説明

研磨方法及び研磨装置

【課題】 特に各段の研磨プロセス間での基板の表面状態の計測を可能な限り省略してスループットを高め、しかも研磨条件(研磨レシピ)を改善させた多段研磨プロセスを行うことができるようにする。
【解決手段】 複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨方法であって、カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で所定の段における研磨を行う第2の研磨処理の一方を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の表面(被研磨面)を研磨して平坦化する研磨方法及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化学的機械研磨(CMP)にあっては、1枚の半導体ウエハ等の基板の表面(被研磨面)を複数段の研磨プロセスに分けて研磨するようにした多段研磨が知られている。例えば、2段の研磨プロセスで基板の表面を研磨する場合、段差解消特性は低いが研磨レートの高い研磨液(スラリ)を用いて1段目の研磨を行い、研磨レートは低いが段差解消特性の高い研磨液を用いて2段目の研磨を行うことで、特に1段目の研磨において研磨量を稼いで、全体の研磨時間を短縮することできる。
【0003】
従来、複数の半導体ウエハ等の基板に対する多段研磨プロセスを連続して行うに際しては、研磨前、各段の研磨プロセス間、研磨後に各基板表面の膜厚等の表面状態を計測し、この計測によって得られた値をフィードバックして、次の基板や任意の枚数目後の基板表面に対する研磨条件、つまり研磨レシピ(押圧力分布や研磨時間などを定めたもの)を最適に修正(更新)するようにしていた。
【0004】
半導体ウエハ等の基板における表面状態の測定は、通常ITM(In-Line Thickness Monitor)と呼ばれる測定部によって行われている。ITMは、一般に実際に研磨を行う研磨部の外に配置されており、ITMで基板の表面状態の測定を行うためには、基板を研磨部から取出し、更に洗浄し乾燥させる必要がある。このため、複数の基板に対する多段研磨プロセスを連続して行う時には、各段の研磨プロセス間及び研磨後に基板を研磨部から取出し、洗浄して乾燥させた状態で、基板の表面状態をITMで計測するようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウエハ等の基板の表面状態をITMで計測する毎に基板を研磨部から取出し、洗浄して乾燥させると、この一連の作業に多大の時間を要する。特に、複数の基板に対する多段研磨プロセスを連続して行う時には、各段の研磨プロセス間でも各基板の表面状態をITMで測定し、この測定結果をフィードバックして、研磨レシピを最適に修正(更新)するようにしており、このため、基板の表面状態を測定するのに要する時間が全体の研磨時間を増大させて、スループットを低下させる要因となっていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、特に各段の研磨プロセス間での基板の表面状態の測定を可能な限り省略してスループットを高め、しかも研磨条件(研磨レシピ)を改善させた多段研磨プロセスを行うことができるようにした研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨方法であって、カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で所定の段における研磨を行う第2の研磨処理の一方を行うことを特徴とする研磨方法である。
【0008】
このように、ある任意の被研磨物に対して第1の研磨処理を実施して2段目の研磨前後の被研磨物表面を測定し、この測定結果を基に、これ以降の任意の被研磨物に対しては修正した研磨条件(研磨レシピ)で第2の研磨処理における2段目の研磨を行うことで、第2の研磨処理における2段目の研磨を最適な研磨条件で、しかも1段目の研磨後に被研磨物表面をITM等で測定することなく、2段目の研磨を連続して行うことができ、これによって、スループットを向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第2の研磨処理前後における被研磨物の表面状態を求め、第2の研磨処理における前記所定の段における研磨条件を修正することを特徴とする請求項1記載の研磨方法である。
これにより、第2の研磨処理における2段目の研磨条件を、直近に処理した被処理基板から得られた情報を基に、より最適にすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨方法であって、カセットから取出し被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で各段のうち少なくとも一つの研磨を行う第2の研磨処理の一方を行うことを特徴とする研磨方法である。
【0011】
これにより、第2の研磨処理における1段目または2段目の少なくとも一方の研磨を最適な研磨条件で、しかも1段目と2段目の研磨を、その間で被研磨物表面を測定することなく、連続して行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記第2の研磨処理前後における被研磨物の表面状態を求め、第2の研磨処理における前記各段のうち少なくとも一つの研磨条件を修正することを特徴とする請求項3記載の研磨方法である。
これにより、第2の研磨処理における1段目または2段目の少なくとも一方の研磨条件を、直近に処理した被研磨物から得られた情報を基に、より最適にすることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記カセットから取出された1枚目の被研磨物に対して前記第1の研磨処理を行い、2枚目以降に取出された被研磨物に対して前記第2の研磨処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の研磨方法である。
これにより、カセットに保管された複数の被研磨物を1ロットとして、あるいは研磨対象の膜種が等しい被研磨物の集まりを1ロットとして、スループットを向上させながら、ロット単位に複数の被研磨物を連続して研磨処理することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記第2の研磨処理により研磨された被研磨物のうち、追加研磨に関する情報を基に、被研磨物に対して前記第1の研磨処理と前記第2の研磨処理のいずれを行うかを決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨方法である。
これにより、例えば追加研磨(Re-work)の発生率を求め、追加研磨の発生率が設定値より高い場合や、研磨後の被研磨物の表面段差が大きい場合に、第1の研磨処理を行って研磨条件をリセットすることで、追加研磨の発生率を所定の範囲内に抑えることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記追加研磨に関する情報は、追加研磨を行った被研磨物の枚数、追加研磨率、被研磨面上の段差の最高部と最低部の差、各被研磨物の研磨量の平均または偏差、及び研磨量の上限値または下限値の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6記載の研磨方法。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における複数段の研磨を、研磨面を有する研磨パッドに被研磨物表面を押圧し相対移動させて行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記研磨パッドの消耗度及び/または前記研磨パッドの前記研磨面上の温度に基づいて、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における研磨条件を設定することを特徴とする請求項8記載の研磨方法である。
このように、研磨パッドの消耗度及び/または研磨パッドの研磨面上の温度を加味した制御を行うことで、研磨精度をより高めることができる。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における複数段の研磨に使用される消耗部材の消耗度に基づいて、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における研磨条件を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法である。
【0019】
請求項11に記載の発明は、複数の異なる膜が積層された被研磨物表面を研磨する研磨方法であって、前記異なる膜に対する選択比を有する研磨液を用意し、前記異なる膜の各膜厚について前記選択比に応じた係数を乗じた合成膜厚値を算出し、該合成膜厚値に基づいて研磨条件を設定し、前記研磨液を前記研磨面に供給しながら被研磨物表面を該研磨面に押圧し相対移動させて研磨することを特徴とする研磨方法である。
これにより、複数の異なる膜が積層されていても、下層の膜が露出したか否かに拘わることなく、同一の膜が積層されている時と同じ条件で異なる膜を連続して研磨し、研磨量が所定の量に達した時に研磨を終了させることができる。
【0020】
請求項12に記載の発明は、被研磨物の研磨後の表面状態を研磨前に予め演算し、該演算により求められた研磨後の予想表面状態に基づいて研磨条件を設定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の研磨方法である。
【0021】
請求項13に記載の発明は、被研磨物の表面に対して複数段の研磨を行う研磨部と、被研磨物表面を測定する測定部と、前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を基に前記研磨部における研磨条件を設定する制御部を有し、前記制御部は、予め設定した条件で行った所定の段における研磨の前後における被研磨物表面の測定結果を基に、任意枚数目後の被研磨物表面に対する該所定の段の研磨条件を修正することを特徴とする研磨装置である。
