移動体用光センサ装置
【課題】日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置を提供する。
【解決手段】少なくとも3つの受光素子と、該受光素子の直上に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割されており、傾斜面が、第1傾斜面と、第2傾斜面と、第3傾斜面と、を含む構成となっている。そして、第1傾斜面と受光面の全面が対向する受光素子の受光範囲が、第1傾斜面によって前方向に限定され、第2傾斜面と受光面の全面が対向する対向する受光素子の受光範囲が、第2傾斜面によって左上方向に限定され、第3傾斜面と受光面の全面が対向する受光素子の受光範囲が、第3傾斜面によって右上方向に限定されている。
【解決手段】少なくとも3つの受光素子と、該受光素子の直上に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割されており、傾斜面が、第1傾斜面と、第2傾斜面と、第3傾斜面と、を含む構成となっている。そして、第1傾斜面と受光面の全面が対向する受光素子の受光範囲が、第1傾斜面によって前方向に限定され、第2傾斜面と受光面の全面が対向する対向する受光素子の受光範囲が、第2傾斜面によって左上方向に限定され、第3傾斜面と受光面の全面が対向する受光素子の受光範囲が、第3傾斜面によって右上方向に限定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を有する移動体用光センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、受光素子を有する複数のセンサが1つの基板上に搭載されてなる複合センサ(移動体用光センサ装置)が提案されている。特許文献1の図1(b)には、基板上に、日射センサとオートライトセンサ(照度センサ)とが一体化された日射センサ/照度センサが搭載されていることが簡略的に図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−241339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1には、日射センサと照度センサとを一体的に構成するための具体的な説明が一切記載されておらず、日射センサと、照度センサとが要求する機能を満たす構成となっているか否かは不明である。
【0005】
日射センサの場合、太陽が車両の左上方向に位置するか、それとも右上方向に位置するかを検出する機能が要求される。例えば、車両の左上方向から太陽の光が照射される場合、車両温度が一定であるにも関わらず、直射日光のために、車両の左側に乗っている人の体感温度が、車両の右側に乗っている人の体感温度と比べて上昇する。このような場合、車両の左側に設置されたエアコンの設定温度を、車両の右側に設置されたエアコンの設定温度よりも下げることで、乗車している人の体感温度が一定となるように調整することが要求される。上記したようにエアコンの設定温度を自動調整するためには、日射センサに、太陽が車両の左上方向に位置するか、それとも右上方向に位置するかを検出する機能が要求される。
【0006】
これに対し、照度センサは、車両の周囲の照度と、車両前方の照度とを検出する機能が要求される。例えば、車両が、昼間においてトンネルに入る状況下にある場合、車両の周囲の照度が明るいにも関わらず、車両の前方向の照度が暗いため、ライトの点灯が要求される。また、車両が、昼間においてトンネルから抜ける状況下にある場合、車両の周囲の照度が暗いにも関わらず、車両の前方向の照度が明るいため、ライトの消灯が要求される。更に例示すれば、車両が架橋下を通過する場合、車両の周囲の照度が一時的に暗くなるが、車両の周囲の照度が直ぐに明るくなるために、ライトの点灯が不要であることを判断することが要求される。上記したようにライトの駆動を自動制御するためには、照度センサに、車両の周囲の照度と、車両の前方向の照度とを検出する機能が要求される。
【0007】
以上、示したように、日射センサ、及び照度センサそれぞれが要求する機能が異なり、且つ各センサの要求する機能を満たす構成が特許文献1には記載がないために、特許文献1の移動体用光センサ装置は、日射センサ、及び照度センサが要求する機能を満たし、且つ日射センサと照度センサとが一体的に構成された移動体用光センサ装置となっているとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも3つの受光素子と、該受光素子の上方に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、各傾斜面に対して、少なくとも1つの受光素子の受光面全面が対向しており、傾斜面として、移動体に設置された状態で、移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴する。
【0010】
このように本発明によれば、移動体用光センサ装置が移動体に設置された状態において、光が入射する入射面の少なくとも一部が、前方向に沿う光の入射面積が最も大きい第1傾斜面と、左上方向に沿う光の入射面積が最も大きい第2傾斜面と、右上方向に沿う光の入射面積が最も大きい第3傾斜面と、に分割されている。したがって、第1傾斜面と対向する受光素子(以下、第1受光素子と示す)が、主として前方向に沿う光を受光し、第2傾斜面と対向する受光素子(以下、第2受光素子と示す)が、主として左上方向に沿う光を受光し、第3傾斜面と対向する受光素子(以下、第3受光素子と示す)が、主として右上方向に沿う光を受光する構成となっている。すなわち、第1受光素子の受光範囲が主として前方向に限定され、第2受光素子の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3受光素子の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0011】
このように、各受光素子の指向性が異なる角度に設定されるので、各受光素子の出力信号、及び各受光素子の指向角(前方向、左上方向、右上方向)に基づいて計算することで、日射量、日射仰角、及び日射方位角を求めることができる。したがって、本発明に係る移動体用光センサ装置は、日射センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0012】
また、上記した構成により、第1受光素子によって移動体の前方向の照度を検出し、第2受光素子、及び第3受光素子によって、移動体の上方の照度(移動体の周囲の照度)を検出することができる。第2受光素子は左上方向に沿う光を受光し、第3受光素子は右上方向に沿う光を受光するので、第2受光素子の出力信号と第3受光素子の出力信号とを合成することで、上方向の照度を検出することができる。これにより、本発明に係る移動体用光センサ装置は、照度センサに要求される移動体の周囲の照度、及び移動体の前方の照度を検出する機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0013】
以上から、本発明に係る移動体用光センサ装置は、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置となっている。
【0014】
屈折部としては、例えば請求項2に記載のように、プリズムを採用することができる。また、屈折部としては、例えば請求項3に記載のように、傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝が複数形成されたフレネルレンズを採用することもできる。
【0015】
プリズムの屈折角度は、プリズム全体の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部としてプリズムを採用した場合、傾斜角度(屈折角度)を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくてはならない。これに対して、フレネルレンズの屈折角度は、溝の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部としてフレネルレンズを採用した場合、屈折角度を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくとも良い。以上により、屈折部としてフレネルレンズを採用した場合、屈折部としてプリズムを採用した場合と比べて、屈折部の厚さを薄くすることができる。したがって、移動体用光センサ装置の体格を小さくすることができる。
【0016】
請求項4に記載のように、受光素子は半導体基板の同一平面に形成され、屈折部は透明性を有する樹脂によって形成されており、半導体基板はリードフレームに実装され、リードフレームと半導体基板とは、屈折部を形成する樹脂によって、一体的にモールドされた構成が良い。これによれば、受光素子と屈折部とが離間された移動体用光センサ装置と比べて、離間した距離の分、移動体用光センサ装置の体格を小さくすることができる。また、受光素子と屈折部とが離間された移動体用光センサ装置とは異なり、受光素子と屈折部との相対的な位置が変化することを抑制することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明の作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0018】
請求項6に記載のように、移動体のウインドシールドにパルス状の光を照射する照射部を有し、受光素子は、ウインドシールドによって反射されたパルス状の光を受光する構成が好ましい。
【0019】
照射部から照射されるパルス状の光は、照射部から放射状に照射される。この放射状に照射されたパルス状の光は、移動体のウインドシールドに入射し、その入射角度によって、ある光はウインドシールドを透過し、ある光はウインドシールドにて反射される。そして、反射されたパルス状の光の一部が受光素子に入射する。上記したように、パルス状の光は、照射部から放射状に照射されるので、ウインドシールドにおける、ウインドシールドにて反射され、受光素子に入射する光の領域は、ある程度の幅を持つこととなる。以下、このような領域を反射領域として、請求項6に記載の発明の作用効果を説明する。
【0020】
反射領域に雨滴が付着していない場合、反射領域に入射したパルス状の光、全てがウインドシールドにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子に入射する。このような場合、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が最大となる。
【0021】
上記した場合とは異なり、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着した領域に入射したパルス状の光は、ガラスによって形成されたウインドシールドの屈折率と雨滴の屈折率とが近い値を有しているために、ウインドシールドと雨滴とを介して外部に透過する。もちろん、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着していない領域に入射したパルス状の光は、ウインドシールドにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子に入射する。したがって、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が、反射領域に雨滴が付着していない場合と比べて低減する。このように、雨滴の有無によって、受光素子へ入射するパルス状の光の入射量が変動するので、パルス状の光による受光素子の出力信号の変動を判別することで、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。すなわち、雨が降っているか否かを判別することができる。
【0022】
なお、パルス状の光による受光素子の出力信号の変動は、照射部の出力信号を微分することで、判別することができる。照射部の光はパルス状であり、太陽光や街灯などは連続した光である。したがって、照射部の出力信号を微分することで、太陽光や街灯などの連続した光成分を除去して、パルス状の光成分のみを抽出することができる。この抽出したパルス状の光成分の振幅の増減により、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。
【0023】
もちろん、反射領域に付着する雨滴の量が増大すると、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が低減する。したがって、パルス状の光による受光素子の出力信号の低減度合いを判別することで、反射領域に付着した雨滴の量を判別することができる。雨は、ランダムにウインドシールドに降り注ぐので、ウインドシールドに付着する雨滴の割合と、反射領域に付着する雨滴の割合とは、ほぼ等しくなることが期待される。したがって、パルス状の光による受光素子の出力信号の低減度合いを判別することで、ウインドシールドに付着した雨滴の量を判別することができる。すなわち、降雨量を判別することができる。
【0024】
このように、請求項6に記載の発明においては、受光素子と照射部とによってレインセンサが構成され、日射センサと、照度センサと、レインセンサとが受光素子を共用する移動体用光センサ装置となっている。これにより、日射センサ、照度センサ、及びレインセンサそれぞれが、独立して受光素子を備える構成と比べて、受光素子の数が低減されるので、コストを削減することができる。
【0025】
請求項7に記載のように、受光素子の出力信号を処理する処理部と、該処理部と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部と、を有し、該コネクタ部は、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成するアンテナを含む構成が良い。これによれば、移動体用光センサ装置と外部装置との信号の送受信、及び移動体用光センサ装置の給電を非接触で行うことができる。
【0026】
請求項8に記載のように、移動体のウインドシールドとの対向面が平坦な平坦部を有し、該平坦部における、ウインドシールドとの対向面に、接着部が設けられた構成が好ましい。これによれば、移動体用光センサ装置を、接着部を介して、移動体のウインドシールドに接着固定することができる。
【0027】
