説明

硬化性組成物、その硬化物及び積層体

【課題】 優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度であるとともにカール性が小さく屈曲性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供する。
【解決手段】 溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子5〜70質量%、及び(B)下記式(1)
【化11】


[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]で示される化合物20〜50質量%を含有することを特徴とする硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、その硬化物及び積層体に関する。さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材[例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等]の表面に、高硬度であるとともに耐擦傷性並びに基材及び基材や高屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及び耐薬品性に優れたハードコート用の硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、屈曲性、耐擦傷性、耐摩耗性、低カール性(硬化膜の反りが小さいことをいう)、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
【0003】
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、また硬化膜とした場合に、高硬度であるとともに屈曲性に優れ、カール性が小さいという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
例えば、コロイダルシリカの表面をメタクリロキシシランで修飾した粒子とアクリレートとの組成物を、放射線(光)硬化型のコーティング材料として用いる技術が提案されている(特許文献1)。この種の放射線硬化型の組成物は、優れた塗工性を有すること等から、最近多用されるようになって来ている(特許文献2〜7)。
【0004】
【特許文献1】特表昭58−500251号公報
【特許文献2】特開平10−273595号公報
【特許文献3】特開2000−143924号公報
【特許文献4】特開2000−281863号公報
【特許文献5】特開2000−49077号公報
【特許文献6】特開2001−89535号公報
【特許文献7】特開2001−200023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような組成物を用いた硬化物上に塗布により低屈折率膜を積層させ、その積層体を反射防止膜として用いた場合、反射防止効果に一定の改良が認められるものの、硬度、屈曲性、カール性の両立の観点から満足しうるものではなかった。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度及び屈曲性及び低カール性を備えた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及び耐薬品性に優れたハードコート用の硬化膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の硬化性組成物、その硬化物及び積層体を提供できる。
[1]溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 5〜70質量%、及び(B)下記式(1)
【化3】

[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]で示される化合物 20〜50質量%を含有することを特徴とする硬化性組成物。
[2]前記(B)成分が、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートである上記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記(A)成分における有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(2)に示す基を有することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
【化4】

[式(2)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[4]前記(A)成分における有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする上記[3]に記載の硬化性組成物。
[5]溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(C)ウレタン(メタ)アクリレート 5〜20質量%をさらに含有することを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(D)前記(A)、(B)及び(C)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物 5〜20質量%をさらに含有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]前記(D)成分が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有することを特徴とする上記[6]に記載の硬化性組成物。
[8]前記(B)成分を、組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分(上記(B)成分+(C)成分+(D)成分の合計)100質量%に対して40質量%以上含有することを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化膜。
[10]上記[9]に記載の硬化膜を含む積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、高硬度であるとともにカール性が小さく屈曲性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化物からなる硬化膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の硬化性組成物、その硬化物及び積層体の実施形態を具体的に説明する。I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 5〜70質量%、及び(B)下記式(1)
【0010】
【化5】

[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、エチレン残基又はプロピレン残基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。nは、2〜8の整数である。]に示す構造を有する化合物 20〜50質量%
を含有することを特徴とするものである。
【0011】
以下、本発明の硬化性組成物の各構成成分について具体的に説明する。
1.重合性不飽和基を有する有機化合物と結合させてなる金属酸化物粒子(A)
本発明に用いられる(A)成分は、金属酸化物粒子(Aa)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)とを結合させてなる粒子である(以下、「反応性粒子」という)。ここで、結合とは、共有結合であってもよいし、物理吸着等の非共有結合であってもよい。
【0012】
(1)金属酸化物粒子(Aa)
本発明に用いられる金属酸化物粒子(Aa)は、特に限定されないが、得られる硬化性組成物の硬化被膜の硬度と無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の金属酸化物粒子であることが好ましい。
【0013】
これらの金属酸化物粒子(Aa)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましく、特にシリカ粒子が好ましい。また、ジルコニウムやチタニウム等の酸化物粒子を用いることにより高屈折率の硬化被膜を得ることができるし、ATO粒子等を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することもできる。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。さらには、酸化物粒子(Aa)は、粉体状又は分散液であることが好ましい。分散液である場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0014】
金属酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、電子顕微鏡法による測定で、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化物としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
【0015】
シリカ粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
【0016】
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
【0017】
金属酸化物粒子(Aa)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。金属酸化物粒子(Aa)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら金属酸化物粒子(Aa)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、分散液として当業界に知られている微粒子状の金属酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化物に優れた透明性を要求する用途においては金属酸化物粒子の分散液の利用が好ましい。
【0018】
(2)有機化合物(Ab)
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、重合性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記式(2)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
【0019】
【化6】

