直線状堆積供給源
【課題】複数のノズルに供給される複数の坩堝から蒸発した材料の量を正確に制御する堆積供給源を提供する。
【解決手段】堆積供給源100であって、a)堆積材料を収容する複数の坩堝102と、b)複数のコンダクタンスチャネルを備える本体112と、c)坩堝とコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータと、d)複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、部分的な熱分離を提供する熱シールドと、e)複数のノズルからなり、該ノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該コンダクタンスチャネルを通って該ノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該ノズルから排出され堆積フラックスを形成する。
【解決手段】堆積供給源100であって、a)堆積材料を収容する複数の坩堝102と、b)複数のコンダクタンスチャネルを備える本体112と、c)坩堝とコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータと、d)複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、部分的な熱分離を提供する熱シールドと、e)複数のノズルからなり、該ノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該コンダクタンスチャネルを通って該ノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該ノズルから排出され堆積フラックスを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で用いられる章の見出しは、編集目的のみで用いられ、いかなる場合でも本出願において記載される主題を制限するように解釈されるべきではない。
【0002】
(関連出願の章)
本願は、2009年2月27日に出願された米国仮特許出願第61/156,348号(名称「Deposition Sources, Systems, and Related Methods for Co−Depositing Copper, Indium, and Gallium」)および2008年12月18日に出願された米国仮特許出願第61/138,932号(名称「Deposition Sources, Systems, and Related Methods for Co−Depositing Copper, Indium, and Gallium」)の両出願に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第61/156,348号および米国仮特許出願第61/138,932号の明細書の全てが本明細書において参照により援用される。
【背景技術】
【0003】
(導入部)
広領域の基板堆積システムは、非常に多くの種類の基板材料の可撓性ウェブ基板および剛性のパネル基板を処理するために、長年にわたり使用されてきた。多くの公知のシステムは、可塑性のウェブ基板および剛性のパネルガラス基板を処理するように設計されている。ウェブ基板または剛性のパネルは、直線状堆積供給源のすぐ上を通過する。ウェブ基板または剛性のパネル基板上に材料を蒸発させることに適した公知の直線状堆積供給源は、ボート形状の坩堝を含み、該ボート形状の坩堝は典型的には堆積供給源材料を収容するための耐火性材料から形成される。坩堝は蒸気出口管の内部に配置される。蒸気出口管は、蒸発空間として、そして蒸気を散布する空間として同時に機能する。1つ以上の蒸気出口開口部が、供給源に沿って直線状に配列される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の教示は、本願のさらなる利点と共に、好適な実施形態および例示的な実施形態に従って、添付の図面を参照することにより、以下の詳細な説明により詳細に記載される。当業者は、以下に記載される図面が単なる例示目的であることを理解するであろう。図面は、必ずしも一定の比率で拡大縮小されておらず、その代わりに本願の教示の原理を説明するために概して強調が施されている。図面は本願の教示の範囲を制限することを意図されていない。
【0005】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
堆積供給源であって、
a)堆積材料を収容する複数の坩堝と、
b)複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体であって、該複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は、該複数の坩堝のそれぞれ1つの坩堝の出力と連結されている、本体と、
c)該複数の坩堝と該複数のコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータであって、該ヒータは、該複数の坩堝の各々が該堆積材料を該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)複数のノズルであって、該複数のノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って該複数のノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
(項目2)
上記複数の坩堝のうちの少なくとも一部が、外側坩堝の内部に配置された内側坩堝を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目3)
上記複数の坩堝は、Cuを含む第1の坩堝と、Inを含む第2の坩堝と、Gaを含む第3の坩堝とを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目4)
上記複数の坩堝は、同一の堆積材料を含む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目5)
上記ヒータはRF誘導ヒータ、抵抗ヒータおよび赤外線ヒータのうちの少なくとも1つを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目6)
上記ヒータは複数の個々に制御可能なヒータを備え、該複数のヒータのそれぞれは上記複数の坩堝のそれぞれと熱的な連通をする、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目7)
上記ヒータは上記複数のコンダクタンスチャネルの各々の温度を、上記堆積材料の凝結点の上まで上昇させる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目8)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの温度を、該複数のコンダクタンスチャネルの別のコンダクタンスチャネルに対して制御する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目9)
上記熱シールドは、上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目10)
上記熱シールドは、複数の熱シールドタイルを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目11)
上記熱シールドは、熱シールド材料の複数の層を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目12)
上記熱シールドは拡張リンクを用いて上記本体に取り付けられる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目13)
上記熱シールドは低放射率を有する少なくとも1つの表面を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目14)
上記熱シールドは複数の熱シールドを備え、該複数の熱シールドのそれぞれは上記複数の坩堝のそれぞれを囲む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目15)
上記熱シールドは上記複数のコンダクタンスチャネルを囲む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目16)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つが該複数のコンダクタンスチャネルの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルとは異なる動作温度であるように、上記熱シールドが配置される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目17)
上記複数のノズルの間隔は不均一である、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目18)
上記複数のノズルの間隔は、上記本体の中心部の近位の該複数のノズルの間隔より、該本体のエッジの近位において短い、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目19)
上記複数のノズルの間隔は、実質的に均一な堆積材料フラックスを達成するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目20)
上記複数のノズルの間隔は、堆積材料の利用率を増加させるように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目21)
上記複数のノズルの間隔は、該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目22)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、上記複数のコンダクタンスチャネルの上部表面に対する垂直角度に対してある角度で配置され、該角度は該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目23)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、不均一の堆積フラックスを通過させるような形状のアパーチャを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目24)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、低放射率のコーティングを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目25)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、均一な動作温度をもたらすことにより、該複数のノズルからの堆積材料のスピッティングを低減させる熱伝導性を有する材料から形成される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目26)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、上記コンダクタンスチャネルの近位に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目27)
上記管の長さは、上記複数のノズルの対応する1つのノズルを通る所定の堆積フラックスを達成するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目28)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に上記コンダクタンスチャネル内に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目29)
上記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の長さは、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の長さとは異なる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目30)
上記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の幾何学形状は、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の幾何学形状とは異なる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目31)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、上記複数のコンダクタンスチャネルの上方に延びる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目32)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、上記複数のコンダクタンスチャネルの下方に延びる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目33)
上記本体の少なくとも1つのエッジの近位に配置された流体冷却チャネルをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目34)
堆積フラックスを生成する方法であって、該方法は、
a)複数の坩堝を加熱することであって、該複数の坩堝の各々が本体内の複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つを通って移送する堆積材料を蒸発させるように複数の坩堝の各々が堆積材料を含む、ことと、
b)該複数のコンダクタンスチャネルの各々から該複数のノズルのうちの1つのノズルに該蒸発した堆積材料を移送することであって、該複数のノズルは蒸発した堆積材料を通過させることにより堆積フラックスを形成することと
を包含する、方法。
(項目35)
上記蒸発した堆積材料を、上記複数のコンダクタンスチャネルの各々から、複数の管のうちのそれぞれ1つを通って、該複数のノズルのそれぞれ1つに移送することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目36)
上記複数のノズルから均一な堆積フラックスを達成するために、上記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目37)
高い堆積材料利用率を達成するために、上記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目38)
上記複数の坩堝および上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも一部の温度を独立して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目39)
上記複数の坩堝のうちの少なくとも1つの坩堝によって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つの坩堝の温度を少なくとも1つの他の坩堝の温度に対して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目40)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルによって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルの温度に対して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目41)
上記複数の坩堝および上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの近位に、熱シールド材料の熱膨張のための空間を提供することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目42)
堆積供給源であって、
a)少なくとも1つの堆積材料を含む坩堝と、
b)該坩堝に連結された複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体と、
c)該坩堝と熱的な連通をして配置されるヒータであって、該ヒータは、該坩堝が該少なくとも1つの堆積材料を、該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該坩堝に対して少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)該複数のコンダクタンスチャネルに連結された複数のノズルであって、蒸発した堆積材料が、該坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って、該複数のノズルに移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
(項目43)
上記坩堝は複数の部分的に分離された区画を備え、該部分的に分離された区画は、複数の堆積材料のうちの1つを配置するように寸法があわせられている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目44)
上記複数の部分的に分離された区画のうち少なくとも2つは異なる堆積材料を収容する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目45)
上記複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力が上記複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近位に配置される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目46)
上記熱シールドは、上記坩堝の別の区画に対する該坩堝の1つの区画の温度を制御する熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目47)
上記ヒータは上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つと熱的な連通をし、該ヒータは、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの別の1つに対して、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの温度を上昇させる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目48)
上記熱シールドは、上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに対して熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
【0006】
(要旨)
それぞれが堆積材料を収容する複数の坩堝を含む堆積供給源。熱シールドは複数の坩堝のうちの少なくとも1つに対して少なくとも部分的な熱分離を提供する。本体は複数のコンダクタンスチャネル内に含まれる。複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は複数の坩堝のそれぞれの出力に連結される。ヒータは、各坩堝が堆積材料を複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を上昇させる。複数のノズルの各々の入力は、複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力と連結される。蒸発した堆積材料は、坩堝から、コンダクタンスチャネルを通ってノズルまで移送され、ここで蒸発した堆積材料は複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に従う、直線状堆積供給源の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、複数の坩堝を含み、該複数の坩堝は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネルに、その後複数のノズルに連結されている。
【図2A】図2Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、上方に堆積材料を蒸発できるように複数のノズルが配置されている。
【図2B】図2Bは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、下方に堆積材料を蒸発できるように複数のノズルが配置されている。