異なる方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号を合成することで、任意の方向に沿う光の強度を算出することができるので、請求項9に記載のように、日射量、日射仰角、及び日射方位角は、少なくとも3つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて算出することができる。また、請求項10に記載のように、移動体の前方向の照度、及び移動体の上方の照度は、少なくとも2つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて算出することができる。なお、上記した3つの方向は、例えば、前方向、左上方向、及び右上方向に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図2】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す水平方向に沿う断面図である。
【図3】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図4】仰角と、左右角とを説明するための説明図であり、(a)は仰角を示し、(b)は左右角示す。
【図5】各受光素子の出力特性を示すグラフであり、(a)は出力信号の仰角依存性を示し、(b)は出力信号の左右角依存性を示す。
【図6】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す水平方向に沿う断面図である。
【図8】受光部の変形例を説明するための図であり、(a)は屈折部と受光部の断面図を示し、(b)は屈折部と受光部の平面図を示す。
【図9】屈折部の変形例を示す断面図である。
【図10】コネクタ部の変形性を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図12】第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図13】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図14】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図15】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る移動体用光センサ装置100を、車両のウインドシールド(フロントガラス)に設置した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。図2は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す水平方向に沿う断面図である。図3は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。図4は、仰角と、左右角とを説明するための説明図であり、(a)は仰角を示し、(b)は左右角示す。図5は、各受光素子の出力特性を示すグラフであり、(a)は出力信号の仰角依存性を示し、(b)は出力信号の左右角依存性を示す。なお、図3においては、便宜上、後述する配線14を省略している。
【0031】
先ず、図4に基づいて、仰角と左右角とを説明する。仰角は、図4(a)に示すように、水平面から上方へ向かう角度を示し、左右角は、図4(b)に示すように、方位角における車両前方の角度を示す。本実施形態では、特許請求の範囲に記載の前方向が、仰角0°左右角0°の方向を示し、特許請求の範囲に記載の左上方向が、仰角70°左右角度−50°の方向を示し、特許請求の範囲に記載の右上方向が、仰角70°左右角度+50°の方向を示す。なお、当然ではあるが、上記した前方向、左上方向、及び右上方向は一例に過ぎず、各方向が、上記例に限定されないことは言うまでもない。例えば、前方向が、仰角10°左右角度0°の方向であり、左上方向が、仰角45°左右角度−40°の方向であり、右上方向が、仰角45°左右角度+40°の方向であっても良い。
【0032】
図1及び図2に示すように、移動体用光センサ装置100は、要部として、光を電気信号に変換する受光部10と、光を屈折する屈折部30と、を有する。本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、受光部10を搭載し、且つ屈折部30を保持する搭載部40と、受光部10の出力信号を処理する処理部50と、該処理部50と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部60と、該コネクタ部60、処理部50、及び搭載部40を搭載し、且つこれらを電気的に接続する配線基板70と、該配線基板70、コネクタ部60、処理部50、及び搭載部40を収納する収納部80と、を有する。
【0033】
受光部10は、図1〜図3に示すように、第1受光素子11と、第2受光素子12と、第3受光素子13と、を有する。それぞれ、配線14を介して搭載部40と電気的に接続され、各受光素子11〜13の出力信号が、配線14、搭載部40、及び配線基板70を介して、処理部50に入力されるようになっている。本実施形態に係る受光素子11〜13それぞれは、フォトダイオードが一面に形成された電子基板であり、該電子基板におけるフォトダイオードが形成された一面の裏面が、図示しない接着剤を介して、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に固定されている。
【0034】
屈折部30は、図3に示すように、光が入射する入射面30aが、3つの傾斜面31〜33に分割されたプリズムである。屈折部30の入射面30aは、フロントガラスXの内面と対向しており、フロントガラスXを介して、入射面30aに車外の光が入射するようになっている。屈折部30は、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点なので、後で詳説する。
【0035】
搭載部40は、受光部10を搭載するものである。搭載部40における受光部10を搭載する搭載面40aには複数のパッド(図示略)が形成され、搭載面40aの裏面には、搭載面40aに形成されたパッドそれぞれと対応する複数のパッド(図示略)が形成されている。そして、搭載面40aに形成されたパッドと、搭載面40aの裏面に形成されたパッドとは、それぞれ搭載部40の内部に形成された配線パターン(図示略)を介して電気的に接続されている。搭載面40aに形成されたパッドは、受光素子11〜13それぞれと、配線14を介して電気的に接続され、搭載面40aの裏面に形成されたパッドは、配線基板70に形成されたパッド(図示略)と、バンプ(図示略)を介して、機械的、及び電気的に接続されている。そして、受光素子11〜13と搭載部40との電気的なコネクタ部位、及び搭載部40と配線基板70との電気的なコネクタ部位は、透明性を有する被覆樹脂15によって被覆保護されている。本実施形態に係る搭載部40は、開口部40bを有する箱状の形状を有しており、開口部40bを構成する壁面に、屈折部30を保持するための、開口部40bの中心方向に向かう付勢力を有する保持部(図示略)が設けられている。なお、上記した搭載面40aは、箱状をなす搭載部40の底部内面に相当する。
【0036】
処理部50は、受光部10の出力信号を処理するものである。処理部50は、配線基板70と、バンプを介して、機械的、及び電気的に接続されており、バンプ、配線基板70、搭載部40、及び配線14を介して、受光部10と電気的に接続されている。処理部50は、コネクタ部60から入力される車載情報に基づいて、受光部10の出力信号の絶対値を算出する。
【0037】
コネクタ部60は、処理部50と外部装置(車両に搭載されたECU)とを電気的に接続するものである。コネクタ部60は、ECUと電気的に接続されたワイヤハーネスの端子(図示略)と嵌合関係となっており、ワイヤハーネスを移動体用光センサ装置100に機械的、及び電気的に接続する機能を果たす。コネクタ部60は、配線基板70と、リード61を介して、機械的、及び電気的に接続されており、リード61、配線基板70、及びバンプを介してコネクタ部60と電気的に接続されている。車両のECUからは、車載情報である、フロントガラスXの傾斜角度や、フロントガラスXの透過率などが、コネクタ部60に入力される。これら車載情報は、コネクタ部60から、リード61、配線基板70、及びバンプを介して処理部50に入力され、該処理部50にて、これら車載情報に基づいて受光部10の出力信号の絶対値が算出される。この処理部50にて算出された受光部10の出力信号の絶対値が、バンプ、配線基板70、リード61、コネクタ部60、及びワイヤハーネスを介してECUに入力される。ECUは、処理部50の出力信号に基づいて、車両に搭載されたエアコンの設定温度を自動調整するために必要な情報や、車両に搭載されたライトの駆動を自動制御するために必要な情報を算出する。
【0038】
配線基板70は、搭載部40と、処理部50と、コネクタ部60と、を搭載し、且つそれぞれを電気的に接続する機能を果たすものである。本実施形態に係る配線基板70は、絶縁基板と、該絶縁基板の両面に形成された配線パターンと、該配線パターンの端部に相当するパッドと、を有する両面プリント基板である。絶縁基板の内層には、表面に形成された配線パターンと、裏面に形成された配線パターンとを電気的に接続するスルーホールが形成されている。
【0039】
収納部80は、搭載部40、処理部50、コネクタ部60、及び配線基板70を収納するものである。図1に示すように、収納部80は箱状をなし、2つの開口部81,82を有する。一方の開口部81から、コネクタ部60におけるワイヤハーネスとの接続部位が外部に露出され、他方の開口部82から、屈折部30の入射面30aが外部に露出されている。そして、フロントガラスXと対向する対向面80aには、接着部83が設けられており、移動体用光センサ装置100は、接着部83を介してフロントガラスXに固定されている。なお、特許請求の範囲に記載の平坦部は、対向面80aに相当する。
【0040】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点である、屈折部30について詳説する。図1〜図3に示すように、屈折部30の入射面30aは、円形状をなす縁部30cから頂点30dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割されており、入射面30aの裏面である受光部10との対向面30bは、フロントガラスXの内面と平行となっている。なお、入射面30aを別の言葉で表現すると、入射面30aは、頂点30dから、縁部30cを周とする仮想底面へ、放射状に伸びる直線によって形作られた錐体の側面に相当し、該側面が、上記した区画線によって3つに分割されたもの、ということができる。本実施形態では、第1傾斜面31が、対向面30bを介して第1受光素子11の受光面全面と対向し、第2傾斜面32が、対向面30bを介して第2受光素子12の受光面全面と対向し、第3傾斜面33が、対向面30bを介して第3受光素子13の受光面全面と対向している。
【0041】
仰角と、方位角とによって決定される角度を立体角とすると、上記した3つの傾斜面31〜33それぞれの立体角は相異なる構成となっている。したがって、縁部30cを含む仮想平面に対して垂直な立体角度を除く、任意の立体角度に対して垂直な面に投影された3つの傾斜面31〜33それぞれの投影面には、必ず大小関係が生じるようになっている。
【0042】
前方向に面した面を第1垂直面とし、左上方向に面した面を第2垂直面とし、右上方向に面した面を第3垂直面とすると、第1傾斜面31の傾斜は、第1傾斜面31における第1垂直面に投影した面積が他の傾斜面32,33における第1垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第2傾斜面32の傾斜は、第2傾斜面32における第2垂直面に投影した面積が他の傾斜面33,31における第2垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第3傾斜面33の傾斜は、第3傾斜面33における第3垂直面に投影した面積が他の傾斜面31,32における第3垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定されている。これにより、第1傾斜面31に、前方向に沿う光が、他の傾斜面32,33よりも多く入射し、第2傾斜面32に、左上方向に沿う光が、他の傾斜面33,31よりも多く入射し、第3傾斜面33に、右上方向に沿う光が、他の傾斜面31,32よりも多く入射する。これにより、第1傾斜面31によって、前方向に沿う光が、第2受光素子12及び第3受光素子13よりも多く第1受光素子11に入射され、第2傾斜面32によって、左上方向に沿う光が、第3受光素子13及び第1受光素子11よりも多く第2受光素子12に入射され、第3傾斜面33によって、右上方向に沿う光が、第1受光素子11及び第2受光素子12よりも多く第3受光素子13に入射される構成となっている。換言すれば、第1傾斜面31によって、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定され、第2傾斜面32によって、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3傾斜面33によって、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0043】
次に、図5に基づいて、各受光素子11〜13の感度における光の入射角度依存性を説明する。図5(a)に示すグラフの縦軸は、受光素子11〜13の出力信号が最大のときを100%とした場合の受光素子11〜13の相対感度(%)を示し、横軸は、光の入射角度の仰角を示す。図5(b)に示すグラフの縦軸は、図5(a)の縦軸と同様に、受光素子11〜13の相対感度(%)を示し、横軸は、光の入射角度の左右角を示す。
【0044】
