説明

硬化性シロキサンを含有するマイクロカプセル

シリケートシェルマイクロカプセルの第一部分が硬化性シロキサン組成物のA部分として少なくとも2個のアルキル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有し、シリケートシェルマイクロカプセルの第二部分が硬化性シロキサン組成物のB部分としてオルガノ水素シロキサンを含有する、シリケートシェルマイクロカプセルの水性懸濁液を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年6月1日に出願した米国特許出願第61/222,200号に対する優先権を主張する。
【0002】
本願の開示は、シリケートシェルマイクロカプセルの第一部分が硬化性シロキサン組成物のA部分として少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含有し、シリケートシェルマイクロカプセルの第二部分が硬化性シロキサン組成物のB部分としてオルガノ水素シロキサンを含有する、シリケートシェルマイクロカプセルの水性懸濁液に関する。
【背景技術】
【0003】
水性のヒドロシリル化硬化性シロキサン組成物は、数多くの工業プロセスにおいて、例えば紙コーティング用途のために一般に用いられている。典型的には、該組成物は、第一エマルジョンがヒドロシリル化触媒およびビニル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含有し、一方で他のエマルジョンがオルガノ水素シロキサンを含有する、2液型エマルジョンシステムである。2つの該エマルジョン部分を一緒に混合する場合、種々のエマルジョン粒子由来の構成要素の拡散から組成物の熟成現象が起こり、該組成物の早期硬化をもたらすことがある。結果として、コーティング組成物の「浴寿命」を延長する目的で、硬化阻害剤が該混合物に典型的に加えられる。該混合物の最終硬化は、コーティングプロセスに続く高温での硬化阻害剤の蒸発によって得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、コーティング組成物の浴寿命を延長するための硬化阻害剤の添加の必要性をなくして低温硬化を可能にする、水系システム中での使用のためのヒドロシリル化硬化性シロキサン組成物を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、室温で硬化し、延長した浴寿命時間を示し、対応するエマルジョン系組成物よりもより低い抽出可能含有量も有するマイクロカプセル化されたヒドロシリル化硬化性シロキサン組成物を見出した。
【0006】
本願の開示は、二部分の硬化性シロキサン組成物のシリケートシェルマイクロカプセルの水性懸濁液を提供する。より具体的には、該水性懸濁液は、一部分のシリケートシェルマイクロカプセルがコアとして硬化性シロキサン組成物の第一部分(A部分)を含有し、一方で別の部分のシリケートシェルマイクロカプセルが硬化性シロキサン組成物の第二部分(B部分)を含有する、シリケートシェルマイクロカプセルの混合物を含有する。ある種の条件下で該マイクロカプセルから二部分の硬化性シロキサン組成物が放出される場合に、2つの該組成物が反応して硬化シロキサン組成物を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の水性懸濁液のシリケートシェルマイクロカプセル中にカプセル化される硬化性シロキサン組成物は、任意のヒドロシリル化硬化性シロキサン組成物とすることができる。該ヒドロシリル化硬化性シロキサン組成物は、典型的には、ヒドロシリル化触媒の存在下でアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとオルガノ水素シロキサンとの反応を伴う。
【0008】
本発明の水性懸濁液中の一部分のシリケートシェルマイクロカプセルは、コアとして硬化性組成物の一部(A部分)を含有する。硬化性シロキサン組成物のA部分は、少なくとも下記2つの構成要素を含む:
(a)1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン;および
(b)ヒドロシリル化触媒。
水性懸濁液中の第二部分の該マイクロカプセルは、硬化性シロキサン組成物の第二部分(B部分)を含有する。硬化性シロキサン組成物のB部分は、少なくとも1種の
(c)オルガノ水素シロキサン
を含有する。
【0009】
一態様では、硬化性シロキサン組成物のB部分が(a)および(c)の両構成要素の組み合わせ、つまり1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとオルガノ水素シロキサンとの混合物を含有する。
【0010】
さらなる態様では、硬化性シロキサン組成物のB部分に用いられる構成要素(a)および構成要素(c)の量が3〜10にわたるSiH/アルケニル基のモル比を提供するような量である。
【0011】
各構成要素を以下で詳細に説明する。
【0012】
[(a)少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン]
オルガノポリシロキサンは、(RSiO1/2)、(RSiO2/2)、(RSiO3/2)または(SiO4/2)シロキシ単位(式中、Rは典型的には炭化水素基である)から独立に選択されるシロキシ単位を含有するポリマーである。これらのシロキシ単位は、種々の様式で組み合わせて、環状、直線状または分枝状構造を形成することができる。結果得られたポリマー構造物の化学的特性および物理的特性は変化させることができる。例えば、オルガノポリシロキサンは揮発性液体、低粘度液体、高粘度液体/ガム、エラストマー、ゴムまたは樹脂とすることができる。
【0013】
構成要素(a)は、下記式によって表される少なくとも2個のシロキシ単位を含む任意のオルガノポリシロキサンまたはオルガノポリシロキサンの混合物から選択することができる:
SiO(4−m)/2
(式中、Rは1〜20個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
は2〜12個の炭素原子を含有するアルケニル基であり、且つ
mは0〜2である)。
構成要素(a)のRアルケニル基は、ビニル、アリル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、6-ヘプテニル、7-オクテニル、8-ノネニル、9-デセニル、10-ウンデセニル、4,7-オクタジエニル、5,8-ノナジエニル、5,9-デカジエニル、6,11-ドデカジエニルおよび4,8-ノナジエニルによって例示される。
【0014】
アルケニル基は、オルガノポリシロキサン中で任意のモノ、ジもしくはトリシロキシ単位、例えば(RSiO1/2)、(RRSiO2/2)もしくは(RSiO3/2)で、またはオルガノポリシロキサン中に少なくとも2個のR置換基が存在するという条件で(RSiO1/2)、(RSiO2/2)、(RSiO3/2)もしくは(SiO4/2)シロキシ単位(式中、Rは、1〜20個の炭素を含有する炭化水素であり、あるいは1〜12個の炭素を含有するアルキル基であり、あるいは1〜6個の炭素を含有するアルキル基であり、またあるいはメチルである)などのR置換基を含有しない他のシロキシ単位と組み合わせて存在することができる。1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルおよびデシルなどのアルキル基;シクロヘキシルなどの脂環式基;フェニル、トリルおよびキシリルなどのアリール基;ならびにベンジルおよびフェニルエチルなどのアラルキル基によって例示される。
【0015】
構成要素(a)として適切な該オルガノポリシロキサンの代表的で非限定的な例としては、下記平均式を有するものが挙げられる:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RRSiO2/2)y
