説明

相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置

【課題】本発明は、相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置に関し、車両間の相対関係を精度よく検出することにある。
【解決手段】各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムにおいて、各車両に、電波を送信する発信器と、他車両の発信器から送信される電波を受信する受信器と、GPS衛星から送信されるすべての車両に共通する時刻データを受信する衛星時計レシーバと、を設ける。そして、発信器による電波送信を、衛星時計レシーバに受信される時刻データに基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させ、他車両の発信器から送信される電波が自車両の受信器に受信される受信タイミングの、上記した送信タイミングからの遅れ時間を演算し、その演算される遅れ時間に基づいて自車両と当該他車両との相対関係を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置に係り、特に、車両間の相対関係を測定するうえで好適な相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両間で通信を行って自車両に対する他車両の位置を検出するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムにおいて、各車両は、GPS衛星からのGPS信号に基づいて自車位置を検出する自車位置検出機能を有している。この自車位置検出機能は、周辺の他車両と共通したタイミングで自車両の位置を検出するものである。そして、各車両は、上記のタイミングで検出したその自車位置情報を車両間通信によって他車両に向けて送信する。かかるシステムによれば、各車両が車両間通信を用いて他車両の位置情報を受信してその位置を特定することができるので、同一タイミングでの自車両と他車両との相対関係を検出することができ、両者の衝突の可能性などを検知・予測することが可能になる。
【特許文献1】特開2006−182207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来のシステムにおいては、GPS信号を用いて車両の位置が検出されるが、しかし、このGPS信号を用いた位置検出は一般に精度誤差を伴うので、位置精度が十分でない場合に自車両と他車両との相対関係が不正確となり、検知・予測する衝突可能性を誤る可能性がある。
【0004】
また、自車両の周辺に多数の他車両が存在する場合に、それら多数の他車両が送信する位置情報をすべて受信して、各他車両との相対関係を求めることとなると、他車両からの位置情報の受信自体に多くの時間を要することとなり、仮に検出される自車両と他車両との相対関係が正確であったとしてもその測定が遅れて、衝突可能性の判断が遅れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両間の相対関係を精度よく検出することが可能な相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置を提供することを第1の目的とし、多数の他車両が自車両の周辺に存在しても自車両にとって必要性の高い他車両のみについて相対関係を測定することで、その測定の効率化を図ることが可能な相対関係測定システム及び車載相対関係測定装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の第1の目的は、各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、各車両に、信号を送信する信号送信手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号が前記信号受信手段に受信される受信タイミングの、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングからの遅れ時間を演算する遅れ時間演算手段と、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を設けた相対関係測定システムにより達成される。
【0007】
また、上記の第1の目的は、他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、他車両から送信される信号が前記信号受信手段に受信される受信タイミングの、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する信号を送信すべき送信タイミングからの遅れ時間を演算する遅れ時間演算手段と、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を備える車載相対関係測定装置により達成される。
【0008】
これらの態様の発明において、車両は、他車両から送信される信号を受信する受信タイミングの、信号が送信される送信タイミングからの遅れ時間を演算し、そして、その遅れ時間に基づいて自車両と当該他車両との相対関係を測定する。上記した送信タイミングは、インフラ施設からの共通情報に基づくものであるので、各車両は、他車両が信号を送信する送信タイミングを知ることができ、その結果として、他車両の送信した信号が送信されてから自車両に受信されるまでの遅れ時間を精度よく演算することができる。この遅れ時間は、車両間の相対距離が短いほど短時間となる。従って、本発明によれば、車両間の相対関係を精度よく検出することができる。
【0009】
尚、上記した相対関係測定システムにおいて、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間のうち所定時間以下のものに基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間のうち所定時間以下のものに基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、自車両との相対距離を精度よく検出する対象の他車両を相対距離の短いものに限定することができる。
【0010】
また、上記した相対関係測定システムにおいて、各車両に、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を設け、前記相対関係測定手段は、前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率のうち自車両と当該他車両とが接近する傾向が所定以上に高いものに基づいて、自車両と当該他車両との相対速度を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を備え、前記相対関係測定手段は、前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率のうち自車両と当該他車両とが接近する傾向が所定以上に高いものに基づいて、自車両と当該他車両との相対速度を測定することとすれば、自車両との相対速度を精度よく検出する対象の他車両を接近する速度の高いものに限定することができる。
【0011】
また、上記した相対関係測定システムにおいて、各車両に、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を設け、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間と前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率とに基づいて、自車両と当該他車両とが衝突するまでに要する衝突予測時間を測定することとすれば、また、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を備え、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間と前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率とに基づいて、自車両と当該他車両とが衝突するまでに要する衝突予測時間を測定することとすれば、自車両と他車両とが衝突するまでに要する衝突予測時間を精度よく検出することができる。
【0012】
