説明

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録装置

【課題】本発明は垂直磁気記録に適した磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録装置に関し、交換結合力制御層材料としてルテニウムのみからなる層を用いても量産性の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】非磁性基板1上に、軟磁性裏打ち層2、非磁性中間層3、垂直磁気異方性を有する第1記録磁性層4、Ruよりなる交換結合力制御層5、及び垂直磁気異方性を有する第2記録磁性層6を順次積層形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記交換結合力制御層5を形成するときのプロセスガスのガス圧を、2Pa以上5Pa以下に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録装置に係り、特に垂直磁気記録に適した磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の進展と共に、情報記録装置の中心的役割を担う磁気記録装置では、内蔵される磁気記録媒体に対して更なる高記録密度が求められている。例えば、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive: HDD)では、ハードディスクの記録密度が年率で50%以上というスピードで向上している。このような高記録密度を実現するには、記録層の磁化が面内方向に向いた面内記録媒体よりも、その磁化が垂直方向に向いた垂直磁気記録媒体が有利であると考えられている。垂直磁気記録媒体では、記録層の隣接するビットの磁化同士が反平行となって互いに強め合うため、高記録密度化を実現し易い。
【0003】
但し、記録密度が高くなると、1ビットの磁気情報を担う磁区ドメインの面積が減少し、その磁区ドメインにおける磁化の強さが弱くなるので、磁化が熱によって反転して磁気情報が消失する「熱揺らぎ」の問題が顕著となる。熱揺らぎ対策として、磁気異方性エネルギが大きい材料を用いることが考えられるが、一方で磁気異方性エネルギが大きいと、磁気記録情報を書き込むための記録磁界も大きくなるため、記録層の書き込み容易性が低減してしまう。
【0004】
このように、記録層の熱揺らぎ耐性と書き込み容易性とは互いにトレードオフの関係にあり、これらをいかにして両立させるかが垂直磁気記録媒体の開発に重要となっている。
【0005】
それらの両立を図るため、特許文献1では、いわゆるECC(Exchange Coupled Composite)磁気記録媒体が提案されている。このECC磁気記録媒体は、磁化容易軸が基板に対して垂直と面内、若しくは互いに斜め方向にある二層の記録層を積層し、それらの間に非磁性若しくは高飽和磁性の交換結合力制御層(中間層)を挿入することで、各記録層間の交換結合エネルギを制御して、記録磁界の低減を行う媒体である。特許文献1では、非磁性の交換結合力制御層としてRu(ルテニウム)層が開示され、高飽和磁性の交換結合力制御層としてCo(コバルト)層が開示されている。特に、交換結合力制御層材料としては、記録層と格子整合性の良いRuを用いることが好ましい。
【特許文献1】特開2005−56555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非磁性の交換結合力制御層としてルテニウムのみを用いた場合、交換結合力制御層が厚すぎると上下の記録層の交換結合エネルギが小さくなってしまい、記録磁界によって一方の記録層の磁化が反転しても他方の記録層の磁化が反転せず、磁気情報を書き込むために記録磁界を強めなければならなくなってしまう。そのため、ECC磁気記録媒体において非磁性の交換結合力制御層を形成する場合は、交換結合力制御層の厚さを0.2nm以下程度にまで薄くする必要がある。しかしながら、交換結合力制御層の膜厚を制御してこのように極薄とするのは非常に難しく、磁気記録媒体の量産性に問題を抱えていた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、交換結合力制御層材料としてルテニウムのみからなる層を用いても量産性の向上を図りうる磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体及び磁気記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、本発明の第1の観点からは、基板上に、軟磁性裏打ち層、中間層、垂直磁気異方性を有する第1記録層、ルテニウムを含んでなる交換結合力制御層、及び垂直磁気異方性を有する第2記録層を順次積層形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧を、該交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧に比べて高くした磁気記録媒体の製造方法により解決することができる。
