説明

磁気光学材料、ファラデー回転子、及び光アイソレータ

【課題】波長1.06μm域(0.9〜1.1μm)でのベルデ定数が大きく、かつ、高い透明性を有する、酸化テルビウムを含む酸化物を主成分として含有する磁気光学材料を提供すること、及び、加工機用ファイバーレーザに好適に使用される小型化した光アイソレータを提供すること。
【解決手段】下記式(I)で表される酸化物を99%以上含有することを特徴とする磁気光学材料。
(Tbx1-x23 (I)
(式(I)中、xは、0.4≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、テルビウム以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気光学材料、ファラデー回転子、及び光アイソレータに関する。より詳細には、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適な磁気光学材料及び前記磁気光学材料を備えた磁気光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ加工機の進展に伴い、光と磁気との相互作用を利用した磁気光学デバイスが注目されている。その1つに、アイソレータがあるが、これは、レーザ光源から発振した光が、途中の光学系で反射されて光源に戻ると、レーザ光源から発振した光を擾乱させて、不安定な発振状態になる現象を抑制するものである。そのため、この作用を利用して、光アイソレータは、レーザ光源と光学部品との間に配置して利用されている。
【0003】
光アイソレータは、ファラデー回転子と、ファラデー回転子の光入射側に配置された偏光子と、ファラデー回転子の光出射側に配置された検光子との3つの部品を有する。光アイソレータは、ファラデー回転子に光の進行方向に平行に磁界を加えた状態で、光がファラデー回転子に入射すると、ファラデー回転子の中で偏光面が回転するという性質、いわゆるファラデー効果を利用する。すなわち、入射光のなかで、偏光子と同じ偏光面を有する光が偏光子を通過して、ファラデー回転子に入射される。この光は、ファラデー回転子の中で、光の進行方向に対して、プラス45度回転されて、出射する。
【0004】
これに対して、入射方向と逆方向からファラデー回転子に入射する戻り光は、最初に検光子を通過する際に、検光子と同じ偏光面を有する成分の光のみが検光子を透過し、ファラデー回転子に入射される。次にファラデー回転子の中で、戻り光の偏光面が、最初のプラス45度からさらにプラス45度回転されるため、偏光子とプラス90度の直角の偏光面となり、戻り光は、偏光子を透過できなくなる。
【0005】
上記のような光アイソレータのファラデー回転子として用いられる材料では、ファラデー効果が大きく、かつその使用する波長において、透過率が高いことが必要である。
近年、レーザ加工機として、ファイバーレーザを用いた装置が多く利用されている。このレーザの発振波長は、0.9〜1.1μmであり、その波長において、ファラデー効果が大きく、透過率が高い材料として、テルビウムガリウムガーネット単結晶(略称:TGG)、若しくはテルビウムアルミニウムガーネット単結晶(略称:TAG)などが用いられている(特許文献1参照)。
【0006】
ファラデー回転角θは、下記式(A)で表される。
θ=V*H*L (A)
式(A)中、Vはベルデ定数でファラデー回転子の材料で決まる定数であり、Hは磁束密度、Lはファラデー回転子の長さである。光アイソレータとして用いる場合は、θ=45度になるように、Lを決定する。
そのため、光アイソレータの大きさを決める要因は、ベルデ定数、磁束密度である。テルビウムガリウムガーネット単結晶のベルデ定数は、0.13min/(Oe・cm)、テルビウムアルミニウムガーネット単結晶のベルデ定数は、0.14min/(Oe・cm)である。これらの単結晶を用いて、磁束密度を10,000 Oeとしたならば、入射光の偏光面をプラス45度回転させるには、20〜25mmの長さが必要になる。そのため、この大きさのファラデー回転子を使い、さらにファラデー回転子の両側に、例えばルチル結晶などからなる偏光子、検光子を取り付ける必要があるため、光アイソレータの大きさは、約70mm以上の大きさになってしまう。ファイバーレーザのモジュールの大きさを小型化するためには、この光アイソレータを小型化する必要があるため、その構成部品であるファラデー回転子を短くできる材料を開発する必要がある。
【0007】
一方、単一長さ当たりのファラデー回転角度が大きい材料としては、鉄(Fe)を含むイットリウム鉄ガーネット(通称:YIG)単結晶があるが(特許文献2参照)、これらの材料は、波長0.9μmに大きな光吸収があり、波長0.9〜1.1μmにその吸収の影響が出るため、当該領域では、前記の材料は使用に適していない。
また、特許文献3は、テルビウム含有ガラス及びこれを用いた磁気光学デバイスを開示する。このガラスもテルビウム含有量に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−89797号公報
【特許文献2】特開2000−266947号公報
【特許文献3】特開2008−230907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、波長1.06μm域(0.9〜1.1μm)でのベルデ定数が大きく、かつ、高い透明性を有する、酸化テルビウムを含む磁気光学材料を提供することである。本発明のさらなる目的は、加工機用ファイバーレーザに好適に使用される小型化した光アイソレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記課題は、以下の<1>、<9>及び<10>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<8>とともに以下に記載する。
<1>下記式(I)で表される酸化物を99重量%以上含有することを特徴とする磁気光学材料、
(Tbx1-x23 (I)
(式(I)中、xは、0.4≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、テルビウム以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。)
【0011】
<2>波長1.06μmでのベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上であり、かつ、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率が70%以上であり、光路長3mmでの消光比が25dB以上である、<1>に記載の磁気光学材料、
<3>前記式(I)において、Rがスカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択される、<1>又は<2>に記載の磁気光学材料、
<4>アルカリ土類金属、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、第4族元素、第5族元素、若しくは第6族元素の酸化物、又は、第17族元素の化合物を0.00001重量%以上1.0重量%以下含有する、<1>〜<3>いずれか1つに記載の磁気光学材料、
<5>アルカリ土類金属の酸化物を0.00001重量%以上1.0重量%以下含有する、<1>〜<4>いずれか1つに記載の磁気光学材料、
<6>単結晶である、<1>〜<5>いずれか1つに記載の磁気光学材料、
