説明

省電力制御自己診断装置、方法、プログラム及び携帯電話機

【課題】CPUの省電力状態への遷移率を監視しCPUの動作率が高い場面を検出する。
【解決手段】プロセス単位で複数のプロセスの処理を行い処理すべきプロセスがある場合には動作状態になり、処理すべきプロセスがない場合には省電力状態になっているCPU103の省電力制御自己診断装置に、定期的なパルスを発生し発生したパルスによりプロセスの処理に優先してCPUに対して割り込み処理させるためのタイマー104と、CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録しタイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアしタイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、CPUに対して警告通知、表示させるためのRAM105とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は省電力化を行うCPUの省電力制御自己診断装置に関する。特に、本発明は、CPUの動作率が高い場面を検出する省電力制御自己診断装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとする近年の組み込みシステムでは、省電力化のためCPU(中央処理装置)を使用していない場合にCPUの動作を停止させるための省電力制御を行っている。
省電力制御は、省電力化を図るためとともに発熱等を抑える目的などもあるため非常に重要な制御である。
【0003】
通常、省電力制御は、CPUの動作状態をソフト的にチェックして、CPUが動作する必要のない場面で、省電力制御を行い、CPUを停止させ、CPUの動作が必要になった場面で、割り込み信号などでCPUを動作させる制御を行う。
ところで、近年の組み込みシステムでは、省電力化、発熱対策等のためこまめにCPUの省電力制御を行う。
【0004】
省電力制御は、CPUの処理すべきプロセスのステータス状態を確認し、CPUが動作する必要のない場面で省電力制御を行う。
組み込みシステムとしては、省電力、発熱対策等の観点からできるだけ多くの時間をCPUの省電力状態に遷移させることが望ましい。
しかしながら、近年のソフトウエアが複雑になり、CPUを省電力状態に遷移できるか否かの判定処理も複雑化しており、実際に省電力に制御できる場面でも、省電力制御を行わないソフトウエアのバグなどの問題も発生し、最悪の場合、発熱問題などに発展する可能性も出ている。
【0005】
このため、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出したいという課題がある。
このような省電力制御に関しては以下の従来技術がある。
従来、情報処理装置のユーザーが操作可能な部位に揺動可能なユーザー操作部を設け、その設定位置に相関しての動作率を制御することにより、ユーザーの意図に応じた処理速度または省電力動作を可能にするため、ユーザーの設定に応じてH−L割合を制御できるパルス幅変調回路を設け、該パルス変調回路の出力をCPUへのクロック供給回路の有功/無効切り替えに使用するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、ユーザーが操作可能な部位に揺動可能なユーザー操作部を設け、その設定位置に相関しての動作率を制御することにより、ユーザーの意図に応じた処理速度または省電力動作を可能にするが、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出するものではない。
また、従来、ドアが長時間開成される調理の待機時に電源回路や制御回路の無駄な電力消費をなくして省エネを達成することができる調理器を提供するため、加熱源が動作していない調理待機モード状態や加熱源が動作している調理モード状態である旨を表示する表示手段と、ドアの開成でON動作し閉塞でOFF動作するドアスイッチと、ドアスイッチに並列接続された電力開閉手段と、ドアスイッチがONして商用電源から電源手段に電力が供給されたときに、所定のタイマー時間を設定して計時を開始するタイマー手段と、このタイマー手段での計時がタイマー時間に達したときに、電力開閉手段をOFFし、及び/又は、表示手段の表示を消灯して省電力モード状態へ遷移させるモード変更手段とを備えるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献2では、調理器のドアが長時間開成される待機時に電源回路や制御回路の無駄な電力消費をなくすものであるが、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出するものではない。
また、従来、マルチタスク環境においても、システムのIdle/Busy状態を的確に判断するため、マルチタスク環境においても、システムのIdle/Busy状態を的確に判断し、システムがIdle状態の時は省電力モードで、システムがBusy状態の時は高速モードで動作することができるパワーマネジメントシステムにおいて、高速モードで動作させる必要のある割り込みによって、システムを高速モードへ状態遷移させる手段と、OSにおいてシステムのIdle状態を通知する手段と、BIOSにおいてIdle状態を知らせるインタフェースの単位時間あたりの発生頻度からシステムのIdle状態を判断し省電力モードへ状態遷移させる手段を持つものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献3では、Idle状態を知らせるインタフェースの単位時間あたりの発生頻度からシステムのIdle状態を判断し省電力モードへ状態遷移させるものであるが、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出するものではない。
