説明

磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドおよび記録媒体駆動装置

【課題】イオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法によって得られる流路面に出現する直径100nm〜500nmの微小な気孔は相対的に大きい上、流路面の表面粗さがばらつきやすく、フェムトスライダー、アトスライダー等の小型化されたスライダーを用いた磁気ヘッドに適用することが部分的に難しい磁気ヘッド用基板であった。
【解決手段】アルミナを35質量%以上70質量%以下、TiCを30質量%以上65質量%以下の範囲である焼結体から成る磁気ヘッド用基板1であって、該磁気ヘッド用基板1の両主面部3および厚み方向の中央部2における密度の差が0.004g/cm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体駆動装置であるハードディスクドライブやテープドライブ等に用いられる磁気抵抗効果(MR)ヘッド,巨大磁気抵抗効果(GMR)ヘッド,トンネル磁気抵抗(TMR)ヘッドまたは異方性磁気抵抗効果(AMR)ヘッド等の磁気ヘッドを構成するスライダーの基材である磁気ヘッド用基板およびこれを用いた磁気ヘッド並びに記録媒体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録媒体への磁気記録の高密度化は急速に進んでおり、一般に記録再生用の磁気ヘッドとして記録媒体上を浮上走行するスライダーに電磁変換素子を搭載した磁気ヘッドが使用されている。
【0003】
かかる磁気ヘッドに用いるスライダーには、耐摩耗性,機械加工性および記録媒体等に相対して空気により浮力を受ける浮上面の表面平滑性に優れることが要求されており、一例として以下のような手順で作製されるものである。
【0004】
先ず、Al−TiC系セラミックスから成るセラミック基板上に非晶質状のAlから成る絶縁膜をスパッタリング法により成膜した後、この絶縁膜上に磁気抵抗効果(MR)素子,巨大磁気抵抗効果(GMR)素子,トンネル磁気抵抗(TMR)素子,異方性磁気抵抗効果(AMR)素子等の電磁変換素子のいずれかを複数、所望の間隔で列設して搭載する。
【0005】
そして、列設した複数の電磁変換素子が搭載されたセラミック基板をスライシングマシーンやダイシングソーを用いて短冊状に切断、分離する。このときに、短冊状のセラミック基板の厚み方向に平行に切断し、切断面を研磨して鏡面とした後に、イオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法によって鏡面の一部を除去して得られた面を流路面とし、除去されずに残った鏡面を浮上面としている。
【0006】
この後、短冊状に切断されたセラミック基板をチップ状に分割することで、スライダーに電磁変換素子を搭載した磁気ヘッドが得られ、鏡面の一部を除去して空気を通す流路面を形成した面は、磁気記録層を有する記録媒体に相対して情報の記録および再生を行なう浮上面となる。なお、この浮上面は、空気を通す流路面を設けることによって、記録媒体とこの浮上面とのなす狭い空間に空気が流入・流出することによって発生する浮力で、記録媒体と接触しないように保たれる。
【0007】
このような磁気ヘッドが搭載された記録媒体駆動装置(ハードディスク駆動装置)は、益々その記録容量を増加させることが望まれ、記録密度をさらに高くすることが求められるようになってきている。この要求に応じようとすれば、磁気ヘッドの記録媒体である磁気ディスクからの浮上高さ(浮上量)は10nm以下と極めて小さくしなければならなくなる。しかしながら、この10nm以下の浮上高さ(浮上量)では、上述のようにして作製された磁気ヘッドは記録媒体に接触しやすく、この接触による衝撃によって磁気ヘッドを構成するスライダーの組成物の結晶粒子が脱粒して、磁気ヘッドの特性が劣化するという問題が顕在化している。
【0008】
そのため、磁気ヘッドを構成するスライダーの基材である磁気ヘッド用基板に対しては、その組成物の結晶粒子が容易に脱落しない材料が求められており、結晶粒子間の結合力の向上、即ち焼結性の向上がより高いレベルで要求されるようになっている。
【0009】
このような要求に応じるために、特許文献1ではAlを主成分とし、TiCを20〜40質量%の比率で含有するAl−TiC系焼結体であって、該焼結体中のAl結晶粒の平均結晶粒径が、TiC結晶粒の平均結晶粒径より5〜50%大きく、しかも前記結晶粒全体の平均結晶粒径が1μm以下、前記TiC結晶粒の平均結晶粒径が0.9μm以下である磁気ヘッド用基板が提案されている。
