説明

研磨方法及び研磨装置

【課題】例えば、半導体層の外周部全体を研磨除去し、更にシリコン基板のエッジ部を所定深さまで研磨除去してSOI基板等の貼合せウェーハを製造する時にあっても、半導体層がシリコン基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルが得られるようにする。
【解決手段】回転中の基板Wのエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッド2を位置させ、研磨ヘッド2を下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に研磨ヘッド2の研磨具10を所定の押圧力で接触させ、所定時間経過後に、研磨具10を回転中の基板のエッジ部に前記所定の押圧力で接触させたまま研磨ヘッド2を基板の外周端部に向けて移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の基板の外周部(エッジ部乃至ベベル部)を研磨する研磨方法及び研磨装置に関し、特に半導体ウェーハ表面に素子の一部を形成する半導体装置の製造工程で、半導体ウェーハの外周部を研磨もしくは研削する研磨方法及び研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の基板の外周部(エッジ部乃至ベベル部)を研磨する研磨装置として、表面に砥粒を固着した研磨テープを使用したものが知られている(特許文献1参照)。研磨テープを使用して、半導体ウェーハの外周部(エッジ部乃至ベベル部)を研磨する場合は、一般に、水平面内で回転中の半導体ウェーハの表面に純水等の研磨液を供給しながら、半導体ウェーハの外周部に研磨テープ表面を設定圧力で押付けることで、該外周部を研磨するようにしている。
【0003】
半導体ウェーハのベベル部とは、例えば、図1に示す半導体ウェーハWにおいて、半導体ウェーハWの上面及び下面の傾斜した上側傾斜部P及び下側傾斜部Q、並びに半導体ウェーハWの外周部の側面部RからなるB部分を指す。また、半導体ウェーハのエッジ部とは、例えば、図1に示す半導体ウェーハWにおいて、半導体ウェーハWのベベル部Bの内側の境界と半導体デバイスが形成されている半導体ウェーハWの上面Dとの間のE部分を指す。
【0004】
研磨テープを使用して基板のエッジ部を研磨する研磨装置としては、研磨テープを一方向に走行自在に保持した水平方向に走行自在な研磨ヘッドを備え、回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、研磨テープを下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触させ、研磨テープの基板のエッジ部に対する接触圧力(荷重)が設定圧力に達したことを確認した時点で、研磨テープを回転中の基板のエッジ部に接触させたまま、研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて所定の移動速度で移動(スキャン)させるようにしたものが一般に知られている。
【0005】
出願人は、基板の平坦部を含む外周部(エッジ部)を、その元の角度を維持しながら、研磨テープを使用して研磨できるようにした研磨装置(特許文献2参照)や、特に基板のベベル部を研磨するベベル研磨装置に好適に使用され、研磨時間全体を短縮することができ、研磨テープを容易に交換できるようにした研磨装置(特許文献3参照)を提案している。
【0006】
近年、2枚のシリコン基板(半導体素子が形成されたデバイス基板と支持基板)を熱処理等で貼合せる、いわゆる貼合せ法を用いて、SOI(Silicon On Insulator)基板等の貼合せウェーハを製造することが提案されている。この貼合せウェーハ、例えばSOI基板は、例えば表面に半導体層(SOI層)を有し、必要に応じて表面エッジ部を予め研磨除去した第1シリコン基板(デバイス基板)と第2シリコン基板(支持基板)とを互いに表面を対向させ絶縁膜を介して貼合せ、前記半導体層を残して前記第1シリコン基板(デバイス基板)の裏面を研磨またはエッチングで削り取った後、前記半導体層の外周部全体を研磨除去し、更に前記第2シリコン基板のエッジ部を所定深さまで研磨除去して製造される(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4125148号明細書
【特許文献2】特開2009−208214号公報
【特許文献3】特開2009−154285号公報
【特許文献4】特開平4−85827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
研磨ヘッドを備え、研磨テープを下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触させ、研磨テープの基板のエッジ部に対する接触圧力が設定圧力に達したことを確認した時点で、研磨テープを回転中の基板のエッジ部に接触させたまま、研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて所定の移動速度で移動させるようにした従来の研磨装置にあっては、研磨開始時に、研磨テープを基板のエッジ部の研磨開始位置に設定圧力で接触させることが一般に難しく、しかも、研磨テープが研磨開始位置に停止する時間も一般に短いため、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することがあった。
【0009】