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)z
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)z(SiO4/2)w
(RSiO1/2)(SiO)w(RSiO)
(RSiO1/2)(RSiO)(RRSiO2/2)
(RSiO1/2)(RSiO)(RRSiO)y
(RSiO1/2)(RSiO)(RRSiO)y(RSiO3/2)z
(RSiO1/2)(RSiO)(RRSiO)y(SiO)w
(RSiO1/2)(RSiO)(RRSiO)y(SiO)w(RSiO3/2)z
(RSiO1/2)(RSiO)(RSiO3/2)z
(式中、v≧2、w≧0、x≧0、y≧2およびz≧0であり、
RおよびRは上に定義する通りである)。
【0016】
また構成要素(a)は、任意の上記オルガノポリシロキサンの混合物であってもよい。その分子量は、変化させることができ、限定されない。しかしながら、分子量が高くなり過ぎる場合またはオルガノポリシロキサンが固体である場合、オルガノポリシロキサンを取り扱うことまたはコア材料としてマイクロカプセル中に組み込むことが困難となり得る。従って、構成要素(a)を、適切な溶媒またはより粘性の少ないシリコーン溶液などのより低分子量の液体中で希釈することが望ましい場合がある。典型的には、構成要素(a)または別の液体での構成要素(a)の分散液の25℃での粘度が1〜10,000mPa・s、あるいは50〜1000mPa・s、またあるいは100〜1000mPa・sにわたることができる。
【0017】
構成要素(a)は、各々が10〜300の重合度を有するかあるいは25℃で10〜1000mPa・sの粘度を有する、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-ポリメチルビニルシロキサンコポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-ポリメチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、ヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-ポリメチルヘキセニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサンポリマー、トリメチルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサンポリマー、ビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンポリマー、およびヘキセニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンポリマーからなる群より選択することができる。
【0018】
あるいは、構成要素(a)が、下記平均式を有するものなどのビニル官能性エンドブロックポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)またはヘキセニル官能性エンドブロックポリジメチルシロキサン(ヘキセニルシロキサン)から選択することができる:
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]x’Si(Me)CH=CH
CH=CH-(CH)-(Me)SiO[MeSiO]x’Si(Me)-(CH)-CH=CH、または
MeSiO[(Me)SiO]x’[CH=CH(Me)SiO]x”SiMe
(式中、Meはメチルであり、
x’≧0、あるいはxは0〜200であり、あるいはxは10〜150であり、
x”≧2、あるいはx”は2〜50であり、あるいはx”は2〜10である)。
【0019】
ビニルまたはヘキセニル官能性ポリジメチルシロキサンは既知であり、多くの市販品が存在する。代表的で非限定的な例としては、ダウコーニング(DOW CORNING、登録商標)液:SFD 128、DC4−2764、DC2−7891、DC2−7754、DC2−7891、DC2−7463、SFD−117、SFD−119、SFD 120、SFD 129、DC 5−8709、LV,2−7038、DC 2−7892、2−7892、2−7287、2−7463およびジヘキセニル末端DC7692、DC7697(ダウコーニング社, ミッドランド, MI)が挙げられる。
【0020】
[(b)ヒドロシリル化触媒]
構成要素(b)はヒドロシリル化触媒である。ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウムまたはルテニウムから選択される任意の適切なVIII族金属系触媒とすることができる。本発明の該組成物の硬化を触媒するのに有用なVIII族金属含有触媒は、ケイ素結合水素原子とケイ素結合不飽和炭化水素基との反応を触媒することが知られているもののうち任意のものとすることができる。ヒドロシリル化による本発明の該組成物の硬化を達成するための触媒としての使用のために好ましいVIII族金属は、白金系触媒である。本発明の該組成物を硬化するために好ましい幾つかの白金系ヒドロシリル化触媒は、白金金属、白金化合物および白金錯体である。
【0021】
適切な白金触媒は、米国特許第2,823,218号明細書(通常「Speier触媒」と呼ばれる)および米国特許第3,923,705号明細書に記載されている。白金触媒は、Karstedtの米国特許第3,715,334号および第3,814,730号明細書に記載されている「Karstedt触媒」触媒とすることもできる。Karstedt触媒は、トルエンなどの溶媒中の典型的には約1重量%の白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。あるいは、白金触媒は、米国特許第3,419,593号に記載されるようなクロロ白金酸と末端脂肪族不飽和を含有する有機ケイ素化合物との反応生成物とすることもできる。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、米国特許第5,175,325号明細書に記載されるような塩化白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの中和錯体である。
【0022】
本発明での使用に適する他のヒドロシリル化触媒としては、例えば、[Rh(OCCH)]、Rh(OCCH)、Rh(C15)、Rh(C)、Rh(C)(CO)、Rh(CO)[PhP](C)、RhX[(R)S]、(RP)Rh(CO)X、(RP)Rh(CO)H、Rh、HRhオレフィンCl、Rh(O(CO)R)3−n(OH)(式中、Xは水素、塩素、臭素またはヨウ素であり、Yはメチルもしくはエチルなどのアルキル基、CO、C14または0.5C12であり、Rはアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、Rはアルキル基、アリール基または酸素置換基であり、aは0または1であり、bは1または2であり、cは1〜4を含めた全ての数であり、dは2、3または4であり、nは0または1である)などのロジウム触媒が挙げられる。また、Ir(OOCCH)、Ir(C)、[Ir(Z)(En)]または[Ir(Z)(ジエン)](式中、Zは塩素、臭素、ヨウ素またはアルコキシであり、Enはオレフィンであり、且つジエンはシクロオクタジエンである)などの任意の適切なイリジウム触媒を用いることもできる。
【0023】
