説明

移動通信システム、移動通信方法、通信装置および移動端末

【課題】ユーザの嗜好を刺激するサービスを提供すること。
【解決手段】移動通信システム100は、検出部111と、を備えている。検出部111は、移動端末120が所定の条件を満たしたことを検出する。無線通信制御部112は、検出部111が所定の条件を満たしたことを検出すると、移動端末120に対して所定の無線通信サービスを提供する。無線通信制御部112は、検出部111が所定の条件を満たしたことを検出すると、移動端末120とは異なる移動端末130に対して所定の無線通信サービスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を行う移動通信システム、移動通信方法、通信装置および移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波デジタル放送が開始され、同時に携帯電話などのモバイル機器などに向けたワンセグ放送が開始されている。また、VHF(Very High Frequency:超短波)帯においてもモバイル機器向け放送のサービスが計画されている。デジタル放送においては、従来のように屋内で視聴するだけでなく、屋外においても放送コンテンツサービスを享受することが可能となってきている。
【0003】
また、移動通信の分野においても、回線の高速化に伴い、従来は屋内の有線が届く場所に限られていたサービスフィールドが屋外にまで提供可能な環境が揃いつつある。このように、無線の特性を活かした、いつでもどこでも誰でもサービス享受が可能な環境が整備されている。また、コンテンツの配信サービスの一例として、たとえば、家庭での番組視聴環境と同一の環境を旅先のホテル等の宿泊施設においても構築することのできるコンテンツ配信システムを実現する技術がある(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−345766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、いつでもどこでも誰でもサービス享受が可能である反面、各ユーザに対するサービス提供が一様となるため、ユーザにとってサービスの魅力が低下することが考えられる。このため、従来技術では、サービス提供によってユーザの嗜好を刺激することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明の一側面では、ユーザの嗜好を刺激するサービスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信システムを用いることとする。
【0008】
好ましくは、前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、前記第1の移動端末に対して提供する無線通信サービスと同じ無線通信サービスとする。
【0009】
好ましくは、前記第2の移動端末は、前記第1の移動端末が所定の条件を満足したことを前記検出部が検出するよりも前に前記第1の移動端末と関連付けがなされていることとする。
【0010】
好ましくは、前記第1の移動端末に対して提供する所定の無線通信サービスまたは前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、静止画または動画像のコンテンツ情報の配信であることとする。
【0011】
好ましくは、前記無線通信制御部は、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して送信することで、前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して前記所定の無線通信サービスの提供を行う。
【0012】
好ましくは、前記第1の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスが所定の無線エリア内で適用される場合に、前記第2の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスも前記所定の無線エリア内で提供される。
【0013】
第2の案では、移動通信システムにおいて、移動端末が過去において特定エリアに位置していたことを検出する検出部と、前記検出部によって前記特定エリアに位置していたことが検出された移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備えることを特徴とする移動通信システムを用いることとする。
【0014】
第3の案では、移動通信方法において、第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出工程と、前記検出工程が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御工程と、を含み、前記無線通信制御工程では、前記検出工程において前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信方法を用いることとする。
【0015】
第4の案では、通信装置において、第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする通信装置を用いることとする。
【0016】
第5の案では、移動端末において、前記移動端末が過去において特定エリアに位置していた場合に通信装置から所定の無線通信サービスの提供を受けることを特徴とする移動端末を用いることとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザの嗜好を刺激するサービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態2にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した移動通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図4】図2に示した管理部を具体的に示す図である。
【図5】図2に示した履歴データベースを具体的に示す図である。
【図6】サービスコンテンツの提供方法の一例を示すシーケンス図である。
【図7】図6に示した鍵情報の一例を示す図である。
【図8】図2に示した通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】移動通信システムの実施例1を示す図である。
【図10】移動通信システムの実施例2を示す図である。
【図11】移動通信システムの実施例3を示す図である。
【図12】図8に示した動作の変形例1を示すフローチャートである。
【図13】図8に示した動作の変形例2を示すフローチャートである。