【0022】
請求項14に記載の発明は、被研磨物の表面に対して複数段の研磨を行う研磨部と、被研磨物表面を測定する測定部と、前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を基に前記研磨部における研磨条件を設定する制御部を有し、前記制御部は、予め設定した条件で行った各段の研磨前後における被研磨物表面の測定結果を基に、任意枚数目後の被研磨物表面に対する少なくとも一つの段の研磨条件を修正することを特徴とする研磨装置である。
【0023】
請求項15に記載の発明は、前記制御部は、前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を蓄積する記録部を有することを特徴とする請求項13または14記載の研磨装置である。
【0024】
請求項16に記載の発明は、前記制御部は、複数の被研磨物を保管するカセットに設けられた該被研磨物に係る情報を記録した記録媒体を参照し、該被研磨物表面の情報が前記記録部に蓄積されているか照合することを特徴とする請求項15記載の研磨装置である。
これにより、カセットが異なっていても、研磨する膜質が同一であれば、同じデータ群として、同じ膜質のデータ群毎に個別に管理して使用することができる。
【0025】
請求項17に記載の発明は、表面に複数種の膜が積層された被研磨物を保持し研磨面に押圧するトップリングと、前記トップリングと被研磨物とを相対的に回転させる回転駆動部と、前記回転駆動部の負荷を測定する第1の測定部と、研磨後の被研磨物表面を光学的に測定する第2の測定部と、前記第1の測定部と前記第2の測定部の測定結果に基づいて、任意枚数目後の被研磨物表面に対する研磨条件を設定する制御部を有することを特徴とする研磨装置である。
【0026】
請求項18に記載の発明は、前記第2の測定部は、被研磨物表面の全面を測定し、前記トップリングは、前記研磨面に押圧させる被研磨物表面を複数の領域に区画して、該領域毎に研磨面に押圧する押圧力を調整する調整手段を有し、前記制御部は、前記トップリングの前記領域毎に加える押圧力を、前記第2の測定部による測定結果に基づいて調整するようにしたことを特徴とする請求項17記載の研磨装置である。
【0027】
請求項19に記載の発明は、前記制御部は、前記第2の測定部による前記被研磨物表面の任意の複数点における測定結果に基づいて、研磨条件における研磨レートを調整することを特徴とする請求項18記載の研磨装置である。
【0028】
請求項20に記載の発明は、前記制御部は、前記第2の測定部による前記被研磨物表面の任意の点のうち、前記研磨レートを調整するために用いられた点以外の任意の複数点における測定結果に基づいて、前記トップリングの前記領域毎に加える押圧力を調整することを特徴とする請求項19記載の研磨装置である。
これにより、1つの点が、研磨レートとトップリングの領域毎に加える押圧力の調整(プロファイルコントロール)の双方に使用され、その1つの点における研磨レートを押圧力が同時に修正されて、その1点が過剰に研磨されたり、逆に研磨が不足したりすることを防止することができる。
【0029】
請求項21に記載の発明は、表面に複数の異なる膜が積層された被研磨物を研磨する研磨部と、前記異なる膜に対する選択比を有する研磨液を供給する研磨液供給ノズルと、前記研磨部における研磨条件を設定する制御部とを有し、前記制御部は、前記異なる膜の各膜厚について前記選択比に応じた係数を乗じた合成膜厚値を算出し、該合成膜厚値に基づいて被研磨物表面の研磨条件を設定することを特徴とする研磨装置である。
【0030】
請求項22に記載の発明は、複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、被研磨物表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためプログラムであって、カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件で行った所定の段における研磨の前後における被研磨物表面の測定結果から、任意枚数目後の被研磨物表面に対する該所定の段における研磨条件の修正を実行させることを特徴とする研磨装置制御用プログラムである。
【0031】
請求項23に記載の発明は、複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、被研磨物表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためプログラムであって、カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件で行った複数段の研磨の前後における被研磨物表面の測定結果から、任意枚数目後の被研磨物表面に対する少なくとも一つの段における研磨条件の修正を実行させることを特徴とする研磨装置制御用プログラムである。
【0032】
請求項24に記載の発明は、複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためのプログラムであって、被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で2段目以降の研磨を行う第2の研磨処理を前記研磨装置に対して実行させ、追加研磨に関する情報を基に、研磨条件を前記第2の研磨処理から前記第1の研磨処理に変更させることを特徴とする研磨装置制御用プログラムである。
【発明の効果】
【0033】
本発明の研磨方法及び研磨装置によれば、特に各段の研磨プロセス間での基板等の被研磨物における表面状態のITM等の測定部による測定を可能な限り省略してスループットを高め、しかも研磨条件(研磨レシピ)を改善させた多段研磨プロセスを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の例では、半導体ウエハ等の基板を被研磨物として、基板の表面(被研磨面)を平坦に研磨するようにした例を示す。
【0035】
図1は、本発明の実施の形態に係る研磨装置の全体配置図を示す。図1に示すように、研磨装置は、走行レール200上を移動する搬送ロボット202がカセット204内にストックされている半導体ウエハ等の基板(被研磨物)の出し入れを行うとともに、未研磨及び研磨済みの基板を、載置台206及び搬送ロボット208に中継させて、カセット204とロータリートランスポーター210との間を往復させる。そして、ロータリートランスポーター210上の基板を、後述するトップリング1に保持させつつ研磨テーブル100上に位置させることにより、複数枚の基板を連続して研磨処理することができるように、研磨装置はシステム化されている。
【0036】
研磨装置には、研磨後の基板を洗浄し乾燥させる洗浄機212,214、基板表面の2段目の研磨を行う研磨テーブル216、研磨テーブル100,216のドレッシングを行うためのドレッサ218,220、及びドレッサ218を洗浄するための水桶222が備えられている。なお、複数の研磨液や複数の研磨条件(研磨レシピ)を切替ることにより、1台の研磨テーブル100で2段研磨やそれ以上の複数段研磨を行うことも可能になっている。
また、4台の研磨テーブルを備え、2台の研磨テーブルを1セットとして基板を2段研磨する運転や、4台の研磨テーブルを用いて基板を4段研磨する運転を可能とした研磨装置を使用してもよい。
【0037】
これらの研磨装置は、研磨前、多段研磨プロセスにおけるプロセス間、あるいは研磨後に洗浄及び乾燥処理を経た基板表面における膜の膜厚等の表面状態を測定する測定部としてのITM(In-line Thickness Monitor)224を備えている。つまり、図1に示すように、走行レール200の延長線上には、搬送ロボット202が研磨後の基板をカセット204内に収納する前、もしくは搬送ロボット202が研磨前の基板をカセット204から取出した後(In-line)に、光学的手段による基板表面へ入射し反射した光学信号により、半導体ウエハ等の基板表面における酸化膜等の絶縁膜の膜厚、導電性膜の銅膜やバリア層等の研磨状態を測定するITM(測定部)224が配置されている。
【0038】
この研磨装置は、基板の研磨中または/および研磨後に、基板表面の導電性膜が配線部などの必要な領域を除いて除去され、または絶縁膜が除去されることをこれらのセンサ信号や計測値を監視することにより検出して、多段研磨プロセスにおける各段の研磨条件や、研磨処理工程の終点を決定し、適切な研磨処理を繰返すことができるようになっている。ITM224は、基板の表面(被研磨面)の全面について表面状態を測定することができ、これにより基板の特定の箇所における研磨結果や、基板の全体的な研磨結果について調べることができる。
【0039】
研磨装置の研磨部は、研磨対象である半導体ウエハ等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧し、これによって、基板の表面を平坦に研磨する。図2に示すように、トップリング1の下方には、上面に研磨パッド(研磨布)101を貼付した研磨テーブル100が設置されている。研磨テーブル100の上方には、研磨液供給ノズル102が設置されており、この研磨液供給ノズル102によって研磨テーブル100上の研磨パッド101上に研磨液(スラリ)Qが供給される。これにより、研磨部が構成されている。
【0040】
研磨液Qとして、選択比(selectivity)を有するものが用いられる。選択比とは、基板表面に複数の異なる種類の膜が形成されている場合に、それぞれの膜の研磨における除去速度比のことを言う。例えば絶縁膜の上に金属膜が積層されている基板においては、絶縁膜と金属膜の選択比(すなわち除去速度比)が大きい研磨液を用いることにより、絶縁膜の削りすぎという問題が解消される。