さらに、適切なヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許第3,159,601号;第3,220,972号;第3,296,291号;第3,516,946号;第3,989,668号;第4,784,879号;第5,036,117号及び第5,175,325号明細書ならびに欧州特許第0 347 895号明細書に記載されている。
【0024】
ヒドロシリル化触媒は、硬化性シロキサン組成物全体(つまり、A部分およびB部分を組み合わせた)100万部あたり(ppm)0.001重量部の白金族金属と同等の少量でA部分に加えることができる。典型的には、硬化性シロキサン組成物中のヒドロシリル化触媒の濃度が、1ppm以上に相当する元素状白金族金属を提供できる濃度である。1〜500ppm、あるいは50〜500ppm、あるいは50〜200ppmに相当する元素状白金族金属を提供する触媒濃度を用いることができる。
【0025】
[(c)オルガノ水素シロキサン]
構成要素(c)は、1分子あたり平均2個を超えるケイ素結合水素原子を有するオルガノ水素シロキサンである。本明細書において、オルガノ水素シロキサンは、ケイ素結合水素原子(SiH)を含有する任意のオルガノポリシロキサンである。
【0026】
オルガノ水素シロキサンは、少なくとも1個のSiH含有シロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである、つまり、オルガノポリシロキサン中の少なくとも1個のシロキシ単位が式(RHSiO1/2)、(RHSiO2/2)または(HSiO3/2)を有する。そして、本発明で有用なオルガノ水素シロキサンは、1分子中に平均して少なくとも2個のSiHシロキシ単位が存在するという条件で、任意の数の(RSiO1/2)、(RSiO2/2)、(RSiO3/2)、(RHSiO1/2)、(RHSiO2/2)、(HSiO3/2)または(SiO4/2)シロキシ単位を含むことができる。構成要素(c)は、単独の直線状もしくは分枝状のオルガノ水素シロキサン、または次の特性:構造;粘度;平均分子量;シロキサン単位;および配列;のうちの1つ以上で異なる2種以上の直線状もしくは分枝状のオルガノ水素シロキサンを含む組み合わせとすることができる。オルガノ水素シロキサンの分子量に特別な制限は存在しないが、典型的にはオルガノ水素シロキサンの25℃での粘度が3〜10,000mPa・s、あるいは3〜1,000mPa・s、またあるいは10〜500mPa・sである。
【0027】
オルガノ水素シロキサン中に存在するSiH単位の量は、オルガノ水素シロキサン1分子あたり少なくとも2個のSiH単位が存在するという条件で、変化させることができる。オルガノ水素シロキサン中に存在するSiH単位の量を、本明細書において、オルガノ水素シロキサン中の水素の重量百分率である%SiHと表現する。典型的には、%SiHが0.01〜10%、あるいは0.1〜5%、またあるいは0.5〜2%にわたる。
【0028】
オルガノ水素シロキサンは、下記平均式を含むことができる:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RHSiO2/2)
(式中、Rは水素またはRであり、
は1〜10個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、
a≧2であり、
b≧0、あるいはb=1〜500、あるいはb=1〜200であり、
c≧2、あるいはc=2〜200、あるいはc=2〜100である)。
【0029】
は、置換または未置換の脂肪族または芳香族ヒドロカルビルとすることができる。一価の未置換脂肪族ヒドロカルビルは、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシルなどのアルキル基ならびにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。一価の置換脂肪族ヒドロカルビルは、クロロメチル、3-クロロプロピルおよび3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。芳香族炭化水素基は、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリルおよび2-フェニルエチルによって例示されるが、これらに限定されない。
【0030】
別の態様では、オルガノ水素シロキサンが付加的なシロキシ単位を含有して下記平均式を有することができる:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RHSiO2/2)(RSiO3/2)
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RHSiO2/2)(SiO4/2)
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RHSiO2/2)(SiO4/2)(RSiO3/2)
またはこれらの任意の混合物
(式中、Rは水素またはRであり、
は一価のヒドロカルビルであり、
a≧2、b≧0、c≧2、d≧0およびe≧0である)。
【0031】
別の態様では、オルガノ水素シロキサンは、下記平均式を有するジメチルメチル水素ポリシロキサンから選択される:
(CH)SiO[(CH)SiO][(CH)HSiO]Si(CH)
(式中、b≧0、あるいはb=1〜200であり、あるいはb=1〜100であり、
且つc≧2、あるいはc=2〜100であり、あるいはc=2〜50である)。
【0032】
オルガノ水素シロキサンを調製する方法は周知であり、多数のものが市販されている。
【0033】
A部分およびB部分を含有する別々のマイクロカプセルを調製するために油相で使用される構成要素(a)および構成要素(c)の量は、変化させることができる。しかしながら、該シロキサン組成物全体で用いられる構成要素(a)および構成要素(c)の量は、構成要素(a)中に存在するアルケニル基に対する構成要素(c)のSiH基の所望のモル比を達成するように調整することができる。典型的には、1を超える、あるいは1〜10、あるいは1〜4、あるいは2〜3であるような構成要素(a)のアルケニル基に対するSiHのモル比が提供されるように充分量の構成要素(c)を用いる。
【0034】
シリケートシェルマイクロカプセルの懸濁液は、本技術分野で既知のいずれのプロセスによっても調製することができる。一般的には、シリケートシェルマイクロカプセルを調製するのに通常用いられる2つのプロセスまたは技術が存在する。第一の技術は、シリケート前駆体と油相との最初の混合の後に、該シリケート前駆体のin-situ重合(時に、ゾル-ゲルプロセスと呼ばれる)を伴う。in-situプロセスの代表的で非限定的な例は、米国特許第6159453号明細書、米国特許第6238650号明細書、米国特許第6303149号明細書および国際公開第2005/009604号で教示されるものである。
【0035】
第二の技術は、シリケート前駆体の重合が、乳化重合プロセスを経て起こるex-situプロセスを伴う。該技術の代表的で非限定的な例は国際公開第03/066209号で教示されている。
【0036】
一態様では、シリケートシェルマイクロカプセルが下記工程(I)〜(IV)によって調製される:
(I) 硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分を含有する油相と陽イオン界面活性剤の水溶液とを混合して、水中油型エマルジョンを形成する工程;
(II) テトラアルコキシシランを含む水反応性ケイ素化合物を前記水中油型エマルジョンに加える工程;
(III) 前記エマルジョンの油/水界面でテトラアルコキシシランを重合させて、硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有するコアおよびシリケートシェルを有するマイクロカプセルを形成する工程;
