説明

磁気エンコーダ及び回転検出装置

【課題】複数の着磁面を有する環状磁気検出体を備えながら磁束の干渉を抑えるよう構成された磁気エンコーダ、及び、この磁気エンコーダを用いてコンパクトに構成することができる回転検出装置を提供する。
【解決手段】2つの着磁面5a,5bを有する環状磁気被検出体5を含み、軸回転部材2aに同軸的に装着されて当該軸回転部材2aの回転検出装置3を構成する磁気エンコーダ4であって、環状磁気被検出体5は、軸回転部材2aに嵌装される環状芯部材6を介して軸回転部材2aに装着され、環状芯部材6は、軸回転部材2aに同軸的に嵌着される筒状部6aと、該筒状部6aに同軸的に一体とされた環状支片部6bとを備え、環状磁気被検出体5は、2つの着磁面5a,5bが互いに背反方向に向くよう、環状支片部6bの両面に固着一体とされている。また、この磁気エンコーダ4と、固定側の部材に取付けられ、環状磁気被検出体5の回転に伴う2つの着磁面5a,5bの磁気変化を検出する磁気検出体8とを含む回転検出装置3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、その他の産業機械分野における回転部分の回転速度検出や絶対角度或いは原点位置検出等に適用される磁気エンコーダとこれを用いた回転検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、その他の産業機械分野における回転部分には、回転速度検出や絶対角度(位置)検出或いは原点位置検出等の回転検出装置が設置される(例えば、特許文献1及び2参照)。特許文献1には、軸受の回転側となる内輪に装着された環状のバックメタルの外周面に、複数のN極及びS極が交互に着磁された磁性体(磁気エンコーダ)と、半円毎に1対のN極及びS極が着磁された別の磁性体(磁気エンコーダ)とが並列状態で設けられ、それぞれの磁性体に対応する磁気センサが固定側となる外輪に取付けられた回転センサ付軸受が開示されている。前者の磁性体と磁気センサとの対は、詳細位置検出用であり、磁性体の周方向に2つの磁気センサが比較的接近した状態で配置されている。また、後者の磁性体と磁気センサの対は絶対位置検出用であり、磁性体の周方向に沿って角度90°の位相差をもって2つの磁気センサが配置されている。そして、これらの磁気センサは、樹脂ケースに挿入された状態で樹脂モールドされている。
【0003】
また、特許文献2には、回転側となる内輪に装着されたバックメタルの外周面に、半円毎に1対のN極及びS極が着磁された磁気発生部材(磁気エンコーダ)と、円周方向の1箇所にN極及びS極が近接して着磁された別の磁気発生部材(磁気エンコーダ)とが並列状態で設けられ、それぞれの磁気発生部材に対応する磁気センサが固定側となる外輪に取付けられた回転センサ付軸受が開示されている。この場合、前者の磁気発生部材と磁気センサとの対は、絶対角度検出用であり、磁気発生部材の周方向に沿って角度90°の位相差をもって2つの磁気センサが配置されている。また、後者の磁気発生部材と磁気センサとの対は、原点位置検出用であり、磁気発生部材に近接する1箇所に磁気センサが配置されている。そして、この場合も、これら3個の磁気センサは、樹脂ケースに挿入された状態で樹脂モールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−294145号公報
【特許文献2】特開2005−127796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された回転センサ付軸受の場合、バックメタルの外周面(ラジアル面)に、詳細位置検出用の磁性体と絶対位置検出用の磁性体とが近接した並列状態で設けられ、その為、両磁性体の磁束の干渉があって、磁気センサによる磁気検出に影響を及ぼすことが予想される。また、絶対位置検出用として、磁気センサを2つ必要とし、これら2つの磁気センサは、磁性体の周方向に沿って角度90°の位相差をもって配置され、詳細位置検出用の磁気センサと共に樹脂モールドに固定されており、その為、樹脂モールドが大型化することが不可避であった。更に、特許文献2に開示されたアブソリュートエンコーダ付軸受の場合も、2種の磁気発生部材がバックメタルの外周面(ラジアル面)に並列状態で設けられているが、両磁気発生部材間の磁束の干渉を防止す為の手段が講じられている。しかし、並列状態の磁気発生部材のそれぞれの磁気の方向は同じであり、しかも軸受の限られたスペースにおいては、磁束の干渉防止が充分になされないことが予想されるところである。また、この場合も、磁気発生部材の周方向に角度90°の位相差をもって配置される絶対位置検出用の2つの磁気センサを含んで樹脂モールドされるから、樹脂モールドが大型化し、回転検出装置の小型化を図る上では、これがネックとなって、実現が難しかった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、複数の着磁面を有する環状磁気検出体を備えながら磁束の干渉を抑えるよう構成された磁気エンコーダ、及び、この磁気エンコーダを用いてコンパクトに構成することができる回転検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明に係る磁気エンコーダは、2つの着磁面を有する環状磁気被検出体を含み、軸回転部材に同軸的に装着されて当該軸回転部材の回転検出装置を構成する磁気エンコーダであって、前記環状磁気被検出体は、前記軸回転部材に嵌装される環状芯部材を介して前記軸回転部材に装着され、前記環状芯部材は、前記軸回転部材に同軸的に嵌着される筒状部と、該筒状部に同軸的に一体とされた環状支片部とを備え、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに背反方向に向くよう、前記環状支片部の両面に固着一体とされていることを特徴とする。
