説明

短時間作用性ベンゾジアゼピン類

【解決手段】今般、式(I)のベンゾジアゼピン誘導体で記載される本発明の化合物はカルボン酸エステル部分を含み、それにより非特異的組織のエステラーゼにより器官に依存しない除去機構で不活化され、それによりより予測可能で再現性のある薬力学プロフィールを示すことが判明した。
【効果】本発明の化合物は鎮静−催眠、不安緩解、筋弛緩および抗痙攣の目的をはじめとする治療目的に好適であり、以下の臨床状態:術前鎮静、不安緩解、および手術前後の記憶消失的使用;短い診断、手術、または内視鏡検査中の意識鎮静;他の麻酔薬の投与に先立つ、かつ/または同時の全身麻酔の誘導および維持のための成分として;ICU鎮静の際に静脈投与するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ベンゾジアゼピン誘導体、それらを含有する医薬組成物、および医療におけるそれらの使用に関する。さらに詳しくは、本発明は、鎮静−催眠、不安緩解、筋弛緩および抗痙攣の目的をはじめとする治療目的に適したベンゾジアゼピン誘導体に関する。
【発明の背景】
【0002】
ベンゾジアゼピン種の化合物から誘発される広範な神経薬理学的現象は、一般に、GABA受容体として知られる特定の受容体/塩素イオンチャンネル複合体上のある部位にそれらが結合することによるものである。ベンゾジアゼピン−受容体結合は阻害性神経伝達物質γ−アミノ酪酸(GABA)の複合体への結合を強化し、それにより正常なニューロンの機能の阻害をもたらす。上記の治療目的に加え、ベンゾジアゼピンは、特に前投与剤として、または麻酔の誘導および/または維持における成分として、麻酔に広く用いられている。概説としては、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, Eighth Edition; Gilman, A. G.; Rall, T. W.; Nies, A. S.; Taylor, P.; Eds.; Pergamon Press: New York, 1990; pp. 303-304, 346-358を参照されたい。
【0003】
速い回復プロフィールを示し得る短時間作用ベンゾジアゼピンは近年の臨床研究の主題となっている(W. Hering et al., Anesthesiology 1996, 189, 85 (Suppl.); J. Dingemanse et al., Br. J. Amaesth 1997, 79, 567-574)。最近の特許文献でも注目されるベンゾジアゼピンが記載されている(WO96/23790;WO96/20941;米国特許第5,665,718号)。ベンゾジアゼピンが記載されているその他の刊行物としては、E. Manghisi and A. Salimbemi, Boll. Chim. Farm. 1074, 113, 642-644, W. A. Khan and P. Singh, Org. Prep. Proc. Int. 1978, 10, 105-111 およびJ. B. Hester, Jr, et al. J. Med. Chem. 1980, 23, 643-647が挙げられる。現行におけるベンゾジアゼピンは、ジアゼパム、ロラゼパム、およびミダゾラムなど、すべて肝臓に依存するプロセスにより代謝を受けるものである。活性代謝物は親の薬物よりも遙かにゆっくりと代謝されることが多く、これらの肝機構によって生成され、多くのベンゾジアゼピンの作用時間を延長するという効果が得られる(T. M. Bauer et al., Lancet 1995, 346, 145-7)。特にミダゾラムなどのベンゾジアゼピンを好んで頻用するICUでは、不用意な過剰の鎮静はベンゾジアゼピンの使用に不随したものである(A. Shafer, Crit Care Med 1998, 26, 947-956)。しかしながら、本発明のベンゾジアゼピン化合物は、今日の臨床実務におけるベンゾジアゼピンとは異なるものである。
【発明の概要】
【0004】
今般、式(I)に記載の本発明の化合物が、それらの構造的デザインにより、ある利点を有することが見出された。本発明に記載されるベンゾジアゼピンは総てカルボン酸エステル部分を含み、非特異的組織エステラーゼにより不活化される。器官に依存しない除去機構は本発明のベンゾジアゼピンの特徴であると考えられ、より予測可能で再現性のある薬力学プロフィールを示す。
【0005】
本発明の化合物は鎮静−催眠、不安緩解、筋弛緩および抗痙攣の目的をはじめとする治療目的に適している。本発明の化合物は、以下の臨床状態:術前の鎮静、不安緩解、および手術前後の記憶消失的使用;短い診断、手術、または内視鏡検査中の意識鎮静;他の麻酔薬の投与に先立つ、かつ/または同時の全身麻酔の誘導および維持のための成分として;ICU鎮静の際に静脈投与するのに有用な短時間作用性のCNS抑制薬である。
【発明の詳細な説明】
【0006】
従って、本発明の第1の態様によれば、式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩および/もしくは溶媒和物が提供される:
【化1】

{式中、
WはH、C−C分枝アルキル、または直鎖アルキルであり、
XはCH、NH、またはNCHであり、nは1または2であり、
YはOまたはCHであり、mは0または1であり(ただし、XがCHであり、nが1であり、かつmが0であるならば、RはCHCHではない)、
ZはOであり、pは0または1であり、
はH、C−C直鎖アルキル、C−C分枝鎖アルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、
はフェニル、2−ハロフェニルまたは2−ピリジルであり、
はH、Cl、Br、F、I、CF、またはNOであり、
(1)RがH、C−Cアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであり、RおよびRが、一緒になって、二重結合によってジアゼピン環と結合している単一の酸素またはS原子を表し、かつpが0または1である(式Iaに示される)か、あるいは(2)RおよびRが、一緒になって、ジアゼピン環中の二重結合を形成し、RがNHR基(ここで、RはH、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル、ベンジル、またはハロゲン置換基、C1−4アルキルピリジルもしくはC1−4アルキルミダゾリルで独立に一もしくは二置換されたベンジルである)を表し、かつpが0である(式Ibに示される)か、あるいは(3)RおよびRが−CR=U−V=基(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたはC1−3ヒドロキシアルキルであり、UはNまたはCR(ここで、RはH、C1−4アルキル、C1−3ヒドロキシアルキルまたはC1−4アルコキシ−C1−4アルキルである)であり、VはNまたはCHである)を形成し、かつpが0である(式Icに示される)}。
【0007】
本明細書で「アリール」とは、単独または組合せにおいて、単環式または多環式基、好ましくは単環式または二環式基、例えばフェニルまたはナフチルとして定義され、これは、例えば、ハロゲン、C−C分枝または直鎖アルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどから選択される1個以上、特に1〜3個の置換基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。本明細書において「ヘテロアリール」とは、5員または6員の複素環式芳香族基として定義され、これは所望により縮合ベンゼン環を有していてもよく、ここで該5員または6員の複素環式芳香族基は置換されていなくてもよいし、あるいは、例えばハロゲン、C−C分枝または直鎖アルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノなどから選択される1個以上、特に1〜3個の置換基で置換されていてもよい。本明細書で「アルコキシ」とは、単独または組合せにおいて、先に定義されたようなアルキル基であって、酸素原子を介して親分子のサブユニットに結合しているものを含むものと定義される。アルコキシ基の例としては、必ずしも限定されるわけではないが、メトキシ、エトキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。本明細書において「アラルキル」とは、水素原子の1つがアリール基で置換された、先に定義されたようなアルキル基と定義される。本明細書において「ヘテロアラルキル」とは、水素原子の1つがヘテロアリール基で置換された、先に定義されたようなアルキル基と定義される。
【0008】
分枝または直鎖C−Cアルキル基の例としては、必ずしも限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルおよびn−ブチルが挙げられる。C−C直鎖アルキル基の例としては、必ずしも限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシルおよびn−ヘプチルが挙げられる。C−C分枝鎖アルキル基の例としては、必ずしも限定されるものではないが、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、およびイソヘキシルが挙げられる。C−Cシクロアルキル基の例としては、必ずしも限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。C−Cハロアルキル基の例としては、必ずしも限定されるものではないが、1個以上のハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードで独立に置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、およびn−ブチルが挙げられる。
【0009】
およびRが、一緒になって、二重結合によってジアゼピン環と結合している酸素または硫黄原子を表す式(I)の化合物は、本発明の第1の態様の第1の実施形態を表し、便宜には式(Ia)で示される:
【化2】

(式中、R、R、R、W、X、Y、Z、p、nおよびmは式(I)で定義された意味を有する)。
【0010】
式(Ia)の化合物の1つの具体例では、
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、nが1であり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
ZがOであり、pが0または1であり、
がH、CH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジル、4−ピリジルメチルまたは3−ピリジルメチルであり、
がフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり、
およびRが、一緒になって、OまたはSである、
化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物が提供される。
式(Ia)の化合物のさらなる具体例は、
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
pが0であり、
がH、CH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジル、4−ピリジルメチルまたは3−ピリジルメチルであり(ただし、Rが3−ピリジルメチルまたは4−ピリジルメチルであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは0または1であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはHであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oである)、
がフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり(ただし、RがCHCHN(CHCHであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは1であり、RはCHまたはベンジルであり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oを表す)、
およびRが、一緒になって、OまたはSである
化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物である。
【0011】
本発明のさらに別の具体例は、
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
pが0であり、
がCH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジルまたは4−ピリジルメチルであり、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり、
およびRが、一緒になって、OまたはSである、
式(Ia)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0012】
本発明のさらに別の具体例は、
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
pが0であり、
がCH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジルまたは4−ピリジルメチルであり(ただし、Rが4−ピリジルメチルであれば、XはCHであり、YはCHであり、mは1であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはHであり、かつRおよびRは、一緒になって、酸素を表す)、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり(ただし、RがCHCHN(CHCHであれば、XはCHであり、YはCHであり、mは1であり、RはCHまたはベンジルであり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oを表す)、
およびRが、一緒になって、OまたはSを表す、
式(Ia)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物である。
【0013】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、かつ各化合物のX、n、Y、m、Z、pおよびR1−6が以下の通りである、式(Ia)の化合物またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0014】
【表1】

【0015】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、かつ各化合物のX、n、Y、m、Z、pおよびR1−6が以下の通りである、式(Ia)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0016】
【表2】

【0017】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、pが0であり、かつ各化合物のX、n、Y、m、R1−6が以下の通りである、式(Ia)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0018】
【表3】

【0019】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、pが0であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、RがClであり、RがHであり、かつRおよびRが、一緒になって、酸素を表す、式(Ia)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
およびRが一緒になってジアゼピン環中の二重結合を形成し、RがNHRである式(I)の化合物は、本発明の第1の態様のさらなる実施形態を表し、これは式(Ib)で示される:
【化3】

(式中、R、R、R、R、W、X、Y、nおよびmは式(I)で定義された意味を有する)。
【0020】
本発明の第1の態様のさらなる具体例としては、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、RがClまたはBrであり、かつRがCH、CHCH、ベンジル、4−ピリジルメチル、4−ピリジルエチル、CH(CH、4−イミダゾリルエチルまたはCHCHOHである、式(Ib)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0021】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、かつ各化合物のR、RおよびRが以下の通りである、式(Ib)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0022】
【表4】

【0023】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、Rが塩素または臭素であり、かつRがメチルである、式(Ib)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0024】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例は、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、RがClであり、かつRがCHである、式(Ib)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物である。
【0025】
、RおよびRが一緒になって−C(R)=U−V=基を形成する式(I)の化合物は、本発明の第1の態様のさらなる実施形態を表し、これは便宜には式(1c)の化合物で表される:
【化4】

(式中、R、R、R、U、V、W、X、Y、nおよびmは式(I)で示された意味を有する)。
【0026】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、
WがHであり、
XがCHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
がCHまたはCHCH(CHであり、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、
がClまたはBrであり、
がH、CHまたはCHOHであり、
がH、CH、CHOHまたはCHO−t−ブチルであり、
UがCRまたはNであり、かつ
VがNまたはCHである、
式(Ic)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0027】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例は、
WがHであり、
XがCHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
がCHまたはCHCH(CHであり(ただし、RがCHCH(CHであれば、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはCHであり、UはNであり、かつVはNである)、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、
がClまたはBrであり、
がH、CHまたはCHOHであり、
がH、CH、CHOHまたはCHO−t−ブチルであり、
UがCRまたはNであり、かつ
VがNまたはCHである、
式(Ic)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物である。
【0028】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、かつ各化合物のR、R、R、R、UおよびVが以下の通りである、式(Ic)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0029】
【表5】

【0030】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、そして各化合物のR、R、R、R、UおよびVが以下の通りである、式(Ic)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0031】
【表6】

