説明

眼科用組成物における抗微生物剤としてのアルキルアミン

水性液体媒質中、以下の式(I):
【化1】


〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、およびR2およびR3は互いに独立してHまたは-CHである〕を有するアルキルアミンおよび非イオン性界面活性剤を含んでなる、真菌および特定の細菌に対して高活性を有する多目的コンタクトレンズケア溶液。また、該溶液は、必要に応じて、さらなる抗微生物成分、緩衝剤成分、粘度誘発成分、界面活性剤、タウリン、プロピレングリコールおよび/または張度成分を含み得る。さらに、この溶液は、コンタクトレンズ装用中の眼の組織膜の完全性の損失を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼およびコンタクトレンズケア用の組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、溶液の保存および/またはコンタクトレンズの消毒のための汚染除去剤としてアルキルアミンを含有する眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズの装用により、眼の組織および涙液膜に不都合な変化が生じる。これらの変化には、角膜乳酸アシドーシスおよび低酸素ガス透過により誘起された低酸素症の結果としての角膜の膨潤、角膜上皮組織の厚み変化、角膜上皮および内皮細胞形態の変化、上皮表面細胞剥離、充血(赤目)、角膜および結膜細胞膜の完全性の不都合な変化、並びに涙液膜の不安定化などがある。細胞膜完全性の変化は、乳酸脱水素酵素の放出、フルオレセインバリア透過性の測定または他の方法により、臨床的に測定することができる。角膜上皮細胞膜の完全性は、眼の感染を防止するために組織バリア機能を維持するために重要であると考えられている。
【0003】
コンタクトレンズの装用中の眼の組織の不都合な変化は、コンタクトレンズケア溶液中の保存剤、消毒剤、清浄化剤および他の成分に眼の組織が接触することによっても生じることがある。このような接触は、溶液が適用中に眼の組織に直接接触することにより、またはケア溶液によりコンタクトレンズを処理している間にコンタクトレンズに吸着または吸収されて、後に装用中にコンタクトレンズから脱着される溶液に眼の組織が接触することにより、起こることがある。
【0004】
コンタクトレンズケア溶液は、種々の機能を発揮する多成分の複雑な処方になってきている。複合した結果を伴う、コンタクトレンズおよびコンタクトレンズケア溶液の眼の組織に対する悪影響を改善する試みがなされている。眼の組織に対する悪影響を改善するためのコンタクトレンズケア溶液の成功した改良の最良の例は、コンタクトレンズの表面に結合しないポリマーコンタクトレンズ消毒剤、殺生物系の創出、並びに多目的コンタクトレンズ再湿潤溶液への水溶性ポリマーおよび電解質(例えば、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウム)の配合である。しかしながら、コンタクトレンズケア溶液の組成における好ましい変化にもかかわらず、いずれの溶液も、眼の組織に対する悪影響への何らかの対策を伴わずに、眼内で完全な性能を発揮することはない。現在ある全てのコンタクトレンズケア溶液には、涙液膜、組織または細胞膜の完全性、例えば角膜上皮細胞膜の完全性に対するいくらかの妥協が残っている。今まで、使用者は、洗浄、消毒およびリンスの3工程を一つに組み合わせるポリマー第四級アンモニウム系に対して幾らかの好みを示してきた。しかしながら、このような系は、通常、抗真菌活性が弱い。さらに、第四級アンモニウムの正に荷電した性質のため、それらはコンタクトレンズ材料(これらは、通常、負に帯電している)に大量に吸収または結合する傾向があり、眼の刺激を生じさせる。したがって、より高い抗微生物能力およびより小さい角膜刺激を伴うより簡単な使用を提供するために、コンタクトレンズケア生成物を改善する必要がある。
【0005】
眼の組織に対するコンタクトレンズおよびコンタクトレンズケア溶液の悪影響を高めることなく、既知の系よりも強い抗真菌特性を有する系を処方することが望ましい。
【0006】
Unhochらは、表題「Treatment of Circulating Water Systems」の米国特許出願2003/0189013 A1において、再循環系において、藻類の生長を阻害するための、または藻類を殺すための、ビグアニドポリマーとアルキルアミン補助剤との混合物からなる組成物を開示している。該アルキルアミンは、
以下の構造式:
【0007】
【化1】

【0008】
〔式中、R2およびR3は、互いに独立してHまたは置換されていてもよいC1〜4アルキルであり、R1は置換されていてもよいC8〜12またはC18〜22アルキルである〕
を有する。特に、Unhochは、該アルキルアミンを、抗微生物剤とは対照的に、再循環水系において有用な「補助剤」として記載している。
【0009】
さらに、(コンタクトレンズ消毒のために米国FDAにより要求されるような)5つの微生物パネルに対する抗微生物活性試験は、ドデシルアミン(R1=C12;R2、R3=H)は、より通例の陽イオン的に荷電した第四級アンモニウム化合物(例えば、セチルピリジニウム)よりもはるかに低い抗微生物活性を有し、コンタクトレンズケア用の消毒剤として資格がないことを示している。
【0010】
コンタクトレンズケア系と再循環水系との大きな違いは、前者が洗浄剤として大量の界面活性剤が存在することを必要とするのに対して、後者は発泡問題に起因して界面活性剤と適合しないことである。陰イオン性界面活性剤およびポリマー/非ポリマー第四級アンモニウムは、水溶液中に沈澱を形成し、したがって、混合することができない。洗浄剤レベルの非イオン性界面活性剤の存在は、通常、非ポリマー第四級アンモニウムまたはアルキルアミンに、完全ではないにしても、かなりの抗微生物活性の損失をもたらすであろう。実際、非イオン性界面活性剤は、通常、微生物学試験において、試験の間に第四級アンモニウム/アルキルアミン活性を停止するために使用される。さらに、Unhochは、R1=C13〜17を有するアルキルアミン(テトラデシルアミンを含む)は、水に不溶性であるので、再循環水系において、ポリマービグアニド/アルキルアミン混合物中に使用できないことを暗に教示している。例えば、実施例欄および表4を参照のこと。したがって、Unhoch文献は、特許請求したアルキルアミンのクラスがコンタクトレンズの洗浄に関して有用であることを教示も示唆もしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
コンタクトレンズケア組成物に関する既知の制限を考慮すると、使用がより簡単であり、より高い抗微生物能力を示し、およびより低い角膜刺激を示すコンタクトレンズケア組成物およびそれを使用する方法を有することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
コンタクトレンズを処理するための新規組成物を発見した。本組成物は、水性液体媒質中に、非イオン性界面活性剤、および以下の式:
【0013】
【化2】

