説明

空気調和機のメンテナンスシステム

【課題】 特殊ツールを使用することなく、汎用の携帯情報端末にて空気調和機の機種情報を間違えることなく正確に書き替え可能とし、制御基板の共通化を実現する。
【解決手段】 空気調和機10と、固有の機種情報を提供するメンテナンス用サーバ30と、携帯情報端末20とを含む空気調和機のメンテナンスシステムであって、空気調和機の室内機11は、携帯情報端末20と通信可能な受信部11bと、受信部にて受信された所定の情報を記憶する書き替え可能なメモリ11cと、メモリの書き込み,読み出しおよび空気調和機の運転を制御する制御手段11aとを備え、携帯情報端末20はサーバ30にアクセスして所定の機種情報をダウンロードし、その機種情報を室内機11の受信部11bに送信し、制御手段11aは受信部11bにて受信された機種情報によりメモリ10cの内容を書き替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の機種情報の書き替えに適用される空気調和機のメンテナンスシステムに関し、さらに詳しく言えば、汎用されている携帯情報端末(例えば、携帯電話機)により空気調和機の機種情報を容易に書き替え可能とする空気調和機のメンテナンスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、通常、その工場出荷段階で能力パラメータなどを含む機種情報や各種運転モードの運転プログラムが制御基板のROMやRAMなどのメモリに書き込まれる。機種情報は、例えば同一のシリーズ製品であっても機種によって異なる固有的なものであるため、機種ごとにそれぞれの制御基板が必要となる。
【0003】
そのため、サービス要員がユーザー宅に修理に赴く際には、事前に対応する制御基板の在庫を点検し発注をかけて入手しなければならない。また、メーカー側では機種ごとに修理在庫をもつ必要があるなどの問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の発明では、メモリとしてROMと不揮発性RAMの2種類のメモリを用意し、ROMには各製品に共通なプログラムを格納し、不揮発性RAMには機種ごとに異なる固有の機種情報などを記憶させ、不揮発性RAMの内容を適宜書き替え可能とすることにより、制御基板の共通化を図るようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−91031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明の場合、不揮発性RAMの内容を書き替えるにあたって、不揮発性RAM記憶内容変更設定手段,不揮発性RAM記憶内容読み出し手段および不揮発性RAM記憶内容表示手段を備え、室内機と室外機の伝送手段に接続可能な外部設定表示手段という特殊ツールが必要とされるため、この特殊ツールがない場所では書き替えができないという別の問題がある。また、この特殊ツールを各サービス要員に携帯させるには、その員数分の台数を必要とするため、これにはかなりのコストがかかることになる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、特殊ツールを使用することなく、汎用の携帯情報端末にて空気調和機の機種情報を間違えることなく正確に書き替えることができる空気調和機のメンテナンスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、室内機および室外機を有する空気調和機と、上記空気調和機の固有の機種情報を提供するサーバと、無線による送受信手段および受信した情報を記憶するダウンロード機能を有する携帯情報端末とを含む空気調和機のメンテナンスシステムであって、上記空気調和機の室内機には、上記携帯情報端末と通信可能な受信部と、上記受信部にて受信された所定の情報を記憶する書き替え可能なメモリと、上記メモリの書き込み,読み出しおよび上記空気調和機の運転を制御する制御手段とが備えられ、上記携帯情報端末は、上記送受信手段により上記サーバにアクセスして所定の上記機種情報をダウンロードし、その機種情報を上記受信部に送信し、上記制御手段は、上記受信部にて受信された上記機種情報により上記メモリの内容を書き替えることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記制御手段は、上記メモリの書き替えが正常に行われた場合、上記空気調和機の電源の再投入を促すため、ブザーなどの所定の報知手段を駆動することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記制御手段は、上記受信部