【図14】図1に示した移動通信システムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この移動通信システム、移動通信方法、通信装置および移動端末の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態においては、特定のユーザに特化したサービス提供を行うことで、ユーザに対するプレミアム感を向上させる。これにより、たとえば、ヘビーユーザや重要顧客を囲い込むマーケティングが可能になる。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる移動通信システム100は、通信装置110と、移動端末120と、移動端末130と、を含んでいる。通信装置110は、移動端末120および移動端末130との間でそれぞれ無線通信が可能な装置である。通信装置110は、たとえば無線通信のネットワーク側の装置(基地局)である。
【0021】
通信装置110は、検出部111と、無線通信制御部112と、を備えている。検出部111は、移動端末120が所定の条件を満たしたことを検出する。たとえば、所定の条件は、移動端末が過去において特定エリアに位置していたことである。具体的には、所定の条件は、移動端末が過去において特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であってもよい。検出部111は、移動端末120が所定の条件を満たしたことを検出すると無線通信制御部112へ検出信号を出力する。
【0022】
無線通信制御部112は、検出部111から検出信号が出力されると、移動端末120に対して所定の無線通信サービスを提供する。無線通信制御部112が移動端末120に対して提供する所定の無線通信サービスは、たとえばサービスコンテンツの配信である。サービスコンテンツは、たとえば静止画または動画像のコンテンツ情報である。
【0023】
また、無線通信制御部112は、検出部111から検出信号が出力されると、移動端末120とは異なる移動端末130に対して所定の無線通信サービスを提供する。無線通信制御部112が移動端末130に対して提供する所定の無線通信サービスは、たとえば、無線通信制御部112が移動端末120に対して提供する所定の無線通信サービスと同じ無線通信サービスである。
【0024】
たとえば、無線通信制御部112は、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を移動端末120または移動端末130に対して送信する。これにより、無線通信制御部112は、移動端末120または移動端末130に対して所定の無線通信サービスの提供を行う。
【0025】
移動端末130は、移動端末120が所定の条件を満足したことを検出部111が検出するよりも前に移動端末120と関連付けがなされている。たとえば、移動端末130を示す識別情報が、移動端末120を示す識別情報と対応付けられて通信装置110の図示しないメモリにあらかじめ記憶されている。
【0026】
そして、無線通信制御部112は、移動端末120が所定の条件を満足したことを検出部111が検出すると、移動端末120の識別情報に対応付けられた識別情報を検索し、検索した識別情報が示す移動端末130へ所定の無線通信サービスの提供を行う。
【0027】
たとえば、無線通信制御部112は、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を移動端末120または移動端末130に対して送信する。移動端末120または移動端末130は、受信した鍵情報を用いて所定の無線通信サービスの提供を受ける。
【0028】
移動端末120に対する所定の無線通信サービスが所定の無線エリア内で適用される場合に、移動端末130に対する所定の無線通信サービスも所定の無線エリア内で提供されるようにしてもよい。これにより、移動端末120が所定の無線エリアで提供を受けた所定の無線通信サービスを、移動端末130が同じ無線エリアで受けることができる。
【0029】
このように、実施の形態1にかかる移動通信システム100によれば、移動端末120が所定の条件を満たした場合に、移動端末120だけではなく移動端末130にも無線通信サービスを提供する。これにより、移動端末120および移動端末130の各ユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。
【0030】
たとえば、移動端末120および移動端末130に対して同じ無線通信サービスを提供することで、移動端末130のユーザに対するプレミアム感をさらに向上させることができる。また、移動端末130は、移動端末120が所定の条件を満足したことを検出部111が検出するよりも前に移動端末120と関連付けがなされている。これにより、移動端末120が所定の条件を満足したことが検出部111によって検出された場合に移動端末130に対して無線通信サービスを提供することが可能になる。
【0031】
また、無線通信制御部112が移動端末120に対して提供する所定の無線通信サービスは、たとえば静止画または動画像などのサービスコンテンツの提供である。これにより、提供されるサービスコンテンツ自体にプレミアム感を付加することが可能になる。
【0032】
また、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を移動端末120または移動端末130に対して送信する。これにより、サービスコンテンツの提供を受ける資格がないユーザは、サービスコンテンツを受信したとしても復号することができないため、サービスコンテンツのプレミアム感をさらに向上させることができる。
【0033】
また、移動端末120のユーザが所定の無線エリアで提供を受けた所定の無線通信サービスを、移動端末130のユーザが同じ無線エリアで受けることができるようにすることで、特定の無線エリアを訪れたユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。
【0034】
また、検出部111における所定の条件を、移動端末が過去において特定エリアに位置していたこととすることで、特定エリアを訪れたことがあるユーザに対して無線通信サービスを提供することができる。または、検出部111における所定の条件を、移動端末が過去において特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であることとすることで、特定エリアを何度も訪れるユーザに対して無線通信サービスを提供することができる。
【0035】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2にかかる移動通信システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、実施の形態2にかかる移動通信システム200は、通信装置210と、移動端末220と、を含んでいる。通信装置210と移動端末220は無線アクセスにより互いに通信可能である。または、通信装置210と移動端末220は、他の通信装置(たとえば図10のゲート1010)を介して互いに通信可能であってもよい。通信装置210は無線通信におけるネットワーク側装置である。
【0036】
通信装置210は、通信部211と、管理部212と、履歴データベース213(履歴DB)と、判定部214と、コンテンツ管理部215と、送信部216と、を備えている。通信部211は、移動端末220との間で移動通信を行う機能を有する。また、通信部211は、特定エリア内への移動端末220の進入を検知する機能を有する(検知部)。
