説明

移動局装置、基地局装置および無線通信システム

【課題】移動局を携帯するユーザがどの場所においてサービスに満足していないかといった情報を、効率的にかつ自動的に抽出する。
【解決手段】移動局100は、基地局200から無線信号を受信する受信部110と、受信部110によって受信された無線信号に基づいて基地局200との通信に関する情報である通信情報を取得する通信情報取得部121と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部122と、位置情報取得部122によって取得された位置情報と通信情報取得部121によって取得された通信情報とを無線信号によって基地局200に送信する送信部130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局装置、基地局装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(セルラー無線通信システムにおけるデータレートの変動)
セルラー無線通信システム(以下、単に「無線通信システム」とも言う。)でデータ通信を行う場合、移動局装置(以下、単に「移動局」とも言う。)が位置する場所に応じて、提供されうる伝送帯域は変動することが通常である。これは、移動局が基地局装置(以下、単に「基地局」とも言う。)の近傍に位置していれば高い受信SNR(Signal to Noise ratio)を期待することができ、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMなどという高いスループットを提供可能な変調方式を使うことができるのに対し、移動局が基地局から遠い場所に位置している際には、低い受信SNRで通信しなければならず、BPSK(Binary Phase Shift Keying)やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)といった低いオーダーの変調方式を使わざるを得ないためである。このように通信品質が変動する環境において、ユーザにストレスを与えないようにするための方法論としては、様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、通信を開始するに先立ち、基地局から通信品質確認データが配布され、通信品質が悪いか否かを通信の事前に判断するといった方法が公開されている(例えば、特許文献1参照)。また、移動局が自分の位置情報とデータレート推定情報とを移動局との間でやりとりして、ユーザに対して提供されるデータレートの推定値を表示する方法などが公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このほか、リアルタイム通信時に通信品質が悪くなりそうな場合に、アラーム情報を端末局に配布するシステムが知られ(例えば、特許文献3参照)、配信要求をリアルタイムサービスとそうでないものに分類し、ネットワークが配信要求を満たすことが可能であるかを判断する方法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
【0005】
(セルラー無線通信システムをオペレートする側の考察)
一方、データ通信の接続サービス提供事業者としては、ユーザが満足するように基地局を配置することが肝要である。実際の電波伝搬は、シャドウイングと呼ばれる建物などの影響を大きく受けるため、例えば、等間隔に基地局を配置しても、ユーザが訪れる全てのエリアに電波を適切に届けることは困難であり、例えば、どの基地局からの信号もうまく届かない場所や、逆に複数の基地局からの信号が届きすぎてしまい、信号が干渉してしまう場所が発生してしまうことが多い。サービス提供事業者は、このような場所をなるべく減らすように基地局を配置していく必要があり、例えば、計算機上で事前に電波の到達具合をシミュレートし、どこに基地局を配置するかなどを検討する必要がある(例えば、特許文献5や、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−127108号公報
【特許文献2】特開2002−353876号公報
【特許文献3】特開2006−352620号公報
【特許文献4】特表2008−536409号公報
【特許文献5】特開2001−94502号公報
【特許文献6】特表2004−510372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のとおり、通信品質が変動する環境においてユーザにストレスを与えないようにするための方法論は様々な方法が提案されてはいるものの、これらのようなアプローチでは本質的に通信品質を上げることは困難であり、かつ改善につながる度合いは小さかった。
【0008】
また、計算機上で事前に電波の到達具合をシミュレートし、どこに基地局を配置するかを把握しようとしても、計算機上で出力される計算結果と現実とのギャップが存在するため、問題となるエリアは出てきてしまう。さらに、どの場所でユーザが大量のデータ通信を行うか、といった情報は動的に変動するため、計算機上でのシミュレーションにも限界がある。
【0009】
このように、サービスエリアに穴があるといった問題が発生すると、ユーザは、サービス提供事業者に電話をして、「どこそこではつながりが悪かった」などといったクレームをあげるなどし、サービスの改善を求める必要がある。また、サービス提供事業者としても、わざわざこのようなクレームに対応し、さらにクレームされた内容を実地検証でその度合いを確認し基地局配置の検討を行う必要があるなど、満足できるサービスエリアの構築には手間がかかることが多かった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、移動局装置を携帯するユーザがどの場所においてサービスに満足していないかといった情報を、効率的にかつ自動的に抽出することが可能な、新規かつ改良された技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、基地局装置から無線信号を受信する受信部と、受信部によって受信された無線信号に基づいて基地局装置との通信に関する情報である通信情報を取得する通信情報取得部と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報取得部によって取得された位置情報と通信情報取得部によって取得された通信情報とを無線信号によって基地局装置に送信する送信部と、を備える、移動局装置が提供される。
【0012】
通信情報取得部は、基地局装置との無線信号による通信における通信品質を測定し、測定した通信品質を示す通信品質情報を通信情報として取得することとしてもよい。
【0013】