にて受信された上記機種情報が上記空気調和機の電源投入後の一定期間内のものであるときにのみ、上記メモリの書き替えを行うことを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれか1項において、上記機種情報を選択させるためのメンテナンスモードプログラムと、上記空気調和機を操作するためのリモコンモードプログラムとを上記携帯端末に提供することを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1ないし4のいずれか1項において、上記制御手段は、上記携帯情報端末からの上記機種情報に基づいて上記メモリを書き替えるにあたって、上記室外機との通信ラインを介して室外機情報を取得し、上記室外機情報と上記機種情報とを比較し、上記メモリの書き替えの可否を判定することを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の発明は、上記請求項1ないし4のいずれか1項において、上記制御手段は、上記携帯情報端末からの上記機種情報に基づいて上記メモリを書き替えるにあたって、上記機種情報を通信ラインを介して上記室外機に送信し、上記室外機側の制御手段が室外機情報と上記機種情報との比較により上記メモリの書き替えの可否を判定し、その結果を上記制御手段に送信することを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の発明は、上記請求項1ないし6のいずれか1項において、上記室内機の上記受信部がリモコン用赤外線受光器であるとともに、上記携帯情報端末の上記送受信手段には、上記サーバーと交信するためのサーバー交信用送受信手段と、上記リモコン用赤外線受光器に対して上記機種情報を送信する赤外線送信器とが含まれていることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の発明は、上記請求項1ないし7のいずれか1項において、上記サーバーは上記携帯情報端末に対して、上記機種情報とともに所定の赤外線フォーマットを含むアプリケーションプログラムを提供することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、例えばサービス要員がユーザー宅に修理に赴く際、携帯情報端末によりサーバにアクセスして必要とする機種情報をダウンロードし、その機種情報を室内機の受信部に送信することにより機種情報の書き替えが行われるため、制御基板の共通化が図れ、メーカ側で修理在庫を多く抱え込む必要がなくなる。
【0017】
メモリの書き替えが正常に行われた場合、ブザーなどの所定の報知手段を駆動して空気調和機の電源の再投入を促すようにした請求項2に記載の発明によれば、書き替え後であって、前の機種情報が一時メモリに残されている状態でそのまま運転が再開されてしまうという危険を回避することができる。
【0018】
受信部にて受信された機種情報が空気調和機の電源投入後の一定期間内のものであるときにのみ、メモリの書き替えを行うようにした請求項3に記載の発明によれば、運転中における機種情報の書き替えが防止されるとともに、電源投入とともに実行される例えばセンサーエラーや室外機通信エラーなどの各種エラーチェックが行われる前に書き替えが完了するため、機種情報を正確に書き込むことができる。
【0019】
サーバより機種情報を選択させるためのメンテナンスモードプログラムと、空気調和機を操作するためのリモコンモードプログラムとを携帯情報端末に提供するようにした請求項4に記載の発明によれば、携帯情報端末を空気調和機のリモコンとしても使用することができる。
【0020】
携帯情報端末からの機種情報に基づいてメモリを書き替えるにあたって、室外機との通信ラインを介して室外機情報を取得し、その室外機情報と機種情報とを比較してメモリの書き替えの可否を判定するようにした請求項5に記載の発明によれば、例えば室外機の能力をオーバーするような機種情報の誤書き込みを防止することができる。
【0021】
携帯情報端末からの機種情報に基づいてメモリを書き替えるにあたって、室内機側の制御手段により機種情報を通信ラインを介して室外機に送信し、室外機側の制御手段が室外機情報と機種情報との比較によりメモリの書き替えの可否を判定し、その結果を室内機側の制御手段にフィードバックさせるようにした請求項6に記載の発明によれば、請求項5と同じく、例えば室外機の能力をオーバーするような機種情報の誤書き込みを防止することができる。
【0022】
