監視装置及び照明システム
【課題】簡単な構成により適切に対象監視処理を行う。
【解決手段】遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群20と;第1のセンサ群20に近接して設けられると共に、第1のセンサ群20と略同一製造工程において製造され、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群30と;第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段40と;複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段50とを具備する。
【解決手段】遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群20と;第1のセンサ群20に近接して設けられると共に、第1のセンサ群20と略同一製造工程において製造され、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群30と;第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段40と;複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段50とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、赤外線イメージセンサを用いた監視装置及びこれを用いた照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線イメージセンサが実用的に使用されるようになり、各種の監視に応用されている。例えば、複数のセンサセルから得られる熱画像信号を2値化し、フレーム間差分とラベリングにより人体を検出するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記のように、赤外線イメージセンサを用いた従来の監視装置においては、プロセッサを用いた複雑で多量のデータ処理を行う必要があり、高速で高価なプロセッサが用いられ、装置全体のコストも高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−42924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような赤外線イメージセンサを用いた監視装置の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な構成により適切に対象監視処理を行うことが可能な監視装置を提供することである。また、他の目的は、この監視装置を用いた照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視装置は、遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群と;第1のセンサ群に近接して設けられると共に、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群と;第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段と;複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段とを具備し、最大値信号を用いて検出対象を監視することを特徴とする。
【0007】
複数のセンサセルは、直線状に並べられるか、マトリックス状に並べられるか、蜂の巣のごときハニカム構造状に並べられる。差分信号取得手段は、差動増幅器によって得ることができる。最大値検出手段は、論理ゲート回路によって作成した回路とすることができる。差動増幅器や論理ゲート回路は、第1のセンサ群や第2のセンサ群と共にCMOSの1デバイスとして作成しても良い。
【0008】
本発明に係る監視装置は、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る監視装置は、第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る照明システムは、照明負荷と;請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視装置と;監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行う制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る監視装置によれば、第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とにより得た複数の差分信号から最大値信号を求め、最大値信号を用いて検出対象を監視するので、フレーム間差分やラベリングなどの複雑な処理を高速で行うプロセッサが不要であり、安価で適切に監視を行うことが可能である。
【0012】
本発明に係る監視装置によれば、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定するので、簡単な構成により監視を行うことが可能である。
【0013】
本発明に係る監視装置によれば、第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されているので、複数のデバイスを配線して回路構成するする必要がなく、製造を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る照明システムによれば、監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行うので、簡単な構成によって照明制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る監視装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に係る監視装置の要部を示す構成図。
【図3】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す回路図。
【図4】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す回路図。
【図5】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における変形例を示す構成図。
【図6】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す構成図。
【図7】図6に示した回路による動作を説明する信号レベルの一例を示す図。
【図8】図6に示した回路による最終出力動作を説明する信号レベルの一例を示す図。
【図9】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す構成図。
【図10】本発明に係る監視装置の第2の実施形態を示す構成図。
【図11】本発明に係る照明システムにおける実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照して、本発明に係る監視装置及び照明システムの実施例を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の実施形態に係る監視装置の構成図を示す。監視装置10は、第1のセンサ群20、第2のセンサ群30、差分信号取得手段40、最大値検出手段50及び処理部60を備える。第1のセンサ群20、第2のセンサ群30、差分信号取得手段40及び最大値検出手段50は、1つのデバイス(ダイ)1に配置されてCMOSにより作成されている。
