空気浄化装置
【解決手段】様々な改良を有する空気浄化リアクタについて説明される。1つの態様では、空気浄化リアクタは、プラズマリアクタの形態をとる。プラズマリアクタは、プラズマチャンバの下流に配置された多孔質触媒を含む。触媒は、流体の流れがプラズマリアクタから出る前に、その流体の流れに含有される反応種の変換を大幅に向上させるように構成される。別の一態様では、空気浄化リアクタは、光触媒と、イオン化器と区別される紫外光源とを含む。この構成を用いると、光触媒に作用する紫外光は、光触媒において光触媒酸化反応を生じさせ、これは、流体の流れで運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる。さらにその他の態様では、改良された静電フィルタについて説明される。静電フィルタは、1つもしくは複数の絶縁電極、および/または不織繊維で形成された改良された誘電体を含むことが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、空気浄化リアクタおよび静電フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、空気の浄化および/またはろ過に使用される種々様々な技術がある。このような技術の1つが、静電フィルタである。概して、静電フィルタは、1対の電極の間に配置された多孔質の誘電体材料を含む。流体の流れ(例えば空気)は、誘電体材料を通過するように構成される。能動静電フィルタでは、フィルタを通過する空気の流れの中の粒状物質を誘電体に付着させるのに十分な強さの静電場を誘電体材料内に誘導するために、電極間に相当な電位差が印加される。
【0003】
ごく最近、イオンエンハンスド型の静電フィルタが開発された。イオンエンハンスド型の静電フィルタは、イオン源を静電フィルタの前面に設けることによって、該フィルタを通過する空気によって運ばれる粒状物質の一部に電荷を付与しようと試みたものである。イオン化器(イオナイザ)によって粒状物質に付与される電荷は、誘電体内における電荷自身の収集を助ける傾向がある。
【0004】
本出願の譲受人によって所有される米国特許第5,474,600号は、空気の生物学的浄化およびろ過のための装置を開示する。概して、この‘600特許は、いずれも直列に配置された、粗い静電フィルタ1と、円筒形または多角形のイオナイザ5と、細かい静電フィルタ10とを用いたシステムを開示している。記載された一部の実施形態では、反対の電荷を付与する1対のイオナイザが、粗い静電フィルタと細かい静電フィルタとの間に直列に配置されている。システムは、空気の流れで運ばれる生物学的実体(例えば微生物およびウィルス)を不活性化する(すなわち殺す)ように、なおかつその空気の流れから粒状物質をろ過するように構成される。
【0005】
この種の空気浄化およびろ過システムの商業用の実施形態が、空気を浄化、ろ過、および汚染除去する目的で、MIR宇宙ステーションや病院などで成功裏に使用されてきた。このようなシステムの代表的な商業用の一実施形態が、図1に概略を示されている。図に示されるように、システム20は、静電前置フィルタ22と、負プラズマ生成器26と直列に配置された正プラズマ生成器24と、負プラズマ生成器26の下流に配置された4つの一連の静電フィルタ28とを含む。各直流プラズマ生成器24,26は、並行に配置された複数の(例えば6セルの)円筒形のプラズマ円柱で構成される。各セルは、円筒形の電極チャンバに囲まれた針状のイオン化電極を有する。電極の1つは接地され、一方で、対向する電極には4000ボルトまたは7600ボルトのいずれかの直流電位が印加される。静電フィルタは、米国特許第5,474,600号または米国特許第6,805,732号に記載のように形成可能であり、プラズマチャンバは、米国特許第5,474,600号または米国公開出願第2005/0098040号に記載のように形成可能である。これらの特許および特許出願は、全て、引用によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0006】
記載されたシステムは、優れた働きをするが、様々な応用のニーズを満たすことができる、改良されなおかつ/またはより費用効果の高い、浄化および/またはろ過の装置を提供する努力が引き続きなされている。
【発明の開示】
【0007】
様々な改良を有する空気浄化装置について説明される。1つの態様では、通過する流体の流れで運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたプラズマリアクタについて説明される。該リアクタは、流体の流れを受け取るように、そしてその流体の流れで運ばれる粒状物質を、通過する粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有する非熱的(コールド)プラズマに曝すように構成されたプラズマチャンバを含む。プラズマチャンバの下流には、多孔質触媒が提供され、流体の流れを受け取るように構成される。触媒は、流体の流れがプラズマリアクタから出る前に、その流体の流れに含有される反応種の変換を大幅に向上させるように構成される。好ましい一実施形態では、触媒は、二酸化マンガン(MnO2)である、または二酸化マンガンを含む。別の好ましい一実施形態では、触媒は、酸化チタン(TiO2)である、または酸化チタンを含む。しかしながら、特定の応用では、その他にも様々な触媒が使用可能であることが理解されるべきである。
【0008】
触媒は、動作時に、プラズマリアクタから出るオゾンを環境オゾン濃度レベル未満のレベルに低減させるように構成することができる。一部の状況で、もし環境NOxレベルがとりわけ高い場合は、触媒は、流出する流れの中のNOxレベルを環境NOxレベル未満に下げるようにも構成することができる。
【0009】
多くの実装形態では、プラズマリアクタは、生物有機体を不活性化するように構成される。一部の実装形態では、プラズマチャンバ内の非熱的(コールド)プラズマは、揮発性有機化合物を酸化するほどに十分に強く、触媒は、さらに、揮発性有機化合物を破壊するように構成される。
【0010】
別の一態様では、オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システムでの使用に適した触媒について説明される。この態様では、触媒は、隔てられた少なくとも2つの多孔質二酸化マンガン触媒ブロックを含む。触媒ブロックは、空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが触媒ブロックを順次通過するように、空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される。一部の実施形態では、第1の触媒ブロックと第2の触媒ブロックとの間の空気流路内に、混合板を配置することが可能である。
【0011】
さらに別の一態様では、触媒電極について説明される。この態様では、触媒は、電極上に載せられる。この配置を用いると、触媒に荷電種を引き付けるために、使用中に電極に電位を印加可能である。一部の実施形態では、触媒電極は、導電性電極として機能する金属フレームを含み、触媒材料は、金属フレームに塗布された二酸化マンガンである。一部の実装形態では、金属フレームは、尖った先をともなうハニカム構造を有することが可能である。
【0012】
もう1つの別の態様では、イオナイザと、静電フィルタと、光触媒と、イオナイザと区別されるUV光源とを含む空気浄化装置について説明される。イオナイザは、空気浄化装置を通過するガス状流体の流れにイオンを導入するように構成される。静電フィルタは、イオナイザの下流に配置され、流体の流れから粒子を静電的にろ過するように構成される。UV光源は、光触媒を紫外光に曝すように配置され、静電フィルタの上流、下流、または中間に設置することができる。この構成を用いると、光触媒に作用する紫外光は、光触媒において光触媒酸化反応を生じさせ、これは、流体の流れによって運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる。
【0013】
一部の実施形態では、光触媒は、酸化チタン(TiO2)である。さらにその他の実施形態では、光触媒として、酸化チタン(TiO2)と(二酸化マンガン(MnO2)などの)還元触媒との混合を使用することが可能である。多くの実施形態では、光触媒は、通過する流体の流れを受け取るように構成された多孔質構造に塗布される。光触媒は、個別の構成要素であることが可能である、あるいは浄化装置の1つまたは複数の構成要素(静電フィルタの電極や誘電体など)に塗布することが可能である。
【0014】
光触媒を活性化するために、様々な波長の紫外光を使用することが可能である。例えば、およそ150〜380nmの範囲の波長を有する紫外線放射が、優れた働きをする。殺菌紫外線放射(およそ254nmの波長を有する紫外線放射)は、数々の副次的利点をともなうので、多くの応用において、とりわけ望ましいとされる。
【0015】
空気浄化装置は、プラズマリアクタの形態をとることが可能である。このような実施形態では、イオナイザは、通過する粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマを生成することが好ましい1つまたは複数のプラズマチャンバの形態をとる。プラズマリアクタは、そのほかに様々な構成要素を有してよく、さらに、前置フィルタ、追加の静電フィルタ、追加の酸化触媒および還元触媒などを含むことも可能である。
【0016】
一部の実施形態では、光触媒の下流に第2の触媒が配置される。第2の触媒は、流体の流れがプラズマリアクタから出る前に、流体の流れに含有される反応種の濃度を大幅に低減させるように構成される。
【0017】
さらにその他の態様では、改良された静電フィルタについて説明される。このような一態様では、改良された誘電体材料が提供される。誘電体は、空隙率が97%以上でかつ屈曲が1.7以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットを構成する。繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有する。好ましい各種の実施形態では、誘電体マットの空隙率は、99%を超える。孔は、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ三次元に開いている。好ましい各種の実施形態では、誘電体媒体(マット)の屈曲は2以上であり、より好ましくは5以上である。
【0018】
繊維の最大断面幅は、0.1〜50ミクロンの範囲であることが好ましい。一部の実装形態では、誘電体マットを形成する繊維は、ポリプロピレンなどの疎水性材料で形成される。
【0019】
一部の実装形態では、繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい1つ以上(より好ましくは2つまたは3つ以上)の個別の領域を有する。
【0020】
さらに別の一態様では、絶縁電極を有する静電フィルタについて説明される。このような実施形態では、絶縁体上における反対の電荷の堆積を阻止する対策が講じられる。このような電荷の堆積は、誘電体内に形成される静電場の強さを時間とともに大幅に劣化させ、そうして、静電フィルタの性能を低下させるであろう。反対の電荷の蓄積の問題を軽減するための様々なメカニズムについて説明される。
【0021】
第1の態様では、電極の1つ(第1の電極と称される)が、導電性材料で形成されたコアと、該コアを電気的に絶縁する絶縁層と、該絶縁層によってコアから隔離された電荷分布導体とを含む。第1の電極の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるため、第1の電極と同じ極性を有する電荷源が、第1の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に導体に印加するように構成される。
【0022】
一部の実施形態では、第1の電極と同じ極性を有するイオン源が、電荷源として機能する。この構成では、イオン源は、第1の電極上の導体と通じるように構成され、イオン源は、静電フィルタの動作中に第1の電極の絶縁層上に蓄積しようとする反対の電荷を中和するように構成される。その他の実施形態では、電荷ポンプなどの代替の電荷源を、間欠的に導体に接続することが可能である。
【0023】
一部の実施形態では、両方の電極が絶縁される。第2の電極は、また、関連の絶縁層によって第2の電極コアから電気的に絶縁された第2の電荷分布導体を随意に含むことが可能である。このような構成では、第2の電荷源は、第2の電極の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、第2の導体に周期的に印加することが可能である。
【0024】
一部の実装形態では、第1および第2の電極上において、異なる絶縁体が使用される。例えば、別の一態様では、絶縁層の一方または両方が、本明細書において雑多な絶縁層と称されるものであることが可能である。雑多な絶縁層は、正常動作条件下ではそのコアを電気的に絶縁して短絡を阻止する一方で、第1および第2の電極によって誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が電極上に堆積するのを阻止するのに十分な速度で、電極上に堆積しようとする反対の電荷を絶縁体を通ってコアへと移動させることを可能にする層である。各種の実施形態では、雑多な絶縁体を、一方または両方の電極に使用することができる。
【0025】
方法の一態様では、静電フィルタは、先ず、第1の極性を有する第1の電位を第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を第2の電極に印加することによって動作される。電極に印加される電位の極性は、次いで、第1および第2の電極によって誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷をいずれの絶縁電極上にも堆積させないように、周期的に逆転される。
【0026】
別の一態様の方法では、絶縁電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に電荷源を印加することによって、そうでなければ電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和する。これらの構成を用いれば、誘電体内における誘導場を大幅に劣化させるだけの電荷が電極上に堆積することはない。
【0027】
概して、本発明の各種の態様は、個別に使用することも、あるいは互いに組み合わせて使用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付の図面に関連させた以下の説明を参照することによって、本発明を、そのさらなる目的および利点とともに、最も良く理解することが可能である。
【0029】
図中、類似の参照符号は、類似の構成要素を指していることがわかる。また、図中の描写は、図式的なものであり、縮尺どおりではない。
【0030】
本発明は、概して、流体の汚染除去、ろ過、および/または浄化の装置に関する。上述されなおかつ図1に示されたプラズマリアクタは、ひとつには、そのイオナイザ(プラズマ生成チャンバ26)が、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタより大幅に高いイオン化レベルを可能にするという点で、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタと異なる。例えば、従来のイオンエンハンスド型フィルタは、およそ2マイクロアンペア/cmの電流密度を使用しておよそ1012個/m3の複合(平均)電子密度を生成することができる。これに対して、上述されたプラズマ生成チャンバ26は、およそ3.5マイクロアンペア/cmの電流密度を使用しておよそ1013個/m3の複合電子密度を生成することができる。これは、電子濃度(したがってイオン濃度)を約一桁増大させる。このような装置は、欧州およびロシアにおいて商業的に使用されており、従来の空気浄化および/またはろ過のシステムに優る大きな利点を有することがわかっている。例示されたシステムは、優れた働きをするが、一方では、この設計をさらに改良する努力が引き続きなされている。
【0031】
なお、イオン化チャンバ(例えば円筒形または多角形のイオン化チャンバ26,140,150)は、本明細書において、プラズマ生成チャンバとしばしば称されることに留意せよ。これは、イオン化電極の周囲に形成されるプラズマゾーン、およびそれに対応するチャンバ内におけるイオン濃度が、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタで使用されるイオナイザによって生成されるよりも、概して大幅に大きいからである。詳述されるように、空気浄化およびろ過装置(リアクタ)内におけるイオン化強度は、リアクタの効力および効率に対して数々のプラスの影響を及ぼすことができる。
【0032】
説明されたプラズマ生成器内で生成されるプラズマは、「非熱的」プラズマまたは「コールド」プラズマと一般に称される。すなわち、プラズマは、装置が使用されている環境での周囲の大気温度付近の温度で生成され、電子は、大幅に高温である。これは、イオンおよび電子がともに高温で共存する「熱」プラズマすなわち「ホット」プラズマと対照的である。
【0033】
図2を参照にして、本発明の一実施形態にしたがったプラズマリアクタについて説明される。この実施形態では、プラズマリアクタ100は、前置フィルタ122と、正プラズマ生成器124と、負プラズマ生成器126と、一連の能動静電フィルタ128と、触媒コンバータとして機能する触媒130とを含む。これらの要素は、全て、直列に配置されるので、ガス状流体(例えば空気)は、前置フィルタ122に入り、プラズマ生成器124,126、静電フィルタ128、および触媒130を順次通過する。
【0034】
前置フィルタ122は、一般に、大きな粒子を捕捉することを意図している。前置フィルタは、静電フィルタおよび交換可能な単純な機械的フィルタを含むあらゆるタイプのフィルタであることが可能である。例示された実施形態では、不織マットタイプの、交換可能な単純な前置フィルタが使用される。しかしながら、その他の実施形態では、能動または受動の静電前置フィルタを使用することが可能である。能動静電前置フィルタを使用するメリットの1つは、該フィルタが、リアクタに入る粒子に双極子を作用させることによって、それらの粒子をプラズマチャンバにさらにより影響されやすくすることである。
【0035】
プラズマ生成器:
正プラズマ生成器124は、正の電荷を帯びたコールドプラズマを生成するように構成される。図に示された実施形態では、プラズマ生成器は、図3(a)および図3(b)に示されるように、並行に配置された複数の隣り合うプラズマチャンバで構成される。適切なプラズマ生成器の構成が、引用によって本明細書に組み込まれる前述の‘600特許および同時係属米国出願第10/4,450,565号に記載されている。各チャンバ140は、針状の正極性放電電極141と、チャンバ壁144と、レセプタ電極147とを含む。チャンバ壁144は、レセプタとしても機能するように構成される。前置フィルタが能動静電前置フィルタである場合は、レセプタ電極147は、前置フィルタの電極の1つとしても随意に使用可能である。コールドプラズマを生成するため、放電電極141とレセプタ電極147との間に高電位差が印加される。例えば、多くの応用では、約4,000〜20,000ボルトの(またはそれを上回る)電圧差が優れた働きをする。適切な電圧差は、正極性放電電極141に高い正の直流電位を印加する一方でレセプタ電極147およびチャンバ壁144の両方に地電位を印加することによって形成することができる。その他の実施形態では、正極性放電電極141に正の直流電位を印加する一方でレセプタ電極およびチャンバ壁に負の電位を印加することが可能である。一般に、プラズマの形成にとって最も重要なのは、それぞれの電位の絶対値よりもむしろ、電位差である。
【0036】
放電(またはコロナ)電極141は、チャンバ壁144と実質的に同軸に配置され、チャンバを通る正味の気体流の方向に実質的に並行である。チャンバの断面形状は、いくぶん可変である。
【0037】
負プラズマ生成器126は、正プラズマ生成器126と同様に構成される。主な違いは、各チャンバ150内の負極性放電電極151には負の(または地)電位が印加される一方で、レセプタ電極157およびチャンバ壁154には正の電荷が印加されることである。もちろん、正プラズマ生成器124の場合と同様に、両電極間の電位差が所望のコールドプラズマを生成するのに十分である限り、両電極が同じ極性を有することも可能である。しかしながら、このような実施形態は、一般に、好ましい度合いがかなり劣る。
【0038】
図2の概略図では、正プラズマ生成器を表すのに単一チャンバが、そして負プラズマ生成器を表すのに別の単一チャンバが示されている。しかしながら、ほとんどの実装形態では、各プラズマ生成器として、並行に配置された複数のプラズマチャンバを提供することが望ましい。各プラズマ生成器として使用されるプラズマチャンバの数は、生成器の大きさ、およびプラズマリアクタが対応するように設計された空気流の量を含む、数々の要因に依存する。例えば、図3(a)は、並行に配置された12の隣り合うプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の概略を示しており、各プラズマチャンバ150(a)は、同軸の針状の放電電極をともなう六角形の断面を有している。図3(b)は、並行に配置された12の隣り合うプラズマチャンバで構成された代替のプラズマ生成器の概略を示しており、各プラズマチャンバ150(b)が、同軸の針状の放電電極をともなう円形の断面を有している。しかしながら、チャンバの断面形状は、その他の様々な適切な形状(例えば八角形またはその他の多角形)の任意であることが可能である。これらのチャンバは、概ね空気流の方向に引き伸ばされ、放電電極は、空気流に実質的に並行になおかつチャンバ壁と概ね同軸に伸びている。これらのタイプのプラズマチャンバは、本明細書において、広く同軸プラズマチャンバと称される。
【0039】
特定の一実装形態では、チャンバ壁144,154は、円筒形であり、0.5〜10cmの範囲(例えば5cm)の内径を有する。放電電極141,151は、チャンバと同軸に配置される。別の特定の一実施形態では、チャンバ壁は、六角形であり、0.5〜10cmの範囲(例えば5cm)の最小チャンバ幅を有する。
【0040】
説明される主な実施形態では、1対のプラズマ生成器(例えば正プラズマ生成器124および負プラズマ生成器126)が使用される。しかしながら、多くの応用では、単一のプラズマ生成器のみが望ましいとされる、または必要とされるであろう。単一のプラズマチャンバは、正プラズマ生成器または負プラズマ生成器のいずれであることも可能である。
【0041】
説明された同軸プラズマチャンバは、非常に優れた働きをし、なおかつ比較的安価に構築することができるが、所望のプラズマまたはイオン化ゾーンを形成するには、その他の様々なイオン生成技術が使用可能であることが理解されるべきである。例えば、各種の実施形態では、同軸プラズマチャンバの代わりに、RF、マイクロ波、UV、またはその他の直流イオン生成器を使用することが可能である。その他の応用では、異なるタイプのイオン/プラズマ生成器を同じリアクタ内で組み合わせることが望ましいであろう。例えば、説明された同軸の直流イオン生成器にUVイオン生成器を組み合わせて使用することが望ましいであろう。これらのタイプの構成は、後述される触媒エンハンスド型リアクタの一部において、とりわけ興味深い応用を有すると考えられる。
【0042】
説明されたイオン生成器の利点の1つは、今日では対応する交流電源よりも概して大幅に安価である比較的単純な直流電源の使用のみを必要とすることにある。しかしながら、所要の電位における電源の費用が下がるにつれて、この利点はいくぶん軽減されるであろう。同軸プラズマチャンバは、また、説明されたプラズマリアクタで使用される非熱的(コールド)プラズマの形成にもよく適している。
【0043】
図1を参照にして上述された商業用の実装形態では、イオン化電極の1つが接地され、対向する電極には4000の直流電位が印加された。これらの電圧レベルでは、多量のオゾンは生成されず、したがって、リアクタは、装置が使用されている室内において、オゾンの蓄積をともなうことなく長時間にわたって作動させることができる。装置は、また、7600ボルトの直流電位を印加された昇圧モードも有していた。昇圧モードでは、生成されたオゾンの量は、50ppbを僅かに下回った。多くの政府は、人が曝露されても安全なオゾン濃度レベルに関する基準または指針を定めている。例えば、米国職業安全衛生管理局(OSHA)は、人が長時間(例えば8時間)にわたって50ppbを超えるオゾン濃度に曝露されることを禁じる指針を公布している。したがって、長時間にわたる昇圧モードでのリアクタの作動は、望ましくないほどに高いレベルのオゾンを室内に入れるという望ましくない効果を有する可能性がある。
【0044】
後により詳しく説明されるように、図2に示された実施形態は、触媒130を含む。この触媒は、数々の潜在的メリットを提供する。そのうちの1つは、リアクタを後にする清浄な空気の流れからオゾンを大幅に低減(または実質的に除去)可能であることである。オゾンの低減ゆえに、説明されたリアクタは、プラズマチャンバ内における放電電極とレセプタ電極との間の電位差をより高くした状態で、容易に作動させることができる。例えば、およそ8,300ボルトの電位差で動作している上述されたプラズマ生成チャンバ124,126は、5マイクロアンペア/cm(またはそれを超える)電流密度を用いておよそ1014個/m3の複合電子密度を生成することができる。このような電子濃度(したがってイオン濃度)は、図1を参照にして説明されたプラズマ生成器によって生成されるプラズマより約一桁大きく、さらに従来のイオンエンハンスド型静電フィルタより二桁大きい。より高い電位差であれば、生成されるプラズマの密度をさらに増大させることができる。リアクタ内におけるイオン化レベルの高まりは、リアクタの効率および効力をいくつかの点で向上させる。
【0045】
たとえオゾンが低減されるとしても、プラズマチャンバ内において使用可能な電位差の大きさには、その他に数々の実際的限界がある。とりわけ、プラズマチャンバ内におけるアークは極めて有害であるので、アークが生じはじめるレベルまで電圧差を増大させることはできない。
【0046】
特定の一実装形態では、チャンバ壁144,154は、円筒形であり、5cmの内径を有する。放電電極141,151は、チャンバと同軸に配置される。このような設計では、電極間の電位差がおよそ13,000〜20,000ボルトであるときに、プラズマチャンバ内において、アークが生じはじめるであろう。これは、このようなチャンバに印加可能な電圧差を制限する。しかしながら、プラズマチャンバの幾何形状は、とりわけ効率的であるので、高いイオン濃度を有するプラズマを容易に生成することができる。もちろん、特定のリアクタ設計にとってのブレークダウン(アーク)電圧は、プラズマチャンバの大きさ、幾何学形状、および設計にあわせて大幅に可変である。
【0047】
静電フィルタ
静電フィルタ128は、プラズマ生成器124,126の下流に配置される。静電フィルタ128は、直列に配置され、提供される静電フィルタの数は、特定の応用のニーズを満たすように可変である。通常は、1つから5つの静電フィルタが使用される。各静電フィルタ128は、適切な多孔質誘電体材料168によって隔てられた多孔質の正電極162および負電極165を含む。電極162,165は多孔質であるので、リアクタを通過する空気は電極を通り抜けることができる。誘電体材料の両端には、比較的高い電位差が印加される。例えば、4〜40,000ボルトまたはそれを上回る電位差が好ましい。一般には、1000V/cm以上の強度を有する場を生成することが望ましい(が、必須ではない)。一部の設計では、静電フィルタの電極間の電位差は、プラズマ生成器内における放電電極とレセプタ電極との間の電位差と同じである。しかしながら、これは、必要条件ではなく、フィルタの電極に、より高い電位差を使用するほうが望ましいことが多いであろう。例として、このような一構成が、図2の実施形態に示されている。
【0048】
電極は、様々に異なる材料で形成可能である。例えば、金属、導電性高分子、またはその他の導電性材料が、電極を形成するために使用することができる。具体的な一実施形態では、米国特許第6,805,732号に記載された金属化された開放気泡が、電極を形成するために使用される。その他の適切な電極は、以下で説明される。誘電体168もまた、様々に異なる材料で形成することができる。適切な誘電体材料の1つが、‘732特許に記載されている。
【0049】
不織の静電フィルタ誘電体:
静電フィルタに使用するための改良された誘電体材料が、図4を参照にして説明される。この図は、誘電体の小区画を示した写真である。この実施形態では、誘電体を形成するために、多孔質の不織繊維マットが使用される。マットの形成には、様々に異なる誘電体材料を使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、およびその他の高分子誘電体材料が優れた働きをする。あるいは、セラミック(例えばシリコンガラス)を含むその他の押し出し成形可能な誘電体を使用することができる。通常は、(ポリエステルまたはポリプロピレンなどの)疎水性材料が好まれる。
【0050】
好ましくは、誘電体マットは、高い空隙率を有する。すなわち、マットの大多数は、糸に対立するものとしての孔で構成される。例えば、空隙率が97%以上の、より好ましくは99%を超えるマットが優れた働きをする。一般に、繊維は、10を超える長さ対最大厚さの比を有することが望ましいが、直径の小さいポリエステル糸で形成されたマットの場合は、大幅に高い(例えば約100,000またはそれを上回る)長さ対厚さ比を有するのが一般的であろう。マットは、従来の様々な不織マット製造プロセスを使用して作成することができる。例えば、押し出し糸から適切なマットを形成するために、従来のメルトブローおよびスピン結合などの製造技術を使用することができる。マットは、形成後に所望の大きさにカットすることができる。このようなアプローチによる利点の1つは、結果得られたマットが、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ3次元に開いた孔を有することにある。誘電体マットは、静電フィルタ内に設置される際に、あまり圧縮されないことが好ましい。したがって、フィルタの使用時に、誘電体層は、非常に高い(例えば好ましくは97%以上、より好ましくは99%を超える)空隙率を有する。高い空隙率は、フィルタが、自身を通過する空気流に対して相対的に最小の抗力を及ぼすこと、そして粒子を収集するためのスペース(すなわち空隙)を沢山有することを意味する。
