移動局装置、基地局装置、無線通信システム、通信方法および制御プログラム
【課題】移動局装置が高いドップラー周波数である環境において、PUSCHにおけるDMRSを増加させることにより伝搬路推定精度を改善する際に、DMRSの増加するシンボル数を切り替える。
【解決手段】基地局装置100との間で無線通信を行なう移動局装置200であって、基地局装置100から制御情報を受信する受信部210と、受信した制御情報に基づいて、基地局装置100が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部220と、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置100に対して送信する送信部230と、を備える。
【解決手段】基地局装置100との間で無線通信を行なう移動局装置200であって、基地局装置100から制御情報を受信する受信部210と、受信した制御情報に基づいて、基地局装置100が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部220と、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置100に対して送信する送信部230と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信および受信する基地局装置、移動局装置を有する移動通信システムにおいて、受信品質を向上するための前処理方法および、その受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、第3世代無線アクセス技術の進化(Long Term Evolution:以下、「LTE」と呼ぶ)や、さらなる通信速度の高速化へ向けたLTE Advance(以下、「LTE-A」と呼ぶ)についても検討が行なわれている。LTEにおいて、上りリンクにおけるユーザのデータ信号を送信する上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)では、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を想定して、基地局装置から時間、周波数で分割されるリソースが割り当てられる。
【0003】
PUSCHにおけるSC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の復調に利用するデータ信号復調用途の参照信号(DMRS:DeModulation Reference Signal)が含まれている。DMRSは、移動局装置のPUSCHの送信に対して、基地局装置が復調するために必要な伝搬路推定をするために、(1SC-FDMAシンボル)x(割り当てられたRBの全帯域)にわたり挿入されている。
【0004】
DMRSでは、PUSCHの復調に必要な伝搬路推定を行ない、伝搬路補償する目的で利用されるが、移動局装置の移動速度、上りリンク信号の送信に利用する搬送波周波数によって決定されるドップラー周波数が上昇するにつれ、伝搬路特性の時間変動が大きくなり、DMRSが時間領域で疎に配置されるにつれて伝搬路推定精度が劣化する。サンプリング定理によれば、補償する最大のドップラー周波数をfdmax(Hz)とすると、最適なDMRS配置間隔TF(s)はTF=1/(2fdmax)であり、つまり、fdmax=1/(2TF)となる。
【0005】
ここで、ドップラー周波数はV/λであり、Vは移動局装置の速度(m/s)、λ(m)は搬送波周波数の波長を示している。LTEにおけるDMRSの配置は、1/2ms間隔であるため、理論上fdmax=1000Hzまでのドップラー周波数に対応し、伝搬路補償を行なうことが可能である。非特許文献1によれば、LTE−Aでは、2.6GHz、500km/hとなる環境(ドップラー周波数(=1246Hz))においてもリンクの維持をすることが提案されている。さらに、搬送波周波数4.7GHz、350km/hとなる環境(ドップラー周波数(=1562Hz))においてもリンクを維持することが望ましい。
【0006】
一方、単位時間あたりに伝送することが可能となる処理能力を示す指標にスループットがある。スループットは、ビット当たりの誤り率×送信ビット数で定義すると、送信ビット数が同じ場合には、ビット当たりの誤り率がスループットに影響を与える。ビット誤り率は、DMRSによる伝搬路推定精度や誤り訂正符号の誤り訂正能力、SNR(信号対雑音電力比:Signal to Noise power Ratio)などにより決定される。同じ誤り訂正能力の符号、同じSNRの場合には、ビット当たりの誤り率は、DMRSの伝搬路補償精度に依存する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Impact of Higher Carrier Frequencies onto the Uplink of LTE-A”、3GPP TSG RAN WG1 #54、 R1-083133、2008年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PUSCHにおけるDMRSの配置では、移動局装置において、ドップラー周波数1000Hzまで対応可能であるが、LTE−Aでは、搬送波周波数2.6GHz、移動局装置の速度500km/hとなる環境(ドップラー周波数1246Hz)や搬送波周波数4.7Ghz、移動局装置の速度350km/hとなる環境(ドップラー周波数1562Hz)においても、通信状態を維持できるだけの伝搬路の推定精度を確保する必要がある。
【0009】
上記問題点に対し、このような高いドップラー周波数の場合にも推定精度が劣化しないために、PUSCHへ追加するDMRSのシンボル数を増加することが有効である。しかしながら、DMRSのシンボル数を増加することは、伝搬路推定精度の改善には有効であるが、DMRSを増加するとともに、PUSCHに含むことのできるビット数が減少し、スループット特性が劣化することから、常にDMRSのシンボルを増加することは望ましくない。そこで、状況に応じてDMRSを増加する必要がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置が高いドップラー周波数である環境において、PUSCHにおけるDMRSを増加させることにより伝搬路推定精度を改善する際に、DMRSの増加するシンボル数を切り替えることが可能な移動局装置、基地局装置、無線通信システム、通信方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の移動局装置は、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置であって、前記基地局装置から制御情報を受信する受信部と、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部と、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このように、基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0013】
(2)また、本発明の移動局装置において、前記制御情報は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むことを特徴とする。
【0014】
このように、制御情報が、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むので、移動局装置は、時間的変動が大きくなった場合にも伝搬路補償精度を低下させないことが可能となる。
【0015】
(3)また、本発明の移動局装置において、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されることを特徴とする。
【0016】
このように、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されるので、3種類のDMRSの配置を切り替えることが可能であり、様々なドップラー周波数によって、3種類のDMRSの配置を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。
【0017】
(4)また、本発明の移動局装置において、前記制御情報は、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すことを特徴とする。
【0018】
このように、制御情報が、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すので、移動局装置は、伝搬路補償精度を向上し、スループットも著しく低下させないことが可能となる。また、Slot hopping flagを利用することによりDMRSの追加シンボル数を決定するため、上位レイヤにおける切り替えなしにDMRSの追加シンボル数を決定できるため、移動局装置の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。
【0019】
(5)また、本発明の移動局装置において、ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせで前記スロットホッピングの有無が決定されることを特徴とする。
【0020】
このように、ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせでスロットホッピングの有無が決定されるので、移動局装置の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。また、スロットホッピングが有効であるかを示す信号が1つである場合に比べて、多くのパターンを作り出すことができる。
【0021】
(6)また、本発明の移動局装置において、前記スケジューリング情報管理部は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、前記決定したシンボル数を有効とすることを特徴とする。
【0022】
このように、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、決定したシンボル数を有効とするので、基地局装置は、サブフレーム毎にDMRSのシンボル数を通知せずに制御することが可能となる。
【0023】
(7)また、本発明の基地局装置は、移動局装置との間で無線通信を行なう基地局装置であって、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するスケジューリング部と、前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信する基地局側送信部と、前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信する基地局側受信部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このように、基地局装置が、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0025】
(8)また、本発明の無線通信システムは、(1)から(6)のいずれかに記載の移動局装置と、(7)記載の基地局装置と、から構成されることを特徴とする。
【0026】
このように、無線通信システムが、(1)から(6)のいずれかに記載の移動局装置と、(7)記載の基地局装置と、から構成されるので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0027】
(9)また、本発明の通信方法は、移動局装置と基地局装置との間で無線通信を行なう通信方法であって、前記基地局装置において、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するステップと、前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信するステップと、前記移動局装置において、前記基地局装置から制御情報を受信するステップと、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するステップと、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信するステップと、前記基地局装置において、前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0028】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0029】
(10)また、本発明の制御プログラムは、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする。
【0030】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
