aが現れたときに、監視対象の配管120内の冷却水が異常に温度上昇する非定常動作状態にあると判断することができる。また、PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と配管120内の冷却水の温度上昇を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0045】
これにより、監視対象の配管120にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(配管120のサーモシール41の変色)からその配管120内の冷却水に異常な温度上昇(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その温度上昇異常を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、サーモシール41の変色スピードなどを確認して対策を検討することができる。なお、サーモシール41は、検出箇所41aの変色温度を異ならせることにより温度変化を段階的に検出することができ、温度変化のスピードをより正確に把握したり、検出する異常温度を危険/注意などと段階別にすることもできる。
【0046】
また、例えば、図7に示すように、大容量電流の流れる導電板130が接続された機器100のその導電板130の温度を監視する場合にも、サーモシール41をその導電板130の外面に貼付するとともに、その導電板130の一部の外観全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0047】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の導電板130のサーモシール41の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、そのサーモシール41の温度変化による変色に応じたトーン(色調)の変化の有無に応じて導電板130の温度異常、言い換えると、機器100に過電流が流れる非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0048】
以降同様に、PC12は、導電板130の温度変化、例えば、温度上昇により変色するサーモシール41の検出箇所41aの画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、導電板130のサーモシール41の注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常な温度上昇により変色したサーモシール41の検出箇所41aが現れたときに、監視対象の導電板130が異常に温度上昇する非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と導電板130の温度上昇を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0049】
これにより、監視対象の導電板130にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(導電板130のサーモシール41の変色)からその導電板130に異常な温度上昇(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その温度上昇異常を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、サーモシール41の変色スピードなどを確認して対策を検討することができる。
【0050】
また、例えば、図8に示すように、クランクシャフト部140を備える機器100のそのクランクシャフト部140の動きを監視する場合には、予め設定されている閾値による撮影画像の2値化処理によって周囲から区別(抽出)可能な色のマークシール51をそのクランクシャフト部140の外面に貼付するとともに、そのクランクシャフト部140の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0051】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、クランクシャフト部140が異常な動きをしたときにマークシール51が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2内にマークシール51が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じてクランクシャフト部140に異常動作が発生して非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0052】
以降同様に、PC12は、クランクシャフト部140の異常動作により変位するマークシール51による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常動作により変位したマークシール51が現れたときに、監視対象のクランクシャフト部140が異常に変位する非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像とクランクシャフト部140の異常動作を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0053】
これにより、監視対象のクランクシャフト部140にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(クランクシャフト部140のマークシール51の変位)からそのクランクシャフト部140に異常動作(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常動作を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、クランクシャフト部140の動きなどを確認して対策を検討することができる。
【0054】
また、例えば、図9に示すように、ダムなど水Wの水量を調整するために取水ゲート151をワイヤ152を介して上下動させる巻上機150を備える機器100のその巻上機150の動きを監視する場合にも、マークシール51をそのワイヤ152の外周面一周に貼付するとともに、その巻上機150の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0055】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、巻上機150がワイヤ152を巻き過ぎる異常な動きをしたときにマークシール51が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2内にマークシール51が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じて巻上機150に異常動作が発生して非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0056】
以降同様に、PC12は、巻上機150の異常動作により変位するマークシール51による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常動作により変位したマークシール51が現れたときに、監視対象の巻上機150がワイヤ152を巻き上げ過ぎる非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と巻上機150の異常動作を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0057】
これにより、監視対象の巻上機150やワイヤ152などにセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(巻上機150の巻き上げるワイヤ152のマークシール51の変位)からその巻上機150に異常動作(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常動作を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、巻上機150の動きなどを確認して対策を検討することができる。
【0058】
