説明

目標物体の検出および追尾を行うシステムおよび方法

【課題】目標物体の高度の計算を含む、目標物体の検出および追尾を行うシステムならびに方法を提供する。
【解決手段】受信機によって受信された信号の処理中に、このシステムは、送信機によってブロードキャストされた信号により形成される干渉効果パターンによって変更された信号から、目標物体の高度を計算するか、または、3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の計算およびそれらの形状の交点を求めることから、目標物体の高度を選択的に計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、目標物体の検出および追尾に関し、詳細には、目標物体の高度を含む位置を決定するシステムおよび方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
この出願は、「PCL Altitude Estimation Method and System」という発明の名称で2001年5月4日に出願された米国仮出願第60/288,449号の利益を主張する。この米国仮出願は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の解説]
目標物体の検出および追尾は、通常、レーダとして一般に知られている無線検出および無線測距によって行われる。レーダは、電磁エネルギーを放射して、目標物体により散乱された反射エネルギーを検出する。到来時間差(TDOA(time difference of arrival))および反射信号の方向を分析することにより、目標物体の位置を見分けることができる。ドップラ効果によるエネルギービームの周波数シフトを分析することにより、移動する目標物が、静止した物体と区別される。
【0004】
レーダは、通常、それ自身の送信機および受信機を含む能動デバイスである。送信機によって送信された信号は、通常、パルスビームまたは連続波の2つのタイプを有する。
【0005】
パルスビーム送信機は、各信号間に指定された遅延を有する間欠信号を生成する。パルス信号間の遅延は、目標物体からの反射を検出する受信期間をレーダシステムに提供する。パルスビームレーダシステムは、TDOAを観測することにより、目標物体の距離を求め、これにより、このシステムは、目標物体に向かう信号および目標物体からの信号が伝播した総距離を計算することが可能になる。
【0006】
連続波送信機は、一定の連続した信号を供給する。連続波レーダシステムは、そのシステムがその直接信号をブロードキャストしている間も反射信号を検出しなければならない。連続波レーダシステムは、ドップラ効果を頼りに、受信機に対する目標物体の視線速度を求める。未変調の連続波レーダシステムは、物体の距離を求めることができない。これは、信号が送受信された時刻に印を付けることができず、したがって、信号のTDOAを観測できないことによる。これに対して、変調された連続波またはコード化された連続波は、信号の特定の部分が送受信された時を求める方法を提供する。印を付けられた信号により、システムは、TDOAを求めることができ、これにより、目標物体の距離を求めることが可能になる。
【0007】
レーダシステムに使用される電磁放射は、任意の周波数とすることができるし、上記連続波の例が示すように、検出可能な反射信号を提供するのに十分な信号強度である限り、変化する周波数とすることができる。さまざまな利点から、現代のレーダシステムでは、マイクロ波が主として使用される。マイクロ波は、信号の電力半値間の距離であるマイクロ波のローブサイズにより、レーダに特によく適している。マイクロ波信号のビーム幅は、1度程度、すなわち横断面でちょうど数センチメートルであり、適度な受信機のサイズで角度を正確に求めることが可能である。
【0008】
また、レーダシステムは、例えばモノスタティック、バイスタティック、およびマルチスタティックといったさまざまな受信機/送信機の構成でも提供される。モノスタティックシステムは、受信機および送信機を結合したものである。雑音問題およびシステム統合問題は、このようなシステムに固有のものである。さらに、検出可能な信号をブロードキャストする送信機が受信機と同一位置にあることは、軍用用途には明らかに不利である。
【0009】
バイスタティックレーダシステムは、受信機および送信機が、かなりの距離をおいて互いに分離したものである。軍用用途では、送信機および受信機が分離されていることにより、敵軍が、送信機の位置を検出した場合に、送信機および受信機の双方が破壊される可能性が小さくなる。バイスタティックレーダシステムは、通常、バイスタティック三角形(bistatic triangle)として知られている送信機、目標物、および受信機の間の距離を求めることにより、目標物体の位置を計算する。
【0010】
マルチスタティックレーダシステムは、送信機および受信機が、ある距離だけ離れて配置されている点で、バイスタティックシステムと類似している。相違点は、マルチスタティックシステムが、複数の受信機および/または複数の送信機を実施し、これらが、特定の区域を監視するように調整されていることである。
【0011】
レーダシステムによって行われる高度の計算評価は、一般に、シーケンシャルロービング(sequential lobing)または同時ロービング(simultaneous lobing)の2つの方法の一方で行われる。シーケンシャルロービングは、一連のビームを変化する仰角で発生させることを伴う。各ビームの反射信号の比により、受信機に対する物体の仰角を求めることが可能になる。その後、目標物体の高度は、この仰角および目標物体の距離から計算される。
【0012】
シーケンシャルロービングシステムにより行われる計算は、移動する目標物の高度を求めようとすると複雑になる。このタイプのロービングシステムのシーケンシャルという性質により、移動する目標物は、連続するローブ間で位置を変更することが可能である。その上、マイクロ波周波数では、航空機のような物体は、サイズが数千波長分ある。このような複雑な物体は、移動するにもかかわらず、ビーム反射について広範囲の散乱した断面を提供する。
【0013】
モノパルスとしても知られている同時ロービングは、2つ以上のビームを同時にブロードキャストすることによって、複雑な移動する目標物に関連した複雑さを軽減する。これらのビームは、差和ビーム(difference and sum beam)として知られている。同時ロービングシステムは、2つ以上のビームの1と−1との間の直線的な計測値を提供する比を計算して、物体が位置する仰角を求める。
【0014】
計測された量ではなく、常に、レーダシステムが計算した仰角が導き出される。マイクロ波レーダからの正確な高度の計算は、レーダアンテナの位置および方向、地球の曲率、大気の屈折特性、ならびに地球表面の反射特性を常に考慮に入れなければならない。
【0015】
さらに、天候および湿度も、空気の湿気によって生み出される屈折のため、計測値に変化を引き起こす。例えば、雲および/または雨は、直接的なビームの方向に加えて目標物体からの反射の方向を曲げるか、または、歪めることになる。
【0016】
