説明

磁気記録媒体及び磁気記録再生装置

【課題】低磁歪定数、高飽和磁束密度及び良好な表面平滑性を備えたハ−ドディスク装置などに用いられる磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性基板1上に、少なくとも軟磁性裏打ち層11、下地層6、中間層7及び磁気記録層8をこの順で有する磁気記録媒体において、軟磁性裏打ち層11が、少なくとも1層以上のナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜3,5を含み、この軟磁性合金膜3,5の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)等で使用される磁気記録媒体、並びにそのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直磁気記録方式は、磁気記録媒体が備える磁気記録層の磁化容易軸を媒体の面内方向から媒体の面直方向に向ける方式である。この垂直磁気記録方式については、記録ビット間の境界である磁化遷移領域付近での反磁界が小さく、記録密度が高くなるほど静磁気的に安定となって熱揺らぎ耐性が向上することから、面記録密度の向上に適した方式であることが一般に知られている。
【0003】
また、磁気記録媒体を構成する非磁性基板と垂直磁気記録層との間に、軟磁性合金からなる軟磁性裏打ち層を設けた場合には、いわゆる垂直2層媒体として機能し、高い記録能力を得ることができる。この場合、軟磁性裏打ち層は、磁気ヘッドからの記録磁界を還流させる役割を果たしており、この軟磁性裏打ち層に、飽和磁束密度が高く、保磁力が低く、透磁率の高い軟磁性合金膜を用いることで、記録再生効率を向上させる効果を得ることが可能である。
【0004】
しかしながら、磁気記録再生装置の高記録密度化の要求に伴い、軟磁性裏打ち層に起因したノイズの発生が問題となってきている。このノイズ発生の主な原因は、軟磁性裏打ち層に生成した磁壁からの漏洩磁場である。このため、磁壁生成の抑制や漏洩磁場の低減がこれまで検討されている。
【0005】
一般的に、軟磁性裏打ち層を構成する軟磁性合金膜には、CoZrNb、CoTaZr、CoFeB等のアモルファス材料が用いられており、この軟磁性合金膜に、CoZr合金を用いたもの(例えば、特許文献1を参照。)や、FeAlSi又はFeTaNを用いたもの(例えば、特許文献2を参照。)などが提案されている。
【0006】
一方、下記特許文献3の段落[0019]には、CoFeZr合金に、Tiや、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si、Al、Mgを添加することで、軟磁性合金膜の磁歪を低減し、軟磁気特性を向上させる効果や、耐食性を向上させる効果があることが記載されている。また、CoFeZr合金に、Tiや、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si、Al、Mgを添加することで、軟磁性合金膜の磁歪を低減し、軟磁気特性を向上させる効果や、耐食性を向上させる効果があることが記載されている。
【0007】
しかしながら、軟磁性裏打ち層に、上述した軟磁性合金膜を用いた場合でも、このような軟磁性裏打ち層において多用されるCo又はFeが高温高湿下で腐食し易いといった問題がある。特に、飽和磁束密度Bsを上げるために、Feを多く添加したCoFe合金においては、このような腐食の問題がより顕著に生じることが明らかとなっている。
【0008】
一方、下記非特許文献1の846頁及び図13−13には、Fe−Co合金において磁歪を0にできることが記載されている。しかしながら、これはFe−Co合金の磁歪を完全に0にできることを意図するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−282834号公報
【特許文献2】特開平11−149628号公報
【特許文献3】特開2008−115461号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】磁性体ハンドブック、朝倉書店、第6刷(1986)、第846項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層等に用いられる軟磁性合金については、上述した軟磁性特性に優れた耐食性の高い材料が求められる。特に、アモルファス構造を有する軟磁性合金は、耐食性が高く、結晶磁気異方性がないため、保磁力が低く、透磁率を高められる特徴を有している。また、軟磁性合金を薄膜として用いる場合は、膜表面の平滑性が高まり、これによって磁気記録媒体の表面における平滑性を高めることができるため、垂直磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層として好適なものになる。
【0012】