【0014】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンを含有する。
【0015】
本発明の別の実施態様において、R1はC16〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである。例として、R1がC14であり、R2およびR3がHである場合、該アルキルアミンはミリスチルアミンであり、およびR1がC16であり、R2およびR3がHである場合、該アルキルアミンはセチルアミンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
また、本発明の溶液は、
好適には1つのみの抗微生物成分に関して典型的に使用される濃度から低減された濃度の、さらなる抗微生物成分、
該溶液のpHを生理学的に許容される範囲に維持するのに有効な量の緩衝剤成分、
有効量の粘度誘発成分、
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の界面活性剤、および/または
該溶液に所望の張度を与えるのに有効な量の張度成分
を1以上含有し得る。さらに、該溶液はタウリンも含有し得る。タウリンを含有する利益は、S. Huthの表題「Contact Lens Care Compositions, Methods of Use, and Preparation which Protect Ocular Tissue」の米国特許出願第10/328641号(これは参照により本明細書中に組み込まれる)に開示されている。このような溶液は、所望の抗微生物活性および性能有効性を与え、重要なことには、実質的な、好適には強化された、レンズ装用者/使用者の快適性および許容性の利益を与える。
【0017】
特に、以下の式:
【0018】
【化3】

【0019】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンは、真菌および特定の細菌に対する高い活性を有することが見出された。このような適用は、このようなアルキルアミンの水溶性の欠落によって妨げられている。以下に記載した要因に基づいて、上記アルキルアミンは、少なくとも約0.1ppmまたは約0.3ppmから、少なくとも約7.5ppmまたは10ppmまでの範囲の量で存在し得る。
【0020】
コンタクトレンズ洗浄消毒用途において、このような抗微生物剤の使用を妨げる幾つかの障害が存在する。第一に、コンタクトレンズ洗浄および消毒溶液は、通常、主として涙液タンパク質および脂質によって汚染されたコンタクトレンズ表面を洗浄するために、かなりの量の界面活性剤を含有する。3種類の界面活性剤のなかで、一般に、非イオン性界面活性剤がコンタクトレンズ洗浄に使用されている。しかしながら、また、これらは、一般に、微生物学試験研究室において第四級ベースの抗微生物剤を中和するために使用される。したがって、濃度は、注意深く制御しなければならない。
【0021】
陰イオン性界面活性剤(例えば、石鹸)は、通常、正に荷電した第四級アミンベースの抗微生物剤と適合しない。換言すれば、陰イオン性界面活性剤の適用は、非ポリマーベースのポリクオタニウムの微生物活性を拒むことは一般常識である。該界面活性剤と第四級アンモニウムの陽イオンとの間の静電相互作用は、正味荷電を中和し、抗微生物活性を排除し、そして、荷電中和による親水性の損失のために沈澱を形成するであろう。
【0022】
陽イオン性界面活性剤は、アルキルアミンに適合するが、それ自身抗微生物剤であるので、眼を刺激せずに、アルキルアミンを溶解するのに十分大量に添加することはできない。本発明者らは、特に通常水に不溶性であるアルキルアミンが特別の濃度範囲において高度に活性であり、そしてコンタクトレンズ消毒に使用できることを予期せず発見した。すなわち、このようなアルキルアミンは、可溶化剤として作用する特定のタイプの界面活性剤と共に、これら2つを特別の混合比で使用する場合、コンタクトレンズ消毒に使用することができる。さらに、本発明者らは、特定の混合比で使用される特定のタイプの非イオン性界面活性剤が、消毒に関する抗微生物効果を維持しつつ、これらの水不溶性アルキルアミンを溶解することができることを発見した。また、このようなコンタクトレンズ消毒活性は、第四級アミンポリマー、例えば、ポリクオタニウム-1、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン-(ジメチルイミノ)エチレンジクロリド]、およびヘキサメチレンビグアニドポリマーを添加する場合、顕著に増大する。
【0023】
多目的溶液であり得る本発明の組成物は、例えば、実質的なレンズ装用者/使用者の快適性および許容性を与える、コンタクトレンズケア用の、消毒、洗浄、浸漬、湿潤、再湿潤、リンス、保存、眼内での洗浄および状態調節組成物としての、種々の用途を有する。また、本組成物は、使用者順守を高め、すなわち、定期的かつ一貫したコンタクトレンズケアを促進し、最終的に、より良好な眼の健康を生じるかまたは助長する。あらゆるコンタクトレンズ、例えば、一般的なハードコンタクトレンズ、気体透過性ハードコンタクトレンズ、およびソフト、親水性またはヒドロゲルコンタクトレンズを、本発明によって処理することができる。
【0024】
以前は、上記アルキルアミンは水溶液に溶けないので、コンタクトレンズケア溶液における使用には望ましくないと考えられていた。本発明者らは、上記アルキルアミンが、該アルキルアミンの抗微生物活性を中和しない量の非イオン性界面活性剤によって、水溶液に可溶化され得ることを予期せず発見した。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキル鎖を含有する任意の非イオン性界面活性剤が挙げられる。本発明における使用のための幾つかの非イオン性界面活性剤の例は、例えば、Kirk-Othmerによる「Encyclopedia of Chemical Technology」第3版第22巻(John Wiley E Sons、1983年)、Sislet & Woodによる「Encyclopedia of Surface Active Agents」(Chemical Publishing Co., Inc.、1964年)、North American and International編「McCutcheon's Emulsifiers & Detergents」(McCutcheon Division, The MC Publishing Co.、1991年)、Ashによる「The Condensed Encyclopedia of Surfactants」(Chemical Publishing Co., Inc.、1989年)、Ashによる「What Every Chemical Technologist Wants to Know About ... Emulsifiers and Wetting Agents」第1巻(Chemical Publishing Co., Inc.