説明

硬化性環状ホスファゼン系化合物およびこれらの製造方法

【課題】低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性を有する硬化性環状ホスファゼン系化合物およびこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】6つの置換位置を持っている環状ホスファゼン物質に2〜6つの硬化性反応基を導入し、残りの位置に様々な構造の置換基を導入する方法で硬化度や分子の分極化および自由体積などを調節することにより、低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性および界面接着力を有する物質を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性環状ホスファゼン系化合物およびこれらの製造方法に係り、より詳しくは、低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性を有する硬化性環状ホスファゼン系化合物およびこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、PCB基板および半導体素子では、素子の小型化および高集積化と使用信号の振動数の増加により信号の損失および信号の遅延現象などが問題として台頭してきている。これを解決するために、従来のアルミニウム導線から銅導線へ配線物質を変えて抵抗を減らす一方で、熱的特性に優れた低誘電物質を開発することが要求されている。
【0003】
特に、電子産業分野において、従来の絶縁体として多く用いられるフェノール樹脂およびエポキシ樹脂などは、電気的特性に優れないため使用に限界があって、低誘電率および低誘電損失を有する新規物質の開発が至急である。
【0004】
半導体装置または回路基板の小型化、高集積化および高密度化に伴い、3.0以下の低誘電率を有する絶縁物質が信号電波遅延時間を短縮させるから、その必要性が増加している。フッ素樹脂は、低誘電率を持っているうえ、高い耐熱性および耐化学性などの優れた性質を持っているため、その間、開発が盛んに行われてきた。
【0005】
具体的に、例えば、特許文献1および特許文献2にはフッ素含有ポリイミド樹脂(誘電率:2.2〜2.8)が、特許文献3にはフッ素含有ポリ(アリレンエーテル)樹脂(誘電率:2.4〜2.6)が、特許文献4にはフッ素含有芳香族樹脂(誘電率:2.1〜2.5)が開示されている。
【0006】
ところが、プリント基板の生産工程は200℃〜450℃の高温で行われるので、低いガラス転移温度と高温における低い弾性率および高い線膨張係数を有するフッ素樹脂は回路基板の信頼度の確保に激しい問題点を抱えている。
【0007】
そこで、低誘電率および低誘電損失係数を有する物質の開発が試みられてきた。その代表的な例としては、BCB(benzocyclobutene)系統の物質とSiLK(Dow chemical社)などがある。
【0008】
しかし、このような物質は、製造が容易ではなく、積層時の界面接着力が小さいため、素子の機械的特性が低くなるという欠点を示した。
【0009】
特に、低誘電率を有する有機物質SiLKを使用する場合には、トレンチまたはビアホールの幅および深さを正確に制御する新しい工程が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開1985−104129号公報
【特許文献2】特開1991−282874号公報
【特許文献3】米国特許第5,115,082号明細書
【特許文献4】米国特許第5,405,677号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明者らは、低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性を有する材料を開発するために努力した結果、難燃素材としてよく知られているホスファゼン系化合物を使用し、また硬化性を確保するために熱硬化性反応基をホスファゼン系化合物に導入することにより、本発明を完成した。
【0012】
したがって、本発明の目的は、低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性を有する硬化性ホスファゼン系化合物およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、これらのホスファゼン系化合物から製造された重合体絶縁物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、6つの置換位置を持っている環状ホスファゼン物質に2〜6つの硬化性反応基を導入し、残りの位置に様々な構造の置換基を導入する方法で硬化度や分子の分極化および自由体積などを調節することにより、低い誘電率および誘電損失係数と高い熱安定性および界面接着力を有する物質を製造することができることを見出した。
【0015】
本発明は、全て芳香族化合物で置換された硬化性環状ホスファゼン系物質、脂肪族化合物と芳香族化合物とが特定の割合で混合置換された硬化性環状ホスファゼン系物質、およびその合成から構成される。これについて、以下に詳細に説明する。
【0016】
本発明の芳香族と脂肪族化合物で置換された硬化性環状ホスファゼン系化合物は、次の化学式(I)の構造を有する。
【0017】
【化1】

【0018】
式中、nは3であり、RとRの個数の和は6であり、前記化学式(I)の化合物は、次に例示した化合物の中から選ばれたいずれか一つであり、このように選択されたRの数は2〜6個である。
1.Rが4−ビニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
2.Rが4−エチニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
3.Rが4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