目標物体の検出および追尾の精度をさらに制限する要因は、送信機が発生するあらゆる電磁信号の干渉効果パターンである。干渉効果パターンは、送信機がブロードキャストした信号と、その送信機がブロードキャストして周囲の地形によって反射された信号とが重なったものである。地形によって反射された信号が直接信号と重なると、反射信号がさらに伝播した距離により、反射信号の位相差分だけ変化した合成信号が生み出される。
【0017】
これらの欠点および他の欠点が、現在の物体検出および追尾システムには存在する。したがって、これらの問題に対する解決策が必要とされ、特に、目標物体の高度をより正確に計算するように設計された物体検出および追尾システムを提供する解決策が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭61−223573号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第1529381号明細書
【特許文献3】国際公開第99/36796号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明は、追尾および検出システムならびに方法を対象とする。
本発明のさらに詳しい特徴および利点は、以下の説明で述べられ、その説明から部分的に明らかになるか、または、本発明の実践により知ることができる。本発明の目的および他の利点は、本明細書に記載された説明および特許請求の範囲、さらには添付図面に具体的に指摘された構造によって実現され、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一実施形態では、本発明は、1つまたは複数の独立した送信機によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、上記送信された信号を受信するアンテナと、上記アンテナに接続され、上記アンテナによって受信された上記信号を処理することにより信号データを生成する信号処理サブシステムと、上記信号処理サブシステムに接続され、上記目標物体の上記位置を含む目標物データを、上記信号処理サブシステムから受信した上記信号データに基づいて計算し、かつ、上記目標物体によって反射された、上記1つまたは複数の送信機からの干渉効果パターンの1つまたは複数の信号であって、上記アンテナによって受信された、1つまたは複数の信号、からの信号データを含む信号データによって、上記目標物体の高度データを計算することができる、物体位置処理サブシステムと、上記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、上記目標物体の上記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、を含むシステムを備える。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の独立した送信機によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、上記送信された信号を受信するアンテナと、上記アンテナに接続され、上記アンテナによって受信された上記信号を処理することにより信号データを生成する信号処理サブシステムと、上記信号処理サブシステムに接続され、上記目標物体の上記位置を含む目標物データを、上記信号処理サブシステムから受信した上記信号データに基づいて計算し、かつ、上記3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の交わりを計算することによって、上記目標物体の上記位置を計算することができる、物体位置処理サブシステムと、上記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、上記目標物体の上記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、を備えるシステムを備える。
【0022】
さらに別の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の独立した送信機によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、上記送信された信号を受信するアンテナと、上記アンテナに接続され、上記受信した信号を処理する信号処理サブシステムと、上記信号処理サブシステムに接続され、上記目標物体の上記位置を含む目標物データを、上記信号処理サブシステムによって受信された上記信号データに基づいて計算し、かつ、上記1つまたは複数の送信機の干渉効果パターンからの信号データを使用するか、または、上記3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の交わりを計算することにより、上記目標物体の高度データを選択的に計算することができる、物体位置処理サブシステムと、上記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、上記目標物体の上記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、を備えるシステムを備える。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、信号を送信する1つまたは複数の送信機と、上記送信された信号を受信するアンテナと、上記アンテナに接続され、上記受信した信号を処理する信号処理サブシステムと、上記信号処理サブシステムに接続され、上記目標物体の上記位置を含む目標物データを、上記信号処理サブシステムによって受信された上記信号データに基づいて計算し、かつ、1つまたは複数の送信機の干渉効果パターンからの信号データを使用するか、または、3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の交わりを計算することにより、上記目標物体の高度データを選択的に計算することができる、物体位置処理サブシステムと、上記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、上記目標物体の上記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、を備えるシステムを備える。
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明は、3以上の送信機によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行う方法であって、上記3以上の送信機によってブロードキャストされた直接信号を受信するステップと、上記3以上の送信機によってブロードキャストされ、かつ、上記目標物体によって反射された反射信号を受信するステップと、上記3以上の送信機のそれぞれと関連付けられた幾何学形状を計算するステップと、上記幾何学形状を使用して、上記目標物体の上記位置を計算するステップと、を含む方法を備える。
【0025】
