説明

硬化性組成物および複層ガラス用シーリング材

【課題】耐クリープ性、耐候接着性、耐水接着性、低吸水性に優れた硬化物を得ることが可能で、特に複層ガラス用シーリング材として用いた場合に有効な硬化性組成物の提供を目的とする。
【解決手段】架橋性シリル基を平均して少なくとも一個有するビニル系重合体(I)であり、下記の測定方法<1>による50%伸張時応力の値が0.10MPaよりも大きいビニル系重合体100重量部に対し、架橋性シリル基を平均して少なくとも一個有するポリエーテル系重合体(II)であり、下記の測定方法<2>による50%伸張時応力の値が0.20MPaよりも大きいポリエーテル系重合体を10重量部以上100重量部以下含有する硬化性組成物であって、
さらに、
(A)(III)成分として、カルボン酸金属塩(III−1)、および/または、カルボン酸(III−2)、
(B)チタン触媒(IV)、または、
(C)ビニル系重合体(I)とポリエーテル系重合体(II)との総量100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の有機錫触媒(V)
を含有することを特徴とする硬化性組成物。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性シリル基を平均して少なくとも一個有するビニル系重合体(I)であり、下記の測定方法<1>による50%伸張時応力の値が0.10MPaよりも大きいビニル系重合体100重量部に対し、
架橋性シリル基を平均して少なくとも一個有するポリエーテル系重合体(II)であり、下記の測定方法<2>による50%伸張時応力の値が0.20MPaよりも大きいポリエーテル系重合体を10重量部以上100重量部以下含有する硬化性組成物であって、
さらに、
(A)(III)成分として、カルボン酸金属塩(III−1)、および/または、カルボン酸(III−2)、
(B)チタン触媒(IV)、または、
(C)ビニル系重合体(I)とポリエーテル系重合体(II)との総量100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の有機錫触媒(V)
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
[50%伸張時応力]
測定方法<1>
ビニル系重合体100重量部に対して、オクチル酸錫2重量部、ラウリルアミン0.5重量部を加えて混合した後、遠心脱泡した混合物をポリエチレン製の型枠に気泡が入らないように流し込み、50℃で20時間養生させて得られる厚さ3mmの硬化物シートから、JISK6251に準拠して3号ダンベルを打ち抜き、23℃50%RHで引張試験(引張速度200mm/分)を行って求められる50%伸張時応力
測定方法<2>
ポリエーテル系重合体100重量部に対して、オクチル酸錫1.5重量部、ラウリルアミン0.25重量部、純水0.6重量部を加えて混合した後、遠心脱泡した混合物をポリエチレン製の型枠に気泡が入らないように流し込み、23℃で1時間、さらに70℃で20時間養生させて得られる厚さ3mmの硬化物シートから、JISK6251に準拠して3号ダンベルを打ち抜き、23℃50%RHで引張試験(引張速度200mm/分)を行って求められる50%伸張時応力
【請求項2】
ビニル系重合体(I)の分子量分布が、1.8未満である請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が一般式(1):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)(1)
(式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
で表される、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
ビニル系重合体(I)の主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合して製造されるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
ビニル系重合体(I)の主鎖が、(メタ)アクリル系重合体である請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(メタ)アクリル系重合体が、アクリル系重合体である請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
アクリル系重合体が、アクリル酸エステル系重合体である請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
ビニル系重合体(I)の主鎖が、リビングラジカル重合法により製造されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
リビングラジカル重合法が、原子移動ラジカル重合法である請求項8記載の硬化性組成物。
【請求項10】
ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基が、分子鎖末端にある請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
ビニル系重合体(I)が、架橋性シリル基を1分子あたり平均して1.1個以上4.0個以下有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
ビニル系重合体(I)の数平均分子量が、10,000以上40,000以下である請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
ポリエーテル系重合体(II)の架橋性シリル基が、一般式(1):
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)(1)
(式中、R、R、Y、a、b、mは上述したものと同様である。)
で表される請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
ポリエーテル系重合体(II)の主鎖が、本質的にポリプロピレンオキシドである請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
ポリエーテル系重合体(II)が、1本以上の分岐鎖を有するポリエーテル系重合体である請求項1〜14のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
ポリエーテル系重合体(II)が、架橋性シリル基を1分子あたり平均して1.1個以上4.0個以下有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
ポリエーテル系重合体(II)の数平均分子量が、10,000以上50,000以下である請求項1〜16のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)において、(III)成分が、カルボン酸金属塩(III−1)およびカルボン酸(III−2)のいずれか一方のみを含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)において、(III)成分が、カルボン酸金属塩(III−1)およびカルボン酸(III−2)の両方を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)において、カルボン酸金属塩(III−1)が、カルボン酸イオンを構成するカルボニル基に隣接する炭素原子が3級炭素または4級炭素であるカルボン酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項21】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)において、カルボン酸(III−2)が、酸基を構成するカルボニル基に隣接する炭素原子が3級炭素または4級炭素であるカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項22】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)が、さらにアミン化合物(VI)を含有することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項23】
(I)、(II)及び(III)からなる硬化性組成物(A)が、さらにシリケート(VII)を含有することを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項24】
(I)、(II)及び(IV)からなる硬化性組成物(B)において、チタン触媒(IV)が、一般式(2):
Ti(OR (2)
(式中、Rは有機基であり、4個のRは相互に同一であっても、異なっていてもよい。)
で表される化合物である請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項25】
チタン触媒(IV)が、一般式(3):
【化1】

