説明

移動通信端末機及びその画面制御方法

【課題】色相反転効果を利用してELデバイスなどのディスプレイに係る消費電力を低減させる。
【解決手段】本発明による移動通信端末機は、節電モードの条件が整うかどうか監視する過程(S10−S20)と、前記条件が整って節電モードを実行するときに、画面に表示する画像の配色を測定する過程(S30)と、該測定の結果、前記画像に所定の色相が所定の比率以上含まれている場合に(S40)、該画像の色相反転を行う過程(S50)と、を実行することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信(移動体通信)端末機に関し、特に、移動通信端末機における画面の表示制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動通信端末機の画面に使用されるフラットパネル型のディスプレイには、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、電界放出表示装置(Field Emission Display)、プラズマ表示装置(Plasma Display Panel)、及びEL(Electro Luminescence)表示装置などがある。これらフラットパネルディスプレイのうち、EL表示装置は、電子と正孔(電子に対応する正の電荷を帯びた粒子)との再結合で蛍光体を発光させる自発光型素子であり、無機化合物を蛍光体に使用する無機ELと有機化合物を使用する有機EL(あるいはOLED(Organic Light Emitting Diodes)とも称する)に大別される。
【0003】
EL表示装置は、他の表示装置と異なり、低い電圧(10V)で駆動することができ、自発光を利用するため認識性に優れている。また、LCDとは異なり、バックライトが不要なため、超薄膜化が可能である。さらに、EL表示装置は、LCDに比べて視野角が広く、応答速度が速いなどの長所を有しており、次世代の表示装置として期待されている。
【0004】
EL表示装置の中でも有機ELデバイスは、陰極と陽極との間に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を積層して構成される。この有機ELデバイスにおいては、電極間に所定の電圧を印加すると、電子が陰極から電子注入層及び電子輸送層を介して発光層方向に移動し、正孔が陽極から正孔注入層及び正孔輸送層を介して発光層方向に移動する。そして、発光層において、電子輸送層と正孔輸送層から供給された電子と正孔との再結合により光が放出される。すなわち、有機ELデバイスは、陰極と陽極からそれぞれ注入された電子と正孔が有機物内で結合して自発光する現象を利用したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような有機ELを画面に採用した移動通信端末機は、TFT(Thin Film Transistor)LCDやSTN(Super Twisted Nematic)LCDを採用した移動通信端末機よりも、相対的に画面表示に係る消費電力が多い。有機ELの特性上、有機物の自発光により表示が行われるため、有機ELを採用した移動通信端末機の電力消費は、画面に表示される画像の色相が明るい系列であるほど多くなり、暗い系列であるほど低くなる。従って、有機ELの表示装置を画面に備えた移動通信端末機は、その画面に表示する画像の色相によって消費電力が変化し、特に、白系列の色を多く含む画像を表示する時に消費電力が大きくなる。
【0006】
これらの課題を認識した本発明の発明者は、その解決策を以下に提示する。すなわち、本発明は、EL表示装置を画面に採用した場合に消費電力を低減させることのできる移動通信端末機の画面制御方式を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による移動通信端末機は、画面に色相反転効果を適用して消費電力を低減させることを特徴とする。すなわち、画面に表示する画像の配色(色の分布度)を測定し、所定の色相が所定の比率以上含まれている場合に、前記画像の色相反転を行って画面に表示するように制御する制御部を含んで構成されることを特徴とする。
【0008】
この特徴は、EL表示装置を画面に採用する移動通信端末機に特に有効である。また、画像の配色を測定して色相反転制御を実行するのは、特に、節電モード(待機モード)にあるときがよい。好ましくは、所定の色相(白系列の色相が好適)が50パーセント以上画像に含まれているときに、当該画像の色相反転を行うようにする。また、好ましくは、所定の色相が所定の比率未満(たとえば50パーセント未満)のときには、当該画像の明度を低くして画面に表示するようにする。さらに、好ましくは、節電モードを解除したときには色相反転も解除するようにする。
【0009】
本発明による移動通信端末機の画面制御方法は、画面に表示する画像の配色を測定する過程と、該測定の結果、所定の色相が所定の比率以上含まれている場合に、前記画像の色相反転を行って画面に表示する過程と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
この画面制御方法で、前記画像の色相反転を行う過程は、節電モード(待機モード)を実行するときとするのがよい。この場合、節電モードを解除するときに、前記画像の色相反転も解除する過程を実施することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像の色相を反転させ、また場合によっては明度を低めるように制御することにより、特にEL表示装置を使用している移動通信端末機において、画面の表示に係る消費電力を節減し得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて説明する。
【0013】
本実施形態は、有機EL表示装置を画面に備えた移動通信端末機に関し、図1は、その移動通信端末機の要部概要を示したブロック構成図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の移動通信端末機は、画面に表示可能な複数の画像を保存するメモリ30と、該メモリ30の保存画像(ダウンロードしたものや当該端末機にデフォルトで記憶されているもの)を表示する画面をなすディスプレイ(有機EL)20と、本実施形態の場合は節電モード(待機モード)で表示される画像の配色(色分布)を測定し、所定の色相(例えば白ないしは白系列の色)が所定の比率(例えば50%)以上であるときに、当該画像の色相反転を行ってディスプレイ20に表示するよう制御する制御部10と、を含んで構成される。
【0015】
制御部10は、所定の色相(例えば白ないしは白系列の色)が所定の比率(例えば50%)未満である場合は、画像の明度を、ユーザあるいはシステムの定めるレベルまで低くして表示する。また、制御部10は、節電モードが解除されるときには、それまでの色相反転処理を解除する。
【0016】
図2は、画像の明度を低く制御して表示される画面の例を示し、左は待受画面の例、右は、メニュー画面の画像が表示されている例である。
【0017】