【図2C】図2Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、本体は垂直方向に配置された複数のノズルを含んでいる。
【図2D】図2Dは、本発明に従う、別の直線状堆積供給源の断面図を示しており、本外は垂直方向に配置された複数のノズルを含んでいる。
【図3】図3は、本発明に従う、直線状堆積供給源の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネルに、その後複数のノズルに連結されている単一の坩堝を含んでいる。
【図4】図4は、2つのタイプの材料から形成された、本願の教示の直線状堆積供給源に対する坩堝の斜視断面図を示している。
【図5】図5は、本発明に従う、直線状堆積供給源の一部分の斜視上面図を示しており、ハウジング内の3つの坩堝に連結されている3つのコンダクタンスチャネルを示している。
【図6A】図6Aは、本発明の直線状堆積供給源に対する抵抗性坩堝ヒータの一部分の斜視図であり、坩堝が配置されるヒータの内部および3つの側部を示している。
【図6B】図6Bは、複数の坩堝の各々を加熱するための複数の坩堝ヒータのうちの1つの外部の斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の直線状堆積供給源の側面図であり、複数のコンダクタンスチャネルを加熱するためのコンダクタンスチャネルヒータを示している。
【図7B】図7Bは、コンダクタンスチャネルヒータを含むロッドの斜視図である。
【図7C】図7Cは、本発明の直線状堆積供給源の本体の斜視図を示しており、ロッドの端部を本体に接合するカップリングを示している。
【図8】図8は、拡張リンクを含む本体のフレームを示している。
【図9A】図9Aは、本願の教示に従う、複数の坩堝に対するそして直線状堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネルに対する熱シールドの斜視断面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示されている熱シールドの完全な斜視図である。
【図10】図10は、本願の教示に従う、堆積供給源の上部斜視図を示しており、蒸発された材料を基板またはその他の加工物上に放出するための本体内の複数のノズルを示している。
【図11A】図11Aは、本願の教示に従う、堆積供給源の本体の断面図を示しており、ノズルへの堆積材料の流れを制御する管を有するコンダクタンスチャネルに連結された一列のノズルを示している。
【図11B】図11Bは、本願の教示に従う、堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネルの断面図を示しており、ノズルへの堆積材料の流れを制御する管を有する複数のコンダクタンスチャネルに連結された一列のノズルを示している。
【図12】図12は、本願の教示に従う、直線状堆積供給源に対する複数のノズルのうちの1つを含むノズルの斜視断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(様々な実施形態の説明)
明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連する特定の特徴、構造、または特性が、本願の教示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。明細書における様々な場所での「一実施形態において」との言い回しの出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているとは限らない。
【0009】
本願の教示の方法のそれぞれのステップは、本願の教示が機能可能であり続ける限り、任意の順序でおよび/または同時に実行され得ることに留意されたい。さらに、本願の教示の装置および方法は、本願の教示が機能可能であり続ける限り、記載された実施形態のうちの任意の数または全てを含み得ることに留意されたい。
【0010】
本願の教示は、添付図面に示されている例示的な実施形態を参照してより詳細に記載される。本願の教示が様々な実施形態および実施例に関連して記載されるが、本願の教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。対照的に、本願の教示は、当業者に理解されるように、様々な代替、改変および均等物を含む。本明細書中の本願の教示に触れることができる当業者は、本明細書中に記載されている本開示の範囲内にあるさらなる実装、改変および実施形態、ならびにその他の使用分野を認識するであろう。
【0011】
本願の教示は、概して、基板上への堆積のための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するための装置および方法に関する。本願の教示の一部の局面は、直線状堆積供給源に関し、該直線状堆積供給源は、ウェブ基板、剛性のパネル基板、または任意のタイプの細長い加工物上に材料を堆積するための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するのに適した直線状堆積供給源である。本願の教示のその他の局面は、直線状堆積供給源に関し、該直線状堆積供給源は、複数の従来の基板(例えば、半導体基板等)を支持する基板ホルダー上に材料を堆積するための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するのに適した直線状堆積供給源である。
【0012】
本願の教示の多くの実施形態において、方法および装置は、蒸発による堆積に関する。本明細書中で用いられるとき、用語「蒸発(evaporation)」は、供給源材料を蒸気に変換することを意味し、当該技術分野におけるいくつかの用語の通常の使用、例えば、蒸発(evaporation)、気化(vaporization)および昇華(sublimation)を含む。蒸気に変換される供給源材料は、任意の物質状態であり得る。多くの実施形態において、本願の教示の装置および方法は、基板上(例えば、ウェブ基板または剛性のパネル基板)上に2つ以上の異なる材料を同時に蒸発させるために用いられる。一部の実施形態において、本願の教示の装置および方法は、基板(例えば、ウェブ基板または剛性のパネル基板)上に単一の材料を蒸発させるために用いられる。
【0013】
本願の教示の1つの用途は、ウェブ基板または剛性のパネル基板上への銅、インジウムおよびガリウムの同時の堆積のための方法および装置に関する。インジウムの全部または一部をガリウムで置換した二セレン化銅インジウムの化合物(CSI化合物)は、二セレン化銅インジウムガリウム化合物(CIGS化合物)として公知である。CIGSは、光電池を製造するために一般的に用いられる。特に、CIGS化合物は、薄膜太陽電池における吸収層として一般的に用いられる。CIGS化合物は、ダイレクトバンドギャップを有し、これは、電磁スペクトルの可視領域における太陽放射の強力な吸収を可能にする。CIGS光電池は、その他のタイプの吸収層の化合物(例えば、テルル化カドミウム(CdTe)およびアモルファスシリコン(a−Si))を有する一般的に用いられる光電池と比較して、高い変換効率と、優れた安定性とを有することが実証されている。
【0014】
CIGS吸収層は、優れた結晶性を有する典型的なp型化合物半導体層である。優れた結晶性は、概して、高い効率の光起電動作に必要な所望の電荷移送効率を達成するために要求される。実際、CIGS吸収層は、高い効率の光起電動作を達成するために少なくとも部分的に結晶化されなければならない。結晶化されたCIGS化合物は、結晶構造を有し、該結晶構造は、CIGS化合物を形成するために用いられる堆積温度に応じて、黄銅鉱または閃亜鉛鉱のいずれかとして特徴付けられる。
【0015】
CIGS化合物は、様々な技術を用いて形成され得る。CIGS化合物を形成するための一方法は、化学的前駆体を用いる。化学的前駆体は、薄膜に堆積され、その後アニーリングされて、所望のCIGS層を形成する。CIGS前駆体材料が低温で堆積される場合、結果として生じるCIGS薄膜は、アモルファスであるか、または、弱く結晶化されるに過ぎないかである。その後、CIGS薄膜は、上昇した温度でアニーリングされ、所望の電荷移送特性を提供するために、CIGS化合物の結晶化を向上させる。
【0016】
しかしながら、CIGS薄膜の部分的な結晶化を引き起こすのに必要な上昇した温度において、堆積された薄膜におけるセレンは、その他の要素よりもより揮発性がある。結果として、前駆体層をアニーリングしている間に、セレンがしばしば追加されることにより、結晶化を向上させ、所望の組成および化学量論比を有するCIGS化合物を提供する。CIGS薄膜の化合物を形成するこの方法は、比較的時間がかかり、蒸気相内に大量のセレンを必要とし、このことが製造コストを追加する。
【0017】
CIGS化合物を形成するための別の方法は、真空蒸発を使用する。同時の蒸発によって製造されたCIGS光電池は、前駆体材料を用いて製造されたCIGS光電池と比較して、高い光起電変換効率を有し得る。この方法において、銅、インジウム、ガリウムおよびセレンは、基板上に同時に蒸発される。同時の蒸発は、薄膜の化学量論比の正確な制御を可能にし、薄膜の光吸収層における組成的なグレーディングを可能にする。したがって、同時の蒸発は、最適な光起電性能を達成するためにバンドギャップを正確に調整するために用いられ得る。しかしながら、大きな表面積にわたって材料を均一に蒸発させることは困難なので、銅、インジウム、ガリウムおよびセレンの同時の蒸発は、産業規模での使用が困難であり得る加工技術である。
【0018】
本願の教示の一局面は、供給源と、そのような供給源を動作させるシステムおよび方法と、多くのタイプのデバイス(例えば、CIGS光電池)の製造のための、複数の蒸発された供給源材料を効率的かつ制御可能に提供するシステムとを提供することである。
【0019】
本願の教示の別の局面は、堆積供給源と、そのような供給源を動作させるシステムおよび方法と、多くのタイプのデバイス(例えば、有機発光ダイオード(OLED)デバイス)の製造のための、単一の蒸発された供給源材料を効率的かつ制御可能に提供するシステムとを提供することである。当業者は、本願の教示の一部の局面はCIGS光電池およびOLEDデバイスに関連して記載されているものの、本開示における本願の教示は、蒸発された材料を用いて製造され得るその他の任意のタイプのデバイスに適用されることを理解するであろう。
【0020】
図1は、本発明に従う、直線状堆積供給源100の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、複数の坩堝102を含み、該複数の坩堝は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネル104に、その後複数のノズル106に連結されている。複数の坩堝102の各々は、蒸発供給源材料を含んでおり、この蒸発供給源材料は、同じまたは異なる供給源材料であり得る。複数のコンダクタンスチャネル104の各々の入力は、複数の坩堝102のそれぞれの出力に連結されている。多くの実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル104は、蒸発された材料が複数のコンダクタンスチャネル104に移送される間に、蒸発された材料が中断しないように設計される。
【0021】
ハウジング108は、複数の坩堝102を含む。ハウジング108は、ステンレス鋼または類似の材料から形成される。一部の実施形態においては、流体冷却チャネルが、ハウジング108に沿って配置される。ハウジング108はまた、シーリングフランジ110を含み、該シーリングフランジ110は、ハウジング108を真空チャンバ(図示されず)に取り付ける。直線状堆積供給源100の一特徴は、坩堝が真空チャンバの外にあることにより、これらが容易に充填および保守点検され、それにより、利用性を向上させるということである。複数のコンダクタンスチャネル104と複数のノズル102とを含む本体112は、ハウジング108のシーリングフランジ110を超えて延在している。一部の実施形態において、流体冷却チャネルが本体112に沿って提供される。
【0022】
図1に示されている実施形態において、供給源100は、直線状構成の3つの坩堝102を含み、3つのコンダクタンスチャネル104のうちのそれぞれの入力は、3つの坩堝102のうちのそれぞれの出力に連結されている。ノズル106は、複数のコンダクタンスチャネル104の各々に沿って複数の位置に配置される。しかしながら、図1は断面図であるので、中央のコンダクタンスチャネル104と、ノズル106の半分のみが、図1に示されている。
【0023】
当業者は、多くのタイプの坩堝が用いられ得ることを認識するであろう。例えば、複数の坩堝のうちの少なくとも一部は、図4に関連して記載されるように、別の坩堝の内部に形成された少なくとも1つの坩堝を含み得る。複数の坩堝102は、特定の製造工程に適した蒸発材料を含む。多くの実施形態において、複数の坩堝102の各々は、異なる蒸発材料を含む。例えば、3つの坩堝の各々は、CIGSベースの光起電デバイスの機能的吸収層を効率的に同時に蒸発させるための材料供給源を提供するように、銅、インジウムおよびガリウムのうちの1つを含み得る。しかしながら、一部の実施形態においては、複数の坩堝のうちの少なくとも2つは、同じ堆積材料を含む。例えば、3つの坩堝の各々は、OLEDデバイスに対する接触を堆積させるための単一材料システムを含み得る。
【0024】
1つ以上の坩堝ヒータ114が、複数の坩堝102との熱的に連通して配置される。坩堝ヒータ114は、複数の坩堝102の温度を増加させることにより、複数の坩堝102の各々が、そのそれぞれの堆積供給源材料を複数のコンダクタンスチャネル104の中に蒸発させるように配置されている。一部の坩堝ヒータ114は、非常に高い温度へと蒸発供給源材料を加熱することが要求される。そのような坩堝ヒータは、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料から形成され得る。坩堝ヒータ114は、1つの単一ヒータであるかまたは複数のヒータであり得る。例えば、一実施形態において、複数の坩堝ヒータの各々は、複数の坩堝ヒータのそれぞれが複数の坩堝102の各々のそれぞれと熱的に連通するように、個別的に制御可能であり得る。
【0025】
坩堝ヒータ114は、任意のタイプのヒータであり得る。例えば、坩堝ヒータ114は、図1に示されているような抵抗ヒータであり得る。抵抗ヒータの一実施形態は、図6Aおよび6Bに関連してより詳細に記載される。坩堝ヒータ114はまた、RF誘導ヒータおよび/または赤外線ヒータのうちの1つであり得る。多くの実施形態において、全ての坩堝ヒータ114は、同じタイプのヒータであり得る。しかしながら、一部の実施形態においては、坩堝ヒータ114の2つ以上が、異なる堆積供給源材料を蒸発するための異なる熱特性を有する異なるタイプのヒータであり得る。
【0026】
坩堝ヒータ114または別個のコンダクタンスチャネルヒータは、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つとの熱的に連通して配置されることにより、複数のコンダクタンスチャネル104の各々の温度は、特定のコンダクタンスチャネルを通る堆積供給源材料の凝結点より高くに上昇させられる。コンダクタンスチャネルヒータは、図7A、7Bおよび7Cに関連して記載される。当業者は、例えば抵抗ヒータ、RF誘導ヒータおよび/または赤外線ヒータ等の多くのタイプのヒータが、複数のコンダクタンスチャネル104を加熱するために用いられ得ることを認識するであろう。コンダクタンスチャネルヒータは、単一のヒータであるかまたは複数のヒータであり得る。ヒータのうちの1つよりも多くのタイプが用いられ得る。一実施形態において、コンダクタンスチャネルヒータは、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの別のコンダクタンスチャネルに対する複数のコンダクタンスチャネル104のうちの1つのコンダクタンスチャネルの温度を制御する能力を有する。
【0027】
図2Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の断面図を示しており、複数のノズル106は、それらが上方に堆積材料を蒸発させるように配置されている。本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、複数のノズル106が、複数の坩堝102に対して任意の向きに配置され得るということである。複数のコンダクタンスチャネル104に対するヒータは、蒸発された供給源材料が、複数のノズル106の向きとは独立に凝結することを防ぐように設計されている。
【0028】
図2Bは、本発明に従う、直線状堆積供給源150の断面図を示しており、複数のノズル106は、それらが堆積材料を下方に蒸発するように配置されている。図2Bの直線状堆積供給源150は、図2Aに関連して記載された直線状堆積供給源100と類似している。しかしながら、複数のノズル106は、それらの出口が複数の坩堝102の向きに下方に面するように、配置されている。
【0029】
図2Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源152の断面図を示しており、本体112’は、垂直方向に配置された複数のノズル106を含んでいる。直線状堆積供給源152は、図2Aに関連して記載された直線状堆積供給源に類似しているが、直線状堆積供給源152が角度の付いたカップリングを含んでおり、該カップリングがシーリングフランジ110から垂直方向に関して本体112’の向きを変更するという点で異なる。当業者は、角度の付いたカップリング154は、本体112’をシーリングフランジ110の垂直方向に対して任意の角度に配置し得ることを認識するであろう。したがって、本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、複数のノズル106を含む本体112’が、複数の坩堝102を含むハウジング108に対して任意の向きに配置されることである。複数のコンダクタンスチャネル104に対するヒータ(図1)は、本体112’の向きとは独立に、蒸発された供給源材料が凝結することを防ぐように設計されている。
【0030】
図2Dは、本発明に従う、別の直線状堆積供給源156の断面図を示しており、本体112’’は垂直方向に配置された複数のノズル106を含んでいる。直線状堆積供給源156は、図2Cに関連して記載された直線状堆積供給源152と類似しているが、直線状堆積供給源156が、T字型のカップリング158を含み、該カップリングが、シーリングフランジ110から垂直方向に対して本体112’’の向きを変更するという点で異なる。図2Dに示されている実施形態において、本体112’’は、T字型のカップリング158の両側で垂直方向に延在している。
【0031】
図3は、本発明に従う、直線状堆積供給源200の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネル204に、その後複数のノズル206に連結されている単一の坩堝202を含んでいる。直線状堆積供給源200は、図1および2に関連して記載された直線状堆積供給源100と類似している。しかしながら、供給源200は、唯1つの坩堝202のみを含んでいる。単一の坩堝202は、図1に関連して記載されたように、ハウジング208内に配置されている。
【0032】
単一の坩堝202は、1つのタイプの堆積供給源に対して設計された単一のコンパートメントを有し得る。複数のコンダクタンスチャネル204に連結された坩堝は、比較的高い堆積フラックスのスループットを有し得る。あるいは、単一の坩堝202は、複数のパーティション210を有し得、該複数のパーティション210は、坩堝202の区画を分離し、部分的に分離された区画の各々は、複数の堆積供給源材料のうちの1つを配置するような大きさにされる。複数の堆積供給源材料は、同じ材料であり得るかまたは異なる材料であり得る。単一の坩堝202が複数の部分的に分離された区画を含む実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル204の各々の入力は、複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近くに配置される。
【0033】
ヒータ212は、単一の坩堝202と熱的に連通するように配置される。ヒータ212は、坩堝が少なくとも1つの堆積材料を複数のコンダクタンスチャネル204の中に蒸発させることができるように、坩堝202の温度を上昇させる。ヒータ212または第2のヒータは、蒸発された堆積供給源材料が凝結しないように、複数のコンダクタンスチャネル204の温度を上昇させるために、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つと熱的に連通するように配置される。一部のヒータ212は、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの別のコンダクタンスチャネルに対する複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を上昇させ得る。