また、上記の第2の目的は、各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、各車両に、信号を送信する信号送信手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号のうち、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングから前記信号受信手段に受信される受信タイミングまでの遅れ時間が所定時間以下となる信号のみを受信許可する受信信号選別手段と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を設けた相対関係測定システムにより達成される。
【0013】
また、上記の第2の目的は、他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、他車両から送信される信号のうち、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する信号を送信すべき送信タイミングから前記信号受信手段に受信される受信タイミングまでの遅れ時間が所定時間以下となる信号のみを受信許可する受信信号選別手段と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を備える車載相対関係測定装置により達成される。
【0014】
これらの態様の発明において、他車両から送信される信号のうち車両において受信が許可される信号は、送信タイミングからその信号が受信される受信タイミングまでの遅れ時間が所定時間以下となる信号のみである。そして、車両は、その受信許可されて実際に受信された信号に基づいて他車両との相対関係を測定する。上記した送信タイミングは、インフラ施設からの共通情報に基づくものであるので、各車両は、他車両が信号を送信する送信タイミングを知ることができる。また、上記した遅れ時間は、車両間の相対距離が長いほど長時間となるので、この遅れ時間が所定時間を超える信号は、自車両から比較的遠くに離れて位置する他車両から送信されたものであると判断でき、一方、上記の遅れ時間が所定時間以下である信号は、自車両に比較的近くに位置する他車両から送信されたものであると判断できる。自車両から比較的遠くに離れた他車両は、自車両にとってあまり必要性のない車両であり、比較的近くに位置する他車両は、自車両にとって必要性の高い車両である。従って、本発明によれば、自車両の周辺に多数の他車両が存在した際に自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の低い他車両を排除することができ、その必要性の高い他車両のみについて相対関係を測定することができ、これにより、周辺他車両との相対関係の測定を効率的に行うことができる。
【0015】
尚、上記した相対関係測定システムにおいて、前記信号送信手段は、自車両の位置情報を含む信号を送信し、前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記信号受信手段は、他車両から送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の高い他車両のみについてその受信信号に含まれる位置を用いて相対関係を測定することができる。
【0016】
また、上記した相対関係測定システムにおいて、前記相対関係測定手段は、前記受信信号選別手段により受信許可された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記相対関係測定手段は、前記受信信号選別手段により受信許可された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の高い他車両のみについて信号の送信から受信までの遅れ時間を用いて相対関係を測定することができる。
【0017】
また、上記の第2の目的は、各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、各車両に、信号を送信する信号送信手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、他車両の前記信号送信手段により送信される信号が前記信号受信手段に受信された受信タイミングの、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングからの遅れ時間が所定時間以下であるか否かを判別する遅れ時間判別手段と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を設けた相対関係測定システムにより達成される。
【0018】
更に、上記の第2の目的は、他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、他車両から送信される信号が前記信号受信手段に受信された受信タイミングの、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングからの遅れ時間が所定時間以下であるか否かを判別する遅れ時間判別手段と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、を備える車載相対関係測定装置により達成される。
【0019】
これらの態様の発明において、車両は、他車両から送信される信号を受信する受信タイミングの、信号が送信される送信タイミングからの遅れ時間が所定時間以下であるか否かを判別する。そして、受信された信号のうち遅れ時間が所定時間以下である信号に基づいて他車両との相対関係を測定する。上記した送信タイミングは、インフラ施設からの共通情報に基づくものであるので、各車両は、他車両が信号を送信する送信タイミングを知ることができる。また、上記した遅れ時間は、車両間の相対距離が長いほど長時間となるので、この遅れ時間が所定時間を超える信号は、自車両から比較的遠くに離れて位置する他車両から送信されたものであると判断でき、一方、上記の遅れ時間が所定時間以下である信号は、自車両に比較的近くに位置する他車両から送信されたものであると判断できる。自車両から比較的遠くに離れた他車両は、自車両にとってあまり必要性のない車両であり、比較的近くに位置する他車両は、自車両にとって必要性の高い車両である。従って、本発明によれば、自車両の周辺に多数の他車両が存在した際に自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の低い他車両を排除することができ、その必要性の高い他車両のみについて相対関係を測定することができ、これにより、周辺他車両との相対関係の測定を効率的に行うことができる。
【0020】
尚、上記した相対関係測定システムにおいて、前記信号送信手段は、自車両の位置情報を含む信号を送信し、前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記信号受信手段は、他車両から送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の高い他車両のみについてその受信信号に含まれる位置を用いて相対関係を測定することができる。
【0021】
また、上記した相対関係測定システムにおいて、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することとすれば、自車両にとって相対関係測定のうえで必要性の高い他車両のみについて信号の送信から受信までの遅れ時間を用いて相対関係を測定することができる。
【0022】
ところで、上記した相対関係測定システムにおいて、前記信号送信手段は、送信すべき信号として車両進行方向へ向けてレーザビームを照射し、前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により照射されるレーザビームの散乱光を受光することとすればよく、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記信号受信手段は、他車両から送信すべき信号として照射されるレーザビームの散乱光を受光することとすればよい。
【0023】
更に、上記した相対関係測定システムにおいて、前記共通情報受信手段は、前記共通情報としてGPS衛星から送信される時間情報を受信することとすればよく、また、上記した車載相対関係測定装置において、前記共通情報受信手段は、前記共通情報としてGPS衛星から送信される時間情報を受信することとすればよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両間の相対関係を精度よく検出することができる。また、本発明によれば、多数の他車両が自車両の周辺に存在しても自車両にとって必要性の高い他車両のみについて相対関係を測定することで、その測定の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の第1実施例である各車両に搭載される車載相対関係測定装置10の構成図を示す。この車載相対関係測定装置10は、電波を用いて車両間の相対関係を測定させる相対関係測定システムに用いられる車載装置である。