【0041】
市場で入手できる研磨パッド101としては種々のものがあり、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5、Surfin 000等がある。SUBA800、Surfin xxx−5、Surfin 000は、繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC−1000は、硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、ポーラス(多孔質状)になっており、その表面に多数の微細な凹みまたは孔を有している。研磨パッド101は、基本的には消耗部材であり、基板の表面を研磨することによりすり減っていく。実際の研磨プロセスにおいては、研磨パッド101が所定の厚さになるか、または研磨速度が低下した時に、新しい研磨パッド101への張り替えを行っている。
【0042】
トップリング1は、自在継手部10を介してトップリング駆動軸11に接続されており、トップリング駆動軸11は、トップリングヘッド110に固定されたトップリング用エアシリンダ111に連結されている。トップリング用エアシリンダ111によってトップリング駆動軸11は上下動し、トップリング1の全体を昇降させるとともに、トップリング本体2の下端に固定されたリテーナリング3を研磨テーブル100に押圧する。トップリング用エアシリンダ111は、レギュレータRE1を介して圧縮空気源120に接続されており、レギュレータRE1によって、トップリング用エアシリンダ111に供給される加圧空気の空気圧等の流体圧力を調整することができる。これにより、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力を調整することができる。
【0043】
トップリング駆動軸11は、キー(図示せず)を介して回転筒112に連結されている。回転筒112は、その外周部にタイミングプーリ113を備えている。トップリングヘッド110には、回転駆動部としてのトップリング用モータ114が固定されており、タイミングプーリ113は、タイミングベルト115を介してトップリング用モータ114に設けられたタイミングプーリ116に接続されている。従って、トップリング用モータ114を回転駆動することによって、タイミングプーリ116、タイミングベルト115及びタイミングプーリ113を介して回転筒112及びトップリング駆動軸11が一体に回転し、トップリング1が回転する。トップリングヘッド110は、フレーム(図示せず)に固定支持されたトップリングヘッドシャフト117によって支持されている。
【0044】
また、図示しないが、トップリング用モータ114には、このトルクを測定する測定部としてのトルクセンサが設けられている。例えば基板表面の研磨中に、基板上の金属膜が除去されて金属膜の下に形成された絶縁膜が研磨面に対して露出すると、摩擦力の変化によりトップリング用モータ114にかかるトルクが変化する。この変化をトルクセンサ(測定部)で検知し、これによって、金属膜が除去されたことを判定することができる。このトルクセンサは、実際にモータのトルクを測るものでもよいし、モータの電流を計測するものでもよい。また、この例では、トルクセンサをトップリング用モータ114に設置しているが、研磨テーブル100を回転させるための研磨テーブル用モータに測定部としてのトルクセンサを設置してもよい。
【0045】
次に、トップリング1について、図3及び図4を用いてより詳細に説明する。図3は、トップリング1を示す縦断面図、図4は、図3に示すトップリング1の底面図である。
図3に示すように、トップリング1は、内部に収容空間を有する円筒容器状のトップリング本体2と、トップリング本体2の下端に固定されたリテーナリング3を備えている。トップリング本体2は、例えば金属やセラミックス等の強度及び剛性が高い材料から形成されている。リテーナリング3は、例えば剛性の高い樹脂材又はセラミックス等から形成されている。
【0046】
トップリング本体2は、円筒容器状のハウジング部2aと、ハウジング部2aの円筒部の内側に嵌合される環状の加圧シート支持部2bと、ハウジング部2aの上面の外周縁部に嵌合された環状のシール部2cとを備えている。トップリング本体2のハウジング部2aの下面に固定されているリテーナリング3の下部は内方に突出している。なお、リテーナリング3をトップリング本体2と一体的に形成してもよい。
【0047】
トップリング本体2のハウジング部2aの中央部上方には、上述したトップリング駆動軸11が配設されており、トップリング本体2とトップリング駆動軸11とは自在継手部10により連結されている。この自在継手部10は、トップリング本体2及びトップリング駆動軸11とを互いに傾動可能とする球面軸受け機構と、トップリング駆動軸11の回転をトップリング本体2に伝達する回転伝達機構とを備えており、トップリング本体2のトップリング駆動軸11に対する傾動を許容しつつ、トップリング駆動軸11の押圧力及び回転力をトップリング本体2に伝達する。
【0048】
球面軸受け機構は、トップリング駆動軸11の下面の中央に形成された球面状凹部11aと、ハウジング部2aの上面の中央に形成された球面状凹部2dと、両凹部11a,2d間に介装された、セラミックスのような高硬度材料からなるベアリングボール12とから構成されている。回転伝達機構は、トップリング駆動軸11に固定された駆動ピン(図示せず)とハウジング部2aに固定された被駆動ピン(図示せず)とから構成される。トップリング本体2が傾いても被駆動ピンと駆動ピンは相対的に上下方向に移動可能であるため、これらは互いの接触点をずらして係合して、回転伝達機構がトップリング駆動軸11の回転トルクをトップリング本体2に確実に伝達する。
【0049】
トップリング本体2及びトップリング本体2に一体に固定されたリテーナリング3の内部に画成された空間内には、トップリング1によって保持される半導体ウエハ等の基板Wに当接する弾性パッド4と、環状のホルダーリング5と、弾性パッド4を支持する概略円盤状のチャッキングプレート6とが収容されている。弾性パッド4は、その外周部がホルダーリング5と該ホルダーリング5の下端に固定されたチャッキングプレート6との間に挟み込まれており、チャッキングプレート6の下面を覆っている。これにより弾性パッド4とチャッキングプレート6との間には空間が形成されている。
【0050】
ホルダーリング5とトップリング本体2との間には弾性膜からなる加圧シート7が張設されている。加圧シート7は、一端をトップリング本体2のハウジング部2aと加圧シート支持部2bとの間に挟み込み、他端をホルダーリング5の上端部5aとストッパ部5bとの間に挟み込んで固定されている。トップリング本体2、チャッキングプレート6、ホルダーリング5、及び加圧シート7によって、トップリング本体2の内部に圧力室21が形成されている。図3に示すように、圧力室21には、チューブやコネクタ等からなる流体路31が連通されており、圧力室21は、流体路31内に設置されたレギュレータRE2を介して圧縮空気源120に接続されている。なお、加圧シート7は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴムなどの強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0051】
なお、加圧シート7がゴムなどの弾性体からなり、加圧シート7をリテーナリング3とトップリング本体2との間に挟み込んで固定した場合には、弾性体としての加圧シート7の弾性変形によってリテーナリング3の下面において好ましい平面が得られなくなってしまう。従って、これを防止するため、この例では、別部材として加圧シート支持部2bを設けて、加圧シート7をトップリング本体2のハウジング部2aと加圧シート支持部2bとの間に挟み込んで固定している。
【0052】
なお、特願平8−50956号(特開平9−168964号公報)や特願平11−294503号に記載されているように、リテーナリング3をトップリング本体2に対して上下動可能としたり、リテーナリング3をトップリング本体2とは独立に押圧可能な構造としたりすることもでき、このような場合には、必ずしも上述した加圧シート7の固定方法が用いられるとは限らない。
【0053】
弾性パッド4とチャッキングプレート6との間に形成される空間の内部には、弾性パッド4に当接する当接部材としてのセンターバッグ8(中心部当接部材)及びリングチューブ9(外側当接部材)が設けられている。この例においては、図3及び図4に示すように、センターバッグ8は、チャッキングプレート6の下面の中心部に配置され、リングチューブ9は、このセンターバッグ8の周囲を取り囲むようにセンターバッグ8の外側に配置されている。なお、弾性パッド4、センターバッグ8及びリングチューブ9は、加圧シート7と同様に、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0054】
チャッキングプレート6と弾性パッド4との間に形成される空間は、上記センターバッグ8及びリングチューブ9によって複数の空間に区画されており、これによりセンターバッグ8とリングチューブ9の間には圧力室22が、リングチューブ9の外側には圧力室23がそれぞれ形成されている。
【0055】
センターバッグ8は、弾性パッド4の上面に当接する弾性膜81と、弾性膜81を着脱可能に保持するセンターバッグホルダー82(保持部)とから構成されている。センターバッグホルダー82にはねじ穴82aが形成されており、このねじ穴82aにねじ55を螺合させることにより、センターバッグ8がチャッキングプレート6の下面の中心部に着脱可能に取付けられている。センターバッグ8の内部には、弾性膜81とセンターバッグホルダー82とによって中心部圧力室24が形成されている。
【0056】
