説明

直動伸縮アクチュエータ

【課題】歪センサの取り付けが容易で、信号雑音比が改善された直動伸縮アクチュエータを実現する。
【解決手段】直動伸縮アクチュエータ1は、長軸方向に伸縮可能なチューブ2と、チューブ2の周方向の伸縮歪を検出するためにチューブ2の外周面を周方向に沿って覆う弾性体4を有する歪センサ3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長軸方向に伸縮する直動伸縮アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
直動伸縮アクチュエータとして、マッキベン型アクチュエータが知られている。マッキベン型アクチュエータは、代表的な空気圧ソフトアクチュエータであり、マッキベン型ゴム人工筋とも呼ばれる。マッキベン型ゴム人工筋は、繊維コードを網状に編んだスリーブと、このスリーブによって覆われたゴムチューブとを備えている。このゴムチューブの内圧を上げることによって発生する半径方向の膨張力が、繊維コードによりゴムチューブの軸方向の収縮力に変換される。
このようなマッキベン型アクチュエータは、収縮性を持つ直動アクチュエータである。このため、マッキベン型アクチュエータの長軸方向の歪を検出するために、ロータリーエンコーダなど回転式センサを用いることはできない。
図7は、直動伸縮アクチュエータの歪を直動型ポテンショメータにより測定する方法を説明するための図である。直動伸縮アクチュエータ92と平行に直動型ポテンショメータ91を取り付けることによって、直動伸縮アクチュエータ92の長軸方向に沿った歪を検出することが可能である。
【0003】
図8は、直動伸縮アクチュエータの歪を導電性ゴムを用いた長軸方向直接計測により測定する方法を説明するための図である。図8に示すように、導電性ゴムをアクチュエータの側面に貼り付け,導電性ゴムの抵抗値変化によってアクチュエータの長軸方向の変位を計測するセンサが開発されている(非特許文献1)。
【0004】
また、アクチュエータの周囲にリニアエンコーダを巻きつけて、アクチュエータの周方向の変位を計測する構成が知られている(非特許文献6)。
【特許文献1】特開2000−258112号公報(平成12年9月22日公開)
【非特許文献1】Yamamoto, Y.; Kure, K.; Iwai, T.; Kanda, T.; Suzumori, K., "Flexible displacement sensor using piezoelectric polymer for intelligent FMA," Intelligent Robots and Systems, 2007. IROS 2007. IEEE/RSJ International Conference on , vol., no., pp.765-770, Oct. 29 2007-Nov. 2 2007
【非特許文献2】脇元,修一 鈴森,康一 神田,岳文 インテリジェントMcKibben型アクチュエータの開発 : 第1報,柔軟変位センサの内蔵による位置サーボ系の実現(機械力学,計測,自動制御) 日本機械学會論文集. C編 03875024 社団法人日本機械学会 20050925 71 709 2754-2760 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006264860/
【非特許文献3】Jun Ueda, Masayuki Matsugashita, Reishi Oya, and Tsukasa Ogasawara, "Control of Muscle Force During Exercise Using a Musculoskeletal-Exoskeletal Integrated Human Model," Experimental Robotics, The 10th International Symposium on Experimental Robotics, Springer Tracts in Advanced Robotics, ISBN:978-3-540-77456-3,pp. 143--152, Volume 39, 2008
【非特許文献4】Ming Ding, Jun Ueda, Tsukasa Ogasawara, "Development of MAS - a system for pin-pointed muscle force control using a power-assisting device", Proceddings of the 2007 IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics (Robio2007), December 15-18, Sanya, China, 2007
【非特許文献5】中村大介,上田淳,小笠原司:"空気圧ゴム人工筋の張力測定によるパワーアシスト装具の姿勢推定",福祉工学シンポジウム2007講演論文集,pp.142-145, 2007.10.1-3
