説明

空気電池式廃水処理装置

【課題】 従来のリン酸イオン及びリン酸化合物含有の有機性電解質廃水を、電池機能を有する電気化学反応手段でリンを除去するだけであったが、同一装置で生物化学反応手段で有機物を長期に亘って分解処理することを課題とする
【解決手段】 リン酸イオン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を構成すると共に前記木炭カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としていて、さらに電気化学反応及び生物化学反応を効率良く継続するために溶存酸素供給手段、攪拌手段を配設した電気化学反応手段及び生物化学反応手段とすると共に該電気化学反応手段及び生物化学反応の後処理として固液分離手段を後置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性廃水処理において、好気性生物処理機能と電気化学反応機能を有する、酸素供給手段、攪拌手段及び金属製アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を備えた好気性生物処理槽を有する有機性電解質廃水処理装置に関し、必要に応じて加熱手段を併設していて、さらに必要に応じて、空気電池発電による電力と太陽電池発電による電力を統合するようにした有機性電解質の空気電池式廃水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リンを含有する有機性電解質廃水を、電源を設けた電気分解によった電気化学反応手段で処理していた(例えば、特許文献1。)。
また、電源を設けた電気分解において有機性電解質廃水を加熱して処理する方法が開示されている(例えば、特許文献2。)。
また、異種金属電極で構成した一次電池による電気化学反応手段で処理する知見が開示されている(例えば、特許文献3。)。
また、電気分解による廃水処理を加熱して処理する装置が開示されている。(例えば、特許文献4。)。
また、電解質の一次電池発電装置の知見も開示されている(例えば、特許文献5。)。
また、曝気攪拌している電解質廃水と異種金属により一次電池を構成してリンを除去する知見及び発電する知見も開示されている(例えば、特許文献6。)。
また、金属製アノードと半導体性木炭製カソードとした空気電池の知見も開示されている。(例えば、特許文献7。)。
また、木炭は1g当たりの内外部の微細孔表面積が広く、高い吸着性、透水性、通気性を有し、微生物の増殖の快適な場となる知見も開示されている。(例えば、特許文献8)
また、炭素質粉抹を用いて高強度の多孔質炭素成形体の製造方法と利用方法を開示している。(例えば、特許文献9。)。
また、減極剤およびアルミニウムイオン伝導体を用いてアルミニウム空気電池の寿命を長くすることが開示されている。(例えば、特許文献10。)。
そしてまた、電気化学的手法または薬剤添加により次亜塩素酸またはオゾン若しくは活性酸素で有機物、アンモニア等を酸化分解する方法が開示されている。(例えば、特許文献11。)。
しかし、金属アノードと半導体性炭素質カソードとした空気電池を用いて効率よくした有機性電解質廃水処理装置は見当たらない。又、廃水中の有機物を好気性生物処理すると共にリン除去する機能を有する空気電池と太陽電池を統合した発電装置は見当たらない。
【特許文献1】特開2001−252668
【特許文献2】特開平10−323672
【特許文献3】特開2001−252668
【特許文献4】特開平10−323672
【特許文献5】特開2001−252668
【特許文献6】特開2004−66223
【特許文献7】特開2005−85719
【特許文献8】特開2000−61452
【特許文献9】特開平10−45483(多孔質炭素成型体)
【特許文献10】特開2006−147442。
【特許文献11】特開2004−330182。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の金属をアノードとした一次電池法による電気化学反応手段を用いたリン除去に係る電解質廃水処理装置においては、水温が約10℃以下の低温では電気化学反応速度が遅くて、実用的でなく、リン酸イオン及びリン化合物を効果的に除去する手段が開示されていなかった。
【0004】
そして、従来の金属をアノードとした一次電池法に異種金属一次電池による電気化学反応手段においては有機性廃水中のリン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物を除去する共に前記異種金属一次電池によって有機物を好気性生物分解処理する手段が開示されていなかった。
【0005】
また、室温近傍でのリン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、温度が上昇することにより電気化学反応速度と生物化学反応速度は増大するが、従来の金属をアノードは温度上昇が上昇すると導電率が低下するが、温度が上昇することにより導電率が増大する半導体性炭素体を空気電池のカソードとすると共に該半導体性炭素体を有機性廃水処理における生物担体とする手段が開示されていなかった。
【0006】
また、異種金属をアノードとカソードとした一次電池廃水処理法においては、低pH域においては反応速度も速く、又反応の持続性も良好であるが、中性近傍での反応速度は遅く、また反応の持続性が短い問題があった。
【0007】
また、金属をカソードとした一次電池廃水処理法においては、電流密度が小さい問題があった。
【0008】
また、電源を有する電気分解法では、電気設備費と電力費が必要である問題があった。
【0009】
