説明

積層構造体

【課題】積層構造体において、高い耐湿性を実現すると共に電気特性の検査を可能にする。
【解決手段】本発明に係る積層構造体は、金属製の基材1、誘電体層2、第1電極層31、第2電極層32、及び保護膜41を備えている。誘電体層2は、基材1の表面上に形成されている。第1電極層31は、誘電体層2の表面上に形成されている。第2電極層32は、誘電体層2の表面の内、第1電極層31の形成領域R1とは異なる領域R2上に、該第1電極層31から離間させて形成されている。保護膜41は、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有している。そして、保護膜41は、誘電体層2の表面の内、第1電極層31の形成領域R1と第2電極層32の形成領域R2とによって挟まれた領域R3を被覆している。一方、第1電極層31の表面と第2電極層32の表面とにはそれぞれ露出面31a,32aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ回路を有した回路基板や薄膜キャパシタ等の積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の積層構造体は、電極箔と、該電極箔上に形成された誘電体層と、該誘電体層上に形成された電極層とを有している。ここで、誘電体層を構成する誘電体材料には、チタン酸バリウム(BaTiO3)等の物質が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−214589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チタン酸バリウム(BaTiO3)等の誘電体材料は吸湿し易い。このため、上記積層構造体において誘電体層が外気に晒されることは、あまり好ましいことではない。そこで、積層構造体において、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有する保護膜によって誘電体層の全体を被覆した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この構成においては、電極層までもが保護膜によって被覆されるため、積層構造体の電気特性を検査することが出来なくなる。
【0005】
そこで本発明の目的は、積層構造体において、高い耐湿性を実現すると共に電気特性の検査を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層構造体は、金属製の基材、誘電体層、第1電極層、第2電極層、及び保護膜を備えている。誘電体層は、前記基材の表面上に形成されている。第1電極層は、前記誘電体層の表面上に形成されている。第2電極層は、前記誘電体層の表面の内、前記第1電極層の形成領域とは異なる領域上に、該第1電極層から離間させて形成されている。保護膜は、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有している。そして、保護膜は、前記誘電体層の表面の内、前記第1電極層の形成領域と第2電極層の形成領域とによって挟まれた領域を被覆している。一方、前記第1電極層の表面と第2電極層の表面とにはそれぞれ露出面が形成されている。
【0007】
上記積層構造体の具体的構成において、前記誘電体層の側端面又は側端部が、前記保護膜の一部、又は耐湿性と電気絶縁性とを有する別の保護膜によって覆われている。
【0008】
上記積層構造体の他の具体的構成において、前記誘電体層には、該誘電体層を貫通した導電ビアが形成されており、前記第1電極層と基材とが、前記導電ビアを介して互いに電気的に接続されている。
【0009】
本発明に係る他の積層構造体は、金属製の基材、誘電体層、電極層、及び保護膜を備えている。誘電体層は、前記基材の表面上に形成されている。電極層は、前記誘電体層の表面上に形成されている。保護膜は、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有している。そして、保護膜は、前記誘電体層の側端面又は側端部を被覆している。一方、前記電極層の表面には露出面が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る積層構造体によれば、高い耐湿性が実現されると共に電気特性の検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る薄膜キャパシタを示した平面図である。
