説明

磁石心及びその製造方法

ナノ結晶質又は無定形の粒子の粉末及びプレス添加剤を用いてプレスした磁石心は最小の鉄損を特徴とすべきである。これらの粒子は、最初の帯状物表面により表される第一表面と、粉末化過程で生じた表面により表される第二表面を有し、これら第二粒子表面の圧倒的大部分が、何ら塑性変形をもたない滑らかな切断又は破断表面であり、前記第二粒子表面の塑性変形領域の比率Tは、0≦T≦0.5である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合体を形成するための合金粉末及びプレス添加剤を用いてプレスした磁石心に関する。本発明は、更に、この種の磁石心を製造する方法にも関する。
【0002】
鉄又は合金粉末から作られた粉体心を使用することは何年も前から確立されてきている。無定形又はナノ結晶質の合金も、例えば、それらの再磁化性では結晶質粉末より優れているので、益々用いられるようになってきている。無定形粉末と比較して、ナノ結晶質粉末は、一層大きな熱安定性を与え、ナノ結晶質粉末から作られた磁石心を高い作動温度に適したものにする利点を与える。
【0003】
ナノ結晶質粉体心のための原料は、典型的には、無定形帯板又は帯状材料を熱処理によりナノ結晶質にしたものである。通常、高速凝縮法(rapid solidification process)で鋳造された帯状物を、先ず機械的に、例えば、粉砕処理で粉末にしなければならない。次にそれを添加剤と一緒にホットプレス又はコールドプレス法でプレスし、複合体心を形成する。仕上げプレス品を、次に熱処理にかけ、無定形物質をナノ結晶質物質に転化することができる。
【0004】
EP 0302355B1には、鉄基合金からナノ結晶質粉末を製造する種々の方法が記載されている。無定形帯状物を振動又はボールミルで粉末にする。
【0005】
US6,827,557には、噴霧法で無定形又はナノ結晶質粉末を製造する方法が記載されている。この方法は、溶融物の冷却速度が粒径に甚だしく依存し、均一な無定形ミクロ構造体に必要な冷却速度を屡々得ることができず、特に大きな粒子の場合にはそうなる問題を含んでいる。この事は、極めて変動した結晶化度を有する粉末粒子を与える結果になる。
【0006】
鉄損のレベルは、磁石心の重要な特性である。鉄損には二つの因子が寄与し、それらは周波数依存性渦電流損失及びヒステリシス損失である。蓄電チョーク又はフィルターチョークのような用途では、例えば、100kHzの周波数での鉄損及び0.1Tの変調が関与する。この典型的な範囲では、鉄損はヒステリシス損失により支配される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、最小のヒステリシス損失、従って、低い鉄損を有する、合金粉末から作られた磁石心を具体的に述べる問題を基礎とする。
【0008】
更に、本発明は、この種の磁石心を製造するのに適した方法を具体的に述べる問題を基礎とする。
【0009】
更に、本発明によれば、これらの問題は、特許請求の範囲独立項の主題によって解決される。本発明の更に有利な進展は従属項の主題を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ナノ結晶質又は無定形の粒子の粉末及びプレス添加剤から作られた本発明による複合体磁石心では、それら粒子は、ナノ結晶質又は無定形の帯状物の最初の表面により表される第一表面と、粉末化過程で生じた表面により表される第二表面を有する。この第二表面の圧倒的大部分は全く塑性変形のない本質的に滑らかな切断又は破断(fracture)面であり、第二表面の塑性変形領域の比率Tは、0≦T≦0.5である。
【0011】
本発明は、個々の粉末粒子の特性、特にそれらの破断又は表面特性は、仕上げ磁石心の性質に大きな影響を与えるということを見出したことに基づく。例えば、帯状材料の粉末化で生じた粒子の表面は、主要な塑性変形の領域を含む。これらの変形した領域で発生した機械的応力は、望ましくない大きなヒステリシス損失を与える結果になる。更に、粉末化過程で加えられた大きなエネルギーは、構造損傷及び結晶子の核生成をもたらす。
【0012】
プレス過程でも、磁石心に機械的応力が導入され、粉末とプレス添加剤との熱膨張係数の差により機械的歪みが生ずる可能性がある。しかし、これらの応力は、後の熱処理により取るに足りないレベルまで減少させることができる。
【0013】
しかし、粒子表面の変形により起こされる構造損傷は、修復することができない。そのため、鉄損を減少させるためには、前もってそれが殆ど起きないようにしなければならない。
【0014】
粒子表面の塑性変形領域の比率Tは、0≦T≦0.2に限定するのが都合がよい。
【0015】
機械的応力を減少することにより、特に粒子表面の塑性変形を減少することにより、P≦5μWs/cm、好ましくはP≦3μWs/cmのサイクル損失を得ることができる。
【0016】
