監視制御装置およびそのプログラム
【課題】再生中継器は、適用設定を誤ると、適用した波長の光パスの信号だけではなく、他波長の光パスの信号に誤りを発生させる恐れがある。既に開通している他波長の光パスの信号に誤りが生じた場合、大きな事故に繋がる。
【解決手段】ユーザによるネットワーク内の光パスの開通設定時に、監視制御装置によって、自身の保有するトポロジ情報、パス情報、光増幅器の性能情報、およびOADMノードと通信することで取得する装置情報を用いて、新規開通する光パスの伝送可否判定、および新規開通する光パスと経路が重なっている全ての他波長の光パスについて行う新規開通パスへの影響判定を行なう。また、以上の判定結果をユーザに通知し、信号に誤りを発生させる可能性がある場合、パス開通処理を実施しない。
【解決手段】ユーザによるネットワーク内の光パスの開通設定時に、監視制御装置によって、自身の保有するトポロジ情報、パス情報、光増幅器の性能情報、およびOADMノードと通信することで取得する装置情報を用いて、新規開通する光パスの伝送可否判定、および新規開通する光パスと経路が重なっている全ての他波長の光パスについて行う新規開通パスへの影響判定を行なう。また、以上の判定結果をユーザに通知し、信号に誤りを発生させる可能性がある場合、パス開通処理を実施しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御装置およびプログラムに係り、特に波長多重OADM(Optical Add Drop Multiplexer)に接続された監視制御装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のブロードバンドの急激な普及に伴い、大容量・長距離の光通信装置が必要とされている。大容量化の実現手段として、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して通信する光波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式が発展している。また、長距離を実現するために、通信ネットワークは、OADM、光増幅器(1R)、再生中継器(3R)等を用いて構成される。
【0003】
従来の光伝送ネットワークでは、再生中継器を適用した光パスの到達可能性を判別することで、ネットワークの設計を行う手法がある。これには、ネットワーク設計装置により事前に、再生中継器を用いない場合のネットワークモデルの雑音量を元に必要となる再生中継器の数を算出し、再生中継器の適用台数に基づいて再生中継器適用箇所を決定する手法(特許文献1)、再生中継器を配置したネットワークモデルにたいして、想定されるパスの伝送可否判定を行う手法(特許文献2)が該当する。
【0004】
しかし従来技術では、ネットワーク設計によって決定した光パスを開通する際に、設定を誤ってしまった場合の光パスへの影響を検討していない。このため、ネットワークにおける、より安全な再生中継器の適用手法が必要となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−048477号公報
【特許文献2】特開2006−042279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再生中継器を適用することにより、伝送距離・伝送帯域の制限を回避できる。しかし、再生中継器は、光増幅器に比べ高価である。さらに、光増幅器は、1台で全波長分の光信号を一括増幅するが、再生中継器は、1台につき1波長分の光信号にしか適用できない。再生中継器を全波長分用意して適用するか否かの設定をするという方法を用いるのは、非常にコストがかかり、現実的ではない。また、再生中継器を適用するか否かの設定は、各波長の光パス毎に行うため、設定誤りを起こしやすい。
【0007】
光伝送設計において、光信号対雑音比OSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)は、十分に大きな値となるように設計する。再生中継器を適用しないと伝送できないほど長い伝送距離の光パスについて、再生中継器を適用しなかった場合に起きる課題について、図1を用いて説明する。ここで、図1は再生中継器の設定誤りを説明する図である。特に、図1(a)は波長λnに前段で再生中継器が適用された状態、図1(b)は設定誤りにより波長λnに前段で再生中継器が適用されない状態を示す。
【0008】
図1において、縦軸は光レベル、横軸は波長である。光信号400#1は、光分岐挿入部においてフィルタ500#1により、中心波長λn−1の光が切り出される。同様に光信号400#2は、光分岐挿入部においてフィルタ500#2により、中心波長λnの光が切り出される。
【0009】
前段のOADMノードで、再生中継器を適用すべき光パス(λn)に対して再生中継器を適用しなかった場合、波長λnのOSNRが想定より小さな値になる。各フィルタ500には重なる箇所(A部)が存在する。このため、OSNRが非常に小さな値である光信号400#2は、光分岐挿入部においてフィルタ500#2により、中心波長λnの光を切り出そうとする際に、雑音に埋もれてしまう。
【0010】
さらに、中心波長λn−1の光信号400#1を切り出す際に使用するフィルタ500#1でA部の雑音を除去をできず、雑音がλn−1の光信号400#1に混入してしまう。混入した雑音量が大きければ、設定誤り波長以外の波長の光パスの光信号まで誤ってしまう。
【0011】
図2、図3を用いて、再生中継器の設定を誤った際の影響について説明する。ここで、図2および図3は光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である。図2(a)および図3(a)は光ネットワークの構成を説明するブロック図である。光ネットワークは、OADMノード100#4〜100#8によるリニアネットワークを構成している。この光ネットワークにおいて、OADMノード100#4からOADMノード100#8に抜けている光パス200#λ2と、OADMノード100#5でアッドされOADMノード100#8でドロップされている光パス200#λ1に注目する。図2(a)において、光パス200#λ2は、OADMノード100#6にて再生中継されている。一方、図3(a)において、光パス200#λ2は、OADMノード100#6にて再生中継を適用されていない。なお、図2(a)において、OADMノード100#6が2重丸で表現しているのは、再生中継が可能なノードであることを意味している。これは、他の図面でも共通である。
【0012】
図2(b)および図2(c)ならびに図3(b)および図3(c)は、縦軸にOSNR、横軸にOADMノードをとったグラフである。図2(b)および図3(b)は、波長λ1についてのグラフ、図2(c)および図3(c)は、波長λ2についてのグラフである。図中、自波長の信号を誤らせる可能性があるかのOSNR閾値をXとし、他波長の信号をも誤らせる可能性があるかのOSNR閾値をYとする。閾値X、Yの値は、OpSが保有する固定値である。
【0013】
上述したネットワークで、波長λ1の光パス200#λ1が開通済みの状態で、波長λ2の光パス200#λ2を新規開通する状況を考える。図2において、光パス200#λ2を開通時に、OADMノード100#6に波長λ2の識別再生を行う再生中継器を適用する。再生中継器を適用することで、図2(c)に示すように、OADMノード100#6で光パス200#λ2のOSNRが回復している。この結果、光信号のOSNRは、共にX以上の値を保ち、正常な光信号を送ることに成功している。
【0014】
図3を参照して、再生中継器を適用せずに光パス200#λ2を新規開通する状況を説明する。図3(c)において、光パス200#λ2のOSNRは劣化を続け、OADMノード100#6を超えた時点でOSNRがXを下回り、光信号に誤りが生じてしまう。さらにOADMノード100#7を超えた時点で、光パス200#λ2のOSNRは閾値Yを下回り、波長λ2の光信号の雑音が波長λ1の光信号にまで混入してしまう。この雑音により、光パス200#λ1のOSNRは閾値Xを下回り、光信号に誤りが生じてしまう。
【0015】
このように再生中継器の適用設定を誤ってしまうと、自身の信号だけではなく、他波長の信号に誤らせる可能性がある。特に、既に開通している他波長の光パスの信号に誤りが生じた場合、新規開通する光パスが届かない場合よりも大きな事故に繋がってしまう。さらに近年、波長分割多重の高密度化により波長間の間隔が狭くなり、他の波長に影響を与える可能性が高くなってきている。
【0016】
本発明は、監視制御装置による光パスの開通設定時に、新規開通する光パスの信号に誤りが発生する可能性および他波長の光パスの信号に誤りを発生させる可能性の判定を行なう。これによって、設定誤りのリスクを減らす監視制御装置およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題は、複数の光分岐挿入多重装置と接続され、複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御し、光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部を備える監視制御装置により、達成できる。
【0018】
また、複数の光分岐挿入多重装置と接続されたコンピュータを、複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する光パス設定制御部、光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部として機能させるプログラムにより、達成できる。
【発明の効果】
【0019】
設定誤りのリスクを減らす監視制御装置およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
光パス200#1に関する装置除法テーブルである。
【0021】
図4を参照して、光ネットワークの構成を説明する。ここで、図4は光ネットワークのブロック図である。図4において、光ネットワーク600は、4台のOADMノード100により、高密度光波長多重(DWDM:Dense WDM)のリング網を構成している。各OADMノード100は、局間光ファイバ550により接続される。
【0022】
OADMノード100は、OADM部110とトランスポンダ120、さらに必要に応じて再生中継器130を実装し、監視制御装置(OpS:Operation System)300により光パス200が開通される。なお、トランスポンダ120、再生中継器130のポートに入出力されるクライアント信号には、10GbE、GbE信号、STM−64/OC−192、STM−16/OC−48、STM−4/OC−12等が収容される。
【0023】
OADMノード100には、主回線とは別に監視制御線用のOSC(Optical Supervisory Channel)機能を有している。OpS300とOADMノード100は、DCN(Data Communication Network)450に接続されたOADMノード100をゲートウェイとして、論理的にネットワーク接続される。このOSCを用いて、OpS300は、TL1コマンド等を使い遠隔にてOADMノード100の監視制御を行なう。
【0024】
OADM部110における局間光ファイバ550との接続口2つについて、一方を”West方向”、もう一方を”East方向”と定義する。
【0025】
図5、図6を参照して、OADMノードの構成を説明する。ここで、図5および図6は、OADMノードの機能ブロック図である。図5において、OADMノード100Aは、光増幅部150、光分岐挿入部170、IF部180、装置内監視制御部160から構成される。
【0026】
光増幅部150は、波長多重信号光を電気信号に変換することなく局間伝送可能な信号光強度に一括増幅する。光分岐挿入部170は、光増幅部150より受信した波長多重信号光を分離し、任意の波長について分岐、挿入もしくは通過後、再度、波長多重を行い、光増幅部150に送信する。
【0027】
IF部180は、1波長毎にトランスポンダ120を有する。トランスポンダ120は、ポートより受信したクライアント信号を波長多重するために適正な信号フォーマット、信号光強度、信号光波長に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。また、トランスポンダ120は、光分岐挿入部170で分離した任意の波長を、図示しない外部端局装置と接続するために適正な信号フォーマット、信号光強度、信号光波長に変換し、ポートへ送信する。