【0009】
また上記の課題は、本発明の第2の観点からは、非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層、中間層、垂直磁気異方性を有する第1記録層、Ruよりなる交換結合力制御層、及び垂直磁気異方性を有する第2記録層を順次積層形成する磁気記録媒体の製造方法であって、前記交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧を、2Pa以上5Pa以下に設定した磁気記録媒体の製造方法により解決することができる。
【0010】
また上記発明において、前記交換結合力制御層としてルテニウムのみを積層することが望ましい。
【0011】
また上記の課題は、本発明の第3の観点からは、基材と、前記基材の上に形成された軟磁性裏打ち層と、該軟磁性裏打ち層の上に形成された中間層と、該中間層の上に形成された垂直磁気異方性を有する第1記録層と、該第1記録層の上に形成され、ルテニウムを含んでなり膜厚が0.2nm以上0.4nm以下の交換結合力制御層と、該交換結合力制御層の上に形成され、垂直磁気異方性を有し、前記交換結合力制御層を介して前記第1記録層と強磁性結合してなる第2記録層とを有することを特徴とする磁気記録媒体により解決することができる。
【0012】
また上記発明において、前記交換結合力制御層を構成するルテニウムが粒状構造であることが望ましい。また、前記交換結合力制御層がルテニウムのみからなることが望ましい。また、前記該交換結合力制御層の上に形成される第2記録層が粒状構造であることが望ましい。
【0013】
また上記の課題は、本発明の第4の観点からは、請求項4乃至7のいずれか一項に記載された磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に対向して設けられた磁気ヘッドとを有することを特徴とする磁気記録装置により解決することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、交換結合力制御層を厚く形成しても記録層の交換結合エネルギを高く維持できるため、垂直磁気記録特性の向上及び量産性の向上を共に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態であるECC構造を有する垂直磁気記録媒体10の基本構成を示す概略断面図である。同図に示すように、ECC構造を有する垂直磁気記録媒体10は、基板1の上に、軟磁性裏打ち層2、非磁性中間層3、磁気記録層9、保護層7を積層した構成を有する。
【0017】
基板1は、ガラス、アルミニウム、Si等の非磁性材料で形成された非磁性基板である。この上部に積層される軟磁性裏打ち層2は、高透磁率で非晶質であるFeCo合金を使用した。この軟磁性裏打ち層2は、非磁性層を含む複数層を積層した構成としてもよい。例えば、FeCoB層、Ru層、FeCoB層の各層を積層した構成とすることもできる。
【0018】
非磁性中間層3は、磁気記録層9の磁化容易軸の面直配向を促すことにより結晶性の向上を図るための層であり、単層又は複数層で形成される。本実施形態では、磁性記録層9と格子整合性が良好であるルテニウム(Ru)を使用した。しかしながら、非磁性中間層3として、例えば、アモルファスTa層、NiFeCr層、Ru層の積層、NiFeCr層、Ru層の積層等で形成することも可能である。
【0019】
磁気記録層9は、第1及び第2記録磁性層4,6を交換結合力制御層5で結合した構成を有する。第1記録磁性層4は、高い磁気異方性(高Hk)を有する磁性層であり、CoCrPt合金にSiOを添加したグラニュラ材料を用い、Pt組成量を20at%以上とすることで高Hkとした。また、第2記録磁性層6は、第1記録磁性層4に比べて低い磁気異方性(低Hk)を有する磁性層であり、CoCrPt合金にSiOを添加したグラニュラ材料を用い、Pt組成量を15at%以上とすることで第1記録磁性層4よりは磁気異方性(Hk)が低くなるよう構成している。
【0020】
尚、本実施形態では下層を第1記録磁性層4とし、その上部に交換結合力制御層5を介して第2記録磁性層6を積層した構成としているが、低Hkの記録磁性層を下層とし、高Hkの録磁性層をその上部に交換結合力制御層5を介して積層する構成とすることも可能である。