【0032】
本発明の第1の態様のさらに別の具体例としては、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−ピリジルであり、RがBrであり、RがCHであり、UがCHであり、かつVがNである、式(Ic)の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物がある。
【0033】
当業者ならば、式(I)の化合物には立体中心が存在することが分かるであろう。従って、本発明は、実質的に他の鏡像異性体を含まない式(I)の化合物の個々の鏡像異性体、ならびにラセミ化合物、または他の鏡像異性体とのその他の混合物を含む。
【0034】
一般法
本明細書において使用される、これらの方法、スキームおよび実施例で使用する記号および慣例は最新の科学文献、例えばthe Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryで使用されるものと一致している。一般に、標準的な1文字または3文字略語は、特に断りのない限り、L−配置をとるアミノ酸残基の表記に使用される。特に断りのない限り、総ての出発材料は商業的供給者から得られ、さらなる精製を行わずに使用した。特に次の略語:g(グラム);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);psi(ポンド/平方インチ);M(モル);mM(ミリモル);i.v.(静脈内);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mol(モル);mmol(ミリモル);RT(室温);min(分);h(時間);mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);T(保持時間);RP(逆相);MeOH(メタノール);i−PrOH(イソプロパノール);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(無水トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);DME(1,2−ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);DCE(ジクロロエタン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);IBCF(クロロ蟻酸イソブチル);HOAc(酢酸);HOSu(N−ヒドロキシスクシンイミド);HOBT(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール);mCPBA(メタ−クロロ過安息香酸);EDC(塩酸エチルカルボジイミド);BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)塩化ホスフィン酸);BOC(t−ブチロキシカルボニル);FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);Ac(アセチル);atm(気圧);TBAF(テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム);TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);TIPS
(トリイソプロピルシリル);TBS(t−ブチルジメチルシリル);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)が実施例および明細書を通して使用されている。エーテルという場合は総てジエチルエーテルであり;ブラインとはNaCl飽和水溶液をいう。特に断りのない限り、総ての温度は℃(摂氏度)で示される。総ての反応は特に断りのない限り、不活性雰囲気下、室温において行った。
【0035】
HNMRスペクトルはVarian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400計器、またはGeneral Electric QE-300で記録した。化学シフトは100万分の1(ppm、σ単位)で示す。結合定数の単位はヘルツ(Hz)である。分裂パターンは見かけの多重度を示しており、s(1重線)、d(2重線)、t(3重線)、q(4重線)、m(多重線)、br(幅広)と表記する。
【0036】
低分解能質量スペクトル(MS)はJOEL JMS-AX505HA、JOEL SX-102またはSCIEX-APIiii分光計で記録した;高分解能MSはJOEL SX-102A分光計を用いて得た。総ての質量スペクトルはエレクトロスプレーイオン化(ESI)、化学イオン化(CI)、電子衝撃(EI)において、または高速原子衝撃法により得た。赤外線(IR)スペクトルは1mmNaClセルを用いるNicolet 510FT-IR分光器で得た。旋光性はPerkin-Elmer241偏光計で記録した。反応は総て0.25mm E.Merck シリカゲルプレート(60F-254)をUV光、5%エタノール性リンモリブデン酸またはp−アニスアルデヒド溶液で視覚化する薄層クロマトグラフィーでモニタリングした。フラッシュカラムクロマトグラフィーはシリカゲル(230−400メッシュ、Merck)で行った。旋光度はPerkin-Elmer型241偏光計を用いて得た。融点はMel-TempII装置を用いて測定し、補正は行わなかった。
【0037】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームによってその一部を示すように、有機合成の分野で公知な方法により製造してもよい。以下に記載する総てのスキームにおいて、必要であれば、感受性または反応性基の保護基を、通常の化学原理に従って使用し得ることは十分理解される。有機合成の標準的な方法(T. W. Green and P. G. M. Wuts (1991) Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)に従い、保護基を取り扱った。これらの基は当業者には容易に理解できる方法を用いて化合物合成の便宜な段階で除去される。方法の選択およびそれらの実施における反応条件ならびに順序は式(I)の化合物の製造と一致するものである。式(I)の化合物に立体中心が存在することは当業者には明らかであろう。よって本発明には可能性ある両立体異性体が含まれ、ラセミ化合物だけでなく、個々の鏡像異性体も含まれる。化合物が単独の鏡像異性体として所望される場合、立体特異的合成により、または最終生成物もしくはいずれの便宜な中間体の分割によって得てもよい。最終生成物、中間体または出発材料の分割は当技術分野で公知ないずれの好適な方法によって達成してもよい。例えば、E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander によるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley-Interscience, 1994)を参照されたい。
【0038】
式(Ia)(式中、X=CH、R=H、RおよびR=O、p=0)の化合物は、スキーム1aに示し、かつ実施例の節(以下参照)でさらに詳細に記載した合成順序に従って製造することができる。適当なアミノベンゾフェノン(A)と適宜(例えばFMOC)保護した塩化アミノ酸(B)とを適当な溶媒、例えばクロロホルム中でカップリングさせるとアミド(C)が得られる(J. Org. Chem. 1986, 51, 3732-3734)。またカルボジイミドによるカップリング(DCCまたはEDCによってなど)をこの縮合に用いてもよい。塩基によるアミノ保護基(例えば、トリエチルアミン、DCM)の除去およびその後の環化(酢酸、DCE)によって式(Ia)(ここで、Rが水素以外の置換基である化合物についてはRおよびRはともにOを表す)の化合物である(D)が得られ、アニリド窒素を、適当な溶媒(例えば、DMF)中、NaHのような塩基による脱プロトン化、続いてアルキル化剤、上記RIの添加により、アルキル化することができ、その結果式(Ia)でも表されるN−アルキル化化合物(E)が得られる。
【0039】
スキーム1a
【化5】

【0040】
式(I)(Z=O、p=1)の化合物のN4−オキシド誘導体は、スキーム1bに示した合成順序に従って、式(Ia)(式中、pは0である)の化合物から製造することができる。構造(E)で表されるベンゾジアゼピノンを適当な溶媒(例えば、DCM)中、mCPBAまたは他の酸化物での処理により酸化できることは当業者には容易に理解できる。
【0041】
スキーム1b
【化6】

【0042】
式(Ia)(式中、XがNHでありかつp=0)の化合物を上記の方法により容易に製造できる適当な3−アミノベンゾジアゼピンFから製造してもよい(R. G. Sherrill et al., J. Org. Chem. 1995, 60, 730)。このようにして得られた3−アミノ−1,4−ベンゾジアゼピンは、スキーム2に示し、かつ実施例の節(以下参照)でさらに詳細に記載した順序に従って操作することができる。3−アミノのアルキル化は2−ハロ酢酸塩(例えば、2−ブロモ酢酸塩)での処理または適当な不飽和エステル(例えば、アクリル酸メチル)との共役付加により達成され、誘導体Gが得られる。
【0043】
スキーム2
【化7】

【0044】
式(Ia)(式中、R=O)の化合物はトルエンまたは他の好適な溶媒中、Lawesson試薬によってそれらの対応物(式中、R=S)に変換できる(J. Org. Chem. 1964, 29, 231-233)。
【0045】
式(Ib)の化合物は、スキーム3に示し、かつ実施例の節(以下参照)でさらに詳細に説明したようにして合成してもよい。よって、上記のようにLawesson試薬による式(Ia)(式中、Rが水素であり、R=Oかつpが0である)の化合物(D)の反応によりチオラクタム(H)が得られる。
【0046】
スキーム3
【化8】

【0047】
テトラヒドロフラン中でチオラクタム(H)とRNHとを縮合させることにより、対応する式(Ib)の化合物が得られる。別法として、式(Ib)の化合物は、THF中でアミンRNHを、化合物(D)と適当な塩化ホスホリル試薬、好ましくはビスモルホリノホスホリル塩化物との反応により製造されるリン酸イミノ(I)に付加することにより製造することができる(Ning et al., J. Org. Chem. 1976, 41, 2720-2724; Ning et al., J. Org. Chem. 1976, 41, 2724-2727)。
【0048】
式(1c)(式中、U=CR、V=N)の化合物の製造方法をスキーム4に示し、かつさらに実施例の節(以下参照)で詳細に説明する。
【0049】
スキーム4
【化9】

【0050】
これらの方法は文献(WO96/20941、WO96/23790)に記載のものと類似している。チオラクタム(H)またはリン酸イミノ(I)のいずれかと適当なアミノアルコールHOCH(R)−CH(R)NH間で反応させることにより付加生成物(J)が得られる。ヒドロキシル基のSwern酸化(i.DMSO、TFAAまたは(COCl);TFA)により、自然にまたは適当な酸性条件下(例えば、p−トルエンスルホン酸、DMF)で環化脱水反応を受ける中間体ケトンまたはアルデヒドが得られ、式(1c)(式中、U=CR、V=N)の化合物が得られる。
【0051】
スキーム5に示すように、(I)とイソニトリルエステル(K)の陰イオンとの反応(J. Med. Chem. 1993, 36, 479-490; J. Med. Chem. 1993, 36, 1001-1006)により、生成物としてイミダゾール(L)が得られる;続いて実施例で説明した方法(以下参照)によるエステル官能基の分離により、式(1c)(式中、U=N、V=CH)の化合物が得られる。
【0052】
スキーム5
【化10】

【0053】
式(1c)(式中、XはCHであり、nはZであり、m=0、U=N、V=CH)の化合物の別の製造方法をスキーム6に示し、かつさらに実施例の節(以下参照)で詳細に説明する。C4−非置換イミダゾベンゾジアゼピン(M)を強酸(好ましくはt−ブトキシドカリウム)で処理し、陰イオンをアクリル酸t−ブチルのような好適なミカエル受容体で処理する。得られたエステル付加生成物(N)を強酸(例えば、TFA)で処理してt−ブチル基を除去し、カルボン酸(O)をエステル化し、ハロゲン化アルキルによる塩基によるアルキル化によって式(1c)の化合物が得られる。
【0054】
スキーム6
【化11】

【0055】
またこれらの化合物の別の製造方法についても説明されている(例えば、J. Org. Chem. 1978, 43, 936-944)。
【0056】
式(1c)(式中、U=N、V=N)の化合物はスキーム7に示し、かつさらに実施例の節(以下参照)で詳細に記載したようにして製造され得る。チオラクタム(H)はその対応するメチルチオイミデート(P)に変換され、次いで縮合および環化脱水反応を受けて所望のトリアゾロベンゾジアゼピンが得られる。
【0057】
スキーム7
【化12】

【0058】
重要な中間体の合成
次の節では式(I)の化合物の合成に使用し得る中間体の製造を記載する。これらの実施例では中間体の合成で記載した方法により出発材料が製造できる。これらの方法をいかに式(I)の総ての化合物に含めて適用するかは当業者には容易に明らかとなろう。
【化13】

【0059】
FMOC−Glu(OMe)−OHの合成はInt. J. Peptide Protein Res. 1989, 33, 353に記載されるように行った。
【0060】
中間体1
【化14】

FMOC−Glu(OMe)−OH(80g、0.21モル)をCHCl(523mL)に溶解した。DMF(1mL)を加え、次いで塩化オキサリル(19mL、0.22モル)を滴下した。この溶液を室温で4時間攪拌し、真空濃縮して約200mLとした。この攪拌濃縮液にヘキサンを迅速に滴下した。得られたスラリーを30分間攪拌し、濾過して白色の固体として所望の酸塩化物を得た(83g、98%)。
【0061】
中間体2
【化15】