【0028】
装置内監視制御部160は、光増幅部150、光分岐挿入部170、IF部180で検出した警報、イベント通知を収集し、その結果をOpS300へ通知する。また、装置内監視制御部160は、OpS300からの制御により装置設定を行なう。
【0029】
図6において、OADMノード100Bは、IF部180に再生中継器130を備える。再生中継器130は、光分岐挿入部170で波長分離された光信号を一度電気信号に変換した後、識別再生を行い、また光信号に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。なお、IF部180に、トランスポンダ120と再生中継器130とが設けられていても構わない。また、再生中継器130の出力をトランスポンダ120としても良い。
【0030】
図7を参照して、光増幅部の構成を説明する。ここで、図7は光増幅部のハードウェアブロック図である。図7において、光増幅部150は、2台の光増幅器155、OSC光分波器151、OSC光合波器152、可変光減衰器153で構成される。
【0031】
受信光増幅器155#1、送信光増幅器155#2は、波長多重信号を一括増幅する。受信光増幅器155#1は、入力部に可変光減衰器153を備えており、自動レベル制御で動作し、入力レベルを所定のレベルに調整する。OSC光分波器151、OSC光合波器152は、主信号とOSCとの分波/合波を行い装置内監視制御部160へ送信/から受信し、装置内監視制御部160からの監視制御を可能としている。なお、OSCはノード区間ごとに再生中継されている。
【0032】
図8を参照して、再生中継器の構成を説明する。ここで、図は再生中継器の機能ブロック図であう。図8において、再生中継器130は、それぞれ2台のLine光モジュール135、クロック抽出部131、TxPLL133、OTU終端・生成部132で構成される。
【0033】
Line光モジュール135は、光分岐挿入部170より分岐された信号に対して光/電気変換を行う。クロック抽出部131は、Line光モジュール135からの電気信号に対して識別再生、リタイミングを行う。TxPLL133は受信Lineクロックに同期した送信Lineクロックを生成する。OTU終端・生成部132は、OTNフレーム信号のOPU/ODUをスルーし、OTU終端・生成を行う。
【0034】
OTU終端・生成部132からのOTNフレーム信号について、Line光モジュール135は、波長多重するための信号光波長、信号光強度に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。
【0035】
光伝送ネットワークにおける光増幅器155、再生中継器130の適用について、図9を参照して、説明する。ここで、図9は光伝送ネットワークの構成と信号波形を説明する図である。
【0036】
図9において、OADMノード100#1、100#2、100#3より構成される光伝送ネットワークにおいて、OADMノード100#1、100#2には、光増幅器155のみ適用されており、OADMノード100#3には、再生中継器130も適用されている。すなわち、図9(a)のネットワークは光増幅器のみによる増幅、図9(b)のネットワークは光増幅器と再生中継器による増幅である。図9(c)〜図9(f)の縦軸は光レベル、横軸は波長であり、ネットワークの位置におけるスペクトルである。
【0037】
OADMノード100#1から送信された直後のスペクトル(図9(c))に対し、長距離伝送後のスペクトル(図9(d))は光レベルが弱まっている。OADMノード100#2の光増幅器155の効果により、光レベルは回復するが、同時に雑音も増幅してしまう。このため、光増幅器のみでは、図9(e)に示すように、OSNRは劣化する。
【0038】
OADMノード100#3は、再生中継器130を採用したノードである。3台の再生中継器130を用いることで、光信号を一度電気信号に変換した後、識別再生を行い、また光信号に変換することで、図9(f)に示すように、OSNRを回復することができる。
【0039】
OpS300は、PC/WS等の一般的な情報処理装置であり、光パス200を管理するためのソフトウェアがインストールされ、ユーザにより起動される。図10を参照して、OpSの構成を説明する。ここで、図10はOpSの機能ブロック図である。
【0040】
図10において、OpS300は入力部340、出力部350を用いてユーザにより操作される。演算処理部360は、OADMノード100の監視制御に必要な演算を行い、必要な情報をデータベース部380に保持する。演算処理部360は、OADMノード100に命令を実行するとき、通信処理部370に通信命令を送信し、OpS300とOADMノード100間の通信を実現する。演算処理部360は、パス開通実行部365、伝送可否判定部361、既開通パス影響判定部362、開通可否判定部363、ダイアログ表示部364にて構成される。
【0041】
パス開通実行部365は、OADMノード100と通信を行うことで、各OADMノード100の光分岐挿入部170の分岐を制御し、光パス200の開通を行なう。
【0042】
伝送可否判定部361、既開通パス影響判定部362、開通可否判定部363、ダイアログ表示部364は、それぞれパス開通処理A00(図18)、パス伝送可否判定B00(図19)、既開通パスによる影響判定D00(図22)、ダイアログ表示部C00(図24)を担当する。このため、図18〜図24を用いて、後述する。
【0043】
図11を参照して、OpSのハードウェア構成を説明する。ここで、図11はOpSのハードウェアブロック図である。図11において、OpS300は、内部バス325で相互接続された中央演算処理装置(CPU)310、主記憶装置(メインメモリ)320、ネットワークカード(NIC:Network Interface Card)330、入出力部315、補助記憶装置305と、入出力部315に接続された入力部340、出力部350から構成される。
【0044】
図10と図11との対比から明らかなように、演算処理部360の機能361〜365は、主記憶装置320上のプログラムを、CPU310が実行することによって、実現している。
OpS300にて再生中継器を適用した、光パス200の管理を実現するためにOpS300がデータベース部380に保有するテーブル情報について、これ以降説明する。
【0045】
図12を参照して、テーブル情報の前提となるネットワーク構成を説明する。ここで、図12はネットワークの構成を説明するブロック図である。図12において、ネットワーク650は、5台のOADMノード100からなるリングネットワークである。図12において、OADMノード100は、それぞれノード名A〜Eがアサインされている。ネットワーク650には、OADMノードAをアッドノード、OADMノードCをドロップノードとする時計回りの光パス200#1と、OADMノードBをアッドノード、OADMノードDをドロップノードとする反時計回りの光パス200#2とが定義されている。また、OADMノードAは、再生中継が可能なノードである。
【0046】
各OADMノード100にて、光ファイバ550の接続、トランスポンダ120のパッケージ実装、再生中継器130のパッケージ実装、装置内ファイバ接続等、ハード接続がおこなわれた後、ユーザはOpS300に対して、リングを構成するOADMノード100のトポロジ情報を任意の順番にてトポロジ情報テーブルとして登録する。このトポロジ情報テーブルを図13を参照して説明する。ここで、図13はトポロジ情報テーブルを説明する図である。図13において、トポロジ情報テーブルT00は、各OADMノード100の、ノード名T01、IPアドレスT02、West側に隣接しているノード名T03、East側に隣接しているノード名T04で構成する。
【0047】
また、パス開通処理を行なうと、OpS300は、開通したパス情報を自身が保有する既開通パス情報テーブルに追加する。他方、パス削除処理が行われると、OpS300は、削除したパスの情報を既開通パス情報テーブルから削除する。既開通パス情報テーブルについて、図14を参照して説明する。ここで、図14は既開通パス情報テーブルを説明する図である。図14において、既開通パス情報テーブルT10は、パス名T11、波長T12、始点ノードT13、終点ノードT14、パスの方向T15、再生中継器適用ノードT16にて構成する。
【0048】
OpS300は、光増幅器種別毎の性能情報(固定値)を光増幅器性能情報テーブルとして保有する。光増幅器性能情報テーブルについて、図15を参照して説明する。ここで、図15は光増幅器性能情報テーブルを説明する図である。図15において、光増幅器性能情報テーブルT20は、光増幅器種別T21、出力光レベルP T22、雑音指数NF T23、利得G T24にて構成する。
【0049】
図16を参照して、装置情報テーブルを説明する。ここで、図16は装置情報テーブルを説明する図である。図16において、図16(a)は光パス200#1に関する装置情報テーブルである。一方、図16(b)は光パス200#2に関する装置情報テーブルである。OpS300は、OADMノード100に通信を行うことで、ノード名T31を参照し、各OADMノード100に実装されている受信光増幅器の種別T32、送信光増幅器の種別T33にて構成される装置情報テーブルT30を作成する。
【0050】
図17を参照して、OpSでの光パスを管理する画面を説明する。ここで、図17AはOpsの光パス管理画面である。図17Aにおいて、パス管理画面G00は、OpS300の出力部350に表示する画面である。パス管理画面G00は、光パス200の開通状態を表示するフィールドG07と、開通済みパスの詳細情報を表示するフィールドG08で構成する。
【0051】
パス管理画面G00は、リングを構成するOADMノード100をアイコンG01で表示する。各アイコンG01には、ノード名、West/East方向を付与する。また、光パス200の経路G05を表示する。再生中継器130を適用しているOADMノード100では、折り返し経路G06を表示する。
【0052】
フィールドG07には、開通ボタンG02、削除ボタンG03が設置されている。ユーザによる開通ボタンG02の押下を受け付けることで、OpS300は、パス開通処理を行なう。逆に、削除ボタンG03の押下を受け付けることで、OpS300は、パス削除処理を行う。
【0053】
図17BはOpsのパス開通ダイアログ画面である。パス開通ダイアログ画面G10は、新たなパスを開通させるための画面である。パス開通ダイアログ画面G10は、図17Aで開通ボタンG02の押下を受け付けたとき、OpS300が表示する。パス開通ダイアログ画面G10は、波長入力部G11、始点ノード入力部G12、終点ノード入力部G13、方向入力部G14、再生中継器設定部G15、開通ボタンG16とから構成される。OpS300は、ユーザによる各入力部、設定部G11〜G15への入力と、開通ボタンG16の押下を受け付ける。
【0054】
図17Cおよび図17DはOpsの確認画面である。図17Cおよび図17Dにおいて、確認画面G20は、メッセージ表示部G23と、Yes/OKボタンG21、必要に応じてNoボタンG22を表示する。確認画面G20は、ユーザの設定に対する警告/確認画面である。特に警告画面G20Bは、他波長パスに影響を与えるため、そのままの継続ができない。
【0055】
パス開通処理について図18を参照して、説明する。ここで、図18はパス開通のフローチャートである。図18において、OpS300は、パス管理画面G00を表示している。OpS300は、ユーザによる開通ボタンG02を押下を受け付けることで、パス開通処理A00を開始し、パス開通ダイアログG10を表示する。OpS300は、ユーザによる新規開通する光パス200の波長、始点ノード、終点ノード、方向、再生中継器の適用を受け付ける(A02)。このとき、OpS300は、画面G15において、0個以上の複数のノードを選択することを可能とし、それ以外の画面については1つの項目を選択することを必須とする。
【0056】
OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定B00を行なう(A03#1)。伝送可否判定B00の詳細については、図19を参照して後述する。OpS300は、自身が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)および既開通パス情報テーブルT10(図14)を用いて、新規開通する光パス200と経路が重なっている既開通の光パス200の情報を取得する(A04)。
【0057】
2本の光パス200の経路が重なっているかどうかの判定処理は、以下のようにして、OpS300により行われる。まずOpS300は、比較する2本の光パス200毎の経路を特定する。OpS300は、光パス200の始点ノード、終点ノードの名前、およびパスの方向の情報(新規開通パスの場合は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した情報、既開通パスの場合は、既開通パス情報テーブルT10(図14)をOpS300が参照する)と、OpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)のノード名T01、West側の隣接ノードT03、East側の隣接ノードT04の情報を参照し、経路となる全てのOADMノード100を特定する。特定された2本の光パス200毎の経路となるOADMノード100に、2つ以上同じOADMノード100が含まれている場合、OpS300はこの2本の光パス200は経路が重なっていると判定をする。
【0058】
具体的には、OpS300は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した情報、およびOpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)を用いて、光パス200#2の経路がB→A→E→Dであることを特定する。続いてOpS300は、自身が保有する既開通パス情報(図14)およびトポロジ情報テーブルT00(図13)を用いて、光パス200#1の経路がA→B→Cであることを特定する。
【0059】
光パス200#1の経路となるOADMノード100は、ノードA、B、Cであり、光パス200#2の経路となるOADMノード100は、ノードB、A、E、Dである。両者には、同じOADMノード100(ノードA、B)が2つ含まれているので、OpS300は、光パス200#1と光パス200#2は経路が重なっていると判定する。
【0060】
次にOpS300は、判定を行なっていない経路が重なる既開通パスがあるか判定する(A05)。YESのとき、既開通パスの影響判定D00を行う(A03#2)。既開通パスの影響判定D00の詳細については、図22を参照して後述する。
【0061】
A05の判定がNOのとき、OpS300は、A03#1およびA03#2の判定結果から、ダイアログ表示処理C00にて、確認ダイアログG20を表示する(A06)。OpS300は、ユーザによるボタン押下を受け付ける(A07)。OpS300は、押下されたボタンがYesボタンか判定する(A08)。
【0062】
ユーザがYesボタンを押下したとき(A08:YES)、OpS300は、パス開通に必要な命令を各OADMノード100に送信する(A09)。OpS300は、新規開通パスの情報をOpS300が保有する既開通パス情報(図14)に追加し(A10)、パス開通処理を終了する。
A08でユーザ押下したのがNoボタンまたはOKボタンのとき、OpS300はパス開通処理を終了する。
【0063】
図18の伝送可否判定B00について、図19を参照して説明する。ここで、図19はパス伝送可否判定処理のフローチャートである。図19において、まずOpS300は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した、開通する光パス200の始点ノードG12、終点ノードG13の名前、およびパスの方向の情報G14と、OpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)のノード名T01、West側の隣接OADMノードT03、East側の隣接OADMノードT04の情報を参照し、経路となる全てのOADMノード100を特定する。
【0064】
OpS300は、特定されたOADMノード100において、ノード名T01から参照できるIPアドレスT02を用いて、通信を行うことで、OADMノード100が保有している装置情報を取得し、図16で示すように、始点ノードの送信光増幅器種別T33、および、中継ノードの受信光増幅器種別T32、送信光増幅器種別T33および終点ノードの受信光増幅器種別T32の情報を取得する(B02)。なお、光パス200およびOADMノード100が定まれば、対応する光増幅器155は一意に定まる。
【0065】
次にOpS300は、光増幅器155毎に、保有する光増幅器の性能情報テーブルT20(図15)を用いて、光増幅器種別T21を参照し、出力光レベルP T22、雑音指数NF T23、利得G T24を取得する。取得した情報、およびパス開通ダイアログG10にてユーザが選択した、再生中継器の適用位置G15から、OpS300は、以下の式を用いて光増幅器155毎の光信号対雑音比OSNRを算出する(B03)。
【0066】
【数1】
OpS300は、各光増幅器155毎のOSNRより、ノードX1→X2→…→Xnの累計OSNRX1_Xnを以下の式(2)を用いて算出する(B04)。
【0067】
【数2】
OSNRは、再生中継器130の適用により初期化されるため、再生中継器130適用ノード毎に区切った区間の累積OSNRを考える必要がある。OpS300は、以下の式(3)を用いて、各区間の累積OSNRの中で最小のもの(最も誤りが起きる可能性が高い値)をパス全体のOSNRPATHとし、これを用いて判定を行う。
【0068】
【数3】
自身の信号を誤らせる可能性があるかの閾値をXとし、他波長の信号を誤らせる可能性があるかの閾値をYとする。閾値X、Yの値はOpS300が保有する固定値である。OpS300は、OSNRALLを閾値XおよびYと比較することで判定を行う。OpS300は、OSNRALL≦Yか判定する(B05)。YESであれば、OpS300は、光パス200が他波長の信号および自波長の信号を誤らせると判定し(B06)、終了する。B05がNOのとき、OpS300は、OSNRALL≦Xか判定する(B07)。YESであれば、光パス200自身の信号を誤らせると判定して(B08)、終了する。B07でNOのとき、OpS300は、光パス200は信号を誤らせないと判定し(B09)、伝送可否判定B00を終了する。
【0069】
ここで、閾値X、Yについて説明する。閾値Xは波長多重信号光が複数ノード伝送された際に、あらゆる信号光が所定のビットエラーレート(以下BERと記載。数値としては例えばBER=10^−12)を満足して伝送されるのに必要な最小OSNR値である。閾値Xは以下のようなパラメータから決定される。
(a)トランスポンダ120単体のOSNR耐力:トランスポンダ120の送受信器間で直結した場合にBER=10^−12を満足するのに必要な最小OSNR
(b)OADMノード100のフィルタによるOSNRペナルティ:(a)のトランスポンダ120に対して、複数段のOADMノード100を透過することによって、トランスポンダ120の波長スペクトルが削られることによる(a)に対するOSNR耐力劣化量
(c)光ファイバ伝送路の非線形効果によるOSNRペナルティ:波長多重光を光ファイバ伝送路で伝搬した場合の四光波混合、相互位相変調効果等の非線形効果によって発生するクロストークや波形歪みでの(a)に対するOSNR耐力劣化量
(d)トランスポンダ120受信端での残留分散によるOSNRペナルティ:光ファイバ伝送路の分散を補償し切れない信号光が入力された場合の(a)に対するOSNR耐力劣化量
(b)〜(d)については再生中継なしで伝送可能な最大区間数(例えば最大装置数が20であるならば、パス開通での最大区間数は19区間)を設定し、その最大区間数時の特性を光ファイバ伝送路シミュレーションによりそれぞれの効果によるOSNR劣化量を予め決定しておく。閾値Xの値は、(a)のトランスポンダ120単体でのOSNR耐力に対し、伝送路、装置を通過することによるOSNR耐力劣化量(b)(c)(d)を加えたものとなる。(a)のトランスポンダ120のOSNR耐力が17dBで規定されており、それに対して(b)〜(d)によるOSNR劣化量がそれぞれ1dBであると見積もられるならば、閾値Xの値は20dBと決定される。
【0070】
閾値Xは、波長多重光のいずれの主信号ともに正常な光特性で伝搬するのに必要な最小OSNRである。これに対して閾値Yは、既に光パス200が設定されている主信号のOSNRはX以上の値であるのに対し、これから新規に設定しようとする主信号が既存主信号の隣接チャネルであって更にそのOSNRがXを満足しない場合に、どの程度までのOSNRならば既存主信号に対して影響を与えずにパス設定ができるかを表すパラメータである。閾値Yは図1のλn−1、λnのフィルタ透過特性でλn−1とλnの信号の中央の位置における隣接チャネルとのアイソレーションをZとすると、
【0071】
【数4】
式(4)で規定される(図20参照)。例えば、X=20dB、Z=10dBとするならばY=10dBである。
【0072】
図20を参照して、閾値Yの算出を説明する。ここで、図20は伝送可否判定における閾値Yの算出方法を説明する図である。図20において、縦軸は光レベル、横軸は波長である。閾値Xは、当該波長における信号光レベルと光ノイズレベルとの差である。アイソレーションZは、隣接波長間の中央値((λn−1+λn)/2)における波長フィルタ500#2の分離可能光レベルと光信号レベルとの差である。したがって、式(4)から閾値Yは、信号レベル隣接波長間の中央値における波長フィルタ500#2の分離可能光レベルと光ノイズレベルとの差である。
【0073】
以下、図12のネットワーク構成に基づいて、伝送可否判定B00を具体的に説明する。ここでは、光パス200#1は、既に開通済みであり、光パス200#2を新規開通する状況(パス開通ダイアログG10にてユーザが、波長G11を”λ2”、始点G12を”B”、終点G13を”D”、方向G14を”W→E”、再生中継器G15を”A”と選択し、開通ボタンG16を押下した状態)とする。
【0074】
OpS300は、光パス200#2の伝送可否判定を以下のように行なう。OpS300は、ユーザが選択した情報および、トポロジ情報(図13)を用いて、光パス200#2の経路を特定する。OpS300は、光パス200#2のパス方向がWest→Eastであるため、始点ノードBから終点ノードDまでWest方向のノードを参照していく。これにより、OpS300は光パス200#2の経路がB→A→E→Dであることを特定する。
【0075】
続いてOpS300は、経路となる全てのノード(B、A、E、D)において、トポロジ情報テーブルT00(図13)を参照し、対応するIPアドレス(10.0.0.2、10.0.0.1、10.0.0.5、10.0.0.4)を取得する。OpS300は、得られたIPアドレスを用いて通信を行うことで、図16に示す装置情報を取得する。
【0076】
次にOpS300は、再生中継器130の位置A、光増幅器性能情報テーブルT20(図15)を用いて式(2)を計算し、光パス200#2のOSNRALLを算出する。OpS300は以上の計算の結果から、光パス200#2のOSNRALL”22.7”を取得する。
【0077】
判定にもちいる閾値は、X=22、Y=20と定められているとすると、条件OSNRALL≦Yを満たさず、さらに条件OSNRALL≦Xを満たさないので、OpS300は、光パス200#2は信号を誤らせない、と判定する。
【0078】
仮に光パス200#2において、再生中継器130を適用しなかった場合の光パス200#3を考える。
【0079】
OpS300は、再生中継器130の位置(ノードA)、光増幅器性能情報テーブルT20(図15)を用いて式(2)を計算し、光パス200#3のOSNRALLを算出する(図21E01参照)。OpS300は以上の計算の結果から、光パス200#3のOSNRALL”19.8”を取得する。
条件OSNRALL≦Yを満たすので、光パス200#3は、他波長の信号をも誤らせる、とOpS300が判定する。
【0080】