【非特許文献6】堂田周治郎、「パワーアシスト用小型制御弁および人工筋一体型センサの開発」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記図7に示す従来技術の構成では、直動型ポテンショメータ91には柔軟性がないので、直動伸縮アクチュエータ92が本来有している柔軟性を著しく損なってしまうという問題が生じる。また、直動型ポテンショメータ91は形状が大きいので、スペース上の効率も悪くなるという問題も生じる。
【0006】
また、図8に示す従来技術の構成では、導電性ゴムは一般的に伸張性を持ち,収縮性を持つアクチュエータに取り付けるには、あらかじめ引っ張り方向のプリテンションを導電性ゴムに作用させることが必要になる。その結果、導電性ゴムをアクチュエータに取り付ける際に張力を維持する必要があるという取り付けの困難さに起因して計測精度が悪化したり、定常的な張力保持のためセンサ(導電性ゴム)の寿命が著しく悪化するおそれがあるという問題がある。また、導電性ゴムの抵抗値は一般的に非常に高いので、良好な信号対雑音比(S/N比)を得られないという問題もある。この信号対雑音比を改善するために導電性ゴムの厚みを増して抵抗値を減少させると、今度は導電性ゴムの剛性が増して、取り付けが一層困難になるという問題がある。
【0007】
また、上記非特許文献6に開示された構成は、アクチュエータの周方向の変位を計測するものであって、本願発明のように、アクチュエータの長軸方向に沿った歪を計測する構成を示唆するものではない。また、上記非特許文献6に開示されたリニアエンコーダは、歪を計測するものではなく、歪センサによって歪を計測する本願発明を示唆するものではない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、歪センサの取り付けが容易で、信号雑音比が改善された直動伸縮アクチュエータを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータは、長軸方向に伸縮可能な伸縮部材と、前記伸縮部材の周方向の伸縮歪を検出するために前記伸縮部材の外周面を周方向に沿って覆う弾性体を有する歪センサとを備えたことを特徴とする。
【0009】
この特徴により、伸縮部材の外周面を周方向に沿って覆う弾性体が、伸縮部材の周方向の伸縮歪を検出するので、歪センサの取り付けが容易で、信号雑音比が改善された直動伸縮アクチュエータを実現することができる。
【0010】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記弾性体は、ゴムによって構成されていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、20%程度の伸長歪を許容することができ、かつ、電気的に比較的簡単に計測することができる。
【0012】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記弾性体は、導電性材料によって構成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、20%程度の伸長歪を許容することができ、かつ、電気的に比較的簡単に計測することができる。
【0014】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記伸縮部材は、チューブであることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、空気圧によって直動伸縮アクチュエータを駆動することができる。
【0016】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記チューブは、圧縮流体の流入及び流出によって長軸方向に伸縮することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、マッキベン型空気圧アクチュエータに適用することができる。
【0018】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記チューブは、媒体の流入によって拡大することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、チューブの周方向の歪が軸方向の歪よりも大きくなり、周方向の歪を検出する本発明のS/N比が向上する。
【0020】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記弾性体は、断面環状に形成されていることが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、弾性体を伸縮部材に嵌め込むように安定的に取り付けることができる。
【0022】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記歪センサは、前記伸縮部材の周方向の伸縮歪を表す信号を伝達するために前記弾性体に接続された導線をさらに有することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、伸縮部材の周方向の伸縮歪を表す信号を、周方向の伸縮歪に基づいて伸縮部材の長軸方向の伸縮歪を推定する推定手段に送信することができる。