【0051】
当該分野を熟知している者ならば理解できるように、マットの屈曲は、誘電体の有効チャネル長対厚さの比である。有効チャネル長は、一般的な空気粒子が誘電体を通過する際に移動する距離である。厚さは、空気流の方向にマットを通る直線経路である。誘電体を通過する流体は、繊維によっていくぶん(ときには大規模に)逸らされることが理解されるべきである。マットは、1.2以上の屈曲を有することが好ましく、これは、標準的な(平均の)空気粒子が誘電体内を、直線で通るよりも20%以上長い距離で移動することを必要とするであろう。より好ましくは、屈曲は、1.7(70%増)を上回る、または2.0(100%増)を上回るであろう。さらに好ましくは、屈曲は、5(400%増)以上であろう。屈曲が大きいほど、誘電体内を通る粒子の偏向がさらに大きくなり、粒子がマット繊維と相互作用する確率がさらに高くなることが理解されるべきである。
【0052】
静電フィルタ内における場の強度は、マットを形成する糸160の直径が小さいほど増加することがわかった。増加した誘電体内の場の強度は、静電フィルタの収集効率を増大させる傾向がある。したがって、フィルタ内に形成される場の強度を増加させるためには、直径の小さい糸を用いて誘電体を形成することが望ましい。例えば、およそ100ミクロン未満の断面直径を有する糸、一例として、およそ0.1ミクロンからおよそ50ミクロンの範囲の断面直径を有する糸が好ましい。具体的な一実施形態では、35ミクロンまたはそれ未満の直径を有するポリエステル糸が使用される。10ミクロン未満の直径を有する糸であれば、さらに優れた働きをする。直径の小さい糸であるほど、その小さい横断曲率半径によって、静電場を増強する焦点として機能する尖った「点」を効果的に形成することができるので、より優れた働きをすると考えられる。
【0053】
誘電体材料内の特徴の曲率半径は、静電フィルタ128内に形成される場の強度に大きな影響を及ぼすと考えられる。しかしながら、その効果は、総じて、必ずしも糸の直径に依存するとは限らない。誘電体内に形成される静電場の特性をさらに向上させるには、むしろ、糸の外周に沿った、より小さい局部半径を有する特徴を使用することが可能である。
【0054】
商業的に最も入手可能なポリマ糸は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、誘電体内に形成される静電場の強度をさらに高めるには、より小さな局部半径を外周に沿って有する代替の断面幾何形状を有する糸を使用することが可能である。次に、静電フィルタを作成するのに適しているであろう、繊維糸の様々な断面形状が示されている図5(a)〜(h)を参照せよ。図5(a)〜(h)に示された各糸は、横断曲率半径の小さい複数の領域を外周に沿って有する断面形状を有する。
【0055】
図5(a)は、円形の断面形状を有する糸171を示している。図5(b)の糸172は、長方形(この場合は実質的に正方形)の断面形状を有する。長方形の断面の各角は、糸の外周に沿って、小さい横断曲率半径の局所領域180を構成する。したがって、この実施形態では、糸172の外周に沿って、そのような領域180が4つある。図5(c)の糸173は、三角形の断面形状を有する。図5(d)の糸173は、六角形の断面形状を有する。図5(e)は、楕円形の断面形状を有する糸175を示している。図5(f)は、星形多角形の断面形状を有する糸176を示している。図5(g)は、星形の断面を有する糸177を示している。図5(h)は、球形の断面形状を有する糸177を示している。これらの糸の幾何学形状は、各自、その外周に沿って、小さい横断曲率半径の局所領域180を有する。局所領域180の曲率半径は、同等の小直径の円形断面を有する糸の曲率半径よりも大幅に小さいことが可能である。したがって、これらは、誘電体内の静電場を増強するのに優れた働きをする。その他の点では、これらの糸は、上述された円形断面を有する糸と同様に、より小さい空隙率、屈曲、断面糸幅(直径)などを有する誘電体マットを形成するために使用することができる。もちろん、局部的な小さい横断曲率半径を有するその他の様々な糸幾何学形状もまた、有利に使用することが可能である。
【0056】
疎水性の誘電体をベースにしたオゾン生成:
上で指摘されたように、少なくとも一部の静電フィルタでは、一般に、誘電体材料として疎水性材料が好まれる。疎水性誘電体の使用には、重要でなおかついくぶん驚くべきいくらかの利点がある。具体的に言うと、不織マットタイプの誘電体の誘電体糸として疎水性材料が使用される場合、誘電体の表面上に、水滴が堆積する傾向がある。この効果は、湿潤環境において増幅される。強い静電場(例えば約5,000ボルトの電位差の影響下で誘電体内に生成されることによって、説明された静電フィルタ内に約5,000ボルト/cmまたはそれを超える場の強度を生成する場)の存在下では、水滴は、小さいイオナイザとしてふるまう傾向がある。これらの水滴イオナイザは、様々な反応種を形成するが、なかでも、オゾンを生成するのにとりわけ有効である。オゾンは、続いて、水に対するその近接性ゆえに、水酸化イオン(OH−)および過酸化物(H2O2)を形成する。したがって、静電フィルタ内における、いずれも有機材料を効率良く酸化させる種であるオゾン、水酸化物、および過酸化物の濃度は、静電フィルタ内の誘電体として疎水性の糸を使用することによって大幅に増大させることができる。これらのメリットは、(図2に示された生成器24のような)プラズマ生成器を含む応用例、より弱いイオナイザを用いる応用例、および/またはイオナイザを全く含まない応用例において見いだすことができる。これらの全ての応用例において、静電フィルタ内における反応種のレベルを高めるために疎水性の糸を使用することができる。
【0057】
当該分野を熟知している者ならば理解できるように、オゾン、水酸化イオン(OH−)および過酸化物(H2O2)は、極めて有効なバイオサイドである。したがって、水滴イオナイザによって生成されるオゾンは、静電フィルタによって捕捉された生体が不活性化される速度を速める。後ほどより詳しく説明されるように、オゾンは、リアクタ内においてその他の有益な効果を有することができる。
【0058】
一般に、糸は、疎水性であるほどイオナイザ/オゾンジェネレータとしてより優れた働きをすると考えられる。実際、ポリプロピレンで形成された糸は、オゾンを極めて良く生成することがわかっている。シリコンおよび様々なフッ素化高分子材料(高度に疎水性であることが一般に知られている)などの、より疎水性のその他の材料もまた、静電フィルタ内の同じ条件下において、さらに多くのオゾンを生成すると予測される。
【0059】
図2を参照にして説明されたように、多くの応用では、プラズマチャンバの下流で複数の静電フィルタを用いることが望ましい。一部の実施形態では、全ての静電フィルタに、比較的高度に疎水性の材料(例えば少なくともポリプロピレンと同程度以上に疎水性の材料)を使用できるであろう。しかしながら、これは、状況によっては、特定の応用にとって望ましいとされるよりも多くのオゾンを形成する場合がある。このような応用では、上流の静電フィルタ(例えば第1の静電フィルタ128)に、ポリプロピレン誘電体材料を用いる一方で、1つまたは複数の下流の静電フィルタには、ポリエステルなど、より低疎水性の誘電体材料を使用すると望ましいであろう。もちろん、ポリプロピレン(または高度に疎水性のその他の)糸をベースにした静電フィルタと、非疎水性または低疎水性の静電フィルタとの相対的配置および数は、特定のシステムのニーズを満たすように、様々に可変である。
【0060】
静電フィルタ内におけるオゾン生成の強さは、誘電体糸の疎水性、誘電体内における場の強度、および周囲空気の相対的湿度を含む、数々の要素の関数であることが理解されるべきである。上述のように構築された、ポリプロピレンをベースにした不織マットを主体とした静電フィルタに基づく実験では、非常に良いと見なされる30%の相対湿度の条件の下で、わずか5,000ボルト/cmの静電場強度の影響下で、顕著なオゾン生成が生じる。これは、上述された動作条件下では、大半の動作環境が、ポリプロピレン糸の誘電体をベースにした静電フィルタ内においてオゾンの生成を引き起こすのに十分な相対湿度を有するからである。これに対して、ポリエステル糸をベースにした誘電体を主体としたフィルタに基づく類似の実験では、5,000ボルト/cmの場の強度の下で、相対湿度が60〜70%に達するまで顕著なオゾン生成が開始しなかった。説明された2つの試験間の主な相違は、ポリエステルの疎水性がポリプロピレンよりも低いことであった。
【0061】
疎水性材料であることを明確にする特徴の1つは、材料の表面上に形成された水滴が呈する接触角である。一般に、接触角は、ゼロ度と180度との間で可変であり、ゼロは最も親水性、180は最も疎水性である。本発明の文脈の中では、60度または65度を越える接触角が好ましく、80度または90度を超える(例えば80〜180度の範囲の)接触角がより好ましい。
【0062】
絶縁された静電フィルタ電極:
プラズマリアクタ100の使用時には、ダストおよびその他の浮遊粒子がフィルタ128内に集まる。ダストが集まるにつれ、それらは誘電体上に、さらにある程度は電極自体の上に、固まる傾向がある。長時間の使用を経て、フィルタ内におけるダストの量が増すにつれ、ダストの塊は、電極間に連続したダスト「経路」を形成するほどに蓄積する可能性がある。ダストは、一般に、電気絶縁体である。しかしながら、もし、堆積されたダストが非常に湿潤になると、ダストによって運ばれる水によって、ダストの塊が電極間にアーク(短絡)を生じさせるほどに導電性になる可能性がある。この問題は、湿潤な環境において増幅される。なぜならば、空気中の湿度は、ダストを湿潤にすることによって、ダストの塊をさらに導電性にする傾向があるからである。
【0063】
この問題を扱うために、様々に異なるアプローチを使用することができる。アプローチの1つは、静電フィルタを単純に、定期的に交換または洗浄することである。医学的応用および住宅応用の大半では、年間ベースで静電フィルタを交換または洗浄すれば、アークを阻止するには十分である。しかしながら、このようなアプローチは、定期メインテナンスプログラムを必要とする。
【0064】
短絡の問題は、多くの能動静電フィルタ応用で観測されてきており、したがって、この問題に対処するための試みがなされてきた。提案されたアプローチの1つは、電極を絶縁することを考えたものである。例えば、“Electric Air Filtration: Theory, Laboratory Studies, Hardware Development, and Field Evaluations”(「電気的空気ろ過:理論、実験室研究、ハードウェア開発、および実地評価」)と題された1983 Lawrence Livermore National Laboratoryの文書を参照せよ。電極の絶縁は、短絡を排除するが、絶縁電極の極性と反対の極性を有する電荷が、絶縁体の表面上に蓄積する傾向がある。すなわち、絶縁体それ自体、または絶縁電極上のダスト層は、隣接する電極の極性と反対の電荷を堆積させる傾向がある。この反対の電荷は、隣接する電極上の強い電荷に引き付けられる。実際は、この電荷の蓄積は、比較的ゆっくりであり、隣接するダスト上に堆積する反対の電荷の実際の量は、比較的少量であろう。しかしながら、これは、誘電体168内の場を劇的に低減させることによって、静電フィルタの有効性を大幅に低下させる傾向がある。多くのシステムにおいて、この種の劣化は、数日間で生じる可能性がある。
【0065】
米国特許第5,549,735号は、静電フィルタ内の2つの電極の1つのみを絶縁することによってこの問題に対処しようとしたシステムについて記載している。フィルタの上流に、絶縁電極に隣接してイオナイザが配置される。イオナイザは、フィルタを通過する空気を、絶縁電極と同じ極性に予め帯電させる。したがって、絶縁電極の表面上に堆積しようとするどの電荷も、通過するイオン化された空気からの電荷によって素早く中和される。この種のアプローチは、多くの応用において優れた働きをする一方で、第2の電極を絶縁されないままにするので、一連の静電フィルタを有する装置にとっては理想的な解決法ではない。また、もし、絶縁電極の一部がブロックされ、イオン化された空気の流れから比較的遠くに離れている場合は、イオン化された空気は、フィルタのその領域に蓄積した反対の電荷を適切に逃がすことができず、これは、フィルタの効率を低下させる傾向がある。
【0066】
以下の説明では、絶縁電極の表面上における反対の電荷の局所的堆積を分布させる、軽減する、または阻止するために使用することができる様々な構成(電荷分布格子)について説明される。次に、図6を参照にして、本発明の一実施形態にしたがった電極設計について説明される。例示された実施形態では、電極として、単純な格子190が使用される。しかしながら、代替の実施形態では、その他の多孔質電極設計(上述された、金属化された開放気泡をベースにした電極など)が使用可能である。電極は、ともに、電気的に絶縁される。図7に最もよく見られるように、電極199を覆う絶縁体196の上に、金属化層193が塗布される。金属化層193は、電荷分布格子として機能し、種々様々な方法で形成することができる。例えば、図7(a)に示されるように、金属層は、絶縁体の上にデポジション可能である、あるいは絶縁電極に塗布された金属化塗装またはその他のコーティングの一部であることが可能である。あるいは、図7(b)に示されるように、電荷分布格子は、絶縁電極の隣りにかつ該電極に接するように接着または結合される別個の金属格子の形態をとることが可能である。これらのいずれの構成を用いた場合でも、絶縁電極上に蓄積するあらゆる反対の電荷は、金属製の分布格子全体に分布することによって、例えば中和イオンの流れから電極がブロックされるであろう領域における局所的な電荷の蓄積を阻止する傾向がある。
【0067】
このような反対の電荷の蓄積を中和するため、電荷分布格子は、電極と同じ極性を有する電荷源に曝露される。中和用の電荷を電荷分布格子に適用するためには、様々なメカニズムが使用可能である。図6に示された実施形態では、静電フィルタ200は、誘電体168を挟む上流電極202と下流電極204とを有する。電極202,204は、いずれも絶縁されており、電荷分布格子として機能する外付けの金属化層を有する。フィルタ内の電極の1つが、同様に帯電されたイオン源の隣りに位置する場合は、そのイオン源が、‘735特許に記載されたのと同様に、その電極のための電荷源として機能することができる。このようなイオン源の隣りに位置しない電極は、代替の適切な電荷源に接続することができる。例示された実施形態では、上流電極202と同じ極性を有するイオン源206が、第1の電極の上流に配置される。この構成を使用すると、イオン源は、絶縁された上流電極上に堆積するあらゆる反対の電荷を中和する電荷源として機能する。例えば、図2に示されたリアクタなどのプラズマリアクタでは、イオン源(すなわち第2のプラズマ生成器126)を、少なくとも第1の静電フィルタの上流電極のために容易に使用可能である。したがって、第2のプラズマ生成器126は、第1の静電フィルタ用の上流電極のためのイオン源として使用することができる。
【0068】
もし、絶縁電極の全面を上手くイオン源に曝露させられる場合は、通過するイオンによって、絶縁体に引き付けられるあらゆる反対の電荷が比較的素早く中和されるであろうゆえに、電荷分布格子は、排除することが可能である。しかしながら、多くの実装形態では、電極の全面をイオン源に曝露することは非実用的である。すなわち、電極には、イオン源に上手く曝露されない区画がある。例えば、もし、イオン源が、図3(b)に示されるように複数の円筒形のプラズマチャンバを有するプラズマ生成器である場合は、フィルタには、プラズマ生成器の円柱の真後ろに位置しない特定の死角場所があるであろう。このような死角場所では、反対の電荷は、たとえ電極のその他の領域がイオン源に曝露されているときでも、絶縁体上の局所領域に堆積することができる。絶縁電極上に取り残されたこれらの電荷は、誘電体内の場を低減させることによって、フィルタの収集効率を低下させる傾向があるであろう。しかしながら、金属化層は、この問題を実質的に解消する。具体的に言うと、この場合の金属化層は、絶縁電極全体に電荷を分布させる働きもするので、死角領域に堆積しようとするであろう反対の電荷も中和される。
【0069】
図6に示された実施形態では、下流電極204もまた、絶縁される。下流電極の極性は、上流電極の極性と反対である。したがって、イオン源206は、下流電極に堆積しはじめる反対の電極を中和する働きはしない(むしろ、どちらかと言えば、電荷の蓄積を増進するであろう)。したがって、下流電極における電荷の蓄積を中和するには、別のメカニズムを用意する必要がある。もし、下流電極が地電位にある場合は、反対の電荷の蓄積は、単純に、下流電極上の金属層を接地することによって中和することができる。他方、もし、下流電極が正または負に帯電される場合は、望ましくない反対の電荷を中和するために、電荷ポンプ207などの別の適切な電荷源を使用することが可能である。
【0070】
金属化層に印加される電圧は、大きい必要はないこと、そして電極の電圧と一致させようとする必要はないことを理解されるべきである。なぜならば、金属化層の目的は、誘電体内に場を生成することではないからである。むしろ、その目的は、主に、絶縁電極上における寄生的な反対電荷の蓄積を軽減または排除することにある。実際、もし、大規模な電流源からの大きな電位が絶え間なく金属層に印加されると、理論的に、金属層間に望ましくない短絡が生じる可能性がある。このため、多くの応用では、比較的小さい電荷/電流源を使用することが好ましいであろう。
【0071】
絶縁層上における寄生的電荷の蓄積は、極めてゆっくりな傾向がある。したがって、多くの応用では、中和用の電荷を単に周期的に金属化層に印加すれば望ましいであろう。金属化層に中和用の電荷を印加する周期は、大きく可変である。例えば、ほとんどの応用では、1時間に一度、または1日に一度の頻度で中和用の電荷を金属化層に印加すれば十分であろう。したがって、中和用の電荷を印加する頻度は、秒単位から、分単位、時間単位、ひいては日数単位に至るまで、様々に可変である。もし必要であれば、短絡のリスクをさらに低減させるために、中和用の電荷を正電極と負電極とで異なる期間に印加することができる。これは、比較的短期間の高電位の電荷を金属化層に印加することを可能にする。もし、比較的高い電荷が金属化層に印加され、容量効果のもとで保持された場合は、その電荷は、そうでない場合に絶縁電極上に生じるであろうあらゆる反対の電荷の蓄積を中和しつつ、誘電体内の場を増強する傾向があり、これは、フィルタの効率をさらに向上させる。
【0072】
説明された静電フィルタは、種々様々な静電フィルタの応用に使用することができ、決して、上述されたプラズマリアクタでの使用に限定されない。電極202,204は、ともに絶縁されているので、フィルタは、たとえ誘電体内に非常に湿ったダストが沢山蓄積されている場合でも、電極と電極との間または個々の電極と隣接する構成要素との間に短絡を生じにくい。絶縁は、また、その他の場合に特定の応用において望まれる可能性がある、より高い電位の(随意の)使用も可能にする。
【0073】
特定の絶縁電極から反対の電荷を駆逐するために使用される電荷源の特性は、応用の特性に基づいて、様々に可変である。もし入手可能であれば、任意の電極用の電荷源として、イオン源を使用することが可能である。もし、正イオン源および負イオン源の両方が入手可能である場合は、両方の電極を適切なイオン源によって中和することが可能である。イオン源が入手可能でない場合は、電極に所望の電荷を印加するために、電荷ポンプなどのその他の構造を使用することが可能である。
【0074】
さらに他のシステムでは、正電極上に堆積する電荷が、負電極上に堆積する電荷と実質的に均衡することが予測される。このようなシステムでは、単に、堆積された電荷が互いを効果的に中和するように、電荷分布格子を電気的に結合することによって、反対の電荷を駆逐できるであろう。一般に、これは、周期的にのみ実施されるであろうゆえに、電荷分布格子どうしの接続がリアクタの性能に悪影響を及ぼすことはない。静電フィルタが(図2に示されたプラズマリアクタなどの)より大きなシステムで使用される状況では、システム内のその他の場所からの寄生的電荷を、金属化層の中和または駆逐に使用することが可能である。
【0075】
絶縁電極上における電荷の蓄積を軽減するもう1つの方法は、静電フィルタがプラズマリアクタ内で使用される場合に、それらの静電フィルタ(または潜在的にはプラズマリアクタ内の全ての構成要素)の極性を周期的に逆転させることであろう。これは、単純に、反対の電極に印加される電位を切り替えることによって、容易になすことができる。この状況では、極性の逆転前に絶縁体上に蓄積されていたあらゆる電荷が、極性を逆転された後のフィルタ内の誘導静電場を増強するであろう。これは、少なくとも、反対方向への移動を通じて電荷の蓄積が軽減されるまで継続される。
【0076】
次に、図8を参照にして、別の一実施形態について説明される。この実施形態では、3つの一連の静電フィルタが提供される。各静電フィルタ210は、金属化され絶縁された正および負の電極211,213を含み、静電フィルタの極性は、どの特定の中間電極も隣接する2つの静電フィルタのための電極として機能するように、交互している。負電極用の金属化層は、全て、電気的に結合されており、正電極用の金属化層は、全て、電気的に結合されている。第1の(すなわち上流の)静電フィルタ210(a)の負電極は、第1の静電フィルタの負電極に関連付けられた金属化層のための電荷源として機能する負イオン源の隣りに配置される。負電極用の金属化層は、全て、電気的に接続されているので、第1の静電フィルタ210(a)の隣のイオン源215は、全ての負電極に関連付けられた金属化層のための電荷源として機能する。同様に、正電極用の金属化層は、全て、電気的に接続されており、したがって、単一の電荷ポンプ217(またはその他の適切な電荷源)を、全ての正電極に給電するために使用することができる。もちろん、電荷ポンプ、イオン源、またはその他の適切な電荷源を、正および負の両電極用に、またはあらゆる適切な組み合わせ用に使用することが可能である。
【0077】
雑多な絶縁体:
一般に入手可能な種々様々な絶縁材料があり、このような材料の絶縁能力は、その大半を、材料の特性、使用される材料の厚さ、および絶縁体の塗布の均一性に依存する傾向がある。したがって、もし、高電圧の電極上に、比較的不良な絶縁体(本明細書ではときに雑多な絶縁体と称される)が使用される場合は、堆積された反対の電荷の一部は、絶縁体を通って電極へと移動する傾向がある。もし適切に設計された場合は、この特徴は、絶縁層上における反対の電荷の蓄積を減らすのを助けるために使用可能である。上述のように、絶縁層上における反対の電荷の蓄積は、比較的ゆっくりである。したがって、もし、絶縁材料が適切に選択された場合は、その絶縁体は、絶縁電極の表面上における反対の電荷の蓄積を軽減させるのに十分な量の電荷を「漏らす」ことができる。同時にまた、雑多な絶縁体の厚さは、電極と電極との間または特定の電極とそれに隣接する構成要素との間の短絡が絶縁によって阻止されるように選択することができる。このような雑多な絶縁体は、上述された金属化層とともに、またはそのような金属化層をともなわずに使用することができる。例えば、一部の実施形態では、金属化層をともなう高絶縁性の絶縁体を1つの電極に使用するとともに、比較的雑多な絶縁体をもう一方の電極に使用することが可能である。さらにその他の応用では、両方の電極を乱雑な絶縁体で覆うことが可能である。このような実施形態の一部では、一方または両方の絶縁電極上にさらに金属化層を提供可能であり、その他では、金属化層を排除可能である。乱雑な絶縁体は、一方または両方の電極から反対の電荷を駆逐するための唯一のメカニズムとして使用可能である、あるいは上述された一部のメカニズムなどその他の反対電荷中和のメカニズムと組み合わせて使用可能である。
【0078】
触媒:
図1を参照にして上述されたプラズマリアクタの、特定の商業用実装形態では、プラズマリアクタは、4000ボルトの直流電位差で動作され、これは、短期間の間、7600ボルトに引き上げることができる。上で指摘されたように、4000ボルトの電位差のときは、説明された装置は、あまり多くのオゾンを生成しなかった。昇圧モードでは、いくらかのオゾンが生成された。したがって、もしこのような装置が、一定期間の間、閉じられた空間内において昇圧モードで使用される場合は、室内のオゾンレベルが、望ましくないほど高いレベルまで蓄積する恐れがある。なぜならば、空気中のオゾンの半減期は、おおよそ20分間であるからである。上述のとおり、リアクタの性能を高める方法の1つは、プラズマ生成器内において生成されるプラズマの強度を増大させることである。プラズマ内におけるイオン化の強度は、プラズマ生成器内の電極間に使用される電圧差を増大させることによって増大させることができる。イオン化強度の増大は、プラズマリアクタ内において生成されるオゾン(および酸化窒素(NOx)などの反応性に富んだその他のガス)のレベルを大幅に増大させる。この増大したイオン化は、静電フィルタ128の効率を向上させるのを助け、リアクタを通過する生物学的因子の非活性化の効率を向上させるのを助ける。しかしながら、プラズマチャンバ内において生成することができるオゾンおよびその他の反応性ガスは、その全てがリアクタ内において消費可能なわけではない。
【0079】
概して反応種の濃度を低減させるため、具体的にはオゾンレベルを低減させるために使用することができる数々のメカニズムがある。図2に示されたリアクタでは、穴あきの二酸化マンガン(MnO2)ブロック170が、リアクタ100から出る空気の流れからオゾン(およびNOxなどのその他の反応性ガス)を実質的に除去する触媒130として使用される。二酸化マンガン触媒ブロックのメーカーとしては、韓国のKobat、日本東京の日揮ユニバーサル、日本東京のニチアス、米国ニュージャージーのEngelhard、および日本大阪の東洋紡など様々なメーカーが挙げられる。
【0080】
次に、図9を参照にして、適切な多孔質酸化マンガンブロック170について説明される。ブロック170は、リアクタ内の流体流路に適合するように成形される。このため、例示された実施形態では、ブロックは、概して長方形である。ブロックを通過する空気に対してブロックから大きな空力抵抗が付与されないようにするため、ブロック170の中には、小直径の多数の孔すなわち通路172が形成される。図9では、通路172が図示されているが、示されるよりも遥かに多くの通路が提供されるであろうことが理解されるべきである。また、通路は、必ずしも直線である必要はない。二酸化マンガンブロックの作成には、様々な製造技術が使用可能である。大抵の場合は、(ハニカムサポートなどの)フレームに粉末二酸化マンガンが塗布される。フレームは、各種の金属材料またはセラミック材料を含む任意の適切な材料で作成可能である。
【0081】
ブロックの厚さは、特定の応用のニーズを満たすように、様々に可変である。触媒の使用について一般に熟知した者ならば理解できるように、触媒は、その表面積および/または作用流体に対するその曝露が大きいほどより優れた働きをするのが通常であるので、ブロックの有効性は、一般に、曝露される表面積の大きさの関数である。例えば、およそ5〜100mmのブロックの厚さが、オゾンおよびその他の反応性ガスを除去するのに優れた働きをする。特定の一応用では、高表面積の厚さ15mmのブロックの使用が、リアクタを後にする浄化後の空気から測定不能な(すなわち1ppb(10億分の1)未満の)レベルまでオゾンを除去するのに優れた働きをする。
【0082】
説明された触媒の使用は、プラズマ生成器内において、より高強度のプラズマを使用することを可能にする。プラズマチャンバ内におけるプラズマの強度の増大は、数々の利点を有することが理解されるべきである。先ず、プラズマ濃度の増大は、プラズマチャンバ内における非活性化の効率を高める。また、増加したイオン濃度は、プラズマ生成器を通過する粒子により強い電荷を付与し、これは、粒子をより凝集しやすく、なおかつ静電フィルタによってより捕捉されやすくする。さらにまた、増大したイオン濃度は、オゾンの生成を増大させ、これは、結果として、静電フィルタの領域内におけるオゾン濃度を増大させる。静電フィルタ内における増大したオゾンレベルは、フィルタによって捉えられる生物学的実体の非活性化を向上させる。
【0083】
触媒の使用は、リアクタが、環境オゾンの量を実際に低減可能であることも意味している。これが機能するのは、リアクタに入り、拘束されないままプラズマチャンバおよび静電フィルタを通過する空気中のあらゆる環境オゾンが、触媒ブロック170によって除去されるからである。環境オゾンのレベルは、現代の航空機によって一般に使用される高度において大幅に高くなるので、環境オゾンが(生物学的非活性化に加えて)大きな問題となる環境の1つは、高高度の航空機応用(定期航空路線、商用機、旅客機、軍用器、およびその他の類似の航空機応用)においてである。説明されたリアクタは、航空機応用での使用に合わせて容易に大きさを設定可能である。航空機内を循環する空気の浄化に加えて、このようなリアクタは、キャビンに導入される外気からオゾンを実質的に除去するためにも使用することができる。
【0084】
環境オゾンおよびNOxは、また、スモッグの重要な構成要素でもあり、特定の呼吸器困難を有する患者にとっては有害となる可能性がある。このため、説明されたリアクタは、空気から反応種を実質的に除去することによって、住居応用、商業的応用、および医学的応用などの様々な応用において外気を浄化するために使用することができる。
【0085】
