説明

移動体通信装置

【課題】信号機情報に基づいて音量の調節を行う移動体通信装置を提供すること。
【解決手段】移動体に備えられ、音声出力部と、前記音声出力部を介して音量を調節する制御部と、少なくとも信号機情報を含む情報を受信する通信部と、を備えた移動体通信装置において、前記制御部は、前記信号機情報に基づいて音量を調節することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信装置に関するものであり、特に信号機情報に基づいて音量の調節を行う移動体通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術を用いて人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、交通事故や渋滞などといった道路交通問題の解決を目的とした高度道路通信システム(Intelligent Transport Systems、以下「ITS」という。)が研究、開発されている。ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信とに大別できる。路車間通信は路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車間通信は車両同士が直接情報の通信を行う。
【0003】
路車間通信により路側機から車両に発信される情報には交差点情報及び信号機情報が含まれるものと考えられる。交差点情報としては交差点を識別するための識別情報、信号機情報としては信号機を識別するための識別情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の現在の表示色を示す情報)、信号機の現在の信号表示(信号機の表示色)が次の信号表示に変更されるまでの時間、信号機の次の信号表示情報等の情報が含まれる。そしてこのようにして得られる交差点情報や信号機情報を活用して種々の制御を行う装置が提案されている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されている車載用音響機器は入力された車速度信号に応じて音量を設定することとしている。これによって車両の速度が速くなりノイズが大きくなっても、自動的に聞きやすい音量になるので高速運転中に音量調節する必要がなく安全運転が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−362241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、単に速度に応じて音量調節を行うと、例えば一時停止の標識に従って一時停止する度に音量調節が行われることになるため、高い頻度で音量調節がなされるものと考えられる。そしてこのように高い頻度で音量調節が行われるとユーザが不快に感じるおそれがある。そのため、単に速度に応じて音量調節するのではなく、雑音(例えば、エンジン音や路面ノイズ)が小さい状態が長く続く(雑音が同程度の状態が続く)と見込まれる場合に、音量調節することが望まれる。
【0007】
本発明は、上述した問題点に鑑み、信号機情報に基づいて音量の調節を行う移動体通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の移動体通信装置は、移動体に備えられ、音声出力部と、前記音声出力部を介して音量を調節する制御部と、少なくとも信号機情報を含む情報を受信する通信部と、を備えた移動体通信装置において、前記制御部は、前記信号機情報に基づいて音量を調節することを特徴とする。
【0009】
この構成によると、信号機情報に基づき音量を調節するので、雑音が小さい状態(雑音が同程度の状態)が長く続くと見込まれる場合に音量調節することができ、ユーザを不快にさせることがない。
【0010】
また上記構成の移動体通信装置において、前記移動体通信装置は、前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部と、前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出部と、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、を備え、前記制御部は、前記現在位置、前記進行方向及び前記地図情報に基づき、前記移動体の前方の信号機を特定し、該信号機の信号機情報に基づいて音量を調整することを特徴とする。
【0011】
この構成によると、移動体周辺に複数の信号機が存在する場合に、複数の信号機のうちどの信号機が自車の前方の信号機か(自車の進行方向に対応付けられた信号機か)を特定するため、自車の前方の信号機以外の信号機情報に基づいて音量を調節する制御を行うことがない。
【0012】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、雑音が小さい状態か否かを判定し、前記雑音が小さい状態で、且つ、前記信号機情報に基づく信号機の信号表示が進行不許可信号表示である場合、音量を調節することを特徴としている。
【0013】