図5(a),(b)に示すように、各受光素子11〜13の感度は、ある入射角度に対してピーク値をとり、ピーク値からなだらかに減衰する性質を有している。図5(a)に示すように、光の入射角が、仰角0°に平行な場合、第1受光素子11の感度が最高となっており、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっている。これにより、水平方向から入射する光に対して、第1受光素子11の感度が高く、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっていることがわかる。これに対して、光の入射角が、仰角70°に平行な場合、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が最高となっており、第1受光素子11の感度が低くなっている。これにより、車両に対して上方向から入射する光に対して、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が高く、第1受光素子11の感度が低くなっていることがわかる。
【0045】
また、図5(b)に示すように、光の入射角が、左右角0°に平行な場合、第1受光素子11の感度が最高となっており、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっている。これにより、車両の前方から入射する光に対して、第1受光素子11の感度が高く、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっていることがわかる。これに対して、光の入射角が、左右角−50°に平行な場合、第2受光素子12の感度が最高となっており、第3受光素子13及び第1受光素子11の感度が低くなっている。これにより、車両の左方向から入射する光に対して、第2受光素子12の感度が高く、第3受光素子13及び第1受光素子11の感度が低くなっていることがわかる。また、光の入射角が、左右角+50°に平行な場合、第3受光素子13の感度が最高となっており、第1受光素子11及び第2受光素子12の感度が低くなっている。これにより、車両の右方向から入射する光に対して、第3受光素子13の感度が高く、第1受光素子11及び第2受光素子12の感度が低くなっていることがわかる。
【0046】
以上から、光の入射角が、仰角0°左右角0°、すなわち、前方向に沿う場合、第1受光素子11の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定された構成となっていることがわかる。また、光の入射角が、仰角70°左右角−50°、すなわち、左上方向に沿う場合、第2受光素子12の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定された構成となっていることがわかる。また、光の入射角が、仰角70°左右角+50°、すなわち、右上方向に沿う場合、第3受光素子13の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっていることがわかる。
【0047】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の作用効果を説明する。上記したように、第1傾斜面31によって、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定され、第2傾斜面32によって、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3傾斜面33によって、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0048】
これにより、各受光素子11〜13の出力信号、及び各受光素子11〜13の指向角(前方向、左上方向、右上方向)に基づいて計算することで、日射量、日射仰角、及び日射方位角を求めることができる。したがって、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0049】
また、上記した構成により、第1受光素子11によって前方向の照度を検出し、第2受光素子12、若しくは第3受光素子13によって、左上方向、及び右上方向の照度を検出することができる。太陽が、左上方向、若しくは右上方向に位置する場合、第2受光素子12、及び第3受光素子13いずれかの出力信号は、太陽の位置に依存する性質を有し、第2受光素子12、及び第3受光素子13の出力信号は、車両の周囲の照度に依存する性質を有している。したがって、第2受光素子12の出力信号の強度と第3受光素子13の出力信号の強度とをECUにて合成することで、周囲の照度に依存する出力信号を得ることができる。これにより、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、照度センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0050】
以上から、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置となっている。
【0051】
本実施形態では、入射面30aが3つの傾斜面31〜33に分割され、それぞれの傾斜面31〜33と、受光素子11〜13のいずれか1つの受光面全面とが、対向面30bを介して対向する例を示した。しかしながら、傾斜面の数、及び受光素子の数は上記例に限定されない。例えば図6に示すように、受光部10は4つの受光素子11〜13,16を有し、入射面30aが4つの傾斜面31〜34に分割された構成を採用することもできる。この場合、対向面30bを介して、第4傾斜面34と第4受光素子16の受光面全面とが対向しており、第4傾斜面34によって、第4受光素子16の受光範囲が、主として仰角90°左右角0°の方向に限定されている。図6は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。なお、図6においては、便宜上、配線14を省略している。
【0052】
本実施形態では、図1に示すように、受光部10と屈折部30とが離間され、搭載部40によって相対的な位置が決定された構成を示した。しかしながら、例えば図7に示すように、受光部10と、搭載部40とを、屈折部30を構成する透明な樹脂によって一体的にモールドした構成を採用することもできる。この変形例の場合、受光部10は、半導体基板17、及び該半導体基板17に形成された受光素子11〜13を有し、搭載部40は、リードフレームからなり、屈折部30は、アクリル樹脂によって構成されている。これによれば、受光部10と屈折部30とが離間されて構成された移動体用光センサ装置100と比べて、離間した距離の分、移動体用光センサ装置100の体格を小さくすることができる。また、受光部10と屈折部30とが離間されて構成された移動体用光センサ装置100とは異なり、受光部10と屈折部30との相対的な位置が変化することを抑制することができる。図7は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す水平方向に沿う断面図である。なお、図7においては、便宜上、処理部50、配線基板70、及び収納部80を省略している。
【0053】
本実施形態では、受光部10が、3つの受光素子11〜13を有し、対向面30bを介して、第1受光素子11の受光面全面が第1傾斜面31と対向し、第2受光素子12の受光面全面が第2傾斜面32と対向し、第3受光素子13の受光面全面が第3傾斜面33と対向する例を示した。しかしながら、例えば図8(a),(b)に示すように、受光部10が、半導体基板17と、該半導体基板17に形成された少なくとも3つ以上の受光素子18と、を有し、1つの傾斜面に対して、複数の受光素子の受光面が対向する構成を採用することもできる。図8は、受光部の変形例を説明するための図であり、(a)は屈折部と受光部の断面図を示し、(b)は屈折部と受光部の平面図を示す。
【0054】
本実施形態では、屈折部30として、プリズムを採用した例を示した。しかしながら、例えば図9に示すように、屈折部30としては、傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝35が複数形成されたフレネルレンズを採用することもできる。
【0055】
プリズムの屈折角度は、プリズム全体の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部30としてプリズムを採用した場合、傾斜角度(屈折角度)を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくてはならない。これに対して、フレネルレンズの屈折角度は、溝35の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部30としてフレネルレンズを採用した場合、屈折角度を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくとも良い。以上により、屈折部30としてフレネルレンズを採用した場合、屈折部30としてプリズムを採用した場合と比べて、屈折部30の厚さを薄くすることができる。したがって、移動体用光センサ装置100の体格を小さくすることができる。図9は、屈折部の変形例を示す断面図である。
【0056】
本実施形態では、コネクタ部60が、車両のECUと電気的に接続されたワイヤハーネス(図示略)と嵌合関係となっており、ワイヤハーネスを移動体用光センサ装置100に機械的、及び電気的に接続する機能を果たす構成例を示した。しかしながら、ワイヤハーネスの端部が電波を送受信するコイルアンテナの場合、コネクタ部60としては、例えば図10に示すように、コイルアンテナを採用することもできる。該コイルアンテナは、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成する機能を果たす。これによれば、移動体用光センサ装置100とワイヤハーネスとの信号の送受信、及び移動体用光センサ装置100の給電を非接触で行うことができる。図10は、コネクタ部の変形性を示す平面図である。
【0057】
本実施形態では、屈折部30の入射面30aは、円形状の縁部30cから頂点30dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割された例を示した。しかしながら、屈折部30の入射面30aが、頂点30dから縁部30cに向かって、フロントガラスXに近づくように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割された構成を採用することもできる。なお、言うまでもないが、上記変形例の場合においても、入射面30aの分割される数は、上記例に限定されない。
【0058】
本実施形態では、縁部30cが円形状である例を示した。しかしながら、縁部30cの形状は上記例に限定されず、例えば三角形状や四角形状などの多角形状を採用することもできる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図であり、第1実施形態に示した図1に対応している。図12は、第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態に示した図3に対応している。なお、図12においては、便宜上、配線14と、調整部37とを省略している。
【0060】
第2実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0061】
本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置100が、発光部90を備えたことを、主な特徴点とする。
【0062】
発光部90は、電気信号を光信号に変換する発光素子91と、該発光素子91と配線基板70とを、機械的、及び電気的に接続するリード92と、を有するものである。発光素子91は、リード92、及び配線基板70を介して処理部50と電気的に接続されており、処理部50から、パルス状の駆動信号が発光素子91に入力されるようになっている。これにより、発光素子91からパルス状の光が照射するようになっている。なお、特許請求の範囲に記載の照射部は、本実施形態に係る発光部90と、処理部50とによって構成される。
【0063】
本実施形態に係る屈折部30は、第1実施形態で示した構成に加えて、発光素子91から照射された光を集光する集光部36と、該集光部36とフロントガラスXとの屈折率、及びフロントガラスXと屈折部30との屈折率を調整するゲル状の調整部37と、を有する。
【0064】
本実施形態に係る処理部50は、第1実施形態で示した機能に加えて、発光素子91に、パルス状の電気信号を入力する機能を有する。
【0065】
本実施形態に係る収納部80は、第1実施形態で示した構成と同様に、箱状をなし、2つの開口部81,82を有する。一方の開口部81から、コネクタ部60におけるワイヤハーネスとの接続部位が外部に露出され、他方の開口部82から、屈折部30の入射面30aと、集光部36におけるフロントガラスXとの対向面とが、調整部37を介して、外部に露出された構成となっている。第1実施形態では、収納部80の対向面80aに、接着部83が設けられていたが、本実施形態では、接着部83が、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に設けられた構成となっている。なお、特許請求の範囲に記載の平坦部は、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に相当する。
【0066】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点を説明する。上記したように、発光素子91から、パルス状の光がフロントガラスXに照射されるようになっている。発光素子91から照射されるパルス状の光は、発光素子91から放射状に照射される。この放射状に照射されたパルス状の光は、車両のフロントガラスXに入射し、その入射角度によって、ある光はフロントガラスXを透過し、ある光はフロントガラスXにて反射される。そして、反射されたパルス状の光の一部が受光素子11〜13に入射するようになっている。上記したように、パルス状の光は、照射部から放射状に照射されるので、フロントガラスXにおける、フロントガラスXにて反射され受光素子に入射する光の領域は、ある程度の幅を持つこととなる。以下、このような領域を反射領域として、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の作用効果を説明する。
【0067】
反射領域に雨滴が付着していない場合、反射領域に入射したパルス状の光、全てがフロントガラスXにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子11〜13それぞれに入射する。このような場合、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が最大となる。