周囲空気中には、反応種に加えて、数々のその他の汚染物質がある可能性がある。概して、その他の大気汚染物質は、3つの主要なカテゴリに分類される。すなわち、粒状物質、生物的汚染物質、および揮発性有機化合物(通常はガスである)である。上述された静電フィルタは、一般に、生物的汚染物質を含む粒状物質を除去するのに非常に効果的である。説明されたリアクタは、また、生物的汚染物質を非活性化するにも非常に効果的である。リアクタ内には、生物的汚染物質を非活性化するために使用されるいくつかのメカニズムがある。先ず、生物的汚染物質の少なくとも一部は、プラズマチャンバ内において非活性化されると考えられる。プラズマチャンバで生き残った生物的汚染物質は、プラズマ生成器124,126と触媒130との間に位置する静電フィルタで捉えられる。プラズマ生成器が、大量のオゾンを生成する電圧で可動しているときは、プラズマ生成器124,126と触媒130との間の領域は、比較的高いオゾン濃度に曝される。この高オゾン領域は、プラズマチャンバで生き残ったあらゆる生物学的実体を非活性化するために、有利に使用することができる。より具体的に言うと、プラズマチャンバの下流のフィルタによって捉えられたあらゆる生き残りの生物学的実体(例えばウィルス、バクテリア、胞子など)は、静電フィルタの領域内に維持されている比較的高いオゾン濃度レベルによって、比較的短期間の間に非活性化される。すなわち、このような実体は、「捉えては燃やす(catch and burn)」タイプの筋書きにしたがって非活性化される。
【0086】
触媒は、空気流から反応種を除去しながら消費されることがないので、触媒の使用は、様々なオゾン吸収技術より優れたいくつかの利点を有する。これに対して、オゾン吸収剤タイプの製品は、通常、使用中にいくらか消費されであろうゆえに、一般に、吸収剤の定期的な交換を必要とするであろう。
【0087】
前述のように、多くの環境で見いだされる別のクラスの汚染物質は、揮発性有機化合物(VOC)である。揮発性有機化合物は、フィルタによって捕捉されないガスであるので、一般に、静電フィルタおよびエンハンスド型静電フィルタは、揮発性有機化合物を除去するのに効果的でない。図1に示されたプラズマリアクタは、プラズマ生成チャンバ26内におけるイオン化のレベルが増大しているゆえに、揮発性有機化合物に対していくらかの(比較的小さい)影響を有するが、大半のVOCは効果的に除去することができない。二酸化マグネシウムのもう1つの性質は、それが、VOCを除去するための触媒としても機能することである。しかしながら、二酸化マグネシウムは、VOCを低減させるよりも、オゾンおよびNOxを低減させる方で、より効率的である傾向がある。オゾンおよびNOxについて上述されたように、触媒ブロック130の有効性は、一般に、空気の流れに曝露される表面積の関数である。しかしながら、後述されるように、触媒130の効率を高めるために、いくつかの強化がなされてきた。
【0088】
リアクタを通過する空気の流れは、触媒ブロック130に入る時点では、(静電フィルタを通過したゆえに)ほとんど粒状物質を有さないのが一般的であるが、通常は、数々の荷電イオンを有することが理解されるべきである。本発明の別の一態様では、触媒の効率をさらに高めるために、触媒を静電場に曝すなおかつ/または触媒を電極化することが可能である。このような触媒電極は、荷電実体(例えばオゾン、NOx、および特定の荷電VOC)を触媒材料に引き付ける傾向があり、これは、荷電実体が触媒材料と接触して低減される確率を高めることによって、触媒の効率を向上させる。
【0089】
図2に示された実施形態では、触媒ブロック130は、電荷を帯びていない。しかしながら、代替の一実施形態(図2において点線で示される)では、触媒ブロック130を電極化することが可能である。二酸化マグネシウム自体は誘電体材料であるが、触媒ブロック130は、触媒用のフレームとして金属(またはその他の導電性)材料を使用し、次いで、そのフレームを適切な電源と電気的に接続することによって、容易に電極として形成することができる。上述のように、二酸化マグネシウム触媒は、一般に、粉末二酸化マンガンをサポートフレームに塗布することによって形成される。今日では、フレーム材料として金属が使用されることが多いので、単純に、金属フレームを使用し、その金属フレーム上にアクセス端子を設けることによって、容易に適切な電極を作成することができる。もちろん、触媒電極は、その他の種々様々なプロセスによっても形成可能である。フレームとして、種々様々な金属が使用可能である。例えば、アルミニウムが優れた働きをする。
【0090】
触媒130は、電極を形成するために、リアクタ100内において電気的に接続される。触媒は、正電極、負電極、または接地電極として使用可能である。図2に示された実施形態では、触媒130は、リアクタ内における最後に露出する要素である。したがって、その触媒は、もし電極として使用される場合は、考えられる安全性の問題から、接地電極となるように接地される。しかしながら、その他の実施形態では、触媒電極130は、正にまたは負に帯電可能である。
【0091】
触媒電極は、荷電実体または分極実体(例えばオゾン、NOx、および特定の荷電VOC)を触媒材料に引き付ける傾向があり、これは、これらの実体が触媒材料と接触して低減される確率を高めることによって、触媒の効率を向上させる。この荷電実体の横方向の運動は、また、通路172内における混合を(場合によっては乱流をも)促進する傾向もあり、これは、さらに、帯電できない実体(ベンゼン、トルエン、ヘキサン、エタノールなどの中性の揮発性有機化合物など)が触媒の表面と接触する確率を高めることによって、触媒の効力をさらに増大させる。これらの実施形態では、触媒電極は、その表面に、静電力によって粒子および気相分子を引き付ける。これらの力は、もし分子/粒子が帯電しているならば「コロンビック(columbic)」、もし分子/粒子が中性であるならば双極性であることが可能である。
【0092】
触媒電極の有効性は、触媒の電気的サンドイッチを効果的に形成するために、反対の極性を有する電極と組み合わせて使用される場合に向上される。これは、触媒電極と連携する別の(反対の極性の)電極を追加することによって、容易に実現することができる。あるいは、触媒電極は、静電フィルタブロック内の電極の1つ(好ましくは最後の電極)として使用することができる。触媒電極を反対の極性の電極と統合させると、荷電気相分子を触媒の表面に引き付ける静電力が大幅に強化される。
【0093】
前述のように、触媒ブロックを製造する共通の方法の1つは、粉末二酸化マンガンをハニカムタイプのフレームに塗布することである。電極としての触媒の有効性は、数々の尖った点を内部に有する金属(例えばアルミニウム)フレームを選択することによって高めることができる。電極内において尖った点を使用する利点は、引用によって本明細書に組み込まれる前掲の特許第6,805,732号においていくらか詳細に説明されている。このため、特定の一構成では、触媒ブロックは、フレーム全体に分布した(好ましくは比較的均一に分布した)尖った点を有する金属製のハニカムフレーム上に形成可能である。
【0094】
次に、図10を参照にして、触媒の別の一実施形態について説明される。この実施形態では、1対の触媒ブロック230が、互いに隔たれている。例示された実施形態では、触媒ブロックの間に混合板234が配置されている。混合板234は、空気の流れの中のVOCおよび反応種が触媒の壁と接触する確率をさらに上げるために、流体流に横方向の運動を付与するように設計される。たとえ混合板が排除された場合でも、触媒ブロック230の間に隙間を設けることによって、(混合板によって提供されるよりも少ないものの)何らかの混合が促進される。例えば、およそ0.5〜5cmの隙間が、優れた働きをする一般的な間隔であろう。ただし、その他の間隔も、同様に使用可能である。
【0095】
もちろん、3つ以上の触媒ブロックを提供し、空気の流れと触媒との間におけるより優れた相互作用を促進するために、触媒の前または間に適切な隙間、混合板、またはその他の構造を導入することも可能である。より優れた相互作用は、ひいては、触媒の効力を増大させる傾向がある。空気/触媒の相互作用をさらに促進するため、一部または全部の触媒ブロックを電極として随意に使用することが可能である。2つ(または3つ以上)の電極ブロックが使用される場合は、触媒の効率をさらに向上させるために、ブロックの極性を交互させることが可能である。
【0096】
上述された実施形態では、触媒は、静電フィルタの下流に配置された個々のブロックとして示されている。しかしながら、1つまたは複数の触媒を、リアクタ内のその他の様々な位置に配置することが可能である。例えば、触媒は、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を含む、プラズマリアクタのその他の事実上あらゆる構成要素上に、コーティングとして塗布可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を光触媒でコーティング可能である。同様に、光触媒は、静電フィルタ内の電極をコーティング可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタの効率を向上させる。
【0097】
酸化触媒:
次に、図11を参照にして、別のリアクタ設計について説明される。このリアクタ設計は、少なくとも一部の静電フィルタの上流に酸化触媒242が追加された点を除き、図2に示されたリアクタの設計に極めて似ている。また、説明されたシステムの一部の柔軟性を例示しようとする努力の一環として、提供された各種の構成要素の数をいくらか変更してある。例示された実施形態では、酸化触媒242は、プラズマ生成器126と静電フィルタ128との間の、プラズマ生成器の下流に配置されている。しかしながら、酸化触媒は、リアクタ内の様々な代替の位置に設けることができる。ただし、副生成物としてオゾンを生成しやすい場合は、還元触媒130の上流に配置することが望ましい。
【0098】
既知の酸化触媒は、ひとにぎりである。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)および酸化チタン(TiO2)が、低い(すなわち通常の周囲)温度において優れた働きをする。このような触媒は、一般に、イオン濃度の高い環境にあるほど多量の酸化種(例えばオゾン)を生成するゆえに、プラズマ生成器の少なくとも1つの下流に配置されることが好ましい。
【0099】
酸化触媒は、静電フィルタ内のオゾン濃度のレベルを増大させることができ、これは、さらに、静電フィルタ内で捕捉されるあらゆる生物学的実体を非活性化させる効力を向上させる。酸化触媒が実用的であるのは、主に、還元触媒130が、静電フィルタを通過した後の流体の流れから過剰な酸化種(例えばオゾン)を除去するのに非常に効果的であるからである。オゾンを生成するのに加えて、酸化触媒242は、各種の揮発性有機化合物(VOC)も酸化するので、流体の流れの中のVOC濃度を低減させるのに極めて有用である。
【0100】
図11に示された実施形態では、単一の還元触媒130の代わりに、相隔てられた1対の還元触媒電極170が設けられている。触媒電極は、反対の極性の電荷を帯びることによって、静電的な触媒サンドイッチを形成する。これは、上述のように、触媒の効率をさらに向上させる。図11に示された実施形態は、また、プラズマ生成器(この場合は負プラズマ生成器126であるが、もちろん、その他の任意の適切なプラズマ生成器が使用可能である)を1つのみ含み、さらに、3つの一連の静電フィルタを含む。
【0101】
上で指摘されたように、酸化触媒および還元触媒は、ともに、揮発性有機化合物を破壊できるという利点がある。しかしながら、VOCを除去するそれらの効率は、酸化種を生成または除去するそれらの能力ほど大きくない。上述された各種の触媒の実施形態では、システムは、主に、リアクタ内および/または流出する流れの中の反応種の量を制御するように設計される。しかしながら、一部の応用では、VOCがより大きな懸念であり、したがって、VOCを破壊するようにより良く構成された形にリアクタを設計することが望しいであろう。これは、様々な方法で実現可能である。リアクタの事実上あらゆる構成要素は、リアクタのVOC除去効率をさらに向上させるために、触媒でコーティング可能である。具体的には、リアクタの効率を向上させるために、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を触媒でコーティング可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を、二酸化マンガン(MnO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、および酸化チタン(TiO2)などの触媒でコーティング可能である。同様に、このような触媒は、静電フィルタ内の電極用の絶縁体として使用可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタのVOC除去効率を向上させる。プラズマチャンバ内における二酸化マンガンの使用は、生成器内および生成器の下流におけるオゾンレベルを低減可能であることが理解されるべきである。放電電極とレセプタ電極との間の一定の電位差において、これは、下流の静電フィルタ内で生物学的実体を「捉えては燃やす」ために使用することができるオゾンの量を低減させるであろう。しかしながら、リアクタは、オゾンの超過供給、および静電フィルタ内で捕捉された生物学的実体に対する長期に及ぶオゾンの曝露を、生物学的実体の非活性化に十分であるように保証するであろう電位差で可動することができるので、これは、問題とならないことが多い。また、状況によっては、チャンバ壁触媒コーティングの使用によって、プラズマチャンバをより高い電位差で動作させることが可能になる。これは、チャンバ内のイオン化レベルをさらに増大させ、リアクタ全体の効率を向上させる。
【0102】
一部の応用では、触媒をブレンドし、両者のメリットを得ることが望まれる。例えばTiO2などの酸化触媒をMnO2などの還元触媒とブレンドし、両者のメリットを得ることが可能である。この例では、所望のブレンドは、特定の応用で望まれるVOC低減およびオゾン除去の相対レベルの関数である。
【0103】
一具体例において、TiO2によるプラズマチャンバ壁のコーティングは、とりわけUV照射に曝露された場合に、VOCをカットするのに極めて優れた働きをする。しかしながら、これは、オゾンをカットするには特に効果的ではない。MnO2は、オゾンを低減させるのに優れた働きをし、VOCを低減させるのにいくらかの効力を有するが、とりわけUV照射に曝露された場合のTiO2ほど常に効果的ではない。両者のメリットを得るには、TiO2とMnO2とのブレンドを使用することができる。前述のように、所望のブレンドは、特定の応用で望まれるVOC低減およびオゾン除去の相対レベルの関数である。
【0104】
光触媒の酸化:
揮発性有機化合物(VOC)に一部の触媒(特に酸化チタン(TiO2))が及ぼす影響は、その触媒を紫外線放射に曝露することによって大幅に増大させることができる。すなわち、紫外線放射への曝露は、TiO2の表面において光触媒酸化反応を生じさせる。より具体的に言うと、UVに曝露されたTiO2は、OH、酸素、過酸化物(H2O2)のラジカルを生成すると理解され、これらは、いずれも、微生物およびVOCなどを含む有機種を酸化するのに非常に効果的である。したがって、さらにその他の実施形態では、リアクタの効率をさらに向上させるために、リアクタ内に、酸化光触媒と組み合わせて紫外線放射源を導入可能である。
【0105】
図12に、このような構成の1つが示されている。この実施形態では、UV光源262と光触媒265との組み合わせがリアクタに追加される。例示された実施形態では、UV光源262は、静電フィルタスタック128の下流になおかつ触媒130の上流に配置される。静電フィルタスタック128内の最後の(最も下流の)電極165が、酸化チタンなどの光触媒265でコーティングされる。別途の穴あき光触媒ブロック268もまた、UV光源の下流にかつ触媒130の上流に配置される。UV光源262は、光源262によって生成されたUV光に光触媒265,268が曝露されるように配置される。
【0106】
その他の実施形態では、UV光源をプラズマリアクタ内のその他の位置に設置可能である、あるいは複数のUV光源をリアクタ内の複数の位置に設置可能である。例えば、UV光源は、代替として(あるいは追加として)、プラズマチャンバの前、プラズマチャンバの中、静電フィルタスタックの前、または(例えば静電フィルタ間に配置されたもしくは少なくとも部分的に静電フィルタと統合された構成要素として)静電フィルタスタックの中間に配置可能である。さらにその他の実施形態では、UV光源は、リアクタ全体にUV放射を浴びせることが可能である。
【0107】
説明されたその他の触媒と同様に、光触媒は、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を含む、プラズマリアクタのその他の事実上あらゆる構成要素上に、コーティングとして塗布可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を光触媒でコーティング可能である。同様に、光触媒は、静電フィルタ内の電極をコーティング可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタのVOC除去効率を向上させる。
【0108】
別の一実施形態(不図示)では、UV光源は、プラズマ生成器126の下流になおかつ静電フィルタスタック128の上流に配置される。静電フィルタスタック128内の最初の(最も上流の)電極165が、光触媒265でコーティングされる。この構成は、静電フィルタの前に追加の酸化種を生成できるという利点を有するが、第1の電極は、比較的速くダストで覆われる傾向があるので、一般に、比較的頻繁に洗浄する必要があるであろう。
【0109】
光触媒は、別途の構造(例えば光触媒268などの、または触媒170について上述されたような、穴あきブロック)に載せることが可能である、あるいはリアクタ内のその他の構造の中のUV光に曝露される一構造の表面に塗布可能である。例えば、図12に示された実施形態では、光触媒は、静電フィルタスタック内の最下流電極165にも塗布される。代替としてあるいは追加として、第1の触媒ブロック130(または少なくとも第1の触媒ブロックの上流表面)が、光触媒でコーティング可能である、または光触媒の形態をとることが可能である。
【0110】
なお、酸化光触媒(上述された酸化触媒など)は、流体の流れの中の酸化種の濃度を増大させられることが理解されるべきである。例えば、UV光源は、一部のUV波長(例えば254nm)では過剰なオゾンを実際に低減可能である一方で、その他のUV波長(例えば380nm)では追加のオゾンを生成可能である。したがって、多くの応用では、リアクタから排出される前に流体の流れから過剰な酸化種を除去するために、光触媒の下流に還元触媒を含ませることが重要である。したがって、多くの実施形態では、酸化光触媒は、還元触媒の上流に設けられる。酸化光触媒は、一部の実施形態では還元触媒のすぐ上流に設置可能である一方で、その他の実施形態では還元触媒の遥か上流に配置可能である。
【0111】
さらにその他の実施形態では、酸化光触媒を還元触媒と混合することが望ましいであろう。例えば、酸化チタン(TiO2)と二酸化マンガン(MnO2)との混合を複合光触媒として用いることが望ましいであろう。このような混合では、酸化チタンは、光触媒効果を生じる唯一の材料であると考えられる。しかしながら、酸化触媒と還元触媒とを混合させることに関するより一般的な議論のなかで上述されたのとほぼ同じ理由で、光触媒における混合の使用は、流体の流れの中でVOCを低減させることおよび酸化種を低レベルに維持することの両方に、何らかの利点があるであろう。
【0112】
UV光源262は、触媒内に光触媒効果をもたらすことが知られている様々なUV波長の中の任意の波長で光を放射することができる。例えば、光触媒として酸化チタンが使用される場合は、150〜380nmの範囲のUV波長が優れた働きをする。例えば、254nmまたは380nmの放射を放つ紫外線ランプは、最も一般的な市販のUV光源の1つであり、いずれも、光触媒効果をもたらすのに優れた働きをする。
【0113】
およそ254nmの波長を有する紫外光(殺菌UVと称されることもある)は、生物有機体を中和する効果を有する。また、還元(オゾンを変換する)効果も有する。したがって、およそ254nmの波長を有する殺菌UVを放射するUV光源の使用は、単に、触媒において所望の光触媒酸化を生じさせることに加えて数々のメリットを有する。したがって、多くの実施形態では、およそ254nmの波長を有する殺菌UVを放射するUV光源を用いることが望まれる。
【0114】
光源262として、任意の適切なUV光源が使用可能である。例えば、UVランプ、発光ダイオード(LED)、および光ファイバ(例えば石英ファイバ光ケーブル)が、UV光源として容易に使用可能である。
【0115】
その他のコーティング:
上述された各種の実施形態に関する説明では、いくつかの特定の触媒が明記されている。これらの触媒は、リアクタ内の特定の位置で反応種の濃度を低減(または増大)させること、VOCを除去することなどを可能性として含む、説明された機能を実施するのに非常に優れた働きをする。その他に、リアクタを通過する空気の流れに対して類似のまたはその他の所望の効果を及ぼすためにリアクタ内で有利に使用可能である数々の材料が存在する。実際、各種のVOCを除去するために特に有益でなおかつリアクタ内で首尾良く使用可能であるその他の様々な触媒および数々の吸収性材料がある。例えば、特定のケイ酸マグネシウムおよび過マンガン酸カリウムは、特定のVOCを除去または吸収する能力を有する。このような使用の1つが、果物包装の応用においてエチレン(特定のVOCである)を吸収するためにこれらの材料を使用することを記載した米国特許第5,955,004号に明記されている。これらの材料は、リアクタのVOC除去能力をさらに向上させるために、リアクタ内で用いることが可能である。上述された触媒と同様に、ケイ酸マグネシウムおよび過マンガン酸カリウムは、所望の結果を実現するために、別途の吸収性構成要素として提供可能である、あるいはリアクタの1つまたは複数の既存の構成要素にコーティング可能である。例えば、これらの材料は、単独で、あるいはその他の触媒または吸収コーティングと組み合わせて、電極または静電フィルタの誘電体などの構成要素にコーティング可能である。その他の実施形態では、これらは、1つまたは複数の触媒(例えば触媒130)と混合可能である。さらにその他の実施形態では、これらは、前述の触媒の一部と全く同様に、流体の流れを受け取る別途の多孔質ブロックに塗布可能である。
【0116】
VOCを除去するために使用される物理的なメカニズムは、完全には理解されていない。これらの材料は、VOCの酸化(したがってその除去)を引き起こすと推測される。酸化の効力は、非常に高濃度のイオンおよび反応種を有するリアクタの環境内で大幅に向上されると考えられるが、これらの材料は、酸化を誘発する触媒効果があると思われる。材料は、リアクタ内の電極上または誘電体コレクタ上にコーティングされると、静電気引力によってさらにその効力を高めることができる。
【0117】
その他に、VOC(またはその他の特定の物質)の除去を助けるためにやはりリアクタ内において使用することができる数々の既知の吸収性材料がある。例えば、ゼオライト、活性炭、および酸化アルミニウム(アルミナ)は、いずれも、VOCを吸収するものとして知られている。リアクタ内でイオンおよび反応種が高濃度であること、および吸収剤にVOCを引き付けるために静電気引力が使用可能であるという事実ゆえに、これらのいずれの化合物も、リアクタ内でのそれらの使用によって性能を向上されると考えられる。したがって、前述の触媒および吸収剤と同様に、これらの吸収性材料は、所望の結果を実現するために、別途の吸収性構成要素として提供可能である、あるいはリアクタの1つまたは複数の既存の構成要素にコーティング可能である。例えば、これらの材料は、単独で、あるいは触媒またはその他の吸収コーティングと組み合わせて、電極または静電フィルタの誘電体などの構成要素にコーティング可能である。その他の実施形態では、これらは、単独で、あるいはその他の吸収剤または触媒と組み合わせて、流体の流れを受け取る別途の多孔質ブロックに塗布可能である。
【0118】
応用:
説明されたリアクタは、非常に種々様々な応用において、空気(またはその他のガス状流体)を汚染除去する、浄化する、および/またはろ過するために使用可能である。例えば、応用の1つは、病院および/またはその他の健康管理環境のための空気浄化および汚染除去システムにおける使用である。病院環境では、院内感染が深刻な問題であることがよく理解されている。とりわけ、免疫不全の患者は、非常に感染を受けやすく、合併症および病院関連の死のかなりの割合は、院内感染に起因する。したがって、健康管理環境における使用を意図した空気浄化システムに望まれる特徴の1つは、フィルタを通過する浮遊生物学的因子の完全なる非活性化である。説明されたリアクタは、このような非活性化によく適している。
【0119】
上述されたもう1つの応用は、航空機のろ過システムにおける使用である。このような応用では、生物学的汚染除去、ろ過、オゾン除去、およびVOC除去の全てが望ましい特徴であり、説明されたリアクタは、やはり、このような応用における使用によく適している。もう1つの応用は、商業用建築および住居建築の応用における空気のろ過である。一部の環境では、ろ過および/またはVOCの除去がとりわけ重要だと見なされる。その他では、生物学的汚染除去が最も重要である。さらにその他の応用では、環境から反応種(例えばオゾンおよびNOx)を除去することも望ましいであろう。
【0120】
多くの応用において、望ましいとされる特徴は、フィルタを通過する空気から極めて高い割合の浮遊粒状物質を除去することである。広く用いられている基準の1つは、HEPA(高性能)フィルタと称される。定義によると、高性能フィルタは、フィルタを通過する0.3ミクロンの浮遊粒状物質の99.97%以上を除去できなければならない。説明されたリアクタは、HEPAの捕集効率を達成するように容易に設計することができる。
【0121】
もう1つの大きな応用は、空気をろ過、汚染除去、および/または浄化することをしばしば望まれる住居用ならびに商業用の空気処理市場における使用である。リアクタは、一部の応用において、建物の中の暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムに組み込み可能である一方で、その他の状況では、局所的な室内または作業場領域における動作することを意図した装置に組み込み可能である。
【0122】
上述のように、UV照射への曝露によって引き起こされる酸化チタン内における光触媒表面効果は、VOCを除去するのに非常に効果的である。したがって、UV光源と光触媒との組み合わせは、VOC除去の向上を必要とする応用においてとりわけ有用である。VOCは、例えば住居用および商業用の暖房、換気、および空調(HVAC)応用、航空機およびその他の輸送手段の空気再循環システム、ならびに様々な医学的応用を含む、種々様々な空気浄化およびろ過の応用において問題であると見なされる。
【0123】
リアクタの構成要素(例えばイオン生成器またはプラズマ生成器の数、大きさ、およびタイプ、ならびに静電フィルタや(もし使用されるならば)触媒などの数およびタイプ)は、事実上あらゆる特定の応用のニーズを満たすように選択することができる。
【0124】
リアクタのための物理的収納もまた、様々に可変である。多くの応用では、リアクタ設計において構成要素を容易に加減可能であるように、なおかつ/あるいはリアクタ構成要素の交換またはメインテナンスが容易に実施可能であるように、モジュラー式の収納を提供することが望ましいであろう。とりわけ、フィルタは、定期的に洗浄または交換することが必要とされる、あるいは望まれるであろう。その他の構成要素もまた、定期的に洗浄またはメインテナンスを必要とするであろう。しかしながら、通常は、フィルタが、最も頻繁に洗浄または交換されるであろう。リアクタの収納に適したフレームの1つが、引用によって本明細書に組み込まれる同時係属米国出願第11/445,087号に記載されている。
【0125】
以上では、本発明のいくつかの実施形態のみが詳細に説明されてきたが、本発明は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに、その他の多くの形態で実装可能である。本発明は、主に、プラズマリアクタをベースとした空気の汚染除去、ろ過、および浄化のシステムに統合させることとあわせて説明されてきた。しかしながら、本明細書で説明された発明の大部分は、種々様々な応用においても使用可能であることが理解されるべきである。例えば、静電フィルタ関連の発明は、あらゆる静電フィルタ応用において使用可能であり、プラズマリアクタをベースにした汚染除去および/または浄化のシステムにおける使用に決して限定されない。同様に、触媒関連の発明の多くは、様々なイオンエンハンスド型のろ過応用において使用することができる。このため、説明された各種の発明は、併用または個別使用が可能であり、プラズマリアクタの一部として統合可能である、あるいはその他のろ過システムにおいて使用可能である。
【0126】
以上の説明において、プラズマ生成器および各種の電極は、電位を印加されるものとして説明されてきた。印加される電位は、場合によっては地電位である。その他の場合では、印加される電位は、正電位または負電位であることが可能である。絶縁電極の説明にあたって、特定の実施形態では、電荷分布格子に電荷源が印加された。電荷源は、ときには、正または負の電荷源とは対照的に、単純に接地であることが可能であることがわかる。したがって、本実施形態は、例示目的であって限定目的ではなく、本発明は、本明細書において定められた詳細に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲およびそれらのあらゆる等価形態の範囲で変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】プラズマをベースにした既存の空気浄化およびろ過システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態にしたがった、プラズマをベースにした空気浄化およびろ過システムの概略図である。
【図3(a)】並行に配置された複数の隣り合う六角形のプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の端面図である。