【0017】
第1のセンサ群20は、図2に示されるように、遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセル1PDがマトリックス状に並べられて構成されたものである。また、第2のセンサ群30は、図2に示されるように、第1のセンサ群20に近接して設けられると共に、第1のセンサ群20と略同一製造工程において製造され、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセル2PDがマトリックス状に並べられて構成されたものである。
【0018】
このため、複数の第1のセンサセル1PDが監視方向の人など温度に対応する信号を出力するのに対し、複数の第2のセンサセル2PDは、監視方向の遠赤外領域を除く温度に対応した信号を出力する。第1のセンサセル1PDの数と第2のセンサセル2PDの数は同数n(整数)である。
【0019】
差分信号取得手段40は、図1に示すようにn個の差動増幅器41−1〜41−nにより構成される。差動増幅器41−1は、第1のセンサ群20の第1番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第1番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diff1を出力し、差動増幅器41−2は、第1のセンサ群20の第2番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第2番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diff2を出力し、・・・(中略)・・・、差動増幅器41−nは、第1のセンサ群20の第n番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第n番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diffnを出力する。
【0020】
最大値検出手段50は、図3に示すようなダイオードD1〜Dnにより構成することができ、ダイオードD1〜Dnのカソード側をワイヤードオア接続して、接続点をコンデンサCmの一方の端子に接続している。コンデンサCmの他方の端子は接地されている。
【0021】
最大値検出手段50は、図3に示すダイオードD1〜Dnに代えて図4に示すように、ドレインとソースを接続したMOSトランジスタ(FET)T1〜Tnより構成することができる。ドレインとソースを接続したMOSトランジスタ(FET)は、ダイオードと同じ機能を有する。更に、最大値検出手段50は、図5に示すように論理ゲート回路51により構成することができる。この図5においては、差分信号取得手段40から出力された2信号ずつの組をオアゲートOR1〜ORmに入力し、オアゲートOR1〜ORmの出力信号を最終段のオアゲートORfに入力して構成している。また、差分信号が8である例に対応する図6においては、2入力のオアゲートOR2inのみを7個用いて、初段では差分信号を2信号ずつ組み合わせて4出力を得るようにし、次に4出力を2信号ずつ組み合わせて2出力を得るようにし、最終段において残った2出力を1出力とするように構成している。
【0022】
以上の通りに構成されたデバイス1による動作では、差分信号が図6のように8信号であるとすると、第1のセンサ群20からの出力が例えば図7に示すように8個の第1のセンサセル1PD1〜1PD8毎に遠赤外領域のエネルギーに応じて得られ、第2のセンサ群30の8個の第2のセンサセル2PD1〜1PD8の出力は室温対応の同じ値VREF となる。
【0023】
従って、8信号の差分信号diff1〜diff8は、第1のセンサセル1PD1〜1PD8毎のレベルからVREFを引いた値となる。図6のオアゲートOR2inの閾値がVTHとであるとすると、8信号の差分信号diff1〜diff8は、オアゲートOR2inによる最大値検出手段50において、閾値VTHを超える値を有する第1のセンサセル1PD1、1PD4による差分信号に対応する信号がHレベルとなる。
【0024】
図1の処理部60は、最大値信号を用いて検出対象を監視するものであり、図5、図6のように論理ゲート回路を用いた構成では、最終的にHレベルとなった場合に第1のセンサ群20からの出力レベルを超えた熱源があると判定する。即ち、論理ゲート回路は処理部60としての機能を備える。
【0025】
これに対し、論理ゲート回路を用いない処理部60としては図9に示すように、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段としての比較器70を用いることができる。このような構成を採用する場合には、閾値としての判定基準信号V1と比較が行われ、これを超える場合に出力信号が比較器70から出力される。
【0026】
図10は、第2の実施形態に係る監視装置10Aの構成図である。この監視装置10Aでは、第1のセンサ群20と第2のセンサ群30と差分信号取得手段40と最大値検出手段50とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイス1Aに複数(4)ブロック配置されている。或いは、図1のデバイス1における第1のセンサ群20と第2のセンサ群30を4分割し、それぞれに差分信号取得手段40と最大値検出手段50を接続して構成した考えることもできる。
【0027】
このように構成された監視装置10Aでは、4つの最大値検出手段50−1〜50−4の出力を処理部60Aにより処理して監視を行う。斯くして本実施形態によって、監視装置10Aの監視方向を複数ブロックに分けて、それぞれのブロックに所定以上の熱源が存在することを監視することができる。
【0028】
図11には、上記の通り様々に示した監視装置10(10A)を用いて構成した照明システムの構成が示されている。即ち、蛍光ランプやLEDランプ等の照明負荷5と、照明器具等に設けられた制御部6と、監視装置4により照明システムが構成される。監視装置10は、照明器具と共に或いは別に天井などに設けられる。
【0029】
制御部6は電源7から電力を得ると共に、監視装置10から監視対象である熱源の有無を示す監視結果の信号を受けて、照明負荷5の点灯や消灯或いは調光制御などの照明制御を行う。この照明システムによって、監視対象である熱源を人とすると、人がいない場合に照明を消灯或いは減光することができ、エネルギーの無駄な消費を無くすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1PD、2PD センサセル 1、1A デバイス
4 監視装置 5 照明負荷
6 制御部 7 電源
10、10A 監視装置 20 第1のセンサ群
30 第2のセンサ群 40 差分信号取得手段
41 差動増幅器 50 最大値検出手段
51 論理ゲート回路 60、60A 処理部
70 比較器
【技術分野】
【0001】
