説明

神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤、およびその製造方法

【課題】
神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防等に有効な低分子化合物を提供する。
【解決手段】
一般式


[式中、
は、1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、アルキレン鎖を表し;
は、1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、S、SO、SO、NHまたはOを表し;
n1は、0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基等を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基等を表す。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその水和物を有効成分として含有する、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BDNF、およびNGF等の神経栄養因子は、中枢および末梢神経系細胞の分化、機能維持、シナプス形成、および損傷時の再生および修復などに重要な役割を演じるタンパク質であり、神経変性疾患、糖尿病性神経障害、筋萎縮性側策硬化症、多発性硬化症、脳虚血性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、うつ病、およびがん化学療法等による末梢神経障害等の治療等に有効であることが知られている(非特許文献2、3、4および5)。しかしながら神経栄養因子は分子量1万以上の高分子タンパク質であり、このような高分子タンパク質を治療剤として用いる場合、投与方法上の制約や安全性の問題があることも知られている(非特許文献6および7)ことから、副作用の少ない神経栄養因子の作用を増強する低分子化合物の提供が切望されている。
一方で、神経栄養因子によってある種の転写調節因子の発現が制御されていることが知られており(非特許文献1参照)、神経栄養因子によって発現が制御されている転写調節因子の1つとしてNXFが知られている(特許文献1参照)。
また、NXFが欠損したマウスでは、神経変性疾患の原因の一つとして考えられているグルタミン酸毒性を惹起した際に神経変性疾患の症状が重篤にあらわれることから、NXFが神経保護作用に重要な役割を持つことが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−282502号公報
【特許文献2】特開2007−282501号公報
【非特許文献1】Nature、322、1986年、p.552-555
【非特許文献2】The Journal of the American Society for Experimental NeuroTherapeutics、vol.2、2005年、p.120−128
【非特許文献3】Annual review of neuroscience、24、2001年、p.1217−1281
【非特許文献4】Brain research reviews 、30、1999年、p.176−188
【非特許文献5】Progress in brain research、146、2004年、p.387−401
【非特許文献6】「最新医学」第54巻、第7号、1999年、88〜94頁
【非特許文献7】「インターベンション時代の脳卒中学(改訂第2版)上−超急性期から再発予防まで」、2006年、649〜654頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、神経栄養因子の活性を増強する低分子化合物の開発・提供が切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで発明者らは、NXF発現の誘導能を指標に、神経栄養因子の活性を増強する化合物を探索した結果、特定の構造を有する縮合6員環体またはその塩が神経栄養因子の活性を増強し、かつ神経細胞保護作用することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[23]等を提供するものである。
[1]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、SO、SO、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその水和物を有効成分として含有する、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤。
[2]
神経栄養因子の活性が関与する疾患が、脳卒中、脳虚血性疾患、多発性脳梗塞性認知症、ビンスワンガー型白質脳症、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症または網膜変性疾患である上記[1]に記載の剤。
【0006】
[3]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物
(ただし、
1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−キノキサリン、
1,2,3−4−テトラヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−6,7−ジメチル−キノキサリン、
2,3−ジヒドロ−2−(4−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン、
2,3−ジヒドロ−2−(2−ニトロフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンおよび
2,3−ジヒドロ−2−(4−ニトロフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン
は除く。)
、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【0007】
[4]
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が、


[式中、
21、X22、X23およびX24は、
それぞれ独立して、N、C−HまたはC−Yを表し(但し、X21、X22、X23およびX24の2つ以上がC−HまたはC−Yである);
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいはX21上のYと結合して−X−(CH−(XはOまたはSを表し、mは0〜2の整数を表す)で表される2価の鎖状基を形成してもよく;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。

で示される化合物である、上記[3]に記載の化合物。
【0008】
[5]
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が、


[式中、
31はN−YまたはOを表し;
32およびX33は、それぞれ独立して、C−H、C−YまたはNを表し(但し、X32およびX33のうち少なくとも1つは、C−HまたはC−Yである。);

1)水素原子
2)ハロゲン原子、
3)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基
4)アリール基
5)R1’−Z2’−Z1’−
(式中、
R1’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’は、−S(O)q’−、−O−、−S−、−NR2’−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR2’−CO−、−NH−S(O)q’−NH−、−S(O)q’−NH−または−NR2’−S(O)q’−(q’は0〜2の整数を、R2’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
Z1’はアルキレン鎖を表す。)、または
6)R1’’−Z2’’−
(式中、
R1’’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’’は、−CO−、−O−CO−、−NR2’’−CO−、−NH−S(O)q’’−、または−S(O)q’’−(q’’は0〜2の整数を、R2’’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表す。)を表し;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。]
で示される化合物である、上記[3]に記載の化合物。
【0009】
[6]
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が

[式中、
41およびX43は、
それぞれ独立して、CH、CH−Y、C(YまたはN−Yを表し;
42は、CH、CH−YまたはC(Yを表し;
n2は0〜4の整数を表し、

1)水素原子
2)ハロゲン原子、
3)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基
4)アリール基
5)R1’−Z2’−Z1’−
(式中、
R1’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’は、−S(O)q’−、−O−、−S−、−NR2’−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR2’−CO−、−NH−S(O)q’−NH−、−S(O)q’−NH−または−NR2’−S(O)q’−(q’は0〜2の整数を、R2’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
Z1’はアルキレン鎖を表す。)、または
6)R1’’−Z2’’−
(式中、
R1’’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’’は、−CO−、−O−CO−、−NR2’’−CO−、−NH−S(O)q’’−、または−S(O)q’’−(q’’は0〜2の整数を、R2’’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表す。)を表し;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。]
で示される化合物である、上記[3]に記載の化合物。
【0010】
[7]
がメチレン鎖である上記[3]〜[6]のいずれかに記載の化合物。
[8]
が1個以上のYで置換されていてもよいヘテロアリール基である上記[3]〜[7]のいずれかに記載の化合物。
[9]
が式

(A3’は、1個以上のYで置換されていてもよい)で示される、含窒素ヘテロアリール基である、上記[8]に記載の化合物。
[10]
が水素原子である上記[3]〜[9]のいずれかに記載の化合物。
[11]
1がSである上記[3]〜[10]のいずれかに記載の化合物。
【0011】
[12]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式
Xa−A−A
[式中、
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
Xaは、
脱離基を表す。]
で表される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物とを反応させることを特徴とする、
一般式

(式中の記号は前記と同一の意味を表す。)で示される化合物、薬学上許容される塩またはその溶媒和物の製造方法。
【0012】
[13]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物
(ただし、
1,2−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−キノキサリン、
3−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、
3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、および
2,3−ジヒドロ−3−(5−オキソ−2−フェニル−4H−オキサゾール−4−イリデン)−ベンゾ[1,4]オキサジン
は除く。)
、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
[14]
1がSである、上記[13]に記載の化合物。
【0013】
[15]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し
A3’は、
1個以上のYで置換されていてもよい含窒素ヘテロアリール基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式

[式中、
n1は、
0から4の整数を表し;
1は、
S、NHまたはOを表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表す
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない)。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物とを反応させることを特徴とする一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で表される化合物、薬学的に許容される塩またはその溶媒和物の製造方法。
[16]
がSである上記[12]または[15]に記載の製造方法。
【0014】
[17]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
A3’は、
1個以上のYで置換されていてもよい含窒素ヘテロアリール基を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物を極性溶媒で処理することを特徴とする一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物の製造方法。
[18]
極性溶媒が、アルコール溶媒またはスルホキシド溶媒である上記[17]に記載の製造方法。
【0015】
[19]
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式