【0037】
通信部211は、特定エリア内への移動端末220の進入を検知すると、移動端末220に対して履歴パラメータの要求信号を送信する。そして、通信部211は、要求信号に応じて移動端末220から送信された履歴パラメータを受信する。通信部211は、受信した移動端末220の履歴パラメータを管理部212へ出力する。履歴パラメータには、たとえば、移動端末220に割り当てられたユーザIDと、移動端末220が進入したエリアを示すエリアIDと、が含まれている。
【0038】
管理部212は、通信部211から出力された履歴パラメータに基づいて、ユーザID、グループIDおよび在圏フラグを管理する。具体的には、管理部212は、ユーザIDに関する情報を管理するユーザ管理部212aと、グループIDに関する情報を管理するグループ管理部212bと、を備えている。
【0039】
ユーザIDは、移動端末130を含む各移動端末にそれぞれ割り当てられた識別情報である。グループIDは、各ユーザIDをグループ化するIDである。在圏フラグは、ユーザIDと対応付けられており、ユーザIDが示す移動端末がサービスを享受可能な特定エリアに位置しているか否かを示す情報である。
【0040】
また、管理部212は、通信部211から出力された履歴パラメータに含まれるユーザIDを判定部214へ出力する。管理部212は、通信部211から出力された履歴パラメータに基づいて在圏フラグを更新する。具体的には、管理部212は、履歴パラメータに含まれるエリアIDがサービスを享受可能な特定エリアである場合に、履歴パラメータに含まれるユーザIDに対応する在圏フラグを「在圏」に設定する。
【0041】
また、管理部212は、履歴パラメータに含まれるエリアIDがサービスを享受可能なセル内でない場合に、履歴パラメータに含まれるユーザIDに対応する在圏フラグを「非在圏」に設定する。また、管理部212は、各ユーザまたは各グループへのサービス提供の履歴や、サービス提供の条件となる履歴情報を履歴データベース213に保存する。また、履歴データベース213は通信部211による検知結果を示す履歴情報を保存する。
【0042】
判定部214は、管理部212から出力されたユーザIDに対応付けられた履歴情報を履歴データベース213から取得し、ユーザIDに対応付けられた履歴情報が所定の条件を満たすか否かを判定する。履歴情報が所定の条件を満たす場合は、判定部214は、管理部212から出力されたユーザIDをコンテンツ管理部215へ出力する。
【0043】
また、このとき、判定部214は、グループ管理部212bによって保存されているグループ情報を取得し、管理部212から出力されたユーザIDと同じグループに含まれるユーザIDを抽出する。そして、判定部214は、ユーザ管理部212aによって保存されているユーザ情報(たとえば図4参照)を取得し、検索したユーザIDのうちの在圏フラグが「在圏」となっているユーザIDを抽出する。判定部214は、抽出されたユーザIDをコンテンツ管理部215へ出力する。
【0044】
コンテンツ管理部215は、移動端末へ提供するためのサービスコンテンツを保存している。コンテンツ管理部215は、判定部214から出力されたユーザIDとともに、保存しているサービスコンテンツを送信部216へ出力する。また、コンテンツ管理部215は、サービスコンテンツを暗号化して送信部216へ出力してもよい。
【0045】
送信部216は、コンテンツ管理部215から出力されたサービスコンテンツをデジタル処理して移動端末220へ送信する。サービスコンテンツを移動端末220に送信する無線媒体には、たとえばデジタル放送、無線LAN(Local Area Network:構内通信網)または移動通信などを用いる。
【0046】
移動端末220は、通信部221と、受信部222と、再生部223と、を備えている。通信部221は、通信装置210との間で移動通信を行う機能を有する。通信部221は、通信装置210から履歴パラメータの要求信号を受信すると、移動端末220のユーザIDおよびエリアIDを含む履歴パラメータを通信装置210へ送信する。
【0047】
受信部222は、通信装置210から無線を介して送信されたサービスコンテンツを受信する。受信部222は、受信したサービスコンテンツを再生部223へ出力する。再生部223は、受信部222から出力されたサービスコンテンツをユーザに対して再生する。また、再生部223は、サービスコンテンツが暗号化されている場合は、サービスコンテンツの復号処理を行ってから再生する。
【0048】
ここでは、通信部211、管理部212、履歴データベース213、判定部214、コンテンツ管理部215および送信部216を通信装置が備える構成について説明した。これに対して、通信部211、管理部212、履歴データベース213、判定部214、コンテンツ管理部215および送信部216を複数の通信装置に分散して設けてもよい。
【0049】
図3は、図2に示した移動通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図3に示すように、まず、移動端末220が、履歴パラメータを通信装置210へ送信する(ステップS301)。つぎに、通信装置210が、移動端末220の履歴情報を取得する(ステップS302)。つぎに、通信装置210が、ステップS302によって取得された履歴情報について条件判定を行う(ステップS303)。
【0050】
ステップS303においては、履歴情報が条件を満たしたものとする。つぎに、通信装置210が、サービスコンテンツを移動端末220へ送信する(ステップS304)。つぎに、移動端末220が、ステップS304によって送信されたサービスコンテンツを再生し(ステップS305)、一連の処理を終了する。
【0051】
図4は、図2に示した管理部を具体的に示す図である。図4に示すように、管理部212のユーザ管理部212aは、ユーザ情報として、複数のユーザIDごとに、グループID、在圏フラグ、エリアIDおよび時刻を対応付けて記憶している。グループIDは、ユーザIDが属するグループのIDである。ユーザIDがグループに属していない場合は、ユーザIDに対応するグループIDには、グループ未所属の旨の情報が設定される。
【0052】
在圏フラグは、ユーザIDが示す移動端末が、無線通信サービスの提供を受けることができる特定エリア内に位置しているか否かを示すフラグである。エリアIDは、ユーザIDが示す移動端末がいずれの特定エリアに位置しているかを示すIDである。時刻は、ユーザIDが示す移動端末が特定エリア内に進入した時刻を示している。
【0053】
グループ管理部212bは、グループ情報として、複数のグループIDごとに、複数のユーザIDを対応付けて記憶している。グループIDに対応付けられた複数のユーザID(#0〜#n)は、グループIDが示すグループに属している複数の移動端末のユーザIDを示している。また、複数のユーザIDのそれぞれには、コンテンツID(#0〜#n)、在圏フラグおよび有効/無効フラグが対応付けられている。
【0054】