【特許文献1】特開平7−242463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1で提案された磁気ヘッド用基板は、磁気ヘッド用基板にイオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法等により流路面を形成した場合、流路面の表面品位は優れているものの、スライダーはいわゆるナノスライダー(長さ2mm、幅1.6mm、厚み0.43mm)を対象としたものであり、磁気ディスク等の記録媒体の高容量化に伴い、小型化されたスライダーであるフェムトスライダー(長さ0.85mm、幅0.7mm、厚み0.23mm)、アトスライダー(長さ0.85mm、幅0.49mm、厚み0.23mm)等を対象にすると、流路面に新たに出現する直径100nm〜500nmの微小な気孔はスライダーに対して相対的には大きい上、流路面の表面粗さがばらつきやすく、その結果、小型化されたスライダーに電磁変換素子を搭載した磁気ヘッドは、浮上量を一定に保持することができず、情報を長期間、正確に記録、再生できないという問題が顕在化するようになってきた。
【0011】
本発明は上述のような問題を解決するためになされたものであり、イオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法等による流路面の表面粗さのばらつきを低減し、特に、フェムトスライダー、アトスライダー等の小型化されたスライダーの形成を可能とした、より緻密質な磁気ヘッド用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の磁気ヘッド用基板は、Alを35質量%以上70質量%以下、TiCを30質量%以上65質量%以下の範囲である焼結体から成る磁気ヘッド用基板の両主面部および厚み方向の中央部における密度の差が0.004g/cm以下であることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記磁気ヘッド用基板の厚み方向の中央部は、磁気ヘッド用基板をその主面に対して垂直方向に断面視した際の、厚みの1/2に位置する線を中心に、厚みの1/2の領域であることを特徴とする。
【0014】
さらに、前記Alを60質量%以上65質量%以下、前記TiCを35質量%以上40質量%以下の範囲であることを特徴とする。
【0015】
さらに、熱伝導率が19W/(m・k)以上であることを特徴とする。
【0016】
さらに、抗折強度が700MPa以上であることを特徴とする。
【0017】
さらに、前記磁気ヘッド用基板は、密度が4.326g/cm以上であることを特徴とする。
【0018】
さらに、本発明の磁気ヘッドは、上記磁気ヘッド用基板をチップ状に分割してなる各スライダーに電磁変換素子を備えてなることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の記録媒体駆動装置は、本発明の上記磁気ヘッドと、該磁気ヘッドによって情報の記録および再生を行う磁気記録層を有する記録媒体と、該記録媒体を駆動させるモータと、を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の磁気ヘッド用基板は、磁気ヘッド用基板の両主面部および厚み方向の中央部における密度の差を0.004g/cm以下としたことから、焼結助剤として添加されるTiOは、そのほとんどがTiC結晶粒子に変化し、TiC結晶粒子内へのTiOの固溶により発生する直径100nm〜500nmの微小な気孔が低減されるため、磁気ヘッド用基板全体に亘り、気孔が部分的に凝集することがなく、またTiC結晶粒子内における酸素の分布が略均一になるため、イオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法等によって鏡面の一部を除去して得られた流路面の表面粗さのばらつきを小さくすることができる。その結果、この基板より磁気ヘッドを形成した場合、均質性が高いため浮上特性が安定した磁気ヘッドを得ることができる。
【0021】
前記Alを60質量%以上65質量%以下、前記TiCを35質量%以上40質量%以下の範囲とすることで、導電性と機械加工性をバランスよく維持することができる。
【0022】
熱伝導率を19W/(m・k)以上とすることで、スライダーに搭載された電磁変換素子から発生した熱を速やかに逃がすことができるため、記録媒体に記録された磁気記録は破壊されずに済む。
【0023】
抗折強度を700MPa以上の磁気ヘッド用基板とすることで、チップ状に分割してスライダーとする場合に、マイクロクラックの発生が抑制され、このマイクロクラックの発生に伴う脱粒が起こりにくくなるため、良好なCSS(コンタクト・スタート・ストップ)特性を得ることができる。
【0024】