ところで、強磁性体の物性としては、上述した飽和磁束密度や、保磁力、透磁率などがあり、更に磁歪という現象もある。磁歪は、材料の内部応力によって誘導磁気異方性を生ずる逆の現象を持つ。また、磁歪は、磁壁エネルギーにも影響を与えるため、透磁率などの軟磁性特性に影響を及ぼす。したがって、この磁歪を小さくすることで、更に透磁率特性を高め、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる効果が期待される。
【0013】
本発明者らは、このような知見に基づいて検討を重ねたところ、従来よりアモルファス構造を有する軟磁性合金膜には、僅かながらナノ結晶粒子が混在し、このナノ結晶粒子が裏打ち層の表面粗さを悪化させ、耐食性を低下させることがわかった。特に、軟磁性裏打ち層の形成後における成膜工程では、加熱によってこのナノ結晶粒子を基点とした結晶化が進行し、軟磁性合金膜の磁歪及び保磁力が高まり、磁気記録媒体の電磁変換特性を悪化させることになる。
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ナノ結晶粒子の混入が無く、磁歪が極めて低いアモルファス構造を有する軟磁性合金膜を軟磁性裏打ち層に用いることで、記録再生特性の向上を図りつつ、更なる高記録密度化に対応可能な磁気記録媒体、並びに、そのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、以下の手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の手段を提供する。
【0016】
(1) 非磁性基板の上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と、下地層と、中間層と、磁気記録層とを、この順で積層した磁気記録媒体であって、
前記軟磁性裏打ち層が、少なくとも1層以上のナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜を含み、この軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(2) 前記軟磁性合金膜は、Co、Fe、B、Nbを含有し、これらの元素の含有量について、Coをa原子%、Feをb原子%、Bをx原子%、Nbをy原子%としたときに、
80≦a+b≦84、
14≦a/b≦17、
14≦x≦17、
0.5≦y≦3
の関係を満足することを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体。
(3) 前記軟磁性合金は、更に、Siを含有し、このSiの含有量をz原子%としたときに、
0.5≦z≦6
の関係を満足することを特徴とする前項(2)に記載の磁気記録媒体。

(4) 前記軟磁性合金膜の飽和磁束密度Bsが1.1T以上であり、この軟磁性合金膜の表面における微小うねりWaが0.3nm以下であることを特徴とする前項(1)〜(3)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(5) 前軟磁性裏打ち層は、2層の軟磁性合金膜と、その間に非磁性カップリング膜とを含み、これら2層の軟磁性合金膜が非磁性カップリング膜を挟んで反強磁性結合しており、
なお且つ、前記2層の軟磁性合金膜の間に働くバイアス磁界Hbiasが、3950A/m以上であることを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
(6) 前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、軟磁性裏打ち層が、少なくとも1層以上のナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜を含み、この軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下であることから、表面平滑性や、耐食性、透磁率が高く、この軟磁性裏打ち層を形成した後の磁気記録層等の成膜工程において、加熱によるナノ結晶粒子を基点とした結晶化が進行し難い磁気記録媒体を得ることが可能である。
【0018】
したがって、本発明によれば、記録再生特性の向上を図りつつ、更なる高記録密度化に対応可能な磁気記録媒体、並びに、そのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の軟磁性合金膜について高分解能透過電子顕微鏡を用いて撮影された写真である。
【図2】本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜と、本発明の組成範囲を満たさない軟磁性合金膜とのX線回折を行った結果を示すグラフである。
【図3】本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
【図4】軟磁性裏打ち層を形成する軟磁性合金膜の磁化容易軸方向のMHループを示すグラフである。