通信情報取得部は、通信品質情報が閾値よりも高いと判断した場合には、通信品質情報を通信情報として取得せず、送信部は、位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局装置に送信しないこととしてもよい。
【0014】
通信情報取得部は、受信部によって基地局装置から受信された無線信号の受信電力強度または無線信号の信号対干渉雑音比を通信品質として測定することとしてもよい。
【0015】
通信情報取得部は、受信部によって基地局装置から受信された無線信号に含まれるデータ量と無線信号を受信した時刻とを取得し、取得したデータ量と時刻とに基づいて所定時間あたりのデータ量を受信平均スループットとして算出し、算出した受信平均スループットを通信品質として測定することとしてもよい。
【0016】
移動局装置は、ユーザから通信品質情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、通信情報取得部は、入力部によってユーザから入力が受け付けられた通信品質情報を通信情報として取得することとしてもよい。
【0017】
送信部によって基地局装置に送信された位置情報と通信品質情報とは、基地局装置によってデータ管理装置に送信され、複数の基地局装置のそれぞれから送信された位置情報と通信品質情報とに基づいてデータ管理装置が通信品質の低い位置を特定するために使用されることとしてもよい。
【0018】
移動局装置が位置情報と通信情報とのうち少なくともいずれか一方に移動局装置を識別するための情報である移動局識別情報を付加して基地局装置に送信する場合には、移動局識別情報が基地局装置によって削除されてデータ管理装置に送信されることとしてもよい。
【0019】
移動局装置は、記憶部と、送信部によって位置情報と通信情報とが無線信号によって送信できなかった場合に、位置情報と通信情報とを記憶部に記憶させ、基地局装置との通信が可能になったことを検出した場合に、記憶部から位置情報と通信情報とを取得する再送信制御部と、をさらに備え、送信部は、再送信制御部によって取得された位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局装置に送信することとしてもよい。
【0020】
送信部が位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局装置に送信した場合には、移動局装置と基地局装置とにおける無線信号による通信のために移動局装置のユーザに課される料金が減額されることとしてもよい。
【0021】
通信情報取得部は、受信部によって受信された無線信号から基地局装置との通信に使用される周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を抽出し、抽出した周波数チャネル情報を通信情報として取得することとしてもよい。
【0022】
通信情報取得部は、受信部によって基地局装置から受信された無線信号の受信電力強度または無線信号の信号対干渉雑音比を通信品質として測定し、測定した通信品質を示す通信品質情報をさらに取得し、送信部は、通信品質情報を無線信号によって基地局装置にさらに送信することとしてもよい。
【0023】
送信部によって基地局装置に送信された位置情報と周波数チャネル情報とは、基地局装置によってデータ管理装置に送信され、複数の基地局装置のそれぞれから送信された位置情報と周波数チャネル情報とに基づいてデータ管理装置が基地局装置から送信された無線信号が受信される位置を周波数チャネル情報ごとに特定するために使用されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、移動局装置を携帯するユーザがどの場所においてサービスに満足していないかといった情報を、効率的にかつ自動的に抽出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】同実施形態に係る周波数リソースの利用例を示す図である。
【図3】同実施形態に係る基地局が送信する信号種別についてまとめた図である。
【図4】弱信号エリアとセル干渉エリアについて説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る移動局のハードウェア構成について示す図である。
【図6】同実施形態に係る移動局の機能構成について示す図である。
【図7】同実施形態に係る基地局のハードウェア構成について示す図である。
【図8】同実施形態に係る基地局の機能構成について示す図である。
【図9】同実施形態に係る移動局において実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】セッション開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】データ管理装置が存在する無線通信システムの構成例を示す図である。
【図12】パケットの構成例について示す図である。
【図13】中継局が存在する無線通信システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1実施形態
1−1. 本実施形態に係る無線通信システムの概要
1−2. 弱信号エリアとセル干渉エリア
1−3. 移動局のハードウェア構成例
1−4. 移動局の機能構成例
1−5. 基地局のハードウェア構成例
1−6. 基地局の機能構成例
1−7. 移動局における処理(通信品質の測定と通達)
1−8. 移動局における処理のその他の例
1−9. セッションに関する説明
1−10.移動局における処理(利用周波数チャネルの測定と通達)
1−11.ネットワーク側における処理(通信品質の集計)
1−12.ネットワーク側における処理(利用周波数チャネルの測定と通達)
1−13.課金とのリンク
2.変形例
3.まとめ
【0028】
<1.第1実施形態>
[1−1. 本実施形態に係る無線通信システムの概要]
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、移動局100が、ビルの屋上などに設置された基地局200と無線にて通信を行い、基地局200が外部のネットワーク40との接続を行うようなシステムは、セルラー無線通信システムとして知られている。いわゆる携帯電話システムなどはこのシステムの一例である。
【0029】
無線通信システム1においては、サービス提供事業者が基地局200を多数設置し、移動局100がどこに存在していてもいずれかの基地局200と接続できるようにサービスエリアを展開する。図1はこの様子を示している。図1において、サービスエリア20は、基地局200と通信を行うことが想定されているエリアを示している。このように、基地局200がサービスを提供することができるエリアはセルなどと呼ばれる。移動局100は、例えば、サービスエリア20E内に位置するときは基地局200Eと接続を行い、サービスエリア20Dに位置するときには基地局200Dと接続を行う。このように、移動局100の位置する場所に応じて接続する基地局200を変更することで、移動局100が移動した場合であっても基地局200との接続がとぎれないようになっている。