、1988年)、Tadrosによる「Surfactants」(Academic Press、1984年)、Napperによる「Polymeric Stabilization of Colloidal Dispersion」(Academic Press、1983年)およびRosenによる「Surfactants & Interfacial Phenomena」第2版(John Wiley & Sons、1989年)中に開示されている(これらの全ては参照により本明細書中に組み込まれる)。その例として、限定されないが、このような界面活性剤としては、Makon(登録商標) 10(Stepan Chemical Company、シカゴ、イリノイ州)、Lumulse(登録商標) GR-40(Lambent Technologies Inc.、ノークロス、ジョージア州)、Lumulse(登録商標) GRH-40(Lambent Technologies Inc.、ノークロス、ジョージア州)、Brij(登録商標) 72(Atlas Powder Company、ウィルミントン、デラウェア州)、Brij(登録商標) 76 (Atlas Powder Company、ウィルミントン、デラウェア州)、Tween(登録商標) 80 (Uniquema (ICI Surfactants)、ウィルミントン、デラウェア州)、Tween(登録商標) 40、TPGS(登録商標) (Eastman Chemical Co.、キングズポート、テネシー州)、Cremophor(登録商標) RH-40(BASF Corporation、マウント・オリーブ、ニュージャージー州)、Tetronic(登録商標) 1304(BASF Corporation、マウント・オリーブ、ニュージャージー州)、Tetronic(登録商標) 1107(BASF Corporation、マウント・オリーブ、ニュージャージー州)、Pluronic(登録商標) F87(BASF Corporation、マウント・オリーブ、ニュージャージー州)が挙げられる。
【0025】
例えば、上記クラスのアルキルアミンのミリスチルアミン(「MA」)は、通常、水または塩基性溶液中に溶解しない。さらに、MAは、界面活性剤ミセル単独で可溶化することはできない。また、MAは、pH2未満の溶液であっても、酸に周囲温度で溶けない。しかしながら、酸およびアルキル鎖を含有する界面活性剤を、十分な界面活性剤量で共存させ、および該溶液のpHが6未満である場合、MAは水溶液に溶解し得る。一旦MAがそのように溶解した場合、該溶液のpHを、MAを沈澱させることなく、例えば、該溶液のpHを中性に調整することによって、高めることができる。
【0026】
さらなる抗微生物成分は、本発明の溶液に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な、あるいは、コンタクトレンズ再湿潤溶液のような溶液を適切に保存するのに有効な、任意の適当な、好適には眼科的に許容される物質であってよい。好適には、さらなる抗微生物成分は、ビグアニド、ビグアニドポリマー、それらの塩およびそれらの混合物から選択され、少なくとも約0.1ppmから少なくとも約3ppmまで、または5ppm(w/v)未満の量で存在する。
【0027】
さらなる抗微生物剤の例は、モノマー第四級アンモニウムまたはビグアニド化合物、例えば、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンジアセテート、塩化ベンゼトニウム、ミリスタミドプロピルジメチルアミンであるが、これらに限定されない。また、さらなる抗微生物剤は、Polyquad.RTM.(ポリクオタニウム-1)またはポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン-(ジメチルイミノ)エチレンジクロリド](WSCP(登録商標)としてBuckman Laboratories, Inc.によって市販)のようなポリマー第四級アンモニウム化合物であってもよい。本発明の組成物において、抗微生物成分の好ましい相対的に減少した濃度は、組成物に接触するコンタクトレンズを消毒するのに極めて有効であり、それと同時に、レンズ装用者/使用者の快適性および許容性を増加させることが見出された。
【0028】
コンタクトレンズを洗浄するのに有効な、あらゆる好適な、好適には眼科的に許容される界面活性剤成分を使用し得る。界面活性剤成分は、好適には非イオン性であり、より好適には、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーおよびそれらの混合物から選択される。
【0029】
あらゆる好適な、好適には眼科的に許容される粘度誘発剤または増粘剤を、本発明の組成物に含有し得る。粘度誘発成分は、セルロース誘導体およびそれらの混合物から選択するのが好適であり、少なくとも約0.05%(w/v)または約1.5%から少なくとも約3%(w/v)または約5.0%(w/v)までの範囲の量で存在する。いかなる特定の操作理論にも限定するものではないが、粘度誘発成分の存在は、本発明のレンズ装用者/使用者の快適性および許容性の利益を与えることを少なくとも補助し、それによって、定期的かつ一貫したコンタクトレンズケアを促進し、最終的に、より良好な眼の健康を生じるかまたは助長すると考えられる。例えばそのような粘度誘発成分を含有する本発明の成分の組合せは、本明細書に開示する程度のレンズ装用者/使用者の快適性および許容性の利益を与えるのに有効である。
【0030】
あらゆる好適な、必然的に眼科的に許容される張度成分を使用してよいが、非常に有用な張度成分は、塩化ナトリウムと塩化カリウムの組合せである。
【0031】
本発明の組成物は、好適には、有効量のキレート化成分を含有する。あらゆる好適な、好適には眼科的に許容されるキレート化成分を本発明の組成物に含有し得るが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、それらの塩およびそれらの混合物が特に好適である。より好適には、本発明の組成物は、キレート化成分を、約0.05%(w/v)未満、さらに好適には0.02%(w/v)またはそれ以下の有効量で含有する。本発明の組成物におけるそのような減少した量のキレート化成分でも、所望のキレート化および/または金属イオン封鎖作用を与えるのに充分であり、それと同時に、眼においてよりよく許容され、それによって、使用者の不快感および/または眼の刺激のリスクを減少させる。
【0032】
本明細書に記載した少なくとも1つの利益を得るために、2つまたはそれ以上の前記成分の種々の組合せを使用し得る。従って、それぞれのおよび全てのそのような組合せが本発明に含まれる。
【0033】
一実施態様において、本組成物は、
水性液体媒質、
該溶液の残りのものと共同して、該組成物に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な量の以下の式:
【0034】
【化4】