【0027】
図1に示す如く、車載相対関係測定装置10は、衛星時計レシーバ12を備えている。衛星時計レシーバ12は、GPS衛星から送信される衛星時計の時刻データを含むGPS信号を受信する機器である。衛星時計レシーバ12は、受信したGPS信号から時刻データを抽出し、その時刻データを出力する。
【0028】
衛星時計レシーバ12には、タイマー14が電気的に接続されている。衛星時計レシーバ12の出力は、タイマー14に供給される。タイマー14は、衛星時計レシーバ12から供給される時刻データの時刻に従って所定間隔でトリガー信号を出力する。例えば、供給された時刻データが所定時刻を示すものである場合に、以後、M系列などにより定まる間隔でトリガー信号を出力する。衛星時計レシーバ12がGPS信号を受信してからタイマー14がトリガー信号を出力するまでの時間及びタイマー14がトリガー信号を出力する間隔は共に、車載相対関係測定装置10を搭載するすべての車両に共通したものである。
【0029】
タイマー14には、発信器16が電気的に接続されている。タイマー14の出力は、発信器16に供給される。発信器16は、車体前部などに配設されており、車両前方を含む所定領域(例えば進行方向100メートル内など)へ向けて車両間通信に利用する所定周波数の電波を発信する機器である。発信器16は、タイマー14からトリガー信号が供給されるごとに、所定周波数の電波をトリガー的に所定期間だけ発信する。
【0030】
車載相対関係測定装置10は、また、受信器18を備えている。受信器18は、車体前部などに配設されており、他車両の有する発信器16から発信される所定周波数の電波を受信する機器である。受信器18には、タイマー14の出力が供給される。受信器18は、発信器16から電波が発信される送信タイミングごとに、その後、他車両からの電波を受信した場合に、その受信トリガー信号を生成し出力する。尚、受信器18は、他車両からの電波を時間を空けて複数受信する場合は、それぞれの受信電波に従って受信トリガー信号を出力する。
【0031】
上記したタイマー14及び受信器18には、カウンター20が電気的に接続されている。タイマー14のトリガー出力及び受信器18のトリガー出力は共に、カウンター20に供給される。カウンター20は、タイマー14のトリガー出力に従ってカウント値の計時を開始し、受信器18のトリガー出力に従ってカウント値の計時を終了する。すなわち、カウンター18は、すべての車両に共通する発信器16による電波の送信タイミングから自己の受信器18に電波が受信される受信タイミングまでの時間(すなわち、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間)をカウント値として演算する。
【0032】
カウンター20は、複数設けられており、それぞれ演算したカウント値を記録することが可能である。複数のカウンター20は、タイマー14のトリガー出力が供給されるごとにリセット起動すると共に、受信器18が他車両からの電波を時間を空けて複数受信して受信器18のトリガー出力が時間を空けて複数供給される場合にはそれぞれの遅れ時間を一つずつ順に演算する。従って、カウンター20による遅れ時間の演算は、発信器16から電波が送信されるごとに開始されると共に、また、その各開始後、受信器18に電波が受信される回数だけ別個独立して行われることとなる。
【0033】
カウンター20には、マイクロコンピュータを主体に構成された衝突判断用電子制御ユニット(以下、衝突判断ECUと称す)22が電気的に接続されている。各カウンター20の演算したカウント値は、衝突判断ECU22に供給される。衝突判断ECU22は、カウンター20から供給されるカウント値である上記の遅れ時間に基づいて、自車両と他車両との衝突の可能性を判断する。
【0034】
衝突判断ECU22には、警報装置24が電気的に接続されている。警報装置24は、自車両と他車両とが衝突するおそれのあることを事前に車両運転者の知らせるための警報を行う機器(例えば、車室内の運転者に視認可能な位置に配設された表示ディスプレイ若しくは車室内に向けて音声を出力する警報スピーカ)であり、又は、自車両と他車両とが衝突した際の車両乗員への衝撃緩和のための作動(例えば、エアバッグ展開のための準備やシートベルトの巻き取り,自動ブレーキ,自動操舵)を行う機器である。
【0035】
衝突判断ECU22は、自車両と他車両との衝突可能性の判断結果を警報装置24に供給する。警報装置24は、衝突判断ECU22から供給される自車両と他車両との衝突の可能性が所定以上に高い場合に、その衝突のおそれを車両運転者に知らせるべく又はその衝突による衝撃を緩和すべく、上記した警報や作動を実行する。
【0036】
次に、本実施例の相対関係測定システムの動作について説明する。
【0037】
図2は、本実施例の車載相対関係測定装置10において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図3は、衛星時計の時刻データに基づくトリガーと電波が送信される送信タイミングと電波が受信される受信タイミングとの関係を表した図を示す。図4は、電波が送信される送信タイミングの時間間隔と電波が受信される受信タイミングの時間間隔とを表した図を示す。また、図5は、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間の時間的変化を表した図を示す。
【0038】
本実施例の車載相対関係測定装置10を搭載する各車両においてはそれぞれ、衛星時計レシーバ12が衛星時計の時刻データを含むGPS信号を受信する(ステップ100)と、まず、タイマー14がそのGPS信号に含まれる時刻データに基づいて電波を発信すべき送信タイミングを決定し(ステップ102)、その送信タイミングに従った所定間隔でトリガー信号を出力する。そして、トリガー信号が発信器16に供給されると、発信器16は、車両外部前方の所定領域へ向けて車両間通信に利用する所定周波数の電波をトリガー的に所定期間(尚、この所定期間は上記した送信タイミングに従った所定間隔よりも短い時間である。)だけ発信する(ステップ104)。
【0039】
各車両の衛星時計レシーバ12が同じ時刻データの含まれるGPS信号を受信するタイミングは、GPS衛星から見てほぼ同じ地点に位置する車両同士(すなわち、互いに周辺に位置する車両同士)であればすべて略同じタイミングとなる。従って、上記した発信器16からの電波発信は、車載相対関係測定装置10を搭載しかつ互いに周辺に位置するすべての車両においては、共通した同一の送信タイミングで行われることとなる。
【0040】
また、車載相対関係測定装置10を搭載する各車両においてそれぞれ、発信器16からの電波の送信タイミングの後、受信器18において他車両からの電波が受信されるか否かが判別される(ステップ106)。受信器18に他車両からの電波が受信されない場合は、自車両周辺(特に、進行方向前方)の近傍に他車両が存在しないと判断できる。一方、受信器18に他車両からの電波が受信された場合は、自車両周辺に(特に、進行方向前方)の近傍に他車両が存在すると判断できる。
【0041】
上記の如く受信器18に他車両からの電波が受信されると、次に、カウンター20がその電波の受信タイミングの、直前の送信タイミングからの遅れ時間、すなわち、その受信の直前に発信器16から電波発信を行った送信タイミングからその受信タイミングまでの遅れ時間を演算する(ステップ108)。
【0042】
本実施例において、各車両が電波を発信する時間間隔は、車両間通信に用いる電波の通信領域内に位置する周辺の他車両が電波を送信してから自車両がその電波を受信するまでに要する時間よりも長い時間に設定される。この点、各車両は、電波の送信タイミングの後、次の送信タイミングの前に、周辺に存在する他車両からの電波を受信することが可能である。すなわち、周辺に他車両が存在すれば、送信タイミングの後、その送信タイミングでその他車両から送信された電波が自車両に受信される前に、次の送信タイミングに至ることはない。
【0043】
このため、上記の遅れ時間は、自車両と自車両の周辺に位置しかつ電波を送信した他車両との相対距離に応じたものとなり、その相対距離が長いほど大きく、その相対距離が短いほど小さいものとなる。尚、電波は光速で伝搬する。従って、上記の如く電波の受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算することは、自車両と他車両との相対距離を演算することに相当することとなる(遅れ時間×光速=相対距離)。