【図2】図1に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図3】上記薄膜キャパシタの製造方法にて実行される成膜工程の説明に用いられる断面図である。
【図4】上記薄膜キャパシタの製造方法にて実行される第1パターニング工程の説明に用いられる断面図である。
【図5】上記薄膜キャパシタの製造方法にて実行される金属膜形成工程の説明に用いられる断面図である。
【図6】上記薄膜キャパシタの製造方法にて実行される第2パターニング工程の説明に用いられる断面図である。
【図7】上記薄膜キャパシタを用いて作製されたコンデンサ内蔵基板を示した断面図である。
【図8】上記薄膜キャパシタの変形例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る薄膜キャパシタを示した平面図である。図2は、図1に示されるA−A線に沿う断面図である。図1及び図2に示す様に、薄膜キャパシタは、電極箔1、誘電体層2、4つの第1電極層31〜31、第2電極層32、4つの第1保護膜41〜41、及び第2保護膜42を備えている。
【0013】
電極箔1は、金属製の基材である。電極箔1を構成する金属材料には、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)等、箔を形成することが可能であって、且つ薄膜キャパシタの電極となり得る物質が用いられる。
【0014】
誘電体層2は、電極箔1の表面上に形成されている。ここで、誘電体層2の形成には、ゾル‐ゲル法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、蒸着法、粉末噴射コーティング法等、周知の種々の成膜法が用いられる。尚、粉末噴射コーティング法は、気体の流れを利用して、粉末をターゲット(電極箔1)の表面に噴き付け、これにより該ターゲットの表面上に粉末を堆積させて薄膜を形成する方法である。粉末噴射コーティング法には、PJD(Powder Jet Deposition)法やAD(Aerosol Deposition)法の方法が存在する。
【0015】
誘電体層2を構成する誘電体材料には、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PbLaZrTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タンタル(Ta2O5)等を主成分とする種々の誘電体材料を用いることが出来る。尚、誘電体材料には、誘電体層2の誘電特性、絶縁特性、及び強度等の物性を向上させるべく、種々の添加物が含まれていてもよい。
【0016】
第1電極層31〜31及び第2電極層32はそれぞれ、誘電体層2の表面上に形成された金属膜、又は該表面に貼り付けられた金属箔である。ここで、金属膜は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法等の手法を用いて形成された薄膜である。第1電極層31〜31及び第2電極層32を構成する金属材料にはそれぞれ、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)等、薄膜又は箔を形成することが可能であって、且つ薄膜キャパシタの電極となり得る物質が用いられる。
【0017】
第1電極層31〜31はそれぞれ、誘電体層2の表面上に設定された4つの第1領域R1〜R1上に形成されている。第2電極層32は、誘電体層2の表面の内、第1領域R1〜R1をそれぞれ包囲する第2領域R2上に、第1電極層31から離間させて形成されている。従って、誘電体層2の表面上には、各第1領域R1と第2領域R2とによって挟まれた第3領域R3が存在している。第3領域R3上には、第1電極層31や第2電極層32等の電極層は形成されていない。又、本実施形態においては、誘電体層2の表面の内、該表面の外縁に沿った第4領域R4と、誘電体層2の側端面2a(図2参照)とにも、第1電極層31や第2電極層32等の電極層は形成されていない。
【0018】
図2に示す様に、誘電体層2には、該誘電体層2をその表面から裏面まで貫通した導電ビア5が形成されている。具体的には、該導電ビア5は、4つの第1電極層31〜31に1つずつ対応させて、誘電体層2の4箇所に形成されている。そして、各導電ビア5は、該導電ビア5に対応する第1電極層31の形成領域である第1領域R1に設けられている。第1電極層31〜31はそれぞれ、各第1電極層31に対応する導電ビア5を介して、電極箔1に電気的に接続されている。
【0019】