前記磁気ヘッド用基板の密度を4.326g/cm以上とすることから、上述のようにTiC結晶粒子内へのTiOの固溶をさらに抑制することができ、直径100nm〜500nmの微小な気孔を低減させることができる。これにより、流路面の表面粗さのばらつきをより低減することができる。
【0025】
本発明の磁気ヘッドは、前記磁気ヘッド用基板をチップ状に分割してなる各スライダーに前記電磁変換素子を備えてなることから、上述のように均一な結晶組織を有する磁気ヘッド用基板から形成されるため、個々に切り出された磁気ヘッドにはマイクロクラックを抑制でき、磁気ヘッドからの脱粒も有効に防止できるため、フェムトスライダー、アトスライダー等の小型化されたスライダーに好適に用いることができる。
【0026】
本発明の記録媒体駆動装置は、前記磁気ヘッドと、該磁気ヘッドによって情報の記録および再生を行う磁気記録層を有する記録媒体と、該記録媒体を駆動するモータと、を備えており、小型化されたスライダーにおいても、高精度な浮上面を有するため、その浮上量を一定に保持して、情報を長期間、正確に記録、再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の最良の形態を説明する。
【0028】
本発明の磁気ヘッド用基板は、導電性と機械加工性を兼ね備えたものであり、Alを35質量%以上70質量%以下、TiCを30質量%以上65質量%以下の範囲である焼結体からなる。
【0029】
磁気ヘッド用基板は、Alの有する機械的特性、耐摩耗性および耐熱性を維持したまま、TiCにより速やかに電荷を除去するよう構成されており、磁気ヘッド用基板におけるTiCの比率は、導電性および機械加工性に影響を及ぼす。TiCの比率が低いと、体積固有抵抗が高くなるために導電性が低下し、TiCの比率が高いと、磁気ヘッド用基板の靱性が高くなるために、機械加工性が低下する。
【0030】
TiCを30質量%以上65質量%以下としたのは、TiCが30質量%未満では導電性が低くなり、磁気ヘッドに電荷が帯電しても、速やかに電荷を除去することができないからであり、一方、65質量%を超えると、機械加工性が低下するためである。
【0031】
なお、磁気ヘッド用基板の体積固有抵抗は、JIS C 2141−1992に準拠して測定でき、この測定値が1×10―3Ω・cm以下であることが好ましい。また、磁気ヘッド用基板の機械加工性については、ラップ加工における単位時間当たりの研磨量を測定することにより評価すればよい。
【0032】
磁気ヘッド用基板は、AlおよびTiCの複合焼結体からなり、焼結助剤としてTiOが用いられる。このTiOは、焼成工程で雰囲気中に含まれる微量の一酸化炭素(CO)により、式(1)に示すようにTiOに還元される。還元されたTiOは、TiCに固溶して、新たにTiC(x+y<1、かつx>>y)を生成する。なお、x=0.85〜0.9,y=0.1〜0.15程度である。
【0033】
TiO+CO→TiO+CO ・・・(1)
生成したTiCは、TiOの固溶量yに応じて、TiCの密度は異なり、TiOがTiCに均一に固溶すると、磁気ヘッド用基板の密度が最も大きくなるため、前記密度はTiC結晶粒子内における酸素の分布の均一性をも示すものである。
【0034】
本発明では、磁気ヘッド用基板の両主面部および厚み方向の中央部における密度の差を0.004g/cm以下とすることが重要であり、この範囲にすることで、焼結助剤として添加したTiOは、そのほとんどがTiCに変化して、TiC結晶粒子内へのTiOの固溶により発生する直径100nm〜500nmの微小な気孔が低減できるため、磁気ヘッド用基板全体に亘り、気孔が部分的に凝集することがなく、またTiC結晶粒子内における酸素の分布が略均一になるため、イオンビームによるイオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法によって、鏡面の一部を除去して得られる流路面の表面粗さのばらつきを低減させることができる。さらには両主面部および厚み方向の中央部(以下、単に中央部という。)におけるTiCの密度の差を0.002g/cm以下とすることがより好ましく、同じ組成を有する磁気ヘッド用基板においてはさらに微小な気孔を低減でき、表面粗さのばらつきもほとんどない磁気ヘッド用基板を得ることができ、曲げ強度等の機械特性も向上させることができる。
【0035】
なお、TiC結晶粒子内における酸素の分布については、オージェ電子分光分析法(AES)を用いて解析することができ、例えば、オージェ電子分光分析装置(PHI製、Model680)を用い、加速電圧を10kV、電流を10nA、測定領域を3μm×3μmとして解析することができる。
【0036】