コンテンツIDは、ユーザIDが示す移動端末が提供を受けることができるサービスコンテンツを示している。在圏フラグは、ユーザIDが示す移動端末がいずれかの特定エリアに位置しているか否かを示している。有効/無効フラグは、コンテンツIDが示すサービスコンテンツが有効であるか否かを示している。
【0055】
図5は、図2に示した履歴データベースを具体的に示す図である。履歴データベース213は、複数のユーザIDのそれぞれに対応付けて、たとえばテーブル500のようなテーブルを保存している。テーブル500は、ユーザID:Xに対応付けられている。テーブル500は、行動履歴510とサービス提供履歴520とを含んでいる。
【0056】
行動履歴510には、複数の特定エリアID(#A〜#Z)と、各特定エリアIDに対応付けられた有効/無効フラグ、進入回数および進入時刻#1,#2,…#nと、が含まれている。行動履歴510における進入回数は、ユーザID:Xが示す移動端末が、対応する特定エリアIDが示す特定エリアへ進入した回数を示している。
【0057】
進入時刻は、ユーザID:Xが示す移動端末が、対応する特定エリアIDが示す特定エリアへ進入した時刻を示している。進入時刻は、進入回数の分だけ保存される(進入回数=n)。行動履歴510における有効/無効フラグは、移動端末が特定エリアへ進入した場合の進入回数の計数の有効/無効を示している。
【0058】
たとえば、行動履歴510における有効/無効フラグは、初期状態で「有効」に設定される。そして、移動端末が特定エリアへ進入し、進入回数が1回計数されると、有効/無効フラグが「無効」に設定される。有効/無効フラグが「無効」の場合は、移動端末が特定エリアへ進入しても進入回数を計数しないようにする。
【0059】
また、有効/無効フラグは、一定期間ごとに初期化されて「有効」になる。一定期間とは、たとえば1日である。たとえば、毎日0時に有効/無効フラグが初期化されるようにする。これにより、移動端末が特定エリアへ進入した日に、移動端末が特定エリアに長時間とどまったり再度進入したりしても進入回数はそれ以上計数されない。
【0060】
また、翌日以降に移動端末が再度特定エリアへ進入すれば、進入回数がさらに計数されることになる。このため、進入回数は、一定期間ごとに定められた所定回数を上限として計数される。たとえば一定期間を1日に設定し、所定回数を1回に設定した場合は、進入回数は、1日1回を上限として計数されることになる。なお、一定期間は、1日に限らず、所定日数、所定週間、所定月数、所定年数などであってもよい。
【0061】
サービス提供履歴520には、複数のコンテンツID(#A〜#Z)と、各コンテンツIDに対応付けられた有効/無効フラグ、提供回数および提供時刻#1,#2,…#nと、が含まれている。サービス提供履歴520における有効/無効フラグは、対応するコンテンツIDが示すサービスコンテンツの提供の有効/無効を示している。
【0062】
サービス提供履歴520における提供回数は、ユーザID:Xが示す移動端末が、対応するコンテンツIDが示すサービスコンテンツの提供を受けた回数を示している。提供時刻は、ユーザID:Xが示す移動端末が、対応するコンテンツIDが示すサービスコンテンツの提供を受けた時刻を示している。提供時刻は、進入回数の分だけ保存される(進入回数=n)。サービス提供履歴520は、移動端末へサービスコンテンツを提供するときに、たとえばコンテンツ管理部215によって更新される。
【0063】
なお、進入回数を一定期間ごとに定められた所定回数を上限として計数するために、行動履歴510における有効/無効フラグを一定期間ごとに初期化する方法について説明したが、このような方法に限られない。たとえば、移動端末が特定エリアへ進入した場合に、移動端末が前回特定エリアへ進入した時刻を取得する。そして、取得した時刻に対して現在時刻が所定期間経過した時刻である場合は進入回数を新たに計数する。
【0064】
一方、取得した時刻に対して現在時刻が所定期間経過した時刻でない場合は進入回数を新たに計数しないようにする。たとえば、取得した時刻から現在時刻までの期間が所定期間(たとえば24時間)以上である場合は進入計数を新たに計数し、所定期間未満である場合は進入回数を新たに計数しないようにする。
【0065】
または、取得した時刻の所定の時間単位(たとえば日)に対して現在時刻の所定の時間単位(たとえば日)が変化している場合は進入計数を新たに計数し、変化していない場合は進入回数を新たに計数しないようにする。これにより、進入回数を一定期間ごとに定められた所定回数を上限として計数することができる。なお、所定の時間単位は、日に限らず、午前/午後、週、月、年などであってもよい。
【0066】
図6は、サービスコンテンツの提供方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、通信装置210が移動端末220に提供するサービスコンテンツが、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報であるとする。まず、通信装置210が、コンテンツ情報の復号のための鍵情報を格納した通信装置210のメモリ上の位置を示すURL(Uniform Resource Locator)を移動端末220へ送信する(ステップS601)。
【0067】
ステップS601において通信装置210が移動端末220へ送信するURLは、通信装置210のメモリにおいて、移動端末220のユーザIDと対応付けて記憶される。つぎに、移動端末220が、ステップS601によって送信されたURLをユーザに表示し、表示したURLへのアクセス要求をユーザから受け付ける(ステップS602)。
【0068】
つぎに、移動端末220が、ステップS602によって受け付けたアクセス要求にしたがって、ステップS601によって送信されたURLにアクセスする(ステップS603)。つぎに、通信装置210が、ユーザIDを通知すべき旨のユーザID要求を移動端末220へ送信する(ステップS604)。つぎに、移動端末220が、ステップS604によって送信されたユーザID要求にしたがって、移動端末220のユーザIDを通信装置210へ送信する(ステップS605)。
【0069】
つぎに、通信装置210が、ステップS605によって送信されたユーザIDを認証する(ステップS606)。ステップS606においては、ステップS605によって送信されたユーザIDが、ステップS601によって送信したURLと通信装置210のメモリにおいて対応付けて記憶されているか否かによって認証を行う。
【0070】
つぎに、通信装置210が、サービスコンテンツの復号のための鍵情報を移動端末220へ送信する(ステップS607)。以上のステップにより、通信装置210は、コンテンツ情報の復号のための鍵情報を移動端末220へ送信する。移動端末220は、放送されるコンテンツ情報を受信し、通信装置210から送信された鍵情報によってコンテンツ情報を復号することで、サービスコンテンツの提供を受けることができる。
【0071】
図7は、図6に示した鍵情報の一例を示す図である。図7に示すように、図6のステップS607によって通信装置210から移動端末220へ送信される鍵情報700は、鍵710と、コンテンツID720と、CH番号730と、を含んでいる。鍵710は、暗号化されたコンテンツ情報を復号するアルゴリズムを制御するための値である。