LTEのPUSCHにおけるDMRSの配置では、移動局装置におけるドップラー周波数1000Hzまでの環境に対応しているが、本発明では、移動局装置におけるドップラー周波数2000Hzまでのドップラー周波数に対応することが可能となる。また、常にドップラー周波数2000Hzに対応する方法では、スループット特性が劣化するため、伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の基地局装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の移動局装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置から移動局装置へ時間、周波数リソース、DMRSが割り当てられ、その時間、周波数割り当てに応じた上りリンクの上りリンク信号(PUSCH)の送信を行なうシーケンスチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が0シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が2シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置と移動局装置との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態において、LTEからDMRSを1サブフレームに1SC−FDMAシンボル追加した場合を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置と移動局装置との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図12】LTEのPUSCHにおける時間および周波数で分割されるリソース管理の原理を示す図である。
【図13】1サブフレームに含まれる参照信号について示した図である。
【図14A】最近傍補間による伝搬路推定法を示す図である。
【図14B】線形補間による伝搬路推定法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次世代セルラー移動通信の一方式として、国際的な標準化プロジェクトである3GPPにおいて、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)とGSM(Global System for Mobile Communications)を発展させたネットワークの仕様に関して検討が行なわれている。3GPPでは、以前からセルラー移動通信方式について検討されており、第3世代セルラー移動通信方式として、W−CDMA方式が標準化された。また、通信速度を更に向上したHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)も標準化され、サービスが運用されている。
【0034】
図12は、LTEのPUSCHにおける時間および周波数で分割されるリソース管理の原理を示す図である。図12において、横軸は時間を、縦軸は周波数を表している。時間領域における分割の単位をSC−FDMAシンボルと呼び、周波数方向における分割の単位を1サブキャリアと呼ぶ。1SC−FDMAシンボル×1サブキャリアを1リソースエレメント(RE:Resource Element)と呼び、情報多重の最小単位として利用される。また、図12は1リソースブロック(RB:Resourece Block)という単位であり、時間方向に7SC−FDMAシンボル、周波数方向に12サブキャリアから構成される。周波数方向におけるリソースブロック数はシステムの帯域幅に依存している。
【0035】
また、時間方向については、1リソースブロックが占める時間単位を1スロットと呼び、これを2つ合わせて、1サブフレームと呼ぶ。リソース割り当ての最小単位としては、二つのスロットにおいて2リソースブロックとなる。ここで、二つのスロットは必ずしも同じ周波数が割り当てられるわけではなく、周波数ダイバーシチ獲得のためにスロット毎にホッピングして配置されることもある。
【0036】
図13は、1サブフレームに含まれる参照信号について示した図である。図13において、横軸は時間、縦軸は周波数を示している。1サブフレームのSC−FDMAシンボル番号13の1SC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の送信の際にスケジューリングなどの参考に利用するために伝搬路特性を算出する参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる場合がある。SRSは、単一の移動局装置へ割り当てられるRBにおいて送信される場合もあれば、複数の移動局装置へ割り当てられるRBに渡って送信される場合もある。また、移動局装置が割り当てられる可能性のある全RBにおいて、SRSが送信される場合もある。このように、セル内のいずれかの移動局装置において、割り当てられるRBと同じRBでSRSが送信される場合には、残りの移動局装置において、データ信号や他の参照信号をそのSC−FDMAシンボルにおいて送信することはできない。
【0037】
また、各スロットの中央(SC-FDMAシンボル番号3と10)の1SC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の復調に利用するデータ信号復調用途の参照信号(DMRS)が含まれている。DMRSは、移動局装置のPUSCHの送信に対して、基地局装置が復調するために必要な伝搬路推定するために、(1SC-FDMAシンボル)x(割り当てられたRBの全帯域)にわたり挿入されている。LTEでは、図中のSC−FDMAシンボル番号3番の位置にDMRSが配置されていることが決められている。ここで、DMRSには、CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto-Correlation)系列が用いられており、割り当てられたRBの数に応じた系列長が利用される。また、CAZAC系列とは、時間領域および、周波数領域において一定振幅かつ自己相関特性に優れた系列のことである。時間領域で一定振幅であることからPAPR(Peak to Average Power Ratio)を低く抑えることが可能である。
【0038】
DMRSにおける伝搬路推定では、まず、受信信号に含まれるDMRSに対して逆拡散を行ない、DMRSが挿入された部分の伝搬路特性を抽出する。受信信号に含まれる各スロットにおける1SC−FDMAシンボルのDMRSを利用して、DMRSを除くSC−FDMAシンボルの伝搬路推定を行なう。ここで、時間領域における伝搬路の補償の具体的な方法として、Coherent Avrerageや線形補間、最近傍補間などがある。
【0039】
Coherent Averageは、ドップラー周波数がDMRSの時間間隔に対して十分に小さく、複数のSC−FDMAシンボルから算出された伝搬路情報の平均化を行なう手法であり、ノイズリダクションによる推定精度向上を目的とした手法である。一方、線形補間は伝搬路が緩やかに変動している場合にその変動に追従した伝搬路を推定することを目的とした手法であり、Coherent Averageのようなノイズ軽減効果は得られない。これらの方法は、少なくとも2SC−FDMAシンボルのDMRSが必要である。一方、最近傍補間は、1SC−FDMAシンボルのみのDMRSによって補間を行なうことが可能であり、時間的に最も近いDMRSシンボルの伝搬路情報をそのまま補間値として利用する。最近傍補間は、DMRSが挿入された間隔に対して伝搬路の時間的変動が比較的大きい場合に有効な方法である。
【0040】
図14Aは、最近傍補間による伝搬路推定法を示す図である。図14Bは、線形補間による伝搬路推定法を示す図である。ここで、横軸は時間を示しており、縦軸は伝搬路推定値として、複素振幅値を表している。また、x0は1サブフレーム中の1stスロットにおけるDMRSのSC−FDMAシンボル番号を示し、y0はx0におけるDMRSで抽出した伝搬路特性値を示しており、x1は1サブフレーム中の2ndスロットにおけるDMRSのSC−FDMAシンボル番号を示し、y1はx1におけるDMRSで抽出した伝搬路特性値を示している。さらに、xはDMRSではない伝搬路補償すべきSC−FDMAシンボルを示し、yはxにおける伝搬路推定値である。最近傍点による補間では、各スロットに含まれたDMRSを利用して抽出した伝搬路特性を各スロットにおける全ての時間において同じとして補間し伝搬路補償を行なう。
【0041】
一方、線形補間は、同じ周波数で配置されたDMRSで抽出した伝搬路特性が少なくとも2つ必要であり、PUSCHのように各スロットに1SC−FDMAシンボルずつ配置された場合には、スロット間ホッピングされていない場合に利用可能である。線形補間は、1サブフレームでスロット間ホッピングされることなしに、同じ周波数が割り当てられる場合に、2スロットのDMRSにおいて抽出した伝搬路特性間を直線的であるとして各SC−FDMAシンボルの補間を行ない、伝搬路補償を行なう。上記、LTEのPUSCHにおけるDMRSの配置では、最近傍点による補間と線形補間を比較すると、線形補間の方が高い伝搬路推定精度を持たせることができる。特に、移動局装置の移動速度が高く、高いドップラー周波数を有する環境である場合には、スロット間ホッピングによる利得よりも伝搬路補償精度を高めることの方が良好な特性を得ることが可能である。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態による移動通信システムは、移動局装置と基地局装置とを有している。第1の実施形態では、移動局装置のアンテナ本数1本、基地局装置のアンテナ本数1本を有している場合を示している。なお、移動局装置のアンテナ本数、基地局装置のアンテナ本数ともに1本である必要はなく、2本以上であっても良い。
【0043】
図1は、本発明の基地局装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示された基地局装置100は送信部(基地局側送信部)110、スケジューリング部120、受信部(基地局側受信部)130、およびアンテナ140を備えている。送信部110は情報多重部111、変調部112、マッピング部113、無線送信部114を備えている。また、スケジューリング部120は時間・周波数リソース制御部121、参照信号制御部122、制御情報制御部123を備えており、受信部130は無線受信部131、情報抽出部132、伝搬路補償部133、合成・復調部134を備えている。アンテナ140は下りリンク信号の送信および上りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。
【0044】
基地局装置100において生成された、各移動局装置に送信する下りリンクデータと、スケジューリング部120から出力される上りリンクデータ信号送信のための時間・周波数リソースの情報は、情報多重部111に入力され、各移動局装置に送信するデータが生成される。ただし、情報多重部111の情報の形式はここでは問われず、明示的に数十〜数百ビットを用いて送信されてもよく、他の情報から一意に決定される形としてもよい。また、下りリンクデータには各レイヤでの制御情報が含まれていても良い。情報多重部111から出力された信号は、スケジューリング部120の指定のもとに変調部112において変調され、送信される信号形態に変換される。具体的には、ビット列がQPSK、16QAM、64QAMなどの信号に変調されることであり、スケジューリング部120からの制御情報によって変調方式を変えることもある。
【0045】
変調部112により変調された信号はマッピング部113に供給され、スケジューリング部120の指定に従ったリソースにマッピングする。具体的にOFDMAであれば、移動局装置ごとに指定された時間、周波数リソースにマッピングされ、全移動局装置に報知される情報なども然るべき周波数、時間リソースにマッピングされる。マッピング部113の出力は無線送信部114に供給され、送信方式にあった形態に変換される。具体的にOFDMAベースの通信方式であれば、周波数領域の信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transformation)が施されることにより、時間領域の信号が生成される。また、MIMO(Multiple Input Multiple Output)による空間多重が採用されていれば、この処理がこのブロックにて行なわれる。無線送信部114の出力信号はアンテナ140に供給され、ここから各移動局装置へ送信される。
【0046】
スケジューリング部120は、上位レイヤからの制御情報を受け取り、各移動局装置へのリソース割り振りや変調方式、符号化率の決定などを行なっている。特に、時間・周波数リソース制御部121は上り、下りを含めてどの情報(制御情報、各移動局装置への信号)をどの時間、周波数リソースに配置するかを制御する機能であり、下りリンクデータのマッピングや上りリンクデータの制御信号の出力管理を行なう。
【0047】
参照信号制御部122は、上りリンクのPUSCHの送信において、各移動局装置が利用するDMRSの割り当てと管理を行なうものである。本実施形態において、参照信号制御部122はシングルアンテナにより送信するためのDMRSを一つの移動局装置に対して1SC−FDMAシンボル割り当てる。ここで、参照信号制御部122は、割り当てるDMRSは1SC−FDMAシンボルである必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。さらに、制御情報制御部123は、移動局装置におけるPUSCHへ含めるDMRSのシンボル数に応じて通知する情報の管理を行なうものである。
【0048】
移動局装置から送信された信号はアンテナ140で受信された後、無線受信部131に入力される。無線受信部131はデータや制御信号を受け取り、送信方式に応じたディジタル信号を生成して出力する。具体的にOFDMベースの通信方式であれば、受信信号をアナログ・ディジタル変換した後、処理時間単位でFFT処理を施した信号が出力される。無線受信部131の出力は情報抽出部132に入力され、情報の種類ごとに切り分けが行なわれる。具体的に、受信した信号を、各移動局装置からのデータ毎の切り分けが行なわれる。本実施形態では、情報抽出部132では特に対象となる信号が含まれた時間、周波数リソースが切り分けられ出力されるものとする。
【0049】