本発明は、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、電源を必要とせず、しかも効率良くリン除去のための電気化学反応を長期間に亘り継続することを第一の課題とする。また、電極材の機能として、リンを除去する機能だけでなく有機物の分解除去能に深く関与する機能を有することを第二の課題とする。また、冬季における水温の低下に伴って電気化学反応速度の低下及び生物化学反応速度の低下を阻止して、より一層の効率良い電気化学反応と生物化学反応とすることを第三の課題とする。そしてまた、第四の課題として、電気設備費と電力費をほとんど必要としないばかりでなく、リンを除去すると共に有機物を分解処理しながら電力を生産することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、以下に記載されるような技術構成とする。即ち、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を構成すると共に前記黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としていて、電気化学反応及び生物化学反応を効率良く継続するために溶存酸素供給手段、攪拌手段を配設した電気化学反応手段及び生物化学反応手段とする。尚、好気性生物処理反応槽においては、空気または酸素を水中散気曝気または機械表面曝気により溶存酸素供給手段及び攪拌手段を具備することが一般的であるので兼用出来る。また、炭素質粉体にバインダーを混合加圧成型し、再焼成して成る半導体性セラミック質の板状多孔質白炭粉成型再焼成体をカソードとして構成することも出来る。また、前記リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理には、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の海水又は湖沼水処理も包含したものである。金属アノードとしては、有機性廃水処理の性格上、処理放流水に有害重金属及び有害金属化合物を含有することは好ましくないので、アルミニューム又はアルミニューム合金、マグネシューム又はマグネシューム合金、鉄又は鉄合金等が好ましく、中でも電気化学反応速度はイオン化傾向が最も大きなマグネシューム又はマグネシューム合金であって、次にアルミニューム又はアルミニューム合金、鉄又は鉄合金と続く。しかし、廃水の種類は多く、また廃水に含有する溶質もアルミニューム又はアルミニューム合金、鉄又は鉄合金等をアノードとするこれら金属それぞれに対して、電気化学反応を促進する溶質、或いは抑制もしくは妨害する溶質となるかは、前記アルミニューム又はアルミニューム合金、鉄又は鉄合金それぞれに対して同じである場合と違う場合があるので確認作業を要することもある。
【0011】
また、水に難溶性のリン酸金属塩及び水酸化金属として固液分離するリン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性廃水処理において、空気電池による電気化学反応を効率良く継続するために溶存酸素供給手段及び攪拌手段を配設した電気化学反応手段および黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としたものである。
【0012】
また、室温近傍においては、半導体性炭素体の電気伝導特性は、金属の電気伝導度が温度上昇と共に減少する金属性電気伝導特性を有しているのとは異なり、温度上昇と共に電気伝導度は増大し、一方電気化学反応速度と生物化学反応速度も温度上昇と共に増大するので、工場廃熱等の低級な熱源による加熱手段で好気性生物処理反応槽の被処理水を加熱するようにしたものである。しかしながら、好気性生物の適温は30℃前後にあるので、加熱し過ぎることは好ましくない。
【0013】
また、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水を好気性生物処理反応槽に金属製アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池モジュールを構成すると共に前記炭素質カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としていて、各空気電池モジュールを直並列接続して空気電池ストリングスとする。そしてまた、空気電池による電気化学反応によって、難溶性のリン酸金属塩及び凝集性の良い水酸化金属粒子を生成すると共に発電し、また、必要ならば前記空気電池モジュール系統に電圧調整手段を付加接続し前記複数の空気電池ストリングスと複数の太陽電池ストリングスを接続統合する配線統合手段と充放電コントローラ及びパワ−コンディショナを配設する。また、必要ならば蓄電手段も配設する。尚、前記好気性生物処理反応槽には天然曝気資源である海域及び湖沼も包含する。
【0014】
また、多孔質炭素体にカソード機能および微生物担体機能と共に散気装置機能を持たせることにより前記多孔質炭素体の内部微細孔にまで酸素を有効に供給するようにしたものである。
【0015】
また、有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池だけでは、電圧と電流が小さくて有機性電解質廃水中における電気化学反応が不十分であるか、またはさらに強力な電気化学反応を必要とする場合に前記有機性電解質廃水よりも強電解質と電極で形成した空気電池を直列又は並列に接続する。
【0016】
また、電解液接液手段と空気又は酸素ガス接触手段とを共に有する黒炭、白炭、黒鉛またはグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を有機性電解質よりも強電解質と電極で形成した空気電池をリン酸イオン、リン酸体リンまたはリン化合物含有の有機性電解質廃水処理における好気性生物処理反応槽、酸素供給手段、攪拌手段及び金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池に直列または並列に接続する。
【0017】
また、減極剤を炭素質カソードに当接または担持する。前記減極剤としては二酸化マンガンが好ましく、マンガンノジュール、過酸化水素等を排除するものではない。
また、アルミニウムアノードにアルミニウムイオン伝導体を当接する。前記アルミニウムイオン伝導体としてはセラミックス固体電解質、ポリマーイオン伝導体等が適用出来る。