【0008】
第一の発明に係る磁気エンコーダにおいては、前記環状芯部材のうち、少なくとも前記環状支片部が相互に嵌合一体とされた2部材からなり、前記環状磁気被検出体は、この嵌合関係の2部材の非嵌合側両面に固着一体とされているものとしても良い。
【0009】
第二の発明に係る磁気エンコーダは、2つの着磁面を有する環状磁気被検出体を含み、軸回転部材に同軸的に装着されて当該軸回転部材の回転検出装置を構成する磁気エンコーダであって、前記環状磁気被検出体は、前記軸回転部材に嵌装される環状芯部材を介して前記軸回転部材に装着され、前記環状芯部材は、所定の間隔をもって互いに平行な一対の環状支片部を有し、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに対向方向に向くよう、各環状支片部の互いに対向する面に固着一体とされていることを特徴とする。
【0010】
第二の発明に係る磁気エンコーダにおいては、前記環状芯部材が2部材からなり、当該各部材は筒状部を有し、前記一対の環状支片部は該筒状部のそれぞれに同軸的に一体とされ、一方の筒状部は、他方の筒状部に嵌合一体とされ、前記2部材からなる環状芯部材は、該他方の筒状部を介して前記軸回転部材に同軸的に嵌着されているものとしても良い。
【0011】
第三の発明に係る回転検出装置は、前記第一の発明に係る磁気エンコーダと、固定側の部材に取付けられ、前記環状磁気被検出体の回転に伴う前記2つの着磁面の磁気変化を検出する磁気検出体とを含む回転検出装置であって、前記磁気検出体は、前記環状支片部を挟むような凹形状とされた1つの保持基体と、該保持基体に互いに対向方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含み、前記磁気検出体は、前記保持基体をして、前記2つの磁気検出素子が前記環状支片部に固着一体とされた前記環状磁気被検出体のそれぞれの着磁面に対向するよう前記固定側の部材に取付けられていることを特徴とする。
【0012】
第四の発明に係る回転検出装置は、前記第二の発明に係る磁気エンコーダと、固定側の部材に取付けられ、前記環状磁気被検出体の回転に伴う前記2つの着磁面の磁気変化を検出する磁気検出体とを含む回転検出装置であって、前記磁気検出体は、前記平行関係の一対の環状支片部間に位置するブロック形状の1つの保持基体と、該保持基体に互いに背反方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含み、前記磁気検出体は、前記保持基体をして、前記2つの磁気検出素子が前記環状支片部に固着一体とされた前記環状磁気被検出体のそれぞれの着磁面に対向するよう前記固定側の部材に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第一の発明に係る磁気エンコーダにおいては、2つの着磁面を有する環状磁気被検出体が、軸回転部材に同軸的に装着されて当該軸回転部材の回転検出装置を構成するよう用いられる。前記環状磁気被検出体は、前記軸回転部材に嵌装される環状芯部材を介して前記軸回転部材に装着される。前記環状芯部材は、前記軸回転部材に同軸的に嵌着される筒状部と、該筒状部に同軸的に一体とされた環状支片部とを備える。そして、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに背反方向に向くよう、前記環状支片部の両面に固着一体とされているから、2つの着磁面の間に環状支片部が介在することになり、両着磁面による磁気が互いに干渉することがない。しかも、両着磁面は互いに背反方向に向くよう形成されているから、この干渉がより生じにくくなる。
【0014】
第一の発明において、前記環状芯部材のうち、少なくとも前記環状支片部が相互に嵌合一体とされた2部材からなるものとすれば、嵌合前の各環状支片部のそれぞれの非嵌合側両面に環状磁気被検出体を構成する材料(例えば、ゴム)を固着一体とすると共に、各表面(非固着面)に着磁面を形成した上で両環状支片部を嵌合一体として環状磁気被検出体を形成することができる。従って、2つの着磁面の形成が個別になされるから、環状磁気被検出体の構成材料を環状支片部の両面に固着した後、或いは固着と並行して2つの着磁面を形成する場合のように着磁時における相互の磁気干渉が生じる懸念がなく、所望の着磁パターンの形成が的確になされる。
【0015】