情報抽出部132の出力は伝搬路補償部133に入力される。伝搬路補償部133では、入力信号に含まれたDMRSから伝搬路の推定を行ない、受信信号の補償を行なう。このとき、各スロットに含まれるDMRSを利用し、そのスロット毎の伝搬路推定を行なうことにより、伝搬路補償する。ここで、1サブフレームにおけるスロット間で周波数ホッピングされていない場合には、2スロットに含まれる2つのDMRSを利用して、1サブフレーム全体の伝搬路推定を行った後、受信信号の伝搬路補償を行なっても良い。伝搬路補償部133の出力は合成・復調部134に入力され、複数の入力系列を合成すると同時に送信されたビットを再生する復調処理が行なわれる。合成とは、伝搬路の状況に応じた重み付け加算を行なうことにより、受信品質を高めるための処理である。ここで、伝搬路補償部133および合成・復調部134についても、その処理順序は問われない。さらに、受信品質を高めるためにMMSE(Minimum Mean Square Error)を用いることで、これらの処理を同時に行なうことも可能である。
【0050】
図2は、本発明の移動局装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。各移動局装置200は図2に示されるように受信部210、スケジューリング情報管理部220、送信部230、およびアンテナ240を備えている。受信部210は無線受信部211、伝搬路補償部212、復号処理部213を備えている。復号処理部213は誤り訂正・検出部214、復調部215、情報抽出・分離部216を備えている。また、スケジューリング情報管理部220は上りリンクスケジューリング管理部224、下りリンクスケジューリング管理部221、参照信号管理部222、制御情報管理部223を備えており、送信部230は情報多重部231、変調部232、マッピング部233、無線送信部234を備えている。アンテナ240は上りリンク信号の送信および下りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。
【0051】
基地局装置100から送信される下りリンク信号をアンテナ240で受信すると、この信号は無線受信部211へ入力される。無線受信部211では、アナログ・ディジタル(A/D)変換などの他に、通信方式に応じた処理が施され、出力される。具体的にOFDMAであれば、A/D変換後の時系列の信号はFFT処理され、時間・周波数領域の信号に変換されて出力される。無線受信部211の出力信号は伝搬路補償部212へ入力され、この入力信号に付与されているDMRSなどを利用して伝搬路補償を行ない、これを基に伝搬路補償を行なって出力する。伝搬路補償部212の出力は復号処理部213に入力され、これをスケジューリング情報管理部220の出力を基にして復調、必要であれば誤り訂正・検出が行なわれた後、その種類ごとに分類され、スケジューリング利用される第1の出力と、上位レイヤで処理される第2の出力とされる。
【0052】
具体的に、自局宛の下りおよび上りリンクのスケジューリング情報が記された制御情報が受信された場合、復調および誤り訂正を行った後、自局宛のスケジューリング情報を抽出して第1の出力としてスケジューリング情報管理部220に出力する。また、下りリンクデータが受信された場合、下りリンクスケジューリング管理部221で管理する情報(たとえばどの周波数、時間で自局宛のデータが送信されるか)を利用してデータを抽出した後、復調、誤り検出を行ない、第2の出力として出力する。さらに誤り検出の結果の有無はスケジューリング情報管理部220に出力され制御情報管理部223にて管理される。ここで、復号処理部213における情報抽出・分離部216と誤り訂正・検出部214、復調部215について、その処理順序は問われない。たとえば、送信された情報の種類に応じてこれらの処理が前後してもよく、また、システムによってこれらの処理が前後してもよい。
【0053】
送信部230は上りリンクデータ信号の送信を行なう。上りリンクデータはその送信タイミングにて情報多重部231へ供給される。ここでは、入力された情報を同時に送信するための処理が行なわれるが、ここでは基地局から送信された時間・周波数リソースに基づいて送信することを想定する。情報多重部231へ入力された信号は変調部232に供給される。変調部232では、スケジューリング情報管理部220から供給される変調方式情報を利用して変調される。
【0054】
変調部232の出力はマッピング部233に出力され、上りリンクスケジューリング管理部224により管理されている基地局装置100によって割り当てられたリソース情報に基づきマッピングされる。リソース情報とは具体的に、OFDMAにおいては時間、周波数リソースのことを表す。ここで、伝搬路補償に利用するために、参照信号管理部222において管理される参照信号としてDMRSを含めても良い。ここで、参照信号管理部222は、制御情報管理部223を参照し、マッピングするDMRSのシンボル数を決定しても良い。
【0055】
マッピング部233によりマッピングされた信号は、無線送信部234に入力され、送信する信号形態に変換される。OFDMAの場合は、周波数領域の信号をIFFTにより変換し、ガードインターバルを付与する動作などがこれに相当する。無線送信部234の出力はアンテナ240に供給される。
【0056】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置100から移動局装置200へ時間、周波数リソース、DMRSが割り当てられ、その時間、周波数割り当てに応じた上りリンクの上りリンク信号(PUSCH)の送信を行なうシーケンスチャートである。まず、基地局装置100は移動局装置200へDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数を通知する(ステップS101)。この通知方法はどのレイヤの制御信号を使用しても良く、その方法は問われない。また、データ信号に含めて通知しても良い。
【0057】
図4は、本発明の第1の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【0058】
図5は、本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が0シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【0059】
図6は、本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が2シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。図4において、追加するSC−FDMAシンボル数は、例えば、ビット“0”が通知された場合には、図5で示すDMRSのシンボル数、配置とし、ビット“1”が通知された場合には、図6で示すDMRSを2SC−FDMAシンボル追加するとする。さらに、一度割り当てられたDMRSのSC−FDMAシンボル数は、基地局装置100からの通知があるまで有効とし、サブフレーム毎にDMRSのシンボル数を通知しなくても良い。
【0060】
図3に戻り、基地局装置100は移動局装置200へPUSCHの送信のためのリソースを通知する(ステップS102)。さらに、基地局装置100は移動局装置200へDMRSのリソースを通知する(ステップS103)。また、割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS101〜ステップS103までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS101〜ステップS103までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0061】
続いて、移動局装置200は基地局装置100からのDMRSの追加シンボル数の通知に応じて、PUSCHへDMRSを含める(ステップS104)。ここで、図5、図6に基地局装置100からの通知に対してPUSCHにおいて含めるDMRSの配置についてそれぞれ示す。
【0062】
図5では、伝搬路補償に必要なDMRSの時間密度はfdの値にサンプリング定理を適用することで算出でき、具体的に搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が1000Hz未満なら、スロットあたりのDMRS数は1SC−FDMAシンボルとすることができる。
【0063】
図6では、1サブフレームにDMRSを2SC−FDMAシンボル分追加した場合を示しており、各スロットにそれぞれDMRSを1SC−FDMAシンボルずつ追加している。このDMRSの時間密度の場合には、例えば、搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が2000Hzまでの伝搬路補償を行なうことが可能である。図6のDMRSの配置では、図5の配置よりもDMRSの時間密度が増え、伝搬路の補償精度が高くなる。図3に戻り、DMRSをPUSCHに含めた移動局装置200は、PUSCHを基地局装置100へ送信する(ステップS105)。移動局装置200からの信号を受信した基地局装置100は、DMRSの割り当て個数に応じた伝搬路推定を行なう(ステップS106)。
【0064】
言い換えると、第1の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flag(移動局装置の速度が一定以上であることを示す信号)により判断する。基地局装置から通知されるHigh Speed flagがOFFの場合には、PUSCHへDMRSを増加しない。High Speed flagがONの場合には、増加するDMRSを2SC−FDMAシンボルとする。ここで、High Speed flagがONの場合に、増加するDMRSを1SC−FDMAシンボルとしても良い。
【0065】
以上の手順では、基地局装置100からの明示的なDMRSのシンボル数の通知のみにより、PUSCHにおけるDMRSのSC−FDMAシンボルを追加しない場合と1サブフレームに2SC−FDMAシンボルを追加する場合とを切り替えることにより、移動局装置200の時間的変動が大きくなった場合にも伝搬路補償精度を低下させないことが可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置100と移動局装置200との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。基地局装置100と移動局装置200の構成は図1および図2に示したものを利用できる。また、伝搬路補償を行なうためのDMRSの配置は図5、図6、図9を利用する。
【0067】
図9は、本発明の第2の実施形態において、LTEからDMRSを1サブフレームに1SC−FDMAシンボル追加した場合を示す図である。図9において、最初のスロットに追加の1SC−FDMAシンボルのDMRSを追加している。このDMRSの時間密度の場合には、例えば、搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が1500Hzまでの伝搬路補償を行なうことが可能である。
【0068】
この場合、移動局装置200はスロット間ホッピングせずにPUSCHの信号を送信するため、受信側では、線形補間により、1サブフレームの伝搬路特性をPUSCHに含まれた3SC−FDMAシンボルのDMRSを利用して伝搬路補償することが可能であり、DMRSの時間密度が2SC−FDMAシンボルのDMRSによる伝搬路補償よりも良好な伝搬路補償を行なうことができる。この配置では、SRSが含められる可能性のあるSC−FDMAシンボルにDMRSを配置することを避け、DMRSの配置間隔を6SC−FDMAシンボル間隔としている。ここで、上記、図5、図6、図9に示すDMRSの配置は図5、図9、図6の順に伝搬路補償精度が向上する。
【0069】
第1の実施形態との違いは、伝搬路推定を行なうためのDMRSのSC−FDMAシンボル数、配置の切り替えのトリガーとなる信号にある。第1の実施形態では、基地局装置100から移動局装置200に対して、明示的に通知する信号(図3のステップS101)により、DMRSのSC−FDMAシンボル数、および配置を決定していたが、本実施形態では、基地局装置100から移動局装置200へ通知する信号において、高速移動時にのみ信号を送信するためのフォーマットを準備し、通常利用するフォーマットと高速移動時にのみ利用するフォーマットを上位レイヤで切り替えることにより、DMRSのSC−FDMAシンボル数、配置を決定することである。
【0070】
具体的な手順について、図7、図8を用いて説明する。まず、基地局装置100は移動局装置200にPUSCHへ追加するDMRSのシンボル数を決定する(ステップS201)。ここで、追加するDMRSのシンボル数の決定には、例えば、移動局装置200が置かれる環境のドップラー周波数をfdx、図5に示すDMRSの配置では伝搬路補償が困難となるが、図9に示すDMRSの配置では、伝搬路補償が可能となるドップラー周波数をfd1とし、図9に示すDMRSの配置でも伝搬路補償が困難となるドップラー周波数をfd2とすると、fdx<fd1となる場合には、DMRSの追加シンボル数を0とし、fd1<fdx<fd2となる場合には、DMRSの追加シンボル数を1とし、fd2<fdxとなる場合には、DMRSの追加シンボル数を2としても良い。また、基地局装置100において、DMRSの追加シンボル数を意図するように移動局装置200においてあらかじめ設定されていれば、基地局装置100が送信しなくても良い。
【0071】
図8は、本発明の第2の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。基地局装置100は移動局装置200へ追加するDMRSのシンボル数に応じたフォーマットを利用し、割り当てるDMRSのシンボル数を通知する(ステップS202)。ここで示す割り当てるDMRSのシンボル数は1ビットで示すことが可能な情報であり、例えば、ビット“0”が通知された場合には、図9で示すDMRSを1SC−FDMAシンボル追加し、ビット“1”が通知された場合には、図6で示すDMRSを2SC−FDMAシンボル追加するとする。ここで、追加するDMRSのシンボル数が0の場合には、通常利用するフォーマットを利用し、追加するDMRSのシンボル数を示す情報を通知する必要はない。続いて、基地局装置100は移動局装置200へPUSCHの送信のためのリソースを通知する(ステップS203)。この割り当て方法はどのレイヤの制御信号を使用してもよく、その方法は問われない。