また、請求項7および請求項8に記載の発明によれば、室内機に設けられているリモコン用の赤外線受光器をそのまま利用して、携帯情報端末から機種情報を所定の赤外線フォーマットにて送信すればよいため、このメンテナンスシステム全体を安価に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図1ないし図4により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
図1に示すように、この空気調和機のメンテナンスシステムは、空気調和機(以下、「エアコン」という)10と、携帯情報端末20と、メンテナンス用のサーバ30とから構築される。
【0025】
この例において、携帯情報端末20はサーバ30との交信用送受信手段と、エアコン10に対する赤外線送信器とを有する携帯電話機(以下、参照符号20を付す)で、携帯電話機20とサーバ30を結ぶ通信回線にはインターネット40を利用している。サーバ30には、各エアコン固有の機種情報(能力パラメータ,顧客対応(カスタム)/標準(スタンダード)などを含む情報)がアップロードされている。
【0026】
空気調和機10は、室内機11と室外機13とにより構成される。スプリット型,一体型のいずれでもよい。室内機11は、マイクロコンピータからなる制御手段(以下、「マイコン」という)11aを備え、このマイコン11aには,携帯電話機20および図示しないリモコンから送信される赤外線信号を受信する赤外線受光器11b,機種情報を記憶するための書き替え可能な例えばEEPROMからなるメモリ11c,室内温度などを検出するセンサ11d,LEDやブザーを含む報知手段11eおよび室外機13との通信手段11fが接続されている。
【0027】
室外機13は、マイクロコンピータからなる制御手段(以下、同じく「マイコン」という)13aを備えている。このマイコン13aは、通信手段13bおよび通信ライン12を介して室内機11の通信手段11fと接続され、室内機11から送信される運転指令信号に基づいて圧縮機13c,四方弁13d,室外ファン13eなどを駆動する。なお、冷凍サイクルについては一般的な構成でよいため、ここでは特に図示しない。
【0028】
機種情報書き替えのための制御信号は、携帯電話機20により赤外線信号にて室内機11の赤外線受光器11bに送信される。この赤外線通信は通常のエアコンで使用されている一般的なフォーマットによるが、この例では、その一般的なフォーマットに機種情報書き替えのための特殊フォーマットを加え、その特殊フォーマットをマイコン11aが解釈することによりメモリ11cの書き替えを実現している。
【0029】
図2に、この例で使用している赤外線フォーマットを示す。この赤外線フォーマットは、財団法人家電製品協会で定めた推奨方式によるフォーマットの拡張フォーマットを使用しており、製造メーカを示すためのメーカーコードなどのフィールドおよび任意データを出力するためのデータフィールドとで構成される。
【0030】
具体的に説明すると、L,M1,M2,P,N,Xは上記家電製品協会フォーマットで規定されているフィールドである。Lは赤外線出力の開始を示し、M1,M2は機器製造メーカー固有のコードを指定するためのフィールド、Pはそのパリティを指定するためのフィールド、Nは同一製品を識別するためのフィールドであり、例えば同じエアコンが複数台設置されている場合に、誤動作を防止するためリモコンコードを区別するために使用される。Xは予備としての未使用フィールドである。
【0031】
C1,C2は製品カテゴリーを指定するためのフィールドで、エアコンの場合、C1,C2はそれぞれ“10h”,“10h”を指定する。Dはコマンドコードのフィールドとして使用される。このフィールドの情報により、室内機11のマイコン11aは拡張フォーマットであるのか、標準フォーマットであるのかを識別する。機種情報書き替えを行う場合には、拡張フォーマットを使用するため“Fch”を指定する。
【0032】
LNはEP以降のデータバイト数を指定するためのフィールドであり、機種情報書き替えを行う場合には、“EP”,“ED1”,“ED2”,“ED3”,“ED4”,“ED5”,“ED6”,“FCC”の8バイトであるため“08h”を指定する。このうち、EPは室内機11のマイコン11aが実際に行うべき処理を指定するためのフィールドである。機種情報書き替えの場合には、メンテナンスのカテゴリーを使用するため“F0h”を指定する(電源ON時の通常処理時は“30h”を指定)。
【0033】
ED1〜ED6は送信データを指定するフィールドである。機種情報書き替え時には、ED1=02h,ED2=01h,ED3=00h,ED4に機種データ,ED5=00h,ED6=FDhを指定する。
【0034】