この構成によると、雑音が小さい状態で、且つ、信号機の信号表示が進行不許可信号表示である場合に音量を調節する。よって、雑音が小さい状態がある程度継続すると見込まれる場合にのみ音量が調節されるのでユーザを不快にさせることがない。
【0014】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記信号機の信号表示が進行許可信号表示に変わるまでの残時間が所定時間以上である場合に、音量を調節することが望ましい。
【0015】
この構成によると、進行不許可信号表示が進行許可信号表示に変わるまでの残時間が所定時間以上である場合に音量を調節する。よって、雑音が小さい状態がある程度継続することが明らかな場合にのみ音量が調節されるので、ユーザを不快にさせることがない。
【0016】
また上記構成の移動体通信装置において、前記制御部は、前記信号機の信号表示が進行許可信号表示に変わったとき及び/又は前記移動体が移動を開始したときに音量を調節する前の音量に戻すことが望ましい。
【0017】
この構成によると、移動体が移動し始めたとき或いは近い将来移動し始めるときに音量を調節前の音量に戻すのでエンジン音等により音声が聞こえにくいという事態を回避することができる。
【0018】
また上記構成の移動体通信装置において、前記移動体通信装置は、前記移動体の移動速度を検出する速度検出部を備え、前記制御部は、前記移動速度が所定以下の場合に、前記雑音が小さい状態と判定することが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、信号機情報に基づき音量を調節するので、雑音が小さい状態(雑音が同程度の状態)が長く続くと見込まれる場合に音量調節することができ、ユーザを不快にさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【図3】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【図4】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【図5】は、本発明のナビゲーション装置の制御部が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するためにナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション機能を有しない装置であってもよく、また、車両から取り外して持ち運びが可能な装置であってもよい。なお、以下の説明では、ナビゲーション装置が車に取付けられた場合を例示するが、バイクや歩行者がナビゲーション装置を備えて(保持して)いてもよい。図1は本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置20は制御部1と、表示部2と、操作部3と、現在位置検出部4と、進行方向検出部5と、速度検出部6と、地図情報記憶部7と、バッテリ8と、通信部9と、音声出力部10とを備えている。
【0022】
制御部1はナビゲーション装置20全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御や動作の手順が記述された各種プログラムが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0023】
表示部2は地図画面(目的地への経路、自車の現在位置を示すマーク、などを含む地図画像を表示する画面)やメニュー画面を表示するための表示手段である。
【0024】
操作部3はユーザが目的地を入力したり、メニューを操作したりするための入力操作手段である。なお、操作部3としては、ナビゲーション装置本体に各種のキーやボタンを設けてもよいし、表示部2にタッチパネル機能を付加してもよい。また、操作部3としてナビゲーション装置本体を遠隔操作するためのリモートコントローラを用いても構わない。
【0025】
現在位置検出部4は自車の現在位置を検出するものであり、GPS受信機、自立航法手段、位置計算用CPU等を含んで構成される。自立航法手段は操角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなり、自車の走行距離と進行方向とをそれぞれ検出し、これらの値に基づいて現在位置を求める。また、GPS受信機は複数のGPS衛星から送られてくる電波をGPSアンテナで受信して3次元測位処理又は2次元測位処理を行って自車の絶対位置及び進行方向を計算する。ここで進行方向は現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算される。
【0026】
進行方向検出部5は自車の進行方向を検出するものである。進行方向の検出方法は特に限定されず、例えばタイヤの回転方向から検出することとしてもよいし、方位センサを用いて検出してもよいし、上述のように現時点の自車位置と直前の自車位置とに基づいて計算してもよい。なお、現在位置検出部4が自車の現在位置に加えて進行方向を検出することができる場合には進行方向検出部5を別途設けない構成としてもよい。
【0027】
速度検出部6はナビゲーション装置20が搭載された自車の移動速度を検出する。移動速度は車速センサや加速度センサの出力から算出してもよいし、GPS履歴間の走行距離とGPS受信時刻の差から算出してもよい。
