説明

移動手段の判定装置、判定方法、判定プログラム及びその記録媒体

【課題】移動速度に計測誤差があってもまた移動速度が一定速度でなくとも複数種類の移動手段が連続して判定されないようにし、これにより判定精度の向上を図る。
【解決手段】歩行状態情報記憶エリア142に格納された歩行状態情報とその計測時刻をもとにユーザの歩行区間と非歩行区間をそれぞれ抽出する。そして、このうち非歩行区間について、位置情報記憶エリア141に格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとに移動速度を算出して、この算出された移動速度に基づいて移動手段を判定する。さらに、この移動手段の判定結果から非歩行区間における移動手段の種類が1つか複数かを判定し、1つと判定された場合には当該移動手段を上記非歩行区間における移動手段と決定し、一方移動手段が複数種類と判定された場合には、これらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を上記非歩行区間の移動手段と決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザがどのような移動手段により移動しているかを判定するために用いる移動手段の判定装置、判定方法、判定プログラムとその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザに対しその位置に応じた情報を提供するサービスが普及している。また、その発展型として、ユーザの現在位置の情報だけではなく、その位置に至るまでの移動経路や移動手段に応じて、ユーザにとって必要な情報を選択して提供するサービスも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの移動速度と、ユーザの移動軌跡と、地図情報を用いて移動手段を判定し、この判定結果に応じてユーザに閲覧させる情報を選択し配信する技術が記載されている。具体的には、ユーザの移動速度が一定速度以下であれば徒歩と判定し、一定速度を超えている場合には移動軌跡を地図情報と比較して、ユーザの移動軌跡が地図に記載されている線路上と判定されれば鉄道と判定し、道路上であれば自動車と判定するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−242169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された技術のように、移動速度を利用して移動手段を判定する場合、位置の計測誤差により移動速度が実際の速度と異なって算出されるため、判定結果が実際の移動手段とは異なったものになる場合がある。また、仮に位置の計測誤差が微少だったとしても、電車やバス、車等の移動手段には駅やバス停での停車や信号待ち等があるため常に一定の速度で走行しているわけではない。このため、移動速度を連続的に算出して移動手段を判定しようとすると、移動手段として例えば電車と車が連続して判定されるといった、実際にはあり得ない判定結果が得られることがあった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、移動速度に計測誤差があってもまた移動速度が一定速度でなくとも複数種類の移動手段が連続して判定されないようにし、これにより判定精度の向上を図った移動手段の判定装置、判定方法、判定プログラムとその記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、以下のような手段を講じたものである。すなわち、一般にユーザは車やバスから電車に、或いは電車から車やバスに直接乗り移ることはなく、移動手段が車やバスから電車に、或いは電車から車やバスに変化する際には、その間に必ず「歩行」により移動する時間区間が存在する。
この発明はこの点に着目し、先ずメモリに格納された歩行状態情報とその計測時刻を表す情報をもとに、ユーザが歩行している時間区間を表す歩行区間と歩行していない時間区間を表す非歩行区間をそれぞれ抽出して、このうち非歩行区間を選択する。そして、この非歩行区間について、上記メモリに格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとにユーザの移動速度を算出して、この算出された移動速度に基づいてユーザの移動手段を判定する。さらに、この移動手段の判定結果を修正する手段を設け、上記移動手段の判定結果をもとに上記非歩行区間における移動手段が1種類か複数種類かを判定し、移動手段が1種類と判定された場合には当該移動手段を上記非歩行区間における移動手段と決定し、一方移動手段が複数種類と判定された場合には、これらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を上記非歩行区間の移動手段と決定するようにしたものである。
【0008】
したがってこの発明によれば、移動速度に計測誤差が含まれていても、また移動速度が一定でなくても、1つの非歩行区間において、移動手段として例えば車と電車が連続して判定されるような不具合を防止することができ、これにより高い精度で移動手段を判定することが可能となる。
【0009】
この発明の一観点は、以下のような具体的な態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、上記歩行区間と非歩行区間を抽出する際に、上記非歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第1のしきい値と比較し、上記非歩行区間として抽出された時間区間の長さが第1のしきい値未満と判定された場合に当該時間区間を非歩行区間から歩行区間に変更する。またそれと共に、上記歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第2のしきい値と比較し、上記歩行区間として抽出された時間区間の長さが第2のしきい値未満と判定された場合に当該時間区間を歩行区間から非歩行区間に変更するものである。