<7>フローティングゾーンメルト法、マイクロ引下げ法、引上げ法、スカルメルト法、ブリッジマン法、ベルヌーイ法、及びEFG法よりなる群から選択された製造方法で作製された、<6>記載の磁気光学材料、
<8>セラミックスである、<1>〜<5>いずれか1つに記載の磁気光学材料、
<9><1>〜<8>いずれか1つに記載の磁気光学材料を用いた、波長0.40μm以上1.2μm以下におけるファラデー回転子、
<10><9>に記載のファラデー回転子の前後に偏光材料を配置した、光アイソレータ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、波長1.06μm域でのベルデ定数が大きく、かつ、高い透明性を有する、酸化テルビウムを含む磁気光学材料を提供することができた。また、本発明によれば、加工機用ファイバーレーザに好適に使用される小型化した光アイソレータを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フローティングゾーン法に好適に使用される装置の一例を示す断面図である。
【図2】マイクロ引下げ法の一例を示す説明図である。
【図3】ファラデー回転子を磁気光学素子として有する磁気光学デバイスである、光アイソレータの一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の磁気光学材料は、下記式(I)で表される酸化物を99重量%以上含有することを特徴とする。
(Tbx1-x23 (I)
(式(I)中、xは、0.4≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、テルビウム以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。)
この磁気光学材料は、波長1.06μmでのベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上であり、かつ、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率が70%以上であり、光路長3mmでの消光比が25dB以上であることが好ましい。
【0015】
発明者等は、常磁性元素であるテルビウム、及び、その酸化物が波長1.06μmにおいて透明性が高いという特徴を生かし、その波長においてベルデ定数が大きくできる実現可能性について、鋭意検討を行った。その結果、酸化テルビウムをモル比換算で、40%以上含み、かつその酸化物と、波長1.06μmにおいて透明な希土類、例えば、前記式(I)において、Rがスカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択される、磁気光学材料を作製することで、波長1.06μmでのベルデ定数が、0.18min/(Oe・cm)以上の値を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
テルビウム(Tb)は、常磁性元素であり、波長1.06μmにおいて、酸化テルビウムは、光路長3mmにおいて光の透過率が70%以上の元素であるため、この波長域のアイソレータに使用するには、最も適した元素である。したがって、式(I)において、このテルビウムをできるだけ多く含む化合物を作製することが、1.06μmにおけるその化合物のベルデ定数を大きくし、ファラデー回転角を多くできることにつながる。さらに波長1.06μmにおいて透明性が高い化合物を作製するには、構成する他の元素も、その波長域において透明性が高いことが好ましく、それに最も適した化合物は、波長1.06μmで光路長3mmにおける光の透過率が70%以上の元素との酸化物である。
【0017】
本発明の磁気光学材料は、光路長3mmでの消光比が25dB以上であることが好ましい。上記の消光比であると、高アイソレーションの光学特性を有する光アイソレータの作製を可能にするという観点で好ましい。
なお、消光比は、定法に従い、波長1.06μmにおいて測定する。なお、測定条件は25±10℃とし、大気中で測定を行う。
【0018】
本発明において、ベルデ定数は、定法に従い測定すればよく、特に測定条件は限定されない。具体的には、所定の厚さの酸化物を切り出し、鏡面研磨仕上げを行い、磁束密度の大きさが既知の永久磁石にファラデー回転子をセットし、波長1.06μmにおけるベルデ定数を測定する。また、測定条件は25±10℃とし、大気中で測定を行う。
【0019】
一方、テルビウムを最も多く含み、かつ最もベルデ定数が大きい酸化物は、酸化テルビウムそのものである。フローティングゾーン法で、この単結晶を成長させてみたが、結晶成長後、冷却時にクラックが生じてしまった。詳細な原因は不明であるが、酸化テルビウムは、Tbが3価のTb23と、Tbが4価のTbO2の2形態があり、冷却時に相転移が生じて、クラックが生じたと考えられる。
【0020】
そこで、酸化テルビウムと同じ結晶構造を有し、同じ希土類元素で、酸価数が3価で安定しており、かつ波長1.06μmにおいて透明性が高い酸化物との固溶体を検討した。その候補として、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムが挙げられ、これらの金属の酸化物と酸化テルビウムとの固溶体が適していることが分かった。
さらに、これら固溶体の場合、酸化テルビウムの濃度をある程度自由に変更できるため、酸化テルビウムの濃度を変化させて、フローティングゾーン法で、結晶を作製し、その結晶のベルデ定数を測定したところ、酸化テルビウムがモル比換算で40%以上あれば、波長1.06μmでのベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上の値を示すことが分かった。
また、固溶体の場合、X線粉末回折で結晶構造を測定すると、酸化テルビウムと他の上記に示した希土類酸化物は同じ立方晶なので、それらと同じ立方晶を示すことが分かった。
なお、本実施形態において、「固溶体」とは、原料粉末である酸化テルビウムの結晶層の格子点にあるテルビウムが、全く不規則に別種の元素(例えば、イットリウム等)と置換している状態を意味する。したがって、単結晶、多結晶、及び、焼結により作製された多結晶であるセラミックス等を包含するものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲を示す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」を表す。すなわち、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
【0021】
(式(I)で表される酸化物)
本発明の磁気光学材料は、式(I)で表される酸化物を、主要成分として、すなわち99重量%以上含有する。
(Tbx1-x23 (I)
(式(I)中、xは、0.4≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、テルビウム以外のランタノイド元素群(好ましくは、ランタン(La)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)、及び、ルテチウム(Lu))よりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む。)
【0022】
上記式(I)中、Rとしては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むものであれば特に限定されず、その他の元素を含有していてもよい。その他の元素としては、エルビウム、ツリウムが例示できる。