【0044】
上記の如くカウンター20が電波の遅れ時間を演算して自車両と周辺の他車両との相対距離を演算すると、その演算結果が衝突判断ECU22に供給される。このカウンター20による演算及びその演算結果の衝突判断ECU22への供給は、送信タイミングで電波が送信されるごとにその送信タイミング後に行われると共に、それら各送信タイミングの後において送信電波の受信される回数だけ別個独立して行われる。
【0045】
衝突判断ECU22は、各送信タイミングの後にカウンター20から供給される演算結果に基づいて、自車両の周囲に存在する他車両の数とそれぞれの他車両との相対距離を測定する。例えば、一つのカウンター20から演算結果が供給された場合は、自車両の周囲に存在する他車両が一台であり、その他車両との相対距離が演算結果に応じた距離であることを判定する。また、2つのカウンター20から演算結果が供給された場合は、自車両の周囲に存在する他車両が二台であり、それぞれの他車両との相対距離が各演算結果に応じた距離であることを判定する。
【0046】
また、衝突判断ECU22は、上記した自車両の周囲に存在する他車両の数とそれぞれの他車両との相対距離との測定を、電波が送信されるごとにその遅れ時間に基づいて行う。同一の他車両について、電波送信ごとの遅れ時間が演算されれば、その遅れ時間の時間変化を演算することが可能となり、自車両とその他車両との相対距離の時間的変化(すなわち、相対速度)を測定することが可能となる。そこで、送信タイミングごとの測定結果に基づいて、同一の他車両を対象とした遅れ時間の時間的変化率を演算する(ステップ110)。
【0047】
例えば、自車両の周囲に存在する他車両が一台である場合は、電波送信ごとにカウンター20から供給される演算結果(遅れ時間)は一つずつであるので、同一の他車両に係る電波送信ごとの遅れ時間の組み合わせが唯一つに決まり、その電波送信ごとの遅れ時間から容易に同一の他車両に係る遅れ時間の時間的変化率すなわち自車両との相対距離の時間的変化率(すなわち相対速度)を演算することができる。
【0048】
一方、自車両の周囲に存在する他車両が二台以上である場合は、電波送信ごとにカウンター20から供給される演算結果(遅れ時間)が二つ以上となる。この場合は、電波送信ごとの遅れ時間の組み合わせが複数あり得るが、一般的に車両の速度が短時間に大きく変化することはないので、同一の他車両に係る遅れ時間の時間的変化率すなわち自車両との相対距離の時間的変化率はほぼ一定に維持されることとなり、複数の組み合わせの中から同一の他車両についてのその時間的変化率を演算することは可能である。
【0049】
衝突判断ECU22は、上記の如く遅れ時間を演算して自車両と周辺の他車両との相対距離を測定しかつ遅れ時間の時間的変化率を演算して自車両と周辺の他車両との相対速度を測定すると、図5に示す如く、その遅れ時間とその時間変化率とに基づいて、例えば最小二乗法などの直線近似を行うことで、今後自車両と当該他車両とが衝突する(すなわち、両者の相対距離がゼロとなる)までに要すると推定される衝突予測時間を計算する(ステップ112)。
【0050】
図6は、本実施例の車載相対関係測定装置10を搭載する二台の車両A,Bが見通しの悪い交差点に進入する際の処理内容を説明するための図を示す。図6に示す如く、二台の車両A,Bが見通しの悪い交差点に進入する場合、各車両A,Bはそれぞれ、衛星時計レシーバ12において衛星時計の時刻データを含むGPS信号を受信すると、その時刻データに従って各車両A,Bに共通する所定の送信タイミングで電波を発信する。車両Bは、送信タイミングごとにその後、各送信タイミングで他の車両Aから送信される電波を受信して、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算すると共に、その遅れ時間の時間変化率を演算し、自車両Bと他車両Aとの衝突予測時間を計算する。
【0051】
衝突判断ECU22は、衝突予測時間を計算すると、次に、その衝突予測時間がしきい時間(尚、このしきい時間は、警報装置24による制御内容に応じて複数あってもよい。)内であるか否かを判別することにより、自車両と他車両との衝突の可能性が所定以上に高いか否かを判断する。そして、衝突の可能性が所定以上に高いと判断した場合は、警報装置24に駆動指令を行う。警報装置24は、衝突判断ECU22からの駆動指令に従って、衝突のおそれを車両運転者に知らせるべく又はその衝突による衝撃を緩和すべく、警報や作動を実行する。
【0052】
かかるシステムによれば、各車両が電波送信するタイミングをGPS信号の時刻データに基づくすべての車両に共通(同期)した送信タイミングとすることによって、各車両に他車両からの電波送信の送信タイミングを知得させることができる。そして、その結果として、電波の送信タイミングからその送信タイミングで他車両が送信した電波を受信する受信タイミングまでに要する遅れ時間を演算することができ、その遅れ時間に基づいて自車両と他車両との相対関係、具体的には、その遅れ時間から相対距離を、その遅れ時間の時間的変化率から相対速度を、また、その遅れ時間とその時間的変化率とから衝突予測時間を、それぞれ測定することができる。
【0053】
互いに周辺に位置する車両同士であれば、それらの各車両において、GPS信号の同じ時刻データを受信するタイミングはすべて同じであり、また、GPS信号の受信からタイマー14によるトリガー信号の出力までの時間はすべて共通したものであるので、電波の送信タイミングはすべて共通する。このため、各車両は、周辺の他車両が相対関係検知のための電波を送信する送信タイミングを知ることが可能であり、その結果として、他車両の送信した信号が送信されてから自車両に受信されるまでの遅れ時間を精度よく演算することが可能である。
【0054】
従って、本実施例のシステムによれば、互いに周辺に位置する車両同士において同期したタイミングで相対関係検知のための電波を送信させることで、車両間の相対関係を精度よく検出することが可能となっている。このため、検出される車両間の相対関係の正確性が向上するので、両者の衝突可能性の検知やその衝突可能性の検知に伴う警報装置24による警報などの誤作動を防止することが可能となる。
【0055】
尚、上記の第1実施例においては、発信器16が特許請求の範囲に記載した「信号送信手段」に、受信器18が特許請求の範囲に記載した「信号受信手段」に、GPS衛星が特許請求の範囲に記載した「インフラ施設」に、衛星時計レシーバ12が特許請求の範囲に記載した「共通情報受信手段」に、それぞれ相当している。また、タイマー14が衛星時計レシーバ12の受信したGPS信号に含まれる時刻データに基づいて電波を発信すべき送信タイミングを決定することにより特許請求の範囲に記載した「タイミング決定手段」が、カウンター20が電波の受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算することにより特許請求の範囲に記載した「遅れ時間演算手段」が、衝突判断ECU22が同一の他車両を対象とした遅れ時間の時間的変化率を演算することにより特許請求の範囲に記載した「変化率演算手段」が、衝突判断ECU22が自車両と他車両との相対距離、相対速度、或いは衝突予測時間を測定することにより特許請求の範囲に記載した「相対関係測定手段」が、それぞれ実現されている。
【実施例2】
【0056】
図7は、本発明の第2実施例である各車両に搭載される車載相対関係測定装置200の構成図を示す。尚、図7において、上記図1に示す車載相対関係測定装置10と同一の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。本実施例の車載相対関係測定装置200は、レーザビームを用いて車両間の相対関係を測定させる相対関係測定システムに用いられる車載装置である。
【0057】
すなわち、図7に示す如く、タイマー14には、発光器202が電気的に接続されている。発光器202は、車体前部などに配設されており、車両前方の所定領域(例えば1秒後の車両の予測位置;図9に斜線で示す照射領域)へ向けて車両間通信に利用するレーザビームを照射する。発光器202は、タイマー14からトリガー信号が供給されるごとに、レーザビームを所定期間だけ照射する(発光タイミング)。発光器202によるレーザビームは、例えば、可視光領域である0.55μmの波長や、赤外線領域である1.0μm〜1.4μmの波長を有している。
【0058】