第三の発明に係る回転検出装置は、前記第一の発明に係る磁気エンコーダと、該磁気エンコーダに形成される前記2つの着磁面の磁気変化を検出するよう固定側の部材に取付けられる磁気検出体とにより構成される。前記磁気検出体は、前記環状支片部を挟むような凹形状とされた1つの保持基体と、該保持基体に互いに対向方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含んで構成されるから、2つの磁気検出素子は、環状磁気被検出体の周方向に見て同位置に設けられることになる。従って、両磁気検出素子を保持する保持基体は極めてコンパクトに構成される。また、2つの着磁面からの磁束は、互いに背反方向に向くから、各磁気検出素子は相互の干渉のない磁気変化を的確に検出することができる。そして、2つの着磁面の着磁パターンの形成態様によって、多様な回転検出を実施することができる。例えば、一方の着磁面を、周方向に多数のN極及びS極が繰返す多極パターンとし、他方の着磁面を、周方向1箇所にN極及びS極の対が近接形成された着磁パターンとすれば、前者で軸回転部材の回転速度検出を、後者で原点検出を行うことができる。また、2つの着磁面を同じ着磁パターンとし、これらを周方向に相互に位相差を持たせるようにすれば、前記両磁気検出素子の検出結果から軸回転部材の絶対角度(位置)を検出するよう構成することもできる。
【0016】
第二の発明に係る磁気エンコーダにおいては、第一の発明とは異なり、前記環状芯部材は、所定の間隔をもって互いに平行な一対の環状支片部を有し、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに対向方向に向くよう、各環状支片部の互いに対向する面に固着一体とされている。この場合、2つの着磁面による磁束は、互いに対向する方向に向くが、回転検出装置を構成する場合は、両着磁面間に磁気検出体が介在されることになるから、磁束の干渉が生じる懸念がない。
【0017】
第二の発明において、前記環状芯部材が2部材からなるものとすれば、両部材を嵌合前に、環状磁気被検出体を所定部位に固着し、且つ2つの着磁面を個別に形成することがでる。これによって前記と同様に着磁時における相互の着磁干渉が生じる懸念がなく、所望の着磁パターンの形成が的確になされる。
【0018】
第四の発明に係る回転検出装置は、前記第二の発明に係る磁気エンコーダと、該磁気エンコーダに形成される前記2つの着磁面の磁気変化を検出するよう固定側の部材に取付けられる磁気検出体とにより構成される。前記磁気検出体は、前記平行関係の一対の環状支片部間に位置するブロック形状の1つの保持基体と、該保持基体に互いに背反方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含んで構成されるから、2つの磁気検出素子は、環状磁気被検出体の周方向に見て同位置に設けられることになる。従って、両磁気検出素子を保持する保持基体は極めてコンパクトに構成される。また、2つの着磁面からの磁束は、互いに対向方向に向くが、両着磁面間に磁気検出体が介在するから、各磁気検出素子は相互の干渉のない磁気変化を的確に検出することができる。そして、2つの着磁面の着磁パターンの形成態様によって、前記のような多様な回転検出を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転検出装置が装備された軸受ユニットの要部の断面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視部に対応する回転検出装置の断面図である。
【図3】同実施形態の回転検出装置おける磁気検出体による検出信号の波形図である。
【図4】同実施形態の回転検出装置を構成する磁気エンコーダの変形例を示す要部の断面図である。
【図5】同磁気エンコーダの別の変形例を示す要部の断面図である。
【図6】同実施形態における磁気エンコーダの環状芯部材が2部材からなる例を示す要部の断面図である。
【図7】同磁気エンコーダの環状芯部材が2部材からなる例の変形例を示す要部の断面図である。
【図8】図7に示す例の磁気エンコーダの部分破断分解斜視図である。
【図9】同実施形態の回転検出装置における磁気エンコーダと磁気検出体との組合せ位置関係が異なる例を示す要部の断面図である。
【図10】同実施形態の回転検出装置における磁気エンコーダが2部材からなる場合の磁気検出体との組合せ位置関係が異なる例を示す断面図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係る回転検出装置の要部の断面図である。
【図12】同実施形態の回転検出装置における磁気エンコーダと磁気検出体との組合せ位置関係が異なる例を示す要部の断面図である。
【図13】同実施形態の回転検出装置を構成する磁気エンコーダの変形例を示す要部の断面図である。