【図3(b)】並行に配置された複数の隣り合う円筒形のプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の端面図である。
【図4】本発明の第1の態様の一実施形態にしたがった、静電フィルタの誘電体の形成に使用可能な高空隙率の不織繊維マットの概略図である。
【図5(a)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(b)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(c)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(d)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(e)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(f)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(g)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(h)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図6】本発明の別の態様の一実施形態にしたがった、使用に適した金属化され絶縁された静電フィルタ電極設計の概略図である。
【図7(a)】金属化され絶縁された2つの異なる電極設計の断面図である。
【図7(b)】金属化され絶縁された2つの異なる電極設計の断面図である。
【図8】複数の静電フィルタ電極の金属化層を電気的に接続するのに適した1つの構成の概略図である。
【図9】本発明の別の態様にしたがった、プラズマリアクタにおける使用に適した触媒の概略図である。
【図10】代替の一触媒構成の概略図である。
【図11】酸化触媒を含む別のリアクタ設計の概略図である。
【図12】紫外線によるVOC除去のシステムを含む別のリアクタ設計の概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、空気浄化リアクタおよび静電フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、空気の浄化および/またはろ過に使用される種々様々な技術がある。このような技術の1つが、静電フィルタである。概して、静電フィルタは、1対の電極の間に配置された多孔質の誘電体材料を含む。流体の流れ(例えば空気)は、誘電体材料を通過するように構成される。能動静電フィルタでは、フィルタを通過する空気の流れの中の粒状物質を誘電体に付着させるのに十分な強さの静電場を誘電体材料内に誘導するために、電極間に相当な電位差が印加される。
【0003】
ごく最近、イオンエンハンスド型の静電フィルタが開発された。イオンエンハンスド型の静電フィルタは、イオン源を静電フィルタの前面に設けることによって、該フィルタを通過する空気によって運ばれる粒状物質の一部に電荷を付与しようと試みたものである。イオン化器(イオナイザ)によって粒状物質に付与される電荷は、誘電体内における電荷自身の収集を助ける傾向がある。
【0004】
本出願の譲受人によって所有される米国特許第5,474,600号は、空気の生物学的浄化およびろ過のための装置を開示する。概して、この‘600特許は、いずれも直列に配置された、粗い静電フィルタ1と、円筒形または多角形のイオナイザ5と、細かい静電フィルタ10とを用いたシステムを開示している。記載された一部の実施形態では、反対の電荷を付与する1対のイオナイザが、粗い静電フィルタと細かい静電フィルタとの間に直列に配置されている。システムは、空気の流れで運ばれる生物学的実体(例えば微生物およびウィルス)を不活性化する(すなわち殺す)ように、なおかつその空気の流れから粒状物質をろ過するように構成される。
【0005】
この種の空気浄化およびろ過システムの商業用の実施形態が、空気を浄化、ろ過、および汚染除去する目的で、MIR宇宙ステーションや病院などで成功裏に使用されてきた。このようなシステムの代表的な商業用の一実施形態が、図1に概略を示されている。図に示されるように、システム20は、静電前置フィルタ22と、負プラズマ生成器26と直列に配置された正プラズマ生成器24と、負プラズマ生成器26の下流に配置された4つの一連の静電フィルタ28とを含む。各直流プラズマ生成器24,26は、並行に配置された複数の(例えば6セルの)円筒形のプラズマ円柱で構成される。各セルは、円筒形の電極チャンバに囲まれた針状のイオン化電極を有する。電極の1つは接地され、一方で、対向する電極には4000ボルトまたは7600ボルトのいずれかの直流電位が印加される。静電フィルタは、米国特許第5,474,600号または米国特許第6,805,732号に記載のように形成可能であり、プラズマチャンバは、米国特許第5,474,600号または米国公開出願第2005/0098040号に記載のように形成可能である。これらの特許および特許出願は、全て、引用によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0006】
記載されたシステムは、優れた働きをするが、様々な応用のニーズを満たすことができる、改良されなおかつ/またはより費用効果の高い、浄化および/またはろ過の装置を提供する努力が引き続きなされている。
【発明の開示】
【0007】
様々な改良を有する空気浄化装置について説明される。1つの態様では、通過する流体の流れで運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたプラズマリアクタについて説明される。該リアクタは、流体の流れを受け取るように、そしてその流体の流れで運ばれる粒状物質を、通過する粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有する非熱的(コールド)プラズマに曝すように構成されたプラズマチャンバを含む。プラズマチャンバの下流には、多孔質触媒が提供され、流体の流れを受け取るように構成される。触媒は、流体の流れがプラズマリアクタから出る前に、その流体の流れに含有される反応種の変換を大幅に向上させるように構成される。好ましい一実施形態では、触媒は、二酸化マンガン(MnO2)である、または二酸化マンガンを含む。別の好ましい一実施形態では、触媒は、酸化チタン(TiO2)である、または酸化チタンを含む。しかしながら、特定の応用では、その他にも様々な触媒が使用可能であることが理解されるべきである。
【0008】
触媒は、動作時に、プラズマリアクタから出るオゾンを環境オゾン濃度レベル未満のレベルに低減させるように構成することができる。一部の状況で、もし環境NOxレベルがとりわけ高い場合は、触媒は、流出する流れの中のNOxレベルを環境NOxレベル未満に下げるようにも構成することができる。
【0009】
多くの実装形態では、プラズマリアクタは、生物有機体を不活性化するように構成される。一部の実装形態では、プラズマチャンバ内の非熱的(コールド)プラズマは、揮発性有機化合物を酸化するほどに十分に強く、触媒は、さらに、揮発性有機化合物を破壊するように構成される。
【0010】
別の一態様では、オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システムでの使用に適した触媒について説明される。この態様では、触媒は、隔てられた少なくとも2つの多孔質二酸化マンガン触媒ブロックを含む。触媒ブロックは、空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが触媒ブロックを順次通過するように、空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される。一部の実施形態では、第1の触媒ブロックと第2の触媒ブロックとの間の空気流路内に、混合板を配置することが可能である。
【0011】
さらに別の一態様では、触媒電極について説明される。この態様では、触媒は、電極上に載せられる。この配置を用いると、触媒に荷電種を引き付けるために、使用中に電極に電位を印加可能である。一部の実施形態では、触媒電極は、導電性電極として機能する金属フレームを含み、触媒材料は、金属フレームに塗布された二酸化マンガンである。一部の実装形態では、金属フレームは、尖った先をともなうハニカム構造を有することが可能である。
【0012】
もう1つの別の態様では、イオナイザと、静電フィルタと、光触媒と、イオナイザと区別されるUV光源とを含む空気浄化装置について説明される。イオナイザは、空気浄化装置を通過するガス状流体の流れにイオンを導入するように構成される。静電フィルタは、イオナイザの下流に配置され、流体の流れから粒子を静電的にろ過するように構成される。UV光源は、光触媒を紫外光に曝すように配置され、静電フィルタの上流、下流、または中間に設置することができる。この構成を用いると、光触媒に作用する紫外光は、光触媒において光触媒酸化反応を生じさせ、これは、流体の流れによって運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる。
【0013】
一部の実施形態では、光触媒は、酸化チタン(TiO2)である。さらにその他の実施形態では、光触媒として、酸化チタン(TiO2)と(二酸化マンガン(MnO2)などの)還元触媒との混合を使用することが可能である。多くの実施形態では、光触媒は、通過する流体の流れを受け取るように構成された多孔質構造に塗布される。光触媒は、個別の構成要素であることが可能である、あるいは浄化装置の1つまたは複数の構成要素(静電フィルタの電極や誘電体など)に塗布することが可能である。
【0014】
光触媒を活性化するために、様々な波長の紫外光を使用することが可能である。例えば、およそ150〜380nmの範囲の波長を有する紫外線放射が、優れた働きをする。殺菌紫外線放射(およそ254nmの波長を有する紫外線放射)は、数々の副次的利点をともなうので、多くの応用において、とりわけ望ましいとされる。
【0015】
空気浄化装置は、プラズマリアクタの形態をとることが可能である。このような実施形態では、イオナイザは、通過する粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマを生成することが好ましい1つまたは複数のプラズマチャンバの形態をとる。プラズマリアクタは、そのほかに様々な構成要素を有してよく、さらに、前置フィルタ、追加の静電フィルタ、追加の酸化触媒および還元触媒などを含むことも可能である。
【0016】
一部の実施形態では、光触媒の下流に第2の触媒が配置される。第2の触媒は、流体の流れがプラズマリアクタから出る前に、流体の流れに含有される反応種の濃度を大幅に低減させるように構成される。
【0017】
さらにその他の態様では、改良された静電フィルタについて説明される。このような一態様では、改良された誘電体材料が提供される。誘電体は、空隙率が97%以上でかつ屈曲が1.7以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットを構成する。繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有する。好ましい各種の実施形態では、誘電体マットの空隙率は、99%を超える。孔は、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ三次元に開いている。好ましい各種の実施形態では、誘電体媒体(マット)の屈曲は2以上であり、より好ましくは5以上である。
【0018】
繊維の最大断面幅は、0.1〜50ミクロンの範囲であることが好ましい。一部の実装形態では、誘電体マットを形成する繊維は、ポリプロピレンなどの疎水性材料で形成される。
【0019】
一部の実装形態では、繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい1つ以上(より好ましくは2つまたは3つ以上)の個別の領域を有する。
【0020】
さらに別の一態様では、絶縁電極を有する静電フィルタについて説明される。このような実施形態では、絶縁体上における反対の電荷の堆積を阻止する対策が講じられる。このような電荷の堆積は、誘電体内に形成される静電場の強さを時間とともに大幅に劣化させ、そうして、静電フィルタの性能を低下させるであろう。反対の電荷の蓄積の問題を軽減するための様々なメカニズムについて説明される。
【0021】
第1の態様では、電極の1つ(第1の電極と称される)が、導電性材料で形成されたコアと、該コアを電気的に絶縁する絶縁層と、該絶縁層によってコアから隔離された電荷分布導体とを含む。第1の電極の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるため、第1の電極と同じ極性を有する電荷源が、第1の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に導体に印加するように構成される。
【0022】
一部の実施形態では、第1の電極と同じ極性を有するイオン源が、電荷源として機能する。この構成では、イオン源は、第1の電極上の導体と通じるように構成され、イオン源は、静電フィルタの動作中に第1の電極の絶縁層上に蓄積しようとする反対の電荷を中和するように構成される。その他の実施形態では、電荷ポンプなどの代替の電荷源を、間欠的に導体に接続することが可能である。
【0023】
一部の実施形態では、両方の電極が絶縁される。第2の電極は、また、関連の絶縁層によって第2の電極コアから電気的に絶縁された第2の電荷分布導体を随意に含むことが可能である。このような構成では、第2の電荷源は、第2の電極の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、第2の導体に周期的に印加することが可能である。
【0024】
一部の実装形態では、第1および第2の電極上において、異なる絶縁体が使用される。例えば、別の一態様では、絶縁層の一方または両方が、本明細書において雑多な絶縁層と称されるものであることが可能である。雑多な絶縁層は、正常動作条件下ではそのコアを電気的に絶縁して短絡を阻止する一方で、第1および第2の電極によって誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が電極上に堆積するのを阻止するのに十分な速度で、電極上に堆積しようとする反対の電荷を絶縁体を通ってコアへと移動させることを可能にする層である。各種の実施形態では、雑多な絶縁体を、一方または両方の電極に使用することができる。
【0025】
方法の一態様では、静電フィルタは、先ず、第1の極性を有する第1の電位を第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を第2の電極に印加することによって動作される。電極に印加される電位の極性は、次いで、第1および第2の電極によって誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷をいずれの絶縁電極上にも堆積させないように、周期的に逆転される。
【0026】
別の一態様の方法では、絶縁電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に電荷源を印加することによって、そうでなければ電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和する。これらの構成を用いれば、誘電体内における誘導場を大幅に劣化させるだけの電荷が電極上に堆積することはない。
【0027】
概して、本発明の各種の態様は、個別に使用することも、あるいは互いに組み合わせて使用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付の図面に関連させた以下の説明を参照することによって、本発明を、そのさらなる目的および利点とともに、最も良く理解することが可能である。
【0029】
図中、類似の参照符号は、類似の構成要素を指していることがわかる。また、図中の描写は、図式的なものであり、縮尺どおりではない。
【0030】
本発明は、概して、流体の汚染除去、ろ過、および/または浄化の装置に関する。上述されなおかつ図1に示されたプラズマリアクタは、ひとつには、そのイオナイザ(プラズマ生成チャンバ26)が、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタより大幅に高いイオン化レベルを可能にするという点で、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタと異なる。例えば、従来のイオンエンハンスド型フィルタは、およそ2マイクロアンペア/cmの電流密度を使用しておよそ1012個/m3の複合(平均)電子密度を生成することができる。これに対して、上述されたプラズマ生成チャンバ26は、およそ3.5マイクロアンペア/cmの電流密度を使用しておよそ1013個/m3の複合電子密度を生成することができる。これは、電子濃度(したがってイオン濃度)を約一桁増大させる。このような装置は、欧州およびロシアにおいて商業的に使用されており、従来の空気浄化および/またはろ過のシステムに優る大きな利点を有することがわかっている。例示されたシステムは、優れた働きをするが、一方では、この設計をさらに改良する努力が引き続きなされている。
【0031】
なお、イオン化チャンバ(例えば円筒形または多角形のイオン化チャンバ26,140,150)は、本明細書において、プラズマ生成チャンバとしばしば称されることに留意せよ。これは、イオン化電極の周囲に形成されるプラズマゾーン、およびそれに対応するチャンバ内におけるイオン濃度が、従来のイオンエンハンスド型静電フィルタで使用されるイオナイザによって生成されるよりも、概して大幅に大きいからである。詳述されるように、空気浄化およびろ過装置(リアクタ)内におけるイオン化強度は、リアクタの効力および効率に対して数々のプラスの影響を及ぼすことができる。
【0032】
説明されたプラズマ生成器内で生成されるプラズマは、「非熱的」プラズマまたは「コールド」プラズマと一般に称される。すなわち、プラズマは、装置が使用されている環境での周囲の大気温度付近の温度で生成され、電子は、大幅に高温である。これは、イオンおよび電子がともに高温で共存する「熱」プラズマすなわち「ホット」プラズマと対照的である。
【0033】
図2を参照にして、本発明の一実施形態にしたがったプラズマリアクタについて説明される。この実施形態では、プラズマリアクタ100は、前置フィルタ122と、正プラズマ生成器124と、負プラズマ生成器126と、一連の能動静電フィルタ128と、触媒コンバータとして機能する触媒130とを含む。これらの要素は、全て、直列に配置されるので、ガス状流体(例えば空気)は、前置フィルタ122に入り、プラズマ生成器124,126、静電フィルタ128、および触媒130を順次通過する。
【0034】
前置フィルタ122は、一般に、大きな粒子を捕捉することを意図している。前置フィルタは、静電フィルタおよび交換可能な単純な機械的フィルタを含むあらゆるタイプのフィルタであることが可能である。例示された実施形態では、不織マットタイプの、交換可能な単純な前置フィルタが使用される。しかしながら、その他の実施形態では、能動または受動の静電前置フィルタを使用することが可能である。能動静電前置フィルタを使用するメリットの1つは、該フィルタが、リアクタに入る粒子に双極子を作用させることによって、それらの粒子をプラズマチャンバにさらにより影響されやすくすることである。
【0035】
プラズマ生成器:
正プラズマ生成器124は、正の電荷を帯びたコールドプラズマを生成するように構成される。図に示された実施形態では、プラズマ生成器は、図3(a)および図3(b)に示されるように、並行に配置された複数の隣り合うプラズマチャンバで構成される。適切なプラズマ生成器の構成が、引用によって本明細書に組み込まれる前述の‘600特許および同時係属米国出願第10/4,450,565号に記載されている。各チャンバ140は、針状の正極性放電電極141と、チャンバ壁144と、レセプタ電極147とを含む。チャンバ壁144は、レセプタとしても機能するように構成される。前置フィルタが能動静電前置フィルタである場合は、レセプタ電極147は、前置フィルタの電極の1つとしても随意に使用可能である。コールドプラズマを生成するため、放電電極141とレセプタ電極147との間に高電位差が印加される。例えば、多くの応用では、約4,000〜20,000ボルトの(またはそれを上回る)電圧差が優れた働きをする。適切な電圧差は、正極性放電電極141に高い正の直流電位を印加する一方でレセプタ電極147およびチャンバ壁144の両方に地電位を印加することによって形成することができる。その他の実施形態では、正極性放電電極141に正の直流電位を印加する一方でレセプタ電極およびチャンバ壁に負の電位を印加することが可能である。一般に、プラズマの形成にとって最も重要なのは、それぞれの電位の絶対値よりもむしろ、電位差である。
【0036】
放電(またはコロナ)電極141は、チャンバ壁144と実質的に同軸に配置され、チャンバを通る正味の気体流の方向に実質的に並行である。チャンバの断面形状は、いくぶん可変である。
【0037】
負プラズマ生成器126は、正プラズマ生成器126と同様に構成される。主な違いは、各チャンバ150内の負極性放電電極151には負の(または地)電位が印加される一方で、レセプタ電極157およびチャンバ壁154には正の電荷が印加されることである。もちろん、正プラズマ生成器124の場合と同様に、両電極間の電位差が所望のコールドプラズマを生成するのに十分である限り、両電極が同じ極性を有することも可能である。しかしながら、このような実施形態は、一般に、好ましい度合いがかなり劣る。
【0038】
図2の概略図では、正プラズマ生成器を表すのに単一チャンバが、そして負プラズマ生成器を表すのに別の単一チャンバが示されている。しかしながら、ほとんどの実装形態では、各プラズマ生成器として、並行に配置された複数のプラズマチャンバを提供することが望ましい。各プラズマ生成器として使用されるプラズマチャンバの数は、生成器の大きさ、およびプラズマリアクタが対応するように設計された空気流の量を含む、数々の要因に依存する。例えば、図3(a)は、並行に配置された12の隣り合うプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の概略を示しており、各プラズマチャンバ150(a)は、同軸の針状の放電電極をともなう六角形の断面を有している。図3(b)は、並行に配置された12の隣り合うプラズマチャンバで構成された代替のプラズマ生成器の概略を示しており、各プラズマチャンバ150(b)が、同軸の針状の放電電極をともなう円形の断面を有している。しかしながら、チャンバの断面形状は、その他の様々な適切な形状(例えば八角形またはその他の多角形)の任意であることが可能である。これらのチャンバは、概ね空気流の方向に引き伸ばされ、放電電極は、空気流に実質的に並行になおかつチャンバ壁と概ね同軸に伸びている。これらのタイプのプラズマチャンバは、本明細書において、広く同軸プラズマチャンバと称される。
【0039】
特定の一実装形態では、チャンバ壁144,154は、円筒形であり、0.5〜10cmの範囲(例えば5cm)の内径を有する。放電電極141,151は、チャンバと同軸に配置される。別の特定の一実施形態では、チャンバ壁は、六角形であり、0.5〜10cmの範囲(例えば5cm)の最小チャンバ幅を有する。
【0040】
説明される主な実施形態では、1対のプラズマ生成器(例えば正プラズマ生成器124および負プラズマ生成器126)が使用される。しかしながら、多くの応用では、単一のプラズマ生成器のみが望ましいとされる、または必要とされるであろう。単一のプラズマチャンバは、正プラズマ生成器または負プラズマ生成器のいずれであることも可能である。
【0041】
説明された同軸プラズマチャンバは、非常に優れた働きをし、なおかつ比較的安価に構築することができるが、所望のプラズマまたはイオン化ゾーンを形成するには、その他の様々なイオン生成技術が使用可能であることが理解されるべきである。例えば、各種の実施形態では、同軸プラズマチャンバの代わりに、RF、マイクロ波、UV、またはその他の直流イオン生成器を使用することが可能である。その他の応用では、異なるタイプのイオン/プラズマ生成器を同じリアクタ内で組み合わせることが望ましいであろう。例えば、説明された同軸の直流イオン生成器にUVイオン生成器を組み合わせて使用することが望ましいであろう。これらのタイプの構成は、後述される触媒エンハンスド型リアクタの一部において、とりわけ興味深い応用を有すると考えられる。
【0042】
説明されたイオン生成器の利点の1つは、今日では対応する交流電源よりも概して大幅に安価である比較的単純な直流電源の使用のみを必要とすることにある。しかしながら、所要の電位における電源の費用が下がるにつれて、この利点はいくぶん軽減されるであろう。同軸プラズマチャンバは、また、説明されたプラズマリアクタで使用される非熱的(コールド)プラズマの形成にもよく適している。
【0043】
図1を参照にして上述された商業用の実装形態では、イオン化電極の1つが接地され、対向する電極には4000の直流電位が印加された。これらの電圧レベルでは、多量のオゾンは生成されず、したがって、リアクタは、装置が使用されている室内において、オゾンの蓄積をともなうことなく長時間にわたって作動させることができる。装置は、また、7600ボルトの直流電位を印加された昇圧モードも有していた。昇圧モードでは、生成されたオゾンの量は、50ppbを僅かに下回った。多くの政府は、人が曝露されても安全なオゾン濃度レベルに関する基準または指針を定めている。例えば、米国職業安全衛生管理局(OSHA)は、人が長時間(例えば8時間)にわたって50ppbを超えるオゾン濃度に曝露されることを禁じる指針を公布している。したがって、長時間にわたる昇圧モードでのリアクタの作動は、望ましくないほどに高いレベルのオゾンを室内に入れるという望ましくない効果を有する可能性がある。
【0044】
後により詳しく説明されるように、図2に示された実施形態は、触媒130を含む。この触媒は、数々の潜在的メリットを提供する。そのうちの1つは、リアクタを後にする清浄な空気の流れからオゾンを大幅に低減(または実質的に除去)可能であることである。オゾンの低減ゆえに、説明されたリアクタは、プラズマチャンバ内における放電電極とレセプタ電極との間の電位差をより高くした状態で、容易に作動させることができる。例えば、およそ8,300ボルトの電位差で動作している上述されたプラズマ生成チャンバ124,126は、5マイクロアンペア/cm(またはそれを超える)電流密度を用いておよそ1014個/m3の複合電子密度を生成することができる。このような電子濃度(したがってイオン濃度)は、図1を参照にして説明されたプラズマ生成器によって生成されるプラズマより約一桁大きく、さらに従来のイオンエンハンスド型静電フィルタより二桁大きい。より高い電位差であれば、生成されるプラズマの密度をさらに増大させることができる。リアクタ内におけるイオン化レベルの高まりは、リアクタの効率および効力をいくつかの点で向上させる。
【0045】
たとえオゾンが低減されるとしても、プラズマチャンバ内において使用可能な電位差の大きさには、その他に数々の実際的限界がある。とりわけ、プラズマチャンバ内におけるアークは極めて有害であるので、アークが生じはじめるレベルまで電圧差を増大させることはできない。
【0046】
特定の一実装形態では、チャンバ壁144,154は、円筒形であり、5cmの内径を有する。放電電極141,151は、チャンバと同軸に配置される。このような設計では、電極間の電位差がおよそ13,000〜20,000ボルトであるときに、プラズマチャンバ内において、アークが生じはじめるであろう。これは、このようなチャンバに印加可能な電圧差を制限する。しかしながら、プラズマチャンバの幾何形状は、とりわけ効率的であるので、高いイオン濃度を有するプラズマを容易に生成することができる。もちろん、特定のリアクタ設計にとってのブレークダウン(アーク)電圧は、プラズマチャンバの大きさ、幾何学形状、および設計にあわせて大幅に可変である。
【0047】
静電フィルタ
静電フィルタ128は、プラズマ生成器124,126の下流に配置される。静電フィルタ128は、直列に配置され、提供される静電フィルタの数は、特定の応用のニーズを満たすように可変である。通常は、1つから5つの静電フィルタが使用される。各静電フィルタ128は、適切な多孔質誘電体材料168によって隔てられた多孔質の正電極162および負電極165を含む。電極162,165は多孔質であるので、リアクタを通過する空気は電極を通り抜けることができる。誘電体材料の両端には、比較的高い電位差が印加される。例えば、4〜40,000ボルトまたはそれを上回る電位差が好ましい。一般には、1000V/cm以上の強度を有する場を生成することが望ましい(が、必須ではない)。一部の設計では、静電フィルタの電極間の電位差は、プラズマ生成器内における放電電極とレセプタ電極との間の電位差と同じである。しかしながら、これは、必要条件ではなく、フィルタの電極に、より高い電位差を使用するほうが望ましいことが多いであろう。例として、このような一構成が、図2の実施形態に示されている。
【0048】
電極は、様々に異なる材料で形成可能である。例えば、金属、導電性高分子、またはその他の導電性材料が、電極を形成するために使用することができる。具体的な一実施形態では、米国特許第6,805,732号に記載された金属化された開放気泡が、電極を形成するために使用される。その他の適切な電極は、以下で説明される。誘電体168もまた、様々に異なる材料で形成することができる。適切な誘電体材料の1つが、‘732特許に記載されている。
【0049】
不織の静電フィルタ誘電体:
静電フィルタに使用するための改良された誘電体材料が、図4を参照にして説明される。この図は、誘電体の小区画を示した写真である。この実施形態では、誘電体を形成するために、多孔質の不織繊維マットが使用される。マットの形成には、様々に異なる誘電体材料を使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、およびその他の高分子誘電体材料が優れた働きをする。あるいは、セラミック(例えばシリコンガラス)を含むその他の押し出し成形可能な誘電体を使用することができる。通常は、(ポリエステルまたはポリプロピレンなどの)疎水性材料が好まれる。