特に、前述の、第1シリコン基板(デバイス基板)と第2シリコン基板(支持基板)とを互いに表面を対向させ絶縁膜を介して貼合せ、半導体層を残して第1シリコン基板(デバイス基板)の裏面を研磨またはエッチングで削り取った後、半導体層の外周部全体を研磨除去し、更に第2シリコン基板のエッジ部を所定深さまで研磨除去してSOI基板等の貼合せウェーハを製造する時に、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生すると、半導体層が第2シリコン基板(支持基板)から剥がれ易くなってしまう。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みて為されたもので、例えば、前述の半導体層の外周部全体を研磨除去し、更に第2シリコン基板のエッジ部を所定深さまで研磨除去してSOI基板等の貼合せウェーハを製造する時にあっても、半導体層が第2シリコン基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルが得られるようにした研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、前記研磨ヘッドを下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に該研磨ヘッドの研磨具を所定の押圧力で接触させ、所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に前記所定の押圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させることを特徴とする研磨方法である。
【0012】
これにより、研磨具を回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に所定の押圧力で接触させながら所定時間滞在させてエッジ部を研磨することができ、これによって、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することを防止して、例えば基板表面の半導体層等の膜が基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルを得ることができる。しかも、例えば研磨除去したい膜が基板のエッジ部に円周方向でムラになって存在していても、最も研磨されにくい場所を基準に研磨具の停滞時間を設定することで、研磨除去したい膜が基板のエッジ部に残ってしまうことを確実に防止することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、前記研磨ヘッドの研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達するまで該研磨具を下降させ、所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に設定圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させることを特徴とする研磨方法である。
【0014】
これにより、研磨具を回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に設定圧力で接触させながら所定時間滞在させてエッジ部を研磨することができ、これによって、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することを防止して、例えば基板表面の半導体層等の膜が基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルを得ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記所定時間は、1秒以上であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨方法である。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記研磨具を下降させた後、前記研磨ヘッドを移動させるまでの間、前記研磨具が基板のエッジ部に接触する接触圧力を前記設定圧力より高くすることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法である。
これにより、基板のエッジ部の研磨開始位置に研磨具を所定時間停滞させて該エッジ部を研磨している時の研磨レートを高めて、スループットが低下してしまうことを防止することができる。基板に与えるストレスを考慮して、基板の回転速度を上げるようにしてもよい。
【0017】
請求項5に記載の発明は、回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、前記研磨ヘッドの研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達するまで圧力を加え、前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させて基板のエッジ部に対する第1研磨を行い、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に接触させたまま基板の外周端部に向けて第2移動速度で研磨ヘッドを更に移動させて基板のエッジ部に対する第2研磨を行うことを特徴とする研磨方法である。
【0018】
このように、基板のエッジ部に対して、研磨速度の異なる2段の研磨を行うことで、基板のエッジ部に存在する研磨除去したい膜の種類等に応じて、適切な研磨条件で該膜を研磨除去し、しかも、研磨面と非研磨面との境界部に生じる段差の傾斜も加工条件により任意に変更することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記研磨ヘッドの第2移動速度は、前記研磨ヘッドの第1移動速度よりも速いことを特徴とする請求項5記載の研磨方法である。