【0021】
交換結合力制御層5は良好なECC構造を実現するための層であり、本実施形態では交換結合力制御層5としてルテニウムのみ(純Ru)を用いた。後述するように、この交換結合力制御層5は、一般的に用いられるプロセスガス圧よりも高ガス圧を用いて形成されている。
【0022】
保護層7は例えばDLC(Diamond Like Carbon)層を用いることができ、またこの保護層上に潤滑剤を塗布してもよい。
【0023】
次に、本実施形態に係る磁気記録媒体10の製造手順について説明する。
【0024】
磁気記録媒体10を製造するには、先ずガラス基板等の非磁性基材1の上に、軟磁性裏打ち層2としてスパッタ法によりCoNbZr層を50〜100nm、より好ましくは50nmの厚さに形成する。このスパッタ法では、基板温度が室温に維持されると共に、プロセスガス(スパッタガス)としてArガスを使用し、また成膜圧力は約0.5Paとした。
【0025】
尚、基材1はガラス基板に限定されるものではなく、Al合金基材、表面に熱酸化膜が形成されたシリコン基板、或いはプラスチック基板を適用することも可能である。更に、軟磁性裏打ち層2は単層構造に限定されず、Ru層等の非磁性層で軟磁性裏打ち層2を分離し、分離された各軟磁性層同士を反強磁性的に結合させ、スパイクノイズの原因となる漏洩磁界が軟磁性裏打ち層2から出ないようにしてもよい。
【0026】
次いで、プロセスガスとしてArガスを使用するスパッタ法により、成膜圧力を0.5Paとする条件で軟磁性裏打ち層2の上にRu層を20〜30nmの厚さに形成し、それを非磁性中間層3とする。この非磁性裏打ち層3を形成する際、基板温度は室温に維持される。
【0027】
次に、酸化シリコン(SiO)中にCoCrPt粒子を分散させてなるグラニュラ構造のCoCrPt・SiO層をスパッタ法で厚さ約10nmに形成し、それを第1記録磁性層4とする。この際、上記のようにPt組成量を20at%以上とすることで、形成される第1記録磁性層4の高Hk化を図っている。尚、この第1記録磁性層4の成膜条件は特に限定されないが、本実施形態ではプロセスガスとしてArガスを使用し、成膜圧力を0.5Paとする。
【0028】
ここで、第1記録磁性層4の下層であるRuよりなる非磁性中間層3は、その結晶構造がhcp(hexagonal close-peaked)であり、第1記録磁性層4中のCoCrPt粒子の配向を垂直方向に揃えるように機能する。その結果、CoCrPt粒子は、非磁性中間層3と同じように垂直方向に延びたhcp構造の結晶構造となると共に、hcp構造の六角柱の高さ方向が磁化容易軸になり、第1記録磁性層4が垂直磁気異方性を呈するようになる。
【0029】
尚、第1記録磁性層4は、垂直磁気異方性を呈するのであればグラニュラ構造に限定されない。例えば、垂直磁気異方性を呈するCoCr系合金層を第1記録磁性層4として形成してもよい。
【0030】
続いて、この第1記録磁性層4の上に、反強磁性材料で構成される交換結合力制御層5として純Ru層(Ruのみからなる層)をスパッタ法で形成する。このRuのスパッタは、基板温度を室温に維持し、プロセスガスとしてArガスを用いて行う。この際、本実施形態ではプロセスガスの成膜ガス圧を2Paとし、一般的に用いられるプロセスガス圧(0.5Pa)よりも高ガス圧とした。また、交換結合力制御層5の厚さは、本実施形態では0.2nm以上0.4nm以下に設定している。このように、本実施形態では交換結合力制御層5の膜厚を厚く設定しているため、交換結合力制御層5の成膜効率を高めることができ、よって垂直磁気記録媒体10の量産性を高めることができる。
【0031】
上記のように交換結合力制御層5が形成されると、続いて交換結合力制御層5の上部に第2記録磁性層6が形成される。具体的には、プロセスガスとしてArガスを使用するスパッタ法により、成膜圧力を0.5Paとする条件で交換結合力制御層5の上にCoCrPt層を厚さ約6nmに形成し、そのCoCrPt層を第2記録磁性層6とする。この際、上記のようにPt組成量を15at%以上とすることで、形成される第2記録磁性層6の磁気異方性を第1記録磁性層4に比べて低Hk化している。
【0032】
この第2記録磁性層6は、第1記録磁性層4と同様に垂直磁気異方性を呈する。第1、第2記録層4、6は交換結合力制御層5を介して互いに強磁性結合し、各記録層4、6の間の交換結合エネルギは交換結合力制御層5によって制御し得る。尚、これ第1及び第2記録磁性層4、6の形成順序は上記した実施形態に限定されるものではなく、これらの形成順序を上記とは逆にしてもよい。
