説明

移動通信システムにおける輻輳制御方法および輻輳制御装置

【課題】
無線ゾーンが輻輳状態となった場合、通常端末の通信を切断して通信リソースを解放させ、警備、救援、あるいは電力の供給等、秩序維持のための通信要求に対してリソースを確保する必要がある。
【解決手段】
本発明では、バケット通信、ストリーミング通信、音声通話等複数の通信形態が混在するシステムにおいて、通信の重要性、あるいは通信を中断した際の影響の大きさを考慮して通信を中断する順次を決定し、決定された順次に従って通信を中断しリソースを解放する構成を提供する。この構成により、輻輳状態となった場合、通常端末へのサービスの提供を考慮しつつ、優先端末のリソースの確保が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模災害発生時、年末年始、イベントの開催等により通信要求が急増した、あるいはシステムの障害により通信能力が低下した等の状況において、緊急通信等の優先度の高い通信要求を確実に処理するための無線通信システムの輻輳制御方法、および輻輳制御装置に関するものである。特に、大規模災害発生時に、安否確認などのために通信要求が輻輳し、電話回線が繋がり難い状態になっても、警備、救援、あるいは電力の供給等の秩序維持のために重要な通信を確保すると共に、必ずしも優先度の高くない電話に対しては、通信の内容に即した規制を可能とする携帯電話機等の移動局の輻輳制御方法、および通信網の輻輳制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害時等に優先通話の対象となる機関には、水防機関、消防機関、災害救助機関等各種のものが存在する。さらに、移動局の普及により優先通話の対象となる移動局の台数も増加しており、優先通話の移動局であっても輻輳状態が発生した時、通信回線が塞がり通話できなくなることが起こりうる。
【0003】
特に、大災害の現場等では、重要通信の需要は多く、移動局が存在する基地局の無線回線が全て使用されてしまい、他の移動局の通信ができなくなることが予想される。この場合、一度接続できた移動機は、時間制限なく通信が可能であるが、無線回線は限られたリソースしか有しないため、通信ができない移動局が発生する。また、通信要求が多ければ多いほど通信できない移動局が多くなり、重要通信を確保する上で非常に問題となる。
【0004】
上記問題の解決策の一つに、特開2004−88429号公報に示される方法がある。この方法は、通信網を介して通話する移動局の通信時間を規制し制御するものである。交換局または基地局は通信要求数および呼損数を監視し、輻輳状態か否かを監視する。これらの局が輻輳状態を検出すると、そのゾーンの通信要求に対する呼損率を通常と同じにするためには、一通話当たりの時間をどの程度の時間とすれば良いかを計算する。優先電話端末機群に優先的に電話回線が提供された後に、残された電話回線の通信要求数にしたがって呼損率を通常と同じにする一通話時間が計算され、一般の優先度の低い電話端末機群は前記一通話時間の通話を行なうと電話回線が切断される。この構成により、輻輳状態であっても、優先電話端末機群に優先的に電話回線が提供される。
【特許文献1】特開2004−88429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の移動無線通信で提供されている通信の形態には、従来の音声通信に加え、電子メールの送受信あるいはインターネットへのアクセス等に利用されるパケット通信、映像等を連続配信するストリーミング通信等、多くの通信形態が提供されている。パケット通信においても通信速度は384Kbps、128Kbps、64Kbps、32Kbpsと複数のものが存在する。パケット通信では、一般的には通信速度が大きいほど必要とするリソースの量は多くなる。しかし、同一の通信速度であっても基地局と移動局間の距離等の条件により必要とするリソースの量は異なる。
【0006】
各通信形態の間においても、通信速度の低下あるいは切断等の障害に対する影響は異なっている。パケット通信は電子メールの送受信あるいはインターネットへのアクセスに利用されるものであり、通信速度が低下しバケットの伝送に遅延が発生しても利用者に与える影響は小さい。また、通信の中断が発生しても、パケット通信はパケット送信の再試行が可能であり、受ける影響は小さいと言える。しかし、ストリーミング通信や音声通信では、通信の中断あるいは通信速度の低下により情報の伝達に遅延が発生すると、再試行は実質的に不可能であり、映像の配信あるいは音声による会話に重大な影響を与えることになる。
【0007】
上記のように、現在の通信網では、通信の形態が大きく異なり、要求される通信の品質が大きく異なる通信サービスが同一の通信網を介して同時に提供されている。従って、このような通信網で輻輳状態が発生し、優先度の高い通信のためのリソースを確保する際、一般移動局の通信の制限をどのように行うか、あるいは、通信を切断するサービスあるいは移動局をどのように決定するかが大きな問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は複数の異なる通信形態のサービスが提供される通信網において、輻輳状態が発生した時に、優先度の高い通信要求のためのリソースを確保する方法と装置に関するものである。詳しくは、通信網が輻輳状態となり、優先度の高い通信要求にリソースを割り当てる必要が発生した際、優先度の低い通信が使用しているリソースを優先度の高い通信要求へ割り振るものである。更に、優先度の低い通信が使用しているリソースを優先度の高い通信要求へ割り振る時、優先度の低い通信への影響が少なくなるよう割り振りを決定するものである。