ここで、図21を参照して、光パス200#2と光パス200#3の光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する。ここで、図21は光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する図である。特に、図21(a)は光パス200#2、図21(b)は光パス200#3に関する。
【0081】
図21(a)において、光パス200#2は、ノードB、A、E、Dの順である。ノードBは、送信のみのノード、ノードAとノードEは、受送信ノード、ノードDは、受信のみのノードである。ノードAは、再生中継器を実装(○)している。累積OSNRは、ノードBの送信光増幅器と、ノードAの受信光増幅器とで式(2)から、23.0を得る。また、ノードAの送信光増幅器と、ノードEの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードDの受信光増幅器とで式(2)から、22.7を得る。全体のOSNRは、後者の22.7である。
【0082】
一方、図21(a)において、光パス200#3は、ノードB、A、E、Dの順である。ノードBは、送信のみのノード、ノードAとノードEは、受送信ノード、ノードDは、受信のみのノードである。ノードAは、再生中継器を実装していない(×)。累積OSNRは、ノードBの送信光増幅器と、ノードAの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードEの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードDの受信光増幅器とで式(2)から、19.8を得る。全体のOSNRは、同様に19.8である。
【0083】
既開通パスの影響判定D00について、図22を参照して、説明する。ここで、図22は既開通パスによる影響判定のフローチャートである。図22において、まずOpS300は、既開通パスの経路における始点ノードの送信光増幅器種別T33、および、中継ノードの受信光増幅器種別T32、送信光増幅器種別T33、および、終点ノードの受信光増幅器種別T32の情報を取得する(D02)。次にOpS300は、光増幅器155毎の光信号対雑音比OSNRを算出する(D03)。続いてOpS300は、開通する光パス200と経路が重なる範囲のOSNRDUPを以下の式(5)のように算出する。
【0084】
【数5】
パスの始点から経路が重なる部分の終点までの累積OSNRを考える。しかし、OSNRは、再生中継器130の適用により初期化されるため、再生中継器適用ノード毎に区間を区切る。各区間の累積OSNRの中で最小のもの(最も誤りが起きる可能性が高い値)を、経路が重なる範囲の累積OSNRDUPとする(D04)。
【0085】
経路が重なる範囲の累積OSNRDUPをB05〜B10と同様の手順にて判定を行う(D05〜D10)。閾値X、閾値Yについても、パス伝送可否判定B00に用いた固定値X、Yを用いる。
【0086】
パス伝送可否判定B00、既開通パスの影響判定D00共に、「他波長の信号を誤らせる」「自身の信号が誤る」「信号を誤らせない」のいずれかの結果が判定される。なお、判定結果は、フローチャートでは省いたが、OpS300は、レジスタ等に保持している。
【0087】
ダイアログ表示処理C00について、図23、図24を参照して説明する。ここで、図23は表示メッセージと表示ボタンを説明する図である。図24はダイアログ表示のフローチャートである。
【0088】
図23において、表示メッセージは、図17Cおよび図17Dの表示欄G23に表示するメッセージである。また、ボタンは、図17Cおよび図17DのボタンG21およびG22に表示する/しないボタンである。レコードF01の表示メッセージは、「他波長パスに影響を与える可能性があるため、パス開通処理を実行できません」であり、OpS300は、パス開通を拒絶する。レコードF02の表示メッセージは、「開通済みパスの影響で、正常にパス開通できない恐れがあります。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF03の表示メッセージは、「正常にパス開通できない恐れがあります。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF04の表示メッセージは、「正常ではない開通済みパスが経路上に存在します。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF05の表示メッセージは、「パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、さらなるパス開通を確認する。
【0089】
図24において、OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定A03#1の判定結果において、”他波長の信号を誤らせる”という結果だったか判定する(C02)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF01を表示し(C03)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0090】
C02においてNOのとき、OpS300は、既開通パスの伝送可否判定A03#2に1つでも、”他波長の信号を誤らせる”という結果だったか判定する(C04)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF02を表示し(C05)、ダイアログ表示処理C00を終了する。C04においてNOのとき、OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定A03#1の判定結果において、”自身の信号が誤る”という結果だったか判定する(C06)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF03を表示し(C07)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0091】
C06においてNOのとき、OpS300は、既開通パスの伝送可否判定A03#2に1つでも、”自身の信号が誤る”という結果だったか判定する(C08)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF04を表示し(C09)、ダイアログ表示処理C00を終了する。C08においてNOのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF05を表示し(C10)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0092】
最後に、パス削除処理について説明する。ユーザによる、パス管理画面G00において、フィールドG08の開通済みパスから削除するパスの選択と、削除ボタンG03の押下を受け付けることで、OpS300は、パス削除に必要な命令を各OADMノード100に送信し、OpS300は選択された光パス200を既開通パス情報(図14)から削除する。
【0093】
以上のような構成で再生中継器を適用した光パスの管理を実現する。上述した実施例では、監視制御装置(OpS)300が光パス200を開通させる際に、光信号が誤る可能性がないか、既開通の他波長の光パス200が誤る可能性がないかの判定を行ない、結果をユーザに通知する。他波長の光パスの信号に誤りを発生させる可能性がある場合、パス開通処置を行わない。
【0094】
上述した実施例に拠れば、再生中継器を用いた光パス開通時に、光信号の到達可能性と他波長の光パスに悪影響を与える可能性を容易に確認できる。既に開通している光パスの信号に誤りが生じた場合、新規開通する光パスが届かない場合よりも大きな事故に繋がるが、これを未然に防ぎ、信頼性の高いパス開通設計を行うことが可能となる。また、伝送可否判定に用いる、光増幅器の種別の情報をユーザが入力せずに、装置から直接読み取ることにより、人為的なミスを減らし、信頼性の高いパス開通設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】再生中継器の設定誤りを説明する図である。
【図2】光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である(再生中継器正常設定時)。
【図3】光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である(再生中継器正常設定誤り時)。
【図4】光ネットワークのブロック図である。
【図5】OADMノードの機能ブロック図である。
【図6】再生中継器を適用したOADMノードの機能ブロック図である。
【図7】光増幅部のブロック図である。
【図8】再生中継器のブロック図である。
【図9】光増幅器と再生中継器の機能を示した図である。
【図10】OpSの機能ブロック図である。
【図11】OpSのハードウェアブロック図である。
【図12】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図13】トポロジー情報テーブルを説明する図である。
【図14】既開通パス情報テーブルを説明する図である。
【図15】光増幅器性能情報テーブルを説明する図である。
【図16】装置情報テーブルを説明する図である。
【図17A】Opsでの光パス管理画面である。
【図17B】Opsのパス開通ダイアログ画面である。
【図17C】Opsの確認画面である(その1)。
【図17D】Opsの確認画面である(その2)。
【図18】パス開通のフローチャートである。
【図19】OpSによる、パス伝送可否判定のフローチャートである。
【図20】伝送可否判定における閾値Yの算出方法を説明する図である。
【図21】光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する図である。
【図22】既開通パスによる影響判定のフローチャートである。
【図23】表示メッセージと表示ボタンを説明する図である。
【図24】ダイアログ表示のフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
100…OADMノード、110…OADM部、120…トランスポンダ、130…再生中継器、150…光増幅部、160…装置内監視制御部、170…光分岐挿入部、180…IF部、200…光パス、300…OpS、305…補助記憶装置(HDD)、310…中央演算処理装置(CPU)、315…入出力部(I/OIF)、320…主記憶装置、325…内部バス、340…入力部、350…出力部、360…演算処理部、361…伝送可否判定部、362…既開通パス影響判定部、363…開通可否判定部、364…ダイアログ表示部、365…パス開通実行部、370…通信処理部、380…データベース部、450…DCN、550…局間光ファイバ、600…光ネットワーク、650…光ネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視制御装置およびプログラムに係り、特に波長多重OADM(Optical Add Drop Multiplexer)に接続された監視制御装置およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のブロードバンドの急激な普及に伴い、大容量・長距離の光通信装置が必要とされている。大容量化の実現手段として、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重化して通信する光波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式が発展している。また、長距離を実現するために、通信ネットワークは、OADM、光増幅器(1R)、再生中継器(3R)等を用いて構成される。
【0003】
従来の光伝送ネットワークでは、再生中継器を適用した光パスの到達可能性を判別することで、ネットワークの設計を行う手法がある。これには、ネットワーク設計装置により事前に、再生中継器を用いない場合のネットワークモデルの雑音量を元に必要となる再生中継器の数を算出し、再生中継器の適用台数に基づいて再生中継器適用箇所を決定する手法(特許文献1)、再生中継器を配置したネットワークモデルにたいして、想定されるパスの伝送可否判定を行う手法(特許文献2)が該当する。