[式(2)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【0020】
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0021】
(ii)前記式(2)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(2)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(2)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や高屈折率層等の隣接層との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0022】
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
【0023】
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(3)に示す化合物を挙げることができる。
【0024】
【化7】

【0025】
式(3)中、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
【0026】
[(RO)3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
10は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
【0027】
式(3)で示される化合物の具体例として、下記式(4−1)及び(4−2)で示される化合物が挙げられる。
【0028】
【化8】

[式(4−1)及び(4−2)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
【0029】
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。
【0030】
(3)反応性粒子(A)
シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する有機化合物(Ab)を金属酸化物粒子(Aa)と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。得られる反応性粒子(A)中の有機重合体成分すなわち加水分解性シランの加水分解物及び縮合物の割合は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の質量減少%の恒量値として、例えば空気中で室温から通常800℃までの熱質量分析により求めることができる。
【0031】
酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(A)(金属酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。金属酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(A)の分散性が十分でなく、得られる硬化物の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(A)製造時の原料中の金属酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の含有量は、反応性粒子(A)の65〜95質量%であることが好ましい。
【0032】
反応性粒子(A)の硬化性組成物中における配合(含有)量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、5〜70質量%が好ましく、30〜60質量%がさらに好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。5質量%未満であると、硬化膜の硬度が不十分であり、70質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が分散液の形態で用いられるときは、その配合量には分散媒の量を含まない。
【0033】
2.化合物(B)
本発明に用いられる化合物(B)は、下記式(1)で示される化合物である。
【0034】
【化9】

[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、好ましくは炭素数2〜4の有機基であり、特に好ましくは−CHCH−である、Rは、水素原子又はメチル基である。]
この化合物(B)は、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化膜の反りを低減すると共に屈曲性を付与する機能を有するものである。
【0035】
本発明において用いることができる化合物(B)の具体例としては、ビス((メタ)アクリロキシメチル)ヒドロキシメチルイソシアヌレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。ここで、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートやトリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートが特に好ましい。
【0036】
化合物(B)として好適に使用できる市販品としては、M−215、M−315、M−325(以上、東亜合成化学工業(株)製)、TEICA(以上、第一工業製薬(株)製)、TAIC、TMAIC(以上、日本化成(株)製)等を挙げることができる。上記の化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
本発明に用いられる化合物(B)の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、好ましくは、20〜50質量%、より好ましくは、30〜40質量%である。20質量%未満であると、硬化膜のカール性が劣ることがあり、50質量%を超えると、硬化膜の硬度が不十分なことがある。
また、化合物(B)の含有量は、本発明の組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分100質量%に対して40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であればさらに好ましく、60質量%以上であれば特に好ましい。40質量%以上であることにより、硬化膜の反りを効果的に低減することができる。ここで、(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分とは、不溶性の粒子である(A)成分を除いた全可溶性成分中に含まれる(メタ)アクリレート成分をいう。具体的には、(B)成分と、後述する(C)成分及び(D)成分の合計量を意味する。
【0038】
3.ウレタン(メタ)アクリレート(C)
本発明の組成物には、必要に応じて、(C)ウレタン(メタ)アクリレートを添加することができる。化合物(C)は特に硬化膜の屈曲性を上げるために好適に用いられる。
(C)ウレタン(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、基本的には、(a)ポリイソシアネート化合物と(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーとを反応させて得られる。ウレタン(メタ)アクリレートは、他のオリゴマーを主鎖として、それにウレタン結合したものであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個含有していなければならず、4個以上含有することが好ましく、6個以上含有することがさらに好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートは、通常、それぞれイソシアネート基を2〜6個有する(a)ポリイソシアネート化合物の各イソシアネート基に(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーが結合した構造を有している。
【0039】
下記式(5)で示されるウレタン(メタ)アクリレートは、硬化膜の硬度に大きな影響を与えることなく屈曲性とカール性を改善できる利点がある。
【0040】
【化10】