また、従来の印刷装置では、様々な種別の電子機器に対応して適切に省エネルギー処理を実行するようなことは実現されていなかったため、無線で印刷情報のデジタルデータを送受信できる無線インタフェースをもつ印刷装置で、無線ユニットは、所定のタイミング毎に所定の時間間隔で受信する手段を有し、前記受信する信号強度を少なくとも複数レベルで段階的に数値化する受信レベル検知手段を有し、前記判別した“複数回の同一端末装置から受信した前記受信レベル情報(省電力判断情報)”を他の少なくとも省電力を管理し、前記印刷装置と通信可能なインタフェースを持つ装置に前記受信した時の実時間情報とともに送信する手段を有し、省電力管理装置からの“印刷レディ状態”又は“省電力状態”への遷移コマンドを受信したならその状態へ遷移することを特徴とするものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
しかしながら、上記特許文献4では、省電力管理装置からの“印刷レディ状態”又は“省電力状態”への遷移コマンドを受信したならその状態へ遷移するものであるが、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出するものではない。
また、従来、アクセサリ側の間欠受信周期を充分長く設定すると共に、アクセサリ側の間欠受信時の消費電力を小さくしてアクセサリ端末の小型・軽量化を図ることを目的とし、携帯電話とその付属アクセサリとの間で簡易通信機能を有する携帯電話装置において、アクセサリ端末に携帯電話機本体が基地局と通信する送信波エネルギーを受信する検波器を設け、上記アクセサリ端末を間欠受信動作させると共に、上記検波器の受信信号に基づいてアクセサリ端末の通信機能を開始させるようにしたものもある(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
しかしながら、上記特許文献5では、アクセサリ側の間欠受信時の消費電力を小さくするものであるが、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出するものではない。
【0011】
【特許文献1】特開2000−311026号公報
【特許文献2】特開2005−009696号公報
【特許文献3】特開2005−018662号公報
【特許文献4】特開2006−068995号公報
【特許文献5】特開2006−340298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、CPUの省電力状態への遷移率を監視し、CPUの動作率が高い場面を検出することを可能にする省電力制御自己診断装置、方法、プログラム及び携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は前記問題点を解決するために、プロセス単位で複数のプロセスの処理を行い、処理すべきプロセスがある場合には動作状態になり、処理すべきプロセスがない場合には省電力状態になっているCPUの省電力制御自己診断装置において、定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理させるためのタイマーと、前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録し、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示させるためのRAMとを備えることを特徴とする省電力制御自己診断装置を提供する。
【0014】
さらに、前記RAMは、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0の状態が複数連続して生じたときにCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示をさせる。
さらに、前記タイマーはOSの動作を保護するシステムタイマーである。
さらに、前記タイマーは液晶表示に用いられる垂直動機信号を、発生するパルスとする。
【0015】
さらに、前記タイマーは1ms又は10msの一定間隔でパルスを発生する。
さらに、前記タイマーは発生したパルスによりLinuxで使用されるプロセスを処理する前記CPUに対して割り込み処理をさせる。
さらに、本発明は、プロセス単位で複数のプロセスの処理を行うCPUの省電力制御自己診断方法において、処理すべきプロセスがある状態から処理すべきプロセスがない状態になった場合には前記CPUを動作状態から省電力状態に制御する工程と、定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理する工程と、前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録する工程と、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示する工程とを備えることを特徴とする省電力制御自己診断方法を提供する。
【0016】