ここで、磁気ヘッド用基板の両主面部および中央部の位置を説明する。図1は、本発明の磁気ヘッド用基板を示し、(a)は平面図、(b)は同図(a)を厚み方向に切断した断面図である。磁気ヘッド用基板1は直径(D)、厚み(t)の基板であり、本願における磁気ヘッド用基板の両主面部とは図1における3の上下面を含む領域であり、厚み方向の中央部2とは、磁気ヘッド用基板1の厚み(t)の中心線C(一点鎖線)、即ち両主面の間の厚みの1/2に位置する線を中心に厚み方向に(t/2)以内の領域(二点鎖線で囲まれた領域)をいう。
【0037】
図2に磁気ヘッド用基板1の一部に直線部であるオリエンテーションフラット4を備えた場合を示す。図2(a)は平面図、(b)は同図(a)を厚み方向に切断した断面図である。図2に示す磁気ヘッド用基板1は、直径(D)、厚み(t)の基板であり、図1の磁気ヘッド基板と同様、本願における磁気ヘッド用基板の両主面部3とは図1における3の上下面を含む領域であり、厚み方向の中央部2とは、磁気ヘッド用基板1の厚み(t)の中心線C(一点鎖線)、即ち両主面の間の厚みの1/2の位置する線を中心に厚み方向に(t/2)以内の領域(二点鎖線で囲まれた領域)をいう。なお、オリエンテーションフラット4とは、直線状の切り欠きであり、絶縁膜を介して電磁変換素子をスライダーに搭載するときや、磁気ヘッド用基板1を短冊状に切断するときの位置決めに用いられるものである。
【0038】
なお、磁気ヘッド用基板1の両主面部3および中央部2における密度は、磁気ヘッド用基板の上面側、下面側の両主面部および中央部を切り出し、各部分の見掛密度をJIS R 1634−1996に準拠して測定することで求められる。
【0039】
本発明の磁気ヘッド用基板は、密度が4.326g/cm以上であることが好ましく、密度を4.326g/cm以上とすることで、TiC結晶粒子内へのTiOの固溶が抑制されるために、直径100nm〜500nmの微小な気孔を低減でき、流路面の表面粗さのばらつきをさらに抑制できる。
【0040】
磁気ヘッド用基板は、特にAlを60質量%以上、65質量%以下、TiCを35質量%以上、40質量%以下の範囲とすることがより好適である。この範囲にすることで、導電性と機械加工性をさらにバランスよく維持することができるからである。磁気ヘッド用基板を形成する元素100質量%(但し、炭素(C)および酸素(O)を除く)中におけるAlおよびTiCの比率は蛍光X線分析法またはICP(Inductivity Coupled Plasma)発光分析法によりAlおよびTiの各比率を求め、Alについては酸化物に、Tiについては炭化物に換算すればよい。
【0041】
磁気ヘッド用基板は、スライダーの放熱性を考慮すると、その熱伝導率は高いほうが好ましく、磁気ヘッド用基板の熱伝導率は19W/(m・k)以上であることが好適であり、ハードディスクドライブ用のMR素子,GMR素子,TMR素子,AMR素子等の電磁変換素子を備えた磁気ヘッドを構成する場合には、その記録密度を大きくするため、磁気ヘッドの浮上量を10nm以下とし、記録媒体に記録された磁気記録が電磁変換素子から発生した熱の影響を受けやすくなっても、この熱を速やかに逃がせるため、磁気記録は破壊されずに済むからである。なお、熱伝導率は、JIS R 1611−1997に準拠して測定することができる。
【0042】
磁気ヘッド用基板は、スライダーが小型化すると、その抗折強度の影響が大きくなるため、本発明の磁気ヘッド用基板は、その抗折強度が700MPa以上であることが好適である。磁気ヘッド用基板の抗折強度を700MPa以上とすることで、チップ状のスライダーに分割しても、マイクロクラックの発生が抑制され、このマイクロクラックの発生に伴う結晶粒子の脱粒が起こりにくくなるため、良好なCSS(コンタクト・スタート・ストップ)特性を有する磁気ヘッドを得ることができ、特に、フェムトスライダー、アトスライダー等の小型化されたスライダーを構成する際に好適に用いることができる。なお、抗折強度は、JIS R 1601−1995に準拠して3点曲げ強度で評価することができる。但し、磁気ヘッド用基板が薄く、前記JIS規格で規定する試験片を磁気ヘッド用基板から切り出せない場合、磁気ヘッド用基板の厚みを試験片の厚みとしても差し支えない。
【0043】
次いで、磁気ヘッド用基板1を個々に切り出してなる磁気ヘッドについて図3を用いて説明する。
【0044】
本発明の磁気ヘッド21は、浮上面32と空気を通す流路面34を有するスライダー33と、このスライダー33に絶縁膜36を介して形成された電磁変換素子35と、を有してなる。
【0045】