また、例えば、図10に示すように、シリンダ部160を備える機器100のそのシリンダ部160の動きを監視する場合にも、マークシール51をそのシリンダ部160の外面に貼付するとともに、そのシリンダ部160の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0059】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像から監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、シリンダ部160が異常な動きをしたときにマークシール51が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2にマークシール51が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じてシリンダ部160に異常動作が発生して非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0060】
以降同様に、PC12は、シリンダ部160の異常動作により変位するマークシール51による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常動作により変位したマークシール51が現れたときに、監視対象のシリンダ部160が異常に変位する非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像とシリンダ部160の異常動作を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0061】
これにより、監視対象のシリンダ部160にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(シリンダ部160のマークシール51の変位)からそのシリンダ部160に異常動作(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常動作を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、シリンダ部160の動きなどを確認して対策を検討することができる。
【0062】
また、例えば、図11に示すように、油圧駆動のサーボモータ170を備える機器100のそのサーボモータ170の駆動を監視する場合には、そのサーボモータ170の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0063】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、サーボモータ170の駆動が異常になったときに後述する指針171が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2に指針171が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じてサーボモータ170に異常駆動が発生して非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0064】
以降同様に、PC12は、サーボモータ170のシリンダに直結されてゲージ172上を往復することにより駆動状態を示す指針171の色を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(サーボモータ170の異常駆動により変位する指針171による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常駆動により変位した指針171が現れたときに、監視対象のサーボモータ170が異常な非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像とサーボモータ170の異常動作を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0065】
これにより、監視対象のサーボモータ170にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(サーボモータ170の指針171の変位)からそのサーボモータ170に異常駆動(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常動作を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、サーボモータ170の駆動などを確認して対策を検討することができる。
【0066】
また、例えば、図12に示すように、圧力計180を備える機器100のその圧力計180の計測値を監視する場合にも、その圧力計180の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0067】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その圧力計180の計測値が異常になったときに後述する指針181が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2に指針181が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じて機器100に異常が発生して圧力計180が異常に上昇する非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0068】
以降同様に、PC12は、圧力計180の計測値を示す指針181の色を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(機器100の異常発生時に圧力計180の異常マーク182で示す範囲内に変位する指針181による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常発生により変位した指針181が現れたときに、監視対象の機器100に圧力異常が発生した非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と機器100の異常を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0069】
これにより、監視対象の機器100や圧力計180にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(圧力計180の指針181の変位)からその機器100に圧力異常(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常発生を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、圧力計180による計測圧力の変化などを確認して対策を検討することができる。
【0070】
また、例えば、図13に示すように、水位計190を備える機器100のその水位計190の計測値を監視する場合にも、その水位計190の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0071】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その水位計190の計測値が例えば、2.5mなどの異常水位になったときに後述する指針191が位置する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2に指針191が変位することによるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じて機器100の配管が詰まるなどの異常が発生して水位計190が異常に上昇する非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0072】
以降同様に、PC12は、水位計190の計測値を示す指針191の色を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(機器100の異常発生時に異常水位に変位する指針191による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に異常動作により変位した指針191が現れたときに、監視対象の機器100に配管詰まりなどの異常が発生した非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と機器100の異常を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0073】
これにより、監視対象の機器100や水位計190にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(水位計190の指針191の変位)からその機器100に配管詰まりなどの異常(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常発生を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、水位の変化などを確認して対策を検討することができる。