(IV) 硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルを硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルと組み合わせる工程。
本態様では、上記プロセスを、1回目は硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルを調製するために、2回目は硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルを調製するために、2回行う。次いで、その結果得られたマイクロカプセルの懸濁液を組み合わせて、水性懸濁液中に該マイクロカプセルの混合物を形成する。
【0037】
硬化性シロキサン組成物のA部分は、上記の構成要素(a)および構成要素(b)を含有する。典型的には、A部分が、構成要素(a)およびヒドロシリル化反応を達成するのに充分なヒドロシリル化触媒を含有する。例えば、A部分は、96〜98重量%の構成要素(a)および構成要素(b)として2〜4重量%の白金触媒の溶液(典型的には0.52wt%の元素状Ptを含有する)を含有することができる。
【0038】
硬化性シロキサン組成物のB部分は、構成要素(c)を含有する。B部分は、以下でさらに記載するような付加的な構成要素を含むことができる。一態様では、硬化性シロキサン組成物のB部分が(a)および(c)の両構成要素、つまり少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンおよびオルガノ水素シロキサンの混合物を含有する。
【0039】
構成要素(a)および構成要素(c)を組み合わせてB部分を形成する場合、それらの量は、該シロキサン組成物を硬化する所望の目的に依存して、変化させることができる。典型的には、それらの量は、構成要素(a) 50〜94重量%および構成要素(c) 6〜50重量%にわたる。
【0040】
更なる態様では、硬化性シロキサン組成物のB部分に用いられる構成要素(a)および構成要素(c)の量が、3〜10、あるいは4〜9、またあるいは5〜7にわたるSiH/アルケニル基のモル比を提供するようなものである。本発明者らは、この比率が、種々のコーティング用途などにおいて薄膜として容易に硬化する硬化性シロキサン組成物を提供し、その上、水性懸濁液として適切な保存安定性を提供することを見出した。
【0041】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、マイクロカプセル懸濁液中の硬化性シロキサン組成物のB部分において上記比率で構成要素(a)および構成要素(c)を組み合わせることがオルガノ水素シロキサンとアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとの間の部分的な反応を可能にすると考えている。A部分由来のヒドロシリル化触媒のいくらか少量が、依然としてマイクロカプセル中に存在する一方で、マイクロカプセルおよび該懸濁液に行き渡って構成要素(a)および構成要素(c)の間にいくらかの反応を引き起こし得ることが推測される。該懸濁液の薄膜を乾燥させるときなどに、マイクロカプセルが最終的に破裂すると、A部分およびB部分がより効率的に反応して、硬化シロキサン組成物を形成する。このように、本発明者らは、該シロキサン組成物の優れた硬化速度を提供して、一方では水性媒体中での該組成物の保存安定性も維持する、本態様の最適比率を見出した。
【0042】
本明細書において、「油相」は、硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分を包含する。典型的には、水中油型エマルジョンを形成するときには、油相が液体である。油相は、付加的な粉末、顔料、薬物、インク、または有機系オイル、シリコーン系オイルもしくはフッ化炭素系オイルをA部分またはB部分のいずれかと組み合わせて含有することができる。しかしながら、化粧品用途では、付加的なシリコーンオイルが好ましい。また油相は、固形疎水性化合物を可溶化する目的で加えられてエマルジョンの形成の間に液状油相を生成することができるいずれの溶媒または希釈剤をも含有することができる。
【0043】
硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有する油相は、他の油相構成要素に対して実質的に可溶性であるが逆に水に実質的に不溶性である他の構成要素、シリコーン系構成要素または有機系構成要素のどちらかを含有することができる。このように、他の典型的なエモリエント構成要素としては、次のものを挙げることができる:揮発性シロキサン、ポリジメチルシロキサン液、シリコーンエラストマーおよび樹脂を含む高分子量(すなわち、Mw>1000)シロキサンなどのシリコーン;炭化水素オイル、ワックスおよびエモリエントなどの有機化合物。
【0044】
硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有する油相は、「破裂助剤」として知られる他の構成要素を含有してもよい。本明細書において、「破裂助剤」は、カプセル化したコア材料の温度制御放出を開始する目的で油相に加えられるいずれの化合物または化合物の混合物をも包含する。破裂助剤は、揮発性で疎水性の有機化合物またはシロキサン化合物から選択することができる。破裂助剤は、揮発性直線状炭化水素(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンが挙げられるが、これらに限定されない);シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの揮発性環状炭化水素;イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、イソデカン、イソドデカンなどの揮発性分枝状炭化水素;揮発性直線状シロキサン(ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない);オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデシルメチルシクロヘキサシロキサンなどの揮発性環状シロキサンであり得る。あるいは、破裂助剤を、「発泡助剤」として本技術分野で既知のものから選択することができる。
【0045】
硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有する油相は、陽イオン界面活性剤の水溶液と混合されて水中油型エマルジョンを形成する。
【0046】
本発明で有用な陽イオン界面活性剤は、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロウトリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびココトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウムヒドロキシド類ならびにこれらの物質の対応する塩類、脂肪族アミン類および脂肪酸アミド類ならびにこれらの塩類、塩基性ピリジニウム化合物類、ベンズイミダゾリン類の四級アンモニウム塩基類ならびにポリプロパノールポリエタノールアミン類とすることができるが、この陽イオン界面活性剤の列挙に限定されない。好ましい陽イオン界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはセチルトリメチルアンモニウムブロミドである。
【0047】
本願の開示の目的で、陽イオン界面活性剤は、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルフェート、ココベタイン、コカミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N-ココ-3-アミノ酪酸化合物類などの両性界面活性剤から選択してもよいが、この両性界面活性剤の列挙に限定されない。