尚、発光器202は、例えば超音波偏向器又はガルバノミラーにより構成されたアクチュエータにより、照射するレーザビームを走査することとしてもよい。また、発光器202によるレーザビームの照射領域は、自車両の走行状態(例えば車速や舵角)に応じて形状や位置を変更されることとしてもよい。例えば、車速が高いほど自車両から遠い位置に形成され或いは長い形状に形成されることとしてもよい。
【0059】
車載相対関係測定装置200は、また、受光器204を備えている。受光器204は、車体前部などに配設されており、他車両の有する発光器202から照射される所定波長のレーザビームを受光する機器である。この受光器204は、車両前方の所定領域(例えば1秒後の車両の予測位置;図9に斜線で示す受光領域)に指向されており、かかる領域から照射されるレーザビームを直接に或いはその道路路面上で散乱するレーザビームを受光する。
【0060】
受光器204には、タイマー14の出力が供給される。受光器204は、発光器202からレーザビームが照射される発光タイミングごとに、その発光開始後の所定期間だけ上記した所定波長のレーザビームを受光することが許可される。尚、この受信が許可される所定期間(受光許可タイミング)は、発光開始後、予め測定すべき相対距離の最小値に対応した所定時間(受光開始時間)が経過してから、予め測定すべき相対距離の最大値に対応した所定時間(受光終了時間)が経過するまでの期間である。受光器204は、発光タイミングの後、受光許可タイミングで他車両からのレーザビームの直接光又は散乱光を受光した場合に、その受信トリガー信号を生成し出力する。
【0061】
上記したタイマー14及び受光器204には、カウンター20が電気的に接続されている。タイマー14のトリガー出力及び受光器204のトリガー出力は共に、カウンター20に供給される。カウンター20は、タイマー14のトリガー出力に従ってカウント値の計時を開始し、受光器204のトリガー出力に従ってカウント値の計時を終了する。すなわち、カウンター18は、すべての車両に共通する発光器202によるレーザビームの発光タイミングから自己の受光器204にレーザビームが受光される受光タイミングまでの時間(すなわち、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間)をカウント値として演算する。
【0062】
カウンター20は、複数設けられており、それぞれ演算したカウント値を記録することが可能である。複数のカウンター20は、タイマー14のトリガー出力が供給されるごとにリセット起動すると共に、受光器204が他車両からのレーザビームを時間を空けて複数受信して受光器204のトリガー出力が時間を空けて複数供給される場合にはそれぞれの遅れ時間を一つずつ順に演算する。従って、カウンター20による遅れ時間の演算は、発光器202からレーザビームが照射されるごとに開始されると共に、また、その各ビームの照射後、受光器204にレーザビームが受信される回数だけ別個独立して行われることとなる。
【0063】
次に、本実施例の相対関係測定システムの動作について説明する。
【0064】
図8は、送信タイミングと受信タイミングとの関係を表した図である。また、図9は、本実施例の車載相対関係測定装置を搭載する二台の車両C,Dが見通しの悪い交差点に進入する際の処理内容を説明するための図を示す。
【0065】
本実施例の車載相対関係測定装置200を搭載する各車両においてはそれぞれ、衛星時計レシーバ12が衛星時計の時刻データを含むGPS信号を受信すると、まず、タイマー14がそのGPS信号に含まれる時刻データに基づいてレーザビームを発光すべき送信タイミング(=発光タイミング)を決定し、その送信タイミングに従った所定間隔でトリガー信号を出力する。そして、トリガー信号が発光器202に供給されると、発光器202は、車両外部前方の所定領域へ向けて車両間通信に利用する所定波長のレーザビームを所定期間(尚、この所定期間は上記した送信タイミングに従った所定間隔よりも短い時間である。)だけ発光する。
【0066】
各車両の衛星時計レシーバ12が同じ時刻データの含まれるGPS信号を受信するタイミングは、GPS衛星から見てほぼ同じ地点に位置する車両同士(すなわち、互いに周辺に位置する車両同士)であればすべて略同じタイミングとなる。従って、上記した発光器202からのビーム照射は、車載相対関係測定装置200を搭載しかつ互いに周辺に位置するすべての車両においては、共通した同一の送信タイミングで行われることとなる。
【0067】
また、車載相対関係測定装置200を搭載する各車両においてそれぞれ、発光器202からのレーザビームの送信タイミングの後、受光許可タイミングで受光器204において他車両からのレーザビームが受光されるか否かが判別される。受光器204に他車両からのレーザビームが受光されない場合は、自車両周辺(特に、進行方向前方)の近傍に進路が交差するような他車両が存在しないと判断できる。一方、受光器204に他車両からのレーザビームが受光された場合は、自車両周辺(特に、進行方向前方)の近傍に進路が交差するような他車両が存在すると判断できる。
【0068】
上記の如く受光器204に他車両からのレーザビームの直接光又は散乱光が受光されると、次に、カウンター20がそのレーザビームの受信タイミングの、直前の送信タイミングからの遅れ時間、すなわち、その受信の直前に発光器202からレーザビームの照射を行った送信タイミングからその受信タイミングまでの遅れ時間を演算する。
【0069】
本実施例において、各車両がレーザビームを照射する時間間隔は、周辺の他車両がレーザビームを照射してから自車両がそのレーザビームの直接光又は散乱光を受光するまでに要する時間よりも長い時間に設定される。この点、各車両は、レーザビームの送信タイミングの後、次の送信タイミングの前に、周辺に存在する他車両からのレーザビームを受光することが可能である。すなわち、周辺に他車両が存在すれば、送信タイミングの後、その送信タイミングでその他車両から送信されたレーザビームが自車両に受光される前に、次の送信タイミングに至ることはない。
【0070】
このため、上記の遅れ時間は、自車両と自車両の周辺に位置しかつレーザビームを照射した他車両との相対距離に応じたものとなり、その相対距離が長いほど大きく、その相対距離が短いほど小さいものとなる。尚、レーザビームは光速で伝搬する。従って、上記の如くレーザビームの受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算することは、自車両と他車両との相対距離を演算することに相当することとなる(遅れ時間×光速=相対距離)。
【0071】
上記の如くカウンター20がレーザビームの遅れ時間を演算して自車両と周辺の他車両との相対距離を演算すると、その演算結果が衝突判断ECU22に供給される。このカウンター20による演算及びその演算結果の衝突判断ECU22への供給は、送信タイミングでレーザビームが送信されるごとにその送信タイミング後に行われると共に、それら各送信タイミングの後においてレーザビームの受信される回数だけ別個独立して行われる。
【0072】
衝突判断ECU22は、各送信タイミングの後にカウンター20から供給される演算結果に基づいて、自車両の周囲に存在する他車両の数とそれぞれの他車両との相対距離を測定する。例えば、一つのカウンター20から演算結果が供給された場合は、自車両の周囲に存在する他車両が一台であり、その他車両との相対距離が演算結果に応じた距離であることを判定する。また、2つのカウンター20から演算結果が供給された場合は、自車両の周囲に存在する他車両が二台であり、それぞれの他車両との相対距離が各演算結果に応じた距離であることを判定する。
【0073】
また、衝突判断ECU22は、上記した自車両の周囲に存在する他車両の数とそれぞれの他車両との相対距離との測定を、レーザビームが照射されるごとにその遅れ時間に基づいて行う。同一の他車両について、ビーム照射ごとの遅れ時間が演算されれば、その遅れ時間の時間変化を演算することが可能となり、自車両とその他車両との相対距離の時間的変化(すなわち、相対速度)を測定することが可能となる。そこで、送信タイミングごとの測定結果に基づいて、同一の他車両を対象とした遅れ時間の時間的変化率を演算する。
【0074】
例えば、自車両の周囲に存在する他車両が一台である場合は、ビーム照射ごとにカウンター20から供給される演算結果(遅れ時間)は一つずつであるので、同一の他車両に係るビーム照射ごとの遅れ時間の組み合わせが唯一つに決まり、そのビーム照射ごとの遅れ時間から容易に同一の他車両に係る遅れ時間の時間的変化率すなわち自車両との相対距離の時間的変化率(すなわち相対速度)を演算することができる。
【0075】