【0072】
コンテンツID720は、コンテンツ情報の識別情報である。CH番号730は、コンテンツ情報が放送されるチャネルの識別情報である。移動端末220は、CH番号730が示すチャネルから、コンテンツID720が示すコンテンツ情報を受信し、受信したコンテンツ情報を鍵710によって復号する。これにより、移動端末220は、通信装置210からサービスコンテンツの提供を受けることができる。
【0073】
図8は、図2に示した通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、まず、通信部211が、特定エリア内に移動端末が進入したか否かを判断し(ステップS801)、移動端末が特定エリア内に進入するまで待つ(ステップS801:Noのループ)。ステップS801において進入を検出する移動端末は、通信装置210によるサービスコンテンツに加入した移動端末であり、たとえば移動端末220である(以下、「移動端末A」と称する。)
【0074】
ステップS801において、移動端末Aが特定エリア内に進入すると(ステップS801:Yes)、通信部211が、移動端末Aから履歴パラメータを受信する(ステップS802)。つぎに、管理部212が、ステップS802によって受信された履歴パラメータに基づいて、移動端末Aの在圏フラグを「在圏」に設定する(ステップS803)。
【0075】
つぎに、管理部212が、履歴データベース213から移動端末Aに関する履歴情報を取得する(ステップS804)。つぎに、ステップS804によって取得された履歴情報が所定の条件を満たすか否かを判断する(ステップS805)。履歴情報が所定の条件を満たさない場合(ステップS805:No)は、一連の処理を終了する。
【0076】
ステップS805において、履歴情報が所定の条件を満たす場合(ステップS805:Yes)は、送信部216が、移動端末Aへサービスコンテンツを提供する(ステップS806)。つぎに、管理部212が、ユーザ管理部212aおよびグループ管理部212bを参照し、移動端末Aと同じグループで特定エリア内に位置する他の移動端末(以下、「移動端末B」と称する。)が存在するか否かを判断する(ステップS807)。
【0077】
ステップS807において、移動端末Bが存在しない場合(ステップS807:No)は、ステップS809へ進んで処理を続行する。移動端末Bが存在する場合(ステップS807:Yes)は、送信部216が、移動端末Bへサービスコンテンツを提供する(ステップS808)。つぎに、管理部212が、移動端末Aのサービス提供履歴(図5のサービス提供履歴520参照)を更新し(ステップS809)、一連の処理を終了する。
【0078】
ステップS808によって移動端末Bへサービスコンテンツを提供した場合は、ステップS809において移動端末Bのサービス提供履歴も更新する。なお、ここでは、移動端末Aが所定の条件を満たしていると判断した時点で移動端末Aへサービスコンテンツを提供することとしたが、移動端末Aが所定の条件を満たしていると判断した場合にその旨を移動端末Aへ通知してもよい。
【0079】
そして、サービスコンテンツの提供の要求が移動端末Aから通信装置210へ送信された場合に、通信装置210が移動端末Aへサービスコンテンツを提供するようにしてもよい。これにより、移動端末Aのユーザが希望しないサービスコンテンツが自動的に移動端末Aへ送信されることを回避することができる。
【0080】
このように、実施の形態2にかかる移動通信システム200によれば、実施の形態1にかかる移動通信システム100と同様の効果を奏する。また、検出部111における所定の条件を、移動端末が過去において特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であることとし、移動端末が特定エリアに位置していた回数は、一定期間ごとに定められた所定回数を上限として計数されることとする。
【0081】
これにより、移動端末が特定エリアに長時間とどまったり、移動端末の位置登録がある期間内に何度もなされたり、ある期間内に何度も特定エリアに進入したりしても、ユーザが特定エリアを訪れた実際の回数を適切に計数することができる。
【0082】
(実施例1)
図9は、移動通信システムの実施例1を示す図である。通信装置210は、移動端末220との間で移動通信網を形成する基地局であるとする。移動端末220は、通信装置210に対して無線通信網を維持するための位置登録を行う。通信装置210は、移動端末220の位置登録を行う際に、移動端末220が特定エリア910内に位置しているか否かを判断することで、特定エリア910内への移動端末220の進入を検知する。
【0083】
通信装置210は、特定エリア910内への移動端末220の進入を検知すると、移動端末220が所定の条件を満たしているか否かを判定し、所定の条件を満たしている場合には移動端末220へ無線通信サービスを提供する。また、移動端末220とは異なる移動端末920のユーザIDは、通信装置210のグループ管理部212bにおいて、移動端末220のユーザIDと同一のグループに属している。
【0084】
通信装置210は、移動端末220が所定の条件を満たしている場合は、移動端末920に対しても無線通信サービスを提供する。また、通信装置210は、移動端末920が特定エリア910内に位置している場合に移動端末920へ無線通信サービスを提供し、移動端末920が特定エリア910内に位置していない場合には移動端末920へ無線通信サービスを提供しないようにしてもよい。
【0085】
これにより、移動端末920のユーザは、移動端末220のユーザとともに特定エリア910を訪れることで、移動端末220のユーザと同様の無線通信サービスの提供を受けることができる。これにより、移動端末220のユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。また、移動端末920へ提供する無線通信サービスは、移動端末220へ提供する無線通信サービスと異なるものにすることにより、移動端末220のユーザを移動端末920のユーザに対して差別化してもよい。これにより、所定の条件を満たした移動端末220のユーザに対するプレミアム感をさらに向上させることができる。
【0086】
または、通信装置210は、移動端末920が特定エリア910内に位置していない場合にも、移動端末920へ無線通信サービスを提供するようにしてもよい。これにより、移動端末920のユーザは、移動端末220が所定の条件を満たすことで、移動端末220のユーザと同様の無線通信サービスの提供を受けることができる。これにより、移動端末220のユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。
【0087】
(実施例2)
図10は、移動通信システムの実施例2を示す図である。ゲート1010は、特定エリア910内へ進入する人が通過する位置に設けられている。たとえば、ゲート1010は、テーマパークなどの特定エリア910の入口付近に設けられている。ゲート1010は、通信装置210との間で通信を行う機能を有している。
【0088】