【図14】同変形例の適用形態の異なる例を示す同様図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は自動車等の車輪(不図示)を回転自在に支持する軸受ユニットの例を示している。図ではこの軸受ユニット2の一部を示しており、ドライブシャフト1に嵌合一体とされた内輪(軸回転部材)2aと、車体側に嵌合固定される外輪(固定側の部材)2bと、内輪2a及び外輪2bのそれぞれの軌道面間に保持器2cに保持された状態で介在される転動体(ボール)2dと、内輪2a及び外輪2b間に装着されて軸受空間Sを密封するシールリング2eとより構成される。このような構成の軸受ユニット2においては、車体側の駆動源(不図示)からの回転動力によりドライブシャフト1がその回転軸心L回りに軸回転する。また、内輪2aも回転軸心L回りに軸回転する。外輪2bは車体側に固定されているから、内外輪2a,2b間に介在される転動体2dによって、内輪2a及びドライブシャフト1の前記軸回転が円滑になされる。この内外輪2a,2bの相互回転をより円滑にする為、前記軸受空間S内には、グリース等の潤滑剤が充填され、前記シールリング2eはこの潤滑剤の外部への漏出を防止すると共に、外部からの汚泥等の軸受空間S内への侵入を阻止するべく機能する。ドライブシャフト1には、不図示のハブを介して車輪が取り付けられ、回転動力が車輪に伝達される。図例では、内輪2aが回転側で軸回転部材とされるが、この種の軸受ユニット2では外輪2bが回転側で内輪2aが固定側とされる場合も多々あり、この場合は、外輪2bが軸回転部材とされる。
【0021】
前記軸受ユニット1の一側部には、本発明に係る回転検出装置3が装備されている。図例の回転検出装置3は、前記内輪2aの外径面に装着された磁気エンコーダ4と、前記外輪2bに取付けられた磁気検出体8とより構成されている。磁気エンコーダ4は、環状磁気被検出体5と、該環状磁気被検出体5を支持して前記内輪2aに同軸的に装着された環状芯部材6とよりなる。環状芯部材6は、前記内輪2aに同軸的に外嵌一体とされる筒状部6aと、該筒状部6aに同軸的に一体とされた環状支片部6bとを備え、前記環状磁気被検出体5は、該環状支片部6bの両面に固着一体とされている。該環状磁気被検出体5は、2つの着磁面5a,5bを有し、該2つの着磁面5a,5bは、前記環状支片部6bの両面において互いに背反方向に向くよう着磁形成されている。環状芯部材6は、ステンレスや鋼材等の金属材からなり、環状支片部6bは、筒状部6aより大径の筒状体とされ、該筒状部6a及び環状支片部6bは一体に形成されている。環状磁気被検出体5は、この環状支片部6bの開口端部を含み内外両面を覆うように該環状支片部6bに固着一体とされている。
【0022】
環状磁気被検出体5は、ゴム材に磁性粉を混練して、前記環状芯部材6の前記所定部位に加硫成型一体に形成され、この加硫成型と同時に或いは加硫成型後、前記着磁面5a,5bが、後記する所定の着磁パターンとなるよう着磁されたものである。前記ゴム材としては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ACM)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、シリコーンゴム(VMQ)、フロロシリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)等が採用される。また、磁性粉としては、フェライト磁性粉や、希土類磁性粉等が用いられる。
【0023】
前記磁気検出体8は、樹脂のモールド体からなる保持基体81と、該保持基体81に埋設状態で保持された2つの磁気検出素子8a,8bとよりなり、該保持基体81をして、前記外輪2bの端部に取付ブラケット80を介して取付けられる。保持基体81は、前記環状支片部6bを挟むような1対の挟片部81a,81bを有する凹形状とされ、該挟片部81a,81bに、前記2つの着磁面5a,5bのそれぞれに対向し、各着磁面5a,5bからの磁気を検出し得るよう2つの磁気検出素子8a,8bが埋設状態で保持されている。これら磁気検出素子8a,8bとしては、アナログ出力のホール素子やホールIC等や、デジタル出力のMR素子等が採用される。
尚、図例では磁気検出体8の取付対象が外輪2bとされているが、これに限らず他の固定側の部材を取付対象としても良い。
【0024】
図2は、図1におけるX−X線矢視部に対応する回転検出装置3の断面図であって、前記磁気エンコーダ4における2つの着磁面5a,5bの着磁パターンと、磁気検出体8の2つの磁気検出素子8a,8bの配設位置との関係を示している。2つの着磁面5a,5bのうち一方の着磁面5aは、前記環状支片部6bの内周面に磁束が求心方向に向くよう、また、他方の着磁面5bは、前記環状支片部6bの外周面に磁束が遠心方向に向くよう、それぞれ形成されている。そして、両着磁面5a,5bの着磁パターンは、いずれも環状磁気被検出体5の周方向半円部を占めるN極の着磁領域と、残余の半円部を占めるS極の着磁領域とよりなる。そして、両着磁面5a,5bは、それぞれの着磁パターンが、前記回転軸心Lを中心とする角度で90°の位相差となるように形成されている。
【0025】
このような関係の着磁パターンの着磁面5a,5bを備えた磁気エンコーダ4が、前記内輪2aと共に回転軸心L回りに矢印a方向に軸回転すると、前記磁気検出素子8a,8bは、それぞれの着磁面5a,5bによる磁気(磁束密度)の変化を検出する。それぞれの磁気検出素子8a,8bは、内輪2aの1回転で、着磁面5a,5bによる正弦曲線1周期の磁気変化を検出する。図3は、前記磁気検出素子8a、8bによる検出信号の波形図であり、曲線8aは、磁気検出素子8aによる検出出力の変化を、曲線8bは磁気検出素子8bによる検出出力の変化を、それぞれ示している。即ち、曲線8aと曲線8bとは、90°の位相差をもって周期を繰返し、この位相差によって象限判断が可能となり、磁気検出素子8a、8bの出力から内輪2a(ドライブシャフト1)の絶対角度を判定することができる。このような判定の為の信号処理は、不図示の磁気検出回路に設けられた絶対角度演算回路によって行われる。