さらに別の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の送信機であって、該送信機によってブロードキャストされた信号と、該送信機によってブロードキャストされ、かつ、周囲の地形によって反射された信号とが重なることにより干渉効果パターンを形成する、送信機、によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行う方法であって、上記1つまたは複数の送信機によってブロードキャストされた1つまたは複数の信号を受信するステップと、上記1つまたは複数の送信機によってブロードキャストされ、かつ、上記目標物体によって反射された1つまたは複数の反射信号であって、上記干渉効果パターンによって変更された、反射信号、を受信するステップと、上記直接信号と、上記干渉効果パターンによって変更された上記反射信号を使用して、上記目標物体の上記位置を計算するステップと、を含む方法を備える。
【0026】
上記の包括的な説明および以下の詳細な説明の双方は、代表的なものであり、かつ、説明のためのものであり、主張される本発明のさらなる説明を提供するように意図されていると理解されるべきである。
【0027】
添付図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、この明細書に援用されて、その一部を構成する。添付図面は、本発明の実施形態を図示し、その説明と共に、本発明の原理を説明する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による受信機、目標物体、および複数の送信機の図である。
【図2】送信機によって生成される干渉効果パターンの図である。
【図3】本発明による受信機のブロック図である。
【図4】本発明による受信機の別の実施形態のブロック図である。
【図5】本発明による3以上の送信機からの幾何学計測値の交わりを使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行う方法を示す流れ図である。
【図6】本発明による1つまたは複数の送信機からの干渉効果パターンを使用して、目標物体の高度の検出および追尾を行う方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
次に、その例が添付図面に示されている本発明のさまざまな実施形態について詳細に言及する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による受信機100、目標物体110、ならびに複数の送信機120、130、および140を示している。したがって、受信機100は、送信機120、130、および140によってブロードキャストされた直接信号122、132、および142、ならびに反射信号126、136、および146を受信する。反射信号126、136、および146は、送信機120、130、および140によってブロードキャストされて、目標物体110によって反射された信号124、134、および144である。受信機100は、到来時間差(TDOA)、到来周波数差(FDOA(frequency-difference-of-arrival)、ドップラ偏移としても知られている)、ならびに/または直接信号122、132、および142と検出する反射信号126、136、および146とから他の情報を計算して、目標物体110の位置を追尾する。以下にさらに詳細に述べる別の実施形態では、送信機120、130、および140により生成され、目標物体110により反射された付加的な信号パターン(図2に図示)も、目標物体の位置の計算に使用することができる。
【0031】
受信機100によって使用される送信機120、130、および140は、通常、VHF(30MHz〜300MHz)帯域の信号をブロードキャストする。この周波数帯域は、ラジオ放送局およびテレビ放送局、国民天候サービス送信機、ならびにVHF無指向式無線測距ナビゲーションシステム(VOR)などの無線ナビゲーションビーコンを含み得る。さらに、実施形態は、VHF帯域外の周波数帯域またはVHF帯域と組み合わせた周波数帯域をも使用することができる。
【0032】
送信機120、130、および140は、受信機100を制御する実体(エンティティ)の運用制御を受けてもよいし、受けなくてもよい。したがって、本発明の一実施形態では、送信機120、130、および140によってブロードキャストされた信号は、受信機100を制御する実体から独立である(すなわち実体によって制御されない)。例えば、受信機100は、民間ラジオ放送または民間テレビ放送を使用することができる。別の実施形態は、制御された送信機に加えて、制御された送信機および独立した送信機の任意の組み合わせを使用する。その上、本発明の別の実施形態に含まれる送信機は、図1に示す3つより少なくもよいし、多くてもよい。
【0033】
本発明の一実施形態では、受信機100は、その受信機の受信周波数帯域の範囲内に受信されるあらゆる信号を処理する。別の実施形態では、受信機100は、信号のサブセットを選択することができる。このサブセットは、ブロードキャストする送信機の位置、信号強度、信号周波数、または目標物体の検出および追尾に使用される他の任意の適性に基づいた最適なサブセットとすることができる。
【0034】
本発明は、通常、マルチスタティック構成である。別の実施形態は、受動構成またはバイスタティック構成も含むことができる。その上、本発明に従って使用される送信機により生成される信号は、通常、超短波(VHF)帯域の連続波(CW)信号である。一方、別の実施形態は、パルス信号も使用することができるし、CWおよびパルス信号の組み合わせを使用することもできる。さらに別の実施形態は、VHF以外の周波数帯域を使用することもできるし、VHFに加えて別の周波数帯域を使用することもできる。
【0035】
本発明の一実施形態は、各送信機について、楕円などの幾何学形状を計算することによって目標物体の位置の計算を行う。この幾何学形状は、反射信号が伝播する総距離、送信機の位置、および受信機の位置に基づくことができる。3以上の形状の交わりが、目標物体の3次元の位置を提供する。別の実施形態は、目標物体が、送信機の周囲の干渉効果パターンに入る位置を求めることによる目標物体の高度の計算を含む。
【0036】
図2は、送信機によって生成される干渉効果パターンを示している。干渉効果パターンにより高度の計測値を求めるために、干渉効果パターンの計測値は、受信機100についてか、または、受信機100による。図2に移って、具体的には、干渉効果パターン200は、一般に、無線周波信号をブロードキャストするデバイスを取り囲む。送信機230の近くでは、信号240が、信号252および262と重なり、干渉効果パターン200を生み出す。信号252および262が伝播する距離に応じて、信号240との重なりは、同相、逆相、または両者間のどこかになり得る。同相の重なりの結果、発生する信号は、振幅が2倍になる一方、逆相の重なりにより、信号は消去される。さらに、重なった信号のビーム幅は、元の信号のビーム幅の約1/3となる。その結果、送信機230の干渉効果パターン200は、同相レイヤ210と逆相レイヤ220との間で変化する明確な信号レイヤを提供する。干渉効果パターン200の形状に起因して、高度が増加するに伴い、固有の信号パターンが、干渉効果パターン200の水平断面で利用可能になる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、干渉効果パターン200は、目標物体270の高度を有効に計算するのに使用することができる。干渉効果パターン200に入った目標物体270は、信号240と同様に干渉効果パターン200の信号(252および262)、またはそれ以外の反射信号を反射する。また、本発明の受信機も、信号240と同様に、反射信号252および262、またはそれ以外の反射信号を受信する。