[式(5)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【0041】
本発明で用いることができる(C)ウレタン(メタ)アクリレートは、合成することもできるし、市販品を用いることもできる。(C)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法は、次の通りである。
攪拌機付きの容器内にポリイソシアヌレート化合物、ジブチル錫ジラウレート(イソシ
アヌレート基1等量に対して0.001等量)を入れ、反応溶液を10℃〜15℃に冷却
し攪拌する。反応溶液の温度が50℃を超えない程度に保ちながらヒドロキシル基含有(
メタ)アクリレート化合物を少量づつ加える。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化
合物の添加が全量終わった段階で反応溶液の温度を65℃に上げさらに1時間攪拌を行う。反応液のFT−IR測定を行い残存イソシアヌレート量が0.2質量%以下であることを確認して反応を終了する。なおポリイソシアヌレート化合物、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの使用割合はポリイソシアヌレート化合物に含まれるイソシアヌレート基1等量に対して、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの水酸基が1.0〜2等量になるようにする。
【0042】
(C)ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、荒川化学工業(株)製 商品名:ビームセット102、502H、505A−6、510、550B、551B、575、575CB、EM−90、EM92、サンノプコ(株)製 商品名:フォトマー6008、6210、新中村化学工業(株)製 商品名:NKオリゴU−2PPA、U−4HA、U−6HA、H−15HA、UA−32PA、U−324A、U−4H、U−6H、東亜合成(株)製 商品名:アロニックスM−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−1960、共栄社化学(株)製 商品名:AH−600、AT606、UA−306H、日本化薬(株)製 商品名:カヤラッドUX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、日本合成化学工業(株)製 商品名:紫光UV−1700B、UV−3000B、UV−6100B、UV−6300B、UV−7000、UV−2010B、根上工業(株)製 商品名:アートレジンUN−1255、UN−5200、HDP−4T、HMP−2、UN−901T、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−3320HS、H−61、HDP−M20、ダイセルユーシービー(株)製 商品名:Ebecryl 6700、204、205、220、254、1259、1290K、1748、2002、2220、4833、4842、4866、5129、6602、8301等を挙げることができる。これらの中で、(メタ)アクリレート基を3個以上有するものとして、U−6HA等が好ましい。
【0043】
本発明に用いられるウレタン(メタ)アクリレート(C)の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、好ましくは、5〜20質量%、より好ましくは、5〜10質量%である。20質量%以上であると、硬化膜の硬度が劣ることがある。
【0044】
4.多官能(メタ)アクリレート化合物(D)
本発明の組成物には、必要に応じて、(D)多官能(メタ)アクリレート化合物を配合することができる。(D)多官能(メタ)アクリレート化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和基を含む(メタ)アクリレートモノマーであって、(A)、(B)及び(C)以外の成分である。多官能(メタ)アクリレート化合物は、硬化膜の硬化性、硬度を上げるために好適に用いられる。ここで多官能とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することをいい、製膜性、硬度の観点から、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。
【0045】
(D)多官能(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
(D)多官能(メタ)アクリレート化合物は、合成することもできるし、市販品を用いることもできる。多官能(メタ)アクリレートの製造方法は、次の通りである。
多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
【0046】
本発明に用いられる化合物(D)の含有量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、好ましくは、5〜20質量%、更に好ましくは、10〜20質量%である。20質量%以上であると、硬化膜の屈曲性、カール性が劣ることがあり、10%未満であると硬化膜の硬度が劣ることがある。
【0047】
5.ラジカル重合開始剤(E)
本発明の組成物においては、必要に応じて、(E)ラジカル重合開始剤を配合することができる。
このようなラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物等(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等(放射線(光)重合開始剤)を挙げることができる。
【0048】
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。
【0049】
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0050】
本発明において必要に応じて用いられるラジカル重合開始剤(E)の配合量は、有機溶剤を除く組成物全量の合計100質量%に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、硬化物としたときの硬度が不十分となることがあり、20質量%を超えると、硬化物としたときに内部(下層)まで硬化しないことがある。
【0051】
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0052】
6.有機溶剤(F)
本発明の組成物は、塗膜の厚さを調節するために、(F)有機溶剤で希釈して用いることができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の組成物の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
【0053】
(F)有機溶剤としては、特に限定されないが、(B)成分の化合物は結晶性が高いため、高沸点溶剤を用いると本発明の組成物を均一に塗工することができるため好ましい。(F)有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン等の高沸点溶剤が好ましい。