このように、研磨ヘッドの第2移動速度を研磨ヘッドの第1移動速度よりも速くすることで、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することを防止して、良好な研磨プロファイルを得ることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させる時、前記研磨具の基板のエッジ部に対する接触圧力を前記設定圧力より高くすることを特徴とする請求項6記載の研磨方法である。
これにより、研磨ヘッドが第1移動速度で移動している時の研磨レートを高めて、スループットが低下してしまうことを防止することができる。基板に与えるストレスを考慮して、基板の回転速度を上げるようにしてもよい。
【0021】
請求項8に記載の発明は、前記研磨具を下降させ該研磨具を回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に前記設定圧力より低い圧力で接触させた後、前記研磨具の基板のエッジ部に対する圧力を前記設定圧力に変化させることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の研磨方法である。
【0022】
これにより、研磨具を下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触させる時に基板に与えるストレスを最小限にして、例えば基板のエッジ部を下から支えるステージ等のハード部品が存在しない場合に、基板に与えられるストレスによって、基板が湾曲して基板にひびが入り、最悪の場合には基板が割れてしまうことを防止することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、前記研磨具は、所定速度で一方向に送られて基板のエッジ部を研磨する研磨テープからなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の研磨方法である。
【0024】
請求項10に記載の発明は、回転中の基板のエッジ部に前記研磨具を接触させて該エッジ部を研磨しながら、基板のベベル部を同時に研磨することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の研磨方法である。
このように、基板を回転させながら、基板のエッジ部とベベル部とを同時に研磨することで、スループットを高めることができる。
【0025】
請求項11に記載の発明は、基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板保持部で水平に保持されて回転中の基板のエッジ部に押圧して該エッジ部を研磨する上下動自在な研磨具を有する、水平方向に移動自在な研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドの移動を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達した後、所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に設定圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させるように前記研磨ヘッドを制御することを特徴とする研磨装置である。
【0026】
請求項12に記載の発明は、基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板保持部で水平に保持されて回転中の基板のエッジ部に押圧して該エッジ部を研磨する上下動自在な研磨具を有する、水平方向に移動自在な研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドの移動を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達した後、前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させ、しかる後、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に接触させたまま基板の外周端部に向けて第2移動速度で研磨ヘッドを更に移動させるように前記研磨ヘッドを制御することを特徴とする研磨装置である。
【0027】
請求項13に記載の発明は、前記研磨具は、所定速度で一方向に送られて基板のエッジ部を研磨する研磨テープからなることを特徴とする請求項11または12記載の研磨装置である。
【0028】
請求項14に記載の発明は、回転中の基板のベベル部を研磨するベベル研磨用研磨ヘッドを更に有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の研磨装置である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生したりすることを防止して、例えば基板表面の半導体層等の膜が基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】半導体ウェーハのベベル部乃至エッジ部を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る研磨装置を示す概略正面図である。
【図3】図2に示す研磨装置の研磨ヘッドをチルトさせるためのチルト機構を示す側面図である。
【図4】図2に示す研磨装置で基板のエッジ部を研磨する時における研磨ヘッドと基板との関係を工程順に示す概要図である。