そしてまた、電気化学反応機能によっては水に難溶性のリン酸金属塩及び水酸化金属粒子を生成すると共に生物化学反応機能によっては有機物を好気性生物分解処理する前記空気電池を直並列接続して構成した空気電池発電手段により発電した電源により不溶性アノードと水を水素ガスに還元する能力を有するカソードで構成する電極対に通電すると共に固形物濾過前処理済み塩素イオン含有有機性廃水に浸漬して生成する次亜塩素酸、オゾン若しくは活性酸素で有機物、アンモニア等を酸化分解する
上記第一の課題解決手段による作用は次のようである。すなわち、溶存酸素供給手段と攪拌手段においてはブロワ−で供給した空気を散気装置から散気して曝気する方式が最も一般的で手軽な方法であるが、表面曝気方式の機械曝気とすることや、酸素ガスを散気装置から散気することも可能であって、経済性以外に何ら制約するものはない。さらに、湖沼、河川または海における自然曝気としてもよい。曝気攪拌することによって空気電池の電気化学反応に必要な溶存酸素を供給すると共に電極での電気二重層または電気二重層近傍における反応生成物質と反応物質を速やかに交換する作用を奏する。尚、有機性生物処理における曝気槽等に空気電池を配設する場合においては、一般的に曝気槽等には溶存酸素供給手段と攪拌手段は配設されるものであるため、空気電池のために別の溶存酸素供給手段と攪拌手段を配設する必要はない。
【0018】
一般的に、オルトリン酸イオン含有の電解質廃水をマグネシューム、アルミニウムまたは鉄等の金属をアノードとし、黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質材をカソードとした空気電池を構成して電気化学反応処理手段で処理すると、例えばアルミニウムアノードでは、炭素質材微細孔壁に吸着した酸素分子は酸素原子に解離して、カソードを経由してアルミニウムの溶解反応で電離した電子を水分子と共に受け取り、水酸イオンとして溶解する。
【0019】
【化1】

【0020】
アノードでは、アルミニウム原子が3個の電子を金属に残し、電解液に3価のアルミニウムイオンとして溶解し、3個の前記電子はアノードとカソードを電線で接続した外部回路を通してアノードからカソードへ移動する結果として、電流は電線で接続した外部回路を通してカソードからアノードへ流れることになる。
【0021】
【化2】

【0022】
そして、水中へ溶解した3価のアルミニウムイオンと水酸イオン及びオルトリン酸イオンと反応して、以下の反応式で示す難溶解性で沈降性の良い水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムを生成する。
【0023】
【化3】

【0024】
【化4】

【0025】
さらに、水酸化アルミニウムは脱水反応によりアルミナを生成する。
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
また、第二の課題を解決する手段の作用は、冬季の低水温環境において、電気化学反応速度は極端に低下するので、必要に応じて被処理廃水を加熱することにより、80℃未満の水温であれば高い程、電気化学反応速度は大きくなり、反応生成粒子形は大きくなると共に廃水の粘度も小さくなるので、電気化学反応が促進され沈降性の良好な粒子を生成する。
【0029】
また、好気性生物処理における水温は30℃前後が好ましいが、一般的には廃水の水温は15℃前後以上であることが多いので、加熱源は低級な廃熱で十分である場合が多い。
【0030】
従って、水温が低く良好な処理水とする必要性があれば、加熱手段で被処理水を加熱することは、電気化学反応と生物化学反応に有効に作用する。
【0031】
また、本発明に用いる半導体性炭素体においては、温度上昇と共に伝導帯に励起される自由電子密度と価電子帯に電子の抜け殻として生成される自由ホール密度が増大するため、温度上昇と共に導電率が指数関数的に増大する。さらに、半導体性炭素体は好気性生物担体としての機能も有し、一般的に好気性生物は30℃前後にして至適温度を有する。従って、半導体性炭素体をカソードとした空気電池においては、工場廃熱等で被処理水を加熱することにより、空気電池のカソードとして有用になる。
【0032】
また、第三の課題解決手段による作用は、単体空気電池の開放電圧はせいぜい0.6V程度で、電流も数mmA〜数十mmA程度しかない使用目的に適した電圧と電流が得られるように、好気性生物処理反応槽を複数の流通孔を有する仕切り板で区画すると共に各区画槽に複数の単位空気電池を配設し、該単位空気電池を並列に接続して電流量を増大した一次電池モジュ−ルとする。そして、必要に応じて太陽電池と同様の手法で電圧調整、逆流防止、直流交流変換等が組み込まれる。例えば必要に応じて複数の空気電池モジュールを並列接続したものと逆流防止ダイオードを直列接続して空気電池ストリングスとする。そしまた、必要に応じて該空気電池ストリングスと太陽電池ストリングスを並列接続しても支障が生じないようにするために、前記空気電池ストリングス及び太陽電池ストリングスの出力側に自動昇圧ユニットを接続して電圧調整することも出来る。勿論、前記太陽電池ストリングスは各々に各モジュール、及び逆流防止ダイオードとバイパスダイオード、それにアレイ回路を直並列に組合せる電線で構成される。さらに、前記一次電池ストリングス及び太陽電池ストリングスの出力側を、直流電力を交流電力への変換手段及び系統連係保護手段を内蔵したパワ−コンディショナの入力側に接続すると共に該パワ−コンディショナの出力側を分電盤の入力側に接続する。該分電盤の入力側には商用電源を接続する。このように配線することにより一次電池による発電電力を太陽電池による発電電力と同一の発電電力として扱うことができる。なお、ここでは空気電池を備える好気性生物処理槽を仕切り板で区画して空気電池としたが、複数の区画を並列接続して空気電池モジュ−ルとすることも、また、複数の区画を直列接続して空気電池モジュ−ルとすることも出来る。また、蓄電池を付加して自立運転することも、また、商用と自家発電とを切り替え方式とすることも、又、商用電源と連係しない独立システムとすることも出来る。即ち、太陽電池ストリングス単独で従来から行われている発電システムと、充放電システムと、電力変換システムと、保護システム及び配線工事については、移動性以外は全て適用出来る。