その他の元素の含有量は、Rの全量を100重量部としたとき、50重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、その他の元素の含有量が0、すなわち、Rがスカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択された元素のみからなり、他の元素を含有しないことが好ましい。
ここで、Rは一種単独であってもよいし、複数のRが任意の比率で含まれていてもよく、特に限定されない。
これらの中でも、原料が入手容易であるという観点から、Rとしては、イットリウム、ガドリニウム及びルテチウムが好ましく、より好ましくはイットリウムである。
【0023】
式(I)中、xは0.4以上1.0以下である。すなわち、式(I)で表される酸化物は、モル比換算でTb23を40モル%以上含有する。
式(I)中、xが0.4未満であると、高いベルデ定数を得ることができない。
xは、0.4以上1.0未満であることが好ましく、0.4以上0.8以下であることがより好ましく、0.45以上0.75以下であることがさらに好ましい。xが上記範囲内であると高いベルデ定数が得られ、さらに、透明性に優れるので好ましい。特にxが0.8以下であると、結晶育成後の冷却中のクラックの発生が抑制され、結晶の白濁が抑制されるので好ましい。
【0024】
(磁気光学材料)
本発明の磁気光学材料(以下、「本発明の酸化物」ともいう。)は、式(I)で表される酸化物を主要成分として含有する。
すなわち、本発明の磁気光学材料は、式(I)で表される酸化物を主要成分として含有していればよく、その他の成分を副成分として含有していてもよい。換言すれば、本発明の酸化物は、式(I)で表される酸化物を主成分として含有し、その他の成分(その他の酸化物等)を含有していてもよい。
ここで、主成分として含有するとは、式(I)で表される酸化物を、50重量%以上含有することを意味する。式(I)で表される酸化物の含有量は、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、99重量%以上であることがさらに好ましく、99.9重量%以上であることが特に好ましく、99.99重量%以上であることが最も好ましい。
【0025】
本発明の酸化物が含有しうるその他の成分としては、アルカリ土類金属の酸化物、第11族元素、第12族元素、第13族元素の酸化物、第14族元素の酸化物、第15族元素、その他第4族元素、第5族元素(V,Nb,Taなど)、及び第6族元素(Mo,Wなど)の酸化物、並びに、第17族元素の化合物よりなる群から選択される金属酸化物又は化合物が好ましい。第17族元素としては、F,Cl,Brが好ましく、Fがより好ましく、第17族元素の化合物としてYF3、MgF2が例示できる。
本発明の酸化物が、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、第4族元素、第5族元素(V,Nb,Taなど)、若しくは第6族元素(Mo,Wなど)の酸化物、又は第17族元素の化合物のうち1つまたは2つ以上を0.000001重量%以上1.0重量%以下含有することが好ましい。
これらの酸化物の含有量は、本発明の酸化物に対して、0.00001重量%以上1.0重量%以下であることが好ましく、0.00001〜0.1重量%であることさらに好ましい。
【0026】
具体的には、アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムが例示され、第11族元素の酸化物としては、酸化銅、酸化銀が例示され、第12族元素の酸化物としては、酸化亜鉛、酸化カドミウムが例示され、第13族元素の酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ガリウムが例示され、第14族元素の酸化物としては酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化スズが例示され、第15族元素の酸化物としては、酸化ビスマスが例示され、第4族元素の酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムが例示される。
【0027】
上記の金属酸化物は、例えば、単結晶作製の際に添加するドーパントや、セラミックス作製時に添加する焼結助剤の残留物として含有される。
単結晶作製の際に添加する、ドーパントとしては、アルカリ土類金属の酸化物が好ましく、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等がより好ましく、酸化マグネシウムが特に好ましい。これらの酸化物は、本発明の酸化物全体に対して、0.000001〜1.0重量%含有することが好ましく、0.00001〜0.1重量%含有することがより好ましく、0.0001〜0.01重量%含有することが特に好ましい。
【0028】
焼結助剤としては、炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩、アルミナ、酸化ガリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等が例示できる。なお、例えばアルカリ土類金属の炭酸塩を焼結助剤として使用した場合、得られる酸化物においては、焼結によって酸化されており、アルカリ土類金属の酸化物として含有される。
アルカリ土類金属の酸化物以外の金属酸化物の含有量も、本発明の酸化物全体の0.00001〜1.0重量%であることが好ましく、0.0001〜0.1重量%であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明の酸化物、酸化物単結晶及びセラミックスの製造時に、副成分が混入する場合があり、例えば、坩堝の構成成分が混入する場合が挙げられる。本発明の酸化物は、これらの意図しない副成分の混入を排除するものではないが、その混入量は、上記その他の成分と合計して、50重量%以下であり、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましく、0.1重量%以下であることが特に好ましく、0.01重量%以下であることが最も好ましい。
【0030】
本発明の酸化物は、波長1.06μmでのベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上である。ベルデ定数は0.18min/(Oe・cm)以上であれば特に限定されないが、高いベルデ定数を有することが好ましい。ベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)未満であると、ファラデー回転角を45度とするために必要なファラデー回転子の長さが長く、光アイソレータが大型化する。
ベルデ定数は0.20min/(Oe・cm)以上であることが好ましく、0.21min/(Oe・cm)以上であることがより好ましく、0.22min/(Oe・cm)以上であることがさらに好ましい。また、製造の容易性の観点から、0.36min/(Oe・cm)以下であることが好ましい。
【0031】
本発明において、ベルデ定数は定法に従い測定すればよく、特に限定されない。
具体的には、所定の厚さの酸化物を切り出し、鏡面研磨仕上げを行い、磁束密度が既知の永久磁石にセットし、波長1.06μmにおけるベルデ定数を測定する。また、測定条件は25±10℃とし、大気中で測定を行う。
【0032】
本発明の酸化物は、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率(光の透過率)が70%以上であることが好ましい。上記透過率が70%以上であると、透明性が高く、ファラデー回転子としての使用に適する。