4.Rが4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
5.Rが4−フェニルエチニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物。
【0019】
前記化学式(I)の化合物は、次の2つの製造方法のいずれかによって製造することができる。
【0020】
第1の方法は、
1)当量より少ない量の化学式(II)のR−Hを塩基を用いてナトリウムアルコキシドの形態に転換した後、有機溶媒でヘキサクロロシクロトリホスファゼンと反応させる段階と、
2)前記1)段階で得られたホスファゼンの有機溶液に次の化学式(III)のR−HをNaHまたはNaで処理して得たナトリウムアルコキシドを加えて反応させる段階と、
3)前記2)段階で得られた硬化性ホスファゼンを分離する段階とを含む。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
式中、Rは前述で定義したとおりであり、Rは4−ビニルフェノキシ(4-vinylphenoxy)、4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ(4’-vinyl-4-biphenyloxy)、および4−フェニルエチニルフェノキシ(4-(phenylethynyl)phenoxy)よりなる群から選択できる。
【0024】
第2の方法は、
1)当量より少ない量の化学式(II)のR−Hを塩基を用いてナトリウムアルコキシドの形態に転換した後、有機溶媒でヘキサクロロシクロトリホスファゼンと反応させる段階と、
2)前記1)段階で得られたホスファゼンの有機溶液に次の化学式(IV)のR−HをNaHまたはNaで処理して得たナトリウムアルコキシドを加えて反応させる段階と、
3)前記2)段階で得られたホスファゼン化合物をメタノール溶液に溶かした後、KOHで処理してトリメチルシリル基を除去する段階と、
4)前記3)段階で得られた硬化性ホスファゼンを分離する段階とを含む。
【0025】
【化4】

【0026】
【化5】

【0027】
式中、Rは前述で定義したとおりであり、Rは4−トリメチルシリルエチニルフェノキシ(4-ethynylphenoxy)、4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェニルオキシ(4’-ethynyl-4-biphenyloxy)よりなる群から選択できる。
【0028】
第1段階で置換される置換体の数は、所望の目的に応じて反応条件を調節して得ることが可能である。
【0029】
好ましくは、置換体の反応性を考慮して還流する時間を調節することにより、置換される置換体の数を調節することができる。
【0030】
通常、12時間〜3日間還流し、この還流時間は置換体の種類および反応条件に応じて調節することができる。
【0031】
前記反応で使用された有機溶媒は、好ましくは1,4−ジオキサンを使用する。
【0032】
前記で合成した硬化性ホスファゼン化合物を架橋結合させる段階である重合反応は、好ましくは加熱して熱硬化させるか、あるいはCu(II)アセテートなどの触媒を用いる方法によって行われる。
【0033】
前記熱硬化性反応基はアセチレンおよびビニル基を含む。
【0034】
前記ホスファゼン化合物が含有した熱硬化性基は、加熱の際に150〜200℃で熱硬化反応が起り、特にアセチレン基は、液相だけでなく固相でも熱硬化反応が可能であり、かつ熱硬化反応の後に生成された物質が熱的に非常に安定である。
【発明の効果】
【0035】
前述したように、本発明に係る硬化性環状ホスファゼン誘導体は、高い熱安定性と低い誘電率および誘電損失係数の特性により、次世代基板産業の絶縁素材または次世代半導体産業における絶縁膜などの要求に符合するという利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】参考例の製品のC−1架橋体の熱重量分析器(TGA)を用いた分析結果を示すグラフである。
【図2】参考例の製品のC−1化合物の示差走査熱量計(DSC)を用いた分析結果を示すグラフである。
【図3】参考例の製品のC−5架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図4】参考例の製品のC−5化合物の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【図5】参考例の製品のC−6架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図6】参考例の製品のC−6化合物の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【図7】本発明に係るC−11架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図8】本発明に係るC−11化合物の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【図9】参考例の製品のC−27架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図10】参考例の製品のC−27化合物の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【図11】本発明に係るC−5とスチレンとの混合物の架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図12】本発明に係るC−5とスチレンとの混合物の架橋体の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【図13】本発明に係るC−27とスチレンとの混合物の架橋体の熱重量分析器を用いた分析結果を示すグラフである。
【図14】本発明に係るC−27とスチレンとの混合物の架橋体の示差走査熱量計を用いた分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