ナノ結晶質粒子は、合金組成、(Fe1−a)100−x−y−z−α−β−γCuSiM′αM″βγ、(式中、MはCo及び/又はNiであり、M′は、Nb、W、Ta、Zr、Hf、Ti、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、M″は、V、Cr、Mn、Al、白金族の元素、Sc、Y、希土類、Au、Zn、Sn、及びReからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Xは、C、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、及びAsからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、x、y、z、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.5;0.1≦x≦3;0≦y≦30;0≦z≦25;0≦y+z≦35;0.1≦α≦30;0≦β≦10;0≦γ≦10;を満たす)を有するのが都合がよい。
【0017】
別法として、粒子は、合金組成、(Fe1−a−bCoNi)100−x−y−z、(式中、Mは、Nb、Ta、Zr、Hf、Ti、V、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Tは、Cr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、Si、Ge、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、b、x、y、及びz、は、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.29;0≦b≦0.43;4≦x≦10;3≦y≦15;0≦z≦5;を満たす)を持っていてもよい。
【0018】
上に列挙した組成物には、Fe73.5CuNbSi13.5のような合金、及び非磁気歪み合金Fe73.5CuNbSi15.5が含まれる。
【0019】
可能な別の粒子は、合金組成、Mαβγ(式中、Mは、Fe、Ni、及びCoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Yは、B、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Zは、Si、Al、及びGeからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:70≦α≦85;5≦β≦20;0≦γ≦20;を満たす)を有する無定形粒子である。M成分の10原子%まで、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Nb、Mo、Ta、及びWからなる群からの少なくとも一種類の元素により置換してもよく、(Y+Z)成分の10原子%まで、In、Sn、Sb、及びPbを含む群からの少なくとも一種類の元素により置換してもよい。これらの条件は、合金Fe76Si1212により満足される。
【0020】
一つの可能なプレス添加剤は、ガラスソルダー(glass solder)であり、セラミック珪酸塩及び/又は熱硬化性樹脂であり、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、又はポリイミドを用いてもよい。
【0021】
本発明による磁石心は、慣用的粉末複合体心と比較して鉄損が著しく減少している利点を与え、それは、損失の周波数非依存性比率の減少、即ち、ヒステリシス損失の減少に起因させることができる。本発明による磁石心は、蓄電チョーク、フィルターチョーク、又は平滑チョークの電力因子を修正するチョーク(PFCチョーク)のような誘導部品で用いることができる。
【0022】
本発明による磁石心製造方法は、次の工程を含む:先ず、典型的には無定形の電磁軟合金の帯状物又は箔を利用する。しかし、帯状物又は箔は、別法として、ナノ結晶質でもよい。これに関連する用語「帯状物(strip)」とは、帯状物の断片、即ち、特に大きなエネルギーを加えなくても、大まかに粉砕された帯状物、例えば、フレークを含む。帯状物又は箔は、構造損傷を最小にする技術を用いて粉末にする。この方法は、通常切断及び/又は破壊(breaking)に基づく。目的は、最小のエネルギー入力を用いた粉末化法である。この目的から、粉末粒子を、それらの最終的粒径に到達した時、粉末化室から取り出し、粉砕室内の滞留時間tは、t<60秒であるのが好ましい。このやり方で生成した粉末を、次に少なくとも一種類のプレス添加剤と混合し、プレスして磁石心を形成する。
【0023】
短い粉末化過程の結果として、生成した粉末粒子への、それらの塑性変形を起こすようなエネルギー入力は、最小限に維持される。帯状物が破砕又は粉砕ではなく、主に切断により粉末にされる場合には粉末化後の新たな粒子表面を表す粉末粒子表面は、塑性変形の全くない極めて滑らかな切断又は破断(fracture)表面である。熱処理によっても必要な程度まで復元できない望ましくない大きなヒステリシス損失をもたらすであろう機械的歪みは、この製造方法では初めから回避されている。
【0024】
粉末化前に、帯状物又は箔は、熱処理により脆弱にし、一層エネルギー入力を少なくして一層容易に粉末にすることができるようにするのが都合がよい。無定形帯状物は、−195℃≦T〔ミル(mill)]≦20℃の温度T(ミル)で粗粒粉末フラクションへ転化することができる。なぜなら、そのような低い温度は、粉砕性を良くし、それにより更にその過程のエネルギー入力を減少するからである。