4つの第1保護膜41〜41及び第2保護膜42は何れも、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有している。4つの第1保護膜41〜41はそれぞれ、誘電体層2の4つの第3領域R3〜R3上に、各第1電極層31と第2電極層32との間の間隙を埋めた状態で形成されている。斯くして、第1保護膜41〜41はそれぞれ第3領域R3〜R3を被覆している。第2保護膜42は、誘電体層2の第4領域R4及び側端面2a上に、全周に亘って形成されている。斯くして、第2保護膜42は、誘電体層2の側端部を全周に亘って被覆している。尚、第1保護膜41〜41及び第2保護膜42の形成には、スクリーン印刷法等、周知の種々の手法が用いられる。又、第1保護膜41〜41及び第2保護膜42を構成する保護材料には、樹脂材等、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有した物質が用いられる。
【0020】
図1及び図2に示す様に、第1電極層31〜31については、各第1電極層31の全体が保護膜によって覆われているのではなく、各第1電極層31の側端部が全周に亘って第1保護膜41によって覆われているに過ぎない。又、第2電極層32については、該第2電極層32の全体が保護膜によって覆われているのではなく、第2電極層32の側端部が第1保護膜41〜41及び第2保護膜42によって覆われているに過ぎない。斯くして、各第1電極層31の表面には露出面31aが形成され、第2電極層32の表面には露出面32aが形成されている。
【0021】
次に、上記薄膜キャパシタの製造方法について説明する。該製造方法では、成膜工程、第1パターニング工程、金属膜形成工程、第2パターニング工程、及び保護膜形成工程が、順に実行される。
【0022】
図3は、成膜工程の説明に用いられる断面図である。図3に示す様に、成膜工程では、ゾル‐ゲル法、MOCVD法、スパッタリング法、蒸着法、粉末噴射コーティング法等、周知の種々の成膜法を用いて、電極箔1の表面上に誘電体層2を形成する。尚、成膜工程では、誘電体層2の形成後、該誘電体層2に対して熱処理を施してもよい。
【0023】
図4(a)〜図4(c)は、第1パターニング工程の説明に用いられる断面図である。第1パターニング工程では、図4(a)に示す様に、誘電体層2の表面上にレジスト膜61を形成することにより、誘電体層2に対してマスキング処理を施す。このとき、誘電体層2の表面の内、導電ビア5〜5を形成せんとする領域P1上にはレジスト膜61を形成せず、それ以外の領域をレジスト膜61によって被覆する。次に、図4(b)に示す様に、誘電体層2に対してレジスト膜61側からエッチング処理を施す。これにより、誘電体層2の各領域P1に、該誘電体層2をその表面から裏面まで貫通する貫通孔7を形成する。その後、図4(c)に示す様に、誘電体層2の表面からレジスト膜61を除去する。
【0024】
図5は、金属膜形成工程の説明に用いられる断面図である。図5に示す様に、金属膜形成工程では、誘電体層2の表面上に金属膜8を形成する。ここで、金属膜8の形成には、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法、スクリーン印刷法等の手法が用いられる。従って、金属膜8の形成に伴い、該形成に用いられる金属材料の一部によって貫通孔7〜7が充填され、或いは、金属膜8の一部が貫通孔7〜7の内面にも形成される。これにより、誘電体層2には導電ビア5〜5が形成され、該導電ビア5〜5によって、金属膜8と電極箔1とが互いに電気的に接続される。
【0025】
尚、上記金属膜形成工程において、金属膜8の形成に代えて、誘電体層2の表面に金属箔を貼り付けてもよい。この場合、金属箔の貼付けの前に、金属材料を用いて貫通孔7〜7を充填し、或いは貫通孔7〜7の内面に金属膜を形成することにより、金属箔と電極箔1とを導通させるための導電ビア5〜5を形成する。
【0026】
図6(a)〜図6(c)は、第2パターニング工程の説明に用いられる断面図である。第2パターニング工程では、図6(a)に示す様に、金属膜8の表面上にレジスト膜62を形成することにより、金属膜8に対してマスキング処理を施す。このとき、金属膜8の表面の内、第1電極層31〜31を形成せんとする領域P2と、第2電極層32を形成せんとする領域P3とを、レジスト膜62によって被覆し、それ以外の領域上にはレジスト膜62を形成しない。次に、図6(b)に示す様に、金属膜8に対してレジスト膜62側からエッチング処理を施す。これにより、金属膜8の内、レジスト膜62によって覆われている部分を誘電体層2上に残置させると共に、それ以外の部分を誘電体層2の表面から除去する。斯くして、誘電体層2の表面上には、第1電極層31〜31と第2電極層32とが形成されることになる。その後、図6(c)に示す様に、金属膜8の表面からレジスト膜62を除去する。