【図5】図2に示す研磨装置で基板のエッジ部を研磨する時における研磨ヘッドの移動速度と時間との関係を示すグラフである。
【図6】(a)は、図2に示す研磨装置で基板のエッジ部を研磨する時における研磨ヘッドの移動速度と時間との他の関係を示すグラフで、(b)及び(c)は、それぞれ異なる更に他の関係を示すグラフである。
【図7】実施例1における研磨量と基板半径位置との関係を示すグラフである。
【図8】実施例2における研磨量と基板半径位置との関係を示すグラフである。
【図9】比較例1における研磨量と基板半径位置との関係を示すグラフである。
【図10】エッジ部を研磨(粗研磨)した基板の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真である。
【図11】実施例3における研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真である。
【図12】実施例4における研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真である。
【図13】比較例2における研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る研磨装置の概要を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図2は、本発明の実施形態に係る研磨装置を示す概略正面図である。図2に示すように、この研磨装置は、半導体ウェーハなどの基板Wを水平に保持して回転させる基板保持部1と、この基板保持部1によって保持された基板Wのエッジ部を研磨する研磨ヘッド2と、基板保持部1によって保持された基板Wのエッジ部を裏面から支持する支持部3とを備えている。
【0032】
基板保持部1は、基板Wを真空吸着力などにより保持する基板ステージ11と、基板ステージ11を回転させる基板回転機構12とを有している。基板ステージ11は、基板Wよりも小さい直径を有し、基板Wのエッジ部が基板ステージ11の外側に位置した状態で基板Wが保持される。基板回転機構12は、図示しないモータを有しており、このモータは基板ステージ11に連結されている。このような構成により、基板回転機構12のモータを回転させると、基板ステージ11に保持された基板Wが水平面内で回転する。
【0033】
研磨ヘッド2は、基板Wの表面(上面)側のエッジ部に押圧して該エッジ部を研磨する研磨具としての研磨テープ10を備えている。この例では、研磨具として研磨テープ10が用いられている。研磨テープ10は、ベースフィルムの片面に、例えば、ダイヤモンド粒子やSiC粒子などの砥粒をベースフィルムに接着した研磨テープを用いることができる。これら砥粒が固定された研磨テープ10の面が研磨面となる。研磨テープ10に用いられる砥粒は、基板Wの種類や要求される研磨性能に応じて適宜選択される。例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子やSiC粒子を砥粒として用いることができる。また、砥粒を接着させていない帯状の研磨布でもよい。また、ベースフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0034】
基板保持部1、研磨ヘッド2及び支持部3は、図示しないハウジング内に収容されており、ハウジングの内部空間が研磨室となっている。研磨テープ10は、研磨テープ供給機構15から研磨ヘッド2に送られるようになっており、研磨テープ供給機構15は、研磨室の外に配置されている。研磨テープ供給機構15は、ハウジングまたは図示しないフレームに固定されており、その位置は固定されている。研磨テープ供給機構15は、テープ送り機構16とテープ巻取り機構17とを有している。研磨テープ10は、テープ送り機構16から研磨ヘッド2に送られ、さらにテープ巻取り機構17によって研磨ヘッド2から回収される。このように、研磨テープ10は、研磨テープ供給機構15から研磨ヘッド2に少しずつ送り込まれるので、常に新しい研磨面で基板Wの研磨が行われる。
【0035】
研磨ヘッド2は、研磨テープ10の裏側(研磨面とは反対側)に配置された加圧パッド20と、位置及び回転速度が制御可能で、加圧パッド20に押圧力を与える、例えばステッピングモータやサーボモータからなる押圧機構21を有している。加圧パッド20は、押圧機構21から延びるロッド22の先端に固定され、このロッド22はその長手方向にスライド自在に図示しない軸受により支持されている。加圧パッド20には、ロッド22を介して、押圧機構21により押圧力が付与され、これにより、研磨テープ10の研磨面を基板Wの表面に対して押圧する。研磨テープ10に与えられる押圧力は、例えばロッド22の先端と加圧パッド20との間に設けた圧力センサや、モータトルクを検出しているトルクセンサで検知されて、例えば設定荷重(圧力)となるように制御される。これによよって、研磨テープ10の上下方向における停止(停滞)位置が調整される。加圧パッド20を構成する材料の例としては、シリコーンゴム、シリコーンスポンジ、フッ素ゴムなどの弾性材、またはポリブチレンナフタレート(PBN)、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの硬質材が挙げられる。
【0036】
なお、押圧機構21の駆動機構には、上記モータに代えてエアシリンダを使用することができる。この場合も、押圧力を、例えばロッド22の先端と加圧パッド22との間に設けた押圧荷重センサやエアシリンダ内のエア圧力を測定する圧力計で測定し、押圧力が設定荷重(圧力)となるようにエアシリンダに供給する圧力を制御することで、研磨中の押圧力を精密に制御するようにしてもよい。