【0068】
上記した場合とは異なり、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着した領域に入射したパルス状の光は、ガラスによって形成されたフロントガラスXの屈折率と雨滴の屈折率とが近い値を有しているために、フロントガラスXと雨滴とを介して外部に透過する。もちろん、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着していない領域に入射したパルス状の光は、フロントガラスXにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子11〜13それぞれに入射する。したがって、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、受光素子11〜13に入射するパルス状の光の入射量が、反射領域に雨滴が付着していない場合と比べて低減する。このように、雨滴の有無によって、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が変動するので、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の変動を判別することで、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。
【0069】
なお、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の変動は、発光素子91の出力信号を微分することで、判別することができる。発光素子91の光はパルス状であり、太陽光や街灯などは連続した光である。したがって、発光素子91の出力信号を微分することで、太陽光や街灯などの連続した光成分を除去して、パルス状の光成分のみを抽出することができる。この抽出したパルス状の光成分の振幅の増減により、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。すなわち、雨が降っているか否かを判別することができる。
【0070】
もちろん、反射領域に付着する雨滴の量が増大すると、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が低減する。したがって、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の低減度合いを判別することで、反射領域に付着した雨滴の量を判別することができる。雨は、ランダムにフロントガラスXに降り注ぐので、フロントガラスXに付着する雨滴の割合と、反射領域に付着する雨滴の割合とは、ほぼ等しくなることが期待される。したがって、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の低減度合いを判別することで、フロントガラスXに付着した雨滴の量を判別することができる。すなわち、降雨量を判別することができる。
【0071】
このように、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100においては、受光素子11〜13と発光素子91とによってレインセンサが構成され、日射センサと、照度センサと、レインセンサとが受光素子11〜13を共用する移動体用光センサ装置となっている。これにより、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサ、照度センサ、及びレインセンサそれぞれが、独立して受光素子を備える移動体用光センサ装置と比べて、受光素子の数が低減され、これによってコストが削減された移動体用光センサ装置となっている。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図であり、第1実施形態に示した図1に対応している。図14は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態に示した図3に対応している。なお、図14においては、便宜上、配線14を省略している。
【0073】
第3実施形態に係る移動体用光センサ装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0074】
例えば第1実施形態においては、屈折部30によって、受光素子11〜13それぞれの受光範囲が限定された構成を示した。これに対し、本実施形態においては、屈折部30を有さず、搭載部40によって、受光素子11〜13それぞれの受光範囲が限定された点を特徴とする。
【0075】
図13及び図14に示すように、搭載部40の搭載面40aが、円形状をなす縁部40cから頂点40dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割されている。なお、搭載面40aを別の言葉で表現すると、搭載面40aは、頂点40dから、縁部40cを周とする仮想底面へ、放射状に伸びる直線によって形作られた錐体の側面に相当し、該側面が、上記した区画線によって3つに分割されたもの、ということができる。本実施形態では、第1受光素子11が第1傾斜面41に搭載され、第2受光素子12が第2傾斜面42に搭載され、第3受光素子13が第3傾斜面33に搭載されている。
【0076】
上記した3つの傾斜面41〜43それぞれの立体角は相異なる構成となっている。したがって、縁部40cを含む仮想平面に対して垂直な立体角度を除く、任意の立体角度に対して垂直な面に投影された3つの傾斜面41〜43それぞれの投影面には、必ず大小関係が生じるようになっている。
【0077】
本実施形態では、第1傾斜面41の傾斜が、第1傾斜面41における第1垂直面に投影した面積が他の傾斜面42,43における第1垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第2傾斜面42の傾斜が、第2傾斜面42における第2垂直面に投影した面積が他の傾斜面43,41における第2垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第3傾斜面43の傾斜が、第3傾斜面43における右上方向に対して垂直な第3垂直面に投影した面積が他の傾斜面41,42における第3垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定されている。これにより、第1傾斜面41に、前方向に沿う光が、他の傾斜面42,43よりも多く入射し、第2傾斜面42に、左上方向に沿う光が、他の傾斜面43,41よりも多く入射し、第3傾斜面43に、右上方向に沿う光が、他の傾斜面41,42よりも多く入射する。これにより、第1傾斜面41によって、前方向に沿う光が、第2受光素子12及び第3受光素子13よりも多く第1受光素子11に入射され、第2傾斜面42によって、左上方向に沿う光が、第3受光素子13及び第1受光素子11よりも多く第2受光素子12に入射され、第3傾斜面43によって、右上方向に沿う光が、第1受光素子11及び第2受光素子12よりも多く第3受光素子13に入射される構成となっている。換言すれば、第1傾斜面41によって、第1受光素子11の受光範囲が前方向に限定され、第2傾斜面42によって、第2受光素子12の受光範囲が左上方向に限定され、第3傾斜面43によって、第3受光素子13の受光範囲が右上方向に限定された構成となっている。
【0078】
このように本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態で示した移動体用光センサ装置100と同様に、第1受光素子11の受光範囲が前方向に限定され、第2受光素子12の受光範囲が左上方向に限定され、第3受光素子13の受光範囲が右上方向に限定された構成となっている。したがって、第1実子形態で示した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
本実施形態では、搭載面40aが3つの傾斜面41〜43に分割され、第1傾斜面41に第1受光素子11が搭載され、第2傾斜面42に第2受光素子12が搭載され、第3傾斜面43に第3受光素子13が搭載される例を示した。しかしながら、傾斜面の数、及び受光素子の数は上記例に限定されない。例えば図15に示すように、搭載面40aが4つの傾斜面41〜44に分割された構成を採用することもできる。この場合、第4傾斜面44に第4受光素子16が搭載されており、第4傾斜面44によって、第4受光素子16の受光範囲が、主として仰角90°左右角0°の方向に限定されている。図15は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。なお、図15においては、便宜上、配線14を省略している。
【0080】
本実施形態では、搭載部40における1つの傾斜面に、1つの受光素子が搭載される例を示した。しかしながら、搭載部40における1つの傾斜面に複数の受光素子が搭載された構成を採用することもできる。
【0081】
本実施形態では、搭載部40の搭載面40aは、縁部40cから頂点40dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割された例を示した。しかしながら、搭載部40の搭載面40aが、頂点40dから縁部40cに向かって、フロントガラスXに近づくように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割された構成を採用することもできる。なお、言うまでもないが、上記変形例の場合においても、搭載面40aの分割される数は、上記例に限定されない。
【0082】
本実施形態では、縁部40cが円形状である例を示した。しかしながら、縁部40cの形状は上記例に限定されず、例えば三角形状や四角形状などの多角形状を採用することもできる。
【0083】
なお、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100が、第2実施形態で示した発光部90を有する構成を採用することもできる。この場合、第2実施形態で示した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0085】
第1実施形態〜第3実施形態では、移動体用光センサ装置100がフロントガラスXに装着される例を示した。しかしながら、例えば車両のルームミラーに、フロントガラスXを介して受光部10に光が入射するように、移動体用光センサ装置100を設置しても良い。この場合、接着部83は、収納部80の外面における対向面80aの裏面に設けられる。
【符号の説明】
【0086】
10・・・受光部
11〜13・・・第1受光素子〜第3受光素子
30・・・屈折部
31〜33・・・第1傾斜面〜第3傾斜面
40・・・搭載部
41〜43・・・第1傾斜面〜第3傾斜面
50・・・処理部
90・・・発光部
91・・・発光素子
100・・・移動体用光センサ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子を有する移動体用光センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、受光素子を有する複数のセンサが1つの基板上に搭載されてなる複合センサ(移動体用光センサ装置)が提案されている。特許文献1の図1(b)には、基板上に、日射センサとオートライトセンサ(照度センサ)とが一体化された日射センサ/照度センサが搭載されていることが簡略的に図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−241339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1には、日射センサと照度センサとを一体的に構成するための具体的な説明が一切記載されておらず、日射センサと、照度センサとが要求する機能を満たす構成となっているか否かは不明である。
【0005】
日射センサの場合、太陽が車両の左上方向に位置するか、それとも右上方向に位置するかを検出する機能が要求される。例えば、車両の左上方向から太陽の光が照射される場合、車両温度が一定であるにも関わらず、直射日光のために、車両の左側に乗っている人の体感温度が、車両の右側に乗っている人の体感温度と比べて上昇する。このような場合、車両の左側に設置されたエアコンの設定温度を、車両の右側に設置されたエアコンの設定温度よりも下げることで、乗車している人の体感温度が一定となるように調整することが要求される。上記したようにエアコンの設定温度を自動調整するためには、日射センサに、太陽が車両の左上方向に位置するか、それとも右上方向に位置するかを検出する機能が要求される。
【0006】
これに対し、照度センサは、車両の周囲の照度と、車両前方の照度とを検出する機能が要求される。例えば、車両が、昼間においてトンネルに入る状況下にある場合、車両の周囲の照度が明るいにも関わらず、車両の前方向の照度が暗いため、ライトの点灯が要求される。また、車両が、昼間においてトンネルから抜ける状況下にある場合、車両の周囲の照度が暗いにも関わらず、車両の前方向の照度が明るいため、ライトの消灯が要求される。更に例示すれば、車両が架橋下を通過する場合、車両の周囲の照度が一時的に暗くなるが、車両の周囲の照度が直ぐに明るくなるために、ライトの点灯が不要であることを判断することが要求される。上記したようにライトの駆動を自動制御するためには、照度センサに、車両の周囲の照度と、車両の前方向の照度とを検出する機能が要求される。
【0007】
以上、示したように、日射センサ、及び照度センサそれぞれが要求する機能が異なり、且つ各センサの要求する機能を満たす構成が特許文献1には記載がないために、特許文献1の移動体用光センサ装置は、日射センサ、及び照度センサが要求する機能を満たし、且つ日射センサと照度センサとが一体的に構成された移動体用光センサ装置となっているとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも3つの受光素子と、該受光素子の上方に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、各傾斜面に対して、少なくとも1つの受光素子の受光面全面が対向しており、傾斜面として、移動体に設置された状態で、移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴する。
【0010】