本発明の化合物に対するHおよび31P NMRスペクトル分析はBRUKER Avance DPX−300およびAvance 500 spectrometerを用いて測定し、熱重量分析はTA社のQ50熱重量分析器(TGA)を使用し、示差走査熱量測定はTA modulated DSC Q10機器を用いて測定した。
【実施例】
【0039】
[参考例1]下記化学式(I)においてRとRが1−アダマンタンメトキシと4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0040】
1−アダマンタンメタノール1.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(hexachlorocyclotriphosphazene)1.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェニロール(4’-trimethylsilylethynyl-4-biphenylol)2.90gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れ、30℃で12時間攪拌する。その後、固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0041】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.38 (overlap, C6H4, 24H), 3.48 (s, ≡CH, 3H), 3.15 (d, -OCH2-, 6H), 1.24-2.17 (m, admantyl, 45H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0042】
[参考例2]下記化学式(I)においてRとRが1−アダマンタンメトキシと4−エチニルフェノキシ基を含む化合物
【0043】
1−アダマンタンメタノール1.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を入れて3日間還流する。4−トリメチルシリルエチニルフェノール1.50gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れ、30℃で12時間攪拌する。その後、固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0044】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.38 (overlap, C6H4, 12H), 3.48 (s, ≡CH, 3H), 3.15 (d, -OCH2-, 6H), 1.24-2.17 (m, admantyl, 45H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0045】
[参考例3]下記化学式(I)においてRとRが1−アダマンタンメトキシと4−フェニルエチニルフェノキシ基を含む化合物
【0046】
1−アダマンタンメタノール1.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4−フェニルエチニルフェノール2.80gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0047】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 30H), 3.15 (d, -OCH2-, 6H), 1.24-2.17 (m, admantyl, 45H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0048】
[参考例4]下記化学式(I)においてRとRが1−アダマンタンメトキシと4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0049】
1−アダマンタンメタノール1.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4’−ビニル−4−ビフェニロール2.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0050】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 30H), 6.63(m, Ar-CH=, 3H), 5.61(d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 3.15 (d, -OCH2-, 6H), 1.24-2.17 (m, admantyl, 45H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0051】
[参考例5]下記化学式(I)においてRとRが1−アダマンタンメトキシと4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0052】
1−アダマンタンメタノール1.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.26gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4−ビニルフェノール1.25gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0053】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 12H), 6.63 (m, Ar-CH=, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 3.15 (d, -OCH2-, 6H), 1.24-2.17 (m, admantyl, 45H).
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82.