【0004】
しかし従来技術では、ネットワーク設計によって決定した光パスを開通する際に、設定を誤ってしまった場合の光パスへの影響を検討していない。このため、ネットワークにおける、より安全な再生中継器の適用手法が必要となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−048477号公報
【特許文献2】特開2006−042279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
再生中継器を適用することにより、伝送距離・伝送帯域の制限を回避できる。しかし、再生中継器は、光増幅器に比べ高価である。さらに、光増幅器は、1台で全波長分の光信号を一括増幅するが、再生中継器は、1台につき1波長分の光信号にしか適用できない。再生中継器を全波長分用意して適用するか否かの設定をするという方法を用いるのは、非常にコストがかかり、現実的ではない。また、再生中継器を適用するか否かの設定は、各波長の光パス毎に行うため、設定誤りを起こしやすい。
【0007】
光伝送設計において、光信号対雑音比OSNR(Optical Signal−to−Noise Ratio)は、十分に大きな値となるように設計する。再生中継器を適用しないと伝送できないほど長い伝送距離の光パスについて、再生中継器を適用しなかった場合に起きる課題について、図1を用いて説明する。ここで、図1は再生中継器の設定誤りを説明する図である。特に、図1(a)は波長λnに前段で再生中継器が適用された状態、図1(b)は設定誤りにより波長λnに前段で再生中継器が適用されない状態を示す。
【0008】
図1において、縦軸は光レベル、横軸は波長である。光信号400#1は、光分岐挿入部においてフィルタ500#1により、中心波長λn−1の光が切り出される。同様に光信号400#2は、光分岐挿入部においてフィルタ500#2により、中心波長λnの光が切り出される。
【0009】
前段のOADMノードで、再生中継器を適用すべき光パス(λn)に対して再生中継器を適用しなかった場合、波長λnのOSNRが想定より小さな値になる。各フィルタ500には重なる箇所(A部)が存在する。このため、OSNRが非常に小さな値である光信号400#2は、光分岐挿入部においてフィルタ500#2により、中心波長λnの光を切り出そうとする際に、雑音に埋もれてしまう。
【0010】
さらに、中心波長λn−1の光信号400#1を切り出す際に使用するフィルタ500#1でA部の雑音を除去をできず、雑音がλn−1の光信号400#1に混入してしまう。混入した雑音量が大きければ、設定誤り波長以外の波長の光パスの光信号まで誤ってしまう。
【0011】
図2、図3を用いて、再生中継器の設定を誤った際の影響について説明する。ここで、図2および図3は光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である。図2(a)および図3(a)は光ネットワークの構成を説明するブロック図である。光ネットワークは、OADMノード100#4〜100#8によるリニアネットワークを構成している。この光ネットワークにおいて、OADMノード100#4からOADMノード100#8に抜けている光パス200#λ2と、OADMノード100#5でアッドされOADMノード100#8でドロップされている光パス200#λ1に注目する。図2(a)において、光パス200#λ2は、OADMノード100#6にて再生中継されている。一方、図3(a)において、光パス200#λ2は、OADMノード100#6にて再生中継を適用されていない。なお、図2(a)において、OADMノード100#6が2重丸で表現しているのは、再生中継が可能なノードであることを意味している。これは、他の図面でも共通である。
【0012】
図2(b)および図2(c)ならびに図3(b)および図3(c)は、縦軸にOSNR、横軸にOADMノードをとったグラフである。図2(b)および図3(b)は、波長λ1についてのグラフ、図2(c)および図3(c)は、波長λ2についてのグラフである。図中、自波長の信号を誤らせる可能性があるかのOSNR閾値をXとし、他波長の信号をも誤らせる可能性があるかのOSNR閾値をYとする。閾値X、Yの値は、OpSが保有する固定値である。
【0013】
上述したネットワークで、波長λ1の光パス200#λ1が開通済みの状態で、波長λ2の光パス200#λ2を新規開通する状況を考える。図2において、光パス200#λ2を開通時に、OADMノード100#6に波長λ2の識別再生を行う再生中継器を適用する。再生中継器を適用することで、図2(c)に示すように、OADMノード100#6で光パス200#λ2のOSNRが回復している。この結果、光信号のOSNRは、共にX以上の値を保ち、正常な光信号を送ることに成功している。
【0014】
図3を参照して、再生中継器を適用せずに光パス200#λ2を新規開通する状況を説明する。図3(c)において、光パス200#λ2のOSNRは劣化を続け、OADMノード100#6を超えた時点でOSNRがXを下回り、光信号に誤りが生じてしまう。さらにOADMノード100#7を超えた時点で、光パス200#λ2のOSNRは閾値Yを下回り、波長λ2の光信号の雑音が波長λ1の光信号にまで混入してしまう。この雑音により、光パス200#λ1のOSNRは閾値Xを下回り、光信号に誤りが生じてしまう。
【0015】
このように再生中継器の適用設定を誤ってしまうと、自身の信号だけではなく、他波長の信号に誤らせる可能性がある。特に、既に開通している他波長の光パスの信号に誤りが生じた場合、新規開通する光パスが届かない場合よりも大きな事故に繋がってしまう。さらに近年、波長分割多重の高密度化により波長間の間隔が狭くなり、他の波長に影響を与える可能性が高くなってきている。
【0016】
本発明は、監視制御装置による光パスの開通設定時に、新規開通する光パスの信号に誤りが発生する可能性および他波長の光パスの信号に誤りを発生させる可能性の判定を行なう。これによって、設定誤りのリスクを減らす監視制御装置およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題は、複数の光分岐挿入多重装置と接続され、複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御し、光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部を備える監視制御装置により、達成できる。
【0018】
また、複数の光分岐挿入多重装置と接続されたコンピュータを、複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する光パス設定制御部、光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部として機能させるプログラムにより、達成できる。
【発明の効果】
【0019】
設定誤りのリスクを減らす監視制御装置およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
光パス200#1に関する装置除法テーブルである。
【0021】
図4を参照して、光ネットワークの構成を説明する。ここで、図4は光ネットワークのブロック図である。図4において、光ネットワーク600は、4台のOADMノード100により、高密度光波長多重(DWDM:Dense WDM)のリング網を構成している。各OADMノード100は、局間光ファイバ550により接続される。
【0022】
OADMノード100は、OADM部110とトランスポンダ120、さらに必要に応じて再生中継器130を実装し、監視制御装置(OpS:Operation System)300により光パス200が開通される。なお、トランスポンダ120、再生中継器130のポートに入出力されるクライアント信号には、10GbE、GbE信号、STM−64/OC−192、STM−16/OC−48、STM−4/OC−12等が収容される。
【0023】
OADMノード100には、主回線とは別に監視制御線用のOSC(Optical Supervisory Channel)機能を有している。OpS300とOADMノード100は、DCN(Data Communication Network)450に接続されたOADMノード100をゲートウェイとして、論理的にネットワーク接続される。このOSCを用いて、OpS300は、TL1コマンド等を使い遠隔にてOADMノード100の監視制御を行なう。
【0024】
OADM部110における局間光ファイバ550との接続口2つについて、一方を”West方向”、もう一方を”East方向”と定義する。
【0025】
図5、図6を参照して、OADMノードの構成を説明する。ここで、図5および図6は、OADMノードの機能ブロック図である。図5において、OADMノード100Aは、光増幅部150、光分岐挿入部170、IF部180、装置内監視制御部160から構成される。
【0026】
光増幅部150は、波長多重信号光を電気信号に変換することなく局間伝送可能な信号光強度に一括増幅する。光分岐挿入部170は、光増幅部150より受信した波長多重信号光を分離し、任意の波長について分岐、挿入もしくは通過後、再度、波長多重を行い、光増幅部150に送信する。
【0027】
IF部180は、1波長毎にトランスポンダ120を有する。トランスポンダ120は、ポートより受信したクライアント信号を波長多重するために適正な信号フォーマット、信号光強度、信号光波長に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。また、トランスポンダ120は、光分岐挿入部170で分離した任意の波長を、図示しない外部端局装置と接続するために適正な信号フォーマット、信号光強度、信号光波長に変換し、ポートへ送信する。
【0028】
装置内監視制御部160は、光増幅部150、光分岐挿入部170、IF部180で検出した警報、イベント通知を収集し、その結果をOpS300へ通知する。また、装置内監視制御部160は、OpS300からの制御により装置設定を行なう。
【0029】
図6において、OADMノード100Bは、IF部180に再生中継器130を備える。再生中継器130は、光分岐挿入部170で波長分離された光信号を一度電気信号に変換した後、識別再生を行い、また光信号に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。なお、IF部180に、トランスポンダ120と再生中継器130とが設けられていても構わない。また、再生中継器130の出力をトランスポンダ120としても良い。
【0030】
図7を参照して、光増幅部の構成を説明する。ここで、図7は光増幅部のハードウェアブロック図である。図7において、光増幅部150は、2台の光増幅器155、OSC光分波器151、OSC光合波器152、可変光減衰器153で構成される。
【0031】
受信光増幅器155#1、送信光増幅器155#2は、波長多重信号を一括増幅する。受信光増幅器155#1は、入力部に可変光減衰器153を備えており、自動レベル制御で動作し、入力レベルを所定のレベルに調整する。OSC光分波器151、OSC光合波器152は、主信号とOSCとの分波/合波を行い装置内監視制御部160へ送信/から受信し、装置内監視制御部160からの監視制御を可能としている。なお、OSCはノード区間ごとに再生中継されている。
【0032】
図8を参照して、再生中継器の構成を説明する。ここで、図は再生中継器の機能ブロック図であう。図8において、再生中継器130は、それぞれ2台のLine光モジュール135、クロック抽出部131、TxPLL133、OTU終端・生成部132で構成される。
【0033】
Line光モジュール135は、光分岐挿入部170より分岐された信号に対して光/電気変換を行う。クロック抽出部131は、Line光モジュール135からの電気信号に対して識別再生、リタイミングを行う。TxPLL133は受信Lineクロックに同期した送信Lineクロックを生成する。OTU終端・生成部132は、OTNフレーム信号のOPU/ODUをスルーし、OTU終端・生成を行う。
【0034】
OTU終端・生成部132からのOTNフレーム信号について、Line光モジュール135は、波長多重するための信号光波長、信号光強度に変換し、光分岐挿入部170へ送信する。