【0050】
好ましくは、誘電体マットは、高い空隙率を有する。すなわち、マットの大多数は、糸に対立するものとしての孔で構成される。例えば、空隙率が97%以上の、より好ましくは99%を超えるマットが優れた働きをする。一般に、繊維は、10を超える長さ対最大厚さの比を有することが望ましいが、直径の小さいポリエステル糸で形成されたマットの場合は、大幅に高い(例えば約100,000またはそれを上回る)長さ対厚さ比を有するのが一般的であろう。マットは、従来の様々な不織マット製造プロセスを使用して作成することができる。例えば、押し出し糸から適切なマットを形成するために、従来のメルトブローおよびスピン結合などの製造技術を使用することができる。マットは、形成後に所望の大きさにカットすることができる。このようなアプローチによる利点の1つは、結果得られたマットが、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ3次元に開いた孔を有することにある。誘電体マットは、静電フィルタ内に設置される際に、あまり圧縮されないことが好ましい。したがって、フィルタの使用時に、誘電体層は、非常に高い(例えば好ましくは97%以上、より好ましくは99%を超える)空隙率を有する。高い空隙率は、フィルタが、自身を通過する空気流に対して相対的に最小の抗力を及ぼすこと、そして粒子を収集するためのスペース(すなわち空隙)を沢山有することを意味する。
【0051】
当該分野を熟知している者ならば理解できるように、マットの屈曲は、誘電体の有効チャネル長対厚さの比である。有効チャネル長は、一般的な空気粒子が誘電体を通過する際に移動する距離である。厚さは、空気流の方向にマットを通る直線経路である。誘電体を通過する流体は、繊維によっていくぶん(ときには大規模に)逸らされることが理解されるべきである。マットは、1.2以上の屈曲を有することが好ましく、これは、標準的な(平均の)空気粒子が誘電体内を、直線で通るよりも20%以上長い距離で移動することを必要とするであろう。より好ましくは、屈曲は、1.7(70%増)を上回る、または2.0(100%増)を上回るであろう。さらに好ましくは、屈曲は、5(400%増)以上であろう。屈曲が大きいほど、誘電体内を通る粒子の偏向がさらに大きくなり、粒子がマット繊維と相互作用する確率がさらに高くなることが理解されるべきである。
【0052】
静電フィルタ内における場の強度は、マットを形成する糸160の直径が小さいほど増加することがわかった。増加した誘電体内の場の強度は、静電フィルタの収集効率を増大させる傾向がある。したがって、フィルタ内に形成される場の強度を増加させるためには、直径の小さい糸を用いて誘電体を形成することが望ましい。例えば、およそ100ミクロン未満の断面直径を有する糸、一例として、およそ0.1ミクロンからおよそ50ミクロンの範囲の断面直径を有する糸が好ましい。具体的な一実施形態では、35ミクロンまたはそれ未満の直径を有するポリエステル糸が使用される。10ミクロン未満の直径を有する糸であれば、さらに優れた働きをする。直径の小さい糸であるほど、その小さい横断曲率半径によって、静電場を増強する焦点として機能する尖った「点」を効果的に形成することができるので、より優れた働きをすると考えられる。
【0053】
誘電体材料内の特徴の曲率半径は、静電フィルタ128内に形成される場の強度に大きな影響を及ぼすと考えられる。しかしながら、その効果は、総じて、必ずしも糸の直径に依存するとは限らない。誘電体内に形成される静電場の特性をさらに向上させるには、むしろ、糸の外周に沿った、より小さい局部半径を有する特徴を使用することが可能である。
【0054】
商業的に最も入手可能なポリマ糸は、実質的に円形の断面形状を有する。しかしながら、誘電体内に形成される静電場の強度をさらに高めるには、より小さな局部半径を外周に沿って有する代替の断面幾何形状を有する糸を使用することが可能である。次に、静電フィルタを作成するのに適しているであろう、繊維糸の様々な断面形状が示されている図5(a)〜(h)を参照せよ。図5(a)〜(h)に示された各糸は、横断曲率半径の小さい複数の領域を外周に沿って有する断面形状を有する。
【0055】
図5(a)は、円形の断面形状を有する糸171を示している。図5(b)の糸172は、長方形(この場合は実質的に正方形)の断面形状を有する。長方形の断面の各角は、糸の外周に沿って、小さい横断曲率半径の局所領域180を構成する。したがって、この実施形態では、糸172の外周に沿って、そのような領域180が4つある。図5(c)の糸173は、三角形の断面形状を有する。図5(d)の糸173は、六角形の断面形状を有する。図5(e)は、楕円形の断面形状を有する糸175を示している。図5(f)は、星形多角形の断面形状を有する糸176を示している。図5(g)は、星形の断面を有する糸177を示している。図5(h)は、球形の断面形状を有する糸177を示している。これらの糸の幾何学形状は、各自、その外周に沿って、小さい横断曲率半径の局所領域180を有する。局所領域180の曲率半径は、同等の小直径の円形断面を有する糸の曲率半径よりも大幅に小さいことが可能である。したがって、これらは、誘電体内の静電場を増強するのに優れた働きをする。その他の点では、これらの糸は、上述された円形断面を有する糸と同様に、より小さい空隙率、屈曲、断面糸幅(直径)などを有する誘電体マットを形成するために使用することができる。もちろん、局部的な小さい横断曲率半径を有するその他の様々な糸幾何学形状もまた、有利に使用することが可能である。
【0056】
疎水性の誘電体をベースにしたオゾン生成:
上で指摘されたように、少なくとも一部の静電フィルタでは、一般に、誘電体材料として疎水性材料が好まれる。疎水性誘電体の使用には、重要でなおかついくぶん驚くべきいくらかの利点がある。具体的に言うと、不織マットタイプの誘電体の誘電体糸として疎水性材料が使用される場合、誘電体の表面上に、水滴が堆積する傾向がある。この効果は、湿潤環境において増幅される。強い静電場(例えば約5,000ボルトの電位差の影響下で誘電体内に生成されることによって、説明された静電フィルタ内に約5,000ボルト/cmまたはそれを超える場の強度を生成する場)の存在下では、水滴は、小さいイオナイザとしてふるまう傾向がある。これらの水滴イオナイザは、様々な反応種を形成するが、なかでも、オゾンを生成するのにとりわけ有効である。オゾンは、続いて、水に対するその近接性ゆえに、水酸化イオン(OH−)および過酸化物(H2O2)を形成する。したがって、静電フィルタ内における、いずれも有機材料を効率良く酸化させる種であるオゾン、水酸化物、および過酸化物の濃度は、静電フィルタ内の誘電体として疎水性の糸を使用することによって大幅に増大させることができる。これらのメリットは、(図2に示された生成器24のような)プラズマ生成器を含む応用例、より弱いイオナイザを用いる応用例、および/またはイオナイザを全く含まない応用例において見いだすことができる。これらの全ての応用例において、静電フィルタ内における反応種のレベルを高めるために疎水性の糸を使用することができる。
【0057】
当該分野を熟知している者ならば理解できるように、オゾン、水酸化イオン(OH−)および過酸化物(H2O2)は、極めて有効なバイオサイドである。したがって、水滴イオナイザによって生成されるオゾンは、静電フィルタによって捕捉された生体が不活性化される速度を速める。後ほどより詳しく説明されるように、オゾンは、リアクタ内においてその他の有益な効果を有することができる。
【0058】
一般に、糸は、疎水性であるほどイオナイザ/オゾンジェネレータとしてより優れた働きをすると考えられる。実際、ポリプロピレンで形成された糸は、オゾンを極めて良く生成することがわかっている。シリコンおよび様々なフッ素化高分子材料(高度に疎水性であることが一般に知られている)などの、より疎水性のその他の材料もまた、静電フィルタ内の同じ条件下において、さらに多くのオゾンを生成すると予測される。
【0059】
図2を参照にして説明されたように、多くの応用では、プラズマチャンバの下流で複数の静電フィルタを用いることが望ましい。一部の実施形態では、全ての静電フィルタに、比較的高度に疎水性の材料(例えば少なくともポリプロピレンと同程度以上に疎水性の材料)を使用できるであろう。しかしながら、これは、状況によっては、特定の応用にとって望ましいとされるよりも多くのオゾンを形成する場合がある。このような応用では、上流の静電フィルタ(例えば第1の静電フィルタ128)に、ポリプロピレン誘電体材料を用いる一方で、1つまたは複数の下流の静電フィルタには、ポリエステルなど、より低疎水性の誘電体材料を使用すると望ましいであろう。もちろん、ポリプロピレン(または高度に疎水性のその他の)糸をベースにした静電フィルタと、非疎水性または低疎水性の静電フィルタとの相対的配置および数は、特定のシステムのニーズを満たすように、様々に可変である。
【0060】
静電フィルタ内におけるオゾン生成の強さは、誘電体糸の疎水性、誘電体内における場の強度、および周囲空気の相対的湿度を含む、数々の要素の関数であることが理解されるべきである。上述のように構築された、ポリプロピレンをベースにした不織マットを主体とした静電フィルタに基づく実験では、非常に良いと見なされる30%の相対湿度の条件の下で、わずか5,000ボルト/cmの静電場強度の影響下で、顕著なオゾン生成が生じる。これは、上述された動作条件下では、大半の動作環境が、ポリプロピレン糸の誘電体をベースにした静電フィルタ内においてオゾンの生成を引き起こすのに十分な相対湿度を有するからである。これに対して、ポリエステル糸をベースにした誘電体を主体としたフィルタに基づく類似の実験では、5,000ボルト/cmの場の強度の下で、相対湿度が60〜70%に達するまで顕著なオゾン生成が開始しなかった。説明された2つの試験間の主な相違は、ポリエステルの疎水性がポリプロピレンよりも低いことであった。
【0061】
疎水性材料であることを明確にする特徴の1つは、材料の表面上に形成された水滴が呈する接触角である。一般に、接触角は、ゼロ度と180度との間で可変であり、ゼロは最も親水性、180は最も疎水性である。本発明の文脈の中では、60度または65度を越える接触角が好ましく、80度または90度を超える(例えば80〜180度の範囲の)接触角がより好ましい。
【0062】
絶縁された静電フィルタ電極:
プラズマリアクタ100の使用時には、ダストおよびその他の浮遊粒子がフィルタ128内に集まる。ダストが集まるにつれ、それらは誘電体上に、さらにある程度は電極自体の上に、固まる傾向がある。長時間の使用を経て、フィルタ内におけるダストの量が増すにつれ、ダストの塊は、電極間に連続したダスト「経路」を形成するほどに蓄積する可能性がある。ダストは、一般に、電気絶縁体である。しかしながら、もし、堆積されたダストが非常に湿潤になると、ダストによって運ばれる水によって、ダストの塊が電極間にアーク(短絡)を生じさせるほどに導電性になる可能性がある。この問題は、湿潤な環境において増幅される。なぜならば、空気中の湿度は、ダストを湿潤にすることによって、ダストの塊をさらに導電性にする傾向があるからである。
【0063】
この問題を扱うために、様々に異なるアプローチを使用することができる。アプローチの1つは、静電フィルタを単純に、定期的に交換または洗浄することである。医学的応用および住宅応用の大半では、年間ベースで静電フィルタを交換または洗浄すれば、アークを阻止するには十分である。しかしながら、このようなアプローチは、定期メインテナンスプログラムを必要とする。
【0064】
短絡の問題は、多くの能動静電フィルタ応用で観測されてきており、したがって、この問題に対処するための試みがなされてきた。提案されたアプローチの1つは、電極を絶縁することを考えたものである。例えば、“Electric Air Filtration: Theory, Laboratory Studies, Hardware Development, and Field Evaluations”(「電気的空気ろ過:理論、実験室研究、ハードウェア開発、および実地評価」)と題された1983 Lawrence Livermore National Laboratoryの文書を参照せよ。電極の絶縁は、短絡を排除するが、絶縁電極の極性と反対の極性を有する電荷が、絶縁体の表面上に蓄積する傾向がある。すなわち、絶縁体それ自体、または絶縁電極上のダスト層は、隣接する電極の極性と反対の電荷を堆積させる傾向がある。この反対の電荷は、隣接する電極上の強い電荷に引き付けられる。実際は、この電荷の蓄積は、比較的ゆっくりであり、隣接するダスト上に堆積する反対の電荷の実際の量は、比較的少量であろう。しかしながら、これは、誘電体168内の場を劇的に低減させることによって、静電フィルタの有効性を大幅に低下させる傾向がある。多くのシステムにおいて、この種の劣化は、数日間で生じる可能性がある。
【0065】
米国特許第5,549,735号は、静電フィルタ内の2つの電極の1つのみを絶縁することによってこの問題に対処しようとしたシステムについて記載している。フィルタの上流に、絶縁電極に隣接してイオナイザが配置される。イオナイザは、フィルタを通過する空気を、絶縁電極と同じ極性に予め帯電させる。したがって、絶縁電極の表面上に堆積しようとするどの電荷も、通過するイオン化された空気からの電荷によって素早く中和される。この種のアプローチは、多くの応用において優れた働きをする一方で、第2の電極を絶縁されないままにするので、一連の静電フィルタを有する装置にとっては理想的な解決法ではない。また、もし、絶縁電極の一部がブロックされ、イオン化された空気の流れから比較的遠くに離れている場合は、イオン化された空気は、フィルタのその領域に蓄積した反対の電荷を適切に逃がすことができず、これは、フィルタの効率を低下させる傾向がある。
【0066】
以下の説明では、絶縁電極の表面上における反対の電荷の局所的堆積を分布させる、軽減する、または阻止するために使用することができる様々な構成(電荷分布格子)について説明される。次に、図6を参照にして、本発明の一実施形態にしたがった電極設計について説明される。例示された実施形態では、電極として、単純な格子190が使用される。しかしながら、代替の実施形態では、その他の多孔質電極設計(上述された、金属化された開放気泡をベースにした電極など)が使用可能である。電極は、ともに、電気的に絶縁される。図7に最もよく見られるように、電極199を覆う絶縁体196の上に、金属化層193が塗布される。金属化層193は、電荷分布格子として機能し、種々様々な方法で形成することができる。例えば、図7(a)に示されるように、金属層は、絶縁体の上にデポジション可能である、あるいは絶縁電極に塗布された金属化塗装またはその他のコーティングの一部であることが可能である。あるいは、図7(b)に示されるように、電荷分布格子は、絶縁電極の隣りにかつ該電極に接するように接着または結合される別個の金属格子の形態をとることが可能である。これらのいずれの構成を用いた場合でも、絶縁電極上に蓄積するあらゆる反対の電荷は、金属製の分布格子全体に分布することによって、例えば中和イオンの流れから電極がブロックされるであろう領域における局所的な電荷の蓄積を阻止する傾向がある。
【0067】
このような反対の電荷の蓄積を中和するため、電荷分布格子は、電極と同じ極性を有する電荷源に曝露される。中和用の電荷を電荷分布格子に適用するためには、様々なメカニズムが使用可能である。図6に示された実施形態では、静電フィルタ200は、誘電体168を挟む上流電極202と下流電極204とを有する。電極202,204は、いずれも絶縁されており、電荷分布格子として機能する外付けの金属化層を有する。フィルタ内の電極の1つが、同様に帯電されたイオン源の隣りに位置する場合は、そのイオン源が、‘735特許に記載されたのと同様に、その電極のための電荷源として機能することができる。このようなイオン源の隣りに位置しない電極は、代替の適切な電荷源に接続することができる。例示された実施形態では、上流電極202と同じ極性を有するイオン源206が、第1の電極の上流に配置される。この構成を使用すると、イオン源は、絶縁された上流電極上に堆積するあらゆる反対の電荷を中和する電荷源として機能する。例えば、図2に示されたリアクタなどのプラズマリアクタでは、イオン源(すなわち第2のプラズマ生成器126)を、少なくとも第1の静電フィルタの上流電極のために容易に使用可能である。したがって、第2のプラズマ生成器126は、第1の静電フィルタ用の上流電極のためのイオン源として使用することができる。
【0068】
もし、絶縁電極の全面を上手くイオン源に曝露させられる場合は、通過するイオンによって、絶縁体に引き付けられるあらゆる反対の電荷が比較的素早く中和されるであろうゆえに、電荷分布格子は、排除することが可能である。しかしながら、多くの実装形態では、電極の全面をイオン源に曝露することは非実用的である。すなわち、電極には、イオン源に上手く曝露されない区画がある。例えば、もし、イオン源が、図3(b)に示されるように複数の円筒形のプラズマチャンバを有するプラズマ生成器である場合は、フィルタには、プラズマ生成器の円柱の真後ろに位置しない特定の死角場所があるであろう。このような死角場所では、反対の電荷は、たとえ電極のその他の領域がイオン源に曝露されているときでも、絶縁体上の局所領域に堆積することができる。絶縁電極上に取り残されたこれらの電荷は、誘電体内の場を低減させることによって、フィルタの収集効率を低下させる傾向があるであろう。しかしながら、金属化層は、この問題を実質的に解消する。具体的に言うと、この場合の金属化層は、絶縁電極全体に電荷を分布させる働きもするので、死角領域に堆積しようとするであろう反対の電荷も中和される。
【0069】
図6に示された実施形態では、下流電極204もまた、絶縁される。下流電極の極性は、上流電極の極性と反対である。したがって、イオン源206は、下流電極に堆積しはじめる反対の電極を中和する働きはしない(むしろ、どちらかと言えば、電荷の蓄積を増進するであろう)。したがって、下流電極における電荷の蓄積を中和するには、別のメカニズムを用意する必要がある。もし、下流電極が地電位にある場合は、反対の電荷の蓄積は、単純に、下流電極上の金属層を接地することによって中和することができる。他方、もし、下流電極が正または負に帯電される場合は、望ましくない反対の電荷を中和するために、電荷ポンプ207などの別の適切な電荷源を使用することが可能である。
【0070】
金属化層に印加される電圧は、大きい必要はないこと、そして電極の電圧と一致させようとする必要はないことを理解されるべきである。なぜならば、金属化層の目的は、誘電体内に場を生成することではないからである。むしろ、その目的は、主に、絶縁電極上における寄生的な反対電荷の蓄積を軽減または排除することにある。実際、もし、大規模な電流源からの大きな電位が絶え間なく金属層に印加されると、理論的に、金属層間に望ましくない短絡が生じる可能性がある。このため、多くの応用では、比較的小さい電荷/電流源を使用することが好ましいであろう。
【0071】
絶縁層上における寄生的電荷の蓄積は、極めてゆっくりな傾向がある。したがって、多くの応用では、中和用の電荷を単に周期的に金属化層に印加すれば望ましいであろう。金属化層に中和用の電荷を印加する周期は、大きく可変である。例えば、ほとんどの応用では、1時間に一度、または1日に一度の頻度で中和用の電荷を金属化層に印加すれば十分であろう。したがって、中和用の電荷を印加する頻度は、秒単位から、分単位、時間単位、ひいては日数単位に至るまで、様々に可変である。もし必要であれば、短絡のリスクをさらに低減させるために、中和用の電荷を正電極と負電極とで異なる期間に印加することができる。これは、比較的短期間の高電位の電荷を金属化層に印加することを可能にする。もし、比較的高い電荷が金属化層に印加され、容量効果のもとで保持された場合は、その電荷は、そうでない場合に絶縁電極上に生じるであろうあらゆる反対の電荷の蓄積を中和しつつ、誘電体内の場を増強する傾向があり、これは、フィルタの効率をさらに向上させる。
【0072】
説明された静電フィルタは、種々様々な静電フィルタの応用に使用することができ、決して、上述されたプラズマリアクタでの使用に限定されない。電極202,204は、ともに絶縁されているので、フィルタは、たとえ誘電体内に非常に湿ったダストが沢山蓄積されている場合でも、電極と電極との間または個々の電極と隣接する構成要素との間に短絡を生じにくい。絶縁は、また、その他の場合に特定の応用において望まれる可能性がある、より高い電位の(随意の)使用も可能にする。
【0073】
特定の絶縁電極から反対の電荷を駆逐するために使用される電荷源の特性は、応用の特性に基づいて、様々に可変である。もし入手可能であれば、任意の電極用の電荷源として、イオン源を使用することが可能である。もし、正イオン源および負イオン源の両方が入手可能である場合は、両方の電極を適切なイオン源によって中和することが可能である。イオン源が入手可能でない場合は、電極に所望の電荷を印加するために、電荷ポンプなどのその他の構造を使用することが可能である。
【0074】
さらに他のシステムでは、正電極上に堆積する電荷が、負電極上に堆積する電荷と実質的に均衡することが予測される。このようなシステムでは、単に、堆積された電荷が互いを効果的に中和するように、電荷分布格子を電気的に結合することによって、反対の電荷を駆逐できるであろう。一般に、これは、周期的にのみ実施されるであろうゆえに、電荷分布格子どうしの接続がリアクタの性能に悪影響を及ぼすことはない。静電フィルタが(図2に示されたプラズマリアクタなどの)より大きなシステムで使用される状況では、システム内のその他の場所からの寄生的電荷を、金属化層の中和または駆逐に使用することが可能である。
【0075】
絶縁電極上における電荷の蓄積を軽減するもう1つの方法は、静電フィルタがプラズマリアクタ内で使用される場合に、それらの静電フィルタ(または潜在的にはプラズマリアクタ内の全ての構成要素)の極性を周期的に逆転させることであろう。これは、単純に、反対の電極に印加される電位を切り替えることによって、容易になすことができる。この状況では、極性の逆転前に絶縁体上に蓄積されていたあらゆる電荷が、極性を逆転された後のフィルタ内の誘導静電場を増強するであろう。これは、少なくとも、反対方向への移動を通じて電荷の蓄積が軽減されるまで継続される。
【0076】
次に、図8を参照にして、別の一実施形態について説明される。この実施形態では、3つの一連の静電フィルタが提供される。各静電フィルタ210は、金属化され絶縁された正および負の電極211,213を含み、静電フィルタの極性は、どの特定の中間電極も隣接する2つの静電フィルタのための電極として機能するように、交互している。負電極用の金属化層は、全て、電気的に結合されており、正電極用の金属化層は、全て、電気的に結合されている。第1の(すなわち上流の)静電フィルタ210(a)の負電極は、第1の静電フィルタの負電極に関連付けられた金属化層のための電荷源として機能する負イオン源の隣りに配置される。負電極用の金属化層は、全て、電気的に接続されているので、第1の静電フィルタ210(a)の隣のイオン源215は、全ての負電極に関連付けられた金属化層のための電荷源として機能する。同様に、正電極用の金属化層は、全て、電気的に接続されており、したがって、単一の電荷ポンプ217(またはその他の適切な電荷源)を、全ての正電極に給電するために使用することができる。もちろん、電荷ポンプ、イオン源、またはその他の適切な電荷源を、正および負の両電極用に、またはあらゆる適切な組み合わせ用に使用することが可能である。
【0077】
雑多な絶縁体:
一般に入手可能な種々様々な絶縁材料があり、このような材料の絶縁能力は、その大半を、材料の特性、使用される材料の厚さ、および絶縁体の塗布の均一性に依存する傾向がある。したがって、もし、高電圧の電極上に、比較的不良な絶縁体(本明細書ではときに雑多な絶縁体と称される)が使用される場合は、堆積された反対の電荷の一部は、絶縁体を通って電極へと移動する傾向がある。もし適切に設計された場合は、この特徴は、絶縁層上における反対の電荷の蓄積を減らすのを助けるために使用可能である。上述のように、絶縁層上における反対の電荷の蓄積は、比較的ゆっくりである。したがって、もし、絶縁材料が適切に選択された場合は、その絶縁体は、絶縁電極の表面上における反対の電荷の蓄積を軽減させるのに十分な量の電荷を「漏らす」ことができる。同時にまた、雑多な絶縁体の厚さは、電極と電極との間または特定の電極とそれに隣接する構成要素との間の短絡が絶縁によって阻止されるように選択することができる。このような雑多な絶縁体は、上述された金属化層とともに、またはそのような金属化層をともなわずに使用することができる。例えば、一部の実施形態では、金属化層をともなう高絶縁性の絶縁体を1つの電極に使用するとともに、比較的雑多な絶縁体をもう一方の電極に使用することが可能である。さらにその他の応用では、両方の電極を乱雑な絶縁体で覆うことが可能である。このような実施形態の一部では、一方または両方の絶縁電極上にさらに金属化層を提供可能であり、その他では、金属化層を排除可能である。乱雑な絶縁体は、一方または両方の電極から反対の電荷を駆逐するための唯一のメカニズムとして使用可能である、あるいは上述された一部のメカニズムなどその他の反対電荷中和のメカニズムと組み合わせて使用可能である。
【0078】
触媒:
図1を参照にして上述されたプラズマリアクタの、特定の商業用実装形態では、プラズマリアクタは、4000ボルトの直流電位差で動作され、これは、短期間の間、7600ボルトに引き上げることができる。上で指摘されたように、4000ボルトの電位差のときは、説明された装置は、あまり多くのオゾンを生成しなかった。昇圧モードでは、いくらかのオゾンが生成された。したがって、もしこのような装置が、一定期間の間、閉じられた空間内において昇圧モードで使用される場合は、室内のオゾンレベルが、望ましくないほど高いレベルまで蓄積する恐れがある。なぜならば、空気中のオゾンの半減期は、おおよそ20分間であるからである。上述のとおり、リアクタの性能を高める方法の1つは、プラズマ生成器内において生成されるプラズマの強度を増大させることである。プラズマ内におけるイオン化の強度は、プラズマ生成器内の電極間に使用される電圧差を増大させることによって増大させることができる。イオン化強度の増大は、プラズマリアクタ内において生成されるオゾン(および酸化窒素(NOx)などの反応性に富んだその他のガス)のレベルを大幅に増大させる。この増大したイオン化は、静電フィルタ128の効率を向上させるのを助け、リアクタを通過する生物学的因子の非活性化の効率を向上させるのを助ける。しかしながら、プラズマチャンバ内において生成することができるオゾンおよびその他の反応性ガスは、その全てがリアクタ内において消費可能なわけではない。
【0079】
概して反応種の濃度を低減させるため、具体的にはオゾンレベルを低減させるために使用することができる数々のメカニズムがある。図2に示されたリアクタでは、穴あきの二酸化マンガン(MnO2)ブロック170が、リアクタ100から出る空気の流れからオゾン(およびNOxなどのその他の反応性ガス)を実質的に除去する触媒130として使用される。二酸化マンガン触媒ブロックのメーカーとしては、韓国のKobat、日本東京の日揮ユニバーサル、日本東京のニチアス、米国ニュージャージーのEngelhard、および日本大阪の東洋紡など様々なメーカーが挙げられる。
【0080】
次に、図9を参照にして、適切な多孔質酸化マンガンブロック170について説明される。ブロック170は、リアクタ内の流体流路に適合するように成形される。このため、例示された実施形態では、ブロックは、概して長方形である。ブロックを通過する空気に対してブロックから大きな空力抵抗が付与されないようにするため、ブロック170の中には、小直径の多数の孔すなわち通路172が形成される。図9では、通路172が図示されているが、示されるよりも遥かに多くの通路が提供されるであろうことが理解されるべきである。また、通路は、必ずしも直線である必要はない。二酸化マンガンブロックの作成には、様々な製造技術が使用可能である。大抵の場合は、(ハニカムサポートなどの)フレームに粉末二酸化マンガンが塗布される。フレームは、各種の金属材料またはセラミック材料を含む任意の適切な材料で作成可能である。
【0081】
ブロックの厚さは、特定の応用のニーズを満たすように、様々に可変である。触媒の使用について一般に熟知した者ならば理解できるように、触媒は、その表面積および/または作用流体に対するその曝露が大きいほどより優れた働きをするのが通常であるので、ブロックの有効性は、一般に、曝露される表面積の大きさの関数である。例えば、およそ5〜100mmのブロックの厚さが、オゾンおよびその他の反応性ガスを除去するのに優れた働きをする。特定の一応用では、高表面積の厚さ15mmのブロックの使用が、リアクタを後にする浄化後の空気から測定不能な(すなわち1ppb(10億分の1)未満の)レベルまでオゾンを除去するのに優れた働きをする。
【0082】
説明された触媒の使用は、プラズマ生成器内において、より高強度のプラズマを使用することを可能にする。プラズマチャンバ内におけるプラズマの強度の増大は、数々の利点を有することが理解されるべきである。先ず、プラズマ濃度の増大は、プラズマチャンバ内における非活性化の効率を高める。また、増加したイオン濃度は、プラズマ生成器を通過する粒子により強い電荷を付与し、これは、粒子をより凝集しやすく、なおかつ静電フィルタによってより捕捉されやすくする。さらにまた、増大したイオン濃度は、オゾンの生成を増大させ、これは、結果として、静電フィルタの領域内におけるオゾン濃度を増大させる。静電フィルタ内における増大したオゾンレベルは、フィルタによって捉えられる生物学的実体の非活性化を向上させる。
【0083】
触媒の使用は、リアクタが、環境オゾンの量を実際に低減可能であることも意味している。これが機能するのは、リアクタに入り、拘束されないままプラズマチャンバおよび静電フィルタを通過する空気中のあらゆる環境オゾンが、触媒ブロック170によって除去されるからである。環境オゾンのレベルは、現代の航空機によって一般に使用される高度において大幅に高くなるので、環境オゾンが(生物学的非活性化に加えて)大きな問題となる環境の1つは、高高度の航空機応用(定期航空路線、商用機、旅客機、軍用器、およびその他の類似の航空機応用)においてである。説明されたリアクタは、航空機応用での使用に合わせて容易に大きさを設定可能である。航空機内を循環する空気の浄化に加えて、このようなリアクタは、キャビンに導入される外気からオゾンを実質的に除去するためにも使用することができる。