【0024】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータでは、前記歪センサによって検出された伸縮部材の周方向の伸縮歪に基づいて、前記伸縮部材の長軸方向の伸縮歪を推定する推定手段をさらに備えることが好ましい。
【0025】
上記構成によれば、伸縮部材の周方向の伸縮歪を歪センサにおって検出することによって、伸縮部材の長軸方向の伸縮歪を検出することができる直動伸縮アクチュエータを得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る直動伸縮アクチュエータは、伸縮部材の周方向の伸縮歪を検出するために伸縮部材の外周面を周方向に沿って覆う弾性体を歪センサに設けたので、歪センサの取り付けが容易で、信号雑音比が改善された直動伸縮アクチュエータを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図1ないし図14(b)に基づいて説明すると以下の通りである。図1は、実施の形態に係る直動伸縮アクチュエータ1の外観を示す図である。図2は、直動伸縮アクチュエータ1に設けられたチューブ2の外観を示す図である。図3は、チューブ2に設けられた歪センサ3を示す図である。図4(a)はチューブ2に設けられた歪センサ3を模式的に示す正面図であり、図4(b)はその断面図である。
【0028】
本実施の形態は、空気圧で駆動されるマッキベン型アクチュエータの軸方向変位量計測を高精度に行う検出機構に関する。本実施の形態では、マッキベン型空気圧アクチュエータの変位を測定するセンサを提案する。マッキベン型空気圧アクチュエータは、圧縮空気の流入によって長軸方向に収縮する機構を有する。駆動対象物の精密な制御のため、アクチュエータの変位測定は重要である。しかしながら、アクチュエータが柔軟性を持つため、その変位の測定は容易でない。本実施の形態は、柔軟性を持つ歪センサを用いて、マッキベン型アクチュエータの周方向の歪を計測し、軸方向歪を推定するものである。周方向の伸張歪は軸方向の収縮歪よりも大きいため、軸方法変位を直接計測するよりも優れた信号対雑音比が得られる。
直動伸縮アクチュエータ1は、長軸方向に伸縮可能な複数本のチューブ2を備えている。このチューブ2は、圧縮流体の流入及び流出によって長軸方向に伸縮するマッキベン型ゴム人工筋であり得る。
【0029】
各チューブ2には、チューブ2の長軸方向の伸縮歪を検出するための歪センサ3が設けられている。歪センサ3は、チューブ2の周方向の伸縮歪を検出するためにチューブ2の外周面を周方向に沿って覆う断面環状の弾性体4を有している。この弾性体4は、導電性ゴムによって構成されている。歪センサ3には、チューブ2の周方向の伸縮歪を表す信号を伝達するために弾性体4に接続された導線5が設けられている。この導線5は、歪センサ3の弾性体4によって検出されたチューブ2の周方向の伸縮歪に基づいて、チューブ2の長軸方向の伸縮歪を推定する図示しない推定器に接続されている。
【0030】
直動伸縮アクチュエータ1は、柔軟かつ軽量であるため、装着型パワーアシスト装具として使用することができる。また、ホイスト、介護ベッド、遊具等にも直動伸縮アクチュエータ1を使用することができる。この直動伸縮アクチュエータ1の性能を向上させるためには、精度の高い変位量計測が必須である。歪センサ3は、チューブ2(アクチュエータ)の変位を計測するセンサであり、電磁モータにおける光学式エンコーダに相当する。アクチュエータとして動作するチューブ2が柔軟性を有しており、長軸方向に沿って数十cmの長さを有しているため、従来適切なセンサが存在しなかった。
【0031】
図5は、チューブ2の伸縮を説明するための図である。図6は、チューブ2の長軸方向収縮率と円周方向収縮率との間の関係を示すグラフである。チューブ2は、長軸方向に収縮するときは、円周方向(直径方向)には伸長する。図6のグラフにおいて、横軸はチューブ2の長軸方向収縮率を示しており、縦軸はチューブ2の円周方向伸長率を示している。図6より、直動伸縮アクチュエータ1のチューブ2は、長軸方向収縮率よりも円周方向伸長率が大きいことが判る。例えば、長軸方向収縮率が80.5%のときに円周方向収縮率は149.5%であり、
実効歪は、((149.5−100)/(100−80.5))
=(49.5/19.5)
=約2.5
となり、本実施の形態に係るチューブ2の実効歪は、約2.5になる。
【0032】
このように、本実施の形態に係る直動伸縮アクチュエータ1には、チューブ2の周方向歪を検出することによってチューブ2の軸方向に沿った歪を推定するための導電性ゴム性の弾性体4を有する歪センサ3を設けている。導電性ゴム性の弾性体4をチューブ2に取り付けるときに、従来技術の構成のようにプリテンションをかける必要がない。直動伸縮アクチュエータ1のチューブ2は、駆動時に、軸方向に収縮すると、周方向に伸長するが、導電性ゴム性の弾性体4も同様に周方向に伸長するからである。従って、歪センサの取り扱いが、従来技術よりも容易になり、歪センサの寿命が向上する。また、マッキンベン型アクチュエータは、長軸方向収縮率よりも円周方向伸長率が大きく、本実施の形態の直動伸縮アクチュエータ1は、長軸方向収縮率ではなく、円周方向伸長率を検出するので、長軸方向収縮率を検出する従来技術の構成よりも、S/N比が向上する。
【0033】