【0054】
[参考例6]下記化学式(I)においてRとRが2−ノルボルナンメトキシと4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0055】
2−ノルボルナンメタノール2.36gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1.4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェニロール5.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れ、常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0056】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.38 (overlap, C6H4, 24H), 3.48 (s, ≡CH, 3H), 3.62 (d, -OCH2-, 6H), 1.43-2.13 (overlap, norbornyl, 32H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0057】
[参考例7]下記化学式(I)においてRとRが2−ノルボルナンメトキシと4−エチニルフェノキシ基を含む化合物
【0058】
2−ノルボルナンメタノール2.36gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。4−トリメチルシリルエチニルフェノール3.14gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0059】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.35 (overlap, C6H4, 12H), 3.48 (s, ≡CH, 3H), 3.62 (d, -OCH2-, 6H), 1.43-2.13 (overlap, norbornyl, 32H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0060】
[参考例8]下記化学式(I)においてRとRが2−ノルボルナンメトキシと4−フェニルエチニルフェノキシ基を含む化合物
【0061】
2−ノルボルナンメタノール2.36gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−フェニルエチニルフェノール5.20gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れ、3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0062】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.59 (overlap, C6H4, 6H), 7.41 (overlap, C6H4, 12H), 6.91 (overlap, C6H4, 6H), 3.48 (s, ≡CH, 3H), 3.62 (d, -OCH2-, 6H), 1.43-2.13 (overlap, norbornyl, 32H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0063】
[参考例9]下記化学式(I)においてRとRが2−ノルボルナンメトキシと4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0064】
2−ノルボルナンメタノール2.36gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−ビニル−4−ビフェニロール5.23gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0065】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 24H), 6.63 (m, Ar-CH=, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 3.62 (d, -OCH2-, 6H), 1.43-2.13 (overlap, norbornyl, 32H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0066】
[参考例10]下記化学式(I)においてRとRが2−ノルボルナンメトキシと4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0067】
2−ノルボルナンメタノール2.36gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−ビニルフェノール5.23gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0068】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 24H), 6.63 (m, Ar-CH=, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 3.62 (d, -OCH2-, 6H), 1.43-2.13 (overlap, norbornyl, 32H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0069】
[実施例1]下記化学式(I)においてRとRがトリフルオロエトキシと4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0070】
トリフルオロエタノール1.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.39gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェロール7.18gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.45gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0071】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 24H), 4.05 (m, -OCH2-, 6H), 3.48 (s, ≡CH, 3H).
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0072】
[実施例2]下記化学式(I)においてRとRがトリフルオロエトキシと4−エチニルフェノキシ基を含む化合物
【0073】
トリフルオロエタノール1.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.39gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を入れて2日間還流する。4−トリメチルシリルエチニルフェノール5.13gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.65gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0074】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.38 (overlap, C6H4, 12H), 4.05 (m, -OCH2-, 6H), 3.48 (s, ≡CH, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0075】
[実施例3]下記化学式(I)においてRとRがトリフルオロエトキシと4−フェニルエチニルフェノキシ基を含む化合物
【0076】