同様に、リングチューブ9は、弾性パッド4の上面に当接する弾性膜91と、弾性膜91を着脱可能に保持するリングチューブホルダー92(保持部)とから構成されている。リングチューブホルダー92にはねじ穴92aが形成されており、このねじ穴92aにねじ56を螺合させることにより、リングチューブ9がチャッキングプレート6の下面に着脱可能に取付けられている。リングチューブ9の内部には、弾性膜91とリングチューブホルダー92とによって中間部圧力室25が形成されている。
【0057】
圧力室22,23、中心部圧力室24及び中間部圧力室25には、チューブやコネクタ等からなる流体路33,34,35,36がそれぞれ連通されており、各圧力室22〜25は、それぞれの流体路33〜36内に設置されたレギュレータRE3,RE4,RE5,RE6を介して、供給源としての圧縮空気源120に接続されている。なお、上記流体路31,33〜36は、トップリング駆動軸11の上端部に設けられたロータリージョイント(図示せず)を介して、各レギュレータRE2〜RE6に接続されている。
【0058】
上述したチャッキングプレート6の上方の圧力室21及び上記圧力室22〜25には、各圧力室に連通される流体路31,33〜36を介して加圧空気等の加圧流体又は大気圧や真空が供給されるようになっている。図2に示すように、圧力室21〜25の流体路31,33〜36上に配置されたレギュレータRE2〜RE6によってそれぞれの圧力室に供給される加圧流体の圧力を調整することができる。これにより各圧力室21〜25の内部の圧力を各々独立に制御する又は大気圧や真空にすることができるようになっている。
【0059】
このように、レギュレータRE2〜RE6によって各圧力室21〜25の内部の圧力を独立に可変とすることにより、弾性パッド4を介して基板Wを研磨パッド101に押圧する押圧力を基板Wの部分(区画領域)毎に調整することができる。なお、場合によっては、これらの圧力室21〜25を真空源121に接続してもよい。
【0060】
次に、このように構成されたトップリング1の研磨時における動作について説明する。研磨時には、トップリング1の下面に基板Wを保持させるとともに、トップリング駆動軸11に連結されたトップリング用エアシリンダ111を作動させてトップリング1の下端に固定されたリテーナリング3を所定の押圧力で研磨テーブル100の研磨パッド101に押圧する。この状態で、圧力室22,23、中心部圧力室24及び中間部圧力室25にそれぞれ所定の圧力の加圧流体を供給し、基板Wを研磨テーブル100の研磨パッド101に押圧する。そして、研磨液供給ノズル102から研磨液Qを流すことにより、研磨パッド101に研磨液Qが保持され、基板Wの研磨される面(下面)と研磨パッド101との間に研磨液Qが存在した状態で基板Wの下面の研磨が行われる。
【0061】
ここで、基板Wの圧力室22,23の下方に位置する部分は、それぞれ圧力室22,23に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。また、基板Wの中心部圧力室24の下方に位置する部分は、センターバッグ8の弾性膜81及び弾性パッド4を介して、中心部圧力室24に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。基板Wの中間部圧力室25の下方に位置する部分は、リングチューブ9の弾性膜91及び弾性パッド4を介して、中間部圧力室25に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。
【0062】
従って、基板Wに加わる研磨圧力は、各圧力室22〜25に供給される加圧流体の圧力をそれぞれ制御することにより、基板Wの半径方向に沿った各部分毎に調整することができる。即ち、後述するコントローラ(制御部)400が、レギュレータRE3〜RE6によって、各圧力室22〜25に供給する加圧流体の圧力をそれぞれ独立に調整し、基板Wを研磨テーブル100上の研磨パッド101に押圧する押圧力を基板Wの部分毎に調整している。このように、基板Wの部分毎に研磨圧力が所望の値に調整された状態で、回転している研磨テーブル100の上面の研磨パッド101に基板Wが押圧される。同様に、レギュレータRE1によって、トップリング用エアシリンダ111に供給される加圧流体の圧力を調整し、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力を変更することができる。
【0063】
このように、研磨中に、リテーナリング3が研磨パッド101を押圧する押圧力と、基板Wを研磨パッド101に押圧する押圧力を適宜調整することにより、基板Wの中心部(図4のC1)、中心部から中間部(C2)、外方部(C3)、そして周縁部(C4)、更には基板Wの外側にあるリテーナリング3の外周部までの各部分における研磨圧力の分布を所望の値とすることができる。
【0064】
なお、基板Wの圧力室22,23の下方に位置する部分には、弾性パッド4を介して流体から押圧力が加えられる部分と、開口部41の箇所のように、加圧流体の圧力そのものが基板Wに加わる部分とがあるが、これらの部分に加えられる押圧力は、同一圧力でもよく、それぞれ任意の圧力でも押圧ができる。また、研磨時には、弾性パッド4は、開口部41の周囲において基板Wの裏面に密着するため、圧力室22,23の内部の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。
【0065】
このように、基板Wを同心の4つの円及び円環部分(C1〜C4)に区画し、それぞれの部分(領域)を独立した押圧力で押圧することができる。研磨レートは、基板Wの研磨面に対する押圧力に依存するが、上述したように各部分の押圧力を制御することができるので、基板Wの4つの部分(C1〜C4)の研磨レートを独立に制御することが可能となる。従って、基板Wの表面の研磨すべき薄膜の膜厚に半径方向の分布があっても、基板全面に亘って研磨の不足や過研磨をなくすことができる。
【0066】
即ち、基板Wの表面の研磨すべき膜が、基板Wの半径方向の位置によって膜厚が異なっている場合であっても、上記各圧力室22〜25のうち、基板Wの表面の膜厚の厚い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも高くすることにより、あるいは、基板Wの表面の膜厚の薄い部分の上方に位置する圧力室の圧力を他の圧力室の圧力よりも低くすることにより、膜厚の厚い部分の研磨面への押圧力を膜厚の薄い部分の研磨面への押圧力より大きくすることが可能となり、その部分の研磨レートを選択的に高めることができる。これにより、成膜時の膜厚分布に依存せずに基板Wの全面に亘って過不足のない研磨が可能となる。
【0067】
ここで、基板Wの周縁部に起こる縁だれは、リテーナリング3の押圧力を制御することにより防止できる。また、基板Wの周縁部において研磨すべき膜の膜厚に大きな変化がある場合には、リテーナリング3の押圧力を意図的に大きく、あるいは、小さくすることで、基板Wの周縁部の研磨レートを制御することができる。なお、上記各圧力室22〜25に加圧流体を供給すると、チャッキングプレート6は上方向の力を受けるので、この例では、圧力室21には流体路31を介して圧力流体を供給し、各圧力室22〜25からの力によりチャッキングプレート6が上方に持ち上げられるのを防止している。
【0068】
上述のようにして、トップリング用エアシリンダ111によるリテーナリング3の研磨パッド101への押圧力と、各圧力室22〜25に供給する加圧空気による基板Wの部分毎の研磨パッド101への押圧力とを適宜調整して基板Wの研磨が行われる。
【0069】
以上説明したように、圧力室22,23、センターバッグ8の内部の圧力室24、及びリングチューブ9の内部の圧力室25の圧力を独立に制御することにより、基板に対する押圧力を制御することができる。更に、この例によれば、センターバッグ8及びリングチューブ9の位置や大きさなどを変更することによって、押圧力の制御を行う範囲を簡単に変更することができる。
【0070】
すなわち、基板の表面に形成される膜の膜厚分布は、成膜の方法や成膜装置の種類により変化するが、この例によれば、基板に押圧力を加える圧力室の位置や大きさをセンターバッグ8及びセンターバッグホルダー82、またはリングチューブ9及びリングチューブホルダー92を交換するだけで変更することができる。従って、研磨すべき膜の膜厚分布に合わせて押圧力を制御すべき位置や範囲をトップリング1の極一部を交換するだけで容易かつ低コストで変更することが可能となる。換言すれば、研磨すべき基板の表面の研磨すべき膜の膜厚分布に変化があった場合にも、容易かつ低コストで対応することができる。なお、センターバッグ8またはリングチューブ9の形状及び位置を変更すると、結果的にセンターバッグ8とリングチューブ9に挟まれる圧力室22及びリングチューブ9を取り囲む圧力室23の大きさを変えることにもなる。
【0071】
この研磨装置の研磨対象となる基板上には、例えば配線を形成するための銅めっき膜が成膜されているとともに、その下地材料としてバリア層が成膜されている。この研磨装置の研磨対象となる基板の最上層に酸化シリコン等の絶縁膜が成膜されているときには、光学式センサやマイクロ波センサによりその絶縁膜の膜厚を検知することができる。光学式センサの光源としては、ハロゲンランプ、キセノンフラッシュランプ、LEDまたはレーザー光源などが用いられる。
【0072】
以下、本発明に係る研磨装置のコントローラ400が実行する研磨方法についてより詳細に説明する。
図5に示すように、コントローラ400は、操作パネルなどのマン−マシン・インターフェース401からの入力や、各種データ処理を行うホストコンピュータ402からの入力に基づいて、所望形状などの目標プロファイルになるように基板Wを目標研磨レート(研磨量)で研磨する。データベース404(図6等参照)内には、基板の研磨対象である膜種に応じた研磨レシピが予め保存されており、コントローラ400は、カセット204に設けられたバーコードなどの記録媒体から、カセット204が保管している基板Wの表面に形成された膜の種類についての情報を取得し、これに対応した研磨条件(研磨レシピ)をデータベース404から読み出し、基板Wの領域C1〜C4毎に対応する研磨レシピを自動作成するようになっている。