【図5】磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
【図6】実施例8の磁気記録媒体と比較例2の磁気記録媒体とのSNR及びBit Error Rateを比較したグラフである。
【図7】実施例8の磁気記録媒体と比較例2の磁気記録媒体との線記録密度及び面記録密度を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した磁気記録媒体及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0021】
(軟磁性合金膜)
本発明を適用した磁気記録媒体は、非磁性基板の上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と、下地層と、中間層と、磁気記録層とを、この順で積層した構造を有し、軟磁性裏打ち層が、少なくとも1層以上のナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜を含み、この軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下であることを特徴とする。
【0022】
また、このようなナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜は、Co、Fe、B、Nbを含有し、これらの元素の含有量について、Coをa原子%、Feをb原子%、Bをx原子%、Nbをy原子%としたときに、80≦a+b≦84、14≦a/b≦17、14≦x≦17、0.5≦y≦3の関係を満足することで実現可能である。
【0023】
また、この軟磁性合金膜は、更にSiを含有し、このSiの含有量をz原子%としたときに、0.5≦z≦6の関係を満足することが好ましい。
【0024】
上記軟磁性合金膜の主構成元素であるFe、Coに対して、半金属元素であるB、Siは、主構成元素に対して負の混合熱を有し、共晶を形成し融点を降下せしめる。このような共晶合金を薄膜化することで、上記軟磁性合金膜は、結晶構造を持たずアモルファス状態として固化し、良好な軟磁気特性を発現する。また、上記軟磁性合金膜は、ナノ結晶粒子を混在することなく、表面粗さの劣化及び耐食性の低下を効果的に抑制できる。
【0025】
特に、軟磁性裏打ち層を形成した後の磁気記録層等の成膜工程において、加熱によるナノ結晶粒子を基点とした結晶化を進行させることがないため、この軟磁性合金膜の磁歪及び保磁力を低下させることができ、その結果、軟磁性裏打ち層の透磁率特性を高め、磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させることが可能である。
【0026】
ここで、上記軟磁性合金膜の各組成を限定した理由について説明する。なお、以下の説明では、a,b,x,y,zの単位である原子%を省略するものとする。
上記軟磁性合金膜は、上述したナノ結晶を含まないアモルファス構造を実現するため、主構成元素であるFe及びCoの総和(a+b)を80≦a+b≦84の範囲とすることが好ましく、81≦a+b≦83の範囲とするのが好ましい。また、半金属元素であるB、Siの組成範囲(x,z)を、それぞれ14≦x≦17、0≦z≦6の範囲とすることが好ましく、14.5≦x≦16、0.5≦z≦4の範囲とすることがより好ましく、14.5≦x≦16、1≦z≦4の範囲とすることが最も好ましい。
【0027】
Fe及びCoの総和(a+b)が上記範囲を超える、又は、B、Siの組成範囲(x,z)が上記範囲を下回ると、軟磁性合金膜がfcc−Fe相からなるナノ結晶粒子を含んでしまう。一方、Fe及びCoの総和(a+b)が上記範囲を下回る、又は、B、Siの組成範囲(x,z)が上記範囲を超えると、軟磁性合金膜が(Fe,Co)(B)化合物相又は(Fe,Co)(B,Si)化合物相からなるナノ結晶粒子が形成し易くなる。そして、このようなナノ結晶粒子は、磁気記録媒体の電磁変換特性を劣化させるため好ましくない。
【0028】
また、主構成元素であるFe及びCoの組成比(a/b)は、14≦a/b≦17とすることが好ましく、15≦a/b≦16.5とすることがより好ましい。ここで、Feを主成分としたアモルファス合金は、正の磁歪定数を示し、Coを主成分としたアモルファス合金は、負の磁歪定数を示すことが報告されている。このような知見から、Fe及びCoの組成比(a/b)が上記範囲を下回ると、軟磁性合金膜の磁歪定数λが−1×10−6未満となる。一方、Fe及びCoの組成比(a/b)が上記範囲を上回ると、軟磁性合金膜の磁歪定数λが+1×10−6超となる。
【0029】
本発明のように、軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値を極めて小さい値、すなわち1×10−6以下にするためには、Fe及びCoの組成比(a/b)を厳密に規定する必要がある。すなわち、Fe及びCoの組成比(a/b)が上記範囲から外れると、本発明で規定する上記軟磁性合金膜の磁歪定数λが得られ難くなり、その結果、磁気記録媒体の電磁変換特性が劣化してしまうため好ましくない。