【0037】
図3は、研磨ヘッド2を傾動させるチルト機構を示す側面図である。研磨ヘッド2は、アーム26、ベルト27及びプーリ28A,28Bを介してモータ29に連結されており、モータ29により研磨ヘッド2が、基板保持部1上の基板Wの最端部を中心に回転(チルト)するようになっている。これらアーム26、ベルト27、プーリ28A,28B及びモータ29は、研磨ヘッド2を傾動させるチルト機構を構成する。
【0038】
研磨ヘッド2は、チルト機構を介してプレート30に支持されており、プレート30はスライド機構31上に設置されている。スライド機構31は、その長手方向に沿ってプレート30が移動することを許容する。プレート30は、停止位置及び移動速度が制御可能なリニアアクチュエータ33に連結されており、このリニアアクチュエータ33を駆動させることにより、基板保持部1に保持された基板Wの径方向に沿って研磨ヘッド2が移動する。したがって、このリニアアクチュエータ33は、研磨ヘッド2を基板Wの径方向に沿って移動させる移動機構を構成する。
【0039】
研磨ヘッド2は、基板保持部1に保持された基板Wの表面(上面)側に配置され、支持部3は基板Wの裏面(下面側)に配置されている。すなわち、研磨ヘッド2と支持部3とは、基板Wに関して略上下対称に配置されている。支持部3は、研磨ヘッド2により押圧されている基板Wのエッジ部を、以下に説明するように、流体の圧力を利用して基板Wのエッジ部の反対(裏面)側から支持する。
【0040】
支持部3は、研磨ヘッド2を支持するプレート30にスライド機構34を介して連結されている。スライド機構34は、プレート30に取り付けられた図示しないリニアアクチュエータに連結されている。このような構成により、支持部3は、研磨ヘッド2とは独立して基板Wの径方向に移動が可能となっている。支持部3は、減圧弁35を経由して液体供給源36に連結されている。液体は、減圧弁35により圧力調整され、支持部3に供給される。支持部3は、基板Wのエッジ部の裏面に近接したノズル37を有している。減圧弁35により圧力調整された液体は、このノズル37より基板Wの裏面側のエッジ部に向けて噴射される。なお、使用される液体の好ましい例としては、純水が挙げられる。
【0041】
基板保持部1に保持された基板Wの中央部上方に位置して、基板Wの表面(上面)に純水等の研磨液を供給する研磨液供給ノズル40が配置されている。更に、基板回転機構12の図示しないモータ、研磨ヘッド2の押圧機構21、及び研磨ヘッド2を基板Wの径方向に沿って移動させる移動機構を構成するリニアアクチュエータ33を制御する制御部42が備えられている。
【0042】
この制御部42により、基板回転機構12の図示しないモータの回転速度、研磨ヘッド2の押圧機構21の押圧荷重及び停止位置、リニアアクチュエータ33の停止位置及び移動速度等が制御される。
【0043】
次に、本実施形態に係る研磨装置による基板のエッジ部の研磨について、図4及び図5を更に参照して説明する。
【0044】
基板Wは、図示しない搬送ロボットにより研磨装置の研磨室に搬送され、基板保持部1の基板ステージ11上に載置される。基板保持部1は、基板Wのセンタリングを行いながら真空吸着などにより基板を保持し水平面内で回転させる。同時に、研磨液供給ノズル40から基板Wの表面(上面)に純水等の研磨液を供給する。
【0045】
そして、図4(a)に示すように、基板保持部1で保持された基板Wの側方の待避位置に位置する研磨ヘッド2を、リニアアクチュエータ33の駆動に伴って、図4(b)に示すように、基板Wの外周端部から加圧パッド20までの距離Lが、例えば1.3mmの基板Wのエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に移動させる。このリニアアクチュエータ33の駆動に伴って、支持部3は、基板Wのエッジ部の研磨開始位置の直下方位置に移動する。
【0046】
基板Wの回転速度が所定の回転速度に達したことを確認した後、研磨テープ供給機構15を動作させて、研磨テープ10を、テープ送り機構16から研磨ヘッド2を経由してテープ巻取り機構17に巻き取られるように走行させる。同時に、押圧機構21を作動させ、図4(c)に示すように、加圧パッド20を下降させて、研磨テープ10を基板Wに徐々に接触させる。同時に、支持部3のノズル37から液体を基板Wの下面側のエッジ部に向けて噴射する。これにより、研磨テープ10が基板Wのエッジ部に接触し該接触圧力(荷重)が設定圧力に達した時に該エッジ部の設定圧力での研磨が開始される。
【0047】
この加圧パッド20の移動スピードは、ある程度速くてもよいが、加圧パッド20から基板Wに荷重を少しずつ与えるように押圧機構21を制御することが好ましい。これにより、研磨テープ10を下降させて回転中の基板Wのエッジ部の研磨開始位置に接触させる時に基板に与えるストレスを最小限にして、例えば基板のエッジ部を下から支えるステージ等のハード部品が存在しない場合に、基板に与えられるストレスによって、基板が湾曲して基板Wにひびが入り、最悪の場合には基板が割れてしまうことを防止することができる。
【0048】
そして、図5に示すように、研磨テープ10が基板Wのエッジ部に接触し該接触圧力が設定圧力に達して設定圧力での研磨が開始した時間tから時間tまでの所定時間(t〜t)、研磨ヘッド2を基板Wのエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に位置させたまま、研磨テープ10の上下方向の位置を固定して研磨を継続する。この所定時間(t〜t)は、最も研磨されにくい場所を基準に設定され、例えば1秒程度以上であるが、10秒以上であることが好ましく、一般には20〜40秒程度である。