[式中、
A3’は、
で置換されていてもよい、窒素原子を含むヘテロアリール基を表し;
は、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表す。]で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と
を反応させることを特徴とする
一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物の製造方法。
【0016】
[20]
1がOである上記[19]に記載の製造方法
[21]
上記[3]〜[11]のいずれかに記載の化合物、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
[22]
神経栄養因子の活性が関与する疾患の予防または治療用である上記[21]に記載の医薬組成物。
[23]
神経栄養因子の活性が関与する疾患が、脳卒中、脳虚血性疾患、多発性脳梗塞性認知症、ビンスワンガー型白質脳症、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症または網膜変性疾患である上記[22]に記載の医薬組成物。
【0017】
本明細書中、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を、化合物(I)と称する場合がある。また、本明細書中、化合物(I)、化合物(I)の薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物を、本発明の化合物と称する場合がある。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防等に有効な低分子化合物の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
以下に、本明細書中で用いられる用語を説明する。
【0021】
「ハロゲン(原子)」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素等が挙げられる。
【0022】
「非環状炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアルケニレン基があげられる。
「アルキル(基)」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル(基)が挙げられる。
「アルケニル(基)」としては、例えば、ビニル、2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、および3−シクロヘキセニル等の炭素数1〜6の非環状または環状のアルケニル(基)が挙げられる。
「アルキニル(基)」としては、例えば、エチニル、2−プロピニル、および2−ペンテン−4−イニル等の炭素数1〜6のアルキニル(基)が挙げられる。
「アルケニレン(基)」としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、および1,3−ブタジエニレン等の炭素数1〜6のアルケニレン(基)が挙げられる。
【0023】
「シクロアルキル(基)としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、およびシクロヘキサン等の炭素数3〜6のシクロアルキル(基)が挙げられる。
「アルコキシ(基)」としては、例えば、酸素原子を介して結合するアルキル(基)が挙げられる。該アルキル(基)としては、上記「アルキル(基)」を参照できる。このようなアルコキシ(基)としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、およびn−ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0024】
「アルキル(基)」、「アルコキシ(基)」は、「アルケニル(基)」、および「アルキニル(基)」は、それぞれ、直鎖または分枝鎖であってよい。
【0025】
「アルキレン(鎖)」としては、例えば、メチレン、エチレン、およびトリメチレン等の炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン鎖が挙げられる。
【0026】
「炭素環」としては、例えば、炭素数3〜10の炭素環が挙げられる。当該「炭素環」は、芳香族炭素環、または非芳香族炭素環であってよい。
「芳香族環状炭素環」としては、例えば、ベンゼンが挙げられる。
「非芳香族炭素環」としては、例えば、
炭素数3〜10のシクロアルカン(例、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン)、
炭素数3〜10のシクロアルケン(例、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン)、および
炭素数3〜10のシクロアルカジエン(例、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、シクロノナジエン、シクロデカジエン)が挙げられる。
「複素環」としては、例えば、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員の複素環が挙げられる。当該「複素環」は、芳香族複素環、または非芳香族複素環であってよい。
「芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員の芳香族複素環(例、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール(例、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール)、フラザン、チアジアゾール(例、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール.1.3.4−チアジアゾール)、トリアゾール(例、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール)、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン)が挙げられる。
「非芳香族複素環」としては、例えば、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する3〜8員(好ましくは4〜6員)の非芳香族複素環(例、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、イソキサゾリジン、オキサゾリジン、イソチアゾリジン、チアゾリジン、テトラヒドロフラン、チオラン、ジオキソラン(例、1,3−ジオキソラン)、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ピラン、ヘキサヒドロピリジン(ピペリジン)、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、チアン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、アゼパン、オキセパン、チエパン、オキサゼパン、チアゼパン、アゾカン、オキソカン、チオカン、オキサゾカン、チアゾカン、ジオキシン)が挙げられる。当該「非芳香族複素環」は、飽和、または部分飽和であってよい。
【0027】
「アリール(基)」としては、例えば、炭素数6〜14のアリール(基)(例、フェニル、ナフチル)が挙げられる。
「ヘテロアリール(基)」としては、例えば、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール(基)(例、チエニル、フリル、ピロール、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル(例、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル)ならびに、これらがベンゼン環と縮合している基が挙げられる。
「含窒素ヘテロアリール(基)」としては、例えば、環構成原子として、1個の窒素原子に加えて、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜2個のへテロ原子を有する5〜6員の含窒素ヘテロアリール(基)(例、ピロール、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、チアジアジリル(例、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル)が挙げられる。
【0028】
以下に、式(Ia)または(Ib)中で用いられる記号を説明する。
【0029】
上記式(Ia)または(Ib)中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、SO、SO、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。
【0030】
で表される「1個以上のYで置換されていてもよい環」の「環」としては、例えば、炭素環および複素環が挙げられる。
【0031】
当該「環」は、1個以上(好ましくは1〜3個)のYで置換されていてもよい。
で表される「非環状炭化水素基」および「シクロアルキル基」は、ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上(好ましくは、1〜3個)の置換基でそれぞれ置換されていてもよい。
で表されるR−Z−Z−のRで表される「アルキル基」は、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0032】
で表される「1個以上のYで置換されていてもよい環」のYとして好ましくは、例えば、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、
3)非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル)、および
4)R−Z−Z−(Rは、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、Zは−O−を表し、Zは結合手を表す。)(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル−O−、より好ましくはメトキシ、トリフルオロメトキシ)
である。
【0033】
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって形成する「1個以上のYa’で置換されていてもよい環」の「環」としては、例えば、炭素環および複素環が挙げられる。なかでも、好ましくは、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜2個のへテロ原子を有する5〜6員の非芳香族複素環(好ましくは、1,3−ジオキソラン、ピラン)およびベンゼンが挙げられる。
また、1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成することも好ましい。
【0034】
また、Yは、窒素原子上に存在する場合、好ましくは、Yである。
は、
1)水素原子
2)ハロゲン原子、
3)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基
4)アリール基
5)R1’−Z2’−Z1’−
(式中、
R1’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’は、−S(O)q’−、−O−、−S−、−NR2’−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR2’−CO−、−NH−S(O)q’−NH−、−S(O)q’−NH−または−NR2’−S(O)q’−(q’は0〜2の整数を、R2’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
Z1’はアルキレン鎖を表す。)、または
6)R1’’−Z2’’−
(式中、
R1’’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’’は、−CO−、−O−CO−、−NR2’’−CO−、−NH−S(O)q’’−、または−S(O)q’’−(q’’は0〜2の整数を、R2’’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表す。)を表す。
【0035】
で表される「非環状炭化水素基」および「シクロアルキル基」は、ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上(好ましくは、1〜3個)の置換基でそれぞれ置換されていてもよい。
で表されるR1’−Z2’−Z1’−のR1’で表される「アルキル基」は、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0036】
で表される「1個以上のYで置換されていてもよい環」として、好ましくは、例えば、
一般式

で示される環である。
21、X22、X23およびX24は、それぞれ独立して、NまたはC−Yを表す。但し、X21、X22、X23およびX24の2つ以上がC−Yである。
また、下記のように、X21上のYは、Aと結合して2価の鎖状基を形成してもよい。
当該環(Yを除く部分)として、好ましくは、ベンゼン環、およびピリジン環、特に好ましくは、ベンゼン環である。
特に当該環において、Yとして好ましくは、例えば、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、
3)非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル)、および
4)R−Z−Z−(Rは、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、Zは−O−を表し、Zは結合手を表す。)(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル−O−、より好ましくはメトキシ、トリフルオロメトキシ)
である。
【0037】
この場合、一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物は、次式で示される。

当該化合物には、次式(I1b)で示される互変異性体が存在し、当該互変異性体もまた本発明の範囲内であるが、(I1a)で示される化合物が優勢的に存在する。

【0038】
また、Aで表される「1個以上のYで置換されていてもよい環」としては、好ましくは、例えば、
一般式

で示される環である。
31はN−YまたはOを表し;
32およびX33は、それぞれ独立して、C−YまたはNを表す(但し、X32およびX33のうち少なくとも1つは、C−Yである)。
当該環(YおよびYを除く部分)として、特に好ましくは、例えば、3−シクロヘキセン−1−オン、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン−2−オンおよび3,4−ジヒドロピラン−2−オンである。
特に当該環において、Yとして好ましくは、例えば、非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル、エチル)である。
特に当該環において、Yとして好ましくは、例えば、非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル)である。
【0039】
この場合、一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物は、次式で示される。

当該化合物には、次式(I2a)で示される互変異性体が存在し、当該互変異性体もまた本発明の範囲内であるが、(I2b)で示される化合物が優勢的に存在する。

【0040】
また、Aで表される「1個以上のYで置換されていてもよい環」として、好ましくは、例えば、
一般式

で示される環である。
41およびX43は、
それぞれ独立して、CH、CH−Y、C(YまたはN−Yを表し;
42は、CH、CH−YまたはC(Yを表し;
n2は0〜4の整数を表す。
n2は、特に好ましくは、1である。
当該環(Yを除く部分)として、特に好ましくは、例えば、シクロヘキサノンおよびヘキサヒドロピリミジン−2,4−ジオンである。
特に当該環において、Yとして好ましくは、例えば、非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル)である。
特に当該環において、Yとして好ましくは、例えば、非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル)である。
【0041】
この場合、一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物は、次式で示される。