【0038】
本発明によると、受信機は、目標物体の高度を、その目標物体270によって反射された干渉効果パターン200から計算する。干渉効果パターンデータが、受信機に記憶される。受信機は、記憶された干渉効果パターンデータを目標物体270の距離および方位角と比較し、それによって、目標物体がどの高度で干渉効果パターン200に入ったかを求めることにより、目標物体の高度を計算する。受信機の一実施形態は、目標物体270の距離、方位角、および高度を同時に計算する。別の実施形態では、距離、方位角、および高度を任意の順序または時間枠で計算することが可能である。受信機は、目標物体の最初の高度を求めた後、目標物体270が干渉効果パターン200を通過するに従い、目標物体270の高度を追尾する。
【0039】
平坦な面に位置する送信機230について、干渉パターン200に関連付けられた干渉パターンデータは、送信機の信号について知られている基本形状およびデータを使用して計算することができる。平坦でない地形については、地理的データに加えて他の表面構造データを導入して、干渉パターンデータの計算に精度を付加することができる。
【0040】
本発明の一実施形態によると、干渉パターンデータは、外部の干渉計算ツールにより個々の送信機に対して計算される。この干渉計算ツールによって作成されるデータは、その後、受信機にロードされる。別の実施形態では、干渉計算ツールは、受信機と一体化される。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態による受信機100のブロック図を示している。受信機100は、アンテナ310、信号処理サブシステム320、目標物体位置処理サブシステム330、および表示サブシステム340を含む。これらのサブシステムのそれぞれは、通信リンクによって相互接続される。通信リンクは、システムバスであってもよいし、ネットワーク接続や、無線ネットワーク接続、他の任意の適切な通信リンクであってもよい。
【0042】
アンテナ310は、電磁送波を受信する。この電磁送波には、送信機によってブロードキャストされた信号に加えて、目標物体によって反射されたさまざまな信号が含まれる。アンテナ310は、この添付した実施形態の受信機100によって使用される信号の周波数帯域を受信できる任意のタイプのものとすることができる。例えば、アンテナ310のさまざまな実施形態には、直線状のフェーズドアレイ、単一素子アンテナ、またはホイップアンテナが含まれる。別の実施形態は、アンテナのタイプのさまざまな組み合わせも含むことができる。
【0043】
信号処理サブシステム320は、アンテナ310の出力を受信する。一実施形態では、信号処理サブシステム320は、特定の周波数帯域に所定の変動をプラスまたはマイナスした周波数帯域の送波を受信するようにチューニングすることができる。この変動は、信号周波数の予想されるドップラ偏移を許容するように調整することができる。信号処理サブシステムの一実施形態は、信号および反射信号をデジタル化し、それらの信号を表すデジタル化データを目標物体位置処理サブシステム330に出力する。別の実施形態は、目標物体位置処理サブシステム330にアナログデータを出力してもよい。
【0044】
目標物体位置処理サブシステム330は、信号処理サブシステム320からの信号データを受信する。目標物体位置処理サブシステム330は、距離処理部332、方位角処理部334、および高度処理部336を含む。目標物体位置処理サブシステム330は、目標物体の3次元の位置を計算する。距離処理部332、方位角処理部334、および高度処理部336によって行われるさまざまな計算は、冗長な場合がある。
【0045】
別の実施形態では、冗長な計算は、さまざまな部332、334、および336によって行われた計測を確認するために使用することができる。例えば、高度の計算は、距離の計測値および/または方位角の計測値も提供することができる。これらの距離の計測値および方位角の計測値は、距離処理部332および/または方位角処理部334によって計算された距離の計測値および/または方位角の計測値と比較することができ、それによって、高度処理部336の計測値または許容誤差を確認することができる。別の実施形態は、例えば、距離部332および方位角部334の計測が、高度部336によって行われる場合、距離部332および方位角部334の計算を省略して、冗長な情報の計算を避けることができる。
【0046】
距離部332、方位角部334、および高度部336を含む目標物体位置処理サブシステム330は、単一の処理ユニット上に存在してもよい。同様に、信号処理サブシステム320および目標物位置処理サブシステム330は、単一の処理ユニット上に存在してもよい。別の実施形態では、各サブシステムおよび機能を、1つまたは複数の処理ユニット上に存在するか、または、1つまたは複数のプロセッサにわたってさまざまな組み合わせで組み合わされるように提供する。
【0047】
高度処理部336は、目標物体の高度を計算するさまざまな方法を提供する。これらの方法には、干渉効果パターンおよび/または幾何学形状計算の使用が含まれる。幾何学形状計算は、各送信機に関連付けられた幾何学形状を計算するのに、受信機100および送信機の既知の位置、ならびに反射信号が伝播する距離を使用することができる。
【0048】
3つの送信機の幾何学形状の交わりは、目標物体が位置し得る2つの点を提供する。一般に、これらの点の一方は、目標物体にとってあり得ない点として除外することができる。例えば、2つの交点の一方は、地表面より下の場合がある。飛行する目標物体を追尾する場合、この点は、明らかに排除することができる。4つ以上の幾何学形状の交わりは、単一の点を提供し、追加された送信機が使用されて幾何学形状の計測値を作成するので、精度が向上する。精度の向上は、追加された計測値によって提供されるさまざまな交わりの計算を統計的に確認することによって提供される。別の実施形態では、統計的に許容できる精度を明らかに越える幾何学形状の計測値を提供する送信機は、現在の計測値から除外することができる。
【0049】
別の実施形態によると、高度処理部336も、高度の計算に使用される各送信機について計算された干渉効果パターンデータを使用して、目標物体の高度の計算を行う。先に述べたように、電磁エネルギーをブロードキャストする送信機は、信号のサイドローブを含むエネルギーを複数の方向にブロードキャストする。地形に向かったエネルギーは、反射されて、その反射信号が伝播する距離に応じて同相と逆相との間で度合いが変化する信号と重なる。重なった信号は、送信機を取り囲む干渉効果パターンを生み出し、同相レイヤと逆相レイヤとの間で変化するエネルギーのパターンを形成する。
【0050】