【0028】
地図情報記憶部7は目的地への経路探索や誘導を行う際に参照される地図情報が記憶されている。地図情報には、ネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)が含まれる。地図情報記憶部7としてはNANDフラッシュやSDメモリカードなどを好適に用いることができる。なお、地図情報記憶部7はナビゲーション装置20に内蔵しても構わないし、ナビゲーション装置20に着脱可能な構成としても構わない。なお、地図情報には、地図画像が含まれていてもよいし、地図情報に含まれるネットワークデータ(ノードデータ、リンクデータ)に基づき地図画像を表示部2に描画してもよい。また、地図情報は予め地図情報記憶部7に記憶される以外にも、後述する通信部9が路側機などから地図情報を受信し、受信された地図情報が地図情報記憶部7に記憶されてもよい。
【0029】
バッテリ8はナビゲーション装置20の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ8として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。
【0030】
通信部9はナビゲーション装置20と通信可能な他の通信装置(以下「他の通信装置」という。)に情報を送信する送信部(図示せず)と他の通信装置から送信される情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は無線通信や赤外線通信などの非接触通信としてもよいし、バス接続などの有線通信としてもよい。他の通信装置としては例えば他の車両(移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置、路側機、歩行者が所持する携帯電話等の移動通信端末などを挙げることができる。通信部9が路側機から受信する情報には交差点情報や信号機情報などが含まれる。なお、通信部9は、路側機以外にも他の車両(移動体)に搭載されたナビゲーション装置等の車載装置や、携帯電話等の移動通信端末などから交差点情報や信号機情報を受信してもよい。また、通信部9は、単一の交差点情報や信号機情報を受信するのではなく、複数の交差点情報や信号機情報を受信してもよい。ここで、通信部9が受信する交差点情報や信号機情報について説明を行なう。なお、以下の説明では、交差点毎に路側機が設置され、路側機から、当該路側機が設置された交差点に設置されている一又は複数の信号機の情報(信号機情報)を含む情報が送信されるものとする。交差点情報には、例えば、交差点の位置(緯度・経度)や路側機(交差点)を識別する情報などが含まれる。後述する通り、交差点情報に基づいて、自車の前方の交差点の信号機情報を判別する。
【0031】
信号機情報には、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれる。ここで、信号機情報には、信号機毎に信号機の現在の信号表示情報などの情報が含まれる。すなわち、信号機情報は、路側機が設置された交差点に設置されている信号機の情報であるから、路側機が設置された交差点が四叉路であれば、4つの信号機が設置されている。そのため、信号機情報には、4つの信号機毎に、信号機を識別するための識別情報(信号機番号)、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報、信号機の現在の信号表示情報(信号機の表示色を示す情報)、次の信号表示情報及び該信号表示に変更されるまでの時間等の情報が含まれている。なお、信号機情報には、信号表示のサイクルの情報が含まれていても良い。信号表示のサイクルの情報とは、例えば、進行許可信号表示(青色)が○○秒、進行注意信号表示(黄色)が○○秒、進行停止信号表示(赤色)が○○秒という信号表示のサイクルである。
【0032】
音声出力部10は制御部1から入力される音声データをデコードして音声信号を生成するとともに、制御部1の制御に従って音声信号を増幅してスピーカ(図示せず)に出力する。スピーカは、ナビゲーション装置20に内蔵された又は/及びナビゲーション装置20が搭載された移動体に設けられた1または複数個のスピーカである。
【0033】
なお、ナビゲーション装置20は、CDドライブなどにより構成される音楽再生部(図示せず)を備えていてもよく、音楽再生部は、挿入された記憶媒体(CDなど)に記憶された音声データ(音楽データ)を再生し、制御部1に出力する。なお、音楽再生部は、CDドライブに限定されず、テレビ放送やラジオ放送などの放送波を受信するアンテナやチューナでもよいし、また、通信部9のように、他の通信装置から音声データを無線又は有線で受信する通信部でもよい。
【0034】
[第1実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第1実施形態について図2を用いて説明する。本発明のナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第1のフローチャートである。
【0035】