一方、自車両の周囲に存在する他車両が二台以上である場合は、ビーム照射ごとにカウンター20から供給される演算結果(遅れ時間)が二つ以上となる。この場合は、ビーム照射ごとの遅れ時間の組み合わせが複数あり得るが、一般的に車両の速度が短時間に大きく変化することはないので、同一の他車両に係る遅れ時間の時間的変化率すなわち自車両との相対距離の時間的変化率はほぼ一定に維持されることとなり、複数の組み合わせの中から同一の他車両についてのその時間的変化率を演算することは可能である。
【0076】
衝突判断ECU22は、上記の如く遅れ時間を演算して自車両と周辺の他車両との相対距離を測定しかつ遅れ時間の時間的変化率を演算して自車両と周辺の他車両との相対速度を測定すると、その遅れ時間とその時間変化率とに基づいて、例えば最小二乗法などの直線近似を行うことで、今後自車両と当該他車両とが衝突する(すなわち、両者の相対距離がゼロとなる)までに要すると推定される衝突予測時間を計算する。
【0077】
例えば、図9に示す如く、二台の車両C,Dが見通しの悪い交差点に進入する場合、各車両C,Dはそれぞれ、衛星時計レシーバ12において衛星時計の時刻データを含むGPS信号を受信すると、その時刻データに従って各車両C,Dに共通する所定の送信タイミングでレーザビームを照射する。車両Dは、送信タイミングごとにその後、各送信タイミングで他の車両Cから照射されるレーザビームの散乱光を受光して、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算すると共に、その遅れ時間の時間変化率を演算し、自車両Dと他車両Cとの衝突予測時間を計算する。
【0078】
衝突判断ECU22は、衝突予測時間を計算すると、次に、その衝突予測時間がしきい時間(尚、このしきい値時間は、警報装置24による制御内容に応じて複数あってもよい。)内であるか否かを判別することにより、自車両と他車両との衝突の可能性が所定以上に高いか否かを判断する。そして、衝突の可能性が所定以上に高いと判断した場合は、警報装置24に駆動指令を行う。警報装置24は、衝突判断ECU22からの駆動指令に従って、衝突のおそれを車両運転者に知らせるべく又はその衝突による衝撃を緩和すべく、警報や作動を実行する。
【0079】
かかるシステムによれば、各車両がビーム照射を行うタイミングをGPS信号の時刻データに基づくすべての車両に共通した送信タイミングとすることによって、各車両に他車両からのビーム照射の送信タイミングを知得させることができる。そして、その結果として、レーザビームの送信タイミングからその送信タイミングで他車両が照射したレーザビームを受光する受信タイミングまでに要する遅れ時間を演算することができ、その遅れ時間に基づいて自車両と他車両との相対関係、具体的には、その遅れ時間から相対距離を、遅れ時間の時間的変化率から相対速度を、また、遅れ時間とその時間的変化率とから衝突予測時間を、それぞれ測定することができる。
【0080】
互いに周辺に位置する車両同士であれば、それらの各車両において、GPS信号の同じ時刻データを受信するタイミングはすべて同じであり、また、GPS信号の受信からタイマー14によるトリガー信号の出力までの時間はすべて共通したものであるので、レーザビームの送信タイミングはすべて共通する。このため、各車両は、周辺の他車両が相対関係検知のためのレーザビームを照射する送信タイミングを知ることが可能であり、その結果として、他車両の送信した信号が送信されてから自車両に受信されるまでの遅れ時間を精度よく演算することが可能である。
【0081】
従って、本実施例のシステムによれば、互いに周辺に位置する車両同士において同期したタイミングで相対関係検知のためのレーザビームを照射させることで、車両間の相対関係を精度よく検出することが可能となっている。このため、検出される車両間の相対関係の正確性が向上するので、両者の衝突可能性の検知やその衝突可能性の検知に伴う警報装置24による警報などの誤作動を防止することが可能となる。
【0082】
また、本実施例のシステムにおいて、上記の如く、受光器204は、発光器202からレーザビームが照射される送信タイミングごとに、その発光開始後の所定期間(受光許可タイミング)だけ上記した所定波長のレーザビームを受光することが可能であり、送信タイミングから受信タイミングまでの遅れ時間が受光開始時間以上かつ受光終了時間以下となるレーザビームのみを受光することが許可される。そして、その受光許可タイミングでのみ他車両からのレーザビームを受光した場合に、その受信トリガー信号を生成し出力する。この点、レーザビームの受光が受光許可タイミング内でなされないときは他車両からのレーザビームの直接光や散乱光を受光できる位置に自車両が存在する状況にあっても、自車両において受光器204によるレーザビームの受光が行われることはなく、その他車両による発光から受光までの遅れ時間が演算されることはない。
【0083】
このため、本実施例のシステムによれば、受光許可タイミングを時間的に制限することができるので、マルチパス等などの影響によりレーザビームが発光器202で発光されてから受光器204に受光されるまでの時間が過大な時間となる事態や、相対関係を測定すべき最小値から最大値までの範囲よりも遠方の他車両(すなわち、自車両にとってあまり必要性のない他車両)からのレーザビームが受光される事態を回避することができる。これにより、自車両と他車両との相対関係を測定するうえでマルチパス等などによる影響を除去することができ、また、自車両の周辺に多数の他車両が存在しても、相対関係を測定する対象を、自車両にとって必要性の高い相対距離の短い他車両のみに限定することができる。従って、本実施例においては、車両間の相対関係を精度よく検出することが可能となっていると共に、その相対関係の測定を効率的に行うことが可能となっている。
【0084】
尚、上記の第2実施例においては、発光器202が特許請求の範囲に記載した「信号送信手段」に、受光器204が特許請求の範囲に記載した「信号受信手段」に、それぞれ相当している。また、タイマー14が衛星時計レシーバ12の受信したGPS信号に含まれる時刻データに基づいてレーザビームを照射すべき送信タイミングを決定することにより特許請求の範囲に記載した「タイミング決定手段」が、カウンター20がレーザビームの受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算することにより特許請求の範囲に記載した「遅れ時間演算手段」が、衝突判断ECU22が同一の他車両を対象とした遅れ時間の時間的変化率を演算することにより特許請求の範囲に記載した「変化率演算手段」が、衝突判断ECU22が自車両と他車両との相対距離、相対速度、或いは衝突予測時間を測定することにより特許請求の範囲に記載した「相対関係測定手段」が、それぞれ実現されている。
【0085】
また、上記した受光開始時間又は受光終了時間を車両の状態に応じて変化させることとしてもよい。例えば、車速が所定値以下であるときに受光終了時間を通常よりも早く(短く)し或いは車速の低いほど受光終了時間を早く(短く)することとしてもよく、この場合には、より近い距離に位置する他車両からの信号だけを受信することが可能となる。
【0086】
また、上記の第2実施例においては、各車両において他車両から送信されるレーザビームの受光が許可される時期を、発光開始後、予め定められた受光開始時間以上かつ受光終了時間以下の受光許可タイミングに制限することとしているが、上記した第1実施例と同様に時期的な制限を設けることなく他車両からのレーザビームを受光させることとしてもよい。一方逆に、上記した第1実施例においては、この第2実施例と同様に、各車両において他車両から送信される電波の受信が許可される時期を、送信開始後、予め定められた受信開始時間以上かつ受信終了時間以下の受信許可タイミングに制限することとしてもよい。
【0087】
また、上記の第2実施例においては、上記した第1実施例と同様に、各車両に、自車位置を検出させることなく、レーザビームが受信・受光された際の受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間を演算させ、その演算した遅れ時間に基づいて自車両と他車両との相対関係を測定させることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、各車両に、GPS信号などを用いて自車位置を検出させたうえで、送信するレーザビームにその検出した自車位置の情報を含ませると共に、その検出した自車位置と、受信した他車両からのレーザビームに情報として含まれるその他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定させることとしてもよい。かかる変形例においても、上記の第2実施例と同様に、受光器204は送信タイミングから受信タイミングまでの遅れ時間が受光開始時間以上かつ受光終了時間以下となるレーザビームのみを受光することが許可されることとなるので、自車両の周辺に多数の他車両が存在しても、相対関係を測定する対象を、自車両にとって必要性の高い相対距離の短い他車両のみに限定することができ、その相対関係の測定を効率的に行うことが可能となる。