図9はチューブ2の伸縮歪の計測結果を示すグラフであり、図10はチューブ2の伸縮歪のローパスフィルタ通過後の計測結果を示すグラフである。図9及び図10に示すグラフの横軸は時間を示し、縦軸は計測電圧を示す。
図9には、本実施の形態の弾性体4によって計測された電圧波形C3と、図8に示す導電性ゴムによる長軸方向直接計測によって計測された電圧波形C2と、図7に示す直動型ポテンショメータによって計測された電圧波形C4とが示されている。電圧波形C3によるS/N比は、14.4(dB)であり、電圧波形C2によるS/N比は、3.1(dB)であり、電圧波形C4によるS/N比(参考)は、43.8(dB)である。このように、チューブの円周方向の歪を検出する導電性ゴム製弾性体4によるS/N比14.4dBは、軸方向の歪を検出する従来の導電性ゴム製弾性体によるS/N比3.1dBよりも改善されたことが判る。
【0034】
図10には、本実施の形態の弾性体4によって計測されたローパスフィルタ通過後の電圧波形C6と、図8に示す導電性ゴムによる長軸方向直接計測によって計測されたローパスフィルタ通過後の電圧波形C5と、図7に示す直動型ポテンショメータによって計測された電圧波形C7とが示されている。電圧波形C6によるS/N比は、28.0(dB)であり、電圧波形C5によるS/N比は、17.1(dB)であり、電圧波形C7によるS/N比(参考)は、51.3(dB)である。このように、チューブの円周方向の歪を検出する導電性ゴム製弾性体4によるS/N比28.0dBは、軸方向の歪を検出する従来の導電性ゴム製弾性体によるS/N比17.1dBよりも改善されたことが判る。
【0035】
図11(a)、図12(a)及び図13(a)は、それぞれ歪センサ3の製造方法を示す正面図であり、図11(b)、図12(b)及び図13(b)は、それぞれその平面図である。図14(a)は歪センサ3の構成を示す断面図であり、図14(b)は歪センサ3に設けられた導電性柔軟材料8a(8b)を示す斜視図である。
【0036】
まず、図11(a)及び図11(b)に示すように、扁平帯状の導電性柔軟材料8aの表面上に、2本の導線5の先端を載せる。2本の導線5の1本は、導電性柔軟材料8aの一端から、導電性柔軟材料8aの横長の約3分の1の距離の位置に載せる。2本の導線5の他の1本は、導電性柔軟材料8aの他端から、導電性柔軟材料8aの横長の約3分の1の距離の位置に載せる。
【0037】
そして、図12(a)及び図12(b)に示すように、導電性柔軟材料8aの上の2本の導線5の1本の先端を覆って導電性接着剤7を塗布する。次に、導線5の他の1本の先端を覆って導電性接着剤7を塗布する。
【0038】
その後、図13(a)及び図13(b)に示すように、導電性柔軟材料8aの上に、導電性接着剤7が塗布された2本の導線5を挟んで導電性柔軟材料8bを載せる。そして、図14(a)に示すように、導電性柔軟材料8a・8bの一端と他端とを接着させて、断面環状の弾性体4及び導線5を有する歪センサが完成する。
【0039】
本実施の形態によれば、伸張性の導電性ゴムを、同じく伸張性を有するマッキベン型アクチュエータの周方向変位計測に用い、プリテンションを不要にする。結果的に、取り付けが容易になり、かつ寿命も向上する。加えて、マッキベン型アクチュエータの周方向の伸張歪は軸方向の収縮歪よりも大きいことを利用し、軸方法変位の直接計測よりも優れた信号対雑音比を得る。加えて、アクチュエータ周方向を覆うように導電性ゴムで閉断面を構成すると、伸張歪に対して耐え易くなると同時に抵抗値が半分になり、信号対雑音比も改善する。
【0040】
マッキベン型アクチュエータの軸方向変位を計測するためには、より歪の大きい周方向変位を計測したほうが信号対雑音比で有利である。導電性ゴムを使用した変位計測センサは、伸張性を有する周方向の変位計測に用いるほうが、取り扱いの点で有利である。周方向変位の計測のため導電性ゴムで閉断面を構成すると、抵抗値を1/2にすることができ、さらなる信号対雑音比の向上が見込める。さらに、閉断面の構成により、伸長歪に対しても頑健性が向上する。
【0041】
なお、本実施の形態では、弾性体4を導電性ゴムによって構成する例を示したが、本発明はこれに限定されない。導電性ゴムであれば、20%程度の伸長歪を許容することができ、かつ、電気的に比較的簡単に計測することができる点で好ましい。しかしながら、歪を電気信号に変換する材料であって、周方向の伸長歪を計測することができる材料であれば、導電性ゴムに限定されない。例えば、ピエゾ素子によって弾性体4を構成してもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、弾性体4が断面環状である例を示したが、本発明はこれに限定されない。弾性体4の断面は、環状でなくてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、空気圧で駆動されるマッキベン型アクチュエータの例を示したが、本発明のアクチュエータは空気圧に限定されない。例えば、液体圧によって駆動される直動伸縮アクチュエータに対しても本発明を適用することができる。また、ピエゾアクチュエータ、導電性高分子材料、エラストマー、形状記憶合金によって収縮あるいは伸長するアクチュエータであってもよい。ただし、本発明の利点は、空気圧直動伸縮アクチュエータにおいて、より明確に現れる。