この磁気ヘッド21は、以下のような手順で作製されるものである。例えば、先ず、磁気ヘッド用基板1上に非晶質状のAlから成る絶縁膜36をスパッタリング法により成膜した後、この絶縁膜36上に磁気抵抗効果を用いたMR素子,GMR素子,TMR素子,AMR素子等の電磁変換素子のいずれかを複数、所望の間隔で列設して搭載する。そして、列設した複数の電磁変換素子が搭載された磁気ヘッド用基板1をスライシングマシーンやダイシングソーを用いて短冊状に切断、分離する。このときに、短冊状の磁気ヘッド用基板1の厚み方向に平行に切断し、切断面を研磨して鏡面とした後に、イオンミリング加工法や反応性イオンエッチング法によって鏡面の一部を除去して得られた面を流路面34とし、除去されずに残った鏡面を記録媒体に相対して情報の記録および再生を行なう浮上面32としている。なお、流路面34を設けることによって、記録媒体と浮上面32との間に狭い空間が形成され、この空間に空気が流入・流出することによって発生する浮力で記録媒体と接触しないように保たれる。
【0046】
このような磁気ヘッド21は、上述のように均一な結晶組織を有する磁気ヘッド用基板1から形成されるため、個々に切り出された磁気ヘッド21においてもマイクロクラックを抑制でき、磁気ヘッド21からの脱粒も有効に防止できるため、フェムトスライダー、アトスライダー等の小型化されたスライダーに好適に用いることができる。
【0047】
図4は、上述した本発明の磁気ヘッド用を搭載した記録媒体駆動装置(ハードディスクドライブ)を示し、(a)は平面図、(b)はAA線における断面図である。
【0048】
記録媒体駆動装置20は、前記磁気ヘッド用基板をチップ状に分割したスライダーに電磁変換素子(不図示)を備えてなる磁気ヘッド21と、磁気ヘッド21によって情報の記録および再生を行う磁気記録層(不図示)を有する記録媒体である磁気ディスク22と、磁気ディスク22を駆動するモータ23と、を備えている。
【0049】
磁気ディスク22はモータ23の回転軸24に装着され、回転軸24とともに回転するハブ25に、複数の磁気ディスク22とスペ−サ26とを交互に挿入した後、最後にスペーサ26をクランプ27で押さえ付け、このクランプ27をネジ28で締め付けることにより固定される。モータ23は記録媒体駆動装置20のシャーシ29に固定され、この状態で、回転軸24を駆動することにより磁気ディスク22を回転させる。
【0050】
磁気ヘッド21は、基端をキャリッジ31で保持されてなるサスペンション30の先端に固定された状態で、磁気ディスク22上を非接触状態で移動することにより、任意のトラックにアクセスし、情報の記録および再生を行うようになっている。
【0051】
記録媒体駆動装置20は、本発明の磁気ヘッド用基板から得られた磁気ヘッド21を用いているので、磁気ヘッド21からの脱粒が少なく、信頼性の高い記録媒体駆動装置とすることができる。
【0052】
図5は、サスペンション30の先端に固定された磁気ヘッド21を拡大した図であり、(a)は底面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。本発明における磁気ヘッド21の浮上特性とは、磁気ヘッド21のローリングおよびピッチングを指し、ローリングとは、矢印θ1に示す方向の浮上特性であり、ピッチングとは、矢印θ2に示す方向の浮上特性であり、本発明の磁気ヘッド用基板から得られた磁気ヘッド21は、均質性が高く、浮上時に気孔による乱流が低減されるので、浮上特性が安定する。
【0053】
次に、本発明の磁気ヘッド用基板の製造方法について説明する。
【0054】
本発明の磁気ヘッド用基板を得るには、平均粒径0.3〜0.7μmのAl粉末35〜70質量%、平均粒径20nm〜0.3μmのTiO粉末1〜10質量%、および平均粒径10nm〜0.5μmのTiC粉末20〜64質量%を調合して調合原料とし、ボールミル、振動ミル、コロイドミル、アトライター、高速ミキサー等で均一に混合する。
【0055】
TiO粉末は、焼成工程で焼結助剤として機能するとともに、上述したようにTiC(x+y<1、かつx>>y)になる。
【0056】
Alが60質量%以上、65質量%以下、TiCが35質量%以上、40質量%以下の範囲である磁気ヘッド用基板を得るには、前記Al粉末を60〜65質量%、前記TiO粉末を1〜10質量%、前記TiC粉末を25〜39質量%にすればよい。
【0057】
AlおよびTiCの熱伝導率は、それぞれ34W/(m・k)、17W/(m・k)であり、Alの熱伝導率はTiCの熱伝導率よりかなり高い。このため磁気ヘッド用基板の熱伝導率を高くするには、Alの比率を高くすればよく、熱伝導率が19W/(m・k)以上である磁気ヘッド用基板を得るには、Alの比率を64質量%以上とし、さらには熱伝導性を低下させる不純物や結晶粒界を減少させればよい。
【0058】
なお、焼結を促進してより緻密にするために、前記調合原料に対しYb、Y、MgOの少なくともいずれか1種を0.1〜0.6質量%加えてもよい。
【0059】