このように本発明によれば、移動体用光センサ装置が移動体に設置された状態において、光が入射する入射面の少なくとも一部が、前方向に沿う光の入射面積が最も大きい第1傾斜面と、左上方向に沿う光の入射面積が最も大きい第2傾斜面と、右上方向に沿う光の入射面積が最も大きい第3傾斜面と、に分割されている。したがって、第1傾斜面と対向する受光素子(以下、第1受光素子と示す)が、主として前方向に沿う光を受光し、第2傾斜面と対向する受光素子(以下、第2受光素子と示す)が、主として左上方向に沿う光を受光し、第3傾斜面と対向する受光素子(以下、第3受光素子と示す)が、主として右上方向に沿う光を受光する構成となっている。すなわち、第1受光素子の受光範囲が主として前方向に限定され、第2受光素子の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3受光素子の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0011】
このように、各受光素子の指向性が異なる角度に設定されるので、各受光素子の出力信号、及び各受光素子の指向角(前方向、左上方向、右上方向)に基づいて計算することで、日射量、日射仰角、及び日射方位角を求めることができる。したがって、本発明に係る移動体用光センサ装置は、日射センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0012】
また、上記した構成により、第1受光素子によって移動体の前方向の照度を検出し、第2受光素子、及び第3受光素子によって、移動体の上方の照度(移動体の周囲の照度)を検出することができる。第2受光素子は左上方向に沿う光を受光し、第3受光素子は右上方向に沿う光を受光するので、第2受光素子の出力信号と第3受光素子の出力信号とを合成することで、上方向の照度を検出することができる。これにより、本発明に係る移動体用光センサ装置は、照度センサに要求される移動体の周囲の照度、及び移動体の前方の照度を検出する機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0013】
以上から、本発明に係る移動体用光センサ装置は、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置となっている。
【0014】
屈折部としては、例えば請求項2に記載のように、プリズムを採用することができる。また、屈折部としては、例えば請求項3に記載のように、傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝が複数形成されたフレネルレンズを採用することもできる。
【0015】
プリズムの屈折角度は、プリズム全体の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部としてプリズムを採用した場合、傾斜角度(屈折角度)を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくてはならない。これに対して、フレネルレンズの屈折角度は、溝の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部としてフレネルレンズを採用した場合、屈折角度を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくとも良い。以上により、屈折部としてフレネルレンズを採用した場合、屈折部としてプリズムを採用した場合と比べて、屈折部の厚さを薄くすることができる。したがって、移動体用光センサ装置の体格を小さくすることができる。
【0016】
請求項4に記載のように、受光素子は半導体基板の同一平面に形成され、屈折部は透明性を有する樹脂によって形成されており、半導体基板はリードフレームに実装され、リードフレームと半導体基板とは、屈折部を形成する樹脂によって、一体的にモールドされた構成が良い。これによれば、受光素子と屈折部とが離間された移動体用光センサ装置と比べて、離間した距離の分、移動体用光センサ装置の体格を小さくすることができる。また、受光素子と屈折部とが離間された移動体用光センサ装置とは異なり、受光素子と屈折部との相対的な位置が変化することを抑制することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明の作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0018】
請求項6に記載のように、移動体のウインドシールドにパルス状の光を照射する照射部を有し、受光素子は、ウインドシールドによって反射されたパルス状の光を受光する構成が好ましい。
【0019】
照射部から照射されるパルス状の光は、照射部から放射状に照射される。この放射状に照射されたパルス状の光は、移動体のウインドシールドに入射し、その入射角度によって、ある光はウインドシールドを透過し、ある光はウインドシールドにて反射される。そして、反射されたパルス状の光の一部が受光素子に入射する。上記したように、パルス状の光は、照射部から放射状に照射されるので、ウインドシールドにおける、ウインドシールドにて反射され、受光素子に入射する光の領域は、ある程度の幅を持つこととなる。以下、このような領域を反射領域として、請求項6に記載の発明の作用効果を説明する。
【0020】
反射領域に雨滴が付着していない場合、反射領域に入射したパルス状の光、全てがウインドシールドにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子に入射する。このような場合、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が最大となる。
【0021】
上記した場合とは異なり、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着した領域に入射したパルス状の光は、ガラスによって形成されたウインドシールドの屈折率と雨滴の屈折率とが近い値を有しているために、ウインドシールドと雨滴とを介して外部に透過する。もちろん、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着していない領域に入射したパルス状の光は、ウインドシールドにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子に入射する。したがって、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が、反射領域に雨滴が付着していない場合と比べて低減する。このように、雨滴の有無によって、受光素子へ入射するパルス状の光の入射量が変動するので、パルス状の光による受光素子の出力信号の変動を判別することで、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。すなわち、雨が降っているか否かを判別することができる。
【0022】
なお、パルス状の光による受光素子の出力信号の変動は、照射部の出力信号を微分することで、判別することができる。照射部の光はパルス状であり、太陽光や街灯などは連続した光である。したがって、照射部の出力信号を微分することで、太陽光や街灯などの連続した光成分を除去して、パルス状の光成分のみを抽出することができる。この抽出したパルス状の光成分の振幅の増減により、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。
【0023】
もちろん、反射領域に付着する雨滴の量が増大すると、受光素子に入射するパルス状の光の入射量が低減する。したがって、パルス状の光による受光素子の出力信号の低減度合いを判別することで、反射領域に付着した雨滴の量を判別することができる。雨は、ランダムにウインドシールドに降り注ぐので、ウインドシールドに付着する雨滴の割合と、反射領域に付着する雨滴の割合とは、ほぼ等しくなることが期待される。したがって、パルス状の光による受光素子の出力信号の低減度合いを判別することで、ウインドシールドに付着した雨滴の量を判別することができる。すなわち、降雨量を判別することができる。
【0024】
このように、請求項6に記載の発明においては、受光素子と照射部とによってレインセンサが構成され、日射センサと、照度センサと、レインセンサとが受光素子を共用する移動体用光センサ装置となっている。これにより、日射センサ、照度センサ、及びレインセンサそれぞれが、独立して受光素子を備える構成と比べて、受光素子の数が低減されるので、コストを削減することができる。
【0025】
請求項7に記載のように、受光素子の出力信号を処理する処理部と、該処理部と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部と、を有し、該コネクタ部は、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成するアンテナを含む構成が良い。これによれば、移動体用光センサ装置と外部装置との信号の送受信、及び移動体用光センサ装置の給電を非接触で行うことができる。
【0026】
請求項8に記載のように、移動体のウインドシールドとの対向面が平坦な平坦部を有し、該平坦部における、ウインドシールドとの対向面に、接着部が設けられた構成が好ましい。これによれば、移動体用光センサ装置を、接着部を介して、移動体のウインドシールドに接着固定することができる。
【0027】
異なる方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号を合成することで、任意の方向に沿う光の強度を算出することができるので、請求項9に記載のように、日射量、日射仰角、及び日射方位角は、少なくとも3つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて算出することができる。また、請求項10に記載のように、移動体の前方向の照度、及び移動体の上方の照度は、少なくとも2つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて算出することができる。なお、上記した3つの方向は、例えば、前方向、左上方向、及び右上方向に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図2】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す水平方向に沿う断面図である。
【図3】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図4】仰角と、左右角とを説明するための説明図であり、(a)は仰角を示し、(b)は左右角示す。
【図5】各受光素子の出力特性を示すグラフであり、(a)は出力信号の仰角依存性を示し、(b)は出力信号の左右角依存性を示す。
【図6】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。
【図7】第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す水平方向に沿う断面図である。
【図8】受光部の変形例を説明するための図であり、(a)は屈折部と受光部の断面図を示し、(b)は屈折部と受光部の平面図を示す。
【図9】屈折部の変形例を示す断面図である。
【図10】コネクタ部の変形性を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図12】第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図13】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。
【図14】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図15】第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る移動体用光センサ装置100を、車両のウインドシールド(フロントガラス)に設置した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図である。図2は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す水平方向に沿う断面図である。図3は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図である。図4は、仰角と、左右角とを説明するための説明図であり、(a)は仰角を示し、(b)は左右角示す。図5は、各受光素子の出力特性を示すグラフであり、(a)は出力信号の仰角依存性を示し、(b)は出力信号の左右角依存性を示す。なお、図3においては、便宜上、後述する配線14を省略している。
【0031】
先ず、図4に基づいて、仰角と左右角とを説明する。仰角は、図4(a)に示すように、水平面から上方へ向かう角度を示し、左右角は、図4(b)に示すように、方位角における車両前方の角度を示す。本実施形態では、特許請求の範囲に記載の前方向が、仰角0°左右角0°の方向を示し、特許請求の範囲に記載の左上方向が、仰角70°左右角度−50°の方向を示し、特許請求の範囲に記載の右上方向が、仰角70°左右角度+50°の方向を示す。なお、当然ではあるが、上記した前方向、左上方向、及び右上方向は一例に過ぎず、各方向が、上記例に限定されないことは言うまでもない。例えば、前方向が、仰角10°左右角度0°の方向であり、左上方向が、仰角45°左右角度−40°の方向であり、右上方向が、仰角45°左右角度+40°の方向であっても良い。
【0032】
図1及び図2に示すように、移動体用光センサ装置100は、要部として、光を電気信号に変換する受光部10と、光を屈折する屈折部30と、を有する。本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、受光部10を搭載し、且つ屈折部30を保持する搭載部40と、受光部10の出力信号を処理する処理部50と、該処理部50と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部60と、該コネクタ部60、処理部50、及び搭載部40を搭載し、且つこれらを電気的に接続する配線基板70と、該配線基板70、コネクタ部60、処理部50、及び搭載部40を収納する収納部80と、を有する。
【0033】