【0072】
さらに、基地局装置100は移動局装置200へDMRSのリソースを通知する(ステップS204)。この割り当て方法はどのレイヤの制御信号を使用しても良く、その方法は問われない。また、割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS201〜ステップS204までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS201〜ステップS204までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0073】
次に、移動局装置200は、基地局装置100から割り当てられたDMRSのSC−FDMAシンボル数に応じたDMRSをPUSCHに含める(ステップS205)。DMRSをPUSCHに含めた移動局装置200は、PUSCHを基地局装置100へ送信する(ステップS206)。移動局装置200からのPUSCHを受信した基地局装置100は、DMRSの割り当てシンボル数に応じた伝搬路補償を行なう(ステップS207)。
【0074】
言い換えると、第2の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flagとPUSCHへDMRSを増加するSC−FDMAシンボル数を明示的に示す信号により判断する。基地局装置から移動局装置へぞうかするDMRSのSC−FDMAシンボル数を明示的に示す信号を通知し、それに応じて移動局装置は、DMRSを増加し配置する。ここで、明示的に示す信号は、High Speed flagがONの場合に通知ささるものとし、1ビットで表現可能であるものとする。一方、High Speed flagがOFFの場合には、基地局装置は、移動局装置へ増加するDMRSのSC−FDMAシンボル数を示す信号を通知しない。
【0075】
以上の手順では、基地局装置100は移動局装置200が高速移動時にのみ利用するフォーマットを利用して、DMRSの追加シンボル数を通知することにより、3種類のDMRSの配置を切り替えることが可能であり、様々なドップラー周波数によって、上記3種類のDMRSの配置を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能である。
【0076】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置100と移動局装置200との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。基地局装置100と移動局装置200の構成は図1および図2に示したものを利用できる。第2の実施形態との違いは、基地局装置100から移動局装置200に通知される情報によって切り替えるDMRSの配置の数にある。第2の実施形態では、高速移動時においてのみ信号の通知に利用されるフォーマットを利用して、DMRSのシンボル数を通知したが、第3の実施形態では、基地局装置100はDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagにより、DMRSのシンボル数を通知する。具体的な手順について、図10、図11を用いて説明する。基地局装置100はまず移動局装置200へDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号を送信する(ステップS301)。
【0077】
図11は、本発明の第3の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。ここで、送信されるDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号は、例えば、移動局装置200ごとに決定され、各移動局装置200が置かれる環境のドップラー周波数をfdx、LTEにおけるDMRSの配置では伝搬路補償が困難となる可能性のあるドップラー周波数をfd1とすると、fd1<fdxとなる場合に、DMRSの追加を示す信号をONとし、そうでない場合には、DMRSの追加を示す信号をOFFとして送信するものであってもよい。ここで、DMRSの追加を示す信号の決定には、ドップラー周波数によって決定される必要はなく、高い伝搬路補償精度を必要とする状況において決定されても良い。
【0078】
図10に戻り、基地局装置100は、移動局装置200が上りリンク信号の送信において、1サブフレーム内のスロット間で異なる周波数を割り当て、ホッピングするかを示すSlot Hopping flagを送信する(ステップS302)。ただし、スロットホッピングが有効であるかを示す信号は1つである必要はなく、ホッピングパターン示す信号とホッピングの有無を示す信号との組み合わせで表わされるような2つの信号で示されるものであっても良い。
【0079】
図11で、Slot Hopping flagのON/OFFは、図9で示すDMRSでは伝搬路の補償精度が劣化する可能性のあるドップラー周波数をfd2(fd1<fd2)とすると、fd1≦fdx<fd2となる場合には、Slot Hopping flagをOFFにし、fd2≦fdxとなる場合には、Slot Hopping flagをONとする。また、移動局装置200がDMRSを増加することなく、十分な伝搬路補償を行なうことが可能な場合、つまり、fdx<fd1であり、DMRSの追加を示す信号がOFFとなる場合には、Slot Hopping flagは基地局装置100が任意に決定でき、ON/OFFどちらでも良い。また、Slot Hopping flagの決定には、ドップラー周波数によって決定される必要はなく、周波数ダイバーシチ獲得のために決定されても良い。
【0080】
図10に戻り、基地局装置100は移動局装置200へ上りリンク信号を送信するための時間、周波数リソースを割り当てる(ステップS303)。続いて、基地局装置100は移動局装置200へ上りリンク信号において伝搬路補償するためのDMRSの系列を通知する(ステップS304)。割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS301〜ステップS304までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS301〜ステップS304までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0081】
続いて、移動局装置200は基地局装置100からのDMRSの追加シンボル数の通知に応じて、PUSCHへDMRSを含める(ステップS305)。ここで、基地局装置100からの通知に対してPUSCHにおいて含めるDMRSの配置は、図5に1サブフレーム中にDMRSを追加しない場合、図9に1サブフレームにDMRSを1SC−FDMAシンボル追加する場合、図6に1サブフレーム中にDMRSを2SC−FDMAシンボル追加する場合として利用できるものとする。続いて、DMRSの追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagに応じたDMRSをPUSCHへ含めた移動局装置200は、基地局装置100へPUSCHの送信を行なう(ステップS306)。移動局装置200からPUSCHを受信した基地局装置100は、割り当てたDMRSのシンボル数に応じたDMRSの配置に対して、PUSCHを復調するための伝搬路補償を行なう(ステップS307)。
【0082】
言い換えると、第3の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flagとSlot Hopping flagにより判断する。基地局装置から通知されるHigh Speed flagがOFFの場合には、Slot Hopping flagのON/OFFに関わらず、PUSCHへDMRSを増加しない。一方、High Speed FlagがONで、Slot Hopping flagがOFFの場合には、PUSCHへDMRSを1SC−FDMAシンボル増加する。また、High Speed flagがONで、Slot Hopping flagがONの場合には、PUSCHへDMRSを2SC−FDMAシンボル増加する。
【0083】
以上の手順により、DMRSの追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagにより、PUSCHにおける3種類のDMRSの配置を切り替えることができ、伝搬路補償精度を向上し、スループットも著しく低下させないことが可能である。本実施形態では、Slot Hopping flagを利用することによりDMRSの追加シンボル数を決定するため、上位レイヤにおける切り替えなしにDMRSの追加シンボル数を決定できるため、移動局装置200の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能である。
【0084】
以上説明した本実施形態の特徴的な動作は、コンピュータに制御プログラムを実行することによって実現することができる。すなわち、本実施形態の制御プログラムは、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする。
【0085】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
100 基地局装置
110 送信部
120 スケジューリング部
130 受信部
200 移動局装置
210 受信部
220 スケジューリング情報管理部
230 送信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信および受信する基地局装置、移動局装置を有する移動通信システムにおいて、受信品質を向上するための前処理方法および、その受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、第3世代無線アクセス技術の進化(Long Term Evolution:以下、「LTE」と呼ぶ)や、さらなる通信速度の高速化へ向けたLTE Advance(以下、「LTE-A」と呼ぶ)についても検討が行なわれている。LTEにおいて、上りリンクにおけるユーザのデータ信号を送信する上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)では、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)を想定して、基地局装置から時間、周波数で分割されるリソースが割り当てられる。
【0003】
PUSCHにおけるSC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の復調に利用するデータ信号復調用途の参照信号(DMRS:DeModulation Reference Signal)が含まれている。DMRSは、移動局装置のPUSCHの送信に対して、基地局装置が復調するために必要な伝搬路推定をするために、(1SC-FDMAシンボル)x(割り当てられたRBの全帯域)にわたり挿入されている。
【0004】
DMRSでは、PUSCHの復調に必要な伝搬路推定を行ない、伝搬路補償する目的で利用されるが、移動局装置の移動速度、上りリンク信号の送信に利用する搬送波周波数によって決定されるドップラー周波数が上昇するにつれ、伝搬路特性の時間変動が大きくなり、DMRSが時間領域で疎に配置されるにつれて伝搬路推定精度が劣化する。サンプリング定理によれば、補償する最大のドップラー周波数をfdmax(Hz)とすると、最適なDMRS配置間隔TF(s)はTF=1/(2fdmax)であり、つまり、fdmax=1/(2TF)となる。
【0005】
ここで、ドップラー周波数はV/λであり、Vは移動局装置の速度(m/s)、λ(m)は搬送波周波数の波長を示している。LTEにおけるDMRSの配置は、1/2ms間隔であるため、理論上fdmax=1000Hzまでのドップラー周波数に対応し、伝搬路補償を行なうことが可能である。非特許文献1によれば、LTE−Aでは、2.6GHz、500km/hとなる環境(ドップラー周波数(=1246Hz))においてもリンクの維持をすることが提案されている。さらに、搬送波周波数4.7GHz、350km/hとなる環境(ドップラー周波数(=1562Hz))においてもリンクを維持することが望ましい。
【0006】
一方、単位時間あたりに伝送することが可能となる処理能力を示す指標にスループットがある。スループットは、ビット当たりの誤り率×送信ビット数で定義すると、送信ビット数が同じ場合には、ビット当たりの誤り率がスループットに影響を与える。ビット誤り率は、DMRSによる伝搬路推定精度や誤り訂正符号の誤り訂正能力、SNR(信号対雑音電力比:Signal to Noise power Ratio)などにより決定される。同じ誤り訂正能力の符号、同じSNRの場合には、ビット当たりの誤り率は、DMRSの伝搬路補償精度に依存する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Impact of Higher Carrier Frequencies onto the Uplink of LTE-A”、3GPP TSG RAN WG1 #54、 R1-083133、2008年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PUSCHにおけるDMRSの配置では、移動局装置において、ドップラー周波数1000Hzまで対応可能であるが、LTE−Aでは、搬送波周波数2.6GHz、移動局装置の速度500km/hとなる環境(ドップラー周波数1246Hz)や搬送波周波数4.7Ghz、移動局装置の速度350km/hとなる環境(ドップラー周波数1562Hz)においても、通信状態を維持できるだけの伝搬路の推定精度を確保する必要がある。