【0030】
一方、Nbは、上述した主構成元素であるFe及びCoと、半金属元素であるB、Siとの組み合わせによって得られる軟磁性合金膜のアモルファス形成能を飛躍的に向上させる添加元素である。このNbの組成範囲(y)は、0.5≦y≦3とすることが好ましく、0.6≦y≦2とすることがより好ましい。
【0031】
Nbの組成範囲(y)が上記範囲を下回ると、軟磁性合金膜がfcc−Fe相からなるナノ結晶粒子を含んでしまう。一方、Nbの組成範囲(y)が上記範囲を超えると、(Fe,Co)(B)化合物相又は(Fe,Co)(B,Si)化合物相からなるナノ結晶粒子が形成し易くなる。そして、このようなナノ結晶粒子は、磁気記録媒体の電磁変換特性を劣化させるため好ましくない。
【0032】
以上のような組成範囲を満足する軟磁性合金膜は、CoFeNbSi(a,b,x,y,zの単位は原子%であり、式中、80≦a+b≦84、14≦a/b≦17、14≦x≦17、0.5≦y≦3、0≦z≦6の関係を満足する。)の一般式で表すことができる。また、これらの元素の含有量について、更に好ましい範囲は、81≦a+b≦83、15≦a/b≦16.5、14.5≦x≦16、0.6≦y≦2、0.5≦z≦4であり、最も好ましいyの範囲は、1≦z≦4である。
【0033】
本発明では、上記軟磁性合金膜の組成範囲を規定することによって、この軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値を1×10−6以下とすることができる。また、本発明では、上記軟磁性合金膜の組成範囲を規定することによって、軟磁性合金膜の飽和磁束密度Bsを1.1T以上、且つ、この軟磁性合金膜の表面における微小うねりWaを0.3nm以下とすることが可能である。
【0034】
さらに、本発明を適用した磁気記録媒体では、上記軟磁性裏打ち層を、2層の上記軟磁性合金膜と、その間に非磁性カップリング膜とを含み、これら2層の軟磁性合金膜が非磁性カップリング膜を挟んで反強磁性結合している構造とすることが好ましい。
【0035】
これにより、2層の軟磁性合金膜の間に働くバイアス磁界Hbiasを、3950A/m(50Oe)以上とすることが可能である。逆に、非磁性カップリング膜を挟んで2層の軟磁性合金膜を反強磁性結合させない場合は、上記バイアス磁界Hbiasを3950A/m(50Oe)以上とすることが困難である。
【0036】
なお、上記軟磁性合金膜を磁気記録媒体の軟磁性裏打ち層に用いる場合は、所望の組成に調合された薄膜を非磁性基板の上に成膜することで得られる。
【0037】
また、上記軟磁性合金膜を形成するための母合金を得る方法としては、高周波誘導加熱法を好適に用いることができるが、高周波誘導加熱法のみに限定されるものではなく、それ以外にも、アーク溶解及び粉末焼結法、抵抗加熱法、電子ビーム加熱法等を用いることができる。
【0038】
また、母合金を溶解する雰囲気は、アルゴンが好適に用いることができるが、アルゴンのみに限定されるものではなく、それ以外にも、大気、窒素、不活性ガス等を用いることができる。
【0039】
さらに、溶解した母合金から軟磁性合金膜を形成する方法については、スパッタ法を好好適に用いることができるが、スパッタ法のみに限定されるものではなく、それ以外にも、メッキ法、真空蒸着法等も用いることができる。
【0040】
ここで、上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜について、高分解能透過電子顕微鏡を用いることにより得られた画像を図1に示す。
図1に示すように、上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜では、アモルファス合金に特有のソルトペッパー模様が観察された。
【0041】
また、上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜と、上記本発明の組成範囲を満たさない軟磁性合金膜とのX線回折を行った結果を図2に示す。
図2に示すように、上側の線は、上記本発明の組成範囲を満たさない軟磁性合金膜のX線回折結果であり、45°付近のピークがナノ結晶粒子の存在を示している。これに対して、下側の線は、上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜のX線回折結果であり、ナノ結晶粒子を含まない完全なアモルファス状態であることがわかる。
【0042】
ナノ結晶粒子は、軟磁性合金膜の表面における微小うねりと軟磁性合金膜の耐食性を劣化させると共に、磁歪及び保磁力を低下させ、磁気記録媒体の電磁変換特性を劣化させることから、軟磁性合金膜はナノ結晶粒子を含まない組織であることが望ましい。
【0043】
(磁気記録媒体)