【0054】
本発明の組成物中の(F)有機溶剤の配合量は、通常、全組成物中の30〜80質量%であり、40〜60質量%が好ましい。30〜80質量%の範囲内であれば、塗工性が良好である。
【0055】
7.その他の成分
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
【0056】
8.組成物の製造方法
本発明の組成物は、次のようにして製造する。
反応性粒子分散液、放射線(光)重合開始剤、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートを攪拌機付きの反応容器に入れ35℃〜45℃で2時間攪拌し本発明の組成物とする。
溶剤を最初の反応性粒子分散液に使用した溶剤(A)と異なる種類の溶剤(B)に置換する場合は、反応性粒子分散液の溶剤(A)重量に対して1.3倍の溶剤(B)も加え同様の条件で攪拌する。次にこの組成液をロータリーエバポレーターを用いて溶剤(B)を加える前の重量まで減圧濃縮し本発明の組成物とする。
【0057】
9.組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらのコーティング方法による塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
【0058】
9.組成物の硬化方法
本発明の組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の組成物の硬化反応は、空気雰囲気下においても窒素等の嫌気的条件下においても行うことができ、嫌気的条件下で硬化せしめた場合においても、その硬化物は優れた耐擦傷性を有する。
【0059】
II.硬化膜
本発明の硬化膜は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
【0060】
本発明の硬化膜は、高硬度であるとともに、カール性が小さく、屈曲性に優れ、さらには耐擦傷性並びに基材及び基材や高屈折率層等の隣接層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜等に特に好適に用いられる。
【0061】
III.積層体
上記本発明の硬化膜は、通常、ハードコート層として基材上に積層されて用いられるものであり、さらにその上に高屈折率層、低屈折率層を積層することにより、反射防止膜として好適な積層体を形成することができる。反射防止膜は、これら以外の層をさらに有していてもよく、例えば、高屈折率膜と低屈折率膜の組み合わせを複数個設けて広い波長範囲の光に対して比較的均一な反射率特性を有するいわゆるワイドバンドの反射防止膜としてもよく、帯電防止層を設けてもよい。
基材としては特に制限はないが、反射防止膜として用いる場合には、例えば前述の、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等を挙げることができる。
本発明の積層体に用いられる高屈折率の膜としては、例えば、屈折率が1.65〜2.20のジルコニア粒子等の金属酸化物粒子を含有するコート材硬化膜等を挙げることができる。
本発明の積層体に用いられる低屈折率の膜としては、例えば、屈折率が1.38〜1.45のフッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等の金属酸化物膜、フッ素系コート材硬化膜等を挙げることができる。
【0062】
前記本発明の硬化性組成物を硬化させてなる高屈折率の硬化膜上に低屈折率の膜を形成する方法としては、例えば、金属酸化物膜の場合には、真空蒸着やスパッタリング等を挙げることができ、またフッ素系コート材硬化膜の場合には、前述した組成物の塗布(コーティング)方法と同一の方法を挙げることができる。
このように前記高屈折率の硬化膜と低屈折率の膜とを基材上に積層することによって、基材表面における光の反射を有効に防止することができる。
本発明の積層体は、硬度が高く、カール性が小さく、屈曲性に優れ、低反射率を有するとともに耐薬品性に優れるため、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜として特に好適に用いられる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に何ら限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り「部」は質量部を、%は質量%を意味している。
【0064】
製造例1:重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペ
クトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(4−1)及び(4−2)で示される化合物(Ab)が合計で773部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
【0065】
製造例2:ウレタン(メタ)アクリレート(C−2)の製造
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例1と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(5)で示される化合物が75部得られたほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
【0066】
製造例3 シリカ粒子分散液の調製
(i)メタノール分散コロイダルシリカの調製
固形分が20質量%、pHが2.7、BET法での比表面積が226m/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度が4.1×10−5モル/g、原子吸光法で求めた溶媒中の金属含量が、Naとして4.6ppm、Caとして0.013ppm、Kとして0.011ppmの水分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス−O)30kgをタンクに入れ、50℃に加熱し、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで、限外濾過膜モジュール((株)トライテック製)及びアルミナ製限外濾過膜(日本碍子(株)製、商品名:セラミックUFエレメント、仕様:4mmΦ、19穴、長さ1m、分画分子量=15万、膜面積=0.24m)を用いて濃縮を行った。0.5時間後、10kgの濾液を排出したところ、固形分は30質量%となった。濃縮開始前の平均透過流速(限外濾過膜の単位面積、単位時間あたりの膜透過質量)は90kg/m/時間であり、濃縮終了時は55kg/m/時間であった。動的光散乱法で求めた数平均粒子径は11nmと濃縮前後で変化しなかった。
【0067】