【0009】
上記問題点に対し、このような高いドップラー周波数の場合にも推定精度が劣化しないために、PUSCHへ追加するDMRSのシンボル数を増加することが有効である。しかしながら、DMRSのシンボル数を増加することは、伝搬路推定精度の改善には有効であるが、DMRSを増加するとともに、PUSCHに含むことのできるビット数が減少し、スループット特性が劣化することから、常にDMRSのシンボルを増加することは望ましくない。そこで、状況に応じてDMRSを増加する必要がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置が高いドップラー周波数である環境において、PUSCHにおけるDMRSを増加させることにより伝搬路推定精度を改善する際に、DMRSの増加するシンボル数を切り替えることが可能な移動局装置、基地局装置、無線通信システム、通信方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の移動局装置は、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置であって、前記基地局装置から制御情報を受信する受信部と、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部と、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このように、基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0013】
(2)また、本発明の移動局装置において、前記制御情報は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むことを特徴とする。
【0014】
このように、制御情報が、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むので、移動局装置は、時間的変動が大きくなった場合にも伝搬路補償精度を低下させないことが可能となる。
【0015】
(3)また、本発明の移動局装置において、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されることを特徴とする。
【0016】
このように、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されるので、3種類のDMRSの配置を切り替えることが可能であり、様々なドップラー周波数によって、3種類のDMRSの配置を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。
【0017】
(4)また、本発明の移動局装置において、前記制御情報は、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すことを特徴とする。
【0018】
このように、制御情報が、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すので、移動局装置は、伝搬路補償精度を向上し、スループットも著しく低下させないことが可能となる。また、Slot hopping flagを利用することによりDMRSの追加シンボル数を決定するため、上位レイヤにおける切り替えなしにDMRSの追加シンボル数を決定できるため、移動局装置の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。
【0019】
(5)また、本発明の移動局装置において、ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせで前記スロットホッピングの有無が決定されることを特徴とする。
【0020】
このように、ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせでスロットホッピングの有無が決定されるので、移動局装置の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能となる。また、スロットホッピングが有効であるかを示す信号が1つである場合に比べて、多くのパターンを作り出すことができる。
【0021】
(6)また、本発明の移動局装置において、前記スケジューリング情報管理部は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、前記決定したシンボル数を有効とすることを特徴とする。
【0022】
このように、参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、決定したシンボル数を有効とするので、基地局装置は、サブフレーム毎にDMRSのシンボル数を通知せずに制御することが可能となる。
【0023】
(7)また、本発明の基地局装置は、移動局装置との間で無線通信を行なう基地局装置であって、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するスケジューリング部と、前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信する基地局側送信部と、前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信する基地局側受信部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このように、基地局装置が、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0025】
(8)また、本発明の無線通信システムは、(1)から(6)のいずれかに記載の移動局装置と、(7)記載の基地局装置と、から構成されることを特徴とする。
【0026】
このように、無線通信システムが、(1)から(6)のいずれかに記載の移動局装置と、(7)記載の基地局装置と、から構成されるので、移動局装置は、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0027】
(9)また、本発明の通信方法は、移動局装置と基地局装置との間で無線通信を行なう通信方法であって、前記基地局装置において、上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するステップと、前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信するステップと、前記移動局装置において、前記基地局装置から制御情報を受信するステップと、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するステップと、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信するステップと、前記基地局装置において、前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0028】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【0029】
(10)また、本発明の制御プログラムは、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする。
【0030】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
LTEのPUSCHにおけるDMRSの配置では、移動局装置におけるドップラー周波数1000Hzまでの環境に対応しているが、本発明では、移動局装置におけるドップラー周波数2000Hzまでのドップラー周波数に対応することが可能となる。また、常にドップラー周波数2000Hzに対応する方法では、スループット特性が劣化するため、伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の基地局装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の移動局装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基地局装置から移動局装置へ時間、周波数リソース、DMRSが割り当てられ、その時間、周波数割り当てに応じた上りリンクの上りリンク信号(PUSCH)の送信を行なうシーケンスチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が0シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が2シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置と移動局装置との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態において、LTEからDMRSを1サブフレームに1SC−FDMAシンボル追加した場合を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置と移動局装置との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【図12】LTEのPUSCHにおける時間および周波数で分割されるリソース管理の原理を示す図である。
【図13】1サブフレームに含まれる参照信号について示した図である。
【図14A】最近傍補間による伝搬路推定法を示す図である。
【図14B】線形補間による伝搬路推定法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次世代セルラー移動通信の一方式として、国際的な標準化プロジェクトである3GPPにおいて、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)とGSM(Global System for Mobile Communications)を発展させたネットワークの仕様に関して検討が行なわれている。3GPPでは、以前からセルラー移動通信方式について検討されており、第3世代セルラー移動通信方式として、W−CDMA方式が標準化された。また、通信速度を更に向上したHSDPA(High-Speed Downlink Packet Access)も標準化され、サービスが運用されている。
【0034】
図12は、LTEのPUSCHにおける時間および周波数で分割されるリソース管理の原理を示す図である。図12において、横軸は時間を、縦軸は周波数を表している。時間領域における分割の単位をSC−FDMAシンボルと呼び、周波数方向における分割の単位を1サブキャリアと呼ぶ。1SC−FDMAシンボル×1サブキャリアを1リソースエレメント(RE:Resource Element)と呼び、情報多重の最小単位として利用される。また、図12は1リソースブロック(RB:Resourece Block)という単位であり、時間方向に7SC−FDMAシンボル、周波数方向に12サブキャリアから構成される。周波数方向におけるリソースブロック数はシステムの帯域幅に依存している。
【0035】
また、時間方向については、1リソースブロックが占める時間単位を1スロットと呼び、これを2つ合わせて、1サブフレームと呼ぶ。リソース割り当ての最小単位としては、二つのスロットにおいて2リソースブロックとなる。ここで、二つのスロットは必ずしも同じ周波数が割り当てられるわけではなく、周波数ダイバーシチ獲得のためにスロット毎にホッピングして配置されることもある。
【0036】
図13は、1サブフレームに含まれる参照信号について示した図である。図13において、横軸は時間、縦軸は周波数を示している。1サブフレームのSC−FDMAシンボル番号13の1SC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の送信の際にスケジューリングなどの参考に利用するために伝搬路特性を算出する参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる場合がある。SRSは、単一の移動局装置へ割り当てられるRBにおいて送信される場合もあれば、複数の移動局装置へ割り当てられるRBに渡って送信される場合もある。また、移動局装置が割り当てられる可能性のある全RBにおいて、SRSが送信される場合もある。このように、セル内のいずれかの移動局装置において、割り当てられるRBと同じRBでSRSが送信される場合には、残りの移動局装置において、データ信号や他の参照信号をそのSC−FDMAシンボルにおいて送信することはできない。
【0037】
また、各スロットの中央(SC-FDMAシンボル番号3と10)の1SC−FDMAシンボルには、上りリンク信号の復調に利用するデータ信号復調用途の参照信号(DMRS)が含まれている。DMRSは、移動局装置のPUSCHの送信に対して、基地局装置が復調するために必要な伝搬路推定するために、(1SC-FDMAシンボル)x(割り当てられたRBの全帯域)にわたり挿入されている。LTEでは、図中のSC−FDMAシンボル番号3番の位置にDMRSが配置されていることが決められている。ここで、DMRSには、CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto-Correlation)系列が用いられており、割り当てられたRBの数に応じた系列長が利用される。また、CAZAC系列とは、時間領域および、周波数領域において一定振幅かつ自己相関特性に優れた系列のことである。時間領域で一定振幅であることからPAPR(Peak to Average Power Ratio)を低く抑えることが可能である。