この発明は、赤外線イメージセンサを用いた監視装置及びこれを用いた照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、赤外線イメージセンサが実用的に使用されるようになり、各種の監視に応用されている。例えば、複数のセンサセルから得られる熱画像信号を2値化し、フレーム間差分とラベリングにより人体を検出するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記のように、赤外線イメージセンサを用いた従来の監視装置においては、プロセッサを用いた複雑で多量のデータ処理を行う必要があり、高速で高価なプロセッサが用いられ、装置全体のコストも高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−42924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような赤外線イメージセンサを用いた監視装置の現状に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単な構成により適切に対象監視処理を行うことが可能な監視装置を提供することである。また、他の目的は、この監視装置を用いた照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視装置は、遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群と;第1のセンサ群に近接して設けられると共に、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群と;第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段と;複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段とを具備し、最大値信号を用いて検出対象を監視することを特徴とする。
【0007】
複数のセンサセルは、直線状に並べられるか、マトリックス状に並べられるか、蜂の巣のごときハニカム構造状に並べられる。差分信号取得手段は、差動増幅器によって得ることができる。最大値検出手段は、論理ゲート回路によって作成した回路とすることができる。差動増幅器や論理ゲート回路は、第1のセンサ群や第2のセンサ群と共にCMOSの1デバイスとして作成しても良い。
【0008】
本発明に係る監視装置は、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る監視装置は、第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る照明システムは、照明負荷と;請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視装置と;監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行う制御部とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る監視装置によれば、第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とにより得た複数の差分信号から最大値信号を求め、最大値信号を用いて検出対象を監視するので、フレーム間差分やラベリングなどの複雑な処理を高速で行うプロセッサが不要であり、安価で適切に監視を行うことが可能である。
【0012】
本発明に係る監視装置によれば、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定するので、簡単な構成により監視を行うことが可能である。
【0013】
本発明に係る監視装置によれば、第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されているので、複数のデバイスを配線して回路構成するする必要がなく、製造を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係る照明システムによれば、監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行うので、簡単な構成によって照明制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る監視装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に係る監視装置の要部を示す構成図。
【図3】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す回路図。
【図4】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す回路図。
【図5】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における変形例を示す構成図。
【図6】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す構成図。
【図7】図6に示した回路による動作を説明する信号レベルの一例を示す図。
【図8】図6に示した回路による最終出力動作を説明する信号レベルの一例を示す図。
【図9】本発明に係る監視装置の第1の実施形態における要部を示す構成図。
【図10】本発明に係る監視装置の第2の実施形態を示す構成図。
【図11】本発明に係る照明システムにおける実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照して、本発明に係る監視装置及び照明システムの実施例を説明する。各図において同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明の実施形態に係る監視装置の構成図を示す。監視装置10は、第1のセンサ群20、第2のセンサ群30、差分信号取得手段40、最大値検出手段50及び処理部60を備える。第1のセンサ群20、第2のセンサ群30、差分信号取得手段40及び最大値検出手段50は、1つのデバイス(ダイ)1に配置されてCMOSにより作成されている。
【0017】
第1のセンサ群20は、図2に示されるように、遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセル1PDがマトリックス状に並べられて構成されたものである。また、第2のセンサ群30は、図2に示されるように、第1のセンサ群20に近接して設けられると共に、第1のセンサ群20と略同一製造工程において製造され、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセル2PDがマトリックス状に並べられて構成されたものである。
【0018】
このため、複数の第1のセンサセル1PDが監視方向の人など温度に対応する信号を出力するのに対し、複数の第2のセンサセル2PDは、監視方向の遠赤外領域を除く温度に対応した信号を出力する。第1のセンサセル1PDの数と第2のセンサセル2PDの数は同数n(整数)である。
【0019】
差分信号取得手段40は、図1に示すようにn個の差動増幅器41−1〜41−nにより構成される。差動増幅器41−1は、第1のセンサ群20の第1番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第1番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diff1を出力し、差動増幅器41−2は、第1のセンサ群20の第2番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第2番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diff2を出力し、・・・(中略)・・・、差動増幅器41−nは、第1のセンサ群20の第n番目のセンサセル1PDの出力信号と第2のセンサ群30の第n番目のセンサセル2PDの出力信号との差分信号diffnを出力する。
【0020】