【0030】
このようなシステムにおいては、例えば、サービスエリア20の端のあたりでは、移動局100は複数の基地局200からの信号を受信できる。そのために、同じ周波数チャネルを使用する各基地局200からサービスが提供されるサービスエリア20同士が重ならないように各基地局200を配置することがある。この例について図2を用いて説明する。
【0031】
図2は、周波数リソースの利用例を示す図であり、サービス提供事業者に割り当てられた周波数リソースがどのように利用されるかを模式的に示した図である。多くの無線通信システム1においては、別々の周波数帯を上りチャネル(移動局100から基地局200方向のチャネル)と下りチャネル(基地局200から移動局100方向のチャネル)に割り当てるFDD(Frequency Division Duplex)と呼ばれる方式が採用されている。さらに、上りチャネル、下りチャネルは、共にさらに細分化され、ある基地局200ではその一部のみが利用されるよう周波数チャネルが配分される。このように、同一の周波数帯域が隣接する基地局200で利用されないように基地局200を計画的に配置することで、混信などが発生しないように制御されている。
【0032】
無線通信システム1に関する情報は、例えば、桑原守二監修“ディジタル移動通信”ISBN−4−905577−26−8などに詳しく記されているので、詳細はこれら文献を参照していただきたい。基地局200は、予め当該基地局200での利用が定められた周波数帯において、移動局100との通信に必要な信号を送受信している。
【0033】
図3は、基地局が送信する信号種別についてまとめた図である。基地局200は、まず、移動局100に対して、基地局200が存在する旨、ならびに基地局200の基準時刻を知らせる目的で、同期信号を定期的に送信している。移動局100は、この同期信号を受信することにより、周囲に基地局200がいることを検出し、さらにどのタイミングで信号を受信すると制御信号を受信できるかなどの情報を抽出する。
【0034】
基地局200は、さらに、リファレンス信号を既知のパタンで定期的に送信しており、リファレンス信号は、情報が変調されたシンボルの伝送路推定などに用いられる。基地局200は、このほか、制御情報を移動局100に通達するための制御チャネルを送信している。制御チャネルは、同期信号により得られたタイミング情報とリファレンス信号により得られる伝送路推定結果とを頼りに復調・受信が可能な信号である。移動局100は、この制御チャネルを受信することにより、基地局200の概要情報などを抽出することができる。
【0035】
制御チャネルとしては、複数種の制御チャネルが定義されており、移動局100は、まず、制御形式識別チャネルを受信することにより、当セルにおいては制御チャネルがどの周波数帯域でどのタイミングで送信されてくるのかといった基本情報を入手する。移動局100は、この基本情報に基づき、下り制御チャネルを受信する。これにより、移動局100は、システム・パラメタなどを得て、当該基地局200と通信が可能か、通信を行うべきか、などを判断する。移動局100は、当該基地局200と実際に通信を行う場合には、トラヒックチャネルの割り当て要求を基地局200に通達し、基地局200からトラヒックチャネルが割り当てられることになる。
【0036】
このような無線通信システム1において使用される信号フォーマットなどについては、例えば、3GPP TS 36.211 (3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Physical Channels and Modulation)や、3GPP TS 36.213 (3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA); Physical layer procedures)などに詳しく記されているので、詳細はこれらの文献を参照していただきたい。
【0037】
[1−2. 弱信号エリアとセル干渉エリア]
図4は、弱信号エリアとセル干渉エリアについて説明するための図である。前述したように、データ通信の接続サービス提供事業者としては、ユーザが満足するように基地局200を配置することが肝要である。実際の電波伝搬は、シャドウイングと呼ばれる建物などの影響を大きく受けるため、例えば、等間隔に基地局200を配置しても、ユーザが訪れる全てのエリアに電波を適切に届けることは困難であり、例えば、どの基地局200からの信号もうまく届かない場所(例えば、図4に示した弱信号エリア21)や、逆に複数の基地局200からの信号が届きすぎてしまい、信号が干渉してしまう場所(例えば、図4に示したセル間干渉エリア22)が発生してしまうことが多い。サービス提供事業者は、このような場所をなるべく減らすように基地局200を配置していく必要がある。
【0038】
[1−3. 移動局のハードウェア構成例]
図5は、本実施形態に係る移動局のハードウェア構成について示す図である。図5を用いて、本実施形態に係る移動局のハードウェア構成について説明する。移動局100は、典型的には携帯電話端末のような形状が想定されるが、形態電話端末に限定されるものではない。移動局100は、無線信号処理部730を備えている。無線信号処理部730は、基地局200との通信を行うための信号処理や、どの基地局200、どの事業者のネットワークと接続するかなどといった、通信を行うために必要な信号処理を行うモジュールである。このモジュールで処理された信号は、アンテナ710を介して通信相手である基地局200と送受信される。
【0039】
移動局100は、不揮発性メモリ760を備えている。移動局100には、さらに、CPU740が搭載されており、無線信号処理部730を介して送受信された信号や不揮発性メモリ760から取り出された信号は、このCPU740においてディジタル信号処理が施され、例えば、画像情報などの様々な形に加工された信号として取り扱われる。この信号は、出力装置780から出力(ディスプレイからの出力やスピーカからの出力など)がなされる。また、入力装置770(入力ボタン、テンキー、タッチパネルなど)を介して、ユーザからの指示の入力を受け付け、その指示に応じてCPU740が不揮発性メモリ760に記憶されているプログラムをRAM(Random Access Memory)750に展開して実行することも可能である。また、ユーザからの指示に応じてCPU740が不揮発性メモリ760に記憶されているアプリケーションをRAM750に展開して実行したり、通信を開始させたり終了させたりすることができる。