なお、ED1〜ED3,ED6は、例えば指定された情報と室外機13がもつ情報とを比較し、書き替え許可を行うなどのバリエーションに対応するためのフィールドとして利用することができる。またED5についても、現状使用されておらず意味のないフィールドであるが、将来の書き込み機種情報の拡張フィールドとして持たせている。
【0035】
次に、ED5のフィールドについて説明する。ED5はシリーズ,カスタム/標準指定,能力を考慮してあらかじめ定められたその機種に対応したコードを指定する。FCCはEP〜ED6までのフィールドを加算し、下位8ビットの2の補数をとった値を指定する。これにより、エアコン側は赤外線受信した情報と、このフィールドとを比較し、通信が正常に行われたか否かを知ることができる。
【0036】
図3に室内機11での機種情報書き替え処理時のフローチャートを示す。このフローチャートには、室内機11の電源投入(コンセントの差込もしくはこれに相当する主電源の投入)から機種情報書き替えが完了するまでの処理が示されている。
【0037】
機種情報は、エアコンにとって圧縮機や膨張弁などの各機器の動作を決定するためのベースとなる情報で、きわめて重要な情報である。そのため、ノイズなどによる誤書き替えや運転中の書き替え禁止などの安全処置を講じている。
【0038】
その一つとして、本発明では機種情報の書き替え/書き込み期間を電源投入後の一定期間内に制限している。すなわち、通常のエアコンでは電源の投入とともにセンサーエラーや室外機通信エラーなどの各種エラーチェックを行うようにしているため、これと並行して機種情報の書き替えを行うことは、書き替えエラーが誘発しやすく、また、メモリなどのリソースに余計な負担がかかることにもなるため好ましくない。
【0039】
そこで、本発明では上記したように電源投入後(主電源の投入もしくはコンセント挿入後)の一定期間内(この例では1分以内)に携帯電話機20から機種情報の書き替え要求が出された場合にのみ、各種エラーチェック動作に優先して機種情報の書き替え処理を行うようにしている。その方法としては、上記の一定期間エラーチェック動作を行わない、エラーチェック動作は行うがマスクする、書き替え(書き込み)開始後にエラーチェック動作を停止させる、などの方法がある。
【0040】
このことは、マイコン11aおよびメモリ11cが実装されている室内機11の制御回路基板に、赤外線受光器およびエラー表示器(室内機11の赤外線受光器11bおよび報知手段11eとは別物)が接続されてさえいれば、センサ11dや室外機13などの機種情報の書き替えに直接関係のない機器が接続されていなくても、機種情報の書き込みができることを意味している。
【0041】
したがって、一例としてサービス要員がユーザー宅に修理に赴く前に、上記制御回路基板に赤外線受光器およびエラー表示器を接続して、その赤外線受光器にて機種情報を受信させて事前に制御回路基板に機種情報を書き込み、エラー表示器により書き込みエラーがないことを確認することにより、現地ではその制御回路基板を差し替えるだけで、エアコンの修理を完了させることもできる。また、別の例として、上記制御回路基板を身近にある任意の室内機にセットし、その室内機の赤外線受光器およびエラー表示器を用いて事前に機種情報を書き込むこともできる。
【0042】
また、機種情報の書き替えを行ったのちに、そのまま運転を行ってしまった場合には、前の機種情報が一時メモリ11cに残されている状態で運転が再開されてしまうという危険性もある。そこで、本発明では機種情報の書き替えが正常に行われた場合、電源が再投入されるまでの間、エアコンの運転をマスク(禁止)する機能と、サービス要員に電源OFF(例えば、コンセントの引き抜きもしくは主電源のオフ)を促す機能とを備えている。
【0043】
電源が投入されると、マイコン11aはまず1分タイマを起動する(ステップA)。そして、1分経過前に携帯電話機20からの赤外線による書き替え信号が受信されたか否かを判断し(ステップB)、書き替え信号が受信された場合にはステップCを実行する。すなわち、書き替え作業中の他の要求をマスクするために、リモコンによる電源ON,OFFを含む操作指示のマスク処理、HA(ホームオートメーション)端子からの入力マスク処理、強制自動運転スイッチのマスク処理を行う。
【0044】
上記マスク処理の完了後、ステップDに進みエアコンが運転中であれば運転を停止させたのち、ステップEで赤外線により送信された機種情報をチェックし、問題がなければ機種情報の書き替えを行う。ここで、書き替えが正常に終了しなかった場合、また、赤外線による機種情報が正常に受信できなかった場合には、ステップGに進み報知手段11eに含まれている例えば運転LED(赤)を点滅し、ブザーを鳴してエラー報知を行い、携帯電話機20からの赤外線待ちの状態となる(ステップH)。