各レイヤは、高度が増加するにつれて、送信機からのその距離を増加させ、送信機から離れていく。干渉効果パターンの水平断面は、高度の増加に伴い、一般に広くなり、異なるレベルの高度で固有のパターンを提供する。特定の距離、方位角、および高度で干渉効果パターンに入る目標物は、送信機から特定の位置で干渉パターンに入ることになる。目標物体が、干渉効果パターンに一旦入ると、その目標物体は、パターンのさまざまなレイヤを入出するので、その高度は監視可能である。
【0051】
目標物体位置処理サブシステム330は、表示サブシステム340に接続されて、表示サブシステム340に目標物体のデータを提供する。表示サブシステム340は、目標物体処理サブシステム330によって計算された情報を選択的に表示する。表示サブシステム340は、LCDもしくはCRT表示管、投影スクリーン、または表示情報をユーザに提示できる他の任意のデバイスを含むことができる。
【0052】
表示情報は、距離、方位角、および高度による目標物体の位置、現在の速度、進行方向などを含むことができる。別の実施形態では、目標物体のアイコン表現が提供される。速度、高度などの追加された目標物体の情報は、アイコン画像に選択的に追加することができる。一実施形態では、表示サブシステム340は、受信機によって監視されている区域の地図画像の背景を表示する。地図画像は、通常の道路地図帳形式の地図であってもよいし、衛星画像であってもよいし、監視された位置を表す他の任意の画像であってもよい。目標物体は、地図画像上においてさまざまな方法で示すことができる。別の実施形態では、目標物体の航跡が表示され、その目標物体が取る経路が示される。さらに別の実施形態では、受信機、送信機、および/または陸上の目印の表示が可能になる。
【0053】
図4は、本発明による受信機100の別の実施形態のブロック図である。この実施形態も、アンテナ310、信号処理サブシステム320、目標物体位置処理サブシステム330、表示サブシステム340を含む。これらのサブシステムのそれぞれは、通信リンクによって相互接続される。通信リンクは、システムバスであってもよいし、ネットワーク接続や、無線ネットワーク接続、他の任意の適切な通信リンクであってもよい。
【0054】
図4に移って、アンテナ340は、電磁送波を受信して、それらの電磁送波を信号処理サブシステム320に提供する。信号処理サブシステム320は、信号データを目標物体位置処理サブシステム330に提供する。目標物体位置処理サブシステム330内では、目標物体位置プロセッサ410が、信号データを受信する。目標物体位置プロセッサ410は、距離処理部332、方位角処理部334、および高度処理部336と相互接続される。目標物体位置プロセッサは、信号処理サブシステム320からのデジタル化された信号データを受信し、目標物体位置処理サブシステム330の処理部332、334、および336間で目標物体の位置の3次元の構成要素の処理を調整する。目標物体位置プロセッサ410は、目標物体の検出および追尾計算に使用されるデータの記憶および検索を行うためにデータ記憶装置420へのアクセスも行う。
【0055】
目標物体位置プロセッサ410は、単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサであってもよい。距離処理部332、方位角処理部334、および高度処理部336によって使用されるそのプロセッサまたはそれら複数のプロセッサは、目標物体位置プロセッサ410と同じプロセッサであってもよい。別の実施形態では、さまざまな処理部に専用化された1つのプロセッサもしくは複数のプロセッサ、ならびに/または、それらの部およびプロセッサのさまざまな組み合わせが設けられる。
【0056】
図4に示す実施形態の高度処理部336は、高度プロセッサ430、幾何学形状部440、および干渉効果部450を含む。高度プロセッサ430は、目標物体の高度を計算する時に、幾何学形状部440および干渉効果部450の選択を調整する。別の実施形態では、幾何学形状部440および干渉効果部450の双方で高度計算を開始する機能、または、さまざまな状況下で、幾何学計算もしくは干渉効果計算を省略する機能が、高度プロセッサに提供される。さらに別の実施形態では、高度プロセッサ430は、目標物体の高度を計算するために、最良の高度部、幾何学形状部440、または干渉効果部450を選択する。
【0057】
高度部の選択は、さまざまな状況での計算の効率低下のために有益である。例えば、幾何学形状アプローチでは、距離が増加すると、幾何学的な精度低下率が拡大される。大きな距離を越えると、受信機、送信機、および目標物体は、仮想的に同一平面上に存在することになる。したがって、高さの関数としての信号の到来時間差の偏導関数は0に近づく。
【0058】
干渉効果の計測は、目標物体が、干渉効果パターンによって変更された信号を照射されている場合にのみ試みられるべきであり、また、その場合にのみ可能である。したがって、干渉効果の計算は、目標物体が、1つまたは複数の送信機の干渉効果パターン内に存在する場合にのみ役立つ。
【0059】
幾何学形状部は、構成データ記憶装置442、幾何学形状プロセッサ444、および焦点データ記憶装置446を含む。構成データ記憶装置442は、幾何学形状計算に使用される構成データを保持する。この構成データは、計算に許容される距離限界、計算に使用される送信機の個数、または計算に役立ち得る他の任意の構成情報のような情報を含むことができる。計算に許容される距離限界によって、幾何学形状部440は、高度プロセッサ430に、幾何学形状の計算を含めるかまたは除外するように通知することが可能になる。
【0060】
幾何学形状プロセッサ444は、幾何学形状の計算を処理する。上述したように、このプロセッサは、幾何学形状の計算に専用化された単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサであってもよい。あるいは、このプロセッサは、受信機100の他の機能と共有される1つまたは複数のプロセッサであってもよい。
【0061】
焦点データ記憶装置446は、各送信機および受信機の物理的な位置を保持する。幾何学形状の計算に使用される受信機および各送信機は、個々の幾何学形状の計測(measurements)の焦点となり得る。
【0062】
次に、干渉効果部450に移る。干渉効果部450は、干渉データ記憶装置454に接続された干渉効果プロセッサ452を含む。先に述べたプロセッサと同様に、干渉効果プロセッサは、干渉効果の高度の計算に専用化された単一のプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサであってもよい。あるいは、干渉効果プロセッサは、受信機100の他の機能と共有される1つまたは複数のプロセッサであってもよい。
【0063】
干渉データ記憶装置454は、監視区域の送信機のそれぞれについて干渉効果計算ツールにより生成された干渉効果パターンデータを記憶する。各送信機の干渉効果パターンデータは、送信機によって出力される信号、送信機の周りの地形の地理的情報、および送信機の周りに生成される干渉効果の正確なシミュレーションを提供する他の任意の一定データまたは可変データに基づいている。別の実施形態では、各送信機について複数の組の干渉効果データが記憶され、干渉効果部450によって使用される。