当該化合物には、次式(I3a)で示される互変異性体が存在し、当該互変異性体もまた本発明の範囲内であるが、(I3b)で示される化合物が優勢的に存在する。

【0042】
で表される「アルキレン鎖」として、好ましくは、例えばメチレン鎖である。
【0043】
で表される「1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基」の「芳香族基」として、好ましくは、例えば、「アリール基」および「ヘテロアリール基」である。
なかでも好ましくは、(1)フェニル、および(2)環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜2個のへテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール基(好ましくはピリジル、より好ましくは2−ピリジル)である。
【0044】
当該「芳香族基」は、1個以上(好ましくは1〜3個)のYで置換されていてもよい。
で表される「非環状炭化水素基」および「シクロアルキル基」は、ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上(好ましくは、1〜3個)の置換基でそれぞれ置換されていてもよい。
で表されるR−Z−Z−のRで表される「アルキル基」は、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0045】
として好ましくは、例えば、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素、塩素)、
3)非環状炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは、メチル)
および
4)R−Z−Z−(Rは、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、Zは−CO−O−を示し、Zは結合手を表す。)(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル−CO−O−、より好ましくはアセチルオキシである。)
で表される「1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基」としては、無置換の芳香属基もまた好ましい。
【0046】
は、好ましくは、水素原子またはメチルである。
また、Aが1個のYと結合して形成する「2価の鎖状基」として好ましくは、−X−(CH−(Xは結合手、NH、OまたはSを表し、mは0〜2の整数を表す)である。
は、好ましくはOであり、mは、好ましくは1である。当該2価の鎖状基として好ましくは、例えば、−O−CH−である。
が、結合するYとしては、次式中に表される位置のYが好ましい。

【0047】
1としては、S、およびOが好ましい。
【0048】
n1としては、0または1が好ましい。
【0049】
で表される「非環状炭化水素基」および「シクロアルキル基」は、ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上(好ましくは、1〜3個)の置換基でそれぞれ置換されていてもよい。
で表されるR−Z−Z−のRで表される「アルキル基」は、1個以上(好ましくは、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよい。
として好ましくは、例えば、
ハロゲン原子(好ましくは、塩素)、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい非環状炭化水素基(好ましくは、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、更に好ましくは、トリフルオロメチル)
である。
【0050】
化合物(I)としては、上記の好ましい例、より好ましい例、更に好ましい例等から選択される2以上を組み合わせて用いられているものが、好ましい。
【0051】
化合物(I)として好ましくは、例えば、以下の具体的態様が挙げられる。
【0052】
[具体的態様1]
一般式

[式中、
21、X22、X23およびX24は、、それぞれ独立して、N、C−HまたはC−Y(但し、X21、X22、X23およびX24の2つ以上(好ましくは、3つ)がC−HまたはC−Yである)を表す。
は、
炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン鎖(好ましくは、メチレン鎖)を表し;
は、
環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは、1個)のへテロ原子を有する5〜6員(好ましくは、6員)のヘテロアリール基(好ましくは、ピリジル、より好ましくは、2−ピリジル)を表し;
は、
水素原子を表すか、あるいは1個のYと結合して−X−(CH−(XはOまたはSを表し、mは0〜2の整数を表す;Xは好ましくはOであり、mは、好ましくは1である。)(好ましくは、−O−CH−)を形成してもよく;
1は、
OまたはSを表し;
n1は、
0を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、
3)炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)、および
4)R−Z−Z−(Rは、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、Zは−O−を表し、Zは結合手を表す。)(好ましくは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル−O−、より好ましくはメトキシ、トリフルオロメトキシ)
を表す。
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になってオキソ基で置換されていてもよい、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは、1〜2個)のへテロ原子(好ましくは、酸素原子)を有する3〜8員(好ましくは5〜6員)の複素環(例、1,3−ジオキソラン、ピラン)を形成してもよい。

で示される化合物、その薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【0053】
[具体的態様2]
一般式

[式中、
31はN−YまたはOを表し;
32およびX33は、それぞれ独立して、C−HまたはC−Yを表す。
は、
炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン鎖(好ましくは、メチレン鎖)を表し;
は、それぞれ1〜3個(好ましくは1個)のYで置換されていてもよい(1)フェニル、または(2)環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール基(好ましくは、イミダゾリル、ピリジル;より好ましくは、2−イミダゾリル、2−ピリジル)を表し;
は、
水素原子または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(好ましくは、メチル)を表し;
1は、
OまたはSを表し;
n1は、
0〜2(好ましくは、0〜1)の整数を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
ハロゲン原子(好ましくは、塩素)、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、トリフルオロメチル)
を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
は、各出現において、それぞれ独立して、
炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル、エチル)、
を表す。
は、各出現において、それぞれ独立して、
炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)、
を表す。
また、隣接する2個のYが、ベンゼン環を形成してもよい。]
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【0054】
[具体的態様3]

[式中、
41およびX43は、
それぞれ独立して、CH、またはN−Yを表し;
42は、
CH、CH−YまたはC(Yを表し;
n2は、
1を表し;
は、
炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン鎖(好ましくは、メチレン鎖)を表し;
は、
1〜3個(好ましくは、1個)のYで置換されていてもよい、環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員(好ましくは、6員)のヘテロアリール基(好ましくは、ピリジル;より好ましくは、2−ピリジル)を表し;
は、
水素原子または炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)を表し;
1は、
Sを表し;
n1は、
0を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)、
を表す。
は、各出現において、それぞれ独立して、
炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)、
を表す。
また、1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基(好ましくは、カルボニル基)を形成してもよい。]
で示される化合物、その薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【0055】
化合物(I)の薬学的に許容される塩としては、例えば金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。金属塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。このうち、薬学的に許容される塩が好ましい。例えば、化合物内に酸性官能基を有する場合にはアルカリ金属塩(例、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩など)などの無機塩、アンモニウム塩など、また、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸との塩が挙げられる。
なかでも、金属塩が好ましい。
化合物(I)は、互変異性体として、式(Ia)で示される化合物、および式(Ib)で示される化合物とを有し、いずれか一方の異性体も混合物も本発明の範囲内である。
本発明の縮合6員環化合物において、A1が縮合環である場合と、そうでない場合の縮合6員環の互変異性体は、それぞれの異なった安定構造を取りうる。例えば、以下に示す実施例2において合成される2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンは、H−Nの2次元NMRによりエナミン構造を、以下に示す実施例において合成される2−(2−ピリジルメチル)−3−(2−ヒドロキシ−6−フルオロフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジンはイミン構造を主として存在することを確認している。したがって、 化合物(I)としては、このような安定構造をとる異性体が好ましいが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の異性体を排除するものではない。
【0056】

【0057】
また、化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体などの異性体を有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も本発明の範囲内である。本発明の化合物に包含される。さらに、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された光学異性体も本発明の範囲内である。
化合物(I)は、結晶であっても非結晶であってもよく、いずれも本発明の範囲内である。
同位元素(例、H,H,14C,35S,125Iなど)などで標識または置換された化合物(I)も、本発明の範囲内である。
化合物(I)は、溶媒和物(例えば、水和物など)であっても、無溶媒和物であってもよい。
【0058】
次に本発明化合物の具体的例示を以下の表1〜3に表わす。表1〜3中のYがHの場合、n1は0である。また、表1〜3中のYの数(H以外)は、n1の数に一致する。
【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

【0061】
【表1−3】

【0062】
【表1−4】

【0063】
【表1−5】

【0064】
【表1−6】

【0065】
【表1−7】

【0066】
【表1−8】

【0067】
【表1−9】

【0068】
【表1−10】

【0069】
【表1−11】

【0070】
【表1−12】

【0071】
【表1−13】

【0072】
【表1−14】

【0073】
【表1−15】

【0074】
【表1−16】

【0075】
【表1−17】

【0076】
【表1−18】

【0077】
【表1−19】

【0078】
【表2−1】

【0079】
【表2−2】

【0080】
【表2−3】

【0081】
【表2−4】

【0082】
【表2−5】

【0083】
【表2−6】

【0084】
【表2−7】

【0085】
【表2−8】

【0086】
【表3−1】

【0087】
【表3−2】

【0088】
【表3−3】

【0089】
【表3−4】

【0090】
【表3−5】

【0091】
【表3−6】

【0092】
【表3−7】

【0093】
【表3−8】

【0094】
【表3−9】

【0095】
【表3−10】

【0096】
【表3−11】

【0097】
【表3−12】

【0098】
【表3−13】

【0099】
【表3−14】

【0100】
【表3−15】

【0101】
【表3−16】

【0102】
【表3−17】

【0103】
【表3−18】

【0104】
【表3−19】

【0105】
以下に、化合物(I)の製造方法を説明する。
【0106】
化合物(I)の一部は既に公知であり、公知の方法で製造することができる(例えばTetrahedron (2005), 61(27), 6642-6651、 Magnetc Resonance in Chemistry (2005), 43, 557-562)。
【0107】
化合物(I)およびその中間体の製造法について述べる。先ずはその概略をまとめる。以下のスキームでは、互変異性体の一方のみを示している。また、下記でも説明するが、当該スキーム中の製法2〜4において、Aは、