【0049】
このように、研磨テープ10を回転中の基板Wのエッジ部の研磨開始位置に設定圧力で接触させながら所定時間滞在させてエッジ部を研磨することで、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することを防止して、例えば基板表面の半導体層等の膜が基板から剥がれることがない、良好な研磨プロファイルを得ることができる。しかも、例えば研磨除去したい膜が基板のエッジ部に円周方向でムラになって存在していても、最も研磨されにくい場所を基準に研磨テープ10の停滞時間を設定することで、研磨除去したい膜が基板のエッジ部に残ってしまうことを確実に防止することができる。
【0050】
研磨テープ10を回転中の基板Wのエッジ部の研磨開始位置に設定圧力より高い圧力で接触させながら所定時間滞在させてエッジ部を研磨するようにしてもよく、これにより、基板のエッジ部の研磨開始位置に研磨テープ10を所定時間停滞させて該エッジ部を研磨している時の研磨レートを高めて、スループットが低下してしまうことを防止することができる。基板に与えるストレスを考慮して、基板Wの回転速度を上げるようにしてもよい。
【0051】
そして、図5に示すように、所定時間経過後(時間t後)、研磨テープ10を回転中の基板Wのエッジ部に設定圧力で接触させたまま研磨ヘッド2を基板Wの外周端部に向けて所定速度Vで移動させて、基板Wのエッジ部の研磨テープ10による研磨を継続する。この時、必要に応じて、チルト機構により研磨ヘッド2の基板Wに対する角度を変更してもよい。
【0052】
そして、研磨ヘッド2が、例えば基板Wの外周端部と加圧パッド20との距離Lが、例えば0.4mmの研磨終了位置に達した時、図4(d)に示すように、研磨ヘッド2を高速で移動させて基板Wの側方に待避させる。
【0053】
なお、図6(a)に示すように、研磨テープ10が基板Wのエッジ部に接触し該接触圧力が設定圧力に達した時間tから、研磨テープ10を基板Wのエッジ部に接触させたまま、研磨ヘッド2を、例えば50μm/sec以下の第1移動速度V(=〜50μm/sec)で基板Wの外周端部に向けて移動させて基板のエッジ部に対する第1研磨を行い、一定距離を研磨した後(時間t)、前記研磨テープ10を回転中の基板Wのエッジ部に接触させたまま、研磨ヘッド2を、例えば50〜100μm/secの第2移動速度V(=50〜100μm/sec)で基板Wの外周端部に向けて更に移動させて基板のエッジ部に対する第2研磨を行うようにしてもよい。
【0054】
これにより、研磨面の非研磨面との境界部に研磨不足や研磨ムラが発生することを防止しつつ、研磨時間を大幅に短縮することが可能となる。しかも、基板の外周端に近いほど、研磨量を減らすことができ、基板の外周端側の方が除去する膜が薄かったりする場合に有効な手法となりうる。
【0055】
研磨テープ10の基板Wのエッジ部に対する接触圧力を、研磨ヘッド2を移動速度Vで移動させる時と研磨ヘッド2を移動速度Vで移動させる時とで変化させるようにしてもよく、これによって、研磨時間を更に短縮することが可能となる。
【0056】
この場合、図6(b)に示すように、研磨ヘッド2の第1移動速度を移動速度Vから移動速度Vに直線状に上昇させるようにしても良く、また、図6(c)に示すように、研磨ヘッド2の第1移動速度を移動速度Vから移動速度Vに徐々に上昇させて、研磨ヘッド2の移動速度が急激に変化しないようにしてもよい。
【0057】
なお、上記の例にあっては、研磨ヘッド2の位置決め精度が非常に重要となる。また、研磨ヘッド2の移動速度も1秒あたり1μm程度と微小であり、移動速度の精度(変化量や誤差)を高めることも非常に需要となる。このため、リニアアクチュエータ33として、例えばサーボモータやステッピングモータなどを使い、研磨ヘッド2を高精度に位置決めするとともに、研磨ヘッド2の移動速度も精密に制御できるようにすることが好ましい。
【0058】
また、研磨ヘッド2を停止させる時間や研磨ヘッド2の移動速度などは、プログラム制御により、加工順番や条件等を数値化して入力することで、簡単に設定値を変更できるようにすることが好ましい。
【0059】
(実施例1)
図2に示す研磨装置を用いて基板のエッジ部の研磨を行った。研磨テープとして、♯4000のダイヤモンド砥粒を保持したテープを、研磨ヘッドの加圧パッドとして、研磨テープと接触する下端に半径0.5mmの曲率をもった樹脂製のものをそれぞれ使用した。そして、研磨テープを10mm/minの速度で走行させながら、位置を固定した研磨ヘッドの加圧パッドにより、荷重10Nで500rpmで回転している基板のエッジ部に該研磨テープを押付けて該エッジ部を20秒間研磨した。しかる後、研磨テープを荷重10Nで500rpmで回転している基板のエッジ部に押付けながら、研磨ヘッドを、5μm/minの移動速度で基板の外周端部に移動させて研磨を継続した。この時の研磨結果(研磨量と基板半径位置(計測位置)との関係)を図7に示す。
【0060】
図7において、ノッチは、基板の中心とノッチとを結ぶ線上における研磨状態を、90°は、基板の中心とノッチとを結ぶ線から反時計回りに90°回転した線上における研磨状態を、180°は、基板の中心とノッチとを結ぶ線から反時計回りに180°回転した線上における研磨状態を、270°は、基板の中心とノッチとを結ぶ線から反時計回りに270°回転した線上における研磨状態をそれぞれ示す。このことは、以下の図8及び図9においても同様である。
【0061】
(実施例2)
位置を固定した研磨ヘッドの加圧パッドにより、回転している基板のエッジ部に研磨テープを押付けて該エッジ部を40秒間研磨した以外は、前述の実施例1と同じ条件で基板のエッジ部を研磨した。この時の研磨結果(研磨量と基板半径位置(計測位置)との関係)を図8に示す。