【0035】
光伝送ネットワークにおける光増幅器155、再生中継器130の適用について、図9を参照して、説明する。ここで、図9は光伝送ネットワークの構成と信号波形を説明する図である。
【0036】
図9において、OADMノード100#1、100#2、100#3より構成される光伝送ネットワークにおいて、OADMノード100#1、100#2には、光増幅器155のみ適用されており、OADMノード100#3には、再生中継器130も適用されている。すなわち、図9(a)のネットワークは光増幅器のみによる増幅、図9(b)のネットワークは光増幅器と再生中継器による増幅である。図9(c)〜図9(f)の縦軸は光レベル、横軸は波長であり、ネットワークの位置におけるスペクトルである。
【0037】
OADMノード100#1から送信された直後のスペクトル(図9(c))に対し、長距離伝送後のスペクトル(図9(d))は光レベルが弱まっている。OADMノード100#2の光増幅器155の効果により、光レベルは回復するが、同時に雑音も増幅してしまう。このため、光増幅器のみでは、図9(e)に示すように、OSNRは劣化する。
【0038】
OADMノード100#3は、再生中継器130を採用したノードである。3台の再生中継器130を用いることで、光信号を一度電気信号に変換した後、識別再生を行い、また光信号に変換することで、図9(f)に示すように、OSNRを回復することができる。
【0039】
OpS300は、PC/WS等の一般的な情報処理装置であり、光パス200を管理するためのソフトウェアがインストールされ、ユーザにより起動される。図10を参照して、OpSの構成を説明する。ここで、図10はOpSの機能ブロック図である。
【0040】
図10において、OpS300は入力部340、出力部350を用いてユーザにより操作される。演算処理部360は、OADMノード100の監視制御に必要な演算を行い、必要な情報をデータベース部380に保持する。演算処理部360は、OADMノード100に命令を実行するとき、通信処理部370に通信命令を送信し、OpS300とOADMノード100間の通信を実現する。演算処理部360は、パス開通実行部365、伝送可否判定部361、既開通パス影響判定部362、開通可否判定部363、ダイアログ表示部364にて構成される。
【0041】
パス開通実行部365は、OADMノード100と通信を行うことで、各OADMノード100の光分岐挿入部170の分岐を制御し、光パス200の開通を行なう。
【0042】
伝送可否判定部361、既開通パス影響判定部362、開通可否判定部363、ダイアログ表示部364は、それぞれパス開通処理A00(図18)、パス伝送可否判定B00(図19)、既開通パスによる影響判定D00(図22)、ダイアログ表示部C00(図24)を担当する。このため、図18〜図24を用いて、後述する。
【0043】
図11を参照して、OpSのハードウェア構成を説明する。ここで、図11はOpSのハードウェアブロック図である。図11において、OpS300は、内部バス325で相互接続された中央演算処理装置(CPU)310、主記憶装置(メインメモリ)320、ネットワークカード(NIC:Network Interface Card)330、入出力部315、補助記憶装置305と、入出力部315に接続された入力部340、出力部350から構成される。
【0044】
図10と図11との対比から明らかなように、演算処理部360の機能361〜365は、主記憶装置320上のプログラムを、CPU310が実行することによって、実現している。
OpS300にて再生中継器を適用した、光パス200の管理を実現するためにOpS300がデータベース部380に保有するテーブル情報について、これ以降説明する。
【0045】
図12を参照して、テーブル情報の前提となるネットワーク構成を説明する。ここで、図12はネットワークの構成を説明するブロック図である。図12において、ネットワーク650は、5台のOADMノード100からなるリングネットワークである。図12において、OADMノード100は、それぞれノード名A〜Eがアサインされている。ネットワーク650には、OADMノードAをアッドノード、OADMノードCをドロップノードとする時計回りの光パス200#1と、OADMノードBをアッドノード、OADMノードDをドロップノードとする反時計回りの光パス200#2とが定義されている。また、OADMノードAは、再生中継が可能なノードである。
【0046】
各OADMノード100にて、光ファイバ550の接続、トランスポンダ120のパッケージ実装、再生中継器130のパッケージ実装、装置内ファイバ接続等、ハード接続がおこなわれた後、ユーザはOpS300に対して、リングを構成するOADMノード100のトポロジ情報を任意の順番にてトポロジ情報テーブルとして登録する。このトポロジ情報テーブルを図13を参照して説明する。ここで、図13はトポロジ情報テーブルを説明する図である。図13において、トポロジ情報テーブルT00は、各OADMノード100の、ノード名T01、IPアドレスT02、West側に隣接しているノード名T03、East側に隣接しているノード名T04で構成する。
【0047】
また、パス開通処理を行なうと、OpS300は、開通したパス情報を自身が保有する既開通パス情報テーブルに追加する。他方、パス削除処理が行われると、OpS300は、削除したパスの情報を既開通パス情報テーブルから削除する。既開通パス情報テーブルについて、図14を参照して説明する。ここで、図14は既開通パス情報テーブルを説明する図である。図14において、既開通パス情報テーブルT10は、パス名T11、波長T12、始点ノードT13、終点ノードT14、パスの方向T15、再生中継器適用ノードT16にて構成する。
【0048】
OpS300は、光増幅器種別毎の性能情報(固定値)を光増幅器性能情報テーブルとして保有する。光増幅器性能情報テーブルについて、図15を参照して説明する。ここで、図15は光増幅器性能情報テーブルを説明する図である。図15において、光増幅器性能情報テーブルT20は、光増幅器種別T21、出力光レベルP T22、雑音指数NF T23、利得G T24にて構成する。
【0049】
図16を参照して、装置情報テーブルを説明する。ここで、図16は装置情報テーブルを説明する図である。図16において、図16(a)は光パス200#1に関する装置情報テーブルである。一方、図16(b)は光パス200#2に関する装置情報テーブルである。OpS300は、OADMノード100に通信を行うことで、ノード名T31を参照し、各OADMノード100に実装されている受信光増幅器の種別T32、送信光増幅器の種別T33にて構成される装置情報テーブルT30を作成する。
【0050】
図17を参照して、OpSでの光パスを管理する画面を説明する。ここで、図17AはOpsの光パス管理画面である。図17Aにおいて、パス管理画面G00は、OpS300の出力部350に表示する画面である。パス管理画面G00は、光パス200の開通状態を表示するフィールドG07と、開通済みパスの詳細情報を表示するフィールドG08で構成する。
【0051】
パス管理画面G00は、リングを構成するOADMノード100をアイコンG01で表示する。各アイコンG01には、ノード名、West/East方向を付与する。また、光パス200の経路G05を表示する。再生中継器130を適用しているOADMノード100では、折り返し経路G06を表示する。
【0052】
フィールドG07には、開通ボタンG02、削除ボタンG03が設置されている。ユーザによる開通ボタンG02の押下を受け付けることで、OpS300は、パス開通処理を行なう。逆に、削除ボタンG03の押下を受け付けることで、OpS300は、パス削除処理を行う。
【0053】
図17BはOpsのパス開通ダイアログ画面である。パス開通ダイアログ画面G10は、新たなパスを開通させるための画面である。パス開通ダイアログ画面G10は、図17Aで開通ボタンG02の押下を受け付けたとき、OpS300が表示する。パス開通ダイアログ画面G10は、波長入力部G11、始点ノード入力部G12、終点ノード入力部G13、方向入力部G14、再生中継器設定部G15、開通ボタンG16とから構成される。OpS300は、ユーザによる各入力部、設定部G11〜G15への入力と、開通ボタンG16の押下を受け付ける。
【0054】
図17Cおよび図17DはOpsの確認画面である。図17Cおよび図17Dにおいて、確認画面G20は、メッセージ表示部G23と、Yes/OKボタンG21、必要に応じてNoボタンG22を表示する。確認画面G20は、ユーザの設定に対する警告/確認画面である。特に警告画面G20Bは、他波長パスに影響を与えるため、そのままの継続ができない。
【0055】
パス開通処理について図18を参照して、説明する。ここで、図18はパス開通のフローチャートである。図18において、OpS300は、パス管理画面G00を表示している。OpS300は、ユーザによる開通ボタンG02を押下を受け付けることで、パス開通処理A00を開始し、パス開通ダイアログG10を表示する。OpS300は、ユーザによる新規開通する光パス200の波長、始点ノード、終点ノード、方向、再生中継器の適用を受け付ける(A02)。このとき、OpS300は、画面G15において、0個以上の複数のノードを選択することを可能とし、それ以外の画面については1つの項目を選択することを必須とする。
【0056】
OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定B00を行なう(A03#1)。伝送可否判定B00の詳細については、図19を参照して後述する。OpS300は、自身が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)および既開通パス情報テーブルT10(図14)を用いて、新規開通する光パス200と経路が重なっている既開通の光パス200の情報を取得する(A04)。
【0057】
2本の光パス200の経路が重なっているかどうかの判定処理は、以下のようにして、OpS300により行われる。まずOpS300は、比較する2本の光パス200毎の経路を特定する。OpS300は、光パス200の始点ノード、終点ノードの名前、およびパスの方向の情報(新規開通パスの場合は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した情報、既開通パスの場合は、既開通パス情報テーブルT10(図14)をOpS300が参照する)と、OpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)のノード名T01、West側の隣接ノードT03、East側の隣接ノードT04の情報を参照し、経路となる全てのOADMノード100を特定する。特定された2本の光パス200毎の経路となるOADMノード100に、2つ以上同じOADMノード100が含まれている場合、OpS300はこの2本の光パス200は経路が重なっていると判定をする。
【0058】
具体的には、OpS300は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した情報、およびOpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)を用いて、光パス200#2の経路がB→A→E→Dであることを特定する。続いてOpS300は、自身が保有する既開通パス情報(図14)およびトポロジ情報テーブルT00(図13)を用いて、光パス200#1の経路がA→B→Cであることを特定する。
【0059】
光パス200#1の経路となるOADMノード100は、ノードA、B、Cであり、光パス200#2の経路となるOADMノード100は、ノードB、A、E、Dである。両者には、同じOADMノード100(ノードA、B)が2つ含まれているので、OpS300は、光パス200#1と光パス200#2は経路が重なっていると判定する。
【0060】
次にOpS300は、判定を行なっていない経路が重なる既開通パスがあるか判定する(A05)。YESのとき、既開通パスの影響判定D00を行う(A03#2)。既開通パスの影響判定D00の詳細については、図22を参照して後述する。
【0061】