【0040】
移動局100は、位置情報を取得できるハードウェア構成を備えることとしてもよい。しかし、移動局100がどのような手法で位置情報を取得するかについては限定されない。例えば、GPSレシーバのような装置を搭載することで位置情報を取得することとしてもよいし、セルラー無線通信システムの信号を用いて位置を特定する方法(例えば、特表2004−532576号公報参照)や、基地局200から送信される無線信号に含まれる基地局識別情報によって位置を特定する方法、これらを組み合わせた方法によって移動局100の位置を推測することとしてもよい。位置情報取得手段によって、移動局100は、現時点の位置情報を入手することが可能である。
【0041】
[1−4.移動局の機能構成例]
図6は、本実施形態に係る移動局の機能構成について示す図である。図6を用いて、本実施形態に係る移動局の機能構成について説明する。図6に示すように、移動局100は、受信部110、制御部120、送信部130、入力部140、記憶部150、出力部160などを備える。
【0042】
受信部110は、基地局200から無線信号を受信する機能を有するものである。例えば、アンテナなどによって構成されるものであり、受信部110を構成するアンテナは、送信部130を構成するアンテナと同一のものであってもよいし、別個のものであってもよい。
【0043】
制御部120は、通信情報取得部121、位置情報取得部122、再送信制御部123などを備えるものである。また、制御部120は、移動局100が有する各機能ブロックの動作を制御する機能を有するものである。制御部120は、例えば、CPUなどによって構成されるものであり、不揮発性メモリによって記憶されているプログラムがCPUによってRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることによってその機能が実現されるものである。
【0044】
送信部130は、無線信号を送信する機能を有するものである。送信部130は、例えば、アンテナなどによって構成されるものであり、送信部130を構成するアンテナは、受信部110を構成するアンテナと同一のものであってもよいし、別個のものであってもよい。
【0045】
記憶部150は、データを記憶する機能を有するものである。記憶部150は、データを記憶する機能を有するものであれば、そのハードウェア構成は特に限定されるものではないが、例えば、不揮発性メモリなどによって構成されるものである。
【0046】
出力部160は、音声データや画像データに基づいて音声や画像などを出力する機能を有するものである。出力部160は、例えば、スピーカ、ディスプレイ装置などによって構成されるものである。
【0047】
通信情報取得部121は、受信部110によって受信された無線信号に基づいて基地局200との通信に関する情報である通信情報を取得する機能を有する。通信情報には様々なものが想定される。通信情報取得部121は、例えば、基地局200との無線信号による通信における通信品質を測定し、測定した通信品質を示す通信品質情報を通信情報として取得することとしてもよい。また、通信情報取得部は、例えば、受信部110によって受信された無線信号から基地局200との通信に使用される周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を抽出し、抽出した周波数チャネル情報を通信情報として取得することとしてもよい。
【0048】
位置情報取得部122は、自装置の位置を示す位置情報を取得する機能を有するものである。前述したように、位置情報の取得の仕方は特に限定されるものではない。位置情報取得部122は、例えば、GPSレシーバのような装置を搭載することで位置情報を取得することとしてもよいし、セルラー無線通信システムの信号を用いて位置を特定する方法や、基地局200から送信される無線信号に含まれる基地局識別情報によって位置を特定する方法、これらを組み合わせた方法によって移動局100の位置を推測することとしてもよい。送信部130は、位置情報取得部122によって取得された位置情報と通信情報取得部121によって取得された通信情報とを無線信号によって基地局200に送信する。
【0049】
通信情報取得部121は、通信品質情報が閾値よりも高いと判断した場合には、通信品質情報を通信情報として取得せず、送信部130は、位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局200に送信しないこととしてもよい。
【0050】
通信品質には様々なものが想定される。通信情報取得部121は、例えば、受信部110によって基地局200から受信された無線信号の受信電力強度または無線信号の信号対干渉雑音比を通信品質として測定することとしてもよい。また、通信情報取得部121は、受信部110によって基地局200から受信された無線信号に含まれるデータ量と無線信号を受信した時刻とを取得し、取得したデータ量と時刻とに基づいて所定時間あたりのデータ量を受信平均スループットとして算出し、算出した受信平均スループットを通信品質として測定することとしてもよい。
【0051】
通信品質情報は、実際に通話を行ったユーザから入力されることとしてもよい。入力部140は、ユーザから通信品質情報の入力を受け付ける機能を有するものである。通信情報取得部121は、入力部140によってユーザから入力が受け付けられた通信品質情報を通信情報として取得することとしてもよい。
【0052】
送信部130によって位置情報と通信情報とが無線信号によって送信できない場合も想定される。その場合には、再送信制御部123は、位置情報と通信情報とを記憶部150に記憶させ、基地局200との通信が可能になったことを検出した場合に、記憶部150から位置情報と通信情報とを取得することとすればよい。送信部130は、再送信制御部123によって取得された位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局200に送信する。
【0053】
通信情報取得部121は、受信部110によって基地局200から受信された無線信号の受信電力強度または無線信号の信号対干渉雑音比を通信品質として測定し、測定した通信品質を示す通信品質情報をさらに取得することとしてもよい。その場合には、送信部130は、通信品質情報を無線信号によって基地局200にさらに送信することとしてもよい。
【0054】
送信部130によって基地局200に送信された位置情報と通信品質情報とは、基地局200によってネットワーク40を介してデータ管理装置400に送信されることとしてもよい。その場合には、例えば、データ管理装置400は、複数の基地局200のそれぞれから送信された位置情報と通信品質情報とに基づいて通信品質の低い位置を特定するために使用することとしてもよい。
【0055】