Al粉末の平均粒径は、成形性や焼結性に影響を与える。Al粉末の平均粒径を0.3〜0.7μmとしたのは、Al粉末の平均粒径が0.7μmを超えると、焼結体の緻密化が不十分となり、強度不足となるからであり、0.3μm未満では成形性が低下しやすく、そのため焼結における制御も難しくなるからである。Al粉末の平均粒径を0.3〜0.7μmとすることで、緻密化は促進され、磁気ヘッド用基板として必要な強度を容易に得ることができる。
【0060】
TiC粉末の平均粒径は、凝集性や焼結性に影響を与えやすい。TiC粉末の平均粒径を10nm〜0.5μmとしたのは、平均粒径が10nm未満では、TiC粉末の凝集力が強過ぎるため、凝集体が形成されやすくなるからであり、0.5μmを超えると、低温での焼結性が悪化する傾向にあるからである。TiC粉末の平均粒径を10nm〜0.5μmとすることで、凝集体が形成されず、低温での焼結性も良好な磁気ヘッド用基板を得ることができる。
【0061】
なお、Al粉末、TiO粉末およびTiC粉末の平均粒径は液相沈降法、遠心沈降光透過法、レーザー回折散乱法、レーザードップラー法等により測定することができる。
【0062】
次に、調合原料に結合剤、分散剤等成形助剤を添加して均一に混合した後、転動造粒機、噴霧乾燥機、圧縮造粒機等各種造粒機を用いて顆粒にする。そして、得られた顆粒を乾式加圧成形、冷間等方静水圧成形等の成形手段で所望の形状に成形して成形体とした後、加圧焼結装置内に配置する。
【0063】
図6は、加圧焼結装置内における前記成形体の配置状態を示す断面図である。
【0064】
成形体1aは、その両主面より多孔質カーボンシート5を介して黒鉛製スペーサ6で挟まれ、段積み状態で配置される。本発明の磁気ヘッド用基板を得るには成形体1aの両主面に多孔質カーボンシート5を接触させることが重要である。このように接触させることでTiOが焼成工程で還元されて発生する二酸化炭素(CO)が容易に排出され、磁気ヘッド用基板の両主面部および中央部における密度の差を制御して、その差を0.004g/cm以下とすることができるからである。このように配置した後、アルゴン、ヘリウム、ネオン、窒素、真空等の雰囲気中、1400〜1700℃で、加圧焼結することで本発明の図1に示す磁気ヘッド用基板を得ることができる。
【0065】
なお、加圧焼結後、必要に応じて熱間等法加圧焼結(HIP)を行ってもよく、熱間等法加圧焼結(HIP)を行うことで抗折強度を容易に700MPa以上にすることができる。また、図1に示す磁気ヘッド用基板をその厚み方向からダイシングソーで一部切除することで図2に示す磁気ヘッド用基板を得ることができる。加圧焼結温度は1400〜1700℃とすることが重要である。これは、加圧焼結温度が1400℃未満では、十分焼結させることができないからであり、加圧焼結温度が1700℃を超えると、TiC粉末が成長し結晶組織が不均一になりやすく、TiCが本来備えている機能を十分に発揮することができないからである。加圧焼結温度を1400〜1700℃とすることで、TiC粉末を均一に分散することができるとともに、その分布密度を5×10個/mm以上、且つ隣り合うTiC粒子の間隔を2μm以下とすることができる。
【0066】
焼結方法のうち、加圧焼結を選択したのは、緻密化を促進し、磁気ヘッド用基板として求められる強度を得るためであり、加圧力は30MPa以上とすることが好適である。
【0067】
炭素質材料を含む遮蔽材7を成形体1aの周囲に配置して加圧焼結することが好適である。このように配置することで、TiC粒子からTiO,TiO等の酸化物粒子への変質を防ぎ、機械的特性の優れた磁気ヘッド用基板とすることができるからである。
【0068】
上述した製造方法で得られた磁気ヘッド用基板は、磁気ヘッド用基板の両主面部および中央部における密度の差を0.004g/cm以下とすることができるので、磁気ヘッド用基板全体に亘り、気孔が部分的に凝集することがなく、この基板より磁気ヘッドを形成した場合、均質性が高いので、浮上特性が安定した磁気ヘッドを得ることができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0070】
先ず、Al粉末、TiC粉末、TiO粉末、Yb粉末、成形用バインダーおよび分散剤を所定量混合し、スラリーを作製した。このスラリーを噴霧乾燥法で、顆粒とした後、乾式加圧成形にて成形体を得た。次に、この成形体を図6に示すように20段配置し、アルゴン雰囲気中で加圧焼結した後、熱間等法加圧焼結(HIP)を行うことで、直径152.4mm、厚み3mmの磁気ヘッド用基板である本発明の試料を作製した。
【0071】
但し、一部の試料は加圧焼結でとどめ、熱間等法加圧焼結(HIP)を行わない磁気ヘッド用基板とした。
【0072】
また、比較例として前記成形体の両主面に黒鉛製スペーサを直接接触させて、段積み状態で配置した後、上述と同様の方法で加圧焼結、熱間等法加圧焼結(HIP)を順次行い、直径152.4mm、厚み3mmの磁気ヘッド用基板である試料を作製した。