【0027】
尚、上記金属膜形成工程において、金属膜8の形成に代えて、次の態様を採用してもよい。即ち、誘電体層2の表面上の領域R1〜R1と領域R2とに、導電性ペースト等の金属材料を用いて印刷を施すことによって金属膜を選択的に形成し、これにより第1電極層31〜31と第2電極層32とを形成してもよい。この態様によれば、上記第2パターニング工程が不要となる。
【0028】
保護膜形成工程では、図1及び図2に示す様に、各第1電極層31と第2電極層32との間の間隙に保護材料を充填する。又、誘電体層2の側端部に対して、全周に亘って保護材料を塗布する。これにより、誘電体層2の露出面全体を保護材料によって被覆する。このとき、各第1電極層31の表面の少なくとも一部、及び第2電極層32の表面の少なくとも一部を、保護材料で覆うことなく露出させておく。斯くして、第1保護膜41〜41及び第2保護膜42が形成されることになる。保護膜形成工程の実行により、図1及び図2に示す薄膜キャパシタが完成することになる。尚、第1保護膜41〜41及び第2保護膜42の形成には、スクリーン印刷法等、周知の種々の手法を用いることが出来る。又、保護材料には、樹脂材等、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有した物質が用いられる。
【0029】
本実施形態の薄膜キャパシタにおいては、誘電体層2の第3領域R3〜R3がそれぞれ第1保護膜41〜41によって覆われている。このため、誘電体層2の第3領域R3〜R3は外気に晒されることがない。従って、誘電体層2による第3領域R3〜R3からの吸湿がない。又、本実施形態の薄膜キャパシタにおいては、誘電体層2の側端部が第2保護膜42によって覆われている。このため、誘電体層2の側端部は外気に晒されることがない。従って、誘電体層2による第3領域R3〜R3からの吸湿がないことに加えて、誘電体層2による側端部からの吸湿もない。よって、本実施形態の薄膜キャパシタによれば、高い耐湿性が実現され、これにより誘電体層2の電気絶縁性の低下が防止されることになる。
【0030】
又、本実施形態の薄膜キャパシタにおいては、第1電極層31〜31の表面と第2電極層32の表面とにそれぞれ露出面31a〜31a,32aが形成されている。このため、第1電極層31〜31及び第2電極層32に対して検査針を電気的に接触させることが可能であり、従って薄膜キャパシタの電気特性を検査することが出来る。
【0031】
更に、本実施形態の薄膜キャパシタにおいては、各第1電極層31と第2電極層32との間に第1保護膜41が介在している。従って、第1電極層31〜31と第2電極層32との電気的な短絡が、第1保護膜41〜41によって防止されている。又、誘電体層2の側端面2a上に、全周に亘って第2保護膜42が存在している。従って、第2電極層32と電極箔1との電気的な短絡が、第2保護膜42によって防止されている。
【0032】
本願に関連する技術として、絶縁基板内に薄膜キャパシタを埋め込む技術が存在する。この技術により作製された基板は、コンデンサ内蔵基板と呼ばれ、薄膜キャパシタの高密度化が可能である。一例として、図7は、本実施形態の薄膜キャパシタを用いて作製されたコンデンサ内蔵基板を示した断面図である。図7に示す様に、絶縁基板9は、2つの絶縁基材91,92を積層して構成されている。そして、薄膜キャパシタは、2つの絶縁基材91,92の間に挟み込まれている。
【0033】
図7に示すコンデンサ内蔵基板においては、第1電極層31〜31及び第2電極層32が絶縁基材91に接触することになる。これは、本実施形態の薄膜キャパシタにおいて、第1電極層31〜31の表面と第2電極層32の表面とにそれぞれ露出面31a〜31a,32aが形成されているからである。ここで、これらの電極層31,32と絶縁基材91とは密着性が高い。よって、コンデンサ内蔵基板において、絶縁基板9に対する薄膜キャパシタの密着強度が高くなる。
【0034】
又、本実施形態の薄膜キャパシタにおいては、図2に示す様に、薄膜キャパシタの電極(陽極又は陰極)の内、電極箔1によって構成される片側の電極が、導電ビア5〜5及び第1電極層31〜31によって誘電体層2の表面上に引き出されている。従って、コンデンサ内蔵基板に回路を構築する場合において、図7に示す様に、導電ビア93〜93を用いて、薄膜キャパシタに対して片側から配線することが可能となる。従って、コンデンサ内蔵基板を作製する過程において、回路の構築が容易となる。
【0035】