【0033】
また、多孔質の炭素体にカソード機能および生物担体機能と共に散気装置機能を持たせることにより前記多孔質炭素体の細孔内部にまで酸素が浸透する。
【0034】
また、有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池だけでは、電圧と電流が小さくて有機性電解質廃水中における電気化学反応が不十分であるか又はさらに強力な電気化学反応を必要とする場合に前記有機性電解質廃水よりも強電解質と電極で形成した一次電池を直列に接続すると、電気回路の電圧と電流が大きくなり前記有機性電解質廃水中の電気化学反応がより強くなる。前記有機性電解質廃水以外の電解質は強電解質である程良い。
また、電解液接液手段と空気又は酸素ガス接触手段とを共に有する黒炭、白炭、黒鉛またはグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を有機性電解質よりも強電解質と電極で形成した空気電池をリン酸イオン、リン酸体リンまたはリン化合物含有の有機性電解質廃水処理における好気性生物反応槽、酸素供給手段、攪拌手段及び金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池に直列または並列に接続すると、有機性電解質よりも強電解質の液中においては、好気性生物は一部を除いて、生存出来ないかまたは生存活動が抑制されるので、液中の溶存酸素摂取は空気電池のみによるか、または好気性生物によるものも含まれるとしても、その量は僅かである。従って、多孔性炭素質カソードの一部を空気中または酸素ガス中に露出して配設することにより、空気電池の電気化学反応により消費される酸素量を多少越える程度であれば、補給出来る。
また、アノードから流れてきた電子と水素イオンが結びつき電極反応の進行を妨げるが、二酸化マンガン、過酸化水素、二クロム酸カリウム等の酸化剤を炭素質カソードに当接または担持すると、電極反応生成物の水素を酸化して電極反応の低下を抑制する。
また、アルミニウムアノードにアルミニウムイオン伝導体を当接すると、アルミニウムの酸化により生成するアルミニウムイオンが前記アルミニウムアノードの表面にある前記アルミニウムイオンと水酸イオンが結合して生成する水酸化アルミニウムはアノードの酸化反応による放電を阻害するが、アルミニウムイオン伝導体を前記アルミニウムアノードに当接すると、前記アルミニウムイオン伝導体中でアルミニウムイオンと水酸イオンが結合し、その結果水酸化アルミニウムが前記アルミニウムイオン伝導体中に分散して生成する。このようなメカニズムによって、従来課題となっていた水酸化アルミニウムが前記アルミニウムアノード表面に付着することによる放電阻害を抑制していると推測されていて、前記水酸化アルミニウムによる放電阻害を抑制する。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0036】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水を好気性生物処理反応槽に、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素材カソードとした空気電池を構成すると共に前記黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としていて、さらに電気化学反応及び生物化学反応を効率良く継続するために溶存酸素供給手段、攪拌手段を配設した電気化学反応手段及び生物化学反応手段とすると共に該電気化学反応手段及び生物化学反応の後処理として固液分離手段を後置することにより、電気分解法のように電力源を必要とせず、リンを除去すると共に、前記黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードが生物担体としての機能も兼用するので、設置面積を小さくすることが出来ると共に設備費を低く抑える効果がある。前記黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素体は、1g当たり100~400平方メートルの微細孔表面積を持つ極めて多孔質の材料で、高い吸着性、透水性、通気性を有し、微生物の快適な増殖の場となり、且つ溶出するミネラル分が微生物の好栄養源となるので処理効率を高くする効果がある。そして、空気電池のアノ−ド及びカソ−ドによる酸化還元によりリン酸金属塩、水酸化金属及び酸化金属を生成するがこれらは難溶性で沈降性もよいので固液分離を容易にする効果もある。
【0037】
半導体性の木炭は、種々の木材を製材するときに生じた鋸挽き屑即ち大鋸屑を用いていて、該大鋸屑を乾燥後、粉体から硬質のバルク形状に圧縮加工後焼成して製造される。また、廃水処理に利用済みの半導体性木炭は、塩素滅菌処理及び乾燥処理を加えて燃料として利用することが出来る。従って、無利用資源を有効に活用することが出来るので、地球温暖化防止効果、省エネルギー効果及び廃水処理費削減効果を奏する。
【0038】
冬季等の水温が低い時期には電気化学反応速度及び生物化学反応速度が遅いと共に半導体性炭素質の導電率が減少するので、加熱して水温を上昇させると、電気化学反応速度及び生物化学反応速度が上昇すると共に半導体性炭素質の導電率が増大して、リン除去効率及びBOD除去効率が向上する効果がある。さらに、水温が上昇すると粘度が低下して、粒子の沈降分離又は濾過分離がしやすくなる効果がある。