本発明の酸化物は、波長1.06μmにおける光路長3mmでの透過率は、70%以上であり、72%以上であることが好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。透過率は高いことが好ましく、その上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
透過率は、波長1.06μmの光を厚さ3mmの酸化物に透過させた時の光の強度により測定される。すなわち、透過率は以下の式で表される。
透過率=I/Io×100
(上記式中、Iは透過光強度(厚さ3mmの試料を透過した光の強度)、Ioは入射光強度を表す。)
なお、得られる酸化物の透過率が均一ではなく、測定箇所によって透過率に変動がある場合には、任意の10点の平均透過率をもって、該酸化物の透過率とする。
本発明の酸化物は、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率が70%以上であることが好ましいが、より長い光路長であっても高い透過率を有することが好ましく、光路長10mmでの透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、72%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましい。光路長が15mmでの透過率についても同様に、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、72%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
また、特に本発明の酸化物をファラデー回転子として用いる場合には、光路長10mmの透過率が70%以上であることが好ましい。
【0033】
(酸化物単結晶、セラミックス)
本発明の酸化物は、上記の要件を満たすものであれば、単結晶であっても、セラミックスであってもよく、特に限定されない。以下に、本発明の酸化物が酸化物単結晶である場合、及び、本発明の酸化物がセラミックスである場合について、その製造方法を含めて詳述する。
【0034】
<酸化物単結晶>
本発明の酸化物は、酸化物単結晶であってもよい。すなわち、前記酸化物単結晶は、本発明の酸化物よりなる酸化物単結晶である。
酸化物結晶を作製する方法しては、特に限定されないが、フローティングゾーンメルト法、マイクロ引下げ法、引上げ法、スカルメルト法、及び、ブリッジマン法が例示される。これらの各方法については、「バルク単結晶の最新技術と応用開発」(福田承生監修、シーエムシー出版、2006年3月)、「結晶成長ハンドブック」(「日本結晶成長学会「結晶成長ハンドブック」編集委員会編、共立出版株式会社、1995年9月」に詳しい。
酸化物単結晶の作製においては、上述したように、安定に結晶化させる目的で、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)を0.001〜0.01重量%ドーピングすることも好ましい。
以下、代表的な製造方法について詳述する。
【0035】
<フローティングゾーン法>
フローティングゾーン法にて酸化物単結晶を作製する一実施態様を記載する。
フローティングゾーン法による単結晶の製造方法としては、例えば、特開昭62−271385号公報を参照することができる。
先ず原料として、高純度(好ましくは99.9wt%以上)の粉末原料(Tb23及びR23並びにその他の成分)を用意し、これを混合して、混合粉末を調製する。Rは、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択された少なくとも1つの元素を含み、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択されることが好ましい。
製造に供する混合粉末及びその成形体の調製については後述する。
【0036】
以下、図1を参照して光学式フローティングゾーン法の一例である、キセノンランプフローティングゾーン法(キセノンランプFZ法)について詳述する。
なお、以下の説明において、特に断りのない限り、同一の符号は同一の対象を意味する。
図1は、キセノンランプFZ法に使用されるキセノンランプFZ装置100の構成を示す概念断面図である。キセノンランプFZ装置100は、溶融用のキセノンランプ120光源と楕円体鏡130を設けた構成になっており、楕円体鏡130は2つの楕円体を無端状に繋げた形状に形成されており、キセノンランプ120から試料に集光して加熱融解することができる。図1において、キセノンランプFZ装置100は、内部が中空で試料を入れる石英管140と、2つのキセノンランプ120が1つの楕円体鏡130内にある。楕円体鏡130を形成する2つの楕円体はそれぞれ2つの焦点を有しており、楕円体鏡130としては、計4つの焦点を有している。楕円体鏡130の4つの焦点のうち、2つの焦点は重なっており、石英管140は、この重なった点を通るように置かれている。また、2つのキセノンランプ120の軸心は、楕円体鏡130の4つの焦点のうち、残り2つの焦点をそれぞれ通るように置かれている。
楕円体鏡130内側は、鏡面処理が施されている。キセノンランプ120から照射されたキセノン光は、鏡面処理された楕円体鏡130に反射して、軸心部の石英管140にほぼ全方向から入射される。光源には、キセノンランプ以外にハロゲンランプを用いることができるが、キセノンランプは、到達温度を高くでき、集光度をシャープにできるので、温度勾配を急峻にできる利点がある。
【0037】
石英管140内には、回転可能な上シャフト110と上シャフト110の下端から下方に隔てられて配置された下シャフト112とを有する。上シャフト110と下シャフト112は、石英管140内で上下移動が可能である。石英管140は、結晶成長させるための雰囲気制御が可能になっている。上シャフト110に原料棒として、原料の成形体を取り付ける。また下シャフトは、種結晶となる材料を取り付けるのが望ましいが、原料の成形体や原料の焼結体を取り付けてもよい。ここで、上シャフトに取り付けた原料成形体をフィードロッド114、下シャフトに取り付けた原料の成形体、焼結体又は種結晶になる材料をシードロッド116という。
【0038】
図1において、石英管140は、図示しない一端から他端に向けて、アルゴンガスと数%の水素ガスを入れて陽圧にすることが好ましい。これは、1つには石英管140外部から大気が侵入しないようにするためであり、もう1つは、結晶育成時に原料棒(フィードロッド114)に含まれる酸化テルビウムが酸化されないようにするためである。
次に上下シャフト110、112に、それぞれフィードロッド114及びシードロッド116を取り付けた後、各端部がお互いに接近する状態で配置し、この状態で、フィードロッド114の下端とシードロッド112の上端とが両方溶解し始める温度までキセノンランプ120の出力を上げる。そしてそれぞれのロッドをお互いに逆回転しながら近づける。なおこれら2つのロッドを回転しなくても構わない。この状態で、2つのロッドを接触させて融液部分を形成させる。このとき、形成した融液部分が、表面張力で融液形状を適正に保てるように、キセノンランプ120の出力を微調整しながら、シードロッド116とフィードロッド114をゆっくり降下していく。それによって、所定の組成の結晶が、融液部分の下部、すなわちシードロッド116の上部に形成されていく。シードロッド116とフィードロッド114の降下速度を同じにすれば、結晶体が育成されていく。所望の長さ、あるいは、シードロッド116が消費されたら、ロッドの降下を停止し、ゆっくりキセノンランプ120の出力を下げて温度を下げていくと、透明な結晶体を得ることができる。