図3は、本発明を適用した磁気記録媒体の一例を示したものである。
この磁気記録媒体は、図1に示すように、非磁性基板1の上に、バリア層2と、軟磁性裏打ち層11を構成する第一軟磁性合金膜3、非磁性カップリング膜4及び第二軟磁性合金膜5と、下地層6と、中間層7と、垂直磁気記録層8と、保護層9とを、この順で積層し、この上に潤滑膜(図示せず。)を形成した構造を有している。
【0044】
非磁性基板1としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材料からなる金属基板を用いてもよく、ガラス、セラミック、シリコン、シリコンカーバイド、カーボン等の非金属材料からなる非金属基板を用いてもよい。
【0045】
非磁性基板1に用いられるガラス材料としては、アモルファスガラス、結晶化ガラス等を挙げることができる。アモルファスガラスとしては、汎用のソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等を使用することができる。また、結晶化ガラスとしては、リチウム系結晶化ガラス等を使用することができる。
【0046】
バリア層2は、非磁性基板1の成分や吸着した水分などが原因で生じるコロージョンを抑制する効果を有する。
【0047】
軟磁性裏打ち層11は、第一及び第二軟磁性合金膜3,5と、この間に形成される非磁性カップリング膜4とから構成される。第一及び第二軟磁性合金膜3,5には、上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜が用いられる。一方、非磁性カップリング膜4については、特に限定されないものの、Ru、Ir、Rhの中から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含む非磁性材料を用いることが好ましい。
【0048】
そして、この裏打ち層11では、第一軟磁性合金膜3と第二軟磁性合金膜5とが非磁性カップリング膜4を挟んで反強磁性結合(AFC結合)している。このような構成とすることで、外部からの磁界に対する耐性、並びに垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE現象に対する耐性を高めることが可能となる。
【0049】
軟磁性裏打ち層11(第一及び第二軟磁性合金膜3,5)の飽和磁束密度Bsは、1.1T以上とすることが好ましい。このような軟磁性裏打ち層11を用いた場合には、より優れた記録再生特性を得ることができる。
【0050】
軟磁性裏打ち層11の層厚は、第一軟磁性合金膜3、非磁性カップリング膜4及び第二軟磁性合金膜5を含めて、20nm以上80nm以下の範囲とすることが好ましい。
【0051】
軟磁性裏打ち層11を構成する2層の軟磁性合金膜3,5のAFC結合の大きさを示す指標である、第一軟磁性合金膜3と第二軟磁性合金膜5との間に働くバイアス磁界Hbiasは、50Oe(3950A/m)以上であることが好ましい。なお、1(Oe)は、約79A/mである。
【0052】
図4は、軟磁性裏打ち層11の面内成分(軟磁性裏打ち層11を形成する第一及び第二軟磁性合金膜3,5の磁化容易軸方向)のMHループを示すグラフである。図4に示すように、飽和磁束密度をMsとして、この飽和磁束密度Msの半分の値Ms/2である磁界をHbiasと定義する。
【0053】
第一及び第二軟磁性合金膜3,5として上記本発明の組成範囲を満足する軟磁性合金膜を用い、これら2層の軟磁性合金膜3,5の間に挟み込まれた非磁性カップリング膜4の膜厚を所定の厚み(0.6〜0.8nm)とすることで、50Oe以上のHbiasを得ることができる。これにより、磁気記録媒体の外磁場耐性及びWATE耐性を高めることが可能となる。
【0054】
なお、軟磁性裏打ち層11(第一及び第二軟磁性合金膜3,5)の保磁力Hcは、10Oe以下とすることが好ましい。また、第一軟磁性合金膜3及び第二軟磁性合金膜5の形成方法としては、スパッタリング法を好適に用いることができる。また、軟磁性裏打ち層11を形成する際は、基板の半径方向に磁界を与えた状態で成膜することが好ましい。
【0055】
第一及び第二軟磁性合金膜3,5は、ナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有するため、その表面粗さRaが大きくなることを防止し、磁気ヘッドの浮上量を低減することが可能となり、更なる高記録密度化が可能となる。また、腐食の原因の一つとなっているナノ結晶粒子や、結晶と結晶の粒界部分を含まないため、耐食性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0056】
また、後述する下地層6以後の成膜工程において、第一及び第二軟磁性合金膜3,5に含まれるナノ結晶粒子を基点とした結晶化が進行し難くなるため、これら第一及び第二軟磁性合金膜3,5の磁歪、保磁力、透磁率が高まって磁気記録媒体の電磁変換特性が悪化することを防止できる。