【0074】
また、例えば、図14に示すように、油タンク200を備える機器100のその油量計201に油量を表示する表示油201a(油量)を監視する場合にも、その油量計201の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0075】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その油量計201の表示油201aが減少して給油タイミングになったときに変化する領域A2をその静止画像データから切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2の表示油201aの有無によるその注目領域A2のトーン(色調)の変化の有無に応じて油タンク200に給油が必要か否か(非定常状態に変化しているか否か)を確認する。
【0076】
以降同様に、PC12は、油量計201の表示油201a(存在することにより変化する表示形態の変化)を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(機器100の油タンク200に給油が必要になる油量計201の表示油201aの表示形態による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、その注目領域A2を2値化処理した2値画像内に表示油201aが消失したときに、油量計201が計測する油タンク200に給油が必要な非定常状態にあると判断することができる。PC12は、この給油の要求時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と機器100の給油要求を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0077】
これにより、監視対象の油タンク200や油量計201にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(油量計201の表示油201aの減少)から給油の必要(非定常状態)が生じたことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その給油要求を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、表示油201aの減少スピードなどを確認して検討することができる。
【0078】
また、例えば、図15に示すように、圧力配管210を備える機器100のその配管210の補修部211の漏れの有無を監視する場合には、その補修部211に塗り付けた着色ゼリー61を含む配管210の一部の外観全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0079】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の配管210の補修部211を覆う着色ゼリー61の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その着色ゼリー61のトーン(色調)の占めている面積を算出して、その面積の変化の有無(変化量の大きさ)に応じて補修部211に再度漏れが生じるなどの異常が発生した非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0080】
以降同様に、PC12は、配管210の圧力(圧搾空気、油、水など)が補修部211から漏れて変形する着色ゼリー61の色を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を設定することにより(着色ゼリー61の有無による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、配管210の補修部211の注目領域A2を2値化処理した2値画像内における着色ゼリー61の一部が拡大した変形部61aが現れたときに(着色ゼリー61の面積が拡大しているときに)、監視対象の配管210の補修部211に再度漏れが生じている非定常状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と配管210の補修部211の漏れを報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0081】
これにより、監視対象の配管210にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(配管210の補修部211に塗り付けた着色ゼリー61の変形)からその補修部211からの漏れ(非定常状態)が再度発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その補修部211の漏れ異常を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、その着色ゼリー61の変形スピードなどを確認して補修部211の補修方法などの対策を検討することができる。
【0082】
また、例えば、図16に示すように、油配管220を備える機器100のその配管220の監視窓221で視認可能な流油221aを監視する場合には、その監視窓221の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0083】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の監視窓221内を流れる流油221aの領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2の流油221aのトーン(色調)の占めている面積を算出して、その面積の変化の有無(変化量の大きさ)に応じて流油221aが減少するなど異常が発生した非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0084】
以降同様に、PC12は、配管220の監視窓221における流油221aの色を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(流油221aの有無による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、配管220の監視窓221の注目領域A2を2値化処理した2値画像内で流油221aが減少/消失したときに(流油221aのトーンの面積が縮小しているときに)、監視対象の配管220の詰まりなどによる流油221aの減少という非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と配管220の流油221aの減少を報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0085】
これにより、監視対象の配管220や監視窓221にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(配管220の監視窓221の流油221aの減少)からその機器100に配管詰まりなどの異常(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常発生を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、流油221aの変化などを確認して対策を検討することができる。
【0086】
また、例えば、図17に示すように、駆動プーリ231と従動プーリ232に巻き掛けられるとともに一対のテンションプーリ233で張力を一定にされた駆動ベルト234を回転駆動させる機器100のその駆動ベルト234を監視する場合には、その機器100の全体が入る監視領域A1を撮影するように監視カメラ11をセットする。
【0087】
そして、PC12は、その監視カメラ11の撮影する動画像からその監視領域A1の静止画像を設定時間間隔で取得して、その静止画像データから監視対象の駆動ベルト234のテンションプーリ233の領域A2を切り取った後に、その注目領域A2の画像データに予め設定されている閾値で2値化処理を施して2値画像を作成することにより、その注目領域A2におけるテンションプーリ233の回転軸233aの位置を算出して、その位置ずれの有無(位置ずれ量の大きさ)に応じて駆動ベルト234が伸びたり切れるなどの異常が発生した非定常動作状態に変化しているか否かを確認する。