【0010】
このようにすると、例えばユーザが電車やバスの車内で移動してこれが歩行区間として抽出されたとしても、この歩行区間の時間長が第2のしきい値に満たなければ当該区間は非歩行区間に変更される。また、同様にユーザが歩行中に動く歩道やエスカレータを利用して歩行を一時的に停止してこの区間が非歩行区間として抽出されたとしても、この非歩行区間の時間長が第1のしきい値に満たなければ当該区間は歩行区間に変更される。すなわち、非歩行区間中の短時間の歩行動作や歩行区間中の短時間の歩行停止動作を排除して、非歩行区間をより正確に抽出することが可能となる。
【0011】
第2の態様は、メモリに格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとにユーザの位置を計測できなかった未計測区間を抽出し、この抽出された未計測区間中に歩行区間が含まれているか否かを判定して、歩行区間が含まれている場合には上記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算し、この減算後の時間区間に対し線形補間を行って当該時間区間におけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出する。そして、上記未計測区間に含まれる非歩行区間について移動手段を判定する場合に、上記算出された擬似的な位置と計測時刻をもとに上記ユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいて上記ユーザの移動手段を判定するものである。
【0012】
このようにすると、位置を計測できなかった未計測区間については、当該区間に含まれる歩行区間が排除された上で線形補間処理が行われる。このため、車両による移動区間中に歩行区間が含まれていても、この歩行区間の影響を排除して上記車両の移動速度を精度良く算出することができ、これにより移動手段の判定精度を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、この発明によれば、移動速度に計測誤差があってもまた移動速度が一定速度でなくとも複数種類の移動手段が連続して判定されないようにし、これにより判定精度の向上を図った移動手段の判定装置、判定方法、判定プログラムとその記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
この実施形態に係わる移動手段判定装置は、例えばユーザが所持する携帯電話機又はPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末に内蔵されるもので、以下のように構成される。図1は、この発明の一実施形態に係わる移動手段判定装置のハードウエア及びソフトウエアの構成を示すブロック図である。
【0015】
すなわち、この実施形態に係わる移動手段判定装置は、マイクロプロセッサからなる中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)を備え、このCPU11にはバス12を介してプログラムメモリ13及びデータメモリ14が接続され、さらにGPS(Global Positioning System)受信機15、通信インタフェース16、歩行センサインタフェース17、入出力インタフェース18及びタイマインタフェース21がそれぞれ接続されている。
【0016】
なお、CPU11、プログラムメモリ13、データメモリ14、通信インタフェース16、入出力I/F17及びタイマインタフェース21は、携帯端末の既存の構成要素と共用することが可能であり、また携帯端末がGPS受信機を備えている場合にはこのGPS受信機を移動手段判定用として共用することが可能である。
【0017】
GPS受信機15は、CPU11の制御の下で、複数のGPS衛星が放送しているGPS信号をアンテナ15aを介してそれぞれ受信する。
通信インタフェース16はアンテナ16aを備え、CPU11の制御の下で、移動通信網により規定される通信プロトコルに従い、図示しない情報配信サーバから送信される判定開始指示を受信すると共に、後述する各判定プログラムにより判定された自ユーザの移動手段を表す情報を上記情報配信サーバへ送信する。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0018】
歩行センサインタフェース17はアンテナ17aを備え、CPU11の制御の下で、例えばBluetooth(登録商標)等の小電力データ通信規格を採用した無線インタフェースを使用して、図示しない歩行センサから歩行状態を表す情報を受信する。歩行センサとしては、例えば万歩計(登録商標)が用いられる。歩行状態を表す情報には、歩行中か否かを示す情報とその計測時刻が含まれる。なお、歩行センサは移動手段判定装置内に収容することも可能である。
【0019】
入出力インタフェース18には、入力デバイス19及び表示デバイス20が接続される。入力デバイス19は、例えばダイヤルキーパッドと複数の機能キーにより構成される。表示デバイス20は液晶又は有機ELディスプレイからなる。入出力インタフェース18は、上記入力デバイス19によるユーザの操作情報をCPU11に伝えると共に、CPU11からの表示指示に従い表示データを上記表示デバイス20に表示させる。