移動局100が位置情報と通信情報とのうち少なくともいずれか一方に移動局100を識別するための情報である移動局識別情報を付加して基地局200に送信する場合には、移動局識別情報が基地局200によって削除されてデータ管理装置400に送信されることとしてもよい。
【0056】
また、後述するように、サービス提供事業者は、通信情報を報告する移動局100に対しては、通信料金を割り引くなどのインセンティブをユーザに与えることにより、ユーザからの情報の提供を促進することができる。すなわち、送信部130が位置情報と通信情報とを無線信号によって基地局200に送信した場合には、移動局100と基地局200とにおける無線信号による通信のために移動局100のユーザに課される料金が減額されることとしてもよい。また、料金の算出や減額は、料金算出装置によって行われることとしてもよい。
【0057】
送信部130によって基地局200に送信された位置情報と周波数チャネル情報とは、基地局200によってネットワーク40を介してデータ管理装置400に送信されることとしてもよい。その場合には、データ管理装置400は、複数の基地局200のそれぞれから送信された位置情報と周波数チャネル情報とに基づいて、基地局200から送信された無線信号が受信される位置を周波数チャネル情報ごとに特定することとしてもよい。
【0058】
[1−5.基地局のハードウェア構成例]
図7は、本実施形態に係る基地局のハードウェア構成について示す図である。図7を用いて、本実施形態に係る基地局のハードウェア構成について説明する。基地局200は、無線信号処理部830を備えている。無線信号処理部830は、移動局100との通信を行うための信号処理を行うモジュールである。このモジュールで処理された信号は、アンテナ810を介して通信相手である移動局100と送受信される。
【0059】
基地局200は、RAM850、不揮発性メモリ860などを備えている。基地局200には、さらに、CPU840が搭載されており、CPU840が不揮発性メモリ860に記憶されているプログラムをRAM850に展開して実行することも可能である。
【0060】
基地局200は、さらに通信装置890を備えている。通信装置890は、ネットワーク40と接続されており、通信装置890は、ネットワーク40を経由してデータ管理装置400と通信を行うことが可能である。その他、通信装置890は、ネットワーク40に接続された他の装置とネットワーク40を介して通信を行うことが可能である。
【0061】
[1−6.基地局の機能構成例]
図8は、本実施形態に係る基地局の機能構成について示す図である。図8を用いて、本実施形態に係る基地局の機能構成について説明する。図8に示すように、基地局200は、受信部210、制御部220、送信部230、記憶部250、通信部270などを備える。
【0062】
受信部210は、移動局100から無線信号によって位置情報と通信情報とを受信する機能を有するものである。受信部210は、例えば、アンテナなどによって構成されるものであり、受信部210を構成するアンテナは、送信部230を構成するアンテナと同一のものであってもよいし、別個のものであってもよい。
【0063】
制御部220は、受信部210によって受信された無線信号から位置情報と通信情報とを取得し、取得した位置情報と通信情報とを通信部270に出力する機能を有する。制御部220は、基地局200が有する各機能ブロックの動作を制御する機能を有するものである。制御部220は、例えば、CPUなどによって構成されるものであり、不揮発性メモリによって記憶されているプログラムがCPUによってRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることによってその機能が実現されるものである。
【0064】
送信部230は、移動局100に無線信号を送信する機能を有するものである。送信部230は、例えば、アンテナなどによって構成されるものであり、送信部230を構成するアンテナは、受信部210を構成するアンテナと同一のものであってもよいし、別個のものであってもよい。
【0065】
記憶部250は、データを記憶する機能を有するものである。記憶部250は、例えば、不揮発性メモリなどによって構成されるものである。
【0066】
通信部270は、ネットワーク40を介してネットワーク40に接続された他の装置と通信を行う機能を有するものである。通信部270は、例えば、制御部220から出力された位置情報と通信情報とをネットワークを介してデータ管理装置400に送信する。通信部270は、例えば、通信装置などによって構成されるものである。
【0067】
[1−7.移動局における処理(通信品質の測定と通達)]
図9は、移動局において実行される処理の流れを示すフローチャートである。図9を参照して、移動局100において実行される処理の流れについて説明する。移動局100がアプリケーションを起動するなどし、通信を行う試みがなされると、アプリケーションの通信状況に対するモニタを開始する(ステップS101)。このモニタは、無線通信手順にて行われることとしてもよいし、CPU740で行われることとしてもよい。このモニタにより監視される通信品質の項目としては、下記(1)〜(7)に示すようなものが想定される。
【0068】
(1)基地局200からの送信信号の受信強度または受信SINR
(2)基地局200との間の通信に用いられた伝送レート
(3)移動局100における送信バッファ量(送信待ちデータ量)
(4)移動局100から送信されるデータの流量(平均送信スループット)
(5)基地局200から伝送されるデータの流量(平均受信スループット)
(6)アプリケーションのタスクが待ち状態が通信待ち状態である状態の時間(データ伝送がボトルネックとなっている時間に相当)
(7)アプリケーションがバッファアンダーフローを発生した回数(アプリケーションに支障をきたした回数に相当)
【0069】
アプリケーションが起動している間、このモニタは上記の通信品質の測定を行い(通信状況の監視を続け)、アプリケーションが終了するなどして通信が終了すると、当該通信の品質が集計され、通信品質情報が取得される(ステップS102)。なお、アプリケーションの終了には、ユーザからの強制終了コマンドなどにより終了する場合も含まれる。通信品質の集計は、例えば、アプリケーションのセッション切断がトリガとなる。
【0070】
その後、移動局100は、取得した通信品質情報(集計された通信品質)を、所定の閾値と比較し、通信品質が閾値を下回った場合には(ステップ103で「Yes」)、当該場所における通信品質が不十分であったとみなし、位置情報を取得し(ステップS104)、現時点の時刻情報を取得し(ステップS105)、測定した通信品質の測定結果をデータとしてとりまとめ、位置情報、時刻情報に測定結果を付加して、測定結果として基地局200に通達する(ステップS106)。ここでは、通信品質情報の通達は通信品質が不十分であった場合にのみ行われる場合を例にとって説明するが、通信品質情報の通達は、通信品質が十分であったか否かに関わらずセッション毎に行われる場合もある。時刻情報には、セションの開始時刻と終了時刻が記載される場合がある。時刻情報は、例えば、データ管理装置400にてデータを集計する際に使用される。