【0038】
DMRSにおける伝搬路推定では、まず、受信信号に含まれるDMRSに対して逆拡散を行ない、DMRSが挿入された部分の伝搬路特性を抽出する。受信信号に含まれる各スロットにおける1SC−FDMAシンボルのDMRSを利用して、DMRSを除くSC−FDMAシンボルの伝搬路推定を行なう。ここで、時間領域における伝搬路の補償の具体的な方法として、Coherent Avrerageや線形補間、最近傍補間などがある。
【0039】
Coherent Averageは、ドップラー周波数がDMRSの時間間隔に対して十分に小さく、複数のSC−FDMAシンボルから算出された伝搬路情報の平均化を行なう手法であり、ノイズリダクションによる推定精度向上を目的とした手法である。一方、線形補間は伝搬路が緩やかに変動している場合にその変動に追従した伝搬路を推定することを目的とした手法であり、Coherent Averageのようなノイズ軽減効果は得られない。これらの方法は、少なくとも2SC−FDMAシンボルのDMRSが必要である。一方、最近傍補間は、1SC−FDMAシンボルのみのDMRSによって補間を行なうことが可能であり、時間的に最も近いDMRSシンボルの伝搬路情報をそのまま補間値として利用する。最近傍補間は、DMRSが挿入された間隔に対して伝搬路の時間的変動が比較的大きい場合に有効な方法である。
【0040】
図14Aは、最近傍補間による伝搬路推定法を示す図である。図14Bは、線形補間による伝搬路推定法を示す図である。ここで、横軸は時間を示しており、縦軸は伝搬路推定値として、複素振幅値を表している。また、x0は1サブフレーム中の1stスロットにおけるDMRSのSC−FDMAシンボル番号を示し、y0はx0におけるDMRSで抽出した伝搬路特性値を示しており、x1は1サブフレーム中の2ndスロットにおけるDMRSのSC−FDMAシンボル番号を示し、y1はx1におけるDMRSで抽出した伝搬路特性値を示している。さらに、xはDMRSではない伝搬路補償すべきSC−FDMAシンボルを示し、yはxにおける伝搬路推定値である。最近傍点による補間では、各スロットに含まれたDMRSを利用して抽出した伝搬路特性を各スロットにおける全ての時間において同じとして補間し伝搬路補償を行なう。
【0041】
一方、線形補間は、同じ周波数で配置されたDMRSで抽出した伝搬路特性が少なくとも2つ必要であり、PUSCHのように各スロットに1SC−FDMAシンボルずつ配置された場合には、スロット間ホッピングされていない場合に利用可能である。線形補間は、1サブフレームでスロット間ホッピングされることなしに、同じ周波数が割り当てられる場合に、2スロットのDMRSにおいて抽出した伝搬路特性間を直線的であるとして各SC−FDMAシンボルの補間を行ない、伝搬路補償を行なう。上記、LTEのPUSCHにおけるDMRSの配置では、最近傍点による補間と線形補間を比較すると、線形補間の方が高い伝搬路推定精度を持たせることができる。特に、移動局装置の移動速度が高く、高いドップラー周波数を有する環境である場合には、スロット間ホッピングによる利得よりも伝搬路補償精度を高めることの方が良好な特性を得ることが可能である。以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態による移動通信システムは、移動局装置と基地局装置とを有している。第1の実施形態では、移動局装置のアンテナ本数1本、基地局装置のアンテナ本数1本を有している場合を示している。なお、移動局装置のアンテナ本数、基地局装置のアンテナ本数ともに1本である必要はなく、2本以上であっても良い。
【0043】
図1は、本発明の基地局装置100の一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示された基地局装置100は送信部(基地局側送信部)110、スケジューリング部120、受信部(基地局側受信部)130、およびアンテナ140を備えている。送信部110は情報多重部111、変調部112、マッピング部113、無線送信部114を備えている。また、スケジューリング部120は時間・周波数リソース制御部121、参照信号制御部122、制御情報制御部123を備えており、受信部130は無線受信部131、情報抽出部132、伝搬路補償部133、合成・復調部134を備えている。アンテナ140は下りリンク信号の送信および上りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。
【0044】
基地局装置100において生成された、各移動局装置に送信する下りリンクデータと、スケジューリング部120から出力される上りリンクデータ信号送信のための時間・周波数リソースの情報は、情報多重部111に入力され、各移動局装置に送信するデータが生成される。ただし、情報多重部111の情報の形式はここでは問われず、明示的に数十〜数百ビットを用いて送信されてもよく、他の情報から一意に決定される形としてもよい。また、下りリンクデータには各レイヤでの制御情報が含まれていても良い。情報多重部111から出力された信号は、スケジューリング部120の指定のもとに変調部112において変調され、送信される信号形態に変換される。具体的には、ビット列がQPSK、16QAM、64QAMなどの信号に変調されることであり、スケジューリング部120からの制御情報によって変調方式を変えることもある。
【0045】
変調部112により変調された信号はマッピング部113に供給され、スケジューリング部120の指定に従ったリソースにマッピングする。具体的にOFDMAであれば、移動局装置ごとに指定された時間、周波数リソースにマッピングされ、全移動局装置に報知される情報なども然るべき周波数、時間リソースにマッピングされる。マッピング部113の出力は無線送信部114に供給され、送信方式にあった形態に変換される。具体的にOFDMAベースの通信方式であれば、周波数領域の信号に対してIFFT(Inverse Fast Fourier Transformation)が施されることにより、時間領域の信号が生成される。また、MIMO(Multiple Input Multiple Output)による空間多重が採用されていれば、この処理がこのブロックにて行なわれる。無線送信部114の出力信号はアンテナ140に供給され、ここから各移動局装置へ送信される。
【0046】
スケジューリング部120は、上位レイヤからの制御情報を受け取り、各移動局装置へのリソース割り振りや変調方式、符号化率の決定などを行なっている。特に、時間・周波数リソース制御部121は上り、下りを含めてどの情報(制御情報、各移動局装置への信号)をどの時間、周波数リソースに配置するかを制御する機能であり、下りリンクデータのマッピングや上りリンクデータの制御信号の出力管理を行なう。
【0047】
参照信号制御部122は、上りリンクのPUSCHの送信において、各移動局装置が利用するDMRSの割り当てと管理を行なうものである。本実施形態において、参照信号制御部122はシングルアンテナにより送信するためのDMRSを一つの移動局装置に対して1SC−FDMAシンボル割り当てる。ここで、参照信号制御部122は、割り当てるDMRSは1SC−FDMAシンボルである必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。さらに、制御情報制御部123は、移動局装置におけるPUSCHへ含めるDMRSのシンボル数に応じて通知する情報の管理を行なうものである。
【0048】
移動局装置から送信された信号はアンテナ140で受信された後、無線受信部131に入力される。無線受信部131はデータや制御信号を受け取り、送信方式に応じたディジタル信号を生成して出力する。具体的にOFDMベースの通信方式であれば、受信信号をアナログ・ディジタル変換した後、処理時間単位でFFT処理を施した信号が出力される。無線受信部131の出力は情報抽出部132に入力され、情報の種類ごとに切り分けが行なわれる。具体的に、受信した信号を、各移動局装置からのデータ毎の切り分けが行なわれる。本実施形態では、情報抽出部132では特に対象となる信号が含まれた時間、周波数リソースが切り分けられ出力されるものとする。
【0049】
情報抽出部132の出力は伝搬路補償部133に入力される。伝搬路補償部133では、入力信号に含まれたDMRSから伝搬路の推定を行ない、受信信号の補償を行なう。このとき、各スロットに含まれるDMRSを利用し、そのスロット毎の伝搬路推定を行なうことにより、伝搬路補償する。ここで、1サブフレームにおけるスロット間で周波数ホッピングされていない場合には、2スロットに含まれる2つのDMRSを利用して、1サブフレーム全体の伝搬路推定を行った後、受信信号の伝搬路補償を行なっても良い。伝搬路補償部133の出力は合成・復調部134に入力され、複数の入力系列を合成すると同時に送信されたビットを再生する復調処理が行なわれる。合成とは、伝搬路の状況に応じた重み付け加算を行なうことにより、受信品質を高めるための処理である。ここで、伝搬路補償部133および合成・復調部134についても、その処理順序は問われない。さらに、受信品質を高めるためにMMSE(Minimum Mean Square Error)を用いることで、これらの処理を同時に行なうことも可能である。
【0050】
図2は、本発明の移動局装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。各移動局装置200は図2に示されるように受信部210、スケジューリング情報管理部220、送信部230、およびアンテナ240を備えている。受信部210は無線受信部211、伝搬路補償部212、復号処理部213を備えている。復号処理部213は誤り訂正・検出部214、復調部215、情報抽出・分離部216を備えている。また、スケジューリング情報管理部220は上りリンクスケジューリング管理部224、下りリンクスケジューリング管理部221、参照信号管理部222、制御情報管理部223を備えており、送信部230は情報多重部231、変調部232、マッピング部233、無線送信部234を備えている。アンテナ240は上りリンク信号の送信および下りリンク信号の受信に必要な数だけ備えられている。
【0051】
基地局装置100から送信される下りリンク信号をアンテナ240で受信すると、この信号は無線受信部211へ入力される。無線受信部211では、アナログ・ディジタル(A/D)変換などの他に、通信方式に応じた処理が施され、出力される。具体的にOFDMAであれば、A/D変換後の時系列の信号はFFT処理され、時間・周波数領域の信号に変換されて出力される。無線受信部211の出力信号は伝搬路補償部212へ入力され、この入力信号に付与されているDMRSなどを利用して伝搬路補償を行ない、これを基に伝搬路補償を行なって出力する。伝搬路補償部212の出力は復号処理部213に入力され、これをスケジューリング情報管理部220の出力を基にして復調、必要であれば誤り訂正・検出が行なわれた後、その種類ごとに分類され、スケジューリング利用される第1の出力と、上位レイヤで処理される第2の出力とされる。
【0052】
具体的に、自局宛の下りおよび上りリンクのスケジューリング情報が記された制御情報が受信された場合、復調および誤り訂正を行った後、自局宛のスケジューリング情報を抽出して第1の出力としてスケジューリング情報管理部220に出力する。また、下りリンクデータが受信された場合、下りリンクスケジューリング管理部221で管理する情報(たとえばどの周波数、時間で自局宛のデータが送信されるか)を利用してデータを抽出した後、復調、誤り検出を行ない、第2の出力として出力する。さらに誤り検出の結果の有無はスケジューリング情報管理部220に出力され制御情報管理部223にて管理される。ここで、復号処理部213における情報抽出・分離部216と誤り訂正・検出部214、復調部215について、その処理順序は問われない。たとえば、送信された情報の種類に応じてこれらの処理が前後してもよく、また、システムによってこれらの処理が前後してもよい。
【0053】
送信部230は上りリンクデータ信号の送信を行なう。上りリンクデータはその送信タイミングにて情報多重部231へ供給される。ここでは、入力された情報を同時に送信するための処理が行なわれるが、ここでは基地局から送信された時間・周波数リソースに基づいて送信することを想定する。情報多重部231へ入力された信号は変調部232に供給される。変調部232では、スケジューリング情報管理部220から供給される変調方式情報を利用して変調される。
【0054】
変調部232の出力はマッピング部233に出力され、上りリンクスケジューリング管理部224により管理されている基地局装置100によって割り当てられたリソース情報に基づきマッピングされる。リソース情報とは具体的に、OFDMAにおいては時間、周波数リソースのことを表す。ここで、伝搬路補償に利用するために、参照信号管理部222において管理される参照信号としてDMRSを含めても良い。ここで、参照信号管理部222は、制御情報管理部223を参照し、マッピングするDMRSのシンボル数を決定しても良い。
【0055】
マッピング部233によりマッピングされた信号は、無線送信部234に入力され、送信する信号形態に変換される。OFDMAの場合は、周波数領域の信号をIFFTにより変換し、ガードインターバルを付与する動作などがこれに相当する。無線送信部234の出力はアンテナ240に供給される。