移動端末220がゲート1010を通過すると、ゲート1010は、移動端末220の識別情報(たとえばユーザID)を読み取り、読み取った識別情報を通信装置210へ送信する。通信装置210は、移動端末220の識別情報をゲート1010から受信することで、特定エリア内への移動端末220の進入を検知する。この他の通信装置210の動作は、実施例1(図9参照)と同様であるため説明を省略する。
【0089】
(実施例3)
図11は、移動通信システムの実施例3を示す図である。移動端末220にはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)機能が搭載されていてもよい。GPS衛星1110は、移動端末220の位置を取得し、取得した位置情報を通信装置210へ送信するようにする。
【0090】
通信装置210のメモリには、特定エリア910を示す位置情報が記憶されている。通信装置210は、GPS衛星1110から送信された位置情報が、通信装置210のメモリに記憶された位置情報に含まれているかを判断することにより、特定エリア910内への移動端末220の進入を検知する。
【0091】
または、移動端末220がGPS機能により移動端末220の位置情報を取得し、取得した位置情報を通信装置210へ送信するようにしてもよい。GPS機能により取得した移動端末220の位置情報を用いることで、特定エリア910内への移動端末220の進入を精度よく検知することができる。この他の通信装置210の動作は、実施例1(図9参照)と同様であるため説明を省略する。
【0092】
(変形例1)
図12は、図8に示した動作の変形例1を示すフローチャートである。図12において、ステップS1201〜S1205は、図8に示したステップS801〜S805と同様であるため説明を省略する。ステップS1205において、履歴情報が所定の条件を満たさない場合(ステップS1205:No)は、管理部212が、履歴データベース213から移動端末Aと同じグループに属する移動端末に関する各履歴情報を取得する(ステップS1206)。つぎに、判定部214が、ステップS1206によって取得された各履歴情報のいずれかが所定の条件を満たすか否かを判断する(ステップS1207)。
【0093】
ステップS1207において、各履歴情報のいずれもが所定の条件を満たさない場合(ステップS1207:No)は、一連の処理を終了する。各履歴情報のいずれかが所定の条件を満たす場合(ステップS1207:Yes)は、ステップS1208へ移行して処理を続行する。ステップS1208〜S1211は、図8に示したステップS806〜S809と同様であるため説明を省略する。
【0094】
このように、移動端末Aが所定の条件を満たしていない場合は、移動端末Aとあらかじめ関連付けられた他の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出してもよい。この場合に、移動端末Aとあらかじめ関連付けられた他の移動端末が所定の条件を満たしている場合は、移動端末Aに無線通信サービスを提供する。これにより、関連付けられた各移動端末の各ユーザグループに対するプレミアム感を向上させることができる。
【0095】
(変形例2)
図13は、図8に示した動作の変形例2を示すフローチャートである。ここでは、所定の条件が、移動端末が過去において特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であることであるとする。図13において、ステップS1301〜S1304は、図8に示したステップS801〜S804と同様であるため説明を省略する。
【0096】
ステップS1304の後、判定部214が、ステップS1304によって取得された履歴情報に基づいて、移動端末Aの特定エリアへの進入回数が所定回数以上であるか否かを判定する(ステップS1305)。進入回数が所定回数以上である場合(ステップS1305:Yes)は、ステップS1308へ移行して処理を続行する。
【0097】
ステップS1305において、進入回数が所定回数以上でない場合(ステップS1305:No)は、判定部214が、履歴データベース213から移動端末Aと同じグループに属する移動端末に関する各履歴情報を取得する(ステップS1306)。つぎに、判定部214が、ステップS1306によって取得された各履歴情報に基づいて、移動端末Aと、移動端末Aと同じグループに属する移動端末と、の特定エリアへの合計進入回数が所定回数以上であるか否かを判断する(ステップS1307)。
【0098】
ステップS1307において、特定エリアへの合計進入回数が所定回数以上でない場合(ステップS1307:No)は、一連の処理を終了する。特定エリアへの合計進入回数が所定回数以上である場合(ステップS1307:Yes)は、ステップS1308へ移行して処理を続行する。ステップS1308〜S1311は、図8に示したステップS806〜S809と同様であるため説明を省略する。
【0099】
このように、移動端末Aが所定の条件を満たしていない場合は、移動端末Aと、移動端末Aとあらかじめ関連付けられた他の移動端末と、が過去において特定エリアに位置していた合計回数が所定回数以上であるか否かを検出してもよい。この場合に、合計回数が所定回数以上である場合は移動端末Aに無線通信サービスを提供する。これにより、関連付けられた各移動端末のユーザグループに対するプレミアム感を向上させることができる。
【0100】
(変形例3)
図14は、図1に示した移動通信システムの変形例を示すブロック図である。図14において、図1に示した構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図1においては、無線通信制御部112が、検出部111から検出信号が出力されると移動端末130(図1参照)に対して無線通信サービスを提供する構成について説明したが、移動端末130に対して無線通信サービスを提供しないようにしてもよい。
【0101】
この場合は、たとえば、検出部111における所定の条件を、移動端末120が過去において特定エリアに位置していたことであることとする。これにより、移動端末120のユーザは、過去に特定エリアを訪れていることにより、無線通信制御部112による無線サービスの提供を受けることができるようになる。
【0102】
このため、移動端末120のユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。移動端末120が所定の条件を満たした場合に移動端末130に無線通信サービスを提供しないようにすること以外は、図1に示した移動通信システム100と同様である。
【0103】
以上説明したように、開示の移動通信システム、移動通信方法、通信装置および移動端末によれば、第1の移動端末が所定の条件を満たした場合に、第1の移動端末だけではなく第2の移動端末にも無線通信サービスを提供する。これにより、第1の移動端末および第2の移動端末の各ユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。このため、ユーザの嗜好を刺激するサービスを提供することができる。
【0104】