【0034】
熱シールド214が、坩堝202の近くに、および複数のコンダクタンスチャネル204の近くに配置され、坩堝202および複数のコンダクタンスチャネル204の少なくとも部分的な熱分離を提供する。一部の実施形態において、熱シールド214は、坩堝202の別の区画に対する坩堝202の1つの区画の温度を制御するように設計され配置される。また一部の実施形態において、熱シールド214は、少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネル204に対する複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの少なくとも部分的な熱分離を提供するために、設計され配置されており、これにより、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも2つにおいて異なる温度が維持され得る。この実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも2つは、異なる熱特性を有する熱シールド材料を用いて遮蔽され得る。
【0035】
複数のノズル206は、複数のコンダクタンスチャネル204に連結される。蒸発された堆積材料は、単一の坩堝202から、複数のコンダクタンスチャネル204を通り、複数のノズル206へと移送され、ここでは、蒸発された堆積材料は、複数のノズル206から排出され、堆積フラックスを形成する。
【0036】
本願の教示の直線状供給源は、ウェブ基板および剛性のパネル基板等の大きな面積の加工物上の1つ以上の異なる体積供給源を蒸発させるためによく適している。供給源の直線状の幾何学的形状は、光電池に対して用いられるウェブ基板および剛性のパネル基板等の幅の広い大きな面積の加工物を処理することに、それらをよく適したものとする。なぜならば、供給源は、効率的で非常に制御しやすい広い面積にわたる蒸発された材料を提供し得るからである。
【0037】
本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、それらが比較的コンパクトであるということである。本願の教示の直線状堆積供給源の別の特徴は、複数の堆積供給源の各々に対して、および複数のコンダクタンスチャネルの各々に対して、それらが共通のヒータと共通の熱シールド材料とを用いることであり、このことが、サイズ、機器コストおよび動作コスト等の多くの機器の性能測定値を向上させる。
【0038】
図4は、2つのタイプの材料から形成された、本願の教示の直線状堆積供給源に対する坩堝300の斜視断面図を示している。坩堝300は、別の坩堝の内部に配置された少なくとも1つの坩堝を含む。図2に示されている実施形態において、坩堝300は、外側の坩堝304の内部に入れ子状にされた内側の坩堝302を含んでいる。この坩堝の設計においては、坩堝の性能を向上させるために、堆積材料を含むために2つのタイプの材料が用いられ得る。その他の実施形態において、少なくとも1つの坩堝は、少なくとも2つのその他の坩堝内で入れ子状にされる。
【0039】
例えば、一実施形態において、複数の坩堝102(図1)または坩堝202(図3)のうちの1つ以上は、熱分解窒化ホウ素(pyrolytic boron nitride)から形成された内側の坩堝302と、グラファイトから形成された外側の坩堝304とにより構成される。この実施形態において、熱分解窒化ホウ素から形成された内側の坩堝302は、堆積供給源材料を含む。熱分解窒化ホウ素は、非多孔質の、非常に不活性な、非常に純粋な材料である。加えて、熱分解窒化ホウ素は、非常に高い融点と、優れた熱伝導性と、優れた耐熱衝撃特性とを有する。これらの特性は、ほとんどの蒸発供給源材料を直接的に含むことに、熱分解窒化ホウ素を非常に適したものとする。しかしながら、熱分解窒化ホウ素は、特にもろく、それ故に、非常に損傷しやすい。外側の坩堝304はより耐久性のあるグラファイト等の材料から形成されるが、依然として高温の動作が可能である。より耐久性のある材料は、熱分解窒化ホウ素を損傷から保護する。別の実施形態において、内側の坩堝は水晶から形成され、外側の坩堝はアルミナから形成される。水晶の内側の坩堝とアルミナの外側の坩堝との組み合わせは、比較的費用がかからない。
【0040】
図5は、本発明に従う、直線状堆積供給源100の一部分の斜視上面図を示しており、ハウジング108の3つの坩堝102に連結されている3つのコンダクタンスチャネル104を示している。3つのコンダクタンスチャネル104の各々の入力118は、3つの坩堝102のそれぞれの出力に連結されている。3つのコンダクタンスチャネル104は、蒸発された材料が複数のコンダクタンスチャネル104を通って移送されている間に、3つの坩堝102のうちのいずれかからの蒸発された材料が有意に混合しないように設計される。多くの堆積工程において、堆積材料が処理されている基板の表面に到達する前に2つ以上の堆積材料の混合の発生を実質的に防ぐことは重要である。
【0041】
図6Aは、本発明の直線状堆積供給源に対する抵抗性坩堝ヒータ400の一部分の斜視図であり、坩堝102(図1)が配置される坩堝ヒータ400の内部および3つの側部を示している。様々な実施形態において、坩堝ヒータ400は、ハウジング108内に固定され得るか(図1)、または、ハウジング108に対して取り外し可能に取り付けられ得る。坩堝ヒータ400は、坩堝102を包囲する底部および側部の上に複数の抵抗性加熱要素402を含む。図6Aに示されている実施形態において、抵抗性加熱要素402は、複数の離間されたグラファイトのバスバー402であり、それらは、グラファイト材料の直線状ストリップである。支持ロッド404は、グラファイトのバスバー402を一緒に構造的に連結し、バスバー402を電気的に絶縁する。抵抗性加熱要素402は、加熱要素402の両側の間に配置された蛇紋岩グラファイトのバネを含み得る。電気ワイヤが供給源100のハウジング108を通って供給されて、グラファイトのバスバー402を電源(図示されず)に連結する。グラファイトのバスバー402は、電気ワイヤをしっかりと取り付けるためのネジ406を含む。
【0042】
図6Bは、複数の坩堝102(図1)の各々を加熱するための複数の坩堝ヒータ400のうちの1つの外部の斜視図である。図6Bに示されている斜視図は、図6Aに示されている斜視図と類似しているが、坩堝ヒータ400の4つの側部の全てを示しているという点で異なる。
【0043】
図7Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の側面図であり、複数のコンダクタンスチャネル104(図1)を加熱するためのコンダクタンスチャネルヒータを示している。図7Bは、コンダクタンスチャネルヒータを含むロッド130の斜視図である。図7Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の本体112の斜視図を示しており、ロッド130の端部を本体112に接合するカップリング132を示している。
【0044】
図1、7A、7Bおよび7Cを参照すると、ロッド130は、コンダクタンスチャネル104の長さに沿って、本体112の長手方向に、コンダクタンスチャネル104の近くに配置されている。ロッド130は、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料等の任意のタイプの高温で耐久性のある材料から形成され得る。ロッド130は、電源(図示されず)の出力に電気的に連結され、該電源は、ロッド130を通って流れる電流を生成し、それにより、ロッド130の温度を上昇させる。ロッド130は、十分な動きを提供するバネまたはワイヤハーネスを用いて電源の出力に電気的に連結され得、通常動作の間のロッド130の熱膨張を可能にする。電源からの電流によってロッド130内に生成された熱は、コンダクタンスチャネル104内に放射され、それにより、コンダクタンスチャネル104の温度を上昇させ、その結果、複数のコンダクタンスチャネル104を通って移送する蒸発された供給源材料は凝結しない。
【0045】
図7Aはまた、ロッド130のセグメントを一緒に取り付ける複数のカップリング152を示している。一部の実施形態において、本体112の長さは非常に長いので、それがロッド130の複数のセグメントを一緒に結合することは、より費用効率がよく、信頼性があり、製造容易である。当業者は、ロッド130の複数のセグメントを一緒に結合するために用いられ得る多くのタイプのカップリングが存在することを認識するであろう。例えば、ネジ切りされたカップリングが、2つのロッドセグメントを一緒に結合するために用いられ得る。カップリング132は、ロッド130の全長にわたって比較的一定の抵抗性を有する連続的な電機接続を提供する。
【0046】
図8は、拡張リンク502を含む本体112(図1)のフレーム500を示している。図1、7A、7Bおよび8を参照すると、複数のコンダクタンスチャネル104は、拡張リンク502を見るために、本体112のフレーム500の内部の空間から取り除かれている。通常動作の間に本体112が顕著な熱膨張と収縮とを経験するので、場合によって拡張リンク502が用いられることがある。ロッド130および複数のコンダクタンスチャネル104の熱膨張係数は、フレーム500および本体112内のその他のコンポーネントの熱膨張係数とは顕著に異なる。加えて、フレーム500と本体112内のその他のコンポーネント(例えば、ロッド130および複数のコンダクタンスチャネル104)との間には顕著な温度差が存在し得る。結果として、フレーム500が拡張し、本体112内のその他のコンポーネント(例えば、複数のコンダクタンスチャネル104およびロッド130)に対して自由に接触することが望ましい。
【0047】
図8に示されている拡張リンク500は、フレーム500において用いられ得る多くのタイプの拡張リンクのうちの1つである。図8に示されている実施形態において、拡張リンク500は、ピン504またはその他のタイプの留め具を用いて、フレーム500の2つの区画に取り付けられる。拡張リンク502が拡張されるときに、リンク区画506は拡張し、それにより、フレーム500よりも早く拡張する本体112内のコンポーネントに対して、フレーム500内に空間を形成する。あるいは、本体112内のコンポーネントがフレーム500よりも早く収縮するとき、リンク区画506は折れ曲がり、それにより、収縮する本体112の空間に適合するようにフレーム500内の空間を低減する。
【0048】
図9Aは、複数の坩堝102(図1)のための、そして本教示に従う直線状堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネル104のための熱シールド600の斜視断面図である。図9Bは、図9Aに示される熱シールド600の完全な斜視図である。当業者は、熱シールド600が非常に多くの種類の熱シールド材料のうちの任意の1材料で構成され得ることを認識する。例えば、一実施形態において、熱シールド600は、カーボンファイバカーボンコンポジット材料で形成される。
【0049】
図1、図9Aおよび図9Bを参照すると、熱シールド600の第1の区画602は、複数の坩堝102のうちの各々の少なくとも部分的な熱分離を提供するために、複数の坩堝102のうちの各々の近位に配置される。熱シールド600の第1の区画602は、個々の坩堝102を分離して、その結果、必要に応じて、有意に異なる坩堝温度が維持され得る。有意に異なる坩堝温度を維持することは、一部の堆積処理に対して重要である。なぜならば、複数の坩堝102の各々が特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱され得るからである。坩堝102を、特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱することは、負の加熱効果(例えば、堆積材料のスピッティング)を低減させる。さらに、坩堝102を、特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱することは、堆積供給源の動作コストを有意に低減させ得る。
【0050】
様々な他の実施形態において、熱シールド600の第1の区画602は、複数の別個の熱シールドを含み得、該複数の別個の熱シールド600のそれぞれ1つは、複数の坩堝102のそれぞれ1つを囲む。複数の別個の熱シールドの各々が同一の熱シールドか、または異なる熱シールドであり得る。例えば、堆積供給源材料をより高温に加熱するために使用される坩堝は、様々な熱特性を有する、異なるか、またはより厚いシールド材料から形成され得る。
【0051】
熱シールド600の第2の区画604は、複数の坩堝102からの複数のコンダクタンスチャネル104の少なくとも部分的な熱分離を提供するために、複数のコンダクタンスチャネル104の近位に配置される。複数のコンダクタンスチャネル104の各々が別個の熱シールドによって遮蔽され得るか、または単一の熱シールドが使用され得る。一部の実施形態において、熱シールド600の第2の区画604は、少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルに対する、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つの少なくとも部分的な熱分離を提供するために配置される。言い換えると、熱シールド600の第2の区画604の設計および配置は、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルに対して、複数のコンダクタンスチャネル104の少なくとも1つのコンダクタンスチャネル内での異なる動作温度を可能にするように選ばれ得る。これらの実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つは、異なる熱特性を有する熱シールド材料で遮蔽され得る。例えば、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つは、異なる熱シールド材料、異なる熱シールド厚、および/または特定のコンダクタンスチャネルに対する熱シールド材料の異なる近接性によって遮蔽され得る。
【0052】
熱シールド600は、通常動作の間、非常に高温に曝される。本教示に従った一部の熱シールドは、低放射率材料で形成されるか、または熱放射の放射を低減する低放射率コーティングを有する少なくとも1つの表面と有して構築される。例えば、熱シールド600の内側表面または外側表面は、低放射率コーティングまたは熱移送を低減させる任意の他のタイプのコーティングでコーティングされ得る。任意のこのようなコーティングは通常供給源の動作寿命に対して一定の放射率を維持するように設計される。
【0053】
熱シールド600は、また、ハウジング108および本体112と比較して、そしてハウジング108および本体112内の構成要素と比較して、異なる速度で拡張および収縮する。一実施形態において、熱シールド600は、ハウジング108および本体112のフレーム500(図8)のうちの少なくとも1つに対して移動可能に取り付けられ、その結果、熱シールド600は、通常動作の間に、ハウジング108およびフレーム500のうちの少なくとも1つに対して動き得る。一部の実施形態において、拡張リンクは、熱シールド600が他の供給源構成要素に対して延び縮みすることを可能にし得る。さらに、一部の実施形態において、熱シールド600は、複数の熱シールド材料を含み、これらの複数の熱シールド材料は熱膨張および熱収縮に許容される。例えば、複数の熱シールド材料は、熱膨張および熱収縮に対する許容性を増加させるために使用され得る。
【0054】
図10は、本教示に従う堆積供給源100の上部斜視図を示しており、該上部斜視図は基板または他の加工物上に蒸発した材料を放出するための本体112内の複数のノズル106を示す。複数のノズル106の各々の入力は、図5と関連して記述されるように複数のコンダクタンスチャネル104のうちのそれぞれ1つの出力に連結される。蒸発した堆積材料は、混ぜ合わされることなしに、複数の坩堝102から、複数のコンダクタンスチャネル104を通って複数のノズル106まで移送され、蒸発した堆積材料は複数のノズル106から排出され、堆積フラックスを形成する。
【0055】
図10に示される供給源100は、7個の群のノズル106を描き、各々の群は3つのノズルを含む。当業者は、本発明に従う堆積供給源が任意の数の群のノズルと、各群内に任意の数のノズルとを含み得ることを認識する。様々な実施形態において、複数のノズル106の間隔は均一であったり、不均一であったりし得る。本教示の一局面は、特定の処理目標を達成するために、複数のノズル106が不均一に間隔をあけられ得ることである。例えば、一実施形態において、複数のノズルの間隔は、堆積フラックスの均一性を向上させるように選ばれる。この実施形態において、本体112のエッジ近くのノズル106の間隔は、本体112のエッジ近くの低減した堆積フラックスを補償するために、図10に示されるような本体112の中心の近位のノズル106の間隔よりも短い。正確な間隔は、供給源100が基板または加工物の近位に実質的に均一の堆積材料フラックスを生成するように選ばれ得る。
【0056】
一部の実施形態において、複数のノズル106の間隔は、堆積供給源100の動作コストを低下させるために、かつ、サービス間隔の間の処理時間および利用可能性を増加させるために高い材料利用率を得るように選ばれる。また、一部の実施形態において、複数のノズル106の間隔は、蒸発した材料の所定の混合物を達成するために、複数のノズル106からの所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる。
【0057】
一実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも一部が、特定の処理目標を達成するためにコンダクタンスチャネル104の上部表面160からの垂直角度に対してある角度で配置される。例えば、一実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、コンダクタンスチャネル104の上部表面160からの垂直角度に対してある角度で配置され、この角度は処理される基板または加工物の表面にわたって均一な堆積フラックスを提供するように選ばれる。また、一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、コンダクタンス104の上部表面106からの垂直角度に対してある角度で配置され、この角度は、蒸発した材料の所定の混合物を達成するために、複数のノズル106からの所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる。
【0058】
図11Aは、本教示に従った堆積供給源100の本体112の断面図を示し、この図はノズル106への堆積材料の流れを制御する管170を有するコンダクタンスチャネル104に連結された一列のノズル106を示す。一部の実施形態において、管の上部における放射率は管170の下部における放射率よりも低い。管170の寸法(例えば、管170の長さおよび直径)は、コンダクタンスチャネル104から対応するノズル106に供給される堆積材料の量を決定する。さらに、管170の配置(例えば、管170がコンダクタンスチャネル104内に配置される距離)は、また、コンダクタンスチャネル104から対応するノズル106に供給される堆積材料の量を決定する。
【0059】
例えば、管170の直径を変化させることは、ノズル106から放出される分布型堆積フラックスパターンを変化させる。管170の長さは、一般的に、管170の全流れ抵抗および設計に適合するように選ばれる。一部の実施形態において、コンダクタンスチャネル104にさらに貫入するより長い管170は、対応するノズル106に少ない量の堆積材料を供給する。様々な実施形態において、特定の管170の幾何学形状および位置は、同一であったり、異なったりし得る。一実施形態において、複数の管170の少なくとも2つは、複数の管170の各々を通る特定のコンダクタンスを得るために、異なる長さおよび/または異なる幾何学形状を有し得、この特定のコンダクタンスは、特定の処理目標を達成する。例えば、異なる寸法を有する管170は、シーリングフランジ110近くの本体112から本体112の端部までの供給源100内の差圧を補償するために使用され得る。
【0060】
従って、本発明の堆積供給源100の1つの特徴は、管170の幾何学形状および配置が、複数のノズル106から放出される蒸発した材料の分布を変化させることなしに、複数のノズル106の各々に供給される蒸発した材料の量を正確に制御するように選ばれ得ることである。例えば、特定の管170の幾何学形状および位置は、特定の処理目標(例えば、特定のノズルまたは特定の複数のノズル106からの所定の堆積フラックス)を達成するように選ばれ得る。
【0061】