A05の判定がNOのとき、OpS300は、A03#1およびA03#2の判定結果から、ダイアログ表示処理C00にて、確認ダイアログG20を表示する(A06)。OpS300は、ユーザによるボタン押下を受け付ける(A07)。OpS300は、押下されたボタンがYesボタンか判定する(A08)。
【0062】
ユーザがYesボタンを押下したとき(A08:YES)、OpS300は、パス開通に必要な命令を各OADMノード100に送信する(A09)。OpS300は、新規開通パスの情報をOpS300が保有する既開通パス情報(図14)に追加し(A10)、パス開通処理を終了する。
A08でユーザ押下したのがNoボタンまたはOKボタンのとき、OpS300はパス開通処理を終了する。
【0063】
図18の伝送可否判定B00について、図19を参照して説明する。ここで、図19はパス伝送可否判定処理のフローチャートである。図19において、まずOpS300は、パス開通ダイアログG10にてユーザが選択した、開通する光パス200の始点ノードG12、終点ノードG13の名前、およびパスの方向の情報G14と、OpS300が保有するトポロジ情報テーブルT00(図13)のノード名T01、West側の隣接OADMノードT03、East側の隣接OADMノードT04の情報を参照し、経路となる全てのOADMノード100を特定する。
【0064】
OpS300は、特定されたOADMノード100において、ノード名T01から参照できるIPアドレスT02を用いて、通信を行うことで、OADMノード100が保有している装置情報を取得し、図16で示すように、始点ノードの送信光増幅器種別T33、および、中継ノードの受信光増幅器種別T32、送信光増幅器種別T33および終点ノードの受信光増幅器種別T32の情報を取得する(B02)。なお、光パス200およびOADMノード100が定まれば、対応する光増幅器155は一意に定まる。
【0065】
次にOpS300は、光増幅器155毎に、保有する光増幅器の性能情報テーブルT20(図15)を用いて、光増幅器種別T21を参照し、出力光レベルP T22、雑音指数NF T23、利得G T24を取得する。取得した情報、およびパス開通ダイアログG10にてユーザが選択した、再生中継器の適用位置G15から、OpS300は、以下の式を用いて光増幅器155毎の光信号対雑音比OSNRを算出する(B03)。
【0066】
【数1】
OpS300は、各光増幅器155毎のOSNRより、ノードX1→X2→…→Xnの累計OSNRX1_Xnを以下の式(2)を用いて算出する(B04)。
【0067】
【数2】
OSNRは、再生中継器130の適用により初期化されるため、再生中継器130適用ノード毎に区切った区間の累積OSNRを考える必要がある。OpS300は、以下の式(3)を用いて、各区間の累積OSNRの中で最小のもの(最も誤りが起きる可能性が高い値)をパス全体のOSNRPATHとし、これを用いて判定を行う。
【0068】
【数3】
自身の信号を誤らせる可能性があるかの閾値をXとし、他波長の信号を誤らせる可能性があるかの閾値をYとする。閾値X、Yの値はOpS300が保有する固定値である。OpS300は、OSNRALLを閾値XおよびYと比較することで判定を行う。OpS300は、OSNRALL≦Yか判定する(B05)。YESであれば、OpS300は、光パス200が他波長の信号および自波長の信号を誤らせると判定し(B06)、終了する。B05がNOのとき、OpS300は、OSNRALL≦Xか判定する(B07)。YESであれば、光パス200自身の信号を誤らせると判定して(B08)、終了する。B07でNOのとき、OpS300は、光パス200は信号を誤らせないと判定し(B09)、伝送可否判定B00を終了する。
【0069】
ここで、閾値X、Yについて説明する。閾値Xは波長多重信号光が複数ノード伝送された際に、あらゆる信号光が所定のビットエラーレート(以下BERと記載。数値としては例えばBER=10^−12)を満足して伝送されるのに必要な最小OSNR値である。閾値Xは以下のようなパラメータから決定される。
(a)トランスポンダ120単体のOSNR耐力:トランスポンダ120の送受信器間で直結した場合にBER=10^−12を満足するのに必要な最小OSNR
(b)OADMノード100のフィルタによるOSNRペナルティ:(a)のトランスポンダ120に対して、複数段のOADMノード100を透過することによって、トランスポンダ120の波長スペクトルが削られることによる(a)に対するOSNR耐力劣化量
(c)光ファイバ伝送路の非線形効果によるOSNRペナルティ:波長多重光を光ファイバ伝送路で伝搬した場合の四光波混合、相互位相変調効果等の非線形効果によって発生するクロストークや波形歪みでの(a)に対するOSNR耐力劣化量
(d)トランスポンダ120受信端での残留分散によるOSNRペナルティ:光ファイバ伝送路の分散を補償し切れない信号光が入力された場合の(a)に対するOSNR耐力劣化量
(b)〜(d)については再生中継なしで伝送可能な最大区間数(例えば最大装置数が20であるならば、パス開通での最大区間数は19区間)を設定し、その最大区間数時の特性を光ファイバ伝送路シミュレーションによりそれぞれの効果によるOSNR劣化量を予め決定しておく。閾値Xの値は、(a)のトランスポンダ120単体でのOSNR耐力に対し、伝送路、装置を通過することによるOSNR耐力劣化量(b)(c)(d)を加えたものとなる。(a)のトランスポンダ120のOSNR耐力が17dBで規定されており、それに対して(b)〜(d)によるOSNR劣化量がそれぞれ1dBであると見積もられるならば、閾値Xの値は20dBと決定される。
【0070】
閾値Xは、波長多重光のいずれの主信号ともに正常な光特性で伝搬するのに必要な最小OSNRである。これに対して閾値Yは、既に光パス200が設定されている主信号のOSNRはX以上の値であるのに対し、これから新規に設定しようとする主信号が既存主信号の隣接チャネルであって更にそのOSNRがXを満足しない場合に、どの程度までのOSNRならば既存主信号に対して影響を与えずにパス設定ができるかを表すパラメータである。閾値Yは図1のλn−1、λnのフィルタ透過特性でλn−1とλnの信号の中央の位置における隣接チャネルとのアイソレーションをZとすると、
【0071】
【数4】
式(4)で規定される(図20参照)。例えば、X=20dB、Z=10dBとするならばY=10dBである。
【0072】
図20を参照して、閾値Yの算出を説明する。ここで、図20は伝送可否判定における閾値Yの算出方法を説明する図である。図20において、縦軸は光レベル、横軸は波長である。閾値Xは、当該波長における信号光レベルと光ノイズレベルとの差である。アイソレーションZは、隣接波長間の中央値((λn−1+λn)/2)における波長フィルタ500#2の分離可能光レベルと光信号レベルとの差である。したがって、式(4)から閾値Yは、信号レベル隣接波長間の中央値における波長フィルタ500#2の分離可能光レベルと光ノイズレベルとの差である。
【0073】
以下、図12のネットワーク構成に基づいて、伝送可否判定B00を具体的に説明する。ここでは、光パス200#1は、既に開通済みであり、光パス200#2を新規開通する状況(パス開通ダイアログG10にてユーザが、波長G11を”λ2”、始点G12を”B”、終点G13を”D”、方向G14を”W→E”、再生中継器G15を”A”と選択し、開通ボタンG16を押下した状態)とする。
【0074】
OpS300は、光パス200#2の伝送可否判定を以下のように行なう。OpS300は、ユーザが選択した情報および、トポロジ情報(図13)を用いて、光パス200#2の経路を特定する。OpS300は、光パス200#2のパス方向がWest→Eastであるため、始点ノードBから終点ノードDまでWest方向のノードを参照していく。これにより、OpS300は光パス200#2の経路がB→A→E→Dであることを特定する。
【0075】
続いてOpS300は、経路となる全てのノード(B、A、E、D)において、トポロジ情報テーブルT00(図13)を参照し、対応するIPアドレス(10.0.0.2、10.0.0.1、10.0.0.5、10.0.0.4)を取得する。OpS300は、得られたIPアドレスを用いて通信を行うことで、図16に示す装置情報を取得する。
【0076】
次にOpS300は、再生中継器130の位置A、光増幅器性能情報テーブルT20(図15)を用いて式(2)を計算し、光パス200#2のOSNRALLを算出する。OpS300は以上の計算の結果から、光パス200#2のOSNRALL”22.7”を取得する。
【0077】
判定にもちいる閾値は、X=22、Y=20と定められているとすると、条件OSNRALL≦Yを満たさず、さらに条件OSNRALL≦Xを満たさないので、OpS300は、光パス200#2は信号を誤らせない、と判定する。
【0078】
仮に光パス200#2において、再生中継器130を適用しなかった場合の光パス200#3を考える。
【0079】
OpS300は、再生中継器130の位置(ノードA)、光増幅器性能情報テーブルT20(図15)を用いて式(2)を計算し、光パス200#3のOSNRALLを算出する(図21E01参照)。OpS300は以上の計算の結果から、光パス200#3のOSNRALL”19.8”を取得する。
条件OSNRALL≦Yを満たすので、光パス200#3は、他波長の信号をも誤らせる、とOpS300が判定する。
【0080】
ここで、図21を参照して、光パス200#2と光パス200#3の光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する。ここで、図21は光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する図である。特に、図21(a)は光パス200#2、図21(b)は光パス200#3に関する。
【0081】
図21(a)において、光パス200#2は、ノードB、A、E、Dの順である。ノードBは、送信のみのノード、ノードAとノードEは、受送信ノード、ノードDは、受信のみのノードである。ノードAは、再生中継器を実装(○)している。累積OSNRは、ノードBの送信光増幅器と、ノードAの受信光増幅器とで式(2)から、23.0を得る。また、ノードAの送信光増幅器と、ノードEの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードDの受信光増幅器とで式(2)から、22.7を得る。全体のOSNRは、後者の22.7である。
【0082】
一方、図21(a)において、光パス200#3は、ノードB、A、E、Dの順である。ノードBは、送信のみのノード、ノードAとノードEは、受送信ノード、ノードDは、受信のみのノードである。ノードAは、再生中継器を実装していない(×)。累積OSNRは、ノードBの送信光増幅器と、ノードAの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードEの受信光増幅器および送信光増幅器と、ノードDの受信光増幅器とで式(2)から、19.8を得る。全体のOSNRは、同様に19.8である。
【0083】
既開通パスの影響判定D00について、図22を参照して、説明する。ここで、図22は既開通パスによる影響判定のフローチャートである。図22において、まずOpS300は、既開通パスの経路における始点ノードの送信光増幅器種別T33、および、中継ノードの受信光増幅器種別T32、送信光増幅器種別T33、および、終点ノードの受信光増幅器種別T32の情報を取得する(D02)。次にOpS300は、光増幅器155毎の光信号対雑音比OSNRを算出する(D03)。続いてOpS300は、開通する光パス200と経路が重なる範囲のOSNRDUPを以下の式(5)のように算出する。
【0084】
【数5】
パスの始点から経路が重なる部分の終点までの累積OSNRを考える。しかし、OSNRは、再生中継器130の適用により初期化されるため、再生中継器適用ノード毎に区間を区切る。各区間の累積OSNRの中で最小のもの(最も誤りが起きる可能性が高い値)を、経路が重なる範囲の累積OSNRDUPとする(D04)。
【0085】
経路が重なる範囲の累積OSNRDUPをB05〜B10と同様の手順にて判定を行う(D05〜D10)。閾値X、閾値Yについても、パス伝送可否判定B00に用いた固定値X、Yを用いる。
【0086】