【0026】
前記磁気検出素子8a、8bは、それぞれ回転に伴う着磁面5a,5bによる磁束密度を検出するが、各磁気検出素子8a、8bが得る磁束密度を以下の式を用いることにより角度θに変換することができる。ここで、磁気検出素子8aが得る磁束密度をBa、磁気検出素子8bが得る磁束密度をBb、磁気検出素子8a、8b間の距離(角度)をxとすると、Ba=sinθ、Bb=sin(θ+x)であるから、
θ=atan{sinx/(Bb/Ba−cosx)}
で算出される
【0027】
このように、2つの着磁面5a,5bの着磁パターンを互いに周方向にずらせて両者に所定の位相差を持たせ、磁気検出素子8a、8bを周方向の同じ位置に対向関係で配置させることにより、回転検出装置3を絶対角度検出用として構成することができる。従って、磁気検出素子8a、8bを保持する保持基体81が大型化せず、磁気検出体8がコンパクト化され、図1に示すような軸受ユニット2のようにスペース的な制約が大きい場合での、回転検出装置3の設置適性が向上する。また、前記着磁面5a,5bは、環状支片部6bの両面に、互いに背反方向に向くよう形成されているから、両着磁面5a,5bの間に環状支片部6bが介在していることとも相俟って、両者の磁束密度の相互干渉がなく、磁気検出素子8a、8bによるそれぞれの磁気変化の検出が的確且つ精度良くなされる。
【0028】
尚、前記絶対角度を得る為の信号処理がし易いことから、前記着磁面5a,5bの着磁パターンの位相を90°ずらせることが最も望ましいが、これに限らず、位相差を5°以上95°未満としても良い。位相差が5°未満の場合には、前記磁気検出素子8a、8bによる検出周期の差が小さく、絶対角度判定の精度が低下する傾向となる。また、位相差が95°以上となると、磁気検出素子8a、8bによる検出周期の差が大きくなり、絶対角度判定のインタバルが長くなる傾向となる。また、この例では、2つの着磁面5a,5bの着磁パターンを同一として相互の位相をずらせ、両者の磁気検出信号の組合せによって、絶対角度を検出するようにしているが、着磁面5a,5bの着磁パターンを別個のものとし、それぞれ独自の機能をもたせるようにしても良い。例えば、一方の着磁パターンを、多数のN極及びS極が周方向に繰り返し配列された多極パターンとし、他方の着磁面を、周方向1箇所にN極及びS極の対が近接形成された着磁パターンとすれば、前者で内輪2a(ドライブシャフト1)の回転速度検出の機能を、後者で同原点位置検出の機能を持たせるように構成することもできる。
【0029】
図4及び図5は、図1及び図2に示す磁気エンコーダ4の変形例を示す。以下に示す磁気エンコーダは、軸回転部材の図示は省略するが、いずれも回転軸心Lの回りに軸回転する軸回転部材に装着されるものである。図4に示す磁気エンコーダ4も前記と同様に内輪2aの外径面に装着されるものであり、環状芯部材6が、内輪2aに外嵌一体とされる筒状部6aと、該筒状部6aに同軸的に一体とされる大径の筒状体からなる環状支片部6bとよりなる点で前記例と共通する。しかし、環状支片部6bの先端開口部に、スラスト方向(環状支片部6bの軸方向)に沿った複数の切欠部6cが形成され、この切欠部6cを介して、環状支片部6bの両面に固着一体とされる環状磁気被検出体5が繋がっている点で前記例と異なる。このように、切欠部6cを介して、環状支片部6bの両面で環状磁気被検出体6が繋がっているよう構成することにより、環状磁気被検出体5と環状支片部6bとの一体化が強固となり、特に、周方向への拘束性を高めたものとすることができる。
【0030】
図5に示す磁気エンコーダ4も前記と同様に内輪2aの外径面に装着されるものであり、環状芯部材6が、内輪2aに外嵌一体とされる筒状部6aと、該筒状部6aに同軸的に一体とされる大径の筒状体からなる環状支片部6bとよりなる点で前記例と共通する。しかし、この例では、環状支片部6bの先端部に求心方向に屈曲された内向鍔部6dが連成され、更に、この内向鍔部6dに遠心方向の切欠部6eが形成され、この切欠部6eを介して、環状支片部6bの両面に固着一体とされる環状磁気被検出体5が繋がっている点で前記例と異なる。このように、切欠部6eを介して、環状支片部6bの両面に固着一体とされる環状磁気被検出体5が繋がっているよう構成することにより、環状磁気被検出体5と環状支片部6bとの一体化がより強固となる図4の例と同様である。
【0031】