受光部10は、図1〜図3に示すように、第1受光素子11と、第2受光素子12と、第3受光素子13と、を有する。それぞれ、配線14を介して搭載部40と電気的に接続され、各受光素子11〜13の出力信号が、配線14、搭載部40、及び配線基板70を介して、処理部50に入力されるようになっている。本実施形態に係る受光素子11〜13それぞれは、フォトダイオードが一面に形成された電子基板であり、該電子基板におけるフォトダイオードが形成された一面の裏面が、図示しない接着剤を介して、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に固定されている。
【0034】
屈折部30は、図3に示すように、光が入射する入射面30aが、3つの傾斜面31〜33に分割されたプリズムである。屈折部30の入射面30aは、フロントガラスXの内面と対向しており、フロントガラスXを介して、入射面30aに車外の光が入射するようになっている。屈折部30は、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点なので、後で詳説する。
【0035】
搭載部40は、受光部10を搭載するものである。搭載部40における受光部10を搭載する搭載面40aには複数のパッド(図示略)が形成され、搭載面40aの裏面には、搭載面40aに形成されたパッドそれぞれと対応する複数のパッド(図示略)が形成されている。そして、搭載面40aに形成されたパッドと、搭載面40aの裏面に形成されたパッドとは、それぞれ搭載部40の内部に形成された配線パターン(図示略)を介して電気的に接続されている。搭載面40aに形成されたパッドは、受光素子11〜13それぞれと、配線14を介して電気的に接続され、搭載面40aの裏面に形成されたパッドは、配線基板70に形成されたパッド(図示略)と、バンプ(図示略)を介して、機械的、及び電気的に接続されている。そして、受光素子11〜13と搭載部40との電気的なコネクタ部位、及び搭載部40と配線基板70との電気的なコネクタ部位は、透明性を有する被覆樹脂15によって被覆保護されている。本実施形態に係る搭載部40は、開口部40bを有する箱状の形状を有しており、開口部40bを構成する壁面に、屈折部30を保持するための、開口部40bの中心方向に向かう付勢力を有する保持部(図示略)が設けられている。なお、上記した搭載面40aは、箱状をなす搭載部40の底部内面に相当する。
【0036】
処理部50は、受光部10の出力信号を処理するものである。処理部50は、配線基板70と、バンプを介して、機械的、及び電気的に接続されており、バンプ、配線基板70、搭載部40、及び配線14を介して、受光部10と電気的に接続されている。処理部50は、コネクタ部60から入力される車載情報に基づいて、受光部10の出力信号の絶対値を算出する。
【0037】
コネクタ部60は、処理部50と外部装置(車両に搭載されたECU)とを電気的に接続するものである。コネクタ部60は、ECUと電気的に接続されたワイヤハーネスの端子(図示略)と嵌合関係となっており、ワイヤハーネスを移動体用光センサ装置100に機械的、及び電気的に接続する機能を果たす。コネクタ部60は、配線基板70と、リード61を介して、機械的、及び電気的に接続されており、リード61、配線基板70、及びバンプを介してコネクタ部60と電気的に接続されている。車両のECUからは、車載情報である、フロントガラスXの傾斜角度や、フロントガラスXの透過率などが、コネクタ部60に入力される。これら車載情報は、コネクタ部60から、リード61、配線基板70、及びバンプを介して処理部50に入力され、該処理部50にて、これら車載情報に基づいて受光部10の出力信号の絶対値が算出される。この処理部50にて算出された受光部10の出力信号の絶対値が、バンプ、配線基板70、リード61、コネクタ部60、及びワイヤハーネスを介してECUに入力される。ECUは、処理部50の出力信号に基づいて、車両に搭載されたエアコンの設定温度を自動調整するために必要な情報や、車両に搭載されたライトの駆動を自動制御するために必要な情報を算出する。
【0038】
配線基板70は、搭載部40と、処理部50と、コネクタ部60と、を搭載し、且つそれぞれを電気的に接続する機能を果たすものである。本実施形態に係る配線基板70は、絶縁基板と、該絶縁基板の両面に形成された配線パターンと、該配線パターンの端部に相当するパッドと、を有する両面プリント基板である。絶縁基板の内層には、表面に形成された配線パターンと、裏面に形成された配線パターンとを電気的に接続するスルーホールが形成されている。
【0039】
収納部80は、搭載部40、処理部50、コネクタ部60、及び配線基板70を収納するものである。図1に示すように、収納部80は箱状をなし、2つの開口部81,82を有する。一方の開口部81から、コネクタ部60におけるワイヤハーネスとの接続部位が外部に露出され、他方の開口部82から、屈折部30の入射面30aが外部に露出されている。そして、フロントガラスXと対向する対向面80aには、接着部83が設けられており、移動体用光センサ装置100は、接着部83を介してフロントガラスXに固定されている。なお、特許請求の範囲に記載の平坦部は、対向面80aに相当する。
【0040】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点である、屈折部30について詳説する。図1〜図3に示すように、屈折部30の入射面30aは、円形状をなす縁部30cから頂点30dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割されており、入射面30aの裏面である受光部10との対向面30bは、フロントガラスXの内面と平行となっている。なお、入射面30aを別の言葉で表現すると、入射面30aは、頂点30dから、縁部30cを周とする仮想底面へ、放射状に伸びる直線によって形作られた錐体の側面に相当し、該側面が、上記した区画線によって3つに分割されたもの、ということができる。本実施形態では、第1傾斜面31が、対向面30bを介して第1受光素子11の受光面全面と対向し、第2傾斜面32が、対向面30bを介して第2受光素子12の受光面全面と対向し、第3傾斜面33が、対向面30bを介して第3受光素子13の受光面全面と対向している。
【0041】
仰角と、方位角とによって決定される角度を立体角とすると、上記した3つの傾斜面31〜33それぞれの立体角は相異なる構成となっている。したがって、縁部30cを含む仮想平面に対して垂直な立体角度を除く、任意の立体角度に対して垂直な面に投影された3つの傾斜面31〜33それぞれの投影面には、必ず大小関係が生じるようになっている。
【0042】
前方向に面した面を第1垂直面とし、左上方向に面した面を第2垂直面とし、右上方向に面した面を第3垂直面とすると、第1傾斜面31の傾斜は、第1傾斜面31における第1垂直面に投影した面積が他の傾斜面32,33における第1垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第2傾斜面32の傾斜は、第2傾斜面32における第2垂直面に投影した面積が他の傾斜面33,31における第2垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第3傾斜面33の傾斜は、第3傾斜面33における第3垂直面に投影した面積が他の傾斜面31,32における第3垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定されている。これにより、第1傾斜面31に、前方向に沿う光が、他の傾斜面32,33よりも多く入射し、第2傾斜面32に、左上方向に沿う光が、他の傾斜面33,31よりも多く入射し、第3傾斜面33に、右上方向に沿う光が、他の傾斜面31,32よりも多く入射する。これにより、第1傾斜面31によって、前方向に沿う光が、第2受光素子12及び第3受光素子13よりも多く第1受光素子11に入射され、第2傾斜面32によって、左上方向に沿う光が、第3受光素子13及び第1受光素子11よりも多く第2受光素子12に入射され、第3傾斜面33によって、右上方向に沿う光が、第1受光素子11及び第2受光素子12よりも多く第3受光素子13に入射される構成となっている。換言すれば、第1傾斜面31によって、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定され、第2傾斜面32によって、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3傾斜面33によって、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0043】
次に、図5に基づいて、各受光素子11〜13の感度における光の入射角度依存性を説明する。図5(a)に示すグラフの縦軸は、受光素子11〜13の出力信号が最大のときを100%とした場合の受光素子11〜13の相対感度(%)を示し、横軸は、光の入射角度の仰角を示す。図5(b)に示すグラフの縦軸は、図5(a)の縦軸と同様に、受光素子11〜13の相対感度(%)を示し、横軸は、光の入射角度の左右角を示す。
【0044】
図5(a),(b)に示すように、各受光素子11〜13の感度は、ある入射角度に対してピーク値をとり、ピーク値からなだらかに減衰する性質を有している。図5(a)に示すように、光の入射角が、仰角0°に平行な場合、第1受光素子11の感度が最高となっており、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっている。これにより、水平方向から入射する光に対して、第1受光素子11の感度が高く、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっていることがわかる。これに対して、光の入射角が、仰角70°に平行な場合、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が最高となっており、第1受光素子11の感度が低くなっている。これにより、車両に対して上方向から入射する光に対して、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が高く、第1受光素子11の感度が低くなっていることがわかる。
【0045】
また、図5(b)に示すように、光の入射角が、左右角0°に平行な場合、第1受光素子11の感度が最高となっており、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっている。これにより、車両の前方から入射する光に対して、第1受光素子11の感度が高く、第2受光素子12及び第3受光素子13の感度が低くなっていることがわかる。これに対して、光の入射角が、左右角−50°に平行な場合、第2受光素子12の感度が最高となっており、第3受光素子13及び第1受光素子11の感度が低くなっている。これにより、車両の左方向から入射する光に対して、第2受光素子12の感度が高く、第3受光素子13及び第1受光素子11の感度が低くなっていることがわかる。また、光の入射角が、左右角+50°に平行な場合、第3受光素子13の感度が最高となっており、第1受光素子11及び第2受光素子12の感度が低くなっている。これにより、車両の右方向から入射する光に対して、第3受光素子13の感度が高く、第1受光素子11及び第2受光素子12の感度が低くなっていることがわかる。
【0046】
以上から、光の入射角が、仰角0°左右角0°、すなわち、前方向に沿う場合、第1受光素子11の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定された構成となっていることがわかる。また、光の入射角が、仰角70°左右角−50°、すなわち、左上方向に沿う場合、第2受光素子12の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定された構成となっていることがわかる。また、光の入射角が、仰角70°左右角+50°、すなわち、右上方向に沿う場合、第3受光素子13の感度が最高となっていることがわかる。換言すれば、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっていることがわかる。
【0047】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の作用効果を説明する。上記したように、第1傾斜面31によって、第1受光素子11の受光範囲が主として前方向に限定され、第2傾斜面32によって、第2受光素子12の受光範囲が主として左上方向に限定され、第3傾斜面33によって、第3受光素子13の受光範囲が主として右上方向に限定された構成となっている。
【0048】
これにより、各受光素子11〜13の出力信号、及び各受光素子11〜13の指向角(前方向、左上方向、右上方向)に基づいて計算することで、日射量、日射仰角、及び日射方位角を求めることができる。したがって、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0049】
また、上記した構成により、第1受光素子11によって前方向の照度を検出し、第2受光素子12、若しくは第3受光素子13によって、左上方向、及び右上方向の照度を検出することができる。太陽が、左上方向、若しくは右上方向に位置する場合、第2受光素子12、及び第3受光素子13いずれかの出力信号は、太陽の位置に依存する性質を有し、第2受光素子12、及び第3受光素子13の出力信号は、車両の周囲の照度に依存する性質を有している。したがって、第2受光素子12の出力信号の強度と第3受光素子13の出力信号の強度とをECUにて合成することで、周囲の照度に依存する出力信号を得ることができる。これにより、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、照度センサに要求される機能を満たす移動体用光センサ装置となっている。
【0050】
以上から、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサ、及び照度センサの要求する機能が満たされ、且つ日射センサと照度センサとが一体化された移動体用光センサ装置となっている。
【0051】