【0039】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を構成すると共に電流密度の大きい前記黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードを好気性生物処理反応槽の生物担体としていて、さらに電気化学反応及び生物化学反応を効率良く継続するために溶存酸素供給手段、攪拌手段を配設した電気化学反応手段及び生物化学反応手段を有する廃水処理とする共に発電した電力を利用することが出来るので、地球温暖化防止効果、化石燃料発電及び原子力発電削減効果及び経済性向上効果がある。
【0040】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水中に、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を配設すると共に太陽電池を併設して配線統合手段で統合することにより、パワーコンデショナー、自動電圧調整装置、送受変電設備等の電気設備を共用出来るので発電コストを低減出来る効果が有る。
【0041】
また、多孔質の炭素体にカソード機能および微生物担体機能と共に散気装置機能を持たせることにより前記多孔質炭素体の細孔内部にまで酸素が送気されるので、高電流密度で電気化学反応が持続できる。
【0042】
また、有機性電解質廃水処理において、金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池だけでは、電圧と電流が小さくて有機性電解質廃水中における電気化学反応が不十分であるか又はさらに強力な電気化学反応を必要とする場合に前記有機性電解質廃水よりも強電解質と電極で形成した一次電池を直列に接続すると、前記有機性電解質廃水中の電気化学反応速度が大きくなるので難溶性のリン酸塩生成速度が大きくなり、リン除去が促進される。また、電気回路の電圧と電流が大きくなるので発電電力量が多くなる。
【0043】
また、有機性電解質廃水以外の飽和食塩水、飽和食塩水と硫酸アンモニューム、強酸性水、強アルカリ性水等を電解液とした炭素質カソード空気電池での溶存酸素消費の内訳は、好気性生物による消費は無いか在っても僅かであって、空気電池による溶存酸素消費は自然補給で十分であるので、空気または酸素を散気する必要がなく省エネルギーである。
【0044】
また、二酸化マンガン、過酸化水素、二クロム酸カリウム等の酸化剤を炭素質カソードに当接または担持すると、電極反応生成物の水素を酸化して電極反応の低下を抑制するので、起電力及び電流密度低下を抑制する効果がある。
【0045】
また、アルミニウムイオン伝導体を前記アルミニウムアノードに当接すると、水酸化アルミニウムによる放電阻害を抑制するので、起電力及び電流密度低下を抑制する効果がある。
【0046】
また、空気電池発電手段により発電した電源により不溶性アノードと水を水素ガスに還元する能力を有するカソードで構成する電極対に通電して電気分解する共に固形物濾過前処理済み塩素イオン含有有機性廃水に浸漬して生成する次亜塩素酸、オゾン若しくは活性酸素で有機物、アンモニア等を酸化分解する空気電池による電気化学反応機能によって水に難溶性のリン酸金属塩としてリンを除去するだけでは、せっかく利用可能な電気を無駄に捨てることに比較すると、資源の有効活用となり、電源を有する電気分解に比較すると、省エネルギーとなる。
【0047】
そしてまた、電気分解における電流量は電気化学反応量とだけに限っては比例関係にはないが、空気電池等の一次電池における電流は電気化学反応量の結果としての現象物理量であるため、電流を測定監視することにより、空気電池の電気化学反応の状態を監視出来るので、電流を廃水処理状態の管理指標として利用できる。
【実施例】
【0048】
実施例について図面を参照して説明する。図1、図2、図3、図4及び図5に示した第一の発明に係る第一の実施例において、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物を少なくとも含有する有機性電解質廃水を好気性生物処理する接触酸化反応槽1における接触材床2の上部であって前記有機性電解質廃水中に平板状のアルミニウムアノ−ド3と平板状の木炭カソ−ド4で電気絶縁性メッシュ材5を挟んで近接して前記平板状のアルミニウムアノ−ド3と前記平板状の木炭カソ−ド4を電気導体6で電気的に接続して単位空気電池7を構成すると共に42台の該単位空気電池7を支持枠8で支持して構成した空気電池式廃水処理装置9としている。散気装置10は好気性生物および空気電池の酸化反応に必要な酸素を供給するためと酸化反応を促進するために空気を供給して散気攪拌している。そして、前記支持枠8は出来るだけ流動水の妨げとならないように、部材を細くした格子状の流通孔8aが多数配設されている。また、前記接触酸化反応槽1に後置した沈澱槽11に処理水を移流して前記接触酸化反応槽1で生成した水に難溶性のリン酸アルミニウム、水酸化金属、アルミナ、生物性固形物及びその他沈降性固形物を沈澱分離して清澄水を排出している。尚、前記有機性電解質廃水処理には、海水又は湖沼水処理も包含したものであって、勿論のことではあるが、以下に記載するリン酸イオンまたはリン化合物を少なくとも含有する有機性電解質廃水処理にも適用する。尚、本実施例では、平板状の前記アルミニウムアノ−ド3と平板状の木炭カソ−ド4を電気絶縁性メッシュ材5を挟んで近接して浸漬しているが、平板状のアルミニウムアノ−ド3と平板状の木炭カソ−ド4は10cm前後までの離隔でも、電気化学反応は実用上で支障なく十分に生起する。本実施例(以降の他の実施例においても同様)では空気電池式廃水処理装置を接触材床2と併設しているが、標準活性汚泥法、担体流動生物濾過法および長時間曝気法等の他の好気性生物処理と併設することも、単独に配設することも出来る。
【0049】
図6に示した第一の発明に係る第二の実施例において、夾雑物除去槽12,嫌気性濾床槽13、担体流動生物濾過槽14、処理水槽15及び消毒槽16の順序で被処理水の流れ方向に配列して配設した担体流動生物濾過方式合併処理浄化槽17の前記担体流動生物濾過槽14にアルミニウムアノ−ド3と木炭カソ−ド4を電気絶縁性メッシュ材5を挟んで近接して浸漬すると共に前記平板状のアルミニウムアノ−ド3と前記平板状の木炭カソ−ド4を電気導体6で電気的に接続した複数の単位空気電池7を支持枠8で支持構成した空気電池ユニット9を配設している。