【0084】
環境オゾンおよびNOxは、また、スモッグの重要な構成要素でもあり、特定の呼吸器困難を有する患者にとっては有害となる可能性がある。このため、説明されたリアクタは、空気から反応種を実質的に除去することによって、住居応用、商業的応用、および医学的応用などの様々な応用において外気を浄化するために使用することができる。
【0085】
周囲空気中には、反応種に加えて、数々のその他の汚染物質がある可能性がある。概して、その他の大気汚染物質は、3つの主要なカテゴリに分類される。すなわち、粒状物質、生物的汚染物質、および揮発性有機化合物(通常はガスである)である。上述された静電フィルタは、一般に、生物的汚染物質を含む粒状物質を除去するのに非常に効果的である。説明されたリアクタは、また、生物的汚染物質を非活性化するにも非常に効果的である。リアクタ内には、生物的汚染物質を非活性化するために使用されるいくつかのメカニズムがある。先ず、生物的汚染物質の少なくとも一部は、プラズマチャンバ内において非活性化されると考えられる。プラズマチャンバで生き残った生物的汚染物質は、プラズマ生成器124,126と触媒130との間に位置する静電フィルタで捉えられる。プラズマ生成器が、大量のオゾンを生成する電圧で可動しているときは、プラズマ生成器124,126と触媒130との間の領域は、比較的高いオゾン濃度に曝される。この高オゾン領域は、プラズマチャンバで生き残ったあらゆる生物学的実体を非活性化するために、有利に使用することができる。より具体的に言うと、プラズマチャンバの下流のフィルタによって捉えられたあらゆる生き残りの生物学的実体(例えばウィルス、バクテリア、胞子など)は、静電フィルタの領域内に維持されている比較的高いオゾン濃度レベルによって、比較的短期間の間に非活性化される。すなわち、このような実体は、「捉えては燃やす(catch and burn)」タイプの筋書きにしたがって非活性化される。
【0086】
触媒は、空気流から反応種を除去しながら消費されることがないので、触媒の使用は、様々なオゾン吸収技術より優れたいくつかの利点を有する。これに対して、オゾン吸収剤タイプの製品は、通常、使用中にいくらか消費されであろうゆえに、一般に、吸収剤の定期的な交換を必要とするであろう。
【0087】
前述のように、多くの環境で見いだされる別のクラスの汚染物質は、揮発性有機化合物(VOC)である。揮発性有機化合物は、フィルタによって捕捉されないガスであるので、一般に、静電フィルタおよびエンハンスド型静電フィルタは、揮発性有機化合物を除去するのに効果的でない。図1に示されたプラズマリアクタは、プラズマ生成チャンバ26内におけるイオン化のレベルが増大しているゆえに、揮発性有機化合物に対していくらかの(比較的小さい)影響を有するが、大半のVOCは効果的に除去することができない。二酸化マグネシウムのもう1つの性質は、それが、VOCを除去するための触媒としても機能することである。しかしながら、二酸化マグネシウムは、VOCを低減させるよりも、オゾンおよびNOxを低減させる方で、より効率的である傾向がある。オゾンおよびNOxについて上述されたように、触媒ブロック130の有効性は、一般に、空気の流れに曝露される表面積の関数である。しかしながら、後述されるように、触媒130の効率を高めるために、いくつかの強化がなされてきた。
【0088】
リアクタを通過する空気の流れは、触媒ブロック130に入る時点では、(静電フィルタを通過したゆえに)ほとんど粒状物質を有さないのが一般的であるが、通常は、数々の荷電イオンを有することが理解されるべきである。本発明の別の一態様では、触媒の効率をさらに高めるために、触媒を静電場に曝すなおかつ/または触媒を電極化することが可能である。このような触媒電極は、荷電実体(例えばオゾン、NOx、および特定の荷電VOC)を触媒材料に引き付ける傾向があり、これは、荷電実体が触媒材料と接触して低減される確率を高めることによって、触媒の効率を向上させる。
【0089】
図2に示された実施形態では、触媒ブロック130は、電荷を帯びていない。しかしながら、代替の一実施形態(図2において点線で示される)では、触媒ブロック130を電極化することが可能である。二酸化マグネシウム自体は誘電体材料であるが、触媒ブロック130は、触媒用のフレームとして金属(またはその他の導電性)材料を使用し、次いで、そのフレームを適切な電源と電気的に接続することによって、容易に電極として形成することができる。上述のように、二酸化マグネシウム触媒は、一般に、粉末二酸化マンガンをサポートフレームに塗布することによって形成される。今日では、フレーム材料として金属が使用されることが多いので、単純に、金属フレームを使用し、その金属フレーム上にアクセス端子を設けることによって、容易に適切な電極を作成することができる。もちろん、触媒電極は、その他の種々様々なプロセスによっても形成可能である。フレームとして、種々様々な金属が使用可能である。例えば、アルミニウムが優れた働きをする。
【0090】
触媒130は、電極を形成するために、リアクタ100内において電気的に接続される。触媒は、正電極、負電極、または接地電極として使用可能である。図2に示された実施形態では、触媒130は、リアクタ内における最後に露出する要素である。したがって、その触媒は、もし電極として使用される場合は、考えられる安全性の問題から、接地電極となるように接地される。しかしながら、その他の実施形態では、触媒電極130は、正にまたは負に帯電可能である。
【0091】
触媒電極は、荷電実体または分極実体(例えばオゾン、NOx、および特定の荷電VOC)を触媒材料に引き付ける傾向があり、これは、これらの実体が触媒材料と接触して低減される確率を高めることによって、触媒の効率を向上させる。この荷電実体の横方向の運動は、また、通路172内における混合を(場合によっては乱流をも)促進する傾向もあり、これは、さらに、帯電できない実体(ベンゼン、トルエン、ヘキサン、エタノールなどの中性の揮発性有機化合物など)が触媒の表面と接触する確率を高めることによって、触媒の効力をさらに増大させる。これらの実施形態では、触媒電極は、その表面に、静電力によって粒子および気相分子を引き付ける。これらの力は、もし分子/粒子が帯電しているならば「コロンビック(columbic)」、もし分子/粒子が中性であるならば双極性であることが可能である。
【0092】
触媒電極の有効性は、触媒の電気的サンドイッチを効果的に形成するために、反対の極性を有する電極と組み合わせて使用される場合に向上される。これは、触媒電極と連携する別の(反対の極性の)電極を追加することによって、容易に実現することができる。あるいは、触媒電極は、静電フィルタブロック内の電極の1つ(好ましくは最後の電極)として使用することができる。触媒電極を反対の極性の電極と統合させると、荷電気相分子を触媒の表面に引き付ける静電力が大幅に強化される。
【0093】
前述のように、触媒ブロックを製造する共通の方法の1つは、粉末二酸化マンガンをハニカムタイプのフレームに塗布することである。電極としての触媒の有効性は、数々の尖った点を内部に有する金属(例えばアルミニウム)フレームを選択することによって高めることができる。電極内において尖った点を使用する利点は、引用によって本明細書に組み込まれる前掲の特許第6,805,732号においていくらか詳細に説明されている。このため、特定の一構成では、触媒ブロックは、フレーム全体に分布した(好ましくは比較的均一に分布した)尖った点を有する金属製のハニカムフレーム上に形成可能である。
【0094】
次に、図10を参照にして、触媒の別の一実施形態について説明される。この実施形態では、1対の触媒ブロック230が、互いに隔たれている。例示された実施形態では、触媒ブロックの間に混合板234が配置されている。混合板234は、空気の流れの中のVOCおよび反応種が触媒の壁と接触する確率をさらに上げるために、流体流に横方向の運動を付与するように設計される。たとえ混合板が排除された場合でも、触媒ブロック230の間に隙間を設けることによって、(混合板によって提供されるよりも少ないものの)何らかの混合が促進される。例えば、およそ0.5〜5cmの隙間が、優れた働きをする一般的な間隔であろう。ただし、その他の間隔も、同様に使用可能である。
【0095】
もちろん、3つ以上の触媒ブロックを提供し、空気の流れと触媒との間におけるより優れた相互作用を促進するために、触媒の前または間に適切な隙間、混合板、またはその他の構造を導入することも可能である。より優れた相互作用は、ひいては、触媒の効力を増大させる傾向がある。空気/触媒の相互作用をさらに促進するため、一部または全部の触媒ブロックを電極として随意に使用することが可能である。2つ(または3つ以上)の電極ブロックが使用される場合は、触媒の効率をさらに向上させるために、ブロックの極性を交互させることが可能である。
【0096】
上述された実施形態では、触媒は、静電フィルタの下流に配置された個々のブロックとして示されている。しかしながら、1つまたは複数の触媒を、リアクタ内のその他の様々な位置に配置することが可能である。例えば、触媒は、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を含む、プラズマリアクタのその他の事実上あらゆる構成要素上に、コーティングとして塗布可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を光触媒でコーティング可能である。同様に、光触媒は、静電フィルタ内の電極をコーティング可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタの効率を向上させる。
【0097】
酸化触媒:
次に、図11を参照にして、別のリアクタ設計について説明される。このリアクタ設計は、少なくとも一部の静電フィルタの上流に酸化触媒242が追加された点を除き、図2に示されたリアクタの設計に極めて似ている。また、説明されたシステムの一部の柔軟性を例示しようとする努力の一環として、提供された各種の構成要素の数をいくらか変更してある。例示された実施形態では、酸化触媒242は、プラズマ生成器126と静電フィルタ128との間の、プラズマ生成器の下流に配置されている。しかしながら、酸化触媒は、リアクタ内の様々な代替の位置に設けることができる。ただし、副生成物としてオゾンを生成しやすい場合は、還元触媒130の上流に配置することが望ましい。
【0098】
既知の酸化触媒は、ひとにぎりである。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)および酸化チタン(TiO2)が、低い(すなわち通常の周囲)温度において優れた働きをする。このような触媒は、一般に、イオン濃度の高い環境にあるほど多量の酸化種(例えばオゾン)を生成するゆえに、プラズマ生成器の少なくとも1つの下流に配置されることが好ましい。
【0099】
酸化触媒は、静電フィルタ内のオゾン濃度のレベルを増大させることができ、これは、さらに、静電フィルタ内で捕捉されるあらゆる生物学的実体を非活性化させる効力を向上させる。酸化触媒が実用的であるのは、主に、還元触媒130が、静電フィルタを通過した後の流体の流れから過剰な酸化種(例えばオゾン)を除去するのに非常に効果的であるからである。オゾンを生成するのに加えて、酸化触媒242は、各種の揮発性有機化合物(VOC)も酸化するので、流体の流れの中のVOC濃度を低減させるのに極めて有用である。
【0100】
図11に示された実施形態では、単一の還元触媒130の代わりに、相隔てられた1対の還元触媒電極170が設けられている。触媒電極は、反対の極性の電荷を帯びることによって、静電的な触媒サンドイッチを形成する。これは、上述のように、触媒の効率をさらに向上させる。図11に示された実施形態は、また、プラズマ生成器(この場合は負プラズマ生成器126であるが、もちろん、その他の任意の適切なプラズマ生成器が使用可能である)を1つのみ含み、さらに、3つの一連の静電フィルタを含む。
【0101】
上で指摘されたように、酸化触媒および還元触媒は、ともに、揮発性有機化合物を破壊できるという利点がある。しかしながら、VOCを除去するそれらの効率は、酸化種を生成または除去するそれらの能力ほど大きくない。上述された各種の触媒の実施形態では、システムは、主に、リアクタ内および/または流出する流れの中の反応種の量を制御するように設計される。しかしながら、一部の応用では、VOCがより大きな懸念であり、したがって、VOCを破壊するようにより良く構成された形にリアクタを設計することが望しいであろう。これは、様々な方法で実現可能である。リアクタの事実上あらゆる構成要素は、リアクタのVOC除去効率をさらに向上させるために、触媒でコーティング可能である。具体的には、リアクタの効率を向上させるために、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を触媒でコーティング可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を、二酸化マンガン(MnO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、および酸化チタン(TiO2)などの触媒でコーティング可能である。同様に、このような触媒は、静電フィルタ内の電極用の絶縁体として使用可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタのVOC除去効率を向上させる。プラズマチャンバ内における二酸化マンガンの使用は、生成器内および生成器の下流におけるオゾンレベルを低減可能であることが理解されるべきである。放電電極とレセプタ電極との間の一定の電位差において、これは、下流の静電フィルタ内で生物学的実体を「捉えては燃やす」ために使用することができるオゾンの量を低減させるであろう。しかしながら、リアクタは、オゾンの超過供給、および静電フィルタ内で捕捉された生物学的実体に対する長期に及ぶオゾンの曝露を、生物学的実体の非活性化に十分であるように保証するであろう電位差で可動することができるので、これは、問題とならないことが多い。また、状況によっては、チャンバ壁触媒コーティングの使用によって、プラズマチャンバをより高い電位差で動作させることが可能になる。これは、チャンバ内のイオン化レベルをさらに増大させ、リアクタ全体の効率を向上させる。
【0102】
一部の応用では、触媒をブレンドし、両者のメリットを得ることが望まれる。例えばTiO2などの酸化触媒をMnO2などの還元触媒とブレンドし、両者のメリットを得ることが可能である。この例では、所望のブレンドは、特定の応用で望まれるVOC低減およびオゾン除去の相対レベルの関数である。
【0103】
一具体例において、TiO2によるプラズマチャンバ壁のコーティングは、とりわけUV照射に曝露された場合に、VOCをカットするのに極めて優れた働きをする。しかしながら、これは、オゾンをカットするには特に効果的ではない。MnO2は、オゾンを低減させるのに優れた働きをし、VOCを低減させるのにいくらかの効力を有するが、とりわけUV照射に曝露された場合のTiO2ほど常に効果的ではない。両者のメリットを得るには、TiO2とMnO2とのブレンドを使用することができる。前述のように、所望のブレンドは、特定の応用で望まれるVOC低減およびオゾン除去の相対レベルの関数である。
【0104】
光触媒の酸化:
揮発性有機化合物(VOC)に一部の触媒(特に酸化チタン(TiO2))が及ぼす影響は、その触媒を紫外線放射に曝露することによって大幅に増大させることができる。すなわち、紫外線放射への曝露は、TiO2の表面において光触媒酸化反応を生じさせる。より具体的に言うと、UVに曝露されたTiO2は、OH、酸素、過酸化物(H2O2)のラジカルを生成すると理解され、これらは、いずれも、微生物およびVOCなどを含む有機種を酸化するのに非常に効果的である。したがって、さらにその他の実施形態では、リアクタの効率をさらに向上させるために、リアクタ内に、酸化光触媒と組み合わせて紫外線放射源を導入可能である。
【0105】
図12に、このような構成の1つが示されている。この実施形態では、UV光源262と光触媒265との組み合わせがリアクタに追加される。例示された実施形態では、UV光源262は、静電フィルタスタック128の下流になおかつ触媒130の上流に配置される。静電フィルタスタック128内の最後の(最も下流の)電極165が、酸化チタンなどの光触媒265でコーティングされる。別途の穴あき光触媒ブロック268もまた、UV光源の下流にかつ触媒130の上流に配置される。UV光源262は、光源262によって生成されたUV光に光触媒265,268が曝露されるように配置される。
【0106】
その他の実施形態では、UV光源をプラズマリアクタ内のその他の位置に設置可能である、あるいは複数のUV光源をリアクタ内の複数の位置に設置可能である。例えば、UV光源は、代替として(あるいは追加として)、プラズマチャンバの前、プラズマチャンバの中、静電フィルタスタックの前、または(例えば静電フィルタ間に配置されたもしくは少なくとも部分的に静電フィルタと統合された構成要素として)静電フィルタスタックの中間に配置可能である。さらにその他の実施形態では、UV光源は、リアクタ全体にUV放射を浴びせることが可能である。
【0107】
説明されたその他の触媒と同様に、光触媒は、静電フィルタおよびプラズマ生成器の各種の構成要素を含む、プラズマリアクタのその他の事実上あらゆる構成要素上に、コーティングとして塗布可能である。例えば、プラズマ生成器内では、チャンバ壁144および/またはレセプタ電極147を光触媒でコーティング可能である。同様に、光触媒は、静電フィルタ内の電極をコーティング可能である、あるいは静電フィルタ内で使用される誘電体をコーティング可能である。これらの各応用は、大半において、リアクタのVOC除去効率を向上させる。
【0108】
別の一実施形態(不図示)では、UV光源は、プラズマ生成器126の下流になおかつ静電フィルタスタック128の上流に配置される。静電フィルタスタック128内の最初の(最も上流の)電極165が、光触媒265でコーティングされる。この構成は、静電フィルタの前に追加の酸化種を生成できるという利点を有するが、第1の電極は、比較的速くダストで覆われる傾向があるので、一般に、比較的頻繁に洗浄する必要があるであろう。
【0109】
光触媒は、別途の構造(例えば光触媒268などの、または触媒170について上述されたような、穴あきブロック)に載せることが可能である、あるいはリアクタ内のその他の構造の中のUV光に曝露される一構造の表面に塗布可能である。例えば、図12に示された実施形態では、光触媒は、静電フィルタスタック内の最下流電極165にも塗布される。代替としてあるいは追加として、第1の触媒ブロック130(または少なくとも第1の触媒ブロックの上流表面)が、光触媒でコーティング可能である、または光触媒の形態をとることが可能である。
【0110】
なお、酸化光触媒(上述された酸化触媒など)は、流体の流れの中の酸化種の濃度を増大させられることが理解されるべきである。例えば、UV光源は、一部のUV波長(例えば254nm)では過剰なオゾンを実際に低減可能である一方で、その他のUV波長(例えば380nm)では追加のオゾンを生成可能である。したがって、多くの応用では、リアクタから排出される前に流体の流れから過剰な酸化種を除去するために、光触媒の下流に還元触媒を含ませることが重要である。したがって、多くの実施形態では、酸化光触媒は、還元触媒の上流に設けられる。酸化光触媒は、一部の実施形態では還元触媒のすぐ上流に設置可能である一方で、その他の実施形態では還元触媒の遥か上流に配置可能である。
【0111】
さらにその他の実施形態では、酸化光触媒を還元触媒と混合することが望ましいであろう。例えば、酸化チタン(TiO2)と二酸化マンガン(MnO2)との混合を複合光触媒として用いることが望ましいであろう。このような混合では、酸化チタンは、光触媒効果を生じる唯一の材料であると考えられる。しかしながら、酸化触媒と還元触媒とを混合させることに関するより一般的な議論のなかで上述されたのとほぼ同じ理由で、光触媒における混合の使用は、流体の流れの中でVOCを低減させることおよび酸化種を低レベルに維持することの両方に、何らかの利点があるであろう。
【0112】
UV光源262は、触媒内に光触媒効果をもたらすことが知られている様々なUV波長の中の任意の波長で光を放射することができる。例えば、光触媒として酸化チタンが使用される場合は、150〜380nmの範囲のUV波長が優れた働きをする。例えば、254nmまたは380nmの放射を放つ紫外線ランプは、最も一般的な市販のUV光源の1つであり、いずれも、光触媒効果をもたらすのに優れた働きをする。
【0113】
およそ254nmの波長を有する紫外光(殺菌UVと称されることもある)は、生物有機体を中和する効果を有する。また、還元(オゾンを変換する)効果も有する。したがって、およそ254nmの波長を有する殺菌UVを放射するUV光源の使用は、単に、触媒において所望の光触媒酸化を生じさせることに加えて数々のメリットを有する。したがって、多くの実施形態では、およそ254nmの波長を有する殺菌UVを放射するUV光源を用いることが望まれる。
【0114】
光源262として、任意の適切なUV光源が使用可能である。例えば、UVランプ、発光ダイオード(LED)、および光ファイバ(例えば石英ファイバ光ケーブル)が、UV光源として容易に使用可能である。
【0115】
その他のコーティング:
上述された各種の実施形態に関する説明では、いくつかの特定の触媒が明記されている。これらの触媒は、リアクタ内の特定の位置で反応種の濃度を低減(または増大)させること、VOCを除去することなどを可能性として含む、説明された機能を実施するのに非常に優れた働きをする。その他に、リアクタを通過する空気の流れに対して類似のまたはその他の所望の効果を及ぼすためにリアクタ内で有利に使用可能である数々の材料が存在する。実際、各種のVOCを除去するために特に有益でなおかつリアクタ内で首尾良く使用可能であるその他の様々な触媒および数々の吸収性材料がある。例えば、特定のケイ酸マグネシウムおよび過マンガン酸カリウムは、特定のVOCを除去または吸収する能力を有する。このような使用の1つが、果物包装の応用においてエチレン(特定のVOCである)を吸収するためにこれらの材料を使用することを記載した米国特許第5,955,004号に明記されている。これらの材料は、リアクタのVOC除去能力をさらに向上させるために、リアクタ内で用いることが可能である。上述された触媒と同様に、ケイ酸マグネシウムおよび過マンガン酸カリウムは、所望の結果を実現するために、別途の吸収性構成要素として提供可能である、あるいはリアクタの1つまたは複数の既存の構成要素にコーティング可能である。例えば、これらの材料は、単独で、あるいはその他の触媒または吸収コーティングと組み合わせて、電極または静電フィルタの誘電体などの構成要素にコーティング可能である。その他の実施形態では、これらは、1つまたは複数の触媒(例えば触媒130)と混合可能である。さらにその他の実施形態では、これらは、前述の触媒の一部と全く同様に、流体の流れを受け取る別途の多孔質ブロックに塗布可能である。
【0116】
VOCを除去するために使用される物理的なメカニズムは、完全には理解されていない。これらの材料は、VOCの酸化(したがってその除去)を引き起こすと推測される。酸化の効力は、非常に高濃度のイオンおよび反応種を有するリアクタの環境内で大幅に向上されると考えられるが、これらの材料は、酸化を誘発する触媒効果があると思われる。材料は、リアクタ内の電極上または誘電体コレクタ上にコーティングされると、静電気引力によってさらにその効力を高めることができる。
【0117】
その他に、VOC(またはその他の特定の物質)の除去を助けるためにやはりリアクタ内において使用することができる数々の既知の吸収性材料がある。例えば、ゼオライト、活性炭、および酸化アルミニウム(アルミナ)は、いずれも、VOCを吸収するものとして知られている。リアクタ内でイオンおよび反応種が高濃度であること、および吸収剤にVOCを引き付けるために静電気引力が使用可能であるという事実ゆえに、これらのいずれの化合物も、リアクタ内でのそれらの使用によって性能を向上されると考えられる。したがって、前述の触媒および吸収剤と同様に、これらの吸収性材料は、所望の結果を実現するために、別途の吸収性構成要素として提供可能である、あるいはリアクタの1つまたは複数の既存の構成要素にコーティング可能である。例えば、これらの材料は、単独で、あるいは触媒またはその他の吸収コーティングと組み合わせて、電極または静電フィルタの誘電体などの構成要素にコーティング可能である。その他の実施形態では、これらは、単独で、あるいはその他の吸収剤または触媒と組み合わせて、流体の流れを受け取る別途の多孔質ブロックに塗布可能である。
【0118】
応用:
説明されたリアクタは、非常に種々様々な応用において、空気(またはその他のガス状流体)を汚染除去する、浄化する、および/またはろ過するために使用可能である。例えば、応用の1つは、病院および/またはその他の健康管理環境のための空気浄化および汚染除去システムにおける使用である。病院環境では、院内感染が深刻な問題であることがよく理解されている。とりわけ、免疫不全の患者は、非常に感染を受けやすく、合併症および病院関連の死のかなりの割合は、院内感染に起因する。したがって、健康管理環境における使用を意図した空気浄化システムに望まれる特徴の1つは、フィルタを通過する浮遊生物学的因子の完全なる非活性化である。説明されたリアクタは、このような非活性化によく適している。
【0119】
上述されたもう1つの応用は、航空機のろ過システムにおける使用である。このような応用では、生物学的汚染除去、ろ過、オゾン除去、およびVOC除去の全てが望ましい特徴であり、説明されたリアクタは、やはり、このような応用における使用によく適している。もう1つの応用は、商業用建築および住居建築の応用における空気のろ過である。一部の環境では、ろ過および/またはVOCの除去がとりわけ重要だと見なされる。その他では、生物学的汚染除去が最も重要である。さらにその他の応用では、環境から反応種(例えばオゾンおよびNOx)を除去することも望ましいであろう。
【0120】
多くの応用において、望ましいとされる特徴は、フィルタを通過する空気から極めて高い割合の浮遊粒状物質を除去することである。広く用いられている基準の1つは、HEPA(高性能)フィルタと称される。定義によると、高性能フィルタは、フィルタを通過する0.3ミクロンの浮遊粒状物質の99.97%以上を除去できなければならない。説明されたリアクタは、HEPAの捕集効率を達成するように容易に設計することができる。
【0121】
もう1つの大きな応用は、空気をろ過、汚染除去、および/または浄化することをしばしば望まれる住居用ならびに商業用の空気処理市場における使用である。リアクタは、一部の応用において、建物の中の暖房、換気、および/または空調(HVAC)システムに組み込み可能である一方で、その他の状況では、局所的な室内または作業場領域における動作することを意図した装置に組み込み可能である。
【0122】
上述のように、UV照射への曝露によって引き起こされる酸化チタン内における光触媒表面効果は、VOCを除去するのに非常に効果的である。したがって、UV光源と光触媒との組み合わせは、VOC除去の向上を必要とする応用においてとりわけ有用である。VOCは、例えば住居用および商業用の暖房、換気、および空調(HVAC)応用、航空機およびその他の輸送手段の空気再循環システム、ならびに様々な医学的応用を含む、種々様々な空気浄化およびろ過の応用において問題であると見なされる。
【0123】
リアクタの構成要素(例えばイオン生成器またはプラズマ生成器の数、大きさ、およびタイプ、ならびに静電フィルタや(もし使用されるならば)触媒などの数およびタイプ)は、事実上あらゆる特定の応用のニーズを満たすように選択することができる。
【0124】
リアクタのための物理的収納もまた、様々に可変である。多くの応用では、リアクタ設計において構成要素を容易に加減可能であるように、なおかつ/あるいはリアクタ構成要素の交換またはメインテナンスが容易に実施可能であるように、モジュラー式の収納を提供することが望ましいであろう。とりわけ、フィルタは、定期的に洗浄または交換することが必要とされる、あるいは望まれるであろう。その他の構成要素もまた、定期的に洗浄またはメインテナンスを必要とするであろう。しかしながら、通常は、フィルタが、最も頻繁に洗浄または交換されるであろう。リアクタの収納に適したフレームの1つが、引用によって本明細書に組み込まれる同時係属米国出願第11/445,087号に記載されている。
【0125】
以上では、本発明のいくつかの実施形態のみが詳細に説明されてきたが、本発明は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに、その他の多くの形態で実装可能である。本発明は、主に、プラズマリアクタをベースとした空気の汚染除去、ろ過、および浄化のシステムに統合させることとあわせて説明されてきた。しかしながら、本明細書で説明された発明の大部分は、種々様々な応用においても使用可能であることが理解されるべきである。例えば、静電フィルタ関連の発明は、あらゆる静電フィルタ応用において使用可能であり、プラズマリアクタをベースにした汚染除去および/または浄化のシステムにおける使用に決して限定されない。同様に、触媒関連の発明の多くは、様々なイオンエンハンスド型のろ過応用において使用することができる。このため、説明された各種の発明は、併用または個別使用が可能であり、プラズマリアクタの一部として統合可能である、あるいはその他のろ過システムにおいて使用可能である。
【0126】