【0039】
なお、フローティングゾーン法において、得られた結晶は、温度勾配が強い条件で育成されているので、成長時の熱歪が残っており、結晶を切断するときに、クラックが生じる場合がある。そのため、結晶成長後、カーボン炉などを用いて、カーボン容器に、結晶を入れて、1,200℃以上の不活性雰囲気若しくは還元雰囲気でアニールして、熱歪を除去しておくことが好ましい。このときのアニール温度は特に限定されないが、1,200〜2,200℃であることが好ましく、1,400〜2,200℃であることがより好ましく、1,600〜2,000℃であることがさらに好ましい。また、アニール時間は特に限定されないが、1〜100時間であることが好ましく、5〜50時間であることがより好ましく、10〜50時間であることがさらに好ましい。
【0040】
なお、得られた単結晶をアイソレータのファラデー回転子として使用する場合には、切断後、研磨剤等により表面に鏡面仕上げを施すことが好ましい。研磨剤は特に限定されないが、例えば、コロイダルシリカが例示される。
【0041】
<マイクロ引下げ法>
酸化物単結晶の作製方法として、別の方法である、マイクロ引下げ法にて単結晶を作製する場合について以下に説明する。なお、マイクロ引下げ法については、特開2001−226196号公報を参照することができる。
先ず原料粉末を所望のモル比となるように、秤量する。装置に仕込む際に、上記粉末原料は十分に混合され、また、乾燥又は焼結されていればよく、公知の方法を適宜採用すればよい。混合粉末の調製方法については後述する。
【0042】
次にマイクロ引下げ装置を用いて単結晶を育成する。
図2は、本実施形態に好適に使用されるマイクロ引下げ法の一例を示す説明図である。
マイクロ引下げ法に使用されるマイクロ引下げ装置200は、坩堝220と、坩堝底部に設けた細孔から流出する融液210に接触させる種を保持する種保持具260と、種保持具260を下方に移動させる移動機構(不図示)と、該移動機構の移動速度制御装置(不図示)と、坩堝220を加熱する誘導加熱装置250とを具備した単結晶成長装置である。なお、図2において、坩堝220の下部は、坩堝支持治具222により保持されており、また、坩堝220の外部には、保温筒230及び石英管240が設けられており、石英管240の外部から、誘導加熱装置250により坩堝220を加熱している。
【0043】
該坩堝220は、耐熱性の観点からレニウム金属焼結体またはレニウム合金金属焼結体であることが好ましく、坩堝底部外周にレニウム金属焼結体またはレニウム合金金属焼結体からなる発熱体であるアフターヒーター(不図示)を配置することが好ましい。坩堝220及びアフターヒーターは、誘導加熱装置250の出力を調整することで、発熱量を調整でき、それによって、坩堝底部に設けた細孔から引き出される融液210の固液界面の加熱温度及び温度勾配を制御することができる。
【0044】
この装置において、細孔を複数個設けて、融液が垂れ落ちない大きさ(好ましくは直径200〜300μm)とし、流下する融液が、種結晶若しくは焼結した同じ組成の原料を成形した焼結体を、接触する前に合流するように複数の細孔を配置することが好ましい。
【0045】
この装置を用いて、上述の方法で準備した焼結原料を坩堝220にセットする。昇温する前に、炉内を不活性ガス雰囲気とすることが好ましく、高周波誘導加熱コイル(誘導加熱装置250)に高周波電力を徐々に印加することで、坩堝220を加熱して、坩堝220内の原料を完全に融解する。できれば融液210の組成が均一になるように、この状態で数時間保持しておくことが好ましい。
【0046】
種結晶若しくは焼結成形棒を所定の速度で徐々に上昇させて、その先端を坩堝下端の細孔に接触させて充分になじませる。次いで、融液温度を調整しながら引き下げ軸を下降させることで結晶を成長させる。準備した材料が全て結晶化し、融液が無くなった時点で結晶成長は終了になる。成長した結晶は、アフターヒーターに保持された状態で、徐々に室温まで冷却することが好ましい。
【0047】
(セラミックス(透明セラミックス))
固溶体は、波長1.06μmにおいて透明性が高く、かつ熱歪などの異方性がなければ、単結晶である必要はなく、多結晶であるセラミックス(本発明において、透明セラミックスともいう。)でもよい。なお、本発明において透明セラミックスとは、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率が70%以上であるセラミックスを意味する。
単結晶を製造する場合は、融液状態になるよう、高温まで昇温しなくてはならず、酸化テルビウムは融点が約2,600℃、酸化イットリウムでは融点が約2,300℃であり、それら2つの固溶体の場合は、それらの中間温度まで昇温する必要があり、非常に高温まで昇温する必要がある。したがって、坩堝の中で溶融して単結晶を作製する場合は、坩堝の選定が、レニウム、タングステン、又はそれらの合金等と、非常に限られてしまう。
一方、透明セラミックスの場合は、その融点まで昇温する必要がなく、加圧焼結すれば、融点以下で、透明化することができる。焼結時に、焼結助剤を入れて、焼結密度を上げて、緻密化させることも可能である。
【0048】
透明セラミックスの作製方法としては、従来公知の製造方法を適宜選択して使用することができ、特に限定されない。透明セラミックスの製造方法としては、熱間等方圧加圧処理する方法、固相法とプレス成形法とを組み合わせる方法、鋳型成形等を利用して真空焼結する方法等が例示され、池末明生著「光学単結晶から光学多結晶へ」応用物理、第75巻、第5号、579−583(2006)、柳谷高公、八木秀喜著「セラミックレーザー材料の現状と将来」レーザー研究、第36巻、第9号、544−548(2008年)等に記載されている。
以下、透明セラミックスの作製方法として、熱間等方圧加圧法(HIP(Hot Isostatic Pressing)を使用して透明セラミックスを作製する場合の一例について説明する。
先ず原料粉末(Tb23、R23及びその他の成分)の混合粉末を調製する。なお、混合粉末の調製方法については後述する。得られた混合粉末に、溶媒、結合剤、可塑剤、潤滑剤等を添加し、湿式混合してスラリー状とする。なお、このとき上述した焼結助剤を所定量、好ましくは原料全体の0.00001〜1.0重量%、より好ましくは0.0001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.001〜0.01重量%添加することも好ましい。得られたスラリーをスプレードライヤーで処理して、乾燥させ、その後、成形する。成形は一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。また、成形後、加熱(好ましくは400〜600℃)により脱脂処理を行うことも好ましい。
【0049】
その後、真空炉で焼成を行うことが好ましい。焼成条件としては、1,600〜2,000℃であることが好ましく、1,700〜1,900℃であることがより好ましく、1,750〜1,850℃であることがさらに好ましい。焼成時間は1〜50時間であることが好ましく、2〜25時間であることがより好ましく、5〜20時間であることがさらに好ましい。このとき、好ましくは1,200℃程度までは昇温速度を100〜500℃/hr、より好ましくは200〜400℃/hr、さらに好ましくは250〜350℃/hrとし、それ以上の温度では、昇温速度を遅くすることが好ましく、25〜75℃/hrとすることがより好ましい。また、焼成時真空度は、1Pa以下であることが好ましく、1×10-1Pa以下であることがより好ましい。