【0045】
書き替えが正常に終了した場合には、ステップFに進み例えばタイマLED(緑)を点灯し、また、ブザーを鳴らす。このとき、ブザーについては鳴らしっぱなしの状態とし、書き替え前の古い機種情報による誤動作防止のため、サービス要員にコンセントを抜き、再起動するように促す。なお、書き替えが正常に終了したかどうかは、メモリ(EEPROM)11cに書き込んだデータを読み出して、書き込んだデータと照合することにより行うことができる。
【0046】
なお、上記ステップA,Bで1分タイマの計時中に赤外線受信がなくタイムアップした場合、赤外線受信があってもそれがリモコンからのものである場合には、上記ルーチンを抜ける。また、上記ステップHの赤外線受信の待ち状態で、書き替え信号が受信されると上記ステップEに移行して書き替え処理を実行する。なお、上記ステップGから上記ステップHに行くことなく、上記ステップAに戻って1分タイマから再スタートするようにしてもよい。
【0047】
次に、図4のフローチャートにより、携帯電話機(携帯情報端末)20での処理の一例について説明する。メンテナンス用のサーバ30にアプリケーションプログラムがアップロードされているものとして、まず、図4(a)に示すように、携帯電話機20によりインターネット40などの通信回線を介してサーバ30にアクセスしてアプリケーションプログラムをダウンロードする。
【0048】
そして、そのアプリケーションプログラムを起動すると、携帯電話機20の表示パネルに、図4(b)に示すように、「通常リモコンモード」と「メンテナンスモード」の2つのモードを含むモード選択画面が表示される。「通常リモコンモード」には、一般的なリモコン機能(例えば、エアコンの運転ON,OFF機能など)がサポートされており、このモードを選択することにより、携帯電話機20にてエアコンの制御が可能になる。
【0049】
したがって、例えば備え付けのリモコンの操作によってエアコンが動作しないような場合、携帯電話機20によってエアコンが動作するのであれば、備え付けのリモコンが故障していると判断することができる。
【0050】
「メンテナンスモード」は機種情報書き替えのための機能であり、図4(b)の選択画面で「メンテナンスモード」を選択すると、図4(c)に示すように、「一般機種(標準モデル)」と「顧客対応機種(カスタムモデル)」の別を選択する選択画面が表示される。
【0051】
ここで、例えば「一般機種」を選択すると、図4(d)に示すように、シリーズ名の表示画面に切り替わる。そして、この画面でシリーズを決定すると、図4(e)に示すように、機種情報である各種のエアコン能力が表示される。
【0052】
図4(e)の画面で、所望とするエアコン能力を選択して送信キーを操作することにより、ダウンロードしたアプリケーションプログラムの管理のもとで、携帯電話機20から図2に示す赤外線フォーマットによる機種情報を含む赤外線信号が送信される。したがって、本発明によれば、サーバ30にアップロードされるアプリケーションプログラムに新機種の機種コードを追加するだけで、常に最新の機種情報でエアコンのメンテナンスを行うことができる。
【0053】
ところで、一般的に室外機は、能力単位または機種単位で異なった室外機が用いられるが、室外機は自機の能力がどこまであるのか、また、どのような機種に適合するのかなどの情報をもっている。
【0054】
そのため、携帯電話機20から送信される機種情報に基づいて、室内機11のマイコン11aが、上記した手順にしたがってメモリ11cの書き替えを行うにあたって、図3のフローチャート中のステップEで機種情報をチェックする際、誤書き込みを回避するうえで、その機種情報と室外機13の能力(室外機情報)とを対比してメモリ11cの書き替えの可否を判定することが好ましい。
【0055】
これを実行する方法の一つとして、室内機11のマイコン11aが、通信ライン12を介して室外機13のマイコン13aから室外機能力情報を取得し、その室外機能力情報と携帯電話機20からの機種情報とを対比して、メモリ11cの書き替えの可否を判定する方法がある。
【0056】
また、別の方法として、携帯電話機20からの機種情報を室内機11のマイコン11aから通信ライン12を介して室外機13のマイコン13aに送信し、室外機13のマイコン13a側で機種情報と自機の能力情報とを対比させて適正がどうかを判定させ、その判定結果を室内機11のマイコン11aにフィードバックさせるようにしてもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、特殊ツールを使用することなく携帯電話機に代表される汎用の携帯情報端末によりエアコンの機種情報の正確な書き替えが行え、これにより制御基板の共通化,メンテナンス在庫の削減,迅速修理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による空気調和機のメンテナンスシステムの構成例を示す模式図。