以上の説明において、プラズマ生成器および各種の電極は、電位を印加されるものとして説明されてきた。印加される電位は、場合によっては地電位である。その他の場合では、印加される電位は、正電位または負電位であることが可能である。絶縁電極の説明にあたって、特定の実施形態では、電荷分布格子に電荷源が印加された。電荷源は、ときには、正または負の電荷源とは対照的に、単純に接地であることが可能であることがわかる。したがって、本実施形態は、例示目的であって限定目的ではなく、本発明は、本明細書において定められた詳細に限定されず、むしろ、添付の特許請求の範囲およびそれらのあらゆる等価形態の範囲で変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】プラズマをベースにした既存の空気浄化およびろ過システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態にしたがった、プラズマをベースにした空気浄化およびろ過システムの概略図である。
【図3(a)】並行に配置された複数の隣り合う六角形のプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の端面図である。
【図3(b)】並行に配置された複数の隣り合う円筒形のプラズマチャンバで構成されたプラズマ生成器の端面図である。
【図4】本発明の第1の態様の一実施形態にしたがった、静電フィルタの誘電体の形成に使用可能な高空隙率の不織繊維マットの概略図である。
【図5(a)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(b)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(c)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(d)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(e)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(f)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(g)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図5(h)】静電フィルタ内の誘電体としての使用に適したいくつかの異なる繊維の断面幾何形状の概略図である。
【図6】本発明の別の態様の一実施形態にしたがった、使用に適した金属化され絶縁された静電フィルタ電極設計の概略図である。
【図7(a)】金属化され絶縁された2つの異なる電極設計の断面図である。
【図7(b)】金属化され絶縁された2つの異なる電極設計の断面図である。
【図8】複数の静電フィルタ電極の金属化層を電気的に接続するのに適した1つの構成の概略図である。
【図9】本発明の別の態様にしたがった、プラズマリアクタにおける使用に適した触媒の概略図である。
【図10】代替の一触媒構成の概略図である。
【図11】酸化触媒を含む別のリアクタ設計の概略図である。
【図12】紫外線によるVOC除去のシステムを含む別のリアクタ設計の概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたリアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するために十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質触媒であって、前記流体の流れに含まれる反応種の変換を大幅に向上させるように構成された多孔質触媒と、
を備えるリアクタ。
【請求項2】
生物学的粒状物質を非活性化し、通過する流体の流れにより運ばれる生物学的および非生物学的エアロゾル粒状物質を収集するリアクタであって、
流体の流れを受け取り、前記流体の流れから少なくとも一部の粒状物質をろ過する前置フィルタと、
前記前置フィルタの下流に配置され、前記前置フィルタによってろ過された流れを、第1の電荷を有する高濃度の反応種を有する第1のコールドプラズマに曝す第1のプラズマチャンバと、
前記第1のプラズマチャンバの下流に配置され、前記流れを、前記第1の電荷と反対の第2の電荷を有する高濃度の反応種を有する第2のコールドプラズマに曝す第2のプラズマチャンバと、
前記第2のプラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの静電フィルタと、
前記静電フィルタの下流に配置され、前記流体の流れが前記リアクタから出る前に、前記流体の流れに含まれる反応種の濃度を大幅に低減させるように構成された触媒と、
を備えるリアクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のリアクタであって、
前記前置フィルタは、前記粒状物質に双極子モーメントを作用させる静電前置フィルタである、リアクタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、二酸化マンガン(MnO2)である、リアクタ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、前記リアクタから出るオゾンを環境オゾン濃度レベル未満のレベルに低減させるように構成される、リアクタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、さらに、流出する前記流れの中のNOxレベルを環境NOxレベル未満のレベルに下げるように構成される、リアクタ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバによって生成されたプラズマは、主に負に帯電された高濃度の反応種を有する、リアクタ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記第1のプラズマチャンバの下流になおかつ前記触媒の上流に配置された第2のプラズマチャンバであって、前記第1のプラズマチャンバから前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を、前記第1のプラズマチャンバにおいて生成された前記反応種の電荷と反対の電荷を有する高濃度の反応種を有する第2のコールドプラズマに曝すように構成され、前記触媒の上流に配置される、前記第2のプラズマチャンバを備えるリアクタ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のリアクタであって、
生物有機体を非活性化するように構成されたリアクタ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、揮発性有機化合物を酸化するために十分に強く、前記触媒は、さらに、揮発性有機化合物を破壊するように構成される、リアクタ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、第1の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックと、前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックの下流になおかつ前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックから隔てて配置された第2の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックとを含む、リアクタ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、電極上に載せられ、それによって、使用中、前記触媒に荷電種を引き付けるために、前記電極に電位が印加可能である、リアクタ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、直流プラズマ生成器を使用して形成される、リアクタ。
【請求項14】
請求項2ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記第1のプラズマチャンバによって生成されるコールドプラズマは、正に帯電された反応種を支配的な濃度で有し、前記第2のチャンバによって生成されるコールドプラズマは、負に帯電された反応種を支配的な濃度で有する、リアクタ。
【請求項15】
請求項1ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のプラズマは、RFプラズマ生成器およびマイクロ波プラズマ生成器の少なくとも1つを使用して形成される、リアクタ。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
UVイオン生成器を備えるリアクタ。
【請求項17】
オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システム内の触媒コンバータであって、
反応種を生成する構成要素の下流に配置され、第1の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックと、前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックの下流になおかつ前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックから隔てて配置された第2の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックとを含み、前記第1および第2の触媒ブロックは、前記空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが前記第1および第2の触媒ブロックを順次通過するように、前記空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される、触媒コンバータ。
【請求項18】
請求項17に記載の触媒コンバータであって、さらに、
前記第1の触媒ブロックと前記第2の触媒ブロックとの間の前記空気流路内に配置された混合板を備える触媒コンバータ。
【請求項19】
オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システム内の触媒電極であって、
反応種を生成する構成要素の下流に配置されなおかつ多孔質であり、導電性電極と、オゾンおよびその他の反応種を低減させるのに適した触媒材料とを含み、前記空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが前記空気ろ過および汚染除去システムから出る前に前記触媒電極を通過するように、前記空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される、触媒電極。
【請求項20】
請求項19に記載の触媒電極であって、さらに、
前記導電性電極として機能する金属フレームを備え、前記触媒材料は、前記金属フレームに塗布された二酸化マンガンである、触媒電極。
【請求項21】
請求項20に記載の触媒電極であって、
前記金属フレームは、尖った点をともなうハニカム構造を有する、触媒電極。
【請求項22】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたリアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバを通過した後の前記流体の流れが通過するように、前記プラズマチャンバの下流に配置された静電フィルタであって、前記プラズマチャンバまたは前記静電フィルタの少なくとも1つの構成要素は、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を破壊することを助ける触媒で覆われる、静電フィルタと、
を備えるリアクタ。
【請求項23】
リアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される光触媒と、
前記光触媒を紫外光に曝すように構成されたUV光源であって、それによって、前記光触媒に作用する紫外光は、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる前記光触媒において光触媒酸化反応を生じさせる、UV光源と、
を備えるリアクタ。
【請求項24】
空気浄化装置であって、
前記空気浄化装置を通過するガス状流体の流れにイオンを導入するように構成されたイオン化器と、
前記流体の流れに曝露される光触媒と、
前記イオン化器と区別され、前記光触媒を紫外光に曝すように構成されたUV光源であって、それによって、前記光触媒に作用する紫外光は、前記流体の流れによって運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる前記光触媒において光触媒酸化反応を生じさせる、UV光源と、
前記イオン化器の下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの多孔質静電フィルタと、
を備える空気浄化装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載のリアクタであって、
前記光触媒は、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質構造上に配置される、リアクタ。
【請求項26】
請求項23ないし25のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、酸化チタン(TiO2)である、リアクタ。
【請求項27】
請求項23ないし26のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子をろ過するための、少なくとも1つの多孔質静電フィルタであって、1対の電極と、誘電体とを含む多孔質静電フィルタを備えるリアクタ。
【請求項28】
請求項24ないし27のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの構成要素に塗布される、リアクタ。
【請求項29】
請求項23ないし28のいずれかに記載のリアクタであって、
前記UV光源は、およそ150〜380nmの範囲の波長を有する紫外線放射を放つ、リアクタ。
【請求項30】
請求項29に記載のリアクタであって、
前記UV光源は、およそ254nmの波長を有する殺菌紫外線放射を放つ、リアクタ。
【請求項31】
請求項24ないし30のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの下流に配置される、リアクタ。
【請求項32】
請求項24ないし30のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの上流に配置される、リアクタ。
【請求項33】
請求項23ないし32のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、直流プラズマ生成器を使用して形成される、リアクタ。
【請求項34】
請求項23ないし33のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記光触媒の下流に配置された第2の触媒であって、前記流体の流れが前記リアクタから出る前に、前記流体の流れに含有される反応種の濃度を大幅に低減させるように構成された第2の触媒を備えるリアクタ。
【請求項35】
請求項23ないし34のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記第1のプラズマチャンバの下流に配置された第2のプラズマチャンバを備えるリアクタ。
【請求項36】
請求項1ないし35のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される吸収性材料であって、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を吸収し、前記吸収された揮発性有機化合物を、前記プラズマチャンバによって生成される前記流体の流れの中の反応種に曝露することによって、前記揮発性有機化合物の酸化の少なくとも一部を促進するように構成された吸収性材料を備えるリアクタ。
【請求項37】
リアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するために十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの静電フィルタと、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される吸収性材料であって、前記流体の流れで運ばれる揮発性有機化合物を吸収し、前記吸収された揮発性有機化合物を、前記プラズマチャンバによって生成される前記流体の流れの中の反応種に曝露することによって、前記揮発性有機化合物の酸化の少なくとも一部を促進するように構成された吸収性材料と、
を備えるリアクタ。
【請求項38】
請求項36または37に記載のリアクタであって、
前記吸収性材料は、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質ブロック上に載せられる、リアクタ。
【請求項39】
請求項36または37に記載のリアクタであって、
前記吸収性材料は、前記静電フィルタの構成要素のコーティングとして塗布される、リアクタ。
【請求項40】
請求項1、4ないし16、22ないし39のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れから少なくとも一部の粒子をろ過する前置フィルタを備えるリアクタ。
【請求項41】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を収集するのに適した静電フィルタであって、
導電性材料で形成されたコアと、前記コアを電気的に絶縁する絶縁層と、前記絶縁層によって前記コアから隔離された電荷分布導体とを含む第1の多孔質電極と、
前記第1の電極から隔てられた第2の多孔質電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された多孔質誘電体であって、動作時に前記流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように構成された多孔質誘電体と、
前記導体と通じた電荷源であって、それによって、動作時に、第1の極性を有する第1の電位が前記第1の多孔質電極に印加可能であり、前記電荷源は、前記第1の電極の前記絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、前記第1の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に前記導体に印加する、電荷源と、
を備える静電フィルタ。
【請求項42】
請求項41に記載の静電フィルタであって、さらに、
前記電荷源として機能するイオン源であって、前記第1の電極と同じ極性を有し、前記第1の電極上の前記導体と通じており、前記静電フィルタの動作中に前記第1の電極の前記絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するように構成されたイオン源を備える静電フィルタ。
【請求項43】
請求項41または42に記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、第2のコアと、前記第2のコアを電気的に絶縁する第2の絶縁層とを含む、静電フィルタ。
【請求項44】
請求項43に記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、さらに、前記第2の絶縁層によって前記第2のコアから隔離された第2の電荷分布導体を含む、静電フィルタ。
【請求項45】
請求項44に記載の静電フィルタであって、さらに、
前記第2の電荷分布導体と通じた第2の電荷源であって、それによって、動作時に、第2の極性を有する第2の電位が前記第2の多孔質電極に印加可能であり、前記電荷源は、前記第2の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、前記第2の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に前記第2の電荷分布導体に印加する、電荷源を備える静電フィルタ。
【請求項46】
請求項41ないし45のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第1および第2の電極において、異なる絶縁体が使用される、静電フィルタ。
【請求項47】
請求項41ないし46のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、第2のコアと、正常動作条件下では前記第2のコアを電気的に絶縁して短絡を阻止する一方で、前記第2の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記絶縁体を通って前記第2のコアへと移動することを可能にする、第2の雑多な絶縁層とを含む、静電フィルタ。
【請求項48】
請求項41ないし47のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第2の絶縁層は、塗料材料である、静電フィルタ。
【請求項49】
請求項41ないし48のいずれかに記載の静電フィルタであって、
順次配置された複数の第1および第2の電極を備え、隣り合う第1および第2の電極の各ペアは、隣りの電極ペアとの間に誘電体を介在される、静電フィルタ。
【請求項50】
適切な静電フィルタであって、
コアと、雑多な絶縁層とを有する第1の絶縁電極と、
前記第1の電極から隔たれた第2の絶縁電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された誘電体であって、動作時に前記流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように構成され、前記雑多な絶縁層は、前記正常動作条件下では前記第1の電極を電気的に絶縁して短絡を阻止するように構成される一方で、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が動作中に前記第1の電極上に堆積することのないように、動作中に、前記第1の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記絶縁層を通って前記コアへと移動することを可能にする、誘電体と、
を備える静電フィルタ。
【請求項51】
請求項50に記載の静電フィルタであって、
前記第2の絶縁電極は、第2のコアと、第2の雑多な絶縁層とを有し、前記第2の雑多な絶縁層は、前記正常動作条件下では前記第2の電極を電気的に絶縁して短絡を阻止するように構成される一方で、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が動作中に前記第2の電極上に堆積することのないように、動作中に、前記第2の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記第2の絶縁層を通って前記第2のコアへと移動することを可能にする、静電フィルタ。
【請求項52】
請求項41ないし51のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体は、空隙率が97%以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットであり、前記繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有し、前記誘電体マットは、1.7以上の屈曲を有し、
前記第1および第2の電極は、動作時に、ろ過されるべき流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように配置され、前記第1および第2の電極には、前記誘電体マット内における誘導静電場の形成を促進するのに十分に高い電位差を印加可能であり、それによって、前記誘電体マットを通過する前記流体の流れは、前記流れの中の粒状物質の少なくとも一部を前記誘電体マットの前記繊維に付着させるのに実質的に十分な静電力に曝されるであろう、静電フィルタ。
【請求項53】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を収集するのに適した静電フィルタであって、
孔隙率が90%以上の導電性材料で形成された第1の多孔質電極と、
空隙率が97%以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットであって、前記繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有し、前記誘電体マットは、1.7以上の屈曲を有する、誘電体マットと、
孔隙率が90%以上の導電性材料で形成された第2の多孔質電極であって、前記第1および第2の多孔質電極は、前記誘電体マットを挟むように配置され、動作時に、ろ過されるべき流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように配置され、前記第1および第2の電極には、前記誘電体マット内における誘導静電場の形成を促進するために十分に高い電位差を印加可能であり、それによって、前記誘電体マットを通過する前記流体の流れは、前記流れの中の粒状物質の少なくとも一部を前記誘電体マットの前記繊維に付着させるのに実質的に十分な静電力に曝されるであろう、第2の多孔質電極と、
を備える静電フィルタ。
【請求項54】
請求項52または53に記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットの空隙率は、99%を超える、静電フィルタ。
【請求項55】
請求項52ないし54のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記孔は、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ三次元に開いている、静電フィルタ。
【請求項56】
請求項52ないし55のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットは、2以上の屈曲を有する、静電フィルタ。
【請求項57】
請求項52ないし56のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、0.1〜50ミクロンの範囲である、静電フィルタ。
【請求項58】
請求項52ないし57のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットを形成する前記繊維は、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される材料で形成される、静電フィルタ。
【請求項59】
請求項52ないし58のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい領域を少なくとも1つ有する、静電フィルタ。
【請求項60】
請求項52ないし59のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい複数の個別の領域を有する、静電フィルタ。
【請求項61】
請求項52ないし60のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、実質的に多角形の形状を有する、静電フィルタ。
【請求項62】
請求項52ないし61のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記電極の少なくとも1つは、金属化された開放気泡構造で形成される、静電フィルタ。
【請求項63】
請求項52ないし62のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、35ミクロン未満である、静電フィルタ。
【請求項64】
請求項63に記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、10ミクロン未満である、静電フィルタ。
【請求項65】
請求項52ないし64のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットは、実質的に平坦な誘電体マットであり、前記静電フィルタは、さらに、前記誘電体層内における少なくともおよそ1000V/cmの誘導静電場の形成を促進するために前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を印加するのに適した電子コントローラを備える静電フィルタ。
【請求項66】
請求項1ないし40のいずれかに記載のリアクタであって、
前記静電フィルタは、請求項41ないし65のいずれかにしたがって形成される、リアクタ。
【請求項67】
第1の絶縁電極と、第2の絶縁電極と、前記第1の絶縁電極と前記第2の絶縁電極とを隔てる誘電体層とを有する静電フィルタを動作させる方法であって、
第1の極性を有する第1の電位を前記第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を前記第2の絶縁電極に印加しつつ、前記静電フィルタを動作させることと、
前記第1および第2の絶縁電極に印加される前記電位の極性を周期的に逆転させることによって、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるための反対の電荷を前記第1の電極上にも前記第2の電極上にも堆積させないようにすることと、
を備える方法。
【請求項68】
第1の絶縁電極と、第2の絶縁電極と、前記第1の絶縁電極と前記第2の絶縁電極とを隔てる誘電体層とを有する静電フィルタを動作させる方法であって、
第1の極性を有する第1の電位を前記第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を前記第2の絶縁電極に印加しつつ、前記静電フィルタを動作させることと、
前記第1の電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に電荷源を適用することによって、適用しければ前記第1の電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和し、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷を前記第1の電極上に堆積させないようにすることと、