−40℃のヘキサン中の2.5M n−ブチルリチウム溶液(400mL、1000ミリモル、4当量)およびジエチルエーテル(1L)に、2−ブロモピリジン(173.93g、1101ミリモル、4.4当量)を約30分にわたって加えた。反応物を−40℃で1時間攪拌した後、THF(1L)中の5−ブロモアントラニリル酸(54.14g、250.6ミリモル、1当量)で処理した。反応物を0℃まで温め、0℃で2時間攪拌し、次いでクロロトリメチルシラン(625mL、4924ミリモル、20当量)でクエンチした。反応物を周囲温度で30分攪拌し、次いで0℃まで冷却し、3N HCl(625mL)でクエンチした。水層を分離し、有機層を3N HClで1回抽出した。合した水層を氷浴で冷却しながら固体の水酸化ナトリウムペレットで中和した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出した(3×1L)。合したエーテル層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して黒色の油状物質を得、次いでこれをフラッシュクロマトグラフィー(1Lシリカゲル、20〜30%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して褐色の固体として所望の化合物を得た(62g、224ミリモル、89.3%)。
【0062】
中間体3
【化16】

t−ブチルリチウム(ペンタン中1.7M溶液43.4mL、73.8ミリモル)をTHF(154mL)中のN−BOC−4−クロロアニリン(7.00g、30.8ミリモル)溶液に−78℃で加えた。反応混合物を15分間攪拌した後、−20℃まで温め、さらに2時間攪拌した。反応混合物を−78℃まで冷却し、2−ピリジンカルボキサルデヒド(2.92mL、30.8ミリモル)で処理し、2時間攪拌し、飽和NaHCO(約50mL)で処理し、室温まで温めた。この混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc(1×500mL)で抽出した。有機相を飽和NaHCO水溶液(1×100mL)、HO(1×100mL)、飽和NaCl水溶液(1×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をCHCl(150mL)に溶解し、活性MnO(重量58% 、30.0g、200ミリモル)で処理し、18時間攪拌した。反応混合物をCHCl(約100mL)を用いるセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。ヘキサン−EtOAc9:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫として中間体BOC保護アミノベンゾフェノン6.02g(59%)を得た。
【0063】
CHCl中の上記のBOC保護アミノベンゾフェノン(5.93g、17.8ミリモル)およびHCl(1,4−ジオキサン中4M溶液18.0mL、71.3ミリモル)溶液を室温で4時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(約200mL)で希釈し、COの発生が止まるまで飽和NaHCO水溶液で処理した。層を分離し、有機相を飽和NaHCO水溶液(1×50mL)、HO(1×50mL)、飽和NaCl水溶液(1×50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して黄色の非晶質固体として標題化合物3.83g(92%)を得た;H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.68 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.02 (ddd, J = 7.8, 7.8, 1.6 Hz, 1H)、7.78 (d, J = 7.8 Hz, 1H)、7.59 (m, 1H)、7.52 (d, J = 2.6 Hz, 1H)、7.42 (br s, 2H)、7.31 (dd, J = 9.0, 2.6 Hz, 1H)、6.89 (d, J = 9.0 Hz, 1H);
ESIMS 233 (M+H)、107 (base)。
【0064】
中間体4
【化17】

CHCl(35mL)中の2−(2−アミノベンゾイル)ピリジン(1.29g、6.32ミリモル、Syn. Comm. 1996, 26, 721-727)および無水トリフルオロ酢酸(1.10mL、7.79ミリモル)溶液を42℃で5時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc(約250mL)に溶解し、 飽和NaHCO水溶液(2×50mL)、HO(1×50mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮してトリフルオロアセトアニリド1.91g(99%)を得た。
【0065】
濃HSO(12mL)中のKNO(905mg、8.96ミリモル)混合物を、反応温度を氷浴で16℃以下に保持しながら濃HSO(18mL)中のアミド(1.76g、5.97ミリモル)混合物に加えた。反応混合物を室温まで温め、4時間攪拌し、氷(約150g)に注入した。温度を氷浴で18℃以下に保持しながら25%NaOH水溶液(約175mL)を徐々に添加し、混合物を中和した。水層をEtOAc(2×200mL)で抽出した。合した有機抽出物をHO(1×100mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して固体を得た。20%EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、黄色の固体として4−ニトロ−トリフルオロアセトアニリド化合物1.19g(59%)を得た。
【0066】
上記で製造したニトロ化合物(1.14g、3.36ミリモル)、MeOH(33mL)、およびHO(13mL)の混合物をKCO(2.32g、16.8ミリモル)で処理し、還流下で2時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、MeOHを減圧下で除去した。水性の残渣をEtOAc(2×200mL)で抽出した。合した有機抽出物をHO(1×100mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して黄色の固体として定量的収量の中間体4を得た。
【0067】
中間体5
【化18】

チオラクタム(実施例I−28、400mg、1.03ミリモル)、DL−1−アミノ−2−プロパノール(0.64mL、620mg、8.24ミリモル)およびTHF(5mL)の混合物を実施例の節で実施例1b−1で記載した一般法に従い用いた。生成物をヘキサン−EtOAc3:7で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、ジアステレオマーの混合物として標題化合物300mg(68%)を得た:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.40 (m, 2H)、7.34 (d, 1H, J = 8.8 Hz)、7.17 (m, 2H)、7.07 (m, 2H)、5.62 (m, 1H)、4.02 (m, 1H)、3.68 (s, 3H)、3.27 (m, 3H)、2.79 (m, 1H)、2.44 (m, 3H)、1.20 (m, 3H)。
【0068】
以下の中間体は上記の方法に従って製造した。
中間体6
【化19】

76%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.36 (m, 3H)、7.15 (m, 4H)、5.21 (s, 1H)、3.65 (m, 6H)、3.23 (m, 1H)、2.80 (m, 1H)、2.41 (m, 3H)、1.24 (m, 3H)。
【0069】
中間体7
【化20】

58%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.42 (m, 2H)、7.35 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz)、7.13 (m, 4H)、5.94 (d, 1H, J = 5.6 Hz)、4.23 (br s, 1H)、3.97 (m, 1H)、3.83 (d, 2H, J = 4.8 Hz)、3.68 (m, 5H)、3.28 (dd, 1H, J = 3.6, 10.4 Hz)、3.08 (br s, 1H)、2.76 (m, 1H)、2.47 (m, 3H); MS (ES) m/z 448 (M)。
【0070】
中間体8
【化21】

66%;H NMR (300 MHz, CDCl) δ 7.47 (m, 3H)、7.24 (m, 2H)、7.14 (m, 2H)、5.99 (br s, 1H)、3.81 (m, 1H)、3.72 (s, 3H)、3.62 (m, 2H)、3.53 (m, 2H)、3.30 (m, 1H)、2.80 (m, 1H)、2.50 (m, 3H); MS (CI) m/z 448 (M+H)
【0071】
中間体9
【化22】

THF(6mL)中のチオン(実施例I−30、255mg、0.68ミリモル)およびDL−1−アミノ−2−プロパノール(0.53mL、6.80ミリモル)の溶液を還流下で18時間加熱し、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(約50mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×10mL)、HO(3×10mL)、飽和NaCl水溶液(1×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。ヘキサン−アセトン3:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫としてアミジン198mg(70%)を得た;ESIMS 415(M+H、塩基)。
上記の方法に従って以下の中間体を製造した:
中間体10
【化23】

36%;ESIMS 415(M+H、塩基)。
【0072】
中間体11
【化24】

38%;MS(ESI)m/z 430(M)。
【0073】
中間体12
【化25】

35%;MS(ESI)m/z 430(M)。
【0074】
中間体13
【化26】

3−アミノ−2−ブタノール(J. Org. Chem. 1977, 42, 3541)と縮合、56%(ジアステレオマー混合体);H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.65 (d, 1H, J = 4.5 Hz)、7.81 (m, 2H)、7.34 (m, 2H)、7.18 (m, 2H)、5.30 (m, 1H)、3.90 (m, 1H)、3.76 (m, 1H)、3.70 (m, 3H)、3.32 (m, 1H)、2.77 (m, 1H)、2.50 (m, 3H)、1.24 (m, 3H)、1.24 (m, 3H)、1.11 (m, 3H); MS (ES) m/z 428 (M)。
【0075】
中間体14
【化27】

27%;H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.52 (d, 1H, J = 4.8 Hz)、7.91 (m, 2H)、7.45 (t, 1H, J = 6 Hz)、7.36 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz)、7.08 (m, 3H)、4.73 (t, 1H, J = 5.6 Hz)、3.57 (s, 3H)、3.48 (m, 2H)、3.18 (m, 2H)、2.5 (m, 2H)、2.24 (m, 2H); MS (ESI) m/z 401 (M)。
【0076】
中間体15
【化28】

THF(21mL)中のラクタム(実施例I−10、7.31g、18.2ミリモル)溶液を0℃でTHF(70mL)中のNaH(油中60%分散系870mg、21.8ミリモル)の懸濁液に加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、室温まで温めて30分間攪拌し、次いで0℃まで冷却した。
(ジモルホリノ)ホスホロクロリデート(6.48g、25.5ミリモル)を加え、混合物を4.5時間にわたり室温まで温め、混合物をさらなるTHF(約10mL)で濾過した。この濾液とDL−1−アミノ−2−プロパノール(2.80mL、36.4ミリモル)の混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(約250mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×75mL)、HO(2×75mL)、飽和NaCl水溶液(1×75mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。EtOAc−MeOH19:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫として中間体15を3.06g(37%)得た;ESIMS 459(M+H、塩基)。
【0077】
中間体16
【化29】

ベンゾジアゼピノンI−1(510mg)をジオキサン(6mL)に溶解し、0℃まで冷却した。これに1M LiOH水溶液4mLを加えた。この混合物をTLCが反応の完了を示すまで0℃で攪拌した。混合物を1M HPOで酸性化し、酢酸エチルで抽出した(3回)。合した有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して黄褐色の粉末として中間体16を得た(400mg)。
【0078】
中間体17
【化30】

乾燥したフラスコの中に窒素雰囲気下でDMF(60mL)、t−ブチルイソシアノ酢酸(0.69mL、4.5ミリモル)およびリン酸イミノ(中間体19,1.44g、2.82ミリモル)を入れた。内容物を0℃まで冷却した後、カリウムt−ブトキシド(0.532g、4.5ミリモル)で処理した。得られた紫色の溶液を0℃で30分間攪拌し、次いで5%酢酸溶液100mLを含有するフラスコに注いだ。水層を酢酸エチルで抽出し、抽出物を水で3回洗浄した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、収率95%で中間体17(1.35g、2.70ミリモル)を得た。H NMR (CDCl): 7.90 (s, 1H)、7.50-7.60 (m, 3H)、7.44 (m, 1H)、7.20-7.26 (m, 2H)、7.03 (t, 1H, J = 9.3 Hz)、6.50 (dd, 1H, J = 6.7, 9.3 Hz)、3.55 (s, 3H)、2.32-2.46 (m, 2H)、1.85-2.00 (m, 2H)、1.60 (s, 9H)。
MS (ES+) = 498 (10%, M+)、520 (80%, M+22)。
【0079】
中間体18
【化31】

ベンゾジアゼピノンI−3(1.25g、3.0ミリモル)をTHF(10mL)中のNaH(3.3ミリモル)の懸濁液に加えた。得られた溶液を10分間攪拌し、ビス−モルホリノホスホロクロリデート(762mg、3.0ミリモル;Ning et al., J. Org. Chem. 1976, 41, 2720-2724)を加えた。1時間後、さらに塩化ホスホリル100mgを加えた。混合物を1時間攪拌し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィーに付し(CHCl:エーテル4:1およびCHCl:酢酸エチル:メタノール8:1:1勾配で溶出)、白色の泡沫としてリン酸イミノ中間体18を1.3g得た。
【0080】
中間体19
以下の中間体は上記中間体18で示された方法に従い、実施例I−1を出発ベンゾジアゼピノンとして用いて製造した。
【化32】

【0081】
式Iaの化合物の合成
【化33】

【0082】
実施例I−1
3−[(3S)−7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]プロパン酸メチル
【化34】

【0083】
2−アミノ−5−クロロ−2’−フルオロベンゾフェノン(24.9g、99.7ミリモル)、酸塩化物(中間体1,41.7g、104ミリモル)、およびCHCl(100mL)の混合物を還流下で30分間加熱し、次いで室温まで放冷した。エーテル(600mL)を加えて沈殿を形成した。反応混合物を0℃まで15分間冷却し、固体を回収し、さらなるエーテルで洗浄した。固体を真空乾燥してアミド55.4g(90%)を得た。H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 8.70 (d, 2H, J = 9.2 Hz)、7.74 (d, 2H, J = 11.2 Hz)、7.62 (m, 4H)、7.46 (s, 1H)、7.37 (m, 2H)、7.26 (m, 3H)、7.17 (m, 1H)、5.80 (d, 1H, J = 6 Hz)、4.48 (m, 2H), 4.34 (m, 1H) 4.24 (m, 1H) 3.68 (s, 3H) 2.55 (m, 3H) 2.14 (m, 1H)。
【0084】
CHCl(170mL)中のアミド(42g、68ミリモル)およびEtN(170mL)の混合物を40℃で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を5分間真空乾燥させて油状物質を得た。この油状物質にHOAc(35mL)および1,2−ジクロロエタン(665mL)を加え、混合物を40℃で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をCHClに溶解し、シリカゲルでスラリーとし、乾燥させて流動性粉末を得た。このシリカゲルをヘキサンで洗浄し、これを廃棄し、次いでCHCl:CHOH 9:1で洗浄した。CHCl/CHOHの洗液を合し、減圧下で濃縮して油状物質を得た。エーテルをこの油状物質に加えて白色の固体を得、これを濾過し、さらなるエーテルで洗浄し、真空乾燥させて標題化合物14g(55%)を得た。H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.94 (br s, 1H)、7.54 (m, 1H)、7.45 (m, 1H)、7.23 (m, 1H)、7.20 (d, 1H, J = 2.4 Hz)、7.12 (d, 1H, J = 8.8 Hz)、7.06 (m, 1H)、3.67 (m, 4H)、2.68 (m, 2H)、2.60 (m, 1H)、2.51 (m, 1H)。
【0085】
以下の化合物は上記実施例I−1で示された一般法に従って製造した。この実施例の合成に必要な出発物質または条件の改変は有機合成に関わる当業者であれば容易に理解できるであろう。例えば、実施例I−2の化合物合成において、合成に必要なアミノ酸塩化物はL−アスパラギン酸に由来することが容易に理解できるはずである。
【0086】
実施例I−2
【化35】