図7に示した第一の発明に係る第三の実施例においては、図6に示した担体流動生物濾過方式合併処理浄化槽17の循環装置18の循環配管19の途中に配設した空気電池ユニット収納槽20に空気電池ユニット9を配設している。そして、前記循環装置18にはエアーリフトポンプ21を配設している。
【0050】
図4、図5、図8、図9、図10、図11および図12に示した第一の発明に係る第四の実施例においては、リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物を少なくとも含有する閉鎖性湖沼水中に図4および図5に示す複数の単位空気電池7を支持枠8に配設して空気電池ユニット9としていて、該支持枠8を一部水中に浸漬し残部を水上に出した状態でフロート22によって水上に浮かべた浮体槽式浄化装置23の接触材床2上部に配設している。そして、該浮体槽式浄化装置23の槽外湖沼水を散気装置10で曝気すると共に循環水中ポンプ24で閉鎖性湖沼水を浮体式浄化装置23内に導水し下降流となるように吸水すると、前記空気電池ユニット9および接触材床2を通過して集水ホッパーおよび集水管を経て前記循環水中ポンプ24で湖沼へ排出される。この一連の操作を繰り返し行うことで前記閉鎖性湖沼水を浄化している。風と波浪に対する安定確保のためのウェイト25をそれぞれハンガー26で吊り下げた前記浮体槽式浄化装置23をアンカー27で係留している。本実施例では閉鎖性湖沼としたが、閉鎖性海域にも同様に適用出来る。そして、曝気方法においても、本実施例以外の表面機械曝気、深層曝気、自然曝気等も適用出来、どのような曝気方法も排除するものではない。
【0051】
図13に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、円筒状の木炭カソード4の円筒孔28にステンレス端子29を電導性樹脂30で固着した前記円筒状の木炭カソード4の外周に電気絶縁性メッシュ5を挟んで外周にアルミニウム端子31を電気的に接続して固着した丸棒円形リング状のアルミニウムアノード3を配設している。
【0052】
図14に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、円筒状の木炭カソード4の円筒孔28にステンレス端子29を電導性樹脂30で固着した前記円筒状の木炭カソード4の外周に電気絶縁性メッシュ5を挟んでアルミニウム端子31を電気的に接続して固着した円筒状のアルミニウムアノード3を配設している。
【0053】
図15に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、円筒状の木炭カソード4の図示してない円筒孔28にストッパー部32及び雄ねじ部33付ステンレス端子29を挿入してステンレスナット34で締め付けている。
【0054】
図16に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、平板状のアルミニウムアノード3の両側に電気絶縁性メッシュ5を挟みこんだ2枚の平板状の黒鉛カソード35と前記アルミニウムアノード3を電気導体6で電気的に接続して構成した5組の単位空気電池7を支持枠8に収納している。
【0055】
図17に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、平板状のアルミニウムアノード3を内側に2枚の平板状の黒鉛カソード35を外側に離隔して配設すると共に電気導体6で電気的に接続して構成した5組の単位空気電池7を支持枠8に収納している。
【0056】
図18に示したものは、第一の発明に係る第一から第四の実施例における単位空気電池7の別の形態の一つであって、複数の円筒状の木炭カソード4の円筒孔28に炭素繊維紐36を通して電気的に接続すると共に炭素繊維布袋37に収納して木炭カソードユニット38を構成し、該木炭カソードユニット38の両側に電気絶縁性メッシュ5を挟みこんだ2枚の平板状のアルミニウムアノード3を電気導体6で電気的に接続して単位空気電池7構成している。前記炭素繊維紐36の代替としてはステンレス針金としても良い。
【0057】
図19に示した第二の発明に係る第五の実施例においては、図1、図2、図3、図4及び図5における構成に加えて、接触酸化反応槽1の被処理水を低級な工場廃熱利用のヒータ39で過熱して電気化学反応を促進してリン除去効率を高めると共に生物化学反応を促進してBOD除去効率を高めている。又、前記接触酸化反応槽1に後置した沈澱槽11に処理水を移流して前記接触酸化反応槽1で生成した水に難溶性のリン酸アルミニウム、水酸化金属、アルミナ、生物性固形物及びその他沈降性固形物を沈澱分離して清澄水を排出している。
【0058】
図20及び図21に示した第三発明に係わる第六の実施例において、リン酸イオン、リン酸体リンまたはリン化合物を含有する有機性電解質廃水を生物処理する接触酸化反応槽1を、イオン流通阻害機能を有する仕切壁40A及び仕切壁40Bで6区画数に区画して単位接触酸化反応槽1−1、1−2、−3及び1−4、1−5、1−6としている。そして、該6区画数の単位接触酸化反応槽1−1、1−2、1−3、1−4、1−5及び1−6の各槽には、図には説明のため一組の単位空気電池7しか図示していないが、10組の単位空気電池7を並列接続して構成した6組の空気電池モジュール41−1、41−2、41−3、41−4、41−5及び41−6を配設している。そして、6組の前記空気電池モジュール41−1、41−2、41−3、41−4、41−5及び41−6を電線42A、42Bで直列接続して空気電池ストリングス43を構成している。そしてまた、該空気電池ストリングス43の出力側及び太陽電池ストリングス44の出力側を前記接続箱45内で接続統合する共に該接続箱45の出力側を充放電コントローラ46、パワーコンディショナー47、分電盤48及び商用電源に順次、電線42A、42Bで接続して受電設備49を構成している。本実施例には図示してないが、複数の前記空気電池モジュール41−1、41−2、41−3、41−4、41−5及び41−6の内で、決められた基準起電力に達しない、該空気電池モジュール41−1、41−2、41−3、41−4、41−5及び41−6の何れかの出力側に、図示していない自動昇圧装置を接続することも出来る。