【0073】
なお、磁気ヘッド用基板試料は、各組成でそれぞれ6枚準備し、それぞれの試料に対して、以下の方法にてAlおよびTiCの比率、密度、気孔の個数、ラッピングレート、体積固有抵抗、熱伝導率および3点曲げ強度を測定して評価した。
【0074】
これら磁気ヘッド用基板を形成する元素100質量%(但し、炭素(C)および酸素(O)を除く)中におけるAlおよびTiCの比率はICP(Inductivity Coupled Plasma)発光分析装置(島津製作所製、ICPS−8100)を用いてAlおよびTiの各比率を測定し、Alについては酸化物に、Tiについては炭化物に換算し、その値を表1に示した。
【0075】
各種組成の試料における密度を以下の方法で測定した。即ち、試料より上述で説明した中央部と上面側、下面側の両主面部を切り出し、切り出した各試料の見掛密度をJIS R 1634−1996に準拠して測定した。なお、密度は、中央部と上面側、下面側の両主面部から切り出した各試料について測定し、表1には中央部の値、両主面部の平均値および中央部の値と両主面部の平均値との差の絶対値を示した。
【0076】
次いで、上述と同様に中央部と上面側、下面側の両主面部より切り出した試料の各表面を平均粒径0.1μmのダイヤモンド砥粒でラップ加工した後、加工面を10,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、気孔の個数を計測した。1視野の面積は96.8μmとし、3視野で計測した後、この計測された数値を900μm当たりの気孔の個数に換算した値を表1に示した。
【0077】
なお、換算した値は、中央部と、上面側および下面側の両主面部から切り出した各試料について求め、表1には中央部の値、両主面部の平均値を示し、さらに中央部の値と両主面部の平均値との差の絶対値を示した。
【0078】
また、磁気ヘッド用基板の機械加工性について、ラップ加工における単位時間当たりの研磨量(以下、ラッピングレートという。)を測定した。
【0079】
図7は、磁気ヘッド用基板の研磨に使用するラップ装置の概略構成図を示すものであり、
本実施例ではラップマスターSFT製9“型を用いた。ラップ装置8は、ラップ盤9がスラリー状の研磨液10が容器11から供給されるとともに、駆動部(不図示)により回転し、円盤形状のラップ治具12に固定された磁気ヘッド用基板1はラップ盤9上で所定の圧力を受けながら、回転、研磨される構成となっている。
【0080】
ラップ盤9は平面度が10μm以下、ビッカース硬度(H)が78MPaの錫製の円盤であり、表面には矩形状の溝が螺旋状に形成され、隣り合う溝の間隔は0.3mmである。研磨液10は平均粒径0.1μmのダイヤモンド砥粒を濃度0.5g/lで分散させたpH8.1のスラリー状の液体である。
【0081】
図8は、磁気ヘッド用基板1を円周状にラップ冶具12に配置した状態を示す斜視図である。磁気ヘッド用基板1から主面の大きさが10mm×10mmである平板1bを切り出し、円盤形状のラップ治具12に平板1bを30枚等間隔で円周状に配置、固定した。ラップ治具12をラップ盤9に置き、研磨液10をラップ盤9に供給しながら圧力0.07MPa、周速0.65m/秒でラップし、ラッピングレートを測定した。
【0082】
また、体積固有抵抗、熱伝導率および3点曲げ強度についてはJIS C 2141−1992、JIS R 1611−1997およびJIS R 1601−1995に準拠して測定した。但し、3点曲げ強度で用いた試験片の厚みは、いずれも3mmとした。
【0083】
これら測定値は表1に示す通りである。
【表1】

【0084】
表1に示す通り、本発明の試料(No.3〜5、7〜14)は、TiCが30質量%以上65質量%以下の範囲であったため、導電性、機械加工性とも高く、さらに試料の両主面部の密度と、中央部の密度との差が0.004g/cm以下と小さいため、両主面部および中央部における気孔の個数の差は15個以下であり、ラッピングレートも12μm/時間〜18μm/時間と良好なものであった。
【0085】
これに対し、本発明の範囲外である試料(No.1)はTiCが65質量%を超えていたために、焼結させることができなかった。試料(No.2)でも3点曲げ強度が急激に弱くなった。
【0086】
また、本発明の範囲外である試料No.15、16は、TiCの含有量が15質量%と、30質量%未満であったために、体積固有抵抗が高く、導電性も低いものであった。
【0087】
一方、本発明の範囲外である試料(No.6)は、試料の両主面部の密度と、中央部の密度との差が0.004g/cmよりも大きく、体積固有抵抗が高く、3点曲げ強度は低いものであった。
【0088】