【0020】
タイマインタフェース21にはタイマ22が接続される。タイマ22は時計回路により構成される。タイマインタフェース21は、CPU11の指示に従い上記タイマ22から現在時刻を表す情報を取り込む。なお、タイマ22はCPU11が計時プログラムに従い現在時刻の計時を行う、いわゆるソフトウエアタイマにより構成してもよい。
【0021】
データメモリ14には、この発明を実施するために必要な情報を記憶するための記録エリアとして、位置情報記録エリア141と、歩行状態情報記録エリア142と、判定結果記録エリア143が設けられている。
位置情報記録エリア141には、GPS受信機15により受信されたGPS信号に基づいて計算されるユーザの位置(緯度経度)とその計測時刻を表す情報が相互に対応付けて格納される。歩行状態情報記録エリア142には、上記歩行センサインタフェース17により受信された歩行状態とその計測時刻を表す情報が相互に対応付けて格納される。判定結果記憶エリア143には、後述する移動手段判定プログラム134により判定され、さらに移動手段判定修正プログラムにより修正された移動手段の判定結果を表す情報が記憶される。
【0022】
プログラムメモリ13には、この発明を実施するために必要なアプリケーション・プログラムとして、位置・歩行状態情報取得制御プログラム131と、歩行区間/非歩行区間判定プログラム132と、位置補間プログラム133と、移動手段判定プログラム134と、移動手段判定修正プログラム135が格納されている。
【0023】
位置・歩行状態情報取得制御プログラム131は、以下の処理をCPU11に実行させる。
(1) GPS受信機15より受信されたGPS信号を予め設定した時間間隔(例えば1分)で取り込む。そして、GPS信号を取り込むごとに、この取り込んだGPS信号をもとに緯度経度を計算し、この計算された緯度経度をユーザの位置情報として、その計測時刻と対応付けてデータメモリ14内の位置情報記録エリア141に記憶させる処理。
(2) 予め設定した時間間隔(例えば1分)で、歩行センサインタフェース17を起動して歩行センサから歩行状態検出データを受信する。そして、この歩行状態検出データが受信されるごとに、当該歩行状態検出データをもとにユーザが歩行中か歩行を停止しているかを表す状態を生成し、この生成した歩行状態情報をその計測時刻を表す情報と対応付けてデータメモリ14内の歩行状態情報記憶エリア142に記憶させる処理。
【0024】
歩行区間/非歩行区間判定プログラム132は、以下の処理をCPU11に実行させる。
(1) 一定時間が経過するか又はユーザが入力デバイス19において移動手段の判定指示を入力するごとに、データメモリ14内の歩行状態情報記憶エリア142から過去の一定時間分の歩行状態情報とその計測時刻情報を読み出す。そして、この読み出した歩行状態情報及び計測時刻情報をもとに、ユーザが歩行していない時間区間(非歩行区間)と、ユーザが歩行している時間区間(歩行区間)をそれぞれ抽出する処理。
(2) 上記抽出された非歩行区間及び歩行区間の長さをそれぞれ予め設定したしきい値と比較する。そして、しきい値未満の非歩行区間が見つかった場合には、当該非歩行区間を歩行区間に変更する。また、しきい値未満の歩行区間が見つかった場合には、当該歩行区間を非歩行区間に変更する処理。
【0025】
位置補間プログラム133は、以下の処理をCPU11に実行させる。すなわち、データメモリ14内の位置情報記憶エリア141に記憶された位置情報と計測時刻情報をもとに位置を計測できなかった未計測区間を抽出し、この未計測区間内に歩行区間が存在するか否かを上記歩行区間/非歩行区間判定プログラム132により抽出された歩行区間の情報をもとに判定する。そして、歩行区間が含まれていると判定された場合には、上記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算し、この減算後の時間区間に対し線形補間を行って当該時間区間におけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出する処理。
【0026】
移動手段判定プログラム134は、以下の処理をCPU11に実行させる。すなわち、上記歩行区間/非歩行区間判定プログラム132により抽出され、さらに上記位置補間プログラム133の位置補間処理により追加された各非歩行区間について、上記位置情報記憶エリア141に格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとにユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいてユーザの移動手段が電車か、車又はバスか、自転車かを判定する処理。
【0027】
移動手段判定修正プログラム135は、以下の処理をCPU11に実行させる。すなわち、上記移動手段判定プログラム134による非歩行区間ごとの移動手段判定結果に基づいて、当該非歩行区間に検出された移動手段の種類が1つか複数かを判定する。そして、1つであれば、当該移動手段をそのまま上記非歩行区間における移動手段判定結果として判定結果記憶エリア143に記憶させ、一方複数であればこれらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を上記非歩行区間の移動手段として選択し、判定結果記憶エリア143に記憶させる。
【0028】
図2は、図1に示した移動手段判定装置の機能構成を示すブロック図である。移動手段判定装置の機能は、インタフェース部31と、位置計測部32と、記憶部33と、移動手段判定部34と、移動手段判定修正部35とに大別される。