【0073】
この研磨レシピにより研磨処理工程が終了した基板は、洗浄、乾燥工程を経てITM224に搬送され、研磨後の基板表面における膜厚、段差の高低差等の表面状態が測定される。ここで得られた測定結果に応じて、研磨条件(研磨レシピ)を修正(更新)するフィードバック処理を行うことにより、最適条件で基板Wの研磨処理を繰返す。
【0074】
通常、研磨処理工程においては、処理が始まると、カセット204から基板Wが順次取出されて研磨が行われる。しかし、研磨処理工程を開始する際、例えば、研磨処理工程を長時間休止していた状態から研磨処理工程を再開する場合、カセット内の1枚目の基板を研磨する場合、若しくは研磨パッド101、ドレッサ、研磨液、トップリング内のリテーナリング、バッキングフィルム、メンブレン等の消耗部材を新しいものに交換した直後、その他、研磨レシピの修正が必要な場合などにおいては、研磨処理工程を開始する際の1枚目についてのみ基板を流して研磨を行い、次の2枚目以降の基板は、1枚目の基板が研磨終了後ITMによって測定されるまで連続して基板を流さないようにしている。この基板の流れを遮断する操作のことをゲーティング(Gating)と呼ぶ。
【0075】
以下、ゲーティングを用いた研磨処理工程の一例について、図6を参照して説明する。まず、操作パネルなどのマン−マシン・インターフェース401からの入力や、各種データ処理を行うホストコンピュータ402からのコントローラ400への入力に基づいて、ゲーティングが実行される(ゲーティングオン)。そして、ゲーティングに引き続き、ホストコンピュータ402は、プログラムに基づき、以下のような研磨処理工程を実行するように研磨装置内の各部へ指令を出す。
【0076】
つまり、図6に示すように、例えば、カセットから取出された1枚目の基板は、先ずITM224に搬送され、ここで研磨前の初期状態における基板表面の膜厚等の表面状態が測定される。次に、予め設定された研磨条件(研磨レシピ)に基づいて、基板の表面に対する1段目の研磨が行われる。1段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで1段目の研磨後の基板表面における膜厚等の表面状態が測定される。その後、予め設定された研磨レシピに基づいて、基板の表面に対する2段目の研磨が行われる。2段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで2段目の研磨後の基板表面における膜厚等の表面状態が測定され、しかる後、カセットに戻される。これによって、1枚目の基板の研磨処理工程が終了して、ゲーティングが解除される(ゲーティングオフ)。
【0077】
そして、2枚目の基板がカセットから取出されると、2枚目の基板は、先ずITM224に搬送され、ここで研磨前の初期状態における基板表面の膜厚等の表面状態が測定される。次に、予め定められた研磨レシピに基づいて、基板表面に対する1段目の研磨が行われ、引き続き、研磨レシピに基づいて、基板表面に対する2段目の研磨が行われる。つまり、1段目の研磨を終了した基板は、ITM224に搬送されて、その表面状態が測定されることはない。そして、2段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで2段目の研磨後における基板表面の膜厚等の表面状態が測定され、しかる後、カセットに戻される。これによって、2枚目の基板の研磨処理工程が終了する。
【0078】
2枚目の基板に対する2段目の研磨の研磨レシピ(研磨条件)は、ITM224によって測定された、1枚目の基板に対する2段目の研磨前後における膜厚等の表面状態の測定結果に基づいて、つまり、表面状態の測定結果がフィードバックされて、最適に修正(更新)される。
【0079】
カセットから取出された3枚目以降の基板(n枚目の基板)は、先ずITM224に搬送され、ここで研磨前の初期状態における基板表面の膜厚等の表面状態が測定される。次に、予め定められた研磨レシピに基づいて、基板表面に対する1段目の研磨が行われ、引き続き、研磨レシピに基づいて、基板表面に対する2段目の研磨が行われる。つまり、1段目の研磨を終了した基板は、ITM224に搬送されて、その表面状態が測定されることはない。そして、2段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで2段目の研磨後における基板表面の膜厚等の表面状態が測定され、しかる後、カセットに戻される。これによって、3枚目以降の基板の研磨処理工程が終了する。
【0080】
3枚目以降の基板に対する2段目の研磨の研磨レシピ(研磨条件)は、ITM224によって測定された、直前の基板に対する初期状態及び2段目の研磨終了後における膜厚等の表面状態の測定結果に基づいて、つまり、表面状態の測定結果がフィードバックされて、最適に修正(更新)される。
【0081】
この例は、1段目の研磨における研磨条件(研磨レシピ)を固定し、全ての基板に対して同一の研磨レシピで1段目の研磨を行い、2段目の研磨条件のみを、直近の基板に対する測定結果を基に、最適となるように修正(更新)するようにしている。なお、1枚目の基板に対する研磨前の初期状態における基板表面における膜厚等の表面状態の測定値をホールドしておいて、2枚目以降の基板に対する初期状態の測定を行うことなく、この値をそのまま使用してもよい。また、この例では2段研磨について説明しているが、3段研磨、4段研磨等の複数段研磨についても上記と同様の運転が可能である、この場合は、複数段研磨における所定の(予め設定した)段の研磨条件を上記の2段目の研磨条件に当てはめることになる。また、2段目以降の研磨条件に限らず、1段目の研磨条件に上記の2段目の研磨条件を適用することも可能となっている。このことは以下の例においても同様である。
【0082】
このように、カセットから取出された2枚目以降の基板に対して、1段目の研磨終了後における基板表面の膜厚等の表面状態をITM等で測定することなく、2段目の研磨を1段目の研磨に連続して行うことで、ITMによる測定を省略して、スループットを向上させ、しかも、直近の測定結果を基に2段目の研磨条件を修正(更新)することで、2段目の研磨を最適な研磨条件で行うことができる。
【0083】
この例において、コントローラ400は、更に以下のような制御を行うようにしている。つまり、研磨装置内には、研磨時間と研磨量との関係を示すデータ、研磨パッドの消耗度、追加研磨(Re-work)する基板の枚数、研磨パッドの表面温度及びドレッサの消耗度等の研磨に関するデータを蓄積したデータベース404が格納されている。ここで、追加研磨とは、基板の研磨終了後、ITM224により基板表面を測定した結果、研磨対象の膜が除去されていないと判断され、再度研磨する工程をいう。多段研磨にかかる各段の研磨レシピを修正する際には、このデータベース404内のデータを用いている。
【0084】
例えば、研磨パッド101の消耗度は、研磨パッド101により研磨された基板Wの枚数に比例する。データベース内には、研磨パッド101を新しく張り替えてから研磨された基板の枚数をカウントしたデータが格納されており、このデータに基づいて研磨レシピ等やドレッサによるドレッシングの頻度や時間を修正する。また、実際に研磨面に光や超音波等を照射して実際の消耗度を測定してもよい。
【0085】
上記データベースは、追加研磨する基板の枚数をカウントすることにより追加研磨の発生率を求め、予めマシン・インターフェース401等から設定された設定値よりも追加研磨の発生率が高い場合は、ゲーティングを実行し(Gating on)、再び上記した1枚目の基板に対して行った研磨処理工程を行うようにしている。
また、追加研磨の発生率のほかにも、ゲーティング実行のパラメータとして、追加研磨数や研磨後の基板の被研磨表面の段差形状における高低差、研磨後の各基板の研磨量の平均値または偏差、または予め入力した研磨量の上限値または下限値が用いられる。
【0086】
下記に、ゲーティングを用いた追加研磨工程を示す。追加研磨は研磨対象膜が完全に除去されるまで、あるいは所定の厚さまで除去されるまで、繰り返し行われる。具体的には、1枚の基板(ウエハ)について1度追加研磨を行い、その後ITMにて表面の測定を行い、除去が不完全であると判定された時には、再度追加研磨を行うことになる。
【0087】
本発明では重複した追加研磨の回数を低減させるため、下記の追加研磨処理を行っている。つまり、1枚目の基板に対してゲーティングを実行し(ゲーティングオン)、予め設定された研磨条件(研磨レシピ)に基づいて、追加研磨を行う。そして、追加研磨を行った基板を、洗浄後、乾燥し、ITM224に搬送して研磨後の基板表面における膜厚等の表面状態を測定し、除去の状態が設定値を満足するものであればカセットに戻し、除去の状態が設定値を満足しない時には、再度追加研磨を行う。除去の状態が設定値を満足するものになったら1枚目の基板の追加処理工程が終了して、ゲーティングを解除する。
【0088】
2枚目以降の基板に対しては、基板の表面状態(膜厚等)および1枚目の研磨結果を基に研磨レシピを修正し、追加研磨を行う。追加研磨後、洗浄、乾燥し、ITM224に搬送して研磨後の基板表面における膜厚等の表面状態を測定する。この時の研磨条件は、次の3枚目の研磨レシピにフィードバックされる。
【0089】
図7は、ゲーティングを用いた研磨処理工程の他の例を示す。この例は、前記図6に示す例と択一的に行われるもので、図6に示す例と異なる点は、以下の通りである。つまり、この例にあっては、例えはカセットから取出された1枚目の基板に対して、前述の例と同様なゲーティングが行われる。そして、カセットから取出された2枚目の基板は、先ずITM224に搬送され、ここで研磨前の初期状態における基板表面の膜厚等の表面状態が測定される。次に、研磨条件(研磨レシピ)に基づいて、基板の表面に対する1段目の研磨と2段目の研磨が連続して行われる。そして、2段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで2段目の研磨後の基板表面における膜厚等の表面状態が測定されてカセットに戻される。