最大値検出手段50は、図3に示すようなダイオードD1〜Dnにより構成することができ、ダイオードD1〜Dnのカソード側をワイヤードオア接続して、接続点をコンデンサCmの一方の端子に接続している。コンデンサCmの他方の端子は接地されている。
【0021】
最大値検出手段50は、図3に示すダイオードD1〜Dnに代えて図4に示すように、ドレインとソースを接続したMOSトランジスタ(FET)T1〜Tnより構成することができる。ドレインとソースを接続したMOSトランジスタ(FET)は、ダイオードと同じ機能を有する。更に、最大値検出手段50は、図5に示すように論理ゲート回路51により構成することができる。この図5においては、差分信号取得手段40から出力された2信号ずつの組をオアゲートOR1〜ORmに入力し、オアゲートOR1〜ORmの出力信号を最終段のオアゲートORfに入力して構成している。また、差分信号が8である例に対応する図6においては、2入力のオアゲートOR2inのみを7個用いて、初段では差分信号を2信号ずつ組み合わせて4出力を得るようにし、次に4出力を2信号ずつ組み合わせて2出力を得るようにし、最終段において残った2出力を1出力とするように構成している。
【0022】
以上の通りに構成されたデバイス1による動作では、差分信号が図6のように8信号であるとすると、第1のセンサ群20からの出力が例えば図7に示すように8個の第1のセンサセル1PD1〜1PD8毎に遠赤外領域のエネルギーに応じて得られ、第2のセンサ群30の8個の第2のセンサセル2PD1〜1PD8の出力は室温対応の同じ値VREF となる。
【0023】
従って、8信号の差分信号diff1〜diff8は、第1のセンサセル1PD1〜1PD8毎のレベルからVREFを引いた値となる。図6のオアゲートOR2inの閾値がVTHとであるとすると、8信号の差分信号diff1〜diff8は、オアゲートOR2inによる最大値検出手段50において、閾値VTHを超える値を有する第1のセンサセル1PD1、1PD4による差分信号に対応する信号がHレベルとなる。
【0024】
図1の処理部60は、最大値信号を用いて検出対象を監視するものであり、図5、図6のように論理ゲート回路を用いた構成では、最終的にHレベルとなった場合に第1のセンサ群20からの出力レベルを超えた熱源があると判定する。即ち、論理ゲート回路は処理部60としての機能を備える。
【0025】
これに対し、論理ゲート回路を用いない処理部60としては図9に示すように、最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段としての比較器70を用いることができる。このような構成を採用する場合には、閾値としての判定基準信号V1と比較が行われ、これを超える場合に出力信号が比較器70から出力される。
【0026】
図10は、第2の実施形態に係る監視装置10Aの構成図である。この監視装置10Aでは、第1のセンサ群20と第2のセンサ群30と差分信号取得手段40と最大値検出手段50とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイス1Aに複数(4)ブロック配置されている。或いは、図1のデバイス1における第1のセンサ群20と第2のセンサ群30を4分割し、それぞれに差分信号取得手段40と最大値検出手段50を接続して構成した考えることもできる。
【0027】
このように構成された監視装置10Aでは、4つの最大値検出手段50−1〜50−4の出力を処理部60Aにより処理して監視を行う。斯くして本実施形態によって、監視装置10Aの監視方向を複数ブロックに分けて、それぞれのブロックに所定以上の熱源が存在することを監視することができる。
【0028】
図11には、上記の通り様々に示した監視装置10(10A)を用いて構成した照明システムの構成が示されている。即ち、蛍光ランプやLEDランプ等の照明負荷5と、照明器具等に設けられた制御部6と、監視装置4により照明システムが構成される。監視装置10は、照明器具と共に或いは別に天井などに設けられる。
【0029】
制御部6は電源7から電力を得ると共に、監視装置10から監視対象である熱源の有無を示す監視結果の信号を受けて、照明負荷5の点灯や消灯或いは調光制御などの照明制御を行う。この照明システムによって、監視対象である熱源を人とすると、人がいない場合に照明を消灯或いは減光することができ、エネルギーの無駄な消費を無くすことができる。
【符号の説明】
【0030】
1PD、2PD センサセル 1、1A デバイス
4 監視装置 5 照明負荷
6 制御部 7 電源
10、10A 監視装置 20 第1のセンサ群
30 第2のセンサ群 40 差分信号取得手段
41 差動増幅器 50 最大値検出手段
51 論理ゲート回路 60、60A 処理部
70 比較器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群と;
第1のセンサ群に近接して設けられると共に、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群と;
第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段と;
複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段と
を具備し、最大値信号を用いて検出対象を監視することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
照明負荷と;
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視装置と;
監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行う制御部と
を具備する照明システム。
【請求項1】
遠赤外領域に感度を有する複数の第1のセンサセルが並べられて構成された第1のセンサ群と;
第1のセンサ群に近接して設けられると共に、遠赤外領域に感度を有しない複数の第2のセンサセルが並べられて構成された第2のセンサ群と;
第1のセンサセルの各出力信号と第2のセンサセルの各出力信号とを1対1に対応させて複数の差分信号を得る差分信号取得手段と;
複数の差分信号から最大値信号を求める最大値検出手段と
を具備し、最大値信号を用いて検出対象を監視することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
最大値信号と閾値の比較に基づき検出対象の有無を判定する判定手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
第1のセンサ群と第2のセンサ群と差分信号取得手段と最大値検出手段とにより構成される回路ブロックが、同一のデバイスに1または複数ブロック配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
照明負荷と;
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視装置と;
監視装置の出力に応じて照明負荷の照明制御を行う制御部と
を具備する照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−130258(P2011−130258A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287770(P2009−287770)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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