【0035】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミン、
該組成物に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の界面活性剤(通常、非イオン性界面活性剤)、
該組成物のpHを生理学的に許容される範囲に維持するのに有効な量のホウ酸緩衝剤成分、
有効量の粘度誘発成分、および
有効量の張度成分を含んでなる。本組成物は、好適には有効量の、より好適には0.05%(w/v)未満の範囲の、キレート化成分または金属イオン封鎖成分を含有する。本発明の溶液および処方溶液中に含有される各成分は、用いる濃度において、通常、眼科的に許容される。さらに、(アルキルアミンの場合、上記のように陰イオン性界面活性剤と組み合わせて)本溶液中に含有される各々の成分は、用いる濃度において、通常、水性液体媒質中に溶解する。また、該溶液は、必要に応じて、該溶液の残りのものと共同して、該組成物に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な量のさらなる抗微生物成分を含有し得る。
【0036】
溶液またはその成分は、眼の組織に適合性である場合、即ち、眼の組織に接触した際に有意なまたは過度の有害作用を生じない場合に、「眼科的に許容される」という。好適には、本発明の組成物の各成分は、本発明の組成物の他の成分にも適合性である。本発明の組成物は、より好適には、実質的に眼科的に最適化されている。眼科的に最適化された組成物は、成分化学の制約内で、眼の反応を最小限にするか、またはその逆に、レンズを着けた眼に眼科的利益を与える組成物である。
【0037】
現在の有用な抗微生物成分は、コンタクトレンズを汚染するような細菌または微生物との化学的または生理化学的相互作用によってそれらの抗微生物活性を引き出す化学物質を包含する。適当なさらなる抗微生物成分は、眼科用途に一般に使用される物質であり、下記のものを包含するがそれらに限定されない:眼科用途に使用される第四級アンモニウム塩、例えばポリ[ジメチルイミノ-2-ブテン-1,4-ジイル]クロリド、α-[4-トリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム]ジクロリド(化学登録番号75345-27-6、Onyx Corporationからポリクオタニウム(登録商標) 1として入手可能)、ハロゲン化ベンザルコニウム、およびビグアニド、例えば、アレキシジンの塩、アレキシジン遊離塩基、クロルヘキシジンの塩、ヘキサメチレンビグアニドおよびそれらのポリマー、およびそれらの塩、抗微生物ポリペプチド、二酸化塩素先駆物質等、およびそれらの混合物。一般に、ヘキサメチレンビグアニドポリマー(PHMB)は、ポリアミノプロピルビグアニド(PAPB)とも称され、約100,000までの分子量を有する。このような化合物は、既知であり、Ogunbiyiらの米国特許第4759595号に開示される(その開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる)。
【0038】
一般に、抗微生物成分は、使用者が消毒されたレンズを水性液体媒質から取り出し、その後、レンズを直接眼に装着して、安全かつ快適に装用できるような、眼科的に許容されるまたは安全な濃度で水性液体媒質中に存在する。あるいは、抗微生物成分は、保存有効性を維持するのに十分で、眼科的に許容されるまたは安全な濃度で、水性液体媒質中に存在する。本発明に有用な抗微生物成分は、好適には少なくとも約0.00001%(w/v)から約0.01%(w/v)まで、より好適には少なくとも約0.00005%(w/v)から約0.001%(w/v)までの濃度で、最も好適には少なくとも約0.00005%(w/v)から約0.0005%(w/v)までの濃度で水性液体媒質に存在する。
【0039】
本発明に適当なさらなる抗微生物成分は、二酸化塩素先駆物質を包含する。二酸化塩素先駆物質の特定の例は、安定化二酸化塩素(SCD)、金属亜塩素酸塩、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属亜塩素酸塩等、およびそれらの混合物である。工業銘柄亜塩素酸ナトリウムは、極めて有用な二酸化塩素先駆物質である。二酸化塩素含有錯体、例えば、二酸化塩素と炭酸塩との錯体、二酸化塩素と重炭酸塩との錯体およびそれらの混合物も、二酸化塩素先駆物質に包含される。多くの二酸化塩素先駆物質、例えばSCDおよび二酸化塩素錯体の、正確な化学組成は充分に解明されていない。特定の二酸化塩素先駆物質の製造会社または製造は、McNicholasの米国特許第3278447号に開示されている(該特許は全体として本明細書に参照により組み込まれる)。有用なSCD製品の特定の例は、Rio Linda Chemical Company, Inc.によってDura Klor(登録商標)として市販されている製品、およびInternational Dioxide, Inc.によってAnthium Dioxide(登録商標)として市販されている製品を包含する。
【0040】
二酸化塩素先駆物質が本発明の組成物に含有される場合、通常、保存またはコンタクトレンズを消毒するのに有効な量で存在する。そのような有効な保存または消毒濃度は、通常、本発明の組成物の少なくとも約0.002%(w/v)から約0.06%(w/v)までの範囲である。二酸化塩素先駆物質は、他の抗微生物成分、例えば、ビグアニド、ビグアニドポリマー、それらの塩およびそれらの混合物と組み合わせて使用し得る。
【0041】
二酸化塩素先駆物質が抗微生物成分として使用される場合、組成物は、通常、少なくとも約200mOsmol/kgの重量オスモル濃度を有し、生理学的に許容される範囲のpH、例えば少なくとも約6から約10までを維持するように緩衝される。
【0042】
一実施態様において、さらなる抗微生物成分は非酸化性である。本発明の組成物における、例えば少なくとも約0.1ppmから約3ppmまで、または5ppm(w/v)未満の範囲の、減少した量の非酸化性抗微生物成分は、コンタクトレンズを消毒するのに有効であり、眼の不快感および/または刺激を生じるような抗微生物成分のリスクを減少させることが見出された。そのような減少した濃度の抗微生物成分は、抗微生物成分を、ビグアニド、ビグアニドポリマー、それらの塩およびそれらの混合物から選択した場合に極めて有効である。
【0043】
コンタクトレンズを本発明の組成物によって消毒する場合、レンズを消毒するのに有効な総量の抗微生物成分が使用される。そのような有効量の抗微生物成分は、通常、コンタクトレンズにおける微生物負荷または量を、3時間に1対数オーダーで減少させる。より好適には、有効量の消毒剤は、微生物量を1時間に1対数オーダーで減少させる。
【0044】
緩衝剤成分は、組成物または溶液のpHを所望の範囲、例えば、生理学的に許容される少なくとも約6から約7.5または約8.5までに維持するのに有効な量で存在する。特に、溶液は少なくとも約7から約8までのpHを有する。緩衝剤成分としては、好適には1以上の燐酸塩またはトロメタミン(トリス、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール)またはホウ酸またはホウ酸/ホウ酸ナトリウム緩衝液、例えば、一塩基燐酸塩、二塩基燐酸塩等の組合せ、またはトロメタミンおよびトロメタミン塩酸塩が挙げられる。特に有用な燐酸塩緩衝剤は、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の燐酸塩から選択される緩衝剤である。好適な燐酸塩緩衝剤の例は、1つまたはそれ以上の二塩基燐酸ナトリウム(NaHPO)、一塩基燐酸ナトリウム(NaHPO)および一塩基燐酸カリウム(KHPO)である。また、緩衝剤成分としては、アミノ酸、例えば、タウリンが挙げられ得る。本発明の緩衝剤成分は、燐酸イオンとして計算して少なくとも約0.01%(w/v)または約0.02%(w/v)から約0.5%(w/v)または1%(w/v)までの量で使用されることが多い。
【0045】
本発明の組成物は、通常、有効量の1つまたはそれ以上のさらなる成分、例えば、洗浄剤または界面活性剤成分、粘度誘発または増粘成分、キレート化または金属イオン封鎖成分、張度成分等、およびそれらの混合物をさらに含んでなる。さらなる成分は、コンタクトレンズケア組成物に有効であることが知られている物質から選択され、所望の作用または利益を与えるのに有効な量で含有される。さらなる成分を含有する場合、それは、通常、一般的な使用および保存条件において、組成物の他の成分に適合性である。例えば、前記のさらなる成分は、本明細書に記載した抗微生物成分および緩衝剤成分の存在下に実質的に安定である。
【0046】