また、開示の移動通信システム、移動通信方法、通信装置および移動端末(図14参照)によれば、過去において特定エリアに位置していたことを検出した移動端末に対して無線通信サービスを提供する。好ましくは、過去において特定エリアに所定回数以上位置していた移動端末に対して無線通信サービスを提供する。これにより、移動端末のユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。このため、ユーザの嗜好を刺激するサービスを提供することができる。
【0105】
なお、上述した各実施の形態、実施例および変形例においては、無線通信サービスの一例としてサービスコンテンツの提供を挙げたが、無線通信サービスはサービスコンテンツの提供に限られない。たとえば、特定エリアがテーマパークなどであり、無線通信サービスがテーマパークの割引チケットの提供などであってもよい。または、無線通信サービスは、ネットワーク上の特定のコミュニティ(たとえば特定エリアにいる移動端末同士のコミュニティなど)への参加許可などであってもよい。
【0106】
また、特定エリアを複数設定するとともに、所定の条件を、移動端末が過去において複数の特定エリアのうちのいずれかに位置していたことであることとしてもよい。または、所定の条件を、移動端末が過去において複数の特定エリアのうちのいずれかに位置していた回数が所定回数以上であることとしてもよい。
【0107】
これにより、これらの特定エリアのうちのいずれかを訪れたユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。たとえば、同系列の企業が経営する複数のテーマパークを特定エリアに設定することで、同系列の企業が経営するテーマパークを利用するユーザを優遇するなどの柔軟なサービスが可能になる。
【0108】
また、特定エリアを複数設定するとともに、所定の条件を、複数の特定エリアのうちの、移動端末が過去において位置していた特定エリアの数が所定数以上であることとしてもよい。これにより、これらの特定エリアの多くを訪れたユーザに対するプレミアム感を向上させることができる。たとえば、同系列の企業が経営する複数のテーマパークを特定エリアに設定することで、同系列の企業が経営するテーマパークを多く利用するユーザを優遇するなどの柔軟なサービスが可能になる。
【0109】
また、移動端末が過去において位置していた条件の対象の特定エリアと、移動端末に対して無線通信サービスの提供を行う際の特定エリアとは異なっていてもよい。たとえば、通信装置は、移動端末が第1の特定エリアに進入したことを検知すると、移動端末が過去において第2の特定エリアに位置していたか否かを判定する。そして、第2の特定エリアに位置していた場合は移動端末に対して無線通信サービスを提供する。上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0110】
(付記1)移動通信システムにおいて、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、
前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、
前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信システム。
【0111】
(付記2)前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、前記第1の移動端末に対して提供する無線通信サービスと同じ無線通信サービスであることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0112】
(付記3)前記第2の移動端末は、前記第1の移動端末が所定の条件を満足したことを前記検出部が検出するよりも前に前記第1の移動端末と関連付けがなされていることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0113】
(付記4)前記第1の移動端末に対して提供する所定の無線通信サービスまたは前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、静止画または動画像のコンテンツ情報の配信であることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0114】
(付記5)前記無線通信制御部は、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して送信することで、前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して前記所定の無線通信サービスの提供を行うことを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0115】
(付記6)前記第1の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスが所定の無線エリア内で適用される場合に、前記第2の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスも前記所定の無線エリア内で提供されることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0116】
(付記7)前記第1の移動端末と前記第2の移動端末とを構成に含むことを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0117】
(付記8)前記所定の条件は、前記第1の移動端末が過去において特定エリアに位置していたことであることを特徴とする付記1に記載の移動通信システム。
【0118】
(付記9)前記所定の条件は、前記第1の移動端末が過去において前記特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であることを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0119】
(付記10)前記回数は、一定期間ごとに定められた所定回数を上限として計数されることを特徴とする付記9に記載の移動通信システム。
【0120】
(付記11)前記特定エリアは複数設定され、前記所定の条件は、前記第1の移動端末が過去において複数の前記特定エリアのうちのいずれかに位置していたことであることを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0121】
(付記12)前記特定エリアは複数設定され、前記所定の条件は、前記特定エリアのうちの、前記第1の移動端末が過去において位置していた特定エリアが所定数以上であることを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0122】
(付記13)前記第1の移動端末が前記特定エリアに位置していることを検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を示す履歴情報を保存する履歴データベースと、を備え、