図2に示した待受画面及びメニュー画面は、移動通信端末機のGUI(Graphical User Interface)のうちの一つであり、明度を低く制御して表示されている。有機ELを備えた移動通信端末機の場合、白系列の色を表示するときの消費電力を100%に近いと仮定したとき、黒系列の暗い色(明度が低い)は、0%に近い低消費電力となるため、端末のGUIに関し明度を低く、つまり暗い色の系列にすると、それだけ消費電力を低く抑えることができる。
【0018】
端末機のGUIを低い明度で表示することで、その分、ELの自発光量が抑制されるので、ディスプレイに関する消費電力は減少し得る。したがって制御部10が、通常モード(節電モード以外の場合)のGUI(図示の待受画面やメニュー画面などの所定の画像)を表示するとき、その画像について、ユーザ設定あるいはシステムにデフォルトで設定されている節電レベルまで明度を低くして表示するように、制御する。
【0019】
図3は、節電モードで色相反転画像を画面に表示するときのフローチャートで、図4は、色相反転の画面例である。
【0020】
図4の画面例の画像は、サービス網や外部装置(Personal Computerなど)からダウンロードされてメモリに保存されたもので、ディスプレイ20に待受画面として図4の画像を表示する設定になっている。
【0021】
制御部10は、まず、自機の状態をモニタし、節電モードに切り替わる条件になるか否かを監視している(S10)。端末機は、待受状態などにおいて設定時間以上、ユーザによる操作(キー入力等)が発生しないか、または着信等の外部的なイベントが発生しないと、節電モードに切り替わる。
【0022】
端末機を節電モードに切り替えると、制御部10は、待受画面として表示中の画像に、白色及びこれに近い色など白系列の色相がどの程度含まれているか、配色(色の分布度)を測定する(S20&S30)。そして、測定の結果、白系列色が本例の所定比率である50%を超えると、図4に示すように、当該画像の色相を反転させる(S40&S50)。反対に、白系列色が本例の所定比率である50%に達していない場合は、当該画像の明度(明るさ、白黒の場合はグレースケール)を、ユーザあるいはシステムに定めてあるレベルまで低くして表示する(S60)。
【0023】
次いで、制御部10は、ユーザによる操作やイベントが発生して節電モードを解除すると、色相反転を解除し、待受画面に設定された原画像を画面に表示するか、あるいは、着信等のイベントに対応した画像を画面に表示する(S70)。
【0024】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない限り、多様に変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信端末機の要部ブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る待受画面及びメニュー画面の例示図。
【図3】本発明の実施形態に係る色相反転制御のフローチャート。
【図4】本発明の実施形態に係る色相反転画像の表示画面を説明した例示図。
【符号の説明】
【0026】
100:制御部
200:ディスプレイ
300:メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示する画像の配色を測定し、所定の色相が所定の比率以上含まれている場合に、該画像の色相反転を行って画面に表示するように制御する制御部を含んで構成されることを特徴とする移動通信端末機。
【請求項2】
前記所定の比率が50パーセントであることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末機。
【請求項3】
前記制御部は、節電モードを実行するときに、前記画像の色相反転を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動通信端末機。
【請求項4】
前記制御部は、前記節電モードを解除すると、前記色相反転も解除することを特徴とする請求項3記載の移動通信端末機。
【請求項5】
前記色相反転を行う画像が、待受画面に表示するよう設定された画像であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の移動通信端末機。
【請求項6】
前記制御部は、前記節電モード以外の場合に画面に表示する所定の画像について、その明度を低くして表示することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の移動通信端末機。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像の配色を測定した結果、前記所定の色相が前記所定の比率未満であった場合には、当該画像の明度を低くして表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動通信端末機。
【請求項8】
前記所定の色相が白系列であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動通信端末機。
【請求項9】
画面に表示する画像の配色を測定する過程と、
該測定の結果、前記画像に所定の色相が所定の比率以上含まれている場合に、該画像の色相反転を行う過程と、
を含んで構成されることを特徴とする移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項10】
前記所定の比率が50パーセントであることを特徴とする請求項9記載の移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項11】
節電モードの条件が整うかどうか監視する過程をさらに含み、
前記条件が整って節電モードを実行するときに、前記画像の色相反転を行う過程を実施することを特徴とする請求項9又は請求項10記載の移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項12】
前記節電モードを解除するときに、前記画像の色相反転も解除する過程をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項13】
前記色相反転を行う画像が、待受画面に表示するよう設定された画像であることを特徴とする請求項11又は請求項12記載の移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項14】
前記節電モード以外の場合に画面に表示する所定の画像について、その明度を低くして表示する過程をさらに含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の移動通信端末機の画面制御方法。
【請求項15】
前記測定の結果、前記所定の色相が前記所定の比率未満であった場合に、当該画像の明度を低くして表示する過程をさらに含むことを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の移動通信端末機の画面制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−60666(P2007−60666A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225280(P2006−225280)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】