【0009】
図1は本発明の一実施例の輻輳制御装置100の機能構成を示す図である。例えば第三世代の携帯電話システムでは、輻輳制御装置100はRNC(無線ネットワーク制御装置)内の機能と実現され、図示されないNode−Bを介して移動端末と通信する構成である。輻輳検出手段101は無線ゾーン内の通信の状況を監視し、通信量と通信の要求量が許容量を超え輻輳状態が発生したか否かを判定する。輻輳検出手段101が輻輳状態であることを検出するとリソース制御手段102に基地局の無線ゾーンが輻輳状態となった事を通知する。リソース制御手段102はNode−Bを介して送信されてきた優先接続要求に対して輻輳状態に対応した処理を行う。105は警備あるいは消防等、優先呼を発した優先端末である。
【0010】
移動端末から通信を要求する発呼がなされると、発呼の受付手段103が発呼を接続要求として受信する。受付手段103内の優先呼検出手段104がその発呼が優先呼か否かを判別する。優先呼は、防災端末あるいは警察端末等予め優先端末を選定しておき、優先端末からの発呼は優先呼とする方法、あるいは、接続要求中にその接続要求の優先度を示す情報を保持し、受付手段が受信した発呼内の優先度情報を判別して、優先呼が否かを判別する方法等が存在する。以下の説明では、受付手段において優先呼と判別された接続要求を発した端末108を優先端末と呼び、優先呼と判別されなかった接続要求を発した端末109を一般端末と呼ぶ。
【0011】
無線ゾーンが輻輳状態にある時、優先端末108から優先呼が出されると受付手段103はリソース制御手段102にその優先呼に対してリソースの割り当てを依頼する。リソース制御手段102は無線ゾーン内のリソースの状況を検査し、その優先呼に対してリソースを割り当てることが可能か否かを判断する。リソースの割り当てが可能と判断されると、リソース制御手段102はリソース設定手段105にその優先呼に対してリソースの割り当てを指示する。この指示をうけ、リソース設定手段105は優先呼に必要とするリソースを割り当てる。
【0012】
優先呼に対してリソースの割り当てを依頼されたリソース制御手段102が、無線ゾーン内のリソースの状況を検査した結果、要求された優先呼の接続に必要な空きリソースが存在しないと判断すると、一般端末の通信を制御し、無線ゾーンに空きリソースを確保する。一般端末への制御は通信速度変更手段106と接続切断手段107とからなっている。
【0013】
通信速度変更手段106は、パケット通信を実行している移動端末の通信速度を下げることにより、その移動端末が必要とするリソースの量を下げるものである。本実施例では、パケット通信の通信速度は384Kbps、128Kbps、64Kbps、32Kbpsを想定している。通常、通信速度が大きくなると通信に必要なリソースは多くなる。従って、大きな通信速度の移動局の通信速度を小さくすることにより使用するリソースを減少させ、空きリソースを確保することが可能となる。しかし、同じ通信速度のパケット通信であっても、移動局と基地局間の距離等の条件により必要とするリソースは変化する。従って、以下に示す本発明の実施例では、パケット通信を実行している移動端末から多くのリソースを占有している端末を選択し、その端末の通信速度を下げることにより優先接続要求に対するリソースを確保する構成となっている。
【0014】
通信速度変更手段106により、選定された移動端末のパケット通信の通信速度を最下位の32Kbpsまで低下させたにもかかわらず、優先接続要求に対するリソースを確保できなかった時、接続切断手段107が一般端末の通信を切断する処理を行う。接続を切断する通信種別と一般局端末は、通信を切断した時の影響の多寡に基づいて決定される。パケット通信は再試行が可能であり、既に転送されたデータの再利用も可能である場合が多い。そのため、第1にパケット通信の切断を実行する。全てのパケット通信が切断されても、依然として優先呼に割り当てるべきリソースを確保できなかった時は、他の通信の切断を行う。
【0015】
移動端末通信システムの通信形態には、パケット通信の他に、従来の音声通信とストリーミング通信等が存在する。音声通信は移動端末の最も基本的な利用形態であるため、音声通信を切断した時の影響は大きいと考えられる。従って本実施例では、パケット通信の切断処理の次にストリーミング通信の切断を行なう。全てのストリーミング通信を切断してもなお優先呼に割り当てるべきリソースを確保できなかった時は、音声通信を切断する。ストリーミング通信あるいは音声通信の切断において、切断すべき一般端末の選択は、通信時間の長短あるいは通信が占有しているリソースの多寡に基づいて選択する等の構成が可能である。本実施例では、通信が占有しているリソースが大きい一般端末から順次通信を切断構成としている。
図2乃至図4に、本実施例に係る輻輳制御装置100が実行する処理の流れを示すフロー図が示されている。
【0016】