特に、熱間等法加圧焼結(HIP)を行った試料のうち、試料の両主面部の密度と、中央部の密度との差が0.002g/cm以下と小さい本発明の試料(No.10〜12、14)は、気孔の個数の差は0であり、3点曲げ強度が925MPa以上と高く、熱伝導率も高く維持できるものであった。
【0089】
また、本発明の範囲外である試料No.16,17は、試料の両主面部および中央部における密度の差がそれぞれ0.006g/cm、0.007g/cmと大きいために、試料の中央部、両主面部における気孔の個数の差が22個以上と本発明の範囲内の試料に比して大きなものとなっている。これはTiC結晶粒子内へのTiOの固溶により発生する微小な気孔を低減できていないためであり、基板全体にわたって組織のばらつきが生じているといえる。
【0090】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の磁気ヘッド用基板の両主面部および中央部の各領域を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態である磁気ヘッド用基板の両主面部および中央部の各領域を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】磁気ヘッド用基板を個々に切り出してなる磁気ヘッドを示す斜視図である。
【図4】本発明の磁気ヘッド用基板から形成した磁気ヘッドを搭載した記録媒体駆動装置(ハードディスクドライブ)を示し、(a)は斜視図、(b)はAA線における断面図である。
【図5】サスペンションの先端に固定された磁気ヘッドを拡大した図を示し、(a)は底面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図6】加圧焼結装置内における成形体の配置状態を示す断面図である。
【図7】磁気ヘッド基板の研磨に使用するラップ装置の概略構成図を示す。
【図8】磁気ヘッド用基板を円周状にラップ冶具に配置した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0092】
1:磁気ヘッド用基板
2:中央部
3:両主面部
4:オリエンテーションフラット
5:多孔質カーボンシート
6:黒鉛製スペーサ
7:遮蔽材
8:ラップ装置
9:ラップ盤
10:研磨液
11:容器
12:ラップ治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Alを35質量%以上70質量%以下、TiCを30質量%以上65質量%以下の範囲である焼結体から成る磁気ヘッド用基板の両主面部および厚み方向の中央部における密度の差が0.004g/cm以下であることを特徴とする磁気ヘッド用基板。
【請求項2】
前記磁気ヘッド用基板の厚み方向の中央部は、磁気ヘッド用基板をその主面に対して垂直方向に断面視した際の、厚みの1/2に位置する線を中心に、厚みの1/2の領域であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド用基板。
【請求項3】
前記Alを60質量%以上65質量%以下、前記TiCを35質量%以上40質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ヘッド用基板。
【請求項4】
熱伝導率が19W/(m・k)以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ヘッド用基板。
【請求項5】
抗折強度が700MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ヘッド用基板。
【請求項6】
前記磁気ヘッド用基板は、密度が4.326g/cm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気ヘッド用基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ヘッド用基板をチップ状に分割してなる各スライダーに電磁変換素子を備えてなることを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気ヘッドと、該磁気ヘッドによって情報の記録および再生を行う磁気記録層を有する記録媒体と、該記録媒体を駆動させるモータと、を備えてなることを特徴とする記録媒体駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−108411(P2008−108411A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223293(P2007−223293)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】