【0059】
図22に示した第四の発明に係わる第一の実施例において、白炭粒状体にバインダーを混合加圧成型し、再焼成して成る半導体性セラミック質の多孔質白炭粒成型再焼成体50の孔50−aに給気管51を挿入して前記孔50−aと給気管51の隙間に接着材を充填固着すると共に電導体6を電気的に固着してカソード散気板52としている。そして、前記カソード散気板52とアルミニウムアノード3を電気導体6で電気的に接続して構成していて、カソード機能および微生物担体機能と共に散気装置機能を持たせることにより前記多孔質白炭粒成型再焼成体50の細孔内部にまで酸素が送気される。
【0060】
図23に示した第五の発明に係わる第一の実施例において、リン含有の有機性電解質廃水を活性汚泥法で処理している曝気槽内水53にアルミニウムアノード3と、白炭粉体にバインダーを混合加圧成型し再焼成して成る半導体性セラミック質の板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54で構成した空気電池55に、食塩飽和水56にマグネシウムアノード57と板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54で構成したブースター空気電池58を電気的に直列接続している。本実施例では前記食塩飽和水56とマグネシウムアノード57と白炭粉体にバインダーを混合加圧成型し、再焼成して成る半導体性セラミック質の前記板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54で構成したブースター空気電池58を電気的に直列接続しているが、前記ブースター空気電池58の代替としては、例えば、アルカリ溶液を電解液とし、アノードにアルミニウム、カソードに黒鉛、触媒として塩化物イオン等を使用することも出来る。尚、前記ブースター空気電池58の代替としては、リン含有の有機性電解質廃水処理装置の前記空気電池55よりも電圧及び電流特性が優れている限りにおいて、あらゆる一次電池も排除しない。
【0061】
図24に示した第六の発明に係わる第一の実施例において、図示しない食塩飽和水と高吸水性ポリマーとを混和した電解ゲル59をアルミニウムアノード3に塗布し、ティーバッグ質袋60に収納したものの両面に二枚の板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54を密着すると共に二枚の前記板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54の他の面を空気中に曝して通気性収納箱61に収納している。
【0062】
図25に示した第六の発明に係わる第二の実施例において、図24に示した半導体性白炭粉板状成型再焼成体57の代替として、空気中に曝す面に溝62aを六条設けて空気との接触面積を多くすることにより、板状多孔質白炭粉成型再焼成体62の細孔内部への酸素供給を多くしている。空気との接触面積を多くする形状としては、溝62aに限らず他にもなく抜き孔等種々考えられる。
【0063】
図26に示した第七の発明に係わる第一の実施例において、減極剤の二酸化マンガン粒63を織布袋64に収納して板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード54に当接している。
【0064】
図27に示した第八の発明に係わる第一の実施例において、アルミニウムアノード3にアルミニウムイオン伝導体65を当接している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第一実施例を示す廃水処理装置の概略縦断面図。
【図2】図1のA―A視図。
【図3】図2のB―B視図。
【図4】図1の単位空気電池の拡大図。
【図5】図4のC―C視図。
【図6】第一発明の第二実施例を示す廃水処理装置の概略縦断図。
【図7】第一発明の第三実施例を示す廃水処理装置の概略縦断図。
【図8】第一発明の第四実施例を示す廃水処理装置の概略縦断図。
【図9】図8のD―D視図
【図10】図8のE―E視図
【図11】図8のF―F視図
【図12】図8のG―G視図
【図13】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図14】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図15】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図16】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図17】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図18】単位空気電池の別の形態を示す概略斜視図。
【図19】第二発明の第五実施例を示す廃水処理装置の概略縦断図。
【図20】第三発明の第六実施例を示す空気電池発電装置の概略系統図。
【図21】図20のH―H視図。
【図22】第四発明の第七実施例の単位空気電池の形態を示す概略斜視図
【図23】第五発明の第一実施例を示す廃水処理装置の概略系統図。
【図24】第六発明の第一実施例を示す単位空気電池の形態を示す概略斜視図。
【図25】第六発明の第二実施例を示す単位空気電池の形態を示す概略斜視図
【図26】第七発明の第一実施例を示す減極剤の形態を示す概略説明図
【図27】第八発明の第一実施例のアルミニウムイオン伝導体の形態を示す概略説明図
【符号の説明】
【0066】
1 接触酸化反応槽
2 接触材床
1−1、1−2、1−3,1−4,1−5,1−6 単位接触酸化反応槽
3 アルミニウアノード
4 木炭カソード
5 電気絶縁性メッシュ
6 電気導体
7 単位空気電池
8 支持枠