【0071】
以上の説明では、移動局100がアプリケーションを起動したときに、基地局200と通信を行うことができる場合を想定したが、移動局100が基地局200の電波を捉えられない場所にいる場合も想定される。その場合には、この情報を基地局200に即座に伝えることはできない。このように、移動局100が測定結果を通達しようとしたものの基地局200との間で通信リンクを設立できなかった場合には、上記測定結果を記録しておき、後に基地局200と通信リンクが設立できる状況になったときに、記録しておいた上記測定結果を基地局200へと通達することとしてもよい。
【0072】
このように、移動局100において測定された通信品質情報を基地局200側に通達することによって、基地局200側では、どの場所で通信品質が悪いと認識されているかに関する情報を自動的に入手することが可能となる。
【0073】
[1−8. 移動局における処理のその他の例]
上記の説明においては、通信品質が十分であったか否かは、上記(1)〜(7)で示したパラメタのいずれかを所定の閾値と比較した結果により判断される(ステップS103)こととしたが、このほか、所望の通信品質を満たしているかの判断基準は、移動局100からユーザに対して、通信品質が満足できたか否かを問いかけ、ユーザから入力された結果に基づいて決定されることとしてもよい。この場合、移動局100は、セション終了時に出力装置780から、ユーザに対して、今回のセションが満足できるものであったか否かを問いかける表示などを行う。これに対して、ユーザの感じた通信品質の満足度が入力装置770を介してユーザから入力される。この満足度が通信品質情報として採用され、上記と同様の形式で測定結果として基地局200に通達されることとしてもよい。
【0074】
また、このほか、通信品質情報と閾値と比較した結果ではなく、測定した品質が良いものであるか否かによらずに、通信品質情報を基地局200に送信することとしてもよい。その場合には、通信品質情報と閾値とを比較する処理を省略することも可能である。基地局200への送信対象を通信品質情報と閾値と比較した結果とするか、ユーザによって入力された通信品質情報とするか、測定結果して得られた通信品質情報とするかについては、基地局200から移動局100に対して指示することが可能であるとこととしてもよい。
【0075】
[1−9. セッションに関する説明]
図10は、セッション開始から終了までの処理の流れを示すフローチャートである。図10を参照して、移動局によるセッションの開始から終了までの処理の流れについて説明する。
【0076】
上記の説明におけるセッションは、アプリケーションの起動または再開により開始し、アプリケーションの完了あるいは中断によって終了する。アプリケーションが起動されると、まず、このアプリケーションにかかわるセションが開始(設立)される(ステップS201)。この設立されたセションで所望のアプリケーション・データの送受信が行われ(ステップS202)、得られたデータに基づいてアプリケーションが動作などを行う(ステップS203)。
【0077】
アプリケーションによる動作がここで既に完了すれば(ステップS204で「Yes」)、当該アプリケーションにかかわるセションは閉じられて終了となる(ステップS206)。一方、アプリケーションによる動作が完了しなかった場合には(ステップS204で「No」)、アプリケーションの中断やタイムアウトなどが発生しない限り(ステップS205で「No」)、データの転送(ステップS202)とアプリケーションの動作(ステップS203)が繰り返されることとなる。一方、アプリケーションの中断やタイムアウトなどが発生した場合には(ステップS205で「Yes」)、アプリケーション自体が終了していなくてもセションは一度閉じられて終了となる(ステップS206)。
【0078】
[1−10.移動局における処理(利用周波数チャネルの測定と通達)]
移動局100は、アプリケーションの通信状況を監視するモニタを起動すると、上記に記した処理のほかに、当該場所にて利用されている周波数資源の情報を抽出して通信品質情報の一部として通達する場合もある。
【0079】
図2などを使って説明したように、セルラーシステムにおいては、隣接する基地局200の間では異なる周波数チャネルが利用されるが、時として遠くの基地局200の信号も受信することができてしまうが故にセル間干渉が発生する場合がある。本実施形態においては、通信状況の監視モニタ起動に伴いセル間干渉などが発生しているか否かを測定するわけである。
【0080】
移動局100は、通信を行う基地局200との間で通信状態を保ちながら、他の基地局200の同期信号の受信を試みて、周辺の基地局200の存在を確認する。各基地局200は自局のタイミング情報を報知するための同期信号を送信しているため、移動局100が信号を受信できる範囲に基地局200が存在する場合には、移動局100はその基地局200を発見することができる。移動局100は、周辺の基地局200の同期信号を受信できた場合には、さらに同期信号を基準とする予め定められた時刻で送信されてきている各種制御信号をデコードし、当該基地局200が利用している周波数チャネル情報を入手する。さらに、移動局100は、受信信号のうち特定の周辺の基地局200から送信されてきていると特定できる信号(例えば、同期信号や制御信号など)を取り出して、当該基地局200から送信されてくる信号の受信電力強度を測定する。
【0081】
移動局100は、図9に示したような手順に基づき、通信品質情報を基地局200に対して送信する際に、上記の手順で入手した周辺の基地局200で利用している周波数チャネルの情報と当該基地局200からの受信電力強度情報を付加して通達する。このような情報を基地局200に伝達することによって、基地局200側では、どの場所で周辺の基地局200(や後述する中継局300)の信号が受信されており、干渉元となりうるのかといった情報を自動的に入手することが可能となる。
【0082】
[1−11.ネットワーク側における処理(通信品質の集計)]
上記の手順によって通信品質情報が移動局100から基地局200へと伝達されると、基地局200は多数の移動局100から通達されたこれらの情報を集計すべくデータを処理する。
【0083】