【0048】
上記界面活性剤は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤は水に溶解されて、その結果得られた溶液が工程(I)の水中油型エマルジョンの水相中または連続相中の構成要素として用いられる。
【0049】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤の使用が、油相の乳化滴の界面での以下で説明するようなテトラアルコキシシランの縮合および重合を促進し、非拡散性マイクロカプセルをもたらすと考えている。テトラアルコキシシランは、該エマルジョン中で反応しながら加水分解および縮合する。陰イオン性に荷電した加水分解生成物が、ケイ素系ポリマーシェルを形成する界面で陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤に引き付けられる。
【0050】
水中油型エマルジョンの形成の間の陽イオン界面活性剤の濃度は、用いられる油相濃度の0.1重量%〜0.3重量%とするべきである。典型的には、油相の乳化およびアルコキシシランとの反応の間の陽イオン界面活性剤イオンまたは両面界面活性剤の低レベルの使用が、マイクロカプセルからの油相の拡散または浸出に対してより耐久性であるマイクロカプセルをもたらす。
【0051】
水中油型エマルジョンの形成の間に、補助界面活性剤、具体的には非イオン性界面活性剤を加えてもよい。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマー類、ポリビニルアルコールおよびアルキルポリサッカライド類、例えば米国特許第5,035,832号明細書に記載されているようなものであるが、この非イオン性界面活性剤の列挙に限定されない。
【0052】
陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤の水溶液は、水溶性であるという条件で、付加的な/選択的な成分を含有することができる。例えば、アルコールなどの水混和性有機溶媒を加えることができる。さらに、パーソナルケア製剤処方に通常用いられる他の水溶性成分を水相に加えることができる。該成分としては、付加的な界面活性剤、増粘剤、防腐剤、抗菌剤、ならびに水溶性の有効成分および芳香剤が挙げられる。
【0053】
油相および陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤の水溶液が一緒に混合されて、水中油型エマルジョンを形成する。混合およびエマルジョン形成は、エマルジョン技術分野で既知のいずれの技術をも用いて起こすことができる。典型的には、油相および陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤の水溶液が単独の撹拌技術を用いて組み合わされて、エマルジョンを形成する。次いで、テトラアルコキシシランの添加の前に、本技術分野で既知のいずれの乳化装置によっても、水中油型エマルジョンの粒径を縮小させることができる。本発明で有用な乳化装置は、ホモジナイザー、ソノレーター、ローターステータータービン、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、ブレード、ヘリックス(helix)およびこれらの組み合わせとすることができるが、この乳化装置の列挙に限定されない。このさらなる加工工程は、出発陽イオン水中油型エマルジョンの粒径を0.2〜500マイクロメートルの値まで縮小させる(典型的な粒径は0.5〜100マイクロメートルにわたる)。
【0054】
該エマルジョン中の硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有する油相の水相に対する重量比は40:1〜1:50であるが、より高い割合の水相は、特にマイクロカプセルの懸濁液を形成するときに経済的に不都合である。通常、油相の水相に対する重量比は2:1〜1:3である。油相組成物が高度に粘性である場合は、油相が界面活性剤および少量(例えば油相を基準として2.5〜10%)の水と混合されて油中水型エマルジョンを形成してその油中水型エマルジョンがせん断されながら水中油型エマルジョンに反転する、転相プロセスを用いることができる。次いで、さらに水を加えて、該エマルジョンを必要な濃度まで希釈することができる。
【0055】
一態様では、該エマルジョンにおいて油相の水相に対する密度がおおよそ同じ、つまり、それらの密度が「互角」である、あるいは各々の密度が2%以内、あるいは1%以内、またあるいは0.5%以内である。
【0056】
本発明のプロセスの第二工程および第三工程は、テトラアルコキシシラン(各アルコキシ基が1〜4個の炭素、あるいは1〜2個の炭素を含有する)を含む水反応性ケイ素化合物を水中油型エマルジョンに加えること、および該エマルジョンの油/水界面でテトラアルコキシシランを重合させることを伴う。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、本発明者らは、第三工程が「ex-site乳化重合」を達成し、それによってテトラアルコキシシラン前駆体がその前駆体の相移動を経て前記油/水界面で加水分解および縮合してコアシェルマイクロカプセルの形成をもたらすと考えている。
【0057】
テトラエトキシシラン(TEOS)などのテトラアルコキシシランは、モノマー形態で、または液状部分縮合物もしくはオリゴマーとして用いることができる。テトラアルコキシシランは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のSi-OH基またはケイ素に結合した加水分解性基を有する1種以上の水反応性ケイ素化合物、例えば、メチルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルトリアルコキシシランの液状縮合物/オリゴマーと組み合わせて用いることができる。加水分解性基は、例えばケイ素に結合したアルコキシ基またはアシルオキシ基とすることができる。水反応性ケイ素化合物は、例えば50〜100重量%のテトラアルコキシシランおよび0〜50%のトリアルコキシシランを含むことができる。テトラアルコキシシランまたは他のシラン類中のアルキル基およびアルコキシ基は、好ましくは1〜4個の炭素原子、もっとも好ましくは1個または2個の炭素原子を含有する。テトラアルコキシシランおよび使用する場合には他の水反応性ケイ素化合物は、加水分解および縮合して、硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかの乳化液滴の周囲にケイ素系物質の網状ポリマー、つまり3次元網目構造を形成する。水反応性ケイ素化合物は、典型的には少なくとも75%、またあるいは90〜100%のテトラアルコキシシランからなる。テトラアルコキシシランは、実質的にはSiO4/2単位からなる3次元網目構造を形成している不浸透性マイクロカプセルのシェルを提供する。
【0058】
水反応性ケイ素化合物は、四級化置換アルキル基などの他の有機官能性基を有するアルコキシシランを含むこともできる。1つの好ましい種類の四級化アルコキシシランは、式
(CHO)SiCHCHCH(CH)(CH)17CHCl
を有する。
【0059】
水反応性ケイ素化合物は、未希釈液として、または有機溶媒の溶液として、またはエマルジョン形態で、水中油型エマルジョン(A部分またはB部分のどちらかを含有する)に加えられる。添加の間、水反応性ケイ素化合物および水中油型エマルジョンは混合される。その後、水反応性ケイ素化合物中のテトラアルコキシシランが重合して、乳化液滴の表面上にケイ素系ポリマーシェルを形成する。混合は、典型的には撹拌技術を用いて達成される。典型的には、通常の撹拌技術は、出発水中油型エマルジョンの粒径を維持するのに充分であり、一方で油水界面でテトラアルコキシシランが重合および縮合するのを可能にする。