ステップS01において制御部1は自車の車両情報を取得する。自車の車両情報とは現在位置検出部4によって検出される自車の現在位置、進行方向検出部5によって検出される自車の進行方向、速度検出部6によって検出される自車の移動速度を含む情報である。次にステップS02において制御部1は自車が停車しているか否かを判定する。自車が停車していなければ(ステップS02のN)処理を終了する。自車が停車していれば(ステップS02のY)ステップS03に進む。なお、「自車が停車している」とは速度検出部6により検出される自車の移動速度が0km/hである状態としてもよいし、クリープ現象により自車が低速で動いている状態を含めることとしてもよい。ここで、自車が停車している場合は、エンジン音や路面ノイズが小さく、雑音が小さい状態であると考えられる。
【0036】
ステップS03において制御部1は通信部9が受信した交差点情報及び信号機情報を取得する。そしてステップS04において制御部1は自車の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定する。制御部1は自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定するために、まず、自車の現在位置、自車の進行方向及び地図情報記憶部7に記憶されている地図情報に基づいて自車の前方の交差点を特定する。以下に、自車の前方の交差点の特定方法を説明する。上述の通り地図情報記憶部7にはノードデータやリンクデータが記憶されている。ノードデータは、ノード番号、ノードの位置座標(緯度・経度)、道路種別、交差点情報や交差点名称などを示すノード属性、さらに接続リンク本数、接続リンク番号のデータを含んで構成される。また、リンクデータは、リンクの始点及び終点となるノード番号、道路種別、距離及び/又は所要時間等を含むリンクコスト、道路名称、進行方向のデータを含んで構成される。リンクデータは上記に加えて、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所等のデータが付与される。すなわちノードデータに含まれる交差点情報には交差点のノード番号や交差点の位置座標に関する情報が含まれているため、制御手段1は、自車が現在何処におり(緯度・経度)どの方向に進んでいるか(進行方向)を取得することにより、自車の前方の交差点を特定することができる。
【0037】
自車の前方の交差点を特定することにより当該交差点に設置されている信号機が自車の前方の信号機であると特定することができるが、当該交差点に複数の信号機が設置されている場合には、複数の信号機のうちどの信号機が自車の前方の信号機か(自車の進行方向に対応付けられた信号機か)を特定する必要がある。
【0038】
よって、次に自車の前方の信号機の特定方法を説明する。自車の前方の交差点であると特定された交差点の情報(ノード番号や緯度・経度)と、通信部9が路側機から受信した交差点情報に基づき、次に到着すると予測される交差点の信号機情報を判別する。特定された交差点の位置(緯度・経度)と同一の交差点の位置(緯度・経度)を含んでいる受信した交差点情報に対応付けられた信号機情報を、自車の前方の交差点の信号機情報と判別する。すなわち、上述の通り、信号機情報には交差点に設置された信号機毎に、各信号機番号と、交差点への進入方向に対応付けられた信号現示情報が含まれているので、交差点に複数の信号機が設置されている場合であっても、どのルートを通ってその交差点に侵入するか(交差点に対応するノードに接続するリンク番号)及び自車の進行方向(リンクの進行方向でもよい)を取得することにより、どの信号機の信号表示情報を取得する必要があるのかを特定することができる。
【0039】
また、地図情報記憶7に記憶されている地図情報に信号機識別情報(信号機の位置、識別するため及び進行方向に対応付けられた信号機番号)が含まれている場合には、制御部1は、自車の現在位置、進行方向及び地図情報に基づいて、自車の前方の交差点に設置され、自車の前方の信号機(自車の進行方向に対応づけられた信号機)を特定することができる。
【0040】
なお、上述の自車の前方の信号機を特定する方法はいずれも自車の前方の交差点を特定し、その後当該交差点に設置された信号機を特定しているが、交差点を特定することなく自車の前方の信号機を特定するものであってもよい。例えば、信号機毎に路側機が設置されており、各路側機から信号機情報(信号機の位置、信号機と車両の現在位置及び進行方向との対応付け、を含む)を受信したときに、自車の現在位置及び進行方向に対応付けられた信号機が複数ある場合には、自車の現在位置から自車の進行方向(走行中の道路(リンク)の進行方向でも良い)において最も近い(座標間の距離が小さい)信号機を自車の前方の信号機と特定する。その他にも、信号機の所定距離手前に、通信範囲が狭い路側器が設置され、当該路側器から当該所定距離奥の信号機の情報(信号機情報)が送信されている場合には、受信した信号機情報は、次の信号機(前方の信号機)の信号機情報であると判定してもよい。以下の説明において、交差点に設置された信号機とは、上記のように特定された信号機である。
【0041】