【0064】
一実施形態では、干渉効果計算ツール460は、干渉効果パターンデータをロードするために干渉データ記憶装置454に接続され、データがロードされた後は取り外される分離したデバイスである。別の実施形態では、干渉効果計算ツール460は、受信機に組み込まれる。
【0065】
データは、表示を行うために、目標物体位置処理サブシステム330によって表示サブシステム340に出力される。表示データ記憶装置470は、表示サブシステムに接続されて、表示サブシステム340に位置を提供し、目標物体の履歴データおよび/またはさまざまな他の表示データを記憶する。
【0066】
図5は、本発明による3以上の送信機からの幾何学計測値の交わりを使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行う方法を示す流れ図である。詳細には、このプロセスは、ステップ510で、3以上の送信機からブロードキャストされた信号を受信することにより開始する。本発明によると、ステップ510における3以上の送信機からの信号を受信することには、ステップ512における、送信機から直接ブロードキャストされた信号を受信することに加えて、ステップ514における、送信機からブロードキャストされて目標物体により反射された信号を受信することも含まれる。一実施形態では、ステップ512の信号の受信およびステップ514の反射信号の受信は、同時に行われる。受信ステップの順序および/または時間枠は、必要に応じて変更または調節を行うことが可能であり、図示したものと異なる場合があることが理解されるべきである。
【0067】
次に、ステップ520では、反射信号のそれぞれが伝播した距離が、計算される。反射信号が伝播した距離は、送信機と受信機との間の既知の距離および反射信号の伝播時間によって求めることができる。送信機および受信機の既知の位置により、それらの間の距離は、容易に計算できるか、または、受信機に入力できる。直接信号および反射信号が伝播する速度が一定の光速であることから、反射信号が伝播した追加時間が計算されると、反射信号の総伝播距離を計算することが可能になる。直接信号および反射信号の双方を監視することにより、伝播時間は、直接信号と反射信号との間の到来時間差を求めることにより計算することができる。
【0068】
反射信号が伝播した総距離が、送信機によって知られると、ステップ530では、目標物体がその幾何学形状の軌跡上に位置する当該幾何学形状が定式化される。例えば、楕円のような幾何学形状は、受信機の位置、反射信号をブロードキャストする送信機の位置、および反射信号が伝播した総距離を使用して計算することができる。楕円の軌跡は、2つの焦点からの同じ総距離(すなわち、反射信号が伝播した距離)を有するすべての点から形成される。したがって、目標物体は、計算された楕円の軌跡上に位置する。
【0069】
3以上の幾何学形状が計算されると、ステップ540で、それらの幾何学形状の交わりが求められる。目標物体がその軌跡上に位置する各幾何学形状が導き出されるので、幾何学形状の交点は、目標物体の位置を示すことになる。計算された幾何学形状として楕円または球を計算する実施形態では、3つの送信機は、目標物体が位置し得る2つの交点を提供する。上述したように、これらの点の一方は、使用できないものとして一般に除外することができる。交わる形状の計算に4つの送信機が提供されると、単一の交点を得ることが可能になる。送信機を追加して、目標物体の位置を示す交点の確認を追加するのを可能にすることにより、精度が向上する。
【0070】
楕円の計測を使用する実施形態では、各楕円の焦点の位置、すなわち受信機FRおよび各送信機F1、F2、F3、...FNが既知である。目標物体がその楕円の軌跡上の点PNに位置する各焦点の対(FR,FN)について、反射信号が伝播した総距離(DN)(送信機(FN)→目標物体(P)→受信機(F))は、軌跡への距離を提供する。また、総距離(DN)は、その楕円の半軸(semi-axis)aN、bN、およびcNを計算するのに必要な計測値でもある。例えば、FRおよびFNが、x軸(F(f,0,0)およびFN(−f、0,0))に位置し、かつ、楕円の基本方程式x2/a2+y2/b2+z2/c2=1に基づいている場合、反射信号の総伝播距離DNは、2aNに等しい。一定の距離2aNを有する楕円について、y方向およびz方向の半軸の距離は等しくなり(bN=cN)、したがって、焦点からy半軸およびz半軸の交点への距離はaである。このように、y方向およびz方向の半軸は、次のように、すなわちaN2=bN2+fN2で計算することができる。
【0071】
半軸aN、bN、およびcNは、送信機のそれぞれについて同様にして計算される。3次元座標x、y、およびzが、楕円のそれぞれについて同等であり、結果として目標物体の3次元の位置になる場合には、交点、すなわち目標物体の位置が求められる。
【0072】
移動する目標物体の位置を監視するために、幾何学形状の計算は、物体が位置を変更するにつれて更新される。一実施形態では、この計算は、リアルタイムに処理されて、目標物体の現在位置を提供する。別の実施形態では、後に処理を行うか、または、見直すために信号データを記憶することができる。
【0073】
図6は、1つまたは複数の送信機からの干渉効果パターンを使用して、目標物体の高度の検出および追尾を行う方法を示す流れ図である。図6のステップの順序および/または時間枠は、必要に応じて変更または調節を行うことが可能であり、図示したものと異なる場合があることが理解されるべきである。先に述べたように、干渉効果パターンは、無線周波信号をブロードキャストする送信機の周りに生成される。送信機によってブロードキャストされた信号は、地形によって反射された信号と重なり、干渉効果パターンを生成する。
【0074】
図6に移って、ステップ610では、各送信機または送信機の各組の干渉効果パターンを表し、かつ、選択された区域を監視するために使用される干渉効果パターンデータが、受信機によって計算され、受信機による使用のために記憶される。計算された干渉効果パターンデータは、高度の計算中のアクセスを容易にするために、一般にデータ記憶装置に記憶される。一実施形態では、干渉効果計算ツールが、干渉効果パターンデータを準備して、受信機の干渉効果データ記憶装置にロードする。別の実施形態では、干渉効果計算ツールは、受信機と一体化される。
【0075】
この方法を続けて、ステップ620では、受信機は、送信機によってブロードキャストされた信号と、送信機によりブロードキャストされ、かつ、目標物体によって反射された反射信号とを受信する。目標物体が干渉効果パターンに入ると、目標物体は、干渉効果パターンによって変更された信号を反射する。
【0076】
ステップ630では、受信機は、信号および反射信号を監視することにより、目標物体の距離および方位角を計算する。信号および反射信号を監視することにより、反射信号の到来時間差に加えて到来周波数差も、距離および方位角の計算用のデータを提供するために使用することができる。
【0077】