図6及び図7は、前記例における環状芯部材6が2部材からなる例を示している。図6及び図7に示す磁気エンコーダ4においては、環状芯部材6の環状支片部6bが、図1に示す例と同様に筒状部6aと一体に形成された第一支片部6baと、該第一支片部6baに外嵌一体とされた第二支片部6bbとより構成されている。第一支片部6baの内周面及び第二支片部6bbの外周面には、前記と同様に磁性粉を混練したゴム材の加硫成型体からなる環状磁気被検出体5が個別に固着一体とされ、更に、それぞれの表面には、着磁面5a,5bが着磁形成されている。このように、環状支片部6bを第一支片部6ba及び第二支片部6bbの2部材からなるものとすれば、環状磁気被検出体5を第一支片部6ba及び第二支片部6bbに個別に成型により固着一体とし且つ着磁面5a,5bをそれぞれ個別に着磁形成した上で、第一支片部6ba及び第二支片部6bbを嵌合一体とすることができるから、着磁時における着磁面5a,5bの磁気的相互干渉が生じる懸念がない。第一支片部6ba及び第二支片部6bbの嵌合一体化は、単なる圧嵌の他、接着剤を介した圧嵌、溶接を施すこと等によってなされる。第二支片部6bbの形状は、図例のような鉤型部分を有する形状の他、単なるリング状のものであっても良い。
【0032】
図7に示す磁気エンコーダ4は、第一支片部6ba及び第二支片部6bbを嵌合一体とする際に、両者が所定の位置関係で嵌合されるように位置決手段5cを有している。即ち、前述のように、前記着磁面5a,5bは、第一支片部6ba及び第二支片部6bbを嵌合する前に着磁形成されるから、両着磁面5a,5bの着磁パターンを所定の位相差を持たせて絶対角度検出用として構成する場合、両者が所定の位置関係に正確に位置付けられるよう第一支片部6ba及び第二支片部6bbの嵌合一体化がなされる必要がある。図8は、図7に示す磁気エンコーダ4の部分破断分解斜視図を示している。図8に示すように、第一支片部6ba側の環状磁気被検出体5に凹部5caを、第二支片部6bb側の環状磁気被検出体5に凸部5cbをそれぞれ形成して、該凹部5ca及び凸部5cbによって位置決手段5cを構成している。従って、第一支片部6ba及び第二支片部6bbを嵌合する際に、凹部5ca及び凸部5cbが嵌り合うようにすれば、事前に着磁形成された着磁面5a,5bにおける着磁パターンを所定の位置関係(位相関係)に正確に位置付けることができる。この位置決手段5cは、図例の形状に限らず、他の形状のものであっても良いことは言うまでもなく、また図6の例においても、このような位置決手段を適用することが望ましいことも言うまでもない。
【0033】
図9及び図10は、前記の実施形態における回転検出装置3における磁気エンコーダ4と磁気検出体8との組合せ位置関係が異なる例を示している。即ち、前記例では、着磁面5a,5bが、いずれも軸回転部材(内輪)2aに対してラジアル方向(回転軸心Lに直交する方向)に向くように構成されているのに対し、図9及び図10の例は、着磁面5a,5bがアキシャル方向(回転軸心Lに沿った方向)に向くよう構成されている点で異なる。しかし、両例においても、前記と同様に、着磁面5a,5bの着磁パターンの組合せにより、絶対角度検出、原点検出或いは回転速度検出用の回転検出装置3として構成することができる。
【0034】
図9は、環状芯部材6が1部材からなる例を示し、該環状芯部材6は、軸回転部材としての内輪2a(図示省略)に同軸的に嵌着される筒状部6aと、該筒状部6aの一端部に外向鍔状に一体連成された環状支片部6bとよりなる。そして、この環状支片部6bの両面には、前記と同様に磁性粉を混練したゴム材の加硫成型体による環状磁気被検出体5が固着一体とされている。更に、環状支片部6bの両面に位置する環状磁気被検出体5の表面には、2つの着磁面5a,5bが互いに背反方向に向くよう着磁形成されている。磁気検出体8は、前記と同様に前記環状支片部6bを挟むような凹形状の樹脂モールド体からなる保持基体81と、該保持基体81の対向位置に互いに対向方向に向くよう、前記と同世の挟片部81a,81bにそれぞれ埋設保持された2つの磁気検出素子8a,8bとより構成されている。
【0035】
図10は、環状芯部材6が第一の環状芯部材6A及び第二の環状芯部材6Bからなる例を示している。第一の環状芯部材6A及び第二の環状芯部材6Bは、共に筒状部6Aa,6Baと、該筒状部6Aa,6Baの一端部に外向鍔状に一体連成された環状支片部6Ab,6Bbとよりなる。両環状芯部材6A,6Bは、図に示すように同軸的に嵌合一体とされ、第一の環状芯部材6Aの筒状部6Aaをして軸回転部材としての内輪2a(図示省略)に嵌合一体とされる。この嵌合状態では、双方の環状支片部6Ab,6Bbが前記回転軸心Lに沿った方向に合体された状態とされる。合体状態の環状支片部6Ab,6Bbの両面には、環状磁気被検出体5が固着一体とされ、更に、その各表面には、図9の例と同様に2つの着磁面5a,5bが互いに背反方向に向くよう着磁形成されている。磁気検出体8は、前記と同様に前記環状支片部6bを挟むような凹形状の樹脂モールド体からなる保持基体81と、該保持基体81の1対の挟片部81a,81bに互いに対向方向に向くよう埋設保持された2つの磁気検出素子8a,8bとより構成されている。
【0036】