【0090】
カセットから取出された2枚目の基板に対する1段目または2段目の研磨の少なくとも一方の研磨レシピ(研磨条件)は、ITM224によって測定された、1枚目の基板に対する2段目の研磨前後における膜厚等の表面状態の測定結果がフィードバックされて更新(修正)される。
【0091】
カセットから取出された3枚目以降の基板は、先ずITM224に搬送され、ここで研磨前の初期状態における基板表面の膜厚等の表面状態が測定され、研磨レシピに基づいて、基板表面に対する1段目及び2段目の研磨が連続して行われる。そして、2段目の研磨を終了した基板は、洗浄後、乾燥されて、再びITM224に搬送され、ここで2段目の研磨後における基板表面の膜厚等の表面状態が測定されてカセットに戻される。
【0092】
カセットから取出された3枚目以降の基板に対する1段目または2段目の少なくとも一方の研磨の研磨レシピ(研磨条件)は、ITM224によって測定された、直前の基板に対する初期状態及び2段目の研磨終了後における膜厚等の表面状態の測定結果がフィードバックされて更新(修正)される。
【0093】
例えば、追加研磨の発生率が設定値よりも高くなった場合に、フィードバックを掛ける対象を図6に示す2段目のみの研磨から、図7に示す1段目の研磨または1段目と2段目の研磨の両方に移すというように、フィードバックの掛け方を変更することで、追加研磨の発生率を下げるようにすることができる。
【0094】
この例における2枚目以降の基板に対する研磨前の膜厚等のデータ取得の有無、再ゲーティングの有無、フィードバックの掛け方の指定などの判断等においては、作業者による判断で行うことも可能であるが、主にホストコンピュータ402内に記録されているプログラムにより上記の判断を自律的に行うようにしている。
【0095】
以上のように、基板表面の周辺の環境や条件の変化等を加味した制御を行うことによって、基板の表面状態のみをフィードバックして研磨レシピを改善する制御手段に比べて、精度の高い研磨運転を行うことが可能となる。基板の表面状態のみをフィードバックして研磨レシピを改善する制御手段においては、研磨の結果を反映した制御を行うのみであるのに対し、基板の表面状態のフィードバックに基板表面の周辺の環境、条件の変化を加味した制御手段においては、研磨後の基板表面のプロファイルに対する原因と結果の両方をパラメータとしているため、研磨運転を良好に行うことができる。この制御手法は、APC(Advanced Process Control)やEES(Equipment Engineering System)と呼ばれる制御手法を基にしている。
【0096】
なお、上記の例では、ITM224として光学式のものを用いている。このため、基板表面に設けられた、研磨の対象となる膜が金属である場合には、基板表面の膜に投光しても、光が全反射して膜厚が測定できない。このため、適用し得る研磨対象となる膜は、絶縁膜などの非金属膜である。また、上記の例では2段研磨について説明したが、3段以上の複数段研磨においても適用することができる。この場合においてはフィードバックを掛ける段の組み合わせが増えることとなるが(例えば1,2,3,4段目にフィードバックを掛ける、3段目のみにフィードバックを掛ける、など)、研磨結果の履歴や研磨対象の膜種や研磨液の種類などをパラメータとして適宜フィードバックの掛け方が選択される。
【0097】
図9及び図10は、研磨対象となる膜が金属膜の場合に適用される本発明の他の例を示す。この例は、図10に示すように、基板上に形成した絶縁膜300の内部のビアホール302及びトレンチ304を含む該絶縁膜300の表面にバリア層306を設け、バリア層306の表面に銅やタングステン等からなる配線材料308を形成した基板表面を研磨し、絶縁膜300の表面の余剰な金属膜、つまりバリア層306及び配線材料308を除去して、ビアホール302及びトレンチ304内に埋設した配線材料308で配線を形成するようにしている。
【0098】
先ず、図9(a)に示すように、例えばカセット204から取出した1枚目の基板に対するゲーティングを実行する。つまり、カセット204から取出した1枚目の基板を研磨装置のトップリング1で保持し、トップリング1を回転させつつ、該トップリング1で保持した基板を研磨テーブル100の研磨パッド101に押圧し、同時に研磨パッド101に研磨液供給ノズル102から研磨液を供給して、予め設定された研磨レシピ(研磨条件)で基板表面に対する1段目の研磨を行う。この1段目の研磨では、主に余剰な金属膜(バリア層306及び配線材料308)の研磨除去を行う。このとき、1段目の研磨の終点を、トップリング用モータ114のトルクのトルクセンサ(測定部)により検知する。つまり、トルクセンサで絶縁膜300の表面が露出したことを検知した時点で1段目の研磨を終了する。
【0099】
1段目の研磨を終了した基板を洗浄し乾燥させた後、ITM224に搬送し、このITM224で1段目の研磨を終了した基板の膜厚等の表面状態を測定する。次に、この基板に対する2段目の研磨を行う。この2段目の研磨は、1段目の研磨を行った研磨テーブル100で行っても、他の研磨テーブル216で行ってもよい。2段目の研磨においては、主にバリア層306の下に形成された絶縁膜300の研磨を行う。ここで、2段目の研磨では絶縁膜300を完全に除去することを目的としておらず、所定の厚さTだけ絶縁膜300を除去することを目的としている。この工程をタッチアップ(Touch Up)とよび、1段目の研磨によって絶縁膜300の表面に生じた傷等の除去を目的としている。この傷は、主に1段目の研磨で用いた研磨液(スラリ)によって生じたものであり、タッチアップにおいては、研磨液の種類を変更して研磨を行う。
【0100】
2段目の研磨を終了した基板を洗浄し乾燥させた後、ITM224に搬送し、このITM224で2段目の研磨を終了した基板の膜厚等の表面状態を測定する。しかる後、基板をカセットに戻し、これによって、1枚目の基板に対する研磨処理工程を終了して、ゲーティングを解除する。
【0101】
この1段目の研磨の際に研磨テーブル100に供給される研磨液として、金属膜(配線材料308及びバリア層306)に対する研磨レートの方が絶縁膜300に対する研磨レートよりも高い研磨液、つまり選択比の高い研磨液を使用することが好ましい。これにより、研磨液の有する選択比により、金属膜を除去した後の研磨レートを大幅に落として、金属膜の下に設けられた絶縁膜300を削りこむことなく、1段目の研磨を終了することができる。
【0102】
カセットから取出された2枚目の基板に対しては、図9(b)に示すように、1段目の研磨と2段目の研磨(タッチアップ)を連続して行い、2段目の研磨を終了した基板を洗浄し乾燥させた後、ITM224に搬送し、このITM224で2段目の研磨を終了した基板の膜厚等の表面状態を測定する。しかる後、基板をカセットに戻し、これによって、2枚目の基板に対する研磨処理工程を終了する。
【0103】
この時、2枚目の基板に対する1段目の研磨における研磨レシピは、1枚目の基板に対する1段目の研磨における研磨レシピと同じであり、2段目の研磨における研磨レシピは、ITM224によって測定された、1枚目の基板に対する2段目の研磨前後における膜厚等の表面状態の測定結果がフィードバックされて更新(修正)される。
【0104】
カセットから取出された3枚目以降の基板(n枚目の基板)に対しては、図9(c)に示すように、1段目の研磨と2段目の研磨(タッチアップ)を連続して行い、2段目の研磨を終了した基板を洗浄し乾燥させた後、ITM224に搬送し、このITM224で2段目の研磨を終了した基板の膜厚等の表面状態を測定する。しかる後、基板をカセットに戻し、これによって、3枚目以降の基板に対する研磨処理工程を終了する。
【0105】
この時、3枚目の基板に対する1段目の研磨における研磨レシピは、1枚目の基板に対する1段目の研磨における研磨レシピと同じであり、2段目の研磨における研磨レシピは、ITM224によって測定された、直前の基板に対する2段目の研磨後における膜厚等の表面状態の測定結果がフィードバックされて更新(修正)される。
なお、前述の図7に示す例とほぼ同様に、1段目の研磨または2段目の研磨の少なくとも一方を更新(修正)するようにしてもよい。
【0106】
なお、上述した例では、余分な金属膜(バリア層306及び配線材料308)が除去された時を1段目の研磨終了としているが、図11及び図12に示すように、金属膜が完全に除去される前を1段目の研磨終了として、1段目の研磨と2段目を連続して行うようにしてもよい。この場合は、2段目の研磨においても、金属膜の除去を行うことになるが、図13に示すように、トルクセンサにより金属膜(バリア層)の除去を検知した後、つまり、トルクが急激に減少したことをトルクセンサで検知した後に絶縁膜の研磨(タッチアップ)を行う。ここで、研磨条件(研磨レシピ)の更新(修正)は、金属膜除去後のタッチアップにかかる研磨工程のみに対して行う。例えば、トルクセンサにより金属膜の除去を検知した後に絶縁膜の研磨を行うが、この絶縁膜研磨の研磨時間のみをフィードバックの対象とすることができる。
【0107】
このような2段研磨を行うことにより、例えば2台の研磨テーブル100,216を用いて1段ずつ研磨を別々に行う際に、それぞれの研磨テーブル100,216における研磨時間を同一にすることができる。これにより、一方の研磨テーブルの研磨終了を待つことがなくなり、その分スループットが向上する。
また、上記の例では1段目の研磨にトルクセンサ、2段目の研磨に光学式センサをそれぞれ用いているが、これらのセンサの他にも、研磨テーブルに渦電流センサを搭載することが可能である。これらの3つのセンサのいずれも、任意の段数の研磨に適用することが可能となっている。
【0108】