なお、ステップS02での停車は、自車の現在位置及び進行方向に加え、地図情報或いは通信部9が受信した信号機(又は交差点)の位置に基づき、自車が信号機(交差点)から所定距離以内手前で停車していると判定している場合であることが好ましく、以下の説明では、自車が信号機(交差点)の所定距離手前で停車している、すなわち、当該信号機の信号表示により停車しているものとして説明を行なう。
【0042】
制御部1は通信部9が受信した信号機情報において、上記特定した信号機の信号機番号と同一の番号が付与された信号機の信号機情報(又は信号機の位置が同一の信号機の信号機情報でもよい)から現在の信号表示に関する情報を取得し、自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定する(ステップS04)。
【0043】
ここで、地図情報に、信号機識別情報が含まれない場合は、自車の現在位置、進行方向及び地図情報に基づいて、自車が次に到着する交差点を特定し、その交差点の位置(ノード位置)と通信部9が受信した信号機情報に含まれる信号機の位置とを比較し、距離差が微小であれば、次に到着する交差点の信号機であると判定する、これにより、交差点に設置された信号機が特定され、特定された信号機の信号機情報(進行方向に対応付けられた情報)と、自車の進行方向(走行中の道路(リンク)の進行方向でも良い)に基づき、自車の前方の信号機を特定する。そして、特定した信号機の信号機情報から現在の信号表示に関する情報を取得し、自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定してもよい。
【0044】
進行不許可信号表示でなければ(ステップS04のN)処理を終了する。進行不許可信号表示であれば(ステップS04のY)ステップS05に進む。
【0045】
ステップS05において制御部1は音声出力部10に、スピーカから出力させる音声の音量(音声信号の増幅量)を調節するように指示を行い、音声出力部10は、制御部1の指示に基づき音量調節(増幅)を行なう。音量の調節量は特に制限されないが、例えば予め定められた音量に調節することとしてもよいし、走行中の音量(ユーザにより設定された音量)に所定の割合を乗じた音量に調節することとしてもよい。後者の音量調節量において所定の割合を10割未満とすると制御部1は出力させる音声の音量を走行中の音量よりも小さな音量に調節する。
【0046】
本実施形態によれば、雑音が小さい状態で、且つ、移動体の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示である場合に音量を調節する。よって、雑音が小さい状態がある程度継続すると見込まれる場合にのみ音量が調節されるので、頻繁に音量調節がなされることがなくユーザを不快にさせることがない。
【0047】
なお、本実施形態の図2のフローチャートにおいて、制御部1は自車が停車しているか否かを判定したが(ステップS02)、制御部1は、自車が停車しているか否かを必ずしも判定する必要はない、すなわち、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であれば、走行中であっても、減速を行い、前方の信号機の信号表示が進行許可信号表示になるまで停車することが見込まれる(雑音が小さい状態がある程度継続すると見込まれる)ため、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であれば、停車中でなくとも音量調節を行なうことが好ましい。以下の実施形態でも同様である。
【0048】
なお、停車中でなくとも音量調節を行なう場合、前方の信号機の現在の信号表示が進行不許可信号表示である場合に限らず、現在位置、信号機情報及び移動速度(過去の移動速度の平均や走行中の道路の制限速度もよい)などに基づき、前方の交差点(停止線)に到達するときの前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示である場合にも音量調節を行なってもよい。
[第2実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第2実施形態について図3を用いて説明する。図3はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、ステップS11〜ステップS14は第1実施形態のステップS01〜ステップS04と同様であるため省略する。
【0049】
ステップS15において制御部1は自車の前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるときに、その進行不許可信号表示が進行許可信号表示に切り替わるまでの時間が所定時間よりも多いか否かを判定する。進行不許可信号表示(赤信号)が進行許可信号表示(青信号)に切り替わるまでの時間(以下、「残時間」という。)は、上述した信号機の現在の信号表示に関する情報を取得すると同時に取得される。残時間が所定時間よりも多くなければ(ステップS15のN)処理を終了する。残時間が所定時間よりも多ければ(ステップS15のY)ステップS16に進む。ステップS16において制御部1は音声出力部10から出力させる音声の音量を調節する。