トリフルオロエタノール1.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.39gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1.84gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−フェニルエチニルフェノール5.23gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.68gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0077】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.92-7.38 (overlap, C6H4, 27H), 4.05 (m, -OCH2-, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0078】
[実施例4]下記化学式(I)においてRとRがトリフルオロエトキシと4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0079】
トリフルオロエタノール1.74gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−ビニル−4−ビフェニロール5.68gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0080】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.59 (overlap, C6H4, 24H), 6.63 (m, Ar-CH=, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 4.05 (d, -OCH2-, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0081】
[実施例5]下記化学式(I)においてRとRがトリフルオロエトキシと4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0082】
トリフルオロエタノール1.74gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で2時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−ビニルフェノール3.48gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0083】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.90-7.56 (overlap, C6H4, 12H), 6.63 (m, Ar-CH=, 3H), 5.61(d, =CH2, 3H), 5.18 (m, =CH2, 3H), 4.05 (d, -OCH2-, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 16.80-17.63, 13.6-14.2, 10.90-10.82
【0084】
[参考例11]下記化学式(I)においてRとRが4−フェニルフェノキシと4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0085】
4−フェニルフェノール2.95gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェロール7.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0086】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.90-7.56 (overlap, C6H4, 51H), 5.61(d, =CH2, 3H), 5.18(m, =CH2, 3H), 4.05 (d, -OCH2-, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0087】
[参考例12]下記化学式(I)においてRとRが4−フェニルフェノキシと4−エチニルフェノキシ基を含む化合物
【0088】
4−フェニルフェノール2.95gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を入れて2日間還流する。4−トリメチルシリルエチニルフェノール5.51gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0089】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.90-7.56 (overlap, C6H4, 39H), 3.48 (s, ≡CH, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0090】
[参考例13]下記化学式(I)においてRとRが4−フェニルフェノキシと4−フェニルエチニルフェノキシ基を含む化合物
【0091】
4−フェニルフェノール2.95gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−フェニルエチニルフェノール5.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0092】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 12H), 7.38-7.62 (overlap, C6H4, 42H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0093】
[参考例14]下記化学式(I)においてRとRが4−フェニルフェノキシと4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0094】
4−フェニルフェノール2.95gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−ビニル−4−ビフェニロール5.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0095】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 12H), 7.38-7.62 (overlap, C6H4, 39H), 6.63 (m, =CH2, 3H), 5.61(d, =CH2, 3H), 5.18(d, =CH2, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0096】
[参考例15]下記化学式(I)においてRとRが4−フェニルフェノキシと4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0097】
4−フェニルフェノール2.95gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−ビニルフェノール3.40gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.66gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0098】
1H NMR (CDCl3): δ = 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 12H), 7.38-7.62 (overlap, C6H4, 27H), 6.63 (m, =CH2, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18(d, =CH2, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0099】
[参考例16]下記化学式(I)においてRとRがフェノキシと4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0100】