一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、時間をかけた蒸気凝結および材料集積の構築を防ぐために、複数のコンダクタンスチャネル104の上部表面160の上方に延びる。ノズルは、また、所望の堆積フラックス分布パターンを達成するように配置され得る。個々のノズルヒータは、複数のノズル106のうちの1つ以上の近位に配置され得、凝結および材料集積を防ぐためにノズル106から放出される蒸発した材料の温度を制御する。他の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、ヒータおよび複数のコンダクタンスチャネル104から所望の熱量を伝えるために、そして/または所望の堆積フラックス分布パターンを達成するために、複数のコンダクタンスチャネル104の上部表面160の下方に配置される。
【0062】
図11Bは、本教示に従った堆積供給源100の複数のコンダクタンスチャネル104の断面図を示し、この図は、ノズル104への堆積材料の流れを制御する管170を有する複数のコンダクタンスチャネル104に連結された一行のノズル106を示す。図11Bは、管を有する3つのコンダクタンスチャネルを示す。本教示の一局面は、ノズル106が、コンダクタンスチャネルヒータ(図7A〜図7Cのロッド130)によって、そして関連付けられたコンダクタンスチャネル104によって加熱されることである。
【0063】
図12は、本教示に従う直線状供給源100のための複数のノズル106のうちの1つを含むノズル106の斜視図を示す。ノズル106が蒸発した供給源材料が凝結することを防ぐために、ノズル106が所望の熱伝導を提供するように設計される。ノズル106は、均一な動作温度をもたらすことにより、堆積材料のスピッティングを低減する熱伝導性を有する材料から形成され得る。例えば、ノズルは、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料から形成され得る。一部の実施形態において、ノズル106は、ノズル106を介する温度勾配を低減するように設計される。さらに、ノズル106は、放射損失を最小化するように設計され得る。
【0064】
一部の実施形態において、ノズル106は、先細の外側表面を含み得る。また、一部の実施形態において、ノズル106は、内側が先細になっている。一部の実施形態において、アパーチャ180の表面は、低放射率のコーティングを有し、このコーティングが熱放射を低減することにより、ノズル106におけるいかなる凝結も低減する。他の実施形態において、ノズル106は、低放射率を有する材料から形成される。
【0065】
ノズル106は、関連付けられたコンダクタンスチャネル104から、蒸発した供給源材料を通過させるアパーチャ180を含む。アパーチャ180は所望のプルームを排出するように設計される。ほぼ円形のアパーチャ180が図12のノズル106に示される。しかしながら、非常に多くのアパーチャの形状のうちの任意の1つが、所望の処理目標を達成するためにノズル106内で使用され得ることが理解されるべきである。例えば、アパーチャ180は、円形、楕円形、長方形、正方形またはスリットであり得る。さらに、アパーチャ180の出口は、半径形状で示されている。しかしながら、アパーチャ180は所望の処理目標を達成するために、非常に多くの出口形状のうちの任意の1つを使用し得ることが理解されるべきである。例えば、出口形状は、角付きであるか、放射状であるか、またはスモースタイル(すなわち制限されたノズル形状の逆のドラフトまたは他のタイプ)であり得る。
【0066】
一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つが、不均一な堆積フラックスを通過させるような形状であるアパーチャ180を有する。これらの実施形態において、複数のアパーチャ180のうちの少なくとも一部は、所望の堆積フラックスパターンを形成するために組み合わせる不均一な堆積フラックスを通過させるような形状であり得る。例えば、所望の組み合わされた堆積フラックスパターンは、所定の領域上の均一な堆積フラックスパターンであり得る。
【0067】
動作時、複数の堆積供給源から堆積フラックスを生成する方法は、複数の坩堝102を加熱することを含み、この坩堝102はそれぞれ堆積供給源材料を含み、その結果、複数の坩堝102の各々が堆積材料を蒸発させる。この方法は、各堆積供給源材料に対する異なる坩堝温度を達成するために別個の坩堝ヒータを個別に制御することを含み得る。この方法は、また、複数の坩堝102の各々を遮蔽することを含み得、その結果、異なる温度が特定の坩堝内で維持され得る。
【0068】
複数の坩堝102の各々からの堆積材料は、複数の坩堝102の任意の坩堝から蒸発した堆積材料を混ぜ合わせることなしに、本体112内でそれぞれのコンダクタンスチャネル104を通して移送される。コンダクタンスチャネル104は加熱され、その結果、蒸発した堆積材料は、ノズル106から放射される前に凝結されない。コンダクタンスチャネル104は、別個に加熱され得、その結果、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つに対して異なる温度を達成する。複数のコンダクタンスチャネル104の各々が遮蔽され、その結果、異なる温度が異なるコンダクタンスチャネル104内で維持され得る。多くの方法は、複数の坩堝102の近位、そして複数のコンダクタンスチャネル104の近位のヒータおよび熱シールド材料の熱膨張のための可動構成要素および空間を提供することを含む。
【0069】
蒸発した堆積材料は、複数のコンダクタンスチャネル104から、複数のノズル106のそれぞれのノズルに移送される。様々な実施形態において、蒸発した堆積材料は、複数のコンダクタンスチャネル104の各々から、堆積材料の流れを制御する複数の管170または他の構造のうちのそれぞれ1つを通って、複数のノズル106のうちのそれぞれ1つに移送される。本発明の方法の様々な実施形態において、複数のノズル106を通る堆積材料の流れは、コンダクタンスチャネル104に対する可変の管入口の長さ、幾何学形状および/または位置を有する管を用いることにより制御される。コンダクタンスチャネル104に対する管入口の長さ、幾何学形状および/または位置は、特定の処理目標(例えば、均一な堆積フラックスおよび/または高い堆積材料利用率)を達成するように選ばれる。
【0070】
複数のノズル106は、次いで、蒸発した堆積材料を通すことにより堆積フラックスを形成する。上記方法は、特定の処理目標(例えば、複数のノズル106からの均一な堆積フラックスおよび/または高い堆積材料利用率)を達成するように複数のノズル106の間隔を選択することを含み得る。
【0071】
(均等論)
出願人の教示が様々な実施形態と関連して記載されているが、出願人の教示がこのような実施形態に制限されることは意図されない。反対に、出願人の教示は、当照射によって認識されるような様々な代替物、修正物および均等物を包含し、これらは、本教示の精神および範囲から逸脱することなしに、この教示においてなされ得る。
【符号の説明】
【0072】
100 直線状堆積供給源
102 坩堝
104 コンダクタンスチャネル
106 ノズル
108 ハウジング
110 シーリングフランジ
112 本体
【技術分野】
【0001】
本明細書で用いられる章の見出しは、編集目的のみで用いられ、いかなる場合でも本出願において記載される主題を制限するように解釈されるべきではない。
【0002】
(関連出願の章)
本願は、2009年2月27日に出願された米国仮特許出願第61/156,348号(名称「Deposition Sources, Systems, and Related Methods for Co−Depositing Copper, Indium, and Gallium」)および2008年12月18日に出願された米国仮特許出願第61/138,932号(名称「Deposition Sources, Systems, and Related Methods for Co−Depositing Copper, Indium, and Gallium」)の両出願に対する優先権を主張する。米国仮特許出願第61/156,348号および米国仮特許出願第61/138,932号の明細書の全てが本明細書において参照により援用される。
【背景技術】
【0003】
(導入部)
広領域の基板堆積システムは、非常に多くの種類の基板材料の可撓性ウェブ基板および剛性のパネル基板を処理するために、長年にわたり使用されてきた。多くの公知のシステムは、可塑性のウェブ基板および剛性のパネルガラス基板を処理するように設計されている。ウェブ基板または剛性のパネルは、直線状堆積供給源のすぐ上を通過する。ウェブ基板または剛性のパネル基板上に材料を蒸発させることに適した公知の直線状堆積供給源は、ボート形状の坩堝を含み、該ボート形状の坩堝は典型的には堆積供給源材料を収容するための耐火性材料から形成される。坩堝は蒸気出口管の内部に配置される。蒸気出口管は、蒸発空間として、そして蒸気を散布する空間として同時に機能する。1つ以上の蒸気出口開口部が、供給源に沿って直線状に配列される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の教示は、本願のさらなる利点と共に、好適な実施形態および例示的な実施形態に従って、添付の図面を参照することにより、以下の詳細な説明により詳細に記載される。当業者は、以下に記載される図面が単なる例示目的であることを理解するであろう。図面は、必ずしも一定の比率で拡大縮小されておらず、その代わりに本願の教示の原理を説明するために概して強調が施されている。図面は本願の教示の範囲を制限することを意図されていない。
【0005】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
堆積供給源であって、
a)堆積材料を収容する複数の坩堝と、
b)複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体であって、該複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は、該複数の坩堝のそれぞれ1つの坩堝の出力と連結されている、本体と、
c)該複数の坩堝と該複数のコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータであって、該ヒータは、該複数の坩堝の各々が該堆積材料を該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)複数のノズルであって、該複数のノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って該複数のノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
(項目2)
上記複数の坩堝のうちの少なくとも一部が、外側坩堝の内部に配置された内側坩堝を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目3)
上記複数の坩堝は、Cuを含む第1の坩堝と、Inを含む第2の坩堝と、Gaを含む第3の坩堝とを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目4)
上記複数の坩堝は、同一の堆積材料を含む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目5)
上記ヒータはRF誘導ヒータ、抵抗ヒータおよび赤外線ヒータのうちの少なくとも1つを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目6)
上記ヒータは複数の個々に制御可能なヒータを備え、該複数のヒータのそれぞれは上記複数の坩堝のそれぞれと熱的な連通をする、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目7)
上記ヒータは上記複数のコンダクタンスチャネルの各々の温度を、上記堆積材料の凝結点の上まで上昇させる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目8)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの温度を、該複数のコンダクタンスチャネルの別のコンダクタンスチャネルに対して制御する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目9)
上記熱シールドは、上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目10)
上記熱シールドは、複数の熱シールドタイルを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目11)
上記熱シールドは、熱シールド材料の複数の層を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目12)
上記熱シールドは拡張リンクを用いて上記本体に取り付けられる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目13)
上記熱シールドは低放射率を有する少なくとも1つの表面を備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目14)
上記熱シールドは複数の熱シールドを備え、該複数の熱シールドのそれぞれは上記複数の坩堝のそれぞれを囲む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目15)
上記熱シールドは上記複数のコンダクタンスチャネルを囲む、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目16)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つが該複数のコンダクタンスチャネルの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルとは異なる動作温度であるように、上記熱シールドが配置される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目17)
上記複数のノズルの間隔は不均一である、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目18)
上記複数のノズルの間隔は、上記本体の中心部の近位の該複数のノズルの間隔より、該本体のエッジの近位において短い、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目19)
上記複数のノズルの間隔は、実質的に均一な堆積材料フラックスを達成するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目20)
上記複数のノズルの間隔は、堆積材料の利用率を増加させるように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目21)
上記複数のノズルの間隔は、該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目22)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、上記複数のコンダクタンスチャネルの上部表面に対する垂直角度に対してある角度で配置され、該角度は該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目23)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、不均一の堆積フラックスを通過させるような形状のアパーチャを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目24)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、低放射率のコーティングを備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目25)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、均一な動作温度をもたらすことにより、該複数のノズルからの堆積材料のスピッティングを低減させる熱伝導性を有する材料から形成される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目26)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、上記コンダクタンスチャネルの近位に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目27)
上記管の長さは、上記複数のノズルの対応する1つのノズルを通る所定の堆積フラックスを達成するように選ばれる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目28)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に上記コンダクタンスチャネル内に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目29)
上記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の長さは、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の長さとは異なる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目30)
上記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の幾何学形状は、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の幾何学形状とは異なる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目31)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、上記複数のコンダクタンスチャネルの上方に延びる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目32)
上記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、上記複数のコンダクタンスチャネルの下方に延びる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目33)
上記本体の少なくとも1つのエッジの近位に配置された流体冷却チャネルをさらに備えている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目34)
堆積フラックスを生成する方法であって、該方法は、
a)複数の坩堝を加熱することであって、該複数の坩堝の各々が本体内の複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つを通って移送する堆積材料を蒸発させるように複数の坩堝の各々が堆積材料を含む、ことと、
b)該複数のコンダクタンスチャネルの各々から該複数のノズルのうちの1つのノズルに該蒸発した堆積材料を移送することであって、該複数のノズルは蒸発した堆積材料を通過させることにより堆積フラックスを形成することと
を包含する、方法。
(項目35)
上記蒸発した堆積材料を、上記複数のコンダクタンスチャネルの各々から、複数の管のうちのそれぞれ1つを通って、該複数のノズルのそれぞれ1つに移送することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目36)
上記複数のノズルから均一な堆積フラックスを達成するために、上記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目37)
高い堆積材料利用率を達成するために、上記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目38)
上記複数の坩堝および上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも一部の温度を独立して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目39)
上記複数の坩堝のうちの少なくとも1つの坩堝によって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つの坩堝の温度を少なくとも1つの他の坩堝の温度に対して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目40)