図8は、上記薄膜キャパシタの変形例を示した断面図である。図8に示す様に、本変形例の薄膜キャパシタは、電極箔1と、該電極箔1の表面上に形成された誘電体層2と、該誘電体層2の表面上に形成された電極層33と、保護膜43とを備えている。ここで、保護膜43は、耐湿性と電気絶縁性の両方の特性を有している。又、保護膜43は、誘電体層2の側端部を全周に亘って被覆している。電極層33については、該電極層33の全体が保護膜43によって覆われているのではなく、電極層33の側端部が全周に亘って保護膜43によって覆われているに過ぎない。従って、電極層33の表面には露出面33aが形成されている。
【0036】
本変形例の薄膜キャパシタによれば、上記実施形態の薄膜キャパシタと同様、高い耐湿性が実現され、これにより誘電体層2の電気絶縁性の低下が防止されることになる。又、電極層33に対して検査針を電気的に接触させることが可能であり、従って薄膜キャパシタの電気特性を検査することが出来る。更に、電極層33と電極箔1との電気的な短絡が、保護膜43によって防止されている。又、本変形例の薄膜キャパシタを用いてコンデンサ内蔵基板を作製した場合(図7参照)、絶縁基板9に対する薄膜キャパシタの密着強度が高くなる。
【0037】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図1及び図2に示す薄膜キャパシタは、誘電体層2の第3領域R3を被覆する第1保護膜41、又は誘電体層2の側端部を被覆する第2保護膜42の何れか一方の保護膜のみを備えた構成を有していてもよい。又、第2保護膜42は、第1保護膜41を構成する保護材料の一部を用いて形成されていてもよいし、該保護材料とは別の種類の保護材料によって形成されていてもよい。
【0038】
電極層31〜33の構成は、上記実施形態又は変形例の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、第1電極層31は、誘電体層2の表面上の1箇所にだけ形成されていてもよいし、4箇所に限定されない複数箇所に形成されていてもよい。
【0039】
上記実施形態及び変形例に係る薄膜キャパシタの各種構成は、コンデンサ回路を有した回路基板等、種々の積層構造体に適用することが出来る。又、上記実施形態及び変形例に係る薄膜キャパシタの各種構成は、電極箔1に限定されない種々の金属製の基材の表面上に誘電体層2が形成された積層構造体にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0040】
1 電極箔
2 誘電体層
2a 側端面
31 第1電極層
31a 露出面
32 第2電極層
32a 露出面
33 電極層
33a 露出面
41 第1保護膜
42 第2保護膜
43 保護膜
5 導電ビア
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の基材と、
前記基材の表面上に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の表面上に形成された第1電極層と、
前記誘電体層の表面の内、前記第1電極層の形成領域とは異なる領域上に、該第1電極層から離間させて形成された第2電極層と、
前記誘電体層の表面の内、前記第1電極層の形成領域と第2電極層の形成領域とによって挟まれた領域を被覆する膜であって、耐湿性を有する保護膜と
を備え、
前記保護膜は電気絶縁性を更に有する一方、前記第1電極層の表面と第2電極層の表面とにはそれぞれ露出面が形成されている、
積層構造体。
【請求項2】
前記誘電体層の側端面又は側端部が、前記保護膜の一部、又は耐湿性と電気絶縁性とを有する別の保護膜によって覆われている、請求項1に記載の積層構造体。
【請求項3】
前記誘電体層には、該誘電体層を貫通した導電ビアが形成されており、前記第1電極層と基材とが、前記導電ビアを介して互いに電気的に接続されている、請求項1又は請求項2に記載の積層構造体。
【請求項4】
金属製の基材と、
前記基材の表面上に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の表面上に形成された電極層と、
前記誘電体層の側端面又は側端部を被覆する膜であって、耐湿性を有する保護膜と
を備え、
前記保護膜は電気絶縁性を更に有する一方、前記電極層の表面には露出面が形成されている、
積層構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−212749(P2012−212749A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77077(P2011−77077)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】