界面活性剤成分は、通常、洗浄に有効な量、即ち、界面活性剤含有溶液に接触するコンタクトレンズから断片または付着物を除去するのを少なくとも促進する量、好適には除去するのに有効な量、で存在する。例示的界面活性剤成分は、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート(ポリソルベート20、商標Tween 20)、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール/ポリ(オキシエチレン)ポリマー(例えば、商標Tyloxapolとして市販されているポリマー)、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー、脂肪酸のグリコールエステル等、およびそれらの混合物を包含するがそれらに限定されない。
【0047】
界面活性剤成分は、一般的に非イオン性であり、通常、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーおよびそれらの混合物から選択される。そのような界面活性剤成分は、BASF CorporationからPluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)として商業的に入手できる。そのようなブロックコポリマーは、一般に、第一級ヒドロキシル基を末端とするポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン縮合ポリマーとして記載することができる。それらは、プロピレングリコールまたはグリセリンの2個のヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの制御された付加によって、所望の分子量の疎水性物質を先ず形成することによって合成し得る。合成の第二段階において、エチレンオキシドを付加して、この疎水性物質を親水基の間に挟む。
【0048】
本発明のより好適な実施態様によると、少なくとも約2500ダルトンから30,000ダルトンまでの範囲の分子量を有するそのようなブロックコポリマーが好適であり、少なくとも約6000ダルトンから約15,000ダルトンまでの範囲の分子量がより好適である。満足できる界面活性剤の特定の例は、下記のものである:ポロキサマー108(BASF Corporation、マウント・オリーブ、ニュージャージー州)、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー288およびポロキサマー407、Tetronic 1107、Tetronic 1304、Tetronic 1307。特に良い結果がポロキサマー237を使用して得られる。
【0049】
界面活性剤成分が存在する場合に、その量は、多くの要因、例えば、使用されるアルキルアミンの濃度、使用される特定の界面活性剤、組成物中の他の成分等に依存して、広範囲に変化する。多くの場合、界面活性剤の量は、少なくとも約0.005%(w/v)または約0.01%(w/v)から約0.1%(w/v)または約0.5%(w/v)または約1.0%(w/v)までの範囲である。
【0050】
本発明の溶液に使用される粘度誘発成分は、好適には、低いまたは減少した濃度で有効であり、本発明の溶液の他の成分に適合性であり、陰イオン性である。そのような粘度誘発成分は、界面活性剤成分の洗浄および湿潤活性を強化および/または延長し、そして/またはレンズ表面を状態調節してレンズをより親水性(より低い親油性)にし、そして/または眼における粘滑剤として作用する。溶液粘度を増加させることによって、レンズに皮膜を生じ、その皮膜は、処理されたコンタクトレンズの快適な装用を助長し得る。粘度誘発剤は、挿入時の眼の表面における衝撃を和らげる作用もし、眼の刺激を軽減する作用もする。
【0051】
適当な粘度誘発成分は、水溶性天然ゴム、セルロース誘導ポリマー等を包含するがそれらに限定されない。有用な天然ゴムは、グアーゴム、トラガカントゴム等を包含する。有用なセルロース誘導粘度誘発成分は、セルロース誘導ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を包含する。より好適には、粘度誘発剤は、セルロース誘導体(ポリマー)およびそれらの混合物から選択される。極めて有用な粘度誘発成分は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0052】
粘度誘発成分は、好適にはUSP試験法No.911(USP 23, 1995)によって測定して、25℃において、好適には少なくとも約1.5から約30までの範囲、または約750cpsもの高さに、溶液の粘度を増加させるのに有効な量で使用される。この範囲の粘度増加を得るために、少なくとも約0.01%(w/v)から約5%(w/v)までの量の粘度誘発成分を使用するのが好適であり、少なくとも約0.05%から約0.5%までの量がより好適である。
【0053】
キレート化または金属イオン封鎖成分は、抗微生物成分の有効性を増加させ、そして/または金属イオンと錯体を形成してより有効なコンタクトレンズ洗浄を与えるのに有効な量で、含有させるのが好適である。
【0054】
種々の有機酸、アミン、または酸基およびアミン官能基を含有する化合物が、本発明の組成物におけるキレート化成分として作用し得る。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレン-ジアミン三酢酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、ポリ燐酸塩、クエン酸およびその塩、酒石酸およびその塩等、およびそれらの混合物が、キレート化成分として有用である。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびそのアルカリ金属塩が好適であり、エデト酸二ナトリウムとしても既知のEDTAの二ナトリウム塩が特に好適である。
【0055】
キレート化成分は、好適には、例えば溶液の少なくとも約0.01%(w/v)から約1%(w/v)までの範囲の有効量で存在する。
【0056】
極めて有用な実施態様において、特に、キレート化成分がEDTA、その塩およびそれらの混合物である場合、減少した量、例えば、約0.05%(w/v)未満、または約0.02%(w/v)またはそれ以下の量が使用される。キレート化成分のそのような減少した量は、本発明の組成物において有効であり、それと同時に、減少した不快感および/または眼の刺激を与えることが見出された。
【0057】
使用される水性液体媒質は、処理されるレンズ、または処理したレンズの装用者に、実質的な有害作用を有さないように選択される。液体媒質は、本発明の組成物によるレンズの処理を可能にし、さらには促進するように構成される。水性液体媒質は、好都合には、少なくとも約200mOsmol/kgから約300mOsmol/kgまたは約350mOsmol/kgまでの範囲の重量オスモル濃度を有する。水性液体媒質は、より好適には、実質的に等張性または高張性(例えば、僅かに高張性)および/または眼科的に許容される。
【0058】
水性液体媒質は、好適には、有効量の張度成分を含有し、所望の張度を有する液体媒質を与える。そのような張度成分が、水性液体媒質に存在してよく、そして/または水性液体媒質に導入してよい。使用し得る適当な張度調節成分は、コンタクトレンズケア製剤に一般に使用される成分、例えば、種々の無機塩である。塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウム等は極めて有用な張度成分である。含有される張度成分の量は、溶液に所望の程度の張度を与えるのに有効な量である。そのような量は、例えば、少なくとも約0.1%(w/v)から約1.5%(w/v)までの範囲である。塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの組合せを使用する場合、塩化ナトリウム/塩化カリウム重量比は、少なくとも約2.5から約6または約8までの範囲であるのが好適である。
【0059】
本発明において有用なタウリンの量は、例えば角膜上皮細胞からの涙液LDH(乳酸脱水素酵素)放出のような目的とする臨床治療方法、若しくはフルオレセインまたはローズベンガル染色のような角膜細胞膜の完全性を評価するためのフルオレセインバリア透過性測定または他の方法により、決定され得る。眼の細胞膜の完全性を評価するさらに別の方法は、上皮細胞領域を測定する共焦点顕微鏡検査の使用である。応答因子として涙液LDHを使用することに代えて、タウリンの有益な効果を示すために、涙液中の他の炎症メディエータを測定することもできる。タウリンの有効量は、主観的臨床方法、例えば掻痒(かゆみ)、涙液分泌および快適さにより決定することもできる。本発明において有用なタウリンの量は、一般に、少なくとも約0.01w/v%から約2.0w/v%までである。好適な量は、0.05〜1.00w/v%である。
【0060】