インタフェース部31は、図1に示した通信インタフェース16、歩行センサインタフェース17、入出力インタフェース18及びタイマインタフェース21と、これらのインタフェースを使用して各種情報を取り込む位置・歩行状態情報取得制御プログラム131に対応する。
【0029】
位置計測部32は、図1に示したGPS受信機15に対応する。記憶部33は、図1に示したデータメモリ14内の位置情報記録エリア141、歩行状態情報記録エリア142及び判定結果記録エリア143に対応する。
移動手段判定部34は、図1で述べた歩行区間/非歩行区間判定プログラム132、位置補間プログラム133及び移動手段判定プログラム134に対応する。移動手段判定修正部35は、図1で述べた移動手段判定修正プログラム135に対応する。
【0030】
次に、以上のように構成された移動手段判定装置の動作を、CPU11の処理手順に沿って説明する。図3はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
CPU11は、ステップS31において位置・歩行状態情報取得制御プログラム131を起動し、このプログラム131に従い、GPS受信機15により受信されたGPS信号を予め設定した時間間隔(例えば1分)で取り込む。そして、GPS信号を取り込むごとに、この取り込んだGPS信号をもとに緯度経度を計算し、この計算された緯度経度をユーザの位置情報としてその計測時刻と対応付けてデータメモリ14内の位置情報記録エリア141に記憶させる。
【0031】
またそれと並行して、上記時間間隔(例えば1分)で歩行センサインタフェース17を介して歩行センサを起動し、歩行センサから歩行状態検出データを受信する。そして、この歩行状態検出データが受信されるごとに、当該歩行状態検出データをもとにユーザが歩行中か歩行を停止しているかを表す状態を生成し、この生成した歩行状態情報をその計測時刻を表す情報と対応付けてデータメモリ14内の歩行状態情報記憶エリア142に記憶させる。したがって、データメモリ14内の位置情報記録エリア141及び歩行状態情報記憶エリア142には、ユーザの位置情報と歩行の有無を表す歩行状態情報がそのときの計測時刻と共に1分間隔で順次蓄積される。
【0032】
一方、上記位置情報及び歩行状態情報の取得・蓄積処理を行いながら、CPU11はステップS32及びステップS33においてそれぞれ判定開始時刻の監視及び判定開始指示の入力監視を繰り返し行っている。そしてこの状態で、タイマインタフェース21を介して取り込んだタイマ22の計時時刻が予め設定した時刻になるか、又はユーザ自身が入力デバイス18において入力した判定開始指示が入出力インタフェース18を介して検出されたとする。そうするとCPU11は、ステップS34により歩行区間/非歩行区間判定プログラム132を起動し、この判定プログラム132に従い歩行区間及び非歩行区間を抽出するための処理を以下のように実行する。図4はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0033】
すなわち、CPU11は先ずステップS341によりデータメモリ14内の歩行状態情報記憶エリア142から過去の未判定期間の歩行状態情報とその計測時刻情報を読み出す。そして、ステップS342により、この読み出した各歩行状態情報とその計測時刻情報をもとに、ユーザが歩行していない時間区間(非歩行区間)を抽出する。続いてステップS343において、上記抽出した非歩行区間の時間長を予め設定した第1のしきい値と比較し、第1のしきい値未満の非歩行区間が見つかった場合には、ステップS344により当該非歩行区間を歩行区間に変更する。なお、非歩行区間の時間長が第1のしきい値以上の場合には変更処理を行わず、非歩行区間を維持する。
【0034】
次にCPU11は、ステップS345により、上記読み出した未判定期間の各歩行状態情報とその計測時刻情報をもとに、ユーザが歩行している時間区間(歩行区間)を抽出する。続いてステップS346において、上記抽出した歩行区間の時間長を予め設定した第2のしきい値と比較し、第2のしきい値未満の歩行区間が見つかった場合には、ステップS347により当該歩行区間を非歩行区間に変更する。なお、歩行区間の時間長が第2のしきい値以上の場合には変更処理を行わず歩行区間を維持する。
【0035】
このようにすると、例えばユーザが歩行中に動く歩道やエスカレータを利用して歩行を一時的に停止してこの区間が非歩行区間として抽出されたとしても、この非歩行区間の時間長が第1のしきい値に満たなければ当該区間は歩行区間に変更される。また、同様にユーザが電車やバス等の車内で移動してこれが歩行区間として抽出されたとしても、この歩行区間の時間長が第2のしきい値に満たなければ当該区間は非歩行区間に変更される。
【0036】
次にCPU11は、ステップS35に移行して位置補間処理プログラム133を起動し、例えばユーザがビル街や地下街のようにGPS信号を受信できない環境下を移動したために、移動中の位置を計測できなかった区間について、その位置を補間するための処理を実行する。図5はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0037】
すなわち、CPU11はステップS351により、データメモリ14内の位置情報記憶エリア141から位置情報とその計測時刻情報を読み出し、ステップS352により、この読み出した計測時刻情報をもとに位置を計測できなかった未計測区間を抽出する。そして、ステップS353において上記未計測区間を線形補間し、これにより当該未計測区間における擬似的な位置とその計測時刻を算出する。図8(c)はその一例を示すもので、未計測区間Tに距離Lだけ移動した場合の線形補間の結果を示したものである。