【0056】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置100から移動局装置200へ時間、周波数リソース、DMRSが割り当てられ、その時間、周波数割り当てに応じた上りリンクの上りリンク信号(PUSCH)の送信を行なうシーケンスチャートである。まず、基地局装置100は移動局装置200へDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数を通知する(ステップS101)。この通知方法はどのレイヤの制御信号を使用しても良く、その方法は問われない。また、データ信号に含めて通知しても良い。
【0057】
図4は、本発明の第1の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。
【0058】
図5は、本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が0シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。
【0059】
図6は、本発明の第1の実施形態において、DMRSの追加シンボル数が2シンボルの場合におけるPUSCHのDMRSの配置を示す図である。図4において、追加するSC−FDMAシンボル数は、例えば、ビット“0”が通知された場合には、図5で示すDMRSのシンボル数、配置とし、ビット“1”が通知された場合には、図6で示すDMRSを2SC−FDMAシンボル追加するとする。さらに、一度割り当てられたDMRSのSC−FDMAシンボル数は、基地局装置100からの通知があるまで有効とし、サブフレーム毎にDMRSのシンボル数を通知しなくても良い。
【0060】
図3に戻り、基地局装置100は移動局装置200へPUSCHの送信のためのリソースを通知する(ステップS102)。さらに、基地局装置100は移動局装置200へDMRSのリソースを通知する(ステップS103)。また、割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS101〜ステップS103までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS101〜ステップS103までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0061】
続いて、移動局装置200は基地局装置100からのDMRSの追加シンボル数の通知に応じて、PUSCHへDMRSを含める(ステップS104)。ここで、図5、図6に基地局装置100からの通知に対してPUSCHにおいて含めるDMRSの配置についてそれぞれ示す。
【0062】
図5では、伝搬路補償に必要なDMRSの時間密度はfdの値にサンプリング定理を適用することで算出でき、具体的に搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が1000Hz未満なら、スロットあたりのDMRS数は1SC−FDMAシンボルとすることができる。
【0063】
図6では、1サブフレームにDMRSを2SC−FDMAシンボル分追加した場合を示しており、各スロットにそれぞれDMRSを1SC−FDMAシンボルずつ追加している。このDMRSの時間密度の場合には、例えば、搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が2000Hzまでの伝搬路補償を行なうことが可能である。図6のDMRSの配置では、図5の配置よりもDMRSの時間密度が増え、伝搬路の補償精度が高くなる。図3に戻り、DMRSをPUSCHに含めた移動局装置200は、PUSCHを基地局装置100へ送信する(ステップS105)。移動局装置200からの信号を受信した基地局装置100は、DMRSの割り当て個数に応じた伝搬路推定を行なう(ステップS106)。
【0064】
言い換えると、第1の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flag(移動局装置の速度が一定以上であることを示す信号)により判断する。基地局装置から通知されるHigh Speed flagがOFFの場合には、PUSCHへDMRSを増加しない。High Speed flagがONの場合には、増加するDMRSを2SC−FDMAシンボルとする。ここで、High Speed flagがONの場合に、増加するDMRSを1SC−FDMAシンボルとしても良い。
【0065】
以上の手順では、基地局装置100からの明示的なDMRSのシンボル数の通知のみにより、PUSCHにおけるDMRSのSC−FDMAシンボルを追加しない場合と1サブフレームに2SC−FDMAシンボルを追加する場合とを切り替えることにより、移動局装置200の時間的変動が大きくなった場合にも伝搬路補償精度を低下させないことが可能である。
【0066】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置100と移動局装置200との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。基地局装置100と移動局装置200の構成は図1および図2に示したものを利用できる。また、伝搬路補償を行なうためのDMRSの配置は図5、図6、図9を利用する。
【0067】
図9は、本発明の第2の実施形態において、LTEからDMRSを1サブフレームに1SC−FDMAシンボル追加した場合を示す図である。図9において、最初のスロットに追加の1SC−FDMAシンボルのDMRSを追加している。このDMRSの時間密度の場合には、例えば、搬送波周波数が2GHzで、ドップラー周波数が1500Hzまでの伝搬路補償を行なうことが可能である。
【0068】
この場合、移動局装置200はスロット間ホッピングせずにPUSCHの信号を送信するため、受信側では、線形補間により、1サブフレームの伝搬路特性をPUSCHに含まれた3SC−FDMAシンボルのDMRSを利用して伝搬路補償することが可能であり、DMRSの時間密度が2SC−FDMAシンボルのDMRSによる伝搬路補償よりも良好な伝搬路補償を行なうことができる。この配置では、SRSが含められる可能性のあるSC−FDMAシンボルにDMRSを配置することを避け、DMRSの配置間隔を6SC−FDMAシンボル間隔としている。ここで、上記、図5、図6、図9に示すDMRSの配置は図5、図9、図6の順に伝搬路補償精度が向上する。
【0069】
第1の実施形態との違いは、伝搬路推定を行なうためのDMRSのSC−FDMAシンボル数、配置の切り替えのトリガーとなる信号にある。第1の実施形態では、基地局装置100から移動局装置200に対して、明示的に通知する信号(図3のステップS101)により、DMRSのSC−FDMAシンボル数、および配置を決定していたが、本実施形態では、基地局装置100から移動局装置200へ通知する信号において、高速移動時にのみ信号を送信するためのフォーマットを準備し、通常利用するフォーマットと高速移動時にのみ利用するフォーマットを上位レイヤで切り替えることにより、DMRSのSC−FDMAシンボル数、配置を決定することである。
【0070】
具体的な手順について、図7、図8を用いて説明する。まず、基地局装置100は移動局装置200にPUSCHへ追加するDMRSのシンボル数を決定する(ステップS201)。ここで、追加するDMRSのシンボル数の決定には、例えば、移動局装置200が置かれる環境のドップラー周波数をfdx、図5に示すDMRSの配置では伝搬路補償が困難となるが、図9に示すDMRSの配置では、伝搬路補償が可能となるドップラー周波数をfd1とし、図9に示すDMRSの配置でも伝搬路補償が困難となるドップラー周波数をfd2とすると、fdx<fd1となる場合には、DMRSの追加シンボル数を0とし、fd1<fdx<fd2となる場合には、DMRSの追加シンボル数を1とし、fd2<fdxとなる場合には、DMRSの追加シンボル数を2としても良い。また、基地局装置100において、DMRSの追加シンボル数を意図するように移動局装置200においてあらかじめ設定されていれば、基地局装置100が送信しなくても良い。
【0071】
図8は、本発明の第2の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。基地局装置100は移動局装置200へ追加するDMRSのシンボル数に応じたフォーマットを利用し、割り当てるDMRSのシンボル数を通知する(ステップS202)。ここで示す割り当てるDMRSのシンボル数は1ビットで示すことが可能な情報であり、例えば、ビット“0”が通知された場合には、図9で示すDMRSを1SC−FDMAシンボル追加し、ビット“1”が通知された場合には、図6で示すDMRSを2SC−FDMAシンボル追加するとする。ここで、追加するDMRSのシンボル数が0の場合には、通常利用するフォーマットを利用し、追加するDMRSのシンボル数を示す情報を通知する必要はない。続いて、基地局装置100は移動局装置200へPUSCHの送信のためのリソースを通知する(ステップS203)。この割り当て方法はどのレイヤの制御信号を使用してもよく、その方法は問われない。
【0072】
さらに、基地局装置100は移動局装置200へDMRSのリソースを通知する(ステップS204)。この割り当て方法はどのレイヤの制御信号を使用しても良く、その方法は問われない。また、割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS201〜ステップS204までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS201〜ステップS204までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0073】
次に、移動局装置200は、基地局装置100から割り当てられたDMRSのSC−FDMAシンボル数に応じたDMRSをPUSCHに含める(ステップS205)。DMRSをPUSCHに含めた移動局装置200は、PUSCHを基地局装置100へ送信する(ステップS206)。移動局装置200からのPUSCHを受信した基地局装置100は、DMRSの割り当てシンボル数に応じた伝搬路補償を行なう(ステップS207)。
【0074】
言い換えると、第2の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flagとPUSCHへDMRSを増加するSC−FDMAシンボル数を明示的に示す信号により判断する。基地局装置から移動局装置へぞうかするDMRSのSC−FDMAシンボル数を明示的に示す信号を通知し、それに応じて移動局装置は、DMRSを増加し配置する。ここで、明示的に示す信号は、High Speed flagがONの場合に通知ささるものとし、1ビットで表現可能であるものとする。一方、High Speed flagがOFFの場合には、基地局装置は、移動局装置へ増加するDMRSのSC−FDMAシンボル数を示す信号を通知しない。
【0075】
以上の手順では、基地局装置100は移動局装置200が高速移動時にのみ利用するフォーマットを利用して、DMRSの追加シンボル数を通知することにより、3種類のDMRSの配置を切り替えることが可能であり、様々なドップラー周波数によって、上記3種類のDMRSの配置を切り替えることにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能である。
【0076】
(第3の実施形態)
図10は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムにおける、基地局装置100と移動局装置200との間の処理および信号の流れを示すシーケンスチャートである。基地局装置100と移動局装置200の構成は図1および図2に示したものを利用できる。第2の実施形態との違いは、基地局装置100から移動局装置200に通知される情報によって切り替えるDMRSの配置の数にある。第2の実施形態では、高速移動時においてのみ信号の通知に利用されるフォーマットを利用して、DMRSのシンボル数を通知したが、第3の実施形態では、基地局装置100はDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagにより、DMRSのシンボル数を通知する。具体的な手順について、図10、図11を用いて説明する。基地局装置100はまず移動局装置200へDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号を送信する(ステップS301)。
【0077】
図11は、本発明の第3の実施形態において、通知する情報とDMRSの追加するSC−FDMAシンボル数の関係を示す図である。ここで、送信されるDMRSのシンボル数の追加の有無を示す信号は、例えば、移動局装置200ごとに決定され、各移動局装置200が置かれる環境のドップラー周波数をfdx、LTEにおけるDMRSの配置では伝搬路補償が困難となる可能性のあるドップラー周波数をfd1とすると、fd1<fdxとなる場合に、DMRSの追加を示す信号をONとし、そうでない場合には、DMRSの追加を示す信号をOFFとして送信するものであってもよい。ここで、DMRSの追加を示す信号の決定には、ドップラー周波数によって決定される必要はなく、高い伝搬路補償精度を必要とする状況において決定されても良い。
【0078】
図10に戻り、基地局装置100は、移動局装置200が上りリンク信号の送信において、1サブフレーム内のスロット間で異なる周波数を割り当て、ホッピングするかを示すSlot Hopping flagを送信する(ステップS302)。ただし、スロットホッピングが有効であるかを示す信号は1つである必要はなく、ホッピングパターン示す信号とホッピングの有無を示す信号との組み合わせで表わされるような2つの信号で示されるものであっても良い。
【0079】