上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルによって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルの温度に対して制御することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目41)
上記複数の坩堝および上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの近位に、熱シールド材料の熱膨張のための空間を提供することをさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目42)
堆積供給源であって、
a)少なくとも1つの堆積材料を含む坩堝と、
b)該坩堝に連結された複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体と、
c)該坩堝と熱的な連通をして配置されるヒータであって、該ヒータは、該坩堝が該少なくとも1つの堆積材料を、該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該坩堝に対して少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)該複数のコンダクタンスチャネルに連結された複数のノズルであって、蒸発した堆積材料が、該坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って、該複数のノズルに移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
(項目43)
上記坩堝は複数の部分的に分離された区画を備え、該部分的に分離された区画は、複数の堆積材料のうちの1つを配置するように寸法があわせられている、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目44)
上記複数の部分的に分離された区画のうち少なくとも2つは異なる堆積材料を収容する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目45)
上記複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力が上記複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近位に配置される、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目46)
上記熱シールドは、上記坩堝の別の区画に対する該坩堝の1つの区画の温度を制御する熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目47)
上記ヒータは上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つと熱的な連通をし、該ヒータは、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの別の1つに対して、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの温度を上昇させる、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
(項目48)
上記熱シールドは、上記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに対して熱分離を提供する、上記項目のいずれかに記載の堆積供給源。
【0006】
(要旨)
それぞれが堆積材料を収容する複数の坩堝を含む堆積供給源。熱シールドは複数の坩堝のうちの少なくとも1つに対して少なくとも部分的な熱分離を提供する。本体は複数のコンダクタンスチャネル内に含まれる。複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は複数の坩堝のそれぞれの出力に連結される。ヒータは、各坩堝が堆積材料を複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を上昇させる。複数のノズルの各々の入力は、複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力と連結される。蒸発した堆積材料は、坩堝から、コンダクタンスチャネルを通ってノズルまで移送され、ここで蒸発した堆積材料は複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に従う、直線状堆積供給源の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、複数の坩堝を含み、該複数の坩堝は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネルに、その後複数のノズルに連結されている。
【図2A】図2Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、上方に堆積材料を蒸発できるように複数のノズルが配置されている。
【図2B】図2Bは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、下方に堆積材料を蒸発できるように複数のノズルが配置されている。
【図2C】図2Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源の断面図を示しており、本体は垂直方向に配置された複数のノズルを含んでいる。
【図2D】図2Dは、本発明に従う、別の直線状堆積供給源の断面図を示しており、本外は垂直方向に配置された複数のノズルを含んでいる。
【図3】図3は、本発明に従う、直線状堆積供給源の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネルに、その後複数のノズルに連結されている単一の坩堝を含んでいる。
【図4】図4は、2つのタイプの材料から形成された、本願の教示の直線状堆積供給源に対する坩堝の斜視断面図を示している。
【図5】図5は、本発明に従う、直線状堆積供給源の一部分の斜視上面図を示しており、ハウジング内の3つの坩堝に連結されている3つのコンダクタンスチャネルを示している。
【図6A】図6Aは、本発明の直線状堆積供給源に対する抵抗性坩堝ヒータの一部分の斜視図であり、坩堝が配置されるヒータの内部および3つの側部を示している。
【図6B】図6Bは、複数の坩堝の各々を加熱するための複数の坩堝ヒータのうちの1つの外部の斜視図である。
【図7A】図7Aは、本発明の直線状堆積供給源の側面図であり、複数のコンダクタンスチャネルを加熱するためのコンダクタンスチャネルヒータを示している。
【図7B】図7Bは、コンダクタンスチャネルヒータを含むロッドの斜視図である。
【図7C】図7Cは、本発明の直線状堆積供給源の本体の斜視図を示しており、ロッドの端部を本体に接合するカップリングを示している。
【図8】図8は、拡張リンクを含む本体のフレームを示している。
【図9A】図9Aは、本願の教示に従う、複数の坩堝に対するそして直線状堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネルに対する熱シールドの斜視断面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示されている熱シールドの完全な斜視図である。
【図10】図10は、本願の教示に従う、堆積供給源の上部斜視図を示しており、蒸発された材料を基板またはその他の加工物上に放出するための本体内の複数のノズルを示している。
【図11A】図11Aは、本願の教示に従う、堆積供給源の本体の断面図を示しており、ノズルへの堆積材料の流れを制御する管を有するコンダクタンスチャネルに連結された一列のノズルを示している。
【図11B】図11Bは、本願の教示に従う、堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネルの断面図を示しており、ノズルへの堆積材料の流れを制御する管を有する複数のコンダクタンスチャネルに連結された一列のノズルを示している。
【図12】図12は、本願の教示に従う、直線状堆積供給源に対する複数のノズルのうちの1つを含むノズルの斜視断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(様々な実施形態の説明)
明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連する特定の特徴、構造、または特性が、本願の教示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。明細書における様々な場所での「一実施形態において」との言い回しの出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照しているとは限らない。
【0009】
本願の教示の方法のそれぞれのステップは、本願の教示が機能可能であり続ける限り、任意の順序でおよび/または同時に実行され得ることに留意されたい。さらに、本願の教示の装置および方法は、本願の教示が機能可能であり続ける限り、記載された実施形態のうちの任意の数または全てを含み得ることに留意されたい。
【0010】
本願の教示は、添付図面に示されている例示的な実施形態を参照してより詳細に記載される。本願の教示が様々な実施形態および実施例に関連して記載されるが、本願の教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。対照的に、本願の教示は、当業者に理解されるように、様々な代替、改変および均等物を含む。本明細書中の本願の教示に触れることができる当業者は、本明細書中に記載されている本開示の範囲内にあるさらなる実装、改変および実施形態、ならびにその他の使用分野を認識するであろう。
【0011】
本願の教示は、概して、基板上への堆積のための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するための装置および方法に関する。本願の教示の一部の局面は、直線状堆積供給源に関し、該直線状堆積供給源は、ウェブ基板、剛性のパネル基板、または任意のタイプの細長い加工物上に材料を堆積するための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するのに適した直線状堆積供給源である。本願の教示のその他の局面は、直線状堆積供給源に関し、該直線状堆積供給源は、複数の従来の基板(例えば、半導体基板等)を支持する基板ホルダー上に材料を堆積するための供給源材料の蒸気のフラックスを生成するのに適した直線状堆積供給源である。
【0012】
本願の教示の多くの実施形態において、方法および装置は、蒸発による堆積に関する。本明細書中で用いられるとき、用語「蒸発(evaporation)」は、供給源材料を蒸気に変換することを意味し、当該技術分野におけるいくつかの用語の通常の使用、例えば、蒸発(evaporation)、気化(vaporization)および昇華(sublimation)を含む。蒸気に変換される供給源材料は、任意の物質状態であり得る。多くの実施形態において、本願の教示の装置および方法は、基板上(例えば、ウェブ基板または剛性のパネル基板)上に2つ以上の異なる材料を同時に蒸発させるために用いられる。一部の実施形態において、本願の教示の装置および方法は、基板(例えば、ウェブ基板または剛性のパネル基板)上に単一の材料を蒸発させるために用いられる。
【0013】
本願の教示の1つの用途は、ウェブ基板または剛性のパネル基板上への銅、インジウムおよびガリウムの同時の堆積のための方法および装置に関する。インジウムの全部または一部をガリウムで置換した二セレン化銅インジウムの化合物(CSI化合物)は、二セレン化銅インジウムガリウム化合物(CIGS化合物)として公知である。CIGSは、光電池を製造するために一般的に用いられる。特に、CIGS化合物は、薄膜太陽電池における吸収層として一般的に用いられる。CIGS化合物は、ダイレクトバンドギャップを有し、これは、電磁スペクトルの可視領域における太陽放射の強力な吸収を可能にする。CIGS光電池は、その他のタイプの吸収層の化合物(例えば、テルル化カドミウム(CdTe)およびアモルファスシリコン(a−Si))を有する一般的に用いられる光電池と比較して、高い変換効率と、優れた安定性とを有することが実証されている。
【0014】
CIGS吸収層は、優れた結晶性を有する典型的なp型化合物半導体層である。優れた結晶性は、概して、高い効率の光起電動作に必要な所望の電荷移送効率を達成するために要求される。実際、CIGS吸収層は、高い効率の光起電動作を達成するために少なくとも部分的に結晶化されなければならない。結晶化されたCIGS化合物は、結晶構造を有し、該結晶構造は、CIGS化合物を形成するために用いられる堆積温度に応じて、黄銅鉱または閃亜鉛鉱のいずれかとして特徴付けられる。
【0015】
CIGS化合物は、様々な技術を用いて形成され得る。CIGS化合物を形成するための一方法は、化学的前駆体を用いる。化学的前駆体は、薄膜に堆積され、その後アニーリングされて、所望のCIGS層を形成する。CIGS前駆体材料が低温で堆積される場合、結果として生じるCIGS薄膜は、アモルファスであるか、または、弱く結晶化されるに過ぎないかである。その後、CIGS薄膜は、上昇した温度でアニーリングされ、所望の電荷移送特性を提供するために、CIGS化合物の結晶化を向上させる。
【0016】
しかしながら、CIGS薄膜の部分的な結晶化を引き起こすのに必要な上昇した温度において、堆積された薄膜におけるセレンは、その他の要素よりもより揮発性がある。結果として、前駆体層をアニーリングしている間に、セレンがしばしば追加されることにより、結晶化を向上させ、所望の組成および化学量論比を有するCIGS化合物を提供する。CIGS薄膜の化合物を形成するこの方法は、比較的時間がかかり、蒸気相内に大量のセレンを必要とし、このことが製造コストを追加する。
【0017】
CIGS化合物を形成するための別の方法は、真空蒸発を使用する。同時の蒸発によって製造されたCIGS光電池は、前駆体材料を用いて製造されたCIGS光電池と比較して、高い光起電変換効率を有し得る。この方法において、銅、インジウム、ガリウムおよびセレンは、基板上に同時に蒸発される。同時の蒸発は、薄膜の化学量論比の正確な制御を可能にし、薄膜の光吸収層における組成的なグレーディングを可能にする。したがって、同時の蒸発は、最適な光起電性能を達成するためにバンドギャップを正確に調整するために用いられ得る。しかしながら、大きな表面積にわたって材料を均一に蒸発させることは困難なので、銅、インジウム、ガリウムおよびセレンの同時の蒸発は、産業規模での使用が困難であり得る加工技術である。
【0018】
本願の教示の一局面は、供給源と、そのような供給源を動作させるシステムおよび方法と、多くのタイプのデバイス(例えば、CIGS光電池)の製造のための、複数の蒸発された供給源材料を効率的かつ制御可能に提供するシステムとを提供することである。
【0019】
本願の教示の別の局面は、堆積供給源と、そのような供給源を動作させるシステムおよび方法と、多くのタイプのデバイス(例えば、有機発光ダイオード(OLED)デバイス)の製造のための、単一の蒸発された供給源材料を効率的かつ制御可能に提供するシステムとを提供することである。当業者は、本願の教示の一部の局面はCIGS光電池およびOLEDデバイスに関連して記載されているものの、本開示における本願の教示は、蒸発された材料を用いて製造され得るその他の任意のタイプのデバイスに適用されることを理解するであろう。
【0020】
図1は、本発明に従う、直線状堆積供給源100の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、複数の坩堝102を含み、該複数の坩堝は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネル104に、その後複数のノズル106に連結されている。複数の坩堝102の各々は、蒸発供給源材料を含んでおり、この蒸発供給源材料は、同じまたは異なる供給源材料であり得る。複数のコンダクタンスチャネル104の各々の入力は、複数の坩堝102のそれぞれの出力に連結されている。多くの実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル104は、蒸発された材料が複数のコンダクタンスチャネル104に移送される間に、蒸発された材料が中断しないように設計される。
【0021】
ハウジング108は、複数の坩堝102を含む。ハウジング108は、ステンレス鋼または類似の材料から形成される。一部の実施形態においては、流体冷却チャネルが、ハウジング108に沿って配置される。ハウジング108はまた、シーリングフランジ110を含み、該シーリングフランジ110は、ハウジング108を真空チャンバ(図示されず)に取り付ける。直線状堆積供給源100の一特徴は、坩堝が真空チャンバの外にあることにより、これらが容易に充填および保守点検され、それにより、利用性を向上させるということである。複数のコンダクタンスチャネル104と複数のノズル102とを含む本体112は、ハウジング108のシーリングフランジ110を超えて延在している。一部の実施形態において、流体冷却チャネルが本体112に沿って提供される。
【0022】
図1に示されている実施形態において、供給源100は、直線状構成の3つの坩堝102を含み、3つのコンダクタンスチャネル104のうちのそれぞれの入力は、3つの坩堝102のうちのそれぞれの出力に連結されている。ノズル106は、複数のコンダクタンスチャネル104の各々に沿って複数の位置に配置される。しかしながら、図1は断面図であるので、中央のコンダクタンスチャネル104と、ノズル106の半分のみが、図1に示されている。
【0023】
当業者は、多くのタイプの坩堝が用いられ得ることを認識するであろう。例えば、複数の坩堝のうちの少なくとも一部は、図4に関連して記載されるように、別の坩堝の内部に形成された少なくとも1つの坩堝を含み得る。複数の坩堝102は、特定の製造工程に適した蒸発材料を含む。多くの実施形態において、複数の坩堝102の各々は、異なる蒸発材料を含む。例えば、3つの坩堝の各々は、CIGSベースの光起電デバイスの機能的吸収層を効率的に同時に蒸発させるための材料供給源を提供するように、銅、インジウムおよびガリウムのうちの1つを含み得る。しかしながら、一部の実施形態においては、複数の坩堝のうちの少なくとも2つは、同じ堆積材料を含む。例えば、3つの坩堝の各々は、OLEDデバイスに対する接触を堆積させるための単一材料システムを含み得る。
【0024】
1つ以上の坩堝ヒータ114が、複数の坩堝102との熱的に連通して配置される。坩堝ヒータ114は、複数の坩堝102の温度を増加させることにより、複数の坩堝102の各々が、そのそれぞれの堆積供給源材料を複数のコンダクタンスチャネル104の中に蒸発させるように配置されている。一部の坩堝ヒータ114は、非常に高い温度へと蒸発供給源材料を加熱することが要求される。そのような坩堝ヒータは、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料から形成され得る。坩堝ヒータ114は、1つの単一ヒータであるかまたは複数のヒータであり得る。例えば、一実施形態において、複数の坩堝ヒータの各々は、複数の坩堝ヒータのそれぞれが複数の坩堝102の各々のそれぞれと熱的に連通するように、個別的に制御可能であり得る。
【0025】
坩堝ヒータ114は、任意のタイプのヒータであり得る。例えば、坩堝ヒータ114は、図1に示されているような抵抗ヒータであり得る。抵抗ヒータの一実施形態は、図6Aおよび6Bに関連してより詳細に記載される。坩堝ヒータ114はまた、RF誘導ヒータおよび/または赤外線ヒータのうちの1つであり得る。多くの実施形態において、全ての坩堝ヒータ114は、同じタイプのヒータであり得る。しかしながら、一部の実施形態においては、坩堝ヒータ114の2つ以上が、異なる堆積供給源材料を蒸発するための異なる熱特性を有する異なるタイプのヒータであり得る。
【0026】
坩堝ヒータ114または別個のコンダクタンスチャネルヒータは、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つとの熱的に連通して配置されることにより、複数のコンダクタンスチャネル104の各々の温度は、特定のコンダクタンスチャネルを通る堆積供給源材料の凝結点より高くに上昇させられる。コンダクタンスチャネルヒータは、図7A、7Bおよび7Cに関連して記載される。当業者は、例えば抵抗ヒータ、RF誘導ヒータおよび/または赤外線ヒータ等の多くのタイプのヒータが、複数のコンダクタンスチャネル104を加熱するために用いられ得ることを認識するであろう。コンダクタンスチャネルヒータは、単一のヒータであるかまたは複数のヒータであり得る。ヒータのうちの1つよりも多くのタイプが用いられ得る。一実施形態において、コンダクタンスチャネルヒータは、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの別のコンダクタンスチャネルに対する複数のコンダクタンスチャネル104のうちの1つのコンダクタンスチャネルの温度を制御する能力を有する。