(A3’は、前記と同一の意味を示す。)で示される、含窒素ヘテロアリール基である。

【0108】
化合物(I)は、例えば、下記で示されるいずれかの方法またはこれに準じる方法に従って製造することができる。
特に記載の無い限り、反応式中の化合物の各記号は、上記と同様の意味を表す。なお、式中の化合物は、塩を形成している場合も含み、このような塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のものが挙げられる。また、各工程で得られた化合物は反応液のままか粗製物として次の反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、それ自体が公知の手段、例えば、抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。あるいは、式中の化合物が市販されている場合には市販品をそのまま用いることもできる。
特に記載の無い限り、本明細書中、室温は、約10℃〜約35℃である。
【0109】
[製法1]
製法1の製造方法として、化合物(I)を、下記一般式

で表される化合物(化合物(II))と下記一般式
Xa−A−A
(式中、Xaは脱離基を表す。)
で表される化合物(化合物(III))とを、反応させて製造することができる。
Xaで表される脱離基としては、例えば、
ハロゲン原子;
1個以上(例、1〜3個)のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシ等のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基);および
ニトロ基およびアルキル基から選択される1個以上(例、1〜3個、好ましくは1個)の置換基で置換されてもよいアリールスルホニルオキシ基(例、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ基、および2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基)等が好ましい。
化合物(III)の使用量は、化合物(II)1モルに対し、通常1〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
本反応において、反応温度の範囲は、通常−78度から室温であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約24時間である。この反応は塩基の存在下で行うことができる。用いられる塩基としては、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トルメチルシリル)アミド等が挙げられる。その使用量は、化合物(II)1モルに対して、通常1〜4モルである。所望により、この反応は添加剤の存在下で行ってもよい。用いられる添加剤としては、ヘキサメチルリン酸トリアミド、およびジメチルスルホキシド等が挙げられ、その使用量は、化合物(II)1モルに対して、通常4〜20モルが用いられる。本反応は溶媒中で行わせる事ができる。使用しうる溶媒としては、テトラヒドロフラン、およびジエチルエーテル等のエーテル溶媒等が挙げられる。
製法1で使用される、化合物(II)(ただし、1,2−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−キノキサリン、
3−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、
3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、および
2,3−ジヒドロ−3−(5−オキソ−2−フェニル−4H−オキサゾール−4−イリデン)−ベンゾ[1,4]オキサジンを除く。)は、新規化合物であり、本発明は、該化合物もまた提供する。
【0110】
化合物(II)のより好ましい様態は、上記式中のX1がSである化合物である。
【0111】
化合物(II)の好ましい具体的態様は、
一般式

は、
それぞれ、1〜6個のYで置換されていてもよい、(1)炭素数5〜6(好ましくは6)の炭素環(例、ベンゼン、シクロヘキサン)、または(2)環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは1〜2個)のへテロ原子を有する5〜6員(好ましくは6員)の複素環(例、ジヒドロピラン、テトラヒドロピリジン)を表し;
は、
水素原子、または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(好ましくは、メチル)を表すか、あるいは1個のYと結合して−X−(CH−(XはOまたはSを表し、mは0〜2の整数を表す;Xは好ましくはOであり、mは、好ましくは1である。)(好ましくは、−O−CH−)を形成してもよく;
1は、
S、またはOを表し;
n1は、
0を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、
3)炭素数1〜6のアルキル基(好ましくは、メチル)、および
4)R−Z−Z−(Rは、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、Zは−O−を表し、Zは結合手を表す。)(好ましくは、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル−O−、より好ましくはメトキシ、トリフルオロメトキシ)
を表す。
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、(1)ベンゼン環、または(2)環構成原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択される1〜3個(好ましくは、1〜2個)のへテロ原子(好ましくは、酸素原子)を有する3〜8員(好ましくは5〜6員)の複素環(例、1,3−ジオキソラン)を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学上許容される塩、またはその水和物である。
製法1の中間体として使用する本発明化合物の具体例を以下の表に表す。
【0112】
次に、化合物(II)の具体的例示を以下の表4〜6に表す。表4〜6中のYがHの場合、n1は0である。また、表1〜3中のYの数(H以外)は、n1の数に一致する。
【0113】
【表4−1】

【0114】
【表4−2】

【0115】
【表4−3】

【0116】
【表4−4】

【0117】
【表4−5】

【0118】
【表4−6】

【0119】
【表4−7】

【0120】
【表4−8】

【0121】
【表4−9】

【0122】
【表4−10】

【0123】
【表4−11】

【0124】
【表4−12】

【0125】
【表4−13】

【0126】
【表4−14】

【0127】
【表4−15】

【0128】
【表5−1】

【0129】
【表5−2】

【0130】
【表5−3】

【0131】
【表6−1】

【0132】
【表6−2】

【0133】
【表6−3】

【0134】
【表6−4】

【0135】
【表6−5】

【0136】
【表6−6】

【0137】
【表6−7】

【0138】
【表6−8】

【0139】
【表6−9】

【0140】
【表6−10】

【0141】
【表6−11】

【0142】
【表6−12】

【0143】
化合物(II)は、下記で示されるように、ニトロ基の還元に基づく1分子内環化反応、または2分子間環化反応によって製造することができる。

1分子内環化反応として、例えば公知の方法(例えばUS6350733)等に記載の方法に準じて製造可能な下記一般式

で表されるニトロ基を有する化合物(化合物(IV))を、酸存在下で還元剤によって処理することによって下記一般式

を製造することができる。
本反応において反応温度の範囲は、室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約24時間である。還元剤の使用量は、化合物(IV)1モルに対し、通常1〜10モルである。還元剤として鉄粉等が用いられ、酸としては、塩酸水溶液、または酢酸等が用いられる。本反応は溶媒中で行わせる事ができる。溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のといったアルコール溶媒、ならびに酢酸等が挙げられる。
【0144】
2分子間環化反応において、市販等で入手可能な下記一般式

(Xaは脱離基を表す。)
で表される化合物を市販等で入手可能な下記一般式

(式中の記号は、前記と同一の意味を示す。)
の化合物と反応させて下記一般式

(式中の記号は、前記と同一の意味を示す。)
の化合物を製造することができる。
Xaで表される脱離基としては、化合物(III)において例示したもの前記と同様のものが挙げられる。
はS(硫黄原子)であることが好ましい。
化合物(VI)の使用量は、化合物(V)1モルに対し、通常1〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
本反応において、反応温度の範囲は、通常室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約24時間である。本反応は溶媒中で行わせる事ができる。溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のアルコール溶媒;テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ならびにハロゲン化炭化水素類が用いられる。
【0145】
[製法2]
製法2の製造方法として、下記一般式

(A3’は1個以上のYbで置換されていてもよい、窒素原子を含むヘテロアリール基を表す。)
で表される化合物を、市販品にて、または公知の製造方法(例えば特公昭41−001412に記載の方法)により入手可能な下記一般式

(A3’は上記と同様の意味を表す。)
で表される化合物(化合物(VII))と、市販品等にて入手可能な下記一般式

で表される化合物(化合物(VIII))とを反応させて製造することができる。
はS(硫黄原子)であることが好ましい。
化合物(VIII)の使用量は、化合物(VII)1モルに対し、通常1〜3モル、好ましくは1〜1.5モルである。
本反応において、反応温度の範囲は、通常室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約24時間である。この反応は塩基の存在下で行うことができる。用いられる塩基としては、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、およびリチウムビス(トルメチルシリル)アミド等の金属塩、ならびにモルホリン、ピペリジン、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、および4−ジメチルアミノピリジンピリジン等の有機アミン等が挙げられる。その使用量は化合物(VIII)1モルに対して、通常0.001〜4モルである。溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ならびにハロゲン化炭化水素類が用いられる。
本反応に類似する反応として、以下で示すように、3-シンナモイル2-ピロン誘導体(R=2-OMe, 2-OH, 4-OH, 4-NO2, 2,6-diCl, 2-Cl)と2-アミノチオフェノールからベンゾ[1,5]チアゼピン誘導体のような縮合7員環構造が構築されるという報告がある(例えばIndian Journal of Chemistry section B, 1995, 34B, pp. 893-894.)