H NMR (300 MHz, DMSO) δ 11.0 (bs, 1H)、4.05 (t, 1H)、3.7 (s, 3H)。MS (ES+): 361 (M+1)
【0087】
実施例I−3
【化36】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.74 (bs, 1H)、7.61-7.43 (m, 3H)、3.67 (s, 3H)、2.70-2.49 (m, 4H)。
【0088】
実施例I−4
【化37】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.08 (bs, 1H)、7.58-7.03 (m, 7H)、3.67 (s, 3H)、2.74-2.44 (m, 4H)。
【0089】
実施例I−5
【化38】

H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.78 (bs, 1H)、5.04 (s, 2H)、3.55 (m, 1H)
【0090】
実施例I−6
【化39】

H NMR (400 MHz, DMSO) δ 10.9 (bs, 1H)、5.1 (s, 2H)、4.05 (t, 1H)。MS (ES+): 437 (M+1)
【0091】
実施例I−7
【化40】

H NMR (300 MHz, CDCl) δ 9.04 (bs, 1H)、3.72 (m, 1H)、3.66 (s, 3H)。MS (ES): 391 (M+1)
【0092】
実施例I−8
【化41】

H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.5 (bs, 1H)、3.7 (s, 3H)、3.6 (m, 1H)。MS (ES): 389 (M+1)
【0093】
実施例I−9
【化42】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.59 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.07 (d, J = 7.9 Hz, 1H)、7.80 (comp, 2H)、7.46 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H)、7.35 (m, 2H)、7.30 (comp, 5H)、7.01 (d, J = 8.6 Hz, 1H)、5.10 (s, 2H)、3.75 (dd, J = 5.8, 4.0 Hz, 1H)、2.73 (dd, J = 7.1 Hz, 2H)、2.56 (m, 2H); ESIMS 456 (M+Na)、434 (M+H, base); 元素分析値:C24H20ClNO-0.25HOについての計算値: C, 65.75; H, 4.71; N, 9.59。実測値:C, 65.65; H, 4.96; N, 9.19。
【0094】
実施例I−10
【化43】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.60 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.09 (comp, 2H)、7.82 (ddd, J = 7.8, 7.8, 1.3 Hz, 1H)、7.60 (dd, J = 8.6, 2.2 Hz, 1H)、7.53 (d, J = 2.2 Hz, 1H)、7.37 (dd, J = 7.2, 5.0 Hz, 1H)、6.98 (d, J = 8.6 Hz, 1H)、3.76 (dd, J = 7.5, 5.9 Hz, 1H)、3.67 (s, 3H)、2.67 (m, 2H)、2.56 (m, 2H); ESIMS 424 (M + Na)、402 (M+H, base)。
【0095】
実施例I−11
【化44】

38%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.58 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.07 (d, J = 7.8 Hz, 1H)、7.94 (s, 1H)、7.80 (ddd, J = 7.8, 7.8, 1.6 Hz, 1H)、7.52 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H)、7.37 (m, 2H)、7.02 (d, J = 8.6 Hz, 1H)、3.75 (dd, J = 7.6, 5.6 Hz, 1H)、3.65 (s, 3H)、2.66 (m, 2)、2.53 (m, 2H)。
【0096】
実施例I−12
【化45】

H NMR (300 MHz, CDCl) δ 9.0 (bs, 1H)、3.6 (m, 1H)、1.4 (s, 9H)。MS (ES): 431 (M+1)
【0097】
実施例I−13
【化46】

テトラフルオロホウ酸ニトロニウム(スルホラン中0.5M溶液4.85mL、2.43ミリモル)をCHCN(7.4mL)中のA環非置換ベンゾジアゼピン(501mg、1.47ミリモル)溶液に0℃で加えた。反応混合物を一晩放置して室温まで温め、HOを添加してクエンチした。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液、HO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して油状物質を得た。ヘキサン−EtOAc55:45で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、スルホラン中に生成物を得た。この物質をエーテルとHOとで分液し、層を分離し、水層をエーテルで抽出した。合したエーテル層をHO(3回)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して黄色の固体として標題化合物を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.31 (s, 1H)、7.92 (d, 1H)、7.65-7.55 (m, 2H)、3.57 (s, 3H)、2.63-2.17 (m, 4)。MS (AP+) 計算値。
MH+ 386, 386; (AP-) 計算値。[M-H]-384, 実測値:384。
【0098】
実施例I−14
【化47】

実施例I−14は次のエステル交換法(Otera, J. et al. J. Org. Chem. 1991, 56, 5307)を用いて、対応するメチルエステル(実施例I−11)から製造した:
【0099】
PhCH(0.1M)中のメチルエステル(1当量)、プロピルアルコール(4〜5当量)、およびビス(ジブチルクロロチン)オキシド(0.1当量)の混合物を、TLCによって反応が完了したとみなされるまで還流下で加熱した。反応混合物を室温まで放冷し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−EtOAcで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望のプロピルエステル(90%)を生じた。ESIMS 408(M+Na、塩基)、386(M+H);C2020ClNの理論値:ESIMS 408 (M+Na, base)、386 (M+H); 元素分析値:C20H20ClNOについての計算値: C, 62.26; H, 5.22; N, 10.89。実測値:C, 62.00; H, 5.32; N, 10.69。
【0100】
以下の化合物は上記実施例I−14で示された一般法に従い、好適なメチルエステルを出発材料として用いて製造した。
【0101】
実施例I−15
【化48】

66%;ESIMS 394 (M+Na, base)、372 (M+H); 元素分析値:C2lH22ClNO-0.25HOについての計算値: C, 60.64; H, 4.96; N, 11.17。実測値:C, 60.54; H, 5.01; N, 10.96。
【0102】
実施例I−16
【化49】

H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 8.85 (bs, 1H)、8.57 (d, 2H)、5.13 (s, 2H)。
【0103】
実施例I−17
【化50】

H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 8.38 (bs, 1H)、4.05 (t, 2H)、1.37-1.32 (m, 2H)、0.89 (t, 3H)。ESIMS 439 (M+Na)、417 (M+H, base)。
【0104】
実施例I−18
【化51】

91%;ESIMS 422 (M+Na, base)、400 (M+H); 元素分析値:C21H22ClNOについての計算値: C, 63.08; H, 5.55; N, 10.51。実測値:C, 62.83; H, 5.59; N, 10.44。
【0105】
実施例I−19
【化52】

88%;ESIMS 422 (M+Na, base)、400 (M+H); 元素分析値:C21H22ClNOについての計算値: C, 63.08; H, 5.55; N, 10.51。実測値:C, 62.82; H, 5.65; N, 10.36。
【0106】
実施例I−20
【化53】

対応するカルボン酸(中間体16)のフィッシャーのエステル化(エタノール、TFA)によって製造。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.54 (bs, 1H)、4.2 (m, 3H)、1.3 (t, 3H)。
【0107】
実施例I−21
【化54】

対応するカルボン酸(中間体16)のフィッシャーのエステル化(2−プロパノール、微量濃HSO)によって製造。ESIMS403(M+H、塩基)
【0108】
実施例I−22
【化55】

ベンゾジアゼピンI−1(308mg、0.82ミリモル)をDMF(8mL)中のNaH(39mg、0.98ミリモル)の攪拌懸濁液に加えた。得られた混合物を均質な溶液が形成されるまで15分間70℃まで加熱した。この溶液に2−クロロエチル−ジエチルアミン(270mg、1.6ミリモル)を加えた。得られた溶液を30分間攪拌し、酢酸エチルとHOとで分液した。有機相を飽和HOおよび飽和NaCl水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール 95:5)により黄色の油状物質として所望の化合物を得た(88%)。H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 4.39-4.31 (m, 1H)、3.64 (s, 3H)、0.99 (t, 6H)。ESIMS 474 (M+H, base)。
【0109】
以下の化合物は実施例I−22で示された一般法に従って製造した。この実施例の合成に必要な出発物質または条件の改変は有機合成に関わる当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0110】
実施例I−23
【化56】

H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 3.65 (s, 3H)、3.43 (s, 3H)。
【0111】
実施例I−24
【化57】

H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 5.21-5.11 (dd, 2H)、4.14 (t, 1H)、3.41 (s, 3H)。
【0112】
実施例I−25
【化58】

H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 5.07 (s, 2H)、4.37-4.30 (m, 1H)、3.77 (m, 1H)、3.64 (m, 1H)。ESIMS 550 (M+H, 塩基)。
【0113】
実施例I−26
【化59】

3−アミノ−ベンゾジアゼピン(J. Med. Chem. 1968, 11, 457;0.15g、0.47ミリモル)およびDMF(4mL)を丸底フラスコに加え、0℃まで冷却した。トリエチルアミン(0.07mL、0.05g、0.52ミリモル)をこの反応混合物に加え、次いでブロモ酢酸メチル(0.04mL、0.07g、0.47ミリモル)を滴下した。反応物を4時間にわたって室温まで温めた。反応が完了したと判断されたら、酢酸エチルおよび水を含有する分液漏斗にこの混合物を注いだ。有機層を回収し、水、飽和ブライン水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物を酢酸エチル/ヘキサン4:1を溶出剤として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって単離し、白色の固体として化合物I−26を得た(57%)。H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 11.0 (s, 1H)、7.59 (m, 5H)、7.29 (d, 1H, J = 9 Hz)、6.98 (d, 1H, J = 2.4 Hz)、4.41 (s, 1H)、3.65 (m, 2H)、3.63 (s, 3H)、3.22 (bs, 1H)。MS (ES): 392 (M)。
【0114】
実施例I−27
【化60】

3−アミノ−ベンゾジアゼピン(J. Med. Chem. 1968, 11, 457;0.15g、0.47ミリモル)およびエタノール(3mL)を丸底フラスコ内で合した。アクリル酸メチル(0.05mL、0.05g、0.52ミリモル)を加え、反応混合物を20℃で5日間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび水を含有する分液漏斗に注いだ。有機層を回収し、水、飽和ブライン水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物を酢酸エチル/ヘキサン4:1を溶出剤として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって単離し、白色の固体として化合物I−27を得た(12%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 10.88 (s, 1H)、7.58 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz)、7.49 (m, 4H)、7.22 (d, 1H, J = 8.8 Hz)、6.93 (d, 1H, J = 2.4 Hz)、4.23 (s, 1H)、3.54 (s, 3H)、3.09 (bs, 1H)、2.86 (bs, 2H)、2.60 (m, 1H)。
【0115】
実施例I−28
【化61】

ベンゾジアゼピノン(実施例I−1、16.95g、45.32ミリモル)、Lawesson試薬(21.97g、54.32ミリモル)およびPhCH(200mL)の懸濁液を100℃で加熱した。30分後、反応が均質になったら完了と判断し、室温まで放冷したところ沈殿が生じた。エーテル(400mL)を加え、さらに沈殿を形成させ、混合物を濾過した。濾液にシリカゲルを加え、この混合物を減圧下で濃縮して流動性の粉末を得た。このシリカゲルをCHClでスラリーとし、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して粘稠な黄色の油状物質を得た。エーテルをこの油状物質に加えて淡黄色の固体を沈殿させ、これを濾過し、さらなるにエーテルで洗浄し、真空乾燥して黄色の固体としてI−28を11.47g(65%)得た。H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 10.1 (br s, 1H)、7.60 (t, 1H, J = 7.4 Hz)、7.51 (m, 2H)、7.21 (m, 2H)、7.19 (d, 1H, J = 8.4 Hz)、7.15 (t, 1H, J = 9.3 Hz)、3.95 (m, 1H)、3.69 (s, 3H)、2.86 (m, 1H)、2.68 (m, 3H)。
【0116】
以下の実施例は実施例I−28に示された方法に従って製造した:
実施例I−29
【化62】