【0088】
尚、かかる変形例を上記した第1実施例に適用して、各車両に、GPS信号などを用いて自車位置を検出させたうえで、送信する電波にその検出した自車位置の情報を含ませると共に、その検出した自車位置と、受信した他車両からの電波に情報として含まれるその他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定させることとしてもよい。
【0089】
ところで、上記の第1実施例においては、各車両において他車両から送信される電波の受信が許可される時期を制限することなく、受信された各電波からそれぞれ自車両と他車両との相対関係を測定し、また、上記の第2実施例においては、各車両において他車両から送信されるレーザビームの受光が許可される時期を受光許可タイミングに制限しつつその受光された各レーザビームからそれぞれ自車両と他車両との相対関係を測定する。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、各車両において他車両から送信される電波やレーザビームの受信・受光が許可される時期を制限しないこととしたうえで、まず、受信・受光された各電波や各レーザビームからそれぞれ上記した遅れ時間を演算し、そして、その演算された各遅れ時間が予め定められた所定時間(=自車両と他車両との衝突可能性の有無を規定する両者の相対距離に相当する時間の境界値)以下であるか否かを判別して、その遅れ時間が所定時間以下である電波やレーザビームからのみ自車両と他車両との相対関係を測定し、一方、その遅れ時間が所定時間を超える電波やレーザビームからは自車両と他車両との相対関係の測定を行わないこととしてもよい。かかる変形例においては、自車両の周辺に多数の他車両が存在しても、相対関係を測定する対象を、自車両にとって必要性の高い相対距離の短い他車両のみに限定することができ、その結果として、その相対関係の測定を効率的に行うことが可能となる。尚、この場合も、自車両と他車両との相対関係を、遅れ時間自体から測定することとしてもよいし、また、検出した自車位置と、受信電波や受光レーザビームに情報として含まれるその他車両の位置との関係から測定することとしてもよい。
【0090】
また、上記の第1及び第2実施例においては、電波やレーザビームの送信タイミング後、電波やレーザビームの受信タイミングのその送信タイミングからの遅れ時間を演算して自車両と他車両との相対関係を測定するが、受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間が予め定められた所定時間を超えることとなる場合は、自車両と他車両との衝突可能性がほとんどない程度に両者の相対距離が過大であるとして、その相対距離の測定を行わないこととしてもよい。この場合は、遅れ時間のうち所定時間以下のもののみに基づいて、自車両と周辺の他車両との相対距離の測定が行われることとなる。かかる変形例の構成によれば、自車両との相対距離を精度よく検出する対象の他車両を相対距離の短いものに限定することができるので、自車両と他車両との相対関係の測定を低負荷で効率的に行うことが可能となる。
【0091】
また、上記の第1及び第2実施例においては、電波やレーザビームの受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間の時間的変化率を演算して自車両と他車両との相対速度や衝突予測時間を演算・測定するが、その遅れ時間の時間的変化率を制限無く演算する必要はなく、その時間的変化率について自車両と他車両との接近する傾向が所定以上に高くない場合は、自車両とその他車両とがあまり接近する傾向にないとして、その時間変化率の測定を行わないこととしてもよい。この場合は、遅れ時間の時間的変化率のうち自車両と他車両との接近する傾向が所定以上に高いもののみに基づいて、自車両と周辺の他車両との相対速度の測定が行われることとなる。かかる変形例の構成によれば、自車両との相対速度を精度よく検出する対象の他車両を接近する速度の高いものに限定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施例である各車両に搭載される車載相対関係測定装置の構成図である。
【図2】本実施例の車載相対関係測定装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図3】衛星時計の時刻データに基づくトリガーと電波が送信される送信タイミングと電波が受信される受信タイミングとの関係を表した図である。
【図4】電波が送信される送信タイミングの時間間隔と電波が受信される受信タイミングの時間間隔とを表した図である。
【図5】受信タイミングの送信タイミングからの遅れ時間の時間的変化を表した図である。
【図6】本実施例の車載相対関係測定装置を搭載する二台の車両A,Bが見通しの悪い交差点に進入する際の処理内容を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施例である各車両に搭載される車載相対関係測定装置の構成図である。
【図8】送信タイミングと受信タイミングとの関係を表した図である。
【図9】本実施例の車載相対関係測定装置を搭載する二台の車両C,Dが見通しの悪い交差点に進入する際の処理内容を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
10,200 車載相対関係測定装置
12 衛星時計レシーバ
14 タイマー
16 発信器
18 受信器
20 カウンター
22 衝突判断ECU
202 発光器
204 受光器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、
各車両に、
信号を送信する信号送信手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号が前記信号受信手段に受信される受信タイミングの、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングからの遅れ時間を演算する遅れ時間演算手段と、
前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を設けたことを特徴とする相対関係測定システム。
【請求項2】
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間のうち所定時間以下のものに基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項1記載の相対関係測定システム。
【請求項3】
各車両に、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を設け、
前記相対関係測定手段は、前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率のうち自車両と当該他車両とが接近する傾向が所定以上に高いものに基づいて、自車両と当該他車両との相対速度を測定することを特徴とする請求項1記載の相対関係測定システム。
【請求項4】
各車両に、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を設け、
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間と前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率とに基づいて、自車両と当該他車両とが衝突するまでに要する衝突予測時間を測定することを特徴とする請求項1記載の相対関係測定システム。
【請求項5】
各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、
各車両に、
信号を送信する信号送信手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号のうち、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングから前記信号受信手段に受信される受信タイミングまでの遅れ時間が所定時間以下となる信号のみを受信許可する受信信号選別手段と、