また、上記の焼成の後、さらに透明性を上げるため、熱間等方圧加圧(HIP)法で処理を行う。処理温度は、前記焼成温度よりも高いことが好ましく、1,600〜2,000℃であることが好ましく、1,700〜1,900℃であることがより好ましく、1,750〜1,850℃であることがさらに好ましい。処理圧力は、10〜1,000MPaであることが好ましく、20〜500MPaであることがより好ましく、40〜200MPaであることがさらに好ましい。処理時間は特に限定されないが、50時間以下が好ましく、25時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。また、15分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。
【0050】
<混合粉末及び成形体の調製>
本発明において、酸化物単結晶及び透明セラミックスの製造に使用される混合粉末及びその成形体(焼結体を含む)について所望のモル比となるように秤量する。
粉末材料(Tb23、R23、及び、その他の成分)は、高純度のものを使用することが好ましく、純度99.9wt%以上であることが好ましく、99.99wt%以上であることがより好ましく、99.999wt%以上であることがさらに好ましい。なお、前記R23中のRは式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
なお、酸化テルビウムとしてはTb23に限定されるものではなく、Tb47を使用することもできるが、得られる酸化物の結晶性に優れることから、Tb23を使用することが好ましい。
【0051】
粉末材料を所望のモル比で秤量した後、乾式で混合してもよく、湿式で混合してもよく、特に限定されない。また、湿式又は乾式で混合した後、焼成処理を行ってもよく、焼成処理の後、さらに粉砕処理を行ってもよい。
具体的には、ボールミル等で乾式混合した後、混合粉末を不活性ガス雰囲気下で焼成する方法が例示できる。焼成温度及び焼成時間は特に限定されないが、焼成温度は600〜2,000℃であることが好ましく、800〜1,800℃であることがより好ましく、1,000〜1,800℃であることがさらに好ましい。不活性ガス雰囲気としては、希ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下が挙げられるが、アルゴン雰囲気下で焼成することが好ましい。また、焼成時間は特に限定されず、混合粉末の含水量や焼成温度に応じて適宜選択すればよいが、1〜100時間であることが好ましく、より好ましくは5〜50時間であり、さらに好ましくは10〜30時間である。また、焼成を行う場合には、焼成後にさらにボールミル等で粉砕混合することも好ましい。
【0052】
また、混合粉末の平均粒子径の分布をシャープにし、さらに、高純度とする目的で、粉末材料を溶解して、再結晶化及び粉砕した後、原料粉末として使用してもよい。
具体的には、高純度(例えば99.9wt%以上)の原料粉末を用意し、Tb23:R23が所望のモル比になるように、秤量する。これらの原料粉末を濃度1mol/l硝酸水溶液として溶解し、それに濃度1mol/lの硫酸アンモニウム水溶液を混合し、さらに超純水を加えて、濃度を調整し、得られた水溶液を撹拌しながら、濃度0.5mol/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を、一定の滴下速度でpH8になるまで滴下し、攪拌しながら室温で数日間放置し、その後、ろ過と超純水での洗浄を行って、150℃で数日間乾燥する方法が例示できる。得られた混合粉末を、アルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気若しくはアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気で、好ましくは800〜1,500℃、より好ましくは1,000〜1,400℃、さらに好ましくは1,100〜1,200℃にて、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜7時間、さらに好ましくは2〜4時間仮焼きを行う。ここで、不活性雰囲気にするのは、酸化テルビウムの価数が変化しないようにするためである。
【0053】
粉末材料をよく混合した後、混合物を成形機を用いて所望の形状及び大きさに成形してもよい。成形する形状は特に限定されず、使用する装置等に応じて適宜選択すればよく、例えば、円柱状に成形することが例示される。
粉末材料の成形方法としては、例えば、十分に乾式混合した粉末原料を、成形器により加圧成形する方法が例示できる。
また、粉末材料に有機バインダーを加えて、スラリー状にし、これを成形した後、焼成して焼結体とし、これを原料成形体として使用することもできる。焼結温度は、600〜2,000℃であることが好ましく、800〜1,800℃であることがより好ましく、1,000〜1,800℃であることがさらに好ましい。焼結雰囲気は、希ガス又は不活性ガス雰囲気であることが好ましく、アルゴン雰囲気であることがさらに好ましい。焼結時間は特に限定されないが、1〜100時間であることが好ましく、5〜50時間であることがより好ましく、10〜30時間であることがさらに好ましい。
【0054】
また、HIP法にて透明セラミックスを製造する場合には、成形体を製造後、これをHIP法にて処理する。
具体的な成形体の製造方法としては、原料粉末に溶媒、結合剤(バインダー)、可塑剤、潤滑剤等を加えて湿式混合してスラリー状とする方法が例示できる。このとき、焼結助剤を所定量添加してもよい。成形体の製造方法としては特に限定されないが、例えば得られたスラリーをスプレードライヤーで処理して乾燥球状体を得る方法が例示される。
前記スラリーに使用する溶媒としては特に限定されないが、取扱いの容易さから、水又は低級アルコールが好ましく、水、メタノール、エタノールが好ましく例示され、特にメタノールが好ましい。また、結合剤としては、公知の結合剤から適宜選択すればよく特に限定されないが、ポリビニルアルコールが例示される。
可塑剤、潤滑剤についても特に限定されず、公知の可塑剤、潤滑剤から適宜選択すればよい。可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコールが例示され、潤滑剤の具体例としては、ステアリン酸が例示される。
前記乾燥球状体を、成形後、脱脂を行うことが好ましい。成形方法としては特に限定されず、公知の成形方法から適宜選択すればよい。また、成形は一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。
脱脂は、加熱により行うことが好ましい。加熱温度は400〜600℃であることが好ましい。また、脱脂を行う際には、400℃までの加熱は大気中で行い、それより高い温度は、不活性雰囲気下で加熱を行うことが好ましい。
【0055】
(磁気光学材料)
本発明の酸化物、酸化物単結晶及びセラミックスは、磁気光学材料用途に好適である。特に、本発明の酸化物、酸化物単結晶及びセラミックスは、波長0.9〜1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
図3は、ファラデー回転子を光学素子として有する光デバイスである、光アイソレータの一例を示す断面模式図である。