図11に示したように、基地局200は、通信品質情報を取りまとめるデータ管理装置400へと接続されており、データ管理装置400は、複数の基地局200から集められた不特定多数の移動局100から通達された通信品質情報を集計する。集計は、通信品質情報に含まれている場所情報をインデックスとして行われ、主にどの場所においてユーザの通信品質が低下しがちであるかをとりまとめる。サービス提供事業者は、この情報をもとに、今後どの場所に新たな基地局200(や後述する中継局300、説明の簡略化のため基地局200と呼ぶが中継局300も含まれる)を配置すべきかを判断し、必要に応じて新規に基地局200を設置する。
【0084】
なお、新たに基地局200が設置されたり、基地局200における送信電力や基地局200で利用する周波数帯域幅を変更したりした場合、当該基地局200が担当するエリアに属する場所における通信品質情報の集計は一度リセットし、新規のセル構成における通信品質の集計を新たにスタートさせる。
【0085】
移動局100と基地局200の間でやりとりされる通信品質情報がパケット化されている場合には、図12に示したように、データ部(通信品質情報)に第1ヘッダ部が付加されており、当該ヘッダには移動局100を識別するコード(移動局識別情報)が含まれている。基地局200は、この情報をデータ管理装置400に転送するに先立ち、第1ヘッダ部から移動局識別情報を取り除いた新たなヘッダ情報(第2ヘッダ部)を生成する。基地局200は、第2ヘッダ部をデータ部(通信品質情報)に付加した状態でデータ管理装置400に情報を転送する。このようにすることで、データ管理装置400へと転送される通信品質情報から移動局100やユーザを特定できなくなり、データ管理装置400においてどの移動局100がいつどこに居たかを特定できないようにする。
【0086】
[1−12.ネットワーク側における処理(利用周波数チャネルの測定と通達)]
移動局100から報告される通信品質情報に周辺の基地局200で利用している周波数チャネルの情報や当該基地局200からの受信電力強度情報が含まれている場合、上記したデータ管理装置400では、不特定多数の移動局100から通達された周波数チャネルの利用状況などを同様に集計し、どの場所において利用周波数チャネルが移動局100に認識されているかをとりまとめる。この情報をもとに、どの基地局200においてどの周波数チャネルを利用すべきかを判断することができ、必要に応じて基地局200で利用する周波数チャネルを変更したりする。
【0087】
なお、新たに基地局200が設置されたり、基地局200における送信電力や基地局200で利用する周波数帯域幅を変更したりした場合、当該基地局200が担当するエリアに属する場所における集計情報は一度リセットし、新規のセル構成における通信品質の集計を新たにスタートさせる。
【0088】
[1−13.課金とのリンク]
上記の通信品質情報(または周波数チャネル情報)の報告は、サービス提供事業者にとってみると重要な情報であり、できるだけ広くの移動局100から情報を収集したいと考えるが、移動局100のユーザによってはこの報告を行いたくないと思うものがいるかもしれない。そこで、サービス提供事業者は、通信品質情報(または周波数チャネル情報)を報告する移動局100に対しては、通信料金を割り引くなどのインセンティブをユーザに与えることにより、ユーザからの情報の提供を促進することができる。すなわち、移動局100によって、通信品質情報(または周波数チャネル情報)の通達を行うものと行わないものが存在するが、通信品質情報(または周波数チャネル情報)を通達する移動局100に対しては、基地局200との接続料金を割り引くというものである。通達1件ごとに割り引くといった形態も考慮されるべきである。また、このような料金を算出する料金算出装置を提供することも可能である。
【0089】
このほか、図9のステップS103の判断で利用した閾値を複数用意し、ユーザの料金プランに応じて、判断に用いる閾値を変更する場合もある。この場合、料金プランが高額であればあるほど、閾値が高く設定され、より高いスループットで通信が行われないと品質が不十分であると判断されるようバイアスされることになる。
【0090】
<2.変形例>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0091】
例えば、上記の説明においては、無線通信システム1の移動局100は、基地局200とのみ通信することを例示して説明してきたが、本実施形態が想定する無線通信システム1はこれに限定されることはなく、基地局200のカバーするサービスエリア20を延長するなどの目的で中継局300が設置される場合においても同様の方法が用いられる。図13を用いて、中継局300が存在する形態について説明する。
【0092】
基地局200Aは、任意の移動局100Aと接続して通信路を提供すると同時に、中継局300Aとも接続し、中継局300Aとの間でも通信路を提供する。中継局300Aは、自身が通信セッションのエンドポイントとして動作することがあるかもしれないが、それに加えて、他の移動局100Bと接続し通信路を提供する。このような形態をとることで、移動局100Bは、中継局300Aを介して基地局200Aとの間で通信を行うことが可能となる。この場合、中継局300Aは、移動局100Bに対してはあたかも自身が基地局200Aであるかのように振る舞い、基地局200Aが送信する同期信号や制御信号などを送信する。これを受信した移動局100Bは、中継局300Aを基地局200と認識して通信路を設定する。
【0093】
したがって、中継局300が介在する無線通信システム1においては、本実施形態において説明してきた「基地局200」を「中継局300」と置き換えても同様の効果が期待できる。
【0094】
<3.まとめ>
本実施形態によれば、移動局装置を携帯するユーザがどの場所においてサービスに満足していないかといった情報を、効率的にかつ自動的に抽出することができるようになる。さらに、これらの情報を集計することにより、サービス提供事業者は、サービス品質を向上させるためには、どの場所に新たな基地局を配置すべきであるかといった検討をより少ない手間で行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0095】
1 無線通信システム
40 ネットワーク
100 移動局
110 受信部
120 制御部
121 通信情報取得部
122 位置情報取得部
123 再送信制御部
130 送信部
140 入力部
150 記憶部
160 出力部
200 基地局
210 受信部
220 制御部
230 送信部
250 記憶部
270 通信部
300 中継局
400 データ管理装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置から無線信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号に基づいて前記基地局装置との通信に関する情報である通信情報を取得する通信情報取得部と、