【0038】
次にCPU11は、ステップS354において、上記未計測区間内に歩行区間が存在するか否かを、上記歩行区間/非歩行区間判定プログラム132により抽出された歩行区間の抽出情報をもとに判定する。そして、例えば図8(a)のように未計測区間T内に歩行区間が含まれていた場合には、ステップS355において上記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算する。そして、この減算後の時間区間Twに対し、図8(b)に示すように再度線形補間を行って、当該減算後の時間区間Twにおけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出する。
このようにすることで、例えば電車やバス・車等の車両による移動区間中に乗り継ぎなどのための歩行区間が含まれていても、この歩行区間の影響を排除して上記車両の移動速度を精度良く算出することができる。
【0039】
次にCPU11はステップS36に移行し、ここで上記ステップS34による歩行区間/非歩行区間の判定結果をもとに非歩行区間をすべて選択する。そして、ステップS37において移動手段判定プログラム134及び移動手段判定修正プログラム135を起動し、これらのプログラム134,135に従い、上記選択されたすべての非歩行区間について移動手段の判定処理とその判定欠陥を修正するための処理を実行する。図6はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0040】
CPU11は、はじめにステップS371で未選択の非歩行区間の有無を確認し、未選択の非歩行区間があればステップS372により未選択の非歩行区間を1つ選択する。次にCPU11は、ステップS73において、当該選択した非歩行区間に対し以下のような移動手段判定処理を実行する。図7はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0041】
CPU11は、先ずステップS3731により、上記データメモリ14の位置情報記録エリア141から上記選択した非歩行区間における位置情報とその計測時刻情報を読み出し、この読み出した位置情報とその計測時刻情報をもとに、上記非歩行区間のST秒間における最高速度mvを計算する。そして、この計算された最高速度mvをステップS3732により第3のしきい値VBと比較する。この比較の結果、最高速度mvが第3のしきい値VBに満たなければユーザは「自転車」を使用していると判断し、この判断結果をステップS3733によりデータメモリ14内の判定結果記録エリア143に格納する。すなわち、
if(mv<VB)then(移動手段=“自転車”)
とする。
【0042】
なお、上記最高速度mvの計算は、例えば以下のように行われる。すなわち、先ずST秒間の最初の計測時刻t1 における移動速度v1 と、その次の計測時刻t2 における移動速度v2 とを比較し、高値の方の速度を暫定的な最高速度として保持する。続いて、この保持した暫定的な最高速度とさらに次の計測時刻t3 における移動速度v3 とを比較して、高値の速度を暫定的な最高速度として保持する。このような比較更新処理を最終時刻tendまで順次行い、最終時刻tendにおける比較が終了した時点で暫定的な最高速度として保持されている値を最高速度mvとする。
また、第3のしきい値VBは、自転車の移動速度を基準として設定される。一般的に、自転車の移動速度は10Km/hといわれているが、ここではそれよりもやや高めの値12Km/h(3.33m/s)に設定する。
【0043】
上記ステップS3732において最高速度mvが第3のしきい値VB以上と判定されると、CPU11はユーザは自転車よりも高速の移動手段を使用していると判断し、次に移動手段が電車(鉄道)であるか又はバス・車であるかを判定する処理を以下のように実行する。
【0044】
すなわち、CPU11は先ずステップS3734において、上記データメモリ14の位置情報記録エリア141から上記選択した非歩行区間における位置情報とその計測時刻情報を読み出し、この読み出した位置情報とその計測時刻情報をもとに、計測時刻t0 からのST秒間における最高加速度maを計算する。そしてステップS3735により、上記算出された最高加速度maを第4のしきい値AVと比較する。この比較の結果、最高加速度maが第4のしきい値AV以上であれば、ユーザは「鉄道」を使用していると判断し、ステップS3736によりこの判断結果をデータメモリ14内の判定結果記録エリア143に格納する。これに対し最高加速度maが第4のしきい値AVに満たなければ、ユーザは「車又はバス」を使用していると判断し、ステップS3737によりこの判断結果をデータメモリ14内の判定結果記録エリア143に格納する。すなわち、
if(ma≧AV)then(移動手段=“鉄道”)
if(ma<AV)then(移動手段=“車又はバス”)
と決定する。
【0045】
なお、上記最高速度maの計算は、例えば以下のように行われる。すなわち、先ず非歩行区間ST秒内の最初の計測時刻t2 における移動速度v2 とその1つ前の計測時刻t1 における移動速度v1 とを比較し、その差分値、つまり速度変化量v2 −v1 を算出する。減速時の場合、速度変化量はマイナスの値となるため、算出した速度変化量の絶対値を当該計測時刻における加速度として算出する。そして、この算出された加速度を1つ前の計測時刻t1 における加速度と比較し、高値の方の加速度を暫定的な最高加速度として保持する。続いて、この保持した暫定的な最高加速度と、さらに次の計測時刻t3 において同様に算出された加速度とを比較して、高値の加速度を暫定的な最高加速度として保持する。このような加速度の比較更新処理を最終時刻tendまで順次行い、最終時刻tendにおける比較が終了した時点で、暫定的な最高加速度として保持されている値を最高加速度maとする。