図11で、Slot Hopping flagのON/OFFは、図9で示すDMRSでは伝搬路の補償精度が劣化する可能性のあるドップラー周波数をfd2(fd1<fd2)とすると、fd1≦fdx<fd2となる場合には、Slot Hopping flagをOFFにし、fd2≦fdxとなる場合には、Slot Hopping flagをONとする。また、移動局装置200がDMRSを増加することなく、十分な伝搬路補償を行なうことが可能な場合、つまり、fdx<fd1であり、DMRSの追加を示す信号がOFFとなる場合には、Slot Hopping flagは基地局装置100が任意に決定でき、ON/OFFどちらでも良い。また、Slot Hopping flagの決定には、ドップラー周波数によって決定される必要はなく、周波数ダイバーシチ獲得のために決定されても良い。
【0080】
図10に戻り、基地局装置100は移動局装置200へ上りリンク信号を送信するための時間、周波数リソースを割り当てる(ステップS303)。続いて、基地局装置100は移動局装置200へ上りリンク信号において伝搬路補償するためのDMRSの系列を通知する(ステップS304)。割り当てるDMRSは、各スロットに1SC−FDMAシンボル分である必要はなく、2SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。また、MIMOによる空間多重伝送が行なわれる場合には、複数のDMRSの候補が通知されても良い。ここで、割り当てるDMRSは1サブフレームに2SC−FDMAシンボルである必要はなく、3SC−FDMAシンボル以上が割り当てられても良い。上記、ステップS301〜ステップS304までの手順は、同時に通知されてもよく、また、その順番が前後しても良い。また、ステップS301〜ステップS304までの手順において、あらかじめ割り当てられている場合には、その手順を行なわなくても良い。
【0081】
続いて、移動局装置200は基地局装置100からのDMRSの追加シンボル数の通知に応じて、PUSCHへDMRSを含める(ステップS305)。ここで、基地局装置100からの通知に対してPUSCHにおいて含めるDMRSの配置は、図5に1サブフレーム中にDMRSを追加しない場合、図9に1サブフレームにDMRSを1SC−FDMAシンボル追加する場合、図6に1サブフレーム中にDMRSを2SC−FDMAシンボル追加する場合として利用できるものとする。続いて、DMRSの追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagに応じたDMRSをPUSCHへ含めた移動局装置200は、基地局装置100へPUSCHの送信を行なう(ステップS306)。移動局装置200からPUSCHを受信した基地局装置100は、割り当てたDMRSのシンボル数に応じたDMRSの配置に対して、PUSCHを復調するための伝搬路補償を行なう(ステップS307)。
【0082】
言い換えると、第3の実施形態は、増加させるDMRSの数を切り替える方法として、High Speed flagとSlot Hopping flagにより判断する。基地局装置から通知されるHigh Speed flagがOFFの場合には、Slot Hopping flagのON/OFFに関わらず、PUSCHへDMRSを増加しない。一方、High Speed FlagがONで、Slot Hopping flagがOFFの場合には、PUSCHへDMRSを1SC−FDMAシンボル増加する。また、High Speed flagがONで、Slot Hopping flagがONの場合には、PUSCHへDMRSを2SC−FDMAシンボル増加する。
【0083】
以上の手順により、DMRSの追加の有無を示す信号とSlot Hopping flagにより、PUSCHにおける3種類のDMRSの配置を切り替えることができ、伝搬路補償精度を向上し、スループットも著しく低下させないことが可能である。本実施形態では、Slot Hopping flagを利用することによりDMRSの追加シンボル数を決定するため、上位レイヤにおける切り替えなしにDMRSの追加シンボル数を決定できるため、移動局装置200の急激な環境の変化においても様々なドップラー周波数に対応し、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路補償精度を向上することが可能である。
【0084】
以上説明した本実施形態の特徴的な動作は、コンピュータに制御プログラムを実行することによって実現することができる。すなわち、本実施形態の制御プログラムは、基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする。
【0085】
このように、移動局装置は、決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を基地局装置に対して送信するので、要求されるドップラー周波数や伝搬路推定精度に応じてPUSCHに含めるDMRSのSC−FDMAシンボル数を切り替えることができる。これにより、著しくスループットを低下させることなく、伝搬路推定精度を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0086】
100 基地局装置
110 送信部
120 スケジューリング部
130 受信部
200 移動局装置
210 受信部
220 スケジューリング情報管理部
230 送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置であって、
前記基地局装置から制御情報を受信する受信部と、
前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部と、
前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
前記制御情報は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むことを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項3】
前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されることを特徴とする請求項2記載の移動局装置。
【請求項4】
前記制御情報は、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すことを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項5】
ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせで前記スロットホッピングの有無が決定されることを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項6】
前記スケジューリング情報管理部は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、前記決定したシンボル数を有効とすることを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項7】
移動局装置との間で無線通信を行なう基地局装置であって、
上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するスケジューリング部と、
前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信する基地局側送信部と、
前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信する基地局側受信部と、を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の移動局装置と、
請求項7記載の基地局装置と、から構成されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
移動局装置と基地局装置との間で無線通信を行なう通信方法であって、
前記基地局装置において、
上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するステップと、
前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信するステップと、
前記移動局装置において、
前記基地局装置から制御情報を受信するステップと、
前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するステップと、
前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信するステップと、
前記基地局装置において、
前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、
受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、
スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、
送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置であって、
前記基地局装置から制御情報を受信する受信部と、
前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するスケジューリング情報管理部と、
前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する送信部と、を備えることを特徴とする移動局装置。
【請求項2】
前記制御情報は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号を含むことを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項3】
前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を明示的に通知する信号は、高速移動時にのみ利用されるフォーマットを用いて通知されることを特徴とする請求項2記載の移動局装置。
【請求項4】
前記制御情報は、フラグとスロットホッピングとの組み合わせによって、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を一意に示すことを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項5】
ホッピングパターンを示す信号とスロットホッピングの有無を示す信号との組み合わせで前記スロットホッピングの有無が決定されることを特徴とする請求項4記載の移動局装置。
【請求項6】
前記スケジューリング情報管理部は、前記参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を変更することを示す制御情報を受信するまで、前記決定したシンボル数を有効とすることを特徴とする請求項1記載の移動局装置。
【請求項7】
移動局装置との間で無線通信を行なう基地局装置であって、
上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するスケジューリング部と、
前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信する基地局側送信部と、
前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信する基地局側受信部と、を備えることを特徴とする基地局装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の移動局装置と、
請求項7記載の基地局装置と、から構成されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
移動局装置と基地局装置との間で無線通信を行なう通信方法であって、
前記基地局装置において、
上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を示す制御情報を生成するステップと、
前記生成した制御情報を前記移動局装置へ送信するステップと、
前記移動局装置において、
前記基地局装置から制御情報を受信するステップと、
前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定するステップと、
前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信するステップと、
前記基地局装置において、
前記移動局装置から前記制御情報に基づいて送信された参照信号を受信するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
基地局装置との間で無線通信を行なう移動局装置の制御プログラムであって、
受信部において、前記基地局装置から制御情報を受信する処理と、
スケジューリング情報管理部において、前記受信した制御情報に基づいて、前記基地局装置が上りリンクの伝搬路補償に利用する参照信号の1サブフレームあたりのシンボル数を決定する処理と、
送信部において、前記決定された1サブフレームあたりのシンボル数に基づいて、参照信号を前記基地局装置に対して送信する処理と、の一連の処理がコンピュータに読み取り可能および実行可能にコマンド化されたことを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【公開番号】特開2011−77647(P2011−77647A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224575(P2009−224575)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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