【0057】
すなわち、第一及び第二軟磁性合金膜3,5は、成膜時の結晶化を極力防ぐため、100℃未満の基板温度で成膜するが、第二軟磁性合金膜5以後に成膜される垂直磁気記録層8の垂直配向性を高めるため、100〜300℃の基板温度で成膜を行う。このため、第一及び第二軟磁性合金膜3,5にナノ結晶粒子が含まれると、第二軟磁性合金膜5以後の成膜工程において第一及び第二軟磁性合金膜3,5の結晶化が進行する虞がある。
【0058】
下地層6は、この上に設けられる垂直磁気記録層8の配向や結晶サイズを制御するためのものである。下地層6は、Ni、Ni合金、Pt、Pt合金、Ta、Ta合金、Cr、Cr合金の何れかの材料からなることが好ましい。
【0059】
下地層6に用いるNi、Ni合金、Pt、Pt合金、Ta、Ta合金、Cr、Cr合金には、結晶サイズの低減、後述する中間層7との結晶格子サイズの整合性を高めることを目的として、所定の元素を添加することができる。結晶サイズの低減を目的として添加する元素としては、特にB、Mnなどを挙げることができ、添加量は6原子%以下とすることが好ましい。また、中間層7との結晶格子サイズの整合性を高めることを目的として添加する元素としては、Ru、Pt、W、Mo、Ta、Nb、Ti等を挙げることができる。
【0060】
下地層6の層厚は、1nm以上10nm以下の範囲とすることが好ましい。この下地層6の層厚が1nm未満になると、この下地層6としての効果が不十分となり、粒径の微細化の効果を得ることができず、また配向も悪化するので好ましくない。一方、この下地層6の層厚が10nmを超えると、結晶サイズが大きくなるため好ましくない。
【0061】
中間層7の層厚は、16nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましい。中間層7を薄くすることで、磁気ヘッドと裏打ち層11との距離が小さくなり、磁気ヘッドからの磁束を急峻にすることができる。これにより、第一及び第二軟磁性合金膜3,5の厚みを更に薄くすることができ、生産性を向上することが可能となる。また、中間層7の材質としては、Ru又はRu合金を用いることが好ましい。
【0062】
垂直磁気記録層8は、媒体の面直方向に磁化容易軸を有している。この垂直磁気記録層8は、主な構成元素として、少なくともCoとPtを含有し、更にSNR特性改善等の目的で、酸化物やCr、B、Cu、Ru,Ta、Zr等を添加することもできる。
【0063】
垂直磁気記録層8に含有される酸化物としては、SiO、SiO、Cr、CoO、Ta、TiO等を挙げることができる。このような酸化物の体積率は15〜40体積%の範囲とすることが好ましい。この酸化物の体積率が15体積%未満になると、SNR特性が不十分となるため好ましくない。一方、この酸化物の体積率が40体積%を超えると、高記録密度に対応するだけの保磁力を得ることができないため好ましくない。
【0064】
垂直磁気記録層8の層厚は、6〜20nmの範囲とすることが好ましい。酸化物グラニュラー層からなる垂直磁気記録層8の厚さがこの範囲であれば、十分な出力を確保することができ、OW特性の悪化が生じないため好ましい。
【0065】
垂直磁気記録層8は、単層構造、若しくは組成の異なる材料からなる2層以上の構造とすることができる。特に、酸化物を含む層の上に、酸化物を含まない層を順次積層した構造であることが好ましい。
【0066】
保護層9は、垂直磁気記録層8の腐食を防ぐと共に、磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触した際に媒体表面の損傷を防ぐためのものである。保護層9としては、従来公知の材料を使用でき、例えば、C、SiO、ZrOを含むものを使用することが可能である。また、保護層9の層厚は、1nm以上5nm以下の範囲とすることが、磁気ヘッドと磁気記録媒体との距離を小さくできるので、高記録密度の点から望ましい。
【0067】
潤滑膜には、従来公知の材料、例えば、パーフルオロポリエーテル、フッ素化アルコール、フッ素化カルボン酸等を用いることができる。
【0068】
(磁気記録再生装置)
図5は、本発明を適用した磁気記録再生装置の一例を示すものである。
この磁気記録再生装置は、上記図4に示す構成を有する磁気記録媒体50と、磁気記録媒体50を回転駆動させる媒体駆動部51と、磁気記録媒体50に情報を記録再生する磁気ヘッド52と、この磁気ヘッド52を磁気記録媒体50に対して相対運動させるヘッド駆動部53と、記録再生信号処理系54とを備えている。また、記録再生信号処理系54は、外部から入力されたデータを処理して記録信号を磁気ヘッド52に送り、磁気ヘッド52からの再生信号を処理してデータを外部に送ることが可能となっている。また、本発明を適用した磁気記録再生装置に用いる磁気ヘッド52には、再生素子として巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子などを有した、より高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