上述したデータベース404内には、研磨時間と研磨量との関係を示すデータが記録されている。図14は、研磨時間と研磨量の関係を示すグラフで、図15は、研磨時間と研磨量の関係の異なるモード((a)は処理時間モード、(b)は近似モード)の例を示す。これらのデータを基に、研磨レートを求めるアルゴリズムを逐次更新していくことができる。つまり、研磨した基板の枚数に従いデータの量は増加し、データベース内に蓄積された研磨量と研磨時間との関係のデータを基に、研磨レートについての近似式を算出できるようになっている。これにより、データ量の増加に伴い、近似式の形は変化し、より精度の高いものになる。
実際の研磨処理工程において、フィードバックをかける際には、所定の時間間隔ごとに近似式を更新し、これをもとに研磨レートを変更することが可能となっている。
【0109】
なお、研磨量と研磨時間との関係を蓄積したデータは、研磨対象となる膜種、パターンの構造、あるいは膜厚に従って個別に管理されている。言い換えれば、カセットが異なっていても、膜種等が同一であれば同じデータ群としてデータベースへの蓄積を行うことができるようになっている。これにより、例えばカセットに設けられた記録媒体から研磨対象の基板の膜種、膜厚等の情報を取得した際、当該情報がデータベースに保存されているものと合致する時には、研磨前にITMにより基板の初期膜厚を測定せずともデータベースから予想表面状態としての研磨前データを算出するができる。また研磨レシピもデータベースから呼び出すだけでよい。
【0110】
前述した様に、研磨処理工程を終了した基板は、ITM224に搬送され、ここで基板表面の膜厚等の表面状態が測定される。ここで得られたデータに基づき、図5に示す、基板Wの領域C1〜C4毎に対応する研磨条件(研磨レシピ)を更新(修正)するフィードバック処理を行っている。この例では、研磨レシピの更新を、研磨レートとプロファイルコントロールの2種類について行っている。研磨レートとは、単位時間当りの研磨量を指し、プロファイルコントロールとは、基板Wの領域C1〜C4毎に対応する研磨レシピ(ここでは、主に押圧力)の設定を指す。
【0111】
従来、研磨レートとプロファイルコントロール両者の修正は、基板上の任意の点における膜厚等のデータに基づいて行われる。ここで、研磨レートの修正は、基板上の複数の測定点における膜厚の平均値を基にして行われ、プロファイルコントロールの修正は、基板の領域(C1〜C4のいずれか)における膜厚を基にして行われる。ここにおいて、研磨レートとプロファイルコントロールの両者が同一の測定点を取り込む場合がありうる。この場合においては、研磨レートについても、プロファイルコントロールについても、ある1点について修正がなされた研磨レシピが再作成されることとなる。その結果、その1点については、過剰に研磨がなされたり、逆に研磨が不足したりすることがありうる。
【0112】
このため、この例では、コントローラ400は、予めITM224からデータを取得する際には、基板上の測定点につき、研磨レートを算出するために用いる点と、プロファイルコントロールを算出するために用いる点とが重複することのないようにしている。例えば、プロファイルコントロールを、基板の領域C4の部分のみに限って行う際には、図16に示すように、最初にITMによる測定対象となる点P1を領域C1〜C4の全域に表示しておき、そこから測定値が基準値となる点P2を領域C1〜C3から、測定値が比較値となる点P3を領域C4からそれぞれ選び、研磨レートは、領域C4に位置する比較値となる点P3の測定値を用いることなく、領域C1〜C3内に位置する基準値となる点P2における測定値の平均値を用いるようにしている。ここで、基準値に対する比較値の差分をレンジ(Range)と表現し、これを軸としたテーブルを作製することで、プロファイルコントロールが可能となる。また、平均値の代わりに、最大値、最小値、最頻値等を基準値とすることができる。
【0113】
また、ここでは研磨レートとプロファイルコントロールの両者が同一の測定点を取り込む場合を完全に排除しているが、測定点が取り込まれた場合でもそれが少数であって、演算上の影響を及ぼさない程度のものであれば、研磨レートとプロファイルコントロールの両者で共通する測定点を取り込んでもよい。これは、測定点が少ない場合にデータの点数を確保する点で有用である。
【0114】
前述のように、基板表面に積層された複数の膜を研磨する際には、選択比を有する研磨液が使用されている。一般的に、より適切な研磨作業のために研磨時間を管理することが必要となるが、この研磨液の選択比が研磨時間の算出を困難なものにしている。例えば、図17に示すように、シリコン基板310上に順次積層したSiN膜312と酸化膜314を、図18に示すように、SiN膜312の途中のターゲット(研磨目標)まで研磨する場合を考える。この場合、実際に研磨した結果が、図19に示すように、酸化膜314が残った場合と、図20に示すように、酸化膜314が完全に除去された場合とで研磨条件(研磨レシピ)の修正の処理が異なる。
【0115】
つまり、図19に示すように、酸化膜314が残った場合については、研磨液の選択比を考慮し、酸化膜:SiN膜の研磨レートを考慮にいれて研磨レシピの修正を行わなくてはならない。これに対して、図20に示すように、酸化膜314が完全に除去された場合は、SiN膜312の研磨レートのみを考慮に入れて、研磨レシピの修正を行うことができる。このため、研磨レシピの修正に際して、膜厚測定の結果を基に、酸化膜314が完全に除去されたか否か作業者が判断する必要があった。しかしながら、この判断作業は、一般に困難で、しかも多大の時間を要する。
【0116】
そこで、この例では、予め研磨液の選択比を反映した合成膜厚値を算出するようにしている。例えば、選択比が酸化膜:SiN=5:1の研磨液を用いて酸化膜とSiN膜の研磨を行う時に、図21に示すように、SiNの膜厚を実際の膜厚の5倍に設定し、これを酸化膜の膜厚に加算した値を合成膜厚値としている。
【0117】
このように合成膜厚値を算出することにより、膜種が異なっていても、同一の膜を削るのと同じ条件で研磨を行うことができるため、上記のような煩雑な場合分けを行う必要がなくなり、上記の演算処理を行うプログラムをホストコンピュータに組み込むことにより、研磨レシピの修正を自律的に行うことができる。
【0118】
具体的には、予め研磨対象となる基板表面の膜種、積層構造、各膜の膜厚、さらに使用する研磨液の選択比が既知であれば、上記の合成膜厚値の算出が可能となる。そして、一度取得したこれらのデータをデータベースに記録して蓄積することにより、自律的な合成膜厚値の算出が可能な膜種が増加し、更に、これらの合成膜厚値に基づいた研磨結果を蓄積することによって、合成の精度が向上する。また、選択比のない研磨液を用いる場合には、選択比=1:1と処理することにより合成膜厚値を生成する。このようにして、選択比の有無によってプログラムの作動条件を切り換える等の煩雑な処理を経ずして研磨処理を行うことができる。
【0119】
なお、オートメーション化が進められた工場においては、研磨(CMP)のAPCが工程終了後に膜厚測定を行って合否判定を行うのと同じように、前工程・後工程の装置も同様の測定・合否判定を持って工程の終了を迎えることが広く行われている。従って、この結果を研磨装置に取込み、つまり前工程の最終膜厚値(Remain)をホストコンピュータから読込んで、研磨装置の初期膜厚として利用できれば、初期膜厚の測定時間を省略してスループットを向上させ、しかも、初期膜厚が全数得られることにより、CLC(閉ロープ制御)の精度を向上させたり、或はITMを使用できない工程においてもCLCを提供できる可能性が高まるといったメリットが生じる。
【0120】
例えば、研磨の前工程の成膜装置において、成膜状態を計測する膜厚測定装置のデータを研磨装置における研磨対象基板の研磨前膜厚のデータとして使用したり、研磨装置の研磨後の基板に関する膜厚測定装置のデータを後工程にかかる装置の処理前データとして使用したりする等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施の形態に係る研磨装置の全体配置図を示す。
【図2】研磨装置の研磨部を示す概要図である。
【図3】研磨装置のトップリングを示す縦断面図である。
【図4】研磨装置のトップリングの底面図である。
【図5】研磨装置の制御ブロック図である。
【図6】ゲーティングを用いた研磨処理工程の一例を示す図である。
【図7】ゲーティングを用いた追加研磨工程の一例を示す図である。
【図8】ゲーティングを用いた研磨処理工程の他の例を示す図である。
【図9】ゲーティングを用いた他の研磨処理工程の一例を示す図である。
【図10】図10に示す研磨工程における研磨の状態の説明に付する図である。
【図11】ゲーティングを用いた他の研磨処理工程の他の例を示す図である。
【図12】図11に示す研磨工程における研磨の状態の説明に付する図である。
【図13】図11及び図12に示す研磨工程における研磨対象と時間との関係を示す図である。
【図14】研磨時間と研磨量の関係の一例を示すグラフである。
【図15】研磨時間と研磨量の関係の異なるモード((a)は処理時間モード、(b)は近似モード)を示す図である。
【図16】基板(半導体ウエハ)におけるITMの測定対象となる点、測定値が基準値となる点、及び測定値が比較値となる点を示す図である。
【図17】複数の膜を積層した、研磨の対象となる他の基板を示す概要図である。
【図18】図17の要部を拡大して示す図である。
【図19】図18に示す膜を研磨して、上層の膜が残った状態を示す図である。
【図20】図18に示す膜を研磨して、上層の膜を完全に除去した状態を示す図である。
【図21】実際の膜厚値と合成膜厚値の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0122】
1 トップリング
2 トップリング本体
3 リテーナリング
5 ホルダーリング
8 センターバッグ
9 リングチューブ
10 自在継手部
11 トップリング駆動軸
21〜25 圧力室
31,33〜36 流体路
100,216 研磨テーブル
101 研磨パッド
102 研磨液供給ノズル
110 トップリングヘッド
204 カセット
206 載置台
210 ロータリートランスポーター
218,220 ドレッサ