(式中、n個のRは、それぞれ独立に炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。4−n個のRは、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1から8の置換あるいは非置換の炭化水素基である。4−n個のAおよび4−n個のAは、それぞれ独立に−Rまたは−ORである(ここでRは炭素原子数1から8の置換あるいは非置換の炭化水素基である)。nは0、1、2、3のいずれかである。)
で表される化合物および/または一般式(4):
【化2】

(式中、R、A、Aは前記と同じ。Rは、炭素原子数1から20の置換あるいは非置換の二価の炭化水素基である。)
で表される化合物である請求項24に記載の硬化性組成物。
【請求項26】
(I)、(II)及び(IV)からなる硬化性組成物(B)が、さらに、エポキシシランカップリング剤(VIII)を含有することを特徴とする請求項1〜17、24〜25のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項27】
(I)、(II)及び(IV)からなる硬化性組成物(B)が、さらに、シリケート(VII)を含有することを特徴とする請求項1〜17、24〜26のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項28】
(I)、(II)及び(IV)からなる硬化性組成物(B)において、ビニル系重合体(I)および/またはポリエーテル系重合体(II)が、一般式(5):
−SiY (5)
(式中、Yは水酸基または加水分解性基を示し、3つのYは相互に同一であっても、異なっていてもよい)
で表される架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項1〜17、24〜27のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項29】
(I)、(II)及び(IV)からなる硬化性組成物(B)において、ポリエーテル系重合体(II)が、一般式(5):
−SiY (5)
(式中、Yは水酸基または加水分解性基を示し、3つのYは相互に同一であっても、異なっていてもよい)
で表される架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項1〜17、24〜27のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項30】
(I)、(II)及び(V)からなる硬化性組成物(C)において、ビニル系重合体(I)および/またはポリエーテル系重合体(II)が、一般式(5):
−SiY (5)
(式中、Yは水酸基または加水分解性基を示し、3つのYは相互に同一であっても、異なっていてもよい)
で表される架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項31】
(I)、(II)及び(V)からなる硬化性組成物(C)において、ポリエーテル系重合体(II)が、一般式(5):
−SiY (5)
(式中、Yは水酸基または加水分解性基を示し、3つのYは相互に同一であっても、異なっていてもよい)
で表される架橋性シリル基を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の硬化性組成物における全ての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製されている1成分型硬化性組成物。
【請求項33】
請求項1〜31のいずれか1項に記載の硬化性組成物であって、
ビニル系重合体(I)およびポリエーテル系重合体(II)を含む(a)液、および
(A)カルボン酸金属塩(III−1)、および/または、カルボン酸(III−2)、
(B)チタン触媒(IV)、または、
(C)有機錫触媒(V)を含む(b)液
の少なくとも2液からなる2液型あるいは多液型の硬化性組成物。
【請求項34】
請求項1〜33のいずれかに記載の硬化性組成物を用いてなる複層ガラス用シーリング材。

【公開番号】特開2010−111870(P2010−111870A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253868(P2009−253868)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】