ステップ640では、受信機は、距離、方位角、および干渉効果パターンによって変更された反射信号を、データ記憶装置に位置する干渉効果パターンデータと比較して、目標物体の高度を求める。高度の増加に伴い干渉効果パターンが拡大する性質により、異なる高度において固有の水平断面が提供される。この断面は、テンプレートを提供し、干渉効果パターンによって変更され、かつ、目標物体によって反射された信号ならびに目標物体の現在の距離および方位角は、このテンプレートを用いて、干渉効果パターンデータと比較される。そして、その比較によって、目標物体が干渉効果パターンに入ったに違いない高度、または、目標物体が、干渉効果パターン内に現在位置する高度が求められる。単純には、特定の距離、方位角、および高度に位置する目標物体は、干渉効果パターンの特定可能な部分によって変更された信号を反射する。
【0078】
目標物体が、干渉効果パターンに入った後、ステップ650で、干渉効果パターンによって変更された反射信号が監視され、目標物体が干渉効果パターンを進むことに伴うあらゆる高度の変化が追尾される。上述したのと同様に、干渉効果パターンの断面は、干渉効果パターンデータと比較する反射信号を提供し、これによって、受信機は、目標物体の高度を監視することが可能になる。
【0079】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および変形を本発明に行い得ることは、当業者に明らかである。したがって、この発明の変更および変形が、任意の特許請求項およびそれらの均等物の範囲内に入るという条件のもと、本発明は、それらの変更および変形を網羅するように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の独立した送信機によって送信された直接信号と、前記1つまたは複数の独立した送信機によって送信され目標物体によって反射された反射信号とを使用して、前記目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、
前記直接信号および前記反射信号を受信するアンテナと、
前記アンテナに接続され、前記アンテナによって受信された前記直接信号および反射信号を処理することにより信号データを生成する信号処理サブシステムと、
前記信号処理サブシステムに接続され、前記目標物体の前記位置を含む目標物データを、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データに基づいて計算する物体位置処理サブシステムであって、
前記物体位置処理サブシステムは信号データを用いて前記目標物体の高度データを計算し、
前記信号データは干渉効果パターン信号から計算され、
前記干渉効果パターン信号は、
前記1つまたは複数の送信機のうち1つによってブロードキャストされた信号と、
前記1つまたは複数の送信機のうち前記1つによってブロードキャストされ、周囲の地形によって反射された信号と
の合成から生成され、
前記物体位置処理サブシステムは、前記干渉効果パターン信号の処理に専用化された干渉効果部をさらに備え、
前記干渉効果部は、前記1つまたは複数の独立した送信機のそれぞれについて、干渉効果パターンデータを受信して記憶する干渉効果パターンデータ記憶装置をさらに備え、
前記1つまたは複数の独立した送信機についての前記干渉効果パターンデータは、干渉効果計算ツールによって事前に計算され、
前記干渉効果計算ツールは、前記システムに適応的に接続するとともに、前記干渉効果パターンデータを前記干渉効果パターンデータ記憶装置に転送し、
前記干渉効果計算ツールは、前記1つまたは複数の送信機の干渉効果パターンデータをその局所的な地理に調節する地理的データ記憶装置をさらに備える
物体位置処理サブシステムと、
前記物体位置処理サブシステムから前記高度データを含む目標物データを受信して、前記目標物体の前記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、
を備える目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項2】
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データにより前記目標物体の距離を計算する距離処理部をさらに備える請求項1に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項3】
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データにより前記目標物体の方位角を計算する方位角処理部をさらに備える請求項1に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項4】
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データにより前記目標物体の高度を計算する高度処理部をさらに備える請求項1に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項5】
前記干渉効果部は、前記干渉効果パターン信号からの信号データを処理する干渉効果プロセッサをさらに備える請求項1に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の独立した送信機についての前記干渉効果パターンデータは、前記干渉効果プロセッサによって計算される請求項5に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項7】
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから信号データを受信して、前記目標物体の位置計算を調整する目標物体位置プロセッサをさらに備える請求項1に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項8】
3以上の独立した送信機によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、
前記送信された信号を受信するアンテナと、
前記アンテナに接続され、前記アンテナからの受信した信号を処理することによって信号データを生成する信号処理サブシステムと、
前記信号処理サブシステムに接続され、前記目標物体の前記位置を含む目標物データを、前記信号処理サブシステムから受信された前記信号データに基づいて計算する、物体位置処理サブシステムであって、
前記物体位置処理サブシステムは、
前記3以上の送信機のうちの1つによって生成され、前記目標物体によって反射された干渉効果パターンから計算される信号データを使用するか、または、
前記3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の交わりを計算し、前記幾何学形状のそれぞれは、1つの送信機の位置を用い、前記アンテナの位置を固定点とし、前記目標物体を前記幾何学形状の軌跡上の点として計算される
ことにより、前記目標物体の高度データを選択的に計算し、
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データにより前記目標物体の高度を計算する高度処理部をさらに備え、
前記高度処理部は、目標物体によって反射された干渉効果パターンからのデータを使用して、前記目標物体の高度を計算する干渉効果部をさらに備え、