【0033】
次いで、Cガスを反応ガスとするRF-CVD(Radio Frequency Chemical Vapor Deposition)法により第2記録磁性層6の上に保護層7としてDLC(Diamond
Like Carbon)層を厚さ約4nmに形成する。更に、その上部に潤滑剤を塗布する構成としてもよい。以上により、本実施形態に係る磁気記録媒体10が製造される。
【0034】
上記した本実施形態による垂直磁気記録媒体10の製造方法は、交換結合力制御層5を純Ru膜とすると共に、この交換結合力制御層5をスパッタ法により形成する際に、プロセスガスの成膜ガス圧を、一般的に用いられるプロセスガス圧(0.5Pa)よりも高ガス圧(2Pa)としたことを特徴としている。
【0035】
本実施形態のように交換結合力制御層5の材料として純Ruを用い、かつ高プロセスガス圧で成膜することにより、Ru層厚マージンの拡大できる。即ち、交換結合力制御層5の材料として純Ruを用いることにより、第2記録磁性層6との格子整合性を高めることができる。
【0036】
また、高プロセスガス圧で成膜することで交換結合力制御層5を構成するRuは粒状構造となる。交換結合力制御層5はRKKY(Ruderman-Kittel-Kasuya-Yosida)相互作用と呼ばれる効果を上下磁性層間に作用させ交換結合力を制御しているが、交換結合力制御層5が粒状構造となることでその作用が弱まり、その分、作用を強めるよう交換結合力制御層5を厚くすることが可能になると考えられる。
【0037】
同時に交換結合力制御層5自身を粒状構造とすることで、その上に積層する磁性層(本実施形態では第2記録磁性層6)もそれにならい成長するため、第2記録磁性層6が粒状構造となるか粒状構造に近づく。また、もともと第2記録磁性層6が粒状構造をとるような材料である場合は、第2記録磁性層6の粒状構造が更に促進される。その結果、第2記録磁性層6の面内での磁気結合の分離が促進されるため、第2記録磁性層6の媒体記録分解能を向上させることができる。
【0038】
また、ここでは純Ruを用いたが、記録磁性層との格子整合性が良好な範囲でRuを含む合金を用いても、同様の効果が期待できる。
【0039】
次に、上記のようにして製造される本実施形態に係る垂直磁気記録媒体10により得られる利点について、図2及び図3を用いて説明する。
【0040】
図2は、交換結合制御層厚5を0nmから0.6nmまで変化させたときの媒体反転磁界低減効果を示している。同図では、縦軸に反転磁界の強さを示し、横軸に交換結合力制御層5の厚さを示している。
【0041】
また、上記した製法により製造される垂直磁気記録媒体10を実施例1とし、この実施例1と同様の媒体構成及び材料とすると共に交換結合力制御層5の成膜プロセスガスとしてArを用い、成膜ガス圧のみを異ならして5Paとしたものを実施例2とした。更に、実施例1と同様の媒体構成及び材料とすると共に交換結合力制御層5の成膜プロセスガスとしてArを用い、成膜ガス圧一般的なプロセスガス圧である0.5Paとしたものを従来例とした。図2では、この実施例1、実施例2、及び従来例を共に図示している。
【0042】
図2より、従来例では反転磁界が低減される最適層厚が約0.15nmであった。しかしながら、交換結合力制御層の最適層厚がこのように極薄である場合、垂直磁気記録媒体10の量産性に問題があることは前述した通りである。
【0043】
これに対し、実施例1及び実施例2では約0.30nmとなり、最適層厚を従来例に比べて約2倍程度まで増大することができた。よって、本実施形態に係る垂直磁気記録媒体10によれば、量産性を高めることが可能となる。また、実施例2のようにプロセスガス圧を5Paとしても、交換結合力制御層5の膜厚の変化は実施例1と変化がないため、少なくともプロセスガス圧を2Pa以上5Pa以下に設定した場合、量産性の高い膜厚(0.3nm)の交換結合力制御層5を実現することができる。
【0044】
一方、図3はArガス圧に対するRu層厚マージンを示す。ここでRu層厚マージンとは、反転磁界が狙いから200Oeのバラツキの範囲に収まるRu層の膜厚を意味する。同図より、Arガス圧を0.5Paから2.5Paに増大させることでRu層厚マージンを1.5程度まで拡大することが確認できた。よって、図3からの結果によっても、垂直磁気記録媒体10の量産性の向上を図ることができることが実証された。
【0045】
次に、本実施形態の磁気記録媒体10を備えた磁気記録再生装置20ついて説明する。図4は、磁気記録再生装置20の平面図である。この磁気記録再生装置20は、パーソナルコンピュータやテレビの録画装置に搭載されるハードディスク装置である。
【0046】