図11は、本発明の第二の実施形態に係る回転検出装置の例を示し、図12は同回転検出装置における磁気エンコーダと磁気検出体との組合せ位置関係が異なる例を示している。両実施形態の回転検出装置10を構成する磁気エンコーダ11は、前記と同様に軸回転部材としての内輪2aに嵌着される第一及び第二の環状芯部材13,14を有している。そして、両環状芯部材13,14は同軸的に嵌合一体とされ、この嵌合状態で所定の間隔をもって互いに平行となる一対の環状支片部13a,14aを有している。この平行関係の環状支片部13a,14aの互いに対向する面には、前記と同様に磁性粉が混練されたゴム材の加硫成型体からなる環状磁気被検出体12が固着一体とされている。そして、それぞれの環状支片部13a,14aに固着一体とされた環状磁気被検出体12には、2つの着磁面12a,12bが互いに対向方向に向くよう着磁形成されている。
【0037】
図11に示す例では、第一の環状芯部材13は、環状支片部13aより小径の筒状部13bを同軸一体に有し、該筒状部13bをして前記内輪2aに外嵌一体とされている。また、第二の環状芯部材14は、環状支片部14aより小径の筒状部14bを同軸一体に有し、この筒状部14bを前記第一の環状芯部材13の筒状部13bに外嵌一体とさせることによって、図示のように2つの着磁面12a,12bが互いに対向し、且つ軸回転部材としての内輪2a(図示省略)に対してラジアル方向に向くような位置関係となる環状磁気被検出体12を備えた磁気エンコーダ11が構成される。
【0038】
図12に示す例では、環状支片部13a,14aが、それぞれの筒状部13b、14bの一端部から外向き鍔状に形成されており、第一の環状芯部材13における筒状部13bが、第二の環状芯部材14の筒状部14bより長く形成されている。また、第二の環状芯部材14の筒状部14bと、第一の環状芯部材13における筒状部13bとは、前者が後者に外嵌一体とされるような関係とされている。従って、両筒状部13b,14bの嵌合一体状態では、前記環状支片部13a,14aが所定の間隔をもって互いに平行となるような関係とされる。これにより、両環状支片部13a,14aの互いに対向する面に固着一体とされる環状磁気被検出12に形成される着磁面12a,12bが、互いに対向し、且つ軸回転部材としての内輪2a(図示省略)に対してアキシャル方向に向くような位置関係となる環状磁気被検出体12を備えた磁気エンコーダ11が構成される。
【0039】
図11及び図12に示す例において、回転検出装置10を構成する磁気検出体15は、前記平行関係の一対の環状支片部13a,14a間に位置するブロック形状の樹脂モールド体からなる1つの保持基体151と、該保持基体151に互いに背反方向に向くよう埋設保持された2つの磁気検出素子15a,15bとを含み、両磁気検出素子15a,15bが、それぞれ前記2つの着磁面12a,12bに対向するよう配置される。両磁気検出素子15a,15bの間の保持基体151には非磁性体からなる磁気遮蔽部材15cが埋設され、磁気検出素子15a,15bでの検出磁気の互いの干渉を防止するようになされている。そして、前記と同様に、着磁面12a,12bの着磁パターンの組合せにより、絶対角度検出、原点位置検出或いは回転速度検出用の回転検出装置10として構成することができる。
【0040】
図13及び図14は、前記第二の実施形態に係る回転検出装置10を構成する磁気エンコーダ11の変形例を示している。これらの例では、環状磁気被検出体12を一体固着する環状芯部材16,17が断面凹形状の1個の環状部材からなり、図13に示す磁気エンコーダの環状芯部材16は、その凹形状の開口部がアキシャル方向に向き、図14に示す磁気エンコーダの環状芯部材17は、その凹形状の開口部がラジアル方向に向いている。凹形状をなすこれら環状芯部材16,17の対向する片部が、環状支片部16a,16b及び17a,17bとされ、各一対の環状支片部16a,16b及び17a,17bは、所定の間隔をもって互いに平行となるような関係に形成されている。これら環状芯部材16,17の軸回転部材(図示省略)に対する嵌合関係は、それぞれの図に示される回転軸心Lとの関係で把握されることは前記各例と同様である。即ち、図13に示される例では、環状支片部16aが軸回転部材に嵌着される筒状部を兼ね、図14に示される例では、軸回転部材に嵌着される筒状部17cの軸方向両端部に環状支片部17a,17bが外向き鍔状に連成一体に形成されている。
【0041】
そして、環状支片部16a,16b及び17a,17bの対向する内面には、環状磁気被検出体12が固着一体とされ、且つその互いの対向面には、前記と同様に2つの着磁面12a,12bが互いに対向方向に向くよう着磁形成されている。図13及び図14の例では、凹形状をなす環状芯部材16,17の内面全面にわたって環状磁気被検出体12が固着一体とされているが、環状芯部材16,17の凹形状の内面のうち、環状支片部16a,16b及び17a,17bの互いに対向する内面にのみ環状磁気被検出体12が固着一体とされているものでも良い。
【0042】
図13及び図14の例においても、前記2つの着磁面12a,12bの間に図11及び図12に示される磁気検出体15が配置され、前記と同様の回転検出装置10が構成される。これらの例では、環状芯部材16,17の構造がシンプルとなり、磁気エンコーダ11が安価に得られるメリットがある。
【0043】
