説明

積層包装材料の製造法

【課題】帯状積層包装材料の切断端面が保護され、液体内容物や水分、湿気が浸透せず、バリア層のアルミ箔やEVOHなどがの腐蝕、バリア性の劣化を防止する積層包装材料の製造法の提供。
【解決手段】積層包装材料の製造方法は、熱可塑性樹脂外層1と、紙層2と、熱可塑性樹脂内層3とアルミ箔層4と有する帯状積層包装材料を高速で溶融押出によって製造する方法であって、幅広の原紙ロールから原紙を引出して少なくとも原紙層を含む帯状セミ包装材料を若しくは、帯状積層包装材料を所定幅に縦方向にスリットするステップ、スリットされた帯状セミ包装材料又は帯状積層包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュースや牛乳などの液体食品用容器の積層包装材料の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースや牛乳などの液体食品などを充填した紙製容器においては、折り目線を有し、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂外層、印刷層、厚紙層、ヒートシール性最内層を積層する帯状包装積層材料をチューブ状に成形し、チューブの縦線方向に縦シールし、チューブ状包装材料内に食品を充填し、所定間隔毎にチューブ状包装材料のポリオレフィン系ヒートシール最内層を横断方向に横シールし、横シール帯域中間で切断して枕状予備成形体を得、折り目線に沿って折り畳むことにより形成されたフラップを容器側壁及び容器底面にシールし、最終形状の容器を得る。
【0003】
屋根型の紙製包装容器では、表面に製品の外観デザインが印刷された紙製包装材料を所定の形状に裁断し、容器縦方向にシールしたブランクスを得、充填機内でブランクスの底をシールした後に上部開口から牛乳、ジュースの飲料を充填し、上部をシールして得られる。
【0004】
別の包装充填機では、折目線が付けられた積層包装材料が所定形状に裁断され、容器縦方向に縦シールした容器ブランクスを得、ブランクスの蓋部がインジェクションによって形成され、ブランクスの底部の開口から食品が充填され、底部がシールされる。
【0005】
製品の外観デザインが印刷され、折目線が付けられた積層包装材料は、包材加工工場で、幅広の原紙ロールから原紙を引出し、帯状の紙など繊維質層と、アルミニウム箔と、プラスチックフィルムとを押出ラミネートなどによって積層する積層工程、その工程の前、途中若しくはその後の、外観デザインの印刷工程及び、包装材料に折目線を付すクリース工程、更に幅広の包装材料をナイフなどのカッターで所定の幅にスリットして、適切な幅の帯状包装材料に分割する工程によって帯状積層包装材料が得られ、これがリール状に巻かれて製造される。
1個のリール状積層包装材は、数万若しくは十数万の容器に相当する。リール状積層包装材は、該包材加工工場から、食品工場に搬送され、包装充填機に装填される。包装充填機では、前後のリールにおいて積層包装材同士が接合され、また、補助の包材として端面保護テープが熱接着される。
【特許文献1】特開2003−118708号公報
【特許文献2】特開2002−307575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
幅広の包装材料をナイフなどのカッターで所定の幅にスリットして、適切な幅の帯状包装材料に分割する工程によって得られた帯状積層包装材料の切断端面は、積層材料が露出し、紙層であれば、細かい隙間や空孔がありそこに液体内容物や水分、湿気が浸透し、バリア層のアルミ箔やEVOHであれば、酸性液による腐蝕、バリア性の劣化が起こる恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、帯状積層包装材料の切断端面が保護され、液体内容物や水分、湿気が浸透せず、バリア層のアルミ箔やEVOHなどがの腐蝕、バリア性の劣化を防止する積層包装材料の製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層包装材料の製造方法は、熱可塑性樹脂外層と、紙層と、ヒートシール性熱可塑性樹脂内層とを少なくとも有する帯状積層包装材料を高速で溶融押出によって製造する方法であって、次のステップを含むことを特徴とする。
幅広の原紙ロールから原紙を引出して少なくとも原紙層を含む帯状セミ包装材料を若しくは、帯状積層包装材料を所定幅に縦方向にスリットするステップ、
スリットされた帯状セミ包装材料又は帯状積層包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆するステップ。
【0009】
この発明の好ましい態様の積層包装材料の製造法は、幅広の原紙ロールから原紙を引出して少なくとも原紙層を含む帯状セミ包装材料を所定幅に縦方向に複数枚に分割するようにスリットするステップ、
スリットされ、間隙を持って並列された複数枚の帯状セミ包装材料の面及び間隙に熱可塑性樹脂外層を溶融押出して、帯状セミ包装材料の面及び間隙に熱可塑性樹脂内層を溶融押出して、包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む。
若しくは、スリットされ、間隙を持って並列された複数枚の帯状セミ包装材料の面及び間隙に熱可塑性樹脂内層を溶融押出して、帯状セミ包装材料の面及び間隙に熱可塑性樹脂外層を溶融押出して、包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む。
【0010】
この発明の好ましい態様の積層包装材料の製造法では、帯状積層包装材料を所定幅に縦方向にスリットするステップ、
スリットされた帯状積層包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む。
【発明の効果】
【0011】