前述の工程終了後、メタノール14kgを加え、温度50℃、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで前記限外濾過膜モジュール及び限外濾過膜を用いて濃縮を行い、14kgの濾液を排出する操作を6回繰り返すことで、固形分30質量%、カールフィッシャー法で求めた水分量が1.5質量%、動的光散乱法で求めた数平均粒子径が11nmのメタノール分散コロイダルシリカ20kgを調製した。6回の平均透過流速は60kg/m/時間、所要時間は6時間であった。得られたメタノール分散コロイダルシリカのBET法での比表面積は237m/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度は3.5×10−5モル/gであった。
【0068】
(ii)メチルエチルケトン分散疎水化コロイダルシリカの調製
(i)で調製したメタノール分散コロイダルシリカ20kgに、トリメチルメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製)0.6kgを加え、60℃で3時間加熱攪拌した。動的光散乱法で求めた数平均粒子径は11nmであり、処理前と処理後で変化は見られなかった。得られたメタノール分散疎水化コロイダルシリカのBET法での比表面積は240m/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度は2.1×10−5モル/gであった。
【0069】
前述の工程終了後、メチルエチルケトン14kgを加え、温度50℃、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cmで前記限外濾過膜を用いて濃縮を行い、14kgの濾液を排出する操作を5回繰り返すことで、固形分30質量%、カールフィッシャー法で求めた水分量が0.3質量%、ガスクロマトグラフィー(GC)で求めたメタノール量が3.2質量%、動的光散乱法で求めた数平均粒子径が11nmのメチルエチルケトン分散疎水化コロイダルシリカ(シリカ粒子分散液)20kgを調製した。5回の平均透過流速は70kg/m/時間、所要時間は4時間であった。得られたメチルエチルケトン分散コロイダルシリカのBET法での比表面積は230m/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度は1.8×10−5モル/gであった。また、原子吸光法で求めたメチルエチルケトン分散疎水化コロイダルシリカの溶媒中の金属含量はNaが0.05ppm、Ca、Kが0.001ppmと極めて微量であった。
【0070】
製造例4 反応性シリカ粒子分散液(A−1)の調製
製造例1で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)2.32部、製造例3で調製したシリカ粒子分散液(Aa)(シリカ濃度32%)89.90部、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.36部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.7%であった。また、分散液(A−1)を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、90%であった。
【0071】
実施例1
(1)硬化性組成物の調製
製造例4で製造した反応性シリカ粒子分散液(A−1)176.74部(反応性粒子(A)として54.26部。シリカ粒子(Aa)48.6部と粒子に結合した有機化合物(Ab)5.67質量部からなる。)、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(B−1)31.28部、前記式(5)で示される製造例2で製造したウレタンアクリレート(C−2)6.05部、(D−2)ペンタエリスリトールテトラアクリレート4.64部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(E−1)2.36部、及び2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパノン−1(E−2)1.41部、メチルイソブチルケトン(MIBK)159.22部を40℃で2時間撹拌することで均一な溶液を得た。この溶液をロータリーエバポレーターを用いて液量が222.48部になるまで減圧濃縮することで溶剤をMIBK主体に置換すると共に均一な溶液の組成物を得た。このうち、(D−2)ペンタエリスリトールテトラアクリレートは、有機化合物(Ab)及びウレタン(メタ)アクリレート(C−2)に混在するペンタエリスリトールテトラアクリレートに由来する。この組成物の固形分含量を求めたところ、45%であった。(2)反射防止膜積層体の作製
(1)で得られた組成物を、基材上にバーコーターを用いて乾燥膜厚20μmになるように塗布した後、100℃の熱風式乾燥機中で1分間乾燥し、コンベア式水銀ランプを用いて300mJ/cmの光量で照射して硬化被膜を得た。この硬化被膜を用いて、屈曲性、カール性を評価した。その結果を表1に示す。また同様の方法によりスライドガラス上にバーコーターを用いて乾燥膜厚31μmの硬化被膜を形成しこれをユニバーサル硬度試験に用いた。
なお、基材はユニバーサル硬度試験には厚さが1mmのスライドガラスを、屈曲性、カール性の評価の場合には厚さが81μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムをそれぞれ用いた。
【0072】
実施例2〜4及び比較例1、2
表1に示す組成に従い、実施例1と同様の方法により、各組成物及び硬化膜を得た。
【0073】
硬化膜の評価
以下に硬化膜の評価方法を示す。また、評価結果を表1に示す。
実施例1〜4及び比較例1、2で得られた硬化膜における屈曲性、カール性、ユニバーサル硬度を下記に示す方法により測定又は評価した。
【0074】
(1)カール性
15cm四方のトリアセチルセルロース上に塗布された硬化膜を10cm四方の大きさに切り抜き、室温25℃、50%の部屋で1時間保存した。その後、膜厚を側厚計を用いて測定し、膜厚が20±2μmのものをカール性試験に使用した。この硬化膜をガラス板上に静置させ四隅の浮き上がりを定規で測定した。カール性の値はこの四隅の浮き上がりの平均値とした。
評価5: 0mm〜5mm
評価4: 6mm〜10mm
評価3: 11mm〜15mm
評価2: 16mm〜20mm
評価1: 21mm以上
【0075】
(2)屈曲性
上記(1)に示す方法により得られた10cm四方の硬化膜をさらに幅1cmの短冊状に切り抜き、これを屈曲性試験に用いた。短冊状に切り抜いた硬化膜を直径の異なる円柱にゆっくり巻きつけた後ゆっくり戻しクラックの発生しない最小の直径を屈曲性の値とした。
評価3: 1mm〜5mm
評価2: 6mm〜10mm
評価1: 11mm以上
【0076】
(3)ユニバーサル硬度
上記(1)に示す方法によりスライドガラス上に作られた硬化膜の膜厚をDEK−TAK試験機(フィッシャー株式会社製 WIN-HCU型)を用いて測定し、膜厚が31±2μmとなる場所のユニバーサル硬度試験を行った。ユニバーサル硬度試験の測定の際、300mN/cmの荷重を60秒かけて加えた後、5秒間その荷重を保ち、60秒間かけて荷重を減少させた。また圧針はビッカーズ圧針を用いた。
評価4:ユニバーサル硬度370mN/mm以上
評価3:ユニバーサル硬度351mN/mm〜370mN/mm
評価2:ユニバーサル硬度331mN/mm〜350mN/mm
評価1:ユニバーサル硬度300mN/mm〜330mN/mm
【0077】
【表1】