尚、前記各実施形態では、環状磁気被検出体5,12が磁性粉を混練したゴム材の加硫成型体(ゴム磁石)である例を示したが、プラスチック磁石或いは焼結磁石であっても良い。また、本発明の回転検出装置3,10が装備される対象を、自動車の車輪を支持する軸受としたが、その他の回転部分を装備対象とし得ることは言うまでもない。更に、図10乃至図12に示す例においても、図7及び図8に示すような位置決手段を適用して、2つの同じ着磁パターンの位相差を的確に設定するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 ドライブシャフト(軸回転部材)
2a 内輪(軸回転部材)
2b 外輪(固定側の部材)
3 回転検出装置
4 磁気エンコーダ
5 環状磁気被検出体
5a,5b 着磁面
6 環状芯部材
6a 筒状部
6b 環状支片部
8 磁気検出体
81 保持基体
8a,8b 磁気検出素子
10 回転検出装置
11 磁気エンコーダ
12 環状磁気被検出体
13 環状芯部材
13a 環状支片部
13b 筒状部
14 環状芯部材
14a 環状支片部
14b 筒状部
15 磁気検出体
151 保持基体
15a,15b 磁気検出素子
16 環状芯部材
16a 環状支片部(筒状部)
16b 環状支片部
17 環状芯部材
17a,17b 環状支片部
17c 筒状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの着磁面を有する環状磁気被検出体を含み、軸回転部材に同軸的に装着されて当該軸回転部材の回転検出装置を構成する磁気エンコーダであって、
前記環状磁気被検出体は、前記軸回転部材に嵌装される環状芯部材を介して前記軸回転部材に装着され、
前記環状芯部材は、前記軸回転部材に同軸的に嵌着される筒状部と、該筒状部に同軸的に一体とされた環状支片部とを備え、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに背反方向に向くよう、前記環状支片部の両面に固着一体とされていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記環状芯部材のうち、少なくとも前記環状支片部が相互に嵌合一体とされた2部材からなり、前記環状磁気被検出体は、この嵌合関係の2部材の非嵌合側両面に固着一体とされていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項3】
2つの着磁面を有する環状磁気被検出体を含み、軸回転部材に同軸的に装着されて当該軸回転部材の回転検出装置を構成する磁気エンコーダであって、
前記環状磁気被検出体は、前記軸回転部材に嵌装される環状芯部材を介して前記軸回転部材に装着され、
前記環状芯部材は、所定の間隔をもって互いに平行な一対の環状支片部を有し、前記環状磁気被検出体は、前記2つの着磁面が互いに対向方向に向くよう、各環状支片部の互いに対向する面に固着一体とされていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気エンコーダにおいて、
前記環状芯部材が2部材からなり、当該各部材は筒状部を有し、前記一対の環状支片部は該筒状部のそれぞれに同軸的に一体とされ、一方の筒状部は、他方の筒状部に嵌合一体とされ、前記2部材からなる環状芯部材は、該他方の筒状部を介して前記軸回転部材に同軸的に嵌着されていることを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された磁気エンコーダと、固定側の部材に取付けられ、前記環状磁気被検出体の回転に伴う前記2つの着磁面の磁気変化を検出する磁気検出体とを含む回転検出装置であって、
前記磁気検出体は、前記環状支片部を挟むような凹形状とされた1つの保持基体と、該保持基体に互いに対向方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含み、
前記磁気検出体は、前記保持基体をして、前記2つの磁気検出素子が前記環状支片部に固着一体とされた前記環状磁気被検出体のそれぞれの着磁面に対向するよう前記固定側の部材に取付けられていることを特徴とする回転検出装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載された磁気エンコーダと、固定側の部材に取付けられ、前記環状磁気被検出体の回転に伴う前記2つの着磁面の磁気変化を検出する磁気検出体とを含む回転検出装置であって、
前記磁気検出体は、前記平行関係の一対の環状支片部間に位置するブロック形状の1つの保持基体と、該保持基体に互いに背反方向に向くよう保持された2つの磁気検出素子とを含み、
前記磁気検出体は、前記保持基体をして、前記2つの磁気検出素子が前記環状支片部に固着一体とされた前記環状磁気被検出体のそれぞれの着磁面に対向するよう前記固定側の部材に取付けられていることを特徴とする回転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−127964(P2011−127964A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285330(P2009−285330)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【Fターム(参考)】