フェノール1.83gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェニロール7.70gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0101】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.61-7.63 (overlap, C6H4, 18H), 7.18-7.28 (overlap, C6H4, 15), 7.01 (m, C6H4, 6), 3.48 (s, ≡CH, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0102】
[参考例17]下記化学式(I)においてRとRがフェノキシと4−エチニルフェノキシ基を含む化合物
【0103】
フェノール1.83gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−トリメチルシリルエチニルフェノール5.50gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。しかる後に、濾過して塩を除去し、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。得られた化合物をメタノール(50mL)とTHF(50mL)に溶かした溶液にKOHを入れて常温で12時間攪拌する。固体を濾過して除去し、溶媒を減圧の下で除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離する。
【0104】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.21-7.38 (overlap, C6H4, 21), 6.92 (m, C6H4, 6), 3.48 (s, ≡CH, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0105】
[参考例18]下記化学式(I)においてRとRがフェノキシと4−フェニルエチニルフェノキシ基を含む化合物
【0106】
フェノール1.83gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−フェニルエチニルフェノール5.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。濾過して塩を除去した後、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0107】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.59 (m, C6H4, 6H), 7.38-7.42 (overlap, C6H4, 15H), 7.18-7.28 (overlap, C6H4, 15H), 6.91 (m, C6H4, 6)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0108】
[参考例19]下記化学式(I)においてRとRがフェノキシと4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0109】
フェノール1.83gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4’−ビニル−4−ビフェニロール5.62gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。濾過して塩を除去した後、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0110】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.59-7.62 (overlap, C6H4, 12H), 7.44 (m, C6H4, 6H), 7.18-7.28 (overlap, C6H4, 15H), 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 6H), 6.63 (m, =CH2, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18(d, =CH2, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0111】
[参考例20]下記化学式(I)においてRとRがフェノキシと4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0112】
フェノール1.83gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.42gを入れて常温で3時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、2日間還流する。4−ビニルフェノール3.48gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH0.70gを入れて1時間攪拌した後、これを前記で用意した反応溶液に入れて3日間還流する。濾過して塩を除去した後、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0113】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.56 (m, C6H4, 6H), 7.18-7.28 (overlap, C6H4, 15H), 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 6H), 6.63 (m, =CH2, 3H), 5.61 (d, =CH2, 3H), 5.18 (d, =CH2, 3H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0114】
[参考例21]下記化学式(I)においてRとRが4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基を含む化合物
【0115】
4’−ビニル−4−ビフェニロール8.10gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH1.0gを入れて常温で1時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。溶液を濾過して塩を除去した後、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0116】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.59-7.62 (m, C6H4, 24H), 7.44 (m, C6H4, 12H) 6.91-7.01 (overlap, C6H4, 12H), 6.63 (m, =CH2, 6H), 5.61 (d, =CH2, 6H), 5.18 (d, =CH2, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0117】
[参考例22]下記化学式(I)においてRとRが4−ビニルフェノキシ基を含む化合物
【0118】
4−ビニルフェノール5.0gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液にNaH1.0gを入れて常温で1時間攪拌した後、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン2.00gを1,4−ジオキサン(50mL)に溶かした溶液を添加し、3日間還流する。溶液を濾過して塩を除去した後、溶媒を減圧の下で除去する。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによって化合物を分離する。
【0119】