【0062】
(比較例1)
研磨ヘッドの加圧パッドにより、荷重10Nで500rpmで回転している基板のエッジ部に押付けて該エッジ部の研磨を開始し、研磨開始直後に、研磨ヘッドを、5μm/minの移動速度で基板の外周端部に移動させ、その他の条件は実施例1と同様にして基板のエッジ部を研磨した。そのときの研磨結果(研磨量と基板半径位置(計測位置)との関係)を図9に示す。
【0063】
図7乃至図9から、実施例1,2にあっては、比較例1に比較して、研磨面の非研磨面と境界の傾斜が急となり、更に、実施例2の方が、実施例1よりもこの傾向が顕著になることが判る。
【0064】
(実施例3)
先ず、♯4000番のダイヤモンド砥粒を保持した研磨テープを使用してエッジ部を研磨(粗研磨)した基板を用意した。この基板の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真を図10に示す。そして、研磨テープとして、♯12000のダイヤモンド砥粒を保持したテープを使用し、位置を固定した研磨ヘッドの加圧パッドにより、回転している基板のエッジ部に該研磨テープを押付けて該エッジ部を10秒間研磨し、その他の条件は実施例1と同様にして、基板のエッジ部を研磨した。この時の研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真を図11に示す。
【0065】
(実施例4)
位置を固定した研磨ヘッドの加圧パッドにより、回転している基板のエッジ部に研磨テープを押付けて該エッジ部を20秒間研磨した以外は、前述の実施例3と同じ条件で基板のエッジ部を研磨した。この時の研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真を図12に示す。
【0066】
(比較例2)
研磨ヘッドの加圧パッドにより、荷重10Nで500rpmで回転している基板のエッジ部に押付けて該エッジ部の研磨を開始し、研磨開始直後に、研磨ヘッドを、5μm/minの移動速度で基板の外周端部に移動させ、その他の条件は実施例3と同様にして基板のエッジ部を研磨した。この時の研磨後の研磨面の非研磨面との境界部付近の顕微鏡写真を図13に示す。
【0067】
図11乃至図13から、比較例2にあっては、研磨後の研磨面と非研磨面との境界部付近に研磨ムラが生じて、鋸歯状の凹凸(ぎざぎざ)が生じているが、実施例3,4にあっては、この鋸歯状の凹凸(ぎざぎざ)がなくなり、直線状となって、研磨ムラが解消されていることが判る。
【0068】
図14は、本発明の他の実施形態の研磨装置の概要を示す。この研磨装置は、前述の実施形態における基板のエッジ部を研磨する研磨ヘッド2の他に、回転中の基板Wのベベル部に当接して該ベベル部を研磨するベベル研磨用研磨ヘッド50を備えている。このベベル研磨用研磨ヘッド50は、基板保持部1の基板ステージ11で保持された基板Wの側方に配置され、研磨テープ52と、研磨テープ52の裏側(研磨面とは反対側)に配置された加圧パッド54と、加圧パッド54に押圧力を与える、例えばシリンダからなる押圧機構56を有している。
【0069】
これにより、研磨液供給ノズル40から表面に研磨液を供給されながら、基板ステージ11で保持されて所定の回転速度で回転している基板Wのエッジ部に基板ヘッド2の研磨テープ10を、基板Wのベベル部にベベル研磨用研磨ヘッド50の研磨テープ52を、それぞれ所定の押圧力で押圧することで、基板Wのエッジ部とベベル部を同時に研磨するようになっている。これにより、スループットを高め、しかも研磨液の使用量を減少させて生産コストを低減させることができる。
【0070】
ここで、基板Wのベベル部の研磨に要する時間と、エッジ部の研磨に要する時間との間に差があると、どちらか片方は早く研磨が終了することになるが、この早く研磨が終了する研磨ヘッドに対して、研磨速度を遅くすることが可能になるため、研磨テープの走行速度を遅くしたり、研磨テープの使用量を減らしたりすることができ、これによって、研磨コストを安くすることができる。
【0071】
また、研磨時間が短縮されることで、加工しているデバイスの処理時間が短くなり、デバイスが作られている基板表面が汚染されるリスクが低減されることになる。
【0072】
更に、他の処理部との時間のバランスが悪い時、基板のエッジ部とベベル部の研磨を同時に行うことで、処理時間のバランスを取ることが可能となって、装置が最も効率的に動作するように調整できることになる。
【0073】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その特許請求の範囲によって定められる技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 基板保持部
2 研磨ヘッド
3 支持部
10 研磨テープ(研磨具)、
11 基板ステージ
12 基板回転機構
15 研磨テープ供給機構
20 加圧パッド
21 押圧機構
31 スライド機構
33 リニアアクチュエータ
34 スライド機構
36 液体供給源
40 研磨液供給ノズル
42 制御部
50 ベベル研磨用研磨ヘッド
52 研磨テープ
54 加圧パッド
56 押圧機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、
前記研磨ヘッドを下降させて回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に該研磨ヘッドの研磨具を所定の押圧力で接触させ、