本実施形態では、入射面30aが3つの傾斜面31〜33に分割され、それぞれの傾斜面31〜33と、受光素子11〜13のいずれか1つの受光面全面とが、対向面30bを介して対向する例を示した。しかしながら、傾斜面の数、及び受光素子の数は上記例に限定されない。例えば図6に示すように、受光部10は4つの受光素子11〜13,16を有し、入射面30aが4つの傾斜面31〜34に分割された構成を採用することもできる。この場合、対向面30bを介して、第4傾斜面34と第4受光素子16の受光面全面とが対向しており、第4傾斜面34によって、第4受光素子16の受光範囲が、主として仰角90°左右角0°の方向に限定されている。図6は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。なお、図6においては、便宜上、配線14を省略している。
【0052】
本実施形態では、図1に示すように、受光部10と屈折部30とが離間され、搭載部40によって相対的な位置が決定された構成を示した。しかしながら、例えば図7に示すように、受光部10と、搭載部40とを、屈折部30を構成する透明な樹脂によって一体的にモールドした構成を採用することもできる。この変形例の場合、受光部10は、半導体基板17、及び該半導体基板17に形成された受光素子11〜13を有し、搭載部40は、リードフレームからなり、屈折部30は、アクリル樹脂によって構成されている。これによれば、受光部10と屈折部30とが離間されて構成された移動体用光センサ装置100と比べて、離間した距離の分、移動体用光センサ装置100の体格を小さくすることができる。また、受光部10と屈折部30とが離間されて構成された移動体用光センサ装置100とは異なり、受光部10と屈折部30との相対的な位置が変化することを抑制することができる。図7は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す水平方向に沿う断面図である。なお、図7においては、便宜上、処理部50、配線基板70、及び収納部80を省略している。
【0053】
本実施形態では、受光部10が、3つの受光素子11〜13を有し、対向面30bを介して、第1受光素子11の受光面全面が第1傾斜面31と対向し、第2受光素子12の受光面全面が第2傾斜面32と対向し、第3受光素子13の受光面全面が第3傾斜面33と対向する例を示した。しかしながら、例えば図8(a),(b)に示すように、受光部10が、半導体基板17と、該半導体基板17に形成された少なくとも3つ以上の受光素子18と、を有し、1つの傾斜面に対して、複数の受光素子の受光面が対向する構成を採用することもできる。図8は、受光部の変形例を説明するための図であり、(a)は屈折部と受光部の断面図を示し、(b)は屈折部と受光部の平面図を示す。
【0054】
本実施形態では、屈折部30として、プリズムを採用した例を示した。しかしながら、例えば図9に示すように、屈折部30としては、傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝35が複数形成されたフレネルレンズを採用することもできる。
【0055】
プリズムの屈折角度は、プリズム全体の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部30としてプリズムを採用した場合、傾斜角度(屈折角度)を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくてはならない。これに対して、フレネルレンズの屈折角度は、溝35の傾斜角度を適宜設定することで、調整することができる。したがって、屈折部30としてフレネルレンズを採用した場合、屈折角度を調整するだけの厚さを予め確保しておかなくとも良い。以上により、屈折部30としてフレネルレンズを採用した場合、屈折部30としてプリズムを採用した場合と比べて、屈折部30の厚さを薄くすることができる。したがって、移動体用光センサ装置100の体格を小さくすることができる。図9は、屈折部の変形例を示す断面図である。
【0056】
本実施形態では、コネクタ部60が、車両のECUと電気的に接続されたワイヤハーネス(図示略)と嵌合関係となっており、ワイヤハーネスを移動体用光センサ装置100に機械的、及び電気的に接続する機能を果たす構成例を示した。しかしながら、ワイヤハーネスの端部が電波を送受信するコイルアンテナの場合、コネクタ部60としては、例えば図10に示すように、コイルアンテナを採用することもできる。該コイルアンテナは、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成する機能を果たす。これによれば、移動体用光センサ装置100とワイヤハーネスとの信号の送受信、及び移動体用光センサ装置100の給電を非接触で行うことができる。図10は、コネクタ部の変形性を示す平面図である。
【0057】
本実施形態では、屈折部30の入射面30aは、円形状の縁部30cから頂点30dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割された例を示した。しかしながら、屈折部30の入射面30aが、頂点30dから縁部30cに向かって、フロントガラスXに近づくように傾斜が形成され、縁部30cと頂点30dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面31〜33に分割された構成を採用することもできる。なお、言うまでもないが、上記変形例の場合においても、入射面30aの分割される数は、上記例に限定されない。
【0058】
本実施形態では、縁部30cが円形状である例を示した。しかしながら、縁部30cの形状は上記例に限定されず、例えば三角形状や四角形状などの多角形状を採用することもできる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図であり、第1実施形態に示した図1に対応している。図12は、第2実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態に示した図3に対応している。なお、図12においては、便宜上、配線14と、調整部37とを省略している。
【0060】
第2実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0061】
本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態に係る移動体用光センサ装置100が、発光部90を備えたことを、主な特徴点とする。
【0062】
発光部90は、電気信号を光信号に変換する発光素子91と、該発光素子91と配線基板70とを、機械的、及び電気的に接続するリード92と、を有するものである。発光素子91は、リード92、及び配線基板70を介して処理部50と電気的に接続されており、処理部50から、パルス状の駆動信号が発光素子91に入力されるようになっている。これにより、発光素子91からパルス状の光が照射するようになっている。なお、特許請求の範囲に記載の照射部は、本実施形態に係る発光部90と、処理部50とによって構成される。
【0063】
本実施形態に係る屈折部30は、第1実施形態で示した構成に加えて、発光素子91から照射された光を集光する集光部36と、該集光部36とフロントガラスXとの屈折率、及びフロントガラスXと屈折部30との屈折率を調整するゲル状の調整部37と、を有する。
【0064】
本実施形態に係る処理部50は、第1実施形態で示した機能に加えて、発光素子91に、パルス状の電気信号を入力する機能を有する。
【0065】
本実施形態に係る収納部80は、第1実施形態で示した構成と同様に、箱状をなし、2つの開口部81,82を有する。一方の開口部81から、コネクタ部60におけるワイヤハーネスとの接続部位が外部に露出され、他方の開口部82から、屈折部30の入射面30aと、集光部36におけるフロントガラスXとの対向面とが、調整部37を介して、外部に露出された構成となっている。第1実施形態では、収納部80の対向面80aに、接着部83が設けられていたが、本実施形態では、接着部83が、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に設けられた構成となっている。なお、特許請求の範囲に記載の平坦部は、配線基板70におけるフロントガラスXとの対向面に相当する。
【0066】
次に、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の特徴点を説明する。上記したように、発光素子91から、パルス状の光がフロントガラスXに照射されるようになっている。発光素子91から照射されるパルス状の光は、発光素子91から放射状に照射される。この放射状に照射されたパルス状の光は、車両のフロントガラスXに入射し、その入射角度によって、ある光はフロントガラスXを透過し、ある光はフロントガラスXにて反射される。そして、反射されたパルス状の光の一部が受光素子11〜13に入射するようになっている。上記したように、パルス状の光は、照射部から放射状に照射されるので、フロントガラスXにおける、フロントガラスXにて反射され受光素子に入射する光の領域は、ある程度の幅を持つこととなる。以下、このような領域を反射領域として、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100の作用効果を説明する。
【0067】
反射領域に雨滴が付着していない場合、反射領域に入射したパルス状の光、全てがフロントガラスXにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子11〜13それぞれに入射する。このような場合、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が最大となる。
【0068】
上記した場合とは異なり、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着した領域に入射したパルス状の光は、ガラスによって形成されたフロントガラスXの屈折率と雨滴の屈折率とが近い値を有しているために、フロントガラスXと雨滴とを介して外部に透過する。もちろん、反射領域に入射したパルス状の光の内、雨滴が付着していない領域に入射したパルス状の光は、フロントガラスXにて反射され、反射されたパルス状の光が受光素子11〜13それぞれに入射する。したがって、反射領域の一部に雨滴が付着している場合、受光素子11〜13に入射するパルス状の光の入射量が、反射領域に雨滴が付着していない場合と比べて低減する。このように、雨滴の有無によって、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が変動するので、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の変動を判別することで、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。
【0069】
なお、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の変動は、発光素子91の出力信号を微分することで、判別することができる。発光素子91の光はパルス状であり、太陽光や街灯などは連続した光である。したがって、発光素子91の出力信号を微分することで、太陽光や街灯などの連続した光成分を除去して、パルス状の光成分のみを抽出することができる。この抽出したパルス状の光成分の振幅の増減により、反射領域に雨滴が付着しているか否かを判別することができる。すなわち、雨が降っているか否かを判別することができる。
【0070】
もちろん、反射領域に付着する雨滴の量が増大すると、受光素子11〜13それぞれに入射するパルス状の光の入射量が低減する。したがって、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の低減度合いを判別することで、反射領域に付着した雨滴の量を判別することができる。雨は、ランダムにフロントガラスXに降り注ぐので、フロントガラスXに付着する雨滴の割合と、反射領域に付着する雨滴の割合とは、ほぼ等しくなることが期待される。したがって、パルス状の光による受光素子11〜13それぞれの出力信号の低減度合いを判別することで、フロントガラスXに付着した雨滴の量を判別することができる。すなわち、降雨量を判別することができる。
【0071】
このように、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100においては、受光素子11〜13と発光素子91とによってレインセンサが構成され、日射センサと、照度センサと、レインセンサとが受光素子11〜13を共用する移動体用光センサ装置となっている。これにより、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、日射センサ、照度センサ、及びレインセンサそれぞれが、独立して受光素子を備える移動体用光センサ装置と比べて、受光素子の数が低減され、これによってコストが削減された移動体用光センサ装置となっている。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す鉛直方向に沿う断面図であり、第1実施形態に示した図1に対応している。図14は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態に示した図3に対応している。なお、図14においては、便宜上、配線14を省略している。
【0073】
第3実施形態に係る移動体用光センサ装置は、上記した各実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0074】
例えば第1実施形態においては、屈折部30によって、受光素子11〜13それぞれの受光範囲が限定された構成を示した。これに対し、本実施形態においては、屈折部30を有さず、搭載部40によって、受光素子11〜13それぞれの受光範囲が限定された点を特徴とする。
【0075】
図13及び図14に示すように、搭載部40の搭載面40aが、円形状をなす縁部40cから頂点40dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割されている。なお、搭載面40aを別の言葉で表現すると、搭載面40aは、頂点40dから、縁部40cを周とする仮想底面へ、放射状に伸びる直線によって形作られた錐体の側面に相当し、該側面が、上記した区画線によって3つに分割されたもの、ということができる。本実施形態では、第1受光素子11が第1傾斜面41に搭載され、第2受光素子12が第2傾斜面42に搭載され、第3受光素子13が第3傾斜面33に搭載されている。
【0076】
上記した3つの傾斜面41〜43それぞれの立体角は相異なる構成となっている。したがって、縁部40cを含む仮想平面に対して垂直な立体角度を除く、任意の立体角度に対して垂直な面に投影された3つの傾斜面41〜43それぞれの投影面には、必ず大小関係が生じるようになっている。