MS(ES):408(M+1)
【0117】
実施例I−30
【化63】

PhCH(19ml)中のベンゾジアゼピノン実施例I−11(1.00g、2.80ミリモル)およびLawesson試薬(1.13g、2.80ミリモル)の混合物を還流下で2時間加熱し、室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を直ちにCHCl:MeOH 50:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫としてチオン260mg(25%)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 12.58 (s, 1H)、8.55 (d, J = 4.4 Hz, 1H)、8.03 (d, J = 7.9 Hz, 1H)、7.95 (m, 1H)、7.65 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H)、7.51 (dd, J = 6.4, 5.0 Hz, 1H)、7.37 (comp, 2H)、3.83 (m, 1H)、3.58 (s, 3H)、2.52 (m, 4H)。
【0118】
実施例I−31
【化64】

ベンゾジアゼピノン実施例I−1(374mg、1ミリモル)をCHCl(7mL)に溶解した。これにmCPBA(393mg、2.3ミリモル)を一度に加えた。この混合物を18時間攪拌し、CHCl(50mL)で希釈し、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を直ちにCHCl:MeOH 95:5で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、白色の固体としてN−オキシド289mgを得た(74%)。H NMR NMR (CDCl, 400 MHz) δ 9.02 (br s, 1H)、4.50 (m, 1H)。ESIMS 413 (M+Na, 塩基)。
【0119】
式Ibの化合物の合成
式(Ib)の化合物は式(Ia)(式中、Rは水素であり、R,RはSである)の対応するチオラクタムから以下の一般法により製造した。
【0120】
一般法I:チオラクタムへのアミン添加によるアミジン生成
チオラクタム、適当なアミン(チオラクタム1ミリモル当たり5〜20ミリモル)、およびテトラヒドロフラン(THF、チオラクタム1ミリモル当たり2〜10mL)かまたは1,4−ジオキサン(チオラクタム1ミリモル当たりジオキサン2〜10mL)かのいずれかを合し、50℃(THFの場合)または95℃(ジオキサンの場合)で2〜72時間加熱した。TLCによって反応が完了したと判断されたら、反応混合物を室温まで放冷した。溶媒を真空除去し、場合によっては、残渣を直接シリカゲルのクロマトグラフィーに付し、所望のアミジンを得た。あるいは、残りの残渣を適当な溶媒(例えばEtOAc)に溶解し、生成物をHO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSOまたはCaSO)、濾過し、溶媒を再び減圧下で除去し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーに付し、式Ibの所望のアミジンを得た。
【0121】
以下の化合物は上記の一般法に従って製造した。この実施例の合成に必要な出発物質または条件の改変は有機合成に関わる当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0122】
実施例Ib−1
メチル3−[(3S)−7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2−(メチルアミノ)−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]プロパノエート
【化65】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.43-7.05 (m, 7H)、5.20 (bs, 1H)、3.68 (s, 3H)、2.87 (d, 3H)、2.51-2.30 (m, 3H)。MS (ESI) m/z 388 (M+H), 塩基。
【0123】
実施例Ib−2
【化66】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.82 (d, 1H)、8.43 (t, 1H)、8.14 (d, 1H)、7.97 (m, 1H)、7.80 (dd, 1H)、7.64 (m, 2H)、4.17 (dd, 1H)、3.65 (s, 3H)、3.14 (s, 3H)、2.84-2.36 (m, 4H)。MS (AP+) m/z 371 (M+H)
【0124】
実施例Ib−3
【化67】

23%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.52-7.06 (m, 7H)、5.00 (bs, 1H)、3.70 (s, 3H)、3.52-3.22 (m, 3H)、2.80 (m, 1H)、2.57-2.33 (m, 3H)、1.21 (t, 3H)。
【0125】
実施例Ib−4
【化68】

32%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.46-7.08 (m, 12H)、5.26 (bs, 1H)、4.68 (dd, 1H)、4.47 (dd, 1H)、3.67 (s, 3H)、3.29 (m, 1H)、2.80 (m, 1H)、2.52-2.31 (m, 3H)。
MS (ESI) m/z 464 (M+H), 塩基。
【0126】
実施例Ib−5
【化69】

66%;H NMR (CDCl =, 400 MHz) δ 8.50 (d, 2H, J = 6.0 Hz)、7.42 (m, 2H)、7.34 (dd, 1H, J = 8.7, 2.4 Hz)、7.25 (d, 1H, J = 9.3 Hz)、7.14 (m, 2H)、7.11 (m, 3H)、5.60 (br s, 1H)、4.60 (d, 2H, J = 4.8 Hz)、3.68 (s, 3H)、3.30 (dd, 1H, J = 10.3, 3.1 Hz)、2.83 (m, 1H)、2.50 (m, 3H)。MS (CI): 465 (M+H)
【0127】
実施例Ib−6
【化70】

70%;H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 8.52 (d, 2H, J = 6.0 Hz)、7.46 (m, 3H)、7.27-7.10 (m, 6H)、5.28 (br s, 1H)、3.72 (brm, 5H)、3.28 (dd, 1H, J = 9.9, 3.9 Hz)、2.98 (t, 2H, J = 7.05 Hz)、2.70 (m, 1H)、2.48 (m, 2H)、2.32 (m, 1H)。MS (CI): 479 (M+H)
【0128】
実施例Ib−7
【化71】

84%;H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 7.45 (t, 2H, J = 6.9 Hz)、7.38 (dd, 1H, J = 8.8, 2.2 Hz)、7.23 (m, 2H)、7.12 (m, 2H)、5.16 (br s, 1H)、3.74 (s, 3H)、3.30 (m, 3H)、2.85 (m, 1H)、2.50 (m, 3H)、1.92 (m, 1H)、0.98 (t, 6H, J = 7.0 Hz)。MS (ES): 429 (M)。
【0129】
実施例Ib−8
【化72】

68%;H NMR (CDCl, 300 MHz) δ 7.57 (s, 1H)、7.45 (m, 3H)、7.24 (m, 2H)、7.14 (m, 2H)、6.82。
【0130】
実施例Ib−9
【化73】

66%;H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 7.47 (m, 3H)、7.37 (m, 1H)、7.25 (t, 1H, J = 7.2 Hz)、7.17 (m, 2H)、6.03 (br s, 1H)、3.85 (m, 3H)、3.74 (s, 3H)、3.51 (m, 1H)、3.39 (m, 1H)、2.83 (m, 1H)、2.48 (m, 3H)。MS (CI): 418 (M+H)
【0131】
実施例Ib−10
【化74】

イミノホスフェート中間体18 1.3gをTHF(10mL)に溶解し、CHNH(2M THF溶液6mL、12ミリモル)で処理した。3時間後、この混合物を濾過し、濃縮して油状物質を得た。ジイソプロピルエーテル:ヘキサンでトリチュレートして白色の固体としてIb−10を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.50-7.06 (m, 7H)、5.15 (d, 1H)、3.70 (s, 3H)、2.95 (d, 3H)、2.79 (m, 1H)、2.53-2.31 (m, 3H)。
【0132】
式Icの化合物の合成
一般法I:塩化オキサリルを活性剤として用いるアルコールのSwern酸化
丸底フラスコに攪拌棒を取り付け、Nでフラッシした。このフラスコにCHCl(アルコール1ミリモル当たり5〜15mL/)、無水ジメチルスルホキシド(アルコール1ミリモル当たりDMSO3〜4ミリモル)を加え、この溶液をドライアイス/アセトン浴によって−78℃まで冷却した。反応温度を−50℃以下に保ちながら、塩化オキサリル(アルコール1ミリモル当たり2〜3ミリモル)をDMSO溶液に滴下した。添加が完了したら、得られた溶液を−78℃で30分間攪拌した。アルコールをCHCl(アルコール1ミリモル当たり2〜3mL)に溶解し、−78℃で注意深くDMSO溶液に加えた。得られた混合物を−78℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン(アルコール1ミリモル当たり5〜11ミリモル)を加え、混合物を室温まで温めた。反応が完了したと判断したら、CHClおよび水を含有する分液漏斗にこの混合物を注いだ。有機層を回収し、水、飽和ブライン水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して所望の生成物を得、ほとんどの場合、これをさらなる精製を行わずに用いた。必要であれば、この生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製した。
【0133】
一般法II:無水トリフルオロ酢酸を活性化剤として用いるアルコールのSwern酸化
無水DMSO(アルコール1ミリモルあたり3〜4ミリモル)をCHCl(アルコール1ミリモル当たり5〜15mL)に加え、この溶液を−78℃まで冷却した。反応温度を−50℃以下に保ちながら、無水トリフルオロ酢酸(アルコール1ミリモル当たり2〜3mL)をDMSO溶液に滴下した。添加が完了したら、得られた溶液を−78℃で30分間攪拌した。CHCl(アルコール1ミリモル当たり2〜3mL)中のこのアルコールを−78℃で注意深くDMSO溶液に加えた。得られた混合物を−78℃で2時間攪拌し、5分間放置して−35℃まで温まったら、再び−78℃まで冷却した。EtN(アルコール1ミリモル当たり5〜11ミリモル)を加え、−78℃で30分間攪拌を続け、その後反応混合物を放置して室温まで温めた。反応が完了したと判断したら、HOおよびCHClを含有する分液漏斗にこの混合物を注ぎ、層を分離した。有機層をHO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去して所望の生成物を得、ほとんどの場合、これをさらなる精製を行わずに用いた。必要であれば、この生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0134】
実施例Ic−1
【化75】

アルコール(実施例Ib−9、200mg、0.48ミリモル)、DMSO(0.12mL、130mg、1.70ミリモル)、無水トリフルオロ酢酸(0.12mL、180mg、0.84ミリモル)、CHCl(5mL)およびEtN(0.77mL、560mg、5.52ミリモル)の混合物を一般法IIに従って用いた。生成物をヘキサン−EtOAc1:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して白色の固体としてIc−1を70mg(35%)得た:H NMR (300 MHz, CDCl) δ 7.63 (m, 2H)、7.49 (m, 3H)、7.27 (m, 3H)、7.06 (t, 1H, J = 9.3 Hz)、4.13 (m, 1H)、3.70 (s, 3H)、2.86 (m, 4H); MS (ES) m/z 398 (M+H)
【0135】
実施例Ic−2
【化76】

アルコール(中間体5、160mg、0.37ミリモル)、DMSO(90μL、0.10g、1.30ミリモル)、無水トリフルオロ酢酸(90μL、0.14g、0.65ミリモル)、CHCl(5mL)およびEtN(0.60mL、0.43g、4.26ミリモル)の混合物を一般法IIに従って用いた。得られたケトンは、ヘキサン−EtOAc3:7で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製の際にイミダゾールの近くに溶出し、白色の固体としてIc−2 50mg(36%)が得られた:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.64 (t, 1H, J = 7.4 Hz)、7.54 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz)、7.31 (m, 4H)、6.99 (t, 1H, J = 9.3 Hz)、6.88 (s, 1H)、3.98 (m, 1H)、3.64 (s, 3H)、2.79 (m, 4H)、2.33 (s, 3H); MS (ESI) m/z 412 (M+H)
【0136】
実施例Ic−3
【化77】

アルコール(中間体6、250mg、0.57ミリモル)、DMSO(0.14mL、160mg、2.00ミリモル)、無水トリフルオロ酢酸(0.14mL、210mg、1.00ミリモル)、CHCl(5mL)およびEtN(0.92mL、670mg、6.60ミリモル)の混合物を一般法IIに従って用いた。生成物をヘキサン−EtOAc3:7で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して淡黄色の固体としてIc−3を50mg(22%)得た:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.59 (t, 1H, J = 7.4 Hz)、7.52 (dd, 1H, J = 2.2, 8.6 Hz)、7.41 (q, 2H, J = 5.2, 13.6 Hz)、7.27 (d, 1H, J = 2.0 Hz)、7.21 (m, 1H)、7.07 (s, 1H)、6.99 (m, 1H)、3.99 (m, 1H)、3.64 (s, 3H)、2.79 (m, 4H)、2.27 (s, 3H); MS (ESI) m/z 412 (M+H)
【0137】
実施例Ic−4
【化78】