【0044】
本実施の形態では、
軸方向の歪<周方向の歪
であることを利用して感度(S/N比)を上げているが、このように、周方向の歪が軸方向の歪よりも大きくなるのは、空気が流入することによってチューブの体積が増加するときのみである。
【0045】
なぜならば、駆動前後でチューブの体積が変化しないのであれば、
(1−(軸方向の歪))×(1−(周方向の歪))=1 …(式1)
が成り立たねばならず、
周方向の歪<軸方向の歪
となってしまうからである。上記(式1)が成り立つときは、周方向の歪は、軸方向の歪の平方根になってしまう。すなわち、すなわち、媒体の流入によってチューブが拡大するときにのみ、「軸方向の歪<周方向の歪」という利点が生じる。
【0046】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、長軸方向に伸縮する直動伸縮アクチュエータに適用することができ、また、アクティブリンク、福祉医療関連機器、スポーツトレーニング関連機器に適用することができる。さらに本発明は、高齢者向けの筋肉損傷部の選択的トレーニング機器、高齢者向けエクサテイメント機器、片麻痺患者用足関節固定用靴型装具、介護者用動作補助装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態に係る直動伸縮アクチュエータの外観を示す図である。
【図2】上記直動伸縮アクチュエータに設けられたチューブの外観を示す図である。
【図3】上記チューブに設けられた歪センサを示す図である。
【図4】(a)は上記チューブに設けられた歪センサを模式的に示す正面図であり、(b)はその断面図である。
【図5】上記チューブの伸縮を説明するための図である。
【図6】上記チューブの長軸方向収縮率と円周方向収縮率との間の関係を示すグラフである。
【図7】直動伸縮アクチュエータの歪を直動型ポテンショメータにより測定する方法を説明するための図である。
【図8】直動伸縮アクチュエータの歪を導電性ゴムを用いた長軸方向直接計測により測定する方法を説明するための図である。
【図9】上記チューブの伸縮歪の計測結果を示すグラフである。
【図10】上記チューブの伸縮歪のローパスフィルタ通過後の計測結果を示すグラフである。
【図11】(a)は上記歪センサの製造方法を示す正面図であり、(b)はその平面図である。
【図12】(a)は上記歪センサの製造方法を示す正面図であり、(b)はその平面図である。
【図13】(a)は上記歪センサの製造方法を示す正面図であり、(b)はその平面図である。
【図14】(a)は上記歪センサの構成を示す断面図であり、(b)は上記歪センサに設けられた導電性柔軟材料を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 直動伸縮アクチュエータ
2 チューブ(伸縮部材)
3 歪センサ
4 弾性体
5 導線
7 導電性接着剤
8a、8b 導電性柔軟材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記伸縮部材の周方向の伸縮歪を検出するために前記伸縮部材の外周面を周方向に沿って覆う弾性体を有する歪センサとを備えたことを特徴とする直動伸縮アクチュエータ。
【請求項2】
前記弾性体は、ゴムによって構成されている請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項3】
前記弾性体は、導電性材料によって構成されている請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項4】
前記伸縮部材は、チューブである請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項5】
前記チューブは、圧縮流体の流入及び流出によって長軸方向に伸縮する請求項4記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項6】
前記チューブは、媒体の流入によって拡大する請求項4記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項7】
前記弾性体は、断面環状に形成されている請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項8】
前記歪センサは、前記伸縮部材の周方向の伸縮歪を表す信号を伝達するために前記弾性体に接続された導線をさらに有する請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。
【請求項9】
前記歪センサによって検出された伸縮部材の周方向の伸縮歪に基づいて、前記伸縮部材の長軸方向の伸縮歪を推定する推定手段をさらに備える請求項1記載の直動伸縮アクチュエータ。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−257573(P2009−257573A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303087(P2008−303087)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【Fターム(参考)】