しかし、例えば、以下に示す実施例2において合成した化合物をH−Cの2次元NMRおよびH−Nの2次元NMRで詳細に解析したところ、当該化合物は、縮合6員環化合物すなわち、2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンであることが判明した。また、同一の化合物を製法1の製造法によって得られたことからも、本反応で得られた生成物が、縮合6員環構造であることを確認している。

【0146】
[製法3]
製法3として、下記一般式

(A3’は上記と同様の意味を表す。)
で表される縮合6員環化合物を、下記一般式

(A3’は上記と同様の意味を表す。)
にて表される縮合7員環化合物(化合物(IX))を極性溶媒で処理することにより製造することができる。ここで、極性溶媒で処理するとは、化合物(IX)を極性溶媒と接触させることを意味し、例えば、化合物(IX)を極性溶媒に溶解させることで実現できる。
本反応において、反応温度の範囲は、通常室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約1月である。極性溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のアルコール溶媒、ならびにジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒が用いられる。
本反応の原料および得られた生成物を2次元NMRで詳細に解析することにより、7員環から6員環への環変換が生じることが確認されている。
【0147】
化合物(IX)は、市販または技術上周知の方法(例えば特公昭41-001412)で入手可能な下記一般式

(AおよびA3’は上記と同様な意味を表す)
で表される化合物(化合物(VII’))と、市販等で入手可能な下記一般式

(n1、X1、Y1は上記と同様な意味を表す)
で表される市販等で入手可能な化合物(化合物(VIII))とを反応させて製造することができる。
【0148】
化合物(VIII)の使用量は、化合物(VII’)1モルに対し、通常1〜3モル、好ましくは1〜1.5モルである。
この製造方法において、反応温度の範囲は、室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、瞬時〜約24時間である。この製造方法は、通常、酸の存在下で行われる。用いられる酸としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸酸、硫酸等の無機酸類や、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げら、その使用量は化合物(VII)1モルに対して、0.001〜100モルが用いられる。溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ならびにハロゲン化炭化水素類が用いられ、先の記載の酸を溶媒として用いてもよい。
【0149】
[製法4]
製法4の製造方法として、下記一般式