を備える方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、
前記電荷源は、イオン源であり、前記電荷分布格子は、前記イオン源によって生成されるイオンに曝露される、方法。
【請求項70】
請求項68または69に記載の方法であって、さらに、
前記第2の電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に第2の電荷源を適用することによって、適用しなければ前記第2の電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和し、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷を前記第2の電極上に堆積させないようにすることを備える方法。
【請求項1】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたリアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するために十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質触媒であって、前記流体の流れに含まれる反応種の変換を大幅に向上させるように構成された多孔質触媒と、
を備えるリアクタ。
【請求項2】
生物学的粒状物質を非活性化し、通過する流体の流れにより運ばれる生物学的および非生物学的エアロゾル粒状物質を収集するリアクタであって、
流体の流れを受け取り、前記流体の流れから少なくとも一部の粒状物質をろ過する前置フィルタと、
前記前置フィルタの下流に配置され、前記前置フィルタによってろ過された流れを、第1の電荷を有する高濃度の反応種を有する第1のコールドプラズマに曝す第1のプラズマチャンバと、
前記第1のプラズマチャンバの下流に配置され、前記流れを、前記第1の電荷と反対の第2の電荷を有する高濃度の反応種を有する第2のコールドプラズマに曝す第2のプラズマチャンバと、
前記第2のプラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの静電フィルタと、
前記静電フィルタの下流に配置され、前記流体の流れが前記リアクタから出る前に、前記流体の流れに含まれる反応種の濃度を大幅に低減させるように構成された触媒と、
を備えるリアクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のリアクタであって、
前記前置フィルタは、前記粒状物質に双極子モーメントを作用させる静電前置フィルタである、リアクタ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、二酸化マンガン(MnO2)である、リアクタ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、前記リアクタから出るオゾンを環境オゾン濃度レベル未満のレベルに低減させるように構成される、リアクタ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、さらに、流出する前記流れの中のNOxレベルを環境NOxレベル未満のレベルに下げるように構成される、リアクタ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバによって生成されたプラズマは、主に負に帯電された高濃度の反応種を有する、リアクタ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記第1のプラズマチャンバの下流になおかつ前記触媒の上流に配置された第2のプラズマチャンバであって、前記第1のプラズマチャンバから前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を、前記第1のプラズマチャンバにおいて生成された前記反応種の電荷と反対の電荷を有する高濃度の反応種を有する第2のコールドプラズマに曝すように構成され、前記触媒の上流に配置される、前記第2のプラズマチャンバを備えるリアクタ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のリアクタであって、
生物有機体を非活性化するように構成されたリアクタ。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、揮発性有機化合物を酸化するために十分に強く、前記触媒は、さらに、揮発性有機化合物を破壊するように構成される、リアクタ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、第1の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックと、前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックの下流になおかつ前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックから隔てて配置された第2の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックとを含む、リアクタ。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のリアクタであって、
前記触媒は、電極上に載せられ、それによって、使用中、前記触媒に荷電種を引き付けるために、前記電極に電位が印加可能である、リアクタ。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、直流プラズマ生成器を使用して形成される、リアクタ。
【請求項14】
請求項2ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記第1のプラズマチャンバによって生成されるコールドプラズマは、正に帯電された反応種を支配的な濃度で有し、前記第2のチャンバによって生成されるコールドプラズマは、負に帯電された反応種を支配的な濃度で有する、リアクタ。
【請求項15】
請求項1ないし12のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のプラズマは、RFプラズマ生成器およびマイクロ波プラズマ生成器の少なくとも1つを使用して形成される、リアクタ。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
UVイオン生成器を備えるリアクタ。
【請求項17】
オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システム内の触媒コンバータであって、
反応種を生成する構成要素の下流に配置され、第1の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックと、前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックの下流になおかつ前記第1の二酸化マンガン触媒ブロックから隔てて配置された第2の多孔質二酸化マンガン触媒ブロックとを含み、前記第1および第2の触媒ブロックは、前記空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが前記第1および第2の触媒ブロックを順次通過するように、前記空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される、触媒コンバータ。
【請求項18】
請求項17に記載の触媒コンバータであって、さらに、
前記第1の触媒ブロックと前記第2の触媒ブロックとの間の前記空気流路内に配置された混合板を備える触媒コンバータ。
【請求項19】
オゾンを含む反応種を生成する空気ろ過および汚染除去システム内の触媒電極であって、
反応種を生成する構成要素の下流に配置されなおかつ多孔質であり、導電性電極と、オゾンおよびその他の反応種を低減させるのに適した触媒材料とを含み、前記空気ろ過および汚染除去システムを通過する空気の流れが前記空気ろ過および汚染除去システムから出る前に前記触媒電極を通過するように、前記空気ろ過および汚染除去システム内の空気流路内に配置される、触媒電極。
【請求項20】
請求項19に記載の触媒電極であって、さらに、
前記導電性電極として機能する金属フレームを備え、前記触媒材料は、前記金属フレームに塗布された二酸化マンガンである、触媒電極。
【請求項21】
請求項20に記載の触媒電極であって、
前記金属フレームは、尖った点をともなうハニカム構造を有する、触媒電極。
【請求項22】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を処理するように構成されたリアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバを通過した後の前記流体の流れが通過するように、前記プラズマチャンバの下流に配置された静電フィルタであって、前記プラズマチャンバまたは前記静電フィルタの少なくとも1つの構成要素は、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を破壊することを助ける触媒で覆われる、静電フィルタと、
を備えるリアクタ。
【請求項23】
リアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するのに十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに対して前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される光触媒と、
前記光触媒を紫外光に曝すように構成されたUV光源であって、それによって、前記光触媒に作用する紫外光は、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる前記光触媒において光触媒酸化反応を生じさせる、UV光源と、
を備えるリアクタ。
【請求項24】
空気浄化装置であって、
前記空気浄化装置を通過するガス状流体の流れにイオンを導入するように構成されたイオン化器と、
前記流体の流れに曝露される光触媒と、
前記イオン化器と区別され、前記光触媒を紫外光に曝すように構成されたUV光源であって、それによって、前記光触媒に作用する紫外光は、前記流体の流れによって運ばれる揮発性有機化合物を低減させることができる前記光触媒において光触媒酸化反応を生じさせる、UV光源と、
前記イオン化器の下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの多孔質静電フィルタと、
を備える空気浄化装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載のリアクタであって、
前記光触媒は、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質構造上に配置される、リアクタ。
【請求項26】
請求項23ないし25のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、酸化チタン(TiO2)である、リアクタ。
【請求項27】
請求項23ないし26のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子をろ過するための、少なくとも1つの多孔質静電フィルタであって、1対の電極と、誘電体とを含む多孔質静電フィルタを備えるリアクタ。
【請求項28】
請求項24ないし27のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの構成要素に塗布される、リアクタ。
【請求項29】
請求項23ないし28のいずれかに記載のリアクタであって、
前記UV光源は、およそ150〜380nmの範囲の波長を有する紫外線放射を放つ、リアクタ。
【請求項30】
請求項29に記載のリアクタであって、
前記UV光源は、およそ254nmの波長を有する殺菌紫外線放射を放つ、リアクタ。
【請求項31】
請求項24ないし30のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの下流に配置される、リアクタ。
【請求項32】
請求項24ないし30のいずれかに記載のリアクタであって、
前記光触媒は、前記静電フィルタの上流に配置される、リアクタ。
【請求項33】
請求項23ないし32のいずれかに記載のリアクタであって、
前記プラズマチャンバ内のコールドプラズマは、直流プラズマ生成器を使用して形成される、リアクタ。
【請求項34】
請求項23ないし33のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記光触媒の下流に配置された第2の触媒であって、前記流体の流れが前記リアクタから出る前に、前記流体の流れに含有される反応種の濃度を大幅に低減させるように構成された第2の触媒を備えるリアクタ。
【請求項35】
請求項23ないし34のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記第1のプラズマチャンバの下流に配置された第2のプラズマチャンバを備えるリアクタ。
【請求項36】
請求項1ないし35のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される吸収性材料であって、前記流体の流れにより運ばれる揮発性有機化合物を吸収し、前記吸収された揮発性有機化合物を、前記プラズマチャンバによって生成される前記流体の流れの中の反応種に曝露することによって、前記揮発性有機化合物の酸化の少なくとも一部を促進するように構成された吸収性材料を備えるリアクタ。
【請求項37】
リアクタであって、
前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れにより運ばれる粒状物質を、通過する前記粒状物質の少なくとも一部を処理するために十分に高濃度の反応種を有するコールドプラズマに曝すように構成されたプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの下流に配置され、前記流体の流れから粒子を静電的にろ過するための、少なくとも1つの静電フィルタと、
前記リアクタ内に配置され、前記流体の流れに曝露される吸収性材料であって、前記流体の流れで運ばれる揮発性有機化合物を吸収し、前記吸収された揮発性有機化合物を、前記プラズマチャンバによって生成される前記流体の流れの中の反応種に曝露することによって、前記揮発性有機化合物の酸化の少なくとも一部を促進するように構成された吸収性材料と、
を備えるリアクタ。
【請求項38】
請求項36または37に記載のリアクタであって、
前記吸収性材料は、それを通して前記流体の流れを受け取るように構成された多孔質ブロック上に載せられる、リアクタ。
【請求項39】
請求項36または37に記載のリアクタであって、
前記吸収性材料は、前記静電フィルタの構成要素のコーティングとして塗布される、リアクタ。
【請求項40】
請求項1、4ないし16、22ないし39のいずれかに記載のリアクタであって、さらに、
前記流体の流れを受け取り、前記流体の流れから少なくとも一部の粒子をろ過する前置フィルタを備えるリアクタ。
【請求項41】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を収集するのに適した静電フィルタであって、
導電性材料で形成されたコアと、前記コアを電気的に絶縁する絶縁層と、前記絶縁層によって前記コアから隔離された電荷分布導体とを含む第1の多孔質電極と、
前記第1の電極から隔てられた第2の多孔質電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された多孔質誘電体であって、動作時に前記流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように構成された多孔質誘電体と、
前記導体と通じた電荷源であって、それによって、動作時に、第1の極性を有する第1の電位が前記第1の多孔質電極に印加可能であり、前記電荷源は、前記第1の電極の前記絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、前記第1の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に前記導体に印加する、電荷源と、
を備える静電フィルタ。
【請求項42】
請求項41に記載の静電フィルタであって、さらに、
前記電荷源として機能するイオン源であって、前記第1の電極と同じ極性を有し、前記第1の電極上の前記導体と通じており、前記静電フィルタの動作中に前記第1の電極の前記絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するように構成されたイオン源を備える静電フィルタ。
【請求項43】
請求項41または42に記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、第2のコアと、前記第2のコアを電気的に絶縁する第2の絶縁層とを含む、静電フィルタ。
【請求項44】
請求項43に記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、さらに、前記第2の絶縁層によって前記第2のコアから隔離された第2の電荷分布導体を含む、静電フィルタ。
【請求項45】
請求項44に記載の静電フィルタであって、さらに、
前記第2の電荷分布導体と通じた第2の電荷源であって、それによって、動作時に、第2の極性を有する第2の電位が前記第2の多孔質電極に印加可能であり、前記電荷源は、前記第2の絶縁層上に堆積しようとする反対の電荷を中和するのを助けるために、前記第2の電極と同じ極性を有する電荷を少なくとも周期的に前記第2の電荷分布導体に印加する、電荷源を備える静電フィルタ。
【請求項46】
請求項41ないし45のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第1および第2の電極において、異なる絶縁体が使用される、静電フィルタ。
【請求項47】
請求項41ないし46のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第2の電極は、第2のコアと、正常動作条件下では前記第2のコアを電気的に絶縁して短絡を阻止する一方で、前記第2の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記絶縁体を通って前記第2のコアへと移動することを可能にする、第2の雑多な絶縁層とを含む、静電フィルタ。
【請求項48】
請求項41ないし47のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記第2の絶縁層は、塗料材料である、静電フィルタ。
【請求項49】
請求項41ないし48のいずれかに記載の静電フィルタであって、
順次配置された複数の第1および第2の電極を備え、隣り合う第1および第2の電極の各ペアは、隣りの電極ペアとの間に誘電体を介在される、静電フィルタ。
【請求項50】
適切な静電フィルタであって、
コアと、雑多な絶縁層とを有する第1の絶縁電極と、
前記第1の電極から隔たれた第2の絶縁電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された誘電体であって、動作時に前記流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように構成され、前記雑多な絶縁層は、前記正常動作条件下では前記第1の電極を電気的に絶縁して短絡を阻止するように構成される一方で、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が動作中に前記第1の電極上に堆積することのないように、動作中に、前記第1の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記絶縁層を通って前記コアへと移動することを可能にする、誘電体と、
を備える静電フィルタ。
【請求項51】
請求項50に記載の静電フィルタであって、
前記第2の絶縁電極は、第2のコアと、第2の雑多な絶縁層とを有し、前記第2の雑多な絶縁層は、前記正常動作条件下では前記第2の電極を電気的に絶縁して短絡を阻止するように構成される一方で、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷が動作中に前記第2の電極上に堆積することのないように、動作中に、前記第2の電極上に堆積しようとする反対の電荷が前記第2の絶縁層を通って前記第2のコアへと移動することを可能にする、静電フィルタ。
【請求項52】
請求項41ないし51のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体は、空隙率が97%以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットであり、前記繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有し、前記誘電体マットは、1.7以上の屈曲を有し、
前記第1および第2の電極は、動作時に、ろ過されるべき流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように配置され、前記第1および第2の電極には、前記誘電体マット内における誘導静電場の形成を促進するのに十分に高い電位差を印加可能であり、それによって、前記誘電体マットを通過する前記流体の流れは、前記流れの中の粒状物質の少なくとも一部を前記誘電体マットの前記繊維に付着させるのに実質的に十分な静電力に曝されるであろう、静電フィルタ。
【請求項53】
通過する流体の流れにより運ばれるエアロゾル粒状物質を収集するのに適した静電フィルタであって、
孔隙率が90%以上の導電性材料で形成された第1の多孔質電極と、
空隙率が97%以上の孔を有する高空隙率の不織繊維で形成された誘電体マットであって、前記繊維は、100ミクロン未満の最大断面厚さと、10を超える長さ対最大厚さの比とを有し、前記誘電体マットは、1.7以上の屈曲を有する、誘電体マットと、
孔隙率が90%以上の導電性材料で形成された第2の多孔質電極であって、前記第1および第2の多孔質電極は、前記誘電体マットを挟むように配置され、動作時に、ろ過されるべき流体の流れが前記電極および前記誘電体を通過するように配置され、前記第1および第2の電極には、前記誘電体マット内における誘導静電場の形成を促進するために十分に高い電位差を印加可能であり、それによって、前記誘電体マットを通過する前記流体の流れは、前記流れの中の粒状物質の少なくとも一部を前記誘電体マットの前記繊維に付着させるのに実質的に十分な静電力に曝されるであろう、第2の多孔質電極と、
を備える静電フィルタ。
【請求項54】
請求項52または53に記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットの空隙率は、99%を超える、静電フィルタ。
【請求項55】
請求項52ないし54のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記孔は、統計的に実質的に大きさが等しくなおかつ三次元に開いている、静電フィルタ。
【請求項56】
請求項52ないし55のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットは、2以上の屈曲を有する、静電フィルタ。
【請求項57】
請求項52ないし56のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、0.1〜50ミクロンの範囲である、静電フィルタ。
【請求項58】
請求項52ないし57のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットを形成する前記繊維は、ポリエステルおよびポリプロピレンからなる群より選択される材料で形成される、静電フィルタ。
【請求項59】
請求項52ないし58のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい領域を少なくとも1つ有する、静電フィルタ。
【請求項60】
請求項52ないし59のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、その外周に沿って、横断曲率半径の小さい複数の個別の領域を有する、静電フィルタ。
【請求項61】
請求項52ないし60のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の断面は、実質的に多角形の形状を有する、静電フィルタ。
【請求項62】
請求項52ないし61のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記電極の少なくとも1つは、金属化された開放気泡構造で形成される、静電フィルタ。
【請求項63】
請求項52ないし62のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、35ミクロン未満である、静電フィルタ。
【請求項64】
請求項63に記載の静電フィルタであって、
前記繊維の最大断面厚さは、10ミクロン未満である、静電フィルタ。
【請求項65】
請求項52ないし64のいずれかに記載の静電フィルタであって、
前記誘電体マットは、実質的に平坦な誘電体マットであり、前記静電フィルタは、さらに、前記誘電体層内における少なくともおよそ1000V/cmの誘導静電場の形成を促進するために前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を印加するのに適した電子コントローラを備える静電フィルタ。
【請求項66】
請求項1ないし40のいずれかに記載のリアクタであって、
前記静電フィルタは、請求項41ないし65のいずれかにしたがって形成される、リアクタ。
【請求項67】
第1の絶縁電極と、第2の絶縁電極と、前記第1の絶縁電極と前記第2の絶縁電極とを隔てる誘電体層とを有する静電フィルタを動作させる方法であって、
第1の極性を有する第1の電位を前記第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を前記第2の絶縁電極に印加しつつ、前記静電フィルタを動作させることと、
前記第1および第2の絶縁電極に印加される前記電位の極性を周期的に逆転させることによって、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるための反対の電荷を前記第1の電極上にも前記第2の電極上にも堆積させないようにすることと、
を備える方法。
【請求項68】
第1の絶縁電極と、第2の絶縁電極と、前記第1の絶縁電極と前記第2の絶縁電極とを隔てる誘電体層とを有する静電フィルタを動作させる方法であって、
第1の極性を有する第1の電位を前記第1の絶縁電極に印加するとともに第2の極性を有する第2の電位を前記第2の絶縁電極に印加しつつ、前記静電フィルタを動作させることと、
前記第1の電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に電荷源を適用することによって、適用しければ前記第1の電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和し、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷を前記第1の電極上に堆積させないようにすることと、
を備える方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、
前記電荷源は、イオン源であり、前記電荷分布格子は、前記イオン源によって生成されるイオンに曝露される、方法。
【請求項70】
請求項68または69に記載の方法であって、さらに、
前記第2の電極に関連付けられた電荷分布格子に少なくとも周期的に第2の電荷源を適用することによって、適用しなければ前記第2の電極の絶縁表面上に蓄積するであろう反対の電荷を中和し、前記第1および第2の電極によって前記誘電体内に誘導される場を大幅に劣化させるだけの反対の電荷を前記第2の電極上に堆積させないようにすることを備える方法。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図5(g)】
【図5(h)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図5(g)】
【図5(h)】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−519819(P2009−519819A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545876(P2008−545876)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048088
【国際公開番号】WO2007/070704
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508180817)エアーインスペース・ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】AIRINSPACE B.V.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048088
【国際公開番号】WO2007/070704
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508180817)エアーインスペース・ビー.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】AIRINSPACE B.V.
【Fターム(参考)】
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