本明細書に開示する組成物を使用してコンタクトレンズを処理する方法は、本発明の範囲に含まれる。そのような方法は、コンタクトレンズに所望の処理を与えるのに有効な条件において、コンタクトレンズをそのような組成物に接触させることを含んでなる。
【0061】
接触温度は、好適には少なくとも約0℃から約100℃までの範囲、より好適には少なくとも約10℃から約60℃までの範囲であり、さらに好適には少なくとも約15℃から約30℃までの範囲である。周囲温度またはほぼ周囲温度での接触が極めて好都合であり有効である。大気圧またはほぼ大気圧において接触させるのが好適である。接触は、少なくとも約5分間または約1時間から約12時間またはそれ以上までの範囲で行なうのが好適である。
【0062】
コンタクトレンズを水性液体媒質に浸漬することによって、コンタクトレンズを水性液体媒質に接触させることができる。接触の少なくとも一部の時間において、例えば、水性液体媒質およびコンタクトレンズを含有するバイアルを振とうすることによって、コンタクトレンズを含有する液体媒質を攪拌して、レンズからの付着物の除去を少なくとも促進することができる。そのような接触工程の後に、コンタクトレンズを手でこすって、レンズから付着物をさらに除去し得る。洗浄法は、必要に応じて、使用者の眼にレンズを戻す前に、レンズを濯いで水性液体媒質を実質的に除去することも含み得る。
【実施例】
【0063】
下記の非限定的実施例は、本発明を例示するものである。
以下は、種々の抗微生物剤および溶液を、短時間(典型的に24時間以下)に亘って微生物負荷を減少させるそれらの能力について試験する手順である。該手順は、基本的な微生物学的チャレンジ試験であり、これは、試験生成物アリコートに幾つかの試験生命体の既知の数の生存細胞を接種し、そして種々の時間間隔で生存細胞についてアッセイすることを含む。その結果を使用して、浸漬時間における対数減少および、所望の場合、一定の殺菌曲線(時間に対する生存細胞のグラフ)を算出する。
【0064】
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ATCC 10231は、コンタクトレンズ消毒剤の試験のためのFDAおよびISO/CLI試験(FDA Premarket Notification (510k) Guidance Document for Contact Lens Care Products, Appendix B、1997年4月1日、およびISO/FDIS 14729:Ophthalmic optics-Contact Lens Care Products- Microbiological requirements and test methods for products and regimens for hygienic management of contact lenses、2001年1月)につき特定された5つの生命体の一つである。また、コンタクトレンズ消毒剤は、それらがコンタクトレンズをリンス、洗浄、消毒、保存および再湿潤するのに使用される場合、コンタクトレンズ多目的溶液としても知られている。FDA/ISO規定の5つの試験生命体を以下に列挙する:
セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)(ATCC 13880)
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(ATCC 6538)
シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC 9027)
カンジダ・アルビカンス(ATCC 10231)
フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)(ATCC 36031)。
【0065】
カンジダ・アルビカンスは、しばしば、5つの生命体のなかで、コンタクトレンズ多目的溶液に一般に使用される陽イオン性抗微生物剤に対して最も耐性である。したがって、カンジダに対して十分な抗微生物活性を達成することは、しばしば、特定の消毒効果基準に合格するための最も困難な課題である。FDAおよびISOガイドラインは、以下の表に示す2つの消毒効果基準を規定している。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
FDA/ISO規定の5つの試験生命体に対する抗微生物活性試験のための具体的試験手順は、以下のものである(カンジダ・アルビカンスを具体例として与える):
試験試料を、0.22μ無菌フィルターを通して無菌プラスチック高密度ポリエチレン瓶またはプラスチックフラスコ中に無菌濾過する。試験試料の10mLのアリコートを、無菌ポリスチレンプラスチック試験管中に無菌的に移す。0.05w/v%のポリソルベート80(SS + TWEEN)を有する無菌食塩水(0.90w/v%NaCl)を、別のコントロール管に移す。全ての試料およびコントロールを、試験期間中20〜25℃に保存する。
【0069】
カンジダ・アルビカンス(ATCC 10231)の試験培養物を、通例の方法で製造する。カンジダ・アルビカンス培養物を、第一級凍結乾燥または「Culti-loop(登録商標)」培地からの寒天スラント上で生育させる。3mLの0.9%無菌食塩水を使用して、培養物の生育物を寒天表面から穏やかに取り除く。得られた収穫物を、ガラスビーズを含有する適当なスクリューキャップ試験管に移し、そして約1分間ボルテックスする。ボルテックスした収穫物を、必要に応じて0.9%無菌食塩水で希釈して、1×10e8CFU/mLの濃度を有する培養物の接種物を調製する。50μlの培養物の接種物を、10.0mLの各試験試料およびコントロールに添加し、その結果、最終接種濃度を1mL当たり1×10e5〜1×10e6CFU(コロニー形成単位)のカンジダ・アルビカンス(ATCC 10231)の範囲にする。各試料およびコントロール管を、短時間ボルテックスして接種物を分散させる。カンジダに対する活性を試験するための接触時間間隔は、コンタクトレンズ浸漬時間についての意図した製品のラベルの指示書に一致させるため、典型的に4時間または6時間である。
【0070】
生存細胞濃度について試験試料を定量するため、好気的プレート計数方法を行う。適当なアッセイ時間にて、0.5mLのよくボルテックスしたアリコートを試料管から取り出し、そして4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地(Berton, Dickinson and Company、スパークス、メリーランド州)を含有するガラス試験管に添加する。予め決定した有効中和時間後、これらの試料を、4.5mLのLetheen Neutralizing Broth培地を含有するガラス試験管を使用する連続的な希釈を通じて、10倍に希釈する。0.1mLのアリコートを各希釈管から取り出し、そしてSabouraud Dextrose Agar(SAB)(Berton, Dickinson and Company、スパークス、メリーランド州)を含有する寒天プレートに塗り広げる。10〜10CFU/mLの生存細胞濃度を定量する。SS + TWEENコントロール試料を、1mLの試料当たり最初に存在する(最初の接種)チャレンジ生命体の実際の濃度を決定するため、時間=0にてのみ、3連続の10倍希釈を使用して定量する。回収寒天プレートを、20〜25℃にて3〜5日間インキュベートする。
【0071】
コロニー形成単位(CFU)の数を、各可算寒天プレートについて計数する(通常、カンジダプレートについて8〜80コロニー/プレートの間)。CFU/mLの対数減少を、各試料について、各時間間隔にて、各時間間隔での生存細胞の総数を基底10の対数に変換し、そしてこれをSS + TWEENコントロールの最初の接種の基底10の対数当量から引き算することによって決定する。対数減少値は、接触時間(特定の試験時間間隔)に対してプロットすることができ、またはそのまま評価することができる。
【0072】
〔実施例1〕
本発明の背景欄に記載したように、非イオン性界面活性剤は、微生物学試験において、第四級アンモニウム/アルキルアミン活性を停止するために一般に使用される。コンタクトレンズケア系と再循環水系との大きな違いの一つは、前者が洗浄剤として大量の界面活性剤が存在することを必要とするのに対して、後者は発泡問題に起因して界面活性剤と適合しないことである。陰イオン性界面活性剤とポリマー/非ポリマー第四級アンモニウムとは、水溶液中でイオン対または沈澱を形成するので、一緒に混合することはできない。洗浄剤レベルの非イオン性界面活性剤の存在は、通常、非ポリマー第四級アンモニウムまたはアルキルアミンについて、抗微生物活性の、完全ではないにしろ、かなりの損失をもたらすであろう。表1に示すように、非イオン性界面活性剤トコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(「TPGS」)の添加は、アンモニウム/アルキルアミン活性を停止させる。
【0073】
【表3】