(A3’は上記と同様の意味を表す。)
で表される化合物を、下記一般式

にて表される化合物(化合物(X))と、下記一般式

(A3’は上記と同様の意味を表す。)
で表される化合物(化合物(XI))とを反応させて製造することができる。
本製法のより好ましい様態は、X1がO(酸素)である製造法である。
化合物(XI)の使用量は、化合物(X)1モルに対し、通常1〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
本反応において、反応温度の範囲は、通常室温から還流温度であり、反応時間の範囲は、通常瞬時〜約24時間である。この製造方法は塩基の存在下で行われる。用いられる塩基としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トルメチルシリル)アミド等といった金属塩や、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンピリジンのような有機アミン等が挙げられ、その使用量は、化合物(X)1モルに対して、通常0.001〜4モルである。溶媒としては、例えば、メタノール、およびエタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、およびジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ならびにハロゲン化炭化水素類が用いられ、先の記載の有機塩基を溶媒として用いてもよい。
【0150】
所望により、上記の製法1〜4で合成された化合物の置換基を当該技術分野で慣用の方法によって変換するして、目的の化合物を得ることができる。
また、本発明の化合物には、互変異性体が存在しているが、それらを原料化合物あるいは目的化合物とする反応も、本発明の化合物の製造法に含まれ、前記で詳述した反応と同様にして行なうことが出来る。
【0151】
以上、化合物(I)の製造法について説明してきたが、これらの製造法に従って合成される化合物(I)は、転溶、濃縮、溶媒抽出、分溜、晶出、再結晶、およびカラムクロマトグラフィー等の公知の手法によって、反応混合物中より分取および精製することができる。
また、化合物(I)が遊離体として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法によって、目的とする、上記のような塩に変換することができ、逆に化合物(I)の塩として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または目的とする他の塩に変換することができる。
例えば、精製された化合物(I)を、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等の無機酸類や、酢酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類と反応させることにより、薬剤として許容し得る酸付加塩を容易に得ることが出来る。
また、精製された化合物(I)を、例えば水酸化リチウム、リチウムメチラート、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、水酸化カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、カリウム−t−ブチラートのような無機・有機金属塩と反応させることで、薬剤として許容し得る金属塩を容易に得ることが出来る。
【0152】
本発明の化合物を、意図される投与に適するすべての形態で提供することができる。適する形態は、薬学的に(すなわち生理学的に)許容される塩および本発明の化合物のプレドラッグ形およびプロドラッグ形を含む。これらのプレドラッグ形およびプロドラッグ形もまた、本発明の範囲内である。
【0153】
本発明の化合物は、神経栄養因子の活性を増強する作用を有し、特にこれにより、神経の保護に重要な役割を持つNXF遺伝子発現を誘導する作用を有する。
従って、本発明の化合物は、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤として使用できる。
本明細書中、疾患は障害およびその症状を含む意味で用いられる。
また、本明細書中、治療は症状の緩和を含む意味で用いられる。
【0154】
神経栄養因子の活性が関与する疾患としては、以下の神経疾患および精神疾患ならびにその他の疾患が挙げられる。
例えば、神経疾患および精神疾患としては、
神経変性疾患[例、血管性認知症(例、多発性脳梗塞性痴呆、ビンスワンガー型白質脳症)、アルツハイマー病(アルツハイマー型老年認知症、家族性アルツハイマー病)、軽度認知障害、記憶欠損および注意欠損、認知症に伴う問題行動、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、てんかん(例、難治性てんかん)、アブサンス発作、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ダウン症、脊髄小脳変性症、網膜変性疾患]、
中枢神経障害[例、脳血管障害(例、脳虚血、脳卒中)、脳虚血性疾患)、脊髄損傷、外傷性脳傷害]、
末梢神経障害[例、糖尿病性神経障害、がん化学治療法による末梢神経障害、一酸化炭素・鉛・もしくはドウモイ酸中毒による末梢神経障害、創傷による痺れ]、
不安、うつ病、双極性障害、統合失調症、
痙攣、慢性硬膜下血腫、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、辺縁系脳炎、間欠性跛行、偏頭痛、疼痛、慢性疼痛(持続性身体表現性疼痛障害)、脳代謝障害、膠原病、レイノー病、および筋緊張性筋ジストロフィーが挙げられる。
神経疾患および精神疾患以外の疾患としては、例えば、
糖尿病(I型、II型)、高インスリン血症、肥満、過食症、耐糖能異常、高脂血症、高血圧症、糖尿病性心筋症、ナルコレプシー、心血管疾患、喘息、不整脈、口内乾燥、禿頭症、癌、免疫抑制、分泌性下痢、月経困難症、早産、虚血性心臓疾患、狭心症、冠状動脈性心臓疾患、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、鼻漏、血管痙攣、冠状動脈痙攣、腎臓疾患、多発性嚢胞腎疾患、膀胱痙攣、尿失禁、膀胱流出閉塞、過敏腸症候群、胃腸機能障害、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患、および歯周病が挙げられる。
なかでも、本発明の化合物は、脳卒中、脳虚血性疾患、多発性脳梗塞性痴呆、ビンスワンガー型白質脳症、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜変性疾患の治療または予防に有効である。
【0155】
本発明の化合物は、毒性が低いので、そのまま、または薬学的に許容される担体等と混合して製剤される組成物(例、医薬組成物)として、神経栄養因子の活性が関与する疾患の予防または治療のため、ヒト等の哺乳動物に経口的、または非経口的に安全に投与できる。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、および腹腔内などへの投与を含む。
【0156】
本発明の組成物は、例えば、本発明の化合物の1種以上と、薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または添加剤等を含有する。
本発明の組成物は、その形態に応じて、公知の方法により、本発明の化合物と、薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または添加剤(例、医薬添加剤、食品添加剤、化粧品添加剤)等とを混合することにより、製造することができる。
本発明の組成物に用いられる、薬学的に許容される担体、賦形剤、および/または添加剤等は、前記組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、当該組成物の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体、液体等の形態とすることができる。
例えば、本発明の医薬組成物または本発明の化合物を医薬品として用いる場合には、具体的な形態として、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、懸濁化剤、エマルジョン剤、エキス剤および丸剤等の経口剤、注射剤、外用液剤、軟膏剤等の経皮吸収剤(皮膚外用剤)、坐剤および局所等への非経口剤等をあげることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の担体や賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合にはヒト成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0157】
非経口剤のうち、注射剤は、生理食塩水、滅菌水リンゲル液等の水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。外用液剤、ゲル状軟膏等の経皮吸収剤、直腸内投与のための坐剤等も通常の方法に従って製造することができる。このような非経口剤を投与するには、注射(皮下、静脈内等)、経皮投与、直腸投与すればよい。局所剤は、例えば、本発明の化合物をエチレンビニル酢酸ポリマー等の徐放性ポリマーのペレットに取り込ませて製造することができる。このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すればよい。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物または本発明の化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は注射の場合にはヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0158】
本発明の組成物または本発明の化合物を化粧品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、クリーム、ローション剤等をあげることができる。ローション剤は、例えば、懸濁剤、乳化剤、保存剤等の化粧品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物または本発明の化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.01mg〜約50mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0159】
本発明の組成物または本発明の化合物を食品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、粉末、錠剤、飲料、摂取可能なゲル若しくはシロップとの混合液状物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品等の一般的な飲食物や嗜好物等として用いられる可能性がある。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚等の飼育動物のための飼料や餌料への食品添加物等として用いられる可能性もある。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明の組成物または本発明の化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【実施例】
【0160】
以下、本発明を製造例、実施例、製剤例および試験例等によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0161】
製造例1:下記実施例4(製法3)に記載の中間体:3、4−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−4−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,5]チアゼピンの合成
N−メチル−3−(3−(2−ピリジル)−アクリロニル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピリドン 71.5 mg、2−アミノチオフェノール 39.8 mg、酢酸0.3mL、エタノール5 mLの混合物を1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却して濃縮した後に塩酸水溶液100mLを加え、酢酸エチルを用いて洗浄した。水相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後に、酢酸エチルで抽出した。抽出液は水洗、乾燥後、溶媒を留去し、得られた結晶をエタノールで洗浄することで表題化合物62mg(収率 62%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.29 (3H, s), 3.12 (1H, t, J = 12.2 Hz), 3.39 (3H, s), 4.40-4.46 (1H, m), 5.37 (1H, dd, J = 12.2, 4.6 Hz ), 5.80 (1H, s), 7.12-7.34 (4H, m), 7.43-7.53 (2H, m), 7.64 (1H, td, J = 7.8, 1.8 Hz), 8.47 (1H, d, J = 4.6 Hz), 16.93 (1H, s).
【0162】
製造例2:製法2、上記製造例1に記載の中間体:N−メチル−3−(3−(2−ピリジル)−アクリロニル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピリドンの合成
N−メチル−3−アセチル―4−ヒドロキシ−6−メチルピリドン 3.46g、2−ピリジンカルバルデヒド2.25g、20%ナトリウムエトキシド/エタノール溶液13.01g、エタノール70mLの混合物を6時間加熱還流した。反応液を濃縮したのちに酢酸3.44g、水100mLを加えた。析出した結晶を水で洗浄後、エタノールで再結晶することで表題化合物1.5g(収率29%)を黄色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-D6) δ: 2.41 (3H, s), 3.40 (3H, s), 6.06 (1H, s), 7.40-7.45 (1H, m), 7.71-7.78 (2H, m), 7.89 (1H, td, J = 7.8, 1.8 Hz), 8.69 (1H, d, J = 3.2 Hz), 8.81 (1H, d, J = 15.6 Hz), 15.92 (1H, s).
【0163】
実施例1:製法1による本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−1)の合成
2,3−ジヒドロ−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン273 mgの無水テトラヒドロフラン(10 mL)溶液を−78℃に冷却し、かき混ぜながら1M ジイソプロピルアミン ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液(3 mL)を滴下し、滴下終了後30分間同温度でかき混ぜた後、さらに室温で1時間攪拌した。次に再び−78℃に冷却し、2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素塩のHMPA懸濁液を滴下して、同温度で30分間かき混ぜた後、室温で2時間攪拌した。次に、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液 (30 mL)を加えた後にクロロホルムで抽出した。抽出液は乾燥後、溶媒を留去し、残留した粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物66 mg(収率 18%)を得た。
【0164】
実施例2:製法2による本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−1)の合成
3−(3−(2−ピリジル)−アクリロニル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン200 mg、2−アミノチオフェノール 97.3 mg、ピペリジン1滴、エタノール5 mLの混合物を1時間加熱還流した。室温まで冷却後、析出した結晶をろ過し、得られた結晶をエタノールで洗浄することで表題化合物138 mg(収率 49%)を得た。
【0165】
実施例3:製法2による本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(N−メチル−2,4−ジオキソ−6−メチルピリドン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−55)の合成
上記製造例2で得られたN−メチル−3−(3−(2−ピリジル)−アクリロニル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピリドン400 mg、2−アミノチオフェノール 97.3 mg、ピペリジン3滴、エタノール10 mLの混合物を1時間加熱還流した。室温まで冷却後、析出した結晶をろ過し、得られた結晶をエタノールで洗浄することで表題化合物382 mg(収率 69%)を得た。
【0166】
実施例4:製法3による本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(N−メチル−2,4−ジオキソ−6−メチルピリドン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−55)の合成
3,4−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−4−(N-メチル-2,4−ジオキソ−6−メチルピリドン−3−イリデン)−ベンゾ[1,5]チアゼピン 10mg、エタノール 10mLの混合物を80℃で15時間攪拌した。冷却後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物7mg(収率 70%)を得た。
【0167】
実施例5:製法4による本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]オキサジン(化合物C−78)の合成
3−(1−(2−ヒドロキフェニルイミノ)エチル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン500mg、2−ピリジンカルバルデヒド250mg、トリエチルアミン1mL、エタノール10mLの混合物を1時間加熱還流した。反応液を濃縮したのちに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 (100 mL)を加えた後に酢酸エチルで抽出した。抽出液は水洗、乾燥後、溶媒を留去し、残留した粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物100mg(収率14%)を得た。
【0168】
実施例6:製法1で使用する本発明化合物:2,3−ジヒドロ−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物F−1)の合成
4−ヒドロキシ−6−メチルピロン296 mg、2−(2−ニトロフェニルチオ)−酢酸 500mg、クロロホルム10 mLの混合物に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩541 mgと4−ジメチルアミノピリジン402 mgを加えて室温で24時間かき混ぜた。反応液を10%塩酸 (10 mL)を加えた後にクロロホルムで抽出した。抽出液は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄後、乾燥、溶媒を留去することで3−(2−(2−ニトロフェニルチオ)−アセチル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン 480 mg(収率64%)を得た。1H-NMR (CDCl3) δ: 2.32 (3H, s), 4.54 (2H, s), 6.00 (1H, s), 7.26-7.33 (1H, m), 7.53-7.61 (2H,m), 8.20 (1H, d, J = 6.9 Hz).
ここで得られた3−(2−(2−ニトロフェニルチオ)−アセチル)−4−ヒドロキシ−6−メチルピロン 321 mg、酢酸5mL、エタノール 5 mlの混合溶液に鉄紛168 mgを加え、 1.5時間加熱還流した。室温まで冷却後、反応液を濃縮、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加えた後、その懸濁液をろ過し、そのろ液をクロロホルムで抽出した。抽出液は乾燥後、溶媒を留去し、残留した粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物202 mg(収率74%)を得た。
【0169】
実施例7:製法1で使用する本発明化合物:2,3−ジヒドロ−3−(2,4−ジオキソクマリン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物F−23)の合成
3−(2−ブロモアセチル)−4−ヒドロキシクマリン200mg、2−アミノチオフェノール 100mg、エタノール2mLの混合物を 1時間加熱還流した。室温まで冷却後、析出する結晶をろ過することで表題化合物40mg(収率 18%)を得た。
【0170】
実施例8:本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(4−ヒドロキシフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−22)の合成
2,3−ジヒドロ−2−(4−アセチルオキシフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン 35mg、1規定 水酸化ナトリウム水溶液 0.15ml、クロロホルム 2mlの二層の溶液を室温で攪拌した。次に二層の溶液が一層になるまでメタノールを加えた。室温で5分間攪拌した後、1規定の塩酸を酸性になるまで加え、クロロホルムとメタノールを留去した。次に得られた結晶をろ取し、水で洗浄、乾燥することによって表題化合物 25mg(収率 79%)を得た。
【0171】
実施例9:本発明化合物:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンの塩酸塩(化合物C−16)の合成
2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン 50mg、ジオキサン5mLの混合物に14%塩化水素−ジオキサン溶液を 0.36mLを加え、 室温で1時間かき混ぜた。析出した結晶をろ過し、減圧乾燥することで表題化合物40mg(収率 72%)を得た。
【0172】
実施例10:本発明化合物:2−(2−ピリジルメチル)−3−(4−ヒドロキシ−6−メチルピロン−3−イル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジンのナトリウム塩
および/または
2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンのナトリウム塩(化合物C−14)の合成
2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン 50mg、エタノール 1mLの混合物に20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液を 0.05mLを加え、 室温で1時間かき混ぜた。析出した結晶をろ過し、減圧乾燥することで表題化合物30mg(収率 54%)を得た。
【0173】
実施例11:2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4-ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物A−4)の合成
1-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロベンゾピラノ[3,4-b][1,4]ベンゾチアジン(化合物E−1)269 mgの無水テトラヒドロフラン(10 mL)溶液を−78℃に冷却し、かき混ぜながら1M ジイソプロピルアミン ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液(3.3 mL)を滴下し、滴下終了後30分間同温度でかき混ぜた後、室温で1時間攪拌した。次に再び−78℃に冷却し、2−(ブロモメチル)ピリジン臭化水素塩(304 mg)のHMPA(1 ml)けん濁液を滴下して、同温度で30分間かき混ぜた後、室温で2時間攪拌した。次に、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液 (30 mL)を加えた後にクロロホルムで抽出した。抽出液は乾燥後、溶媒を留去し、残留した粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物20 mg(収率 5.7%)を得た。
【0174】
実施例12:2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−エチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C−39)の合成
2,3−ジヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン(化合物C-1) 200 mgの無水テトラヒドロフラン(10 mL)溶液を−78℃に冷却し、かき混ぜながら1M ジイソプロピルアミン ヘキサン−テトラヒドロフラン溶液(1.2 mL)を滴下し、滴下終了後30分間同温度でかき混ぜた後、室温で1時間攪拌した。次に再び−78℃に冷却し、ヨウ化メチル(117 mg)のHMPA(0.5ml)溶液を滴下して、同温度で30分間かき混ぜた後、室温で2時間攪拌した。次に、反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液 (30 mL)を加えた後にクロロホルムで抽出した。抽出液は乾燥後、溶媒を留去し、残留した粗結晶をカラムクロマトグラフィーで精製することで表題化合物109 mg(収率 53%)を得た。
【0175】
これら製法に準じて合成した一連の化合物の構造とその物性を表7に、その合成法を表8としてまとめる。なお表記載内の合成法として1〜12の数字は、それぞれ実施例1〜12の方法に準じて合成したことを意味する。
表8中の出発原料は、複数の原料のうち1の原料のみを示している場合があるが、当業者は、目的化合物および示された出発原料ならびに本明細書の記載から、示されていない出発原料を容易に特定できるであろう。
【0176】
【表7−1】