この磁気記録再生装置20では、磁気記録媒体10が、スピンドルモータ等によって回転可能な状態でハードディスクとして筐体17に収められる。更に、筐体17の内部には、軸16を中心にしてVCM18(ボイスコイルモータ)により回転可能なキャッリッジアーム14が設けられている。磁気ヘッド13はキャリッジアーム14の先端に設けられており、磁気ヘッド13が磁気記録媒体10の上方を走査することにより磁気記録媒体10への磁気情報の書き込みと読み取りが行われる。
【0047】
尚、磁気ヘッド13の種類は特に限定されず、GMR(Giant Magneto-Resistive)素子やTuMR(Tunneling Magneto-Resistive)素子等の磁気抵抗素子で磁気ヘッドを構成してよい。また、磁気記録再生装置20は、上記のようなハードディスク装置に限定されず、可撓性のテープ状の磁気記録媒体に対して磁気情報を記録するための装置であってもよい。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の断面図である。
【図2】図2は、交換結合制御層の膜厚と反転磁界との関係を示す図である。
【図3】図3は、Arガス圧とRu層厚マージンとの関係を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る磁気記録再生装置の平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2 軟磁性裏打ち層
3 非磁性中間層
4 第1記録磁性層
5 交換結合力制御層
6 第2記録磁性層
7 保護層
9 磁気記録層
10 垂直磁気記録媒体
11 ディスク
13 磁気ヘッド
20 磁気記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、軟磁性裏打ち層、中間層、垂直磁気異方性を有する第1記録層、ルテニウムを含んでなる交換結合力制御層、及び垂直磁気異方性を有する第2記録層を順次積層形成する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧を、該交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧に比べて高くした磁気記録媒体の製造方法。
【請求項2】
非磁性基板上に、軟磁性裏打ち層、中間層、垂直磁気異方性を有する第1記録層、Ruよりなる交換結合力制御層、及び垂直磁気異方性を有する第2記録層を順次積層形成する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記交換結合力制御層を形成するときのプロセスガスのガス圧を、2Pa以上5Pa以下に設定した磁気記録媒体の製造方法。
【請求項3】
前記交換結合力制御層としてルテニウムのみを積層することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
基材と、
前記基材の上に形成された軟磁性裏打ち層と、
該軟磁性裏打ち層の上に形成された中間層と、
該中間層の上に形成された垂直磁気異方性を有する第1記録層と、
該第1記録層の上に形成され、ルテニウムを含んでなり膜厚が0.2nm以上0.4nm以下の交換結合力制御層と、
該交換結合力制御層の上に形成され、垂直磁気異方性を有し、前記交換結合力制御層を介して前記第1記録層と強磁性結合してなる第2記録層と、
を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
前記交換結合力制御層を構成するルテニウムが粒状構造であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
前記交換結合力制御層がルテニウムのみからなることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
前記該交換結合力制御層の上に形成される第2記録層が粒状構造であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか一項に記載された磁気記録媒体と、
該磁気記録媒体に対向して設けられた磁気ヘッドとを有することを特徴とする磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−238275(P2009−238275A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80738(P2008−80738)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】