【0060】
工程IIで加えられる水反応性ケイ素化合物中のテトラアルコキシシランの量は、該エマルジョン中に存在する油相の重量を基準として6/1〜1/13、あるいは1.2/1〜1/7.3、あるいは1.3〜1/6.1にわたる。
あるいは、工程IIで加えられるテトラアルコキシシランの量を水中油型エマルジョンの重量百分率として表現することができる。水中油型エマルジョンに加えるテトラアルコキシシランの重量百分率は、該エマルジョンの少なくとも2重量%、あるいは該エマルジョンの少なくとも5重量%、あるいは該エマルジョンの少なくとも7重量%、あるいは該エマルジョンの少なくとも10重量%、またあるいは該エマルジョンの少なくとも12重量%である。
【0061】
油/水界面での水反応性ケイ素化合物の重合は、典型的には酸性、中性または塩基性のpHで行うことができる縮合反応である。前記縮合反応は、一般に大気温度および大気圧にて実施されるが、高温で、例えば95℃まで、および加圧または減圧で、例えば真空下で実施して縮合反応の間に生成する揮発性アルコールを取り除くことができる。
【0062】
水反応性ケイ素化合物の重合を促進することが知られているいずれの触媒をも工程IIIに加えて、マイクロカプセルのシェルを形成させることができる。触媒は、好ましくは油溶性有機金属化合物、例えば有機スズ化合物、具体的には、ジ有機スズジエステル、例えばジメチルスズジ(ネオデカノエート)、ジブチルスズジラウレートもしくはジブチルスズジアセテート、またあるいはオクタン酸スズなどのカルボン酸スズなどの有機スズ化合物、またはチタン酸テトラブチルなどの有機チタン化合物である。有機スズ触媒は、例えば、水反応性ケイ素化合物を基準として0.05〜2重量%で用いることができる。有機スズ触媒は、中性pHにて効果的な触媒作用の利点を有する。触媒は、該触媒が乳化した油相液滴の表面で水反応性ケイ素化合物の縮合を促進することから、典型的には油相構成要素が乳化される前に油相構成要素と混合される。あるいは、水反応性ケイ素化合物の添加の前に、または水反応性ケイ素化合物と同時に、または水反応性ケイ素化合物の添加の後に触媒を該エマルジョンに加えて、形成されるケイ素系ポリマーのシェルを固めてより不浸透性にすることができる。しかしながら、カプセル化は触媒なしで達成することができる。触媒は、使用する場合には、希釈せず、または炭化水素、アルコールもしくはケトンなどの有機溶媒の溶液として、またはエマルジョンもしくは懸濁液などの多相システムとして加えることができる。
【0063】
シリケートシェルマイクロカプセルの懸濁液におけるコロイド状シリケート粒子の存在は、これらの懸濁液の保存安定性を制限し得る。該コロイド状シリケート粒子は、シリケートシェルマイクロカプセルを生成するテトラアルコキシシラン重合反応における副産物と考えられ得る。シリケートシェルマイクロカプセルの懸濁液の保存安定性は、懸濁液中のコロイド状シリケート粒子の量を減少させることによって、またあるいはコロイド状シリケート封鎖剤の添加によってコロイド状シリケート粒子を非反応性にすることによって改善することができる。本明細書において、「コロイド状シリケート封鎖剤」は、コロイド状ケイ素粒子も含有するシリケートシェルマイクロカプセル懸濁液へ加えられた場合にコロイド状シリケート粒子の反応または凝集を防止するような様式でコロイド状シリケート粒子と相互作用するいずれの化合物または物質をもさす。コロイド状シリケート粒子を除去するための技術および種々のコロイド状シリケート封鎖剤は、米国特許出願第61/096397号明細書でさらに開示されている。
【0064】
コロイド状シリケート封鎖剤は、有機官能性シランとしてもよい。一態様では、有機官能性シランが四官能のトリアルコキシシランである。適切な四官能性トリアルコキシシランの代表的で非限定的な例としてはダウコーニング(登録商標)Q9−6346:セトリモニウムプロピルトリメトキシシランクロリドが挙げられる。
【0065】
コロイド状シリケート封鎖剤は、シリコーンポリエーテルとしてもよい。シリコーンポリエーテルは市販されている。適切なシリコーンポリエーテルの代表的で非限定的な例としてはダウコーニング(登録商標)190、193及び2−5657が挙げられる。
【実施例】
【0066】
これらの例は、本技術分野の当業者に本発明を説明することを意図し、特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するように解釈すべきでない。全ての測定および実験は、他に指定のない限り、23℃にて行った。


ビニルシロキサンおよびSiHシロキサンの粘度は、ブルックフィールド回転粘度計をスピンドルRVF #2で20RPMにて用いて、ダウコーニングCTM0050に従って23℃にて測定した。
【0067】
[例1(比較例)]
[硬化性シロキサンのA部分を油相として含有するエマルジョンの調製]
45gのビニルシロキサン、1.4gの触媒、4gのラウレス-23および3gのパレス-3を混合することにより、硬化性シロキサン組成物のA部分を油相として含有する第一エマルジョンを調製した。次いで、16gの水を加えて、HauschildスピードミキサーDAC 150 FVZで20秒間混合した。次に、このエマルジョンを水の添加によって漸次的に希釈して、30%の固形含有量を得た。結果得られたエマルジョンは3.7マイクロメートルの平均体積粒径(Dv 0.5)を有していた。2.5MのHClの添加によりpHを3.7に調整した。
【0068】
[硬化性シロキサンのB部分を油相として含有するエマルジョンの調製]
最初に40gのビニルシロキサン、5gのSiHシロキサン、4gのラウレス-23および3gのパレス-3を混合することにより、硬化性シロキサン組成物のB部分を油相として含有する第二エマルジョンを同様に調製した。次に、8gの水を加えて、HauschildスピードミキサーDAC 150 FVZで20秒間混合した。次いで、30%の固形含有量を得るために、このエマルジョンを水で漸次的に希釈した。結果得られたエマルジョンは3.8マイクロメートルの平均体積粒径(Dv 0.5)を有していた。HClの添加によりpHを3.7に調整した。
【0069】
次いで、A部分を含有するエマルジョンおよびB部分を含有するエマルジョンを1/1のw/w比で一緒に混合した。
【0070】
[例2]
[硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液の調製]
最初に3.35gのセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)を791.9gの水に溶解することによって、硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液を調製した。次に、675.6gのビニルシロキサンと21gの触媒とのブレンドを混合しながらCTAC/水混合物に加えて、O/Wエマルジョンを形成した。この具体的事例では、ウルトラ-ツーラックス(Ultra−Turrax)T25ベーシックを180秒間9500rpmで使用した。次いで、結果得られたエマルジョンを700barの圧力でAPV 1000ホモジナイザーを用いたさらなるせん断に供して、15μm未満の平均粒径(Dv 0.9)を有する微細なO/Wエマルジョンを生成させた。結果得られたエマルジョンのpHを、2.5MのHClの添加によって3.7に調整した。次いで12.86wt%(エマルジョンの重量を基準として)のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を400rpmで4時間混合しながら加えた。TEOSの完全な加水分解および縮合の後、4.7マイクロメートルの平均体積粒径(Dv 0.5)を有するコアシェルマイクロカプセルの懸濁液を得た。次いで、30%の固形含有量を得るために、この懸濁液を水で希釈した。最後に、この懸濁液に0.3%の3-(トリメトキシシリル)-プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリドを加えて、45℃でのゲル化を防止した。