図2は移動端末からの呼接続要求を受信した時、輻輳制御装置100が実行する処理の初期フローを示すものである。
ステップ201:移動端末からの呼接続要求をNode−Bを介して受信する
ステップ202:輻輳検出手段101は無線ゾーンが輻輳状態にあるか否かを検査し、輻輳制御装置100に報告する。無線ゾーンが輻輳状態にない時はステップ206に進み、通常の接続処理を行う。また、無線ゾーンが輻輳状態と判断された時はステップ203以降の輻輳時の処理を実行する。
ステップ203:輻輳制御装置100は、優先呼検出手段104により呼接続要求が優先呼か否かを判別する。優先呼で無い時はステップ206に進み、通常の接続処理を行う。優先呼と判断された時はステップ204に進む。
ステップ204:当該優先呼が通信を行うために必要とするリソースの量を判別すると共に、無線ゾーン内の空きリソースの情報を取得し、優先呼が空きリソースにより接続可能か否かを判断する。現在の空きリソースにより接続が可能と判断された、即ち通常の接続処理により接続が可能と判断された場合は、ステップ206に進み、通常の接続処理を行う。現在の空きリソースが優先呼の接続に必要とするリソースに不足しており、通常の接続処理による接続が不可能と判断されるとステップ205に進む。
【0017】
ステップ205:所定時間、例えば3秒間待機する。通常の接続処理では優先呼にリソースを割り当てることが不可能と判断されると、次にパケット通信の通信速度を下げる処理が行われる。この処理は一般端末の利用者に大きな影響を与える。しかし、ステップ204で、通常の接続処理による優先呼の接続が不可能と判断された後であっても、他の端末の通信が終了しリソースが解放される等、無線ゾーンの状況が変化すると、通常の接続処理により優先呼へのリソースを割り当てが可能になる場合がある。本実施例では、通常の接続処理による優先呼の接続が不可能と判断された後、パケット通信の通信速度を下げる処理への移行を所定時間待機する。この待機期間中に無線ゾーンの状況が変化し、通常の接続処理による優先呼へのリソースの割り当てが可能となったか否かを判別する。この待機期間を経過してもなお優先呼の接続が不可能と判断されると、パケット通信の通信速度を下げる次の処理に進む。待機する時間は、優先呼を要求した利用者にとって許容可能な時間から任意に決定される。本実施例では3秒としている。
【0018】
図2の処理により、無線ゾーンの現在の空きリソースでは優先呼の接続が不可能と判断されると、パケット通信を行っている一般端末の通信速度を下げることによりリソースを開放し、優先呼にリソースを割り当てる処理が行われる。本実施例では3つの処理手順が示されている。図3−1乃至図3−3に、3つの処理手順の詳細が述べられている。
【0019】
図3−1に示される構成は、384Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている一般端末から、最も多くのリソースを占有している端末を選別し、その端末の通信速度を順次低下させるものである。
ステップ301:384Kbpsのパケット通信を行っている一般端末から、最も多くのリソースを占有している端末を選定する。
ステップ302:選定された端末の通信速度を128Kbpsに変更する。
ステップ303:ステップ302の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼の接続に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ308に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ304に進む。
ステップ304:ステップ301で選定された一般端末の通信速度を64Kbpsに変更する。
ステップ305:ステップ304の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ308に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ306に進む。
ステップ306:ステップ301で選定された一般端末の通信速度を32Kbpsに変更する。
ステップ305:ステップ306の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ308に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時は、通信速度の変更を全て実行してもなお優先呼のリソースを確保することができなったことになる。この場合は、図4に示される通信の切断処理に進む。
【0020】
図3−2に示される構成は、例えは384Kbpsで通信を行っている全ての一般端末を一段小さい通信速度である128Kbpsに変更するものであ。
ステップ311:384Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている全ての一般端末の通信速度を128Kbpsに変更する。
ステップ312:ステップ311の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼の接続に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ317に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ313に進む。