CHCl(20mL)中のジオール(中間体7、2.01g、4.49ミリモル)、TIPSCl(1.15mL、1.04g、5.39ミリモル)、EtN(0.69mL、500mg、4.94ミリモル)およびDMAP(60mg、0.45ミリモル)の混合物を4〜6時間攪拌した。反応が完了したと判断したら、この混合物をEtOAcに注ぎ、HO(2回)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をCHCl:MeOH(100:0〜98:2勾配)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって単離し、橙色の油状物質としてシリルエーテル1.25gを得た(46%):
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.42 (m, 2H)、7.34 (dd, 1H, J = 2.4, 8.8 Hz)、7.13 (m, 4H)、6.03 (bs, 1H)、4.02 (m, 2H)、3.84 (s, 3H)、3.67 (s, 3H)、3.26 (m, 1H)、2.77 (m, 1H)、2.47 (m, 3H)、1.02 (m, 21H); MS (ESI) m/z 604 (M)。
【0138】
シリルエーテル(1.25g、2.07ミリモル)、DMSO(0.59mL、650mg、8.28ミリモル)、(COCl)(0.36mL、530mg、4.14ミリモル)、CHCl(15mL)、およびEtN(3.20mL、2.30g、22.77ミリモル)を一般法Iに従い用いた。生成物をCHCl:MeOH(100:0〜95:5勾配)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、橙色の油状物質としてイミダゾール−シリルエーテル1.05gを得た(87%):MS(ESI)m/z584(M)。THF(20mL)中の、このシリルエーテル(1.05g、1.79ミリモル)およびTBAF(THF中1.0M溶液2.05mL、2.05ミリモル)の混合物を1時間攪拌した。反応が完了したと判断したら、この混合物をEtOAcに注ぎ、HO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた黄色の油状物質をペンタンで処理し、黄色の固体としてIc−4を500mg得た(72%):H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.76 (s, 2H)、7.66 (s, 1H)、7.54 (m, 2H)、7.29 (m, 2H)、7.17 (t, 1H, J = 9.6 Hz)、5.02 (m, 1H)、4.36 (m, 2H)、4.03 (m, 1H)、3.56 (s, 3H)、2.61 (m, 4H); MS (ESI) m/z 427 (M)。
【0139】
実施例Ic−5
【化79】

ジオール(中間体8、360mg、0.80ミリモル)、DMF(4mL)、CHCl(2mL)、EtN(0.2mL、150mg、1.43ミリモル)、およびDMAP(10mg、0.12ミリモル)の混合物を0℃まで冷却し、塩化TBS−Cl(190mg、1.27ミリモル)を固体として一度に加えた。反応混合物を0℃で2時間攪拌した。この反応混合物をEtOAcに注ぎ、HO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮して黄色の泡沫としてモノシリルエーテル(一次ヒドロキシル)340mg(75%)を得た:MS(CI)m/z562(M+H)。このシリルエーテル(340mg、0.60ミリモル)、DMSO(0.17mL、190mg、2.39ミリモル)、無水トリフルオロ酢酸(0.17mL、250mg、1.20ミリモル)、CHCl(8mL)、およびEtN(0.95mL、690mg、6.82ミリモル)を一般法IIに従って用いた。生成物をヘキサン:EtOAc1:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、白色の固体としてケトン140mgを得た(41%):MS(CI)m/z560(M+H)。このケトン(130mg、0.232ミリモル)、DMF(4mL)、およびp−トルエンスルホン酸一水和物(30mg、0.14ミリモル)の混合物を80℃まで反応が完了したと判断される4時間加熱し、その後室温に放冷した。この混合物をEtOAcに注ぎ、HO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をCHCl:CHOH95:5で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、白色の固体としてIc−5を70mg得た(74%):H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.10 (d, 1H, J = 9.0 Hz)、7.65 (m, 2H)、7.46 (m, 1H)、7.34 (m, 2H)、7.20 (s, 1H)、7.04 (t, 1H, J = 9.6 Hz)、4.90 (dd, 1H, J = 13.5, 3.6 Hz)、4.49 (dd, 1H, J = 13.3, 7.7 Hz)、4.10 (m, 1H)、3.70 (s, 3H)、2.83 (m, 4H)、1.81 (m, 1H)。元素分析値:C22H19ClFNOについての計算値: C, 61.76; H, 4.48; N, 9.82。実測値:C, 61.85; H, 4.56; N, 9.73。
【0140】
実施例Ic−6
【化80】

アルコール(中間体14、402mg、1.06ミリモル)、DMSO(0.30mL、330mg、4.24ミリモル)、(COCl)(0.18mL、270mg、2.12ミリモル)、CHCl(7mL)およびEtN(1.60mL、1.20g、11.66ミリモル)の混合物を一般法Iに従って用いた。生成物をヘキサン:アセトン2:1を用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって単離し、淡黄色の固体としIc−6を140mg得た(35%):H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.52 (d, 1H, J = 4.8 Hz)、8.10 (d, 1H, J = 7.8 Hz)、7.97 (t, 1H, J = 7.8 Hz)、7.82 (m, 3H)、7.52 (m, 2H)、7.11 (s, 1H)、4.18 (t, 1H, J = 6.6 Hz)、3.64 (s, 3H)、2.71 (m, 4H)。
【0141】
以下の実施例は実施例Ic−6に示された一般法IIに従って製造した。
実施例Ic−7
【化81】

49%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.56 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.17 (d, J = 7.7 Hz, 1H)、7.79 (dd, J = 7.7, 1.6 Hz, 1H)、7.77 (d, J = 1.6 Hz, 1H)、7.56 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H)、7.50 (d, J = 2.4 Hz, 1H)、7.34 (comp, 2H)、6.86 9s, 1H)、4.04 (m, 1H)、3.67 (s, 3H)、2.79 (m, 4H)、2.34 (s, 3H); ESIMS 395 (M+H, 塩基); 元素分析値:C21H19ClNO・0.5 MeOHについての計算値: C, 62.85; H, 5.15; N, 13.64。実測値:C, 62.99; H, 4.98; N, 13.54。
【0142】
実施例Ic−8
3−[(4S)−8−ブロモ−1−メチル−6−(2−ピリジニル)−4H−イミダゾ[1,2−a][1,4]ベンゾジアゼピン−4−イル]プロパン酸メチル
【化82】

THF(21mL)中のC7−ブロモ−ベンゾジアゼピン実施例I−10(7.31g、18.2ミリモル)溶液をTHF(70mL)中のNaH(油中60%分散系、870mg、21.8ミリモル)の懸濁液に0℃で加えた。反応混合物を0℃で30分間攪拌し、室温まで温め、30分間攪拌した後、0℃まで冷却した。ビス−モルホリノホスホロクロリデート(6.48g、25.5ミリモル)加え、混合物を4.5時間にわたり室温まで温め、混合物をさらなるTHF(約10mL)で濾過した。濾液およびDL−1−アミノ−2−プロパノール(2.80mL、36.4ミリモル)の混合物を室温で18時間攪拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(約250mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×75mL)、HO(2×75mL)、飽和NaCl水溶液(1×75mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。EtOAc−MeOH19:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫として付加物3.06g(37%)得た;ESIMS 459(M+H、塩基)。
【0143】
CHCl(40mL)中のDMSO(1.88mL、26.6ミリモル)および塩化オキサリル(1.16mL、13.3ミリモル)の混合物を、−78℃で30分間攪拌した。CHCl(26mL)中の、上記で製造したアルコール(3.05g、6.64ミリモル)溶液を加えた。反応混合物を−15℃まで加温し、1時間攪拌し、−78℃まで冷却し、EtN(5.55mL、39.9ミリモル)で処理し、3時間にわたって室温まで温めた。混合物をEtOAc(約500mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(1×100mL)、HO(1×100mL)、飽和NaCl水溶液(1×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して泡沫を得た。この泡沫および触媒量のp−トルエンスルホン酸の混合物を室温で18時間攪拌し、飽和NaHCO水溶液を添加して中和し、EtOAc(約500mL)で希釈した。層を分離し、有機相を飽和NaHCO水溶液(1×100mL)、HO(2×100mL)、飽和NaCl水溶液(1×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。EtOAc−MeOH19:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、泡沫としてIc−8を2.56g(88%)得た;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.57 (d, J = 4.6 Hz, 1H)、8.17 (d J = 7.8 Hz, 1H)、7.79 (dd, J = 7.7, 6.2 Hz, 1H)、7.71 (dd, J = 8.6, 2.2 Hz, 1H)、7.64 (d, J = 2.2 Hz, 1H)、7.34 (dd, J = 7.5, 5.0 Hz, 1H)、7.30 (d, J = 8.6 Hz, 1H)、6.86 (s, 1H)、4.05 (m, 1H)、3.67 (s, 3H)、2.80 (comp, 4H)、2.34 (s, 3H); ESIMS 461 (M+Na, base)、439 (M+H); 元素分析値:C21H19BrNO-0.25 HOについての計算値: C, 58.63; H, 4.43; N, 12.62。実測値:C, 56.88; H, 4.43; N, 12.23。
【0144】
実施例Ic−8を濃度10mg/mlで水性ビヒクル中に処方した。従って、化合物10mg(およびNaCl9mg)を0.1N HCl 0.63mlに溶解した。0.1N NaOH 0.37mlを攪拌しながら徐々に加えた。投与する用量に応じて容量を調節した。
【0145】
以下の実施例は実施例Ic−8に示された一般法Iに従って製造した:
実施例Ic−9
【化83】

【0146】
実施例Ic−10
【化84】

49%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.54 (d, J = 4.8 Hz, 1H)、8.13 (d, J = 7.8 Hz, 1H)、7.79 (dd, J = 7.8, 1.7 Hz, 1H)、7.55 (dd, J = 8.6, 2.4 Hz, 1H)、7.43 (comp, 2H)、7.33 (dd, J = 6.8, 4.8 Hz, 1H)、7.03 (s, 1H)、4.08 (m, 1H)、3.67 (s, 3H)、2.80 (m, 4H)、2.26 (s, 3H); ESIMS 395 (M+H, 塩基); 元素分析値:C21H19ClNO・0.5 MeOHについての計算値: C, 62.85; H, 5.15; N, 13.64。実測値:C, 62.96; H, 5.13; N, 13.33。
【0147】
以下の実施例は実施例Ic−4に示された方法に従って製造した。
実施例Ic−11
【化85】

51%;H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.52 (d, 1H, J = 4.8 Hz)、8.09 (d, 1H, J = 7.8 Hz)、7.97 (t, 1H, J = 7.6 Hz)、7.78 (m, 2H)、7.67 (s, 1H)、7.50 (m, 2H)、5.05 (bs, 1H)、4.40 (s, 2H)、4.16 (m, 1H)、3.64 (s, 3H)、2.70 (m, 4H); MS (ESI) m/z 410 (M)。
【0148】
以下の実施例は実施例Ic−5に示された方法に従って製造した。
実施例Ic−12
【化86】

45%;H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.54 (d, 1H, J = 4.5 Hz)、8.14 (d, 1H, J = 7.8 Hz)、8.05 (d, 1H, J = 8.7 Hz)、7.80 (t, 1H, J = 7.8 Hz)、7.60 (dd, 1H, J = 9, 2.4 Hz)、7.45 (d, 1H, J = 2.4 Hz)、7.34 (m, 1H)、7.12 (s, 1H)、4.79 (d, 1H, J = 12.9 Hz)、4.45 (d, 1H, J = 12.9 Hz)、4.10 (m, 1H)、3.67 (s, 3H)、2.80 (m, 4H)。MS (ES) m/z 410 (M)。
【0149】
実施例Ic−13
【化87】

アルコール(中間体13、620mg、1.43ミリモル)、DMSO(0.40mL、5.64ミリモル)、無水トリフルオロ酢酸(0.40mL、2.83ミリモル)、EtN(2.00mL、14.4ミリモル)およびCHClの混合物を一般法IIに従って用いた。中間体ケトンは精製せず用いた。DMF(5mL)中のこのケトンおよびp−トルエンスルホン酸(80mg、0.42ミリモル)を80℃で30分間加熱した。反応が完了したと判断したら、これを室温まで放冷し、EtOAcに注ぎ、HO、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をヘキサン−アセトン2:1で溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して黄褐色の固体としてIc−13を210mg(41%)得た:H NMR (300 MHz, CDCl) δ 8.56 (d, 1H, J = 4.8 Hz)、8.17 (d, 1H, J = 8.1 Hz)、7.78 (m, 1H)、7.55 (dd, 1H, J = 8.7, 2.4 Hz)、7.49 (m, 1H)、7.31 (m, 2H)、4.0 (m, 1H)、3.66 (s, 3H)、2.80 (m, 4H)、2.25 (s, 3H)、2.19 (s, 3H); MS (ESI): m/z 408 (M)。
【0150】
実施例Ic−14
【化88】