前記干渉効果部は、前記3つ以上の送信機のそれぞれについて、干渉効果パターンデータを受信して記憶する干渉効果パターンデータ記憶装置をさらに備える
物体位置処理サブシステムと、
前記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、前記目標物体の前記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、
を備える目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項9】
前記干渉効果部は、干渉効果プロセッサをさらに備える請求項8に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項10】
前記高度処理部は、前記3以上の送信機と関連付けられた前記幾何学形状の交わりを求めることにより、前記目標物体の前記位置を計算する幾何学形状処理部をさらに備える請求項8に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項11】
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから信号データを受信して、前記目標物体の位置計算を調整する目標物体位置プロセッサをさらに備える請求項8に記載の目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項12】
目標物体の位置の検出および追尾を行うシステムであって、
信号を送信する3以上の送信機と、
前記送信された信号を受信するアンテナと、
前記アンテナに接続され、前記アンテナからの前記受信した信号を処理することによって信号データを生成する信号処理サブシステムと、
前記信号処理サブシステムに接続され、前記目標物体の前記位置を含む目標物データを、前記信号処理サブシステムから受信された前記信号データに基づいて計算する、物体位置処理サブシステムであって、
前記物体位置処理サブシステムは、
前記3以上の送信機のうちの1つによって生成され、前記目標物体によって反射された干渉効果パターンから計算される信号データを使用するか、または、
3以上の送信機に関連付けられた幾何学形状の交わりを計算し、前記幾何学形状のそれぞれは、1つの送信機の前記位置を用い、前記アンテナの位置を固定点とし、前記目標物体を前記幾何学形状の軌跡上の点として計算される
ことにより、前記目標物体の高度データを選択的に計算し、
前記物体位置処理サブシステムは、前記信号処理サブシステムから受信した前記信号データにより前記目標物体の高度を計算する高度処理部をさらに備え、
前記高度処理部は、目標物体によって反射された干渉効果パターンからのデータを使用して、前記目標物体の高度を計算する干渉効果部をさらに備え、
前記干渉効果部は、前記3つ以上の送信機のそれぞれについて、干渉効果パターンデータを受信して記憶する干渉効果パターンデータ記憶装置をさらに備える
物体位置処理サブシステムと、
前記物体位置処理サブシステムから目標物データを受信して、前記目標物体の前記目標物データを選択的に表示する表示サブシステムと、
を備える目標物体の検出および追尾を行うシステム。
【請求項13】
1つまたは複数の送信機であって、該送信機のそれぞれによってブロードキャストされた信号と、該送信機によってブロードキャストされ、かつ、周囲の地形によって反射された信号とが重なることにより干渉効果パターンを形成する、送信機、によって送信された信号を使用して、目標物体の位置の検出および追尾を行う方法であって、
前記1つまたは複数の送信機によってブロードキャストされた1つまたは複数の信号を受信するステップと、
前記1つまたは複数の送信機によってブロードキャストされ、かつ、前記目標物体によって反射された1つまたは複数の反射信号を受信するステップと、
前記目標物体によって反射された前記干渉効果パターン信号を受信するステップと、
高度計算用に使用される、前記1つまたは複数の送信機のそれぞれの周りに形成される前記干渉効果パターンに対応する干渉パターンデータを計算し記憶するステップと、
前記送信機によってブロードキャストされた信号と、前記反射信号と、前記干渉効果パターン信号とを使用して、前記目標物体の前記位置を計算するステップと、
を含む目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項14】
前記目標物体の前記位置を計算する前記ステップは、
前記直接信号および前記反射信号から前記目標物体の距離データを計算するステップと、
前記直接信号および前記反射信号から前記目標物体の方位角データを計算するステップと、
前記目標物体によって反射された前記干渉効果パターン信号から高度データを計算するステップと、
を含む請求項13に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項15】
前記距離データ、前記方位角データ、および前記高度データを、前記目標物体によって反射された前記干渉効果パターン信号に対応する干渉効果パターンデータと比較するステップと、
前記干渉効果パターンデータとの前記比較から、対応する高度計測値を生成するステップと、
をさらに含む請求項14に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項16】
前記目標物体の前記位置を計算することは、前記1つまたは複数の反射信号の到来時間差を計算することをさらに含む請求項13に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項17】
前記目標物体の前記位置を計算することは、前記1つまたは複数の反射信号の到来周波数差を計算することをさらに含む請求項13に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項18】
前記干渉効果パターン信号をその後の高度計算用に監視するステップをさらに含む請求項13に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。
【請求項19】
前記目標物体の前記位置を示す前記データを表示用の表示システムに提供するステップをさらに含む請求項13に記載の目標物体の位置の検出および追尾を行う方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−244272(P2009−244272A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144333(P2009−144333)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【分割の表示】特願2002−588217(P2002−588217)の分割
【原出願日】平成14年5月6日(2002.5.6)
【出願人】(503148122)ロッキード・マーティン・コーポレイション (6)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】700 N. Frederick Avenue, Gaithersburg, MD 20879, U.S.A.
【Fターム(参考)】