【0046】
第4のしきい値AVは、鉄道移動時に計測できる加速度(速度の変化量)の最大値をもとに設定される。鉄道とバス又は車とでは加速度の最大値が異なる。このため、この最大加速度の違いに着目してこれをしきい値により判別することで移動手段が「鉄道」であるか「車又はバス」であるかを区別することが可能である。今回の例では、鉄道を使用した移動時にのみ計測されている2.5m/s^2を第4のしきい値AVとして用いる。
【0047】
以上述べた移動手段の判定処理が終了すると、次にCPU11はその判定結果を修正するための処理を以下のように実行する。
すなわち、CPU11は先ずステップS374において、上記非歩行区間において判定された移動手段の種類は1つか複数かを判定する。この判定の結果、移動手段の種類が1つであれば、ステップS377により当該移動手段をそのまま上記非歩行区間における移動手段判定結果とする。そして、この判定結果をステップS38によりデータメモリ14内の判定結果記憶エリア143に記憶させる。
【0048】
これに対し複数であれば、CPU11はステップS375に移行し、上記非歩行区間において判定された移動手段ごとにその出現頻度を計算する。そして、ステップS376により、上記算出された移動手段ごとの出現頻度を比較して、出現頻度の最も高い移動手段を上記非歩行区間の移動手段として選択する。そして、この選択した移動手段をステップS38によりデータメモリ14内の判定結果記憶エリア143に記憶させる。
【0049】
以上詳述したようにこの実施形態では、データメモリ14内の歩行状態情報記憶エリア142に格納された歩行状態情報とその計測時刻を表す情報をもとに、ユーザの歩行区間と非歩行区間をそれぞれ抽出して、このうち非歩行区間を選択する。そして、この非歩行区間について、上記データメモリ14内の位置情報記憶エリア141に格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとにユーザの移動速度を算出して、この算出された移動速度に基づいてユーザの移動手段を判定する。さらに、この移動手段の判定結果をもとに上記非歩行区間における移動手段が1種類か複数種類かを判定し、移動手段が1種類と判定された場合には当該移動手段を上記非歩行区間における移動手段と決定し、一方移動手段が複数種類と判定された場合には、これらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を上記非歩行区間の移動手段と決定するようにしている。
【0050】
したがって、移動速度に計測誤差が含まれていても、また移動速度が一定でなくても、1つの非歩行区間において、移動手段として例えば車と電車が連続して判定されるような不具合を防止することができ、これにより高い精度で移動手段を判定することが可能となる。
【0051】
また、この実施形態では万歩計(登録商標)などの歩行センサによりユーザの歩行状態を計測し、その計測結果と位置情報の計測結果を用いて移動手段を判定するようにしている。このため、例えば加速度センサや振動センサの計測値を利用して移動手段を判定する場合に比べ、ユーザに対するセンサの装着場所の制約を受けにくく、実用性の高い装置を提供できる。
【0052】
さらに、移動手段の判定手法として、例えば加速度センサや振動センサの計測値からそのパワースペクトルを算出して波形などのパターンの特徴を認識し、この特徴パターンを予め記憶した各種乗り物の加速特性や振動特性のパターンと比較することにより移動手段を判定する手法が考えられる。しかし、この種の手法では、事前に各乗り物の特徴パターンをそれぞれ解析して記憶しておく必要があると共に、判定に際しその都度特徴パターンを計算して比較しなければならないため、計算処理量が多くなり装置の処理負荷が高くなる。これに対しこの実施形態によれば、歩行センサと位置センサとの組み合わせにより比較的簡単な計算処理により移動手段を判定することができる。この効果は、パーソナル・コンピュータに比べメモリ容量が少なくかつ計算処理機能が低い携帯電話機などの携帯端末にとっては、きわめて有効である。
【0053】
またこの実施形態では、上記歩行区間と非歩行区間を抽出する際に、非歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第1のしきい値と比較し、上記非歩行区間として抽出された時間区間の長さが第1のしきい値未満と判定された場合には当該時間区間を非歩行区間から歩行区間に変更する。またそれと共に、上記歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第2のしきい値と比較し、上記歩行区間として抽出された時間区間の長さが第2のしきい値未満と判定された場合には当該時間区間を歩行区間から非歩行区間に変更するようにしている。
【0054】
したがって、例えばユーザが電車やバスの車内で移動してこれが歩行区間として抽出されたとしても、この歩行区間の時間長が第2のしきい値に満たなければ当該区間は非歩行区間に変更される。また、同様にユーザが歩行中に動く歩道やエスカレータを利用して歩行を一時的に停止してこの区間が非歩行区間として抽出されたとしても、この非歩行区間の時間長が第1のしきい値に満たなければ当該区間は歩行区間に変更される。すなわち、非歩行区間中の短時間の歩行動作や歩行区間中の短時間の歩行停止動作を排除して、非歩行区間をより正確に抽出することが可能となる。