【0177】
【表7−2】

【0178】
【表7−3】

【0179】
【表7−4】

【0180】
【表7−5】

【0181】
【表7−6】

【0182】
【表7−7】

【0183】
【表7−8】

【0184】
【表7−9】

【0185】
【表7−10】

【0186】
【表7−11】

【0187】
【表7−12】

【0188】
【表7−13】

【0189】
【表7−14】

【0190】
【表7−15】

【0191】
【表7−16】

【0192】
【表7−17】

【0193】
【表7−18】

【0194】
【表7−19】

【0195】
【表7−20】

【0196】
【表7−21】

【0197】
【表7−22】

【0198】
【表7−23】

【0199】
【表7−24】

【0200】
【表7−25】

【0201】
【表7−26】

【0202】
【表7−27】

【0203】
【表7−28】

【0204】
【表7−29】

【0205】
【表7−30】

【0206】
【表7−31】

【0207】
【表8−1】

【0208】
【表8−2】

【0209】
【表8−3】

【0210】
【表8−4】

【0211】
【表8−5】

【0212】
【表8−6】

【0213】
【表8−7】

【0214】
【表8−8】

【0215】
試験例1:(RT-PCR(TaqMan)によるmRNA定量)
初代培養神経細胞は妊娠18日目のラット胎児の大脳半球より神経細胞分散液(住友ベークライト社製)により調製し、グルタミン、ペニシリン−ストレプトマイシン、B27 Supplement(インビトロジェン社製)を添加したNeurobasal培地(インビトロジェン社製)からなる培養液で、スミロンセルタイトPLプレート24Well(住友ベークライト社製)に約6×10細胞/穴になるように播種し、8日間培養した。
次いで、該細胞に、DMSO、またはDMSOに溶解させた化合物を最終濃度5ng/mlになるように調製したBDNFと共に添加した。添加1時間後にRNeasy Mini Kit ( QIAGEN社製 ) を用いてRNAを調製し、Super ScriptIIRNaseHReverse Transriptase(インビトロジェン社製)を用いて逆転写反応を行なった。抽出したRNAは使用するまで−80℃で保存した。
RNA 1 μgをオリゴdT(12〜18)プライマー(アマシャムバイオサイエンス社製; 15μg/ml)1μlおよびdNTP Mixture 2.5mM each 1μl とddH2Oと共に全量12 μlにおいて混合して、65℃で5分間加熱した。次に、混合物を氷中に入れて、5×逆転写酵素緩衝液(250 mMトリス塩酸、pH 8.3、375 mM KCl、15 mM MgCl2)4μl、 RNaseOUT Ribonuclease Inhibitor 40u /μl ( インビトロジェン社製 ) 1μl、0.1 Mジチオスレイトール2μl を混合後 42℃で2分間加熱した後、Super ScriptIIRTを1μl混合して42℃で50分間加熱後、70℃で15分間加後、4℃に冷却した。cDNAは使用するまで−20℃で保存した。
TaqMan プローブを用いたリアルタイムPCRはRat GAPDH プライマー&プローブセット( Applied Biosystems社製)を内部対照として用いて、加えたcDNAの量を標準化した。NXF のプライマー&プローブセットはApplied Biosystems社のTaqMan Gene expression Assay ( product, Rn00596522_m1)を使用した。定量的PCR反応に関して以下の成分を総反応容量25μlにおいて用いた。NXFのプライマー&プローブセットは2×TaqMan Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems社製)12.5μl、ddH2O 9.25μl、20×プライマー&プローブセット1.25μlおよび鋳型cDNA 2μl。GAPDH プライマー&プローブセットは2×TaqMan Universal PCR Master Mix 12.5μl、ddH2O 9.75μl、20×プライマー&プローブセット0.75μlおよび鋳型cDNA 2μl。定量的PCRは、Applied Biosystems社 ABI PRISM 7900HT を用いてOptical 96-Well Reaction Plate(Applied Biosystems社製)において行った。以下の段階からなるPCR反応およびTaqMan法解析(ABI PRISM 7900HT付属標準ソフトウエアによる自動解析)を行った:1)50℃で2分;2)95℃で10分;3)95℃で15秒、60℃で60秒、からなるサイクルを40サイクル。
化合物C−1の結果(NXF誘導量/Fold)を図1に示す。この様に、本発明の化合物はNXF遺伝子を誘導することを確認した。
【0216】
試験例2:(中大脳動脈閉塞・再開通モデルでの神経細胞保護作用)
雄性8週齢C57BL/6J系マウスを12日間通常飼育した後に、あらかじめ左総頚、外総動脈を結紮し、中大脳動脈を90分間閉塞した後に再開通することにより中大脳動脈閉塞・再開通モデルを作成した。同モデルに化合物を閉塞2分前、30分後、24時間後48時間後に10mg/kgで尾静脈内投与した。閉塞・再開通3日後に断頭し、頭骨を小脳側より切断して脳を摘出した。摘出した脳をブアン液(ph3.5〜4.0)にいれ固定した。固定した脳より、冠状断の切り出しを行い、切り出し後、脱水、透徹後、パラフィン包埋した。薄切は、Bregma 1.95mm、Bregma 1.0mm、Bregma -1.40mmおよびBregma -3.8mm付近の4部位とした。厚さ約6μmの切片を作製し、HE染色を行った。梗塞体積の算出は以下のように実施した。
光学顕微鏡 (対物レンズ×1) に取り付けたカメラ (MCD-350、オリンパス株式会社) を用いてデジタル画像を取り込んだ。取り込んだデジタル画像をAdobe Photoshop 2.0に1枚の台紙 (新しいレイヤー) に貼り付けた。台紙に貼り付けた画像を基にして画像解析装置 (Win ROOF V5.6 三谷商事株式会社) で梗塞面積 (S、mm2)、梗塞側 (左) 面積 (mm2) および非梗塞側 (右) 面積 (MR、mm2) を測定し、梗塞側(左)の非梗塞面積(ML、mm2)[梗塞側(左)面積(mm2)-梗塞面積(S、mm2)]を算出した。
以下の式で梗塞体積 (SV、mm3)、梗塞側 (左) の非梗塞体積 (MLV、mm3) および非梗塞側(右) 体積 (MRV、mm3) を算出した。