前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を設けたことを特徴とする相対関係測定システム。
【請求項6】
前記信号送信手段は、自車両の位置情報を含む信号を送信し、
前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、
前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項5記載の相対関係測定システム。
【請求項7】
前記相対関係測定手段は、前記受信信号選別手段により受信許可された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項5記載の相対関係測定システム。
【請求項8】
各車両に他車両との相対関係を測定させる相対関係測定システムであって、
各車両に、
信号を送信する信号送信手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
前記信号送信手段による信号の送信を、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングで実行させるタイミング決定手段と、
他車両の前記信号送信手段により送信される信号が前記信号受信手段に受信された受信タイミングの、前記タイミング決定手段に係る前記送信タイミングからの遅れ時間が所定時間以下であるか否かを判別する遅れ時間判別手段と、
前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を設けたことを特徴とする相対関係測定システム。
【請求項9】
前記信号送信手段は、自車両の位置情報を含む信号を送信し、
前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、
前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項8記載の相対関係測定システム。
【請求項10】
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項8記載の相対関係測定システム。
【請求項11】
前記信号送信手段は、送信すべき信号として車両進行方向へ向けてレーザビームを照射し、
前記信号受信手段は、他車両の前記信号送信手段により照射されるレーザビームの散乱光又は直接光を受光することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項記載の相対関係測定システム。
【請求項12】
前記共通情報受信手段は、前記共通情報としてGPS衛星から送信される時間情報を受信することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項記載の相対関係測定システム。
【請求項13】
他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
他車両から送信される信号が前記信号受信手段に受信される受信タイミングの、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する信号を送信すべき送信タイミングからの遅れ時間を演算する遅れ時間演算手段と、
前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を備えることを特徴とする車載相対関係測定装置。
【請求項14】
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間のうち所定時間以下のものに基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項13記載の車載相対関係測定装置。
【請求項15】
前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を備え、
前記相対関係測定手段は、前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率のうち自車両と当該他車両とが接近する傾向が所定以上に高いものに基づいて、自車両と当該他車両との相対速度を測定することを特徴とする請求項13記載の車載相対関係測定装置。
【請求項16】
前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間の時間的変化率を演算する変化率演算手段を備え、
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間演算手段により演算される前記遅れ時間と前記変化率演算手段により演算される前記時間的変化率とに基づいて、自車両と当該他車両とが衝突するまでに要する衝突予測時間を測定することを特徴とする請求項13記載の車載相対関係測定装置。
【請求項17】
他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
他車両から送信される信号のうち、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する信号を送信すべき送信タイミングから前記信号受信手段に受信される受信タイミングまでの遅れ時間が所定時間以下となる信号のみを受信許可する受信信号選別手段と、
前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を備えることを特徴とする車載相対関係測定装置。
【請求項18】
前記信号受信手段は、他車両から送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、
前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記受信信号選別手段により受信許可されかつ前記信号受信手段に受信された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項17記載の車載相対関係測定装置。
【請求項19】
前記相対関係測定手段は、前記受信信号選別手段により受信許可された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項17記載の車載相対関係測定装置。
【請求項20】
他車両から送信される信号を受信する信号受信手段と、
インフラ施設から送信されるすべての車両に共通する共通情報を受信する共通情報受信手段と、
他車両から送信される信号が前記信号受信手段に受信された受信タイミングの、前記共通情報受信手段に受信される前記共通情報に基づくすべての車両に共通する送信タイミングからの遅れ時間が所定時間以下であるか否かを判別する遅れ時間判別手段と、
前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に基づいて、自車両と当該他車両との相対関係を測定する相対関係測定手段と、
を備えることを特徴とする車載相対関係測定装置。
【請求項21】
前記信号受信手段は、他車両から送信される該他車両の位置情報を含む信号を受信すると共に、
前記相対関係測定手段は、自車両の位置と、前記信号受信手段に受信された信号のうち、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号に情報として含まれる他車両の位置との関係に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項20記載の車載相対関係測定装置。
【請求項22】
前記相対関係測定手段は、前記遅れ時間判別手段により前記遅れ時間が所定時間以下であると判別された信号が前記信号受信手段に受信された際の前記遅れ時間に基づいて、自車両と当該他車両との相対距離を測定することを特徴とする請求項20記載の車載相対関係測定装置。
【請求項23】
前記信号受信手段は、他車両から送信すべき信号として照射されるレーザビームの散乱光又は直接光を受光することを特徴とする請求項13乃至22の何れか一項記載の車載相対関係測定装置。
【請求項24】
前記共通情報受信手段は、前記共通情報としてGPS衛星から送信される時間情報を受信することを特徴とする請求項13乃至23の何れか一項記載の車載相対関係測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−18680(P2009−18680A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182268(P2007−182268)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】