【0055】
さらにこの実施形態では、位置情報記憶エリア141に格納された位置情報とその計測時刻情報をもとにユーザの位置を計測できなかった未計測区間を抽出し、この抽出された未計測区間中に歩行区間が含まれているか否かを判定する。そして、歩行区間が含まれている場合には上記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算し、この減算後の時間区間に対し線形補間を行って当該時間区間におけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出するようにしている。
【0056】
したがって、位置を計測できなかった未計測区間については、当該区間に含まれる歩行区間が排除された上で線形補間処理が行われる。このため、車両による移動区間中に歩行区間が含まれていても、この歩行区間の影響を排除して上記車両の移動速度を精度良く算出することができ、これにより移動手段の判定精度を高めることが可能となる。
【0057】
さらに、ユーザの長期間の位置情報の履歴をもとに移動手段を判定すると、ユーザの利用頻度が高い移動手段、歩行による移動が多い場所や地域の情報を取得することができ、これにより当該ユーザの行動パターンを算出することが可能となる。行動パターンとして頻出の訪問場所、すなわち当該ユーザの生活圏を確認できれば、マーケティングなどの分野にも活用することが可能となる。
【0058】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では本発明に係わる移動手段判定装置の機能を携帯端末に内蔵した場合を例にとって説明した。しかし、それに限らず、本発明に係わる移動手段判定装置の機能を、例えばオーディオプレーヤや、携帯型テレビジョン受信機、デジタルカメラ、イヤホン等のようにユーザが所持する電子機器に内蔵したり、又は外付けするようにしてもよい。
【0059】
さらに、位置計測手段としては、GPSを利用する以外に、携帯電話網の基地局が備える位置計測機能を利用することが可能である。その他、移動手段判定装置の種類や構成、判定制御手順とその内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0060】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の一実施形態に係わる移動手段判定装置のハードウエア及びソフトウエアの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した移動手段判定装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した移動手段判定装置による判定処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図4】図3に示したフローチャート中の歩行区間/非歩行区間抽出修正処理の手順と内容を示すフローチャートである。
【図5】図3に示したフローチャート中の位置補間処理の手順と内容を示すフローチャートである。
【図6】図3に示したフローチャート中の移動手段判定処理及びその修正処理の手順と内容を示すフローチャートである。
【図7】図6に示した移動手段判定処理の手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図8】図5に示した位置補間処理の説明に使用する図である。
【符号の説明】
【0062】
11…CPU、12…バス、13…プログラムメモリ、14…データメモリ、15…GPS受信機、16…通信インタフェース、17…歩行センサインタフェース、18…入出力インタフェース、19…入力デバイス、20…表示デバイス、21…タイマインタフェース、22…タイマ、30…歩行計測部、31…インタフェース部、32…位置計測部、33…記憶部、34…移動手段判定部、35…移動手段判定修正部、131…位置・歩行状態情報取得制御プログラム、132…歩行区間/非歩行区間判定プログラム、133…位置補間プログラム、134…移動手段判定プログラム、135…移動手段判定修正プログラム、141…位置情報記録エリア、142…歩行状態情報記録エリア、143…判定結果記録エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの位置を表す位置情報を周期的に取得し、この取得した各位置情報をそれぞれその計測時刻を表す情報と対応付けてメモリに格納する手段と、
前記ユーザが歩行しているか否かを表す歩行状態情報を周期的に取得し、この取得した各歩行状態情報をそれぞれその計測時刻を表す情報と対応付けて前記メモリに格納する手段と、
前記メモリに格納された各歩行状態情報とその計測時刻を表す情報をもとに、前記ユーザが歩行している時間区間を表す歩行区間と、歩行していない時間区間を表す非歩行区間を抽出する手段と、
前記抽出された非歩行区間について、前記メモリに格納された各位置情報とその計測時刻を表す情報をもとに前記ユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいて前記ユーザの移動手段を判定する手段と、
前記移動手段の判定結果をもとに前記非歩行区間における移動手段が1種類か複数種類かを判定し、移動手段が1種類と判定された場合には当該移動手段を前記非歩行区間における移動手段と決定し、一方移動手段が複数種類と判定された場合にはこれらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を前記非歩行区間における移動手段と決定する修正手段と
を具備することを特徴とする移動手段判定装置。