【0077】
本実施形態では、第1傾斜面41の傾斜が、第1傾斜面41における第1垂直面に投影した面積が他の傾斜面42,43における第1垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第2傾斜面42の傾斜が、第2傾斜面42における第2垂直面に投影した面積が他の傾斜面43,41における第2垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定され、第3傾斜面43の傾斜が、第3傾斜面43における右上方向に対して垂直な第3垂直面に投影した面積が他の傾斜面41,42における第3垂直面に投影した面積よりも大きくなるように決定されている。これにより、第1傾斜面41に、前方向に沿う光が、他の傾斜面42,43よりも多く入射し、第2傾斜面42に、左上方向に沿う光が、他の傾斜面43,41よりも多く入射し、第3傾斜面43に、右上方向に沿う光が、他の傾斜面41,42よりも多く入射する。これにより、第1傾斜面41によって、前方向に沿う光が、第2受光素子12及び第3受光素子13よりも多く第1受光素子11に入射され、第2傾斜面42によって、左上方向に沿う光が、第3受光素子13及び第1受光素子11よりも多く第2受光素子12に入射され、第3傾斜面43によって、右上方向に沿う光が、第1受光素子11及び第2受光素子12よりも多く第3受光素子13に入射される構成となっている。換言すれば、第1傾斜面41によって、第1受光素子11の受光範囲が前方向に限定され、第2傾斜面42によって、第2受光素子12の受光範囲が左上方向に限定され、第3傾斜面43によって、第3受光素子13の受光範囲が右上方向に限定された構成となっている。
【0078】
このように本実施形態に係る移動体用光センサ装置100は、第1実施形態で示した移動体用光センサ装置100と同様に、第1受光素子11の受光範囲が前方向に限定され、第2受光素子12の受光範囲が左上方向に限定され、第3受光素子13の受光範囲が右上方向に限定された構成となっている。したがって、第1実子形態で示した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
本実施形態では、搭載面40aが3つの傾斜面41〜43に分割され、第1傾斜面41に第1受光素子11が搭載され、第2傾斜面42に第2受光素子12が搭載され、第3傾斜面43に第3受光素子13が搭載される例を示した。しかしながら、傾斜面の数、及び受光素子の数は上記例に限定されない。例えば図15に示すように、搭載面40aが4つの傾斜面41〜44に分割された構成を採用することもできる。この場合、第4傾斜面44に第4受光素子16が搭載されており、第4傾斜面44によって、第4受光素子16の受光範囲が、主として仰角90°左右角0°の方向に限定されている。図15は、第3実施形態に係る移動体用光センサ装置の変形例を示す平面図である。なお、図15においては、便宜上、配線14を省略している。
【0080】
本実施形態では、搭載部40における1つの傾斜面に、1つの受光素子が搭載される例を示した。しかしながら、搭載部40における1つの傾斜面に複数の受光素子が搭載された構成を採用することもできる。
【0081】
本実施形態では、搭載部40の搭載面40aは、縁部40cから頂点40dに向かって、フロントガラスXから離間するように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割された例を示した。しかしながら、搭載部40の搭載面40aが、頂点40dから縁部40cに向かって、フロントガラスXに近づくように傾斜が形成され、縁部40cと頂点40dとを結ぶ3つの区画線を介して、3つの傾斜面41〜43に分割された構成を採用することもできる。なお、言うまでもないが、上記変形例の場合においても、搭載面40aの分割される数は、上記例に限定されない。
【0082】
本実施形態では、縁部40cが円形状である例を示した。しかしながら、縁部40cの形状は上記例に限定されず、例えば三角形状や四角形状などの多角形状を採用することもできる。
【0083】
なお、本実施形態に係る移動体用光センサ装置100が、第2実施形態で示した発光部90を有する構成を採用することもできる。この場合、第2実施形態で示した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0085】
第1実施形態〜第3実施形態では、移動体用光センサ装置100がフロントガラスXに装着される例を示した。しかしながら、例えば車両のルームミラーに、フロントガラスXを介して受光部10に光が入射するように、移動体用光センサ装置100を設置しても良い。この場合、接着部83は、収納部80の外面における対向面80aの裏面に設けられる。
【符号の説明】
【0086】
10・・・受光部
11〜13・・・第1受光素子〜第3受光素子
30・・・屈折部
31〜33・・・第1傾斜面〜第3傾斜面
40・・・搭載部
41〜43・・・第1傾斜面〜第3傾斜面
50・・・処理部
90・・・発光部
91・・・発光素子
100・・・移動体用光センサ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの受光素子と、
該受光素子の上方に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、
該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、
各傾斜面に対して、少なくとも1つの前記受光素子の受光面全面が対向しており、
前記傾斜面として、移動体に設置された状態で、
前記移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、
前記移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、
前記移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴とする移動体用光センサ装置。
【請求項2】
前記屈折部は、プリズムであることを特徴とする請求項1に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項3】
前記屈折部は、前記傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝が複数形成されたフレネルレンズであることを特徴とする請求項1に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項4】
前記受光素子は、半導体基板の同一平面に形成され、
前記屈折部は、透明性を有する樹脂によって形成されており、
前記半導体基板は、リードフレームに実装され、
前記リードフレームと前記半導体基板とは、前記屈折部を形成する前記樹脂によって、一体的にモールドされていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項5】
少なくとも3つの受光素子と、
該受光素子を搭載する搭載部と、を有する移動体用光センサ装置であって、
該搭載部における受光素子が搭載された搭載面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、
該傾斜面の1つに、少なくとも1つの前記受光素子の全体が搭載されており、
前記傾斜面として、移動体に設置された状態で、
前記移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、
前記移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、
前記移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴とする移動体用光センサ装置。
【請求項6】
前記移動体のウインドシールドにパルス状の光を照射する照射部を有し、
前記受光素子は、ウインドシールドによって反射されたパルス状の光を受光することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項7】
前記受光素子の出力信号を処理する処理部と、
該処理部と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部と、を有し、
該コネクタ部は、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成するアンテナを含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項8】
前記移動体のウインドシールドとの対向面が平坦な平坦部を有し、
該平坦部における、ウインドシールドとの対向面に、接着部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項9】
少なくとも3つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて、日射量、日射仰角、及び日射方位角を算出することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項10】
少なくとも2つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて、移動体の前方向の照度、及び移動体の上方の照度を算出することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項1】
少なくとも3つの受光素子と、
該受光素子の上方に配置された、光を屈折する屈折部と、を有する移動体用光センサ装置であって、
該屈折部における光が入射する入射面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、
各傾斜面に対して、少なくとも1つの前記受光素子の受光面全面が対向しており、
前記傾斜面として、移動体に設置された状態で、
前記移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、
前記移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、
前記移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴とする移動体用光センサ装置。
【請求項2】
前記屈折部は、プリズムであることを特徴とする請求項1に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項3】
前記屈折部は、前記傾斜面それぞれに、のこぎり状の溝が複数形成されたフレネルレンズであることを特徴とする請求項1に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項4】
前記受光素子は、半導体基板の同一平面に形成され、
前記屈折部は、透明性を有する樹脂によって形成されており、
前記半導体基板は、リードフレームに実装され、
前記リードフレームと前記半導体基板とは、前記屈折部を形成する前記樹脂によって、一体的にモールドされていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項5】
少なくとも3つの受光素子と、
該受光素子を搭載する搭載部と、を有する移動体用光センサ装置であって、
該搭載部における受光素子が搭載された搭載面が、少なくとも3つの傾斜面に分割され、
該傾斜面の1つに、少なくとも1つの前記受光素子の全体が搭載されており、
前記傾斜面として、移動体に設置された状態で、
前記移動体の進行方向である前方向に面した第1垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第1垂直面に投影された面積よりも大きい第1傾斜面と、
前記移動体の左上方向に面した第2垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第2垂直面に投影された面積よりも大きい第2傾斜面と、
前記移動体の右上方向に面した第3垂直面に投影された面積が、他の前記傾斜面における第3垂直面に投影された面積よりも大きい第3傾斜面と、を含むことを特徴とする移動体用光センサ装置。
【請求項6】
前記移動体のウインドシールドにパルス状の光を照射する照射部を有し、
前記受光素子は、ウインドシールドによって反射されたパルス状の光を受光することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項7】
前記受光素子の出力信号を処理する処理部と、
該処理部と外部装置とを電気的に接続するコネクタ部と、を有し、
該コネクタ部は、電波を送受信し、且つ電波を受信することで電力を生成するアンテナを含むことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項8】
前記移動体のウインドシールドとの対向面が平坦な平坦部を有し、
該平坦部における、ウインドシールドとの対向面に、接着部が設けられていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項9】
少なくとも3つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて、日射量、日射仰角、及び日射方位角を算出することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【請求項10】
少なくとも2つの方向に沿う光を受光した受光素子の出力信号に基づいて、移動体の前方向の照度、及び移動体の上方の照度を算出することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の移動体用光センサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−276421(P2010−276421A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128043(P2009−128043)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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