1H NMR (CDCl3): δ = 7.56 (m, C6H4, 12H), 6.90 (m, C6H4, 12H), 6.63 (m, =CH2, 6H), 5.61 (d, =CH2, 6H), 5.18 (d, =CH2, 6H)
31P NMR (CDCl3): δ = 10
【0120】
参考例1〜10、実施例1〜5、参考例11〜22から得られた単量体をそれぞれ順番にC−1〜C−27と命名する。
【0121】
[製造例1]参考例の製品による重合体の製造
一例として、C−1の重合体を製造するためには2つの方法がある。一つ目は、前記C−1の化合物を150℃〜200℃の温度で2時間熱処理することにより、架橋された重合体を得ることができる。二つ目は、前記C−1の化合物およびCu(II)アセテート1当量をピリジン、メタノール溶液に入れて70℃で10時間攪拌することにより、架橋された重合体を得ることができる。
【0122】
[製造例2]参考例の製品による重合体の製造
一例として、C−27の重合体を製造するためには3つの方法がある。一つ目は、前記C−27の化合物を150℃〜200℃の温度で2時間熱処理することにより、架橋された重合体を得ることができる。二つ目は、前記C−27の化合物を、4wt%のAIBN(azobisisobutyronitrile)を入れて100℃付近の温度で2時間熱処理することにより、架橋された重合体を得ることができる。三つ目は、前記C−27の化合物を、4wt%のDMPA(2,2-dimethoxy-2-phenyl acetophenone)を入れて高圧水銀などを用いて光重合することにより、架橋された重合体を得ることができる。
【0123】
[製造例3]参考例の製品による重合体の製造
一例として、C−27とスチレンとの混合物の重合体を製造するためには2つの方法がある。一つ目は、前記C−27の化合物にスチレン単量体をモル比で3〜10倍入れた後、4wt%のAIBNを入れて100℃付近の温度で2時間熱処理することにより、架橋された重合体を得ることができる。二つ目は、前記の混合物に4wt%のDMPAを入れて高圧水銀などを用いて光重合することにより、架橋された重合体を得ることができる。
【0124】
[試験例1]本発明品および参考例の製品によって製造された絶縁体の熱的特性分析試験
前記硬化性ホスファゼン化合物の熱的特性を、熱重量分析器(TGA)と示差走査熱量計(DSC)を用いて分析した。その代表的な分析結果を、 図1(C−1)、図2(C−1)、図3(C−5)、図4(C−5)、図5(C−6)、図6(C−6)、図7(C−11)、図8(C−11)、図9(C−27)、図10(C−27)、図11(C−5とスチレン単量体との混合物)、図12(C−5とスチレンとの混合物)、図13(C−27とスチレンとの混合物)、および図14(C−27とスチレン単量体との混合物)に示した(但し、ここで[C−5,27]とスチレン単量体の比率はそれぞれモル比で1:3にした。)。
【0125】
[試験例2]本発明品および参考例の製品によって製造された絶縁体の電気的特性分析試験
前記硬化性ホスファゼン化合物を、テフロン(登録商標)で製作された成形型に入れて、前記製造例2と同様の方法で熱重合または光重合して、架橋された厚膜を製造した。
【0126】
厚膜の膜厚は、マイクロメーターで測定した結果、約700〜900μmであった。
【0127】
架橋体の電気的な特性はMIM(Metal-Insulator-Metal)方法で測定した。その代表的な測定結果は次のとおりである。
【0128】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明に係る環状化合物または芳香族で置換された硬化性環状ホスファゼン系化合物は、高い熱安定性、低い誘電率および低い誘電損失係数を有し、特にスチレンで置換されたホスファゼン系化合物の場合には低価で大量生産が可能であると予想されるため、次世代基板産業の絶縁素材または次世代半導体産業における絶縁膜などとして使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I)の構造を有する硬化性環状ホスファゼン系化合物。
【化1】

(式中、nは3であり、RとRの個数の和は6であり、前記化学式(I)の化合物は、次に例示した化合物の中から選ばれたいずれか一つであり、このように選択されたRの数は2〜6個である。)
1.Rが4−ビニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
2.Rが4−エチニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
3.Rが4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
4.Rが4’−エチニル−4−ビフェニルオキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物、
5.Rが4−フェニルエチニルフェノキシ基でありRがトリフルオロエトキシ基である化合物。
【請求項2】
1)当量より少ない量の化学式(II)のR−Hを塩基を用いてナトリウムアルコキシドの形態に転換した後、有機溶媒でヘキサクロロシクロトリホスファゼンと反応させる段階と、
2)前記1)段階で得られたホスファゼンの有機溶液に、次の化学式(III)のR−HをNaHまたはNaで処理して得たナトリウムアルコキシドを加えて反応させる段階と、
3)前記2)段階で得られた硬化性ホスファゼンを分離する段階とを含むことを特徴とする、硬化性ホスファゼン化合物の製造方法。
【化2】

【化3】

(式中、Rは請求項1で定義したとおりであり、Rは4−ビニルフェノキシ(4−vinylphenoxy)、4’−ビニル−4−ビフェニルオキシ(4’−vinyl−4−biphenyloxy)、および4−フェニルエチニルフェノキシ(4−(phenylethynyl)phenoxy)よりなる群から選択できる。)
【請求項3】
1)当量より少ない量の化学式(II)のR−Hを塩基を用いてナトリウムアルコキシドの形態に転換した後、有機溶媒でヘキサクロロシクロトリホスファゼンと反応させる段階と、
2)前記1)段階で得られたホスファゼンの有機溶液に、次の化学式(IV)のR−HをNaHまたはNaで処理して得たナトリウムアルコキシドを加えて反応させる段階と、
3)前記2)段階で得られたホスファゼン化合物をメタノール溶液に溶かした後、KOHで処理してトリメチルシリル基を除去する段階と、
4)前記3)段階で得られた硬化性ホスファゼンを分離する段階とを含むことを特徴とする、硬化性ホスファゼン化合物の製造方法。
【化4】

【化5】

(式中、Rは請求項1で定義したとおりであり、Rは4−トリメチルシリルエチニルフェノキシ(4−ethynylphenoxy)、4’−トリメチルシリルエチニル−4−ビフェニルオキシ(4’−ethynyl−4−biphenyloxy)よりなる群から選択できる。)
【請求項4】
請求項1の硬化性環状ホスファゼン系化合物をi)単純加熱し、或いはii)有機溶媒に溶かした後、AIBNを添加して加熱し、或いはiii)有機溶媒に溶かした後、Cu(II)アセテートを触媒として添加して加熱し、或いはiv)光開始剤(例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(2,2−dimethyoxy−2−phenyl acetophenone))を入れて高圧水銀などを用いて重合反応させることを特徴とする、ホスファゼン重合体の製造方法。
【請求項5】
請求項4の製造方法で得た架橋されたホスファゼン重合体。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−197438(P2012−197438A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99400(P2012−99400)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2009−175623(P2009−175623)の分割
【原出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】