【0074】
〔実施例2〕
表2Aに示す処方物を、コンタクトレンズ消毒のためのそれらの抗微生物活性について評価した。示されるように、この処方物は、非常に高い抗微生物活性を示した。
【0075】
【表4】

【0076】
表2から、ミリスチルアミンは、カンジダ・アルビカンス、ならびに他の生命体に対して強い抗微生物活性を有することが容易に分かる。
対照的に、表2Bに示されるように、水溶性であるドデシルアミン、C12第1級アミンは、非常に弱い抗微生物活性を有するので、コンタクトレンズ洗浄および消毒のための消毒剤として適当ではない。
【0077】
【表5】

【0078】
〔実施例3〕
表3に示す処方物および得られた対数減少により示されるように、以下の式:
【0079】
【化5】

【0080】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンの抗微生物活性は、1以上の他のタイプの抗微生物剤を添加した場合、さらに強化され得る。
【0081】
【表6】

【0082】
これらの結果は、表4に示す処方物および得られた対数減少によって、および表5に示す処方物および得られた対数減少によって、協力される。
【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
〔実施例4〕
上記で詳細に議論されるように、本発明者らは、特定のタイプの非イオン性界面活性剤(特定の混合比)は、消毒のための抗微生物効果を維持させながらこれらの水不溶性アルキルアミンを溶解し得ることを発見した。特に、以下の式:
【0086】
【化6】

【0087】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有する水不溶性アルキルアミンは、界面活性剤によって、抗微生物活性を中和されることなく、水溶液中に溶解し得る。抗微生物活性が有意に中和される最大の上記界面活性剤:抗微生物剤比は、界面活性剤の疎水性/親水性および抗微生物剤の量に応じて変動する。少なくとも一つのアルキル鎖を有する通常の界面活性剤、例えば、Tween 80およびTPGSに関して、アルキルアミン濃度が10ppm以下である場合、この最大の界面活性剤:抗微生物剤比は、約7〜20である。当業者は、本明細書に含まれる記載に基づいて、他の界面活性剤系についての最大の界面活性剤:アルキルアミン比を決定することができる。
【0088】
表6は、10ppmのMA溶液は、Tween 80:MA比が7.4になる場合、単独型基準を満たないことを示す。TPGSについて、最大の界面活性剤:MA比は、約20である(表8参照)。しかしながら、第二抗微生物剤のポリクオタニウム-1の添加によって、該溶液は、なお単独型消毒剤生成物であり得る。
【0089】
【表9】

【0090】
しかしながら、界面活性剤およびアルキルアミンが、20の比で存在する場合、抗真菌活性はそのように低減されない。表7に示される溶液番号5(溶液番号6と比較してTPGS含量のみが異なる)は、界面活性剤およびアルキルアミンを、20の比(TPGS:MA)で含有する。表7に示されるように、界面活性剤:アルキルアミン比が20である場合、抗真菌活性(CaおよびFs)は残る。
【0091】
【表10】

【0092】
さらに、表8Aに示されるように、抗真菌活性(CaおよびFs)は、60までのTPGS:MA比でなお見られる。しかしながら、抗細菌活性は、40のTPGS:MA比にて大きく失われた。したがって、当業者は、該溶液を所望の抗微生物活性に注意深く仕立てることができる。このような仕立ては、例えば、アルキルアミン含量を制御することによって、またはさらなる抗微生物剤を溶液中に添加することによって、達成され得る。
【0093】
【表11】

【0094】
表8Bに示されるように、界面活性剤:抗微生物剤比は、界面活性剤がTetronic(登録商標)またはPluronic(登録商標)である場合、500超であり得る。このような比は、恐らく、これらの界面活性剤のいずれもアルキル鎖を含有しないという事実によって説明することができる。
【0095】
【表12】

【0096】
〔実施例5〕
本発明者によって発見された本発明の別の利益は、以下の式:
【0097】
【化7】

【0098】
〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンは、他のタイプの第四級アンモニウムまたは第三級アミンよりも、顕著に低いコンタクトレンズ取り込みを有する。結果として、眼の刺激は、顕著に低減され得る。
【0099】
表9A中の結果は、15ml溶液-2レンズ密閉系を室温にて6日間振盪させた後の溶液中に残った第四級アンモニウムおよび第三級アミンの残留含量を示す。「レンズなし」欄は、同一の15ml系(レンズを差し引く)を同一条件下に振盪させた後の溶液中に残った第四級アンモニウムおよび第三級アミンの残留含量を示す。表9Aに示す溶液中の残留成分を含む、この実験に用いたコントロールを表9Bに挙げる。当業者が明確に理解するように、振盪期間後の溶液中のより少ない第四級アンモニウムまたは第三級アミンの残留含量は、より高くレンズによって吸収されたことを示す。
【0100】
【表13】