図3において、光アイソレータ300は、ファラデー回転子310を備え、該ファラデー回転子310の前後には、偏光材料である偏光子320及び検光子330が備えられている。また、光アイソレータ300は、偏光子320−ファラデー回転子310−検光子330が光軸312上にこの順で配置され、それらの側面のうちの少なくとも1面に磁石340が載置され、磁石340は筐体350の内部に収納されていることが好ましい。
また、前記アイソレータは加工機用ファイバーレーザに好適に使用される。すなわち、レーザ素子から発したレーザ光の反射光が素子に戻り、発振が不安定になるのを防止するのに好適である。
【実施例】
【0056】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1〜6、比較例1〜3)
原料として、99.9wt%以上の高純度のTb23と純度99.9wt%以上のY23の粉末原料を用意し、Tb23:Y23が所望のモル比になるように、秤量した。次に上記原料組成物をよく混合し、混合物を成形機を用いて、直径3mm×長さ50mmの円柱状に成形した。
【0058】
次に図1に示すキセノンランプFZ装置を用いて単結晶を育成した。
石英管140は、乾燥脱酸素処理を行ってから、図示しない一端から他端に向けて、アルゴンガスと8%の水素ガスを入れて陽圧にした。これは、1つには石英管外部から大気が侵入しないようにするためであり、もう1つは、結晶育成時に原料棒に含まれる酸化テルビウムが酸化されないようにするためである。
【0059】
上下シャフトに、それぞれ同じ組成の直径3mm×長さ50mmの上記の原料の成形体を取り付けた後、各端部がお互いに接近する状態で配置し、この状態で、フィードロッドの下端とシードロッドの上端とが両方溶解し始める温度までキセノンランプの出力を上げた。そしてそれぞれのロッドをお互いに逆回転しながら近づけた。この状態で、2つのロッドを接触させて融液部分を形成させた。このとき、形成した融液部分が、表面張力で融液形状を適正に保てるように、キセノンランプの出力を微調整しながら、シードロッドとフィードロッドをゆっくり8mm/hrの速度で降下させた。それによって、所定の組成の結晶が、融液部分の下部、すなわちシードロッドの上部に形成された。シードロッドとフィードロッドの降下速度を同じにして、直径3mmの結晶体を育成した。30mmの長さに到達したら、ロッドの降下を停止し、ゆっくりと(約1時間程度かけて)キセノンランプの出力を下げて温度を下げ、透明な結晶体を得た。
【0060】
なお、結晶成長後、真空熱処理炉に結晶を入れて、1,600℃のアルゴン雰囲気で15時間アニールし、熱歪を除去した。
【0061】
アニールした固溶体単結晶、直径3mm×長さ30mmを、内周刃切断機にて両端を切断し、その両端面を、コロイダルシリカなどの研磨剤で鏡面にした。得られた直径3mm×長さ25mmの円筒状の結晶のベルデ定数を測定した。それぞれ実施例、比較例の結果を表1に示す。
式(I)において0.4≦x≦1.0の場合、波長1.06μmにおいてベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上であった。これは、TGG結晶のベルデ定数0.13min/(Oe・cm)のほぼ2倍以上の大きさであった。
光路長3mmでの透過率(%)及び消光比(dB)の測定値を示した。以下、透過率と消光比は、無反射コートのない状態で測定した。
【0062】
なお、実施例6においては、結晶化をより安定化させることを目的として、アルカリ土類金属酸化物である、MgOを添加した。MgOを添加する場合には、Tb23及びY23を、Tb23:Y23が所望のモル比になるように、秤量した後、MgOを所定量添加し、上記原料組成物をよく混合し、混合物を成形機を用いて、直径3mm×長さ50mmの円柱状に成形した。
【0063】
【表1】

【0064】
(実施例7〜12、比較例4〜9)
次に、スカンジウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、ルテチウムなどの希土類酸化物のうち、酸化ガドリニウムまたは酸化ルテチウムと酸化テルビウムとの固溶体単結晶について、結果を示す。酸化物単結晶の製造方法は、Y23の代わりに、Gd23又はLu23を使用した以外は、実施例1と同様である。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
(実施例13〜19及び比較例10〜12)
図2に示すマイクロ引下げ装置を用いて単結晶を育成した。直径20mmレニウム坩堝と、レニウム坩堝底部に設けた細孔から流出する融液に接触させる種を保持する種保持具と、種保持具を下方に移動させる移動機構と、該移動機構の移動速度制御装置と、坩堝を加熱する誘導加熱装置とを具備した単結晶成長装置を用いた。またレニウムからなるアフターヒーターを配置した。坩堝底部に直径200μmの細孔を2〜3個設けた。
【0068】
原料として、99.9wt%以上の純度のTb23と99.9wt%以上の純度のY23の粉末原料を用意し、Tb23:Y23が所定のモル比になるように、秤量した。次に上記原料組成物に、純水を加え、3時間湿式混合して、混合した粉末を脱水し、真空乾燥した。次にその粉末を粉砕した後、エタノール、エチレングリコールを加えて、湿式混合して、スラリー状にした。このスラリー状になった混合物を、成形機を用いて、直径3mm×長さ50mmの円柱状に成形した。この成形体を1,600℃で2時間、アルゴン雰囲気で焼成して、直径3mm×長さ50mmのセラミックス焼結体を得た。
【0069】
マイクロ引下げ装置を用いて、上述の方法で乾燥した焼結原料を坩堝にセットした。昇温する前に、真空排気してから、99.99%純度のアルゴンガスを炉内に導入することで、炉内を不活性ガス雰囲気とし、高周波誘導加熱コイルに高周波電力を徐々に印加することで、坩堝を加熱して、坩堝内の原料を完全に融解した。融液の組成が均一になるように、この状態で8時間保持した。
【0070】
直径3mm×長さ50mmのセラミックス焼結体を所定の速度で徐々に上昇させて、その先端を坩堝下端の細孔に接触させて充分になじませた。次いで、融液温度を調整しながら引き下げ軸を下降させることで結晶を成長させた。準備した材料が全て結晶化し、融液が無くなった時点で結晶成長は終了にした。成長した結晶は、アフターヒーターに保持された状態で、徐々に室温まで冷却した。
【0071】
なお、得られた結晶は、温度勾配が強い条件で育成されているので、成長時の熱歪が残っており、結晶を切断するときに、クラックが生じてしまう場合がある。そのため、結晶成長後、真空熱処理炉に結晶を入れて、1,800℃のアルゴン雰囲気で12時間アニールして、熱歪を除去した。
【0072】
アニールした酸化物単結晶 直径3mm×長さ30mmを、内周刃切断機にて両端を切断し、その両端面を、コロイダルシリカなどの研磨剤で鏡面にした。得られた直径3mm×25mmの円筒状の結晶のベルデ定数を測定した。それぞれ実施例、比較例の結果を表4に示す。Tb23:Y23が0.4:0.6以上のモル比の場合、0.18min/(Oe・cm)以上であった。これは、TGG結晶のベルデ定数0.13min/(Oe・cm)のほぼ2倍以上の大きさであった。
【0073】
【表4】

【0074】
(実施例20〜25及び比較例13〜15)
セラミックス(透明セラミックス)の作製方法として、熱間等方圧加圧法にて透明セラミックスを作製する実施例、比較例を記述する。