【0025】
プレス後、磁石心を熱処理過程にかけるのが都合が良く、それにより粉末と添加剤の熱膨張係数の差により起こされる歪みを除去することができる。プレスした磁石心の熱処理も、その磁気的性質を必要に応じ調節することができる。
【0026】
規定された性質を有する最大均質性の磁石心を製造するため、粉末化に続き、粉末を分離又は分粒過程にかけるのが都合がよい。粉末粒子の異なった粒径フラクションは、次に別々に処理する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
例1
本発明による方法の一つの態様として、高速凝縮法で帯状物をFe73.5CuNbSi13.5合金から製造し、次に熱脆弱化及び殆ど切断作用による最小エネルギー入力で粉末化を行った。比較のため、同じやり方で製造した帯状物を、慣用的方法により粉末にした。本発明により製造された粉末粒子の破断表面又は粒子表面は、目で見て塑性変形を示していなかったが、慣用的に製造した粉末粒子は大きな変形を示していた。両方の粉末を分粒し、同じフラクションを、プレス添加剤として5重量%のガラスソルダーと混合した。一軸ホットプレス法でそれら混合物をプレスし、500℃の温度及び500MPaの圧力で粉体心を形成した。これらの方法により製造された磁石心のサイクル損失を、次に決定した。サイクル損失は、完全磁化サイクル中のヒステリシス損失に相当する。それら損失を周波数によって分け、周波数を零にする限界値を求めることによりサイクル損失を決定する。サイクル損失は、最大変調に依存するが、再磁化周波数にはもはや依存しない。
【0028】
プレス過程後のサイクル損失は、慣用的に製造した磁石心については約16μWs/cmであり、本発明により製造された磁石心については約15.8μWs/cmであった。
【0029】
プレス後、磁石心を520℃で1時間の熱処理にかけ、粉末粒子のナノ結晶質化を行った。これに続き、サイクル損失をもう一度決定した。それらは、慣用的に製造した磁石心については約5.5μWs/cmであり、本発明により製造された磁石心については約2μWs/cmであった。熱処理過程中、プレスにより磁石心に誘導された応力は、従って、殆ど除去され、同時に熱処理は、最初無定形であった構造体をナノ結晶質化し、それにより磁気的性質の調節を行う。これに続き、完成したナノ結晶質粉体心のヒステリシス損失は、排他的に破断表面又は粒子表面の特性により実質的に決定される。
【0030】
例2
本発明による方法の更に別の態様として、高速凝縮法で帯状物を同様にFe73.5CuNbSi13.5合金から製造し、次に熱脆弱化及び殆ど切断作用による最小エネルギー入力で60秒より短い粉末化を行った。比較のため、同じやり方で製造した帯状物を、大きなエネルギー入力で600秒より長い時間粉末にした。本発明により製造された粉末粒子の破断表面又は粒子表面は、今度も目で見て塑性変形を示していなかったが、慣用的に製造した粉末粒子は大きな変形を示していた。
【0031】
例1の場合のように、それら粉末を分粒し、ガラスソルダと一緒にプレスし、磁石心を形成した。上に記載したように熱処理過程後、磁石心のサイクル損失を決定した。粒径の影響を考慮に入れるため、粉末粒子の異なった粒径フラクションから製造した磁石心を、別々に調べた。200〜300μmの直径を有する粒子については、本発明による磁石心のサイクル損失は2.3μWs/cmになり、慣用的手段により製造された比較心について4.3μWs/cmになった。300〜500μmの直径を有する粒子については、本発明による磁石心のサイクル損失は2.0μWs/cmになり、慣用的手段により製造された比較心については3.2μWs/cmになった。500〜710μmの直径を有する粒子については、本発明による磁石心のサイクル損失は1.7μWs/cmになり、慣用的手段により製造された比較心については2.3μWs/cmになった。
【0032】
例3
本発明による方法の更に別の態様として、高速凝縮法で帯状物を同様にFe76Si1212合金から製造し、次に熱脆弱化及び殆ど切断作用による最小エネルギー入力で60秒より短い時間で粉末化を行い、200〜300μmの直径を有する粒子を製造した。
【0033】
例1及び例2の場合のように、粉末を分粒し、ガラスソルダーと一緒に420℃の温度でプレスし、磁石心を形成した。440℃で2時間熱処理を行った後、サイクル損失を決定した。200〜300μmの直径を有する粒子については、本発明による磁石心のサイクル損失は、0.1Tの変調で4μWs/cmになった。
【0034】
これらの例は、粉体心のサイクル又はヒステリシス損失は、破断又は粒子表面の特性により強く影響を受け、それらの表面の塑性変形が一層大きなヒステリシス損失を起こすことを明らかに示している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無定形又はナノ結晶質粒子の粉末の複合体及び少なくとも一種類のプレス添加剤から製造された磁石心で、前記粒子が、最初の帯状物表面により表される第一表面と、粉末化過程で生じた表面により表される第二表面を有する磁石心であって、
前記第二粒子表面の圧倒的大部分が、何ら塑性変形をもたない本質的に滑らかな切断又は破断表面であり、前記第二粒子表面の塑性変形領域の比率Tが、0≦T≦0.5である、