ステップ313:128Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている全ての一般端末の通信速度を64Kbpsに変更する。
ステップ314:ステップ313の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ317に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ315に進む。
ステップ315:64Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている全ての一般端末の通信速度を32Kbpsに変更する。
ステップ316:ステップ315の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ317に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時は、通信速度の変更を全て実行してもなお優先呼のリソースを確保することができなったことになる。この場合は、図4に示される通信の切断処理に進む。
【0021】
図3−3に示される構成は、各転送速度でパケット通信を行っている一般端末をから、その転送速度で最も多くのリソースを占有している端末を選定し、選定した端末の通信速度を低下させるものである。
ステップ321:384Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている一般端末から最も多くのリソースを占有している端末を選定し、その端末の通信速度を128Kbpsに変更する。
ステップ322:ステップ321の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼の接続に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ327に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ323に進む。
ステップ323:128Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている一般端末から最も多くのリソースを占有している端末を選定し、その端末の通信速度を64Kbpsに変更する。
ステップ324:ステップ323の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ327に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時はステップ325に進む。
ステップ325:64Kbpsの通信速度でパケット通信を行っている一般端末から最も多くのリソースを占有している端末を選定し、その端末の通信速度を32Kbpsに変更する。
ステップ326:ステップ325の変更により開放されたリソースが、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを満たしたか否かを判別する。満たしている時はステップ327に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。満たしていない時は、通信速度の変更を全て実行してもなお優先呼のリソースを確保することができなったことになる。この場合は、図4に示される通信の切断処理に進む。
【0022】
パケット通信の通信速度を最も小さい速度に変更した後も依然として優先呼の接続に必要とするリソースが確保出来なかった時は、一般端末が行っている通信を切断する。切断は、切断したことによる影響が小さい通信種別の順に行われる。
図4に通信の接続を切断する手順が示されている。
ステップ401:無線ゾーン内でパケット通信を行っている一般端末から、最も多くのリソースを占有している端末を選定し、当該端末のパケット通信を切断する。
ステップ402:ステップ401の切断により、接続を要求している優先呼が必要とするリソースを確保し得たか否かを判別する。必要とするリソースを確保し得た時はステップ410に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。必要とするリソースを確保し得なかった時はステップ403に進む。
ステップ403:無線ゾーン内でパケット通信を行っている一般端末が存在するか否かを判別する。パケット通信を行っている一般端末が存在する時はステップ401に進み、次の切断処理を行う。パケット通信を行っている一般端末が存在しない時ステップ404に進む。
ステップ404:無線ゾーン内でストリーミング通信を行っている一般端末から、最も多くのリソースを占有している端末を選定し、当該端末のパケット通信を切断する。
ステップ405:ステップ404の切断により、接続を要求している優先呼に必要とするリソースを確保し得たか否かを判別する。必要とするリソースを確保し得た時はステップ410に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。必要とするリソースを確保し得なかった時はステップ406に進む。