【0071】
[硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液の調製]
3.35gのセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)を813.5gの水に溶解することによって、硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液を調製した。次に、600gのビニルシロキサンおよび75gのSiHシロキサンを400rpmで混合しながらCTAC/水混合物に加えて、O/Wエマルジョンを形成した。この具体的事例では、ウルトラ-ツーラックスT25ベーシックを90秒間9500rpmで使用した。次いで、結果得られたエマルジョンを700barの圧力でAPV 1000ホモジナイザーを用いたさらなるせん断に供して、15μm未満の平均粒径(Dv 0.9)を有する微細なO/Wエマルジョンを生成させた。次いで、結果得られたエマルジョンのpHを、2.5MのHClの添加によって3.7に調整した。次に、12.86%(エマルジョンの重量を基準として)のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を400rpmで4時間混合しながら加えた。TEOSの完全な加水分解および縮合の後、3.6マイクロメートルの平均体積粒径(Dv 0.5)を有するコアシェルマイクロカプセルの懸濁液を得た。次いで、30%の固形含有量を得るために、この懸濁液を水で希釈した。最後に、この懸濁液に0.3%の3-(トリメトキシシリル)-プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリドを加えて、45℃でのゲル化を防止した。
【0072】
次いで、上述のように調製した触媒ブレンドのマイクロカプセルおよびベースブレンドのマイクロカプセルを含有する2つの水性懸濁液を、各水性懸濁液の重量を基準として1/1のw/w比で一緒に混合した。
【0073】
[例3〜6]
以下で示す表1にまとめるような量の構成要素および成分を用いて、例2と同様の様式で、さらなる水性懸濁液を調製した。
【0074】
これらの例は、一定の触媒レベル(元素状Ptの量によって決定した)を維持しつつ、B部分のSiH/Vi比および硬化性シロキサン組成物の(つまり、A部分およびB部分を組み合わせた)全SiH/Vi比を変化させた効果を評価した。
【0075】
[例7〜8(比較例)]
硬化性シロキサン組成物のA部分およびB部分の個々についてマイクロカプセルを使用すること対エマルジョンシステムを使用することの利点をさらに実証するために、2つのさらなる懸濁液を調製した。例7では、B部分をマイクロカプセル中のコア材料として用い、一方でA部分をエマルジョンとして提供した。例8では、A部分をマイクロカプセル中のコア材料として用い、一方でB部分をエマルジョンとして提供した。これらの例で用いた水性懸濁液およびエマルジョンを、例1および2で上述したのと同じ手順を用いて調製した。例で用いた量を表1にまとめる。
【0076】
[例9〜13]
[異なるテトラアルコキシシラン濃度を有する硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液の調製]
最初に0.44gのセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)を105.6gの水に溶解することによって、硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液を調製した。次に、90.1gのビニルシロキサンと2.8gの触媒とのブレンドを混合しながらCTAC/水混合物に加えて、O/Wエマルジョンを形成した。この具体的事例では、ウルトラ-ツーラックスT25ベーシックを180秒間9500rpmで使用した。次いで、結果得られたエマルジョンを700barの圧力でAPV 1000ホモジナイザーを用いたさらなるせん断に供して、15μm未満の平均粒径(Dv 0.9)を有する微細なO/Wエマルジョンを生成させた。結果得られたエマルジョンのpHを、2.5MのHClの添加によって2.9に調整した。このエマルジョンの5つのアリコートを取り分けた:例9〜13について、それぞれ2.5wt%、5wt%、7.5wt%、10wt%および12.5wt%のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を、400rpmで4時間混合しながら各アリコートに加えた。TEOSの完全な加水分解および縮合の後、コアシェルマイクロカプセルの懸濁液を得た。次いで、30%の固形含有量を得るために、この懸濁液を水で希釈した。最後に、この懸濁液に0.3%の3-(トリメトキシシリル)-プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリドを加えて45℃でのゲル化を防止した。
【0077】
[異なるテトラアルコキシシラン濃度を有する硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液の調製]
0.44gのセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)を108.5gの水に溶解することによって、硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルの懸濁液を調製した。次に、80gのビニルシロキサンおよび10gのSiHシロキサンを400rpmで混合しながらCTAC/水混合物に加えて、O/Wエマルジョンを形成した。この具体的事例では、ウルトラ-ツーラックスT25ベーシックを90秒間9500rpmで使用した。次いで、結果得られたエマルジョンを700barの圧力でAPV 1000ホモジナイザーを用いたさらなるせん断に供して、15μm未満の平均粒径(Dv 0.9)を有する微細なO/Wエマルジョンを生成させた。次いで、結果得られたエマルジョンのpHを、2.5MのHClの添加によって2.85に調整した。このエマルジョンの5つのアリコートを取り分けた:例9〜13について、それぞれ2.5wt%、5wt%、7.5wt%、10wt%および12.5wt%のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を、400rpmで4時間混合しながら各アリコートに加えた。TEOSの完全な加水分解および縮合の後、コアシェルマイクロカプセルの懸濁液を得た。次いで、30%の固形含有量を得るために、この懸濁液を水で希釈した。最後に、この懸濁液に0.3%の3-(トリメトキシシリル)-プロピルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリドを加えて45℃でのゲル化を防止した。
【0078】
【表1】

【0079】
ケイ素を含まないグラシン紙上に該懸濁液(または該エマルジョン)をコーティングすることによって、マイクロカプセル化した反応性ブレンドの反応性および得られた最終膜の品質を決定した。自動フィルムアプリケーター(Braive Instrumentsが供給する4340M1型)を備えた1.2g/mバーを用いて、約2gの懸濁液ブレンドをコーティングした。モノマー用の良溶媒(例えば、30mlのメチルイソブチルケトン(MIBK)溶液中)での抽出の前および後の反応でグラシン紙上に残るケイ素の量の比率は、反応の間の該膜の内部の抽出可能な量をプロットするのを可能にする。グラシン紙上のケイ素濃度はOxford Lab−X 3000を用いてXRFによって決定した。