【0050】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、進行不許可信号表示が進行許可信号表示に変わるまでの残時間が所定時間以上である場合に音量を調節する。よって、雑音が小さい状態がある程度継続することが明らかな場合にのみ音量が調節されるので、ユーザを不快にさせることがない。
【0051】
なお、第1実施形態で説明したように、停車中でなくとも音量調節を行なう場合、現在位置、信号機情報及び移動速度(過去の移動速度の平均や走行中の道路の制限速度でもよい)などに基づき、前方の交差点(停止線)に到達するときの前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であるか否かを判定し、進行不許可信号表示であり且つ、残時間が所定時間以上の場合にも音量調節を行なってもよい。
[第3実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第3実施形態について図4を用いて説明する。図4はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第3のフローチャートである。なお、ステップS21〜ステップS25は第1実施形態のステップS01〜ステップS05と同様であるため省略する。
【0052】
ステップS26において制御部1は車両情報及び信号機情報を取得する。なお、車両情報及び信号機情報を取得するタイミングは当該タイミングとは限られない。定期的或いは不定期(他の通信装置の送信タイミングに基づいて)に取得されてもよく、定期的或いは不定期に複数回情報を取得する場合には、取得された情報のうち最も新しい情報を使用することとしてもよい。
【0053】
そしてステップS27において制御部1は自車の前方の信号機の現在の信号表示が進行許可信号表示であるか否か(以下、「条件A」という。)判定する。進行許可信号表示であれば(ステップS27のY)ステップS29に進む。進行許可信号表示でなければ(ステップS27のN)ステップS28に進む。ステップS28において制御部1は自車が移動しているか否か(以下、「条件B」という。)を判定する。移動していれば(ステップS28のY)ステップS29に進む。移動していなければ(ステップS28のN)ステップS26に戻る。ステップS29において制御部1は音声出力部10から出力される音声の音量を調節する前の音量(ステップS25において音量を調節する前の音量)に戻す。
【0054】
なお、ステップS27とステップS28において制御部1は条件A、条件Bの判定を行っているが、判定する順番はフローチャートに示した順序でなくてもよく、例えば同時に判定するものであってもよいし、先に進行許可信号表示であるか否かを判定するものであってもよい。すなわちステップS26〜ステップS29は条件Aと条件Bのうち少なくとも一方の条件を満たす場合に音量を調節する前の音量に戻す処理を行うものであればいかなる態様であってもよい。
【0055】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、移動体が移動し始めたとき或いは近い将来移動し始めるときに音量を調節前の音量に戻すのでエンジン音等により音声が聞こえにくいという事態を回避することができる。
【0056】
[第4実施形態]
本発明のナビゲーション装置20の第4実施形態について図5を用いて説明する。図5はナビゲーション装置20の制御部1が実行する処理の流れを示す第4のフローチャートである。
【0057】
上述の第3実施形態は条件Aと条件Bのうち少なくとも一方の条件を満たす場合に音量を調節する前の音量に戻す処理を行うものであるが、本実施形態は条件Aと条件Bを共に満たす場合に音量を調節する前の音量に戻す処理を行うこととしている。その他の処理は第3実施形態と同様であるため省略する。
【0058】
本実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
なお、本願発明は、上記の実施形態に限定されず、他の実施形態にも適用することが可能である。
【0060】
例えば、本実施例では、停車か否かを判定(ステップS02など)したが、雑音が小さい状態であればよいため、停車時に限定されず、移動体の移動速度が所定以下である場合としてもよいし、また、ナビゲーション装置20がマイクなどの集音装置を備えている場合であれば、集音装置の出力に基づき、雑音が小さい状態か否かを判定してもよい。
【0061】
また、本発明は、上記特許文献1に適用することも可能である。すなわち、制御部1は、通常時(所定値以上の移動速度で走行中)では、移動速度に応じて、音量を調節する制御を音声出力部10を介して行い、移動速度が所定値以下になった場合では、通信部9が受信した信号機情報に基づいて、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示か否かを判定し、進行不許可信号表示と判定した場合にのみ、音量を調節するようにしてもよい。
【0062】
より詳細には、移動速度が所定値以下になった場合に、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であれば、信号機による長時間の停止が見込まれるため音量を調節(速度に応じた音量調節でもよい)し、前方の信号機の信号表示が進行許可信号表示であれば、信号機による停止が見込まれないため音量を調節しないようにする。