【0088】
以降同様に、PC12は、テンションプーリ233の回転軸233aの色(回転軸233aを周囲とトーンが大きく異なるように着色してもよい)を撮影画像の2値化処理時に周囲から区別(抽出)可能な閾値を予め設定することにより(回転軸233aの色の有無による注目領域A2の撮影画像のトーンの変化に合わせて2値化処理における閾値を設定することにより)、そのテンションプーリ233の位置が予め設定されている定常動作時における変位量よりも大きく移動したときに、駆動ベルト234の切断などの非定常動作状態にあると判断することができる。PC12は、この異常発生時には、その監視領域A1の動画像を記録装置内に記録保持するとともに、その監視領域A1の静止画像と駆動ベルト234の切断などを報知するメッセージや警報をモニタ13で表示出力/音声出力するのと同時に、その監視領域A1の静止画像と生成した報知信号を通信回線を介して遠隔地の管理センタに送信する。その管理センタのワークステーションは、PC12と同様に、受け取った監視領域A1の静止画像と共に、受け取った報知信号に基づいて生成した報知メッセージをモニタに表示出力するとともに、警報を音声出力する。
【0089】
これにより、監視対象の機器100にセンサなどを組み込むことなく、PC12が監視カメラ11の撮影する撮影画像(テンションプーリ233の変位)からその機器100に駆動ベルト234の切断などの異常(非定常動作状態)が発生したことを検出(抽出)して、モニタ13でのメッセージの表示出力や警報の音声出力により、その異常動作を迅速に報知して直ちに適切に対処することができる。このとき、PC12の記録装置内に記録保持されている監視カメラ11の撮影した動画像をモニタ出力して確認することにより、例えば、駆動ベルト234の切断までの変化などを確認して対策を検討することができる。
【0090】
このように本実施形態においては、各種機器100毎に監視カメラ11を設置するとともに、その撮影画像をPC12で2値化処理して画像処理することにより、異常を検出するためのセンサなどを組み込むことなく、その監視対象の各種機器100に異常が発生して非定常動作状態になったことを検出することができ、その異常発生などを知らせる報知信号や報知メッセージによりそのPC12や遠隔地の管理センタで認識させることができる。したがって、各種機器100の異常発生などを直ちに把握して迅速に対処することができ、このときには、その監視カメラ11による撮影画像を確認して的確な対処を行って、短時間に定常動作する状態に復帰させることができる。
【0091】
本実施形態の他の態様としては、移動する機器を監視対象にしてもよく、例えば、図18に示すように、自動車240のエンジン部241を監視対象として、例えば、温度異常や異常変位などが発生したときに、通信機242を介する無線通信により報知信号などを管理センタに通知するようにしてもよい。また、管理センタは1箇所に限る必要はなく、報知先毎の回線番号を使用するなどして、監視対象毎に異なる管理センタを対応させてもよいことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよい。上述実施形態では、監視対象の形状/色/変位などからその監視対象の非定常状態を抽出する一例を説明しているのに過ぎず、他の形状/色/変位などから非定常状態を抽出するように設計することができることは言うまでもない。例えば、変電設備の変圧器では、コンサベータ(油保存装置)のシリカゲル(乾燥剤)の色(色相)を監視して、そのシリカゲルの取替時期を管理可能にすることができる。また、発電機の軸受などの潤滑油(軸受用油)は、劣化する場合には鮮やかな色合いから濃い色に変化し、その軸受が焼損する場合には銀色に変化することから、その色調(明度・彩度・色相)の変化により、機器の異常(軸受の焼損など)や潤滑油の劣化等を判定して警報を発することもできる。ここで、上述実施形態では、色の変化を、色の三属性である明度・彩度・色相をまとめて色調として説明しているが、これに限定されるものではなく、明度・彩度・色相のうちの一つや二つに注目してもよく、また、白や黒も含めて、撮影した画像から抽出可能な色情報であれば、その変化から監視対象の非定常状態を抽出することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る監視システムの一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す概念斜視図である。
【図2】その情報のやり取りを示す関係ブロック図である。
【図3】その監視システムを設置する一例を示す概念図である。
【図4】その監視対象を説明する概念図である。
【図5】その監視対象を示す正面図である。
【図6】その監視対象を示す平面図である。
【図7】その監視対象を示す斜視図である。
【図8】その監視対象を示す平面図である。
【図9】その監視対象を示す立面図である。
【図10】その監視対象を示す立面図である。
【図11】その監視対象を示す平面図である。
【図12】その監視対象を示す正面図である。
【図13】その監視対象を示す立面図である。
【図14】その監視対象を示す正面図である。
【図15】その監視対象を示す立面図である。
【図16】その監視対象を示す立面図である。
【図17】その監視対象を示す立面図である。
【図18】その他の態様を示す概念図である。
【図19】その従来技術を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
10……監視システム 11……監視カメラ 12……PC 13……モニタ
14……キーボード 21……表示パネル 21a……LED 31……変色シール 41……サーモシール 41a……検出箇所 51……マークシール 61……着色ゼリー 61a……変形部 100……各種機器 110……容器 111……接合部 120……冷却配管 130……導電板 140……クランクシャフト部 150……巻上機 151……取水ゲート 152……ワイヤ 160……シリンダ部 170……サーボモータ 171、181、191……指針 180……圧力計 190……水位計 200……油タンク 201……油量計 201a……表示油 210……圧力配管 211……補修部 220……油配管 221……監視窓 221a……流油 231……駆動プーリ 232……従動プーリ 233……テンションプーリ 233a……回転軸 234……駆動ベルト 240……自動車 241……エンジン部 242……通信機 F……工場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の動画像または連続静止画像を撮影する撮像手段と、該撮像手段による撮影画像から監視対象の非定常状態を抽出する抽出手段と、該抽出手段による抽出情報に応じた報知信号または報知メッセージ情報の一方あるいは双方を生成して出力する報知手段と、を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記抽出手段は、監視対象の形状の変化から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記抽出手段は、監視対象の色の変化から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記抽出手段は、監視対象の変位から該監視対象の非定常状態を抽出することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
前記抽出手段による抽出情報の抽出タイミングに応じた期間の撮像手段による撮影画像を記録する記録手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の監視システム。
【請求項6】
前記報知手段からの報知信号または報知メッセージ情報を表示出力あるいは音声出力する出力手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の監視システム。
【請求項7】
前記手段のうち、少なくとも出力手段が有線あるいは無線の通信手段を介して接続される遠隔位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記撮影手段が複数箇所の監視対象毎に設置されていることを特徴とする請求項7に記載の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−25950(P2007−25950A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205534(P2005−205534)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】