【0078】
表1中、反応性シリカ粒子(A−1)の配合量は、微粉末乾燥質量(有機溶剤を除く)を示す。
表1中の略称の内容を下記に示す。
A−1:製造例4で得られた反応性シリカ粒子
B−1:トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成株式会社製)
C−1:U−6HA(新中村化学(株)製)
C−2:製造例2で得られた前記式(5)で示される化合物
D−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製)
D−2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N由来)
E−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure184;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
E−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(Irgacure907;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
【0079】
表1の結果から、本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、硬度、カール性及び屈曲性をバランス良く備えていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、硬度が高く、カール性が低く、かつ屈曲性に優れているため、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダー材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(A)重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる金属酸化物粒子 5〜70質量%、及び
(B)下記式(1)
【化1】

[式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、一価の有機基であって、R〜Rのうち少なくとも2つが、−ROCOCR=CHであり、Rは、炭素数2〜8の2価の有機基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。]で示される化合物 20〜50質量%
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記(B)成分が、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートである請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(A)成分における有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、下記式(2)に示す基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【化2】

[式(2)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
【請求項4】
前記(A)成分における有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(C)ウレタン(メタ)アクリレート 5〜20質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
溶剤を除く組成物全量に対して、下記成分
(D)前記(A)、(B)及び(C)成分以外の多官能(メタ)アクリレート化合物 5〜20質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記(D)成分が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有することを特徴とする請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記(B)成分を、組成物中の(A)成分以外の全(メタ)アクリレート成分(上記(B)成分+(C)成分+(D)成分の合計)100質量%に対して40質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化膜。
【請求項10】
請求項9に記載の硬化膜を含む積層体。

【公開番号】特開2006−233167(P2006−233167A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195694(P2005−195694)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】