【請求項2】
前記歩行区間と非歩行区間を抽出する手段は、
前記非歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第1のしきい値と比較し、前記非歩行区間として抽出された時間区間の長さが第1のしきい値未満と判定された場合に、当該時間区間を非歩行区間から歩行区間に変更する手段と、
前記歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第2のしきい値と比較し、前記歩行区間として抽出された時間区間の長さが第2のしきい値未満と判定された場合に、当該時間区間を歩行区間から非歩行区間に変更する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の移動手段判定装置。
【請求項3】
前記メモリに格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとに前記ユーザの位置を計測できなかった時間区間を抽出する未計測区間抽出手段と、
前記抽出された未計測区間中に、前記抽出された歩行区間が含まれているか否かを判定する手段と、
前記歩行区間が含まれていると判定された場合に、前記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算し、この減算後の時間区間に対し線形補間を行って当該時間区間におけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出する手段と
を、さらに具備し、
前記移動手段を判定する手段は、前記未計測区間に含まれる非歩行区間について移動手段を判定する場合に、前記算出された擬似的な位置と計測時刻をもとに前記ユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいて前記ユーザの移動手段を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の移動手段判定装置。
【請求項4】
ユーザの位置を表す位置情報を周期的に取得し、この取得した各位置情報をそれぞれその計測時刻を表す情報と対応付けてメモリに格納する過程と、
前記ユーザが歩行しているか否かを表す歩行状態情報を周期的に取得し、この取得した各歩行状態情報をそれぞれその計測時刻を表す情報と対応付けて前記メモリに格納する過程と、
前記メモリに格納された各歩行状態情報とその計測時刻を表す情報をもとに、前記ユーザが歩行している時間区間を表す歩行区間と、歩行していない時間区間を表す非歩行区間を抽出する過程と、
前記抽出された非歩行区間について、前記メモリに格納された各位置情報とその計測時刻を表す情報をもとに前記ユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいて前記ユーザの移動手段を判定する過程と、
前記移動手段の判定結果をもとに前記非歩行区間における移動手段が1種類か複数種類かを判定し、移動手段が1種類と判定された場合には当該移動手段を前記非歩行区間における移動手段と決定し、一方移動手段が複数種類と判定された場合にはこれらの種類ごとにその出現頻度を求めて出現頻度の最も高い移動手段を前記非歩行区間における移動手段と決定するように修正を行う過程と
を具備することを特徴とする移動手段判定方法。
【請求項5】
前記歩行区間と非歩行区間を抽出する過程は、
前記非歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第1のしきい値と比較し、前記非歩行区間として抽出された時間区間の長さが第1のしきい値未満と判定された場合に、当該時間区間を非歩行区間から歩行区間に変更する過程と、
前記歩行区間として抽出された時間区間の長さを予め設定された第2のしきい値と比較し、前記歩行区間として抽出された時間区間の長さが第2のしきい値未満と判定された場合に、当該時間区間を歩行区間から非歩行区間に変更する過程と
を備えることを特徴とする請求項4記載の移動手段判定方法。
【請求項6】
前記メモリに格納された位置情報とその計測時刻を表す情報をもとに前記ユーザの位置を計測できなかった未計測区間を抽出する過程と、
前記抽出された未計測区間中に、前記抽出された歩行区間が含まれているか否かを判定する過程と、
前記歩行区間が含まれていると判定された場合に、前記未計測区間から当該歩行区間に相当する時間長を減算し、この減算後の時間区間に対し線形補間を行って当該時間区間におけるユーザの擬似的な位置と計測時刻を算出する過程と
を、さらに具備し、
前記移動手段を判定する過程は、前記未計測区間に含まれる非歩行区間について移動手段を判定する場合に、前記算出された擬似的な位置と計測時刻をもとに前記ユーザの移動速度を算出し、この算出された移動速度に基づいて前記ユーザの移動手段を判定することを特徴とする請求項4又は5記載の移動手段判定方法。
【請求項7】
前記請求項1乃至請求項3記載のいずれかに記載の移動手段抽出装置が備える手段の処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
前記請求項7記載のプログラムを読み出し可能な状態で記録する記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−112750(P2010−112750A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283414(P2008−283414)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】