【0069】
この磁気記録再生装置によれば、上記図4に示す軟磁性裏打ち層11を構成する第一軟磁性合金膜3及び第二軟磁性合金膜5が、ナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造であり、また磁歪が極めて低く透磁率も高いため、高密度の情報の記録再生が可能となる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0071】
本実施例では、先ず、高周波溶解法により母合金を溶製し、これをターゲットとして用いて、ガラス基板(MYG社製アモルファス基板MEL3、直径2.5インチ)上に、厚さ8nmの60Cr−40Tiバリア層を介してDCマグネトロンスパッタ法により、下記表1に示す実施例1〜8の各合金組成で、厚さ約20nmの第一軟磁性合金薄膜を形成した。
【0072】
次に、この上に厚さ0.47nmのRuからなる非磁性カップリング膜を介して、第一軟磁性合金と同一組成で、厚さ約20nmの第二軟磁性合金薄膜を形成し、実施例1〜8の軟磁性裏打ち層を形成した。
【0073】
そして、これら実施例1〜8の各軟磁性裏打ち層について、X線回折法及び高分解能透過電子顕微鏡による観察を行った。また、各軟磁性裏打ち層のHbias及び磁歪定数λについて、振動試料型磁力計及び光梃子法を用いた測定を行った。
【0074】
次に、上記軟磁性裏打ち層の上に、Ni−6W(W含有量6原子%、残部Ni)ターゲット、Ruターゲットを用いて、それぞれ5nm、10nmの層厚で順に成膜し、これを下地層及び中間層とした。
【0075】
次に、垂直磁気記録層として、厚さ6nmの60Co−10Cr−20Pt−10SiOを10nm、65Co−18Cr−14Pt−3Bを形成した後、CVD法により4nmの保護層を形成した。最後に、ディッピング法により、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑膜を形成し、実施例1〜8の垂直磁気記録媒体を作製した。
【0076】
そして、これら実施例1〜8の各垂直磁気記録媒体について、記録再生特性の評価を行った。この記録再生特性の評価については、米国GUZIK社製リードライトアナライザRWA1632、及びスピンスタンドS1701MPを用いて測定を行った。
【0077】
なお、本測定では、磁気記録媒体の回転数を10000rpmとし、書き込み周波数を400kHz〜700kHzまで変化させて測定した。なお、ノイズ量は、log(信号強度/ノイズ強度)の値であり、エラー率は、−log(エラービット数/総ビット数)の値である。
以下、実施例1〜8の磁気記録媒体についてまとめた評価結果を表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1に示すように、実施例1〜8の磁気記録媒体では、第一及び第二軟磁性合金膜が上記本発明の組成範囲を満足することによって、何れも上述したナノ結晶を含まないアモルファス構造を得ると共に、軟磁性裏打ち層(第一及び第二軟磁性合金膜)の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下となった。また、軟磁性裏打ち層の飽和磁束密度Bsが1.1T以上となり、Hbiasも50Oe以上となった。
【0080】
次に、比較例として、下記表2に示す比較例1〜8の各合金組成で第一及び第二軟磁性合金膜を形成した以外は、実施例と同様に磁気記録媒体の作製を行い、これら比較例1〜8の各磁気記録媒体について、実施例と同様の評価を行った。
以下、比較例1〜8の磁気記録媒体についてまとめた評価結果を表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
表2に示すように、比較例1の磁気記録媒体では、Bの組成範囲が17原子%を超えると共に、Co及びFeの総和が80原子%未満であるため、上記本発明の組成範囲を満たしていない。この比較例1の磁気記録媒体では、ナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造が得られたものの、軟磁性裏打ち層(第一及び第二軟磁性合金膜)の磁歪定数λの絶対値が1×10−6を超えてしまい、この軟磁性裏打ち層の表面における微小うねりWaが0.3nm以下となったものの、Hbiasが50Oe未満となってしまった。
【0083】
一方、比較例2,3の磁気記録媒体では、Co及びFeの総和が84を超え、Co及びFeの組成比も17を超えるため、上記本発明の組成範囲を満たしていない。このため、何れの磁気記録媒体も、軟磁性裏打ち層(第一及び第二軟磁性合金膜)の磁歪定数λの絶対値が1×10−6を超えると共に、この軟磁性裏打ち層がナノ結晶粒子を含む結晶構造となったため、この軟磁性裏打ち層の表面における微小うねりWaが0.3nmを超えてしまった。
【0084】