この発明による積層包装材料の製造法によって、帯状積層包装材料の切断端面が保護され、液体内容物や水分、湿気が浸透せず、バリア層のアルミ箔やEVOHなどがの腐蝕、バリア性の劣化を防止することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による好ましい態様の積層包装材料の製造法の概要工程図及び包装材料の部分断面図である。
この態様の積層包装材料の製造方法は、熱可塑性樹脂外層1と、紙層2と、接着剤層5と、アルミ箔バリア層4と、ヒートシール性熱可塑性樹脂内層3とを有する帯状積層包装材料6を高速で溶融押出によって製造する方法である。
【0013】
幅広の原紙ロール2aから原紙の紙層2を引出す。部分断面図1(a)に示すように、紙層2の単数層である。
この態様では、バリア層が積層される。バリア層としては、アルミ箔などの金属バリア層、EVOH、ナイロンなどの樹脂バリア層、酸化ケイ素などの無機化合物バリア層などがある。
【0014】
アルミ箔ロール4aから引き出されたアルミ箔4は、溶融押出用ポリエチレン系接着剤5でバリア層4が紙層1に積層される。部分断面図1(b)に示すように、帯状セミ包装材料は、紙層2と、接着剤層5と、アルミ箔バリア層4とからなる。
【0015】
この態様の積層包装材料の製造方法は、高速で溶融押出によって製造する方法である。
ウェブ状の紙層やアルミ箔をラミネート(溶融押出)装置に、高速に、例えば、毎分400メートルの速度で送って、このような高速で包装材料が流れる中で、複数層の熱可塑性層及びガスバリア層をラミネートする。
【0016】
次のステップで、原紙層を含む帯状セミ包装材料を所定幅に縦方向にスリッター7aでスリットする。
部分拡大断面図1(c)に示すように、帯状セミ包装材料は、と、接着剤層5と、アルミ箔バリア層4とからなり、スリッター7aで分割され、分割された帯状セミ包装材料の間に間隙8が生じる。
【0017】
スリットされ、間隙を持って並列された複数枚の帯状セミ包装材料のアルミ箔バリア層4の表面及び間隙に熱可塑性樹脂内層3を溶融押出する。
部分拡大断面図1(d)に示すように、帯状セミ包装材料は、紙層2と、接着剤層5と、アルミ箔バリア層4と、熱可塑性樹脂内層3とからなり、分割された帯状セミ包装材料の間に生じた間隙8とアルミ箔バリア層4面に熱可塑性樹脂内層3が積層される。溶融しているので熱可塑性樹脂内層3は間隙8内部にも流れ込む。
【0018】
間隙を持って並列された複数枚の帯状セミ包装材料の紙層2の表面及び間隙に熱可塑性樹脂内層1を溶融押出する。
部分拡大断面図1(d)に示すように、帯状セミ包装材料は、熱可塑性樹脂内層1と、紙層2と、接着剤層5と、アルミ箔バリア層4と、熱可塑性樹脂内層3とからなり、分割された帯状セミ包装材料の間に生じた間隙8と紙層2面に熱可塑性樹脂内層3が積層される。溶融しているので熱可塑性樹脂内層3は間隙8内部にも流れ込む。
【0019】
次のステップで、帯状包装材料を、間隙8で縦方向にスリッター7bでスリットする。
部分拡大断面図1(f)に示すように、帯状積層包装材料の切断端面9に熱可塑性樹脂が被覆される。
【0020】
上記の態様以外に、別の好ましい態様の積層包装材料の製造法では、帯状積層包装材料を所定幅に縦方向にスリットし、スリットされた帯状積層包装材料の切断端面に熱可塑性樹脂を被覆してもよい。
また、熱可塑性樹脂外層を溶融押出し、帯状セミ包装材料の面及該間隙に熱可塑性樹脂内層を溶融押出して、包装材料の切断端面に該熱可塑性樹脂を被覆し、押出の順序を変えてもよい。
【0021】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明の積層包装材料の製造法は、牛乳、ジュース、ミネラルウォーターなどの飲料、流動食品などの包装容器の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明による好ましい態様の積層包装材料の製造法の概要工程図及び包装材料の部分断面図
【符号の説明】
【0024】
1 熱可塑性樹脂外層
2 紙層
3 熱可塑性樹脂内層
4 アルミ箔バリア層
5 接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂外層と、紙層と、ヒートシール性熱可塑性樹脂内層とを少なくとも有する帯状積層包装材料を高速で溶融押出によって製造する方法であって、次のステップを含む積層包装材料の製造法。
幅広の原紙ロールから原紙を引出して少なくとも原紙層を含む帯状セミ包装材料を若しくは、帯状積層包装材料を該所定幅に縦方向にスリットするステップ、
スリットされた帯状セミ包装材料又は帯状積層包装材料の切断端面に該熱可塑性樹脂を被覆するステップ。
【請求項2】
幅広の原紙ロールから原紙を引出して少なくとも原紙層を含む帯状セミ包装材料を該所定幅に縦方向に複数枚に分割するようにスリットするステップ、
スリットされ、間隙を持って並列された複数枚の帯状セミ包装材料の外側面及び該間隙に、該熱可塑性樹脂内層及び該熱可塑性樹脂外層を溶融押出し、該包装材料の切断端面に該熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む、
請求項1記載の積層包装材料の製造法。
【請求項3】
帯状積層包装材料を該所定幅に縦方向にスリットするステップ、
スリットされた帯状積層包装材料の切断端面に該熱可塑性樹脂を被覆するステップを含む、
請求項1記載の積層包装材料の製造法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−90528(P2009−90528A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262808(P2007−262808)
【出願日】平成19年10月8日(2007.10.8)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】