自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部によって取得された前記位置情報と前記通信情報取得部によって取得された前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信する送信部と、
を備える、移動局装置。
【請求項2】
前記通信情報取得部は、
前記基地局装置との無線信号による通信における通信品質を測定し、測定した前記通信品質を示す通信品質情報を前記通信情報として取得する、
請求項1に記載の移動局装置。
【請求項3】
前記通信情報取得部は、
前記通信品質情報が閾値よりも高いと判断した場合には、前記通信品質情報を前記通信情報として取得せず、
前記送信部は、
前記位置情報と前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信しない、
請求項2に記載の移動局装置。
【請求項4】
前記通信情報取得部は、
前記受信部によって前記基地局装置から受信された無線信号の受信電力強度または前記無線信号の信号対干渉雑音比を前記通信品質として測定する、
請求項2に記載の移動局装置。
【請求項5】
前記通信情報取得部は、
前記受信部によって前記基地局装置から受信された無線信号に含まれるデータ量と前記無線信号を受信した時刻とを取得し、取得した前記データ量と前記時刻とに基づいて所定時間あたりのデータ量を受信平均スループットとして算出し、算出した前記受信平均スループットを前記通信品質として測定する、
請求項2に記載の移動局装置。
【請求項6】
ユーザから通信品質情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記通信情報取得部は、
前記入力部によって前記ユーザから入力が受け付けられた前記通信品質情報を前記通信情報として取得する、
請求項1に記載の移動局装置。
【請求項7】
前記送信部によって前記基地局装置に送信された前記位置情報と前記通信品質情報とは、前記基地局装置によってデータ管理装置に送信され、複数の前記基地局装置のそれぞれから送信された前記位置情報と前記通信品質情報とに基づいて前記データ管理装置が前記通信品質の低い位置を特定するために使用される、
請求項2に記載の移動局装置。
【請求項8】
前記移動局装置が前記位置情報と前記通信情報とのうち少なくともいずれか一方に前記移動局装置を識別するための情報である移動局識別情報を付加して前記基地局装置に送信する場合には、前記移動局識別情報が前記基地局装置によって削除されて前記データ管理装置に送信される、
請求項7に記載の移動局装置。
【請求項9】
記憶部と、
前記送信部によって前記位置情報と前記通信情報とが無線信号によって送信できなかった場合に、前記位置情報と前記通信情報とを前記記憶部に記憶させ、前記基地局装置との通信が可能になったことを検出した場合に、前記記憶部から前記位置情報と前記通信情報とを取得する再送信制御部と、
をさらに備え、
前記送信部は、
前記再送信制御部によって取得された前記位置情報と前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信する、
請求項1に記載の移動局装置。
【請求項10】
前記送信部が前記位置情報と前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信した場合には、前記移動局装置と前記基地局装置とにおける無線信号による通信のために前記移動局装置のユーザに課される料金が減額される、
請求項1に記載の移動局装置。
【請求項11】
前記通信情報取得部は、
前記受信部によって受信された前記無線信号から前記基地局装置との通信に使用される周波数チャネルを示す周波数チャネル情報を抽出し、抽出した前記周波数チャネル情報を前記通信情報として取得する、
請求項1に記載の移動局装置。
【請求項12】
前記通信情報取得部は、
前記受信部によって前記基地局装置から受信された無線信号の受信電力強度または前記無線信号の信号対干渉雑音比を通信品質として測定し、測定した前記通信品質を示す通信品質情報をさらに取得し、
前記送信部は、
前記通信品質情報を無線信号によって前記基地局装置にさらに送信する、
請求項11に記載の移動局装置。
【請求項13】
前記送信部によって前記基地局装置に送信された前記位置情報と前記周波数チャネル情報とは、前記基地局装置によってデータ管理装置に送信され、複数の前記基地局装置のそれぞれから送信された前記位置情報と前記周波数チャネル情報とに基づいて前記データ管理装置が前記基地局装置から送信された無線信号が受信される位置を前記周波数チャネル情報ごとに特定するために使用される、
請求項11に記載の移動局装置。
【請求項14】
移動局装置に無線信号を送信する送信部と、
基地局装置から前記無線信号を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記無線信号に基づいて前記基地局装置との通信に関する情報である通信情報を取得する通信情報取得部と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報によって取得された前記位置情報と前記通信情報取得部によって取得された前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信する送信部と、を備える、移動局装置から、前記無線信号によって前記位置情報と前記通信情報とを受信する受信部と、
を備える、基地局装置。
【請求項15】
基地局装置と移動局装置とを有する無線通信システムであって、
前記移動局装置は、
前記基地局装置から無線信号を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記無線信号に基づいて前記基地局装置との通信に関する情報である通信情報を取得する通信情報取得部と、
自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報によって取得された前記位置情報と前記通信情報取得部によって取得された前記通信情報とを無線信号によって前記基地局装置に送信する送信部と、
を備え、
前記基地局装置は、
前記移動局装置に無線信号を送信する送信部と、
前記移動局装置から無線信号によって前記位置情報と前記通信情報とを受信する受信部と、
を備える、無線通信システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−61633(P2011−61633A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210990(P2009−210990)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】