【図2】携帯情報端末で使用する赤外線フォーマットの一例を示す説明図。
【図3】機種情報書き替え処理を説明するためのフローチャート。
【図4】携帯情報端末に表示される操作用表示画面の模式図。
【符号の説明】
【0059】
10 空気調和機(エアコン)
11 室内機
13 室外機
11a,13a 制御手段(マイコン)
11b 赤外線受光器
11c メモリ(EEPROM)
11f,13b 通信手段
12 通信ライン
20 携帯情報端末(携帯電話機)
30 メンテナンス用のサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機および室外機を有する空気調和機と、上記空気調和機の固有の機種情報を提供するサーバと、無線による送受信手段および受信した情報を記憶するダウンロード機能を有する携帯情報端末とを含む空気調和機のメンテナンスシステムであって、
上記空気調和機の室内機には、上記携帯情報端末と通信可能な受信部と、上記受信部にて受信された所定の情報を記憶する書き替え可能なメモリと、上記メモリの書き込み,読み出しおよび上記空気調和機の運転を制御する制御手段とが備えられ、
上記携帯情報端末は、上記送受信手段により上記サーバにアクセスして所定の上記機種情報をダウンロードし、その機種情報を上記受信部に送信し、上記制御手段は、上記受信部にて受信された上記機種情報により上記メモリの内容を書き替えることを特徴とする空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項2】
上記制御手段は、上記メモリの書き替えが正常に行われた場合、上記空気調和機の電源の再投入を促すため、ブザーなどの所定の報知手段を駆動することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項3】
上記制御手段は、上記受信部にて受信された上記機種情報が上記空気調和機の電源投入後の一定期間内のものであるときにのみ、上記メモリの書き替えを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項4】
上記サーバは、上記機種情報を選択させるためのメンテナンスモードプログラムと、上記空気調和機を操作するためのリモコンモードプログラムとを上記携帯情報端末に提供することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項5】
上記制御手段は、上記携帯情報端末からの上記機種情報に基づいて上記メモリを書き替えるにあたって、上記室外機との通信ラインを介して室外機情報を取得し、上記室外機情報と上記機種情報とを比較し、上記メモリの書き替えの可否を判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項6】
上記制御手段は、上記携帯情報端末からの上記機種情報に基づいて上記メモリを書き替えるにあたって、上記機種情報を通信ラインを介して上記室外機に送信し、上記室外機側の制御手段が室外機情報と上記機種情報との比較により上記メモリの書き替えの可否を判定し、その結果を上記制御手段に送信することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項7】
上記室内機の上記受信部がリモコン用赤外線受光器であるとともに、上記携帯情報端末の上記送受信手段には、上記サーバーと交信するためのサーバー交信用送受信手段と、上記リモコン用赤外線受光器に対して上記機種情報を送信する赤外線送信器とが含まれていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。
【請求項8】
上記サーバーは上記携帯情報端末に対して、上記機種情報とともに所定の赤外線フォーマットを含むアプリケーションプログラムを提供することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の空気調和機のメンテナンスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−132870(P2006−132870A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323751(P2004−323751)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】