【0101】
【表14】

【0102】
上記実施例の溶液を、例えば、コンタクトレンズを洗浄するために使用することができる。本発明のこの実施態様において、約3mlのこの溶液を、脂質の油状沈着物が付着した親水性またはソフトコンタクトレンズを含有するレンズバイアル瓶中に導入する。コンタクトレンズを、この溶液中に室温にて少なくとも約4時間維持する。この処理は、コンタクトレンズを消毒するのに有効である。さらに、レンズ上に予め存在する沈着物の実質的な部分が除去されることが分かる。これは、この溶液が実質的な消極的コンタクトレンズ洗浄能力を有することを示している。消極的洗浄は、機械的強化または酵素的強化をせずに、コンタクトレンズを浸漬する間に生じる洗浄を意味する。
【0103】
上記の期間の後、レンズを溶液から取り出し、使用者の眼にレンズをはめて、安全かつ快適に装用できる。あるいは、レンズを溶液から取り出した後、同じ溶液の別の部分でリンスし、リンスしたレンズを使用者の眼にレンズをはめても、安全かつ快適に装用できる。
【0104】
あるいは、上記実施例で提供された溶液は、例えば、コンタクトレンズを湿潤または再湿潤するのに使用することができる。親水性コンタクトレンズはすぐに装用できる。そのような装用を容易にするために、レンズ装用者の眼にレンズをはめる直前に、上記溶液の1種の1滴または2滴をレンズ上に落とす。このレンズの装用は、快適かつ安全である。
【0105】
あるいは、コンタクトレンズを装用しているレンズ使用者は、上記溶液の1種の1滴又は2滴を、レンズを装用している眼に適用することができる。この効果は、レンズの再湿潤であり、快適かつ安全なレンズの装用を可能にする。
【0106】
種々の特定実施例および態様に関して本発明を説明したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、請求の範囲内の変更を加えて実施し得るものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多目的溶液であって、
水性液体媒質、
以下の式:
【化1】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミン、および
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の非イオン性界面活性剤
を含んでなる、多目的溶液。
【請求項2】
アルキルアミンは、ミリスチルアミンおよびセチルアミンからなる群から選択される、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーである、請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
第二抗微生物成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される粘度誘発成分を、全溶液の少なくとも約0.05%(w/v)から約5.0%(w/v)までの範囲でさらに含んでなる、請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
全溶液の0.05%(w/v)未満の量でキレート化成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の溶液。
【請求項7】
該溶液に所望の張度を与えるのに有効な量の張度成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の溶液。
【請求項8】
該溶液のpHを生理学的に許容される範囲に維持するのに有効な量の緩衝剤成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の溶液。
【請求項9】
コンタクトレンズケア用の多目的溶液であって、
水性液体媒質、
以下の式:
【化2】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンを含んでなる、該溶液に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な量の第一抗微生物成分、
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の非イオン性界面活性剤、
該溶液のpHを生理学的に許容される範囲に維持するのに有効な量の緩衝剤成分、
全溶液の少なくとも約0.05%(w/v)から約5.0%(w/v)までの範囲の、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される粘度誘発成分、
全溶液の0.05%(w/v)未満の量のキレート化成分、および
該溶液に所望の張度を与えるのに有効な量の張度成分
を含んでなる、コンタクトレンズケア用の多目的溶液。
【請求項10】
アルキルアミンは、ミリスチルアミンおよびセチルアミンからなる群から選択される、請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーである、請求項9に記載の溶液。
【請求項12】
第二抗微生物成分をさらに含んでなる、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項13】
抗微生物成分は、ビグアニド、ビグアニドポリマー、モノマー第四級アンモニウム化合物、それらの塩およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の多目的溶液。
【請求項14】
第二抗微生物成分は、約0.1ppm〜約3ppmの範囲の量で存在する、請求項12に記載の多目的溶液。
【請求項15】
非イオン性界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーおよびそれらの混合物から選択され、少なくとも約0.01%(w/v)から約1.0%(w/v)までの範囲の量で存在する請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項16】
非イオン性界面活性剤は、少なくとも約0.01%(w/v)から約1.0%(w/v)までの範囲の量で存在する、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項17】
緩衝剤成分はホウ酸を含有する、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項18】
緩衝剤成分は、少なくとも約0.01%(w/v)から約1%(w/v)までの範囲の量で存在する、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項19】
粘度誘発成分は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項20】
張度成分は、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの組合せを含有し、少なくとも約0.4%(w/v)から約1.5%(w/v)までの範囲で存在する、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項21】
キレート化成分はEDTAである、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項22】
タウリンをさらに含んでなる、請求項9に記載の多目的溶液。
【請求項23】
コンタクトレンズ装用中の眼の組織細胞膜の完全性を維持する方法であって、コンタクトレンズを、
水溶液であって、
約0.1ppm〜約10ppmの以下の式:
【化3】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミン、および
該アルキルアミンを該水溶液に可溶性にするのに有効な量の非イオン性界面活性剤
を含んでなる、水溶液
に接触させることを含む、方法。
【請求項24】
アルキルアミンは、ミリスチルアミンおよびセチルアミンからなる群から選択される、請求項23に記載の消毒法。
【請求項25】
非イオン性界面活性剤は、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーである、請求項23に記載の消毒法。
【請求項26】
水溶液は、第二抗微生物剤、粘度誘発剤、キレート化剤、緩衝剤、タウリンおよび張度成分からなる群から選択される成分をさらに含んでなる、請求項23に記載の消毒法。
【請求項27】
コンタクトレンズ装用中に眼の組織細胞膜の完全性を維持する方法であって、使用者の眼の中に配置されたコンタクトレンズを、
等張水溶液であって、
水性液体媒質、
以下の式:
【化4】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンを含んでなる、該溶液に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な量の第一抗微生物成分、
眼の組織細胞膜を保護するのに有効な量のタウリン、
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の非イオン性界面活性剤、
該溶液のpHを生理学的に許容される範囲に維持するのに有効な量の緩衝剤成分、
全溶液の少なくとも約0.05%(w/v)から約5.0%(w/v)までの範囲の、セルロース誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択される粘度誘発成分、
全溶液の0.05%(w/v)未満の量のキレート化成分、および
該溶液に所望の張度を与えるのに有効な量の張度成分
を含んでなる、等張水溶液
に接触させることを含む、方法。
【請求項28】
眼の組織の損傷を緩和する方法であって、使用者の眼に、
水性液体媒質であって、
以下の式:
【化5】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンを含んでなる、該溶液に接触するコンタクトレンズを消毒するのに有効な量の第一抗微生物成分、
眼の組織細胞膜を保護するのに有効な量のタウリン、および
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の非イオン性界面活性剤
を含んでなる、水性液体媒質
を投与することを含む、方法。
【請求項29】
アルキルアミンは、ミリスチルアミンおよびセチルアミンからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
投与工程を、水性液体媒質が一時的に使用者の眼の中に留まるように行う、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
投与工程を、ソフトコンタクトレンズおよび気体透過性ハードコンタクトレンズの少なくとも1つの中に水性液体媒質の取り込みが達成されるように行う、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
水性液体媒質は、第二抗微生物成分をさらに含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
多目的溶液であって、
水性液体媒質、
以下の式:
【化6】

〔式中、R1はC13〜17アルキルアミンであり、R2およびR3は、互いに独立してHまたは-CHである〕
を有するアルキルアミンを含んでなる第一抗微生物剤、
第二抗微生物剤、
該溶液に接触するコンタクトレンズを洗浄するのに有効な量の非イオン性界面活性剤、および
眼の組織細胞膜を保護するのに有効な量のタウリン
を含んでなる、多目的溶液。

【公表番号】特表2007−532544(P2007−532544A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507367(P2007−507367)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/010698
【国際公開番号】WO2005/099779
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】