説明

真空弁用プラグ

【課題】真空弁の製造コストを下げ、部品点数を削減できる、真空弁用プラグを提供する。
【解決手段】ケース21と、前記ケース21に形成した弁体収納孔211に収納する弁体22と、からなる真空弁2の前記弁体収納孔211を封止するための真空弁用プラグ1であって、前記弁体22と嵌合可能な係止部を有し、前記弁体収納孔211に螺合可能であり、前記ケース21との接触面には、前記弁体収納孔211の開口を囲繞するOリングを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧容器の真空状態を維持するための真空弁及び真空弁を取り付ける減圧容器の漏洩検査に用いる、真空弁用プラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンクなどの減圧容器から真空ポンプで空気を吸引し、その真空状態を維持するために、吸気路を遮蔽する真空弁が使用されている。
例えば、特開2009−287760号公報に記載された真空弁のように、ケースに形成した吸気路及び排気路に連通する弁体収納孔を設け、弁体収納孔に弁体を収納した状態で移動して全閉にすることにより、吸気路を遮断して、減圧容器を真空状態に維持するものである。
この真空弁は、弁体収納孔の底部に、吸気路の外周を囲むように溝を形成し、この溝にOリングを嵌挿することにより、弁体とOリングが密着して吸気路を遮断する構成を有している。
また、漏洩検査のために真空弁を開放した際の、弁体収納孔と弁体との隙間からの真空漏れを防ぐために、弁体の外周にOリングを嵌挿する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−287760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような構成を有する真空弁及びプラグは、Oリングを嵌挿して配置するためのOリング溝の加工費及びOリングの材料費が必要である。
【0005】
本発明は、真空弁の製造コストを下げ、部品点数を削減できる、真空弁用プラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、ケースと、前記ケースに形成した弁体収納孔に収納する弁体と、からなる真空弁の前記弁体収納孔を封止するための真空弁用プラグであって、前記弁体と嵌合可能な係止部を有し、前記弁体収納孔に螺合可能であり、前記ケースとの接触面には、前記弁体収納孔の開口を囲繞するOリングを設けることを特徴とする、真空弁用プラグを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
<1>プラグの接触面にOリングを設けるため、Oリング劣化時の交換が容易である。
<2>プラグの接触面に設けたOリングにより、弁体収納孔の開口を封止できるため、弁体の円筒面にOリング及びOリング溝を設ける必要がない。
<3>プラグの係止部を弁体に嵌合することにより、プラグの締め、緩めに伴って弁体が進退できる。このため、漏洩検査時の弁体の位置が一定となり、排気路の開口も一定となるため、検査のばらつきが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】真空弁及び本発明に係る真空弁用プラグの斜視図
【図2】真空弁用プラグの使用状態の断面図
【図3】真空弁用プラグの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に示す実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
[1]全体の構成
本発明の真空弁用プラグ1は、真空弁2の弁体収納孔211を密閉するためのものである。
【0011】
(1)真空弁
真空弁2は、ケース21と、弁体22と、からなるものである。(図1、図2)
真空弁2は、鋼製や黄銅製等の腐食しにくい金属からなる。
ケース21には、その一端から、その軸方向に所定径の円柱状の弁体収納孔211を、所定の深さまで穿孔する。
弁体収納孔211の内周面であって、当該一端から軸方向に所定の長さには、雌ネジ212を刻設する。
弁体収納孔211の底面には、弁体収納孔211と同軸芯であって、弁体収納孔211の径よりも小さい吸気路213を穿孔する。吸気路213はケース21の外部まで貫通する。
ケース21の外周から、弁体収納孔211に直交する方向に、排気路214を穿孔する。排気路214は弁体収納孔211に貫通している。
弁体収納孔211の中には、円柱形状の弁体22を収納する。
弁体22の、ケース21の外周側に表出する面には、六角形状の凹部である係止部221を形成する。
また、弁体22の係止部221が形成された側の端部の外周面の所定の範囲には、雄ネジ222を刻設する。
弁体収納孔211の底面には、吸気路213を囲むように、Oリング23を設ける。
真空弁2は、排気路214から排気を行いながら、弁体22を弁体収納孔211にねじ込んで、弁体22とOリング23とにより吸気路213を遮蔽し、真空弁2を取り付けた容器の真空状態を保持する。
【0012】
(2)漏洩検査
上記構成の真空弁2は、弁体22の円筒面にOリングを設けていない。
このため、高真空度下で実施するヘリウムガス等を用いた漏洩検査のために真空弁2を開放すると、弁体収納孔211の円周面と弁体22の円筒面との隙間や、弁体収納孔211の雌ネジ212と弁体22の雄ネジ222との隙間を通じて、弁体収納孔211から真空漏れが生じる可能性がある。
よって、漏洩検査を行う際には、プラグ1を真空弁2の弁体収納孔211に螺着し、弁体収納孔211を封止する。(図2)
【0013】
(3)真空弁用プラグ
プラグ1は、レンチ等で掴んで弁体収納孔211に螺着するため、その一部外径は、六角柱状の形状を呈する。(図1、3)
プラグ1の材料については、ケース21と同様に、鋼製や黄銅製など、腐食しにくい金属であれば広く採用できる。
プラグ1は、弁体収納孔211を封止するため、外径が弁体収納孔211の径より大きな封止面11を有する。封止面11は、ケース21と接して弁体収納孔211を封止する。封止面11には、弁体収納孔211に対応するように、弁体収納孔211より大径の凹部111を形成し、その凹部111にはOリング12を嵌合する。
封止面11には、弁体収納孔211の雌ネジ23と螺合する雄ネジ13を立設する。雄ネジ13の先端には、弁体22の係止部221と嵌合する係合部131を形成する。
漏洩検査を行う際には、弁体22の掛止部221とプラグ1の係合部131を嵌合して一体とし、ケース21の弁体収納孔211に螺着する。(図1)
弁体22およびプラグ1をねじ込んで、Oリング12をケース21に密着させる。
プラグ1のOリング12が、弁体収納孔211の開口を囲むように、ケース21に密着すると、弁体収納孔211は封止され、漏洩検査を行うことができる。
通常は、弁体収納孔211の円周面や弁体22の円筒面にOリングを設けるが、その際には、Oリング溝の加工が必要となる。しかし、プラグ1にOリング12を設けるため、弁体2のOリング溝の加工が不要となる。
【符号の説明】
【0014】
1 プラグ
11 封止面
111 凹部
12 Oリング
13 雄ネジ
131 係合部
2 真空弁
21 ケース
211 弁体収納孔
212 雌ネジ
213 吸気路
214 排気路
22 弁体
221 係止部
222 雄ネジ
23 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケースに形成した弁体収納孔に収納する弁体と、からなる真空弁の前記弁体収納孔を封止するための真空弁用プラグであって、
前記弁体と嵌合可能な係止部を有し、
前記弁体収納孔に螺合可能であり、
前記ケースとの接触面には、前記弁体収納孔の開口を囲繞するOリングを設けることを特徴とする、真空弁用プラグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−31879(P2012−31879A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169384(P2010−169384)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(592124919)株式会社コプラン (2)
【Fターム(参考)】