【0027】
図2Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の断面図を示しており、複数のノズル106は、それらが上方に堆積材料を蒸発させるように配置されている。本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、複数のノズル106が、複数の坩堝102に対して任意の向きに配置され得るということである。複数のコンダクタンスチャネル104に対するヒータは、蒸発された供給源材料が、複数のノズル106の向きとは独立に凝結することを防ぐように設計されている。
【0028】
図2Bは、本発明に従う、直線状堆積供給源150の断面図を示しており、複数のノズル106は、それらが堆積材料を下方に蒸発するように配置されている。図2Bの直線状堆積供給源150は、図2Aに関連して記載された直線状堆積供給源100と類似している。しかしながら、複数のノズル106は、それらの出口が複数の坩堝102の向きに下方に面するように、配置されている。
【0029】
図2Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源152の断面図を示しており、本体112’は、垂直方向に配置された複数のノズル106を含んでいる。直線状堆積供給源152は、図2Aに関連して記載された直線状堆積供給源に類似しているが、直線状堆積供給源152が角度の付いたカップリングを含んでおり、該カップリングがシーリングフランジ110から垂直方向に関して本体112’の向きを変更するという点で異なる。当業者は、角度の付いたカップリング154は、本体112’をシーリングフランジ110の垂直方向に対して任意の角度に配置し得ることを認識するであろう。したがって、本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、複数のノズル106を含む本体112’が、複数の坩堝102を含むハウジング108に対して任意の向きに配置されることである。複数のコンダクタンスチャネル104に対するヒータ(図1)は、本体112’の向きとは独立に、蒸発された供給源材料が凝結することを防ぐように設計されている。
【0030】
図2Dは、本発明に従う、別の直線状堆積供給源156の断面図を示しており、本体112’’は垂直方向に配置された複数のノズル106を含んでいる。直線状堆積供給源156は、図2Cに関連して記載された直線状堆積供給源152と類似しているが、直線状堆積供給源156が、T字型のカップリング158を含み、該カップリングが、シーリングフランジ110から垂直方向に対して本体112’’の向きを変更するという点で異なる。図2Dに示されている実施形態において、本体112’’は、T字型のカップリング158の両側で垂直方向に延在している。
【0031】
図3は、本発明に従う、直線状堆積供給源200の斜視断面図を示しており、該直線状堆積供給源は、直線状構成で、複数のコンダクタンスチャネル204に、その後複数のノズル206に連結されている単一の坩堝202を含んでいる。直線状堆積供給源200は、図1および2に関連して記載された直線状堆積供給源100と類似している。しかしながら、供給源200は、唯1つの坩堝202のみを含んでいる。単一の坩堝202は、図1に関連して記載されたように、ハウジング208内に配置されている。
【0032】
単一の坩堝202は、1つのタイプの堆積供給源に対して設計された単一のコンパートメントを有し得る。複数のコンダクタンスチャネル204に連結された坩堝は、比較的高い堆積フラックスのスループットを有し得る。あるいは、単一の坩堝202は、複数のパーティション210を有し得、該複数のパーティション210は、坩堝202の区画を分離し、部分的に分離された区画の各々は、複数の堆積供給源材料のうちの1つを配置するような大きさにされる。複数の堆積供給源材料は、同じ材料であり得るかまたは異なる材料であり得る。単一の坩堝202が複数の部分的に分離された区画を含む実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル204の各々の入力は、複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近くに配置される。
【0033】
ヒータ212は、単一の坩堝202と熱的に連通するように配置される。ヒータ212は、坩堝が少なくとも1つの堆積材料を複数のコンダクタンスチャネル204の中に蒸発させることができるように、坩堝202の温度を上昇させる。ヒータ212または第2のヒータは、蒸発された堆積供給源材料が凝結しないように、複数のコンダクタンスチャネル204の温度を上昇させるために、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つと熱的に連通するように配置される。一部のヒータ212は、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの別のコンダクタンスチャネルに対する複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を上昇させ得る。
【0034】
熱シールド214が、坩堝202の近くに、および複数のコンダクタンスチャネル204の近くに配置され、坩堝202および複数のコンダクタンスチャネル204の少なくとも部分的な熱分離を提供する。一部の実施形態において、熱シールド214は、坩堝202の別の区画に対する坩堝202の1つの区画の温度を制御するように設計され配置される。また一部の実施形態において、熱シールド214は、少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネル204に対する複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの少なくとも部分的な熱分離を提供するために、設計され配置されており、これにより、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも2つにおいて異なる温度が維持され得る。この実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル204のうちの少なくとも2つは、異なる熱特性を有する熱シールド材料を用いて遮蔽され得る。
【0035】
複数のノズル206は、複数のコンダクタンスチャネル204に連結される。蒸発された堆積材料は、単一の坩堝202から、複数のコンダクタンスチャネル204を通り、複数のノズル206へと移送され、ここでは、蒸発された堆積材料は、複数のノズル206から排出され、堆積フラックスを形成する。
【0036】
本願の教示の直線状供給源は、ウェブ基板および剛性のパネル基板等の大きな面積の加工物上の1つ以上の異なる体積供給源を蒸発させるためによく適している。供給源の直線状の幾何学的形状は、光電池に対して用いられるウェブ基板および剛性のパネル基板等の幅の広い大きな面積の加工物を処理することに、それらをよく適したものとする。なぜならば、供給源は、効率的で非常に制御しやすい広い面積にわたる蒸発された材料を提供し得るからである。
【0037】
本願の教示の直線状堆積供給源の1つの特徴は、それらが比較的コンパクトであるということである。本願の教示の直線状堆積供給源の別の特徴は、複数の堆積供給源の各々に対して、および複数のコンダクタンスチャネルの各々に対して、それらが共通のヒータと共通の熱シールド材料とを用いることであり、このことが、サイズ、機器コストおよび動作コスト等の多くの機器の性能測定値を向上させる。
【0038】
図4は、2つのタイプの材料から形成された、本願の教示の直線状堆積供給源に対する坩堝300の斜視断面図を示している。坩堝300は、別の坩堝の内部に配置された少なくとも1つの坩堝を含む。図2に示されている実施形態において、坩堝300は、外側の坩堝304の内部に入れ子状にされた内側の坩堝302を含んでいる。この坩堝の設計においては、坩堝の性能を向上させるために、堆積材料を含むために2つのタイプの材料が用いられ得る。その他の実施形態において、少なくとも1つの坩堝は、少なくとも2つのその他の坩堝内で入れ子状にされる。
【0039】
例えば、一実施形態において、複数の坩堝102(図1)または坩堝202(図3)のうちの1つ以上は、熱分解窒化ホウ素(pyrolytic boron nitride)から形成された内側の坩堝302と、グラファイトから形成された外側の坩堝304とにより構成される。この実施形態において、熱分解窒化ホウ素から形成された内側の坩堝302は、堆積供給源材料を含む。熱分解窒化ホウ素は、非多孔質の、非常に不活性な、非常に純粋な材料である。加えて、熱分解窒化ホウ素は、非常に高い融点と、優れた熱伝導性と、優れた耐熱衝撃特性とを有する。これらの特性は、ほとんどの蒸発供給源材料を直接的に含むことに、熱分解窒化ホウ素を非常に適したものとする。しかしながら、熱分解窒化ホウ素は、特にもろく、それ故に、非常に損傷しやすい。外側の坩堝304はより耐久性のあるグラファイト等の材料から形成されるが、依然として高温の動作が可能である。より耐久性のある材料は、熱分解窒化ホウ素を損傷から保護する。別の実施形態において、内側の坩堝は水晶から形成され、外側の坩堝はアルミナから形成される。水晶の内側の坩堝とアルミナの外側の坩堝との組み合わせは、比較的費用がかからない。
【0040】
図5は、本発明に従う、直線状堆積供給源100の一部分の斜視上面図を示しており、ハウジング108の3つの坩堝102に連結されている3つのコンダクタンスチャネル104を示している。3つのコンダクタンスチャネル104の各々の入力118は、3つの坩堝102のそれぞれの出力に連結されている。3つのコンダクタンスチャネル104は、蒸発された材料が複数のコンダクタンスチャネル104を通って移送されている間に、3つの坩堝102のうちのいずれかからの蒸発された材料が有意に混合しないように設計される。多くの堆積工程において、堆積材料が処理されている基板の表面に到達する前に2つ以上の堆積材料の混合の発生を実質的に防ぐことは重要である。
【0041】
図6Aは、本発明の直線状堆積供給源に対する抵抗性坩堝ヒータ400の一部分の斜視図であり、坩堝102(図1)が配置される坩堝ヒータ400の内部および3つの側部を示している。様々な実施形態において、坩堝ヒータ400は、ハウジング108内に固定され得るか(図1)、または、ハウジング108に対して取り外し可能に取り付けられ得る。坩堝ヒータ400は、坩堝102を包囲する底部および側部の上に複数の抵抗性加熱要素402を含む。図6Aに示されている実施形態において、抵抗性加熱要素402は、複数の離間されたグラファイトのバスバー402であり、それらは、グラファイト材料の直線状ストリップである。支持ロッド404は、グラファイトのバスバー402を一緒に構造的に連結し、バスバー402を電気的に絶縁する。抵抗性加熱要素402は、加熱要素402の両側の間に配置された蛇紋岩グラファイトのバネを含み得る。電気ワイヤが供給源100のハウジング108を通って供給されて、グラファイトのバスバー402を電源(図示されず)に連結する。グラファイトのバスバー402は、電気ワイヤをしっかりと取り付けるためのネジ406を含む。
【0042】
図6Bは、複数の坩堝102(図1)の各々を加熱するための複数の坩堝ヒータ400のうちの1つの外部の斜視図である。図6Bに示されている斜視図は、図6Aに示されている斜視図と類似しているが、坩堝ヒータ400の4つの側部の全てを示しているという点で異なる。
【0043】
図7Aは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の側面図であり、複数のコンダクタンスチャネル104(図1)を加熱するためのコンダクタンスチャネルヒータを示している。図7Bは、コンダクタンスチャネルヒータを含むロッド130の斜視図である。図7Cは、本発明に従う、直線状堆積供給源100の本体112の斜視図を示しており、ロッド130の端部を本体112に接合するカップリング132を示している。
【0044】
図1、7A、7Bおよび7Cを参照すると、ロッド130は、コンダクタンスチャネル104の長さに沿って、本体112の長手方向に、コンダクタンスチャネル104の近くに配置されている。ロッド130は、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料等の任意のタイプの高温で耐久性のある材料から形成され得る。ロッド130は、電源(図示されず)の出力に電気的に連結され、該電源は、ロッド130を通って流れる電流を生成し、それにより、ロッド130の温度を上昇させる。ロッド130は、十分な動きを提供するバネまたはワイヤハーネスを用いて電源の出力に電気的に連結され得、通常動作の間のロッド130の熱膨張を可能にする。電源からの電流によってロッド130内に生成された熱は、コンダクタンスチャネル104内に放射され、それにより、コンダクタンスチャネル104の温度を上昇させ、その結果、複数のコンダクタンスチャネル104を通って移送する蒸発された供給源材料は凝結しない。
【0045】
図7Aはまた、ロッド130のセグメントを一緒に取り付ける複数のカップリング152を示している。一部の実施形態において、本体112の長さは非常に長いので、それがロッド130の複数のセグメントを一緒に結合することは、より費用効率がよく、信頼性があり、製造容易である。当業者は、ロッド130の複数のセグメントを一緒に結合するために用いられ得る多くのタイプのカップリングが存在することを認識するであろう。例えば、ネジ切りされたカップリングが、2つのロッドセグメントを一緒に結合するために用いられ得る。カップリング132は、ロッド130の全長にわたって比較的一定の抵抗性を有する連続的な電機接続を提供する。
【0046】
図8は、拡張リンク502を含む本体112(図1)のフレーム500を示している。図1、7A、7Bおよび8を参照すると、複数のコンダクタンスチャネル104は、拡張リンク502を見るために、本体112のフレーム500の内部の空間から取り除かれている。通常動作の間に本体112が顕著な熱膨張と収縮とを経験するので、場合によって拡張リンク502が用いられることがある。ロッド130および複数のコンダクタンスチャネル104の熱膨張係数は、フレーム500および本体112内のその他のコンポーネントの熱膨張係数とは顕著に異なる。加えて、フレーム500と本体112内のその他のコンポーネント(例えば、ロッド130および複数のコンダクタンスチャネル104)との間には顕著な温度差が存在し得る。結果として、フレーム500が拡張し、本体112内のその他のコンポーネント(例えば、複数のコンダクタンスチャネル104およびロッド130)に対して自由に接触することが望ましい。
【0047】
図8に示されている拡張リンク500は、フレーム500において用いられ得る多くのタイプの拡張リンクのうちの1つである。図8に示されている実施形態において、拡張リンク500は、ピン504またはその他のタイプの留め具を用いて、フレーム500の2つの区画に取り付けられる。拡張リンク502が拡張されるときに、リンク区画506は拡張し、それにより、フレーム500よりも早く拡張する本体112内のコンポーネントに対して、フレーム500内に空間を形成する。あるいは、本体112内のコンポーネントがフレーム500よりも早く収縮するとき、リンク区画506は折れ曲がり、それにより、収縮する本体112の空間に適合するようにフレーム500内の空間を低減する。
【0048】
図9Aは、複数の坩堝102(図1)のための、そして本教示に従う直線状堆積供給源の複数のコンダクタンスチャネル104のための熱シールド600の斜視断面図である。図9Bは、図9Aに示される熱シールド600の完全な斜視図である。当業者は、熱シールド600が非常に多くの種類の熱シールド材料のうちの任意の1材料で構成され得ることを認識する。例えば、一実施形態において、熱シールド600は、カーボンファイバカーボンコンポジット材料で形成される。
【0049】
図1、図9Aおよび図9Bを参照すると、熱シールド600の第1の区画602は、複数の坩堝102のうちの各々の少なくとも部分的な熱分離を提供するために、複数の坩堝102のうちの各々の近位に配置される。熱シールド600の第1の区画602は、個々の坩堝102を分離して、その結果、必要に応じて、有意に異なる坩堝温度が維持され得る。有意に異なる坩堝温度を維持することは、一部の堆積処理に対して重要である。なぜならば、複数の坩堝102の各々が特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱され得るからである。坩堝102を、特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱することは、負の加熱効果(例えば、堆積材料のスピッティング)を低減させる。さらに、坩堝102を、特定の供給源材料に対する最適温度まで加熱することは、堆積供給源の動作コストを有意に低減させ得る。
【0050】
様々な他の実施形態において、熱シールド600の第1の区画602は、複数の別個の熱シールドを含み得、該複数の別個の熱シールド600のそれぞれ1つは、複数の坩堝102のそれぞれ1つを囲む。複数の別個の熱シールドの各々が同一の熱シールドか、または異なる熱シールドであり得る。例えば、堆積供給源材料をより高温に加熱するために使用される坩堝は、様々な熱特性を有する、異なるか、またはより厚いシールド材料から形成され得る。
【0051】
熱シールド600の第2の区画604は、複数の坩堝102からの複数のコンダクタンスチャネル104の少なくとも部分的な熱分離を提供するために、複数のコンダクタンスチャネル104の近位に配置される。複数のコンダクタンスチャネル104の各々が別個の熱シールドによって遮蔽され得るか、または単一の熱シールドが使用され得る。一部の実施形態において、熱シールド600の第2の区画604は、少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルに対する、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つの少なくとも部分的な熱分離を提供するために配置される。言い換えると、熱シールド600の第2の区画604の設計および配置は、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルに対して、複数のコンダクタンスチャネル104の少なくとも1つのコンダクタンスチャネル内での異なる動作温度を可能にするように選ばれ得る。これらの実施形態において、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つは、異なる熱特性を有する熱シールド材料で遮蔽され得る。例えば、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つは、異なる熱シールド材料、異なる熱シールド厚、および/または特定のコンダクタンスチャネルに対する熱シールド材料の異なる近接性によって遮蔽され得る。
【0052】
熱シールド600は、通常動作の間、非常に高温に曝される。本教示に従った一部の熱シールドは、低放射率材料で形成されるか、または熱放射の放射を低減する低放射率コーティングを有する少なくとも1つの表面と有して構築される。例えば、熱シールド600の内側表面または外側表面は、低放射率コーティングまたは熱移送を低減させる任意の他のタイプのコーティングでコーティングされ得る。任意のこのようなコーティングは通常供給源の動作寿命に対して一定の放射率を維持するように設計される。
【0053】
熱シールド600は、また、ハウジング108および本体112と比較して、そしてハウジング108および本体112内の構成要素と比較して、異なる速度で拡張および収縮する。一実施形態において、熱シールド600は、ハウジング108および本体112のフレーム500(図8)のうちの少なくとも1つに対して移動可能に取り付けられ、その結果、熱シールド600は、通常動作の間に、ハウジング108およびフレーム500のうちの少なくとも1つに対して動き得る。一部の実施形態において、拡張リンクは、熱シールド600が他の供給源構成要素に対して延び縮みすることを可能にし得る。さらに、一部の実施形態において、熱シールド600は、複数の熱シールド材料を含み、これらの複数の熱シールド材料は熱膨張および熱収縮に許容される。例えば、複数の熱シールド材料は、熱膨張および熱収縮に対する許容性を増加させるために使用され得る。
【0054】
図10は、本教示に従う堆積供給源100の上部斜視図を示しており、該上部斜視図は基板または他の加工物上に蒸発した材料を放出するための本体112内の複数のノズル106を示す。複数のノズル106の各々の入力は、図5と関連して記述されるように複数のコンダクタンスチャネル104のうちのそれぞれ1つの出力に連結される。蒸発した堆積材料は、混ぜ合わされることなしに、複数の坩堝102から、複数のコンダクタンスチャネル104を通って複数のノズル106まで移送され、蒸発した堆積材料は複数のノズル106から排出され、堆積フラックスを形成する。