さらに、本発明は、プロセス単位で複数のプロセスの処理を行うCPUの省電力制御自己診断プログラムにおいて、処理すべきプロセスがある状態から処理すべきプロセスがない状態になった場合には前記CPUを動作状態から省電力状態に制御する手順と、定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理する手順と、前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録する手順と、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示する手順とを備えることを特徴とする省電力制御自己診断プログラムを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、プロセス単位で複数のプロセスの処理を行い、処理すべきプロセスがある場合には動作状態になり、処理すべきプロセスがない場合には省電力状態になっているCPUの省電力制御自己診断を行う携帯電話機において、定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理させるためのタイマーと、前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録し、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示させるためのRAMとを備えることを特徴とする携帯電話機を提供する。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、処理すべきプロセスがある状態から処理すべきプロセスがない状態になった場合にはCPUを動作状態から省電力状態に制御し、定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先してCPUに対して割り込み処理し、CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録し、パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、CPUに対して警告通知、表示するようにしたので、一定間隔で割り込みを発生するタイマーを使用することにより、CPUの省電力制御の実施状態を確認し、省電力制御が行わないことによる問題の発見、発熱問題の回避を行うことが可能になる。
【0019】
動作率が高く省電力制御が正常に行われていないとするNGと判断された場合のその後の処理は、システムにより任意であるが、例えば、システムの評価の段階であれば、問題の発見を容易にさせるのに役立つ。
また、ユーザに通知させることにより、一度操作を停止させる警告表示を出すなどして、発熱問題の防止に役立てることも可能である。
【0020】
前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0の状態が複数連続して生じ複数回連続で省電力制御が行われていなかったらNGとするようにしたので、システムにより任意に設定可能となる。
タイマーとして、OS用のタイマー、LCDの垂直同期信号を用いることで、構成の簡素化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る省電力制御自己診断装置の概略構成を示すブロック図である。本図に示すように、携帯電話機をはじめとする近年の組み込みシステムにおける省電力制御自己診断装置100はハードウエア部101及びソフトウエア部102から構成され、CPUの省電力状態への遷移率を判断し、CPUの動作率が高い場面を検出する動作をプログラムで実行するアルゴリズムを提供する。
【0022】
まず、ハードウエア部101について説明を行う。
本図の左半分がハードウエア部101である。ハードウエア部101は、CPU(中央処理装置)103、タイマー104及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)105から構成される。
CPU103はソフトウエア102の動作、制御を行い、CPU103自身の省電力制御も行う。
【0023】
タイマー104はシステムタイマーなどに使用されるものであり、システムタイマーはOS(オペレーティングシステム)などの動作のタイミングを計る目的で一般的に使用されるものであり、通常システムタイマーは、1ms又は10msなどの間隔で定期的に割り込みを発生させてCPU103に通知することによりOSの動作を保護する目的で使用される。特に、本発明専用のタイマーを設ける必要はなく、構成の簡素化に寄与する。
【0024】
RAM105は、CPU103が動作状態から省電力状態への遷移した回数をフラグとして記録する目的に使用される。使用方法については後述する。
次に、ソフトウエア部102について説明を行う。
ソフトウエア部102は、CPU103で処理を行うが、その単位はOSにより言葉に差があり、ここでは、Linuxなどで使用されるプロセスという単位で、一例として、プロセス106、プロセス107、…、プロセス108等のように示している。
【0025】
CPU103の処理は、プロセス単位で管理され、処理すべきプロセスが残っていると、CPU103はCPU103自身の省電力制御を行わない。
図2は図1における省電力制御自己診断装置100の動作例を説明するタイミングチャートである。本図に示すように、上からプロセス106、プロセス107、…、プロセス108は図1のソフトウエア部102で示したプロセス動作である。
【0026】
例えば、プロセス106の動作のタイミングチャートのHigh期間(2−1)、(2−3)、プロセス107の動作のタイミングチャートのHigh期間(2−2)は、それぞれのプロセスを処理している期間を示している。
続いて、CPU103のタイミングチャートでは、High期間はCPU103が動作していない期間(省電力期間)を示し、Low期間はCPU103が動作している期間(動作期間)を示している。
【0027】