CHCl(1mL)中のチオラクタム実施例I−29(203mg、0.5ミリモル)溶液にトリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート(74mg、0.8ミリモル)を加えた。この溶液を1時間攪拌し、CHCl(50mL)で希釈した。溶液を飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル4:1)によって、白色の泡沫としてメチルチオイミデート112mgを得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 2.46 (s, 3H)。MS (ESI): m/z 421 (M+H+, 塩基)。
【0151】
DCE(1mL)中のメチルチオイミデート(174mg、0.4ミリモル)および酢酸ヒドラジド(31mg、0.4ミリモル)溶液を100℃で16時間加熱した。暗褐色の混合物を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィーに付し(CHCl:エーテル3:2〜2%エタノールを有するCHCl:エーテル3:2勾配で溶出)、ジイソプロピルエーテルでトリチュレートして黄褐色の粉末としてIc−14を49mg得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.25 (m, 1H)、3.65 (s, 3H)、2.61 (s, 3H)。MS (ESI): m/z 429 (M+H, 塩基)。
【0152】
以下の実施例を実施例Ic−14に示された方法を用いて製造した。
実施例Ic−15
【化89】

H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.21 (m, 1H)、3.66 (s, 3H)、2.66 (s, 3H)。MS (AP+): m/z 429 (M+Na, 塩基)。
【0153】
実施例Ic−16
実施例Ic−16はOtera触媒、s−ブチルアルコール、およびメチルエステルIc−15を用い、実施例I−14に示された方法に従って製造した。
【化90】

96%;H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.22 (m, 1H)、3.83 (d, 2H)、2.66 (s, 3H)、1.88 (m, 1H)、0.88 (d, 6H)。
【0154】
実施例Ic−17
【化91】

丸底フラスコ内で中間体17(0.84g、1.69ミリモル)を塩化メチレン(10mL)に溶解した。これに、トリフルオロ酢酸(8.00mL)を加え、得られた溶液を室温で一晩攪拌した。反応物を濃縮乾固し、残渣を0.5M炭酸ナトリウム水溶液にとった。水層をクロロホルムで2回、ジエチルエーテルで1回洗浄した(セライトでの濾過を用いてエマルションを崩壊させた)。次いで1Mリン酸で水層をpH4.5に調節した。次いで水層を酢酸エチルおよびクロロホルムで抽出した。合した有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮してカルボン酸(0.47g、1.06ミリモル)を得、これを1,2,4−トリクロロベンゼンに溶解し、30分間加熱還流した(214℃)。反応物を室温まで冷却し、シリカゲルパッドに置いた。このパッドをクロロホルムで溶出し、次いで生成物をクロロホルム中3%メタノールで溶出してIc−17を得た(0.35g、0.88ミリモル)。H NMR (CDCl): 8.05 (br s, 1H)、7.52-7.6 (m, 3H)、7.4-7.46 (m, 1H)、7.27 (d, 1H, J = 1.6 Hz)、7.22 (t, 1H, J = 7.8 Hz)、7.0-7.19 (m, 2H)、4.15 (dd, 1H, J = 3.6, 5.2 Hz)、3.69 (s, 3H)、2.74-2.84 (m, 1H)、2.62-2.73 (m, 2H)、2.50-2.60 (m, 1H)。MS (ES+) = 398 (100%, M+)。
【0155】
実施例Ic−18
【化92】

アクリル酸t−ブチル(45mL)をTHF20ml中のミダゾラム3.25g(10ミリモル)の攪拌溶液に加えた。この溶液を−15℃まで冷却し、t−ブタノール中のカリウムt−ブトキシド1.0M溶液20mlを10分間にわたり加えた。混合物を−10℃で1時間攪拌し、次いでエーテル500mlで希釈した。溶液をブラインで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル(1:1))を用いて残渣を精製し、エステル2.55gを得た。(56%)H-NMR (CDCl) δ 7.7-6.9 m (8H)、3.95 dd (J = 4.7, 9.0, 1H)、2.7-2.4 m (4H)、2.51 s (3H)、1.39 s (9H)。MS: 454 (M+1, ES+)。
【0156】
TFA(100mL)を塩化メチレン(100mL)中のtBuエステル2.42g(5.3ミリモル)の攪拌溶液に加えた。この混合物を20℃で2時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をクロロホルム(300ml)に溶解し、次いで溶媒を蒸発させた。DMF50ml、炭酸カリウム10gおよびヨウ化メチル1.5gを残渣に加え、次いで反応物を20℃で90分間攪拌した。混合物をエーテル300mlで希釈し、水200mlで5回抽出し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧下で濃縮した。エーテル10mlを残渣に加え、溶液を0℃で30分間攪拌した。白色の粉末を濾過し、真空乾燥させてrac−Ic−18を1.07得た。(49%)H-NMR (CDCl): δ 7.60 m (2H)、7.40 m (2H)、7.22 m (2H)、7.00 t (J = 10, 1H)、6.90 s (1H)、4.03 dd (J = 4.8, 9.0, 1H)、3.68 s (3H)、2.8-2.4 m (4H)、2.54 s (3H)。MS: 412 (M+1, ES+)。
rac−Ic−18の鏡像異性体の分離は分取キラルクロマトグラフィー(Daicel ADカラム5×50cm、20ミクロン;20%IPA/ヘキサン、50〜80ml/分、UV270nM)により行った。2つの鏡像異性体は以下の光学的特性を持つ:(+)-Ic-18 保持時間:13.5分、[α] = +13.3 (THF, c = 25 mg/ml); (-)-Ic-18: 保持時間:21.8分、[α] = -13.2 (THF, c = 29 mg/ml)。
【0157】
実施例Ic−19
【化93】

イミノホスフェート中間体19(15g)にDL−セリノール、t−ブチルエーテル(Meyers et al. J. Org. Chem. 1993, 58, 3568に従って製造)の1M THF溶液50mLを加えた。室温で16時間攪拌し、さらに2当量のアミノアルコールを加えた。1.5時間加熱還流した後、標準的な水性抽出の後処理(DCM)を施した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:アセトン3:1)で中間体アミジン7.7g(62%)を得た。このアミジンを一般法を用いて実施例Ic−19に変換し、次いで実施例Ic−5に記載のTsOH/DMF環化脱水工程を行った。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.50 (dd, 2H)、4.03 (m, 1H)、3.66 (s, 3H)、1.29 (s, 9H)。
MS (ES): 484 (M+1)。
【0158】
薬剤に使用する場合、本発明の化合物の塩は医薬上許容されるものでなければならないが、医薬上許容されない塩も対応する遊離塩基またはその医薬上許容される塩の製造に便宜に用いられる。かかる医薬上許容される塩としては、限定されるものではないが、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、 スルファミン酸、エタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸から製造したものが挙げられる。
【0159】
さらに、本発明の化合物は活性な親化学物質として投与することが可能であるが、医薬製剤の形態で許容される担体とともに提供するのが好ましい。担体はもちろん、製剤の他の成分と適合性があるという意味において許容されるものでなければなず、かつ、受容者に有害であってはならない。従って、本発明は、上記定義の式(I)の化合物および医薬上許容される担体を医薬製剤の形態で含んでなる医薬製剤を提供する。製剤としては経口、直腸、局所、口内(例えば、舌下)および非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適したものが含まれる。本発明の化合物は非経口投与(例えば溶液の静脈注射または筋肉注射による投与)用の医薬製剤の形態で提供するのが好ましい。医薬製剤が非経口投与用である場合、製剤は水性もしくは非水性溶液、または静菌剤、抗酸化物、バッファーまたは他の医薬上許容される添加剤を含有する液体混合物であってもよい。本発明の式(I)の化合物の好ましい製剤は、pH2〜4の水性酸性媒質によるか、またはシクロデキストリン水溶液の使用によるかのいずれかである。これらの製剤に使用できるシクロデキストリンは、陰イオン電荷を持つβ−CDのスルホブチルエーテル(SBE)誘導体、特にSBE7−β−CD(Captisolの商品名でCyDex社より市販 (Critical Reviews in Thrapeutic Drug Carrier Systems, 14(1),1-104(1977)))か、またはヒドロキシプロピルCDかのいずれかである。好ましい製剤方法(すなわち、酸性バッファーまたはCDに基づく)は特定の化合物の物理化学特性(たとえば水に対する溶解度、pKaなど)によって異なる。あるいは、これらの化合物は水(注射用)、またはブドウ糖もしくは生理食塩水で再構成する凍結乾燥固体として提供してもよい。かかる製剤は通常アンプルまたは使い捨て注射器などの単位投与形で提供してもよい。またこれらは適当な用量を取り出せる薬瓶などの複投与形であってもよい。かかる製剤はすべて無菌でなければならない。
【0160】
従って、本発明はまた哺乳動物において鎮静または催眠を誘導する方法であって、哺乳動物に有効な鎮静または催眠作用量の上記本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。また、本発明は、哺乳動物において不安緩解を誘導する方法であって、哺乳動物に有効な不安緩解作用量の上記本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。また、本発明は、哺乳動物において筋弛緩を誘導する方法であって、哺乳動物に有効な筋肉弛緩作用量の上記本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。また、本発明は、哺乳動物において痙攣を治療する方法であって、哺乳動物に有効な抗痙攣作用量の上記本発明の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0161】
本発明はまた、ヒトをはじめとする哺乳動物において鎮静または催眠を誘導する医薬の製造における、鎮静または催眠作用量の上記本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、ヒトをはじめとする哺乳動物において不安緩解を誘導する医薬の製造における、不安緩解作用量の上記本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、ヒトをはじめとする哺乳動物において筋弛緩を誘導する医薬の製造における、筋弛緩作用量の上記本発明の化合物の使用を提供する。また、本発明は、ヒトをはじめとする哺乳動物において痙攣を治療する医薬の製造における、抗痙攣作用量の上記本発明の化合物の使用を提供する。
【0162】
静脈内投与では、ボーラス注射または、より好適には、点滴の形を取ることが可能である。各被験体に対する用量は様々であってよいが、哺乳動物において鎮静または催眠作用が得られる本発明の化合物の好適な静脈量または用量は0.01〜5.0mg/体重kg、さらに好ましくは0.02〜0.5mg/体重kgである。なお、上記は有効成分である化合物の重量を基にしたものである。哺乳動物において不安緩解作用が得られる本発明の化合物の好適な静脈量または用量は0.01〜5.0mg/体重kg、さらに好ましくは0.02〜0.5mg/体重kgである。なお、上記は有効成分である化合物の重量を基にしたものである。哺乳動物において筋肉弛緩作用が得られる本発明の化合物の好適な静脈量または用量は0.01〜5.0mg/体重kg、さらに好ましくは0.02〜0.5mg/体重kgである。なお、上記は有効成分である化合物の重量を基にしたものである。哺乳動物において痙攣を治療する本発明の化合物の好適な静脈量または用量は0.01〜5.0mg/体重kg、さらに好ましくは0.02〜0.5mg/体重kgであろう。なお、上記は有効成分である化合物の重量を基にしたものである。
【0163】
従って、ヒトへの投与に好適な非経口的医薬製剤は、溶液中または複用量バイアルのその複数回分に本発明の化合物0.1〜20mg/mlを含有していることが好ましい。
【0164】
本発明の化合物は重要かつ測定可能な薬理学的応答をもたらす。本発明に記載の化合物は高い親和性でGABA受容体複合体上のベンゾジアゼピン部位(「ベンゾジアゼピン受容体」)と結合する。結合親和性については次のベンゾジアゼピン放射性リガンド結合アッセイを用いて測定した。
【0165】
組織:Marangos & Martinos (Molecular Pharmacology 20: 16-21, 1981)に記載される方法に従い、雄Sprague Dawleyラット脳(小脳を除いた脳総て)、雌Yucatanマイクロピッグ大脳皮質および女性ヒト大脳皮質から膜ホモジネートを調製した。ヒト提供者は急性心肺動脈瘤で死亡した72歳カフカス人女性であった。総ての組織を得て、Analytical Biological Services (ABI, Wilmington, DE)で膜ホモジネートを調製した。ホモジネートを凍結させ、−80℃で保存し、放射性リガンド結合アッセイに使用する直前に解凍した。
【0166】
材料H−フルニトラゼパム(NET−567)はNew England Nuclear, Boston, MAから入手した。2’−クロロジアゼパムはGlaxo Wellcome, RTP, USAで調製した。Tris HClはGibco BRLから得、塩化ナトリウムはJ. T. Bakerから入手した。Microsc中間体20液体シンチラントおよびUnifilter96ウェルプレートはPackard Instrumentsから購入した。ミダゾラムおよびクロルジアゼポキシドはSigma Chemicalsから購入した。フルマゼニルはHoffman LaRocheから提供されたものであった。
【0167】
アッセイ条件:試験化合物を100%DMSO中、25〜50mMの濃度に調製した。第1のウェルが100μM(最終濃度)となるよう、化合物をアッセイ緩衝液で希釈した。11の3倍連続希釈物を緩衝液で調製し、各試験化合物の12点濃度応答曲線を完成させた。それぞれの濃度を3回調べ、目的の化合物を少なくとも3つの別々の条件において調べた。各ウェルのDMSO最終濃度は0.4%を越えていなかった。非特異的結合は10μM 2’−クロロジアゼパムの存在下とした(Ki=0.5nM)。ラット、マイクロピッグおよびヒトアッセイでのH−フルニトラゼパムの最終濃度はそれぞれ、2nM、2nMおよび2.5nMであった。シグナル対ノイズ比が最適となるよう組織間で濃度をわずかに変えて、可能な最低濃度を用いた。ミダゾラム、クロルジアゼポキシドまたはフルマゼニルの濃度応答曲線を対照として、各アッセイの実施に合わせて処理した。放射性リガンド、化合物および膜ホモジネートを50mM Tris HCl、pH7.4からなり、150mM NaClを含有する緩衝液中、4℃で90分間インキュベートした。総てのアッセイを全アッセイ容量200μLの入った96ウェルプレートで行った。ラット、ブタおよびヒト調製物のタンパク質濃度はそれぞれ、12、9および15μg/ウェルであった。反応は96ウェルGF/Bフィルタープレート(Packard#6005177)で高速濾過(Packard Filtermate-196)することで終結させた。フィルターを氷冷Tris 50mM、pH7.4、200μL/ウェル(合計〜1.6ml)で8回洗浄した。乾燥後、20μLのMicroscintを各ウェルに加え、プレートを密閉した。プレートをPackard TopCountマイクロタイタープレートシンチレーションカウンターを用いて計数した。
【0168】
データ解析:データを解析し、単一部位の方程式(a single site equation)に当てはめ、IC50値をExcel Addin Robosage(Glaxo Wellcome Research Information Resources)を用いて計算した。Ki値はChengおよびPrusoff(Biochem. Pharmacol. 22: 3099-3108, 1973)の式を用いて計算した。Kiの算出に用いた各組織のH−フルニトラゼパムのKd値を飽和結合試験において決定した。
【0169】
表1.ベンゾジアゼピン受容体結合(測定したKi(nM);1〜50nM=++++;51〜100nM=+++;101〜1000nM=++;>1,000=+)
【表7】