所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に前記所定の押圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させることを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、
前記研磨ヘッドの研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達するまで該研磨具を下降させ、
所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に設定圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させることを特徴とする研磨方法。
【請求項3】
前記所定時間は、1秒以上であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨方法。
【請求項4】
前記研磨具を下降させた後、前記研磨ヘッドを移動させるまでの間、前記研磨具が基板のエッジ部に接触する接触圧力を前記設定圧力より高くすることを特徴とする請求項2または3記載の研磨方法。
【請求項5】
回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置の直上方位置に研磨ヘッドを位置させ、
前記研磨ヘッドの研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達するまで圧力を加え、前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させて基板のエッジ部に対する第1研磨を行い、
前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に接触させたまま基板の外周端部に向けて第2移動速度で研磨ヘッドを更に移動させて基板のエッジ部に対する第2研磨を行うことを特徴とする研磨方法。
【請求項6】
前記研磨ヘッドの第2移動速度は、前記研磨ヘッドの第1移動速度よりも速いことを特徴とする請求項5記載の研磨方法。
【請求項7】
前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させる時、前記研磨具の基板のエッジ部に対する接触圧力を前記設定圧力より高くすることを特徴とする請求項6記載の研磨方法。
【請求項8】
前記研磨具を下降させ該研磨具を回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に前記設定圧力より低い圧力で接触させた後、前記研磨具の基板のエッジ部に対する圧力を前記設定圧力に変化させることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項9】
前記研磨具は、所定速度で一方向に送られて基板のエッジ部を研磨する研磨テープからなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項10】
回転中の基板のエッジ部に前記研磨具を接触させて該エッジ部を研磨しながら、基板のベベル部を同時に研磨することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の研磨方法。
【請求項11】
基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、
前記基板保持部で水平に保持されて回転中の基板のエッジ部に押圧して該エッジ部を研磨する上下動自在な研磨具を有する、水平方向に移動自在な研磨ヘッドと、
前記研磨ヘッドの移動を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達した後、所定時間経過後に、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に設定圧力で接触させたまま前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて移動させるように前記研磨ヘッドを制御することを特徴とする研磨装置。
【請求項12】
基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、
前記基板保持部で水平に保持されて回転中の基板のエッジ部に押圧して該エッジ部を研磨する上下動自在な研磨具を有する、水平方向に移動自在な研磨ヘッドと、
前記研磨ヘッドの移動を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記研磨具が回転中の基板のエッジ部の研磨開始位置に接触し該接触圧力が設定圧力に達した後、前記研磨ヘッドを基板の外周端部に向けて第1移動速度で移動させ、しかる後、前記研磨具を回転中の基板のエッジ部に接触させたまま基板の外周端部に向けて第2移動速度で研磨ヘッドを更に移動させるように前記研磨ヘッドを制御することを特徴とする研磨装置。
【請求項13】
前記研磨具は、所定速度で一方向に送られて基板のエッジ部を研磨する研磨テープからなることを特徴とする請求項11または12記載の研磨装置。
【請求項14】
回転中の基板のベベル部を研磨するベベル研磨用研磨ヘッドを更に有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の研磨装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−224680(P2011−224680A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94732(P2010−94732)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】