ことを特徴とする、上記磁石心。
【請求項2】
粒子表面の塑性変形領域の比率Tが、0≦T≦0.2である、請求項1に記載の磁石心。
【請求項3】
サイクル損失Pが、P≦5μWs/cmである、請求項1又は2に記載の磁石心。
【請求項4】
サイクル損失Pが、P≦3μWs/cmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項5】
粒子が、合金組成(Fe1−a)100−x−y−z−α−β−γCuSiM′αM″βγ
(式中、MはCo及び/又はNiであり、M′は、Nb、W、Ta、Zr、Hf、Ti、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、M″は、V、Cr、Mn、Al、白金族の元素、Sc、Y、希土類、Au、Zn、Sn、及びReからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Xは、C、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、及びAsからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、x、y、z、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.5;0.1≦x≦3;0≦y≦30;0≦z≦25;0≦y+z≦35;0.1≦α≦30;0≦β≦10;0≦γ≦10;を満たす。)、
を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項6】
粒子が、合金組成(Fe1−a−bCoNi)100−x−y−z
(式中、Mは、Nb、Ta、Zr、Hf、Ti、V、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Tは、Cr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、Si、Ge、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、x、y、及びz、は、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.29;0≦b≦0.43;4≦x≦10;3≦y≦15;0≦z≦5;を満たす。)、
を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項7】
粒子が、合金組成Mαβγ
(式中、Mは、Fe、Ni、及びCoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Yは、B、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Zは、Si、Al、及びGeからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:70≦α≦85;5≦β≦20;0≦γ≦20;を満たす。)、
を有し、然も、M成分の10原子%まで、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Nb、Mo、Ta、及びWからなる群からの少なくとも一種類の元素により置換されていてもよく、(Y+Z)成分の10原子%まで、In、Sn、Sb、及びPbからなる群からの少なくとも一種類の元素により置換されてもよい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項8】
プレス添加剤としてガラスソルダーが与えられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項9】
プレス添加剤としてセラミック珪酸塩が与えられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項10】
プレス添加剤として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、又はポリイミドのような熱硬化性樹脂が与えられている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁石心。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の磁石心を用いた誘導部品。
【請求項12】
誘導部品が、電力因子を修正するチョークである、請求項11に記載の誘導部品。
【請求項13】
誘導部品が、蓄電チョークである、請求項11に記載の誘導部品。
【請求項14】
誘導部品が、フィルターチョークである、請求項11に記載の誘導部品。
【請求項15】
誘導部品が、平滑チョークである、請求項11に記載の誘導部品。
【請求項16】
磁石心の製造方法であって、次の工程:
無定形又はのナノ結晶質の電磁軟合金の帯状物又は箔を与えること;
前記帯状物又は箔を粉末化し、然も、粉末化室中の前記材料が、殆ど切断及び/又は破壊により粉末にされ、前記粉末粒子を、それらの最終的粒径に到達した時、前記粉末化室から取り出すこと;
前記粉末を一種類以上のプレス添加剤と混合すこと;
前記混合物をプレスして磁石心を形成すこと;