ステップ406:無線ゾーン内でストリーミング通信を行っている一般端末が存在するか否かを判別する。ストリーミング通信を行っている一般端末が存在する時はステップ404に進み、次の切断処理を行う。ストリーミング通信を行っている一般端末が存在しない時ステップ407に進む。
ステップ407:無線ゾーン内で音声通信を行っている一般端末から、最も多くのリソースを占有している端末を選定し、当該端末の音声通信を切断する。
ステップ408:ステップ407の切断により、接続を要求している優先呼に必要とするリソースが確保し得たか否かを判別する。必要とするリソースを確保し得た時はステップ410に進み、図1のリソース設定手段105により当該優先呼にリソースを設定し、接続を開始する。必要とするリソースが確保し得なかった時はステップ409に進む。
ステップ409:このステップに進む場合は、一般端末の通信を遮断した後も、接続を要求している優先呼に必要とするリソースが確保し得なかった場合である。従って、当該優先呼の接続要求は拒絶されることになる。
なお、図4のフローでは、ストリーミング通信を全て遮断した後、依然として優先呼に必要とするリソースが確保し得なかった場合に、音声通信の遮断を行っている。しかし、ストリーミング通信より多くのリソースを占有する音声通信が存在する。従って、ストリーミング通信と音声通信の遮断順位を同一とし、両通信を実行中の一般端末からリソースを最も多く占有している端末を選定し、遮断する構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
無線ゾーンが輻輳状態となった場合、一般端末の通信を切断して通信リソースを解放させ、警備、救援、あるいは電力の供給等の秩序維持のために重要な通信を行う優先端末のリソースを確保する必要がある。本発明では、バケット通信、ストリーミング通信、音声通話等複数の通信形態が混在するシステムにおいて、通信の重要性、あるいは通信を中断した際の影響の大きさを考慮して通信を切断する順次を決定し、決定された順次に従って通信を中断しリソースを解放する構成を提供する。この構成により、輻輳状態となった場合、通常端末へのサービスの提供を考慮しつつ、優先端末のリソースの確保が可能となる。
また、本発明の輻輳制御ではリソースの解放を一般端末に対してのみ行っているため、既に通信が行われている優先呼にはなんら影響を与えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る輻輳制御の構成を示す図
【図2】優先接続要求の受付手順を示す図
【図3−1】バケット通信の通信速度を変更する第1の手順を示す図
【図3−2】バケット通信の通信速度を変更する第2の手順を示す図
【図3−3】バケット通信の通信速度を変更する第3の手順を示す図
【図4】接続切断の手順を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信システムにおける輻輳制御装置であって、
輻輳状態において優先呼を受信する手段と、
無線ゾーンで行われているパケット通信から一つのパケット通信を選択する手段と、
前記選択されたパケット通信の通信速度を下げる手段と、
前記通信速度を下げることにより得られ通信リソースを前記優先呼の接続に割り当てる手段と
からなる輻輳制御装置。
【請求項2】
移動通信システムにおける輻輳制御装置であって、
輻輳状態において優先通信の要求を受信する手段と、
無線ゾーンで行われている複数種の通信から一つの通信種を決定する手段と、
前記決定された通信種で通信を行っている一つの移動局を決定し、前記決定された移動局の通信を中断する手段と、
前記中断により得られ通信リソースを前記優先呼の接続に割り当てる手段と、
前記決定された一つの通信種で通信を行っている移動局が存在しないと判断された時、他の通信種を決定する手段と
からなる輻輳制御装置。
【請求項3】
移動通信システムにおける輻輳制御方法であって、
輻輳状態において優先呼を受信するステップと、
無線ゾーンで行われているパケット通信から一つのパケット通信を選択するステップと、
前記選択されたパケット通信の通信速度を下げるステップと、
前記通信速度を下げることにより得られ通信リソースを前記優先呼の接続に割り当てるステップと
からなる輻輳制御方法。
【請求項4】
移動通信システムにおける輻輳制御方法であって、
輻輳状態において優先通信の要求を受信するステップと、
無線ゾーンで行われている複数種の通信から一つの通信種を決定するステップと、
前記決定された通信種で通信を行っている一つの移動局を決定し、前記決定された移動局の通信を中断するステップと、
前記中断により得られ通信リソースを前記優先呼の接続に割り当てるステップと、
前記決定された一つの通信種で通信を行っている移動局が存在しないと判断された時、他の通信種を決定するステップと
からなる輻輳制御方法。




【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−43310(P2007−43310A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223042(P2005−223042)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】