プロセス106、プロセス107、…、プロセス108のHigh期間は、CPU103がプロセスを処理するため、CPU103は必ず省電状態から抜けて動作状態にいることがわかる。
タイマー104は定期的な割り込みを発生させる様子を示しており、パルスになっているところが、割り込みの発生タイミングを示している。
【0028】
タイマー104の割り込みが発生すると、CPU103は割り込みの処理を優先させるため、省電力状態であった場合でも動作を開始し、タイマー104の割り込みの処理を行う。
RAM105については、CPU103が省電力に入るための制御中、またタイマー104の割り込み処理を行うタイミングでフラグの書換を行う。この処理については詳細に後述する。
【0029】
次に、これらのタイミングチャートを参照しながら、各処理を行う期間ごとに説明を行う。
まず、図2に示すように、(2−4)の期間について説明する。(2−4)の期間は、CPU103が省電力に入る際、省電力制御を行ったことを示すフラグをRAM105に記録する。
【0030】
(2−4)の期間では、CPU103が省電力制御を行いRAM105に省電力制御を1回行ったことを示す「1」がRAM105に記録される。
次に、(2−5)の期間について説明を行う。(2−6)の期間はタイマー104の割り込みが発生しCPU103が省電力状態から脱し、タイマーの割り込み処理を行っている期間である。
【0031】
本実施例では、タイマー104の割り込みを行うタイミングでRAM105上のフラグを確認する。
このタイミングでは、(2−4)の期間で「1」をRAM105に記録しているため、タイマー104の割り込みの間隔で1回でも省電力制御が正常(OK)に行われたことがわかる。
【0032】
(2−5)の期間では、この状態を確認し、RAM105のフラグを「0」に書き戻しRAM105をクリアしている。
次に、(2−6)の期間について説明を行う。(2−6)の期間はタイマー104の割り込みが発生したが、その時点でCPU103が省電力状態にいなかったことを示す。
タイマー104の割り込み処理を行うため、前述の通りRAM105上のフラグを確認するが、この時点ではフラグは「0」のままとなっている。
【0033】
つまり、前回のタイマー104の割り込みの発生のタイミングから、今回のタイマー104の割り込みの発生まで、一度も省電力制御が行われなかったため、この期間のCPU103の動作率が高かったことがわかる。この場合、CPU103は動作率が高いことを意味するNGを警告通知、表示させる。
同様に、(2−7)の期間について説明を行う。(2−7)の期間はCPU103が省電力制御を正常(OK)に行うためRAM105上のフラグを「0」→「1」と書換え、RAM105をクリアしている。
【0034】
(2−8)の期間でタイマー104の割り込みの処理のタイミングで、RAM105上のフラグが「1」となっているため、省電力制御が正常(OK)に行われていたことがわかる。
図3は図1における省電力制御自己診断装置100の動作例であり、タイマー104割り込み発生時のフラグ制御例を説明するフローチャートである。本図に示すように、ステップS301において、タイマー104の割り込みが発生したことを確認する。
【0035】
ステップS302において、RAM105上のフラグを確認する。フラグが「0」である場合にはステップS304に進む。
ステップS303において、RAM105上のフラグが「1」以上である場合にはRAM105上のフラグをクリアし、ステップS301に戻る。タイマー104の割り込み期間中に省電力制御が行われたことが分かり、問題なしと判断される。
【0036】
ステップS304において、この場合には動作率が高く省電力制御が正常に行われていないとするNGをユーザなどへ通知する。ユーザに通知すると同時に、一度操作を停止させる警告表示を出す
以上説明したように、本発明によれば、一定間隔で割り込みを発生するタイマーを使用することにより、CPUの省電力制御の実施状態を確認し、省電力制御が行わないことによる問題の発見、発熱問題の回避を行うことが可能になる。
【0037】
動作率が高く省電力制御が良好に行われていないとするNGと判断された場合のその後の処理は、システムにより任意であるが、例えば、システムの評価の段階であれば、問題の発見を容易にさせるのに役立つ。
また、ユーザに通知させることにより、一度操作を停止させる警告表示を出すなどして、発熱問題の防止に役立てることも可能である。
【実施例1】
【0038】
以上の説明では、1回のタイマー104の割り込み期間の中に省電力制御できない場合、NGとしていたが、例えば、2回以上連続など、複数回連続で省電力制御が行われていなかったらNGとするなど、システムにより任意に設定できるようにしてもよい。
【実施例2】
【0039】
以上の説明では、定期的に発生するタイマー104の割り込み処理のタイミングで、CPU103の省電力遷移状態を確認していたが、定期的に発生する信号であれば、同様の使い方ができるため、例えば、携帯電話をはじめとする近年の組み込みシステムにおけるLCD表示部のvsync信号などを使用してもよい。
ここに、vsync信号は、LCD表示部などの表示を行う際の垂直同期信号であり、定期的に発生する信号であり、表示画面の垂直方向の表示が完了した時点で信号が発生する。画面サイズが同じである限り、vsync信号の発生タイミングは一定しており、タイマー割り込み同様の処理を行うことにより、本発明を実現することができる。これにより、特に、本発明専用のタイマーを設ける必要はなく、構成の簡素化に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、携帯電話機に限らず、PHS(簡易型携帯電話機)、PDA(携帯端末装置)にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る省電力制御自己診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1における省電力制御自己診断装置100の動作例を説明するタイミングチャートである。