を含む、上記磁石心製造方法。
【請求項17】
粉末化室内の滞留時間tが、t<60秒である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プレス後、磁石心を熱処理過程にかける、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
帯状物又は箔を、粉末化前に熱処理により脆弱にする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
粉末化後に、粉末を分離過程にかけ、異なった粉末フラクションを別々に熱処理する、請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
合金組成(Fe1−a)100−x−y−z−α−β−γCuSiM′αM″βγ
(式中、MはCo及び/又はNiであり、M′は、Nb、W、Ta、Zr、Hf、Ti、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、M″は、V、Cr、Mn、Al、白金族の元素、Sc、Y、希土類、Au、Zn、Sn、及びReからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Xは、C、Ge、P、Ga、Sb、In、Be、及びAsからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、x、y、z、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.5;0.1≦x≦3;0≦y≦30;0≦z≦25;0≦y+z≦35;0.1≦α≦30;0≦β≦10;0≦γ≦10;を満たす。)、
を有する帯状物又は箔を使用する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
合金組成(Fe1−a−bCoNi)100−x−y−z
(式中、Mは、Nb、Ta、Zr、Hf、Ti、V、及びMoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Tは、Cr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、Si、Ge、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、a、x、y、及びz、は、原子%で特定化され、次の条件:0≦a≦0.29;0≦b≦0.43;4≦x≦10;3≦y≦15;0≦z≦5;を満たす。)、
を有する帯状物又は箔を使用する、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
合金組成Mαβγ
(式中、Mは、Fe、Ni、及びCoからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Yは、B、C、及びPからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、Zは、Si、Al、及びGeからなる群からの少なくとも一種類の元素であり、α、β、及びγは、原子%で特定化され、次の条件:70≦α≦85;5≦β≦20;0≦γ≦20;を満たす。)、
を有する帯状物又は箔を使用し、然も、M成分の10原子%まで、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Nb、Mo、Ta、及びWからなる群からの少なくとも一種類の元素により置換されていてもよく、(Y+Z)成分の10原子%まで、In、Sn、Sb、及びPbからなる群からの少なくとも一種類の元素により置換されてもよい、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
プレス添加剤としてガラスソルダーを用いる、請求項16〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
プレス添加剤としてセラミック珪酸塩を用いる、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
プレス添加剤として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、又はポリイミドのような熱硬化性樹脂を用いる、請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。


【公表番号】特表2009−541986(P2009−541986A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516039(P2009−516039)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052335
【国際公開番号】WO2008/007263
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(505205708)ファキュウムシュメルゼ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (5)
【Fターム(参考)】