パス伝送可否判定B00、既開通パスの影響判定D00共に、「他波長の信号を誤らせる」「自身の信号が誤る」「信号を誤らせない」のいずれかの結果が判定される。なお、判定結果は、フローチャートでは省いたが、OpS300は、レジスタ等に保持している。
【0087】
ダイアログ表示処理C00について、図23、図24を参照して説明する。ここで、図23は表示メッセージと表示ボタンを説明する図である。図24はダイアログ表示のフローチャートである。
【0088】
図23において、表示メッセージは、図17Cおよび図17Dの表示欄G23に表示するメッセージである。また、ボタンは、図17Cおよび図17DのボタンG21およびG22に表示する/しないボタンである。レコードF01の表示メッセージは、「他波長パスに影響を与える可能性があるため、パス開通処理を実行できません」であり、OpS300は、パス開通を拒絶する。レコードF02の表示メッセージは、「開通済みパスの影響で、正常にパス開通できない恐れがあります。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF03の表示メッセージは、「正常にパス開通できない恐れがあります。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF04の表示メッセージは、「正常ではない開通済みパスが経路上に存在します。パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、パス開通を注意する。レコードF05の表示メッセージは、「パス開通処理を続行しますか?」であり、OpS300は、さらなるパス開通を確認する。
【0089】
図24において、OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定A03#1の判定結果において、”他波長の信号を誤らせる”という結果だったか判定する(C02)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF01を表示し(C03)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0090】
C02においてNOのとき、OpS300は、既開通パスの伝送可否判定A03#2に1つでも、”他波長の信号を誤らせる”という結果だったか判定する(C04)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF02を表示し(C05)、ダイアログ表示処理C00を終了する。C04においてNOのとき、OpS300は、新規開通パスの伝送可否判定A03#1の判定結果において、”自身の信号が誤る”という結果だったか判定する(C06)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF03を表示し(C07)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0091】
C06においてNOのとき、OpS300は、既開通パスの伝送可否判定A03#2に1つでも、”自身の信号が誤る”という結果だったか判定する(C08)。YESのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF04を表示し(C09)、ダイアログ表示処理C00を終了する。C08においてNOのとき、OpS300は、確認ダイアログG20にF05を表示し(C10)、ダイアログ表示処理C00を終了する。
【0092】
最後に、パス削除処理について説明する。ユーザによる、パス管理画面G00において、フィールドG08の開通済みパスから削除するパスの選択と、削除ボタンG03の押下を受け付けることで、OpS300は、パス削除に必要な命令を各OADMノード100に送信し、OpS300は選択された光パス200を既開通パス情報(図14)から削除する。
【0093】
以上のような構成で再生中継器を適用した光パスの管理を実現する。上述した実施例では、監視制御装置(OpS)300が光パス200を開通させる際に、光信号が誤る可能性がないか、既開通の他波長の光パス200が誤る可能性がないかの判定を行ない、結果をユーザに通知する。他波長の光パスの信号に誤りを発生させる可能性がある場合、パス開通処置を行わない。
【0094】
上述した実施例に拠れば、再生中継器を用いた光パス開通時に、光信号の到達可能性と他波長の光パスに悪影響を与える可能性を容易に確認できる。既に開通している光パスの信号に誤りが生じた場合、新規開通する光パスが届かない場合よりも大きな事故に繋がるが、これを未然に防ぎ、信頼性の高いパス開通設計を行うことが可能となる。また、伝送可否判定に用いる、光増幅器の種別の情報をユーザが入力せずに、装置から直接読み取ることにより、人為的なミスを減らし、信頼性の高いパス開通設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】再生中継器の設定誤りを説明する図である。
【図2】光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である(再生中継器正常設定時)。
【図3】光ネットワークの構成と各ノードでのOSNR変化を説明する図である(再生中継器正常設定誤り時)。
【図4】光ネットワークのブロック図である。
【図5】OADMノードの機能ブロック図である。
【図6】再生中継器を適用したOADMノードの機能ブロック図である。
【図7】光増幅部のブロック図である。
【図8】再生中継器のブロック図である。
【図9】光増幅器と再生中継器の機能を示した図である。
【図10】OpSの機能ブロック図である。
【図11】OpSのハードウェアブロック図である。
【図12】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図13】トポロジー情報テーブルを説明する図である。
【図14】既開通パス情報テーブルを説明する図である。
【図15】光増幅器性能情報テーブルを説明する図である。
【図16】装置情報テーブルを説明する図である。
【図17A】Opsでの光パス管理画面である。
【図17B】Opsのパス開通ダイアログ画面である。
【図17C】Opsの確認画面である(その1)。
【図17D】Opsの確認画面である(その2)。
【図18】パス開通のフローチャートである。
【図19】OpSによる、パス伝送可否判定のフローチャートである。
【図20】伝送可否判定における閾値Yの算出方法を説明する図である。
【図21】光増幅器毎のONSRと再生中継器有無、累積OSNR、全体のOSNRの計算結果を説明する図である。
【図22】既開通パスによる影響判定のフローチャートである。
【図23】表示メッセージと表示ボタンを説明する図である。
【図24】ダイアログ表示のフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
100…OADMノード、110…OADM部、120…トランスポンダ、130…再生中継器、150…光増幅部、160…装置内監視制御部、170…光分岐挿入部、180…IF部、200…光パス、300…OpS、305…補助記憶装置(HDD)、310…中央演算処理装置(CPU)、315…入出力部(I/OIF)、320…主記憶装置、325…内部バス、340…入力部、350…出力部、360…演算処理部、361…伝送可否判定部、362…既開通パス影響判定部、363…開通可否判定部、364…ダイアログ表示部、365…パス開通実行部、370…通信処理部、380…データベース部、450…DCN、550…局間光ファイバ、600…光ネットワーク、650…光ネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光分岐挿入多重装置と接続され、前記複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する監視制御装置において、
前記光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、前記トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、前記開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視制御装置であって、
さらに、前記既開通の光パスの影響により、前記開通させる光パスに障害が発生する第3の予想情報を生成する既開通パス影響判定部を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の監視制御装置であって、
前記伝送可否判定部および既開通パス影響判定部は、前記既開通の光パスと区間の重なる前記開通させる光パスとについて、当該光パス全体の光信号対雑音比を演算して、判定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
複数の光分岐挿入多重装置と接続されたコンピュータを
前記複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する光パス設定制御部、
前記光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、前記トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、前記開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部として機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムであって、
前記コンピュータを
さらに、前記既開通の光パスの影響により、前記開通させる光パスに障害が発生する第3の予想情報を生成する既開通パス影響判定部として機能させるプログラム。
【請求項1】
複数の光分岐挿入多重装置と接続され、前記複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する監視制御装置において、
前記光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、前記トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、前記開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視制御装置であって、
さらに、前記既開通の光パスの影響により、前記開通させる光パスに障害が発生する第3の予想情報を生成する既開通パス影響判定部を備えることを特徴とする監視制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の監視制御装置であって、
前記伝送可否判定部および既開通パス影響判定部は、前記既開通の光パスと区間の重なる前記開通させる光パスとについて、当該光パス全体の光信号対雑音比を演算して、判定することを特徴とする監視制御装置。
【請求項4】
複数の光分岐挿入多重装置と接続されたコンピュータを
前記複数の光分岐挿入多重装置のトポロジに基づいて光パスの設定を制御する光パス設定制御部、
前記光分岐挿入装置に設けられた光増幅器の種別情報と、この光増幅器の性能情報と、前記トポロジと、再生中継器の位置情報とから、開通させる光パスに障害が発生する第1の予想情報と、前記開通させる光パスの開通による既開通パスでの障害が発生する第2の予想とを生成する伝送可否判定部として機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムであって、
前記コンピュータを
さらに、前記既開通の光パスの影響により、前記開通させる光パスに障害が発生する第3の予想情報を生成する既開通パス影響判定部として機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−62647(P2010−62647A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223627(P2008−223627)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
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