【0055】
図10に示される供給源100は、7個の群のノズル106を描き、各々の群は3つのノズルを含む。当業者は、本発明に従う堆積供給源が任意の数の群のノズルと、各群内に任意の数のノズルとを含み得ることを認識する。様々な実施形態において、複数のノズル106の間隔は均一であったり、不均一であったりし得る。本教示の一局面は、特定の処理目標を達成するために、複数のノズル106が不均一に間隔をあけられ得ることである。例えば、一実施形態において、複数のノズルの間隔は、堆積フラックスの均一性を向上させるように選ばれる。この実施形態において、本体112のエッジ近くのノズル106の間隔は、本体112のエッジ近くの低減した堆積フラックスを補償するために、図10に示されるような本体112の中心の近位のノズル106の間隔よりも短い。正確な間隔は、供給源100が基板または加工物の近位に実質的に均一の堆積材料フラックスを生成するように選ばれ得る。
【0056】
一部の実施形態において、複数のノズル106の間隔は、堆積供給源100の動作コストを低下させるために、かつ、サービス間隔の間の処理時間および利用可能性を増加させるために高い材料利用率を得るように選ばれる。また、一部の実施形態において、複数のノズル106の間隔は、蒸発した材料の所定の混合物を達成するために、複数のノズル106からの所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる。
【0057】
一実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも一部が、特定の処理目標を達成するためにコンダクタンスチャネル104の上部表面160からの垂直角度に対してある角度で配置される。例えば、一実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、コンダクタンスチャネル104の上部表面160からの垂直角度に対してある角度で配置され、この角度は処理される基板または加工物の表面にわたって均一な堆積フラックスを提供するように選ばれる。また、一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、コンダクタンス104の上部表面106からの垂直角度に対してある角度で配置され、この角度は、蒸発した材料の所定の混合物を達成するために、複数のノズル106からの所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる。
【0058】
図11Aは、本教示に従った堆積供給源100の本体112の断面図を示し、この図はノズル106への堆積材料の流れを制御する管170を有するコンダクタンスチャネル104に連結された一列のノズル106を示す。一部の実施形態において、管の上部における放射率は管170の下部における放射率よりも低い。管170の寸法(例えば、管170の長さおよび直径)は、コンダクタンスチャネル104から対応するノズル106に供給される堆積材料の量を決定する。さらに、管170の配置(例えば、管170がコンダクタンスチャネル104内に配置される距離)は、また、コンダクタンスチャネル104から対応するノズル106に供給される堆積材料の量を決定する。
【0059】
例えば、管170の直径を変化させることは、ノズル106から放出される分布型堆積フラックスパターンを変化させる。管170の長さは、一般的に、管170の全流れ抵抗および設計に適合するように選ばれる。一部の実施形態において、コンダクタンスチャネル104にさらに貫入するより長い管170は、対応するノズル106に少ない量の堆積材料を供給する。様々な実施形態において、特定の管170の幾何学形状および位置は、同一であったり、異なったりし得る。一実施形態において、複数の管170の少なくとも2つは、複数の管170の各々を通る特定のコンダクタンスを得るために、異なる長さおよび/または異なる幾何学形状を有し得、この特定のコンダクタンスは、特定の処理目標を達成する。例えば、異なる寸法を有する管170は、シーリングフランジ110近くの本体112から本体112の端部までの供給源100内の差圧を補償するために使用され得る。
【0060】
従って、本発明の堆積供給源100の1つの特徴は、管170の幾何学形状および配置が、複数のノズル106から放出される蒸発した材料の分布を変化させることなしに、複数のノズル106の各々に供給される蒸発した材料の量を正確に制御するように選ばれ得ることである。例えば、特定の管170の幾何学形状および位置は、特定の処理目標(例えば、特定のノズルまたは特定の複数のノズル106からの所定の堆積フラックス)を達成するように選ばれ得る。
【0061】
一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、時間をかけた蒸気凝結および材料集積の構築を防ぐために、複数のコンダクタンスチャネル104の上部表面160の上方に延びる。ノズルは、また、所望の堆積フラックス分布パターンを達成するように配置され得る。個々のノズルヒータは、複数のノズル106のうちの1つ以上の近位に配置され得、凝結および材料集積を防ぐためにノズル106から放出される蒸発した材料の温度を制御する。他の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つは、ヒータおよび複数のコンダクタンスチャネル104から所望の熱量を伝えるために、そして/または所望の堆積フラックス分布パターンを達成するために、複数のコンダクタンスチャネル104の上部表面160の下方に配置される。
【0062】
図11Bは、本教示に従った堆積供給源100の複数のコンダクタンスチャネル104の断面図を示し、この図は、ノズル104への堆積材料の流れを制御する管170を有する複数のコンダクタンスチャネル104に連結された一行のノズル106を示す。図11Bは、管を有する3つのコンダクタンスチャネルを示す。本教示の一局面は、ノズル106が、コンダクタンスチャネルヒータ(図7A〜図7Cのロッド130)によって、そして関連付けられたコンダクタンスチャネル104によって加熱されることである。
【0063】
図12は、本教示に従う直線状供給源100のための複数のノズル106のうちの1つを含むノズル106の斜視図を示す。ノズル106が蒸発した供給源材料が凝結することを防ぐために、ノズル106が所望の熱伝導を提供するように設計される。ノズル106は、均一な動作温度をもたらすことにより、堆積材料のスピッティングを低減する熱伝導性を有する材料から形成され得る。例えば、ノズルは、グラファイト、シリコンカーバイド、耐火材料、または他の非常に高い融点の材料から形成され得る。一部の実施形態において、ノズル106は、ノズル106を介する温度勾配を低減するように設計される。さらに、ノズル106は、放射損失を最小化するように設計され得る。
【0064】
一部の実施形態において、ノズル106は、先細の外側表面を含み得る。また、一部の実施形態において、ノズル106は、内側が先細になっている。一部の実施形態において、アパーチャ180の表面は、低放射率のコーティングを有し、このコーティングが熱放射を低減することにより、ノズル106におけるいかなる凝結も低減する。他の実施形態において、ノズル106は、低放射率を有する材料から形成される。
【0065】
ノズル106は、関連付けられたコンダクタンスチャネル104から、蒸発した供給源材料を通過させるアパーチャ180を含む。アパーチャ180は所望のプルームを排出するように設計される。ほぼ円形のアパーチャ180が図12のノズル106に示される。しかしながら、非常に多くのアパーチャの形状のうちの任意の1つが、所望の処理目標を達成するためにノズル106内で使用され得ることが理解されるべきである。例えば、アパーチャ180は、円形、楕円形、長方形、正方形またはスリットであり得る。さらに、アパーチャ180の出口は、半径形状で示されている。しかしながら、アパーチャ180は所望の処理目標を達成するために、非常に多くの出口形状のうちの任意の1つを使用し得ることが理解されるべきである。例えば、出口形状は、角付きであるか、放射状であるか、またはスモースタイル(すなわち制限されたノズル形状の逆のドラフトまたは他のタイプ)であり得る。
【0066】
一部の実施形態において、複数のノズル106のうちの少なくとも1つが、不均一な堆積フラックスを通過させるような形状であるアパーチャ180を有する。これらの実施形態において、複数のアパーチャ180のうちの少なくとも一部は、所望の堆積フラックスパターンを形成するために組み合わせる不均一な堆積フラックスを通過させるような形状であり得る。例えば、所望の組み合わされた堆積フラックスパターンは、所定の領域上の均一な堆積フラックスパターンであり得る。
【0067】
動作時、複数の堆積供給源から堆積フラックスを生成する方法は、複数の坩堝102を加熱することを含み、この坩堝102はそれぞれ堆積供給源材料を含み、その結果、複数の坩堝102の各々が堆積材料を蒸発させる。この方法は、各堆積供給源材料に対する異なる坩堝温度を達成するために別個の坩堝ヒータを個別に制御することを含み得る。この方法は、また、複数の坩堝102の各々を遮蔽することを含み得、その結果、異なる温度が特定の坩堝内で維持され得る。
【0068】
複数の坩堝102の各々からの堆積材料は、複数の坩堝102の任意の坩堝から蒸発した堆積材料を混ぜ合わせることなしに、本体112内でそれぞれのコンダクタンスチャネル104を通して移送される。コンダクタンスチャネル104は加熱され、その結果、蒸発した堆積材料は、ノズル106から放射される前に凝結されない。コンダクタンスチャネル104は、別個に加熱され得、その結果、複数のコンダクタンスチャネル104のうちの少なくとも2つに対して異なる温度を達成する。複数のコンダクタンスチャネル104の各々が遮蔽され、その結果、異なる温度が異なるコンダクタンスチャネル104内で維持され得る。多くの方法は、複数の坩堝102の近位、そして複数のコンダクタンスチャネル104の近位のヒータおよび熱シールド材料の熱膨張のための可動構成要素および空間を提供することを含む。
【0069】
蒸発した堆積材料は、複数のコンダクタンスチャネル104から、複数のノズル106のそれぞれのノズルに移送される。様々な実施形態において、蒸発した堆積材料は、複数のコンダクタンスチャネル104の各々から、堆積材料の流れを制御する複数の管170または他の構造のうちのそれぞれ1つを通って、複数のノズル106のうちのそれぞれ1つに移送される。本発明の方法の様々な実施形態において、複数のノズル106を通る堆積材料の流れは、コンダクタンスチャネル104に対する可変の管入口の長さ、幾何学形状および/または位置を有する管を用いることにより制御される。コンダクタンスチャネル104に対する管入口の長さ、幾何学形状および/または位置は、特定の処理目標(例えば、均一な堆積フラックスおよび/または高い堆積材料利用率)を達成するように選ばれる。
【0070】
複数のノズル106は、次いで、蒸発した堆積材料を通すことにより堆積フラックスを形成する。上記方法は、特定の処理目標(例えば、複数のノズル106からの均一な堆積フラックスおよび/または高い堆積材料利用率)を達成するように複数のノズル106の間隔を選択することを含み得る。
【0071】
(均等論)
出願人の教示が様々な実施形態と関連して記載されているが、出願人の教示がこのような実施形態に制限されることは意図されない。反対に、出願人の教示は、当照射によって認識されるような様々な代替物、修正物および均等物を包含し、これらは、本教示の精神および範囲から逸脱することなしに、この教示においてなされ得る。
【符号の説明】
【0072】
100 直線状堆積供給源
102 坩堝
104 コンダクタンスチャネル
106 ノズル
108 ハウジング
110 シーリングフランジ
112 本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積供給源であって、
a)堆積材料を収容する複数の坩堝と、
b)複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体であって、該複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は、該複数の坩堝のそれぞれ1つの坩堝の出力と連結されている、本体と、
c)該複数の坩堝と該複数のコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータであって、該ヒータは、該複数の坩堝の各々が該堆積材料を該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)複数のノズルであって、該複数のノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って該複数のノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
【請求項2】
前記複数の坩堝のうちの少なくとも一部が、外側坩堝の内部に配置された内側坩堝を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項3】
前記複数の坩堝は、Cuを含む第1の坩堝と、Inを含む第2の坩堝と、Gaを含む第3の坩堝とを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項4】
前記複数の坩堝は、同一の堆積材料を含む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項5】
前記ヒータはRF誘導ヒータ、抵抗ヒータおよび赤外線ヒータのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項6】
前記ヒータは複数の個々に制御可能なヒータを備え、該複数のヒータのそれぞれは前記複数の坩堝のそれぞれと熱的な連通をする、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項7】
前記ヒータは前記複数のコンダクタンスチャネルの各々の温度を、前記堆積材料の凝結点の上まで上昇させる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項8】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの温度を、該複数のコンダクタンスチャネルの別のコンダクタンスチャネルに対して制御する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項9】
前記熱シールドは、前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項10】
前記熱シールドは、複数の熱シールドタイルを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項11】
前記熱シールドは、熱シールド材料の複数の層を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項12】
前記熱シールドは拡張リンクを用いて前記本体に取り付けられる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項13】
前記熱シールドは低放射率を有する少なくとも1つの表面を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項14】
前記熱シールドは複数の熱シールドを備え、該複数の熱シールドのそれぞれは前記複数の坩堝のそれぞれを囲む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項15】
前記熱シールドは前記複数のコンダクタンスチャネルを囲む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項16】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つが該複数のコンダクタンスチャネルの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルとは異なる動作温度であるように、前記熱シールドが配置される、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項17】
前記複数のノズルの間隔は不均一である、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項18】
前記複数のノズルの間隔は、前記本体の中心部の近位の該複数のノズルの間隔より、該本体のエッジの近位において短い、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項19】
前記複数のノズルの間隔は、実質的に均一な堆積材料フラックスを達成するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項20】
前記複数のノズルの間隔は、堆積材料の利用率を増加させるように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項21】
前記複数のノズルの間隔は、該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項22】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、前記複数のコンダクタンスチャネルの上部表面に対する垂直角度に対してある角度で配置され、該角度は該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項23】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、不均一の堆積フラックスを通過させるような形状のアパーチャを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項24】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、低放射率のコーティングを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項25】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、均一な動作温度をもたらすことにより、該複数のノズルからの堆積材料のスピッティングを低減させる熱伝導性を有する材料から形成される、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項26】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、前記コンダクタンスチャネルの近位に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項27】
前記管の長さは、前記複数のノズルの対応する1つのノズルを通る所定の堆積フラックスを達成するように選ばれる、請求項26に記載の堆積供給源。
【請求項28】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記コンダクタンスチャネル内に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項29】
前記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の長さは、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の長さとは異なる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項30】
前記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の幾何学形状は、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の幾何学形状とは異なる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項31】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、前記複数のコンダクタンスチャネルの上方に延びる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項32】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、前記複数のコンダクタンスチャネルの下方に延びる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項33】