前記検出部は、前記履歴データベースによって保存された履歴情報に基づいて前記第1の移動端末が過去において前記特定エリアに位置していたことを検出することを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0123】
(付記14)前記検出部は、前記第1の移動端末が前記所定の条件を満たしたことが検出部によって検出されない場合は、前記第1の移動端末とあらかじめ関連付けられた移動端末が前記所定の条件を満たしたことを検出することを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0124】
(付記15)前記所定の条件は、前記第1の移動端末が過去において特定エリアに位置していた回数が所定回数以上であることであり、
前記検出部は、前記第1の移動端末が前記所定の条件を満たしたことが検出部によって検出されない場合は、前記第1の移動端末と、前記第1の移動端末とあらかじめ関連付けられた移動端末と、が過去において前記特定エリアに位置していた合計回数が所定回数以上であるか否かを検出することを特徴とする付記8に記載の移動通信システム。
【0125】
(付記16)移動通信システムにおいて、
移動端末が過去において特定エリアに位置していたことを検出する検出部と、
前記検出部によって前記特定エリアに位置していたことが検出された移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、
を備えることを特徴とする移動通信システム。
【0126】
(付記17)移動通信方法において、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出工程と、
前記検出工程が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御工程と、を含み、
前記無線通信制御工程では、前記検出工程において前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信方法。
【0127】
(付記18)通信装置において、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、
前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、
前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする通信装置。
【0128】
(付記19)移動端末において、
前記移動端末が過去において特定エリアに位置していた場合に通信装置から所定の無線通信サービスの提供を受けることを特徴とする移動端末。
【符号の説明】
【0129】
100,200 移動通信システム
510 行動履歴
520 サービス提供履歴
700 鍵情報
910 特定エリア
1010 ゲート
1110 GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおいて、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、
前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、
前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、前記第1の移動端末に対して提供する無線通信サービスと同じ無線通信サービスであることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項3】
前記第2の移動端末は、前記第1の移動端末が所定の条件を満足したことを前記検出部が検出するよりも前に前記第1の移動端末と関連付けがなされていることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項4】
前記第1の移動端末に対して提供する所定の無線通信サービスまたは前記第2の移動端末に対して提供する無線通信サービスは、静止画または動画像のコンテンツ情報の配信であることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記無線通信制御部は、暗号化処理が施されて放送される静止画または動画像のコンテンツ情報について暗号の復号を行う際に用いられる鍵情報を前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して送信することで、前記第1の移動端末または前記第2の移動端末に対して前記所定の無線通信サービスの提供を行うことを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項6】
前記第1の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスが所定の無線エリア内で適用される場合に、前記第2の移動端末に対する前記所定の無線通信サービスも前記所定の無線エリア内で提供されることを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項7】
移動通信システムにおいて、
移動端末が過去において特定エリアに位置していたことを検出する検出部と、
前記検出部によって前記特定エリアに位置していたことが検出された移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、
を備えることを特徴とする移動通信システム。
【請求項8】
移動通信方法において、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出工程と、
前記検出工程が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御工程と、を含み、
前記無線通信制御工程では、前記検出工程において前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする移動通信方法。
【請求項9】
通信装置において、
第1の移動端末が所定の条件を満たしたことを検出する検出部と、
前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供する無線通信制御部と、を備え、
前記無線通信制御部は、前記検出部が前記所定の条件を満たしたことを検出すると、前記第1の移動端末とは異なる第2の移動端末に対して所定の無線通信サービスを提供することを特徴とする通信装置。
【請求項10】
移動端末において、
前記移動端末が過去において特定エリアに位置していた場合に通信装置から所定の無線通信サービスの提供を受けることを特徴とする移動端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−165085(P2010−165085A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5363(P2009−5363)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】