Bregma(ブレグマ) 1.95mm付近の算出方法
SV=1/3Σ(S1+S2+S11/2×S21/2)
MLV=1/3Σ(ML1+ML2+ML11/2×ML21/2)
MRV=1/3Σ(MR1+MR2+MR11/2×MR21/2)

Bregma 1.0mm、Bregma - 1.40mmおよびBregma - 3.8mm付近の算出方法
SV=2/3Σ(Sn+Sn+1+Sn1/2×Sn+11/2)
MLV=2/3Σ(MLn+MLn+1+MLn1/2×MLn+11/2)
MRV=2/3Σ(MRn+MRn+1+MRn1/2×MRn+11/2)(n=2、3、4)

化合物C−16の結果(梗塞体積)を図2に示す。この様に本発明化合物投与群において梗塞体積の減少を確認した。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本発明の化合物は、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】NXF誘導量を示すグラフ。
【図2】梗塞体積を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、SO、SO、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその水和物を有効成分として含有する、神経栄養因子の活性が関与する疾患の治療または予防剤。
【請求項2】
神経栄養因子の活性が関与する疾患が、脳卒中、脳虚血性疾患、多発性脳梗塞性認知症、ビンスワンガー型白質脳症、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症または網膜変性疾患である請求項1に記載の剤。
【請求項3】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物
(ただし、
1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−キノキサリン、
1,2,3−4−テトラヒドロ−2−(2−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−6,7−ジメチル−キノキサリン、
2,3−ジヒドロ−2−(4−ピリジルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン、
2,3−ジヒドロ−2−(2−ニトロフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジンおよび
2,3−ジヒドロ−2−(4−ニトロフェニルメチル)−3−(2,4−ジオキソ−6−メチルピラン−3−イリデン)−ベンゾ[1,4]チアジン
は除く。)
、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【請求項4】
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が、


[式中、
21、X22、X23およびX24は、
それぞれ独立して、N、C−HまたはC−Yを表し(但し、X21、X22、X23およびX24の2つ以上がC−HまたはC−Yである);
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいはX21上のYと結合して−X−(CH−(XはOまたはSを表し、mは0〜2の整数を表す)で表される2価の鎖状基を形成してもよく;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。

で示される化合物である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が、


[式中、
31はN−YまたはOを表し;
32およびX33は、それぞれ独立して、C−H、C−YまたはNを表し(但し、X32およびX33のうち少なくとも1つは、C−HまたはC−Yである。);

1)水素原子
2)ハロゲン原子、
3)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基
4)アリール基
5)R1’−Z2’−Z1’−
(式中、
R1’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’は、−S(O)q’−、−O−、−S−、−NR2’−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR2’−CO−、−NH−S(O)q’−NH−、−S(O)q’−NH−または−NR2’−S(O)q’−(q’は0〜2の整数を、R2’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
Z1’はアルキレン鎖を表す。)、または
6)R1’’−Z2’’−
(式中、
R1’’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’’は、−CO−、−O−CO−、−NR2’’−CO−、−NH−S(O)q’’−、または−S(O)q’’−(q’’は0〜2の整数を、R2’’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表す。)を表し;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。]
で示される化合物である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(Ia)または(Ib)で示される化合物が

[式中、
41およびX43は、
それぞれ独立して、CH、CH−Y、C(YまたはN−Yを表し;
42は、CH、CH−YまたはC(Yを表し;
n2は0〜4の整数を表し、

1)水素原子
2)ハロゲン原子、
3)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基
4)アリール基
5)R1’−Z2’−Z1’−
(式中、
R1’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’は、−S(O)q’−、−O−、−S−、−NR2’−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR2’−CO−、−NH−S(O)q’−NH−、−S(O)q’−NH−または−NR2’−S(O)q’−(q’は0〜2の整数を、R2’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
Z1’はアルキレン鎖を表す。)、または
6)R1’’−Z2’’−
(式中、
R1’’は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
Z2’’は、−CO−、−O−CO−、−NR2’’−CO−、−NH−S(O)q’’−、または−S(O)q’’−(q’’は0〜2の整数を、R2’’は水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表す。)を表し;および
その他の記号は前記と同一の意味を表す。]
で示される化合物である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
がメチレン鎖である請求項3〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が1個以上のYで置換されていてもよいヘテロアリール基である請求項3〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が式

(A3’は、1個以上のYで置換されていてもよい)で示される、含窒素ヘテロアリール基である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が水素原子である請求項3〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
1がSである請求項3〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式
Xa−A−A
[式中、
は、
アルキレン鎖を表し;
は、
1個以上のYで置換されていてもよい芳香族基を表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
Xaは、
脱離基を表す。]
で表される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物とを反応させることを特徴とする、
一般式

(式中の記号は前記と同一の意味を表す。)で示される化合物、薬学上許容される塩またはその溶媒和物の製造方法。
【請求項13】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物
(ただし、
1,2−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)−キノキサリン、
3−(2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、
3−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾ[1,4]チアジン、および
2,3−ジヒドロ−3−(5−オキソ−2−フェニル−4H−オキサゾール−4−イリデン)−ベンゾ[1,4]オキサジン
は除く。)
、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物。
【請求項14】
1がSである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し
A3’は、
1個以上のYで置換されていてもよい含窒素ヘテロアリール基を表し;
は、
水素原子またはアルキル基を表すか、あるいは1個のYと結合して2価の鎖状基を形成してもよく;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し;
また、
隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式

[式中、
n1は、
0から4の整数を表し;
1は、
S、NHまたはOを表し;
は、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表す
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない)。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物とを反応させることを特徴とする一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で表される化合物、薬学的に許容される塩またはその溶媒和物の製造方法。
【請求項16】
がSである請求項12または15に記載の製造方法。
【請求項17】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
A3’は、
1個以上のYで置換されていてもよい含窒素ヘテロアリール基を表し;
、YおよびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物を極性溶媒で処理することを特徴とする一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物の製造方法。
【請求項18】
極性溶媒が、アルコール溶媒またはスルホキシド溶媒である請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
一般式

[式中、
は、
1個以上のYで置換されていてもよい環を表し;
1は、
S、NHまたはOを表し;
n1は、
0から4の整数を表し;
およびYは、各出現において、それぞれ独立して、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表し
(但し、X1がOのとき、Yは水酸基ではない);
また、隣接する2個のYが、これらが結合している2個の原子と一緒になって、1個以上のYa’で置換されていてもよい環を形成してもよく、および
1個の炭素原子上の2個のYが、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基またはチオカルボニル基を形成してもよい;
Ya’は、各出現において、それぞれ独立して、
水酸基、
ハロゲン原子、
カルボキシ基、
ニトロ基、
アルキル基、
シクロアルキル基または
アルコキシ基
を表し、また1個の炭素原子上の2個のYa’が、該炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成してもよい。]
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と、
一般式

[式中、
A3’は、
で置換されていてもよい、窒素原子を含むヘテロアリール基を表し;
は、
1)水酸基、
2)ハロゲン原子、
3)カルボキシ基、
4)ニトロ基、
5)シアノ基、
6)ハロゲン原子およびアリール基から選択される1個以上の置換基でそれぞれ置換されていてもよい非環状炭化水素基またはシクロアルキル基、
7)アリール基、または
8)R−Z−Z
(式中、
は、水素原子、または1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基を表し、
は、−S(O)q−、−O−、−S−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−O−CO−NH−、−NH−CO−NH−、−NR−CO−、−NH−S(O)q−NH−、−S(O)q−NH−または−NR−S(O)q−(qは0〜2の整数を、Rは水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。)を表し、
は結合手またはアルキレン鎖を表す。)を表す。]で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物と
を反応させることを特徴とする
一般式

(式中の記号は、上記と同一の意味を表す。)
で示される化合物、薬学的に許容される塩、またはその溶媒和物の製造方法。
【請求項20】
1がOである請求項19に記載の製造方法
【請求項21】
請求項3〜11のいずれかに記載の化合物、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
【請求項22】
神経栄養因子の活性が関与する疾患の予防または治療用である請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
神経栄養因子の活性が関与する疾患が、脳卒中、脳虚血性疾患、多発性脳梗塞性認知症、ビンスワンガー型白質脳症、アルツハイマー病、ダウン症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症または網膜変性疾患である請求項22に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−47517(P2010−47517A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213171(P2008−213171)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】