一方、比較例4〜6の磁気記録媒体では、上記比較例1〜3と同様に、上記本発明の組成範囲を満たしていない。このため、何れの磁気記録媒体も、軟磁性裏打ち層がナノ結晶粒子を含む結晶構造となり、この軟磁性裏打ち層の表面における微小うねりWaが0.3nmを超えてしまった。
【0085】
一方、比較例7,8の磁気記録媒体では、上記比較例1〜6と同様に、上記本発明の組成範囲を満たしていない。このため、何れの磁気記録媒体も、僅かにナノ結晶粒子を含むアモルファス構造となった。また、軟磁性裏打ち層の飽和磁束密度Bsが1.1T未満となってしまい、Hbiasも50Oe未満となった。
【0086】
次に、実施例8及び比較例2の磁気記録媒体について、記録再生特性の評価を行った。 なお、図6は、各垂直磁気記録媒体のSNR(ノイズ量)及びBit Error Rate(エラー率)を比較したグラフである。一方、図7は、各垂直磁気記録媒体の線記録密度及び面記録密度を比較したグラフである。なお、本測定では、書き込み周波数を400〜700kHzまで変化させながら測定を行った。
【0087】
図6及び図7に示すように、実施例8の磁気記録媒体は、比較例2の磁気記録媒体に比べ記録再生特性に優れることがわかる。
【0088】
また、腐食テスト(コロージョンカウント)については、高温高湿下(80℃、80%)に240時間放置した後のコロージョンスポットの数を、光学顕微鏡を用いて観察して評価した。
【0089】
その結果、実施例8の磁気記録媒体のコロージョンスポット数は片面あたり、平均で3点であり、比較例2の磁気記録媒体では、平均で11点であった。したがって、本発明の磁気記録媒体は、比較例の磁気記録媒体に比べて、耐食性に優れることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、磁気記録再生装置の一種であるハードディスク装置(HDD)等で使用される磁気記録媒体について、その電磁変換特性及び耐食性の向上を図ることが可能であり、そのような磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1…非磁性基板 2…バリア層 3…第一軟磁性合金膜 4…Ru膜 5…第二軟磁性合金膜 6…下地層 7…中間層 8…垂直磁気記録層 9…保護層 11…軟磁性裏打ち層
50…磁気記録媒体 51…回転駆動部 52…磁気ヘッド 53…ヘッド駆動部 54…記録再生信号処理系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性基板の上に、少なくとも軟磁性裏打ち層と、下地層と、中間層と、磁気記録層とを、この順で積層した磁気記録媒体であって、
前記軟磁性裏打ち層が、少なくとも1層以上のナノ結晶粒子を含まないアモルファス構造を有する軟磁性合金膜を含み、この軟磁性合金膜の磁歪定数λの絶対値が1×10−6以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記軟磁性合金膜は、Co、Fe、B、Nbを含有し、これらの元素の含有量について、Coをa原子%、Feをb原子%、Bをx原子%、Nbをy原子%としたときに、
80≦a+b≦84、
14≦a/b≦17、
14≦x≦17、
0.5≦y≦3
の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記軟磁性合金は、更に、Siを含有し、このSiの含有量をz原子%としたときに、
0.5≦z≦6
の関係を満足することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
【請求項4】
前記軟磁性合金膜の飽和磁束密度Bsが1.1T以上であり、この軟磁性合金膜の表面における微小うねりWaが0.3nm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前軟磁性裏打ち層は、2層の軟磁性合金膜と、その間に非磁性カップリング膜とを含み、これら2層の軟磁性合金膜が非磁性カップリング膜を挟んで反強磁性結合しており、
なお且つ、前記2層の軟磁性合金膜の間に働くバイアス磁界Hbiasが、3950A/m以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体に対する情報の記録再生を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−203924(P2012−203924A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64716(P2011−64716)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノテク・部材イノベーションプログラム 高機能複合化金属ガラスを用いた革新的部材技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】