【0170】
リガンドとベンゾジアゼピン受容体との高親和性結合はベンゾジアゼピン受容体リガンドの固有の効力(完全アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト)の特徴を表すものではない。化合物の固有の効力をラットにおいてベンゾジアゼピン完全アゴニズムに関連した作用である、立直り反射喪失(LRR)を引き起こす能力により評価した。
【0171】
方法:これらの検討の被験体は体重約250〜350gの雄Wisterラットであった。立直り反射喪失(LRR)を評価するため、動物をプラスチック製拘束器に入れ、試験化合物を尾部静脈を通して静脈内投与した。被験体を直ちに制限器から取り出し、立直り反射喪失の開始時間を記録した。LRRは仰臥位に置いた場合に常態にかえる動物の能力の喪失と定義した。注入後5分以内にLRRが見られない場合、このモデルにおいて化合物は不活性であると定義した。LRRを引き起こす化合物を3つの基準により評価した。1)LRRの開始時間(上記)、2)LRRから回復する時間。その立直り反射の喪失後、3回続けて常態にかえることが可能である場合、動物はこの基準を満たした。3)全回復時間。全回復を動物の運動失調なく歩行する能力、ならびに水平ワイヤーからつるした場合に3回続けて背筋を伸ばすその能力によって測定した。10〜100mg/kgの範囲の用量で立直り反射喪失を起こす化合物として以下のもの:式(Ia)の化合物の例1、3、4、5、6、7、9、11、17、23、式(Ib)の化合物の例1ならびに10および式(Ic)の化合物の例1、2、3、6、7、8、10、14、15、17、18が挙げられる。10〜100mg/kgの範囲の用量におけるラット立直り反射喪失モデルにおいて、本発明の化合物は先行技術で記載されている治療上有効なベンゾジアゼピンのものと類似した明白な薬理学的応答を示した。哺乳動物への投与に治療上有効な用量は0.01〜5.0mg/体重kgである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物、またはその医薬上許容される塩および/もしくは溶媒和物:
【化1】

{式中、
WはH、C−C分枝アルキル、または直鎖アルキルであり、
XはCH、NH、またはNCHであり、nは1または2であり、
YはOまたはCHであり、mは0または1であり(ただし、XがCHであり、nが1であり、かつmが0であるならば、RはCHCHではない)、
ZはOであり、pは0または1であり、
はH、C−C直鎖アルキル、C−C分枝鎖アルキル、C−Cハロアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、またはヘテロアラルキルであり、
はフェニル、2−ハロフェニルまたは2−ピリジルであり、
はH、Cl、Br、F、I、CF、またはNOであり、
(1)RがH、C−Cアルキル、またはジアルキルアミノアルキルであり、RおよびRが、一緒になって、二重結合によってジアゼピン環と結合している単一の酸素またはS原子を表し、かつpが0または1であるか、あるいは
(2)RおよびRが、一緒になって、ジアゼピン環中の二重結合であり、RがNHR基(ここで、RはH、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル、ベンジル、またはハロゲン置換基、C1−4アルキルピリジルもしくはC1−4アルキルミダゾリルで独立に一もしくは二置換されたベンジルである)を表し、かつpが0であるか、あるいは
(3)R、RおよびRが−CR=U−V=基(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたはC1−3ヒドロキシアルキルであり、UはNまたはCR(ここで、RはH、C1−4アルキル、C1−3ヒドロキシアルキルまたはC1−4アルコキシ、C1−4アルキルである)であり、VはNまたはCHである)を形成し、かつpが0である}。
【請求項2】
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、nが1であり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
ZがOであり、pが0または1であり、
がH、CH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジル、4−ピリジルメチルまたは3−ピリジルメチルであり、
がフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり、
およびRが、一緒になって、OまたはSのいずれかである、
請求項1に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【請求項3】
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
pが0であり、
がH、CH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジル、4−ピリジルメチルまたは3−ピリジルメチルであり(ただし、Rが3−ピリジルメチルまたは4−ピリジルメチルであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは0または1であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはHであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oである)、
がフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり(ただし、RがCHCHN(CHCHであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは1であり、RはCHまたはベンジルであり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oである)、
およびRが、一緒になって、OまたはSである、
請求項1に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【請求項4】
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
pが0であり、
がCH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジルまたは4−ピリジルメチルであり、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり、
およびRが、一緒になって、OまたはSである、
請求項1に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【請求項5】
WがHであり、
XがCHまたはNHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが0または1であり(ただし、XがCHであり、かつmが0であれば、RはCHCHではない)、
pが0であり、
がCH、CHCH、(CHCH、(CHCH、CH(CH、CHCH(CH、C(CH、ベンジルまたは4−ピリジルメチルであり(ただし、Rが4−ピリジルメチルであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは1であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはHであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oである)、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、または2−ピリジルであり、
がCl、BrまたはNOであり、
がH、CHまたはCHCHN(CHCHであり(ただし、RがCHCHN(CHCHであれば、XはCHであり、nは1であり、YはCHであり、mは1であり、RはCHまたはベンジルであり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、かつRおよびRは、一緒になって、Oである)、
およびRが、一緒になって、OまたはSである、
請求項1に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩および溶媒和物。
【請求項6】
各化合物において、WがHであり、かつ各化合物のX、n、Y、Z、pおよびR1−6が以下の通りである、請求項1に記載の化合物。
【表1】

【請求項7】
各化合物において、WがHであり、かつ各化合物のX、n、Y、m、Z、pおよびR1−6が以下の通りである、請求項1に記載の化合物。
【表2】

【請求項8】
各化合物において、WがHであり、pが0であり、かつ各化合物のX、n、Y、m、R1−5が以下の通りである、請求項1に記載の化合物。
【表3】

【請求項9】
WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、pが0であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、RがBrまたはClであり、RがHであり、かつRおよびRが、一緒になって、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
およびRが、一緒になって、ジアゼピン環中の二重結合を形成し、RがNHRであり、かつpが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、RがClまたはBrであり、かつRがCH、CHCH、ベンジル、4−ピリジルメチル、4−ピリジルエチル、CH(CH、4−イミダゾリルエチルまたはCHCHOHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、かつ各化合物のR、RおよびRが以下の通りである、請求項10に記載の化合物。
【表4】

【請求項13】
WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、Rが塩素または臭素であり、かつRがメチルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−フルオロフェニルであり、RがBrまたはClであり、かつRがCHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項15】
pが0であり、かつR、RおよびRが、一緒になって、−C(R)=U−V=基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
WがHであり、
XがCHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
がCHまたはCHCH(CHであり、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、
がClまたはBrであり、
がH、CHまたはCHOHであり、
がH、CH、CHOHまたはCHO−t−ブチルであり、
UがCRまたはNであり、かつ
VがNまたはCHである、
請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
WがHであり、
XがCHであり、nが1であり、
YがCHであり、mが1であり、
がCHまたはCHCH(CHであり、
が2−フルオロフェニル、2−クロロフェニルまたは2−ピリジルであり、
がClまたはBrであり、
がH、CHまたはCHOHであり、
がH、CH、CHOHまたはCHO−t−ブチルであり、
UがCRまたはNであり、かつ
VがNまたはCHである
(ただし、RがCHCH(CHであれば、XはCHであり、nは1であり、Rは2−フルオロフェニルであり、RはClであり、RはCHであり、UはNであり、かつVはNである)、
請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、かつ各化合物のR、R、R、R、UおよびVが以下の通りである、請求項15に記載の化合物。
【表5】

【請求項19】
各化合物において、WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、そして各化合物のR、R、R、R、UおよびVが以下の通りである、請求項15に記載の化合物。
【表6】

【請求項20】
WがHであり、XがCHであり、nが1であり、YがCHであり、mが1であり、RがCHであり、Rが2−ピリジルであり、RがBrまたはClであり、RがCHであり、UがCHであり、かつVがNである、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
医薬上許容される担体および有効量の請求項1に記載の化合物を含んでなる、医薬製剤。
【請求項22】
医薬上許容される担体および有効量の請求項10に記載の化合物を含んでなる、医薬製剤。
【請求項23】
医薬上許容される担体および有効量の請求項15に記載の化合物を含んでなる、医薬製剤。
【請求項24】
哺乳動物において鎮静もしくは催眠を誘導する、不安緩解を誘導する、筋弛緩を誘導する、または哺乳動物の痙攣を治療する方法であって、有効量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
【請求項25】
哺乳動物において鎮静もしくは催眠を誘導する、不安緩解を誘導する、筋弛緩を誘導する、または哺乳動物の痙攣を治療する方法であって、有効量の請求項10に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
【請求項26】
哺乳動物において鎮静もしくは催眠を誘導する、不安緩解を誘導する、筋弛緩を誘導する、または哺乳動物の痙攣を治療する方法であって、有効量の請求項15に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含んでなる、方法。
【請求項27】
式(1c):
【化2】

(式中、WはHであり、XおよびYはCHであり、nおよびmは1であり、UはNであり、かつVはCHである)
の化合物を製造する方法であって、式(M):
【化3】

(式中、R、RおよびRは請求項15で定義した通り)の化合物を強塩基と反応させ、該強塩基での処理により得られたアニオンを適切なミカエル受容体で処理し、該ミカエル受容体での処理により得られたエステル付加物である式(N):
【化4】

(式中、R、RおよびRは請求項15で定義した通り)の化合物を強酸と反応させ、得られた式(O):
【化5】

(式中、R、RおよびRは請求項15で定義した通り)のカルボン酸を、塩基によって媒介されるハロゲン化アルキル(ハロゲン化R)でのアルキル化によってエステル化して、対応する式(1c)の化合物を得ることを含んでなる、方法。
【請求項28】
3−[(3S)−7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]プロパン酸メチルまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項29】
3−[(3S)−7−クロロ−5−(2−フルオロフェニル)−2−(メチルアミノ)−3H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]プロパン酸メチルまたはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。

【公開番号】特開2007−197469(P2007−197469A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127264(P2007−127264)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【分割の表示】特願2005−353914(P2005−353914)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(504222366)セネス、リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】CENES LIMITED
【Fターム(参考)】