【0063】
すなわち、移動速度が所定値以下になった場合に、前方の信号機の信号表示が進行許可信号表示であれば、移動速度が所定値以下になった場合の音量が維持される。そして、その後、再度、移動速度が所定値以上になると、移動速度に応じて、音量を調節する制御を行なうことが好ましい。
【0064】
これにより、通常時は移動速度に応じて音量を調節する制御ができ、さらに、移動速度が所定以下になった場合に、前方の信号機の信号表示が進行許可信号表示であれば、そのときの音量が維持される。
【0065】
例えば、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示だったので、減速を行なったが、減速中に進行許可信号表示に変わったような場合において、前方車両との位置関係でそのまま減速することが考えられるが、前方の信号機の信号表示は進行許可信号表示のため、前方の車両も発進し、自車もすぐに加速することが考えられるため、音量を維持することで、無用な音量の調節を防ぐことができ、ユーザに不快感を与えることがなくなる。
【0066】
また、移動速度が所定値以下になった場合に、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であれば、音量を調節するのではなく、移動速度が所定値以下になった場合に、前方の信号機の信号表示が進行不許可信号表示であり、且つ、進行不許可信号表示から進行許可信号表示に変わるまでの時間が所定時間以上の場合に、音量を調節するようにしてもよい。
【0067】
なお、前方の信号機とは、詳細には、現在位置から所定距離以内に存在し、且つ、現在位置と進行方向と、地図情報及び/又は信号機情報に基づいて特定された、次に移動体に関連する信号機(次に移動体が到着し、且つ、移動体の進行方向と逆向きに信号表示を行なう信号機)であることが好ましい。すなわち、移動速度の減速の理由になりうる信号機であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は信号機情報に基づいて音量の調節を行う移動体通信装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1・・・制御部、2・・・表示部、3・・・操作部、4・・・現在位置検出部、5・・・進行方向検出部、6・・・速度検出部、7・・・地図情報記憶部、8・・・バッテリ、9・・・通信部、10・・・音声出力部、20・・・ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に備えられ、
音声出力部と、
前記音声出力部を介して音量を調節する制御部と、
少なくとも信号機情報を含む情報を受信する通信部と、
を備えた移動体通信装置において、
前記制御部は、前記信号機情報に基づいて音量を調節することを特徴とする移動体通信装置。
【請求項2】
前記移動体通信装置は、
前記移動体の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出部と、
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記現在位置、前記進行方向及び前記地図情報に基づき、前記移動体の前方の信号機を特定し、該信号機の信号機情報に基づいて音量を調整することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、雑音が小さい状態か否かを判定し、前記雑音が小さい状態で、且つ、前記信号機情報に基づく信号機の信号表示が進行不許可信号表示である場合、音量を調節することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記信号機の信号表示が進行許可信号表示に変わるまでの残時間が所定時間以上である場合に、音量を調節することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の移動体通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記信号機の信号表示が進行許可信号表示に変わったとき及び/又は前記移動体が移動を開始したときに音量を調節する前の音量に戻すことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の移動体通信装置。
【請求項6】
前記移動体通信装置は、
前記移動体の移動速度を検出する速度検出部を備え、
前記制御部は、前記移動速度が所定以下の場合に、前記雑音が小さい状態と判定することを特徴とする請求項3〜請求項5の何れか1項に記載の移動体通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−52816(P2012−52816A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193166(P2010−193166)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】