【図3】図1における省電力制御自己診断装置100の動作例であり、タイマー104割り込み発生時のフラグ制御例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
100…省電力制御自己診断装置
101…ハードウエア部
102…ソフトウエア部
103…CPU
104…タイマー
105…RAM
106〜108…プロセス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス単位で複数のプロセスの処理を行い、処理すべきプロセスがある場合には動作状態になり、処理すべきプロセスがない場合には省電力状態になっているCPUの省電力制御自己診断装置において、
定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理させるためのタイマーと、
前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録し、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示させるためのRAMとを備えることを特徴とする省電力制御自己診断装置。
【請求項2】
前記RAMは、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0の状態が複数連続して生じたときにCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示をさせることを特徴とする、請求項1に記載の省電力制御自己診断装置。
【請求項3】
前記タイマーはOSの動作を保護するシステムタイマーであることを特徴とする、請求項1に記載の省電力制御自己診断装置。
【請求項4】
前記タイマーは液晶表示に用いられる垂直動機信号を、発生するパルスとすることを特徴とする、請求項1に記載の省電力制御自己診断装置。
【請求項5】
前記タイマーは1ms又は10msの一定間隔でパルスを発生することを特徴とする、請求項1に記載の省電力制御自己診断装置。
【請求項6】
前記タイマーは発生したパルスによりLinuxで使用されるプロセスを処理する前記CPUに対して割り込み処理をさせることを特徴とする、請求項1に記載の省電力制御自己診断装置。
【請求項7】
プロセス単位で複数のプロセスの処理を行うCPUの省電力制御自己診断方法において、
処理すべきプロセスがある状態から処理すべきプロセスがない状態になった場合には前記CPUを動作状態から省電力状態に制御する工程と、
定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理する工程と、
前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録する工程と、
前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示する工程とを備えることを特徴とする省電力制御自己診断方法。
【請求項8】
プロセス単位で複数のプロセスの処理を行うCPUの省電力制御自己診断プログラムにおいて、
処理すべきプロセスがある状態から処理すべきプロセスがない状態になった場合には前記CPUを動作状態から省電力状態に制御する手順と、
定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理する手順と、
前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録する手順と、
前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記パルスによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示する手順とを備えることを特徴とする省電力制御自己診断プログラム。
【請求項9】
プロセス単位で複数のプロセスの処理を行い、処理すべきプロセスがある場合には動作状態になり、処理すべきプロセスがない場合には省電力状態になっているCPUの省電力制御自己診断を行う携帯電話機において、
定期的なパルスを発生し、発生したパルスによりプロセスの処理に優先して前記CPUに対して割り込み処理させるためのタイマーと、
前記CPUが動作状態から省電力状態に遷移した回数をフラグとして記録し、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が1以上の場合には省電力制御が正常に行われていたと判断しフラグの回数をクリアし、前記タイマーによるCPUの割り込み時に記録されたフラグの回数が0で、動作状態から省電力状態に一度も遷移していない場合にはCPUの動作率が高いと判断し、前記CPUに対して警告通知、表示させるためのRAMとを備えることを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−163523(P2009−163523A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−826(P2008−826)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】