【0080】
反応性は、グラシン紙のコーティングの後の最初の3分の間の抽出性プロットの傾きを測定することによって算出した。より低い値はより高い反応性を示している。膜の品質は、2時間測定した抽出性レベルによって表わされる。
【0081】
例1〜8の結果を表2にまとめた。
【0082】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリケートシェルマイクロカプセルの第一部分が下記(a)及び(b):
(a)1分子あたり少なくとも2個のケイ素結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン;
(b)ヒドロシリル化触媒、
を含む硬化性シロキサン組成物のA部分をコアとして含有し、
シリケートシェルマイクロカプセルの第二部分が下記(c):
(c)1分子あたり平均2個を超えるケイ素結合水素原子(SiH)を有するオルガノ水素シロキサン
を含む硬化性シロキサン組成物のB部分をコアとして含有する、
シリケートシェルマイクロカプセルの水性懸濁液。
【請求項2】
硬化性シロキサン組成物のB部分が、さらに前記(a)少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含む、請求項1記載の水性懸濁液。
【請求項3】
構成要素(a)および構成要素(c)の使用量が、オルガノポリシロキサン中のアルケニル基に対するオルガノ水素シロキサンのSiH単位のモル比を1〜4で提供する、請求項2記載の水性懸濁液。
【請求項4】
硬化性シロキサン組成物のB部分に使用するオルガノポリシロキサン中のアルケニル基に対するオルガノ水素シロキサンのSiH単位のモル比が3〜10である、請求項3記載の水性懸濁液。
【請求項5】
少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記平均式によって表されるシロキサン単位を少なくとも2個含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の水性懸濁液:
SiO(4−m)/2
(式中、Rは1〜20個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、
は一価のアルケニル脂肪族基であり、および
mは0〜2である)。
【請求項6】
少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記平均式を有する、請求項5記載の水性懸濁液:
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]x’Si(Me)CH=CH
CH=CH-(CH)-(Me)SiO[MeSiO]x’Si(Me)-(CH)-CH=CH、または
MeSiO[(Me)SiO]x’[CH=CH(Me)SiO]x”SiMe
(式中、Meはメチルであり、
x’≧0およびx”≧2である)。
【請求項7】
オルガノ水素シロキサンが下記平均式を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の水性懸濁液:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RHSiO2/2)
(式中、Rは水素またはRであり、
は1〜10個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビルであり、
a≧2、b≧0、c≧2である)。
【請求項8】
オルガノ水素シロキサンが下記平均式を有するジメチルメチル水素ポリシロキサンから選択される、請求項7記載の水性懸濁液:
(CH)SiO[(CH)SiO][(CH)HSiO]Si(CH)
(式中、b≧0およびc≧2である)。
【請求項9】
ヒドロシリル化触媒が硬化性シロキサン組成物中1〜500ppmの濃度を有する元素状白金族金属である、請求項1〜8のいずれか1項記載の水性懸濁液。
【請求項10】
シリケートシェルマイクロカプセルが下記工程(I)〜(IV)によって得られる、請求項1記載の水性懸濁液:
(I)硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分を含有する油相と陽イオン界面活性剤の水溶液とを混合して、水中油型エマルジョンを形成する工程、
(II)テトラアルコキシシランを含む水反応性ケイ素化合物を前記水中油型エマルジョンに加える工程、
(III)前記エマルジョンの油/水界面で前記テトラアルコキシシランを重合させて、硬化性シロキサン組成物のA部分またはB部分のどちらかを含有するコアおよびシリケートシェルを有するマイクロカプセルを形成する工程、
(IV)硬化性シロキサン組成物のA部分を含有するマイクロカプセルと硬化性シロキサン組成物のB部分を含有するマイクロカプセルとを組み合わせる工程。
【請求項11】
テトラアルコキシシランが、テトラエトキシシランである、請求項10記載の水性懸濁液。
【請求項12】
水反応性ケイ素化合物が、さらに(CHO)SiCHCHCH(CH)(CH)17CHClを含む、請求項10記載の水性懸濁液。
【請求項13】
下記(1)〜(3)を含む、シリケートシェルマイクロカプセルの懸濁液を調製する方法:
(1)下記工程(I)〜(III)によってシリケートシェルマイクロカプセルの第一懸濁液を調製すること:
(I)下記(a)および(b)を含む硬化性シロキサン組成物のA部分を含有する油相と陽イオン界面活性剤の水溶液とを混合して、水中油型エマルジョンを形成する工程;
(a)少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン;
(b)ヒドロシリル化触媒、
(II)テトラアルコキシシシランを含む水反応性ケイ素化合物を前記水中油型エマルジョンに加える工程;
(III)前記エマルジョンの油/水界面でテトラアルコキシシランを重合させて、前記油を含有するコアおよびシリケートシェルを有するマイクロカプセルを形成する工程;
(2)下記工程(I)〜(III)によってシリケートシェルマイクロカプセルの第二懸濁液を調製すること:
(I)下記(c)を含む硬化性シロキサン組成物のB部分を含有する油相と陽イオン界面活性剤の水溶液とを混合して水中油型エマルジョンを形成する工程;
(c)1分子あたりに平均2個を超えるケイ素結合水素原子(SiH)を有するオルガノ水素シロキサン、
(II)テトラアルコキシシランを含む水反応性ケイ素化合物を前記水中油型エマルジョンに加える工程;
(III)前記エマルジョンの油/水界面でテトラアルコキシシランを重合させて、前記油を含有するコアおよびシリケートシェルを有するマイクロカプセルを形成する工程;ならびに
(3)前記第一懸濁液と前記第二懸濁液とを一緒に混合すること。
【請求項14】
第二懸濁液と混合する第一懸濁液の重量比が0.9〜1.1にわたる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項記載の硬化性シロキサン組成物を硬化することによって得られる、硬化シロキサン組成物。

【公表番号】特表2012−532210(P2012−532210A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517813(P2012−517813)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/040124
【国際公開番号】WO2011/002695
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】