300 絶縁膜
302 ビアホール
304 トレンチ
306 バリア層
308 配線材料
310 シリコン基板
312 SiN膜
314 酸化膜
400 コントローラ
401 マン−マシン・インターフェース
402 ホストコンピュータ
404 データベース
Q 研磨液
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨方法であって、
カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で所定の段における研磨を行う第2の研磨処理の一方を行うことを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記第2の研磨処理前後における被研磨物の表面状態を求め、第2の研磨処理における前記所定の段における研磨条件を修正することを特徴とする請求項1記載の研磨方法。
【請求項3】
複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨方法であって、
カセットから取出し被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で各段のうち少なくとも一つの研磨を行う第2の研磨処理の一方を行うことを特徴とする研磨方法。
【請求項4】
前記第2の研磨処理前後における被研磨物の表面状態を求め、第2の研磨処理における前記各段のうち少なくとも一つの研磨条件を修正することを特徴とする請求項3記載の研磨方法。
【請求項5】
前記カセットから取出された1枚目の被研磨物に対して前記第1の研磨処理を行い、2枚目以降に取出された被研磨物に対して前記第2の研磨処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項6】
前記第2の研磨処理により研磨された被研磨物のうち、追加研磨に関する情報を基に、被研磨物に対して前記第1の研磨処理と前記第2の研磨処理のいずれを行うかを決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項7】
前記追加研磨に関する情報は、追加研磨を行った被研磨物の枚数、追加研磨率、被研磨面上の段差の最高部と最低部の差、各被研磨物の研磨量の平均または偏差、及び研磨量の上限値または下限値の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6記載の研磨方法。
【請求項8】
前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における複数段の研磨を、研磨面を有する研磨パッドに被研磨物表面を押圧し相対移動させて行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項9】
前記研磨パッドの消耗度及び/または前記研磨パッドの前記研磨面上の温度に基づいて、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における研磨条件を設定することを特徴とする請求項8記載の研磨方法。
【請求項10】
前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における複数段の研磨に使用される消耗部材の消耗度に基づいて、前記第1の研磨処理及び前記第2の研磨処理における研磨条件を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項11】
複数の異なる膜が積層された被研磨物表面を研磨する研磨方法であって、
前記異なる膜に対する選択比を有する研磨液を用意し、
前記異なる膜の各膜厚について前記選択比に応じた係数を乗じた合成膜厚値を算出し、該合成膜厚値に基づいて研磨条件を設定し、
前記研磨液を前記研磨面に供給しながら被研磨物表面を該研磨面に押圧し相対移動させて研磨することを特徴とする研磨方法。
【請求項12】
被研磨物の研磨後の表面状態を研磨前に予め演算し、該演算により求められた研磨後の予想表面状態に基づいて研磨条件を設定することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項13】
被研磨物の表面に対して複数段の研磨を行う研磨部と、
被研磨物表面を測定する測定部と、
前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を基に前記研磨部における研磨条件を設定する制御部を有し、
前記制御部は、予め設定した条件で行った所定の段における研磨の前後における被研磨物表面の測定結果を基に、任意枚数目後の被研磨物表面に対する該所定の段の研磨条件を修正することを特徴とする研磨装置。
【請求項14】
被研磨物の表面に対して複数段の研磨を行う研磨部と、
被研磨物表面を測定する測定部と、
前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を基に前記研磨部における研磨条件を設定する制御部を有し、
前記制御部は、予め設定した条件で行った各段の研磨前後における被研磨物表面の測定結果を基に、任意枚数目後の被研磨物表面に対する少なくとも一つの段の研磨条件を修正することを特徴とする研磨装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記測定部で測定した被研磨物表面の測定結果を蓄積する記録部を有することを特徴とする請求項13または14記載の研磨装置。
【請求項16】
前記制御部は、複数の被研磨物を保管するカセットに設けられた該被研磨物に係る情報を記録した記録媒体を参照し、該被研磨物表面の情報が前記記録部に蓄積されているか照合することを特徴とする請求項15記載の研磨装置。
【請求項17】
表面に複数種の膜が積層された被研磨物を保持し研磨面に押圧するトップリングと、
前記トップリングと被研磨物とを相対的に回転させる回転駆動部と、
前記回転駆動部の負荷を測定する第1の測定部と、
研磨後の被研磨物表面を光学的に測定する第2の測定部と、
前記第1の測定部と前記第2の測定部の測定結果に基づいて、任意枚数目後の被研磨物表面に対する研磨条件を設定する制御部を有することを特徴とする研磨装置。
【請求項18】
前記第2の測定部は、被研磨物表面の全面を測定し、
前記トップリングは、前記研磨面に押圧させる被研磨物表面を複数の領域に区画して、該領域毎に研磨面に押圧する押圧力を調整する調整手段を有し、
前記制御部は、前記トップリングの前記領域毎に加える押圧力を、前記第2の測定部による測定結果に基づいて調整するようにしたことを特徴とする請求項17記載の研磨装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記第2の測定部による前記被研磨物表面の任意の複数点における測定結果に基づいて、研磨条件における研磨レートを調整することを特徴とする請求項18記載の研磨装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記第2の測定部による前記被研磨物表面の任意の点のうち、前記研磨レートを調整するために用いられた点以外の任意の複数点における測定結果に基づいて、前記トップリングの前記領域毎に加える押圧力を調整することを特徴とする請求項19記載の研磨装置。
【請求項21】
表面に複数の異なる膜が積層された被研磨物を研磨する研磨部と、
前記異なる膜に対する選択比を有する研磨液を供給する研磨液供給ノズルと、
前記研磨部における研磨条件を設定する制御部とを有し、
前記制御部は、前記異なる膜の各膜厚について前記選択比に応じた係数を乗じた合成膜厚値を算出し、該合成膜厚値に基づいて被研磨物表面の研磨条件を設定することを特徴とする研磨装置。
【請求項22】
複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、被研磨物表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためプログラムであって、
カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件で行った所定の段における研磨の前後における被研磨物表面の測定結果から、任意枚数目後の被研磨物表面に対する該所定の段における研磨条件の修正を実行させることを特徴とする研磨装置制御用プログラム。
【請求項23】
複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、被研磨物表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためプログラムであって、
カセットから取出した被研磨物に対し、予め設定した研磨条件で行った複数段の研磨の前後における被研磨物表面の測定結果から、任意枚数目後の被研磨物表面に対する少なくとも一つの段における研磨条件の修正を実行させることを特徴とする研磨装置制御用プログラム。
【請求項24】
複数の被研磨物が保管されたカセットから被研磨物を取出し、表面に複数段の研磨を行ってカセットに戻す操作を順次繰返す研磨装置を制御するためのプログラムであって、
被研磨物に対し、予め設定した研磨条件での複数段の研磨と各段の研磨前後における被研磨物表面の測定をそれぞれ行う第1の研磨処理と、前記測定結果を基に修正した研磨条件で2段目以降の研磨を行う第2の研磨処理を前記研磨装置に対して実行させ、
追加研磨に関する情報を基に、研磨条件を前記第2の研磨処理から前記第1の研磨処理に変更させることを特徴とする研磨装置制御用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−59828(P2007−59828A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246509(P2005−246509)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】