先ず原料として、99.9%の高純度のTb23と99.999%のY23の粉末原料を用意し、Tb23:Y23が所定のモル比になるように、秤量した。Tb23粉末及びY23粉末を所定のモル比で混合し、混合粉末を濃度1mol/l硝酸水溶液として溶解し、それに濃度1mol/lの硫酸アンモニウム水溶液を混合し、さらに超純水を加えて、濃度を調整した。得られた水溶液を攪拌しながら、濃度0.5mol/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を、一定の滴下速度でpH8になるまで滴下し、攪拌しながら室温で2日間放置した。その後、ろ過と超純水での洗浄を行って、150℃で2日間乾燥した。得られた混合粉末を、アルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気若しくはアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気で、電気炉で、1,200℃3時間仮焼きを行った。不活性雰囲気にするのは、酸化テルビウムの価数が変化しないようにするためである。
【0075】
得られた原料粉末100g、溶媒としてメタノール50g、結合剤として、ポリビニルアルコール1g、可塑剤として、ポリエチレングリコール1g、潤滑剤として、ステアリン酸0.5gを加え、ナイロンボールミルを使って、湿式混合して、スラリー状とした。このとき、焼結助剤を所定量、例えば、0.001〜0.01重量部入れて混合した。
得られたスラリーをスプレードライヤーに掛けて、乾燥球状体を作製した。その乾燥球状体を、5mmφの金型に入れ、一次成形をした後、200MPaの圧力で、冷間静水圧(CIP)法により成形した。この成形体を、400〜600℃に昇温して脱脂を行った。400℃までは大気中で、それより高い温度は、不活性雰囲気で行った。
【0076】
その後、真空炉で1,700℃にて、8〜10時間焼成した。焼成条件として、1,200℃までは、300℃/hrとし、それ以上は、50℃/hrとして昇温した。真空度は、0.5×10-1Paで行った。
さらに透明性を上げるため、1,800℃、及び100MPaの圧力で、熱間等方圧加圧(HIP)法で、10時間の処理を行った。
【0077】
アニールしたセラミックス 直径3mm×長さ30mmを、内周刃切断機にて両端を切断し、その両端面を、コロイダルシリカなどの研磨剤で鏡面にする。得られた3mmφ×25mmの円筒状のセラミックスのベルデ定数を測定した。それぞれ実施例、比較例の結果を表4に示す。Tb23:Y23が0.4:0.6以上のモル比の場合、0.18min/(Oe・cm)以上であった。これは、TGG結晶のベルデ定数0.13min/(Oe・cm)のほぼ2倍以上の大きさであった。
【0078】
【表5】

【0079】
(実施例26〜49及び比較例16〜26)
Tb23:Y23=0.6:0.4で一定とし、焼結助剤を変化させた以外は実施例19と同様にして、透過率、消光比及びベルデ定数を評価した。結果を以下の表6〜9に示す。
【0080】
【表6】

【0081】
【表7】

【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
(実施例50)
作製した(Tb0.60.423結晶5mmφを、4.5mmφに外径を仕上げ、内周刃式スライサーでスライス切断し、その両面を、SiC砥粒によるラッピング及びコロイダルシリカによるポリッシングで、最終的に長さ12mmに仕上げてファラデー回転子を得た。この長さは、波長1.06μmにおいて、45度の回転角を得られる長さである。なお、波長1.06μm、光路長12mmでの透過率は、70%であった。
ファラデー回転子の両面には、空気用無反射コートを施した。
一方、光アイソレータの偏光子、検光子となる、10mm角の偏光ビームスプリッタを2個用意した。これら偏光子及び検光子の両面に、空気用無反射コートを施した。
ファラデー回転子、偏光子及び検光子の各々を、金属筐体に組合わせながら、組み込み、中心にレーザビームを透過させながら逆方向挿入損失が最大になるように偏光子(または検光子)を回転させて調整した後、接合固定した。このとき、ファラデー回転子外周には永久磁石を配置している。この光学素子を飽和磁場中に配置して光学特性を測定したところ、逆方向挿入損失43dB、順方向挿入損失は、0.20dBであった。放棄アイソレータは、従来品に比して挿入損失が少なく、光アイソレータとして高い性能を示した。また、従来品に比して、ファラデー回転子の長さが短く、小型の光アイソレータであった。
【符号の説明】
【0085】
100 キセノンランプFZ装置
110 上シャフト
112 下シャフト
114 フィードロッド
116 シードロッド
120 キセノンランプ
130 楕円体鏡
140 石英管
200 マイクロ引下げ装置
210 融液
220 坩堝
222 坩堝支持治具
230 保温筒
240 石英管
250 誘導加熱装置
260 種保持具
300 光アイソレータ
310 ファラデー回転子
312 光軸
320 偏光子
330 検光子
340 磁石
350 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される酸化物を99重量%以上含有することを特徴とする磁気光学材料。
(Tbx1-x23 (I)
(式(I)中、xは、0.4≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、テルビウム以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。)
【請求項2】
波長1.06μmでのベルデ定数が0.18min/(Oe・cm)以上であり、かつ、波長1.06μm、光路長3mmでの透過率が70%以上であり、光路長3mmでの消光比が25dB以上である、請求項1に記載の磁気光学材料。
【請求項3】
前記式(I)において、Rがスカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、イッテルビウム、ホルミウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択される、請求項1又は2に記載の磁気光学材料。
【請求項4】
アルカリ土類金属、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、第4族元素、第5族元素、若しくは第6族元素の酸化物、又は、第17族元素の化合物を0.00001重量%以上1.0重量%以下含有する、請求項1〜3いずれか1つに記載の磁気光学材料。
【請求項5】
アルカリ土類金属の酸化物を0.00001重量%以上1.0重量%以下含有する、請求項1〜4いずれか1つに記載の磁気光学材料。
【請求項6】
単結晶である、請求項1〜5いずれか1つに記載の磁気光学材料。
【請求項7】
フローティングゾーンメルト法、マイクロ引下げ法、引上げ法、スカルメルト法、ブリッジマン法、ベルヌーイ法、及びEFG法よりなる群から選択された製造方法で作製された、請求項6に記載の磁気光学材料。
【請求項8】
セラミックスである、請求項1〜5いずれか1つに記載の磁気光学材料。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1つに記載の磁気光学材料を用いた、波長0.40μm以上1.2μm以下におけるファラデー回転子。
【請求項10】
請求項9に記載のファラデー回転子の前後に偏光材料を配置した、光アイソレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−82079(P2012−82079A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226867(P2010−226867)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】