前記本体の少なくとも1つのエッジの近位に配置された流体冷却チャネルをさらに備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項34】
堆積フラックスを生成する方法であって、該方法は、
a)複数の坩堝を加熱することであって、該複数の坩堝の各々が本体内の複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つを通って移送する堆積材料を蒸発させるように複数の坩堝の各々が堆積材料を含む、ことと、
b)該複数のコンダクタンスチャネルの各々から該複数のノズルのうちの1つのノズルに該蒸発した堆積材料を移送することであって、該複数のノズルは蒸発した堆積材料を通過させることにより堆積フラックスを形成することと
を包含する、方法。
【請求項35】
前記蒸発した堆積材料を、前記複数のコンダクタンスチャネルの各々から、複数の管のうちのそれぞれ1つを通って、該複数のノズルのそれぞれ1つに移送することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のノズルから均一な堆積フラックスを達成するために、前記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
高い堆積材料利用率を達成するために、前記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の坩堝および前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも一部の温度を独立して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の坩堝のうちの少なくとも1つの坩堝によって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つの坩堝の温度を少なくとも1つの他の坩堝の温度に対して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルによって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルの温度に対して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の坩堝および前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの近位に、熱シールド材料の熱膨張のための空間を提供することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
堆積供給源であって、
a)少なくとも1つの堆積材料を含む坩堝と、
b)該坩堝に連結された複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体と、
c)該坩堝と熱的な連通をして配置されるヒータであって、該ヒータは、該坩堝が該少なくとも1つの堆積材料を、該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該坩堝に対して少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)該複数のコンダクタンスチャネルに連結された複数のノズルであって、蒸発した堆積材料が、該坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って、該複数のノズルに移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
【請求項43】
前記坩堝は複数の部分的に分離された区画を備え、該部分的に分離された区画は、複数の堆積材料のうちの1つを配置するように寸法があわせられている、請求項42に記載の堆積供給源。
【請求項44】
前記複数の部分的に分離された区画のうち少なくとも2つは異なる堆積材料を収容する、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項45】
前記複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力が前記複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近位に配置される、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項46】
前記熱シールドは、前記坩堝の別の区画に対する該坩堝の1つの区画の温度を制御する熱分離を提供する、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項47】
前記ヒータは前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つと熱的な連通をし、該ヒータは、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの別の1つに対して、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの温度を上昇させる、請求項42に記載の堆積供給源。
【請求項48】
前記熱シールドは、前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに対して熱分離を提供する、請求項42に記載の堆積供給源。
【請求項1】
堆積供給源であって、
a)堆積材料を収容する複数の坩堝と、
b)複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体であって、該複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力は、該複数の坩堝のそれぞれ1つの坩堝の出力と連結されている、本体と、
c)該複数の坩堝と該複数のコンダクタンスチャネルと熱的な連通をするように配置されたヒータであって、該ヒータは、該複数の坩堝の各々が該堆積材料を該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該複数の坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該複数の坩堝のうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)複数のノズルであって、該複数のノズルの各々の入力は該複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの出力に連結され、蒸発した堆積材料は、該複数の坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って該複数のノズルまで移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
【請求項2】
前記複数の坩堝のうちの少なくとも一部が、外側坩堝の内部に配置された内側坩堝を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項3】
前記複数の坩堝は、Cuを含む第1の坩堝と、Inを含む第2の坩堝と、Gaを含む第3の坩堝とを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項4】
前記複数の坩堝は、同一の堆積材料を含む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項5】
前記ヒータはRF誘導ヒータ、抵抗ヒータおよび赤外線ヒータのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項6】
前記ヒータは複数の個々に制御可能なヒータを備え、該複数のヒータのそれぞれは前記複数の坩堝のそれぞれと熱的な連通をする、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項7】
前記ヒータは前記複数のコンダクタンスチャネルの各々の温度を、前記堆積材料の凝結点の上まで上昇させる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項8】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つの温度を、該複数のコンダクタンスチャネルの別のコンダクタンスチャネルに対して制御する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項9】
前記熱シールドは、前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに、少なくとも部分的な熱分離を提供する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項10】
前記熱シールドは、複数の熱シールドタイルを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項11】
前記熱シールドは、熱シールド材料の複数の層を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項12】
前記熱シールドは拡張リンクを用いて前記本体に取り付けられる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項13】
前記熱シールドは低放射率を有する少なくとも1つの表面を備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項14】
前記熱シールドは複数の熱シールドを備え、該複数の熱シールドのそれぞれは前記複数の坩堝のそれぞれを囲む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項15】
前記熱シールドは前記複数のコンダクタンスチャネルを囲む、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項16】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つが該複数のコンダクタンスチャネルの少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルとは異なる動作温度であるように、前記熱シールドが配置される、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項17】
前記複数のノズルの間隔は不均一である、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項18】
前記複数のノズルの間隔は、前記本体の中心部の近位の該複数のノズルの間隔より、該本体のエッジの近位において短い、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項19】
前記複数のノズルの間隔は、実質的に均一な堆積材料フラックスを達成するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項20】
前記複数のノズルの間隔は、堆積材料の利用率を増加させるように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項21】
前記複数のノズルの間隔は、該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項22】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、前記複数のコンダクタンスチャネルの上部表面に対する垂直角度に対してある角度で配置され、該角度は該複数のノズルから所望の重なりの堆積フラックスを提供するように選ばれる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項23】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、不均一の堆積フラックスを通過させるような形状のアパーチャを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項24】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、低放射率のコーティングを備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項25】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、均一な動作温度をもたらすことにより、該複数のノズルからの堆積材料のスピッティングを低減させる熱伝導性を有する材料から形成される、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項26】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、前記コンダクタンスチャネルの近位に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項27】
前記管の長さは、前記複数のノズルの対応する1つのノズルを通る所定の堆積フラックスを達成するように選ばれる、請求項26に記載の堆積供給源。
【請求項28】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記コンダクタンスチャネル内に配置される管を備え、該管は対応するノズルに供給される堆積材料の量を制限する、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項29】
前記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の長さは、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の長さとは異なる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項30】
前記複数のノズルのうちの少なくとも2つは、対応するノズルに供給される材料の量を制限する管を備え、該複数のノズルのうちの1つのノズルに対応する該管の幾何学形状は、該複数のノズルのうちの少なくとも1つの他のノズルに対応する該管の幾何学形状とは異なる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項31】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、前記複数のコンダクタンスチャネルの上方に延びる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項32】
前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルの上部は、前記複数のコンダクタンスチャネルの下方に延びる、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項33】
前記本体の少なくとも1つのエッジの近位に配置された流体冷却チャネルをさらに備えている、請求項1に記載の堆積供給源。
【請求項34】
堆積フラックスを生成する方法であって、該方法は、
a)複数の坩堝を加熱することであって、該複数の坩堝の各々が本体内の複数のコンダクタンスチャネルのうちの1つを通って移送する堆積材料を蒸発させるように複数の坩堝の各々が堆積材料を含む、ことと、
b)該複数のコンダクタンスチャネルの各々から該複数のノズルのうちの1つのノズルに該蒸発した堆積材料を移送することであって、該複数のノズルは蒸発した堆積材料を通過させることにより堆積フラックスを形成することと
を包含する、方法。
【請求項35】
前記蒸発した堆積材料を、前記複数のコンダクタンスチャネルの各々から、複数の管のうちのそれぞれ1つを通って、該複数のノズルのそれぞれ1つに移送することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のノズルから均一な堆積フラックスを達成するために、前記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
高い堆積材料利用率を達成するために、前記複数の管のうちの少なくとも1つの管の寸法を選択することをさらに包含する、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記複数の坩堝および前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも一部の温度を独立して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の坩堝のうちの少なくとも1つの坩堝によって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つの坩堝の温度を少なくとも1つの他の坩堝の温度に対して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つのコンダクタンスチャネルによって生成された熱を遮蔽して、少なくとも1つのコンダクタンスチャネルの温度を少なくとも1つの他のコンダクタンスチャネルの温度に対して制御することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の坩堝および前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの近位に、熱シールド材料の熱膨張のための空間を提供することをさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
堆積供給源であって、
a)少なくとも1つの堆積材料を含む坩堝と、
b)該坩堝に連結された複数のコンダクタンスチャネルを備えている本体と、
c)該坩堝と熱的な連通をして配置されるヒータであって、該ヒータは、該坩堝が該少なくとも1つの堆積材料を、該複数のコンダクタンスチャネルに蒸発させるように、該坩堝の温度を増加させる、ヒータと、
d)該坩堝に対して少なくとも部分的な熱分離を提供する熱シールドと、
e)該複数のコンダクタンスチャネルに連結された複数のノズルであって、蒸発した堆積材料が、該坩堝から、該複数のコンダクタンスチャネルを通って、該複数のノズルに移送され、該蒸発した堆積材料は該複数のノズルから排出され堆積フラックスを形成する、複数のノズルと
を備えている、堆積供給源。
【請求項43】
前記坩堝は複数の部分的に分離された区画を備え、該部分的に分離された区画は、複数の堆積材料のうちの1つを配置するように寸法があわせられている、請求項42に記載の堆積供給源。
【請求項44】
前記複数の部分的に分離された区画のうち少なくとも2つは異なる堆積材料を収容する、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項45】
前記複数のコンダクタンスチャネルの各々の入力が前記複数の部分的に分離された区画のうちの1つの近位に配置される、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項46】
前記熱シールドは、前記坩堝の別の区画に対する該坩堝の1つの区画の温度を制御する熱分離を提供する、請求項43に記載の堆積供給源。
【請求項47】
前記ヒータは前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つと熱的な連通をし、該ヒータは、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの別の1つに対して、該複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つの温度を上昇させる、請求項42に記載の堆積供給源。
【請求項48】
前記熱シールドは、前記複数のコンダクタンスチャネルのうちの少なくとも1つに対して熱分離を提供する、請求項42に記載の堆積供給源。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【公開番号】特開2010−150662(P2010−150662A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286998(P2009−286998)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509348580)ビーコ インストゥルメンツ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509348580)ビーコ インストゥルメンツ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】
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