8a 流通孔
9 空気電池式廃水処理装置
10 散気装置
11 沈殿槽
12 夾雑物除去槽
13 嫌気性濾床槽
14 担体流動生物濾過槽
15 処理水槽
16 消毒槽
17 担体流動生物濾過方式合併処理浄化槽
18 循環水装置
19 循環配管
20 空気電池ユニット収納槽
21 エアーリフトポンプ
22 フロート
23 浮体槽式浄化装置
24 循環水中ポンプ
25 ウェイト
26 ハンガー
27 アンカー
28 円筒孔
29 ステンレス端子
30 電導性樹脂
31 アルミニウム端子
32 ストッパー部
33 雄ねじ部
34 ステンレスナット
35 黒鉛カソード
36 炭素繊維紐
37 炭素繊維布袋
38 木炭カソードユニット
39 ヒータ
40A、40B 仕切壁
41−1、41−2,41−3,41−4,41−5,41−
6 空気電池モジュール
42A、42B 電線
43 空気電池ストリングス
44 太陽電池ストリングス
45 接続箱
46 充放電コントローラ
47 パワーコンディショナー
48 分電盤
49 受電設備
50 多孔質白炭粒成型再焼成体
50‐a 孔
51 給気管
52 カソード散気板52
53 曝気槽内水
54 板状多孔質白炭粉成型再焼成体カソード
55 空気電池
56 食塩飽和水
57 マグネシウムアノード
58 ブースター空気電池
59 電解質ゲル
60 ティーバッグ質袋
61 通気性収納箱
62a 溝
62 半導体性白炭粉板状成型再焼成体カソード
63 二酸化マンガン粒
64 織布袋
65 アルミニウムイオン伝導体





























【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、酸素供給手段、攪拌手段及び金属製アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を配設することによって、電気化学反応機能によっては水に難溶性のリン酸金属塩及び水酸化金属粒子を生成すると共に生物化学反応機能によっては有機物を好気性生物分解処理することを特徴とする空気電池式廃水処理装置。

【請求項2】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、酸素供給手段、攪拌手段、必要に応じた加熱手段及び金属製アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を配設することによって、電気化学反応機能によっては水に難溶性のリン酸金属塩及び水酸化金属粒子を生成すると共に生物化学反応機能によっては有機物を好気性生物分解処理することを特徴とする請求項1記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項3】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、酸素供給手段、攪拌手段、必要に応じた加熱手段及び金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池を配設することによって、電気化学反応機能によっては水に難溶性のリン酸金属塩及び水酸化金属粒子を生成すると共に生物化学反応機能によっては有機物を好気性生物分解処理すると共に、必要に応じて複数の同種または異種空気電池の直並列接続手段、逆流防止手段、電圧自動昇圧手段を付加接続した前記空気電池と太陽電池を配線統合手段で接続して構成した電池アレイと、必要に応じてパワーコンディショナーを配設していて、また必要に応じて蓄電手段を配設することを特徴とする請求項1または2記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項4】
多孔質の炭素体にカソード機能および微生物担体機能と共に散気装置機能を持たせることにより前記多孔質の炭素体の内部微細孔にまで酸素を有効に供給するようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項5】
リン酸イオン、リン酸体リン又はリン化合物含有の有機性電解質廃水処理において、酸素供給手段、攪拌手段、必要に応じた加熱手段及び金属アノードと黒炭、白炭、黒鉛又はグラファイト等の炭素質カソードとした空気電池に直列または並列に有機性電解質よりも強電解質と電極で形成した空気電池を接続したことを特徴とする請求項1、2または3記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項6】
電解液接液手段と空気又は酸素ガス接触手段とを共に有する黒炭、白炭、黒鉛またはグラファイト等の炭素質カソードと金属アノードを有機性電解質よりも強電解質に接液する電極としたことを特徴とする請求項5記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項7】
減極剤を炭素質カソードに当接または担持したことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の空気電池式廃水処理装置。
【請求項8】
アルミニウムアノードにアルミニウムイオン伝導体を当接したことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の空気電池式廃水処理装置。













































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−39705(P2009−39705A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309787(P2007−309787)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(306037861)ブルーアクア・インダストリー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】